以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の車両走行制御方法及び車両走行制御装置を適用したリモート駐車システム1を示すブロック図である。本明細書において「駐車」とは、駐車スペースへ車両を継続的に止めておくことをいうが、「駐車経路」という場合には、駐車スペースへの車庫入れ経路のみならず、駐車スペースからの車庫出し経路をも含むものとする。その意味で、本発明に係る「駐車時の車両走行制御方法及び車両走行制御装置」は、駐車スペースへの車庫入れ時の車両の走行制御と、駐車スペースからの車庫出し時の車両走行制御との両方が含まれる。なお、車庫入れを入庫とも言い、車庫出しを出庫とも言う。また、自律走行制御、自律駐車制御とは、ドライバの運転操作に依ることなく、車載された走行制御装置の自動制御により、車両を走行又は駐車(入庫又は出庫)させることをいうものとする。
本実施形態のリモート駐車システム1は、駐車スペースへの車庫入れ又は駐車スペースからの車庫出しをする場合に、自律走行制御によりこれらの車庫入れ又は車庫出しを行うシステムであるが、その操作途中でドライバが降車し、安全を確認しながら、遠隔操作器により実行指令を送信し続けることで、自律駐車制御を継続する。そして、車両が障害物と衝突するおそれがある場合には、停止指令を送信したり又は実行指令の送信を中止したりすることで、自律駐車制御を停止するものである。以下、遠隔操作を併用した車庫入れ自律走行制御モードをリモート入庫モード、遠隔操作を併用した車庫出し自律走行制御モードをリモート出庫モードともいう。
たとえば、幅狭の車庫や両隣に他車両が駐車している駐車場など、サイドドアが充分に開くほど余裕がない幅狭の駐車スペースでは、ドライバの乗降が困難となる。このような場合でも駐車を可能とするため、遠隔操作を併用したリモート入庫モードやリモート出庫モードが利用される。そして、車庫入れする場合には、リモート入庫モードを起動し、選択した駐車スペースへの入庫経路を演算して自律入庫制御が開始されたら、ドライバは遠隔操作器を所持して降車し、遠隔操作器により実行指令を送信し続けることで車庫入れを完了する。また、当該駐車スペースからの車庫出しする場合には、ドライバは所持した遠隔操作器を用いて車両の内燃機関又は駆動用モータをONし、さらにリモート出庫モードを起動し、選択した車庫出し位置への出庫経路を演算して自律出庫制御が開始されたら、ドライバは遠隔操作器により実行指令を送信し続けることで車庫出しを完了し、その後に乗車する。本実施形態のリモート駐車システム1は、このような遠隔操作を併用したリモート入庫モードと、同じく遠隔操作を併用したリモート出庫モードとを備えるシステムである。
本実施形態のリモート駐車システム1は、目標駐車スペース設定器11、車両位置検出器12、物体検出器13、遠隔操作器の位置検出器14、駐車経路生成部15、物体減速演算部16、経路追従制御部17、目標車速生成部18、操舵角制御部19、車速制御部20、路面表示パターン設定部21、パターン表示器22、及び遠隔操作器23を備える。以下、各構成を説明する。
目標駐車スペース設定器11は、リモート入庫モードの際には、自車両の周辺に存在する駐車スペースを探索し、駐車可能な駐車スペースの中から操作者に所望の駐車スペースを選択させ、この駐車スペースの位置情報(自車両の現在位置からの相対的位置座標や、緯度・経度など)を駐車経路生成部15に出力する。また、目標駐車スペース設定器11は、リモート出庫モードの際には、現在駐車している自車両の周囲に存在する出庫スペースを探索し、出庫可能な出庫スペースの中から操作者に所望の出庫スペースを選択させ、この出庫スペースの位置情報(自車両の現在位置からの相対的位置座標や、緯度・経度など)を駐車経路生成部15に出力する。なお、出庫スペースとは、リモート出庫モードの際に、操作者が出庫操作を行ったのち、乗車する際の自車両の一時停車位置をいう。
目標駐車スペース設定器11は、上述した機能を発揮するために、リモート入庫モード又はリモート出庫モードを入力操作する入力スイッチと、自車両の周囲を撮影する複数のカメラ(不図示,後述する物体検出器13を共用してもよい。)と、複数のカメラで撮影された画像データから駐車可能な駐車スペースを探索するソフトウェアプログラムがインストールされたコンピュータと、駐車可能な駐車スペースを含めた画像を表示するタッチパネル型ディスプレイと、を備える。そして、ドライバなどの操作者が、入力スイッチによりリモート入庫モードを選択すると、複数のカメラにより自車両の周囲の画像データを取得し、駐車可能な駐車スペースを含む画像をディスプレイに表示する。操作者が、表示された駐車スペースから所望の駐車スペースを選択すると、目標駐車スペース設定器11は、この駐車スペースの位置情報(自車両の現在位置からの相対的位置座標や、緯度・経度など)を駐車経路生成部15に出力する。なお、駐車可能な駐車スペースを探索する場合に、ナビゲーション装置の地図情報に詳細な位置情報を有する駐車場情報が含まれるときは、当該駐車場情報を用いてもよい。また、ドライバなどの操作者が、遠隔操作器23を用いて自車両の内燃機関又は駆動用モータを起動し、遠隔操作器23の入力スイッチによりリモート出庫モードを選択すると、複数のカメラにより自車両の周囲の画像データを取得し、出庫可能な出庫スペースを含む画像を遠隔操作器23のディスプレイに表示する。操作者が、表示された出庫スペースから所望の出庫スペースを選択すると、目標駐車スペース設定器11は、この出庫スペースの位置情報(自車両の現在位置からの相対的位置座標や、緯度・経度など)を駐車経路生成部15に出力する。
