JP2020094232A - 転炉内スラグの流出防止方法 - Google Patents

転炉内スラグの流出防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】出鋼孔の入側の一部に溶損が存在していたとしても、溶融スラグの炉外への流出をより確実に防止すること。【解決手段】本発明に係る転炉内スラグの流出防止方法は、転炉から溶銑及び/又は溶鋼を取り出す際の転炉内スラグの流出防止方法であって、転炉に設けられた出銑孔及び/又は出鋼孔を閉塞させるスラグカットボールと、平均粒径が50mm以下であり、かつ、融点が1500℃以上である物質の粒状体であるスラグカット粒と、を、前記出銑孔及び/又は出鋼孔に向けて投入する。【選択図】図3

Description

本発明は、転炉内スラグの流出防止方法に関する。
従来、製鉄プロセスの一環として、得られた溶銑への脱リン処理や脱炭処理は、転炉を用いて実施されることが多い。溶銑の脱リン処理や脱炭処理が終了すると、処理に用いられた転炉は、傾斜させられて、炉内に存在する溶銑や溶鋼は、転炉の側壁に設けられた出銑(鋼)孔を通して取鍋へと移される。転炉内には、溶銑・溶鋼と共に、これら溶銑・溶鋼の上部に浮遊しているスラグが存在する。かかるスラグが溶銑・溶鋼とともに出銑(鋼)孔から流出して取鍋に入り込むと、製造した鋼の品質を低下させてしまう。従って、出銑・出鋼が終わった段階で、スラグの取鍋への流出を防止する対策が必要となる。出銑孔(出鋼孔)の閉塞は、かかる流出防止対策の一つである。
出銑又は出鋼(以下、これらをまとめて「出鋼」と称することとし、また、溶銑及び溶鋼をまとめて「溶鋼」と称することとする。)の終了段階では、転炉がほぼ水平状態(炉口がほぼ横倒しとなり、出鋼孔が鉛直方向下向きに位置する状態)にされ、溶鋼が転炉内に僅かに残っている状態となる。出鋼が最終段階になると、溶鋼の上面に浮遊するスラグが出鋼孔から流出するために、スラグの流出防止装置(例えば、「スラグカットボール」と呼ばれる、出鋼孔に嵌まり込むことで出鋼孔を閉塞させるための装置)が転炉内へと投入される。
しかしながら、スラグカットボールを装入しても、出鋼孔の入側に溶損部位が存在すると、スラグカットボールと出鋼孔の入側との隙間から、スラグが流出してしまう場合がある。
上記のようなスラグ流出に備える対策として、スラグカットボールの周囲に環状の翼が設けられたものが提案されている(以下の特許文献1を参照。)。以下の特許文献1では、出鋼孔が溶損して複雑な形状になっていたとしても、かかる翼が出鋼孔を塞ぎ易くなるため、スラグ流出量を低減できるとしている。
また、上記のような環状の翼が設けられたスラグカットボール以外にも、出鋼孔の直上付近に存在するスラグに対して集中的に投入することで塊状閉塞体を形成させるための、AlやMgOを主成分とするスラグカット材が提案されている(以下の特許文献2を参照。)。
実開昭56−105377号公報 特開昭54−104415号公報
しかしながら、特許文献1に提案されている、スラグカットボールの周囲に設けられた翼は、耐火物製であって高温下でも全く変形しない。そのため、仮にスラグカットボール本体が出鋼孔に嵌ったとしても、例えば、出鋼孔の入側の一部領域が極端に溶損していた場合、かかる溶損部分から多量のスラグが流出してしまう。
