JP2020093198A - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐エロージョン性、密着性、耐化学薬品性等の塗膜性能に優れる複層塗膜形成方法を提供すること。【解決手段】 プラスチック基材上に複層塗膜を形成する塗膜形成方法であって、工程(1):プラスチック基材上にエポキシ樹脂及びアミン化合物を含有する下塗塗料(X)を塗装して、下塗塗膜を形成する工程、工程(2):該下塗塗膜上にポリビニルブチラール樹脂及びフェノール樹脂を含有する中塗塗料(Y)を塗装して、中塗塗膜を形成する工程、ならびに工程(3):該中塗塗膜上にウレタンエラストマー及び芳香族ジアミン化合物を含有する上塗塗料(Z)を塗装して、上塗塗膜を形成する工程を含む複層塗膜形成方法。【選択図】なし

Description

耐エロージョン性、密着性、耐化学薬品性等の塗膜性能に優れる複層塗膜形成方法に関する。
車体、車両等の輸送機器、建機、産機等の大型機器等の部品等、工業製品の塗装において、近年、省エネルギー及び環境負荷の軽減並びにコスト等の観点から、塗料及び塗膜に関し、安定した品質の高度な耐久性が求められている。
ポリウレタン組成物は、その優れた柔軟性により広範囲に工業製品の塗装用途に使用されている。
例えば、特許文献1には、耐レインエロージョン性、耐チッピング性等の耐衝撃性及び、耐水性、仕上がり性に優れ、かつ被塗物への密着性に優れた塗膜を形成できる塗料組成物及び塗膜形成方法として、特定のポリオール、ポリイソシアネート化合物を含む塗料組成物に、硬化触媒として、特定のイミダゾール化合物を配合することを特徴とする塗料組成物及び塗膜形成方法が開示されている。
また、特許文献2には、貯蔵安定性、硬化性に優れ、得られる塗膜が耐衝撃性、耐屈曲性、耐水性及び耐薬品性に優れる塗料組成物並びに該塗料組成物の塗膜形成方法として、ポリオール及びポリイソシアネート化合物を含む塗料組成物において、ポリオールがその成分の一部として、炭素数8以上の脂肪酸由来の構成単位を有するポリオールを含有し、硬化触媒として、ビスマス化合物を含有し、かつ炭素数8以上のカルボン酸を特定量含有する塗料組成物並びに該塗料組成物の塗膜形成方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2に記載された塗料組成物及び塗膜形成方法はいずれも、耐エロージョン性、密着性、耐化学薬品性のすべてを満足することができるものではなく、特に被塗物がプラスチック基材の場合、上記塗膜性能が不十分となる場合があった。
再表2015/111709号公報 特開2017−193705号公報
本発明の目的は、耐エロージョン性、密着性、耐化学薬品性等の塗膜性能に優れる複層塗膜形成方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行なった結果、工業製品の塗装において、プラスチック基材に対して、エポキシ樹脂及びアミン化合物を含有する下塗塗料、ポリビニルブチラール樹脂及びフェノール樹脂を含有する中塗塗料、ならびにウレタンエラストマー及び芳香族ジアミン化合物を含有する上塗塗料を使用して複層塗膜を形成することを特徴とする複層塗膜形成方法によれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1.プラスチック基材上に複層塗膜を形成する塗膜形成方法であって、
工程(1):プラスチック基材上にエポキシ樹脂及びアミン化合物を含有する下塗塗料(X)を塗装して、下塗塗膜を形成する工程、
工程(2):該下塗塗膜上にポリビニルブチラール樹脂及びフェノール樹脂を含有する中塗塗料(Y)を塗装して、中塗塗膜を形成する工程、ならびに
工程(3):該中塗塗膜上にウレタンエラストマー及び芳香族ジアミン化合物を含有する上塗塗料(Z)を塗装して、上塗塗膜を形成する工程、を含む複層塗膜形成方法、
2.中塗塗料(Y)のポリビニルブチラール樹脂の重量平均分子量が10000〜100000の範囲内である上記項1に記載の複層塗膜形成方法、
3.上塗塗料(Z)のウレタンエラストマーが、オキシム化合物でブロックされた、末端イソシアネート基含有ブロック化ウレタンエラストマーである上記項1又は2に記載の複層塗膜形成方法、
4.上塗塗料(Z)の芳香族ジアミン化合物が、電子供与性基含有芳香族ジアミン化合物である上記項1〜3のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法、
5.上塗塗料(Z)が、さらに、アマイド化合物を含有する上記項1〜4のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法、
6.上記項1〜5のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法により塗装されたプラスチック基材物品、
を提供するものである。
本発明の複層塗膜形成方法は、下塗塗膜はエポキシ樹脂及びアミン化合物を含有する下塗塗料から形成され、耐化学薬品性に優れることからプラスチック基材の工業製品を保護し、劣化を防ぐことができる。また、中塗塗膜はポリビニルブチラール樹脂及びフェノール樹脂を含有する中塗塗料から形成され、接着剤として機能することからエロージョン負荷時の上塗塗膜の剥離を抑制することができる。さらには、上塗塗膜はウレタンエラストマー及び芳香族ジアミン化合物を含有する上塗塗料から形成され、物理的負荷に対する良好な弾性等物性を有していることから耐エロージョン性に優れている。
以上、本発明の複層塗膜形成方法によれば、耐エロージョン性、密着性、耐化学薬品性のいずれの塗膜性能にも優れる複層塗膜を得ることができるという効果を奏することができる。
本発明の複層塗膜形成方法は、
プラスチック基材上に複層塗膜を形成する塗膜形成方法であって、
工程(1):プラスチック基材上にエポキシ樹脂及びアミン化合物を含有する下塗塗料(X)を塗装して、下塗塗膜を形成する工程、
工程(2):該下塗塗膜上にポリビニルブチラール樹脂及びフェノール樹脂を含有する中塗塗料(Y)を塗装して、中塗塗膜を形成する工程、ならびに
工程(3):該中塗塗膜上にウレタンエラストマー及び芳香族ジアミン化合物を含有する上塗塗料(Z)を塗装して、上塗塗膜を形成する工程、を含むことを特徴とする複層塗膜形成方法である。
以下、本発明の複層塗膜形成方法(以下、「本方法」ということがある。)について詳細に説明する。
プラスチック基材
プラスチック基材としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート等のポリエステル樹脂;スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−アクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート等のスチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、メタキシリレンアジパミド等のポリアミド樹脂、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート・エチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル等の塩化ビニリデン樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂及び各種の繊維強化プラスチック(以下、FRPと略すことがある)等のプラスチック材料を挙げることができる。上記プラスチック基材は、樹脂2種以上のハイブリッド樹脂であっても構わない。
上記繊維強化プラスチック(FRP)とは、強化繊維をプラスチックの中に含有させることでその強度を向上させたものである。
