以下、添付図面を参照しながら、本開示を実施するための形態(以下「実施形態」という。)及びその実施例について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については同一の符号を用いることにより適宜説明を省略する。図面に描かれた形状は、当業者が理解しやすいように描かれているため、実際の寸法及び比率とは必ずしも一致していない。各平面透視図では、直接目視できない構成の一部が実線で描かれている。
<実施形態1>
図1乃至図7に示すように、本実施形態1の水晶デバイス10は、パッケージ110と、パッケージ110の上面110cに接合された水晶素子120と、パッケージ110の下面110dに接合された感温素子150とを含む。パッケージ110には、基板110aの上面110cと枠体110bの内側面とによって囲まれた収容部K1、及び、基板110aの下面110dと実装枠体160の内側面とによって囲まれた凹部K2が、それぞれ形成されている。水晶デバイス10は、例えば、電子機器等で使用する基準信号を出力するのに用いられる。
基板110aは、矩形状であり、上面110cに水晶素子120が実装され、下面110dに感温素子150が実装される。そのため、図5[A]に示すように、水晶素子120を実装するための一対の電極パッド111a,111bが基板110aの上面110cに設けられ、図6[A]に示すように、感温素子150を実装するための一対の電極パッド117a,117bが基板110aの下面110dに設けられている。
図6[A]に示すように、基板110aの下面110dの四隅には、接合端子112a〜112dが設けられている。それらのうちの二つの接合端子112a,112bが水晶素子120に電気的に接続され、残りの二つの接合端子112c,112dが感温素子150に電気的に接続されている。水晶素子120に電気的に接続される接合端子112a,112bは基板110aの下面110dの一方の対角に位置し、感温素子150に電気的に接続される接合端子112c,112dは基板110aの下面110dの他方の対角に位置する。
基板110aは、例えばアルミナセラミックス又はガラスセラミックス等のセラミック材料からなる一層又は複数層の絶縁層である。図5[B]に示すように、基板110aの上面110cには配線パターン113a,113bが設けられ、基板110aの内部にはビア導体114a〜114cが設けられている。図5[B]及び図6[A]に示すように、配線パターン113a,113b及びビア導体114a,114bは、基板110aの上面110cに設けられた電極パッド111a,111bと、基板110aの下面110dに設けられた接合端子112a,112bとを、電気的に接続している。図6[A]に示すように、基板110aの下面110dには、電極パッド117a,117bと接合端子112c,112dとを電気的に接続する接続パターン118a,118bが設けられている。
枠体110bは、基板110aの上面110cの外周縁に沿って配置され、基板110aの上面110cに収容部K1を形成する。枠体110bは、例えばアルミナセラミックス又はガラスセラミックス等のセラミック材料からなり、基板110aと一体的に形成される。
電極パッド111a,111bは、基板110aの上面110cに水晶素子120を実装するためのものであり、基板110aの一辺に沿うように隣接して一対設けられている。電極パッド111aは配線パターン113a及びビア導体114aを介して接合端子112aに電気的に接続され、電極パッド111bは配線パターン113b及びビア導体114bを介して接合端子112bに電気的に接続されている。
接合端子112a〜112dは、基板110aの下面110dの四隅に設けられ、実装枠体160の接合パッド161a〜161dに電気的に接続されている。接合端子112a,112bは、基板110aの上面110cに設けられた一対の電極パッド111a,111bにそれぞれ電気的に接続されている。接合端子112cは、ビア導体114cを介して、封止用導体パターン119と電気的に接続されている。接合端子112a〜112dと実装枠体160の接合パッド161a〜161dとの間には、導電性接合材170a〜170d(図3、図4及び図7[A])が設けられている。
図5[B]に示すように、配線パターン113a,113bは、基板110aの上面110cに設けられ、電極パッド111a,111bから近傍のビア導体114a,114bに向けて引き出される。
ビア導体114a〜114cは、基板110aの内部に設けられている。ビア導体114a,114bは、上端が配線パターン113a,113bに、下端が接合端子112a,112bに、それぞれ電気的に接続されている。ビア導体114cは、上端が封止用導体パターン119に、下端が接合端子112cに、それぞれ電気的に接続されている。ビア導体114a〜114cは、基板110aに設けられた貫通孔の内部に導体を充填することによって形成される。
凸部115a,115bは、基板110aの一辺と平行な直線上に並ぶように、電極パッド111a,111bの上にそれぞれ設けられている。水晶素子120の引き出し電極123a,123bを凸部115a,115bに接触させながら電極パッド111a,111bに実装することにより、水晶素子120の先端が基板110aの上面110cに接触することを抑えられるので、安定したヒステリシス特性が得られる。
