JP2020091368A - 微粒子配向光反射制御フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】光反射制御が可能な磁性微粒子配向透明フィルムを提供する。【解決手段】光反射制御フィルム11は、バインダ12と光反射性材料とを含み、光反射性材料が、磁性微粒子13を含み、磁性微粒子13が、バインダ12中で配向していることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、微粒子配向光反射制御フィルムに関し、より詳細には、光反射制御が可能な磁性微粒子配向透明フィルムに関する。
従来、様々な分野において、外光の反射や遮光等の光制御技術が求められてきた。例えば、表示装置分野では、印刷等またはLCD等の表示装置によって表示された所定の情報を、第三者が覗き見することを困難にする覗き見防止媒体が存在している。このような覗き見防止媒体においては、三角柱状のプリズムを配列したプリズムシートを用いて、所定の範囲の角度から入射した光の全反射を生じさせにくくすることが提案されている(特許文献1参照)。さらに、半透過型表示体において、バックライトと、鏡面ルーバーフィルムと、光拡散フィルムとを積層させ、外光が豊富な環境下では外光を利用し、外光が不十分な環境下ではバックライトを利用して所定の表示機能を発揮することが提案されている(特許文献2参照)。
また、車両分野では、フロントガラスやリアガラスにおいて、再帰反射材を用いた角度選択透過性反射材を用いることで、室内への光や熱の侵入を防ぐことが提案されている(例えば、特許文献3参照)。さらに、農業や園芸分野では、外光を遮光するためのフィルムが存在している。例えば、金属を蒸着した防湿性透明フィルムの蒸着面に、酸化チタン粉末を混練したポリオレフィンまたは透明塗料からなる保護層を積層してなる遮光フィルムおよび遮光ネットが提案されている(特許文献4参照)。また、熱可塑性合成樹脂に黒色系顔料を配合して、全光線透過率を調節した農業用遮光フィルムが提案されている(特許文献5参照)。さらに、光安定剤を含有する一軸延伸高密度ポリエチレンフイルムの易接着処理をした面にアルミニウム箔を接着剤によりドライラミネートするとともにアルミニウム箔側に透明又は黒色のポリエチレン樹脂を積層した農業・園芸用遮光フィルムが提案されている(特許文献6参照)。
また、従来、表示装置分野において、特にプロジェクター用スクリーンとしてフレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートとを組み合わせたものが用いられてきたが、透明性に劣るものが常用されていた。近年、コンビニやデパート等の建物のショウウィンドウやイベントスペースの透明パーティション等に、その透明性を維持したまま商品情報や広告等を投影表示するために、透明スクリーンの需要は高まってきている。また、自動車のヘッドアップディスプレイにカーナビゲーションを投影表示したり、ウェアラブルディスプレイ等に情報を投影表示したりするために、透明スクリーンの需要はますます高まってきている。
近年、デジタルサイネージ用途においては省スペースを実現するために、透明スクリーンに対して近距離から映像光を投影可能なプロジェクター(いわゆる、短焦点型プロジェクター)を用いることが要望されている。例えば、短焦点型プロジェクター用透明スクリーンとしては、透明な第1の基材と、第1の基材に対してプロジェクターと反対側に配置された透明な第2の基材とを備え、第1の基材の内部には映像光を拡散させる拡散部材が配置され、第2の基材の内部には第2の基材の主面と平行な配列方向に沿って、それぞれ平行に配列された複数の光吸収材を備える透明スクリーンが提案されている(特許文献7参照)。
しかしながら、本発明者らは、特許文献1〜7には、以下の技術的課題が存在することを知見した。特許文献1に記載の覗き見防止媒体では、プリズムシートを用いており、プリズムシートの構造上、膜厚が薄くできず、様々な用途への適用・設計上の課題があった。特許文献2に記載の鏡面ルーバーフィルムは、フィルムの一方向にルーバー構造が並行配置されているが、光反射制御が十分ではなかった。さらに、鋳型による表面形状の転写により形成した板状鏡面領域に金属蒸着して形成しているが、生産性が低いという課題もあった。特許文献3に記載のフィルムでは、再帰反射材を用いたルーバー構造が一方向に並行配列されているが、光反射制御が十分ではなかった。さらに、構造が複雑であり、製造コストが高いという課題もあった。特許文献4〜6に記載の農業・園芸用遮光フィルムにおいては、任意の角度で入射する外光に合わせて光反射を制御できるものではなかった。特許文献7に記載の透明スクリーンでは、短焦点型プロジェクターから投影された映像光は第1の基材中の拡散部材(拡散微粒子)によって拡散されるが、映像光の入射角度が大きくなるほど、観察者側への反射性に劣り、正面輝度が低下して、映像の視認性が低下する課題があった。
また、従来、光反射制御用のフィルムを製造する場合には、樹脂に光反射性材料を添加し、混練した後、得られた樹脂組成物を用いて、フィルムを製膜することが一般的に行われてきた。この場合、光反射性材料は樹脂中に略均一に分散するか、あるいは一部で凝集を起こすため、フィルム中の光反射性材料の配向状態を制御することは容易ではなかった。
本発明は上記の技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光反射制御が可能な透明フィルムを提供することにある。また、本発明の目的は、当該透明フィルムを用いた透明スクリーン、および当該透明スクリーンと、短焦点型プロジェクターとを備えた映像投影システムを提供することにある。
本発明者らは、上記の技術的課題を解決するため、鋭意検討した結果、透明フィルムにおいて、透明バインダ中で磁性微粒子を任意の角度で配向させることで、透明でありながら、光反射制御が可能になることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の一態様によれば、
バインダと光反射性材料とを含む透明光反射制御フィルムであって、
前記光反射性材料が、磁性微粒子を含み、
前記磁性微粒子が、前記バインダ中で配向していることを特徴とする、光反射制御フィルムが提供される。
バインダと光反射性材料とを含む透明光反射制御フィルムであって、
前記光反射性材料が、磁性微粒子を含み、
前記磁性微粒子が、前記バインダ中で配向していることを特徴とする、光反射制御フィルムが提供される。
本発明の態様においては、前記磁性微粒子が、鉄、ニッケル、コバルト、およびこれらの金属を含む合金からなる群から選択される少なくとも1種の微粒子であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記磁性微粒子が磁性粒子以外の無機材料で被覆されていることが好ましい。
本発明の態様においては、前記無機材料で被覆された磁性微粒子が多層構造であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記磁性微粒子が、3.0μm以上30.0μm以下の鎖状クラスターを形成していることが好ましい。
本発明の態様においては、前記磁性微粒子が薄片状または扁平状であり、前記磁性微粒子の一次粒子の平均径が、0.01μm以上5μm以下であり、かつ平均アスペクト比が2以上300以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記磁性微粒子の含有量が、前記バインダに対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記バインダが、有機系バインダまたは無機系バインダであることが好ましい。
本発明の態様においては、前記有機系バインダが、電離放射線硬化性樹脂であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記光反射制御フィルムは、ヘイズが35%以下であり、全光線透過率が60%以上であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記磁性微粒子の配向角度が、1度以上90度以下であることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、上記の光反射制御フィルムの製造方法であって、
前記バインダ中に前記磁性微粒子を分散させて、分散体を得る工程、
前記分散体を成型する工程、
前記成型した分散体に磁場を印加して、前記磁性微粒子を配向させる工程、
前記磁性微粒子が配向した分散体を硬化させ、前記磁性微粒子の配向状態を固定化する工程、
により形成することを特徴とする、光反射制御フィルムの製造方法が提供される。
前記バインダ中に前記磁性微粒子を分散させて、分散体を得る工程、
前記分散体を成型する工程、
前記成型した分散体に磁場を印加して、前記磁性微粒子を配向させる工程、
前記磁性微粒子が配向した分散体を硬化させ、前記磁性微粒子の配向状態を固定化する工程、
により形成することを特徴とする、光反射制御フィルムの製造方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、上記の光反射制御フィルムを備えた、車両用部材が提供される。
本発明の別の態様によれば、上記の光反射制御フィルムを備えた、建物用部材が提供される。
本発明によれば、光反射制御が可能な磁性微粒子配向透明フィルムを提供することができる。このような光反射制御フィルムは、光反射制御が要求される各種用途に適用することができる。
特に、本発明によれば、当該光反射制御フィルムからなる透明映像投影層を備えた透明スクリーンを提供することができる。当該透明スクリーンは、短焦点型プロジェクターを用いて鮮明な映像光の投影が可能である。また、本発明の透明スクリーンは透明であるため、スクリーンの背景を視認することができる。すなわち、本発明の透明スクリーンは、短焦点型プロジェクターによって投影された映像光の視認性とスクリーンの背景の視認性を両立することができる。また、本発明によれば、当該透明スクリーンと、短焦点型プロジェクターとを備えた映像投影システムを提供することもできる。このような映像投影システムは、デジタルサイネージ用途において省スペースを実現することができる。
