以下、図面を用いて実施形態について説明する。
図1は、照明制御システムの一実施形態を示す。図1に示した照明制御システムSYSは、例えば、一戸建てやマンション、オフィス等の建物に配置され、制御装置100、測定装置200、センサ300、調整装置400および照明機器500を有する。制御装置100は、有線または無線を介して、測定装置200、センサ300、調整装置400および照明機器500に接続される。
制御装置100は、プロセッサ等の演算処理装置と、ハードディスク装置等の記憶部130を有するコンピュータ装置である。制御装置100は、演算処理装置が記憶部130に格納されたプログラムを実行することにより、推定部110および制御部120として動作する。
推定部110は、測定装置200が測定する建物の窓等から入射する自然光の量を示す照度、およびセンサ300が検出するユーザの位置を示す位置情報を、測定装置200およびセンサ300からそれぞれ取得する。また、推定部110は、調整装置400が調整する建物の窓等から入射する自然光に対する透過率、および照明機器500に設定された調光の状態(以下、調光状態と記載)を示す調光情報を、調整装置400および照明機器500からそれぞれ取得する。なお、本実施形態において「調光」とは、照明機器500の出射光量を段階的または連続的に変化させる動作、照明機器500の出射光の色温度を段階的または連続的に変化させる動作、および照明機器500を点灯/消灯する動作を含む。推定部110は、取得した照度、位置情報、透過率および調光情報を用いて、ユーザの眼に曝露される光量を示す眼前照度曝露量を推定する。推定部110は、推定したユーザの眼前照度曝露量を、記憶部130に記憶する。眼前照度曝露量は、特徴量の一例である。
なお、推定部110は、ユーザの眼前照度曝露量を推定するために調整装置400から取得した透過率を用いたが、透過率を用いずにユーザの眼前照度曝露量を推定してもよい。
制御部120は、推定部110により推定されたユーザの眼前照度曝露量を用い所定の時間帯におけるユーザの眼前照度曝露量の総量を推定し、推定したユーザの眼前照度曝露量の総量と所定の閾値との比較に応じて調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御し、窓等から入射する自然光および照明機器500の人工光を制御する。なお、T. Kozaki et al., "Effects of day-time exposure to different light intensities on light-induced melatonin suppression at night", J Physiol Anthropol 34: 27, 2015では、午前中の3時間(午前9時から午後0時)に所定の光量以上の光が眼に曝露されれば、夜間の照明によるメラトニン分泌抑制が軽減されることを報告している。そこで、制御部120は、昼間の時間帯のうち、ユーザが起床してから正午や正午前の3時間等の午前中の時間帯とし、午前中の時間帯においてユーザの眼前照度曝露量の総量を推定する。制御部120の動作については、図3および図4で説明する。午前の時間帯は、第1時間帯の一例であり、午前中の時間帯における眼前照度曝露量の総量は、第1総量の一例である。
記憶部130は、ハードディスク装置等である。記憶部130は、演算処理装置が実行するプログラムとともに、建物の各部屋に配置された家具それぞれの配置位置および配置方向を示す配置データ140と、推定部110により推定されたユーザの眼前照度曝露量を格納する眼前照度履歴データ150とを記憶する。
なお、記憶部130は、制御装置100の外部にネットワーク上に配置された記憶装置等でもよい。この場合、制御装置100は、ネットワーク等を介して、プログラムや、配置データ140および眼前照度履歴データ150等を取得する。
測定装置200は、照度計等であり、建物の窓等から入射する自然光の照度を測定し、測定した照度を制御装置100に出力する。なお、測定装置200は、照度の代わりに、自然光の輝度および色温度を測定してもよい。また、測定装置200は、部屋毎に配置されることが好ましく、さらに各部屋に設けられた窓それぞれに設置されてもよい。そして、制御装置100は、各部屋に配置された複数の測定装置200に接続される。
なお、測定装置200は、デジタルカメラ等でもよい。この場合、測定装置200は、配置された部屋を撮像して画像を生成する。測定装置200は、生成した画像のデータを制御装置100に出力する。そして、推定部110は、測定装置200から受信した画像を用いて、窓等から入射する自然光の照度等を取得する。
センサ300は、赤外線センサ等であり、ユーザの位置を検出し、検出したユーザの位置を位置情報として制御装置100に出力する。なお、センサ300は、デジタルカメラ等でもよい。この場合、センサ300は、配置された部屋を撮像して画像を生成する。センサ300は、生成した画像のデータを制御装置100に出力する。そして、推定部110は、センサ300から受信した画像からユーザを検出し、ユーザの位置情報を取得する。
調整装置400は、ブラインドや、透過率が異なる2つのロールスクリーン等であり、制御装置100からの制御指示に基づいて、窓から入射する自然光の透過率を調整する。
照明機器500は、LED(Light Emitting Diode)や有機EL(Electro-Luminescence)等を有し、輝度や色温度等を調光できるシーリングライトやデスクライト等である。照明機器500は、制御装置100からの制御指示に基づいて、輝度や色温度等を調光する。
図2は、図1に示した測定装置200、センサ300、調整装置400および照明機器500の配置の一例を示す。図2は、一戸建て等の建物のうちリビング等の1部屋を示し、天井の上方から見た場合を示す。図2に示した部屋は、2つの窓WD(WD(1)、WD(2))と、1つの扉DRとを有する。そして、各窓WDに対応して測定装置200(200(1)、200(2))および調整装置400(400(1)、400(2))が配置される。なお、測定装置200は、調整装置400を介して窓WDから入射する光の照度を測定する。また、センサ300および照明機器500は、天井に配置され点線で示す。なお、図2では、制御装置100は、図2に示した部屋と異なる他の部屋に配置され、図2に示した部屋とともに他の部屋に配置された調整装置400および照明機器500を制御する。
また、図2に示した部屋には、例えば、ソファーSF、テーブルTLおよびテレビTEが配置される。そして、図1に示した配置データ140には、ソファーSF等の家具の配置位置および配置方向が予め格納される。これにより、推定部110は、センサ300により検出されたユーザPの位置情報と、記憶部130に記憶された家具の配置データ140とを用いて、図2に示すように、ソファーSFの配置位置とユーザPの位置とが一致する場合、ユーザPはソファーSFに座っていると推定する。そして、推定部110は、図2に示すように、配置データ140におけるソファーSFの配置方向が東向きの場合、ユーザPは東向きに座っていると推定する。そして、推定部110は、ユーザPの位置および向きに基づいて、ユーザPの眼前照度曝露量を推定できる。
図3は、図1に示した照明制御システムSYSにおける制御処理の一例を示す。図3に示した処理は、制御装置100の演算処理装置が記憶部130に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。すなわち、図3に示した処理は、照明制御方法の一実施形態である。
ステップS100では、推定部110は、各測定装置200により測定された窓WDから入射する自然光の照度を、各測定装置200から取得する。
次に、ステップS110では、推定部110は、センサ300により検出されたユーザPの位置情報を、センサ300から取得する。
次に、ステップS120では、推定部110は、各調整装置400に設定された透過率を、各調整装置400から取得する。
次に、ステップS130では、推定部110は、照明機器500に設定された調光情報を、照明機器500から取得する。
なお、ステップS100からステップS130の処理は、任意の順序で実行されてもよく、並行に実行されてもよい。
