以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る蓄電モジュールを備えた蓄電装置を示す概略断面図である。蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両のバッテリとして使用される。蓄電装置1は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュールとしてのバイポーラ電池2を備えている。バイポーラ電池2は、例えばニッケル水素二次電池である。
複数のバイポーラ電池2は、金属製の導電板3を介して積層されている。導電板3は、積層方向(Z軸方向)の両端に位置するバイポーラ電池2の外側にも配置されている。バイポーラ電池2及び導電板3は、例えば積層方向から見て矩形状(平面視矩形状)である。導電板3は、隣り合うバイポーラ電池2と電気的に接続されている。これにより、複数のバイポーラ電池2が積層方向に直列接続されている。
積層方向の一端(ここでは下端)に位置する導電板3には、正極端子4が接続されている。積層方向の他端(ここでは上端)に位置する導電板3には、負極端子5が接続されている。正極端子4及び負極端子5は、積層方向に垂直な方向(X軸方向)に延在している。このような正極端子4及び負極端子5を設けることにより、蓄電装置1の充放電を実施することができる。
導電板3は、バイポーラ電池2において発生した熱を放出するための放熱板としても機能し得る。導電板3には、積層方向と正極端子4及び負極端子5の延在方向とに垂直な方向(Y軸方向)に延在した複数の空隙3aが設けられている。これらの空隙3aを空気等の冷媒が通過することにより、バイポーラ電池2からの熱が効率的に外部に放出される。
また、蓄電装置1は、バイポーラ電池2及び導電板3を積層方向に拘束する拘束ユニット6を備えている。拘束ユニット6は、バイポーラ電池2及び導電板3を積層方向に挟む1対の拘束プレート7と、これらの拘束プレート7同士を締結する複数組のボルト8及びナット9とを有している。
拘束プレート7は、鉄等の金属で形成されている。各拘束プレート7と導電板3との間には、樹脂フィルム等の絶縁フィルム10がそれぞれ配置されている。拘束プレート7及び絶縁フィルム10は、例えば平面視矩形状を有している。ボルト8の軸部8aが各拘束プレート7に設けられた挿通孔7aを挿通した状態で、軸部8aの先端部にナット9が螺合することで、バイポーラ電池2、導電板3及び絶縁フィルム10に積層方向の拘束荷重が付与される。
図2は、バイポーラ電池2の概略断面図である。図3は、バイポーラ電池2の概略斜視図である。図2及び図3において、バイポーラ電池2は、複数のセル(例えば24セル)が積層された構造(複数セル構造)を有している。バイポーラ電池2は、モジュール本体11と、このモジュール本体11の一側面に取り付けられた複数(ここでは4つ)の圧力調整弁12とを備えている。
モジュール本体11は、複数のバイポーラ電極13がセパレータ14を介して積層されてなる電極積層体15と、この電極積層体15を取り囲むように配置された枠体16とを備えている。
バイポーラ電極13及びセパレータ14は、例えば平面視矩形状を有している。セパレータ14は、積層方向に隣り合うバイポーラ電極13の間に配置されている。バイポーラ電極13は、集電体であるニッケル箔17と、当該ニッケル箔17の上面17a(一方面)に形成された正極活物質層18と、当該ニッケル箔17の下面17b(他方面)に形成された負極活物質層19とを有している。
バイポーラ電極13の正極活物質層18は、セパレータ14を挟んで積層方向に隣り合う一方のバイポーラ電極13の負極活物質層19と対向している。バイポーラ電極13の負極活物質層19は、セパレータ14を挟んで積層方向に隣り合う他方のバイポーラ電極13の正極活物質層18と対向している。
電極積層体15の最下層には、正極側終端電極20が配置されている。正極側終端電極20は、ニッケル箔17と、当該ニッケル箔17の上面17aに形成された正極活物質層18とを有している。電極積層体15の最上層には、負極側終端電極21が配置されている。負極側終端電極21は、ニッケル箔17と、当該ニッケル箔17の下面17bに形成された負極活物質層19とを有している。正極側終端電極20の正極活物質層18は、セパレータ14を挟んで最下層のバイポーラ電極13の負極活物質層19と対向している。負極側終端電極21の負極活物質層19は、セパレータ14を挟んで最上層のバイポーラ電極13の正極活物質層18と対向している。正極側終端電極20及び負極側終端電極21のニッケル箔17は、積層方向に隣り合う導電板3(図1参照)に接続されている。
正極活物質層18は、ニッケル箔17の一方面に正極活物質を含む正極スラリーを塗工することにより形成されている。正極活物質としては、例えばコバルト(Co)酸化物コートが施された水酸化ニッケルが用いられる。負極活物質層19は、ニッケル箔17の他方面に負極活物質を含む負極スラリーを塗工することにより形成されている。負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が用いられる。ニッケル箔17の縁部17cは、正極スラリー及び負極スラリーが塗工されない未塗工領域となっている。
セパレータ14は、正極活物質層18と負極活物質層19との間に配置され、正極活物質層18と負極活物質層19とを隔離する。セパレータ14は、積層方向から見てニッケル箔17よりも小さく且つ正極活物質層18及び負極活物質層19よりも大きい。セパレータ14は、例えばシート状に形成されている。セパレータ14は、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、もしくはPE、PP、またはメチルセルロース等からなる不織布または織布等で形成されている。また、セパレータ14は、フッ化ビニリデン樹脂化合物等で補強されていてもよい。なお、セパレータ14の形状としては、特にシート状に限られず、袋状であってもよい。
枠体16は、電極積層体15の周囲に配置され、各ニッケル箔17の縁部17cをそれぞれ保持する複数の一次シール部22と、これらの一次シール部22の周囲に配置された二次シール部23とを有している。
各一次シール部22は、積層方向に沿ってニッケル箔17毎に配置されている。一次シール部22は、枠状に形成されている。一次シール部22は、ニッケル箔17の縁部17cに熱溶着により接合されている。
積層方向に隣り合うニッケル箔17間に、ニッケル箔17、正極活物質層18、負極活物質層19及び一次シール部22が協働して内部空間Vを形成している。換言すると、積層方向に隣り合う2つのニッケル箔17、一方のニッケル箔17の正極活物質層18、他方のニッケル箔17の負極活物質層19及び一次シール部22によって囲われた空間が内部空間Vである。従って、電極積層体15には、複数の内部空間Vが設けられている。セパレータ14内を含む内部空間Vには、アルカリ性の電解液が注入されている。アルカリ性の電解液としては、例えば水酸化カリウム水溶液等を含むアルカリ溶液が用いられている。一次シール部22は、内部空間Vを封止する。バイポーラ電池2の各セルは、二つのニッケル箔17、二つのニッケル箔17の一方の正極活物質層18、二つのニッケル箔17の他方の負極活物質層19、セパレータ14及び一次シール部22により構成され、これらが協働して内部空間Vを形成している。
二次シール部23は、角筒状を有している。二次シール部23は、内部空間Vを更に封止する。二次シール部23は、各一次シール部22に接合されている。二次シール部23は、例えば射出成形等により形成されている。
一次シール部22及び二次シール部23は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)または変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等の樹脂で形成されている。
次に、圧力調整弁12の構成について詳細に説明する。図4は、バイポーラ電池2の一部を示す分解斜視図である。図5は、圧力調整弁12の底面図(底壁部32の外面32a側から見た図)である。図6は、圧力調整弁12の分解斜視図である。図7の(A)は、ケース29の平面図である。図7の(B)は、カバー31の平面図である。図7の(C)は、圧力調整弁12の平面図(カバー31側から見た図)である。
図3及び4に示されるように、枠体16を構成する一の壁部16aには、圧力調整弁12が取り付けられる複数(ここでは4つ)の取付領域24が設けられている。図4に示されるように、一次シール部22の各取付領域24には、複数(ここでは6つ)の連通孔25(第1連通孔)がそれぞれ設けられている。連通孔25は、各取付領域24において3列2段(Y軸方向に3列、Z軸方向に2段)に配列されている。従って、連通孔25は、壁部16aにおいて12列2段に配列されている。各連通孔25は、異なるセルの内部空間Vとそれぞれ連通されている。