FRPの強化繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等任意の公知の強化繊維が使用可能であり、複数種の強化繊維の併用も可能である。特に、ガラス繊維及び炭素繊維を含有させることにより、プラスチック基材そのものに比べ、比強度、比弾性率が優れる。軽量で優れた機械物性をもつFRP材料を得るためには、該強化繊維を単独で、あるいは2種以上を併用して使用することが好ましい。
FRPのマトリックス樹脂(基体樹脂ともいい、母材となるプラスチックで、成形後に基材となる樹脂のことである)としては、上記のプラスチック基材で挙げた樹脂や不飽和ポリエステル樹脂やフェノール樹脂等を挙げることができる。特に、強化繊維との付着性の点からエポキシ樹脂が好適であり、エポキシ樹脂としてはFRP成形に適したものであれば任意のものを使用することができる。硬化剤を使用してもよく、硬化剤としては、例えば、アミン化合物、酸無水物化合物、ポリイミド化合物及びイミダゾール化合物等を挙げることができる。
FRPの成形方法としては、公知のものを使用することができ、金型を用いて製造するシートモールディングコンパウンド(SMC)成形法、レジンインフュージョン(RIMP)成形法、プリプレグ/オートクレーブプレス法等を挙げることができる。
上記各プラスチック基材、それから成形された部品等はその表面が洗剤や溶剤を用いた脱脂、洗浄、研磨等の表面処理が施されたものであってもよい。
工程(1)
プラスチック基材上にエポキシ樹脂及びアミン化合物を含有する下塗塗料(X)を塗装して、下塗塗膜を形成する工程、である。
下塗塗料(X)
本方法において下塗塗料(X)は、エポキシ樹脂及びアミン化合物を含有する塗料であれば水系、有機溶剤系いずれであってもよく、また一成分系組成物であっても多成分系組成物であってもよい。
エポキシ樹脂は、分子中にエポキシ基を少なくとも2個有する樹脂であり、塗料分野で公知のエポキシ樹脂を使用することができる。具体的には例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等およびこれらの臭素化物、水添加物等を挙げることができる。ノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
上記エポキシ樹脂には変性エポキシ樹脂も包含される。変性エポキシ樹脂としては、前記エポキシ樹脂のエポキシ基の一部に、乾性油脂肪酸を反応させたエポキシエステル樹脂;エポキシ樹脂のエポキシ基にアクリル酸又はメタクリル酸等を含有する重合性不飽和モノマー成分を反応させたエポキシアクリレート樹脂;水酸基を有するエポキシ樹脂にポリイソシアネート化合物とポリオール化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂;水酸基を有するエポキシ樹脂にポリオキシアルキレン化合物を反応させたポリオキシアルキレン変性エポキシ樹脂;等を挙げることができる。
アミン化合物としては、具体的には例えば、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、ポリアミドアミン、複素環状アミン等のポリアミン樹脂;及びこれらポリアミン樹脂とエポキシ化合物とのアミンアダクト、マンニッヒ化合物(例:マンニッヒ変性ポリアミドアミン)、マイケル付加物、ケチミン化物、アルジミン、フェナルカミン、上記各エポキシ樹脂中のエポキシ基にアミン化合物を反応させて、アミノ基又は4級アンモニウム塩を導入してなるアミン付加エポキシ樹脂等もポリアミン樹脂に包含され、これらは単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
下塗塗料(X)においてエポキシ樹脂とアミン化合物の比率は、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基1当量に対して、アミン化合物に含まれる官能基の当量比が、0.5〜1.5、特に0.7〜1.3、さらに特に0.8〜1.2の範囲内であることが耐薬品性の観点から好ましい。
下塗塗料(X)は、硬化性及び耐化学薬品性等の観点から、無機系フィラーを含有することが好ましい。無機系フィラーとしては、具体的には例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ、酸化チタン、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレークアルミニウム粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、コロイダルシリカ、燐片状シリカ等を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
上記無機系フィラーのうち、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムを耐薬品性の観点から好適に使用することができる
無機系フィラーの配合量は、顔料重量濃度(PWC)が30〜80%、特に40〜65%の範囲内であることが、耐薬品性、製造安定性の観点の観点から好ましい。
顔料重量濃度(PWC)とは、顔料とバインダーの固形分総量に対する顔料の重量濃度をパーセンテージで表したものである。
下塗塗料(X)はエポキシ樹脂を含む主剤とアミン化合物を硬化剤とする2液型塗料であることが耐薬品性及び塗装作業性の観点から好ましい。
下塗塗料(X)は、必要に応じて、防錆顔料、着色顔料等の顔料;有機溶剤、水等の希釈剤;沈降防止剤、タレ止め剤、湿潤剤、反応促進剤、付着性付与剤、脱水剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤等の通常の塗料用添加剤等を含有することができる。
下塗塗料(X)は、プラスチック基材上に塗装され、その塗装方法は、エアスプレー、エアレススプレー、刷毛塗り、ローラー等の公知の方法を採用することができる。硬化方法としては例えば、常温乾燥で1〜240時間、好ましくは10〜168時間が省エネルギー等の観点から好ましいが必要に応じて強制乾燥又は加熱乾燥により硬化させることもできる。
下塗塗料(X)を塗装して形成する下塗塗膜の膜厚は、硬化塗膜に基づいて15〜35μm、特に17〜25μmの範囲内であることが好ましい。
工程(2)
工程(1)で形成された下塗塗膜上にポリビニルブチラール樹脂及びフェノール樹脂を含有する中塗塗料(Y)を塗装して、中塗塗膜を形成する工程、である。
中塗塗料(Y)
本方法において中塗塗料(Y)は、ポリビニルブチラール樹脂及びフェノール樹脂を含有する塗料であれば水系、有機溶剤系いずれであってもよい。
本発明の複層塗膜形成方法において、中塗塗料(Y)により形成される中塗塗膜は接着層としての機能を有する。接着層である中塗塗膜により、形成される複層塗膜間の密着性が向上し、得られる複層塗膜の耐エロージョン性及び耐化学薬品性をさらに向上させることができる。
ポリビニルブチラール樹脂は、通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリビニルアルコールに、ブチルアルデヒドを反応させて得られるものであって、樹脂中に酢酸ビニル単位、ビニルアルコール単位、ビニルブチラール単位を有するものである。
ポリビニルブチラール樹脂は樹脂中のビニルブチラール単位(すなわちブチラール化度)が60〜75モル%、特に65〜70モル%の範囲内であることが密着性の観点から好ましい。
ポリビニルブチラール樹脂の重量平均分子量は、密着性と塗装作業性の両立の観点から10000〜100000、特に40000〜60000の範囲内であることが好ましい。
