JP2020094549A - プロペラファン - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレードの根元部から離れた領域に発生する曲げ応力を低減することができるプロペラファンを得ること。【解決手段】プロペラファン100は、モータの回転軸に固定されるボス部1と、ボス部1の外周面に設けられるスパイダー2と、スパイダー2に接合されスパイダー2よりも径方向外側となる領域を有するブレード3と、を備える。ブレード3には、スパイダー2よりも径方向外側に位置する突起5が設けられる。【選択図】図1

Description

本発明は、ブレードを回転させて送風するプロペラファンに関する。
従来、換気機器、空調機器等に用いられるプロペラファンが多数開発されている。例えば、特許文献1には、モータの回転軸に固定されたボス部と、当該ボス部の外周面から径方向外側に延設されボス部の回転に伴って送風するブレードとを備えたプロペラファンが開示されている。特許文献1のプロペラファンは、ブレードの根元部に補強用リブを設けることで、プロペラファンの回転時の遠心力によってブレードの根元部に発生する曲げ応力を低減するというものである。
特開昭61−101698号公報
例えば、プロペラファンの上流に障害物が存在する状態でブレードを回転させると、気流の脈動が生じ、空力変動に伴う加振力がブレードに作用し、当該加振力によってブレードの根元部から離れた領域でも曲げ応力が発生することがある。上記従来の技術では、当該領域における補強手段が何ら講じられていないため、ブレードの根元部から離れた領域で曲げ応力によってブレードが変形することを十分に抑制できない場合があった。特に、プロペラファンの外径が大きくなるほど曲げ応力が高くなるため、ブレードの根元部から離れた領域の補強対策が必要となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ブレードの根元部から離れた領域に発生する曲げ応力を低減することができるプロペラファンを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるプロペラファンは、モータの回転軸に固定される固定部と、前記固定部の外周面に設けられるスパイダーと、前記スパイダーに接合され、前記スパイダーよりも径方向外側となる領域を有するブレードと、を備える。前記ブレードには、前記スパイダーよりも径方向外側に位置する突起が設けられる。
本発明によれば、ブレードの根元部から離れた領域に発生する曲げ応力を低減することができるという効果を奏する。
本発明の実施の形態1に係るプロペラファンを示す図であって、送風方向の上流側から見た斜視図 本発明の実施の形態1に係るプロペラファンを示す図であって、送風方向の下流側から見た斜視図 本発明の実施の形態1に係るプロペラファンを示す図であって、回転軸に対して垂直方向から見た側面図 実施の形態1に係る突起を示す図であって、図3のIV−IV線断面図 実施の形態1に係るブレードを示す図であって、送風方向の上流側から見た拡大斜視図 実施の形態1の変形例1に係るブレードを示す図であって、送風方向の上流側から見た拡大斜視図 実施の形態1の変形例2に係るブレードを示す図であって、送風方向の上流側から見た拡大斜視図 実施の形態1の変形例3に係るプロペラファンを示す図であって、送風方向の上流側から見た斜視図 実施の形態1の変形例3に係るプロペラファンを示す図であって、送風方向の下流側から見た斜視図 実施の形態1の変形例3に係るブレードを示す図であって、送風方向の下流側から見た拡大斜視図 実施の形態1の変形例4に係るブレードを示す図であって、送風方向の下流側から見た拡大斜視図
以下に、本発明の実施の形態にかかるプロペラファンを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るプロペラファンを示す図であって、送風方向の上流側から見た斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係るプロペラファンを示す図であって、送風方向の下流側から見た斜視図である。
図1および図2に示すように、プロペラファン100は、図示しないモータの回転軸に固定される固定部であるボス部1と、ボス部1の外周面に設けられるスパイダー2と、スパイダー2に接合されスパイダー2よりも径方向外側となる領域を有する複数のブレード3と、を備える。ボス部1、スパイダー2およびブレード3は、実施の形態1では金属製であるが、樹脂製でもよい。プロペラファン100は、換気機器、空調機器等に搭載される部材である。なお、図1および図2の矢印Yは、プロペラファン100の回転方向を示している。図面には、モータの回転軸の中心4が示されている。本願明細書中の「径方向」とは、モータの回転軸と直交する方向であって、かつ、モータの回転軸から放射状に延びる方向のことをいう。
