近年、大容量のデータを効率的に記録することができる媒体として、ホログラム光メモリー媒体(ホログラム記録媒体)が注目されている。ホログラフィックメモリーは、画像や音声、コンピュータ等の大容量メモリーとしての利用が期待されている。
ホログラフィックメモリー記録システムでは、一般に、デジタルデータを担持した物体光を参照光とともにホログラム記録媒体に同時に照射し、ホログラム記録媒体中に形成される干渉縞を光記録媒体に書き込むことによって、該デジタルデータを記録する。一方、デジタルデータが記録されたホログラム記録媒体に参照光を照射すると、ホログラム記録媒体中に書き込まれた干渉縞により光の回折を生じて、上記物体光が担持していたデジタルデータを再生することができる。現在用いられているホログラフィックメモリー記録システムの一例について図13及び図14を参照しながら簡単に説明する。
まず、記録時から説明する。図13は、ホログラフィックメモリー記録システム100の記録時の光学配置と光路(太い一点鎖線)の一例を示す図である。なお、記録時に使用されない光学要素は、細い二点鎖線で描かれている。記録時に用いる光学素子のみを用いて、ホログラム記録装置を構成することができる。
レーザ光源101から出力され、シャッタ102を通過したレーザ光(ここではS偏光(縦偏光))が1/2波長板103によって45度偏光に偏光面を回転させられた後、PBS(偏光ビームスプリッタ)104にてP偏光およびS偏光とに分けられる。P偏光はPBS104を透過後、シャッタ105を通過する。その後、拡大レンズ106により拡大された後、PBS107を透過し、反射型液晶素子等からなるSLM(空間光変調素子)108上に照射される。この照射された光は、SLM108の素子面に映出された白と黒のビットパターン(ピクセルパターン)による2次元画像のデジタルデータを担持されるとともに、S偏光に変換されて(実際には、白表示とされた素子からの光がS偏光に変換される)反射され、物体光としてPBS107に戻る。このSLM108から戻った物体光は、PBS107により反射され、FT(フーリエ変換)レンズ109を通過後、空間フィルタ110でナイキスト周波数分を透過し、それ以上の周波数成分をカットし、再度、FT(フーリエ変換)レンズ111、FT(フーリエ変換)レンズ112を介してホログラム記録媒体113上に照射される。
一方、PBS104によって反射されたS偏光は1/2波長板117を通過するが、ここでは、1/2波長板117とビームの偏光軸を合わせておき、ビームの偏光面は回転させない。次にPBS116に入射し、ここで、反射され、ミラー120、ガルバノミラー121と反射され、リレーレンズ122を通過後、ホログラム記録媒体113上に照射される。このようにしてホログラム記録媒体113上に照射された参照光と物体光はいずれもS偏光とされているので、このホログラム記録媒体113上で干渉して干渉縞が形成され、該干渉縞がホログラム記録媒体113に書き込まれることになる。こうして、SLM108上に映出された2次元データが記録される。
次に再生時について図14を用いて説明する。図14は、ホログラフィックメモリー記録システム100の再生時の光学配置と光路(太い一点鎖線)の一例を示す図である。なお、再生時に使用されない光学要素は、細い二点鎖線で描かれている。再生時に用いる光学素子のみを用いて、ホログラム再生装置を構成することができる。
PBS104までは記録時と同様であるが、透過したP偏光はシャッタ105で止められる。一方、反射されたS偏光は1/2波長板117の軸を45度の設定値へ変更して偏光面を90度回転され、P偏光となる。このP偏光はPBS116を通過後、ガルバノミラー115によって反射され、リレーレンズ114を通過後ホログラム記録媒体113に入射する。ホログラム記録媒体113に書かれた干渉縞によって回折された信号光はFTレンズ112、FTレンズ111、空間フィルタ110、FTレンズ109、と通過後、PBS107を通過して2次元撮像素子118で撮像され、演算装置119で処理することにより、記録されたデジタルデータが復元されることになる。
このようなホログラフィックメモリー記録システムにおいて、FTレンズを通過する光は一種のローパスフィルタの効果を受け、信号再生する2次元撮像素子118では、点像が大きく広がり、また、近隣の点像が近い場合はその点像同士が接合してしまう再生像となる。また、レーザ光源101から出射する光を拡大レンズ106でSLM108の大きさまで大きくするので、SLM108の中心部が明るく、周辺部がやや暗い再生像となる。
この場合のピクセルパターンの閾値判定においては、輝度分布に応じて周辺部と中心部で閾値を変化させなければならない。しかしながら、輝度分布は記録条件、再生条件など種々の依存性があるので、一概には決定できない。そこで、記録コードとして、ある一定の範囲中で白と黒との判定を行う差分コードが提案されている。この手法をとることにより、ある一定の範囲内での白と黒との判別により、データを再生できる特徴がある。