車両位置検出器12は、GPSユニット、ジャイロセンサ、および車速センサなどから構成され、GPSユニットにより複数の衛星通信から送信される電波を検出し、自車両の位置情報を周期的に取得するとともに、取得した自車両の位置情報と、ジャイロセンサから取得した角度変化情報と、車速センサから取得した車速とに基づいて、自車両の現在位置を検出する。車両位置検出器12により検出された自車両の位置情報は、所定時間間隔で駐車経路生成部15及び経路追従制御部17に出力される。
物体検出器13は、自車両の周辺に、障害物などの物体が存在するか否かを探索するものであり、カメラ、レーダー(ミリ波レーダー,レーザーレーダー,超音波レーダーなど)若しくはソナーなど、又はこれらを組み合わせたものを備える。これらのカメラ、レーダー若しくはソナー又はこれらを組み合わせたものは、自車両の周囲の外板部に装着されている。図2は、物体検出器13a〜13hの車両Vへの装着状態の一例を示す平面図であり、フロントバンパの中央13a及び両サイド13b,13c、リヤバンパの中央13d及び両サイド13e,13f、左右のセンターピラー下部のシルアウタ13g,13hの8箇所に物体検出器13a〜13hを装着した例を示す。物体検出器13a〜13hを総称する場合は、物体検出器13という。なお、図2に示す物体検出器13の装着位置及び数量は一例であって、同図に示す位置以外に装着してもよく、装着箇所についても、8箇所未満又は9箇所以上であってもよい。また物体検出器13は、カメラやレーダーなどで検出された物体の位置を特定するためのソフトウェアプログラムがインストールされたコンピュータを備え、特定された物体情報(物標情報)とその位置情報(自車両の現在位置からの相対的位置座標や、緯度・経度など)は、駐車経路生成部15と、物体減速演算部16と、路面表示パターン設定部21へ出力される。
図1に戻り、遠隔操作器23の位置検出器14は、後述する遠隔操作器23が車外に持ち出された場合に、その位置を特定するための装置であり、たとえば、図3に示すように、自車両Vの異なる位置に設けられた少なくとも2つのアンテナ24,24と、遠隔操作器23のアンテナ231と、車両Vのアンテナ24,24と遠隔操作器のアンテナ231との間の電波強度を検出するセンサと、センサにて検出された電波強度から三角測量法などを用いて遠隔操作器23の位置を演算するソフトウェアプログラムがインストールされたコンピュータと、から構成されている。遠隔操作器23の位置を特定するための電波は、所定時間間隔で継続して送信され、時々刻々変化する自車両Vに対する遠隔操作器23の位置を、たとえば自車両Vに対する相対的な位置情報として特定する。なお、遠隔操作器23の位置を特定するための電波は、遠隔操作器23からの実行指令信号を用いることができる。
遠隔操作器23の位置を特定するための電波は、遠隔操作器23のアンテナ231から車両Vのアンテナ24,24へ所定時間間隔で送信してもよいし、車両Vのアンテナ24,24から遠隔操作器23のアンテナ231へ所定時間間隔で送信してもよい。前者の場合は、車両Vのアンテナ24,24と遠隔操作器のアンテナ231との間の電波強度を検出するセンサと、センサにて検出された電波強度から三角測量法などを用いて遠隔操作器23の位置を演算するソフトウェアプログラムがインストールされたコンピュータは、車両Vに設けられ、後者の場合は遠隔操作器23に設けられる。遠隔操作器23の位置検出器14にて検出された遠隔操作器の位置情報(自車両Vに対する相対的な位置情報)は、路面表示パターン設定部21に出力される。なお、遠隔操作器23は操作者により車外へ持ち出されることから、遠隔操作器23の位置検出器14により検出される遠隔操作器23の位置情報は、操作者の位置情報でもある。
駐車経路生成部15は、予め記憶されている自車両の大きさ(車幅、車長及び最小回転半径など)と、目標駐車スペース設定器11からの目標駐車位置(リモート入庫モードの場合は駐車スペースの位置情報、リモート出庫モードの場合は出庫スペースの位置情報を言う。以下同じ。)と、車両位置検出器12からの自車両の現在位置情報と、物体検出器13からの物体(障害物)の位置情報とを入力し、自車両の現在位置から目標駐車位置に向かう駐車経路(リモート入庫モードの場合は入庫経路、リモート出庫モードの場合は出庫経路をいう。以下同じ。)であって、物体に衝突又は干渉しない駐車経路を演算する。図6A〜6Dは、リモート入庫モードの一例を示す平面図である。図6Aに示す自車両Vの現在位置において、ドライバが入力スイッチを操作してリモート入庫モードを選択すると、目標駐車スペース設定器11は3つの駐車可能な駐車スペースを探索してこれらを含む画像をディスプレイに表示し、これに対してドライバが駐車スペースPS1を選択したとする。この場合、駐車経路生成部15は、図6Aに示す現在位置から、図6B、図6C及び図6Dに示す駐車スペースPS1に至る入庫経路R1,R2を演算する。
なお、図6Dに示す駐車位置において、点線で示すように自車両Vの両隣に他車両V3,V4が駐車中であってドライバがドアを開いて乗車し難い場合には、リモート出庫モードにて自車両Vを出庫させることもできる。すなわち、図6Dに示す状態で、ドライバが遠隔操作器23を用いて自車両の内燃機関又は駆動用モータを起動し、遠隔操作器23の入力スイッチを操作してリモート出庫モードを選択すると、目標駐車スペース設定器11は、たとえば図6Bに示す出庫可能な出庫スペースS1を探索して遠隔操作器23のディスプレイに表示し、これに対してドライバが当該出庫スペースS1を選択したとする。この場合には、駐車経路生成部15は、図6Dに示す現在位置から、図6C及び図6Bに示す出庫スペースに至る出庫経路を演算する。以上のように、駐車経路生成部15は、リモート入庫モードの場合は、現在位置から駐車スペースに至る入庫経路を演算し、リモート出庫モードの場合は、現在位置から出庫スペースに至る出庫経路を演算する。そして、これらの入庫経路又は出庫経路を経路追従制御部17及び目標車速生成部18に出力する。