電極パッド117a,117bは、矩形状であり、後述する感温素子150を実装するために用いられる。電極パッド117a,117bの下面と感温素子150の接続端子151a,151bとの間にも、導電性接合材180(図3及び図4)が設けられる。ここで基板110aを平面視したとき、例えば、基板110aの長辺の寸法は1.2〜2.5mmであり、基板110aの短辺の寸法は1.0〜2.0mmである。この場合の電極パッド117a,117bの大きさの一例を説明する。電極パッド117a,117bは、基板110aの短辺と平行な辺の長さが0.8〜2.0mmであり、基板110aの長辺と平行な辺の長さが0.25〜0.55mmである。また、電極パッド117aと電極パッド117bとの間の長さは、0.1〜0.3mmである。
接続パターン118a,118bは、基板110aの下面110dに設けられ、電極パッド117a,117bから接合端子112d,112cに向けて引き出されている。接続パターン118aは、一端が電極パッド117a、他端が接合端子112dと電気的に接続している。接続パターン118bは、一端が電極パッド117b、他端が接合端子112cと電気的に接続している。
図5[B]及び図6[A]に示すように、接続パターン118aは、平面視して一対の電極パッド111a,111b間に位置する。これにより、水晶素子120の熱が、電極パッド111a,111bから直下にある基板110aを介して、接続パターン118aから電極パッド117aに伝わる。よって、水晶素子120と感温素子150との熱伝導経路を短くすることができるので、水晶素子120の温度と感温素子150の温度とが近似することになり、感温素子150から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の水晶素子120の周囲の温度との差を縮小できる。
封止用導体パターン119は、枠体110bの上面に環状に例えば10〜25μmの厚みに形成され、蓋体130と接合部材131を介して接合する際に、接合部材131の濡れ性を良好にする役割を果たす。また、図5[A]→図5[B]→図6[A]に示すように、封止用導体パターン119はビア導体114cを介して接合端子112cに電気的に接続されている。このような封止用導体パターン119は、例えばタングステン又はモリブデン等からなる接続パターンの表面に、ニッケルメッキ及び金メッキを順次施すことによって得られる。
実装枠体160は、基板110aの下面110dの外周縁に沿って接合され、基板110aの下面110dに凹部K2を形成する。実装枠体160は、例えばガラスエポキシ樹脂等の絶縁性基板からなり、基板110aの下面110dに導電性接合材170a〜170d(図3、図4及び図7[A])を介して接合されている。図7[A]に示すように実装枠体160の上面160cには接合パッド161a〜161dが設けられ、図7[B]に示すように実装枠体160の下面160dには外部端子162a〜162dが設けられている。接合パッド161a〜161dと外部端子162a〜162dとは、接合パターン163a〜163dによって、電気的に接続されている。
接合パッド161a〜161dは、基板110aの下面110dの接合端子112a〜112dに、導電性接合材170a〜170d(図3、図4及び図7[A])を介して電気的に接合されている。
外部端子162a〜162dは、実装枠体160の下面160dに設けられ、電子機器等の実装基板に実装するために用いられる。外部端子162a,162bは、実装枠体160の下面160dの一方の対角に位置し、水晶素子120と電気的に接続されて、水晶素子120の入出力端子として用いられる。外部端子162c,162dは、実装枠体160の下面160dの他方の対角に位置し、感温素子150と電気的に接続されている。外部端子162cは、電子機器等の実装基板上の基準電位であるグランド電位と接続される。そのため、グランド電位となっている外部端子162cに、封止用導体パターン119に接合された蓋体130が電気的に接続されることになる。これにより、蓋体130による収容部K1内のシールド性が向上する。
接合パターン163a〜163dは、接合パッド161a〜161dと外部端子162a〜162dとを電気的に接続している。接合パッド161aは接合パターン163aを介して外部端子162aに、接合パッド161bは接合パターン163bを介して外部端子162bに、接合パッド161cは接合パターン163cを介して外部端子162cに、接合パッド161dは接合パターン163dを介して外部端子162dに、それぞれ電気的に接続されている。
また、接合パターン163a〜163dは、それぞれ上面部164a〜164d、側面部165a〜165d及び下面部166a〜166dに分けられる。上面部164a〜164dは実装枠体160の上面160cに、側面部165a〜165dは実装枠体160の側面160eに、下面部166a〜166dは実装枠体160の下面160dに、それぞれ設けられている。なお、下面部166a〜166dは外部端子162a〜162dと一体化されてもよく、その場合の接合パターン163a〜163dは上面部164a〜164d及び側面部165a〜165dからなる。