また、ホログラフィックメモリー記録システムにおいては、差分コードを発展させた2次元符号(2次元コード)を用いることも行われている。例えば、ホログラム記録では、2×2の4ピクセル(pixel:画素)に対し、中から1つのピクセルのみ白とし、そのほかを黒とする、つまり2bitの情報を4ピクセル使って記録再生することがある(特許文献1)。以下、nbitの情報を、rピクセルを使って表現する変調方法を「n:r変調」と呼ぶことにする。上記の2bitの情報を4ピクセル使って記録再生する方法は、「2:4変調」である。n:r変調は、nbitの情報を、rピクセルのブロック(2次元符号)を用いて、2次元信号に変換することができる。
一方、ホログラフィックメモリー記録システムでは、輝度むらの他にも光学系、記録媒体からのノイズ、多重した記録ページからの漏洩などさまざまなノイズも加わる。このため、上述の差分コードのみで、そのまま誤りなく記録再生することは困難なため、通常誤り訂正コードを付加する。
誤り訂正コード(誤り訂正符号)には大きく分けて、ブロック符号と畳み込み符号とに分かれる。近年、ブロック符号では、LDPC(Low Density Parity Check)が、畳み込み符号では、ターボ符号がシャノン限界に迫る誤り訂正能力を示すことで、よく使われている。
このうち、ターボ符号は復号処理が複雑でレイテンシが比較的大きいところから、記録装置の誤り訂正といった点から考えると、適当ではない。一方、LDPCは線形時間復号である、並列実装に適している、などの点から、衛星放送、無線LANや無線インターネットをはじめとしてさまざまなところで使われている。ホログラフィックメモリー記録システムでも同様に、誤り訂正符号としてLDPCの使用が有望である(特許文献2、特許文献3)。
次に、LDPC符号化/復号化の概要について説明する。
LDPCにおいては、符号化の対象とするビットが、一般に「情報ビット」と呼ばれる。また、LDPCの符号化を行うにあたっては、予め「検査行列」(Hと表記される)が定められる。符号化においては、先ず、入力された情報ビット列と上記検査行列Hとに基づき、「検査ビット列」(パリティ)が生成される。検査ビットが付加されたデータ単位、すなわち「情報ビット+検査ビット」の単位が、LDPC符号化/復号化の最小単位である「1LDPCブロック」となる。このようにLDPC符号化されたデータ(LDPC符号列)が、通信路に対して送出され、或いは記録媒体に対して記録される。
LDPC符号の復号では、先ず、受信信号(又は読出し信号)から、LDPC符号列を構成する各ビットの「対数尤度比」(Log Likelihood Ratio:LLR)を計算する。この「対数尤度比」は、各ビットの値(「0」又は「1」)の尤度を表す情報として用いられるものであり、以下では「LLR」と略称する。
ここで、送信信号をXn(Xnは、+1又は−1)、受信信号をYnとしたときの、LLR(λnとおく)の求め方について説明する。通信路の条件付き確率P(Yn|Xn)より、LLRは次式(1)で計算できる。
一般的なAWGN(加法白色ガウス雑音)通信路を想定した場合のLDPC符号化・復号化のモデルの場合、通信路の条件付き確率は、次式(2)とおくことができる。但し、σ2はガウス雑音の分散であり、bは+1と−1の値をとる。
ここで、(1)式に、(2)式を代入すると、LLR(λn)は、次式(3)となる。
ビットごとのLLRについてはλ(n)と表記する。受信信号からビットごとのLLR(λ(n))を計算し、これらλ(n)と、予め定められた検査行列(H)とに基づき、LDPC復号アルゴリズムにより、LDPCブロックごとに情報ビットの各ビット値を推定するのがLDPC復号化である。
LDPC復号アルゴリズムは、いわゆるMAP(Maximum A posteriori Possibility)復号法を基礎としたものとなる。MAP復号法では、符号語Xを送信したとき受信語Yが受信される確率を表す条件付き確率を計算し、該条件付き確率Pを最大とする「0」又は「1」のシンボルをその推定値とする。但し、すべての符号語について事後確率P(Yn|Xn)の値を加算することでビットごとの事後確率を計算する手順を、定義に従ってそのまま実行するとした場合、計算量は膨大なものとなるので、この計算量を削減するためのLDPC復号アルゴリズムとして、例えばsum-productアルゴリズムが提案されている。このsum-productアルゴリズムは、MAP復号法の近似アルゴリズムといえる。sum-productアルゴリズムについては、既に多数の文献に説明されている(非特許文献1〜3)。
本発明者らは、LDPCによる誤り訂正符号化され、n:r変調された信号を、効率的に復号する復号装置及び復号方法を既に提案している(特許文献4)。これは、n:r変調されている入力信号を、rbitのブロックにブロック化するブロック抽出部と、ブロック化されたrbitの入力信号から、nbitの硬判定を行う硬判定部と、硬判定されたnbitのデータに基づいて、尤度を算出するビットを1とした第1nbitと、尤度を算出するビットを0とした第2nbitを作成し、前記第1nbitに対応するrbit変換データと前記第2nbitに対応するrbit変換データとの差分と、rbitの入力信号とのビットごとの積の平均値に基づいて、前記ビットの尤度を算出するLLR算出部と、を備えたことを特徴とする復号装置である。この提案された復号装置及び復号方法により、n:r変調信号から、nbitデータの尤度(LLR)を四則演算のみで簡略に、且つ、正確に決定することができる。