また、特許文献2で提案されている方法では、塊状閉塞体を形成するために多量のスラグカット材が必要となるため、手間とコストがかるという問題がある。一方、スラグカット材の投入量を削減しようとすると、形成されるスラグ閉塞体が小さくなってしまうため、スラグ閉塞体そのものが出鋼孔から流出してしまい、スラグ閉塞体に引き続いて溶融スラグも流出してしまうという問題がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、出鋼孔の入側の一部に溶損が存在していたとしても、溶融スラグの炉外への流出をより確実に防止することが可能な、転炉内スラグの流出防止方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、出鋼孔に嵌まり込むことで出鋼孔を閉塞するスラグカットボールとあわせて、特定の平均粒径及び融点を有する物質の粒状体であるスラグカット粒を投入することで、出鋼孔の入側の一部に溶損が存在していたとしても、溶融スラグの炉外への流出をより確実に防止することが可能であるとの知見を得ることができた。
かかる知見を受けて完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]転炉から溶銑及び/又は溶鋼を取り出す際の転炉内スラグの流出防止方法であって、転炉に設けられた出銑孔及び/又は出鋼孔を閉塞させるスラグカットボールと、平均粒径が50mm以下であり、かつ、融点が1500℃以上である物質の粒状体であるスラグカット粒と、を、前記出銑孔及び/又は出鋼孔に向けて投入する、転炉内スラグの流出防止方法。
[2]前記スラグカット粒は、比重が2〜4の範囲内である物質からなる、[1]に記載の転炉内スラグの流出防止方法。
[3]前記スラグカット粒は、以下の(a)〜(d)の少なくとも何れかである、[1]又は[2]に記載の転炉内スラグの流出防止方法。
(a)CaO、又は、MgOの少なくとも何れか1種を主成分とする物質
(b)融点が1500℃以上のドロマイト
(c)融点が1500℃以上の煉瓦屑
(d)融点が1500℃以上の脱炭スラグ
[4]前記スラグカット粒に加えて、CaCO、MgCO、融点が1500℃未満のドロマイトの少なくとも何れかを更に投入する、[3]に記載の転炉内スラグの流出防止方法。
以上説明したように本発明によれば、出鋼孔の入側の一部に溶損が存在していたとしても、溶融スラグの炉外への流出をより確実に防止することが可能となる。
転炉における出鋼(銑)操作を説明するための模式図である。 使用回数を重ねた転炉の出鋼孔近傍の状態を模式的に示した説明図である。 本発明の実施形態に係るスラグカットボール及びスラグカット粒による出鋼孔の閉塞について模式的に示した説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(転炉内スラグの流出防止方法の概略について)
以下では、まず、本発明の実施形態に係る転炉内スラグの流出防止方法の概略について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、転炉における出鋼(銑)操作を説明するための模式図である。図2は、使用回数を重ねた転炉の出鋼孔近傍の状態を模式的に示した説明図である。図3は、本実施形態に係るスラグカットボール及びスラグカット粒による出鋼孔の閉塞について模式的に示した説明図である。
一般的な製鋼プロセスにおいて、脱リン処理や脱炭処理に用いられる転炉10には、図1の左側の図に示したように、炉の上方に炉口11が設けられており、また、炉の一方の側壁には、出鋼孔13が設けられている。転炉を用いた脱リン処理や脱炭処理が終了すると、転炉の内部10には、図1の左側の図に示したように、処理後の溶鋼21が存在しており、かかる溶鋼21の表面に、脱リン処理や脱炭処理によって生成した溶融スラグ23が浮遊している。