本明細書中において、平均分子量は、JIS K 0124−2011に記載の方法に準じ、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフは、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用した。カラムとしては、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1m1/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
ポリビニルブチラール樹脂のガラス転移温度は、55〜90℃、特に60〜80℃、さらに特に60〜70℃の範囲内であることが密着性と塗装作業性の両立の観点から好適である。
本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、示差熱分析(DSC)によるものである。具体的には、示差走査熱量計「DSC−220U」(セイコーインスツルメント社製)を用いて、試料を測定カップにとり、真空吸引して完全に溶剤を除去した後、3℃/分の昇温速度で−20℃〜+200℃の範囲で熱量変化を測定し、低温側の最初のベースラインの変化点をガラス転移温度として測定することができる。
ポリビニルブチラール樹脂は市販品を使用することができる。ポリビニルブチラール樹脂の市販品としては、例えば、エスレックBL−1、同BL−2、同BL−3、同BL−S、同BX−L、同BM−1、同BM−2、同BM−5、同BM−S、同BH−3、同BH−S、同BX−1、同BX−2、同BX−5、同BX−55(以上、いずれも積水化学工業社製);ButverB−72、同B−73、同B−74、同B−76、同B−79、同B−90、同B−98(以上、いずれも米国、ソルーシア社製)等を挙げることができる。
フェノール樹脂は、一般に、フェノール化合物とアルデヒド化合物とを酸性触媒や塩基性触媒の存在下で縮合反応させることにより得られる樹脂で、酸性触媒で縮合したものがノボラック型フェノール樹脂であり、塩基性触媒で縮合させたものがレゾール型フェノール樹脂である。
フェノール樹脂としては、メチロール基が導入されたメチロール化フェノール樹脂も含まれ、さらに導入されたメチロール基の一部、あるいはすべてを炭素数6以下のアルコールでアルキルエーテル化したフェノール樹脂も使用することができる。
フェノール化合物としては、o−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、石炭酸、m−クレゾール、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノール、ビスフェノールF等のフェノール化合物を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
メチロール化フェノール樹脂のメチロール基をアルキルエーテル化するのに使用されるアルコールとしては、炭素原子数1〜6個、好ましくは1〜4個の1価アルコールを挙げることができる。好適な1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等を挙げることができる。
フェノール樹脂の重量平均分子量は、密着性の観点から500〜5000、特に500〜3000、さらに特に500〜1000の範囲内であることが好ましい。
中塗塗料(Y)のフェノール樹脂は密着性の観点から、レゾール型フェノール樹脂が好ましい。
中塗塗料(Y)において、ポリビニルブチラール樹脂及びフェノール樹脂の固形分総量に対して、ポリビニルブチラール樹脂が25〜55質量%、特に30〜50質量%、さらに特に35〜45質量%、フェノール樹脂が45〜75質量%、特に50〜70質量%、さらに特に55〜65質量%の範囲内であることが密着性の観点から好ましい。
中塗塗料(Y)は、必要に応じて、防錆顔料、着色顔料、体質顔料等の顔料;有機溶剤、水等の希釈剤;沈降防止剤、タレ止め剤、湿潤剤、反応促進剤、脱水剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤等の通常の塗料用添加剤等を含有することができる。
中塗塗料(Y)は、工程(1)で形成された下塗塗膜上に塗装され、その塗装方法は、エアスプレー、エアレススプレー、刷毛塗り、ローラー等の公知の方法を採用することができる。硬化方法としては通常、加熱乾燥により行うことができる。
加熱乾燥条件としては、70〜140℃、特に100〜130℃の温度で、5〜60分間、特に10〜30分間加熱を行うことにより、硬化させることができる。
中塗塗料(Y)を塗装して形成する中塗塗膜の膜厚は、硬化塗膜に基づいて5〜50μm、特に15〜30μmの範囲内であることが密着性の観点から好ましい。
工程(3)
工程(2)で形成された中塗塗膜上にウレタンエラストマー及び芳香族ジアミン化合物を含有する上塗塗料(Z)を塗装して、上塗塗膜を形成する工程、である。
上塗塗料(Z)
本方法において上塗塗料(Z)は、ウレタンエラストマー及び芳香族ジアミンを含有する塗料であれば水系、有機溶剤系いずれであってもよく、また一成分系組成物であっても多成分系組成物であってもよい。
ウレタンエラストマーの調整に用いられるウレタンプレポリマーは、通常、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とから合成することができる。
ポリオール化合物は、炭化水素の複数個の水素原子が水酸基で置換されたアルコール類の総称であり、具体的には例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの1種又は2種以上を、2個以上の活性水素を有する化合物に付加重合させることにより得られる化合物である。
2個以上の活性水素を有する化合物としては、例えば、多価アルコール、アミン、多価フェノール等を挙げることができる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
アミンとしては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン等を挙げることができる。
多価フェノールとしては、レゾルシン、ビスフェノール化合物等を挙げることができる。
ポリオール化合物として具体的には、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール、アジペートポリオール、ラクトンポリオール、ヒマシ油等のポリエステルポリオール等を挙げることができる。
これらのポリオール化合物は、単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。
ポリオール化合物としては、耐エロージョン性の観点から、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが好ましく、ポリエーテルポリオールのなかでもポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールを特に好適に使用することができる。
ポリオール化合物の数平均分子量は耐エロージョン性の観点から、500〜3000、特に1500〜3000の範囲内が好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、通常のポリウレタン樹脂の製造に用いられるものを使用することができる。具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート(MDI)及びこれらの変性品、1,5−ナフタレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。