図2[A]に示すように、接合パターン163aは、実装枠体160の側面160eから実装枠体160の上面160cまで均一な幅w1になっている。ここで、「均一な幅」には、±10μm程度の差を含むものとする。接合パターン163bも接合パターン163aと同一形状である。図2[B]に示すように、接合パターン163dは、実装枠体160の上面160cにおける一部の幅w2が他の部分の幅w1よりも狭くなっている。本実施形態1における接合パターン163dは、実装枠体160の下面160dにおける一部の幅w2も他の部分の幅w1よりも狭くなっている。接合パターン163cも接合パターン163dと同一形状である。これらの形状の違いにより、感温素子150に繋がる接合パターン163c,163dの熱抵抗Rcdを、水晶素子120に繋がる接合パターン163a,163bの熱抵抗Rabよりも大きくしている。
外部端子162a,162bから接合パターン163a,163bを経て水晶素子120に至る距離は、外部端子162c,162dから接合パターン163c,163dを経て感温素子150に至る距離よりも長くなる。そのため、外部端子162a,162bから感温素子150へ熱が伝わる時間は、外部端子162c,162dから感温素子150へ熱が伝わる時間よりも遅れることになる。そこで、本実施形態1では、感温素子150に繋がる接合パターン163c,163dの熱抵抗Rcdを、水晶素子120に繋がる接合パターン163a,163bの熱抵抗Rabよりも大きくすることにより、これらの時間差を縮小している。
突起部169は、実装枠体160の長辺方向に延出するように外部端子162aに設けられている。突起部169は、外部端子162aの目印として機能するので、電子機器等のマザーボード上に実装する際に外部端子162a〜162dを判別するために用いられる。
また、基板110aの接合端子112a〜112dと実装枠体160の接合パッド161a〜161dとが導電性接合材170a〜170dを介して接合されることにより、図4に示すように、基板110aと実装枠体160との間に間隙部Gが形成される。間隙部Gは、導電性接合材170a〜170d(いずれか一つ)、接合端子112a〜112d(いずれか一つ)及び接合パッド161a〜161d(いずれか一つ)の厚みを足した分に相当する。その間隙部Gに、感温素子150を被覆する絶縁性樹脂190(図4)が設けられている。例えば、水晶デバイス10が電子機器等の実装基板に実装され、この実装基板に実装されているパワーアンプ等の電子部品が発熱し、その熱が実装基板を介して凹部K2内に伝わったとする。このような場合、間隙部Gに設けられた絶縁性樹脂190が外部に露出しているので、その熱が絶縁性樹脂190から外部へ放出される。これにより、凹部K2内に実装された感温素子150に対して、実装基板等からの熱の影響を緩和できる。よって、感温素子150から得られる温度を、実際の水晶素子120の周囲の温度に近づけることができる。また、間隙部Gに絶縁性樹脂190が設けられることにより、感温素子150が絶縁性樹脂190によって確実に固定されるので、感温素子150が基板110aから剥がれることを抑制できる。
ここで、実装枠体160の作製方法について説明する。実装枠体160がガラスエポキシ樹脂である場合は、ガラス繊維からなる基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させる。また、導体パターンの所定部位、具体的には、接合パッド161a〜161d、外部端子162a〜162d及び接合パターン163a〜163dは、例えば、ガラスエポキシ樹脂からなる樹脂シート上に所定形状に加工した銅箔を転写し、その銅箔が転写された樹脂シートを接着剤で積層することによって形成する。また、ビア導体114a〜114dは、樹脂シートに貫通孔を形成し、貫通孔の内面に導体ペースト印刷又はめっき法によって金属を被着するか、貫通孔内に金属を充填して形成する。
水晶素子120は、図1及び図3に示すように、導電性接着剤140を介して電極パッド111a,111b上に接合され、安定した機械振動と圧電効果により、電子装置等の基準信号を発振する役割を果たす。また、水晶素子120は、図1及び図3に示すように、水晶素板121、励振電極122a,122b及び引き出し電極123a,123bを有している。励振電極122a,122b及び引き出し電極123a,123bは、水晶素板121に所定のパターンで金属を被着したものである。水晶素板121の上面には励振電極122aが形成され、水晶素板121の下面には励振電極122bが形成されている。
引き出し電極123aは励振電極122aから引き出され、引き出し電極123bは励振電極122bから引き出され、それぞれ水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。つまり、引き出し電極123a,123bは、水晶素板121の長辺又は短辺に沿った形状で設けられる。また、引き出し電極123a,123bを電極パッド111a,111bに接続して水晶素子120の一端を固定端とし、水晶素子120の他端を基板110aの上面110cから離間した自由端とすることにより、片持ち支持構造にて水晶素子120が基板110a上に固定される。
水晶素子120の動作について説明する。水晶素子120は、外部からの交番電圧が引き出し電極123a,123b及び励振電極122a,122bを介して水晶素板121に印加されると、水晶素板121が所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
水晶素子120の作製方法について説明する。まず、人工水晶から水晶素板121を所定のカットアングルで切り出し、水晶素板121の外周を薄くする。このとき、水晶素板121の外周部に比べて水晶素板121の中央部を厚くするベベル加工を行う。そして、蒸着又はスパッタリングによって水晶素板121の両主面に金属膜を被着させ、フォトリソグラフィーによって所定形状の励振電極122a,122b及び引き出し電極123a,122bを形成する。