処理後の溶鋼21を取り出すために、転炉10を徐々に傾動させて、出鋼孔13から溶鋼21を流出させて、取鍋へと移す操作が行われる。また、出鋼の終了段階では、図1の右側の図に示したように、転炉10がほぼ水平状態(炉口11がほぼ横倒しとなり、出鋼孔13が鉛直方向下向きに位置する状態)にされ、溶鋼21が転炉内に僅かに残っている状態となる。出鋼が最終段階(例えば、出鋼終了予定時から2分ほど遡った時点から、出鋼終了予定時までの段階)になると、溶鋼21の上面に浮遊する溶融スラグ23が出鋼孔13から流出するのを防止するために、出鋼孔13に嵌まり込むことで出鋼孔13を閉塞させるスラグカットボール40が転炉内(より詳細には、出鋼孔13の直上に位置する領域のあたり)に投入される。なお、スラグカットボール40は、溶鋼21と溶融スラグ23との界面に浮遊させておく必要があるため、スラグカットボール40の比重は、溶鋼21の比重と溶融スラグ23の比重との間の値となるような材料で構成される。
出鋼時に投入されるスラグカットボール40は、溶鋼21と溶融スラグ23との界面近傍を浮遊しており、出鋼末期に出鋼孔13へ嵌る確率が低い。また、転炉10における出鋼孔13の入側の耐火物は、図2に模式的に示したように、炉の使用回数が多くなると溶損して、歪な形になってくる。すると、スラグカットボール40によって安定して転炉からのスラグ流出を抑制することは、更に困難になる。これは、歪な形の出鋼孔13の入側と、スラグカットボール40との間に大きな隙間が生じて、かかる隙間から溶融スラグが多量に流出してしまうためである。
転炉は頻繁に新品に交換するものではなく、例えば2000回以上使用することが多いため、出鋼孔13の入側の耐火物が溶損して歪な形状になってから使用する回数の方が、圧倒的に多い。そのため、炉の使用回数によらず出鋼孔13から流出するスラグ量を抑制することが重要となる。
そこで、本実施形態に係る転炉内スラグの流出防止方法では、出鋼末期に、スラグカットボールとあわせて、特定の平均粒径及び融点を有する物質の粒状体であるスラグカット粒を投入する。具体的には、平均粒径が50mm以下であり、かつ、融点が1500℃以上である物質の粒状体であるスラグカット粒を投入する。
スラグカットボールと、スラグカット粒とを、出鋼孔に向けて(より詳細には、出鋼孔の直上付近の溶融スラグに向けて)投入することで、スラグカットボールの周囲には、スラグカット粒が存在するようになる。スラグカット粒は、平均粒径が50mm以下であり、かつ、融点が1500℃以上である物質の粒状体であるため、スラグカットボールの周囲に存在する溶融スラグには、液相状態にある溶融スラグと、固相状態にあるスラグカット粒と、が共存するようになる。このような固液共存状態が実現することで、液相(すなわち、溶融スラグ)の見かけの粘度が増加する。この見かけの粘度が増加した固液共存状態の溶融スラグを、本明細書では「粘度増加部」と称する。
図3に示すように、スラグカットボールの周囲に、粘度増加部が存在することで、スラグカットボールは、出鋼流に乗って出鋼孔へと引き寄せられる。そのため、たとえスラグカットボールを出鋼孔の直上に正確に投入できなかったとしても、スラグカットボールは、出鋼孔に確実に嵌まり込むようになる。これにより、たとえ出鋼孔の入側の耐火物が溶損していたとしても、溶損が生じている出鋼孔の大部分をスラグカットボールにより閉塞させることが可能となる。
(転炉内スラグの流出防止方法の詳細について)
以下では、上記のような概要を有する転炉内スラグの流出防止方法について、詳細に説明する。
本実施形態に係る転炉内スラグの流出防止方法は、上記のように、転炉から溶銑及び/又は溶鋼を取り出す際に適用される方法である。本実施形態に係る転炉内スラグの流出防止方法では、転炉に設けられた出銑孔及び/又は出鋼孔を閉塞させるスラグカットボールと、平均粒径が50mm以下であり、かつ、融点が1500℃以上である物質の粒状体であるスラグカット粒と、を、出銑孔及び/又は出鋼孔に向けて(より詳細には、出鋼孔の直上付近に存在する、液相状態の溶融スラグに向けて)投入する。