ポリイソシアネート化合物としては、密着性の観点から、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート及びこれらの変性品、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが好ましく、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート及びこれらの変性品を特に好適に使用することができる。
ポリイソシアネート化合物としては、密着性の観点から、平均して少なくとも2、好ましくは2〜6のイソシアネート官能基数を有する単量体および重合体イソシアネート、特に2〜4のイソシアネート官能基数を有する単量体および重合体イソシアネートが好ましい。
ウレタンプレポリマーとしては、耐エロージョン性の観点から、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを好適に使用することができる。
ウレタンプレポリマー製造の際のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の量比は、末端イソシアネート基含有ウレタンポリマーとする場合、イソシアネート基が水酸基に対して過剰の条件、通常、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基1個当たり、ポリオール化合物中の水酸基が1個以下となる量比である。
ウレタンエラストマーの、ウレタンプレポリマーの製造は、通常のウレタンプレポリマーの製造条件で行うことができる。具体的には例えば、前述のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を反応温度50〜100℃程度で、常圧下で反応させることにより行うことができる。
末端イソシアネート基含有ウレタンポリマーは、貯蔵安定性の観点から、イソシアネート基がイソシアネートブロック剤によりブロックされた、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを好適に使用することができる。
イソシアネート基のブロック化は、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、イソシアネートブロック剤を反応させ、末端イソシアネート基をブロックすることにより行うことができる。イソシアネートブロック剤の量は、ブロック剤中のイソシアネート基と反応してイソシアネート基をブロックする官能基が、イソシアネート基と少なくとも同量となる量とすればよい。
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール化合物、ラクタム化合物、アルコール化合物、オキシム化合物、メルカプタン化合物、活性メチレン化合物等を挙げることができる。
以上により、末端イソシアネート基含有ブロック化ウレタンエラストマーを合成することができる。
末端イソシアネート基含有ブロック化ウレタンエラストマーは、加熱によりブロック剤が解離し、再生したイソシアネート基と硬化剤等のイソシアネート基と反応性を有する官能基が反応することにより、硬化させることができる。
イソシアネートブロック剤としては、硬化性と貯蔵安定性の両立の観点から、オキシム化合物を好適に使用することができる。
オキシム化合物としては、メチルエチルケトオキシム、メチルアミルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等を挙げることができる。
ウレタンエラストマーの数平均分子量は耐エロージョン性の観点から、800〜5000、特に1800〜3500の範囲内が好ましい。
数平均分子量が800未満であると、柔軟性の低下に伴い耐エロージョン性が低下する場合があり、5000を越えると架橋密度の低下により耐エロージョン性が低下する場合がある。
ウレタンエラストマーのガラス転移温度(Tg)は、耐エロージョン性の観点から−80〜0℃、特に−70〜−30℃、さらに特に−70〜−50℃の範囲内であることが好ましい。
芳香族ジアミン化合物は、1分子中に2個のアミノ基を有する芳香族化合物であり、具体的には例えば、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、2,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジアミノジフェニルメタン、3,4´−ジアミノジフェニルメタン、2,2´−ジアミノビフェニル、3,3´−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,3−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,5−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,4−トリレンジアミン等を挙げることができる。
芳香族ジアミン化合物としては、特に密着性の観点から、電子供与性基を含有する芳香族ジアミン化合物を好適に使用することができる。
電子供与性基含有芳香族ジアミン化合物は、1分子中に2個のアミノ基を有し、かつ、電子供与性基(アミノ基を除く)を有する芳香族化合物である。
電子供与性基としては、アルキル基、水酸基、アルコキシ基等を挙げることができる。
上記電子供与性基のうち、密着性の観点からアルキル基が好ましい。
電子供与性基含有芳香族ジアミン化合物として、具体的には例えば、
トリレンジアミン(2,3−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,5−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,4−トリレンジアミン)、ジエチルトルエンジアミン、キシレンジアミン、
芳香核にアルキル基を有するアルキル置換ジアミノジフェニルメタン(4,4´−ジアミノジフェニルメタン、2,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジアミノジフェニルメタン、3,4´−ジアミノジフェニルメタン)、
芳香核にアルキル基を有するアルキル置換ジアミノビフェニル(2,2´−ジアミノビフェニル、3,3´−ジアミノビフェニル)、
芳香核にアルキル基を有するアルキル置換フェニレンジアミン(o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン)、
ジアミノフェノール(2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール)、
等を挙げることができる。
これらのうち、特に、密着性の観点から、芳香核にアルキル基を有するアルキル置換ジアミノジフェニルメタンが好ましい。
芳香核にアルキル基を有するアルキル置換ジアミノジフェニルメタンにおいて、置換アルキル基の数は1〜8個であり、特に1〜4個であることが好ましい。置換アルキル基の位置はアミノ基に対してオルト位であることが好ましい。
芳香核にアルキル基を有するアルキル置換ジアミノジフェニルメタンとして、具体的には、アミノ基に対するオルト位がアルキル基で置換された4,4’−ジアミノジフェニルメタンが好ましい。具体的には例えば、3,3’−ジアルキル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等を挙げることができる。上記のうち、特に、3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンが好ましい。
置換アルキル基としては、炭素数6以下のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基等を挙げることができる。これらのうちメチル基、エチル基が特に好ましい。