水晶素子120の基板110aの接合方法について説明する。まず、電極パッド111a,111b上に、導電性接着剤140を例えばディスペンサによって塗布し、導電性接着剤140上に水晶素子120を載置する。そして導電性接着剤140を加熱することによって、導電性接着剤140が硬化収縮するので、水晶素子120が電極パッド111a,111bに接合される。つまり、引き出し電極123aは電極パッド111aと接合され、引き出し電極123bは電極パッド111bと接合される。これによって、水晶素子120が実装枠体160の外部端子162a,162bと電気的に接続される。
導電性接着剤140は、例えば、シリコーン樹脂等のバインダーの中に、導電フィラーとして導電性粉末が含有されたものである。導電性粉末としては、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル又はニッケル鉄のうちのいずれか、或いはこれらの組み合わせを含むものが用いられる。また、バインダーとしては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂が用いられる。
感温素子150は、凹部K2内に設けられた電極パッド117a,117bに実装される。感温素子150としては、後述するようにサーミスタ、白金測温抵抗体又はダイオード等が用いられる。
感温素子150としてサーミスタを用いる場合は、図1及び図3に示すように、全体が直方体状となり、その両端にそれぞれ接続端子151a,151bが設けられる。接続端子151aは感温素子150の左側面及びその左側面と連なる面に設けられ、接続端子151bは感温素子150の右側面及びその右側面と連なる面に設けられる。このような感温素子150は、例えば、長辺の長さが0.4〜0.6mm、短辺の長さが0.2〜0.3mm、厚み方向の長さが0.1〜0.3mmとなっている。この感温素子150は、温度変化によって電気抵抗が大きく変化し、この抵抗値の変化から出力電圧が変化するため、抵抗値と出力電圧との関係及び出力電圧と温度との関係により温度情報を得ることができる。感温素子150の接続端子151a,151b間の電圧は、実装枠体160の外部端子162c,162dを介して水晶デバイス10の外へ出力される。例えば電子機器等のメインIC(図示せず)によって、この出力電圧を温度に換算することにより、温度情報を得ることができる。このような感温素子150を水晶素子120の近くに配置して、これによって得られた水晶素子120の温度情報に応じて、メインICによって水晶素子120の駆動電圧を制御することにより、温度補償が行われる。
感温素子150として白金測温抵抗体を用いる場合は、直方体状のセラミック板上の中央に白金を蒸着することにより、白金電極が設けられる。また、セラミック板の両端には接続端子151a,151bが設けられる。白金電極と接続端子151a,151bとは、セラミック板上面に設けられた引き出し電極により接続される。そして、白金電極の上面を被覆するようにして絶縁性樹脂が設けられる。
感温素子150としてダイオードを用いる場合は、半導体素子を半導体素子用基板の上面に実装し、その半導体素子を含む半導体素子用基板の上面を絶縁性樹脂で被覆した構造となる。半導体素子用基板の下面から側面には、アノード端子及びカソード端子となる接続端子151a,151bが設けられる。この感温素子150は、アノード端子からカソード端子へは電流を流すが、カソード端子からアノード端子へはほとんど電流を流さない順方向特性を有している。感温素子150の順方向特性は、温度によって大きく変化する。そのため、感温素子150に一定電流を流しておいて順方向電圧を測定することによって、電圧情報を得ることができる。その電圧情報から換算することで水晶素子120の温度情報を得ることができる。ダイオードの順方向電圧と温度とは直線関係を示す。接続端子151a,151bであるカソード端子及びアノード端子間の電圧が、外部端子162c,162dを介して水晶デバイス10の外へ出力される。
感温素子150は、図3、図4及び図6に示すように、基板110aの下面110dに設けられた電極パッド117a,117bにはんだ等の導電性接合材180を介して実装される。このとき、接続端子151aが電極パッド117aに接続され、接続端子151bが電極パッド117bに接続される。電極パッド117bは、基板110aの下面110dに設けられた接続パターン118bを介して接合端子112cに接続される。また、接合端子112cは、実装枠体160の接合パッド161cに接合されることで、外部端子162cと電気的に接続される。外部端子162cは、電子機器等の実装基板上の基準電位であるグランドに接続されることにより、グランド端子の役割を果たす。よって、感温素子150の接続端子151bは、基準電位であるグランドに接続されることになる。
感温素子150の基板110aへの接合方法について説明する。まず導電性接合材180を例えばディスペンサによって電極パッド117a,117bに塗布し、導電性接合材180上に感温素子150を載置する。そして、導電性接合材180を加熱することにより、導電性接合材180が溶融するので、感温素子150が電極パッド117a,117bに接合される。