<光反射制御フィルム>
本発明の光反射制御フィルムは、バインダと、バインダ中で配向した光反射性材料とを含んでなり、光反射性材料としては磁性微粒子を用いることができる。磁性微粒子は、バインダ中で鎖状クラスターを形成しながら任意の角度で配向しており、略等間隔で略平行に配列している。本発明においては、バインダ中で任意の角度で配列している磁性微粒子からなる鎖状クラスターによって、光反射制御フィルムに入射した外光の反射を制御することができる。そのため、本発明の光反射制御フィルムは、光反射制御が要求される各種用途に用いることができる。例えば、外光反射フィルム、視野角制限フィルム、および外光遮断フィルム等として用いられ、このような光制御フィルムはディスプレイ用、車両用、建物用、看板・標識用、農業用、園芸用等の様々な分野で用いることができる。特に、本発明の透明な光反射制御フィルムは透明スクリーンの透明映像投影層に用いることが好ましい。なお、本発明において、「透明」とは、用途に応じた透過視認性を実現できる程度の透明性があれば良く、半透明であることも含まれる。
本発明の光反射制御フィルムは、バインダと、バインダ中で配向した光反射性材料とを含んでなり、光反射性材料としては磁性微粒子を用いることができる。磁性微粒子は、バインダ中で鎖状クラスターを形成しながら任意の角度で配向しており、略等間隔で略平行に配列している。本発明においては、バインダ中で任意の角度で配列している磁性微粒子からなる鎖状クラスターによって、光反射制御フィルムに入射した外光の反射を制御することができる。そのため、本発明の光反射制御フィルムは、光反射制御が要求される各種用途に用いることができる。例えば、外光反射フィルム、視野角制限フィルム、および外光遮断フィルム等として用いられ、このような光制御フィルムはディスプレイ用、車両用、建物用、看板・標識用、農業用、園芸用等の様々な分野で用いることができる。特に、本発明の透明な光反射制御フィルムは透明スクリーンの透明映像投影層に用いることが好ましい。なお、本発明において、「透明」とは、用途に応じた透過視認性を実現できる程度の透明性があれば良く、半透明であることも含まれる。
本発明による光反射制御フィルムの一実施形態の厚さ方向の断面図および正面図を図1に示す。断面図では、光反射制御フィルム11は、バインダ12と、光反射性材料として磁性微粒子13とを含む。磁性微粒子13は、バインダ12中で、鎖状クラスター13’を形成しながら任意の角度で配向しており、略等間隔で略平行に配列している。ここで、磁性微粒子13の配向角度αは、光反射制御フィルム11の厚さ方向の法線方向に対して成す角度とする。また、正面図では、鎖状クラスター13’は、光反射制御フィルム11のバインダ12中に、略均一に分散している。以下、光反射制御フィルムの各構成について、詳述する。
(光反射性材料)
本発明において、光反射性材料は磁性微粒子を含む。磁性微粒子の種類は特に限定されず、磁場の印加によってバインダ中で任意の角度で配向するものであれば良い。磁場の印加方法は特に限定されず、従来公知の方法によって行うことができる。
本発明において、光反射性材料は磁性微粒子を含む。磁性微粒子の種類は特に限定されず、磁場の印加によってバインダ中で任意の角度で配向するものであれば良い。磁場の印加方法は特に限定されず、従来公知の方法によって行うことができる。
上述の通り、従来の光反射制御用のフィルムの製造では、フィルム中の光反射性微粒子は略均一に分散するか、あるいは一部で凝集を起こすため、フィルム中の光反射性材料の配向状態を制御することは容易ではなかった。本発明においては、バインダと磁性微粒子を含む分散体をフィルム状に成型し、そのフィルムの厚み方向に任意の方法によって磁場を印加することで、フィルム中の磁性微粒子を磁力線に沿って配列させることができる。その際に、磁場の印加の方向や強さ、製造工程におけるフィルムの位置や搬送速度等の条件を変化させて、フィルム中を通過する磁力線の方向や位置を制御することで、配向状態の制御も可能となる。続いて、磁性微粒子が所望の角度で配向した状態でフィルムを硬化して、磁性微粒子の配向状態を固定化することで、磁性微粒子の配向状態を制御したフィルムを得ることができる。磁性微粒子を配向させてから固定化するまでの間に配向状態が緩和してしまうことを避けるために、分散体の粘度は、フィルムの成型方法、磁場の強さ、および配向から固定化までの時間に応じて適切に調整されることが望ましい。
本発明では、磁場の印加によってバインダ中で配向した磁性微粒子は、磁性微粒子自体も磁力を持って互いに引きつけ合うため、鎖状クラスターを形成しながら周期的に配向していると考えられる。例えば、図1に示すように、磁性微粒子13の鎖状クラスターは、磁性微粒子13が複数個数で珠繋ぎになったような構造を形成して、それらが略等間隔で略平行に配列していることが好ましい。磁性微粒子の鎖状クラスターの長さは、光反射制御フィルムの厚さに応じて適宜調節することができ、例えば、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.5μm以上であり、さらに好ましくは1μm以上であり、さらにより好ましくは5μm以上であり、また、好ましくは1mm以下であり、より好ましくは500μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下であり、さらにより好ましくは50μm以下である。磁性微粒子の鎖状クラスターの長さが上記範囲程度であれば、光反射制御の効果をより発揮することができる。磁性微粒子の鎖状クラスターの長さは、光反射制御フィルムの厚さ方向の断面を走査型電子顕微鏡(例えばPhenom−world社製Phenom ProX)を用いて測定した画像に基づき、測定することができる。
光反射制御フィルム中の磁性微粒子の配向角度は、特に限定されず、光反射制御フィルムの用途に応じて、適宜設定することができる。例えば、透明スクリーンの透明映像投影層として光反射制御フィルムを用いた場合、プロジェクターの投影角度に応じた適切な角度であれば良いが、好ましくは20度以上90度以下であり、より好ましくは30度以上80度以下であり、さらに好ましくは40度以上70度以下である。磁性微粒子の配向角度は、磁場の印加の条件により、任意の角度に調節することができる。磁性微粒子の配向角度は、光反射制御フィルムの厚さ方向の断面を走査型電子顕微鏡(例えば、Phenom−world社製Phenom ProX)を用いて測定した画像に基づき、測定することができる。
磁性微粒子としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、およびこれらの金属を含む合金等からなる微粒子が挙げられる。該合金としては、例えば、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金、鉄−クロム合金、鉄−シリコン合金、コバルト−クロム合金、コバルト−酸化チタン合金等が挙げられる。これらの磁性微粒子は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、これらの2種以上を混合もしくは積層してなる磁性微粒子を用いることができる。これらの磁性微粒子は、色調調整や反射率制御、耐食性付与等の機能性付与のために磁性粒子以外の無機材料(上記金属や合金を除く)で被覆してもよい。本発明においては、磁性微粒子の両面(表面)を磁性粒子以外の無機材料で被覆して機能層を設けた磁性微粒子を用いることが好ましい。例えば、磁性微粒子を、アルミニウム、銀、白金、および金等の金属や、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物で被覆することで光反射性を高めてもよいし、シリカ等で被覆することで表面劣化を抑制してもよい。このような機能層を設けた磁性微粒子は多層構造であることが好ましく、三層以上の構造であることがより好ましく、例えば、Al/Ni/Al、Al/Fe/Al、Al/Co/Al、SiO2/X(磁性微粒子)/SiO2等の三層構造が挙げられる。また、磁性微粒子の両面(表面)の機能層は、着色されていてもよい。
磁性微粒子の形状は、特に限定されないが、光反射性を高め、かつより明確な異方性を発現させるために、薄片状または扁平状であることが好ましい。また、磁性微粒子は、一次粒子の平均径が好ましくは0.01μm以上であり、より好ましくは0.1μm以上であり、さらに好ましくは0.5μm以上であり、さらにより好ましくは1μm以上であり、また、好ましくは5.0μm以下であり、より好ましくは4.0μm以下であり、さらに好ましくは3.0μm以下である。さらに、磁性微粒子は、平均アスペクト比(=磁性微粒子の平均径/平均厚さ)が好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上であり、さらに好ましくは5以上であり、また、好ましくは300以下であり、より好ましくは200以下であり、さらに好ましくは100以下である。磁性微粒子の平均径および平均アスペクト比が上記範囲内であると、透過視認性を損なわずに光の十分な散乱効果が得られることで、透明スクリーンに鮮明な映像を投影することができる。なお、本発明において、磁性微粒子の平均径は、粒子単体あるいは分散液であればレーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製MT3200II)を用いて測定することができる。フィルム中の粒子径は走査型電子顕微鏡による断面観察から求めることができる。また、平均アスペクト比は、走査型電子顕微鏡画像より算出することができる。