次に、ステップS140では、推定部110は、ステップS100からステップS130で取得された各窓WDからの自然光の照度、ユーザPの位置情報、各調整装置400の透過率および照明機器500の調光情報を用いて、ユーザPの眼に曝露される眼前照度曝露量を推定する。例えば、推定部110は、記憶部130に記憶された配置データ140を読み出す。推定部110は、ステップS110で取得したユーザPの位置情報と、読み出した配置データ140とを用いて、ソファーSFの配置位置とユーザPの位置とが一致する場合、ユーザPはソファーSFに座っていると推定する。また、推定部110は、配置データ140のソファーSFの配置方向からユーザPは、東向きに座っていると推定する。そして、推定部110は、取得した各窓WDからの自然光の照度、各調整装置400の透過率および照明機器500の調光情報と、推定したユーザPの位置および向きと、配置データ140が示す各窓WDの向きとに基づいて、ユーザPの眼前照度曝露量を推定する。推定部110は、制御装置100に含まれるクロック回路から出力される時刻の情報に基づいて、推定したユーザPの眼前照度曝露量と推定した日時とを記憶部130の眼前照度履歴データ150に格納する。
図4は、図1に示した眼前照度履歴データ150の一例を示す。眼前照度履歴データ150は、日時および眼前照度曝露量を格納する格納領域を有する。日時の格納領域には、推定部110がユーザPの眼前照度曝露量を推定した日時が格納され、眼前照度曝露量の格納領域には、推定部110が推定したユーザPの眼前照度曝露量が格納される。なお、眼前照度履歴データ150は、ユーザ毎に生成され記憶部130に記憶されることが好ましい。
また、図4に示した眼前照度履歴データ150では、ユーザPが起床したことにより、推定部110がユーザPの眼前照度曝露量の推定を8時40分から開始したことを示すが、推定部110は、ユーザPが起床する前(例えば、日の出の時刻等)からユーザの眼前照度曝露量の推定を開始してもよい。この場合、推定部110は、ユーザPが起床するまでの間に推定した眼前照度曝露量を“0”と推定することが好ましい。
また、眼前照度履歴データ150では、推定部110は、ユーザPの眼前照度曝露量を5分毎に推定するが、数分から十数分の間隔で推定してもよい。推定部110がユーザPの眼前照度曝露量を推定する時間間隔は、照明制御システムSYSに求められる制御精度や、建物の日当たり等の環境に応じて適宜決定されることが好ましい。
次に、ステップS150では、制御部120は、記憶部130に記憶されたユーザPの眼前照度履歴データ150を読み出す。制御部120は、ユーザPが起床してから現在の時刻までに推定された眼前照度曝露量を用いて、正午までの午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。例えば、制御部120は、ユーザPが起床してから現在の時刻までに5分毎に推定された眼前照度曝露量に対して一次関数等で外挿し、正午までの5分毎の眼前照度曝露量を推定する。そして、制御部120は、起床してから現在の時刻までに5分毎に推定された眼前照度曝露量と、外挿により推定された正午までの5分毎の眼前照度曝露量とを加算する。制御部120は、起床してから正午までの時間と加算した眼前照度曝露量とを乗算することで、午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。総量の単位は、lx・minである。
なお、測定装置200が自然光の輝度や色温度等を測定する場合、眼前照度履歴データ150の代わりに、視野内輝度分布履歴または視野内輝度・色度分布履歴のデータが、記憶部130に記憶されることが好ましい。これにより、制御装置100は、色温度も考慮した制御が可能となる。この場合、制御部120は、視野内輝度分布履歴または視野内輝度・色度分布履歴のデータを照度に変換することが好ましい。
次に、ステップS160では、制御部120は、ステップS150で推定した午前中の総量が所定の閾値以上か否かを判定する。なお、所定の閾値は、夜間の照明によるメラトニン分泌抑制を軽減するのに必要な午前中の時間帯において、最小の眼前照度曝露量の総量である。例えば、所定の閾値は、T. Kozaki et al., "Effects of day-time exposure to different light intensities on light-induced melatonin suppression at night", J Physiol Anthropol 34: 27, 2015等に基づき、13500から18000lx・min程度の範囲で適宜決定されることが好ましい。
そして、ステップS150で推定した午前中の総量が所定の閾値以上の場合、制御部120は、ユーザPの眼に午前中の時間帯に必要な光量が曝露されていると判定する。この場合、制御部120は、例えば、現在の各調整装置400の透過率および照明機器500の調光状態を維持するように制御する。そして、照明制御システムSYSの処理は、ステップS180に移る。一方、ステップS150で推定した午前中の総量が所定の閾値より小さい場合、照明制御システムSYSの処理は、ステップS170に移る。
ステップS170では、制御部120は、ステップS150で推定した午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量が所定の閾値以上となるように、調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御する。例えば、制御部120は、窓WDから入射する自然光の照度を増加させるように、調整装置400の透過率を大きくする。さらに、制御部120は、照明機器500の出射光量を増加したり、出射光の色温度を制御する。例えば、色温度が12000K(ケルビン)の蛍光ランプは、色温度が5000Kの蛍光ランプと比べて青色光含有量が約1.6倍多いことから、制御部120は、照明機器500の照明の色温度を高く、すなわち波長の短い青色の光を多くする等のように、照明機器500を制御する。
ステップS180では、制御部120は、制御装置100に含まれるキーボードやマウス等の入力装置を介して、ユーザPによる入力操作により終了指示を受けたか否かを判定する。終了指示を受けていない場合、照明制御システムSYSの処理は、ステップS100に移る。一方、終了指示を受けた場合、照明制御システムSYSは、制御処理を終了する。
なお、図3に示した処理では、制御部120は、起床してから正午までの午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量に応じて、調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御したが、これに限定されない。例えば、ユーザPが夜勤等の場合には、制御部120は、起床してから3時間等の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量に応じて、調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御してもよい。すなわち、照明制御システムSYSは、ユーザPの生活リズムに合わせて、ユーザPに対して最適な睡眠を提供可能な光環境を実現できる。
また、図3に示した処理の開始時において、制御部120は、天気、季節、建物の位置や日時等の少なくとも1つの情報を用いて、調整装置400の透過率および照明機器500の調光状態をプリセットしてもよい。あるいは、記憶部130は、予め決定されたユーザPの行動パターンを示す複数のパターンデータを記憶し、制御部120は、制御装置100の入力装置を介して、ユーザPによる入力操作により選択されたパターンデータを記憶部130から読み込む。そして、推定部110は、読み込んだパターンデータを用いて、図3に示した処理の開始時におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。制御部120は、推定された眼前照度曝露量の総量から調整装置400の透過率および照明機器500の調光状態をプリセットしてもよい。
また、図3に示した処理では、1人のユーザPに対して実行されたが、オフィスや病院の入院室、老人ホーム等のように、同じ部屋に複数のユーザがいる場合でも適用できる。例えば、制御部120は、ステップS160において、ステップS150で推定したオフィスや入院室等の同じ部屋にいる複数のユーザの午前中の総量うち、最小のユーザの総量、すなわち日当たり等の光環境が最も悪い位置にいるユーザの総量が所定の閾値以上か否かを判定することが好ましい。これにより、照明制御システムSYSは、日当たり等が最も悪い位置にいるユーザの総量を基準にして、調整装置400および照明機器500を制御することで、オフィスや入院室等の同じ部屋にいる全てのユーザに対して最適な睡眠を提供可能な光環境を実現できる。