物体減速演算部16は、物体検出器13からの障害物その他の物体の位置情報を入力し、物体との距離と、車速とに基づいて、物体と衝突するまでの時間(TTC:Time to Collision)を演算し、自車両の減速開始タイミングを演算する。たとえば、図6A〜図6Dに示すリモート入庫モードにおいて、障害物としての物体が駐車場の壁Wである場合には、図6A〜図6Cに示すように壁Wとの距離が所定以上である場合は、車速を初期設定値とし、図6Dに示すように自車両Vが壁Wに衝突するまでの時間TTCが所定値以下になるタイミングで、自車両Vの車速を減速する。この減速開始タイミングは、目標車速生成部18に出力する。
経路追従制御部17は、駐車経路生成部15からの入庫経路又は出庫経路と、車両位置検出器12からの自車両の現在位置とに基づいて、所定時間間隔で自車両を入庫経路又は出庫経路に沿った経路に追従するための目標操舵角を演算する。図6A〜図6Dの入庫経路R1,R2についていえば、図6Aに示す現在位置から図6Bに示す切り返し位置まで直進する入庫経路R1の目標操舵角と、図6Bに示す切り返し位置から図6C及び図6Dに示す駐車位置まで左旋回する入庫経路R2の目標操舵角とを、自車両Vの現在位置ごとに所定時間間隔で演算し、操舵角制御部19に出力する。
目標車速生成部18は、駐車経路生成部15からの入庫経路又は出庫経路と、物体減速演算部16からの減速開始タイミングとに基づいて、所定時間間隔で自車両Vを入庫経路又は出庫経路に沿った経路に追従する際の目標車速を演算する。図6A〜図6Dの入庫経路についていえば、図6Aに示す現在位置から発進して図6Bに示す切り返し位置で停止する際の目標車速と、図6Bに示す切り返し位置から発進(後退)して図6Cに示す駐車位置の途中まで左旋回する際の目標車速と、図6Dに示す壁Wに接近する際の目標車速とを、自車両Vの現在位置ごとに所定時間間隔で演算し、車速制御部20に出力する。
操舵角制御部19は、経路追従制御部17からの目標操舵角に基づいて、自車両Vの操舵系システムに設けられた操舵アクチュエータを動作する制御信号を生成する。また、車速制御部20は、目標車速生成部18からの目標車速に基づいて、自車両Vの駆動系システムに設けられたアクセルアクチュエータを動作する制御信号を生成する。これら操舵角制御部19と車速制御部20とを同時に制御することで、自律駐車制御が実行される。
遠隔操作器23は、目標駐車スペース設定器11にて設定した自律駐車制御の実行を継続するか停止するかを、操作者Uが車外から指令する。そのため、経路追従制御部17及び目標車速生成部18(又はこれに代えて、操舵角制御部19及び車速制御部20でもよい)に実行継続指令信号又は実行停止信号を送信するための、短距離通信機能(図4に示すアンテナ231など)を備え、車両Vに設けられたアンテナ24,24との間で通信を行う。また、リモート出庫モードにおいては、自車両Vの駆動系システム(内燃機関又は駆動用モータ)の始動/停止スイッチと、リモート出庫モードを入力する入力スイッチと、出庫スペースを含む画像を表示するディスプレイとが必要とされるため、これらの機能を備えた携帯型コンピュータで構成することが好ましい。
ただし、リモート入庫モードのみを使用する場合は、少なくとも自律駐車制御の実行を継続するか停止するかの指令信号を送信すればよいので、たとえば無線施解錠キーに当該指令信号の実行/停止ボタンを設けたものでもよい。また、遠隔操作器23から経路追従制御部17及び目標車速生成部18(又はこれに代えて、操舵角制御部19及び車速制御部20でもよい)に実行継続指令信号又は実行停止信号を送信する手段は、電気通信回線網を用いてもよい。なお、遠隔操作器23と自車両Vの車載装置(経路追従制御部17及び目標車速生成部18)とは、短距離通信機能を介してペアリング処理(自車両Vが遠隔操作器23を認証して指令を受け付ける処理)が実行され、自車両Vが遠隔操作器23を認証した場合に限り、実行継続指令信号又は実行停止信号を受け付ける。
特に本実施形態のリモート駐車システム1では、視認可能なパターンを路面に表示するパターン表示器22と、このパターン表示器22を制御して、物体検出器13により物体を検出したときは、物体の検出方向に応じた所定パターンを路面の所定位置に表示する路面表示パターン設定部21と、を備える。
パターン表示器22は、LED照明装置やレーザ光照射装置などにより構成され、可視光を自車両Vの周囲の路面に向けて照射する。LED照明装置やレーザ光照射装置などにより構成されるパターン表示器22の装着位置は、たとえば図2に示すように、各物体検出器13a〜13hの近傍に、各物体検出器13a〜13hそれぞれに対応付けて並設することができる。図2は、パターン表示器22a〜22hの自車両Vへの装着状態の一例を示す平面図であり、上述した8箇所の物体検出器13a〜13hのそれぞれの近傍、すなわちフロントバンパの中央22a及び両サイド22b,22c、リヤバンパの中央22d及び両サイド22e,22f、左右のセンターピラー下部のシルアウタ22g,22hの8箇所にパターン表示器22a〜22hを装着した例を示す。なお、図2に示すパターン表示器22の装着位置及び数量は一例であって、同図に示す位置以外に装着してもよく、装着箇所についても、8箇所未満又は9箇所以上であってもよい。また、LED照明装置を自車両Vの全周に設け、自車両Vの周囲が同じセグメントになるように分けて表示するようにしてもよい。