このように、n:r変調信号に基づく2次元符号を利用した符号化・復号装置の開発が進められているが、白と黒との記録だけでは限界があるため、さらに、その中間値も用いて、容量、転送速度を高める多値記録の研究も盛んにされている。例えば、白と黒との中間値を用いて多値化する振幅多値や光の位相情報も用いて多値化する位相多値を利用した光情報記録・再生装置が提案されている(特許文献5)。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施形態)
多値情報を有する2次元信号(2次元符号)から情報の復号を行う復号装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における復号装置の一例のブロック図である。
復号装置1は、多値情報を有するピクセル(多値ピクセル)を用いてn:r変調されている2次元信号が入力され、誤り訂正復号されたnbitデータが出力される。この2次元信号は、図14のホログラフィックメモリー記録システム(ホログラム再生装置)において、2次元撮像素子118で撮像(読取)された測定データを用いることができる。復号装置1は、硬判定閾値設定部11と、ブロック抽出部12と、硬判定部13と、LLR算出部14と、誤り訂正復号部15を備える。
まず、入力信号である、多値情報を有するピクセルを用いてn:r変調されている2次元信号(2次元符号)について説明する。
n:r変調の一例として、10:9変調を用いて説明する。10:9変調は、10bitのデータを9個の3×3のピクセルからなる2次元符号で表わす変調方式である。ここでは、多値記録の方法として、振幅多値記録(光の輝度を利用した多値記録)を例として説明する。9個のピクセルのうち、3個を輝点とし、そのほかを暗点(黒)とするとともに、その輝点に中間値(中間輝度)を設定する。
設定する輝度は、例えば8bit階調の最小0〜最大255の範囲として、輝点を255,170,85の3つの輝度レベルとし、3個の輝点のうち、必ず1つには255(最大輝度)が入るように選択をする。また、暗点(黒)の輝度レベルは、0(最小輝度)とする。これは、基準となる輝度(最大輝度255、最小輝度0)をデータに埋め込むことにより、その他の輝度レベル(170,85)の検出を容易にするためである。すなわち、符号化に使用する全ての2次元符号について、単位ブロックとなるrピクセルの中に、設定された信号値の範囲内で、少なくとも1つ最大値ピクセルと、少なくとも1つの最小値ピクセルとを含む2次元符号を用いる。
9個のピクセルから3つの輝点で3つの輝度レベルがあるとし、そのうちのひとつが必ず255である場合の通りの総数は、次のように求められる。
この1596通りのパターンのうち、実際にデータ(2次元符号)として使用する部分は10bitであるので、210=1024である。
1596通りから任意の1024パターンを選択してもよいが、誤る可能性の高いデータ並びを削除することが望ましい。例えば、3つの輝点が255,85,85の場合は、誤る可能性が高いことが確認されており、次にこれを削除する。この場合の通りは次のとおりである。
同様に誤る可能性の高いデータ並びを削除することを繰り返して、残ったパターンから1024通りのパターンを2次元符号として決定し、記録再生に利用する。
図2は、本発明で用いる2次元符号の例であり、3つの輝点ピクセルの中の数字は輝度レベルを示している。残りの6ピクセルは暗点(黒)であり、輝度レベルは0である。以下の説明において、輝度レベル255を最大輝度、輝度レベル170を第1中間輝度、輝度レベル85を第2中間輝度ということがある。
なお、これまでの説明では、輝度は3通りとしたが、より多数の中間輝度レベルを使えば、より多くのビットデータを記録できる。より多数の中間輝度レベルを使った場合であっても、以下に説明する本発明の復号手法は、全く同様に適用できる。
図1に戻り、各nbitを対応するrピクセルの2次元符号に変換(n:r変調)した2次元信号が、復号装置1に入力される。ここで用いる2次元符号は、上述した単位ブロックとなるrピクセル(例えば、9ピクセル)の中に、設定された信号値の範囲内で、少なくとも1つの最大値ピクセルと、少なくとも1つの最小値ピクセルとを含んでいる。入力される2次元信号は、nbit信号の段階で、誤り訂正符号化(例えば、LDPC符号化)されているのが望ましい。