ボス部1は、モータの回転軸が固定される円筒状の部位である。ボス部1は、モータの駆動力により、回転軸を中心として矢印Y方向に回転する。
スパイダー2は、ボス部1の回転に伴って回転する部材である。スパイダー2の強度を向上させるために、スパイダー2の板厚は、ブレード3の板厚よりも大きく形成されている。図2に示すように、スパイダー2は、ボス部1の周囲に設けられた根元部21と、根元部21の外周面に設けられ径方向外側に延びる複数の接合部22と、を有する。根元部21と接合部22は、一枚板から型取りして形成される。
根元部21は、中心に貫通孔を有する円板状の部位である。根元部21の貫通孔には、ボス部1が挿嵌されている。根元部21とボス部1は、溶接等で接合されている。
接合部22は、ブレード3が接合される部位である。接合部22の配置および個数は、特に制限されないが、実施の形態1では根元部21の周方向に等角度離間して3個設けられている。接合部22は、連続する1つの縁を有するが、実施の形態1では説明の便宜上、1つの縁をスパイダー前縁22a、スパイダー後縁22b、スパイダー外周縁22c、スパイダー先端縁22dに区別して説明する。なお、スパイダー前縁22aおよびスパイダー後縁22bにおいて、最も径方向外側に位置する端部を「外端」と称するとともに最も径方向内側に位置する端部を「内端」と称する。また、スパイダー外周縁22cにおいて、最も回転方向前側に位置する端部を「前端」と称するとともに最も回転方向後側に位置する端部を「後端」と称する。
スパイダー前縁22aは、プロペラファン100が回転するときに回転方向前側に位置する縁部である。スパイダー前縁22aは、根元部21の外周面から径方向外側に向かうほど回転方向前側に位置するように曲線状に延びている。スパイダー前縁22aは、後述するブレード3のブレード前縁3aに沿って延びている。
スパイダー後縁22bは、プロペラファン100が回転するときに回転方向後側に位置する縁部である。スパイダー後縁22bは、根元部21の外周面から径方向外側に向けて延びている。
スパイダー外周縁22cは、スパイダー前縁22aおよびスパイダー後縁22bよりも径方向外側に位置する縁部である。スパイダー外周縁22cは、スパイダー後縁22bの外端から回転方向前側に向けて延びている。
スパイダー先端縁22dは、スパイダー前縁22aの外端とスパイダー外周縁22cの前端とを繋ぐ縁部である。スパイダー先端縁22dの形状は、直線状でも曲線状でもよいが、実施の形態1では径方向外側に僅かに凸となる曲線状に形成されている。これにより、スパイダー先端縁22dにおける応力集中を防止することができる。
スパイダー先端縁22dは、ブレード3の根元部であるブレード内縁3dと径方向外側に離間している。スパイダー先端縁22dは、ブレード前縁3aに対して交差する方向に延びている。スパイダー先端縁22dは、ブレード3の屈曲位置9と平行に延在している。本実施の形態のようにスパイダー先端縁22dが曲線状の場合には、スパイダー先端縁22dを全体的に見て近似する直線に置き換えたときに当該直線が屈曲位置9と平行であればよい。なお、本願明細書中の「平行」とは、完全に平行である状態の他、厳密には平行でなく僅かに傾斜した状態も含まれる。
ここで、屈曲位置9とは、ブレード3が接合部22に接合されていない状態で遠心力、流体力等の外力が作用したときに、ブレード3の曲げ変形の支点になる位置のことをいう。なお、ブレード3が接合部22に接合された状態で遠心力、流体力等の外力が作用したときには、スパイダー先端縁22dがブレード3の曲げ変形の支点になる。屈曲位置9は、後述するブレード3のブレード前縁3aとブレード外縁3cとに交わる直線である。ブレード前縁3aとブレード外縁3cと屈曲位置9とで囲まれた三角形状の領域は、ブレード3が接合部22に接合されていない状態で遠心力、流体力等の外力が作用したときに、屈曲位置9を支点に屈曲する部位である。以下の説明では、三角形状の領域を「屈曲領域」とも称する。図2に示すブレード前縁3aとブレード外縁3cは、屈曲領域の外周縁に対応する部位の長さが概ね等しい。すなわち、図2に示す屈曲領域は、屈曲位置9を底辺とする二等辺三角形状になっている。