使用するスラグカットボールについては、特に限定されるものではなく、従来用いられている公知のスラグカットボールをそのまま利用することが可能である。また、スラグカットボールの投入タイミングについては、出鋼の最終段階(例えば、出鋼終了予定時から2分ほど遡った時点から、出鋼終了予定時までの段階)であれば特に限定されるものではなく、任意のタイミングで投入することが可能である。例えば、スラグカットボールは、出鋼が最終段階に入り、炉内の溶鋼が少なくなった段階で炉内に投入され、出鋼孔の直上付近に投下される。このような出鋼の最終段階の目安としては、例えば、出鋼孔の直上付近の溶融スラグの表面が渦をまいた状態となっているタイミングを挙げることができる。また、スラグカットボールの投入方法についても、特に限定されるものではなく、公知の投入方法を利用することができる。
本実施形態に係る転炉内スラグの流出防止方法では、上記のスラグカットボールとあわせて、平均粒径が50mm以下であり、かつ、融点が1500℃以上である物質の粒状体であるスラグカット粒が、出銑孔及び/又は出鋼孔に向けて投入される。
平均粒径が50mm以下であり、かつ、融点が1500℃以上である物質の粒状体であるスラグカット粒は、液相状態にある溶融スラグにより完全には溶融することなく(すなわち、少なくとも一部は固相の状態を維持したままで)、溶融スラグ中に存在することができる。それは、溶融スラグから酸化物主体のスラグカット粒への熱伝導率は金属と比べて非常に小さいために、出鋼末期の短時間内で完全に溶融し難いためである。その結果、かかるスラグカット粒は、少なくとも一部が固相のままで存在して、スラグカットボールの周囲の溶融スラグ中に分散することとなる。溶融スラグ中に、上記のような高融点の物質であるスラグカット粒が存在することで、スラグカット粒が存在している部分の溶融スラグは、見かけの粘度が増加することとなる。見かけの粘度が増加した溶融スラグ(粘度増加部50)がスラグカットボールの周囲に存在することで、先だって言及したように、スラグカットボールを出鋼流に乗せて、出鋼孔へと引き寄せることができる。
ここで、スラグカット粒の平均粒径が50mmを超える場合には、スラグカット粒の投入量が一定であるとしたときに、溶融スラグとスラグカット粒との接触面積が小さくなってしまい、溶融スラグへの溶解や分散が生じにくくなり、溶融スラグの流動性を十分に低減する(換言すれば、溶融スラグの見かけの粘度を十分に増加させ、粘度増加部50をスラグボールの周囲に存在させる)ことができない。一方、スラグカット粒の平均粒径の下限値は、特に規定するものではないが、平均粒径が5mm未満であるスラグカット粒の割合が多くなると、界面張力の影響が強く出てしまい、スラグカット粒の溶融スラグへの溶解や分散が生じにくくなることがある。従って、平均粒径が5mm未満のスラグカット粒の割合(質量割合)は、スラグカット粒の全質量の20質量%以下であることが好ましい。本実施形態において、スラグカット粒の平均粒径は、好ましくは、10mm以上40mm以下である。なお、本明細書において、平均粒径は、篩を用いた分級法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
また、スラグカット粒の融点が1500℃未満である場合、溶融スラグによってスラグカット粒が全て溶融してしまう可能性が高くなり、上記のような固液共存状態が実現できずに、溶融スラグの流動性を十分に低減する(換言すれば、溶融スラグの見かけの粘度を十分に増加させる)ことができない。一方、スラグカット粒の融点は、高くてもよく、その上限値は特に規定するものではない。
上記のようなスラグカット粒は、比重が2〜4の範囲内である物質からなることが好ましい。スラグカット粒が上記のような比重を有することで、スラグカット粒を、溶鋼と溶融スラグとの界面近傍に確実に分布させることが可能となる。
上記のようなスラグカット粒は、例えば、以下の(a)〜(d)の少なくとも何れかであることが好ましい。