次に、硬判定閾値設定部11について説明する。硬判定閾値設定部11は、硬判定(ここでは閾値に基づいて識別した2次元符号から直ちに対応するnbitを判定する手法)のための閾値を設定する。2次元信号は、光学系で生じるノイズ(例えば、モアレ、多重反射、ゴミ)やLPF(Low Pass Filer)の影響、光の符号間干渉等の理由により、各ピクセルの輝度レベルに変動が出てしまう。輝度レベルが変動したまま、記録時の輝度レベルを前提に閾値を設定して輝点ピクセルを決定し、2次元符号を識別してnbitの判定を行うと、誤りが生じる。例えば、各ピクセルの記録時の輝度レベルを0,85,170,255としたとき、各輝度レベルの中間の値42, 127,212を閾値として硬判定をすると、nbitデータのエラーが大きすぎて誤り訂正不可能である。そこで、本発明は、再生データ(測定輝度)のヒストグラムに基づいて硬判定のための輝点ピクセルを識別する閾値を最適なものとし、誤り率を低減する。
図3は、2次元信号の信号値(ここでは測定輝度)のヒストグラムの一例である。このヒストグラムは、再生された多数の2次元符号のピクセルの測定輝度に基づいている。なお、ヒストグラム作成にあたっては、測定輝度をそのままグラフ化してもよいが、再生信号は、黒ピクセルの輝度レベルが上がる場合や、最大輝度のピクセルの輝度レベルが抑圧される場合等があることから、測定輝度の分布が0〜255の輝度レベルに分布するように輝度調整(一種の規格化)を行ってもよい。すなわち、設定した2次元符号は、単位ブロックとなるrピクセル(9ピクセル)の中に、信号値が最大値(輝度255)のピクセルと、信号値が最小値(輝度0)のピクセルとを含んでいるから、各ブロックのrピクセルの測定データの中で最も輝度の高い測定輝度xmaxと、最も輝度の低い測定輝度xminとに基づいて、各測定輝度xを、例えば、xh = 255(x−xmin)/(xmax−xmin) の式により調整する。こうして調整された輝度xh(調整された信号値)に基づいて、ヒストグラム(図3)を作成し、その後の処理を行ってもよい。また、輝点の数を制限しているため、明るい方からその輝点数の輝度値のみ抽出し、ヒストグラムとしても良い。
閾値の設定にあたっては、使用する2次元符号の特性に対応させる。すなわち、本実施形態で使用する2次元符号は、9ピクセルに最大輝度のピクセルを含む3つの輝点を含んでいる。したがって、9つの輝度から上位3つの輝度を選択すること、及び輝点には3種類の輝度レベルしかないことを念頭におけば、閾値は2つ設定をすれば良い。これは、上位3つの輝点を選択した時点で3つの輝点のレベルは85,170,255のどれかに対応することになるためである。ここで、輝点の3値の輝度レベルは、LPFやノイズによって変動し、再生時には階調方向にばらまかれる(分布が広がる)。均一にばらまかれるとすれば、輝度領域の全体(0〜255)を3分割する輝度レベル(85,170)を3種類の輝点(輝度レベル)を判別する閾値とすることが考えられる。しかし、図3の測定結果によれば、再生された2次元信号の信号値(測定輝度)は、記録時と比較して大きく変動することから、各ピクセルの輝度(最大輝度、中間輝度)を判定する閾値を信号値(測定輝度)に合わせて設定する必要がある。
本発明では、輝点の輝度レベルを判別する閾値を、測定輝度のヒストグラムに基づいて設定する。具体的には、測定輝度(信号値)のヒストグラムで2つのピークの間の谷となる最も低い度数(頻度)の輝度レベル(信号値)を閾値に設定する。例えば、図3のヒストグラムでは、輝度25付近のピークと輝度110付近のピークの間で谷となる最も度数の低い輝度レベルは52である。また、輝度110付近のピークと輝度250付近のピークの間で谷となる最も度数の低い輝度レベルは183である。よって、閾値1(第1中間輝度と第2中間輝度との閾値)を輝度レベル52とし、閾値2(最大輝度と第1中間輝度との閾値)を輝度レベル183とする。この閾値を用いて輝点ピクセルを判別することにより、rピクセル全体を識別することができる。硬判定閾値設定部11は、このように、硬判定のための閾値(nbitの硬判定用のrピクセルを識別するための閾値)の設定を信号値のヒストグラムに基づいて行う。
ブロック抽出部12は、多値情報を有するピクセルを用いてn:r変調されている2次元信号を、rピクセルのブロック(nbitに対応するrピクセル単位)にブロック化し、抽出されたブロックを順次、硬判定部13に出力する。例えば、図13、図14のホログラフィックメモリー記憶システムにおいて、10:9変調が用いられた場合、3×3のピクセルからなる9ピクセルのデータ単位が1ブロックとなる。
硬判定部13は、ブロック抽出部12から入力されたrピクセルの信号値(測定データ)と硬判定閾値設定部11で設定された閾値に基づいて、2次元符号を識別してnbitの硬判定を行い、判定結果をLLR算出部14に出力する。
2次元信号の硬判定の方法について、ここでは、中間輝度を用いて10:9変調された2次元符号を例として説明する。
ブロック抽出部12から、rピクセル(9ピクセル)の信号値(x1〜x9)が入力される。各ピクセルのデータは、例えば、ホログラフィックメモリー記録システムにおいて、撮像素子で取得した8bit階調の測定データ(又は、調整後のデータ)である。