光反射制御フィルム中の磁性微粒子の含有量は、光反射制御フィルムの用途、磁性微粒子の種類や透過光強度に応じて適宜調節することができ、バインダに対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、さらにより好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは7.0質量%以下であり、さらに好ましくは5.0質量%以下であり、さらにより好ましくは3.0質量%以下である。磁性微粒子を上記範囲の濃度でバインダ中で配向させて光反射制御フィルムを形成することによって、光反射性を向上させることができる。例えば、透明スクリーンの透明映像投影層として光反射制御フィルムを用いた場合、プロジェクターから投影される映像光を十分に散乱反射することにより、映像光の視認性を向上することができる。
(添加剤)
光反射制御フィルムには、用途に応じて、上記光反射性微粒子以外にも従来公知の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、色材、蛍光材、および輝度向上材、等が挙げられる。色材としては、カーボンブラック、黒鉛、アゾ系色素、アントラキノン系色素、ペリノン系色素等の色素または染料を用いることができる。色材(カーボンブラック、黒鉛粒子等)を含むことで、光散乱層やそれを備える透明スクリーンの全光線透過率とヘイズとの設定の自由度を向上させることができる。また、色材を混合して色味を調整してもよい。さらに、輝度向上材としては、アルミニウム、銀、銅、白金、金、チタン、ニッケル、スズ、スズ−コバルト合金、インジウム、クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、および硫化亜鉛からなる金属系粒子、ガラスに金属または金属酸化物を被覆した光輝性材料、または天然雲母や合成雲母に金属酸化物を被覆した光輝性材料を添加してもよい。輝度向上材を添加することで、光反射制御フィルムを透明スクリーンとして用いた場合に、映像光の輝度を向上させることができる。また、液晶性化合物等を混合してもよい。
光反射制御フィルムには、用途に応じて、上記光反射性微粒子以外にも従来公知の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、色材、蛍光材、および輝度向上材、等が挙げられる。色材としては、カーボンブラック、黒鉛、アゾ系色素、アントラキノン系色素、ペリノン系色素等の色素または染料を用いることができる。色材(カーボンブラック、黒鉛粒子等)を含むことで、光散乱層やそれを備える透明スクリーンの全光線透過率とヘイズとの設定の自由度を向上させることができる。また、色材を混合して色味を調整してもよい。さらに、輝度向上材としては、アルミニウム、銀、銅、白金、金、チタン、ニッケル、スズ、スズ−コバルト合金、インジウム、クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、および硫化亜鉛からなる金属系粒子、ガラスに金属または金属酸化物を被覆した光輝性材料、または天然雲母や合成雲母に金属酸化物を被覆した光輝性材料を添加してもよい。輝度向上材を添加することで、光反射制御フィルムを透明スクリーンとして用いた場合に、映像光の輝度を向上させることができる。また、液晶性化合物等を混合してもよい。
(バインダ)
光反射制御フィルムは、透明性の高いフィルムを得るために、透明性の高い有機系バインダまたは無機系バインダを用いることが好ましい。透明性の高い有機系バインダとしては、樹脂、例えば、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂および、電離放射線硬化性樹脂等の自己架橋性樹脂を用いることができる。透明性の高い樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、およびフッ素系樹脂等が挙げられる。
光反射制御フィルムは、透明性の高いフィルムを得るために、透明性の高い有機系バインダまたは無機系バインダを用いることが好ましい。透明性の高い有機系バインダとしては、樹脂、例えば、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂および、電離放射線硬化性樹脂等の自己架橋性樹脂を用いることができる。透明性の高い樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、およびフッ素系樹脂等が挙げられる。
透明性の高い熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、およびポリスチレン系樹脂を用いることが好ましく、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびポリスチレン樹脂を用いることがより好ましい。これらの樹脂は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
透明性の高い電離放射線硬化型樹脂としては、アクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系、シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等のオリゴマー又はプレポリマー及び反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが好ましい。また、電離放射線硬化型樹脂は熱可塑性樹脂および溶剤と混合されたものであってもよい。電離放射線硬化型樹脂としては市販品を用いることができ、例えば、DIC(株)製ウレタンアクリレート型UV硬化型樹脂(商品名:ユニディックV−4025)等を使用することができる。
透明性の高い熱硬化性樹脂としては、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン系樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂が好ましい。
透明性の高い無機系バインダとしては、例えば、水ガラス、低軟化点を有するガラス材料、またはゾルゲル材料を挙げることができる。水ガラスとは、アルカリ珪酸塩の濃厚水溶液をいい、アルカリ金属としては通常ナトリウムが含まれている。代表的な水ガラスは、Na2O・nSiO2(n:正の任意の数)により示すことができ、市販品としては富士化学(株)社製珪酸ソーダを用いることができる。
低軟化点を有するガラス材料は、軟化温度が好ましくは150〜620℃の範囲にあるガラスであり、さらに好ましくは軟化温度が200〜600℃の範囲であり、最も好ましくは軟化温度が250〜550℃の範囲である。このようなガラス材料としては、PbO−B2O3系、PbO−B2O3−SiO2系、PbO−ZnO−B2O3系、酸成分及び金属塩化物を含む混合物を熱処理することにより得られる鉛フリー低軟化点ガラス等を挙げることができる。低軟化点ガラス材料には、微粒子の分散性および成形性向上のために、溶剤および高沸点有機溶剤等を混合することができる。
ゾルゲル材料は、熱や光、触媒などの作用により、加水分解重縮合が進行し、硬化する化合物群である。例えば、金属アルコキシド(金属アルコラート)、金属キレート化合物、ハロゲン化金属、液状ガラス、スピンオングラス、またはこれらの反応物であり、これらに硬化を促進させる触媒を含ませたものであってもよい。また、金属アルコキシド官能基の一部にアクリル基などの光反応性の官能基を有するものであってもよい。これらは、要求される物性に応じて、単独で用いても良いし、複数種類を組み合わせて用いても良い。ゾルゲル材料の硬化体とは、ゾルゲル材料の重合反応が十分に進行した状態を指す。ゾルゲル材料は、重合反応の過程において無機基材の表面と化学的に結合して、強く接着する。そのため、硬化物層としてゾルゲル材料の硬化体を用いることで、安定した硬化物層を形成することができる。
金属アルコキシドとは、加水分解触媒などによって任意の金属種を、水や有機溶剤と反応させて得られる化合物群であり、任意の金属種と、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、イソプロピル基等の官能基とが結合した化合物群である。金属アルコキシドの金属種としては、シリコン、チタン、アルミニウム、ゲルマニウム、ボロン、ジルコニウム、タングステン、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、スズなどが挙げられる。
例えば、金属種がシリコンの金属アルコキシドとしては、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン(MTES)、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、ジフェニルシランジオール、ジメチルシランジオールなどや、これら化合物群のエトキシ基が、メトキシ基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシ基などに置き換わった化合物群などが挙げられる。これらのなかでも、トリエトキシシラン(TEOS)、TEOSのエトキシ基をメトキシ基に置き換えたテトラメトキシシラン(TMOS)が特に好ましい。これらは単独で用いても良く、複数種類を組み合わせて用いることもできる。
(溶剤)
これらの有機系バインダ、無機系バインダは必要に応じて溶剤をさらに含むものであって良い。溶剤としては、有機溶剤に限定されず、一般の塗料組成物に用いられる溶剤が使用可能である。例えば、水をはじめとする親水性溶媒も使用可能である。また、本発明のバインダが液体である場合は溶剤を含有しなくてもよい。
これらの有機系バインダ、無機系バインダは必要に応じて溶剤をさらに含むものであって良い。溶剤としては、有機溶剤に限定されず、一般の塗料組成物に用いられる溶剤が使用可能である。例えば、水をはじめとする親水性溶媒も使用可能である。また、本発明のバインダが液体である場合は溶剤を含有しなくてもよい。
