JP2010186503A - 再生装置、再生方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホログラム記録再生システムにおいてLDPCによる誤り訂正が可能となるようにする。
【解決手段】ホログラム記録再生システムでは記録変調符号にスパース符号などのブロック状の符号が用いられる。このため、従来のLDPCシステムと同様の手法で読出信号から直接的にLLR(対数尤度比)を計算することができない。そこで、読出信号の各ピクセルの振幅順位を入れ替えてそのスパース復号結果で値の反転したビットから順に、そのLLRを所要のピクセル間の振幅差に基づく値に確定するという手法を採る。これにより記録変調符号にバランス符号が用いられる場合においても、読出信号から適正に各ビットのLLRを計算できる。このとき、読出信号の信頼性に応じて、計算されるLLRの値を調整することで、LDPC復号処理における繰り返し回数の削減、再生性能のさらなる向上が図られる。
【選択図】図15

Description

本発明は、特にLDPC符号化後にバランス符号化が施されたデータが記録された記録媒体について再生を行う場合において好適な再生装置、及びその方法に関するものである。
特開2007−79438号公報 特開2007−188576号公報 特開2005−302079号公報
「LDPC符号の実践的な構成法(上)」日経エレクトロニクス 2005年8月15日号(126〜130頁) 「LDPC符号の実践的な構成法(中)」日経エレクトロニクス 2005年8月29日号(127〜132頁)
(ホログラム記録再生方式)

例えば上記特許文献1にあるように、ホログラムの形成によりデータ記録を行うホログラム記録再生方式が知られている。ホログラム記録再生方式では、記録時において、記録するデータに応じた空間光強度変調(強度変調)を与えた信号光と、予め定められた所定の光強度パターンを与えた参照光とを生成し、これらをホログラム記録媒体に照射することによって、記録媒体にホログラムを形成してデータ記録を行う。
また再生時には、記録媒体に対して上記参照光を照射する。このようにして、記録時に信号光と参照光との照射に応じて形成されたホログラムに対し、記録時と同じ参照光(記録時と同じ強度パターンを有する)が照射されることによって、記録された信号光成分に応じた回折光が得られる。すなわち、これによって記録したデータに応じた再生像(再生光)が得られる。このようにして得られた再生光を例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどのイメージセンサで検出することで、記録した情報の再生を行うようにされる。
また、このようなホログラム記録再生方式としては、参照光と信号光とを同一光軸上に配置してこれらを共通の対物レンズを介してホログラム記録媒体に照射する、いわゆるコアキシャル方式が知られている。
図26、図27は、コアキシャル方式によるホログラム記録再生について説明するための図として、図26は記録手法、図27は再生手法を模式的に示している。
なお、これら図26、図27では、反射膜を備える反射型のホログラム記録媒体100が用いられる場合を例示している。
先ず、ホログラム記録再生システムでは、図26、図27に示されるようにして記録時に信号光と参照光、再生時に参照光を生成するために、SLM(空間光変調器)101が設けられる。このSLM101としては入射光に対し画素単位で光強度変調を行う強度変調器を備える。この強度変調器としては、例えば液晶パネルなどで構成することができる。
図26に示す記録時には、SLM101の強度変調により、記録するデータに応じた強度パターンを与えた信号光と、予め定められた所定の強度パターンを与えた参照光とを生成する。コアキシャル方式では、図のように信号光と参照光とが同一光軸上に配置されるようにして入射光に対する空間光変調を行う。このとき、図のように信号光は内側、参照光はその外側に配置するのが一般的とされている。
SLM101にて生成された信号光・参照光は、対物レンズ102を介してホログラム記録媒体100に照射される。これによりホログラム記録媒体100には、上記信号光と上記参照光との干渉縞により、記録するデータを反映したホログラムが形成される。つまり、このホログラムの形成によりデータの記録が行われる。
一方、再生時においては、図27(a)に示されるようにして、SLM101にて参照光を生成する(このとき参照光の強度パターンは記録時と同じである)。そして、この参照光を対物レンズ102を介してホログラム記録媒体100に照射する。
このように参照光がホログラム記録媒体100に照射されることに応じては、図27(b)に示すようにして、ホログラム記録媒体100に形成されたホログラムに応じた回折光が得られ、これによって記録されたデータについての再生像(再生光)が得られる。この場合、再生像はホログラム記録媒体100からの反射光として、図示するように対物レンズ100を介してイメージセンサ103に対して導かれる。
イメージセンサ103は、上記のようにして導かれた再生像を画素単位で受光し、各画素ごとに受光光量に応じた電気信号を得ることで、上記再生像についての検出画像を得る。このようにイメージセンサ103にて検出された画像信号が、記録されたデータについての読み出し信号となる。
なお、図26、図27の説明からも理解されるように、ホログラム記録再生方式では、データを信号光の単位で書込/読出するようにされている。つまり、ホログラム記録再生方式では、信号光と参照光との1度の干渉により形成される1枚のホログラム(ホログラムページと呼ばれる)が、書込/読出の最小単位とされている。
(バランス符号について)

ここで、上記の説明からも理解されるように、ホログラム記録再生システムでは、最終的に記録媒体に対して記録されるデータ(チャネルデータ)が、2次元に配列された状態となっている。
このようにチャネルデータを2次元配列して記録を行うホログラム記録再生システムにおいては、縦方向複数ビット×横方向複数ビットによるブロックでデータパターンが表現される、いわゆるバランス符号が好んで用いられる。
バランス符号とは、上記ブロックを構成するmビットのうちlビットが「1」、他のm−lビットがすべて「0」であるという条件を満たす記録変調符号であって、ブロック内におけるビット「1」が配置される位置とビット「0」が配置される位置との組合せによりデータパターンを表現する。
例えば、符号化のパラメータE(m,l,k)が、E(16,3,8)であれば、対象とするデータ列(ここでは単純にユーザデータとする)の8ビットを、16ビット(4×4)のバランス符号に変換することになる。このとき、l=3であるので、この場合のバランス符号で表現可能なデータパターンの数は、16ビットから3個を選ぶ組合せが16C3であることより、560通りとなる。
ここで、k=8ビットのユーザデータが表現可能なデータパターンは、28より256通りである。つまりこの場合、上記560通りのバランス符号のパターンのうち256パターンを、8ビットのユーザデータで表現可能な256通りのデータパターンの各々に対応づけておくことで、バランス符号の符号化/復号化を行うとができる。
このとき、9ビットのユーザデータが表現可能なデータパターンは、29より512通りである。従って、上記のように560通りのデータパターンが表現可能なm=16,l=3のバランス符号によれば、k=9ビットまでは対応可能となる。
但し、ホログラム記録再生システムにおいては、敢えて、余剰のバランス符号パターンが発生するように符号化のパラメータE(m,l,k)を設定するということが行われる。
これは、

・符号化に使用するパターンを、互いのパターンの類似性の低いものに絞ることで、検出エラーの低減を図る。

・読出信号(画像)中における空間周波数の低域成分を少なくするために、ブロック内で横方向・縦方向に「1」が連続しないパターンのみを符号化に用いる。

などといったことができるためである。
(チャネルデータの識別について)

上記により説明したバランス符号の復号化を行うにあたっては、読出信号の振幅から各ピクセルごとにビット「0」「1」の識別を行う必要がある。つまり、データ識別である。ホログラム記録再生システムにおいて、チャネルデータの識別には、いわゆる「ソート検出」や「相関検出」と呼ばれる手法が好んで用いられる。
ここで、チャネルデータの識別手法としては、読出信号の振幅が所定閾値より大であればビット「1」、小であればビット「0」と識別する「閾値検出」が最も簡便な手法となる。しかしながら、ホログラム記録再生システムにおいては、ページ内における読出信号振幅の変化が比較的大きく、「閾値検出」のための閾値の設定が非常に困難である。つまりこの点から、ホログラム記録再生システムにおいて閾値検出を採用した場合には、データ識別エラーの増加を招き、適切なデータ識別とすることが非常に困難となる。
このような事情から、ホログラム記録再生システムにおけるチャネルデータの識別手法としては、以下で説明するような「ソート検出」や「相関検出」の手法が好んで用いられる。
「ソート検出」の手順は、以下の通りである。

1)1バランス符号ブロックを構成するm個のビット(ピクセル)について、読出信号の振幅値が大きい順に♯1〜♯mまでの番号を付す(順位付け)。
2)上位l個のピクセル(♯1〜♯l)のビット値を「1」に、その他のピクセル(♯l+1〜♯m)のビット値を「0」に決定する。
一方、「相関検出」は、実際に得られた読出信号と、記録された可能性のある2k通りのバランス符号パターンの1つ1つとの相関性をそれぞれ調べ、読出信号に最も相関するパターンを識別結果として出力する手法である。
例えば、読出信号の振幅値が8ビット(0〜255)にA/D変換されているとすると、「相関検出」の手順は以下ようなものとなる。

1)記録された可能性のある2k通りのバランス符号パターンの1つ1つについて、
・ビット値が「1」であるピクセルの振幅基準値を191に設定して、該振幅基準値と読出信号中の該当するピクセルの振幅値との差の2乗を計算する
・ビット値が「0」であるピクセルの振幅基準値を64に設定して、該振幅基準値と読出信号中の該当するピクセルの振幅値との差の2乗を計算する
・この2乗誤差のmピクセル分の和をそれぞれ計算する
これにより、記録された可能性のある2k通りのそれぞれのバランス符号パターンと実際の読出信号との相関性を表す、2k個の評価値を得る。
2)上記1)で計算された各バランス符号パターンについての評価値を比較し、最も確からしいもの、すなわち上記評価値が最も小となるパターンを識別結果として出力する。
上記のような「ソート検出」や「相関検出」の手法は、「閾値検出」の手法とは異なり、ページ内での振幅変動の影響を殆ど受けないという大きなメリットがある。
そして、特にソート検出は、振幅の大きい上位l個のピクセルを「1」、それ以外のピクセルを「0」に決定するだけの手法であるため、処理負担が少なく、回路規模も小さくできるというメリットがある。但しその一方で、単に振幅順に従ってビット「1」「0」を決定するソート検出は、符号語でない識別結果が得られてしまう虞があるという点で問題を有する。
これに対し、相関検出は、記録された可能性のある符号語の中から最も確からしいものを識別結果として選出する最尤検出の手法であるため、符号語でない識別結果が得られる虞はなく、また識別性能も非常に高いものとなる。しかしながら、記録された可能性のある全てのパターンについて確からしさの評価値を計算する必要があるため、処理負担が大きく、回路規模も大となってしまう問題がある。
(LDPC符号)

上記のようなホログラム記録再生技術の存在の一方で、誤り訂正符号の一種として、LDPC(Low Density Parity Check)符号(低密度パリティ検査符号)が知られている。
周知のようにLDPC符号は、リード・ソロモン符号などの従来の誤り訂正符号と同様に線形符号の範疇に属する符号である。ある規則に従って生成した検査ビット列を送信情報(記録情報)に適切に付加することによって、通信路(記録再生チャネル)における雑音の影響で劣化した信号から情報を高い確率で復号できる。
LDPC符号は、強力な誤り訂正能力を有するが、その計算量の多さから実用化は困難であるとされてきた。しかしながら、繰り返し訂正符号としてターボ符号が登場したことをきっかけに、高性能な高速回路として実装可能なことが確認され、近年、注目を集めている。
次の図28を参照して、LDPC符号化/復号化の概要について説明しておく。
図28(a)は、情報の送出(記録)側で行われるべき処理(LDPC符号化処理)の概要を模式的に示している。先ず、LDPCにおいては、符号化の対象とするビットが、一般に「情報ビット」と呼ばれる。また、LDPCの符号化を行うにあたっては、予め「検査行列」(Hと表記される)が定められる。
符号化においては、先ず、入力された情報ビット列と上記検査行列Hとに基づき、「検査ビット列」(つまりパリティ)が生成される。この「検査ビット列」は、所定数の情報ビットごとに生成・付加される。図中では、情報ビットの8ビットごとに「検査ビット」の生成・付加が行われた場合を例示している。このとき、検査ビットが付加されたデータ単位、すなわち「情報ビット+検査ビット」の単位が、LDPC符号化/復号化の最小単位である「1LDPCブロック」となる。
このようにLDPC符号化されたデータ(LDPC符号列)が、通信路に対して送出(或いは記録媒体に対して記録)されることになる。
なお確認のために述べておくと、実際の符号化において、1LDPCブロックのビット数はより多いものとなり、例えば情報ビット=数千ビット程度に対し、数千ビット程度の検査ビット(パリティ)が付加されるものとなる。
図28(b)は、情報の受信(記録)側における処理(LDPC符号の復号化処理)の概要を模式的に示している。
LDPC符号の復号化では、先ず、<1>と示すようにして、受信(読出)信号の各ビットの振幅値から、LDPC符号列を構成する各ビットの「対数尤度比」を計算する。周知のようにこの「対数尤度比」は、各ビットの値(「0」又は「1」)の尤度を表す情報として用いられるものである。
ここで、上記対数尤度比について次の図29を参照して簡単に説明しておく。
周知のように対数尤度比は、通信路のモデルに依存した値となる。例えば、無記憶性の通信路(送信ビット列の伝送誤りの間に相関が無い通信路)であれば、送信信号をxn、受信信号をynとおくと、対数尤度比(λnとおく)は、既知である通信路の条件付き確率P(yn|xn)より、

