JP2020094259A - 転造部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータを駆動源として用いると、動力を伝達するための歯車やシャフトへの入力が内燃機関と比較し高回転になる傾向がある。このため、転造部品の耐久性や耐摩耗性をより向上させる製造方法を提供する。【解決手段】被膜がコーティングされた基材を転造して成形した後に、被膜を硬化する方法。被膜を溶射によりワークにコーティングする。被膜の硬化は、析出硬化やフュージング処理による硬化である。転造部品は歯車である。【選択図】図2
Description
本発明は、転造部品の製造方法に関する。
特許文献1には、転造によって歯車を成形する歯車の転造成形方法が開示されている。
歯車以外にも、例えば、シャフトなどのスプラインなどは、転造によって成形することができる。
歯車やシャフト等にとって耐久性や耐摩耗性は非常に重要な要素である。転造によって成形された転造部品は、一般的に、切削によって成形された切削部品に比べて強度が高くなる。
近年、電気自動車、ハイブリッド自動車のシェアが増えていく電動化の動きがあり、駆動源がモータに置き換わりつつある。モータを駆動源として用いると、動力を伝達するための歯車やシャフトへの入力が内燃機関と比較し高回転になる傾向がある。このため、これらの転造によって成形された転造部品に対してさらなる耐久性や耐摩耗性の向上が求められている。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、転造部品の耐久性や耐摩耗性をより向上させることができる転造部品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、転造部品の製造方法は、被膜がコーティングされた基材を転造して成形した後に、被膜を硬化することを特徴とする。
この態様によれば、転造部品の耐久性や耐摩耗性をより向上できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、転造部品としての歯車10を示している。歯車10は、例えば、平歯車である。歯車10は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車における動力伝達機構を構成する部品として用いられる。
図1に示す歯車10は、複数の歯10aを有する。歯車10の歯10aは、転造によって成形される。以下に、図2及び図3を参照しながら、歯車10の製造方法について具体的に説明する。
まず、円柱の金属棒(図示せず)を軸方向に所定の長さをもって切断し、中心部分に貫通孔10bをして、円板状の部材11(ワーク)を製作する(図2のステップS1)。金属棒の材質は、例えば、機械構造用炭素鋼鋼材(SC鋼、SCR鋼、SCM鋼、SNC鋼、SNCM鋼など)である。なお、金属棒の材質は、用途に合わせて適宜選択すればよく、例えば、アルミニウム合金、銅などの他の金属であってもよい。
次に、部材11の外周面に被膜13を形成する(図2のステップS2)。具体的には、部材11の外周面に溶射によって被膜13を形成する(図3(A)参照)。なお、溶射の前処理として、部材11の外表面にブラスト処理を施す。被膜13を形成する材質は、析出硬化する材質、具体的には、マルエージング鋼、ステンレス鋼の600番系(JIS番号)、アルミニウム合金の2000番系(JIS番号)、6000番系(JIS番号)、7000番系(JIS番号)、アルミニウム合金鋳物、銅合金(コルソン系合金、クロム銅、ベリリウム銅)などである。このように、部材11の外周面に被膜13を形成することによって歯車10の基材12を得る(図3(B)参照)。なお、溶射の具体的な方法は、具体的には、フレーム溶射、アーク溶射、プラズマ溶射等である。被膜13の膜厚は、例えば、1μm〜30μmの範囲で形成されるが、特に限定はされるものではない。
次に、基材12に転造によって歯10aを成形する(図2のステップS3)。ここで、歯10aを整形する歯形転造装置100について説明する。
歯形転造装置100は、基材12と同期回転しつつ基材12の外周部に歯形ローラ21の加工歯22を押付けて基材12の外周部に歯10aを創成する一対の歯形ローラユニット20と、これら基材12、歯形ローラユニット20の作動を制御するコントローラ30と、を備える。
歯形ローラユニット20は、歯形ローラ21がローラホルダ23を介して基材12の回転軸と平行な軸上で回転するよう保持され、ローラホルダ23が基材12の回転軸と直交方向に移動する(図3(C)参照)。
図3(C)は加工前の状態を示し、一対の歯形ローラ21が共に基材12から離れている。
図3(D)は加工時の状態を示している。加工時には、一対の歯形ローラ21がローラホルダ23を介して矢印で示すように基材12に押し当てられながら回転する。このように、歯形ローラ21の加工歯22が基材12の外周部に押し当られることで、基材12の外周部が塑性変形して歯10aが成形される。
次に、硬化処理を行う(図2のステップS4参照)。具体的には、固溶化熱処理後に時効硬化(析出硬化)を行う。これにより、被膜13が硬化されるので、歯車10の強度が高められる。よって、歯車10の耐久性や耐摩耗性が向上する。
本実施形態では、溶射によって被膜13が形成された基材12を転造によって成形することで歯車10を成形する。溶射は選択材料の範囲が広いのでコーティング方法として好適である。しかしながら、溶射の際は気孔ができやすい。気孔が存在すると、歯車10の表面の強度が劣ってしまう可能性がある。そこで、転造によって歯車10の歯10aを成形することで、基材12の外表面(被膜13)を押しつぶされるので、被膜13に存在する気孔を減少させることができる。これにより、被膜13の強度を高めることができる。
さらに、本実施形態では、歯車10の成形後に硬化処理を行うので、歯車10の耐久性や耐摩耗性をより一層向上させることができる。
なお、上記実施形態では、転造部品として平歯車を例に説明したが、転造部品は、他の歯車(はすば歯車、傘歯車)、ラックやピニオンなどであってもよい。さらに、転造部品は、歯車に限らず、スプラインを有するシャフト、あるいは、ねじを有する部品であってもよい。これらのスプラインやねじは転造によって成形することができる。
また、上記実施形態では、被膜13の硬化処理として、析出硬化を例に説明したが、これに限らず、被膜13の硬化処理は、例えば、フュージング処理であってもよい。この場合、被膜13を形成する材質として、自溶性合金が用いられる。自溶性合金は、Ni(ニッケル)やCo(コバルト)を主成分とする合金であり、例えば、Ni−Cr−B合金(Ni−Cr−B−Si、Ni−Cr−B−Cr−Si、Ni−Cr−B−Si−WCなど。なお、Crはクロム、Bはホウ素、Siはケイ素、WCはタングステンカバイド)である。
自溶性合金による被膜も気孔を多く含むことから、転造して歯車10を成形した後に、フュージング処理を行うことで、上記析出硬化と同様の効果を生じさせることができる。
また、上記実施形態では、被膜13を溶射によって形成していたが、被膜13は、メッキなどによって形成してもよい。さらに、転造部品(歯車10)は、樹脂材料で形成してもよい。