本発明による溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、n−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、ブトキシエチルエーテル、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノール、ベンジルオキシエタノール等のエーテルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、フェノール、クロロフェノール等のフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、2硫化炭素等の含ヘテロ元素化合物、水、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。溶剤の添加量は、バインダや微粒子の種類や後述する製造工程に好適な粘度範囲等に応じて、適宜調節することができる。
光反射制御フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、用途、生産性、取扱い性、および搬送性の観点から、好ましくは0.1μm〜20mmであり、より好ましくは0.2μm〜15mmであり、さらに好ましくは1μm〜10mmであり、さらにより好ましくは5μm〜5mmであ。光反射制御フィルムの厚さが上記範囲内であれば、光反射制御フィルム単体としての強度を保ち易い。光反射制御フィルムは、樹脂成型体であってもよく、ガラスや樹脂等からなる基材に形成した塗膜であってもよい。光反射制御フィルムは単層構成であってもよく、塗布等で2種以上の層を積層させる、または2種以上の光反射制御フィルムを粘着剤等で貼り合わせた複層構成であってもよい。
当該光反射制御フィルムは、透明性を維持するため、ヘイズが、好ましくは35%以下であり、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは25%以下であり、さらにより好ましくは20%以下であり、また、好ましくは1%以上であり、より好ましくは3%以上であり、さらに好ましくは5%以上であり、さらにより好ましくは10%以上である。全光線透過率が、好ましくは60%以上であり、より好ましくは65%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、さらにより好ましくは75%以上であり、また、好ましくは99%以下であり、より好ましくは96%以下であり、さらに好ましくは93%以下であり、さらにより好ましくは90%以下である。ヘイズおよび全光線透過率が上記範囲内であれば、透明性が高い光反射制御フィルムが得られる。なお、本発明において、透明スクリーンのヘイズおよび全光線透過率は、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、品番:SH−7000)を用いてJIS−K−7136およびJIS−K−7361に準拠して測定することができる。
当該光反射制御フィルムは、写像性が、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、さらにより好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、さらにより好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。写像性が上記範囲内であれば、光反射制御フィルムを透過して見える像が極めて鮮明となる。なお、本発明において、写像性とは、JIS K7374に準拠して、光学くし幅0.125mmで測定した時の像鮮明度(%)の値である。
(基材)
本発明の光反射制御フィルムは、少なくとも1つの基材と組み合わせて用いてもよい。例えば、第1の形態としては光反射制御フィルムが1つの基材上に形成された積層体として用いてもよい。第1の形態では、本発明の光反射制御フィルムを担持できる基材であれば、特に限定されずに用いることができる。また、第2の形態としては光反射制御フィルムが2つの基材で挟持された積層体として用いてもよい。第2の形態では、本発明の光反射制御フィルムを挟持できる基材であれば、特に限定されずに用いることができる。
本発明の光反射制御フィルムは、少なくとも1つの基材と組み合わせて用いてもよい。例えば、第1の形態としては光反射制御フィルムが1つの基材上に形成された積層体として用いてもよい。第1の形態では、本発明の光反射制御フィルムを担持できる基材であれば、特に限定されずに用いることができる。また、第2の形態としては光反射制御フィルムが2つの基材で挟持された積層体として用いてもよい。第2の形態では、本発明の光反射制御フィルムを挟持できる基材であれば、特に限定されずに用いることができる。
第1の形態および第2の形態のいずれにおいても、基材は透明性の高い材料からなることが好ましく、無機材料からなる基材および有機材料からなる基材のいずれも用いることができる。無機材料としては、例えば、ガラス、石英、サファイヤ等が挙げられる。有機材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂等が挙げられる。
基材の厚さは、耐久性、用途、生産性、取扱い性、および搬送性の観点から、好ましくは5μm〜50mm(50000μm)であり、より好ましくは50μm〜20mm(20000μm)であり、さらに好ましくは50μm〜10mm(10000μm)である。
<透明スクリーン>
本発明による透明スクリーンは、上記の光反射制御フィルムからなる透明映像投影層を備えるものである。透明スクリーンは、バインダ中で磁性微粒子を配向させた透明映像投影層において、短焦点型プロジェクターからの映像光の観察者側への反射性を向上させることで、鮮明な映像を視認することができる。
本発明による透明スクリーンは、上記の光反射制御フィルムからなる透明映像投影層を備えるものである。透明スクリーンは、バインダ中で磁性微粒子を配向させた透明映像投影層において、短焦点型プロジェクターからの映像光の観察者側への反射性を向上させることで、鮮明な映像を視認することができる。
当該透明スクリーンは、透明映像投影層のみからなる単層構成であってもよいし、保護層、基材層、粘着層、および反射防止層等の他の層をさらに備える複層構成の積層体であってもよい。また、当該透明スクリーンは、ガラスや透明パーティション等の支持体を備えてもよい。当該透明スクリーンは、短焦点型プロジェクターから投影される映像光を下記の透明映像投影層によって観察者側へ効率的に反射させることで、正面輝度を向上させることができ、鮮明な映像を視認可能とするものである。また、本発明の透明スクリーンは透明であるため、スクリーンの背景を視認することができる。すなわち、本発明の透明スクリーンは、短焦点型プロジェクターによって投影された映像光の視認性とスクリーンの背景の視認性を両立することができる。当該透明スクリーンは、ガラスウィンドウ、ヘッドアップディスプレイ、およびウェアラブルディスプレイ等に好適に用いることができ、特に短焦点型プロジェクター用透明スクリーンとして好適に用いることができる。さらに、本発明による光反射制御フィルムは、車両用部材や建物用部材にも好適に用いることができる。
透明スクリーンは、前面投影型スクリーン(反射型スクリーン)でもよく、背面投影型スクリーン(透過型スクリーン)でもよい。すなわち、本発明による透明スクリーンを備える映像投影システムにおいては、短焦点型プロジェクター(光源)の位置がスクリーンに対して観察者側にあってもよく、観察者と反対側にあってもよい。また、透明スクリーンは、平面であってもよく、曲面であってもよい。
当該透明スクリーンは、ヘイズが、好ましくは35%以下であり、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは25%以下であり、さらにより好ましくは20%以下であり、また、好ましくは1%以上であり、より好ましくは3%以上であり、さらに好ましくは5%以上であり、さらにより好ましくは10%以上である。全光線透過率が、好ましくは60%以上であり、より好ましくは65%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、さらにより好ましくは75%以上であり、また、好ましくは99%以下であり、より好ましくは96%以下であり、さらに好ましくは93%以下であり、さらにより好ましくは90%以下である。ヘイズおよび全光線透過率が上記範囲内であれば、透明性が高く、透過視認性をより向上させることができるため、透明スクリーンとしての性能に優れる。なお、本発明において、透明スクリーンのヘイズおよび全光線透過率は、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、品番:SH−7000)を用いてJIS−K−7136およびJIS−K−7361に準拠して測定することができる。
当該透明スクリーンは、写像性が、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、さらにより好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、さらにより好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。当該透明スクリーンの写像性が上記範囲内であれば、透明スクリーンを透過して見える像が極めて鮮明となる。なお、本発明において、写像性とは、JIS K7374に準拠して、光学くし幅0.125mmで測定した時の像鮮明度(%)の値である。
(保護層)
保護層は、透明スクリーンの表面側(大気に触れる側)に積層されるものであり、耐光性、耐傷性、および防汚性等の機能を付与するための層である。保護層は、透明スクリーンの透過視認性や所望の光学特性を損なわないような材料を用いて形成することが好ましい。このような材料としては、例えば、紫外線・電子線によって硬化する樹脂、即ち、電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤を混合したもの、および熱硬化型樹脂を用いることができるが、これらの中でも電離放射線硬化型樹脂が特に好ましい。