二次シール部23の各取付領域24には、各連通孔25と連通された複数(ここでは6つ)の連通孔26(第1連通孔)がそれぞれ設けられている。連通孔26は、各取付領域24において3列2段に配列されている。
連通孔25,26は、内部空間Vに電解液を注入するための注液孔として機能する。また、連通孔25,26は、電解液が注入された後は、内部空間Vで発生したガスが流れる流路となる。
二次シール部23の各取付領域24の外側面には、略枠状の接合用突起27がそれぞれ設けられている。接合用突起27は、モジュール本体11と圧力調整弁12とを接合すると共に、各内部空間Vからのガスがそれぞれ流れる複数(ここでは6つ)の流路28を連通孔26と協働して形成する。従って、流路28は、各取付領域24において3列2段に配列されている。流路28は、X軸方向に垂直な面に沿った断面において矩形状を有している。接合用突起27は、X軸方向から見て、格子状に形成されている。
図4及び図6に示されるように、圧力調整弁12は、ケース29(第1部材)と、複数(ここでは6つ)の弁体30と、カバー31(第2部材)とを有している。ケース29は、例えばPP、PPSまたは変性PPE等の樹脂で形成されている。ケース29は、ケース29とカバー31とが対向する対向方向から見て略矩形状に形成されている。対向方向は、モジュール本体11(壁部16a)に対する圧力調整弁12の取付方向(後述する接合用突起27の先端と接合用突起34の先端とが対向する方向)でもある。より具体的には、圧力調整弁12は、壁部16aに垂直な方向に、モジュール本体11に取り付けられる。このため、対向方向は、X軸方向と一致している。ケース29は、底壁部32を有している。底壁部32には、モジュール本体11側の外面32aからカバー31側の内面32bに向けて貫通した複数(ここでは6つ)の連通孔33(第2連通孔)が設けられている。これらの連通孔33は、モジュール本体11の各連通孔26とそれぞれ連通されている。連通孔33は、X軸方向に垂直な面(YZ平面)に沿った断面で円形状を有している(図5参照)。
図5に示されるように、底壁部32の外面32aには、略枠状の接合用突起34が設けられている。接合用突起34は、モジュール本体11と圧力調整弁12とを接合すると共に、各内部空間Vからのガスがそれぞれ流れる複数(ここでは6つ)の流路35を形成する。接合用突起34は、モジュール本体11の接合用突起27と接合される。接合用突起34は、接合用突起27に対応する形状及び寸法を有している。従って、流路35は、X軸方向に垂直な面(YZ平面)に沿った断面において矩形状を有している。また、接合用突起34は、X軸方向から見て、格子状に形成されている。なお、モジュール本体11と圧力調整弁12とは、例えば熱板溶着によって接合される。具体的には、モジュール本体11と圧力調整弁12との間に熱板を配置し、その後、接合用突起27及び接合用突起34の先端を熱板に当接させることで、接合用突起27及び接合用突起34の先端が溶融する。続いて、接合用突起27及び接合用突起34が溶融している間に、接合用突起27の先端に対して接合用突起34の先端を押し付けることにより、接合用突起27と接合用突起34とを溶着(接合)する。その結果、モジュール本体11と圧力調整弁12とが接合される。
図4、図6及び図7の(A)に示されるように、ケース29は、それぞれ底壁部32からカバー31側に突出した側壁部36及び隔壁部37を有している。本実施形態では、側壁部36及び隔壁部37は、底壁部32と一体的に形成されている。側壁部36は、複数(ここでは6つ)の弁体30を包囲するように、底壁部32の内面32bの縁部に立設されている。具体的には、側壁部36は、底壁部32の外周縁部の全周にわたって形成されており、ケース29の外壁を構成している。より具体的には、側壁部36は、対向方向から見て、略矩形状に形成された底壁部32の外周縁部に沿って、略矩形枠状に形成されている。隔壁部37は、各弁体30の側面30cを覆うように底壁部32の内面32bに立設されている。すなわち、隔壁部37は、各弁体30が収容される円柱状の収容空間S1を形成している。本実施形態では、隔壁部37と側壁部36の一部とが弁体30の側面30cを包囲することによって、収容空間S1が形成されている。また、本実施形態では、一の弁体30を収容する隔壁部37と当該一の弁体30に隣接する位置に配置された他の弁体30を収容する隔壁部37とは、一体的に形成されている。このように、互いに異なる弁体30を収容する隔壁部37同士は、共有する部分を有していてもよい。
本実施形態では、底壁部32の内面32bを基準として、側壁部36のカバー31側の端部36aは、隔壁部37のカバー31側の端部37aよりも高い位置にある。従って、ケース29にカバー31が取り付けられた状態において、カバー31が側壁部36の端部36aに接する一方で、カバー31と隔壁部37の端部37aとは互いに離間している。すなわち、カバー31と隔壁部37の端部37aとの間には空間S2が形成されている。当該空間S2は、内部空間Vから圧力調整弁12の内部に流入したガスの流路として機能する。
弁体30は、連通孔33を塞ぐように、収容空間S1に収容されている。弁体30は、ゴム等の弾性部材によって形成された円柱状部材である。弁体30は、底壁部32の内面32b側において連通孔33を塞ぐ第1面30aと、第1面30aとは反対側に位置する第2面30bと、第1面30a及び第2面30bを接続する側面30cとを有している。第2面30bは、カバー31によって押圧される被押圧面である。弁体30は、第1面30aが底壁部32の内面32bに対して押し付けられた状態で配置されることで、連通孔33を塞いでいる。弁体30は、内部空間Vの圧力に応じて、連通孔33を開閉させる。弁体30の側面30cと隔壁部37の内壁面又は側壁部36の内壁面との間には、隙間Gが設けられている。
図6及び図7の(A)に示されるように、隔壁部37の内壁面には、弁体30を位置決めするための突出部38が形成されている。突出部38は、隔壁部37の内壁面から内周側へ突出している。突出部38は、弁体30の中心位置が連通孔33の中心軸線からずれて配置された場合に、弁体30の側面30cと接触するように形成されている。このような突出部38により、弁体30の位置ずれを一定の範囲内に抑えることができる。本実施形態では、複数(ここでは6つ)の突出部38が、連通孔33の中心軸線回りに等ピッチで形成されている。
図7の(A)に示されるように、底壁部32の内面32bには、当該内面32bからカバー31側に突出するシール部39が形成されている。シール部39は、当該シール部39に対して押し付けられた弁体30の第1面30aと接触することで、連通孔33と隙間Gとの間を開閉可能に封止している。シール部39は、内面32bにおける連通孔33の開口端を囲むように形成されている。シール部39は、連通孔33の縁部に沿って、連通孔33の中心軸線を中心とする円環状に形成されている。シール部39は、連通孔33の全周を隙間無く囲むように形成されている。これにより、シール部39は、弁体30の第1面30aと隙間無く接触しており、気密性が確保されている。
図6及び図7の(A)に示されるように、ケース29には、カバー31に形成された一対の切り欠き31a(後述)に沿った縁部と溶着(接合)される接合用壁部40が形成されている。接合用壁部40は、底壁部32及び側壁部36と一体的に形成されている。接合用壁部40のカバー31側の端部40aは、側壁部36の端部36aと面一となっている。
カバー31は、ケース29の開口を塞ぐ板状部材である。カバー31は、例えばPP、PPSまたは変性PPE等の樹脂で形成されている。カバー31には、対向方向から見てケース29の一部が視認可能となるように開口が形成されている。本実施形態では、図7の(B)及び(C)に示されるように、対向方向から見てケース29の一の対角線上に位置する一対の角部29a,29bが視認可能となるように形成された一対の切り欠き31aが、上記開口として形成されている。対向方向から見て、カバー31の外周縁部のうち切り欠き31aに沿った縁部以外の部分の位置は、ケース29の外周縁部(側壁部36の外側縁部)の位置と略一致している。従って、カバー31の外側(ケース29側とは反対側)から対向方向に沿って圧力調整弁12を観察した場合、切り欠き31aが形成されていない部分においては、ケース29はカバー31に覆われているため、ケース29を視認することはできない。一方、図7の(C)に示されるように、切り欠き31aが形成された部分においては、上記観察を行うことにより、ケース29の一部(ここでは、一対の角部29a,29bを含む部分)が視認可能となっている。