λn=loge(P(yn|xn=+1)/P(yn|xn=−1))

と計算できる。
図29では、一般的なAWGN(加法白色ガウス雑音)通信路を想定した場合のLDPC符号化・復号化のモデルを例示している。AWGN通信路の場合、通信路の条件付き確率は、

P(yn|xn=b)=1/√(2πσ2)exp(−(yn−b)2/(2σ2))

とおくことができる。但し、σ2はガウス雑音の分散である。
ここで、上式のbは+1と−1の値をとる。このため、loge(P(yn|xn=+1)/P(yn|xn=−1))を計算すると、この場合の対数尤度比λnは、

λn=2yn/σ2

となる。
ここで、対数尤度比は、「Log Likelihood Ratio」の和訳である。この点より、以下において対数尤度比はLLRと略称する。
また、各ビットごとのLLRについてはλ(n)と表記する。
図28(b)に戻り、受信(読出)信号から各ビットのLLR(λ(n))を計算すると、<2>と示すように、これらλ(n)と、予め定められた検査行列(H)とに基づき、LDPCブロックごとに情報ビットの各ビット値を推定する(LDPC復号化)。
つまり、図29に示されるようにして、受信(読出)信号からLDPC符号の各ビットのLLR(λ(n))を計算した後には、LDPC復号アルゴリズムにより、これらλ(n)と予め定められた検査行列Hとに基づき、1LDPCブロック内の情報ビットの各値が推定(復号)される。
ここで、LDPC復号アルゴリズムは、いわゆるMAP復号法を基礎としたものとなる。MAP復号法では、符号語xを送信したとき受信語yが受信される確率を表す条件付き確率(先のP(yn|xn):事後確率とも呼ばれる)を計算し、該条件付き確率Pを最大とする「0」又は「1」のシンボルをその推定値とする。この結果、復号後の誤りが最小となるという特徴があり、ビット誤り率の点では最適とされる復号手法となる。
但し、すべての符号語について事後確率P(yn|xn)の値を加算することでビットごとの事後確率を計算する手順を、定義に従ってそのまま実行するとした場合、計算量は天文学的な数値となり、実用化は非常に困難となる。そこで、この計算量を削減するためのLDPC復号アルゴリズムとして、例えばsum-productアルゴリズムが提案されている。このsum-productアルゴリズムは、MAP復号法の近似アルゴリズムとみなすことができ、ビットごとの事後確率の計算精度を若干犠牲にすることにより、計算量を大幅に削減するものとなっている。具体的に、sum-productアルゴリズムでは、事後確率に関する計算を「変数ノード処理」と「チェックノード処理」の2つの処理に分け、それらの間で反復処理を行うようにされる。この反復処理を重ねることで、推定精度の向上を図るようにされている。
図30は、sum-productアルゴリズムによるLDPC復号処理の内容を簡略的に説明するための図として、図30(a)は復号処理の内容を示すフローチャートを、図30(b)は変数ノードとチェックノードについての概念図を示している。
ここで、図30(b)における「A(m)」は、チェックノードmに接続する変数ノード集合を表す。また、「A(m)\n」は、集合A(m)からnを取り去って得られる集合差を表す。同様に、「B(n)」は変数ノードnに接続するチェックノード集合を表し、「B(n)\m」は集合B(n)からmを取り去って得られる集合差を表す。
また、関数f(x)は、図中にも示されるようにf(x)=loge(ex+1/ex−1)と定義される関数であり、f・fが恒等写像となる性質がある。関数sign(x)は、xが正のとき+1、負のとき−1、0のとき0を値としてとる符号関数である。
なお、この図では明確にされていないが、この場合の復号処理においては、「チェックノードmから変数ノードnへのメッセージαmn」と「変数ノードnからチェックノードmへのメッセージβnm」の初期値は共に「0」として計算を開始することになる。
図30(a)において、ステップS1001の処理は、いわゆるチェックノード処理と呼ばれる処理となる。また、ステップS1002の処理は、いわゆる変数ノード処理と呼ばれる処理である。
ここで、ステップS1003(推定ビット決定処理)で計算しているLnは、上述した事後確率Pに関連した「対数事後確率比」と呼ばれる量の近似値である。このLnの絶対値が推定の信頼性を表し、その値が大であるほど推定の信頼性が高いことを表す。図示するように、このLnの値が正であれば、推定ビットの値として「0」を決定する(0(Ln>0))。また、Lnの値が負であれば推定ビットの値として「1」を決定する(0(Ln<0))。
図30(a)のフローチャートによれば、受信(読出)信号から計算された各ビットのLLR(図中ではλn)の値は、このLnの値の計算に用いられていることが分かる。また、LLRの値は、ステップS1002におけるβnmの値の計算にも用いられる。
また、上記ステップS1003による推定ビット決定処理に続くステップS1004のパリティ検査処理は、決定した推定ビット系列がパリティ検査条件を満たすか否かを判別する処理となる。
このステップS1004におけるパリティ検査処理において、予め定められた検査行列Hが用いられるものとなる。
推定ビット系列がパリティ検査条件を満たす場合は、推定ビット系列を送信(記録)した情報ビット系列の推定値として出力する(S1005)。一方、推定ビット系列がパリティ検査条件を満たさないとした場合には、ステップS1001のチェックノード処理からステップS1003の推定ビット決定処理までを再度行うようにされる。
このようにして、sum-productアルゴリズムによる復号処理では、チェックノード処理・変数ノード処理・推定ビット決定処理を1ラウンドの処理として、この1ラウンドの処理で決定した推定ビット系列がパリティ検査条件を満たすまで、該1ラウンドの処理を繰り返すようにされている。
なお、このようなsum-productアルゴリズムを始めとしたLDPC復号アルゴリズムは周知の技術である。LDPC復号アルゴリズムのより詳細な内容については、例えば上記した非特許文献1・非特許文献2などを参照されたい。
ここで、重要であるのは、LDPC符号の復号化にあたっては、受信(読出)信号からは、LDPC符号を構成する各ビットの対数尤度比(LLR)さえ求めればよいという点である。すなわち、このように受信(読出)信号からLDPC符号の各ビットのLLRが求まりさえすれば、該LLRの値と、予め定められた検査行列H(既知の情報である)とを用いて、上記sum-productアルゴリズムなどのLDPC復号アルゴリズムに従った復号処理を実行することで、情報ビットの値を復号することができるものである。
ここで、ホログラム記録再生システムにおいても、再生性能の向上のために、上記のようなLDPCを適用することが考えられている。しかしながら、ホログラム記録再生システムでは、チャネルデータは一般に記録変調符号化されている。
先の説明からも理解されるように、従来のLDPCの復号化処理は、チャネルデータが記録変調符号化されずに伝送される場合を前提としたものとなっており、従って、チャネルデータが2次元配列されるホログラム記録再生システムに対して上記説明による復号処理をそのまま適用したとしても、LDPC符号を適正に復号化することはできないものとなる。
この点について、次の図31を参照して具体的に説明する。
先ず、先の説明からも理解されるように、ホログラム記録再生システムの場合は、信号光(及び参照光)の照射によりチャネルデータが2次元配列されたホログラムページを記録する関係から、これに適したチャネルデータの符号として、バランス符号が用いられる。
このようにチャネルデータとしてバランス符号を用いる関係から、ホログラム記録再生システムの場合、記録時には、図示するようにして情報ビット列に対してLDPC符号化を行った上で、その結果得られるLDPC符号列に対してバランス符号化を施すことになる。
図中ではm=16、k=8によりLDPC符号列についてのバランス符号化が行われた場合を例示している。
このようなバランス符号化によって順次得られるmビットのブロック(1バランス符号ブロックと呼ぶ)を、信号光内に複数配列(ページマッピング)し、該信号光と参照光とをホログラム記録媒体に照射することで、ホログラムページの記録が行われる。
ここで、先にも述べた通り、LDPC符号の復号化にあたっては、LDPC符号の各ビットのLLRを求めることが必要となるが、図からも明らかなように、ホログラム記録再生システムの場合には、「チャネルデータの読出信号の各ビットのLLR=LDPC符号の各ビットのLLR」とはならない。すなわち、先に説明した従来のLLR計算手法のように、読出信号から直接的にLDPC符号の各ビットのLLRを計算することはできないものとなる。
また、チャネルデータがバランス符号によって記録変調符号化されるホログラム記録再生システムでは、LLRの計算手法自体も、従来手法から変更する必要がある。
つまり、チャネルデータがシリアルに(一次元配列で)伝送されることを前提とした従来の場合には、各ビットのLLR(λn)は、伝送路の特性に応じて、例えばλn=2yn/σ2で計算すればよいものとされているが、チャネルデータがバランス符号化される場合には上記従来の計算手法をそのままホログラム記録再生システムの場合に適用しても、適正なLLRが得られないことは明らかである。
これらの点より、記録変調符号としてバランス符号が用いられるホログラム記録再生システムに対しLDPC符号による誤り訂正機能を付加するとした場合において、従来と同様の手法による復号化処理をそのまま適用したのでは、LDPC復号を適正に行うことができないものとなる。
本発明は、上記による課題に鑑み為されたものであり、記録変調符号としてバランス符号が用いられて情報の記録再生が行われる場合に対応した適切な対数尤度比(LLR)の計算手法を提案し、それによってLDPC符号の復号化が適正に行われるようにすることを目的とする。
このために本発明では、再生装置として以下のように構成することとした。
つまり、本発明の再生装置は、先ず、データ列が少なくともLDPC符号化後にバランス符号化され、該バランス符号化されたデータが記録された記録媒体に対し、上記データを再生するための光を照射する光照射部を備える。
また、撮像素子を備え、上記光照射部による光照射に応じて上記記録媒体から得られる再生光を受光する再生光受光部を備える。
また、上記再生光受光部により得られる上記再生光についての受光信号に基づき、LDPC符号の各ビットごとの対数尤度比を求め、該対数尤度比を用いてLDPC復号アルゴリズムに従った復号処理を行うことで上記データ列を再生するデータ再生部を備える。
そして、上記データ再生部は、
上記再生光受光部により得られるバランス符号ブロック単位の上記受光信号について、振幅値が大きい順に各ピクセルを順位付けし、上位l個のピクセルのビット値を「1」、それ以外のピクセルのビット値を「0」とするデータ識別を行ってバランス符号の復号化を行う初回バランス符号復号処理を行った上で、
予め定められた規則に従って所要のピクセルの順位を入れ替え、該入れ替え後の上位l個のピクセルのビット値を「1」、それ以外のピクセルのビット値を「0」とするデータ識別を行ってバランス符号の復号化を行う並び替え後バランス符号復号処理と、
上記初回バランス符号復号処理の開始以降で初回に得られた初回バランス符号復号結果と、最新の上記並び替え後バランス符号復号処理によって得られた最新並び替え後バランス符号復号結果とで、ビット値が反転したビットを特定する反転ビット特定処理と、
上記反転ビット特定処理の結果ビット値が反転していないことが判明したビットについては、その対数尤度比の候補値を、予め定められた所要のピクセル間の振幅差に基づく値に更新する候補値更新処理と、
上記反転ビット特定処理によってビット値が反転したと特定されたビットについて、その対数尤度比を、最新の上記候補値更新処理で更新された対数尤度比の候補値に基づき確定する対数尤度比確定処理と、
を所定回数だけ繰り返して行う順位並び替え・対数尤度比繰り返し更新/確定処理を行って、上記LDPC符号の各ビットごとの対数尤度比を求めるにあたって、
上記初回バランス符号復号処理におけるバランス符号の復号化が復号エラーとなったか否かを判別する判別処理と、
上記判別処理の結果、上記初回バランス符号復号処理が復号エラーとなったとされた場合に、上記候補値更新処理が更新する上記対数尤度比の候補値の値を小さくするための尤度比調整係数を設定する尤度比調整係数設定処理とを実行する。
そして、上記候補値更新処理においては、上記対数尤度比の候補値を、上記尤度比調整係数に基づいて調整された値に更新するものである。
上記本発明によれば、上記順位並び替え・対数尤度比繰り返し更新/確定処理により、初回に得られたバランス符号復号結果と、順位並び替え後のバランス符号復号結果とで値が反転するビットが表れるごとに、この値が反転したビットの対数尤度比を、予め定められた規則に従った所要のピクセル間の振幅差に基づき更新される上記候補値に基づいて確定していくということが繰り替えされる。
後に詳述するように、このような順位並び替え・対数尤度比繰り返し更新/確定処理を行うことで、バランス符号についての受光信号(読出信号)から、LDPC符号列の各ビットの対数尤度比を求めることができる。
但し、上記順位並び替え・対数尤度比繰り返し更新/確定処理では、バランス符号のデータ識別に、ソート検出の手法を採用しており、従って符号語ではないチャネルデータが識別されてしまう虞がある。当然のことながら、符号語ではないチャネルデータが識別された場合、バランス符号の復号化を行うことができない。つまり復号エラーとなる。
ここで、バランス符号の初回の復号時(初回ソート後の復号時)においてこのような復号エラーが発生した場合には、読出信号の信頼性は非常に低いと見積もることができる。従って、このように初回の復号時に復号エラーが発生した場合において、その読出信号に基づき上記順位並び替え・対数尤度比繰り返し更新/確定処理で確定された各ビットの対数尤度比の値は、その信頼性が低いものとなる。このように信頼性の低い対数尤度比がLDPC復号処理に用いられた場合、LDPC復号処理における繰り返し回数の増加を招いたり、LDPC復号エラーの発生を招くものとなってしまう。
このとき、初回の復号時に復号エラーが発生した場合には、その読出信号は全く信頼性に欠け使用する価値の無いものであるとみなして、各ビットの対数尤度比の値を全て「0」で確定する(つまり対数尤度比の計算を諦める)という手法を採ることも考えられる。しかし、当然のことながらこのような手法を採った場合には、適正なLDPC復号結果が得られない可能性が高いことは明らかである。
そこで本発明では、上記の順位並び替え・対数尤度比繰り返し更新/確定処理により対数尤度比を計算する場合において、上記した判別処理、尤度比調整係数設定処理をさらに行うものとし、また候補値更新処理においては、対数尤度比の候補値を、上記尤度比調整係数設定処理で設定された尤度比調整係数に基づいて調整された値に更新するものとしている。すなわち、これらの処理により、初回の復号時に復号エラーが発生した場合には、以降の並び替えにおいて計算(更新)される対数尤度比の候補値が、上記尤度比調整係数に基づいて小さくなるようにしているものである。簡便に言えば、初回の復号時に復号エラーが発生し読出信号の信頼性が低いとされる場合には、その値が小となるようにオフセットを与えた対数尤度比を用いて、LDPC符号の復号化が行われるようにするというものである。
このような本発明によれば、上記オフセットを与えた対数尤度比としての、読出信号の振幅に基づき計算した一応の対数尤度比を用いてLDPC復号処理を行うことができるので、上記したような対数尤度比の計算を諦める手法と比較すれば、LDPC復号性能(再生性能)の向上が図られる。
また、読出信号の信頼性に関わらず計算された対数尤度比の候補値をオフセットを与えずにそのまま用いる手法との比較では、信頼性の低い読出信号であることを加味して調整した対数尤度比を用いてLDPC復号処理を行うことができるという点で、再生性能はより高めることができる。
本発明によれば、データ列がLDPC符号化後にバランス符号化されて記録された場合において、読出信号から適正にLDPC符号列の各ビットの対数尤度比の値を求めることができる。すなわちこれにより、例えばホログラム記録再生システムのようにバランス符号によって記録変調符号化されたチャネルデータを書込/読出対象とする記録再生系に対してLDPCによる誤り訂正機能を付加する場合において、LDPC符号の復号化が適正に行われるようにすることができる。つまりは、LDPCによる誤り訂正機能を付加することを可能として、再生性能の更なる向上が図られるようにすることができる。
また、本発明では、上記の順位並び替え・対数尤度比繰り返し更新/確定処理において、読出信号の初回バランス復号化が復号エラーとなった場合に、以降の並び替えにおいて計算(更新)される対数尤度比の候補値が尤度比調整係数に基づいて小さくなるようにしていることで、例えば初回バランス復号化時の復号エラーの発生に応じて対数尤度比の計算を諦めるといった手法や、対数尤度比に読出信号の信頼性を加味したオフセットを何ら与えないといった手法を採る場合などと比較して、LDPCの復号性能の向上を図ることができる。
実施の形態としての再生装置の内部構成を示した図である。 偏光方向制御型の空間光変調器と偏光ビームスプリッタとの組合せで実現される強度変調について説明するための図である。 空間光変調器に設定される参照光エリア、信号光エリア、ギャップエリアの各エリアについて説明するための図である。 スパース符号化/復号化のための変換テーブルの例(1/7)を示した図である。 スパース符号化/復号化のための変換テーブルの例(2/7)を示した図である。 スパース符号化/復号化のための変換テーブルの例(3/7)を示した図である。 スパース符号化/復号化のための変換テーブルの例(4/7)を示した図である。 スパース符号化/復号化のための変換テーブルの例(5/7)を示した図である。 スパース符号化/復号化のための変換テーブルの例(6/7)を示した図である。 スパース符号化/復号化のための変換テーブルの例(7/7)を示した図である。 実施の形態のLDPC符号化/復号化の概要について模式的に示した図である。 実施の形態の再生装置が備えるデータ再生部の内部構成を示した図である。 LLR計算部による処理の概要を示したフローチャートである。 LDPC復号処理部による処理の概要を示したフローチャートである。 ホログラム記録再生システムの場合におけるLLRの計算手法について考察するための図である。 第1の実施の形態としてのLLR計算手法の具体例について説明するための図である。 第1の実施の形態としてのLLR計算手法を実現するための処理の手順を示したフローチャートである。 第1の実施の形態のLLR計算手法の有効性を実証するためのシミュレーション結果(bER、LDPC繰り返し回数)を示した図である。 第2の実施の形態としてのLLR計算手法の具体例について説明するための図である。 第2の実施の形態としてのLLR計算手法を実現するための処理の手順を示したフローチャートである。 第2の実施の形態のLLR計算手法の有効性を実証するためのシミュレーション結果(bER、LDPC繰り返し回数)を示した図である。 LDPC符号を用いた誤り訂正と共にリードソロモン符号を用いた誤り訂正を行う変形例としての構成を示した図である。 ページ内インターリーブ/デインターリーブを行う変形例の構成を示した図である。 ページ内インターリーブ処理の一例を示した図である。 ページ間インターリーブ/デインターリーブを行う変形例の構成を示した図である。 コアキシャル方式によるホログラムの記録手法について説明するための図である。 コアキシャル方式によるホログラムの再生手法について説明するための図である。 LDPC符号化/復号化の概要を説明するための図である。 一般的なAWGN(加法白色ガウス雑音)通信路を想定した場合のLDPC符号化・復号化のモデルを例示した図である。 sum-productアルゴリズムによるLDPC復号処理の内容を簡略的に示した図である。 ホログラム記録再生システムにてLDPCによる誤り訂正処理を行うとした場合の問題点について説明するための図である。
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。