保護層は、透明スクリーンの表面側(大気に触れる側)に積層されるものであり、耐光性、耐傷性、および防汚性等の機能を付与するための層である。保護層は、透明スクリーンの透過視認性や所望の光学特性を損なわないような材料を用いて形成することが好ましい。このような材料としては、例えば、紫外線・電子線によって硬化する樹脂、即ち、電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤を混合したもの、および熱硬化型樹脂を用いることができるが、これらの中でも電離放射線硬化型樹脂が特に好ましい。
電離放射線硬化型樹脂組成物の被膜形成成分は、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等のオリゴマー又はプレポリマー及び反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用できる。
上記電離放射線硬化型樹脂組成物を紫外線硬化型樹脂組成物とするには、この中に光重合開始剤としてアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等を混合して用いることができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するのが好ましい。
電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、前記電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法は通常の硬化方法、即ち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。例えば、電子線硬化の場合には、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速機から放出される50〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
保護層は、上記の透明映像投影層上に上記電離放射(紫外線)線硬化型樹脂組成物の塗工液をスピンコート、ダイコート、ディップコート、バーコート、フローコート、ロールコート、グラビアコート等の方法で、透明映像投影層の表面に塗布し、上記のような手段で塗工液を硬化させることにより形成することができる。また、保護層の表面には、目的に応じて、凹凸構造、プリズム構造、マイクロレンズ構造等の微細構造を付与することもできる。
(粘着層)
粘着層は、透明スクリーンにフィルムを貼付するための層である。粘着層は、透明スクリーンの透過視認性や所望の光学特性を損なわないような粘着剤組成物を用いて形成することが好ましい。粘着剤組成物としては、例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル樹脂系、ポリビニルエーテル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等が挙げられる。合成ゴム系の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体が挙げられる。シリコーン樹脂系の具体例としては、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの粘着剤は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、アクリル系粘着剤が好ましい。
粘着層は、透明スクリーンにフィルムを貼付するための層である。粘着層は、透明スクリーンの透過視認性や所望の光学特性を損なわないような粘着剤組成物を用いて形成することが好ましい。粘着剤組成物としては、例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル樹脂系、ポリビニルエーテル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等が挙げられる。合成ゴム系の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体が挙げられる。シリコーン樹脂系の具体例としては、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの粘着剤は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、アクリル系粘着剤が好ましい。
アクリル系樹脂粘着剤は、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを含んで重合させたものである。炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体であるのが一般的である。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸をいう。(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸sec−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ウンデシルおよび(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。 また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、通常は、アクリル系粘着剤中に30〜99.5質量部の割合で共重合されている。
粘着剤は市販のものを使用してもよく、例えば、SKダイン2094、SKダイン2147、SKダイン1811L、SKダイン1442、SKダイン1435、およびSKダイン1415(以上、綜研化学(株)製)、オリバインEG−655、およびオリバインBPS5896(以上、東洋インキ(株)製)等(以上、商品名)を好適に使用することができる。
(反射防止層)
反射防止層は、透明スクリーンの最表面での反射や、外光からの映りこみを防止するための層である。反射防止層は、透明スクリーンの表面側(大気側)に積層されるものであってもよく、両面に積層されるものであってもよい。特に透明スクリーンとして用いる際には観察者側に積層するのが好ましい。反射防止層は、透明スクリーンの透過視認性や所望の光学特性を損なわないような材料を用いて形成することが好ましい。このような材料としては、例えば、フッ化マグネシウムや二酸化ケイ素などの無機化合物やフッ素受持などの低屈折率材料の薄膜を用いることができるまた、反射防止層の表面には、目的に応じて、凹凸構造、プリズム構造、マイクロレンズ構造等の微細構造を付与することもできる。
反射防止層は、透明スクリーンの最表面での反射や、外光からの映りこみを防止するための層である。反射防止層は、透明スクリーンの表面側(大気側)に積層されるものであってもよく、両面に積層されるものであってもよい。特に透明スクリーンとして用いる際には観察者側に積層するのが好ましい。反射防止層は、透明スクリーンの透過視認性や所望の光学特性を損なわないような材料を用いて形成することが好ましい。このような材料としては、例えば、フッ化マグネシウムや二酸化ケイ素などの無機化合物やフッ素受持などの低屈折率材料の薄膜を用いることができるまた、反射防止層の表面には、目的に応じて、凹凸構造、プリズム構造、マイクロレンズ構造等の微細構造を付与することもできる。
反射防止層の形成方法としては、特に限定されないが、コーティングフィルムの貼合、フィルム基板に直接蒸着またはスパッタリング等でドライコートする方式、グラビア塗工、マイクログラビア塗工、バー塗工、スライドダイ塗工、スロットダイ塗工、デイップコート等のウェットコート処理などの方式を用いることができる。
(機能性層)
本発明による透明スクリーンは、上記の各層以外にも、従来公知の様々な機能性層を備えてもよい。機能性層としては、染料や着色剤等を含んだ光吸収層、プリズムシート、マイクロレンズシート、フレネルレンズシート、およびレンチキュラーレンズシート等の光拡散層、紫外線および赤外線等の光線カット層等が挙げられる。
本発明による透明スクリーンは、上記の各層以外にも、従来公知の様々な機能性層を備えてもよい。機能性層としては、染料や着色剤等を含んだ光吸収層、プリズムシート、マイクロレンズシート、フレネルレンズシート、およびレンチキュラーレンズシート等の光拡散層、紫外線および赤外線等の光線カット層等が挙げられる。
<光反射制御フィルムの製造方法>
本発明による光反射制御フィルムの製造方法は、バインダ中に磁性微粒子を任意の角度で配向させることができれば特に限定されない。以下、光反射制御フィルムの製造方法の一例を説明する。
本発明による光反射制御フィルムの製造方法は、バインダ中に磁性微粒子を任意の角度で配向させることができれば特に限定されない。以下、光反射制御フィルムの製造方法の一例を説明する。
例えば、光反射制御フィルムは下記の工程(1)〜(4)により形成することができる。
(1)上述のバインダ中に上述の磁性微粒子を分散させて、分散体を得る。分散方法は特に限定されず、従来公知の分散方法を用いることができる。例えば、バインダとしては、工程上の管理や磁性微粒子の分散・配向の観点からUV硬化型樹脂を用いることが好ましい。
(2)得られた分散体を成型する。例えば、基材層や支持体となるフィルム上に分散体を塗布して、必要に応じて分散体を加熱等により予備硬化させ、塗膜を形成して、成型する。
(3)成形した分散体に磁場を印加して、磁性微粒子を任意の角度に配向させる。磁場の強さや印加方法を調節することで、磁性微粒子の配向角度を調節することができる。
(4)磁性微粒子が配向した分散体を硬化させ、磁性微粒子の配向状態を固定化して、光反射制御フィルムを形成する。例えば、バインダとしてUV硬化型樹脂を用いる場合には、UV照射によって分散体を硬化させることができる。