カバー31は、ケース29の開口端面に溶着により接合されている。具体的には、カバー31の切り欠き31aに沿った縁部は、接合用壁部40の端部40aに溶着されており、カバー31の切り欠き31a以外の部分に沿った縁部は、側壁部36の端部36aに溶着されている。カバー31の縁部は、例えば超音波溶着によってケース29の開口端面に接合されている。
カバー31には、圧力調整弁12の内部のガスを圧力調整弁12の外部に排気するための排気口41が設けられている。本実施形態では一例として、一対の切り欠き31aの近傍に、それぞれX軸方向に延びる断面円形状の2つの排気口41が設けられている。排気口41は、対向方向から見て弁体30と重ならないように配置されている。なお、排気口41が設けられる位置及び形状、並びに排気口41の個数は、この例に限られない。
圧力調整弁12において、ケース29の連通孔33は、二次シール部23の連通孔26及び一次シール部22の連通孔25を介してモジュール本体11の内部空間Vと連通されている。内部空間Vの圧力が設定圧よりも低いときは、連通孔33が弁体30によって塞がれた閉弁状態に維持される。内部空間Vの圧力が上昇して設定圧以上になると、弁体30が底壁部32から離間するように弾性変形し、連通孔33の閉塞が解除された開弁状態となる。その結果、内部空間Vからのガスは、弁体30の側面30cと隔壁部37の内壁面との隙間G(収容空間S1)を介して、隔壁部37とカバー31との間に形成された空間S2へと流通する。そして、当該ガスは、空間S2から排気口41を介して圧力調整弁12の外部へと排気される。
次に、図7の(C)を参照して、バイポーラ電池2の検査方法の一例について説明する。上述したように、ケース29の接合用突起34とモジュール本体11の取付領域24に設けられた接合用突起27とが熱板溶着によって接合されることで、圧力調整弁12がモジュール本体11に取り付けられる。このため、例えば、接合用突起27と接合用突起34とを溶着する際に、接合用突起27と接合用突起34との間に位置ずれが生じてしまい、モジュール本体11に対する圧力調整弁12(ケース29)の接合位置が予定された位置からずれてしまう場合がある。以下に述べる検査方法によれば、このような位置ずれを適切に検出することができる。
上述したように、圧力調整弁12は、壁部16aに垂直な方向に、モジュール本体11に取り付けられる。すなわち、圧力調整弁12は、壁部16a、底壁部32の内面32b、及びカバー31の主面(底壁部32に対向する面)が互いに平行となるように、モジュール本体11に取り付けられる。このため、本実施形態では、ケース29とカバー31とが対向する対向方向は、X軸方向と一致している。そこで、まず、バイポーラ電池2をカバー31の外側から対向方向(X軸方向)に沿って観察することにより、切り欠き31aを介して視認可能なケース29の一部の位置が特定される。一例として、このような観察は、例えば図示しないカメラ等を備える検査装置によって実施され得る。検査装置は、プロセッサ(例えばCPU等)、メモリ、入力装置(例えばマウス、キーボード等)、出力装置(例えばディスプレイ等)等を備えたコンピュータシステムである。例えば、上記検査装置のカメラによって撮像された画像(すなわち、バイポーラ電池2をカバー31の外側から対向方向に沿って撮像された画像)に対する画像処理を行うことにより、当該画像におけるケース29の一対の角部29a,29bの各々の位置を特定する座標である座標P1(Y1,Z1)及び座標P2(Y2,Z2)が取得される。
続いて、バイポーラ電池2をカバー31の外側から対向方向に沿って見た場合におけるモジュール本体11に対する圧力調整弁12(ケース29)の正規の位置を示す位置情報が取得される。ここでは一例として、上記位置情報として、ケース29がモジュール本体11に対して位置ずれなく接合された場合におけるケース29の中心位置を示す座標P3(Y3,Z3)が取得される。例えば、上記検査装置は、モジュール本体11の壁部16aの特定部分(例えば壁部16aの角部等の目印となる部分)を基準としたケース29の正規の位置(ここではケース29の中心位置)の相対的な位置座標(相対座標)を予め記憶している。上記検査装置は、当該検査装置のカメラによって撮像されたモジュール本体11の壁部16aの画像から上記特定部分に対応する部分を抽出する。そして、上記検査装置は、上記画像に対する画像処理を行うことにより、抽出された部分の座標を特定し、当該座標に上記相対座標を加算することにより、上記座標P3(Y3,Z3)を取得する。なお、座標P3を取得する工程は、座標P1,P2を取得する工程(ケース29の一部の位置を特定する工程)よりも前に実施されてもよいし、座標P1,P2を取得する工程と並行して実施されてもよい。
続いて、特定されたケース29の一部の位置(ここでは、座標P1,P2)と上記位置情報(ここでは、座標P3)とに基づいて、モジュール本体11に対するケース29の位置ずれが検出される。本実施形態では、まず、一対の角部29a,29bの各々の座標P1,P2に基づいて、当該座標P1,P2の中点(すなわち、ケース29の中心点)を示す座標P4(Y4,Z4)が算出される。具体的には、式「Y4=(Y1+Y2)/2」及び式「Z4=(Z1+Z2)/2」による計算を行うことにより、座標P4が算出される。ここで、モジュール本体11に対してケース29が位置ずれなく予定された位置に接合された場合には、座標P3と座標P4とは一致する。従って、座標P3と座標P4との差(距離)を、モジュール本体11に対するケース29の位置ずれとして検出(算出)することができる。
例えば、座標P3と座標P4との差が予め設定された許容誤差内である場合には、上記検査装置は、バイポーラ電池2の品質に影響を与える程の位置ずれは生じていない(すなわち、モジュール本体11に対するケース29の取付に関して、バイポーラ電池2は良品である)と判定し、当該判定結果を出力(例えば検査装置が備えるディスプレイ等に表示)してもよい。一方、座標P3と座標P4との差が許容誤差よりも大きい場合には、上記検査装置は、バイポーラ電池2が不良品であると判定し、当該判定結果を出力してもよい。これにより、上記検査装置を用いてバイポーラ電池2の検査を実施するオペレータは、モジュール本体11に対する圧力調整弁12の取付に関して、バイポーラ電池2の良否判定結果を適切に得ることができる。
次に、本実施形態に係るバイポーラ電池2の作用・効果について説明する。
バイポーラ電池2では、カバー31に、対向方向(X軸方向)から見てケース29の一部が視認可能となるように開口(本実施形態では一対の切り欠き31a)が形成されている。このため、カバー31の外側(ケース29側とは反対側)から対向方向に沿ってバイポーラ電池2を観察した場合に、カバー31に形成された開口を介して、ケース29の一部(本実施形態では一対の角部29a,29bを含む部分)を視認することができる。これにより、モジュール本体11に対するケース29の一部の相対的な位置関係(本実施形態では座標P1,P2と座標P3との関係)を特定することができる。その結果、モジュール本体11に対するケース29の位置ずれを検出することが可能となる。本実施形態では、モジュール本体11に対するケース29の正規の位置(本実施形態では座標P3)と観測された実際のケース29の位置(本実施形態では座標P1,P2から求まる座標P4)との差が、上記位置ずれとして検出される。これにより、モジュール本体11に対するケース29の位置ずれの有無及び程度を検出することができる。従って、バイポーラ電池2によれば、モジュール本体11に対する圧力調整弁12の位置ずれを適切に検出することができる。
上記効果についてより具体的に説明する。仮にカバー31に開口が形成されていなければ、カバー31の外側から対向方向に沿ってバイポーラ電池2を観察した場合に、ケース29の略全体がカバー31に隠されてしまうため、ケース29の一部の位置を特定することができない。このため、モジュール本体11に対するケース29の一部の相対的な位置関係を特定することができない。なお、この場合には、モジュール本体11に対するカバー31の位置を特定することはできる。このため、モジュール本体11とカバー31とが正規の位置関係(予定された位置関係)にあるか否かを検査することはできる。しかし、カバー31がケース29に接合(本実施形態では超音波溶着)される際に、カバー31とケース29との間に微小な接合位置ずれが生じる場合がある。従って、仮にモジュール本体11に対するカバー31の位置に基づいて位置ずれの検査を行った場合には、カバー31とケース29との間の接合位置ずれが考慮されない分だけ計測誤差が生じることになる。一方、本実施形態に係るバイポーラ電池2によれば、モジュール本体11に直接接合されるケース29とモジュール本体11との位置関係に基づいて位置ずれの検査を行うことが可能であるため、上記のような計測誤差を生じることなく、モジュール本体11に対する圧力調整弁12の位置ずれを精度良く検出することができる。