<1.第1の実施の形態>
[1-1.ホログラム記録再生装置の構成]
[1-2.スパース符号について]
[1-3.実施の形態におけるLDPC符号化/復号化の概要]
[1-4.LLRの具体的な計算手法]
(1-4-1.基本的な考え方)
(1-4-2.第1の実施の形態としてのLLR計算手法)
[1-5.処理手順]
[1-6.シミュレーション結果]
<2.第2の実施の形態>
[2-1.第2の実施の形態としてのLLR計算手法]
[2-2.処理手順]
[2-3.シミュレーション結果]
<3.変形例>
<1.第1の実施の形態>
[1-1.ホログラム記録再生装置の構成>

図1は、実施の形態としての再生装置の内部構成を示した図である。なお、実施の形態の再生装置は、ホログラム記録再生装置として構成される。以下、ホログラム記録再生装置は、単に記録再生装置とも表記する。
図1において、先ず図中のホログラム記録媒体HMは、信号光と参照光との干渉縞により情報記録が行われる記録媒体とされる。
このホログラム記録媒体HMは、その記録材料として、例えばフォトポリマーなどの、照射光の強度分布に応じた屈折率変化が生じることで情報記録が可能な材料が選定されており、これによって信号光と参照光との干渉縞により情報記録が行われるようになっている。また、この場合のホログラム記録媒体HMは、反射膜を備える反射型の記録媒体とされる。
図1に示す記録再生装置内において、ホログラム記録媒体HMは、図示は省略したスピンドルモータによって回転駆動可能に保持される。記録再生装置では、このように保持された状態のホログラム記録媒体HMに対して、図中のレーザダイオード(LD)1を光源とするホログラムの記録再生のための光(記録再生光)が照射される。
図中では、ホログラム記録媒体HMに対して上記記録再生光を照射するための光学系を含む光学ピックアップを破線により囲って示している。具体的に、光学ピックアップ内には、レーザダイオード1、コリメーションレンズ2、偏光ビームスプリッタ3、SLM4、偏光ビームスプリッタ5、リレーレンズ6、アパーチャー12、リレーレンズ7、ミラー8、部分回折素子9、1/4波長板10、対物レンズ11、及びイメージセンサ13が設けられている。
上記レーザダイオード1は、ホログラムの記録再生光として、例えば波長λ=405nm程度の青紫色レーザ光を出力する。このレーザダイオード1から出射されたレーザ光は、コリメーションレンズ2を介して偏光ビームスプリッタ3に入射する。
偏光ビームスプリッタ3は、入射するレーザ光のそれぞれ直交する直線偏光成分のうち、一方の直線偏光成分を透過、他方の直線偏光成分を反射する。例えばこの場合、p偏光成分は透過しs偏光成分は反射するように構成される。
従って偏光ビームスプリッタ3に入射したレーザ光は、そのs偏光成分のみが反射されてSLM4に導かれる。
上記SLM4は、例えばFLC(Ferroelectric Liquid Crystal:強誘電性液晶)としての反射型液晶素子を備えて構成され、入射光に対し、画素単位で偏光方向を制御するように構成されている。
このSLM4は、後述する変調制御部16からの駆動信号に応じて、各画素ごとに入射光の偏光方向を90°変化させる、又は入射光の偏光方向を不変とするようにして空間光変調を行う。具体的には、駆動信号がONとされた画素については偏光方向の角度変化=90°、駆動信号がOFFとされた画素については偏光方向の角度変化=0°となるように、駆動信号に応じ画素単位で偏光方向制御を行うように構成されている。
図示するようにして、上記SLM4からの出射光(SLM4にて反射された光)は、偏光ビームスプリッタ3に再度入射する。
ここで、図1に示す記録再生装置では、上記SLM4による画素単位の偏光方向制御と、入射光の偏光方向に応じた偏光ビームスプリッタ3の選択的な透過/反射の性質とを利用して、画素単位の空間光強度変調(光強度変調、或いは単に強度変調とする)を行うようにされている。
図2は、このようなSLM4と偏光ビームスプリッタ3との組み合わせにより実現される強度変調のイメージを示している。図2(a)はON画素の光について、図2(b)はOFF画素の光についてそれぞれその光線状態を模式的に示している。
上述もしたように、偏光ビームスプリッタ3はp偏光を透過、s偏光を反射するので、上記SLM4に対してはs偏光が入射することになる。
この前提を踏まえると、SLM4にて偏光方向が90°変化された画素の光(駆動信号ONの画素の光)は、偏光ビームスプリッタ3に対しp偏光で入射することになる。このことで、SLM4におけるON画素の光は、偏光ビームスプリッタ3を透過することになり、ホログラム記録媒体HM側に導かれることになる(図2(a))。
一方、駆動信号がOFFとされ偏光方向が変化されなかった画素の光は、偏光ビームスプリッタ3にs偏光で入射する。つまり、SLM4におけるOFF画素の光は偏光ビームスプリッタ3にて反射されて、ホログラム記録媒体HM側には導かれないようになっている(図2(b))。
このようにして、偏光方向制御型による空間光変調器としてのSLM4と、偏光ビームスプリッタ3との組み合わせにより、画素単位で光強度変調を施す強度変調部が形成されている。
ここで、実施の形態の記録再生装置は、ホログラム記録再生方式として、コアキシャル方式を採用する。すなわち、信号光と参照光とを同一光軸上に配置し、それらを共に所定位置にセットされたホログラム記録媒体に対し共通の対物レンズを介して照射することでホログラムの形成によるデータ記録を行い、また再生時には、上記参照光を対物レンズを介してホログラム記録媒体に対して照射することでホログラムの再生像を得て、記録されたデータの再生を行うものである。
コアキシャル方式が採用される場合、SLM4においては、信号光と参照光とを同一光軸上に配置するために、次の図3に示すような各エリアが設定されることになる。
この図3に示されるようにして、SLM4においては、その中心(光軸中心と一致)を含む円形の所定範囲のエリアが、信号光エリアA2として設定される。そして、この信号光エリアA2の外側には、ギャップエリアA3を隔てて、輪状の参照光エリアA1が設定されている。
上記信号光エリアA2、参照光エリアA1の設定により、信号光と参照光とを同一光軸上に配置するようにして照射することができる。
なお、上記ギャップエリアA3は、上記参照光エリアA1にて生成される参照光が信号光エリアA2に漏れ込んで信号光に対するノイズになることを避けるための領域として定められている。
なお確認のために述べておくと、SLM4の画素形状は矩形状であるため、信号光エリアA2は厳密には円形とはならい。同様に参照光エリアA1、ギャップエリアA3としても厳密には輪状にはならい。その意味で信号光エリアA2は略円形のエリアとなり、参照光エリアA1、ギャップエリアA3もそれぞれ略輪状のエリアとなる。
図1において、変調制御部16は、上記SLM4に対する駆動制御を行うことで、記録時には信号光と参照光を、また再生時には参照光のみを生成させる。
ここで、変調制御部16に対しては、記録時の入力データとして、後述するスパース符号化部15にて生成されるブロック単位のデータ(縦方向複数ビット×横方向複数ビットの1ブロックを単位とするデータ)が入力される。具体的に、この場合のスパース符号化部15では、後述もするように縦×横=4ビット×4ビットのブロックを最小単位とする記録変調符号化を行うので、変調制御部16に対しては、このような4ビット×4ビットによるブロック状のデータが入力されることになる。
記録時において、変調制御部16は、このようにスパース符号化部15から供給されるブロック状のデータを、予め定められた記録フォーマットに従って信号光エリアA2内に敷き詰める(ページマッピングと呼ばれる)。つまりこれにより、SLM4の信号光エリアA2内における各画素の駆動パターン(オン/オフパターン)を得る。そして、参照光エリアA1内の画素については、予め定められた所定のオン/オフパターンを設定し、且つ信号光エリアA2・参照光エリアA1以外の画素についてはすべてオフとするパターンを設定して、SLM4の全画素についての駆動パターンを得る。
変調制御部16は、このようにして得た駆動パターンに基づき、SLM4の各画素を駆動制御する。これにより、記録時においては、偏光ビームスプリッタ3からの出射光として、それぞれが同じ中心(光軸)を持つように配置された信号光と参照光とが得られる。
また、再生時において変調制御部16は、上記参照光エリアA1内の画素を上記所定のオン/オフパターンとし、それ以外の画素は全てオフとする駆動パターンを生成し、該駆動パターンに基づきSLM4の各画素を駆動制御する。これにより再生時には、偏光ビームスプリッタ3からの出射光として上記参照光のみが得られる。
ここで、信号光エリアA2内に敷き詰め可能なブロックの数は、予め記録フォーマットによって定められている。このように信号光エリアA2に対して1度に敷き詰められるデータの単位は、ホログラムページと呼ばれる。記録時において上記変調制御部16は、このようなホログラムページの単位で順次、スパース符号化部15から供給されるブロック単位のデータの敷き詰め、及び生成した駆動パターンに基づくSLM4の駆動制御を行うようにされている。これにより、ホログラム記録媒体HMに対しては、上記ホログラムページ単位でデータが順次記録されていくようになっている。
なお、図1に示されるように、スパース符号化部15に対しては、記録すべき情報を担うデータ(図中の記録データ)が、LDPC(Low Density Parity Check)符号化部14による符号化を経て入力される。すなわち、この場合において記録データは、LDPC符号化後、さらにスパース符号化されて記録されることになる。
ここで、LDPC符号化部14が行うLDPC符号化処理は、従来のLDPC符号化処理と同様であり、ここで敢えてその詳細について説明することは避ける。概要としては、先の図28(a)で説明したように、入力される情報ビット列(ここでは図中の記録データが該当)の所定単位ごとに、検査ビットの生成・付加を行って、LDPC符号列を得る処理となる。
なおスパース符号化部15が行うスパース符号化処理の具体的な内容については後述する。
偏光ビームスプリッタ3及びSLM4による強度変調部にて強度変調が施されたレーザ光は、偏光ビームスプリッタ5に入射する。この偏光ビームスプリッタ5としてもp偏光を透過、s偏光を反射するように構成され、従って上記強度変調部からの出射されたレーザ光(偏光ビームスプリッタ3を透過した光)は、当該偏光ビームスプリッタ5を透過することになる。