また図3の上図及び下図は、このように8箇所に設けられた各パターン表示器22により路面に照射されるパターンPの例を示す図である。図3の上図に示す例は、各物体検出器13a〜13hそれぞれの検出範囲を示すパターンとした例であり、図3の下図に示す例は、図形のパターンを表示した例である。図3の上図及び下図に示すパターンPは、各パターン表示器22により最大面積で照射した場合のパターンPを示すものであるが、後述するように、路面表示パターン設定部21により、各パターン表示器22による表示面積が可変とされ、またいずれのパターン表示器22をON/OFFするかも可変とされている。
路面表示パターン設定部21は、パターン表示器22による可視光のパターンPを設定する。可視光のパターンPは、物体検出器13による物体の検出方向に応じた所定パターンPを、路面の所定位置に表示する。ここで、路面表示パターン設定部21にて設定されるパターンPの形態例を説明する。いずれの形態例も、本発明の「物体の検出方向に応じた所定パターンPを路面の所定位置に表示する」ことに含まれるものである。
《第1表示形態例》
図7A及び図7Bは、図6A〜図6Dに示すようなリモート入庫モードによる自律駐車制御を実行中において、各パターン表示器22a〜22hによるパターンPを、各物体検出器13a〜13hによる検出方向に向かう路面の所定位置に表示する表示形態例を示す平面図である。この場合、物体検出器13により物体を検出しないときのパターンPは、物体検出器13の検出範囲に相関する面積のパターンとする一方、自車両Vと検出した物体(ここでは壁W)との距離が近いほど、パターンPの表示面積を小さくする。
図7Aに示す状態では、自車両Vの周囲に装着された8個の物体検出器13a〜13hのいずれも、物体を検出していないので、8個のパターン表示器22a〜22hにより路面に照射される各パターンPは、物体検出器13の検出範囲に相関する面積のパターンとする。ここで、物体検出器13の検出範囲に相関する面積とは、物体検出器13の検出範囲と同一の面積のほか、これに相似する面積をいう。これに対して、図7Bに示す状態では、自車両Vの後部が検出物体である壁Wに接近しているため、自車両Vと壁Wとの距離が近い物体検出器13d,13e,13fほど、これに対応するパターン表示器22d,22e,22fによるパターンPの面積を、他のパターン表示器22a〜22c,22g,22hによるパターンPの面積より小さくする。
具体的には、リヤバンパに装着された3つのパターン表示器22d,22e,22fによるパターンPの面積を、他の5つのパターン表示器22a〜22c,22g,22hによるパターンPの面積より小さく表示し、さらに、リヤバンパに装着された3つのパターン表示器22d,22e,22fによるパターンPのうち、中央に装着されたパターン表示器22dによるパターンPの面積を、リヤバンパの両サイドに装着された2つのパターン表示器22e,22fによるパターンPの面積より小さく表示する。これにより、車外に降車した操作者Uは、路面に表示されたパターンPとその大きさを視認することで、自車両Vのどの部分が障害物である壁Wに接近しているかをそのまま認識することができる。
《第2表示形態例》
図8A及び図8Bは、図6A〜図6Dに示すようなリモート入庫モードによる自律駐車制御を実行中において、各パターン表示器22a〜22hによるパターンPを、自車両Vの左右方向に沿う直線L1に対して線対称となる路面の所定位置に表示する表示形態例を示す平面図である。この場合、全てのパターン表示器22a〜22hによりパターンPを線対称の位置に表示してもよいが、特定のパターン表示器22a〜22hによりパターンPを線対称の位置に表示してもよい。図8A及び図8Bに示す表示形態例は、障害物(壁W)に接近する側であるリヤバンパに装着された3個の物体検出器13d,13e,13fによる検出状態を、自車両Vの左右方向に沿う直線L1に対して線対称となる路面、すなわちフロントバンパに装着された3個のパターン表示器22a,22b,22cにより、自車両Vの前部側の路面に表示する。なお、この表示形態例は、同図に示すように、遠隔操作器23(すなわち操作者U)が、自車両Vの前部側に位置する場合、自車両Vと遠隔操作器23(すなわち操作者U)との間の路面に表示する表示形態例でもある。
そして、図8Aに示す状態では、自車両Vのリヤバンパに装着された3個の物体検出器13d,13e,13fにより、何らの物体(壁W)も検出されていないので、フロントバンパに装着された3個のパターン表示器22a,22b,22cにより路面に照射される各パターンPは、物体検出器13d,13e,13fの検出範囲に相関する面積のパターンとする。これに対して、図8Bに示す状態では、自車両Vの後部が検出された物体である壁Wに接近し、自車両Vのリヤバンパに装着された3個の物体検出器13d,13e,13fにより検出される壁Wとの距離が短くなるので、これに対応するフロントバンパに装着された3個のパターン表示器22a,22b,22cによるパターンPの面積を小さく表示し、さらに、フロントバンパに装着された3つのパターン表示器22a,22b,22cによるパターンPのうち、中央に装着されたパターン表示器22aによるパターンPの面積を、フロントバンパの両サイドに装着された2つのパターン表示器22b,22cによるパターンPの面積より小さく表示する。