(1)上述のバインダ中に上述の磁性微粒子を分散させて、分散体を得る。分散方法は特に限定されず、従来公知の分散方法を用いることができる。例えば、バインダとしては、工程上の管理や磁性微粒子の分散・配向の観点からUV硬化型樹脂を用いることが好ましい。
(2)得られた分散体を成型する。例えば、基材層や支持体となるフィルム上に分散体を塗布して、必要に応じて分散体を加熱等により予備硬化させ、塗膜を形成して、成型する。
(3)成形した分散体に磁場を印加して、磁性微粒子を任意の角度に配向させる。磁場の強さや印加方法を調節することで、磁性微粒子の配向角度を調節することができる。
(4)磁性微粒子が配向した分散体を硬化させ、磁性微粒子の配向状態を固定化して、光反射制御フィルムを形成する。例えば、バインダとしてUV硬化型樹脂を用いる場合には、UV照射によって分散体を硬化させることができる。
<透明スクリーンの製造方法>
本発明による透明スクリーンの製造方法は、上記で得られた光反射制御フィルムからなる透明映像投影層に、基材層、保護層、および粘着層等をさらに積層する工程を含んでもよい。各層の積層方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。各層をドライラミネートにより積層する場合には、透明スクリーンの透過視認性や所望の光学特性を損なわない範囲で接着剤等を使用してもよい。
本発明による透明スクリーンの製造方法は、上記で得られた光反射制御フィルムからなる透明映像投影層に、基材層、保護層、および粘着層等をさらに積層する工程を含んでもよい。各層の積層方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。各層をドライラミネートにより積層する場合には、透明スクリーンの透過視認性や所望の光学特性を損なわない範囲で接着剤等を使用してもよい。
<車両用部材>
本発明による車両用部材は、上記の透明スクリーンを備えてなる。車両用部材としては、フロントガラスやサイドガラス等が挙げられる。車両用部材は上記の透明スクリーンを備えることで、別途のスクリーンを設けなくても、車両用部材上に鮮明な画像を表示させることができる。
本発明による車両用部材は、上記の透明スクリーンを備えてなる。車両用部材としては、フロントガラスやサイドガラス等が挙げられる。車両用部材は上記の透明スクリーンを備えることで、別途のスクリーンを設けなくても、車両用部材上に鮮明な画像を表示させることができる。
<建物用部材>
本発明による建物用部材は、上記の透明スクリーンを備えてなる。建物用部材としては、住宅の窓ガラス、コンビニや路面店のガラス壁等を挙げることができる。建物用部材は上記の透明スクリーンを備えることで、別途のスクリーンを設けなくても、建物用部材上に鮮明な画像を表示させることができる。
本発明による建物用部材は、上記の透明スクリーンを備えてなる。建物用部材としては、住宅の窓ガラス、コンビニや路面店のガラス壁等を挙げることができる。建物用部材は上記の透明スクリーンを備えることで、別途のスクリーンを設けなくても、建物用部材上に鮮明な画像を表示させることができる。
<映像投影システム>
本発明による映像投影システムは、上記の透明スクリーンと、透明スクリーンに映像光を投影する短焦点型プロジェクターとを備えてなる。短焦点型プロジェクターは、透明スクリーンに対して45度以上、好ましくは50度以上、より好ましくは60度以上90度未満の投影角度で映像光を投影できるものであれば特に限定されない。短焦点型プロジェクターの投影角度とは、映像光が透明スクリーンの厚さ方向の法線方向に対して成す角度である。短焦点型プロジェクターは、例えば、市販のリアプロジェクターやフロントプロジェクターを用いることができる。
本発明による映像投影システムは、上記の透明スクリーンと、透明スクリーンに映像光を投影する短焦点型プロジェクターとを備えてなる。短焦点型プロジェクターは、透明スクリーンに対して45度以上、好ましくは50度以上、より好ましくは60度以上90度未満の投影角度で映像光を投影できるものであれば特に限定されない。短焦点型プロジェクターの投影角度とは、映像光が透明スクリーンの厚さ方向の法線方向に対して成す角度である。短焦点型プロジェクターは、例えば、市販のリアプロジェクターやフロントプロジェクターを用いることができる。
本発明による透明スクリーンおよび映像投影システムの一実施形態(フロント側観察)の模式図を図2に示す。映像投影システムは、透明スクリーン20と、透明スクリーン20に対して観察者26側の下方前方に配置された短焦点型プロジェクター25とを備える。透明スクリーン20は、バインダ22と、光反射性材料として磁性微粒子23とを含む透明映像投影層21とを備える。磁性微粒子23は、バインダ22中で、鎖状クラスター23’を形成しながら任意の角度で配向しており、略等間隔で略平行に配列している。ここで、磁性微粒子23の配向角度αは、透明映像投影層21の厚さ方向の法線方向に対して成す角度とする。透明スクリーン20は、透明映像投影層21を支持するための基材層24をさらに備えてもよい。短焦点型プロジェクター25から投影された映像光(入射光)27Aは、透明スクリーン20の前面側から入射し、透明映像投影層21で結像し、観察者26は映像光(反射光)27Bを視認できる。ここで、短焦点型プロジェクター25の映像光27Aの投影角度βは、透明映像投影層21の厚さ方向の法線方向に対して成す角度とする。
本発明による透明スクリーンおよび映像投影システムの一実施形態(リア側観察)の模式図を図3および図4に示す。図3に示す映像投影システムは、透明スクリーン30と、透明スクリーン30に対して観察者36と反対側の下方に配置された短焦点型プロジェクター35とを備える。透明スクリーン30は、バインダ32と、光反射性材料として磁性微粒子33とを含む透明映像投影層31とを備える。磁性微粒子33は、バインダ32中で、鎖状クラスター33’を形成しながら任意の角度で配向しており、略等間隔で略平行に配列している。ここで、磁性微粒子33の配向角度αは、透明映像投影層31の厚さ方向の法線方向に対して成す角度とする。透明スクリーン30は、透明映像投影層31を支持するための基材層34を短焦点型プロジェクター35側にさらに備えてもよい。短焦点型プロジェクター35から投影された映像光(入射光)37Aは、透明スクリーン30の背面側から入射し、透明映像投影層31で結像し、観察者36は映像光(反射光)37Bを視認できる。ここで、短焦点型プロジェクター35の映像光37Aの投影角度βは、透明映像投影層31の厚さ方向の法線方向に対して成す角度とする。なお、投影角度βは、観察者が映像光(反射光)を視認できるようなスクリーン30の縦方向(長手方向)の略中央部への投射角度である。
図4に示す映像投影システムは、透明スクリーン40と、透明スクリーン40に対して観察者46と反対側の下方に配置された短焦点型プロジェクター45とを備える。透明スクリーン40は、バインダ42と、光反射性材料として磁性微粒子43とを含む透明映像投影層41とを備える。磁性微粒子43は、バインダ42中で、鎖状クラスター43’を形成しながら任意の角度で配向しており、略等間隔で略平行に配列している。ここで、磁性微粒子43の配向角度αは、透明映像投影層41の厚さ方向の法線方向に対して成す角度とする。透明スクリーン40は、透明映像投影層41を支持するための基材層44を観察者46側にさらに備えてもよい。短焦点型プロジェクター45から投影された映像光(入射光)47Aは、透明スクリーン40の背面側から入射し、透明映像投影層41で結像し、観察者46は映像光(反射光)47Bを視認できる。ここで、短焦点型プロジェクター45の映像光47Aの投影角度βは、透明映像投影層41の厚さ方向の法線方向に対して成す角度とする。なお、投影角度βは、観察者が映像光(反射光)を視認できるようなスクリーン40の縦方向(長手方向)の略中央部への投射角度である。
以下、実施例と比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定解釈されるものではない。
実施例および比較例において、各種物性および性能評価の測定方法は次のとおりである。
(1)配向角度
走査型電子顕微鏡(Phenom−world社製Phenom ProX)を用いて光反射制御フィルムの厚さ方向の断面を測定した画像に基づき、光反射制御フィルム中の磁性微粒子の配向角度(光反射制御フィルム面の厚さ方向の法線方向に対して成す角度)を測定した。
(2)鎖状クラスターの長さ
走査型電子顕微鏡(Phenom−world社製Phenom ProX)を用いて光反射制御フィルムの厚さ方向の断面を測定した画像に基づき、光反射制御フィルム中の磁性微粒子が形成している鎖状クラスターの長さを測定した。
(3)ヘイズ
ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、品番:SH−7000)を用い、JIS K7136に準拠して測定した。
(4)全光線透過率
濁度計(日本電色工業(株)製、品番:SH−7000)を用い、JIS K7361−1に準拠して測定した。
(5)写像性
写像性測定器(スガ試験機(株)製、品番:ICM−1T)を用い、JIS K7374に準拠して、光学くし幅0.125mmで測定した時の像鮮明度(%)の値を写像性とした。像鮮明度の値が大きい程、透過写像性が高いことを示す。
(6)映像光視認性
超短焦点型プロジェクター(セイコーエプソン社製、EB−535W)を用いて、透明スクリ−ン面に対して下方から投影角度65度、50cm離れた位置から画像を投影した。次に、スクリ−ンの面上に焦点が合うようにプロジェクターの焦点つまみを調整した後、スクリ−ンの前方1mの箇所(スクリーンに対してプロジェクターと同じ側)からスクリ−ンに映し出された画像を目視で下記の評価基準により評価した。下記の評価基準が「2」以上であれば、超短焦点型プロジェクター用透明スクリーンとして用いることができる。
[評価基準]
4:極めて鮮明な映像を視認することができた。
3:鮮明な映像を視認することができた。
2:映像は多少暗かったが、鮮明な映像を視認することができた。