偏光ビームスプリッタ5を透過したレーザ光は、リレーレンズ6,リレーレンズ7によるリレーレンズ系に入射する。このリレーレンズ系における上記リレーレンズ6とリレーレンズ7との間には、アパーチャー12が挿入されている。
図示するようにリレーレンズ6によっては、偏光ビームスプリッタ5を透過したレーザ光の光束が所定の焦点位置に集光するようにされ、リレーレンズ7によっては集光後の拡散光としての上記レーザ光束が平行光となるように変換される。アパーチャー12は、上記リレーレンズ6による焦点位置(フーリエ面:周波数平面)に設けられ、光軸を中心とする所定範囲内の光を透過、それ以外の光を遮断するように構成される。
上記アパーチャー12によっては、ホログラム記録媒体HMに記録されるホログラムページのサイズが制限され、ホログラムの記録密度(つまりデータ記録密度)の向上が図られる。また、後述もするように再生時には、ホログラム記録媒体HMからの再生像が上記リレーレンズ系を介してイメージセンサ13に対して導かれることになるが、このとき、上記アパーチャー12によっては、上記再生像と共にホログラム記録媒体HMから出射される散乱光の大部分が遮断され、イメージセンサ13に対して導かれてしまう散乱光の量が大幅に低減される。つまりアパーチャー12は、記録時におけるホログラムの記録密度の向上機能と共に、再生時における散乱光抑圧によるSN比(S/N)の改善機能の双方を担うものとなっている。
上記リレーレンズ7を介したレーザ光は、ミラー8によってその光軸が90°折り曲げられて、部分回折素子9→1/4波長板10を介して対物レンズ11に導かれる。
上記部分回折素子9及び1/4波長板10は、再生時においてホログラム記録媒体HMにて反射された参照光(反射参照光)が、イメージセンサ13に導かれて再生光に対するノイズとなってしまうことを防止するために設けられている。
なお、これら部分回折素子9及び1/4波長板10による反射参照光の抑圧作用については後述する。
対物レンズ11に入射したレーザ光は、ホログラム記録媒体HMに集光するようにして照射される。
なお、図示は省略したが、対物レンズ11は、いわゆる2軸機構などのアクチュエータによってフォーカス方向やトラッキング方向の位置が制御される。これによりレーザ光のスポット位置や焦点位置についての制御が可能とされている。
ここで、先にも述べたように、記録時には、強度変調部(SLM4及び偏光ビームスプリッタ3)による強度変調により信号光と参照光とが生成され、これら信号光・参照光が上記により説明した経路によりホログラム記録媒体HMに照射される。これにより、ホログラム記録媒体HMには、これら信号光と参照光との干渉縞により記録データを反映したホログラムが形成され、データ記録が実現される。
また、再生時には、強度変調部により参照光のみが生成され、上記した経路によりホログラム記録媒体HMに照射される。このように参照光が照射されることで、記録時に形成されたホログラムに応じた再生像(再生光)が反射光として得られる。この再生像は、対物レンズ11を介して装置側に戻される。
ここで、再生時にホログラム記録媒体HMに対して照射される参照光(往路参照光とする)は、先の強度変調部の動作によれば、p偏光で部分回折素子9に入射することになる。後述もするように部分回折素子9は往路の光は全て透過するように構成されているので、p偏光による往路参照光は、1/4波長板10を介することになる。このように1/4波長板10を介したp偏光による往路参照光は、所定回転方向による円偏光に変換されてホログラム記録媒体HMに照射される。
このようにして照射された参照光は、ホログラム記録媒体HM内に設けられた反射膜にて反射され、反射参照光(復路参照光)として対物レンズ11に導かれる。このとき、上記反射膜での反射により、復路参照光の円偏光回転方向は上記所定回転方向とは逆回転方向に変換されるので、復路参照光は、1/4波長板10を介することで、s偏光に変換されることになる。
ここで、このような偏光状態の遷移を踏まえた上で、部分回折素子9と1/4波長板10とによる反射参照光の抑圧作用について説明する。
部分回折素子9は、参照光が入射する領域(中心部を除く領域)に例えば液晶回折素子などの、直線偏光の偏光状態に応じた選択回折特性(一方の直線偏光成分は回折し、他方の直線偏光成分は透過する)を有する偏光選択回折素子が形成されて成る。具体的にこの場合、部分回折素子9が備える上記偏光選択回折素子は、p偏光を透過、s偏光を回折するように構成されている。このことで、往路の参照光は部分回折素子9を透過し、復路の参照光のみが部分回折素子9にて回折(抑圧)されるようになっている。
この結果、復路光としての反射参照光が再生像に対するノイズ成分として検出されてSN比が低下してしまうといった事態の防止が図られる。
なお確認のために述べておくと、部分回折素子9における信号光が入射する領域(再生像が入射する領域)は、例えば透明材料で構成される、或いは穴部とされるなどして、往路光・復路光の双方を透過するように構成されている。このことで、記録時の信号光と再生時の再生像とが当該部分回折素子9を透過するように図られている。
ここで、これまでの説明からも理解されるように、ホログラム記録再生システムでは、記録されたホログラムに対して参照光を照射して、回折現象を利用して再生像を得るようにされるが、この際の回折効率は、一般に数%〜1%未満とされる。このことから、上記のように反射光として装置側に戻される参照光は、再生像に対して非常に大きな強度を有することになる。つまり、上記反射光としての参照光は、再生像の検出にあたって無視できないノイズ成分となる。
従って、上記のような部分回折素子9及び1/4波長板10によって反射参照光の抑圧が図られることで、SN比の大幅な改善が図られる。
上述のように再生時に得られた再生光は、部分回折素子9を透過することになる。部分回折素子9を透過した再生光は、ミラー8にて反射された後、先に説明したリレーレンズ7→アパーチャー12→リレーレンズ6を介し、偏光ビームスプリッタ5に入射する。これまでの説明からも理解されるように、ホログラム記録媒体HMからの反射光は、1/4波長板10を介してs偏光に変換されるので、このように偏光ビームスプリッタ5に入射した再生光は、当該偏光ビームスプリッタ5にて反射され、イメージセンサ13に対して導かれることになる。
イメージセンサ13は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの撮像素子を備えて構成され、上記のようにして導かれたホログラム記録媒体HMからの再生光を受光し、これを電気信号に変換して画像信号を得る。このようにして得られた画像信号は、記録時に信号光に対して与えたオン/オフパターン(つまり「0」「1」のデータパターン)を反映したものとなっている。すなわち、このようにしてイメージセンサ13で検出される画像信号が、ホログラム記録媒体HMに対して記録されたデータ(チャネルデータ)の読出信号となる。
イメージセンサ13により得られたチャネルデータの読出信号(以下、読出信号rdとする)は、データ再生部17に対して供給される。
データ再生部17は、上記読出信号rdに基づき、記録データ(情報ビット列)を再生し、図中の再生データとして出力する。
なお、このデータ再生部17の内部構成や具体的な再生処理の内容については後に改めて説明する。
[1-2.スパース符号について]

スパース符号は、先に説明したバランス符号の一種である。すなわち、縦×横=複数ビット×複数ビットによるブロックを構成するmビットのうち、lビットが「1」で残りのm−lビットが「0」であるような符号である。
このスパース符号としても、ブロック内におけるビット「1」が配置される位置とビット「0」が配置される位置との組合せにより、データパターンを表現するものとなる。
ここで、スパース符号化のパラメータを、E(m,l,k)のように表記する。
このとき、

m:1スパース符号(1ブロック)を構成するビット数
l:1ブロック内における「1」の数
k:1ブロックに変換される入力データのビット数

である。つまり、上記E(m,l,k)と表記した場合は、入力データ列をkビット単位で、「1」の数がl個に制限されたmビットのブロックに変換することを意味する。
本実施の形態の場合、スパース符号化のパラメータは、例えばE(16,3,8)に設定されているものとする。
このとき、m=16、l=3であるので、この場合のスパース符号で表現可能なデータパターンの数は、16C3より560通りとなる。一方、入力データ列の8ビットで表現可能なデータパターンは28より256通りである。
ここで、9ビットのデータで表現可能なデータパターンは29より512通りであることを考えると、上記のように560通りのデータパターンが表現可能なm=16,l=3のスパース符号によれば、k=9ビットまでは対応可能となる。
但し、先にも述べたように、ホログラム記録再生システムにおいては、敢えて、余剰パターンが発生するように符号化のパラメータE(m,l,k)を設定するということが行われる。
これは、

1)符号化に使用するパターンを、互いのパターン類似性の低いパターンのみに絞るなどして、検出エラーの低減を図る。
2)読出信号(画像)中における空間周波数の低域成分を少なくするために、ブロック内の横方向・縦方向に「1」が連続しないパターンのみを符号化に用いる。

ということができるためである。
上記のようにしてm=16,l=3で可能な560通りのパターンのうち、256個を選出し、それらをk=8ビットで表現可能な各データパターンと対応づけた例を、図4〜図10に示す。
なお図4〜図10において、8ビットのデータパターンについては、その十進数表記を♯♯♯で囲んで表している。
これら図4〜図10の例は、ブロック内で縦または横に「1」が連続しないという条件を満たすパターンを選出したものである。実際において、この条件を満たす符号は276通りあったが、ブロック内の左上端をLSB、右下端をMSBとして16ビットの二進数としたときの値が小さいものから順に256個を並べた。
スパース符号への符号化は、このようにして定められたkビットのデータパターンとmビットのデータパターン(ブロック)との対応情報に基づき行うものとなる。
つまり、図1に示したスパース符号化部15は、LDPC符号化部14から入力されるデータ列(LDPC符号列)について、そのkビットごとに、図4〜図10に示すような対応情報(変換テーブル)に基づくmビットのブロック状データを得ることで、スパース符号化を行うようにされている。
ここで、以下の説明において、このようなスパース符号化で得られる1ブロック単位のデータのことを、「1スパース符号ブロック」と称する。
[1-3.実施の形態におけるLDPC符号化/復号化の概要]