(a)CaO、又は、MgOの少なくとも何れか1種を主成分とする物質
(b)融点が1500℃以上のドロマイト
(c)融点が1500℃以上の煉瓦屑
(d)融点が1500℃以上の脱炭スラグ
上記の物質のうち、CaO(融点:2572℃)、MgO(融点:2852℃)、融点が1500℃以上のドロマイト(いわゆる、「軽焼ドロマイト」であり、主成分は、CaO及びMgOであって、一部にCaCOとMgCOが残存したもの。)、融点が1500℃以上の煉瓦屑、融点が1500℃以上の脱炭スラグは、溶融スラグ中に固相状態で存在して、溶融スラグの見かけの粘度を十分に増加させることが可能である。
また、上記の物質のうち、CaOは、溶融スラグに投入されることで、溶融スラグのスラグ組成を、粘度の高いスラグ組成へと変化させるという機能も発揮する。すなわち、溶融スラグ中のCaO濃度が増加した結果、溶融スラグの塩基度(CaO含有量/SiO含有量)が上昇して、溶融スラグの粘度を増加させることができる。
なお、上記において「主成分」とは、着目する物質の全質量に対して、該当する成分の質量割合が50質量%以上である成分のことを言う。
また、スラグカット粒には、脈石成分等の不純物が含まれうる。
本実施形態に係るスラグカット粒は、上記のような、(A)スラグの組成を変化させる物質(例えば、CaO等)や、(B)溶融スラグ中に固体相として存在する物質(MgO、煉瓦屑、融点が1500℃以上のドロマイトや脱炭スラグ等)以外に、(C)溶融スラグを冷却する物質を更に含んでいてもよい。
溶融スラグを冷却する物質が溶融スラグを冷却することで、液相である溶融スラグの粘度が増加するのみならず、冷却時に溶融スラグ中に固相が晶出して、上記(B)のような機構で見掛けの粘度が増加することもある。このような、(C)溶融スラグを冷却する物質としては、溶融スラグに投入された後に熱分解して、吸熱反応が進行する物質を挙げることができる。このような溶融スラグを冷却する物質として、例えば、CaCO(融点:825℃)、MgCO(融点:540℃)、又は、融点が1500℃未満のドロマイトの少なくとも何れかを挙げることができる。
ここで、かかるスラグカット粒は、溶融スラグとスラグカット粒とが固液共存状態を実現するように、スラグカットボールとほぼ同時に投入されることが好ましい。
上記のように、スラグカットボールは、出鋼が最終段階に入り、炉内の溶鋼が少なくなった段階で炉内へと装入され、出鋼孔の直上付近に投下される。スラグカットボールが投入されて溶融スラグが流出し始めるまでに、上記のようなスラグカット粒が、溶融スラグ中へ溶解又は分散したり、溶融スラグと反応したり、溶融スラグを冷却したりといった現象が生じるため、溶融スラグの炉外への流出抑制効果が十分に発揮される。
なお、本実施形態におけるスラグカット粒の投入量は、転炉の容積や出鋼孔の孔径、耐火物の溶損度合い等に応じて適宜決定することが好ましいが、例えば、0.3kg/ton−溶鋼以上とすることが好ましい。投入量を0.3kg/ton−溶鋼以上とすることで、より確実に炉外への溶融スラグの流出を防止することが可能となる。また、スラグカット粒の投入量の上限値については、おおよそ5kg/ton−溶鋼とするのが好ましい。基本的に、投入量が多いほど出鋼時のスラグ流出量は減少するが、投入量が5kg/ton−溶鋼を超える場合には、スラグ流出量の減少効果が飽和し、スラグカット粒のコストが上昇してしまうためである。
また、スラグカット粒の投入方法についても、特に規定するものではなく、作業者が各種の器具を用いて手動で投入してもよいし、各種の機器が自動的にスラグカット粒を投入するようにしてもよい。