また、ケース29は、複数の連通孔33が形成された底壁部32と、底壁部32の縁部からカバー31に向かって立設された側壁部36と、を有し、カバー31は、側壁部36の端部37aに接合されている。これにより、底壁部32、側壁部36、及びカバー31により形成される空間内に複数の弁体30を収容することができ、複数の弁体30を適切に保護することができる。また、ケース29は、対向方向から見て略矩形状に形成されており、カバー31に形成された開口は、対向方向から見てケース29の一の対角線上に位置する一対の角部29a,29bが視認可能となるように形成された一対の切り欠き31aである。この構成によれば、カバー31の外側から対向方向に沿ってバイポーラ電池2を観察した場合に、カバー31に形成された一対の切り欠き31aを介して、ケース29の一対の角部29a,29bの位置(座標P1,P2)を特定することができる。これにより、例えば当該一対の角部29a,29bの位置(座標P1,P2)から、ケース29の代表位置(ここでは一例として、一対の角部29a,29bの中点を示す座標P4)を特定することができる。従って、圧力調整弁12の正規の位置(ここでは、モジュール本体11に対してケース29が位置ずれなく接合された場合のケース29の中心点の位置(すなわち座標P3))からの位置ずれを容易に検出することができる。
また、このようにケース29における互いに離間する複数の位置(座標P1,P2)を特定することにより、予め把握されているケース29の外形寸法のデータと、当該複数の位置(座標P1,P2)とから、モジュール本体11に取り付けられたケース29の対向方向から見た外形を特定することができる。これにより、モジュール本体11に対するケース29の姿勢を特定することができる。その結果、モジュール本体11に対するケース29の回転ずれ(すなわち、対向方向に平行な軸回りの回転方向におけるずれ)を検出することもできる。
なお、カバー31の外側から対向方向に沿ってバイポーラ電池2を観察した場合にケース29の一部が視認可能となるように、カバー31の角部以外の場所(例えば辺部の一部)に凹部状の切り欠きが設けられてもよい。ただし、カバー31の外側縁部を全周に亘ってケース29に接合(本実施形態では超音波溶着)する際の作業性を考慮すると、カバー31の外周縁部にはなるべく急なカーブ(例えば90度曲がるカーブ)がない方がよい。このような観点から、カバー31の角部以外の場所に凹部状の切り欠きを設けるよりも、本実施形態のように、カバー31の角部を含む一部を切り欠いた形状の切り欠き31aを設けることが好ましい。
また、カバー31の外側から対向方向に沿ってバイポーラ電池2を観察した場合にケース29の一部が視認可能となるように、対向方向から見た場合のケース29の外形寸法をカバー31の外形寸法よりも一回り大きくすることも考えられる。例えば、ケース29の側壁部36の厚さを本実施形態よりも大きくすることにより、対向方向から見た場合に、側壁部36の外側縁部がカバー31の外側端部からはみ出るようにすることが考えられる。しかし、このようにケース29の側壁部36の厚さを大きくした場合、ケース29を樹脂で成型する際に生じるヒケに起因するケース29の変形が大きくなるおそれがある。また、側壁部36の厚さの増大に伴い、圧力調整弁12が大型化及び重量化してしまう。また、特に積層方向(Z方向)に垂直な面(XY平面)に沿って延びる側壁部36の厚さを大きくした場合、積層方向におけるケース29の寸法(すなわち、圧力調整弁12の寸法)がその分大きくなり、積層方向に隣り合うバイポーラ電池2間において、圧力調整弁12同士が干渉するおそれがある。一方、本実施形態のように、カバー31の角部を含む一部を切り欠いた形状の切り欠き31aを設けることにより、上述したようなデメリットを回避できる。
また、上述したバイポーラ電池2の検査方法は、バイポーラ電池2をカバー31の外側から対向方向に沿って観察することにより、カバー31に形成された開口(本実施形態では一対の切り欠き31a)を介して視認可能なケース29の一部(本実施形態では一対の角部29a,29b)の位置を特定する工程と、バイポーラ電池2をカバー31の外側から対向方向に沿って見た場合におけるモジュール本体11に対するケース29の正規の位置を示す位置情報(本実施形態では座標P3)を取得する工程と、特定されたケース29の一部の位置(本実施形態では座標P1,P2)と上記位置情報(座標P3)とに基づいて、モジュール本体11に対するケース29の位置ずれ(本実施形態では座標P3と座標P1,P2の中点である座標P4との差)を検出する工程と、を含む。上記検査方法によれば、カバー31に形成された開口を介して特定されるケース29の一部の位置と、モジュール本体11に対するケース29の正規の位置を示す位置情報と、に基づいて、モジュール本体11に対するケース29の位置ずれを適切かつ容易に検出することができる。
[第1実施形態の第1変形例]
図8を参照して、第1実施形態の第1変形例に係る圧力調整弁12Aについて説明する。図8の(A)は、圧力調整弁12Aが備えるケース29Aの平面図である。図8の(B)は、圧力調整弁12Aが備えるカバー31Aの平面図である。図8の(C)は、圧力調整弁12Aの平面図(カバー31Aの外側から見た図)である。図8に示されるように、圧力調整弁12Aは、ケース29及びカバー31の代わりに、ケース29A及びカバー31Aを備える点で、圧力調整弁12と相違している。
ケース29Aは、接合用壁部40を有していない点で、ケース29と相違している。また、ケース29Aは、ケース29Aの特定の位置を示す目印M1が設けられている点で、ケース29と相違している。一例として、目印M1は、対向方向から見た場合におけるケース29Aの中心位置(ここでは、ケース29Aの中央部における2つの収容空間S1の間に位置する隔壁部37の端部37a)に設けられている。目印M1は、例えば、ケース29Aの一部(ここでは、隔壁部37の端部37a)に設けられた突起部又は溝部によって形成されている。或いは、目印M1は、ケース29Aの一部(ここでは、隔壁部37の端部37a)を着色することによって形成されてもよい。本実施形態では一例として、目印M1は、対向方向から見て円形状に形成されている。なお、目印M1は、隔壁部37以外の部分(例えば底壁部32の内面32b)に形成されてもよい。
カバー31Aは、切り欠き31aを有しておらず、2つの排気口41の代わりに1つの貫通孔42(開口)が形成されている点で、カバー31と相違している。対向方向から見た場合におけるカバー31Aの外形は、ケース29Aの外形と略同一の大きさの矩形状である。貫通孔42は、対向方向から見たカバー31Aの中心位置に設けられている。貫通孔42のX軸方向に垂直な面(YZ平面)に沿った断面は、円形状を有している。対向方向から見て、貫通孔42の孔径は、目印M1の径よりも大きい。貫通孔42は、ケース29Aに対してカバー31Aが位置ずれなく接合された場合に、対向方向から見て貫通孔42の中心位置と目印M1の中心位置とが一致するように配置されている。
圧力調整弁12Aにおいては、ケース29A(ここでは一例として隔壁部37の端部37a)には、ケース29Aの特定の位置(ここでは一例として対向方向から見た場合の中心位置)を示す目印M1が設けられている。また、カバー31Aには、対向方向から見て目印M1が視認可能となるように形成された貫通孔42が設けられている。このような構成によれば、カバー31Aの外側(ケース29A側とは反対側)から対向方向に沿ってバイポーラ電池2を観察した場合に、カバー31Aに形成された貫通孔42を介して、ケース29に設けられた目印M1の位置を特定することができる。これにより、正規の位置(ここでは、モジュール本体11に対してケース29Aが位置ずれなく接合された場合の目印M1の位置)からの位置ずれを容易に検出することができる。
なお、この場合には、上述した検査装置は、例えば以下のようにしてモジュール本体11に対するケース29Aの位置ずれを検出することができる。すなわち、上記検査装置は、モジュール本体11の壁部16aの特定部分を基準としたケース29の正規の位置(ここでは目印M1の位置)の相対的な位置座標(相対座標)を予め記憶している。上記検査装置は、当該検査装置のカメラによって撮像されたモジュール本体11の壁部16aの画像から上記特定部分に対応する部分を抽出する。そして、上記検査装置は、上記画像に対する画像処理を行うことにより、抽出された部分の座標を特定し、当該座標に上記相対座標を加算することにより、ケース29の正規の位置の座標を取得することができる。このように取得された座標(予定された目印M1の位置)と貫通孔42を介して実際に観測された目印M1の位置とに基づいて、モジュール本体11に対するケース29Aの位置ずれを検出することができる。