ここで、これまでの説明からも理解されるように、ホログラム記録再生システムでは、書込/読出の対象となるチャネルデータが、2次元配列によるデータとなる。そして、チャネルデータの符号(記録変調符号)には、スパース符号に代表されるようなバランス符号が用いられる。
このようにして、記録すべきデータを最終的にバランス符号に変換するホログラム記録再生システムに対し、LDPCによる誤り訂正機能を付加するとした場合には、先の図31を参照して説明したように、LDPC符号の復号化のために読出信号から計算すべき対数尤度比(LLR:Log Likelihood Ratio)は、従来のLLR計算手法と同様の手法によっては計算することができないものとなる。
そこで、本実施の形態では、このように記録変調符号としてバランス符号が用いられるホログラム記録再生システムにおいて、読出信号からLDPC符号列の各ビットについてのLLRを計算するための手法を提案し、これを以てLDPC符号の復号化が適正に行われるようにすることを目的とする。
図11は、本実施の形態の場合におけるLDPC符号化/復号化の概要について模式的に示した図である。
先ず、先の説明からも理解されるように、記録すべきデータは、LDPC符号化部14によって図のようなLDPC符号列に変換される。図示するようにLDPC符号列は、情報ビットと検査ビットとから成る。周知のように、情報ビットに対して付加される検査ビットは、上記情報ビットと、予め定められた検査行列(H)とに基づき生成されるものであり、「情報ビット+検査ビット」によるデータ単位が、LDPC符号化/復号化の最小単位としての「1LDPCブロック」となる。
図1に示したスパース符号化部15には、上記のような「情報ビット+検査ビット」によるLDPC符号列がLDPC符号化部14より入力され、該LDPC符号列に対してスパース符号化を施す。
上述もしたように、スパース符号化が行われることで、LDPC符号列におけるkビットが、mビットのスパース符号に変換される。
ここで、このように1スパース符号ブロックと対応することになるLDPC符号列におけるkビットのデータ単位を、「1ユニット」と定義する。
先に説明した通り、スパース符号化により得られたmビットのブロックは、信号光エリアA2内にマッピングされる。このような信号光と共に参照光がホログラム記録媒体HMに照射されることで、ホログラムページが記録される。
再生時においては、このように記録されたホログラムページについての再生像がイメージセンサ13により受光されることに伴い、上記のようなスパース符号ブロックを最小単位とする読出信号rdが得られる。
前述のように、図1に示したデータ再生部17は、イメージセンサ13から入力される上記読出信号rdに基づき、LDPC符号の各ビットのLLRを計算することになる。
ここで、確認のために述べておくと、例えばsum-productアルゴリズムに代表されるようなLDPC復号処理で必要とされる情報は、検査行列(H)と、LDPC符号の各ビットのLLRのみである(図28〜図30を参照)。
検査行列Hは、LDPCのシステム設計にあたり最初に定められるものであって、既知の情報である。従って、復号化にあたっては、読出信号からLDPC符号の各ビットのLLRが求まりさえすればよい。すなわち、該LLRと既知の(つまり予め定められた)検査行列Hとに基づき、上記sum-productアルゴリズムなどのLDPC復号アルゴリズムに基づく復号処理が行われることで、情報ビット(記録データ)を再生することができるものである。
ここで、図11を参照して分かるように、記録変調符号にバランス符号を用いるホログラム記録再生システムの場合において、LDPC符号を復号化するために必要な手順としては、

1)スパース符号の読出信号rdからLDPC符号の各ビットのLLRを計算するLLR計算手順
2)LLR計算手順で求まったLLRの値と検査行列Hとに基づき、LDPC復号アルゴリズムに従った復号処理を行うLDPC復号手順

の2つの手順に大別されることになる。
図12は、上記のようなLLR計算手順とLDPC復号手順とにより実施の形態としてのLDPC復号化処理(情報ビットの再生処理)を行う、データ再生部17の内部構成を示した図である。
なお、この図12においては、データ再生部17の内部構成と共に、図1に示したイメージセンサ13も併せて示している。
この図12に示されるように、データ再生部17は、LLR計算部20、スパース符号復号用テーブル21、及びLDPC復号処理部22を有する。
上記スパース符号復号用テーブル21は、先の図4〜図10に示したような、kビットの各データパターンに対するmビットのブロック(1スパース符号ブロック)の対応関係を表したテーブル情報とされる。このようなテーブル情報を用いることで、スパース符号の復号化(LDPC符号への変換)が可能となる。
LLR計算部20は、イメージセンサ13からの読出信号rdと、上記スパース符号復号用テーブル21とに基づき、LDPC符号列の各ビットのLLRを計算する。
ここで、以下において、LDPC符号列の各ビットのLLRは、「λ(n)」と表記する。この場合において、「n」は1LDPCブロック内におけるn番目のビットであることを表す。
LDPC復号処理部22は、上記LLR計算部20により得られたLLR(λ(n))と、検査行列Hとに基づき、LDPC復号アルゴリズムに従ったLDPC復号処理を実行することで、1LDPCブロックごとに、その情報ビットを再生する。つまりこれにより、記録データについての再生データを得る。
図13、図14のフローチャートは、それぞれ上記LLR計算部20による処理の概要、上記LDPC復号処理部22による処理の概要を示している。
先ず図13において、LLR計算部20は、ステップS101において、p=0、q=0にリセットする。ここで、pは、対象とするスパース符号ブロックのNO.を表し、qはLDPC符号列におけるkビット単位のユニットのNO.を表す。
そして、続くステップS102において、NO.pのスパース符号ブロックの読出信号rdとスパース符号復号用テーブル21とに基づき、NO.qのLDPC符号ユニットの1〜k番目の各ビットについてのLLR(λ(i):i=1〜k)を計算する。
次のステップS103では、p、qの値をそれぞれインクリメントする(p←p+1、q←q+1)。そしてその後、上記ステップS102に戻る。
このようにしてLLR計算部20では、1スパース符号ブロックごとに、当該スパース符号ブロックに対応するkビットのLDPC符号列(ユニット)についての各ビットのLLR(λ(i))が順次計算される。
ここで、上記のようにしてLLR計算部20で計算されるLLR(λ(i))は、LDPC符号のkビット単位のユニット内における各ビットのLLRを表すものとなっている。これに対し、LDPC復号アルゴリズムでは、1LDPCブロックを復号化の最小単位とするので、LDPC復号処理で用いるLLRに関しては、このような1LDPCブロック内での各ビットのLLRを表すλ(n)と表記すべきものとなる。
例えば、1LDPCブロックが2ユニットで構成されると仮定した場合、NO.1のユニットについて計算されたλ(i=1〜k)はλ(n=1〜k)に該当し、NO.2のユニットについて計算されたλ(i=1〜k)はλ(n=k+1〜2k)に該当することになる。このように、計算されたλ(i)は、1LDPCブロック内の各ビットに順番にあてはめて、λ(n)とする。
ここで、本実施の形態は、この図13におけるステップS102のLLR計算処理に特徴を有するものである。このステップS102によるLLR計算処理の詳細については、後の[1-4.LLRの具体的な計算手法]で改めて説明する。
続いて、図14において、LDPC復号処理部22は、ステップS201において、r=0にリセットする。ここでrは、対象とするLDPCブロックのNO.を表す。
次のステップS202においては、NO.rのLDPCブロックの各ビットのLLR(λ(n))と、パリティ検査行列とに基づき、NO.rのLDPCブロックを復号する。すなわち、対象とするNO.rのLDPCブロック内の各情報ビットの値を、例えばsum-productアルゴリズムなどの所定のLDPC復号アルゴリズムに従った復号処理を行って推定するものである。
なお、上記ステップS202におけるLDPC復号処理としては、例えば上記sum-productアルゴリズムなどの周知のLDPC復号アルゴリズムに従った処理を行うものとすればよく、ここでその手法について特に限定はしない。
例えばLDPC復号アルゴリズムとしてはmin-sumアルゴリズムも知られており、こちらを採用することもできる。
また、現時点で既に提案されているアルゴリズムに限らず、今後提案されるアルゴリズムを採用することもできる。
LDPC復号処理の詳細内容については、例えば先に掲げた非特許文献1や非特許文献2などを参照されたい。
上記ステップS202によりLDPC復号アルゴリズムに従った情報ビットの再生を実行した後には、ステップS203において、rの値をインクリメント(r←r+1)した後、ステップS202に戻ることになる。
このようにしてLDPC復号処理部22によっては、LDPCブロック単位で順次、情報ビットの推定(再生)が行われるものとなり、その結果が、図1や図12に示す再生データとして出力されることになる。
[1-4.LLRの具体的な計算手法]
(1-4-1.基本的な考え方)

ここで、記録変調符号にスパース符号を用いるホログラム記録再生システムにおいて、読出信号rdからLLRをどのように計算すべきかについて考察してみる。
図15は、ホログラム記録再生システムの場合におけるLLRの計算手法について考察するための図として、mビットの1スパース符号ブロックについての読出信号rdの振幅順位と各ピクセルのビット値(データ識別結果)との関係と、該1スパース符号ブロックとその復号結果としてのkビットのLDPC符号列との関係を例示した図である。
先ず図15(a)に示すような振幅順位による読出信号rdが得られたとする。ここで以下、ブロック内における各ピクセルの順位は「s」により表記する。本例の場合はm=16より、順位はs1〜s16までとなる。
このような読出信号rdについて、ソート検出によるデータ識別が行われることで、各ピクセルのビット値は図のように識別される。
そして、このデータ識別結果に対応するスパース符号の復号結果は、図のように[00000000]であるとする。
ここで、LDPC復号処理で用いるLLR(対数尤度比)は、その名が示す通り、各ビットの値の尤度を表す情報である。但し、先にも述べた通り、LDPC復号処理で必要な尤度情報は、LDPC符号列の各ビットについての尤度情報であり、これをスパース符号ブロックについての読出信号rdから計算するためには、従来とは異なるLLR計算手法が採られる必要がある。
本実施の形態では、このように読出信号rdからLDPC符号列の各ビットについてのLLRを計算するにあたり、読出信号rdの振幅順位を入れ替え、そのスパース符号復号結果と、順位入れ替え前のスパース符号復号結果とを比較し、その結果、値が反転したビットから順に、その尤度情報を確定していくという手法を採る。
具体的に、図15(b)では、図15(a)の振幅順位からs3とs4とを入れ替えた場合における振幅順位と各ピクセルのデータ識別結果、及びスパース符号復号結果の例を示している。このとき、順位入れ替え後の復号結果は、図のように[00000001]であったとする。
このようにして、スパース符号ブロック単位の読出信号rdについて、その振幅順位の入れ替えを行うと、ソート検出によるデータ識別結果が変化することに伴って、復号結果のビット値を変化させることが可能となる。
このとき、復号結果において値が反転したビット関しては、その尤度は低いと見積もることができる。すなわち、例えばこの図15に示す例のように、1回の順位入れ替えで値が反転したビットについては、その尤度は非常に低いと見積もることができる。
このように振幅の順位入れ替えによりすぐに値が反転するビットに関しては、そのLLR(絶対値)は小とすべきである。
また逆に、順位入れ替えを繰り返しても値の反転しないビットについては、その尤度は高いと見積もることができる。すなわち、順位入れ替えにより値が反転しないビットほどその尤度は高く、そのビットのLLR(絶対値)は大とすべきである。
(1-4-2.第1の実施の形態としてのLLR計算手法)

上記のように実施の形態では、スパース符号ブロック単位の読出信号rdについて、その振幅順位付け→スパース復号化→振幅順位の入れ替え→スパース復号化・・・を繰り返し、順入れ替えごとに、復号結果における値の反転したビットを特定する。このとき、上述のようにして順位入れ替えによりすぐに値の反転したビットほどそのLLRの絶対値を小さくするものとし、逆に順位入れ替えを繰り返してもなかなか値の反転しなかったビットについてはLLRの絶対値を大きくするものとすれば、読出信号rdから、LDPC符号列の各ビットのLLRを適正に計算することができる。
ここで、このような手法を採る場合において、明らかにされるべきは、上記のように順位入れ替え回数に応じて小/大とすべきLLRを、具体的にどのようにして計算するかである。このように順位入れ替え回数に応じて小/大とするLLRの具体的な計算手法を提案するのが、第1の実施の形態である。
図16は、第1の実施の形態としてのLLRの具体的な計算手法について説明するための図である。
この図16において、最左欄における「並び替え回数(j)」は、1スパース符号ブロック単位の読出信号rdに対して行われるべき、振幅順位についての並び替え回数を表す。
また、図中の「並び替え後の順番」は、j回目の並び替えが行われたことに伴う各ピクセルの並び順を示すものである。この場合も「s」は、各ピクセルの振幅順位(つまりj=1の初回並び替え時の各ピクセルの順位)を表す。
また、上記「並び替え後の順番」の右欄は、「j回目並び替え時でのLLR候補値の絶対値(EVA(j))」を表す。このLLR候補値の絶対値(EVA(j))は、並び替えが行われるごとに計算・更新される値となる。
この図16に示されるように、本実施の形態では、j回目の並び替え時に各ピクセルの順位をどのようにすべきか、さらには、j回目並び替え時に計算すべきLLR候補値の絶対値(EVA(j))の計算式が予め定められているものである。
つまり、この場合の処理としては、先ず、予め定められたj回目の「並び替え後の順番(並び順)」の情報に従って読出信号rdの各ピクセルを並び替えし、その振幅順位に従ったソート検出(データ識別)を行った上で、スパース符号の復号化を行う。
例えばj=2の並び替え時(初回の順位入れ替え時)に対応しては、j=1の初回並び替え時(初回順位付け時)の順位がs3であったピクセルとs4であったピクセルの順位を入れ替えた
「s1,s2,s4,s3,s5,s6,s7,s8-s16」
という並び順の情報が予め定められている。従ってj=2回目の並び替え時には、このようなピクセルの並び順の情報に従って順位付けを改め、その上位l個を「1」、それ以外を「0」とするデータ識別(ソート検出)を行った上で、該データ識別結果に基づきスパース符号の復号化を行うことになる。
なお、この説明からも理解されるように、本明細書において「並び替え」は、「順位付け」に相当する意味で用いているものであり、必ずしも実際のピクセルの並び替えを行うことを意味しているものではない。
このとき、図16によれば、j=1の初回の並び替え時において、LLR候補値の絶対値(EVA(j))は、「1」に設定することになる。そして、j=2回目以降で順位入れ替えを行ったときには、その並び替え回数jと対応づけられている計算式に従って、LLR候補値の絶対値(EVA(j))を計算することになる。
例えば、j=2の順位入れ替えを行った際には、予め定められた「s3−s4」による計算式に従ってEVA(j)を計算する。或いは、j=7の順位入れ替えを行った際には、予め定められた「s1−s4」の計算式に従ってEVA(j)を計算するものである。
〜並び替え優先順位〜