なお、屈曲位置9および屈曲領域の形状は、ブレード3の形状次第で変化する。図示は省略するが、例えば、図2に比べてブレード3を前縁方向に長くした場合は、屈曲位置9が図2に示す位置と異なる。また、屈曲領域は、ブレード前縁3aのうち屈曲領域の外周縁に対応する部位の長さがブレード外縁3cのうち屈曲領域の外周縁に対応する部位の長さよりも大きい三角形状となる。つまり、屈曲領域は、二等辺三角形状にはならない。一方、図2に比べてブレード3を前縁方向に短くした場合は、屈曲位置9が図2に示す位置およびブレード3を前縁方向に長くした場合の位置と異なる。また、屈曲領域は、ブレード前縁3aのうち屈曲領域の外周縁に対応する部位の長さがブレード外縁3cのうち屈曲領域の外周縁に対応する部位の長さよりも小さい三角形状となる。つまり、屈曲領域は、二等辺三角形状にはならない。なお、図2の例では、屈曲位置9とスパイダー先端縁22dとがずれているが、屈曲位置9とスパイダー先端縁22dとを一致させてもよい。
接合部22は、連続する1つの縁において、複数の角部を有する。各角部には、R形状の面取り加工が施されている。これにより、各角部における応力集中を防止することができる。
接合部22においてブレード3と重なる部位は、境界線2Cを境として、前縁側に位置する前縁領域2Aと後縁側に位置する後縁領域2Bとを有する。ここで、境界線2Cとは、スパイダー先端縁22dに対して平行で、かつ、交点2Dとスパイダー外周縁22cとを結んだ仮想直線のことをいう。交点2Dは、送風方向でブレード内縁3dを接合部22に投影したときに、ブレード内縁3dとスパイダー前縁22aとが交わる点である。
前縁領域2Aは、後縁領域2Bから後述するブレード3のブレード前縁3aに沿って延びるように形成されている。前縁領域2Aは、境界線2Cとスパイダー前縁22aの一部とスパイダー先端縁22dとスパイダー外周縁22cの一部とに囲まれた領域である。後縁領域2Bは、前縁領域2Aから後述するブレード3のブレード後縁3bに向けて延びるように形成されている。後縁領域2Bは、境界線2Cとスパイダー外周縁22cの一部とスパイダー後縁22bの一部と接合部22のうちブレード内縁3dに送風方向で重なる部位とに囲まれた領域である。
ブレード3は、ボス部1の回転に伴ってスパイダー2と共に回転し、回転軸に沿った方向に送風する部材である。ブレード3は、接合部22に接合されている。ブレード3と接合部22との接合方法は、特に制限されないが、スポット溶接、リベット等による接合方法が挙げられる。また、接合部22の縁部分、すなわちスパイダー前縁22a、スパイダー後縁22b、スパイダー外周縁22cおよびスパイダー先端縁22dを結んだ縁部分をブレード3と溶接する接合方法も挙げられる。実施の形態1では、リベットで接合部22とブレード3とを接合した例を示しており、図面には溶接部6が示されている。
ブレード3の枚数は、実施の形態1では3枚としたが、2枚または4枚以上でもよい。なお、3枚のブレード3はいずれも同一形状であるため、以下の説明では、1枚のブレード3および当該ブレード3が接合される部材についてのみ説明する。ブレード3は、連続する1つの縁を有するが、実施の形態1では説明の便宜上、1つの縁をブレード前縁3a、ブレード後縁3b、ブレード外縁3c、ブレード内縁3dに区別して説明する。なお、ブレード前縁3aおよびブレード後縁3bにおいて、最も径方向外側に位置する端部を「外端」と称するとともに最も径方向内側に位置する端部を「内端」と称する。また、ブレード外縁3cおよびブレード内縁3dにおいて、最も回転方向前側に位置する端部を「前端」と称するとともに最も回転方向後側に位置する端部を「後端」と称する。
ブレード前縁3aは、プロペラファン100が回転するときに回転方向前側に位置する縁部である。ブレード前縁3aは、スパイダー前縁22aおよびスパイダー先端縁22dよりも回転方向前側に配置されており、径方向に延びている。ブレード前縁3aは、直線状でも曲線状でもよいが、実施の形態1では山部と谷部を交互に配置した波形形状である。
ブレード後縁3bは、プロペラファン100が回転するときに回転方向後側に位置する曲線状の縁部である。ブレード後縁3bは、スパイダー後縁22bよりも回転方向後側に配置されており、径方向に延びている。
ブレード外縁3cは、ブレード前縁3aの外端とブレード後縁3bの外端とを繋ぐ曲線状の縁部である。ブレード外縁3cは、ブレード前縁3aの外端からブレード後縁3bに向けて回転方向後側に延びている。ブレード外縁3cは、スパイダー外周縁22cおよびスパイダー先端縁22dよりも径方向外側に配置されており、回転方向に延びている。