3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンとして、具体的には、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等を挙げることができる。
3,3’−ジアルキル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンとして、具体的には、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等を挙げることができる。
これらのうち、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン及び/又は3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンが特に好ましい。
芳香族ジアミン化合物は、単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。
芳香族ジアミン化合物の含有量は、前記ウレタンエラストマーの有するイソシアネート基と芳香族ジアミン化合物の有するアミノ基との当量比(アミノ基/イソシアネート基)が1.0〜2.0、特に1.05〜1.8、さらに特に、1.1〜1.5となる量とすることが密着性の観点から好ましい。
上塗塗膜はウレタンエラストマー及び芳香族ジアミン化合物を含有する上塗塗料から形成され、硬化性に優れ、物理的負荷に対する良好な弾性等物性を有していることから、本発明の複層塗膜において主として耐エロージョン性付与の機能を有するものである。
上塗塗料(Z)には、耐タレ性の向上を目的として、アマイド化合物を含有することが好ましい。
アマイド化合物は、分子中に−NH−CO−結合をもつ化合物であり、上塗塗料(Z)に添加混合することにより、チキソトロピー性を発現させることができる。−NH−CO−結合が硬化過程のウレタンエラストマーの有するイソシアネート基或いは硬化過程でジアミン化合物との反応により生成するウレア基と水素結合によって緩やかに結合することにより粘性を発現すると考えられる。
アマイド化合物としては、アマイド系ワックスとして既知のものを使用することができる。具体的には、脂肪酸アマイド若しくはそのオリゴマー、又はこれらの変性物(変性ポリアミド)、混合物を有効成分とするものを挙げることができる。
上記脂肪酸アマイドは、アミンと脂肪族カルボン酸とを反応させて得られる脂肪酸アミドである。前記アミンとしては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミンなど、炭素数2〜6のジアミンが好ましく用いられ、この場合、通常、オリゴマーが合成される。
前記脂肪族カルボン酸としては、炭素数2〜18のモノカルボン酸であってもよいし、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、グルタール酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸、さらには、ひまし油脂肪酸等の天然油脂由来の脂肪酸、不飽和脂肪酸を重合したダイマー酸等を用いることができ、不飽和カルボン酸の場合、水素添加されたものであることが好ましい。
脂肪酸アマイドは、市販品を使用することができる。粉末状或いはペースト状のものが知られている。ペースト状のものは、一般にキシレンやアルコール等の溶剤によって希釈されている。
具体的には例えば、脂肪酸アマイド系ペーストタイプ(DISPARLON 6900−20X、DISPARLON 6900−10X、DISPARLON A603−20X、DISPARLON A603−10X、DISPARLON A670−20M、DISPARLON 6810−20X、DISPARLON 6850−20X、DISPARLON 6820−20M、DISPARLON 6820−10M、DISPARLON FS−6010、DISPARLON PFA−131、DISPARLON PFA−231、DISPARLON F−9020、DISPARLON F−9030、DISPARLON F−9040、DISPARLON F−9050等)や、酸化ポリオレフィンアマイド(DISPARLON NS−5010、NS5025、DISPARLON NS−5210、DISPARLON NS−5310等)(以上、楠本化成社製)、高級脂肪酸アマイドペースト(ターレン7200−20、ターレン7500−20等のターレンシリーズ)(以上、共栄化学社製)、BYK−405(BYKケミ−社製)、A−S−A T−75F(伊藤製油社)等を挙げることができる。
アマイド化合物のうち、塗装作業性の観点から、脂肪酸アマイド系ペーストタイプを好適に使用することができ、特にDISPARLON PFA−131、DISPARLON PFA−231、DISPARLON F−9020、DISPARLON F−9030、DISPARLON F−9040を好適に使用することができる。
上塗塗料(Z)が、アマイド化合物を含有する場合、その含有量は、耐タレ性及びポットライフ等の観点から、ウレタンエラストマー及び芳香族ジアミンの固形分総量に対して、固形分として、0.5〜5質量%、特に1〜4質量%、さらに特に1.5〜3質量%の範囲内であることが好ましい。
上塗塗料(Z)は、着色等のため顔料を含有することが好ましい。顔料としては、防錆顔料、着色顔料及び体質顔料等を挙げることができる。
防錆顔料としては、例えば、酸化亜鉛、亜リン酸塩化合物、リン酸塩化合物、亜硝酸塩化合物、モリブテン酸塩系化合物、ビスマス化合物、金属イオン交換シリカ等を挙げることができる。
着色顔料としては、酸化チタン、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、カーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、鉄黒(アイアンブラック)、紺青、群青、コバルトブルー、銅フタロシアニンブルー、インダンスロンブルー、黄鉛、合成黄色酸化鉄、べんがら、透明べんがら、ビスマスバナデート、チタンイエロー、亜鉛黄(ジンクエロー)、オーカー、モノアゾイエロー、ジスアゾ、イソインドリノンイエロー、金属錯塩アゾイエロー、キノフタロンイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、モノアゾレッド、無置換キナクリドンレッド、アゾレーキ(Mn塩)、キナクリドンマゼンダ、アンサンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、ペリレンレッド、ジケトピロロピロールクロムバーミリオン、塩素化フタロシアニングリーン、臭素化フタロシアニングリーン、その他;ピラゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンオレンジ、ジオキサジンバイオレット、ペリレンバイオレット等を挙げることができる。
体質顔料としては、例えば、クレー、シリカ、硫酸バリウム、タルク、カオリン、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、珪藻土、炭酸マグネシウムアルミニウムフレーク、雲母フレーク等を挙げることができる。
上塗塗料(Z)が顔料を含有する場合、ウレタンエラストマー及び芳香族ジアミン化合物の固形分総量に対して、顔料の固形分量総量は、1〜40質量%、特に3〜30質量%、さらに特に5〜20質量%であることが、密着性の観点から好ましい。