[第1実施形態の第2変形例]
図9の(A)を参照して、第1実施形態の第2変形例に係る圧力調整弁12Bについて説明する。図9の(A)は、圧力調整弁12Bの平面図(カバー31Aの外側から見た図)である。圧力調整弁12Bは、ケース29Aにおいて円形状の目印M1の代わりに非円形状(ここでは一例として四角形状)の目印M2が設けられている点で、圧力調整弁12Aと相違している。目印M2は、目印M1と同様に、ケース29Aに設けられた突起部又は溝部であってもよいし、ケース29Aの一部を着色することによって形成されてもよい。この構成によれば、上述した圧力調整弁12Aと同様の効果が奏されると共に、以下の効果が奏される。すなわち、カバー31Aの外側から対向方向に沿ってバイポーラ電池2を観察した場合に、カバー31Aに形成された貫通孔42を介して観察される目印M2の傾きに基づいて、モジュール本体11に対する圧力調整弁12B(ケース29A)の姿勢を特定することができる。その結果、モジュール本体11に対する圧力調整弁12Bの回転ずれを検出することが可能となる。
[第1実施形態の第3変形例]
図9の(B)を参照して、第1実施形態の第3変形例に係る圧力調整弁12Cについて説明する。図9の(B)は、圧力調整弁12Cの平面図(カバー31Cの外側から見た図)である。圧力調整弁12Cは、ケース29Aにおいて複数(ここでは2つ)の円形状の目印M3が設けられている点と、カバー31Aの代わりに複数の目印M3に対応する複数の貫通孔42が設けられたカバー31Cを備える点とにおいて、圧力調整弁12Aと相違している。ここでは一例として、2つの目印M3は、対向方向から見て、Y軸方向における圧力調整弁12Cの中央部において、Z軸方向に互いに離間している。目印M3は、目印M1と同様に、ケース29Aに設けられた突起部又は溝部であってもよいし、ケース29Aの一部を着色することによって形成されてもよい。この構成によれば、上述した圧力調整弁12Aと同様の効果が奏されると共に、以下の効果が奏される。すなわち、カバー31Cの外側から対向方向に沿ってバイポーラ電池2を観察した場合に、カバー31Cに形成された複数の貫通孔42を介して観察される複数の目印M3の各々の位置に基づいて、モジュール本体11に対する圧力調整弁12(ケース29A)の位置ずれをより精度良く検出することが可能となる。さらに、複数の貫通孔42を介して観察される複数の目印M3同士の位置関係に基づいて、モジュール本体11に対する圧力調整弁12C(ケース29A)の姿勢を特定することができる。その結果、モジュール本体11に対する圧力調整弁12Cの回転ずれを検出することが可能となる。
上述した第1〜第3変形例においては、貫通孔42は、弁体30が開弁することによって連通孔33を介して内部空間Vから圧力調整弁12A〜12Cの内部に流入したガスを、圧力調整弁12A〜12Cの外部に排気するための排気口として機能する。すなわち、貫通孔42は、対向方向から見て目印M1〜M3を視認可能とするための開口として機能すると共に、第1実施形態における排気口41と同様の役割を果たす。この構成によれば、カバー31A,31Cに設けられた貫通孔42を圧力調整弁12A〜12Cに必要となる排気口として機能させることができる。これにより、貫通孔42(すなわち、目印M1〜M3を視認可能とするための開口)とは別に排気口を設ける必要がなくなるため、圧力調整弁12A〜12Cの製造作業の工数削減を図りつつ、モジュール本体11に対する圧力調整弁12(ケース29A)の位置ずれを検出することが可能な構成を実現できる。
また、上述した第1〜第3変形例においては、貫通孔42に対する目印M1〜M3の相対的な位置関係に基づいて、ケース29Aに対するカバー31A,31Cの位置ずれの有無及び程度を容易に検査することもできる。すなわち、対向方向から見た貫通孔42の中心位置と目印M1〜M3の中心位置との差(距離)を、ケース29Aに対するカバー31A,31Cの位置ずれとして検出することができる。これにより、ケース29Aに対するカバー31A,31Cの超音波溶着の際に生じた接合ずれを容易に検出することができる。
[第2実施形態]
図10〜図12を参照して、第2実施形態に係るバイポーラ電池2Aについて説明する。図10は、バイポーラ電池2Aの概略斜視図である。図11の(A)は、圧力調整弁112の底面図(底壁部132の外面132a側から見た図)である。図11の(B)は、バイポーラ電池2Aの圧力調整弁112の平面図(カバー131の外側から見た図)である。図12の(A)は、モジュール本体11の壁部16aの一部を示す図である。図12の(B)は、ケース129の平面図である。図12の(C)は、カバー131の平面図である。なお、図12の(A)においては、連通孔26の図示が省略されている。
バイポーラ電池2Aは、4つの圧力調整弁12の代わりに2つの圧力調整弁112を備える点で、バイポーラ電池2と主に相違している。1つの圧力調整弁112は、隣り合う2つの取付領域24に跨がるようにしてモジュール本体11の壁部16aに取り付けられて、圧力調整弁12二つ分の役割を果たす。1つの圧力調整弁112は、ケース129(第1部材)と、ケース129内に収容される複数(ここでは12個)の弁体30(図6参照)と、カバー131(第2部材)とを有している。ケース129及びカバー131は、ケース29及びカバー31と同様に、例えばPP、PPSまたは変性PPE等の樹脂で形成されている。ケース129及びカバー131は、2つの取付領域24に跨がるように、ケース29及びカバー31よりも幅広の構造を有している。
ケース129は、底壁部132を有している。底壁部132には、底壁部32と同様に、モジュール本体11側の外面132aからカバー131側の内面132bに向けて貫通した複数(ここでは12個)の連通孔33(第2連通孔)が設けられている。図11の(A)に示されるように、底壁部132の外面132aには、略枠状の接合用突起134が設けられている。接合用突起134は、モジュール本体11と圧力調整弁112とを接合すると共に、各内部空間Vからのガスがそれぞれ流れる複数(ここでは12個)の流路35を形成する。
接合用突起134は、接合用突起134Aと接合用突起134Bとを有している。接合用突起134Aは、モジュール本体11の壁部16aにおける一の取付領域24に設けられた接合用突起27A(図12の(A)参照)に対応して設けられている。接合用突起134Bは、当該一の取付領域24に隣接する取付領域24に設けられた接合用突起27B(図12の(A)参照)に対応して設けられている。接合用突起134Aは、モジュール本体11の接合用突起27Aと接合される。接合用突起134Bは、モジュール本体11の接合用突起27Bと接合される。接合用突起134A,134Bは、接合用突起27A,27Bに対応する形状及び寸法を有している。接合用突起134A,134Bと接合用突起27A,27Bとは、上述した接合用突起34及び接合用突起27の接合と同様に、例えば熱板溶着によって接合される。その結果、モジュール本体11と圧力調整弁112とが接合される。
図12の(B)に示されるように、ケース129は、それぞれ底壁部132からカバー131側に突出した側壁部136及び隔壁部137を有している。本実施形態では、側壁部136及び隔壁部137は、底壁部132と一体的に形成されている。側壁部136は、複数(ここでは12個)の弁体30を包囲するように、底壁部132の内面132bの縁部に立設されている。具体的には、側壁部136は、底壁部132の外周縁部の全周にわたって形成されており、ケース129の外壁を構成している。より具体的には、側壁部136は、対向方向から見て、略矩形状に形成された底壁部132の外周縁部に沿って、略矩形枠状に形成されている。隔壁部137は、隔壁部37と同様に、底壁部132の内面132bに立設されている。すなわち、隔壁部137は、各弁体30が収容される円柱状の収容空間S1を形成している。各収容空間S1内には、圧力調整弁12と同様に、突出部38及びシール部39が形成されている。