ブレード内縁3dは、ブレード前縁3aの内端とブレード後縁3bの内端とを繋ぐ曲線状の縁部である。ブレード内縁3dは、ブレード3の根元部を構成する。ブレード内縁3dは、スパイダー前縁22aおよびスパイダー後縁22bを横切るように回転方向に延びている。
図3は、本発明の実施の形態1に係るプロペラファンを示す図であって、回転軸に対して垂直方向から見た側面図である。図3の矢印Xは、プロペラファン100の送風方向を示している。図3に示すように、ブレード3は、送風方向下流側を向く圧力面3eと、送風方向上流側を向く負圧面3fと、を有する。ブレード3には、スパイダー2よりも径方向外側に位置する突起5が設けられている。突起5は、ブレード3の根元部から径方向外側に離れた領域に設けられている。圧力面3eには、突起5と重ならない位置に接合部22が接合されている。
図4は、実施の形態1に係る突起を示す図であって、図3のIV−IV線断面図である。図4に示すように、突起5は、送風方向上流側に向けて突設されている。突起5の断面形状は、特に制限されないが、実施の形態1では送風方向上流側に凸状になっている。詳しくは、突起5は、負圧面3f側が凸状となり圧力面3e側が凹状となっている。なお、突起5は、負圧面3f側が凹状となり圧力面3e側が凸状となってもよい。突起5は、ブレード3と一体に形成されている。例えば、金型加工等による押出成形、プレス成形等でブレード3と突起5を一体に形成することにより、突起5を設けたことによるコスト増を抑制することができる。なお、ブレード3の一部を局所的に肉厚にして突起5をブレード3に一体形成してもよい。また、別体の部材を負圧面3fまたは圧力面3eの少なくとも一方に取り付けて突起5を形成してもよい。
図5は、実施の形態1に係るブレードを示す図であって、送風方向の上流側から見た拡大斜視図である。突起5の送風方向から見た形状は、特に制限されないが、図5に示す実施の形態1では概ね径方向に長尺な矩形状である。詳しくは、突起5は、後述する領域線7と直交する方向に長尺に延びている。突起5の位置、大きさ等は、少なくともスパイダー2よりも径方向外側に位置することを条件に、ブレード3の形状、大きさ等に応じて適宜調整すればよい。例えば、突起5は、本実施の形態1で示した例よりも後縁側に配置されてもよい。
突起5は、連続する1つの縁を有するが、実施の形態1では説明の便宜上、1つの縁を突起前縁5a、突起後縁5b、突起外縁5c、突起内縁5dに区別して説明する。なお、突起前縁5aおよび突起後縁5bにおいて、最も径方向外側に位置する端部を「外端」と称するとともに最も径方向内側に位置する端部を「内端」と称する。また、突起外縁5cおよび突起内縁5dにおいて、最も回転方向前側に位置する端部を「前端」と称するとともに最も回転方向後側に位置する端部を「後端」と称する。
突起前縁5aは、プロペラファン100が回転するときに回転方向前側に位置する縁部である。突起前縁5aは、スパイダー前縁22aよりも径方向外側に配置されており、径方向に延びている。突起前縁5aは、ブレード前縁3aと回転方向後側に離間している。
突起後縁5bは、プロペラファン100が回転するときに回転方向後側に位置する縁部である。突起後縁5bは、接合部22とブレード外縁3cとの間において径方向に延びている。
突起外縁5cは、突起前縁5aの外端と突起後縁5bの外端とを繋ぐ縁部である。突起外縁5cは、ブレード外縁3cよりも径方向内側に配置されており、回転方向に延びている。
突起内縁5dは、突起前縁5aの内端と突起後縁5bの内端とを繋ぐ縁部である。突起内縁5dは、ブレード前縁3aに対して交差する方向に延びている。突起内縁5dとスパイダー先端縁22dは、互いに平行である。
突起5は、前縁領域2Aよりも径方向外側において、ブレード前縁3aに沿って設けられている。突起5は、スパイダー先端縁22dとブレード外縁3cとの間に配置されている。突起5は、領域線7よりも径方向外側に設けられている。ここで、領域線7とは、スパイダー先端縁22dに対して平行で、かつ、スパイダー先端縁22dの中央部を通る、すなわちスパイダー先端縁22dの中央部と接する接線のことをいう。突起5とスパイダー先端縁22dとは、径方向に離間して配置されている。仮に、突起5がスパイダー先端縁22dを超えてスパイダー2とオーバーラップすると、スパイダー先端縁22dに接するブレード3の範囲が小さくなり、ブレード3に発生する応力が高まる。このため、実施の形態1のように突起5とスパイダー先端縁22dを離間することが好ましい。