図16に示す第1の実施の形態としてのLLR計算手法は、大きく分けて2つの特徴を有している。
1つは、並び替えの優先順位である。
具体的に、本実施の形態では、

・並び替え後の上位l個のピクセルの初回順位付け時の順位の和の値がより小となる並び順(並び替えパターン)ほど優先して初期の並び順として採用されるようにして並び替えを行う

という手法を採るものとしている。
図16において、「並び替え回数(j)」の1つ右の欄には、上位3位の順位の和(M)の値を示している。なお確認のために述べておくと、本例ではl=3である。上記「M」は、「上位l個のピクセルの初回順位付け時の順位の和」と定義される値である。
このようにして本実施の形態では、Mの値が小さい並び順が優先されるようにして、各ピクセルの順位入れ替えを行うようにされている。換言すれば、Mの値が小である並び順ほど、jの値のより小さい初期の並び替え時点の並び順として採用されるようにしているものである。
但し、図からも明らかなように、Mの値が同値となる複数の並び順が存在する場合がある。このようにMの値が同値となる複数の並び順が存在する場合、それらの優先順位は、例えば以下のように設定することができる。

1)順位の入れ替えに伴って上位側に位置することになるピクセルの、初回並び替え時の順位(s)がより上位の並び順を優先させる。
2)順位の入れ替えに伴って上位側に位置することになるピクセルの、初回並び替え時の順位(s)がより下位の並び順を優先させる。

これら1)2)の何れの手法を採った場合にも、LDPC復号結果に本質的な変化は生じない。図16に示されているように、本例では上記2)の手法に従ってj回目並び替え時ごとの並び順を設定している。
〜LLR候補値の絶対値EVA(j)の計算手法〜

上記のような並び替え優先順位の特徴と並ぶもう1つの特徴は、LLR候補値の絶対値EVA(j)の計算手法である。
ここで、EVA(j)の計算手法を理解する上では、先ず、本実施の形態において当該EVA(j)がどのように用いられる値であるかを理解する必要がある。
先の図15を参照して説明した通り、本実施の形態では、スパース符号ブロック単位の読出信号rdに関して、その振幅順位付け→スパース復号化→振幅順位の入れ替え→スパース復号化・・・を繰り返し、順位入れ替えごとに、復号結果における値の反転したビットを特定するということが行われる。
確認のために述べておくと、図16は、このような繰り返し処理の過程において、j回目並び替え時における並び順と当該j回目並び替え時に計算されるべきEVA(j)の値との対応関係を表し(定義し)たものである。
このような前提を踏まえた上で、本実施の形態におけるLLR計算処理は、おおまかに以下のような手順で行われるものとなる。

1)j=1の初回並び替え時には、スパース符号の復号結果を得た上で、LDPC符号列(1〜k)の各ビットのLLR候補値の絶対値EVA(j)を、最小値としての例えば「1」に更新する。

2)j=2回目以降の並び替え時(順位入れ替え時)には、スパース符号の復号結果を得た上で、この最新の復号結果と、初回復号結果(対象とする1スパース符号ブロックの読出信号について初めて得られた復号結果)とを比較し、値が反転したビットを特定する。
このとき、値が反転したビットについては、そのLLRの値を、その時点(j回目)での更新値として保持されている(つまり最新の)LLR候補値の絶対値EVA(j)に基づく値に確定する。一方、値が反転しなかったビットについては、予め定められたj回目における計算式に従って、LLR候補値の絶対値EVA(j)を更新する。
このようにして、順位入れ替え、スパース符号の復号化、値の反転したビットの特定、値の反転したビットのLLRをその時点での更新値EVA(j)に基づく値に確定、値が反転しなかったビットのEVA(j)を予め定められた計算式に従った値に更新、という処理を繰り返して、各ビットのLLRの値を順次確定していく。
このとき、本実施の形態では、想定され得る全ての並び順への並び替えを行うということはせず、並び替え回数jに制限を加えるものとしている。具体的に本例の場合、先の図16に示されるように、並び替え回数はj=16までに制限するものとしている。
ここで、このように並び替え回数を或る値jMAXまでに制限した場合は、このjMAX回までの並び替えの繰り返しの間において、全てのビットの値が反転する保証はない。そこで本実施の形態では、j=jMAXまで並び替えを繰り返しても値が反転しなかったビットのLLRの値については、当該j=jMAX時点での更新値としてのEVA(j)に基づく値に確定する。
これにより、対象とするLDPC符号列(1〜k)の各ビットのLLRを計算(確定)することができる。
このようにして、並び替え回数jをj=jMAXまでに制限する、すなわち並び替えを或る回数で打ち切る手法とすることで、想定され得る全ての並び順への並び替えを行う場合と比較して処理負担の大幅な軽減を図ることができる。すなわち、LLR計算のための回路規模(LLR計算部20の回路規模)はより小とすることができる。
上記の説明からも理解されるように、本実施の形態で計算される「EVA(j)」としては、最終的なLLRの値を確定するにあたっての、その候補値として用いられるものである。
ここで確認のために述べておくと、LDPC復号処理にて用いられるLLR(λ(n))は、そのビット値に応じて正/負の符号を有する値となる。具体的に、「0」のビットについてのLLRは正、「1」のビットについてのLLRは負の値をとる。
このことに応じ、EVA(j)からLLRの値を確定するとき、実際には、

「(1−2×d(i))EVA(j)」

という演算が介在することになる。但し上式において、d(i)は、対象とするLDPC符号列の各ビット(i=1〜k番目)のうち、LLRの確定対象とするビットの値(0or1)を指す。
なお、このことからも理解されるように、EVA(j)は、絶対値として計算される値となる。
以上の前提を踏まえた上で、本実施の形態では、j回目の並び替えごとに計算(更新)すべきEVA(j)の値を、図16に示すようにして予め定めておくものとしている。
すなわち、先ずj=1の初回並び替え時のEVA(j)については、前述した通り「1」(最小値)に更新する。
ここで、j=1回目の初回並び替え時に対応して与えるEVA(j)の最小値は上記「1」に限定されるべきものではない。EVA(j)の最小値は、A/D変換のビット数に応じた「0」でない小さな値であればよい。
その上で、j=2回目以降の並び替え後に計算するEVA(j)については、

・予め定められた所要のピクセル間の振幅差に基づく値

として計算するものとしている。具体的には、

・順位の入れ替わったピクセル間の振幅差

を基本として計算するものとしている。
但し、先に説明した並び替え優先順位に従ってj回目ごとの並び順を割り振った場合は、図16に示されているように、並び替え回数が増してMの値が或る値に達したときに、順位入れ替え対象となったピクセル数が2つだけでなく4つとなる場合がある。例えば図の例では、M=10を満たす並び順は、「s6とs2を入れ替えるパターン」「s7とs3を入れ替えるパターン」「s5とs1を入れ替えるパターン」と共に、「s4とs2及びs5とs3を入れ替えるパターン」が存在する。
このように順位入れ替え対象となったピクセルが4つである場合には、EVA(j)は、

・入れ替えた4つのピクセルのうち、入れ替え後の順位が上位側となる2つのピクセルの振幅の和と、入れ替え後の順位が下位側となる2つのピクセルの振幅の和との差

として計算する。
上記より、第1の実施の形態においてEVA(j)は、

・順位の入れ替えの対象となったピクセル数が2つの場合には、それら順位の入れ替わったピクセル間の振幅差

として計算し、また、

・順位の入れ替えの対象となったピクセル数が4つの場合には、それら入れ替えた4つのピクセルのうち、入れ替え後の順位が上位側となる2つのピクセルの振幅の和と、入れ替え後の順位が下位側となる2つのピクセルの振幅の和との差

として計算するものである。
なお確認のために述べておくと、EVA(j)は絶対値である。図中では入れ替え対象のピクセルが2つである場合のEVA(j)計算式として、例えば「s3−s4」のように、順位が高い(振幅は大)のものから順位が低いもの(振幅は小)を減算しているが、もちろん、これを入れ替えて、順位が低いのものから順位が高いものを減算するようにもできる。
また、入れ替え対象のピクセル数が4つとなる場合、EVA(j)は、これら4つピクセルを上位側から順にss1、ss2、ss3、ss4とすると、
「(ss1+ss2)−(ss3+ss4)」
で計算することになるが、これは、
「(ss1−ss3)+(ss2−ss4)」
と等価であり、従ってこのような計算手法は、上述した「予め定められた所要のピクセル間の振幅差に基づく値」を計算する手法の範疇に含まれることは言うまでもない。
このようなEVA(j)の計算手法、及び上述した各ビットのLLRの確定手法によれば、「順位入れ替えによりすぐに値が反転するビットほどそのLLRが小となり、順位入れ替えによっても値が反転しないビットほどそのLLRが大となる」という条件が、ほぼ満たされるようにできる。
すなわち、これまでで説明したLLR計算手法によれば、記録変調符号としてバランス符号を用いるホログラム記録再生システムにおいて、読出信号rdから、LDPC符号列の各ビットのLLRを適正に計算することができる。
そして、このように各ビットのLLRを適正に計算できることで、該LLRと予め定められた検査行列Hとに基づき、LDPC符号の復号化を適正に行うことができる。
〜復号エラー発生時の対処〜

ところで、上記により説明したLLR計算手法では、スパース符号のデータ識別に、ソート検出の手法を採用している。先にも述べたように、ソート検出は、バランス符号についての簡便なデータ識別手法であり、処理負担の軽減や回路規模の縮小化を図る上で有用である。
但し、ソート検出は、単に振幅の大きいl個のピクセルを「1」、それ以外のピクセルを全て「0」と識別する手法であるため、符号語でない識別結果を出力する場合がある。すなわち、先の図4〜図10に示したようなスパース符号の復号化に用いられるテーブル内には存在しないブロックデータパターンが識別結果として得られてしまう可能性があり、その結果、スパース符号の復号化がエラーとなってしまう。
ここで、このようにソート検出の失敗に伴い復号エラーが生じたとき、読出信号rdの信頼性は低いと見積もることができる。特に、振幅順位の入れ替えが行われていない初回の並び替え時(つまりソート検出における「ソート」と同じ)から、スパース符号の復号化にエラーが生じた場合、読出信号rdの信頼性は非常に低いと見積もることができる。
先に説明したLLR計算手法において、各ビットのLLRを得るために計算されるEVA(j)の値は、読出信号rdの振幅値に基づき計算されるものである。従って読出信号rdの信頼性が低い場合においては、計算されるEVA(j)・LLRとしても、その信頼性が低いものとなってしまう。
このように信頼性の低いLLRがそのままLDPC復号処理に用いられた場合、LDPC復号処理における負担は増大化してしまう。具体的には、LDPC復号処理における繰り返し回数(パリティ検査がOKとなるまでに要するラウンド数)の増加を招くことになる。また場合によっては、LDPCの復号エラーを誘発することになる。
ここで、これまでで説明したLLR計算手法においては、このように読出信号rdの信頼性が低い場合について全く考慮されていない。
そこで本実施の形態では、先に説明したLLRの計算手法を基本として、さらに、以下のようなEVA(j)の調整処理を行うものとしている。
先ず、読出信号rdの信頼性を見積もるために、初回の並び替え時において、スパース符号の復号化がエラーとなったか否かを判別する。復号エラーが生じなかった場合は、先に説明した通り、j回目のEVA(j)計算式(j=1の場合は「1」)に従って、EVA(j)を更新する。
一方、初回並び替え時において復号エラーが生じた場合には、j=2以降の並び替え時(順位入れ替え時)に更新されるEVA(j)の値を小とするためのゲインg(オフセット:尤度比調整係数)を設定する。このような尤度比調整係数としてのゲインgの設定により、順位入れ替え時ごとに更新されるEVA(j)の値は、正常時(つまり初回並び替え時に復号エラーが生じず読出信号rdの信頼性が高いとされる場合)と比較して、より小となるように調整が行われる。
ここで、本実施の形態では、このようなゲインgに基づくEVA(j)の調整は、EVA(j)にゲインgの逆数を与えることで行うものとしている。すなわち、

「EVA(j)/g」

による演算を介在させて、EVA(j)の値の調整を行うものである。
なお、確認のために述べておくと、LLR候補値の絶対値としてのEVA(j)からLLRの値を確定する際には、先に述べた

「(1−2×d(i))EVA(j)」

の演算により、EVA(j)に対して対象とするビットの値「0」又は「1」に応じた正又は負の符号が付される。この点を踏まえると、上記のようなゲインgによる調整を行う場合において、LLRの確定値は、