リモート入庫モード又はリモート出庫モードによる自律駐車を操作者Uが遠隔操作器23により操作する場合、自車両Vの進行方向に立つことは比較的少ないし、自車両Vと障害物である壁Wとの間に立つことも比較的少なく、通常は自車両Vの入庫経路又は出庫経路から外れた位置から操作することが多い。しかしながら、自車両Vが衝突する可能性があるのは自車両Vの進行方向に存在する障害物であるので、パターン表示器22によるパターンPを、自車両Vの左右方向に沿う直線L1に対して線対称となる路面の所定位置に表示することで、操作者Uは、路面に表示されたパターンPを視認するだけで、自車両Vが障害物である壁Wに接近しているかを認識することができる。
《第3表示形態例》
図9A及び図9Bは、図6A〜図6Dに示すようなリモート入庫モードによる自律駐車制御を実行中において、各パターン表示器22a〜22hによるパターンPを、自車両Vから遠隔操作器23に向かう路面の所定位置に表示する表示形態例を示す平面図である。この場合、複数のパターン表示器22a〜22hによりパターンPを自車両Vから遠隔操作器23に向かう路面の所定位置に表示してもよいが、最も遠隔操作器23に向かうパターン表示器22のみにより、最も接近する物体(壁W)の検出状態に応じたパターンPを路面に表示してもよい。図9A及び図9Bは、最も遠隔操作器23に向かうパターン表示器22のみにより、最も接近する物体(壁W)の検出状態に応じたパターンPを路面に表示する表示形態例を示す。この表示形態例では、遠隔操作器23の位置を検出する必要があるため、予め遠隔操作器23の位置検出器14により遠隔操作器23の位置を検出し、これを路面表示パターン設定部21に出力しておく。
そして、図9Aに示す状態では、自車両Vに装着された8個の物体検出器13により、何らの物体(壁W)も検出されていないので、自車両Vに装着された8個のパターン表示器22a〜22hのうち遠隔操作器23に向かうパターン表示器22bにより路面に照射される各パターンPは、物体検出器13の検出範囲に相関する面積のパターンとする。これに対して、図9Bに示す状態では、自車両Vの後部が検出された物体である壁Wに接近し、自車両Vに装着された8個の物体検出器13a〜13hのうちリヤバンパの中央に装着された物体検出器13dにより検出される壁Wとの距離が最も短くなるので、自車両Vに装着された8個のパターン表示器22a〜22hのうち遠隔操作器23に向かうパターン表示器22bによるパターンPの面積を、壁Wとの接近距離に応じて小さくする。これにより、操作者Uは、自分と自車両Vとの間の路面に表示されたパターンPを自分の位置を変えることなく視認することができ、そのままの位置で、自車両Vが障害物である壁Wに接近しているかを認識することができる。
《第4表示形態例》
本実施形態のリモート駐車システム1は、図10A及び図10Bに示す縦列駐車(入庫又は出庫)を遠隔操作により行う場合にも適用できる。すなわち、図10Aに示すように、2台の他車両V5,V6の間の駐車スペースPS4に、自車両Vを縦列駐車する場合、駐車経路生成部15は、予め記憶されている自車両の大きさ(車幅、車長及び最小回転半径など)と、目標駐車スペース設定器11からの目標駐車位置PS4と、車両位置検出器12からの自車両Vの現在位置情報と、物体検出器13からの物体(障害物である他車両V1,V2や壁Wなど)の位置情報とを入力し、自車両Vの現在位置から目標駐車位置PS4に向かう駐車経路であって、物体に衝突及び干渉しない駐車経路を演算する。たとえば、図10Aに示す自車両Vの現在位置において、ドライバが入力スイッチを操作してリモート入庫モード(縦列駐車)を選択すると、目標駐車スペース設定器11は、駐車可能な駐車スペースPS4を探索してディスプレイに表示し、これに対してドライバが駐車スペースPS4を選択したとする。この場合、駐車経路生成部15は、図10Aに示す現在位置から、図10Bに示す駐車スペースPS4に至る入庫経路を演算する。なお、縦列駐車をした状態から発進するリモート出庫モードにおいては、上述した図6Dに示す駐車位置からのリモート出庫モードの動作と同様の動作が行われる。
図11A及び図11Bは、図10A〜図10Dに示すようなリモート縦列入庫モードによる自律駐車制御を実行中において、各パターン表示器22a〜22hによるパターンPを、自車両Vの前後方向に沿う直線L2に対して線対称となる路面の所定位置に表示する表示形態例を示す平面図である。この場合、全てのパターン表示器22a〜22hによりパターンPを線対称の位置に表示してもよいが、特定のパターン表示器22a〜22hによりパターンPを線対称の位置に表示してもよい。図11A及び図11Bに示す表示形態例は、障害物(壁W)に接近する側である自車両Vの左側面に装着された3つの物体検出器13c,13f,13hによる検出状態を、自車両Vの前後方向に沿う直線L2に対して線対称となる路面、すなわち自車両Vの右側面に装着された3つのパターン表示器22b,22e,22gにより、自車両Vの右側の路面に表示する。なお、この表示形態例は、同図に示すように、遠隔操作器23(すなわち操作者U)が、自車両Vの右側に位置する場合、自車両Vと遠隔操作器23(すなわち操作者U)との間の路面に表示する表示形態例でもある。