本実施形態では、底壁部132の内面132bを基準として、側壁部136のカバー131側の端部136aは、隔壁部137のカバー131側の端部137aよりも高い位置にある。従って、ケース129にカバー131が取り付けられた状態において、カバー131が側壁部136の端部136aに接する一方で、カバー131と隔壁部137の端部137aとは互いに離間している。すなわち、カバー131と隔壁部137の端部137aとの間には空間が形成されている。当該空間は、内部空間Vから圧力調整弁112の内部に流入したガスの流路として機能する。
また、ケース129には、カバー131における切り欠き131aに沿った縁部と溶着(接合)される接合用壁部140が形成されている。接合用壁部140は、底壁部132及び側壁部136と一体的に形成されている。接合用壁部140のカバー131側の端部140aは、側壁部136の端部136aと面一となっている。
カバー131は、ケース129の開口を塞ぐ板状部材である。カバー131には、対向方向から見てケース129の一部が視認可能となるように開口が形成されている。本実施形態では、対向方向から見てケース129の幅方向(Y軸方向)における中央部の下側部分が視認可能となるように形成された凹部状の切り欠き131aが、上記開口として形成されている。対向方向から見て、カバー131の外周縁部のうち切り欠き131aに沿った縁部以外の部分の位置は、ケース129の外周縁部(側壁部136の外側縁部)の位置と略一致している。従って、カバー131の外側(ケース129側とは反対側)から対向方向に沿って圧力調整弁112を観察した場合、切り欠き131aが形成されていない部分においては、ケース129はカバー131に覆われているため、ケース129を視認することはできない。一方、図11の(B)に示されるように、切り欠き131aが形成されている部分においては、上記観察を行うことにより、ケース129の一部が視認可能となっている。
カバー131は、ケース129の開口端面に溶着により接合されている。カバー131の縁部は、例えば超音波溶着によってケース129の開口端面に接合されている。具体的には、カバー131の切り欠き131aに沿った縁部は、接合用壁部140の端部140aに溶着されており、カバー131の切り欠き131a以外の部分に沿った縁部は、側壁部136の端部136aに溶着されている。カバー131には、2つの排気口141が設けられている。排気口141は排気口41と同様の役割を果たす。本実施形態では一例として、2つの排気口141は、矩形状のカバー131の一の対角線上の各角部の近傍に設けられている。
図12の(A)に示されるように、バイポーラ電池2Aでは、モジュール本体11の壁部16aには、モジュール本体11における特定の位置を示す目印M4が設けられている。本実施形態では一例として、Y軸方向に互いに離間した2つの円形状の目印M4が、モジュール本体11の壁部16aに設けられている。2つの目印M4は、互いに隣接する2つの取付領域24の間(すなわち、接合用突起27A及び接合用突起27Bの間)に設けられている。目印M4は、壁部16aに設けられた突起部又は溝部であってもよいし、壁部16aの一部を着色することによって形成されてもよい。
また、ケース129には、対向方向から見てモジュール本体11に設けられた目印M4が視認可能となるように貫通孔129a(第1開口)が形成されている。本実施形態では、ケース129の底壁部132に、2つの目印M4のそれぞれに対応する2つの貫通孔129aが形成されている。ここで、目印M4は接合用突起27A及び接合用突起27Bの間に設けられているため、2つの貫通孔129aを弁体30(収容空間S1)及び隔壁部137と重ならない位置(本実施形態では、側壁部136及び接合用壁部140に囲まれた領域)に設けることができる。対向方向から見て、貫通孔129aは、目印M4よりも一回り大きい。
また、図11の(B)に示されるように、カバー131の切り欠き131a(第2開口)は、対向方向から見て目印M4及び貫通孔129aが視認可能となるように形成されている。対向方向から見て、切り欠き131aは、貫通孔129aよりも大きい。このため、切り欠き131aを介して、貫通孔129aだけでなく貫通孔129aの周囲の底壁部132の内面132bも視認可能となっている。ここで、目印M4及び貫通孔129aは、モジュール本体11に対してケース129が位置ずれなく接合された場合に、目印M4の中心点と貫通孔129aの中心点とが一致するように、配置されている。
次に、バイポーラ電池2Aの検査方法の一例について説明する。上述したように、ケース129の接合用突起134とモジュール本体11の取付領域24に設けられた接合用突起27とが熱板溶着によって接合されることで、圧力調整弁112がモジュール本体11に取り付けられる。このため、例えば、接合用突起127と接合用突起134とを溶着する際に、接合用突起127と接合用突起134との間に位置ずれが生じてしまい、モジュール本体11に対する圧力調整弁112(ケース129)の接合位置が予定された位置からずれてしまう場合がある。以下に述べる検査方法によれば、このような位置ずれを適切に検出することができる。
まず、バイポーラ電池2Aをカバー131の外側から対向方向(X軸方向)に沿って観察することにより、切り欠き131aを介して視認可能な貫通孔129aの位置が特定される。このような観察は、例えば上述した図示しない検査装置によって実施され得る。例えば、上記検査装置のカメラによって撮像された画像に対する画像処理を行うことにより、貫通孔129aの輪郭が特定され、当該輪郭の位置に基づいて貫通孔129aの中心点を示す座標(以下「座標A」)が取得される。
続いて、バイポーラ電池2Aをカバー131の外側から対向方向に沿って観察することにより、切り欠き131a及び貫通孔129aを介して視認可能な目印M4の位置が特定される。例えば、上記検査装置のカメラによって撮像された画像に対する画像処理を行うことにより、目印M4の輪郭が特定され、当該輪郭の位置に基づいて目印M4の中心点を示す座標(以下「座標B」)が取得される。なお、座標Bを取得する工程は、座標Aを取得する工程よりも前に実施されてもよいし、座標Aを取得する工程と並行して実施されてもよい。
続いて、上記のように特定された貫通孔129aの位置(ここでは座標A)と目印M4の位置(ここでは座標B)とに基づいて、モジュール本体11に対するケース129の位置ずれが検出される。本実施形態では、上記検査装置において、座標Aと座標Bとの差(距離)が、モジュール本体11に対するケース129の位置ずれとして検出(算出)される。
例えば、座標Aと座標Bとの差が予め設定された許容誤差内である場合には、上記検査装置は、バイポーラ電池2Aの品質に影響を与える程の位置ずれは生じていない(すなわち、モジュール本体11に対するケース129の取付に関して、バイポーラ電池2Aは良品である)と判定し、当該判定結果を出力(例えば検査装置が備えるディスプレイ等に表示)してもよい。一方、座標Aと座標Bとの差が許容誤差よりも大きい場合には、上記検査装置は、バイポーラ電池2Aが不良品であると判定し、当該判定結果を出力してもよい。これにより、上記検査装置を用いてバイポーラ電池2Aの検査を実施するオペレータは、モジュール本体11に対する圧力調整弁112の取付に関して、バイポーラ電池2Aの良否判定結果を適切に得ることができる。
以上説明したバイポーラ電池2Aでは、モジュール本体11における特定の位置を示す目印M4が設けられている。ケース129には、対向方向から見て目印M4が視認可能となるように貫通孔129aが形成されている。カバー131には、対向方向から見て目印M4及び貫通孔129aが視認可能となるように切り欠き131aが形成されている。このようなバイポーラ電池2Aによれば、カバー131の外側から対向方向に沿ってバイポーラ電池2Aを観察した場合に、切り欠き131aを介して視認可能な貫通孔129aと切り欠き131a及び貫通孔129aを介して視認可能なモジュール本体11の目印M4との間の相対的な位置関係(本実施形態では、座標Aと座標Bとの差)に基づいて、モジュール本体11に対する圧力調整弁112(ケース129)の位置ずれを容易に検出することが可能となる。
また、本実施形態では、複数(ここでは2つ)の目印M4と、当該複数の目印M4の各々に対応する複数の貫通孔129aと、が設けられている。この場合、目印M4と貫通孔129aとの相対的な位置関係(位置ずれ)を異なる2箇所以上において特定することができる。その結果、モジュール本体11に対する圧力調整弁112(ケース129)の回転ずれを検出することが可能となる。
また、上述のように切り欠き131aを介して底壁部132の内面132b及び目印M4の両方が視認可能となっていることにより、モジュール本体11に対する圧力調整弁112の押込量の検査を行うこともできる。例えば、カバー131の外側に配置された距離センサ等を用いることにより、距離センサから目印M4(壁部16a)までの対向方向に沿った第1距離と、距離センサから底壁部132の内面132bまでの対向方向に沿った第2距離とを計測することができる。このように計測された第1距離及び第2距離同士の差に基づいて、モジュール本体11に対する圧力調整弁112(ケース129)の押込量(熱板溶着における押込量)を検査することができる。