突起内縁5dとスパイダー先端縁22dとの離間距離Dは、プロペラファン100の形状、大きさ等に応じて適宜設定すればよいが、例えば領域線7とブレード前縁3aとの交点7aからブレード前縁3aの外端までの距離Lの10%以上であることが好ましい。突起内縁5dとスパイダー先端縁22dとの離間距離Dが領域線7とブレード前縁3aとの交点7aからブレード前縁3aの外端までの距離Lの10%未満であると、突起5とスパイダー先端縁22dとの間に応力集中が生じ、ブレード3に発生する曲げ応力が高くなる。一方、突起内縁5dとスパイダー先端縁22dとの離間距離Dを過度に離すと、突起5によるブレード3の強度向上効果が軽減するため、突起内縁5dとスパイダー先端縁22dとの離間距離Dは、領域線7とブレード前縁3aとの交点7aからブレード前縁3aの外端までの距離Lの20%以内にすることがより好ましい。例えば、距離Lが50mmである場合には、突起内縁5dとスパイダー先端縁22dとの離間距離Dを10mm以内にすることが好ましい。すなわち、距離Lが50mmである場合には、突起内縁5dとスパイダー先端縁22dとの離間距離Dを5mmから10mmの範囲内にすることが好ましい。
突起5の径方向長さMは、突起5の回転方向長さNよりも大きい。すなわち、突起前縁5aおよび突起後縁5bの長さは、突起外縁5cおよび突起内縁5dの長さよりも大きい。突起5は、径方向中心を境として、外周側部位の回転方向長さが内周側部位の回転方向長さよりも小さい。すなわち、突起外縁5cの長さは、突起内縁5dの長さよりも小さい。領域線7は、ブレード前縁3aおよびブレード外縁3cに対して交差する方向に延びている。領域線7のうちブレード前縁3aとの交点7aからブレード外縁3cとの交点7bまでの長さを領域線7の線長としたときに、突起5の回転方向長さNは、領域線7の線長の三分の一以下であることが好ましい。ブレード前縁3aと突起前縁5aとの最短距離Hは、プロペラファン100の形状、大きさ等に応じて適宜設定すればよいが、例えばブレード3の板厚の2倍以上にすることが好ましい。以上の寸法比によるメリットについては後述する。
次に、プロペラファン100の動作および作用効果について説明する。
図1および図2に示すように、モータの回転軸が矢印Y方向に回転すると、回転軸に連結されたボス部1が回転する。ボス部1の回転に伴って、ボス部1に接合されたスパイダー2およびスパイダー2に接合されたブレード3も回転する。ブレード3が回転することで、図3に示す回転軸に沿った矢印X方向に送風される。
ここで、図3に示すブレード3は、ボス部1と根元部21との接合点Pを通って回転軸に直交する軸直角面Rに対して、回転方向に傾斜している。ブレード3を回転方向に傾斜させるために、接合部22の根元はねじられている。ブレード3が回転方向に傾斜することで、ブレード3のうちブレード前縁3a側は軸直角面Rよりも送風方向上流側に位置し、ブレード後縁3b側は軸直角面Rよりも送風方向下流側に位置する。このため、ブレード3が回転すると、ブレード前縁3a側からブレード後縁3b側に向けて送風される。
プロペラファン100が回転すると、ブレード3に遠心力が作用する。これにより、ブレード3のうち軸直角面Rよりもブレード前縁3a側にある部位は、送風方向下流側に向けて変形する。また、ブレード3のうち軸直角面Rよりもブレード後縁3b側にある部位は、送風方向上流側に向けて変形する。上記の通り、スパイダー先端縁22dは、ブレード3の根元部と径方向外側に離間するとともにブレード前縁3a側が屈曲する屈曲位置9と平行に延在している。この場合、軸直角面Rよりもブレード前縁3a側にある部位の曲げ変形の支点にスパイダー先端縁22dがなるため、ブレード3のうちスパイダー先端縁22dと対応する部位に曲げ応力が集中しやすくなる。
一方、例えば、プロペラファン100の上流に障害物が存在する状態でブレード3を回転させると、気流の脈動が生じ、空力変動に伴う加振力がブレード3に作用する。これにより、軸直角面Rよりもブレード前縁3a側にある部位が遠心力で送風方向下流側に変形した状態で、軸直角面Rよりもブレード前縁3a側にある部位を送風方向上流側または送風方向下流側に向けて変形させようとする力が働く。この場合、軸直角面Rよりもブレード前縁3a側にある部位の曲げ変形の支点にスパイダー先端縁22dがなるため、ブレード3のうちスパイダー先端縁22dと対応する部位に曲げ応力が集中しやすくなる。言い換えると、図5に示すスパイダー先端縁22dと接する領域線7に繰り返し曲げ変形が生じる。以上のように、ブレード3においてスパイダー先端縁22dと対応する部位には、遠心力と流体力の両方による曲げ応力が発生する。