そして、図11Aに示す状態では、自車両Vのフロントバンパの左側部と左側のシルアウタに装着された2個の物体検出器13c,13hにより、何らの物体(壁W)も検出されていないので、フロントバンパの右側部と右側のシルアウタに装着された2個のパターン表示器22b,22gにより路面に照射される各パターンPは、物体検出器13の検出範囲に相関する面積のパターンとする。一方、リヤバンパの左側部に装着された1個の物体検出器13fにより物体(壁W)の接近が検出されているので、リヤバンパの右側部に装着された1個のパターン表示器22eにより路面に照射される各パターンPは、物体検出器13の検出範囲に相関する面積より小さい面積のパターンとする。これに対して、図11Bに示す状態では、自車両Vの左側部が検出された物体である壁Wに接近し、自車両Vの左側部に装着された3個の物体検出器13c,13f,13hにより検出される壁Wとの距離が短くなるので、これに対応する自車両Vの右側部に装着された3個のパターン表示器22b,22e,22gによるパターンPの面積を小さく表示する。
リモート入庫モード又はリモート出庫モードによる自律縦列駐車を操作者Uが遠隔操作器23により操作する場合、自車両Vと障害物である壁Wとの間に立つことは比較的少なく、通常は自車両Vの縦列入庫経路又は縦列出庫経路から外れた位置から操作することが多い。しかしながら、自車両Vが衝突する可能性があるのは自車両Vが縦列駐車しようとする側部に存在する障害物、すなわち壁Wや前後の他車両V5,V6であるので、パターン表示器22によるパターンPを、自車両Vの前後方向に沿う直線L2に対して線対称となる路面の所定位置に表示することで、操作者Uは、路面に表示されたパターンPを視認するだけで、自車両Vが障害物である壁Wに接近しているかを認識することができる。
《第5表示形態例》
図12は、周囲が壁Wなどの障害物で囲まれた幅狭の車庫に対し、リモート入庫モードによる自律駐車制御を実行中において、各物体検出器13に対応する各パターン表示器22a〜22hによるパターンPを、自車両Vを回転中心Oとする回転対称となる路面の所定位置に表示する表示形態例を示す平面図である。この場合、全てのパターン表示器22a〜22hによりパターンPを回転対称の位置に表示してもよいが、特定のパターン表示器22a〜22hによりパターンPを回転対称の位置に表示してもよい。各物体検出器13に対応する全てのパターン表示器22a〜22hによりパターンPを回転対称の位置に表示する場合、図2に示す物体検出器13aに対してはパターン表示器22d、物体検出器13bに対してはパターン表示器22f、物体検出器13cに対してはパターン表示器22e、物体検出器13dに対してはパターン表示器22a、物体検出器13eに対してはパターン表示器22c、物体検出器13fに対してはパターン表示器22b、物体検出器13gに対してはパターン表示器22h、物体検出器13hに対してはパターン表示器22gをそれぞれ用いて表示する。
図12に示す表示形態例は、障害物(壁W)に接近する側であるリヤバンパに装着された3つの物体検出器13d,13e,13fによる検出状態を、自車両Vを回転中心Oとする回転対象となる路面、すなわちフロントバンパに装着された3つのパターン表示器22a,22c,22bにより、自車両Vの前部の路面に表示する。なお、この表示形態例は、同図に示すように、遠隔操作器23(すなわち操作者U)が、自車両Vの前部に位置する場合、自車両Vと遠隔操作器23(すなわち操作者U)との間の路面に表示する表示形態例でもある。
そして、図12に示す状態では、自車両Vの後部が検出された物体である壁Wに接近し、自車両Vのリヤバンパに装着された3個の物体検出器13d,13e,13fのうちリヤバンパの右サイドに装着された物体検出器13eにより検出される壁Wとの距離が短くなるので、これに対応するフロントバンパに装着された3個のパターン表示器22a,22c,22bのうちフロントバンパの左サイドに装着されたパターン表示器22cによるパターンPの面積を小さく表示し、他のパターン表示器22a,22bによるパターンPの面積は、物体検出器13d,13fの検出範囲に相関する面積のパターンとする。
リモート入庫モード又はリモート出庫モードによる自律駐車を操作者Uが遠隔操作器23により操作する場合、自車両Vの進行方向に立つことは比較的少ないし、自車両Vと障害物である壁Wとの間に立つことも比較的少なく、通常は自車両Vの入庫経路又は出庫経路から外れた位置から操作することが多い。しかしながら、自車両Vが衝突する可能性があるのは自車両Vの進行方向に存在する障害物であるので、パターン表示器22によるパターンPを、自車両Vを回転中心Oとする回転対象となる路面の所定位置に表示することで、操作者Uは、路面に表示されたパターンPを視認するだけで、自車両Vが障害物である壁Wに接近しているかを認識することができる。
《第6表示形態例》
図13は、周囲が壁Wなどの障害物で囲まれた幅狭の車庫に対し、リモート入庫モードによる自律駐車制御を実行中において、検出した物体に衝突するまでの衝突時間TTCを演算し、衝突時間が最も短い物体についてのパターンPのみを、自車両Vから遠隔操作器23に向かう路面の所定位置に表示する表示形態例を示す平面図である。この場合、衝突時間が短いほど路面に表示するパターンPの面積を相対的に小さくし、物体検出器13により何も物体が検出されずに衝突時間が充分長い場合は、物体検出器13の検出範囲に相関する面積のパターンとする。なお、衝突時間が最も短い物体についてのパターンPを表示するパターン表示器22は、図13に示す例でいえば、フロントバンパに装着された3個のパターン表示器22a,22b,22cの何れを用いてもよい。