また、制御部120は、ステップS160において、同じ部屋の複数のユーザのうち、子供や高齢者等のユーザの午前中の総量を用いて所定の閾値以上か否かを判定してもよい。これにより、照明制御システムSYSは、子供や高齢者等のユーザの総量を基準にして、調整装置400および照明機器500を制御することで、光環境の影響を受け易い子供や高齢者等のユーザに対して最適な睡眠を提供できる。
図1から図4に示した実施形態では、制御装置100は、測定装置200に測定された窓WDから入射する自然光の照度と、センサ300により検出されたユーザPの位置情報と、調整装置400に設定された透過率と、照明機器500の調光情報とを用いて、ユーザPの眼前照度曝露量を推定する。制御装置100は、ユーザPの眼前照度履歴データ150を読み出し、ユーザPが起床してから現在の時刻までに推定された眼前照度曝露量を用いて、午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。そして、制御装置100は、推定した総量と所定の閾値との比較に応じて調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御する。これにより、照明制御システムSYSは、メラトニンの分泌を従来と比べて最適に制御でき、ユーザPに対して最適な睡眠を提供できる。
図5は、照明制御システムの別の実施形態を示す。図1で説明した要素と同一または同様の機能を有する要素については、同一または同様の符号を付し、これらについては、詳細な説明を省略する。
図5に示した照明制御システムSYS1は、例えば、一戸建てやマンション、オフィス等の建物に配置され、制御装置100A、調整装置400、照明機器500および携帯通信端末600を有する。制御装置100Aは、有線または無線を介して、調整装置400、照明機器500および携帯通信端末600に接続される。
制御装置100Aは、プロセッサ等の演算処理装置と、ハードディスク装置等の記憶部130aを有するコンピュータ装置である。制御装置100Aは、演算処理装置が記憶部130aに格納されたプログラムを実行することにより、推定部110aおよび制御部120として動作する。
推定部110aは、自然光の照度、およびユーザPの位置を示す位置情報を携帯通信端末600から取得するとともに、調整装置400の透過率および照明機器500の調光情報を、調整装置400および照明機器500からそれぞれ取得する。推定部110aは、取得した照度、位置情報、透過率および調光情報を用いて、ユーザPの眼に曝露される眼前照度曝露量を推定する。そして、推定部110aは、図1に示した推定部110と同様に、推定したユーザPの眼前照度曝露量を、記憶部130aに記憶された眼前照度履歴データ150に格納する。
なお、推定部110aは、ユーザPの眼前照度曝露量を推定するために調整装置400から取得した透過率を用いたが、透過率を用いずにユーザPの眼前照度曝露量を推定してもよい。
記憶部130aは、ハードディスク装置等である。記憶部130aは、演算処理装置が実行するプログラムと、推定部110aにより推定されたユーザPの眼前照度曝露量を格納する眼前照度履歴データ150とを記憶する。
なお、記憶部130aは、制御装置100Aの外部にネットワーク上に配置された記憶装置等でもよい。この場合、制御装置100Aは、ネットワーク等を介して、プログラムや、眼前照度履歴データ150等を取得する。
携帯通信端末600は、スマートフォンやタブレット型端末等であり、カメラ250およびセンサ300aを有する。そして、携帯通信端末600は、Wi−Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の通信規格に基づいて、または移動体通信網を介して、制御装置100Aとの間で通信する。
カメラ250は、デジタルカメラ等であり、携帯通信端末600に配置される。カメラ250は、例えば、携帯通信端末600に含まれるプロセッサが、携帯通信端末600に含まれるメモリ等に記憶されたプログラムを実行することにより、ユーザPの周囲を撮像し画像を生成する。カメラ250は、生成した画像のデータを制御装置100に出力する。そして、推定部110aは、カメラ250から受信した画像を用いて、ユーザPの周囲における自然光の照度を取得する。すなわち、カメラ250は、図1に示した測定装置200として動作する。
センサ300aは、加速度センサや電子ジャイロ、あるいはGPS(Global Positioning System)受信機等であり、携帯通信端末600に配置される。センサ300aは、携帯通信端末600の位置および向きを検出してユーザPの位置および向きを検出し、検出したユーザの位置および向きを位置情報として制御装置100に出力する。
また、携帯通信端末600は、ユーザPに携帯されるため、ユーザPが外出中でもユーザPの位置情報およびユーザPの位置における照度等を取得できる。これにより、制御装置100Aは、ユーザPの帰宅時において、ユーザPの日中の活動に合わせた調整装置400および照明機器500を制御できる。
なお、携帯通信端末600は、携帯通信端末600のプロセッサが携帯通信端末600のメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、制御装置100Aとして動作してもよい。この場合、携帯通信端末600は、Wi−FiやBluetooth等の通信規格に基づいて、または移動体通信網を介して、調整装置400および照明機器500との間で通信することが好ましい。これにより、照明制御システムSYS1は、よりユーザPの活動に応じた照明制御を実現できる。
図6は、図5に示した調整装置400および照明機器500の配置の一例を示す。図6は、一戸建て等の建物のうちリビング等の1部屋を示し、天井の上方から見た場合を示す。図6に示した部屋は、図2の場合と同様に、2つの窓WD(WD(1)、WD(2))と、1つの扉DRとを有する。そして、各窓WDに対応して調整装置400(400(1)、400(2))が配置される。また、照明機器500は、図2の場合と同様に、天井に配置され点線で示す。なお、制御装置100Aは、図6に示した部屋と異なる他の部屋に配置され、図6に示した部屋とともに他の部屋に配置された調整装置400および照明機器500を制御する。
また、図6に示した部屋には、図2の場合と同様に、ソファーSF、テーブルTLおよびテレビTEが配置される。そして、携帯通信端末600は、ユーザPに携帯されるため、センサ300aが検出するユーザPの位置情報には、ユーザPの位置および向きが含まれる。このため、図1に示した配置データ140は、記憶部130aから省略される。そして、推定部110aは、センサ300aにより検出されるユーザPの位置および向きに基づいて、ユーザPの眼前照度曝露量を推定できる。
図7は、図5に示した照明制御システムSYS1における制御処理の一例を示す。図7に示したステップの処理のうち、図3に示したステップと同一または同様の処理を示すものについては、同一のステップ番号を付す。図7に示した処理は、制御装置100Aの演算処理装置が記憶部130aに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。すなわち、図7に示した処理は、照明制御方法の別の実施形態である。
ステップS100aでは、推定部110aは、携帯通信端末600のカメラ250により撮像されたユーザPの周囲の画像のデータを、Wi−Fi等の通信規格に基づいて、または移動体通信網を介して携帯通信端末600から取得する。推定部110aは、受信した画像を用いて、ユーザPの周囲における自然光の照度を取得する。
次に、ステップS110aでは、推定部110aは、センサ300aにより検出されたユーザPの位置情報を、携帯通信端末600から取得する。
次に、ステップS120では、推定部110aは、各調整装置400に設定された透過率を、各調整装置400から取得する。
次に、ステップS130では、推定部110aは、照明機器500に設定された調光情報を、照明機器500から取得する。
なお、ステップS100a、ステップS110a、ステップS120およびステップS130の処理は、任意の順序で実行されてもよく、並行に実行されてもよい。