さらに、部材11よりも熱伝導率の高い材料を用いて被膜13を形成することにより熱伝導性を向上させることができる。熱伝導性が高ければ、歯車10(部材11)からの放熱性が高くなり、歯車10(部材11)に熱がこもることによるダメージを軽減することができる。具体的には、例えば、部材11が鉄系材料の場合、鉄系材料よりも熱伝導率が高いアルミニウム合金、銅合金などを用いて被膜13を形成すると、被膜13の方が部材11よりも熱伝導率が高いので、歯車10(部材11)からの放熱性を向上させることができる。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
本実施形態の転造部品の製造方法では、被膜13がコーティングされた基材12(転造直前の部品)を転造して成形した後に、被膜13を硬化する。
上述のように被膜13を硬化することで耐久性や耐摩耗性を向上させることができる。また、被膜13中に気孔が存在すると耐久性や耐摩耗性に影響が出るため、硬化前の比較的柔らかい状態のときに転造によって被膜13を押しつぶすことで気孔を追い出すことができる。これにより、硬化後の被膜13の耐久性や耐摩耗性をさらに向上させることができる(請求項1、5に対応する効果)。
さらに、被膜13を溶射によりワーク(部材11)にコーティングする。
溶射は選択材料の範囲が広いのでコーティング方法として好適である。しかしながら、溶射の際は気孔ができやすいため、溶射でコーティングされたワーク(部材11)、つまり、基材12を転造によって部品(歯車10)に成形することで相乗効果を発揮することができる(請求項2に対応する効果)。
被膜13の硬化は析出硬化である。
何ら処理を加えずとも自然硬化してしまうような材質の場合はコーティング後に短時間で転造する必要が生じる。そこで、被膜13の硬化を析出硬化によって行うことにより、硬化のために特別な処理を要するので、硬化する前の状態を安定的に維持できる(請求項3に対応する効果)。
被膜13の硬化はフュージング処理による硬化である。
何ら処理を加えずとも自然硬化してしまうような材質の場合はコーティング後に短時間で転造する必要が生じる。そこで、被膜13の硬化をフュージング処理(再溶融処理)によって行うことにより、硬化のために特別な処理を要するので、硬化する前の状態を安定的に維持できる(請求項4に対応する効果)。
転造部品は歯車である。
歯車10の歯10aには大きな負荷が作用するで、上記製造方法によって製造することで、より耐久性や耐摩耗性を向上させることができる(請求項5に対応する効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
10 歯車(転造部材)
10a 歯
11 部材
12 基材
13 被膜
20 歯形ローラユニット
30 コントローラ
100 歯形転造装置
10a 歯
11 部材
12 基材
13 被膜
20 歯形ローラユニット
30 コントローラ
100 歯形転造装置
Claims (5)
- 被膜がコーティングされた基材を転造して成形した後に、前記被膜を硬化することを特徴とする転造部品の製造方法。
- 請求項1に記載された転造部品の製造方法において、
前記被膜を溶射によりワークにコーティングすることを特徴とする転造部品の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載された転造部品の製造方法において、
前記被膜の硬化は析出硬化であることを特徴とする転造部品の製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載された転造部品の製造方法において、
前記被膜の硬化はフュージング処理による硬化であることを特徴とする転造部品の製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか一つに記載された転造部品の製造方法において、
前記転造部品は歯車であることを特徴とする転造部品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018234849A JP2020094259A (ja) | 2018-12-14 | 2018-12-14 | 転造部品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018234849A JP2020094259A (ja) | 2018-12-14 | 2018-12-14 | 転造部品の製造方法 |
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JP2020094259A true JP2020094259A (ja) | 2020-06-18 |
Family
ID=71084643
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JP2018234849A Pending JP2020094259A (ja) | 2018-12-14 | 2018-12-14 | 転造部品の製造方法 |
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JP (1) | JP2020094259A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102020210952B3 (de) | 2020-08-31 | 2021-10-21 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung eingetragener Verein | Verfahren zur Herstellung einer Verzahnung an rotationssymmetrischen Oberflächen metallischer Antriebselemente |
DE112021003079T5 (de) | 2020-05-29 | 2023-03-23 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Radarvorrichtung und radarsystem |
-
2018
- 2018-12-14 JP JP2018234849A patent/JP2020094259A/ja active Pending
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DE102020210952B3 (de) | 2020-08-31 | 2021-10-21 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung eingetragener Verein | Verfahren zur Herstellung einer Verzahnung an rotationssymmetrischen Oberflächen metallischer Antriebselemente |
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