このように、本実施形態に係る転炉内スラグの流出防止方法によれば、スラグカットボールと、特定の条件を満足するスラグカット粒とを併用することで、転炉の使用回数によらずに、出鋼孔から流出するスラグ量を、抑制することができる。その結果、取鍋へ流出するFeO等の低級酸化物量を低減することができるため、二次精錬(脱酸、脱硫)の負荷を大幅に軽減することができる。更には、取鍋に流出したFeOをAlで還元する際に生成するAl系介在物量も低減することができるため、鉄鋼製品の品質が向上する。また、かかるAl添加でスラグ中のPが還元されて復リンする量を低減することが可能となる。
以下では、実施例及び比較例を示しながら、本発明に係る転炉内スラグの流出防止方法について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明に係る転炉内スラグの流出防止方法のあくまでも一例にすぎず、本発明に係る転炉内スラグの流出防止方法が下記の例に限定されるものではない。
(実施例1)
スラグカットボールとして、主要組成が、質量%で、Cr:40%、Fe:25%、MgO:10%、SiO:10%、Al:10%、残部:不純物であるスラグカットボールを用いた。
使用回数が1500回以上である転炉で、溶銑100tonを脱炭吹錬した。吹錬終了後の溶融スラグは、塩基度(CaO/SiO)が3.5であり、その容量は、71kg/溶鋼tonであり、溶鋼の温度は、1650℃であった。その後、炉体を傾動して出鋼を開始し、出鋼末期に、平均粒径50mm以下のドロマイト(融点:2000℃以上、組成:CaCO=60質量%、MgCO=38質量%、残部:脈石成分)40kgと、上記のスラグカットボールとを、出鋼孔の直上付近に存在する、液相状態の溶融スラグに向けて投入した。スラグカットボールを転炉内に投入してから出鋼が完了するまでの時間は、約2分であった。
かかる操業において、溶融スラグの流出量を以下の方法により算出した。すなわち、取鍋内のスラグの厚さから溶融スラグの流出量を算出し、算出した流出量を溶鋼量で割って、溶鋼1ton当たりの溶融スラグ流出量を求めた。
上記と同様の実験を100回行ったところ、溶融スラグ流出量は、平均で3kg/溶鋼tonであった。
(実施例2)
スラグカットボールとして、主要組成が、質量%で、Cr:40%、Fe:25%、MgO:10%、SiO:10%、Al:10%、残部:不純物であるスラグカットボールを用いた。
使用回数が1500回以上である転炉で、溶銑100tonを脱炭吹錬した。吹錬終了後の溶融スラグは、塩基度(CaO/SiO)が3.5であり、その容量は、71kg/溶鋼tonであり、溶鋼の温度は、1650℃であった。その後、炉体を傾動して出鋼を開始し、出鋼末期に、平均粒径50mm以下の脱炭スラグ(融点:1500℃以上、組成:CaO=45質量%、SiO=10質量%、T.Fe=15質量%)40kgと、上記のスラグカットボールとを、出鋼孔の直上付近に存在する、液相状態の溶融スラグに向けて投入した。スラグカットボールを転炉内に投入してから出鋼が完了するまでの時間は、約2分であった。
溶融スラグの流出量について、実施例1と同様にして、溶鋼1ton当たりのスラグ流出量を求めた。
上記と同様の実験を100回行ったところ、溶融スラグ流出量は、平均で3kg/溶鋼tonであった。
(比較例1)
スラグカットボールとして、主要組成が、質量%で、Cr:40%、Fe:25%、MgO:10%、SiO:10%、Al:10%、残部:不純物であるスラグカットボールを用いた。
使用回数が1500回以上である転炉で、溶銑100tonを脱炭吹錬した。吹錬終了後の溶融スラグは、塩基度(CaO/SiO)が3.5であり、その容量は、70kg/溶鋼tonであり、溶鋼の温度は、1654℃であった。その後、炉体を傾動して出鋼を開始し、出鋼末期に、上記のスラグカットボールを投入した。スラグカットボールを転炉内に投入してから出鋼が完了するまでの時間は、約2分であった。
溶融スラグの流出量について、実施例1と同様にして、溶鋼1ton当たりのスラグ流出量を求めた。