次に、ステップS140では、推定部110aは、ステップS100a、ステップS110a、ステップS120およびステップS130で取得された自然光の照度、ユーザPの位置情報、各調整装置400の透過率および照明機器500の調光情報を用いて、ユーザPの眼に曝露される眼前照度曝露量を推定する。例えば、推定部110aは、ステップS110aで取得したユーザPの位置情報におけるユーザPの位置および向きを用いて、図6に示すように、ユーザPが東を向いていると推定する。そして、推定部110aは、取得した自然光の照度、各調整装置400の透過率および照明機器500の調光情報と、推定したユーザPの位置および向きとに基づいて、ユーザPの眼前照度曝露量を推定する。推定部110aは、制御装置100Aに含まれるクロック回路から出力される時刻の情報に基づいて、推定したユーザPの眼前照度曝露量と推定した日時とを記憶部130aの眼前照度履歴データ150に格納する。
次に、ステップS150では、制御部120は、記憶部130aに記憶されたユーザPの眼前照度履歴データ150を読み出す。制御部120は、ユーザPが起床してから現在の時刻までに推定された眼前照度曝露量を用いて、正午までの午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。
なお、ステップS100aで推定部110aが取得した画像を用いて自然光の輝度や色温度等を求める場合、眼前照度履歴データ150の代わりに、視野内輝度分布履歴または視野内輝度・色度分布履歴のデータが、記憶部130aに記憶されることが好ましい。これにより、制御装置100Aは、色温度も考慮した制御が可能となる。この場合、制御部120は、視野内輝度分布履歴または視野内輝度・色度分布履歴のデータを照度に変換することが好ましい。
次に、ステップS160では、制御部120は、ステップS150で推定した午前中の総量が所定の閾値以上か否かを判定する。ステップS150で推定した午前中の総量が所定の閾値以上の場合、制御部120は、ユーザPの眼に午前中の時間帯に必要な光量が曝露されていると判定する。この場合、制御部120は、例えば、現在の各調整装置400の透過率および照明機器500の調光状態を維持するように制御する。そして、照明制御システムSYS1の処理は、ステップS180に移る。一方、ステップS150で推定した午前中の総量が所定の閾値より小さい場合、照明制御システムSYS1の処理は、ステップS170に移る。
ステップS170では、制御部120は、ステップS150で推定した午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量が所定の閾値以上となるように、調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御する。
ステップS180では、制御部120は、携帯通信端末600に含まれるタッチパネル等の入力装置を介して、ユーザPによる入力操作により終了指示を受けたか否かを判定する。終了指示を受けていない場合、照明制御システムSYS1の処理は、ステップS100aに移る。一方、終了指示を受けた場合、照明制御システムSYS1は、制御処理を終了する。
なお、ユーザPが外出している場合、図7に示した処理のうちステップS120、ステップS130、ステップS160およびステップS170の処理は、省略されてもよい。
また、図7に示した処理では、制御部120は、起床してから正午までの午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量に応じて、調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御したが、これに限定されない。例えば、ユーザPが夜勤等の場合には、制御部120は、起床してから3時間等の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量に応じて、調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御してもよい。すなわち、照明制御システムSYS1は、ユーザPの生活リズムに合わせて、ユーザPに対して最適な睡眠を提供可能な光環境を実現できる。
また、図7に示した処理の開始時において、制御部120は、天気、季節、建物の位置や日時等の少なくとも1つの情報を用いて、調整装置400の透過率および照明機器500の調光状態をプリセットしてもよい。あるいは、記憶部130aは、予め決定されたユーザPの行動パターンを示す複数のパターンデータを記憶し、制御部120は、制御装置100Aの入力装置を介して、ユーザPによる入力操作により選択されたパターンデータを記憶部130aから読み込む。そして、推定部110aは、読み込んだパターンデータを用いて、図7に示した処理の開始時におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。制御部120は、推定された眼前照度曝露量の総量から調整装置400の透過率および照明機器500の調光状態をプリセットしてもよい。
また、図7に示した処理では、1人のユーザPに対して実行されたが、オフィスや病院の入院室、老人ホーム等のように、同じ部屋に複数のユーザがいる場合でも適用できる。例えば、制御部120は、ステップS160において、ステップS150で推定したオフィスや入院室等の同じ部屋にいる複数のユーザの午前中の総量うち、最小のユーザの総量、すなわち日当たり等の光環境が最も悪い位置にいるユーザの総量が所定の閾値以上か否かを判定することが好ましい。これにより、照明制御システムSYS1は、日当たり等が最も悪い位置にいるユーザの総量を基準にして、調整装置400および照明機器500を制御することで、オフィスや入院室等の同じ部屋にいる全てのユーザに対して最適な睡眠を提供可能な光環境を実現できる。
また、制御部120は、ステップS160において、同じ部屋の複数のユーザのうち、子供や高齢者等のユーザの午前中の総量を用いて所定の閾値以上か否かを判定してもよい。これにより、照明制御システムSYS1は、子供や高齢者等のユーザの総量を基準にして、調整装置400および照明機器500を制御することで、光環境の影響を受け易い子供や高齢者等のユーザに対して最適な睡眠を提供できる。
図5から図7に示した実施形態では、制御装置100Aは、携帯通信端末600のカメラ250により撮像された画像と、センサ300aにより検出されたユーザPの位置情報と、調整装置400に設定された透過率と、照明機器500の調光情報とを用いて、ユーザPの眼前照度曝露量を推定する。制御装置100Aは、ユーザPの眼前照度履歴データ150を読み出し、ユーザPが起床してから現在の時刻までに推定された眼前照度曝露量を用いて、午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。そして、制御装置100Aは、推定した総量と所定の閾値との比較に応じて調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御する。これにより、照明制御システムSYS1は、メラトニンの分泌を従来と比べて最適に制御でき、ユーザPに対して最適な睡眠を提供できる。
また、照明制御システムSYS1は、携帯通信端末600を用いることにより、ユーザPが外出している間も、ユーザPの眼前照度曝露量を推定でき、メラトニンの分泌を従来と比べて最適に制御できる。
図8は、照明制御システムの別の実施形態を示す。図1で説明した要素と同一または同様の機能を有する要素については、同一または同様の符号を付し、これらについては、詳細な説明を省略する。
図8に示した照明制御システムSYS2は、例えば、一戸建て等の建物に配置され、制御装置100B、測定装置200、センサ300、調整装置400および照明機器500を有する。制御装置100Bは、有線または無線を介して、測定装置200、センサ300、調整装置400および照明機器500に接続される。
制御装置100Bは、図1に示した制御装置100と同様に、プロセッサ等の演算処理装置と、ハードディスク装置等の記憶部130を有するコンピュータ装置である。制御装置100Bは、演算処理装置が記憶部130に格納されたプログラムを実行することにより、推定部110bおよび制御部120bとして動作する。