そこで、図5に示すように、実施の形態1では、ブレード3の根元部から離れた領域に、すなわち接合部22の前縁領域2Aよりも径方向外側に突起5を設けることで、ブレード3の根元部から離れた領域における断面係数を上げている。このため、遠心力や流体力によってブレード3の根元部から離れた領域に発生する曲げ応力を低減することができ、ブレード3の曲げ変形を抑制することが可能になる。また、プロペラファン100の固有値の上昇を図ることができる。
図4に示すように、実施の形態1では、ブレード3全体の板厚を変えることなくブレード3を局所的に折り曲げて突起5を設けている。そのため、ブレード3を局所的に肉厚にして突起5を設ける場合に比べて、コスト増や重量増を抑えながら、ブレード3の曲げ変形を抑制することができる。
実施の形態1では、図5に示すように、突起5とスパイダー先端縁22dとの離間距離Dを、領域線7とブレード前縁3aとの交点7aからブレード前縁3aの外端までの距離Lの10%以上にすることで、ブレード3において突起5とスパイダー先端縁22dとの間の応力集中を抑制することができる。特に、実施の形態1では、突起5とスパイダー先端縁22dとの離間距離Dを、領域線7とブレード前縁3aとの交点7aからブレード前縁3aの外端までの距離Lの20%以内にすることで、スパイダー先端縁22d周りのブレード3の強度を高めながら、ブレード3において突起5とスパイダー先端縁22dとの間の応力集中を抑制することができる。
ここで、本発明者の実験および研究によれば、図5に示す突起5が大きくなるほど、特に突起5の外周側が大きいほど、騒音の悪化を助長することが判明した。一方、突起5が大きくなるほど、特に突起5のスパイダー先端縁22dに近い内周側が大きいほど、スパイダー先端縁22dを支点とするブレード3の曲げ変形に対する抑制効果が高まることが判明した。この点、実施の形態1では、突起5は、径方向中心を境として、外周側部位の回転方向長さが内周側部位の回転方向長さよりも小さいため、ブレード3の曲げ変形に対する抑制効果を高めながら、騒音の悪化を抑制することができる。つまり、ブレード3の変形量と騒音量を効率よく抑制することができる。
また、本発明者の実験および研究によれば、図5に示す突起5の回転方向長さNが領域線7の線長の三分の一よりも大きくなると、ブレード3の曲げ変形に対する抑制効果が変化することなく騒音量だけが大きくなることが判明した。この点、実施の形態1では、突起5の回転方向長さNを領域線7の線長の三分の一以下にするため、ブレード3の曲げ変形に対する抑制効果を高めながら、騒音の悪化を抑制することができる。つまり、ブレード3の変形量と騒音量を効率よく抑制することができる。
上記の通り、スパイダー先端縁22dを支点とするブレード3の曲げ変形に対して、突起5の回転方向長さNを一定以上大きくしても抑制効果の向上は望めないものの、突起5自体の大きさは抑制効果の向上に繋がる。この点、実施の形態1では、ブレード3の変形抑制に対する寄与率が高い突起5の径方向長さMを突起5の回転方向長さNよりも大きくするため、ブレード3の曲げ変形の抑制効果を効率よく高めることができる。
ブレード3に流入する気流がブレード前縁3aに当たると、気流がブレード3の表面から剥離して渦が生じ、騒音が悪化する要因となる。本発明者の実験および研究によれば、突起5がブレード前縁3aに近いほど渦の発生が多くなることが判明した。この点、図5に示すように、実施の形態1では、ブレード前縁3aと突起前縁5aとの最短距離Hをブレード3の板厚の2倍以上にするため、突起5を設けたことによる渦の発生量を低減し、騒音の悪化を抑制することができる。
実施の形態1では、図4に示すように、ブレード3の負圧面3f側が凸となるように突起5を設けるため、渦の発生量を抑制し、騒音の悪化を抑制することができる。なお、渦の発生を完全に無くすことは難しい。また、ブレード3に突起5を設けると、突起5が無い場合に比べて、騒音量が増加しやすくなる。しかし、ブレード3に突起5を設けると、渦等の発生による気流の乱れによって、耳障りな特定周波数の音を下げることができる。これにより、ブレード3に突起5を設けて騒音量が大きくなったとしても、ユーザーの不快感を軽減できる場合もある。
図6は、実施の形態1の変形例1に係るブレードを示す図であって、送風方向の上流側から見た拡大斜視図である。変形例1に係るプロペラファン100Aは、突起5Aが複数個配置されている点で、前記した実施の形態1のプロペラファン100と相違する。変形例1では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