また、目印M4が、ケース129(底壁部132)に設けられた貫通孔129aに挿通される突起部(すなわち、壁部16aからケース129側に突出する部分)として構成される場合には、以下のような効果も奏される。すなわち、モジュール本体11にケース129を接合する際に、モジュール本体11に設けられた突起部(目印M4)をケース129の貫通孔129aに挿通させることにより、モジュール本体11に対するケース129の位置決めを精度良く行うことができる。これにより、バイポーラ電池2Aの組立時(モジュール本体11に対する圧力調整弁112の取付時)において、モジュール本体11に対する圧力調整弁112(ケース129)の位置ずれを抑制することが可能となる。
また、上述したバイポーラ電池2Aの検査方法は、バイポーラ電池2Aをカバー131の外側(ケース129側とは反対側)から対向方向に沿って観察することにより、カバー131に形成された開口(本実施形態では切り欠き131a)を介して視認可能な貫通孔129aの位置(本実施形態では座標A)を特定する工程と、バイポーラ電池2Aをカバー131の外側から対向方向に沿って観察することにより、切り欠き131a及び貫通孔129aを介して視認可能な目印M4の位置(本実施形態では座標B)を特定する工程と、貫通孔129aの位置(座標A)と目印M4の位置(座標B)とに基づいて、モジュール本体11に対するケース129の位置ずれを検出する工程と、を含む。上記検査方法によれば、カバー131に形成された切り欠き131aを介して特定されるケース129の貫通孔129aの位置及びモジュール本体11の目印M4の位置に基づいて、モジュール本体11に対するケース129の位置ずれを適切かつ容易に検出することができる。
[第2実施形態の第1変形例]
図13の(A)は、第2実施形態の第1変形例に係る圧力調整弁112Aの平面図(カバー131Aの外側から見た図)である。第1変形例では、モジュール本体11の壁部16aには、複数(ここでは2つ)の円形状の目印M5が設けられている。圧力調整弁112Aは、ケース129及びカバー131の代わりにケース129A及びカバー131Aを備える点で、圧力調整弁112と相違している。ケース129Aは、貫通孔129aの代わりに複数の目印M5に対応する複数(ここでは2つ)の円形状の貫通孔129b(第1開口)が設けられている点で、ケース129と相違している。対向方向から見て、貫通孔129bは、目印M5よりも一回り大きい。また、カバー131Aは、切り欠き131aの代わりに複数(ここでは2つ)の円形状の貫通孔131b(第2開口)が設けられている点で、カバー131と相違している。対向方向から見て、貫通孔131bは、貫通孔129bよりも一回り大きい。貫通孔129bは、モジュール本体11に対してケース129Aが位置ずれなく接合された場合に、対向方向から見て目印M5の中心点と貫通孔129bの中心点とが一致するように、配置されている。貫通孔131bは、ケース129Aに対してカバー131Aが位置ずれなく接合された場合に、対向方向から見て貫通孔131bの中心位置と貫通孔129bの中心位置とが一致するように配置されている。
上記第1変形例によっても、上記第2実施形態と同様の効果が奏される。すなわち、カバー131Aに形成された複数の貫通孔131bを介して観察される複数の貫通孔129bと複数の目印M5との相対的な位置関係に基づいて、モジュール本体11に対する圧力調整弁112A(ケース129A)の位置ずれを容易に検出することができると共に、モジュール本体11に対する圧力調整弁112A(ケース129A)の回転ずれを検出することができる。
[第2実施形態の第2変形例]
図13の(B)は、第2実施形態の第2変形例に係る圧力調整弁112Bの平面図(カバー131Bの外側から見た図)である。第2変形例では、モジュール本体11の壁部16aには、1つの非円形状(ここでは四角形状)の目印M6が設けられている。圧力調整弁112Bは、ケース129及びカバー131の代わりにケース129B及びカバー131Bを備える点で、圧力調整弁112と相違している。ケース129Bは、貫通孔129aの代わりに目印M6に対応する1つの非円形状(ここでは四角形状)の貫通孔129c(第1開口)が設けられている点で、ケース129と相違している。対向方向から見て、貫通孔129cは、目印M6よりも一回り大きい。また、カバー131Bは、切り欠き131aの代わりに1つの非円形状(ここでは四角形状)の貫通孔131c(第2開口)が設けられている点で、カバー131と相違している。対向方向から見て、貫通孔131cは、貫通孔129cよりも一回り大きい。貫通孔129cは、モジュール本体11に対してケース129Bが位置ずれなく接合された場合に、対向方向から見て目印M6の中心点と貫通孔129cの中心点とが一致するように、配置されている。貫通孔131cは、ケース129Bに対してカバー131Bが位置ずれなく接合された場合に、対向方向から見て貫通孔131cの中心位置と貫通孔129cの中心位置とが一致するように配置されている。
上記第2変形例によっても、上記第2実施形態と同様の効果が奏される。すなわち、カバー131Bに形成された貫通孔131cを介して観察される貫通孔129cと目印M6との相対的な位置関係に基づいて、モジュール本体11に対する圧力調整弁112B(ケース129B)の位置ずれを容易に検出することができる。また、貫通孔129cに対する目印M6の傾きに基づいて、モジュール本体11に対する圧力調整弁112B(ケース129B)の回転ずれを検出することもできる。なお、モジュール本体11に対する圧力調整弁112Bの回転ずれを検出するためには、目印M6及び貫通孔129cが非円形状であればよく、貫通孔131cは円形状であってもよい。ただし、貫通孔131cも非円形状であることにより、貫通孔131cに対する貫通孔129cの傾きに基づいて、ケース129Bに対するカバー131Bの回転ずれを容易に検出することもできる。
[第2実施形態の第3変形例]
図13の(C)は、第2実施形態の第3変形例に係る圧力調整弁112Cの平面図(カバー131Cの外側から見た図)である。第3変形例では、モジュール本体11の壁部16aには、1つの円形状の目印M7が設けられている。圧力調整弁112Cは、ケース129及びカバー131の代わりにケース129C及び2つのカバー131C,131Dを備える点で、圧力調整弁112と相違している。ケース129Cは、貫通孔129aの代わりに目印M7に対応する1つの円形状の貫通孔129d(第1開口)が設けられている点で、ケース129と相違している。対向方向から見て、貫通孔129dは、目印M7よりも一回り大きい。カバー131Cは、接合用突起27Aにより形成された流路28と連通した収容空間S1に収容される複数(ここでは6つ)の弁体30を底壁部132に対して押圧する部材である。カバー131Dは、接合用突起27Bにより形成された流路28と連通した収容空間S1に収容される複数(ここでは6つ)の弁体30を底壁部132に対して押圧する部材である。対向方向から見て、カバー131Cとカバー131Dとは、圧力調整弁112Cの幅方向(Y軸方向)に互いに離間している。これにより、カバー131Cとカバー131Dとの間にケース129Cを見通すための開口131d(第2開口)が形成されている。対向方向から見て、開口131dは、貫通孔129dよりも大きい。貫通孔129dは、モジュール本体11に対してケース129Cが位置ずれなく接合された場合に、対向方向から見て目印M7の中心点と貫通孔129dの中心点とが一致するように、配置されている。開口131dは、ケース129Cに対してカバー131C及びカバー131Dが位置ずれなく接合された場合に、対向方向から見て開口131d内に貫通孔129dの全体が収まるように配置されている。
上記第3変形例によっても、上記第2実施形態と同様の効果が奏される。上記第3変形例のように、ケース129Cに収容される弁体30を底壁部132に対して押圧するためのカバーは、複数(ここでは2つ)に分割されていてもよい。この場合には、複数のカバー131C,131D間の隙間を、対向方向から見てケース129Cの一部(貫通孔129dを含む部分)を視認可能とするための開口131dとして利用することができる。