上塗塗料(Z)は、さらに必要に応じて、イソシアネート基と反応性を有する化合物(芳香族ジアミンを除く)、フッ素樹脂、紫外線吸収剤(例えばベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等)、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン類等)、艶消剤、樹脂粒子、防錆剤、キレート剤(アセチルアセトン等)、溶剤、顔料分散剤、表面調整剤、消泡剤、沈降防止剤、酸化防止剤、触媒、揺変剤、難燃剤等の公知の塗料用添加剤を含有することができる。
触媒としては、例えば、ジオクチル錫ジラウレート(DOTDL)、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、オクチル酸亜鉛、有機ビスマス化合物等の金属系触媒、トリエチレンジアミン、モルフォリン系アミン等のアミン系触媒等を挙げることができる。
また、塗膜性能を損なわない範囲で、塗膜表面に機能性を付与するために、撥水剤、防汚剤、防腐剤、抗菌剤、導電剤等の添加剤を含有することもできる。
上塗塗料(Z)の形態は、特に限定されるものではなく、水性塗料、有機溶剤型塗料及び無溶剤型塗料のいずれの形態であってもよいが、塗料組成物の貯蔵安定性の観点から、有機溶剤型塗料又は非水分散液型塗料であることが好適である。
尚、本明細書において、水性塗料とは、有機溶剤型塗料と対比される用語であって、一般に、水又は水を主成分とする媒体(水性媒体)に、塗膜形成性樹脂、顔料等を分散及び/又は溶解させた塗料を意味する。
上記有機溶剤型塗料とは、溶媒として実質的に水を含有しない、又は溶剤の全て又はほとんどが有機溶剤である塗料である。本発明の塗料組成物は、有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類;芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等を含有することができる。
上記有機溶剤は、粘度の調整、塗布性の調整等の目的に応じて適宜組み合わせて使用することができる。
有機溶剤としては、塗装作業性と人体や環境への影響の観点から、トルエンやキシレン等を含まないことが好ましい。
上塗塗料(Z)の固形分は、固形分含有率を25質量%以上、特に好ましくは30〜40質量%の範囲内に調整して塗装することが塗装作業性と排出される有機溶剤量削減の観点から好ましい。
本明細書において固形分とは、揮発成分を除いた残存物を意味するものであり、残存物としては常温で固形状であっても液状であっても差し支えない。固形分質量は、乾燥前質量に対する乾燥させた後の残存物質量の割合を固形分率とし、固形分率を乾燥前の試料質量に乗じることで算出することができる。
上塗塗料(Z)は、貯蔵安定性及び塗装作業性の観点から、ウレタンエラストマーを含む主剤及び芳香族ジアミン化合物を含む硬化剤からなる二液型塗料の形態が好ましく、使用直前に両者を混合して使用することが好ましい。
前記アマイド化合物及び必要に応じて含有することができる塗料用添加剤は主剤又は硬化剤のいずれかに適宜含ませることができるが、主剤に含有させることが、貯蔵安定性の観点から好ましい。
上塗塗料(Z)において塗料組成物の貯蔵安定性とは、硬化剤を添加する前の主剤を所定の条件で貯蔵した後、硬化剤を添加して硬化塗膜としたときに硬化性、耐エロージョン性、密着性、耐化学薬品性、塗装作業性(耐タレ性)等の塗膜物性や塗装作業性等の試験項目の評価結果と、貯蔵前の初期の主剤での上記評価結果とが変化しない安定性のことを意味する(貯蔵後の主剤を使用しても、貯蔵前の初期の主剤を使用した場合に比して塗膜物性や塗装作業性が低下しないものが、貯蔵安定性が良好である)。
上塗塗料(Z)は、工程(2)で形成された中塗塗膜上に塗装され、その塗装方法は、ロールコート法、スプレー塗装法、刷毛塗り法、静電塗装法、浸漬法、電着塗装法、カーテン塗装法、ローラー塗装法等の公知の方法を採用することができる。硬化方法としては通常、加熱乾燥により行うことができる。
加熱乾燥条件は、適宜設定すればよい。加熱温度は、100〜150℃、特に110〜150℃、さらに特に120〜150℃が好ましい。加熱時間は、60〜180分間、特に60〜150分間、さらに特に60〜120分間が好ましい。
加熱装置としては、乾燥炉ブロー装置、赤外線照射装置等を挙げることができる。また、必要に応じて加熱前に予備的にプレヒートを行うこともできる。
上塗塗料(Z)による上塗塗膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、硬化塗膜に基づいて通常20〜500μm、好ましくは50〜300μmの範囲で塗装することができる。
本発明の複層塗膜形成方法は、耐エロージョン性、密着性、耐化学薬品性のいずれの塗膜性能にも優れる複層塗膜を得ることができるので、車体、車両等の輸送機器、建機、産機等の大型機器等の部品等、工業製品のプラスチック基材の塗装に特に好適に使用することができる。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づく。
<下塗塗料>
下塗塗料(X1):溶剤系2液型塗料、主剤:固形分あたりのエポキシ価2.2mmol/gのビスフェノールA骨格のエポキシ樹脂、及びマイカ顔料40(PWC)含有、硬化剤:アミン価410mgKOH/gの変性脂肪族ポリアミンアダクト、エポキシ基/アミノ基の活性水素当量比は1.0
下塗塗料(X2):溶剤系2液型塗料、主剤:固形分あたりのエポキシ価=2.2mmol/gのビスフェノール−A骨格のエポキシ樹脂含有、及びマイカ顔料40(PWC)含有、硬化剤:アミン価=410mgKOH/gの変性脂肪族ポリアミンアダクト、エポキシ基/アミノ基の活性水素当量比=0.75
下塗塗料(X3):溶剤系2液型塗料、主剤:固形分あたりのエポキシ価=2.2mmol/gのビスフェノール−A骨格のエポキシ樹脂含有、及びマイカ顔料40(PWC)含有、硬化剤:アミン価=410mgKOH/gの変性脂肪族ポリアミンアダクト、エポキシ基/アミノ基の活性水素当量比=1.25
下塗塗料(X4):溶剤系2液型塗料、主剤:固形分あたりのエポキシ価=2.2mmol/gのビスフェノール−A骨格のエポキシ樹脂含有、及びマイカ顔料40(PWC)含有、硬化剤:アミン価=410mgKOH/gの変性脂肪族ポリアミンアダクト、エポキシ基/アミノ基の活性水素当量比=0.6
下塗塗料(X5):溶剤系2液型塗料、主剤:固形分あたりのエポキシ価=2.2mmol/gのビスフェノール−A骨格のエポキシ樹脂含有、及びマイカ顔料40(PWC)含有、硬化剤:アミン価=410mgKOH/gの変性脂肪族ポリアミンアダクト、エポキシ基/アミノ基の活性水素当量比=1.4
下塗塗料(X6):溶剤系2液型塗料、主剤:固形分あたりのエポキシ価=2.2mmol/gのビスフェノール−A骨格のエポキシ樹脂含有、及び炭酸カルシウム顔料40(PWC)含有、硬化剤:アミン価=410mgKOH/gの変性脂肪族ポリアミンアダクト、エポキシ基/アミノ基の活性水素当量比=1.0
下塗塗料(X7):溶剤系2液型塗料、主剤:固形分あたりのエポキシ価=2.2mmol/gのビスフェノール−A骨格のエポキシ樹脂含有、及びマイカ顔料30(PWC)含有、硬化剤:アミン価=410mgKOH/gの変性脂肪族ポリアミンアダクト、エポキシ基/アミノ基の活性水素当量比=1.0
下塗塗料(X8):溶剤系2液型塗料、主剤:固形分あたりのエポキシ価=2.2mmol/gのビスフェノール−A骨格のエポキシ樹脂含有、及びマイカ顔料70(PWC)含有、硬化剤:アミン価=410mgKOH/gの変性脂肪族ポリアミンアダクト、エポキシ基/アミノ基の活性水素当量比=1.0
下塗塗料(X9):溶剤系2液型塗料、主剤:固形分あたりのエポキシ価5.3mmol/gのビスフェノールA骨格のエポキシ樹脂、及びマイカ顔料40(PWC)含有、硬化剤:アミン価410mgKOH/gの変性脂肪族ポリアミンアダクト、エポキシ基/アミノ基の活性水素当量比は1.0