本発明の硬判定方式は、入力信号値(測定輝度)に基づいて、rピクセル(例えば9ピクセル)の中から輝度の高い順に3ピクセルを選択し(他の6ピクセルは輝度0とみなし)、最も輝度の高いピクセルを最大輝度ピクセルとし、他の2つのピクセルを、硬判定閾値設定部11で設定された閾値1と閾値2により、どの輝度レベルであるか(最大輝度か、第1中間輝度か、第2中間輝度か)を判定する。これにより、輝度の高い3つのピクセルの輝度とその配置が定まるから、これに基づいて1024通りのパターンの内から一致する(又は最も近似する)rピクセルのパターン(2次元符号)を決定し、これに対応するnbit(10bit)を硬判定結果として出力する。
従来は、各ピクセルの測定データ(輝度)と1024通りのコードの輝点データとの差分の二乗和をそれぞれ計算し、二乗和が最小となる2次元符号を選択して、その2次元符号に対応するビットデータを硬判定としていた。本発明の硬判定方式によれば、従来の手法よりも、計算量が少なく、また、エラー率も低い硬判定が可能となる。
なお、本実施形態では、硬判定部13の判定結果をLLR算出部14に出力しているが、nbitデータが誤り訂正符号化されていない場合は、硬判定部13の出力であるnbitを、そのまま復号装置1の出力とすることができる。
LLR算出部14は、硬判定部13から入力されたnbitのデータの各ビットについて、尤度の情報としてLLRを算出し、誤り訂正復号部15に出力する。LLRの算出は、硬判定されたnbitのデータに基づいて、尤度を算出するビットを0とした第1nbitと、尤度を算出するビットを1とした第2nbitを作成し、前記第1nbitを対応する第1rピクセルデータに変換するとともに、前記第2nbitを対応する第2rピクセルデータに変換し、第1及び第2rピクセルデータと規格化されたrピクセルの信号値との距離の二乗の差分に基づいて、前記ビットの尤度(LLR)を算出するものである。
LLR算出部14の動作の詳細について、図4のフローチャートと、図5に示す入力信号(測定データ)の例に基づいて、説明する。ここでは、中間輝度を用いて10:9変調された2次元符号を例として、尤度を計算する尤度決定方法(LLR算出手順)を示す。
図4のフローチャートのステップ1(S1)において、硬判定部13より硬判定結果のnbitを入力する。この実施形態では、例えば、図5(2)の10bitのデータ「0111000011」が硬判定結果として入力されたものとする。
次に、ステップ2(S2)において、硬判定部13から入力されたnbitのデータに対応するrピクセルのデータを読み込む。本実施形態では、ブロック抽出部12から硬判定部13に出力されたrピクセルのデータ(撮像素子で取得した8bit階調の測定データ、又は、輝度調整を行った測定データ)をそのまま利用することができる。読み込まれたデータは、図5(1)の9ピクセルの信号値(測定データ:x1〜x9)となる。
次に、ステップ3(S3)として、k=1とおく。このkは、上位からk番目のビットの尤度の情報(LLR)を求める処理であることを意味する。
ステップ4(S4)として、まず、硬判定で得られたnbitについて、上位からkビット目の判定結果を0としたnbit(第1nbit)を作成する。例えば、硬判定結果の上位1bit(k=1)の尤度(LLR)を求める場合、上位1bitのみを「0」とし、他のbitは硬判定の結果のままとしたnbit(第1nbit)を作成する。図5の例では、硬判定結果(「0111000011」)の1ビット目は0であるから、第1nbitは(2)となり、硬判定結果のnbitと一致する。次に、硬判定で得られたnbitについて、上位からkビット目の判定結果を1としたnbit(第2nbit)を作成する。例えば、上位1bit(k=1)の尤度(LLR)を求める処理では、上位1bitのみを「1」とし、他のbitは硬判定の結果のままとしたnbit(第2nbit)を作成する。図5の例では、図5(2)の10bitデータ「0111000011」の上位1bit(左端のbit)を「1」として(反転させて)、「1111000011」の第2nbit(3)を作成する。(2)と(3)の太枠で囲われた部分が、尤度(LLR)を求めるビットである。
ステップ5(S5)として、ステップ4(S4)で得られた第1nbit及び第2nbitのデータを、それぞれ対応するrピクセルのパターンデータに変換する。すなわち、ステップ4(S4)で得られた第1nbit(=硬判定結果)の「0111000011」を、その10bitに割り当てられている9ピクセル(第1rピクセル)のパターンデータ(図5の(4)「1,-1,1/3,1,1,1,-1,1,1」)に変換する。ここで、各ピクセルのデータ値については、黒(輝度0)を1、白(輝度255)を−1、第1中間輝度(輝度170)を−1/3、第2中間輝度(輝度85)を1/3としている。この値は限定されるものではないが、後の尤度計算の際に都合がよい。同様に、得られた第2nbitの「1111000011」を、その10bitに割り当てられている9ピクセル(第2rピクセル)のパターンデータ(図5の(4)「1,1,1/3,-1/3,1,1,-1,1,1」)に変換する。この例では、枠で囲んだ2番目と4番目のピクセル値が不一致となっている。10:9変調の場合は、9ピクセルの内、輝点は3個であるから、不一致のピクセル数は最大6ピクセルとなる。