導電性接合材180は、例えば銀ペースト又は鉛フリーはんだにより構成され、塗布し易い粘度に調整するための溶剤を含む。鉛フリーはんだは、成分比率が例えば錫95〜97.5%、銀2〜4%、銅0.5〜1.0%のものが使用される。
また、図示するものとは異なるが、感温素子150の長辺方向(長手方向)と基板110aの長辺方向(長手方向)とが直交するように、感温素子150を配置してもよい。こうすることにより、水晶素子120と電気的に接続される接合端子112aは電極パッド117aとの間隔を長くでき、水晶素子120と電気的に接続される接合端子112bは電極パッド117bとの間隔を長くできる。そのため、感温素子150を接合している導電性接合材180が溢れ出たとしても、導電性接合材180が接合端子112a,112bに付着することを抑えることができる。よって、水晶素子120に電気的に接続される接合端子112a,112bと感温素子150との短絡を低減できる。
蓋体130は、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなり、真空状態にある収容部K1又は窒素ガスなどが充填された収容部K1を気密的に封止する。具体的には、所定雰囲気で、パッケージ110の枠体110b上に蓋体130を載置し、枠体110bの封止用導体パターン119と蓋体130の接合部材131とに所定電流を印加してシーム溶接を行うことにより、蓋体130が枠体110bに接合される。
また、蓋体130は、封止用導体パターン119及びビア導体114cを介して基板110aの下面110dの接合端子112cに電気的に接続される。接合端子112cは、導電性接合材170cを介して接合パッド161cと電気的に接続される。接合パッド161cは、接合パターン163cを介して外部端子162cと電気的に接続される。よって、蓋体130は、実装枠体160の外部端子162cと電気的に接続される。
接合部材131は、蓋体130の周縁に設けられ、パッケージ110の枠体110b上面に設けられた封止用導体パターン119に相対する。接合部材131は、例えば、銀ロウ又は金錫によって設けられる。銀ロウは、例えば、厚みが10〜20μm、成分比率が銀72〜85%、銅15〜28%のものが使用される。金錫は、例えば、厚みが10〜40μm、成分比率が金78〜82%、錫18〜22%のものが使用される。
ここで、以上説明した本実施形態1について総括する。
本実施形態1の構成要素と特許請求の範囲の構成要素との対応関係は次のとおりである。電極パッド111a,111bは「第一電極パッド」、電極パッド117a,117bは「第二電極パッド」、接合端子112a,112bは「第一接合端子」、接合端子112c,112dは「第二接合端子」、接合パッド161a,161bは「第一接合パッド」、接合パッド161c,161dは「第二接合パッド」、外部端子162a,162bは「第一外部端子」、外部端子162c,162dは「第二外部端子」、接合パターン163a,163bは「第一接合パターン」、接合パターン163c,163dは「第二接合パターン」、導電性接合材170a,170bは「第一導電性接合材」、導電性接合材170c,170dは「第二導電性接合材」、のそれぞれ一例である。
本実施形態1の水晶デバイス10は、上面110c及び下面110dを有する基板110aと、基板110aの下面110dの外周縁に沿って位置し上面160c、側面160e及び下面160dを有する実装枠体160と、基板110aの上面110cに位置する電極パッド111a,111bと、基板110aの下面110dに位置する電極パッド117a,117bと、基板110aの下面110dに位置し電極パッド111a,111bに電気的に接続する接合端子112a,112bと、基板110aの下面110dに位置し電極パッド117a,117bに電気的に接続する接合端子112c,112dと、実装枠体160の上面160cに位置し接合端子112a,112bに電気的に接続する接合パッド161a,161bと、実装枠体160の上面160cに位置し接合端子112c,112dに電気的に接続する第二接合パッド161c,161dと、実装枠体160の下面160dに位置し接合パッド161a,161bに電気的に接続する外部端子162a,162bと、実装枠体160の下面160dに位置し接合パッド161c,161dに電気的に接続する外部端子162c,162dと、実装枠体160の側面160eから実装枠体160の上面160cに位置し外部端子162a,162bと接合パッド161a,161bとを電気的に接続する接合パターン163a,163bと、実装枠体160の側面160eから実装枠体160の上面160cに位置し外部端子162c,162dと接合パッド161c,161dとを電気的に接続する接合パターン163c,163dと、電極パッド111a,111bに実装される水晶素子120と、電極パッド117a,117bに実装される感温素子150と、を備えている。
図2に示すように、平面視において、接合パターン163a,163dがそれぞれ外部端子162a,162dから接合パッド161a,161dへ向かって延びる方向を長さ方向x、長さ方向xに直交する方向を幅方向y、幅方向yに沿った接合パターン163a,163dの寸法を幅wとする。このとき、接合パターン163c,163dの長さ方向xの熱抵抗Rcdは、接合パターン163a,163bの長さ方向xの熱抵抗Rabよりも大きい。