推定部110bは、図1に示した推定部110と同様に、測定装置200が測定する建物の窓等から入射する自然光の照度、センサ300が検出するユーザPの位置情報、調整装置400の透過率、および照明機器500の調光情報を用い、ユーザPの眼前照度曝露量を推定する。なお、日が沈んだ夜間では、推定部110bは、センサ300が検出するユーザPの位置情報、および照明機器500の調光情報を用いて、ユーザPの眼前照度曝露量を推定する。そして、推定部110bは、推定したユーザPの眼前照度曝露量を、記憶部130に記憶される眼前照度履歴データ150に格納する。
なお、推定部110bは、ユーザPの眼前照度曝露量を推定するために調整装置400の透過率を用いたが、日中の時間帯でも透過率を用いずにユーザPの眼前照度曝露量を推定してもよい。
制御部120bは、図1に示した制御部120と同様に、推定部110bにより推定されたユーザPの眼前照度曝露量を用い、起床してから正午等までの午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。そして、制御部120bは、推定したユーザPの眼前照度曝露量の総量と所定の閾値との比較に応じて調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御する。
また、制御部120bは、推定部110bにより推定されたユーザPの眼前照度曝露量を用い、就寝するまでの夜間の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。制御部120bは、推定した午前中の時間帯における眼前照度曝露量の総量と、夜間の時間帯における眼前照度曝露量の総量との比率に応じて照明機器500の調光を制御する。夜間の時間帯は、第2時間帯の一例であり、夜間の時間帯における眼前照度曝露量の総量は、第2総量の一例である。
なお、制御部120bは、夜間のうちユーザPが就寝する3時間前等の時間帯を夜間の時間帯として、眼前照度曝露量の総量を推定するが、ユーザPが帰宅してから就寝するまでの時間帯や、日没から就寝するまでの時間帯等を夜間の時間帯としてもよい。すなわち、図8に示した照明制御システムSYS2は、ユーザPが起床してから正午までの午前中の時間帯における眼前照度曝露量の総量に基づいて照明機器500等を制御し、ユーザPが就寝するまでの夜間の時間帯における眼前照度曝露量の総量に基づいて照明機器500等を制御する。
図9は、図8に示した照明制御システムSYS2における制御処理の一例を示す。図9に示したステップの処理のうち、図3に示したステップと同一または同様の処理を示すものについては、同一のステップ番号を付す。図9に示した処理は、制御装置100Bの演算処理装置が記憶部130に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。すなわち、図9に示した処理は、照明制御方法の別の実施形態である。
ステップS100では、推定部110は、図2に示した部屋に配置された各測定装置200により測定された窓WDから入射する自然光の照度を、各測定装置200から取得する。
次に、ステップS110では、推定部110bは、センサ300により検出されたユーザPの位置情報を、センサ300から取得する。
次に、ステップS120では、推定部110bは、各調整装置400に設定された透過率を、各調整装置400から取得する。
次に、ステップS130では、推定部110bは、照明機器500に設定された調光情報を、照明機器500から取得する。
なお、ステップS100からステップS130の処理は、任意の順序で実行されてもよく、並行に実行されてもよい。また、日が沈んだ夜間では、ステップS100およびステップS120の処理は省略されてもよい。
次に、ステップS140では、推定部110bは、ステップS100からステップS130で取得された各窓WDからの自然光の照度、ユーザPの位置情報、各調整装置400の透過率および照明機器500の調光情報を用いて、ユーザPの眼に曝露される眼前照度曝露量を推定する。推定部110bは、制御装置100Bに含まれるクロック回路から出力される時刻の情報に基づいて、推定したユーザPの眼前照度曝露量と推定した日時とを記憶部130に記憶された眼前照度履歴データ150に格納する。
なお、推定部110bが、ステップS100からステップS130で取得した情報に基づいて、ユーザPがテレビTEやスマートフォン等の画面を見ていると推定した場合、ユーザPの眼には、青色光を多く曝露される。このため、例えば、12000Kの蛍光ランプは、5000Kの蛍光ランプと比べて青色光含有量が約1.6倍多いことから、推定部110bは、推定したユーザPの眼前照度曝露量を1.6倍等して補正してもよい。
次に、ステップS150では、制御部120bは、記憶部130に記憶されたユーザPの眼前照度履歴データ150を読み出す。制御部120bは、図1に示した制御部120と同様に、ユーザPが起床してから現在の時刻までに推定された眼前照度曝露量を用いて、正午までの午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。
なお、測定装置200が自然光の輝度や色温度等を測定する場合、眼前照度履歴データ150の代わりに、視野内輝度分布履歴または視野内輝度・色度分布履歴のデータが、記憶部130に記憶されることが好ましい。これにより、制御装置100Bは、色温度も考慮した制御が可能となる。この場合、制御部120bは、視野内輝度分布履歴または視野内輝度・色度分布履歴のデータを照度に変換することが好ましい。
次に、ステップS160では、制御部120bは、ステップS150で推定した午前中の総量が所定の閾値以上か否かを判定する。ステップS150で推定した午前中の総量が所定の閾値以上の場合、制御部120bは、ユーザPの眼に午前中の時間帯に必要な光量が曝露されていると判定する。この場合、制御部120は、例えば、現在の各調整装置400の透過率および照明機器500の調光状態を維持するように制御する。そして、照明制御システムSYS2の処理は、ステップS190に移る。一方、ステップS150で推定した午前中の総量が所定の閾値より小さい場合、照明制御システムSYS2の処理は、ステップS170に移る。
ステップS170では、制御部120bは、ステップS150で推定した午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量が所定の閾値以上となるように、調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御する。例えば、制御部120bは、窓WDから入射する光の量を増加させるように、調整装置400の透過率を大きくする。あるいは、制御部120bは、照明機器500の照明の色温度を高く、すなわち波長の短い青色の光を多くする等のように、照明機器500を制御する。
ステップS190では、制御部120bは、制御装置100Bのクロック回路から出力される時刻の情報に基づいて、日が沈んだ(すなわち“夜間”)か否かを判定する。日が沈んだと判定した場合、制御装置100Bの処理は、ステップS200に移る。一方、日が沈んでないと判定した場合、制御装置100Bの処理は、ステップS180に移る。ここで、日没の時刻は、例えば、ユーザ宅の地理的な位置情報(緯度経度など)と、カレンダー情報(年月日など)とに基づいて太陽高度を計算することにより算出できる。なお、ユーザ宅の地理的な位置情報は、例えば、記憶部130に予め記憶しておいてもよいし、GPSなどにより取得するようにしてもよい。また、カレンダー情報は、例えば、制御装置100Bに含まれる時計のカレンダー機能から取得できる。
ステップS200では、制御部120bは、記憶部130に記憶されたユーザPの眼前照度履歴データ150を読み出す。制御部120bは、ユーザPが就寝する3時間前の時刻から現在の時刻までに推定部110bにより推定された眼前照度曝露量を用いて、就寝する3時間前までの夜間の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。
例えば、制御部120bは、ステップS150と同様に、ユーザPが就寝する3時間前から現在の時刻までに5分毎に推定された眼前照度曝露量に対して一次関数等で外挿し、就寝までの5分毎の眼前照度曝露量を推定する。そして、制御部120bは、ユーザPが就寝する3時間前から現在の時刻までに5分毎に推定された眼前照度曝露量と、外挿により推定された就寝までの5分毎の眼前照度曝露量とを加算する。制御部120bは、ユーザPが就寝するまでの3時間の時間と加算した眼前照度曝露量とを乗算することで、夜間の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。