下塗塗料(X10):溶剤系2液型塗料、主剤:固形分あたりのエポキシ価2.2mmol/gのビスフェノールA骨格のエポキシ樹脂、及びマイカ顔料40(PWC)含有、硬化剤:アミン価265mgKOH/gの脂肪族ポリアミドアミン、エポキシ基/アミノ基の活性水素当量比は1.0
<中塗塗料>
中塗塗料(Y1):フェノール樹脂AP−101(注1)60質量%及びポリビニルブチラール樹脂エスレックBM−1(注2)40質量%をメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1で混合した溶剤に溶解し、固形分を10%に調製することにより中塗塗料(Y1)を得た。
(注1)AP−101:アイカ工業株式会社製、レゾール型フェノール樹脂、数平均分子量750
(注2)エスレックBM−1:積水化学株式会社製、ポリビニルブチラール樹脂、重量平均分子量4.0×10、水酸基34mol%、アセチル基3mol%以下、ブチラール化度65mol%、ガラス転移温度67℃
各成分の配合を表2及び表5に示す配合とする以外は中塗塗料(Y1)と同様にして、各中塗塗料(Y2)〜(Y12)を得た。中塗塗料(Y11)及び(Y12)は比較例用の中塗塗料である。
(注3)エスレックBM−S:積水化学株式会社製、ポリビニルブチラール樹脂、重量平均分子量:5.3×10、水酸基22mol%、アセチル基5mol%、ブチラール化度73mol%、ガラス転移温度60℃
(注4)エスレックBL−1:積水化学株式会社製、ポリビニルブチラール樹脂、重量平均分子量:1.9×10、水酸基36mol%、アセチル基3mol%以下、ブチラール化度63mol%、ガラス転移温度66℃
(注5)エスレックBH−6:積水化学株式会社製、ポリビニルブチラール樹脂、重量平均分子量:9.2×10、水酸基30mol%、アセチル基3mol%以下、ブチラール化度69mol%、ガラス転移温度67℃
(注6)ショウノールCKS−3722:アイカ工業株式会社製、フェノール樹脂、重量平均分子量:2400
(注7)ショウノールCKS−937:アイカ工業株式会社製、フェノール樹脂、重量平均分子量:5000
<上塗塗料>
上塗塗料(Z1):ブロック化ウレタンエラストマー(A1)(注8)100部(固形分)、カーボンMA−100(注9)2.0部(固形分)、DISPARLON A670−20M(注10)2.0部(固形分)、ACEMATT TS−100(注11)13部(固形分)及び酢酸ブチル124.5部を混合し、サンドミルで分散を行い、分散ペーストを得た。得られた分散ペーストに、ディスパーで攪拌しながら、ポリフローNo.50EHF(注12)0.5部(固形分)、DISPARLON 1930N(注13)0.002部(固形分)、及び酢酸ブチル20部を混合することにより、固形分34.7質量%の上塗塗料(Z1)の主剤を得た。得られた上塗塗料(Z1)の主剤について、貯蔵安定性の試験を行った。表4に評価結果を示す。
次に酢酸ブチル80部にCUREHARD MED(注14)20部を溶解させ、塗料組成物No.1の硬化剤を得た。主剤中のブロック化ウレタンエラストマー中の(ブロック)イソシアネート基に対してアミノ基が1.3当量となるように上記硬化剤を混合し、固形分が30質量%となるように酢酸ブチルを加えて攪拌することにより、上塗塗料(Z1)を得た。
(注8)ブロック化ウレタンエラストマー(A1):ウレタンエラストマーA(注8−1)(PTMG系(Mn=3000)TDI末端エラストマー、NCO含有量=2.8wt%)100部及び酢酸ブチル58.4部を反応容器に仕込み、末端イソシアネート基とOH基の当量比(NCO/OH)が0.7になるようにメチルエチルケトンオキシム8.3部を加え、40℃で1時間反応させることにより固形分60質量%のブロック化ウレタンエラストマー(A1)を得た。
(注9)カーボンMA−100:三菱化学社製、酸化処理カーボン、平均粒子径0.02μm
(注10)DISPARLON A670−20M:楠本化成社製、脂肪酸アマイド
(注11)ACEMATT TS−100:EVONIK社製、非晶質合成シリカ
(注12)ポリフローNo.50EHF:共栄社化学社製、アクリル系表面調整剤
(注13)DISPARLON 1930N:楠本化成社製、シリコーン系消泡剤
(注14)CUREHARD MED:クミアイ化学工業社製、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
(注15)ETHACURE100:ALBEMARLE社製、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン
各成分の配合を表3〜5に示す配合とする以外は上記上塗塗料(Z1)と同様にして、固形分30質量%の各上塗塗料(Z2)〜(Z20)を得た。上塗塗料(Z20)は比較例用の上塗塗料である。
(注16)ブロック化ウレタンエラストマー(A2):ウレタンエラストマーB(エステル系TDI末端エラストマー、NCO含有量2.6%)100部及び酢酸ブチル59.0部を反応容器に仕込み、末端イソシアネート基とOH基の当量比が0.7になるようにメチルエチルケトンオキシム7.7部を加え、40℃で1時間反応させることにより固形分60質量%のブロック化ウレタンエラストマー(A2)を得た。
(注17)ブロック化ウレタンエラストマー(A3):ウレタンエラストマーC(PTMG系(Mn=2000)TDI末端エラストマー、NCO含有量4.2%)100部及び酢酸ブチル54.2部を反応容器に仕込み、末端イソシアネート基とOH基の当量比が0.7になるようにメチルエチルケトンオキシム12.5部を加え、40℃で1時間反応させることにより固形分60質量%のブロック化ウレタンエラストマー(A3)を得た。
(注18)ブロック化ウレタンエラストマー(A4):ウレタンエラストマーD(PTMG系(Mn=1300)TDI末端エラストマー、NCO含有量6.3%)100部及び酢酸ブチル48.1部を反応容器に仕込み、末端イソシアネート基とOH基の当量比が0.7になるようにメチルエチルケトンオキシム18.6部を加え、40℃で1時間反応させることにより固形分60質量%のブロック化ウレタンエラストマー(A4)を得た。
(注19)ブロック化ウレタンエラストマー(A5):ウレタンエラストマーE(PTMG系(Mn=1600)MDI末端エラストマー、NCO含有量5.3%)100部及び酢酸ブチル50.9部を反応容器に仕込み、末端イソシアネート基とOH基の当量比が0.7になるようにメチルエチルケトンオキシム15.8部を加え、40℃で1時間反応させることにより固形分60質量%のブロック化ウレタンエラストマー(A5)を得た。
(注20)ブロック化ウレタンエラストマー(A6):ウレタンエラストマーF(PTMG系(Mn=1300)XDI末端エラストマー、NCO含有量6.3%)100部及び酢酸ブチル48.1部を反応容器に仕込み、末端イソシアネート基とOH基の当量比が0.7になるようにメチルエチルケトンオキシム18.6部を加え、40℃で1時間反応させることにより固形分60質量%のブロック化ウレタンエラストマー(A6)を得た。
(注21)ブロック化ウレタンエラストマー(A7):ウレタンエラストマーG(PTMG(Mn=1300)をTDIヌレート及びその多量体と反応させたTDI末端エラストマー、NCO含有量9.5%)100部及び酢酸ブチル38.7部を反応容器に仕込み、末端イソシアネート基とOH基の当量比が0.7になるようにメチルエチルケトンオキシム28.0部を加え、40℃で1時間反応させることにより固形分60質量%のブロック化ウレタンエラストマー(A7)を得た。
実施例1〜45及び比較例1〜6
試験板の製造
試験板I(耐薬品性試験及び密着性試験用)