「(1−2×d(i))EVA(j)/g」

で表される値となる。
また、本実施の形態では、初回並び替え時にのみ復号エラーの発生有無を判別するのではなく、初回並び替え後以降の並び替え時においても引き続き復号エラーの発生有無を判別し、初回並び替え時から以降の並び替え時にかけて連続して復号エラーが発生する場合には、上記ゲインgによるEVA(j)のオフセット量(小とする量)がより大きくなるように設定を行うものとしている。
具体的には、初回並び替え時から連続して復号エラーが発生するごとに、上記ゲインgの値をインクリメントするというものである。
以上のように本実施の形態では、初回並び替え時にスパース符号の復号エラーが検出され、読出信号rdの信頼性が低いとされる場合に対応して、以降の並び替え時において計算されるEVA(j)の値が正常時よりも小となるように調整を行うものとしている。
このように読出信号rdの信頼性が低い場合においてLLRの値を小さくする手法とすることで、読出信号rdの信頼性に関わらず通常通り計算したLLRをそのまま用いる場合と比較すれば、後段のLDPC復号処理における負担を軽減することができる。すなわち、LDPC復号処理における繰り返し回数(平均値)の削減を図ることができる。さらには、LDPC復号エラーの抑制(再生性能の向上)も図ることができる。
ここで、初回の復号時に復号エラーが発生した場合には、その読出信号は全く信頼性に欠け使用する価値の無いものであるとみなして、以降の繰り返し更新処理は行わずに各ビットのLLRの値を全て「0」で確定する(つまりLLRの計算を諦める)という手法を採ることも考えられる。しかしながら、このような手法を採った場合、適正なLDPC復号結果が得られない可能性が高いことは明らかである。
これに対し、上記による本実施の形態の手法によれば、読出信号rdの信頼性が低い場合においても、LLR候補値としてのEVA(j)を調整しつつ、実際に得られた振幅値に基づく一応のEVA(j)が計算されるようにできる。この点で、上記のようにLLRの計算を諦める場合よりも、より信頼性の高いLLRとすることができる。
このように本実施の形態の手法は、復号エラーの発生に応じてLLRの値を全て「0」にする手法との比較でも、LDPC復号処理における繰り返し回数の削減、さらにはLDPC復号エラーの抑制を図ることができる。
また、本実施の形態では、初回ソート以降も連続して復号エラーの発生有無を判別するものとし、初回以降も連続して復号エラーが生じるごとに、計算されるEVA(j)の値のオフセット量がより大となるようにゲインgの値を再設定するものとしている。これによれば、読出信号rdの信頼性の低さに応じて段階的にEVA(j)のオフセット量の調整を行うことができ、読出信号rdの信頼性の低さに応じたより高精度なオフセット量の調整をすることができる。
これにより、LDPCの繰り返し回数のさらなる削減や、LDPC復号エラーのさらなる抑制を図ることができる。
ここで確認のために述べておくと、LDPCの繰り返し回数を削減できれば、LDPC復号処理部22の回路規模の縮小化を図ることができる。
また、本実施の形態では、EVA(j)にゲインgの逆数を与えることで、EVA(j)の値をオフセットさせるものとしている。
このようにゲインgの逆数を与えるものとしていることで、オフセット量の調整は、ゲインgの値をインクリメントすることで実現することができ、その分、オフセット量を調整するための回路構成は簡略化することができる。
[1-5.処理手順]

図17のフローチャートを参照して、上記により説明した第1の実施の形態としてのLLR計算手法を実現するために行われるべき処理の手順について説明する。
確認のために述べておくと、この図17に示す一連の処理は、先の図13のステップS102の処理として、図12に示したLLR計算部20が行うものである。
また、先の図13の説明からも理解されるように、この図17に示すLLR計算処理は、NO.pのスパース符号ブロックの読出信号rdから、これに対応するNO.qのkビット単位のユニットにおける各ビットのLLRを求める処理となる。
図17において、先ずステップS301では、並び替え回数j、各ビットのLLR候補値の絶対値(EVA(j))、各ビットのLLRの確定Flag、及びゲインgの各値を初期化する。すなわち、j←1、EVA(j)←All「0」、確定Flag←All「0」、ゲインg←1にそれぞれ設定する。
ここで、上記「各ビットのLLRの確定Flag」は、kビット単位のユニット内における各ビットごとに、そのLLRの値が確定したか否かを判別するためのFlagであり、確定Flag=0は未確定、Flag=1は確定を表す。図示するように確定Flagは、後述するステップS317においてLLRの確定と共にFlag=1に設定されることになる。
続くステップS302においては、NO.pのスパース符号ブロックの読出信号を振幅順に並び替えする。先の図16の説明からも理解されるように、初回の並び替え時には、対象とするNO.pのスパース符号ブロックの各ピクセルの振幅値(読出信号rd)を、通常の「ソート検出」と同様に振幅の大きい順に並べ替える(順位付けする)ことになる。
そして、次のステップS303では、スパース符号の復号処理として、上記ステップS302で各ピクセルに与えられた順位に従ったデータ識別(ソート検出)、及び該データ識別結果に基づくスパース符号の復号化を行う。すなわち、上記ステップS302でソートされた各ピクセルについて、振幅の大きい上位l個のピクセルのビット値を「1」、それ以外のピクセルのビット値を「0」とするデータ識別を行うと共に、該データ識別で確定したブロックデータパターンと、先の図12に示したスパース符号復号用テーブル21とに基づき、スパース符号の復号化を行う。
続くステップS304では、復号エラー発生有無についての判別処理として、上記ステップS303による復号化がエラーとなったか否かを判別する。
このステップS304において、復号エラーが発生したとして肯定結果が得られた場合は、ステップS309に進み、ゲインgの値をインクリメント(g←g+1)した後、後述するステップS310に処理を進める。
このようなステップS304→S309の処理により、初回並び替え時に復号エラーが生じた場合、及び初回並び替え以降の並び替え時にかけて連続して復号エラーが生じるごとに、ゲインgの値をインクリメントすることができる。
一方、上記ステップS304において、復号エラーが発生していないとして否定結果が得られた場合は、ステップS305に進み、j=1であるか否か、すなわち初回並び替え時であるか否かを判別する。このステップS305において、j=1であるとして肯定結果が得られた場合は、ステップS306において、各ビットのEVA(j)を「1」(最小値)に更新した後、後述するステップS310に処理を進める。
また、上記ステップS305において、j=1ではないとして否定結果が得られた場合は、ステップS307に進み、予め定められたj回目並び替え時のEVA(j)計算式に従ってEVA(j)を計算する。すなわち、図16に示したようにしてj回目並び替え時に対応して予め定められた計算式に従って、各ビット(i=1〜k)のEVA(j)を計算するものである。
続くステップS308では、計算したEVA(j)とゲインgとに基づき、各ビットのLLR候補値を「EVA(j)/g」に更新する。
ここで、上記により説明したステップS304→S305→S307→S308の処理は、初回並び替え後以降の並び替え時において初めてスパース復号化に成功したときに、EVA(j)を計算しLLR候補値を更新する処理となる。
続いて、ステップS310では、確定Flagの合計値=8、又はj=jMAXの何れかの条件が満たされたか否かを判別する。すなわち、i=1〜kの各ビットのLLRが全て確定した、又は並び替え回数が上限値jMAXとなった、の何れかの条件が満たされたか否かを判別するものである。
図示するようにして、これら何れかの条件が満たされているとして肯定結果が得られた場合は、ステップS102としてのLLR計算処理は終了となる。すなわち、NO.qのユニットにおける各ビットのLLR(λ(i))についての計算処理は終了となる。
一方、上記2つの条件の何れも満たされていないとして否定結果が得られた場合は、ステップS311に進み、jの値をインクリメント(j←j+1)する。
そして、次のステップS312において、予め定められたj回目の並び順に従って読出信号(各ピクセルの読出信号rd)を並び替えた上で、ステップS313において、スパース符号の復号化を行う。
続くステップS314では、各ビットのLLR候補値の合計=0であるか否かを判別する。すなわち、i=1〜kの各ビットのLLR候補値が初期値の「0」から全く更新されていない状態であるか否かを判別することに相当する。
ここで、各ビットのLLR候補値が初期値の「0」から全く更新されていないということは、未だスパース符号の復号化に成功していない状態であることを表す。
ステップS314において、各ビットのLLRの合計=0である(スパース符号の復号化に1度も成功していない)とされた場合は、先に説明したステップS304に進む。
このようにステップS314で肯定結果が得られた場合にステップS304に至るようにされていることで、先に述べたステップS304→S309の処理により、初回並び替え時に復号エラーが生じた場合、及び初回並び替え時から連続して復号エラーが生じるごとに、ゲインgの値をインクリメントすることができる。
また、ステップS304において、各ビットのLLR候補値の合計=0ではない(つまりスパース符号の復号化に成功してS306やS308にて既に候補値が更新されている)として否定結果が得られた場合は、ステップS315に進む。
ステップS315からステップS319にかけての処理は、上記のように既にスパース符号の復号化に成功して初回の復号結果が得られており、且つ、その後にステップS311においてjの値がインクリメントされて次の並び順についてのスパース復号化(S312・S313)が試みられた後において実行される処理となる。
ステップS315では、復号エラーが発生したか否かを判別する。すなわち、ステップS313で行ったスパース符号の復号化がエラーとなったか否かを判別するものである。
ステップS315において、復号エラーが発生したとして肯定結果が得られた場合は、図示するようにして先に説明したステップS310に戻ることになる。
ここで、このように1度スパース符号の復号化に成功した後において再度復号エラーが検出されたことに応じては、そのままステップS310に戻ることになる。すなわち、先のステップS304の場合(初回並び替え時に復号エラーが生じた場合、及び初回並び替え時から連続して復号エラーが生じている場合)とは異なり、ステップS309によるゲインgのインクリメントは行われないものとなる。
つまりこのことからも理解されるように、本実施の形態では、初回の並び替え時に復号エラーとならない限りは、尤度比調整係数によるLLR候補値の調整は行われないものである。
また上記ステップS315において、復号エラーは発生していないとして否定結果が得られた場合は、ステップS316に進み、初回復号結果とj回目並び替え時復号結果とで値が反転したビットを特定する。
その上で、次のステップS307において、値が反転したビットで且つ確定Flagが0のビットについて、
・そのLLRを現在の候補値に基づき確定
・その確定Flagを1に変更
する処理を行う。
ここで、LLRの確定については、上記「値が反転したビットで且つ確定Flagが0のビット」をビットdiとすると、該ビットdiの現在のLLR候補値(EVA(j)/g)に対して、該ビットdiのビット値であるd(i)を用いて、
LLR候補値×(1−2×d(i))
を計算してこれを上記ビットdiのLLRとして確定する。
続くステップS318では、予め定められたj回目並び替え時のEVA(j)計算式に従ってEVA(j)を計算する。
そして、次のステップS319において、計算したEVA(j)とゲインgとに基づき、各ビットのLLR候補値を「EVA(j)/g」に更新する。
このステップS319の処理を実行した後、先のステップS310に戻ることになる。
[1-6.シミュレーション結果]

上記により説明した第1の実施の形態としてLLR計算手法の有効性を実証すべく、bER(ビットエラーレート)とLDPC復号処理の繰り返し回数についてのシミュレーションを行った。その結果を次の図18に示す。
図18において、図18(a)はbERについてのシミュレーション結果を示し、図18(b)はLDPC復号処理における繰り返し回数についてのシミュレーション結果を示している。
具体的に、図18(a)は、ノイズとして白色ガウス雑音を徐々に付加していったときのbERの変化をシミュレーションした結果であり、横軸にSNR、縦軸にbERをとる。また図18(b)は、同様に白色ガウス雑音を徐々に付加していったときの繰り返し回数の変化をシミュレーションした結果であり、横軸がSNR、縦軸が繰り返し回数である。
ここで繰り返し回数は、13個のLDPCブロックについての復号処理を行った際の平均値である。
なお、これら図18(a)(b)の共通事項として、本実施の形態についてのシミュレーション結果は、図中の「LDPC variable gain」としての、実線と白抜き丸印との組合せで示している。
また図18では比較として、
・「LDPC no retry」・・・復号エラー発生時はLLRを「0」に確定する手法(破線と×印との組合せ)
・「LDPC fixed gain」・・・ゲインgを「1」で固定する手法(実線と△印との組合せ)
についてのシミュレーション結果も併せて示している。
また、特に図18(a)においては参考として、図中の「SORT」(実線と黒丸)により、ソート検出を用いたスパース符号の復号結果についてのbERも併せて示している。
なおシミュレーションにおいて、スパース符号化のパラメータはE(16,3,8)とした。また、LDPC符号については、符号長4947、検査符号数2497で、列重みが3、行重みが6のレギュラー符号をLDPCとして用いてパリティを計算した。
先ず図18(a)において、LDPCによる誤り訂正をしていない「SORT」では、SNRが12.5dBまでエラーが残るのに対し、LDPCによる誤り訂正を行う本例(「LDPC variable gain」)、及び「LDPC no retry」「LDPC fixed gain」では、SNR>7.0dBでエラーが無くなっており、LDPCよる効果が顕著に表れている。
また、図18(a)において、本例と「LDPC no retry」とを比較すると、エラーフリーとなるSNRは本例の場合は7.0dB程度、「LDPC no retry」の場合は9.5dB程度であり、bERの面では、明らかに本例の方が優れていることが分かる。
また、図18(a)において、本例と「LDPC fixed gain」とを比較すると、再生性能は本例の方がごく僅かながら優れていることが確認できる。但しこの場合、エラーフリーとなるSNRという意味では、両者とも7.0dB程度でほぼ同じとなっている。
この図18(a)の結果より、本例のように復号エラー発生時にLLR候補値を調整する手法を採るものとすれば、bER(再生性能)の面で有利となることが分かる。
また、図18(b)の繰り返し回数に関しては、先ず本例と「LDPC fixed gain」とを比較すると、本例の方が僅かに少ない傾向となることが確認できる。特に、エラーフリーとなるSNR=7.0dB近傍では、本例の方が繰り返し回数が少なくなっている。
また、「LDPC no retry」との比較では、本例の方が明らかに繰り返し回数が少ないことが確認できる。
この図18(b)の結果より、繰り返し回数の面でも、本例は「LDPC fixed gain」「LDPC no retry」の両手法と比較して最も優れたものであることが理解できる。
<2.第2の実施の形態>
[2-1.第2の実施の形態としてのLLR計算手法]