ステップ6(S6)として、rピクセルのデータを規格化する。例えば、図5(1)の9ピクセルの測定データ(x1〜x9)を、次式(4)により、9個のデータ中で最大値(max(x1,…,x9))と最小値(min(x1,…,x9))に基づいて、−1から1に規格化し、図5(6)の規格化データ(x1'〜x9')を得る。
なお、測定データ(x1〜x9)の最大・最小を、−1から+1に対応させるか、或いは、+1から−1に対応させるかは、2次元符号のパターンデータに対応させればよく、適切なLLRが導かれるよう設定する。
ステップ7(S7)として、ステップ5(S5)で得られた第1rピクセルのパターンデータと、ステップ6(S6)で規格化されたrピクセルの測定データとの距離の二乗(各ピクセル毎のデータ値の差の二乗の総和)を求める。また、ステップ5(S5)で得られた第2rピクセルのパターンデータと、ステップ6(S6)で規格化されたrピクセルの測定データとの距離の二乗(各ピクセル毎のデータ値の差の二乗の総和)を求める。そして、両者の距離の二乗値の差分を求め、この差分のピクセルあたりの平均値を求める。ここでは相違する輝点の数は最大6個であるから、求めた差分を6で割って平均値を求め、この平均値を、式(3)の受信信号Ynとみなす。
例えば、図5の例では、距離の二乗値の差分は、次のように計算される。
(-1-x2')2-(1-x2')2+(1-x4')2-(-1/3-x4')2
=(1+2x2'+x2'2)-(1-2x2'+x2'2)+ (1-2x4'+x4'2)- (1/9+2/3x4'+x4'2)
=(1+2x2'+x2'2)-(1-2x2'+x2'2)+ (1-2x4'+x4'2)-(1/9+2/3x4'+x4'2)
=4x2'+8/9-8/3x4'
そして、この平均値は、
(4x2'+8/9-8/3x4')/6
=2/3x2'+4/27-4/9x4'
となる。なお、ここでは平均値を求める処理を行ったが、平均値を求めずに、この距離の二乗の差分をYnとし、その後の雑音σ2の設定で調整して尤度を求めてもよい。
ステップ8(S8)として、ステップ7(S7)の算出結果に基づいてk番目のビットの尤度としてのLLRを算出する。すなわち、ステップ7の算出結果を受信信号Ynとして、前述の式(3)のYnに代入する。このとき、雑音σ2は、実測値として求めても、推定値として適当な値を入力しても良い。得られた結果を上位1bit(k=1)の対数尤度比(LLR)とする。
その後、ステップ9(S9)として、k=nであるか否かを判定する。判定結果Yes(k=n)であれば終了し、No(k<n)であれば、ステップ10(S10)に進む。
ステップ10(S10)では、kに1を加えて、ステップ4(S4)から、再び処理を行う。すなわち、上記ステップでは10bit中の最上位の1bitの説明をしたが、次の処理ではk=2として、10bit中の2番目のbitの尤度を求める。2番目のbitの尤度(LLR)を計算する場合には、同様に、硬判定結果のnbitのデータに基づいて、2番目のbit(k=2)を「0」とした第1nbit(図5の例では「0011000011」)と、2番目のbitを「1」とした第2nbit(図5の例では「0111000011」)を作成して、同様の計算を行う。
LLR算出部14は、このような演算処理をすることにより、測定データから一挙にビット列の尤度(LLR)を決定する。この計算では、乗算、差分、平均値という、ごく基本的な四則演算しか行っていないため、非常に高速かつ、正確な尤度(LLR)を計算することができる。
誤り訂正復号部15は、LLR算出部14から入力されたnbit信号のLLRに基づいて、入力信号の誤り訂正符号化に対応した誤り訂正復号を行う。例えば、誤り訂正符号化がLDPC符号化であれば、LDPCブロックの長さのLLRを集めた後、sum-productアルゴリズム等のLDPC復号処理を行う。誤り訂正復号処理により推定ビットを決定し、さらに、この得られた推定ビットに基づく尤度(LLR)算出を行なう。繰り返し処理の結果、パリティ検査を満足する推定ビットが得られると、誤り訂正復号されたnbitデータとして、復号装置1から出力される。
(第1の実施形態の効果の検証)
硬判定閾値設定部11で、閾値を最適化することで、硬判定結果のエラーレートがどのように改善するかを検証した。
図3に示す測定輝度のヒストグラムを有する2次元信号において、3つの輝点ピクセルの記録時の輝度レベルは様々な要因で変動を受けるため、閾値として、再生階調を実効多値信号(ここでは、信号値0を除く3値の輝度信号)で均等に判定する閾値、すなわち、輝度範囲を均等に3分割する閾値(閾値1=85、閾値2=170)を用いて硬判定を行った。この場合と、本発明の最適化した閾値(閾値1=52、閾値2=183)を用いて硬判定を行った場合のそれぞれのエラーレート(エラー発生率)は、表1のとおりである。
検証結果によれば、閾値を最適にすることにより、硬判定結果のエラーレートが約1/3以下に低減している。また、これに伴って、誤り訂正復号能力も従来(均等閾値を使用したとき)よりも向上した。