上記と同様の実験を100回行ったところ、溶融スラグ流出量は、平均で6kg/溶鋼tonであった。
(比較例2)
スラグカットボールとして、主要組成が、質量%で、Cr:40%、Fe:25%、MgO:10%、SiO:10%、Al:10%、残部:不純物であるスラグカットボールを用いた。
使用回数が1500回以上である転炉で、溶銑100tonを脱炭吹錬した。吹錬終了後の溶融スラグは、塩基度(CaO/SiO)が3.5であり、その容量は、70kg/溶鋼tonであり、溶鋼の温度は、1645℃であった。その後、炉体を傾動して出鋼を開始し、出鋼末期に、粒径50mm以下の取鍋スラグ(融点:約1400℃、組成:CaO=45質量%、SiO=10質量%、T.Fe=10質量%、Al=18質量%)40kgと、上記のスラグカットボールと、を投入した。スラグカットボールを転炉内に投入してから出鋼が完了するまでの時間は、約2分であった。
溶融スラグの流出量について、実施例1と同様にして、溶鋼1ton当たりのスラグ流出量を求めた。
上記と同様の実験を100回行ったところ、溶融スラグ流出量は、平均で6kg/溶鋼tonであった。
(比較例3)
スラグカットボールとして、主要組成が、質量%で、Cr:40%、Fe:25%、MgO:10%、SiO:10%、Al:10%、残部:不純物であるスラグカットボールを用いた。
使用回数が1500回以上である転炉で、溶銑100tonを脱炭吹錬した。吹錬終了後の溶融スラグは、塩基度(CaO/SiO)が3.5であり、その容量は、70kg/溶鋼tonであり、溶鋼の温度は、1645℃であった。その後、炉体を傾動して出鋼を開始し、出鋼末期に、粒径50mm超過150mm以下のドロマイト(融点:2000℃以上、組成:CaCO=60質量%、MgCO=38質量%、残部:脈石成分)40kgと、上記のスラグカットボールと、を投入した。スラグカットボールを転炉内に投入してから出鋼が完了するまでの時間は、約2分であった。
上記と同様の実験を100回行ったところ、溶融スラグ流出量は、平均で5kg/溶鋼tonであった。
上記実施例1及び実施例2と、上記比較例1〜比較例3と、を比較すると明らかなように、本発明に係る転炉内スラグの流出防止方法を適用することで、取鍋に流出する溶融スラグの量を効果的に低減することが可能であることがわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 転炉
11 炉口
13 出鋼孔
21 溶鋼
23 溶融スラグ
30 取鍋
40 スラグカットボール
50 粘度増加部

Claims (4)

  1. 転炉から溶銑及び/又は溶鋼を取り出す際の転炉内スラグの流出防止方法であって、
    転炉に設けられた出銑孔及び/又は出鋼孔を閉塞させるスラグカットボールと、平均粒径が50mm以下であり、かつ、融点が1500℃以上である物質の粒状体であるスラグカット粒と、を、前記出銑孔及び/又は出鋼孔に向けて投入する、転炉内スラグの流出防止方法。
  2. 前記スラグカット粒は、比重が2〜4の範囲内である物質からなる、請求項1に記載の転炉内スラグの流出防止方法。
  3. 前記スラグカット粒は、以下の(a)〜(d)の少なくとも何れかである、請求項1又は2に記載の転炉内スラグの流出防止方法。
    (a)CaO、又は、MgOの少なくとも何れか1種を主成分とする物質
    (b)融点が1500℃以上のドロマイト
    (c)融点が1500℃以上の煉瓦屑
    (d)融点が1500℃以上の脱炭スラグ
  4. 前記スラグカット粒に加えて、CaCO、MgCO、融点が1500℃未満のドロマイトの少なくとも何れかを更に投入する、請求項3に記載の転炉内スラグの流出防止方法。
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