例えば、接合パターン163aは、実装枠体160の側面160eから実装枠体160の上面160cまで均一な幅w1になっている。接合パターン163dは、実装枠体160の上面160cにおける一部の幅w2が他の部分の幅w1よりも狭くなっている。接合パターン163bも接合パターン163aと同一形状である。接合パターン163cも接合パターン163dと同一形状である。
ところで、物体内の微小距離dxを隔てて面積Aを通して単位時間当たりに伝わる伝熱量(伝熱速度)Φは、伝熱面積Aと温度勾配dT/dxに比例し、次式で表される。
Φ=−λA(dT/dx) ・・・(1)
式(1)は、dT/dxがxに関係なく一定であれば、熱抵抗R及び温度差ΔTを用いて次式のように表すこともできる。
Φ=ΔT/R ・・・(2)
つまり、熱抵抗Rが小さいほど伝熱速度Φは大きくなる。
ここで、式(2)に示される熱抵抗Rを接合パターン163a,163dについて求める。図2に示すように、接合パターン163a,163dが長さ方向xの位置x1から位置x2まで延びているとき、幅wはxの関数w(x)となる。このとき、熱伝導率をλ、膜厚をtとすると、接合パターン163a,163dの熱抵抗Rは次式で与えられる。
x2
R=(1/λt)(∫(1/w(x))dx) ・・・(3)
x1
接合パターン163a,163dの熱抵抗RをそれぞれRab,Rcdとすると、接合パターン163d(図2[B])は接合パターン163a(図2[A])よりも幅が狭くなる部分を有するので、式(3)からRab<Rcdとなる。すなわち、接合パターン163dは接合パターン163aよりも伝熱速度Φが小さい。このことを踏まえて、本実施形態1の作用及び効果を以下に説明する。
水晶デバイス10は、電子機器の実装基板(図示せず)上に実装される。その実装基板には半導体素子などの熱源も実装されているため、実装基板の熱が水晶デバイス10内の水晶素子120及び感温素子150へ伝わる。このとき、実装基板の熱は、銅箔などの熱伝導性のよい材質を伝わりやすい。そのため、実装基板の熱は、主に、次のような経路で水晶素子120及び感温素子150へ伝わる。外部端子162a,162b→接合パターン163a,163b→接合パッド161a,161b→接合端子112a,112b→基板110aの内部→電極パッド111a,111b→水晶素子120。外部端子162c,162d→接合パターン163c,163d→接合パッド161c,161d→接合端子112c,112d→電極パッド117a,117b→感温素子150。このように、外部端子162a,162bから水晶素子120までの距離が、外部端子162c,162dから感温素子150までの距離よりも長くなる。そのため、実装基板からの熱が水晶素子120に伝わる時間は、実装基板からの熱が感温素子150に伝わる時間よりも遅れがちになる。このことは、感温素子150で検出される温度と水晶素子120の実際の温度とに差が生じる原因となる。
従来、感温素子150に繋がる接合パターン163c,163dと水晶素子120に繋がる接合パターン163a,163bとは、互いに幅が同じであったため、熱が伝わる時間差を縮小する機能はなかった。これに対し、本実施形態1では、感温素子150に繋がる接合パターン163c,163dの熱抵抗Rcdを水晶素子120に繋がる接合パターン163a,163bの熱抵抗Rabよりも大きくすることにより、実装基板からの熱が感温素子150に伝わる時間と実装基板からの熱が水晶素子120に伝わる時間との差を縮小できる。したがって、実際の水晶素子120の温度を感温素子150で正確に検出し得る水晶デバイス10を提供できる。なお、本実施形態1では幅の違いによってRcd>Rabを実現しているが、式(3)に示すように、熱伝導率、長さ、膜厚などの違いによってRcd>Rabを実現してもよい。
また、図3、図4及び図7[A]に示すように、水晶デバイス10は、接合端子112a,112bと接合パッド161a,161bとに挟まれる導電性接合材170a,170bと、接合端子112c,112dと接合パッド161a,161dとに挟まれる導電性接合材170c,170dと、を更に備えている。そして、導電性接合材170c,170dの厚み方向の熱抵抗は、導電性接合材170a,170bの厚み方向の熱抵抗よりも大きくしてもよい。「厚み方向」とは、前述のx方向及びy方向を含めた三次元直交座標のz方向、又は積層方向と同義である。
この場合は、感温素子150に繋がる導電性接合材170a,170bの熱抵抗を水晶素子120に繋がる導電性接合材170c,170dの熱抵抗よりも大きくすることにより、実装基板からの熱が感温素子150に伝わる時間と実装基板からの熱が水晶素子120に伝わる時間との差を更に縮小できる。導電性接合材170c,170dは、導電性接合材170a,170bに比べて、熱伝導率の小さな材料を使用したり、伝熱面積(平面視した場合の面積)を小さくしたりすれば、熱抵抗を大きくできる。
<実施例1>
以下、実施形態1の実施例1について説明する。図8[A]に示すように、本実施例1の水晶デバイス11は、実装枠体160の上面160cにおいて、接合パターン163a〜163dを幅方向に横断する絶縁層167a〜167dを更に備えた点において、実施形態1と異なる。
水晶デバイス11は、実装枠体160の上面160cにおいて、少なくとも接合パターン163a〜163dの一部を幅方向に横断するように絶縁層167a〜167dが設けられている。絶縁層167a〜167dは、アルカリ現像型ソルダーレジスト、UV硬化型ソルダーレジスト又は熱硬化型ソルダーレジスト等を塗布し、これを硬化させることで形成される。