この表示形態例では、物体と衝突するまでの時間TTCを演算する必要があるため、予め目標車速生成部18で生成された目標速度と、物体検出器13により検出された物体位置と、車両位置検出器12で検出された自車両の現在位置とから、物体と衝突するまでの時間TTCを演算し、これを路面表示パターン設定部21に出力しておく。この表示形態例のように、パターン表示器22により路面に表示するパターンPに時間の要素を加えることで、車外に降車した操作者Uは、路面に表示されたパターンPを視認することで、自車両Vと障害物である壁Wとの衝突時間を認識することができる。
以上、路面表示パターン設定部21にて実行されるパターン表示器22の表示形態例を示したが、これらの表示形態例のいずれか一つを路面表示パターン設定部21にて処理してもよい。またはこれに代えて、遠隔操作器23に路面表示パターン設定部21による表示形態を選択するスイッチを設け、操作者Uが遠隔操作中などに選択可能に構成してもよい。幾つかの表示形態例を遠隔操作器23にて切り換え可能に構成することで、操作者Uは、自分の位置に応じて最も視認し易いパターンを選択することができ、より一層、自車両Vと障害物である壁Wとの衝突時間を認識することができる。また、路面表示パターン設定部21は、パターン表示器22によるパターンPの表示に際し、起動時の所定時間だけは、物体検出器13の検出範囲を示すパターンとし、その後に上述した表示形態例に移行してもよい。
次に図5を参照して、本実施形態のリモート駐車システム1の制御フローを説明する。ここでは、図6Aに示す後退駐車又は図10Aに示す後退縦列駐車を自律駐車制御(入庫)により実行するシーンを説明する。まず、自車両Vが駐車スペースの近傍に到着したら、ステップS1にて、ドライバなどの操作者Uは、車載された目標駐車スペース設定器11のリモート駐車の開始スイッチをONしてリモート入庫モードを選択する。目標駐車スペース設定器11は、ステップS2にて、車載された複数のカメラなどを用いて自車両Vが駐車可能な駐車スペースを探索し、ステップS3にて駐車可能な駐車スペースがあるか否かを判定する。駐車可能な駐車スペースがある場合はステップS4へ進み、駐車可能な駐車スペースがない場合はステップS1へ戻る。ステップS2により駐車可能な駐車スペースが検出されない場合は、「駐車スペースがありません」といった言語表示または音声にて操作者に報知し、本処理を終了してもよい。
目標駐車スペース設定器11は、ステップS4にて、駐車可能な駐車スペースを車載ディスプレイに表示し、操作者Uに希望する駐車スペースの選択を促し、操作者Uが特定の駐車スペースを選択したら、その目標駐車位置情報を駐車経路生成部15へ出力する。駐車経路生成部15は、ステップS5において、自車両Vの現在位置と目標駐車位置とから、図6B〜図6D又は図10Bに示す駐車経路を生成するとともに、物体減速演算部16は、物体検出器13により検出された物体情報に基づいて、自律駐車制御時の減速開始タイミングを演算する。駐車経路生成部15により生成された駐車経路は経路追従制御部17へ出力され、物体減速演算部16により演算された減速開始タイミングは、目標車速生成部18へ出力される。
以上により自律駐車制御がスタンバイ状態となるので、操作者Uに自律駐車制御の開始の承諾を促し、操作者Uが開始を承諾することで自律駐車制御が開始される。図6Aに示す後退駐車においては、図6Aに示す現在位置から一旦前進し、図6Bに示す切り返し位置に到着したら、ステップS6にて操作者Uの降車を促したのち、図6Cに示すように左に操舵しながら後退し、図6Dに示す駐車スペースPS1まで直進する。また、図10Aに示す後退縦列駐車においては、図10Aに示す現在位置から一旦前進し、図10Bに示す切り返し位置に到着したら、ステップS6にて操作者Uの降車を促したのち、左に操舵しながら後退し、図10Bに示す駐車スペースPS4に縦列駐車する。
このような自律駐車制御を実行中に、ステップS6にて操作者Uが遠隔操作器23を持って降車すると、ステップS7にて、操作者Uは遠隔操作器23を起動する。なお、ステップS6からステップS9までの間は、自車両Vは停車状態とされる。ステップS8においては、遠隔操作器23と自車両Vとのペアリング処理が行われる。このペアリング処理により、自車両Vが遠隔操作器23を認証して指令の受け付けが可能になると、ステップS9にてリモート操作が開始され、遠隔操作器23の実行ボタンを押し続けることで、リモート駐車制御の実行が継続する。一方、操作者Uが遠隔操作器23の停止ボタンを押すと(又は実行ボタンを離すと)、リモート駐車制御の停止指令が、経路追従制御部17及び目標車速生成部18(又はこれに代えて、操舵角制御部19及び車速制御部20でもよい)に送信され、リモート駐車制御が一時停止する。なお、リモート駐車制御が一時停止した状態で安全が確認された場合など、再び操作者Uが遠隔操作器23の実行ボタンを押し続けることで、リモート駐車制御の実行が再開する。
操作者Uが車外に降車して遠隔操作器23の実行ボタンを押し続けると、経路追従制御部17は、駐車経路に沿った目標操舵角を操舵角制御部19へ逐次出力するとともに、目標車速生成部18は、駐車経路に沿った目標車速を車速制御部20へ逐次出力する。これにより、自車両Vは目標車速で駐車経路に沿って自律駐車制御を実行する。このとき、ステップS10において、物体検出器13は、自車両Vの周囲に存在する障害物などの物体の有無を検出し、ステップS11にて物体を検出した場合はステップS12へ進み、物体を検出しない場合はステップS15へ進む。なお、ステップS10から後述するステップS15までの処理は、ステップS16にて自車両Vが目標とする駐車スペースに到着するまでの間、所定時間間隔で実行される。