1:映像が不鮮明であり、超短焦点型プロジェクター用透明スクリーンとして使用するには不適であった。
(7)反射光異方度
当該光反射制御フィルムは、粒子がフィルム中でクラスターを形成し、そのクラスターが角度を持って配向している。このクラスターがフィルム内で疑似的に微小な反射面として作用し、光の入射角に応じて反射光量が変化する反射光異方性が発現する。この反射光異方性は三次元ゴニオフォトメーター(ニッカ電測(株)製、型番:GP−4)を用い、以下のようにして測定した。
測定ステージ上に置いたサンプルに対して、配向軸をx軸、配向軸と直交する軸をy軸、法線方向をz軸と定義する。光源をy−z平面においてz軸からy軸方向に15度傾けた位置に移動し、受光器をx−z平面上で−80度から+80度の範囲で10度刻みで移動させながら、各角度での反射光量を測定した。さらに同様の方法で標準拡散板についても測定を行い、サンプルでの測定値を標準板での測定値で割って正規化した。(図5)。ここで言う配向軸、配向軸と直交する軸、および法線方向とは、図6に示すように定義される軸である。粒子が配向していない場合や、反射面が形成されていない場合は、本測定法による反射光強度プロファイルは角度ゼロを中心とした対称な形になるが、適切な反射面が形成されていれば、銅プロファイルは非対称な形となり、光反射制御フィルムとして機能することを意味する。例として、同一の分散体を用いて作製した光反射制御フィルム(配向フィルム)と無配向フィルムについて測定した結果の例を図8に示す。このような配向フィルムでは全光線透過率が0度に対して非対称に変化し、すなわち、光反射制御フィルムとして機能することが分かる。一方、無配向フィルムでは反射光強度が0度に対して対称に変化している。
ここで、配向フィルムにおける反射光強度の非対称性を反射光異方度αとして以下の数式に基づき定義した。
ここで数式(1)中、Rθは測定角度θにおける反射光強度、R-θは測定角度−θにおける反射光強度、nはRθとR−θの組の数であり、−80度から+80度まで10度刻みで測定した場合は8である。反射光異方度は、その数値が大きいほど角度による反射光の変化が大きいことを意味する。
(1)配向角度
走査型電子顕微鏡(Phenom−world社製Phenom ProX)を用いて光反射制御フィルムの厚さ方向の断面を測定した画像に基づき、光反射制御フィルム中の磁性微粒子の配向角度(光反射制御フィルム面の厚さ方向の法線方向に対して成す角度)を測定した。
(2)鎖状クラスターの長さ
走査型電子顕微鏡(Phenom−world社製Phenom ProX)を用いて光反射制御フィルムの厚さ方向の断面を測定した画像に基づき、光反射制御フィルム中の磁性微粒子が形成している鎖状クラスターの長さを測定した。
(3)ヘイズ
ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、品番:SH−7000)を用い、JIS K7136に準拠して測定した。
(4)全光線透過率
濁度計(日本電色工業(株)製、品番:SH−7000)を用い、JIS K7361−1に準拠して測定した。
(5)写像性
写像性測定器(スガ試験機(株)製、品番:ICM−1T)を用い、JIS K7374に準拠して、光学くし幅0.125mmで測定した時の像鮮明度(%)の値を写像性とした。像鮮明度の値が大きい程、透過写像性が高いことを示す。
(6)映像光視認性
超短焦点型プロジェクター(セイコーエプソン社製、EB−535W)を用いて、透明スクリ−ン面に対して下方から投影角度65度、50cm離れた位置から画像を投影した。次に、スクリ−ンの面上に焦点が合うようにプロジェクターの焦点つまみを調整した後、スクリ−ンの前方1mの箇所(スクリーンに対してプロジェクターと同じ側)からスクリ−ンに映し出された画像を目視で下記の評価基準により評価した。下記の評価基準が「2」以上であれば、超短焦点型プロジェクター用透明スクリーンとして用いることができる。
[評価基準]
4:極めて鮮明な映像を視認することができた。
3:鮮明な映像を視認することができた。
2:映像は多少暗かったが、鮮明な映像を視認することができた。
1:映像が不鮮明であり、超短焦点型プロジェクター用透明スクリーンとして使用するには不適であった。
(7)反射光異方度
当該光反射制御フィルムは、粒子がフィルム中でクラスターを形成し、そのクラスターが角度を持って配向している。このクラスターがフィルム内で疑似的に微小な反射面として作用し、光の入射角に応じて反射光量が変化する反射光異方性が発現する。この反射光異方性は三次元ゴニオフォトメーター(ニッカ電測(株)製、型番:GP−4)を用い、以下のようにして測定した。
測定ステージ上に置いたサンプルに対して、配向軸をx軸、配向軸と直交する軸をy軸、法線方向をz軸と定義する。光源をy−z平面においてz軸からy軸方向に15度傾けた位置に移動し、受光器をx−z平面上で−80度から+80度の範囲で10度刻みで移動させながら、各角度での反射光量を測定した。さらに同様の方法で標準拡散板についても測定を行い、サンプルでの測定値を標準板での測定値で割って正規化した。(図5)。ここで言う配向軸、配向軸と直交する軸、および法線方向とは、図6に示すように定義される軸である。粒子が配向していない場合や、反射面が形成されていない場合は、本測定法による反射光強度プロファイルは角度ゼロを中心とした対称な形になるが、適切な反射面が形成されていれば、銅プロファイルは非対称な形となり、光反射制御フィルムとして機能することを意味する。例として、同一の分散体を用いて作製した光反射制御フィルム(配向フィルム)と無配向フィルムについて測定した結果の例を図8に示す。このような配向フィルムでは全光線透過率が0度に対して非対称に変化し、すなわち、光反射制御フィルムとして機能することが分かる。一方、無配向フィルムでは反射光強度が0度に対して対称に変化している。
ここで、配向フィルムにおける反射光強度の非対称性を反射光異方度αとして以下の数式に基づき定義した。
<光反射制御フィルムの作製>
[実施例1]
真空蒸着によって成膜したAl/Ni/Al(膜厚20nm/20nm/20nm)積層薄膜を粉砕して、薄片状磁性微粒子(一次粒子の平均径:1.7μm、アスペクト比:28)を得た。バインダとして市販のUV硬化型樹脂(ポリマーアクリレート型)を用い、得られた磁性微粒子をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して1.2質量%添加し、分散液を得た。得られた分散液を、バーコーター(三井電気社製Table Coater Model TC−3)を用いて、A5版のPETフィルム(東洋紡社製2軸延伸PETフィルム、コスモシャインA4300、厚さ50μm)上に塗布し、塗膜(厚さ5μm)を形成して、成型した後、300mTの電磁石に通すことで磁場を印加した。磁場印加直後にUVを照射することで、磁性微粒子が特定の角度に配向した光反射制御フィルムからなる光反射制御フィルムを得た。
[実施例1]
真空蒸着によって成膜したAl/Ni/Al(膜厚20nm/20nm/20nm)積層薄膜を粉砕して、薄片状磁性微粒子(一次粒子の平均径:1.7μm、アスペクト比:28)を得た。バインダとして市販のUV硬化型樹脂(ポリマーアクリレート型)を用い、得られた磁性微粒子をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して1.2質量%添加し、分散液を得た。得られた分散液を、バーコーター(三井電気社製Table Coater Model TC−3)を用いて、A5版のPETフィルム(東洋紡社製2軸延伸PETフィルム、コスモシャインA4300、厚さ50μm)上に塗布し、塗膜(厚さ5μm)を形成して、成型した後、300mTの電磁石に通すことで磁場を印加した。磁場印加直後にUVを照射することで、磁性微粒子が特定の角度に配向した光反射制御フィルムからなる光反射制御フィルムを得た。
得られた光反射制御フィルムの厚さ方向の断面をデジタルマイクロスコープおよび走査型電子顕微鏡で観察した結果、磁性微粒子は均一に分散しておらず、鎖状クラスターを形成しながら配向していた。鎖状クラスターの長さは、5.5〜12.5μmの範囲内であり、平均値は9.0μmであった。また、上述の方法により、鎖状クラスターの配向角度を測定したところ、42度であった。また、上述の方法により、得られた光反射制御フィルムの性能を測定したところ、ヘイズは11%であり、全光線透過率は76%であり、写像性は79%、反射光異方度は36×10−4だった。また、上述の方法により、得られた光反射制御フィルムの映像光視認性を評価した結果、極めて鮮明な映像を視認することができた。
[実施例2]
スパッタリングによって成膜したニッケル−鉄合金薄膜を粉砕して、薄片状磁性微粒子(一次粒子の平均径:3.1μm、アスペクト比:48)を得た。得られた磁性微粒子をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して1.0質量%添加した以外は実施例1と同様にして、光反射制御フィルムを得た。
スパッタリングによって成膜したニッケル−鉄合金薄膜を粉砕して、薄片状磁性微粒子(一次粒子の平均径:3.1μm、アスペクト比:48)を得た。得られた磁性微粒子をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して1.0質量%添加した以外は実施例1と同様にして、光反射制御フィルムを得た。
得られた光反射制御フィルムの厚さ方向の断面をデジタルマイクロスコープおよび走査型電子顕微鏡で観察をした結果、磁性微粒子は均一に分散しておらず、鎖状クラスターを形成しながら配向していた。続いて、実施例1と同様にして、鎖状クラスターの長さ、磁性微粒子の配向角度、ヘイズ、全光線透過率、写像性、反射光異方度、および映像光視認性を測定、評価した。
[実施例3]
真空蒸着によって成膜したコバルト薄膜を粉砕して、薄片状磁性微粒子(一次粒子の平均径:2.6μm、アスペクト比:5.2)を得た。得られた磁性微粒子をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して1.3質量%添加した以外は実施例1と同様にして、光反射制御フィルムを得た。