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施形態における復号装置の一例のブロック図を示す。第1の実施形態は、主に、硬判定結果のエラーレートを改善するものであったが、第2の実施形態では、さらにLDPCによる誤り訂正能力を向上させるものである。
復号装置2は、第1の実施形態の復号装置1と同様に、多値情報を有するピクセル(多値ピクセル)を用いてn:r変調されている2次元信号が入力され、誤り訂正復号されたnbitデータが出力される。復号装置2は、硬判定閾値設定部11と、ブロック抽出部12と、硬判定部13と、信号値変換部16と、LLR算出部14と、誤り訂正復号部15を備える。第2の実施形態の復号装置2では、信号値変換部16が追加された点が、第1の実施形態の復号装置1と異なっている。以下、復号装置2の各構成を説明するが、第1の実施形態と同じ構成は、説明を簡略化する。
硬判定閾値設定部11は、硬判定のための閾値(nbitの硬判定用のrピクセルを識別するための閾値)を、信号値(測定輝度)のヒストグラムに基づいて設定する。第1の実施形態と同様に、輝点の輝度レベルを判別する閾値を、測定輝度のヒストグラムで2つのピークの間の谷となる最も低い度数(頻度)の輝度レベルに設定する。輝点ピクセルが3つで、最大輝度と2つの中間輝度を有する場合は、閾値1(第1中間輝度と第2中間輝度との閾値)と、閾値2(最大輝度と第1中間輝度との閾値)を、硬判定のための輝点ピクセルを識別する閾値として設定を行う。
ブロック抽出部12は、多値情報を有するピクセルを用いてn:r変調されている2次元信号を、rピクセルのブロック(nbitに対応するrピクセル単位)にブロック化し、抽出されたブロックを順次、硬判定部13に出力する。
硬判定部13は、ブロック抽出部12から入力されたrピクセルの信号値(測定データ)と硬判定閾値設定部11で設定された閾値に基づいて、第1の実施形態と同様に、nbitの硬判定を行い、判定結果をLLR算出部14に出力する。
信号値変換部16は、硬判定閾値設定部11で設定された閾値に基づいて、信号値(測定輝度)の変換を行う。すなわち、閾値の変動に応じて、中間値のレベルにも補正を加え、補正(変換)された輝度を、誤り訂正処理用信号値として、誤り訂正処理(ビット列の尤度(LLR)決定)に用いる。
図3のヒストグラムを例として説明する。ヒストグラムに基づいて設定した閾値1,2を、再生階調を3値の輝度信号(実効多値信号)で均等に判定する閾値(表1の均等閾値)へ変換して、それに合わせて中間値も変換関数(ここでは3次の曲線)で変換する。図7に、変換前の測定輝度と変換後の輝度とを対応付ける、変換関数の例を示す。これは、図3のヒストグラムで設定した最適な閾値に基づく変換関数である。
硬判定閾値設定部11で設定された閾値1(輝度レベル52)を均等閾値の閾値1(輝度レベル85)に、閾値2(輝度レベル183)を均等閾値の閾値2(輝度レベル170)に変換する変換点を作り、これらの点とあわせ、原点(0,0)と、変換前及び変換後の最大輝度(255,255)の点を通る(すなわち、黒点(輝度0)と、最大輝度(輝度255)は、変換により影響を受けない)3次の曲線として変換関数を設定する。この場合の変換関数は、xを測定輝度値、yを変換後の輝度値(誤り訂正処理用信号値)とすると、次式(5)となる。
(5)式は、図3のヒストグラムデータに基づく変換関数の一例である。信号値変換部16は、この変換関数で変換された輝度値yを、LLR算出部14に出力する。
なお、信号値変換部16は、(5)式による変換処理を行う演算部を設ける代わりに、(5)式の変換関数に対応するLUT(Look Up Table:ルックアップテーブル)を備え、信号値(測定輝度)をLUTにより誤り訂正処理用(LLR算出用)の信号値(変換輝度)に変換して、変換された信号値(輝度値)yを、LLR算出部14に出力してもよい。
LLR算出部14は、信号値変換部16から入力された変換後の輝度値yを、誤り訂正処理用信号値としてLLRの算出に用いる。本実施形態においては、図4のフローチャートにおいて、ステップ1(S1)で硬判定部11から硬判定結果のnbitを入力し、また、ステップ2(S2)で信号値変換部16からの変換後の輝度値yを、対応するrピクセルのデータxとして取り込む。すなわち、図5において、(2)のnbitを硬判定部11から、また、(1)のx1〜x9を信号値変換部16から入力する。その後のフローチャートの処理は、第1の実施形態と同じである。
図8に、(5)式で変換された輝度値に基づいて(4)式により−1〜1に規格化した輝度のヒストグラムを示す。この規格化輝度を、前述した距離の二乗値の差分の計算式に代入し、LLRを算出する。LLR算出部14は、このような演算処理をすることにより、変換された信号値(誤り訂正処理用信号値)からビット列の尤度(LLR)決定する。