次に、ステップS210では、制御部120bは、ステップS150で推定した午前中の総量とステップS200で推定した夜間の総量との比率に応じて照明機器500の調光を制御する。例えば、制御部120bは、ステップS150で推定した午前中の総量とステップS200で推定した夜間の総量との比率が所定値以上か否かを判定する。例えば、T. Kozaki et al., "Effects of day-time exposure to different light intensities on light-induced melatonin suppression at night", J Physiol Anthropol 34: 27, 2015等に基づき、所定値は、0.5以上、好ましくは0.5から0.7の範囲で適宜決定される。すなわち、夜間の照明によるメラトニンの分泌抑制を軽減するには、午前中の眼前照度曝露量の総量が夜間の眼前照度曝露量の総量の半分以上となることが求められる。例えば、午前中の時間帯における眼前照度曝露量の総量が、13500から18000lx・min程度の場合、夜間の時間帯における眼前照度曝露量の総量は、27000lx・min程度になる。
そこで、ステップS150で推定した午前中の総量とステップS200で推定した夜間の総量との比率が所定値以上の場合、制御部120bは、メラトニンの分泌抑制の軽減に必要な量の夜間の照明がユーザPの眼に曝露されたと判定する。そして、制御部120bは、例えば、ユーザPの眼に照明機器500の照明があまり曝露されないように、照明機器500の照明を暗く、あるいは照明機器500の色温度を5000K程度に低く制御する。なお、前述した照明機器500の低色温度の値(5000K)は、一例であり、照明機器の種類によって異なる。例えば、照明機器500がLEDを使ったシーリングライトの場合、低色温度は2000〜3000K程度で、高色温度は5000K程度である。
一方、ステップS150で推定した午前中の総量とステップS200で推定した夜間の総量との比率が所定値より小さい場合、制御部120bは、メラトニンの分泌抑制の軽減に必要な量の夜間の照明がユーザPの眼に曝露されていないと判定する。そして、制御部120bは、例えば、ユーザPの眼に照明機器500の照明がより多く曝露されるように、照明機器500の照明を明るく、あるいは照明機器500の色温度を高く制御する。
次に、ステップS180では、制御部120bは、制御装置100Bに含まれるキーボードやマウス等の入力装置を介して、ユーザPによる入力操作により終了指示を受けたか否かを判定する。終了指示を受けていない場合、照明制御システムSYS2の処理は、ステップS100に移る。一方、終了指示を受けた場合、照明制御システムSYS2は、制御処理を終了する。
なお、図9に示した処理では、制御部120bは、午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量に応じて、調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御し、ユーザPの午前中の時間帯と夜間の時間帯との眼前照度曝露量の総量の比率に応じて、照明機器500の調光を制御したが、これに限定されない。例えば、ユーザPが夜勤等の場合には、制御部120bは、起床してから3時間等の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量に応じて、調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御してもよい。また、制御部120bは、起床してから3時間等の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量と、就寝するまでの3時間等の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量との比率に応じて照明機器500の調光を制御してもよい。これにより、照明制御システムSYS2は、ユーザPの生活リズムに合わせて、ユーザPに対して最適な睡眠を提供可能な光環境を実現できる。
また、図9に示した処理の開始時において、制御部120bは、天気、季節、建物の位置や日時等の少なくとも1つの情報を用いて、調整装置400の透過率および照明機器500の調光状態をプリセットしてもよい。あるいは、記憶部130は、予め決定されたユーザPの行動パターンを示す複数のパターンデータを記憶し、制御部120bは、制御装置100Bの入力装置を介して、ユーザPによる入力操作により選択されたパターンデータを記憶部130から読み込む。そして、推定部110bは、読み込んだパターンデータを用いて、図9に示した処理の開始時におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。制御部120bは、推定された眼前照度曝露量の総量から調整装置400の透過率および照明機器500の調光状態をプリセットしてもよい。
また、図9に示した処理では、1人のユーザPに対して実行されたが、オフィスや病院の入院室、老人ホーム等のように、同じ部屋に複数のユーザがいる場合でも適用できる。例えば、制御部120bは、ステップS160において、ステップS150で推定したオフィスや入院室等の同じ部屋にいる複数のユーザの午前中の総量うち、最小の総量、すなわち日当たり等の光環境が最も悪い位置にいるユーザの総量が所定の閾値以上か否かを判定することが好ましい。また、制御部120bは、ステップS210において、複数のユーザそれぞれの午前中の時間帯と夜間の時間帯との眼前照度曝露量の総量の比率のうち、最大または最小の比率、すなわち夜間の照明が最も多く、または最も少なく曝露されたユーザの比率に応じて照明機器500を制御することが好ましい。これにより、照明制御システムSYS2は、オフィスや入院室等の同じ部屋にいる全てのユーザに対して最適な睡眠を提供可能な光環境を実現できる。
また、制御部120bは、ステップS160において、同じ部屋の複数のユーザのうち、子供や高齢者等のユーザの午前中の総量を用いて所定の閾値以上か否かを判定してもよい。また、制御部120bは、ステップS210において、子供や高齢者等の午前中の時間帯と夜間の時間帯との眼前照度曝露量の総量の比率に応じて照明機器500を制御してもよい。これにより、照明制御システムSYS2は、子供や高齢者等のユーザの総量を基準にして、調整装置400や照明機器500を制御することで、光環境の影響を受け易い子供や高齢者等のユーザに対して最適な睡眠を提供できる。
図8および図9に示した実施形態では、制御装置100Bは、測定装置200に測定された窓WDから入射する自然光の照度と、センサ300により検出されたユーザPの位置情報と、調整装置400に設定された透過率と、照明機器500の調光情報とを用いて、ユーザPの眼前照度曝露量を推定する。制御装置100Bは、ユーザPの眼前照度履歴データ150を読み出し、ユーザPが起床してから現在の時刻までに推定された眼前照度曝露量を用いて、午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。そして、制御装置100Bは、推定した総量と所定の閾値との比較に応じて調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御する。これにより、照明制御システムSYS2は、メラトニンの分泌を従来と比べて最適に制御でき、ユーザPに対して最適な睡眠を提供できる。
また、制御装置100Bは、ユーザPの眼前照度履歴データ150を読み出し、ユーザPが就寝する3時間前等から現在の時刻までに推定された眼前照度曝露量を用いて、夜間の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。制御装置100Bは、推定した午前中の時間帯と夜間の時間帯との眼前照度曝露量の総量との比率に応じて照明機器500を制御する。これにより、照明制御システムSYS2は、メラトニンの分泌をより最適に制御できる。
図10は、照明制御システムの別の実施形態を示す。図5で説明した要素と同一または同様の機能を有する要素については、同一または同様の符号を付し、これらについては、詳細な説明を省略する。
図10に示した照明制御システムSYS3は、例えば、一戸建て等の建物に配置され、制御装置100C、調整装置400、照明機器500および携帯通信端末600を有する。制御装置100Cは、有線または無線を介して、調整装置400、照明機器500および携帯通信端末600に接続される。