ブラスト処理された縦150mm×横20mm×厚さ4mmのCFRP(炭素繊維強化プラスチック)板をイソプロピルアルコールを用いて脱脂して試験用の素材とした。上記素材に上記各下塗塗料をスプレー塗装により所定の膜厚となるように塗装し、23℃で15分間セッティングした後、所定の硬化条件(温度、時間)で硬化させた。室温まで冷却後、上記各中塗塗料をスプレー塗装により所定の膜厚となるように塗装し、23℃で15分間セッティングした後、所定の硬化条件(温度、時間)で硬化させた。
その後、中塗塗装面の半面(150mm幅のうちの75mm幅分)に3M社製ポリエステルテープ1272をマスキングのために貼り付けた。
上記中塗まで塗装し、半面をマスキングした素材上にスプレー塗装により、所定の膜厚となるように上記各上塗塗料を塗装し、23℃で60分間セッティングした後、所定の硬化条件(温度、時間)で硬化させることにより各試験板I1〜I14、I15〜I25、I26〜I33、I34〜I43、I101〜I106及びI1G(I1の素材をGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)に変更する以外はI1と同様にして作成した試験板)を得た。なお、試験板I101〜I106は比較例用の試験板である。
試験板II(耐エロージョン性試験用)
ブラスト処理された縦50mm×横20mm×厚さ2mmのCFRP板をイソプロピルアルコールを用いて脱脂し、直径3mmの丸棒を用いて横20mm幅の真ん中を中心にして半分に折り曲げ加工し試験用の素材とした。上記素材に下塗塗料(X1)をスプレー塗装により硬化膜厚20μmとなるように塗装し、23℃で15分間セッティングした後、80℃で30分間硬化させた。室温まで冷却後、上記各中塗塗料をスプレー塗装により所定の膜厚となるように塗装し、23℃で15分間セッティングした後、120℃で15分間硬化させた。
上記中塗まで塗装した基材の片面をマスキングした後、スプレー塗装により、硬化膜厚が150μmとなるように上記各上塗塗料を塗装した。塗装後すぐにマスキングテープを剥がし、23℃で60分間セッティングした後、120℃で120分間硬化させることにより各試験板II1、II15〜II25、II26〜II33、II34〜II43、II102〜II106及びII1G(II1の素材をGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)に変更する以外はII1と同様にして作成した試験板)を得た。なお、試験板II102〜II106は比較例用の試験板である。
性能試験及び性能評価
上記試験板の製造で得られた各試験板を下記試験方法に従って性能評価を行った。試験結果を表1〜5に示す。なお、各試験結果において、◎、○及び○△が合格レベルである。
密着性:各試験板I1、I1G、I15〜I43、及びI101〜I106にカッターで横方向の真ん中を中心にして、13mm幅の切り込みを縦方向全体(150mm)にわたって入れ、床置形精密万能試験機AUTOGRAPH AGS−Xplusシリーズ 20kN(島津製作所社製)を用いて浮動ローラー法(JIS K6854)によりマスキングテープ上から剥離した上塗塗膜部分をつかみ部としてつかみ具に設置し、23℃で引張速度152mm/minで引張り試験を行い、剥離強度あるいは破断強度を測定し、下記基準により評価した。
◎:破断強度が40N以上(剥離なし)
○:破断強度が25N以上かつ40N未満(剥離なし)
○△:剥離強度が25N以上
△:剥離強度が15N以上かつ25N未満
×:剥離強度が15N未満
耐薬品性:各試験板I1〜I14、I1G及びI101をリン酸エステル系作動油(Eastman社製)に23℃で168時間浸漬し、引き揚げたものを試験板とする以外は上記密着性の試験及び評価方法と同様にして、試験及び評価を行った。
耐エロージョン性:各試験板II1、II1G、II15〜II43、及びII102〜II106を簡易レインエロージョン試験機の回転ブレードに塗装面が上側になるように試験板を設置し、水温2℃の水滴をシャワーにより滴下しながら、羽根を速度75rpsで回転させ水滴を流量53.4ml/minで衝突させた。30分間運転毎にキズ及び剥離の程度を目視で観察し、下記基準により評価した。
◎:60分間運転後のキズの大きさは小さく、下地が露出していない、
○:60分間運転後のキズの大きさは小さいが、下地が露出している
○△:30分間運転後のキズの大きさは小さく、下地が露出していない
△:30分間運転後のキズの大きさは大きく、下地が露出している、
×:30分間運転後のキズの大きさはかなり大きく、下地も大きく露出している。
参考試験例(上塗塗料耐タレ性)
上塗塗料(Z1)及び(Z14)〜(Z16)について、以下のタレ性試験を行った。
150mm×450mm×0.3mmのイソプロピルアルコールを用いて脱脂したブリキ板を試験用の基材とした。ブリキ板下端部に幅24mm(150mm長のうち24mm分)のマスキングテープを貼り付けた後、垂直に置いた上記基材にスプレー塗装により、硬化膜厚が100〜300μmとなるように各上塗塗料を膜厚傾斜塗装し、塗装直後にマスキングテープを剥がし、基材を垂直のまま23℃で60分間セッティングした後、垂直のまま120℃で120分間硬化させることにより各試験板を得た。
各試験板の塗装部とマスキング部の境界で1cm以上のタレが見られた部分の塗装膜厚をタレ限界膜厚として、下記基準により評価した。
◎:250μm以上
○:200μm以上250μm未満
○△:150μm以上200μm未満
△:100μm以上150μm未満
×:100μm未満
各上塗塗料の評価結果は、上塗塗料(Z1)が◎、上塗塗料(Z14)が○、上塗塗料(Z15)が○△、上塗塗料(Z16)が×であった。
Figure 2020093198
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耐エロージョン性、密着性、耐化学薬品性のいずれの塗膜性能にも優れる複層塗膜が塗装された、車体、車両等の輸送機器、建機、産機等の大型機器等の部品等、工業製品のプラスチック基材の塗装物を得ることができる。

Claims (6)

  1. プラスチック基材上に複層塗膜を形成する塗膜形成方法であって、
    工程(1):プラスチック基材上にエポキシ樹脂及びアミン化合物を含有する下塗塗料(X)を塗装して、下塗塗膜を形成する工程、
    工程(2):該下塗塗膜上にポリビニルブチラール樹脂及びフェノール樹脂を含有する中塗塗料(Y)を塗装して、中塗塗膜を形成する工程、ならびに
    工程(3):該中塗塗膜上にウレタンエラストマー及び芳香族ジアミン化合物を含有する上塗塗料(Z)を塗装して、上塗塗膜を形成する工程、を含む複層塗膜形成方法。
  2. 中塗塗料(Y)のポリビニルブチラール樹脂の重量平均分子量が10000〜100000の範囲内である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  3. 上塗塗料(Z)のウレタンエラストマーが、オキシム化合物でブロックされた、末端イソシアネート基含有ブロック化ウレタンエラストマーである請求項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
  4. 上塗塗料(Z)の芳香族ジアミン化合物が、電子供与性基含有芳香族ジアミン化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法。
  5. 上塗塗料(Z)が、さらに、アマイド化合物を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の複層塗膜形成方法により塗装されたプラスチック基材物品。
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