複数の突起5Aは、前縁領域2Aよりも径方向外側において、ブレード前縁3aに沿って設けられている。複数の突起5Aは、領域線7よりも径方向外側に設けられている。複数の突起5Aは、回転方向に間隔を空けて設けられている。突起5Aの個数は、変形例1では3個としたが、2個または4個以上でもよい。各突起5Aの送風方向から見た形状は、概ね径方向に長尺な矩形状である。変形例1によっても、実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
図7は、実施の形態1の変形例2に係るブレードを示す図であって、送風方向の上流側から見た拡大斜視図である。変形例2に係るプロペラファン100Bは、突起5Bが複数個配置されている点および突起5Bの形状が楕円形状である点で、前記した実施の形態1のプロペラファン100と相違する。変形例2では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
複数の突起5Bは、前縁領域2Aよりも径方向外側において、ブレード前縁3aに沿って設けられている。複数の突起5Bは、領域線7よりも径方向外側に設けられている。複数の突起5Bは、回転方向かつ径方向に間隔を空けて設けられている。突起5Bの個数は、変形例2では回転方向に3列×径方向に4列の合計12個としたが、12個以外の複数でもよい。複数の突起5Bは、回転方向に互い違いに配置されている。すなわち、回転方向に隣り合う突起5Bは、径方向に互いにずれて配置されている。各突起5Bの送風方向から見た形状は、概ね径方向に長尺な楕円形状である。変形例2によっても、実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
図8は、実施の形態1の変形例3に係るプロペラファンを示す図であって、送風方向の上流側から見た斜視図である。図9は、実施の形態1の変形例3に係るプロペラファンを示す図であって、送風方向の下流側から見た斜視図である。図10は、実施の形態1の変形例3に係るブレードを示す図であって、送風方向の下流側から見た拡大斜視図である。変形例3に係るプロペラファン100Cは、突起5Cの形状が前記した実施の形態1のプロペラファン100と相違する。変形例3では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
図9に示すように、突起5Cは、前縁領域2Aよりも径方向外側において、ブレード前縁3aに沿って設けられている。突起5Cは、領域線7よりも径方向外側に設けられている。突起5Cの送風方向から見た形状は、概ね径方向に長尺な矩形状である。図10に示すように、突起内縁5dは、回転方向前側から後側に向かうにつれてスパイダー先端縁22dから離間している。これにより、突起内縁5dとスパイダー先端縁22dとの離間距離Dは、回転方向後側に向かうほど大きくなっている。言い換えると、突起内縁5dのうち回転方向後側部位とスパイダー先端縁22dとの離間距離Dは、突起内縁5dのうち回転方向前側部位とスパイダー先端縁22dとの離間距離Dよりも大きい。突起内縁5dと突起後縁5bとで構成される角部には、R形状の面取り加工が施されている。
変形例3によっても、実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。また、変形例3によれば、突起内縁5dのうち回転方向後側部位とスパイダー先端縁22dとの離間距離Dを突起内縁5dのうち回転方向前側部位とスパイダー先端縁22dとの離間距離Dよりも大きくするため、実施の形態1の突起5に比べ、突起5Cを小さくすることができる。これにより、騒音の悪化を抑制することができる。また、突起内縁5dと突起後縁5bとで構成される角部には、R形状の面取り加工が施されているため、当該角部における応力集中を防止することができ、突起5Cに加わる曲げ応力を低減することができる。
変形例3では、突起5Cが1個である場合を例示したが、変形例1や変形例2のように、突起5Cを複数個配置してもよい。隣り合う突起5Cの突起内縁5d同士や突起後縁5b同士を滑らかに連続させる場合には、複数の突起5Cを滑らかな曲線上に沿って配置すればよい。このような配置は、変形例2の突起5Bを複数個配置する場合にも適用可能である。
図11は、実施の形態1の変形例4に係るブレードを示す図であって、送風方向の下流側から見た拡大斜視図である。変形例4に係るプロペラファン100Dは、スパイダー先端縁22dの形状が前記した実施の形態1のプロペラファン100と相違する。変形例4では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