水晶デバイス11は、実装枠体160の上面160cにおいて、接合パターン163a〜163dを横断するように絶縁層167a〜167dが設けられている。これにより、接合パッド161a〜161dと接合端子112a〜112dとを接続するための導電性接合材170a〜170d(図3、図4及び図7[A])が、絶縁層167a〜167dでせき止められる。そのため、導電性接合材170a〜170dが接合パッド161a〜161dから接合パターン163a〜163d上へ流れ出てしまうことを、抑えることができる。なお、導電性接合材170a〜170dの流れ出しは、接合強度低下や電気的短絡を招く。
また、本実施例1では、図8[B]に示すように、実装枠体160の下面160dにおいても、接合パターン163a〜163dを横断するように絶縁層167e〜167hが設けられている。絶縁層167e〜167hも絶縁層167a〜167dと同様の作用を奏する。
<実施例2>
以下、実施形態1の実施例2について説明する。図9[A]に示すように、本実施例2の水晶デバイス12は、実装枠体160の上面160cにおいて、接合パターン163a〜163dを幅方向に横断する窪み部168a〜168dを更に備えた点において、実施形態1と異なる。
接合パターン163a〜163dは、例えば、三層構造になっており、下層にモリブデン(Mo)、中間層にニッケル(Ni)、上層に金(Au)がそれぞれ形成されている。窪み部168a〜168dは、実装枠体160の上面160cにおいて、少なくとも接合パターン163a〜163dの一部を幅方向に横断するように設けられている。
水晶デバイス12は、実装枠体160の上面160cにおいて、接合パターン163a〜163dを横断するように窪み部168a〜168dが設けられている。窪み部168a〜168dは、基板110aの下面110dに導電性接合材170a〜170d(図3、図4及び図7[A])を介して実装枠体160を接合する際に、接合パッド161a〜161dから接合パターン163a〜163d上へ導電性接合材170a〜170dが流れ出てしまうことを抑えるためのものである。なお、導電性接合材170a〜170dの流れ出しは、接合強度低下や電気的短絡を招く。
また、図9[C]に示すように、窪み部168aの縁に、凸部160a,160bを設けてもよい。凸部160a,160bの少なくとも表面は金属酸化物からなる。これにより、凸部160a,160bがダムとなる物理的作用と金属酸化物が濡れにくい化学的作用とにより、導電性接合材170aの拡がりを抑えることができる。これにより、接合パッド161aに塗布された導電性接合材170aが流れ出しても窪み部168aに加え凸部160a,160bでもせき止められるため、導電性接合材170aが接合パターン163a上に流れ出てしまうことを更に抑えることができる。窪み部168a〜168dは例えばレーザ加工で形成することができ、そのときレーザのパワーを調整することにより凸部160a,160bも同時に形成することができる。凸部160a,160bの表面の金属酸化物は、例えば接合パターン163a〜163dを構成するニッケル(Ni)の酸化物である。また、窪み部168b〜168dの縁にも、窪み部168aと同様に凸部160a,160bを設けてもよい。凸部160a,160bは、図示するように接合パッド161a側と接合パターン163a側との二箇所でもよいし、それらのどちらか一箇所のみでもよい。
なお、図9[B]に示すように、実装枠体160の下面160dにも窪み部168e〜168hを設けてもよい。窪み部168e〜168hも窪み部168a〜168dと同様の作用を奏する。
<実施例3>
以下、実施形態1の実施例3について説明する。図10乃至図12に示すように、本実施例3の水晶デバイス13は、実装枠体160と基板110aとによって形成された凹部K3が、平面透視した際に、電極パッド111a,111bと重ならない位置にある点において、実施形態1と相違する。
図12に示すように、基板110aの短辺の中心を通り、長辺と平行な線を軸線L1とし、基板110aの長辺の中心を通り、短辺と平行な線を軸線L2する。この軸線L1と軸線L2との交点を中心点P1とする。また、凹部K3の長辺の中心を通り、基板110aの長辺と平行な線を軸線L1とし、凹部K3の短辺の中心を通り、基板110aの短辺と平行な線を軸線L3とする。この軸線L1と軸線L3との交点を中心点P2とする。
電極パッド117a,117bは、平面透視した際に、基板110aの中心点P1に対して電極パッド111a,111bが設けられる方向と反対の方向にずれるようにして設けられている。
凹部K3は、平面透視した際に電極パッド111a,111bと重ならない位置に設けられている。このように電極パッド111a,111bと凹部K3が重ならない位置に設けられることで、電極パッド111a,111bの位置において基板110aと実装枠体160とを足した上下方向の厚みが確保されるため、水晶デバイス13の周囲温度の変化に伴う基板110aの伸縮によって発生する応力を低減できる。よって、水晶素子120に伝わる応力を低減でき、水晶デバイス13の特性変動、例えば、周波数温度特性の変動であるヒステリシスを低減できる。