制御装置100Cは、プロセッサ等の演算処理装置と、ハードディスク装置等の記憶部130aを有するコンピュータ装置である。制御装置100Cは、演算処理装置が記憶部130aに格納されたプログラムを実行することにより、推定部110cおよび制御部120cとして動作する。
推定部110cは、自然光の照度、およびユーザPの位置を示す位置情報を携帯通信端末600から取得するとともに、調整装置400の透過率および照明機器500の調光情報を、調整装置400および照明機器500からそれぞれ取得する。推定部110cは、取得した照度、位置情報、透過率および調光情報を用いて、ユーザPの眼に曝露される眼前照度曝露量を推定する。なお、日が沈んだ夜間では、推定部110cは、携帯通信端末600のセンサ300aが検出したユーザの位置情報、および照明機器500の調光情報を用いて、ユーザPの眼前照度曝露量を推定する。そして、推定部110cは、推定したユーザPの眼前照度曝露量を、記憶部130aに記憶された眼前照度履歴データ150に格納する。
なお、推定部110cは、ユーザの眼前照度曝露量を推定するために調整装置400から取得した透過率を用いたが、日中の時間帯でも透過率を用いずにユーザPの眼前照度曝露量を推定してもよい。
制御部120cは、図5に示した制御部120bと同様に、推定部110cにより推定されたユーザPの眼前照度曝露量を用い、起床してから正午等までの午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。そして、制御部120cは、推定したユーザPの眼前照度曝露量の総量と所定の閾値との比較に応じて調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御する。
また、制御部120cは、図8に示した制御部120bと同様に、推定部110cにより推定されたユーザPの眼前照度曝露量を用い、就寝するまでの夜間の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。制御部120cは、推定した午前中の時間帯における眼前照度曝露量の総量と、夜間の時間帯における眼前照度曝露量の総量との比率に応じて照明機器500の調光を制御する。
なお、制御部120cは、夜間のうちユーザPが就寝する3時間前等の時間帯を夜間の時間帯として、眼前照度曝露量の総量を推定するが、ユーザPが帰宅してから就寝するまでの時間帯や、日没から就寝するまでの時間帯等を夜間の時間帯としてもよい。すなわち、図10に示した照明制御システムSYS3は、ユーザPが起床してから正午までの午前中の時間帯における眼前照度曝露量の総量に基づいて照明機器500等を制御し、ユーザPが就寝するまでの夜間の時間帯における眼前照度曝露量の総量に基づいて照明機器500等を制御する。
携帯通信端末600は、スマートフォンやタブレット型端末等であり、Wi−FiやBluetooth等の通信規格に基づいて、または移動体通信網を介して、制御装置100Cとの間で通信する。携帯通信端末600は、カメラ250およびセンサ300aを有する。
なお、携帯通信端末600は、携帯通信端末600のプロセッサが携帯通信端末600のメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、制御装置100Cとして動作してもよい。この場合、携帯通信端末600は、Wi−FiやBluetooth等の通信規格に基づいて、または移動体通信網を介して、調整装置400および照明機器500との間で通信することが好ましい。これにより、照明制御システムSYS3は、よりユーザPに応じた照明制御を実現できる。
図11は、図10に示した照明制御システムSYS3における制御処理の一例を示す。図11に示したステップの処理のうち、図7および図9に示したステップと同一または同様の処理を示すものについては、同一のステップ番号を付す。図11に示した処理は、制御装置100Cの演算処理装置が記憶部130aに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。すなわち、図11に示した処理は、照明制御方法の別の実施形態である。
ステップS100aでは、推定部110cは、携帯通信端末600のカメラ250により撮像されたユーザPの周囲の画像のデータを、Wi−Fi等の通信規格に基づいて、または移動体通信網を介して携帯通信端末600から取得する。推定部110cは、受信した画像を用いて、ユーザPの周囲における自然光の照度を取得する。
次に、ステップS110aでは、推定部110cは、センサ300aにより検出されたユーザPの位置情報を、携帯通信端末600から取得する。
次に、ステップS120では、推定部110cは、図6に示した部屋の各調整装置400に設定された透過率を、各調整装置400から取得する。
次に、ステップS130では、推定部110cは、照明機器500に設定された調光情報を、照明機器500から取得する。
なお、ステップS100a、ステップS110a、ステップS120およびステップS130の処理は、任意の順序で実行されてもよく、並行に実行されてもよい。また、日が沈んだ夜間では、ステップS100aおよびステップS120の処理は省略されてもよい。
次に、ステップS140では、推定部110cは、ステップS100a、ステップS110a、ステップS120およびステップS130で取得された自然光の照度、ユーザPの位置情報、各調整装置400の透過率および照明機器500の調光情報を用いて、ユーザPの眼に曝露される光量を示す眼前照度曝露量を推定する。推定部110cは、制御装置100Cに含まれるクロック回路から出力される時刻の情報に基づいて、推定したユーザPの眼前照度曝露量と推定した日時とを記憶部130aに記憶された眼前照度履歴データ150に格納する。
なお、推定部110cは、図8に示した推定部110bと同様に、ステップS100a、ステップS110a、ステップS120およびステップS130で取得した情報に基づいて、ユーザPがテレビTEやスマートフォン等の画面を見ていると推定した場合、推定したユーザPの眼前照度曝露量を1.6倍等して補正してもよい。
次に、ステップS150では、制御部120cは、記憶部130aに記憶されたユーザPの眼前照度履歴データ150を読み出す。制御部120cは、ユーザPが起床してから現在の時刻までに推定された眼前照度曝露量を用いて、正午までの午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。
なお、ステップS100aで推定部110cが取得した画像を用いて自然光の輝度や色温度等を求める場合、眼前照度履歴データ150の代わりに、視野内輝度分布履歴または視野内輝度・色度分布履歴のデータが、記憶部130aに記憶されることが好ましい。これにより、制御装置100Cは、色温度も考慮した制御が可能となる。この場合、制御部120cは、視野内輝度分布履歴または視野内輝度・色度分布履歴のデータを照度に変換することが好ましい。
次に、ステップS160では、制御部120cは、ステップS150で推定した午前中の総量が所定の閾値以上か否かを判定する。ステップS150で推定した午前中の総量が所定の閾値以上の場合、制御部120cは、ユーザPの眼に午前中の時間帯に必要な光量が曝露されていると判定する。この場合、制御部120cは、例えば、現在の各調整装置400の透過率および照明機器500の調光を維持するように制御する。そして、照明制御システムSYS3の処理は、ステップS190に移る。一方、ステップS150で推定した午前中の総量が所定の閾値より小さい場合、照明制御システムSYS3の処理は、ステップS170に移る。
ステップS170では、制御部120cは、ステップS150で推定した午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量が所定の閾値以上となるように、調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御する。例えば、制御部120cは、窓WDから入射する光の量を増加させるように、調整装置400の透過率を大きくする。あるいは、制御部120cは、照明機器500の照明の色温度を高く、すなわち波長の短い青色の光を多くする等のように、照明機器500を制御する。