変形例4の突起5Dの形状、配置等は、変形例3の突起5Cと同様である。スパイダー先端縁22dは、径方向外側に位置する突起5Dに向けて凸となる曲線状である。仮想直線8は、ブレード3のうち図示しない軸直角面よりもブレード前縁3a側にある部位が屈曲する屈曲位置9と平行に延在している。ここで、仮想直線8とは、スパイダー前縁22aとスパイダー先端縁22dとの交点である前縁側交点8aと、スパイダー外周縁22cとスパイダー先端縁22dとの交点である外周側交点8bとを結んだ直線のことをいう。軸直角面とは、実施の形態1の軸直角面Rと同様である。
スパイダー先端縁22dは、前縁側交点8aと外周側交点8bとを繋いでいる。変形例4の領域線7は、仮想直線8に対して概ね平行で、かつ、スパイダー先端縁22dの中央部を通る、すなわちスパイダー先端縁22dの中央部と接する接線のことをいう。変形例4では、図示しない軸直角面よりもブレード前縁3a側にある部位の曲げ変形の支点にスパイダー先端縁22dおよび仮想直線8がなるため、ブレード3のうちスパイダー先端縁22dおよび仮想直線8と対応する部位に曲げ応力が集中しやすくなる。変形例4によっても、実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 ボス部(固定部)、2 スパイダー、2A 前縁領域、3 ブレード、3a ブレード前縁、3c ブレード外縁、5,5A,5B,5C,5D 突起、7 領域線、7a,7b 交点、9 屈曲位置、22d スパイダー先端縁、100,100A,100B,100C,100D プロペラファン、D 離間距離、L 距離、M 径方向長さ、N 回転方向長さ。

Claims (11)

  1. モータの回転軸に固定される固定部と、
    前記固定部の外周面に設けられるスパイダーと、
    前記スパイダーに接合され、前記スパイダーよりも径方向外側となる領域を有するブレードと、を備え、
    前記ブレードには、前記スパイダーよりも径方向外側に位置する突起が設けられることを特徴とするプロペラファン。
  2. 前記突起は、前記ブレードの前縁に沿って設けられることを特徴とする請求項1に記載のプロペラファン。
  3. 前記スパイダーは、前記ブレードの前縁に沿って設けられる前縁領域を有しており、
    前記突起は、前記前縁領域よりも径方向外側に設けられることを特徴とする請求項2に記載のプロペラファン。
  4. 前記スパイダーは、回転時に作用する外力によって前記ブレードの回転方向前縁側が屈曲する屈曲位置と平行に延在し、前記前縁領域の外周縁の一部であるスパイダー先端縁を有しており、
    前記突起は、前記スパイダー先端縁よりも径方向外側に設けられることを特徴とする請求項3に記載のプロペラファン。
  5. 前記スパイダー先端縁の中央部と接する接線を領域線としたときに、
    前記突起と前記スパイダー先端縁との離間距離は、前記領域線と前記ブレードの前縁との交点から前記ブレードの前縁外端までの距離の10%以上20%以内であることを特徴とする請求項4に記載のプロペラファン。
  6. 前記突起の径方向長さは、前記突起の回転方向長さよりも大きいことを特徴とする請求項5に記載のプロペラファン。
  7. 前記突起は、径方向中心を境として、外周側部位の回転方向長さが内周側部位の回転方向長さよりも小さいことを特徴とする請求項5に記載のプロペラファン。
  8. 前記ブレードは、回転時に回転方向前側に位置するブレード前縁と、前記ブレード前縁の外端から回転方向後側に向けて延びるブレード外縁と、を有しており、
    前記領域線は、前記ブレード前縁および前記ブレード外縁に対して交差する方向に延びており、
    前記領域線のうち前記ブレード前縁との交点から前記ブレード外縁との交点までの長さを前記領域線の線長としたときに、前記突起の回転方向長さは、前記線長の三分の一以下であることを特徴とする請求項5に記載のプロペラファン。
  9. 前記突起の突起内縁のうち回転方向後側部位と前記スパイダー先端縁との離間距離は、前記突起の突起内縁のうち回転方向前側部位と前記スパイダー先端縁との離間距離よりも大きいことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のプロペラファン。
  10. 前記突起は、複数個設けられることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のプロペラファン。
  11. 複数の前記突起は、曲線上に沿って配置されることを特徴とする請求項10に記載のプロペラファン。
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