なお、上述した目印M5〜M7は、目印M4と同様に、壁部16aに設けられた突起部又は溝部であってもよいし、壁部16aの一部を着色することによって形成されてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、各部の形状及び材料等は、適宜に変更されてもよい。また、上述した一の実施形態又は変形例における一部の構成は、他の実施形態又は変形例における構成に任意に適用することができる。
例えば、弁体30は、円柱状部材に限られず、例えば多角形柱状部材であってもよい。また、この場合、隔壁部37,137は、弁体30の形状に応じた形状の収容空間S1を形成するように形成されればよい。
また、排気口41,141は、カバー以外の部材(例えばケースの側壁部等)に設けられてもよい。また、側壁部36は、必ずしも底壁部32と一体的に形成されなくともよい。例えば、側壁部36は、底壁部32ではなくカバー31の縁部に立設される部材であってもよい。この場合、側壁部36の底壁部32側の端部と底壁部32とが、例えば超音波溶着等によって接合されればよい。
また、上記実施形態では、電池モジュールとしてのバイポーラ電池2はニッケル水素二次電池であるが、本発明は、特にニッケル水素二次電池には限られず、リチウムイオン二次電池等にも適用可能である。また、本発明は、バイポーラ電池2以外にも、複数の電極が積層された電極積層体と電極積層体を取り囲むように配置された枠体とを有するモジュール本体を備えた電池モジュールであれば適用可能である。
[第1実施形態についての補足事項]
図14は、図7のXIV-XIV線に沿った断面における(A)カバー取付前の状態及び(B)カバー取付後の状態を示している。図14に示されるように、本実施形態では一例として、底壁部32の内面32bには、当該内面32bから突出するシール部39が形成されている。シール部39は、当該シール部39に対して押し付けられた弁体30の第1面30aと接触することで、連通孔33と隙間Gとの間を開閉可能に封止している。シール部39は、内面32bにおける連通孔33の開口端を囲むように形成されている。シール部39は、連通孔33の縁部に沿って、連通孔33の中心軸線を中心とする円環状に形成されている。シール部39は、連通孔33の全周を隙間無く囲むように形成されている。これにより、シール部39は、弁体30の第1面30aと隙間無く接触しており、気密性が確保されている。
図14の(A)に示されるように、カバー31の内面31b(ケース29側の面)の縁部(側壁部36の端部36a及び接合用壁部40の端部40aの各々に対向する部分)には、接合用突起31cが設けられている。接合用突起31cは、内面31bの縁部の全周にわたって環状に形成されている。接合用突起31cの断面形状は、内面31b側からケース29に向かって先細りとなるテーパ状に形成されている。
また、カバー31の内面31bのうち接合用突起31cの内側に位置する部分には、内面31bよりもケース29に向かって突出した押圧面31dが設けられている。押圧面31dは、対向方向(X軸方向)から見て、側壁部36及び接合用壁部40よりも底壁部32側に位置するように形成されている。これにより、図14の(B)に示されるように、カバー31がケース29に取り付けられた際に、押圧面31dは、側壁部36及び接合用壁部40により形成されるケース29の内側に入り込むことが可能となっている。すなわち、カバー31がケース29に取り付けられた際に、押圧面31dは、カバー31と隔壁部37の端部37aとの間に形成された空間S2に配置されている。ここで、対向方向(X軸方向)に沿ったカバー31の内面31bから押圧面31dまでの距離d1、及びカバー31の外面31e(ケース29とは反対側の面)から押圧面31dまでの距離d2は、予め定められている。
図14の(B)に示されるように、カバー31をケース29に取り付ける際には、接合用突起31cが側壁部36の端部36a及び接合用壁部40の端部40aに押し付けられながら超音波溶着が実施される。これにより、接合用突起31cの先端側の一部が溶かされて、カバー31がケース29側に押し込まれる。このとき、押圧面31dが弁体30の第2面30bに当接し、弁体30を底壁部32(本実施形態ではシール部39)に対して押圧する。これにより、弁体30は圧縮される。すなわち、対向方向(X軸方向)に沿った弁体30の長さが、カバー取付前の状態(すなわち、非圧縮状態)における長さD1から長さD2(カバー取付後におけるシール部39の頂部から押圧面31dまでの長さ)となるまで圧縮される。この場合、弁体30の圧縮量は、「D1−D2」により表される。
ここで、弁体30の圧縮量は、内部空間Vの圧力が設定圧よりも低いときは連通孔33が弁体30によって塞がれた閉弁状態に維持され、内部空間Vの圧力が上昇して設定圧以上になると弁体30が底壁部32(シール部39)から離間する(開弁状態となる)ように、調整される必要がある。弁体30の圧縮量にずれが生じると、内部空間Vの圧力が設定圧に達する前に開弁状態になったり、内部空間Vの圧力が設定圧よりも高くなっても閉弁状態が維持されてしまったりする虞がある。そのため、弁体30の圧縮量が適切となるように、ケース29に対するカバー31の押込量が調整される必要がある。本実施形態では、接合用突起31cの先端部の溶かし量を調整することにより、上記押込量を調整することが可能となっている。
超音波溶着時又は超音波溶着後の検査時に弁体30の圧縮量を確認する第1の方法として、カバー31の内面31bと側壁部36の端部36a(又は接合用壁部40の端部40a)との距離d3を測定することが考えられる。距離d3がわかれば、対向方向(X軸方向)における押圧面31dの高さ位置を把握することができる。具体的には、押圧面31dが側壁部36の端部36aよりも「d1−d3」だけ対向方向において底壁部32側に位置していることを把握することができる。また、ケース29の寸法(ここでは、シール部39の頂部から側壁部36の端部36aまでの高さ)は予め定められている。従って、押圧面31dの高さ位置から、長さD2を把握することができ、弁体30の圧縮量を把握することができる。しかし、距離d3は非常に小さい。しかも、内面31bと端部36a(又は端部40a)との間には、超音波溶着によるバリ(すなわち、溶け出した接合用突起31cの一部)が発生する。以上の理由から、距離d3を正確に測定することは困難であり、距離d3に基づいて弁体30の圧縮量を正確に把握することは現実的ではない。
弁体30の圧縮量を確認する第2の方法として、カバー31の外面31eからケース29の底部(例えば、底壁部32の外面32a)までの距離d4を測定することが考えられる。距離d4の測定は距離d3の測定と比較して容易である。しかし、外面31eとケース29の底部とは互いにかなり離れた位置にあるため、距離d4の寸法公差は比較的大きい。このため、距離d4に基づいて長さD2を算出した場合、比較的大きい算出誤差が生じるおそれがある。
一方、本実施形態では、図7及び図15に示されるように、側壁部36の端部36aは、カバー31と接合される接合面と、カバー31に接合されない非接合面36bと、を有している。本実施形態では、接合面は、側壁部36の端部36aの一部(カバー31の縁部に沿った部分)によって構成されている。また、非接合面36bは、側壁部36の端部36aのうち角部29a,29bの近傍部分によって構成されている。また、非接合面36bは、接合面と同一平面上に位置している。非接合面36bは、対向方向(X軸方向)から見て、開口(切欠き31a)と重なっている。すなわち、非接合面36bは、対向方向(X軸方向)から見て、開口(切欠き31a)を介して視認可能となっている。
図7及び図15に示されるように、非接合面36bは、開口(切欠き31a)に対して露出している。これにより、カバー31の外面31eとケース29の非接合面36bとの距離d5を測定することができる。そして、当該距離d5に基づいて、ケース29とカバー31とによる弁体30の圧縮量を、上述した第1及び第2の方法よりも容易且つ精度良く把握することができる。具体的には、押圧面31dが「d2−d5」だけ側壁部36の端部36aよりも内側に位置していることを把握することができる。なお、本実施形態では、非接合面36bは、接合面と同一平面上の面(すなわち、接合面と連続する平面)であったが、対向方向(X軸方向)における高さ位置が接合面と異なる面であってもよい。この場合、対向方向(X軸方向)に沿った非接合面36bと接合面との距離(高さ位置のずれ)が予め把握されていればよい。
また、本実施形態では、一対の切欠き31aが開口として形成されており、開口に対して露出する非接合面36bが、一の対角線上に位置する一対の角部29a,29bの各々の近傍に存在している。この場合、角部29aの近傍の非接合面36bと外面31eとの距離を測定すると共に、角部29bの近傍の非接合面36bと外面31eとの距離を測定し、これらの距離の平均を上記距離d5として用いてもよい。