ステップS190では、制御部120cは、制御装置100Cのクロック回路から出力される時刻の情報に基づいて、日が沈んだ(すなわち“夜間”)か否かを判定する。日が沈んだと判定した場合、制御装置100Cの処理は、ステップS200に移る。一方、日が沈んでないと判定した場合、制御装置100Cの処理は、ステップS180に移る。ここで、日没の時刻は、例えば、ユーザ宅の地理的な位置情報(緯度経度など)と、カレンダー情報(年月日など)とに基づいて太陽高度を計算することにより算出できる。なお、ユーザ宅の地理的な位置情報は、例えば、記憶部130に予め記憶しておいてもよいし、GPSなどにより取得するようにしてもよい。また、カレンダー情報は、例えば、制御装置100Bに含まれる時計のカレンダー機能から取得できる。或いは、本実施形態の場合は、携帯通信端末600が移動体通信網の基地局やWi−Fiのアクセスポイントなどから地理的な位置情報およびカレンダー情報を取得して、制御装置100C側に出力するようにしてもよい。
ステップS200では、制御部120cは、記憶部130aに記憶されたユーザPの眼前照度履歴データ150を読み出す。制御部120cは、図8に示した制御部120bと同様に、ユーザPが就寝する3時間前の時刻から現在の時刻までに推定部110cにより推定された眼前照度曝露量を用いて、就寝する3時間前までの夜間の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。
次に、ステップS210では、制御部120bは、図8に示した制御部120bと同様に、ステップS150で推定した午前中の総量とステップS200で推定した夜間の総量との比率に応じて照明機器500の調光を制御する。ステップS150で推定した午前中の総量とステップS200で推定した夜間の総量との比率が所定値以上の場合、制御部120cは、メラトニンの分泌抑制の軽減に必要な量の夜間の照明がユーザPの眼に曝露されたと判定する。そして、制御部120cは、例えば、ユーザPの眼に照明機器500の照明があまり曝露されないように、照明機器500の照明を暗く、あるいは照明機器500の色温度を5000K程度に低く制御する。
一方、ステップS150で推定した午前中の総量とステップS200で推定した夜間の総量との比率が所定値より小さい場合、制御部120cは、メラトニンの分泌抑制の軽減に必要な量の夜間の照明がユーザPの眼に曝露されていないと判定する。そして、制御部120cは、例えば、ユーザPの眼に照明機器500の照明がより多く曝露されるように、照明機器500の照明を明るく、あるいは照明機器500の色温度を高く制御する。
次に、ステップS180では、制御部120cは、制御装置100Cに含まれるキーボードやマウス等の入力装置を介して、ユーザPによる入力操作により終了指示を受けたか否かを判定する。終了指示を受けていない場合、照明制御システムSYS3の処理は、ステップS100aに移る。一方、終了指示を受けた場合、照明制御システムSYS3は、制御処理を終了する。
なお、ユーザPが外出している場合、図11に示した処理のうちステップS120、ステップS130、ステップS160およびステップS170の処理は、省略されてもよい。
また、図11に示した処理では、制御部120cは、午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量に応じて、調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御し、ユーザPの午前中の時間帯と夜間の時間帯との眼前照度曝露量の総量の比率に応じて、照明機器500の調光を制御したが、これに限定されない。例えば、ユーザPが夜勤等の場合には、制御部120cは、起床してから3時間等の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量に応じて、調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御してもよい。また、制御部120cは、起床してから3時間等の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量と、就寝するまでの3時間等の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量との比率に応じて照明機器500の調光を制御してもよい。これにより、照明制御システムSYS3は、ユーザPの生活リズムに合わせて、ユーザPに対して最適な睡眠を提供可能な光環境を実現できる。
また、図11に示した処理の開始時において、制御部120cは、天気、季節、建物の位置や日時等の少なくとも1つの情報を用いて、調整装置400の透過率および照明機器500の調光状態をプリセットしてもよい。あるいは、記憶部130aは、予め決定されたユーザPの行動パターンを示す複数のパターンデータを記憶し、制御部120cは、制御装置100Cの入力装置を介して、ユーザPによる入力操作により選択されたパターンデータを記憶部130aから読み込む。そして、推定部110cは、読み込んだパターンデータを用いて、図11に示した処理の開始時におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。制御部120cは、推定された眼前照度曝露量の総量から調整装置400の透過率および照明機器500の調光状態をプリセットしてもよい。
また、図11に示した処理では、1人のユーザPに対して実行されたが、オフィスや病院の入院室、老人ホーム等のように、同じ部屋に複数のユーザがいる場合でも適用できる。例えば、制御部120cは、ステップS160において、ステップS150で推定したオフィスや入院室等の同じ部屋にいる複数のユーザの午前中の総量うち、最小の総量、すなわち日当たり等の光環境が最も悪い位置にいるユーザの総量が所定の閾値以上か否かを判定することが好ましい。また、制御部120cは、ステップS210において、複数のユーザそれぞれの午前中の時間帯と夜間の時間帯との眼前照度曝露量の総量の比率のうち、最大または最小の比率、すなわち夜間の照明が最も多く、または最も少なく曝露されたユーザの比率に応じて照明機器500を制御することが好ましい。これにより、照明制御システムSYS3は、オフィスや入院室等の同じ部屋にいる全てのユーザに対して最適な睡眠を提供可能な光環境を実現できる。
また、制御部120cは、ステップS160において、同じ部屋の複数のユーザのうち、子供や高齢者等のユーザの午前中の総量を用いて所定の閾値以上か否かを判定してもよい。また、制御部120cは、ステップS210において、子供や高齢者等の午前中の時間帯と夜間の時間帯との眼前照度曝露量の総量の比率に応じて照明機器500を制御してもよい。これにより、照明制御システムSYS3は、子供や高齢者等のユーザの総量を基準にして、調整装置400や照明機器500を制御することで、光環境の影響を受け易い子供や高齢者等のユーザに対して最適な睡眠を提供できる。
図10および図11に示した実施形態では、制御装置100Cは、携帯通信端末600のカメラ250により撮像された画像と、センサ300aにより検出されたユーザPの位置情報と、調整装置400に設定された透過率と、照明機器500の調光情報とを用いて、ユーザPの眼前照度曝露量を推定する。制御装置100Cは、ユーザPの眼前照度履歴データ150を読み出し、ユーザPが起床してから現在の時刻までに推定された眼前照度曝露量を用いて、午前中の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。そして、制御装置100Cは、推定した総量と所定の閾値との比較に応じて調整装置400の透過率および照明機器500の調光を制御する。これにより、照明制御システムSYS3は、メラトニンの分泌を従来と比べて最適に制御でき、ユーザPに対して最適な睡眠を提供できる。
また、照明制御システムSYS3は、携帯通信端末600を用いることにより、ユーザPが外出している間も、ユーザPの眼前照度曝露量を推定でき、メラトニンの分泌を従来と比べて最適に制御できる。
また、制御装置100Cは、ユーザPの眼前照度履歴データ150を読み出し、ユーザPが就寝する3時間前等から現在の時刻までに推定された眼前照度曝露量を用いて、夜間の時間帯におけるユーザPの眼前照度曝露量の総量を推定する。制御装置100Cは、推定した午前中の時間帯と夜間の時間帯との眼前照度曝露量の総量との比率に応じて照明機器500の調光を制御する。これにより、照明制御システムSYS3は、メラトニンの分泌をより最適に制御できる。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。