ステップS12からステップS15までの処理は、上述した路面表示パターン設定部21にて設定されるパターンPの表示形態例に応じて実行される。すなわち、ステップS12では、路面表示パターン設定部21は、操作者Uに把持された遠隔操作器23の位置を検出する。遠隔操作器23から自車両Vへのリモート操作の実行継続指令は、遠隔操作器23のアンテナ231から車両Vのアンテナ24,24への短距離通信にて行われることから、自車両Vに設けられた電波強度センサにより車両Vのアンテナ24,24と遠隔操作器のアンテナ231との間の電波強度を検出し、三角測量法などを用いて遠隔操作器23の位置を演算する。車両のアンテナ24,24の装着位置及びその距離は既知であるから、自車両Vに対する遠隔操作器23の相対位置を演算することができる。上述した第3表示形態例(図9A及び図9B)や、第6表示形態例(図13)では、パターン表示器22によるパターンPを自車両Vから遠隔操作器23に向かう路面の所定位置に表示するため、ステップS12にて遠隔操作器23の位置が検出される。なお、その他の表示形態例のように、遠隔操作器23の位置に拘らず、パターンPを表示する場合には、当該ステップS12を省略してもよい。
ステップS13では、路面表示パターン設定部21は、物体検出器13により検出された障害物などの物体と、自車両Vとの衝突時間を演算する。物体検出器13により障害物までの距離が検出され、目標車速生成部18により目標車速が生成されるので、これらの情報により、自車両Vが物体と衝突するまでの時間TTCが演算される。上述した第6表示形態例(図13)では、物体と衝突するまでの時間TTCに応じた面積のパターンPが路面に表示されるため、ステップS13にて衝突時間TTCが演算される。なお、その他の表示形態例のように、物体と衝突するまでの時間TTCに拘らず、パターンPを表示する場合には、当該ステップS13を省略してもよい。
ステップS14では、路面表示パターン設定部21は、物体の検出方向に応じたパターンPを路面の所定位置に表示するように、パターン表示器22を制御する。ここでいう物体の検出方向に応じたパターンとは、上述した第1表示形態例から第6表示形態例のいずれかを含む意味である。すなわち、各パターン表示器22a〜22hによるパターンPを、各物体検出器13a〜13hによる検出方向に向かう路面の所定位置に表示する第1表示形態例(図7A及び図7B)、各パターン表示器22a〜22hによるパターンPを、自車両Vの左右方向に沿う直線L1に対して線対称となる路面の所定位置に表示する第2表示形態例(図8A及び図8B)、各パターン表示器22a〜22hによるパターンPを、自車両Vから遠隔操作器23に向かう路面の所定位置に表示する第3表示形態例(図9A及び図9B)、各パターン表示器22a〜22hによるパターンPを、自車両Vの前後方向に沿う直線L2に対して線対称となる路面の所定位置に表示する第4表示形態例(図10A及び図10B)、各パターン表示器22a〜22hによるパターンPを、自車両Vを回転中心Oとする回転対称となる路面の所定位置に表示する第2表示形態例(図12)、物体との衝突時間が最も短い物体についてのパターンPのみを、自車両Vから遠隔操作器23に向かう路面の所定位置に表示する第6表示形態例(図13)の少なくともいずれかを含む。またこの場合に、物体との距離が近いほど、パターンPの表示面積を小さくする表示形態も含む。
ステップS15では、物体検出器13a〜13hにより何らの物体も検出されない場合には、路面表示パターン設定部21は、その物体検出器13a〜13hに相当するパターン表示器22a〜22hによるパターンを、検出範囲に相関する面積のパターンとする。なお、ステップS11にて実行される判断は、物体検出器13a〜13h毎に行われ、これに対するステップS14及びS15のパターンPの表示も、各物体検出器13a〜13hに対応するパターン表示器22a〜22h毎に行われる。
ステップS16にて、自車両Vが目標駐車スペースに到着したか否かを判断し、到着していない場合はステップS10へ戻り、自車両Vが目標駐車スペースに到着した場合は、以上の自律駐車制御を終了する。
以上のとおり、本実施形態のリモート駐車システム1によれば、自車両Vの外部にある遠隔操作器23からの実行指令又は停止指令に基づいて、自律走行制御機能を備えた自車両Vを自律走行制御により所定スペースに入庫させ、又は自律走行制御により所定スペースから出庫させる場合に、自車両Vの周辺に障害物などの物体が存在するか否かを探索し、物体を検出したときは、検出方向に応じた所定パターンを路面の所定位置に表示する。これにより、遠隔操作器23の操作者Uは、路面の所定位置に表示された所定パターンPの表示を視認することで、自車両Vの周囲に存在する障害物その他の物体の検出状態を把握することができる。そのため、操作者Uは、自律入庫又は自律出庫させる車両を適切に遠隔操作することができる。
また、本実施形態のリモート駐車システム1によれば、自車両Vと検出した物体との距離が近いほど、所定パターンPの表示面積を小さくするので、操作者Uは、パターンPを視認するだけで感覚的に自車両Vと物体との距離を把握することができる。
また、本実施形態のリモート駐車システム1によれば、物体を検出しないときの所定パターンPは、物体検出器13の検出範囲に相関する面積のパターンとするので、操作者Uは、パターンPを視認するだけで物体検出器13の検出範囲も把握することができる。
上記操舵角制御部19及び車速制御部20は本発明に係る走行制御器に相当し、上記目標駐車スペース設定器11、駐車経路生成部15、経路追従制御部17及び目標車速生成部18は本発明に係る制御器に相当し、上記路面表示パターン設定部21及び遠隔操作器23の位置検出器14は本発明に係る表示制御器に相当する。