誤り訂正復号部15は、LLR算出部14から入力されたnbit信号のLLRに基づいて、入力信号の誤り訂正符号化に対応した誤り訂正復号を行う。第1の実施形態と同様に、sum-productアルゴリズム等のLDPC復号処理を行う。繰り返し処理の結果、パリティ検査を満足する推定ビットが得られると、誤り訂正復号されたnbitデータとして、復号装置1から出力される。
(第2の実施形態の効果の検証)
硬判定閾値設定部11で閾値を最適化した第1の実施形態と、さらに、信号値(測定輝度)を変換することで、誤り訂正処理(より詳細には、ビット列の尤度(LLR)決定処理)を改良した第2の実施形態との比較を行い、誤り訂正がどのように改善するかを検証した。
第1の実施形態として、図9に、変換前の測定輝度に基づいて算出したビットの尤度(LLR)の頻度分布を示す。尤度が+2.5及び−2.5付近に度数のピークを有する2つの山の分布があらわれているが、一部に不規則な凹凸が見られる。
また、図10に、変換前の測定輝度に基づいて算出したLLRを、LDPCの誤り訂正復号部15に入力した場合の誤り訂正の繰返し回数とエラーレートの関係を示す。エラーレートが0に収束するまでの誤り訂正処理の繰り返し回数が少ないほど、誤り訂正能力が高いことを示しており、この場合は17回である。
一方、第2の実施形態として、図11に、(5)式による変換後の輝度に基づいて算出したビットの尤度(LLR)の頻度分布を示す。9図と同様に、尤度が+2.5及び−2.5付近に度数のピークを有する2つの山の分布があらわれている。
また、図12に、変換後の測定輝度に基づいて算出したLLRを、LDPCの誤り訂正復号部15に入力した場合の誤り訂正の繰返し回数とエラーレートの関係を示す。第2の実施形態では、エラーレートが0に収束するまでの誤り訂正処理の繰り返し回数は、14回である。
図11と図9の尤度の頻度分布を比べると、やや図11の方がガウス分布に近いと思われる。LDPCはガウスノイズ状況下での計算に威力を発揮するので、輝度データを変換した方が、特性が良くなることが期待できる。実際に図10と図12を比較すると、エラーレートが収束するまでの繰返し回数は、17回から14回に減少しており、第2の実施形態の方が、より誤り訂正能力を発揮していることが分かる。
本発明の実施形態では、ピクセルの信号値の多値記録を、振幅多値記録(輝度を利用した多値記録)を例として説明したが、振幅多値だけでなく、光の位相を利用した位相多値の多値記録にも同様に適用可能である。
(第3の実施形態)
これまで、多値情報を有する2次元信号(2次元符号)から情報の復号を行う復号装置について説明したが、第1の実施形態の復号装置1又は第2の実施形態の復号装置2を、図14のホログラフィックメモリー記録システムの演算装置119で構成することにより、多値の2次元信号の再生・復号を行うホログラム再生装置が実現できる。このホログラム再生装置は、2次元信号をホログラムから読みだされた読出し信号とし、第1及び第2の実施形態で説明した作用・効果と同様の作用・効果を奏する。
また、上記の実施形態では、復号装置1,2の構成と動作について説明したが、本発明はこれに限らず、多値情報を有するピクセルを用いてn:r変調されている2次元信号(2次元符号)から情報の復号を行う復号方法として構成されてもよい。すなわち、図1のデータの流れに従って、2次元信号の信号値のヒストグラムの谷に応じて硬判定閾値を設定する工程と、2次元信号をブロック化し、ブロック化されたrピクセルの信号値と硬判定閾値に基づいて、nbitの硬判定を行う工程を有する復号方法として、構成されてもよい。
また、図6のデータの流れに従って、さらに、硬判定のための前記閾値を、再生階調を実効多値信号で均等に判定する閾値へ変換する変換点を通り、信号値の最小値と最大値を変更しない変換関数を求め、前記変換関数に基づいて信号値を変換する工程と、変換された信号値と硬判定されたnbitのデータに基づいて、尤度を算出するビットを0とした第1nbitと、尤度を算出するビットを1とした第2nbitを作成し、前記第1nbitを対応する第1rピクセルデータに変換するとともに、前記第2nbitを対応する第2rピクセルデータに変換し、第1及び第2rピクセルデータと規格化されたrピクセルの信号値との距離の二乗の差分に基づいて、前記ビットの尤度を算出する工程と、算出された前記尤度に基づいて、nbitの誤り訂正復号処理を行う工程と、を備える復号方法として構成されても良い。
なお、上述した復号装置1,2として機能させるためにコンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、復号装置1,2の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのCPUによってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。なお、このプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に記録可能である。
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。