また、凹部K3の中心点P2が、平面透視した際に、基板110aの中心点P1から電極パッド111a,111bが設けられる方向と反対の方向に設けられている。つまり、基板110aの中心点P1と凹部K3の中心点P2とが、平面視した際に重ならない位置に設けられる。これにより、平面透視した際に、電極パッド111a,111bと凹部K3とが更に重なりにくくなるため、電極パッド111a,111bの位置において基板110aと実装枠体160とを足した上下方向の厚みが十分に確保されることになり、水晶デバイス13の周囲温度の変化に伴う基板110aの伸縮によって発生する応力を更に低減できる。よって、水晶素子120に伝わる応力を更に低減でき、水晶デバイス13の特性変動、例えば、周波数温度特性の変動であるヒステリシスを更に低減できる。
水晶デバイス13は、実装枠体160と基板110aとによって形成された凹部K3が、平面透視した際に、電極パッド111a,111bと重ならない位置に設けられている。これにより、電極パッド111a,111bの位置において基板110aと実装枠体160とを足した上下方向の厚みが確保されるため、水晶デバイス13の周囲温度の変化に伴う基板110aの伸縮によって発生する応力を低減できる。よって、水晶素子120に伝わる応力を低減でき、水晶デバイス13の特性変動、例えば、周波数温度特性の変動であるヒステリシスを低減できる。
また、感温素子150の長辺方向(長手方向)と基板110aの長辺方向(長手方向)とが直交するように、感温素子150が配置されている。これにより、水晶素子120に電気的に接続される接合端子112aは電極パッド117aとの間隔を長くでき、水晶素子120に電気的に接続される接合端子112bは電極パッド117bとの間隔を長くできる。そのため、感温素子150を接合する導電性接合材180が溢れ出たとしても、導電性接合材180が接合端子112a,112bに付着することを抑えることができる。よって、水晶素子120に電気的に接続される接合端子112a,112bと感温素子150との短絡を低減できる。
また、凹部K3の中心点P2が、平面透視した際に、基板110aの中心点P1から電極パッド111a,111bが設けられる方向と反対の方向に設けられている。これにより、平面透視した際に、電極パッド111a,111bと凹部K3とが更に重なりにくくなるため、電極パッド111a,111bの位置において基板110aと実装枠体160とを足した上下方向の厚みが十分に確保されることになり、水晶デバイス13の周囲温度の変化に伴う基板110aの伸縮によって発生する応力を更に低減できる。よって、水晶素子120に伝わる応力を更に低減でき、水晶デバイス13の特性変動、例えば、周波数温度特性の変動であるヒステリシスを更に低減できる。
図11に示すように、間隙部Gには絶縁性樹脂190が設けられている。このとき、水晶デバイス13が電子機器等の実装基板に実装され、この実装基板に実装されている他のパワーアンプ等の電子部品が発熱し、その熱が実装基板を介して凹部K3内に伝わったとする。このような場合でも、間隙部Gに設けられた絶縁性樹脂190が外部に露出しているので、その熱が凹部K3内の絶縁性樹脂190に伝わって外部へ放出される。これにより、凹部K3内に実装された感温素子150に対して熱の影響を更に緩和できる。よって、水晶デバイス13は、感温素子150から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の水晶素子120の周囲の温度との差を縮小できる。
また、間隙部Gに絶縁性樹脂190が設けられていることにより、感温素子150が絶縁性樹脂190によって確実に固定されるので、感温素子150が基板110aから剥がれることを抑制できる。
<その他>
以上のように構成された水晶デバイスは、はんだ付け、Auバンプ又は導電性接着剤などによってプリント基板に外部端子の底面が固定されることによって、電子機器を構成するプリント基板の表面に実装される。そして、水晶デバイスは、例えば、パーソナルコンピュータ、時計、ゲーム機、通信機、又はカーナビゲーションシステム等の車載機器などの種々の電子機器で発振源として用いられる。このような水晶デバイスは、感温素子から出力された電圧を換算することで得られた温度と、水晶素子の実際の周囲温度との差を縮小できることにより、電子機器のICによって補正しやすくなるので、安定した発振周波数を出力できる。よって、上記実施形態及び各実施例の水晶デバイスを有する電子機器は、高信頼性で正確な動作が可能となる。
以上、上記実施形態及び各実施例を参照して本開示を説明したが、本開示はこれらに限定されるものではない。本開示の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本開示には、上記実施形態及び各実施例の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
例えば、上記実施形態及び各実施例では、基板の上面に枠体が設けられた場合を説明したが、その枠体を設けなくてもよい。この場合、蓋体は、矩形状の封止基部と、封止基部の下面の外周縁に沿って設けられた封止枠部とで構成されるものを用いてもよい。このような蓋体は、封止基部の下面と封止枠部の内側面とで収容空間が形成される。封止基部及び封止枠部は、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなり、一体的に形成される。このような封止蓋体は、真空状態にある収容空間又は窒素ガスなどが充填された収容空間を気密的に封止するためのものである。具体的には、所定雰囲気で、平板状の基板の上面に蓋体を載置し、基板の上面と封止枠部の下面との間に設けられた接合部材を加熱することで、基板に蓋体が溶融接合される。