真空蒸着によって成膜したコバルト薄膜を粉砕して、薄片状磁性微粒子(一次粒子の平均径:2.6μm、アスペクト比:5.2)を得た。得られた磁性微粒子をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して1.3質量%添加した以外は実施例1と同様にして、光反射制御フィルムを得た。
得られた光反射制御フィルムの厚さ方向の断面をデジタルマイクロスコープおよび走査型電子顕微鏡で表面観察をした結果、磁性微粒子は均一に分散しておらず、鎖状クラスターを形成しながら配向していた。続いて、実施例1と同様にして、鎖状クラスターの長さ、磁性微粒子の配向角度、ヘイズ、全光線透過率、写像性、反射光異方度、および映像光視認性を測定、評価した。
[実施例4]
スパッタリングによって成膜したコバルト−クロム合金薄膜を粉砕して、薄片状磁性微粒子(一次粒子の平均径:2.8μm、アスペクト比:5.6)を得た。得られた磁性微粒子をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して1.0質量%添加した以外は実施例1と同様にして、光反射制御フィルムを得た。
スパッタリングによって成膜したコバルト−クロム合金薄膜を粉砕して、薄片状磁性微粒子(一次粒子の平均径:2.8μm、アスペクト比:5.6)を得た。得られた磁性微粒子をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して1.0質量%添加した以外は実施例1と同様にして、光反射制御フィルムを得た。
得られた光反射制御フィルムの厚さ方向の断面をデジタルマイクロスコープおよび走査型電子顕微鏡で観察をした結果、磁性微粒子は均一に分散しておらず、鎖状クラスターを形成しながら配向していた。続いて、実施例1と同様にして、鎖状クラスターの長さ、磁性微粒子の配向角度、ヘイズ、全光線透過率、写像性、反射光異方度、および映像光視認性を測定、評価した。
[実施例5]
真空蒸着によって製膜したニッケル薄膜を粉砕して、薄片状磁性微粒子(一次粒子の平均径:2.8μm、アスペクト比:30)を得た。得られた磁性微粒子をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して1.2質量%添加した以外は実施例1と同様にして、光反射制御フィルムを得た。
真空蒸着によって製膜したニッケル薄膜を粉砕して、薄片状磁性微粒子(一次粒子の平均径:2.8μm、アスペクト比:30)を得た。得られた磁性微粒子をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して1.2質量%添加した以外は実施例1と同様にして、光反射制御フィルムを得た。
得られた光反射制御フィルムの厚さ方向の断面をデジタルマイクロスコープおよび走査型電子顕微鏡で観察をした結果、磁性微粒子は均一に分散しておらず、鎖状クラスターを形成しながら配向していた。続いて、実施例1と同様にして、鎖状クラスターの長さ、磁性微粒子の配向角度、ヘイズ、全光線透過率、写像性、反射光異方度、および映像光視認性を測定、評価した。
[比較例1]
磁性微粒子の代わりに薄片状アルミニウム微粒子(一次粒子の平均径:1.0μm、アスペクト比:25)をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して0.1質量%添加した以外は実施例1と同様にして、光反射制御フィルムを得た。
磁性微粒子の代わりに薄片状アルミニウム微粒子(一次粒子の平均径:1.0μm、アスペクト比:25)をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して0.1質量%添加した以外は実施例1と同様にして、光反射制御フィルムを得た。
得られた光反射制御フィルムの厚さ方向の断面をデジタルマイクロスコープおよび走査型電子顕微鏡で観察をした結果、フェライト粒子は分散しており、配向していなかった。続いて、実施例1と同様にして、ヘイズ、全光線透過率、写像性、反射光異方度、および映像光視認性を測定、評価した。
[比較例2]
磁性微粒子の代わりに酸化ジルコニウム微粒子(一次粒子の平均径:2.5μm、アスペクト比:1)をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して0.3質量%添加した以外は実施例1と同様にして、光反射制御フィルムを得た。
磁性微粒子の代わりに酸化ジルコニウム微粒子(一次粒子の平均径:2.5μm、アスペクト比:1)をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して0.3質量%添加した以外は実施例1と同様にして、光反射制御フィルムを得た。
得られた光反射制御フィルムの厚さ方向の断面をデジタルマイクロスコープでおよび走査型電子顕微鏡で観察をした結果、酸化ジルコニウム微粒子は分散しており、配向していなかった。続いて、実施例1と同様にして、ヘイズ、全光線透過率、写像性、反射光異方度、および映像光視認性を測定、評価した。
[比較例3]
磁性微粒子の代わりに酸化亜鉛微粒子(一次粒子の平均径:0.02μm、アスペクト比:1)をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して0.1質量%添加した以外は実施例1と同様にして、透明スクリーンを得た。
磁性微粒子の代わりに酸化亜鉛微粒子(一次粒子の平均径:0.02μm、アスペクト比:1)をUV硬化型樹脂中の固形分重量に対して0.1質量%添加した以外は実施例1と同様にして、透明スクリーンを得た。
得られた光反射制御フィルムの厚さ方向の断面をデジタルマイクロスコープおよび走査型電子顕微鏡で観察をした結果、酸化亜鉛微粒子は粒状の凝集体を形成しながら分散していたが、配向はしていなかった。続いて、実施例1と同様にして、ヘイズ、全光線透過率、写像性、反射光異方度、および映像光視認性を測定、評価した。
実施例および比較例で作製した光反射制御フィルムの評価結果を表1に示す。
11 光反射制御フィルム
12、22、32、42 バインダ
13、23、33、43 磁性微粒子
13’、23’、33’、43’ 鎖状クラスター
20、30、40 透明スクリーン
21、31、41 透明映像投影層
24、34、44 基材層
25、35、45 短焦点型プロジェクター
26、36、46 観察者
α 磁性微粒子の配向角度
β 短焦点型プロジェクターの投影角度
12、22、32、42 バインダ
13、23、33、43 磁性微粒子
13’、23’、33’、43’ 鎖状クラスター
20、30、40 透明スクリーン
21、31、41 透明映像投影層
24、34、44 基材層
25、35、45 短焦点型プロジェクター
26、36、46 観察者
α 磁性微粒子の配向角度
β 短焦点型プロジェクターの投影角度
Claims (14)
- バインダと光反射性材料とを含む透明光反射制御フィルムであって、
前記光反射性材料が、磁性微粒子を含み、
前記磁性微粒子が、前記バインダ中で配向していることを特徴とする、光反射制御フィルム。 - 前記磁性微粒子が、鉄、ニッケル、コバルト、およびこれらの金属を含む合金からなる群から選択される少なくとも1種の微粒子である、請求項1に記載の光反射制御フィルム。
- 前記磁性微粒子が磁性粒子以外の無機材料で被覆されている、請求項2に記載の光反射制御フィルム。
- 前記無機材料で被覆された磁性微粒子が多層構造である、請求項3に記載の光反射制御フィルム。
- 前記磁性微粒子が、3.0μm以上30.0μm以下の鎖状クラスターを形成している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光反射制御フィルム。
- 前記磁性微粒子が薄片状または扁平状であり、前記磁性微粒子の一次粒子の平均径が、0.01μm以上5.0μm以下であり、かつ平均アスペクト比が2以上300以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光反射制御フィルム。
- 前記磁性微粒子の含有量が、前記バインダに対して、0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光反射制御フィルム。
- 前記バインダが、有機系バインダまたは無機系バインダである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光反射制御フィルム。
- 前記有機系バインダが、電離放射線硬化性樹脂である、請求項8に記載の光反射制御フィルム。
- ヘイズが35%以下であり、かつ全光線透過率が60%以上である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光反射制御フィルム。
- 前記磁性微粒子の配向角度が、1度以上90度以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の光反射制御フィルム。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の光反射制御フィルムの製造方法であって、
前記バインダ中に前記磁性微粒子を分散させて、分散体を得る工程、
前記分散体を成型する工程、
前記成型した分散体に磁場を印加して、前記磁性微粒子を配向させる工程、
前記磁性微粒子が配向した分散体を硬化させて、前記磁性微粒子の配向状態を固定化する工程、
により形成することを特徴とする、光反射制御フィルムの製造方法。 - 請求項1〜11のいずれか一項に記載の光反射制御フィルムを備えた、車両用部材。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の光反射制御フィルムを備えた、建物用部材。
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