続いて、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態のLLR計算手法を部分的に変更したものである。具体的には、予め定められたj回目におけるEVA(j)の計算式を、第1の実施の形態の場合とは異なるものにするものである。
なお、第2の実施の形態において、記録再生装置やデータ再生部17の内部構成については第1の実施の形態の場合と同様となるので、ここでの説明は省略する。
図19は、第2の実施の形態としてのLLRの具体的な計算手法について説明するための図として、先の図16と同様に、並び替え回数j、上位l位の順位の和M、並び替え後の順番、及びj回目並び替え時でのLLR候補値の絶対値EVA(j)の対応関係を示している。
この図19と先の図16とを対比して分かるように、「並び替え回数j」ごとの「並び替え後の順番」は、この場合も第1の実施の形態と同様である。すなわち、各並び替え時における並び順については第1の実施の形態からの変更はない。
第1の実施の形態との相違点は、各並び替え時に計算するEVA(j)の値である。
第2の実施の形態において、先ずj=1の初回並び替え時のEVA(j)については、図中に「s3−s4」と表記されているように、振幅順位がl番目とl+1番目のピクセル間の振幅差を計算する。すなわち、スパース符号の読出信号rdにおけるビット「1」と「0」との境界の振幅差を計算するものである。
そして、j=2以降、jmax=16までの各並び替え時のEVA(j)については、基本的には、

・順位入れ替えの対象となった各ピクセルのうち、順位の入れ替えにより最も上位側に位置したピクセルとその1つ上位のピクセルとの振幅差と、最も下位側に位置したピクセルとその1つ下位のピクセルとの振幅差のうち、小さいの方の振幅差

を計算するものとしている。ここで、図中における「min(A,B)」の表記は、AとBのうち小さい方を選択することを意味している。
例えばj=2のとき、「順位入れ替えの対象となった各ピクセルのうち、順位の入れ替えにより最も上位側に位置したピクセル」はs4のピクセルである。また「最も下位側に位置したピクセル」はs3のピクセルである。従ってj=2回目の並び替え時におけるEVA(j)は、図のように「min(s2−s4,s3−s5)」となる。
或いは、j=9のとき、「順位入れ替えの対象となった各ピクセルのうち、順位の入れ替えにより最も上位側に位置したピクセル」はs6のピクセルであり、「最も下位側に位置したピクセル」はs2のピクセルである。従ってj=9回目の並び替え時におけるEVA(j)は、図のように「min(s1−s6,s2−s7)」となる。
ここで、第2の実施の形態のEVA(j)の計算手法は、基本的には以下のような考えに基づく。
すなわち、「順位入れ替えの対象となった各ピクセルのうち、順位入れ替えにより最も上位側に位置したピクセル」と「その1つ上位のピクセル」との振幅差と、「順位入れ替えの対象となった各ピクセルのうち、順位入れ替えにより最も下位側に位置したピクセル」と「その1つ下位のピクセル」との振幅差のうち、小さい方がビット「0」と「1」との間の振幅マージンとみなすことができるという考えである。
例えば最も分かりやすい例として、s3とs4とを入れ替えるj=2回目の並び替え時について考えてみると、これらs3とs4を入れ替えた結果が復号エラーでない場合には、「s2−s4」「s3−s5」のうちの小さい方が、ビット「0」と「1」の間の振幅マージンに相当することが理解できる。
第2の実施の形態では、このようなビット「0」と「1」の間の振幅マージンをLLRに反映させるものとして、各並び替え時におけるEVA(j)の計算式を定めているものである。
但し、図19を参照すると、上記により定義した第2の実施の形態のEVA(j)計算式は、全ての並び順については適用できないことが分かる。具体的には、

・入れ替え対象のピクセルが最上位に位置してしまった場合
→j=7,10,14・・・case1とする
・4つのピクセルが入れ替わる場合において、初回順位が上位側である2つのピクセルと下位側である2つのピクセルとの順位関係が入れ替わってしまった場合
→j=11,15,16・・・case2とする

である。
第2の実施の形態において、上記case1については、

・初回順位が最上位であったピクセルと、順位入れ替え後において上記初回順位が最上位であったピクセルの1つ下位となったピクセルとの振幅差

をEVA(j)とする。例えばj=7の場合には、図示するように「s1−s5」がEVA(j)の計算式となる。
また、case2については、上記した第2の実施の形態のEVA(j)計算の基本的な考え方、すなわち入れ替えた境界の振幅差を用いるという考え方に基づき、

・j=11→「min(s1−s4,s3−s6)」
・j=15→「s1−s6」
・j=16→「s1−s6」

としている。
第2の実施の形態では、以上のようにして定められたEVA(j)計算手法に従ってj回目並び替え時ごとのEVA(j)を計算する。
上記のようなEVA(j)の計算手法とすることで、ビット「0」「1」の振幅マージンを概ね反映したLLRを得ることができる。このことで、記録変調符号としてバランス符号を用いるホログラム記録再生システムにおいて、読出信号rdから、LDPC符号列の各ビットのLLRを適正に計算することができる。すなわち、LDPC符号の復号化を適正に行うことができる。
なお、上記のような第2の実施の形態としてのLLR候補値(絶対値)計算手法としても、前述した「予め定められた所要のピクセル間の振幅差に基づく値」を計算する手法の範疇に含まれることは言うまでもない。
[2-2.処理手順]

図20のフローチャートは、第2の実施の形態としてのLLR計算手法を実現するための処理の手順を示している。
なお確認のために述べておくと、第2の実施の形態においても、LLRの計算は、図12に示したLLR計算部20が行うものである。すなわちこの図20としても、図13に示したLLR計算処理におけるステップS102の処理として行われるべき具体的な処理内容を示すものである。
この図20と先の図17とを比較して分かるように、第2の実施の形態におけるLLR計算の手順自体は、基本的には、第1の実施の形態の場合とほぼ同様となる。ここで、図20においては図17の場合と同様となる処理について同一のステップ番号を付している。
第1の実施の形態の場合からの相違点は、先ず、図17におけるステップS305とS306の処理が省略されている点である。すなわち第2の実施の形態においては、j=1回目の初回並び替え時にEVA(j)を最小値(例えば「1」)に設定する処理は不要となる。
第2の実施の形態の場合、j=1の初回並び替え時におけるEVA(1)=s3−s4は、ステップS307における「予め定められたj回目並び替え時のEVA(j)計算式」に基づき計算されることになる。
ここで、このことからも理解されるように、第2の実施の形態の場合のLLR計算処理では、上記ステップS307と共に、ステップS318における「予め定められたj回目並び替え時のEVA(j)計算式」が、第1の実施の形態の場合とは異なるものとなる。
すなわち第2の実施の形態では、j回目並び替え時とそのEVA(j)計算式と対応関係が、先の図16に示したものではなく図19に示したものに変更されればよく、その処理の手順自体は、上記のようにステップS305・S306が省略されることを除けば、先の図17にて説明したものと同様となるものである。
[2-3.シミュレーション結果]

図21は、第2の実施の形態のLLR計算手法の有効性を実証するためのシミュレーション結果として、先の図18と同様に、SNR(ノイズ付加)に対するbERの特性(図21(a))とLDPC復号処理の繰り返し回数の特性(図21(b))についてのシミュレーション結果を示している。
この場合も、bER(図21(a))については、本例(第2の実施の形態:図中では「LDPC variable gain」)についての結果と共に、
・「SORT」・・・ソート検出を用いたスパース符号の復号結果
・「LDPC no retry」・・・復号エラー発生時はLLRを「0」に確定する手法
・「LDPC fixed gain」・・・ゲインgを「1」で固定する手法
また、図21(b)の繰り返し回数については、本例(「LDPC variable gain」)の結果と共に上記「LDPC no retry」「LDPC fixed gain」の結果を併せて示している。
なお、この場合もシミュレーションにおいて設定した条件は図18の場合と同様とである。
先ず図21(a)において、この場合もLDPCによる誤り訂正をしていない「SORT」とLDPCによる誤り訂正を行う本例・「LDPC no retry」・「LDPC fixed gain」との比較では、エラーフリーとなるSNRに大きな差があり(「SORT」はSNR=12.5dB程度、他はSNR>7.0dB)、LDPCよる効果が顕著に表れている。
すなわち、各並び替え時におけるEVA(j)の計算手法を上述した第2の実施の形態としての計算手法に変更した場合にも、LDPCによる効果は第1の実施の形態の場合と同様に顕著となる。
また、本例と「LDPC no retry」とを比較すると、エラーフリーとなるSNRは本例の場合は7.0dB程度、「LDPC no retry」の場合は9.5dB程度であり、従って「LDPC no retry」との比較では、第2の実施の形態の場合においても、bERの面では明らかに優れていることが分かる。この結果からも、本発明のように復号エラー発生時にLLR候補値を調整する手法を採る場合の方が、復号エラーの発生に応じてLLR計算を諦める手法とする場合よりも、bER(再生性能)の面で明らかに有利であることが実証されている。
また、図21(a)において、本例と「LDPC fixed gain」とを比較すると、この場合も再生性能は本例の方がごく僅かながら優れていることが確認できる。但し、エラーフリーとなるSNRという意味では両者とも7.0dB程度でほぼ同じである。
また、図21(b)の繰り返し回数に関しては、先ず、本例と「LDPC no retry」とを比較すると、本例の方が明らかに少ない回数となっていることが確認できる。特に、エラーフリーとなるSNR=7.0dB近傍において、「LDPC no retry」の繰り返し回数は7回であるのに対し、本例の繰り返し回数は4回に収まっている。
また、「LDPC fixed gain」との比較でも、本例の方が繰り返し回数が若干少なくなっていることが確認できる。
この図21(b)の結果より、本発明のように復号エラー発生時にLLR候補値を調整する手法を採るものとすれば、復号エラー発生時にLLR計算を諦める手法や復号エラーが発生しても通常通りのLLR候補値を計算する手法を採る場合よりも、繰り返し回数を少なくできることが分かる。
<3.変形例>

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えば、これまでの説明で例示したLLR計算に係る各種のパラメータ(スパース符号化パラメータであるE(m,l,k)、並び替え上限回数jMaxなど)は、あくまで一例を示したものに過ぎず、例示したものに限定されるべきものではない。
また、図1に示した記録再生装置の構成(特に光学ピックアップ内における光学系の構成)についてもこれに限定されるべきものではなく、例えば反射膜を有さない透過型のホログラム記録媒体に対応した光学系を採用するなど、実際の実施形態に応じて適宜構成の変更は可能である。
また、これまでの説明では、説明の簡単のため、記録データがそのままLDPC符号化され、それにより得られたLDPC符号列がそのままスパース符号化される場合を例示した。すなわち、記録データに対する処理がLDPC符号化処理とスパース符号化処理のみとされる場合を例示したものである。
しかし実際においては、記録データに対する処理としてこれらLDPC符号化処理・スパース符号化処理以外の処理を介在させることが考えられる。
例えば、LDPC符号による誤り訂正処理と共にリードソロモン符号による誤り訂正処理を行うものとして、次の図22に示されるようにして、リードソロモン符号化/復号化のための構成を付加するといったことができる。
図22(a)は、このようにリードソロモン符号化/復号化を行うとした場合における記録処理系の構成を、また図22(b)は再生処理系の構成(データ再生部17の内部構成)を示している。
図22(a)に示すように、この場合の記録処理系では、記録データに対してリードソロモン符号化を施すリードソロモン符号化部30が追加される。この場合、LDPC符号化部14は、リードソロモン符号化部30から出力されるリードソロモン符号に対してLDPC符号化を施すことになる。
また図22(b)において、この場合の再生処理系では、LDPC復号処理部22の復号結果(つまりリードソロモン符号列)に対し、リードソロモン符号の復号化を行うリードソロモン復号化部31が追加されることになる。このリードソロモン復号化部31による復号結果が、上記記録データについての再生データとなる。
また、このように別途の誤り訂正処理を追加する以外にも、例えばインターリーブ/デインターリーブ処理を介在させることもできる。
図23は、インターリーブ処理の一例としてページ内のインターリーブ処理を行うとした場合に対応した記録処理系の構成(図23(a))、及び再生処理系の構成(図23(b))を示している。
ここで、ページ内インターリーブの目的は、本来であれば1ホログラムページ内においてマッピングのルールに従って順番に配列されるデータを、ページ内において分散させることにある。具体的に、ページ内インターリーブとしては、例えば次の図24に示すような手法で行うことができる。
先ず前提として、図24に「LDPC符号化部の出力」として示す#0〜#9の計10個のLDPCブロックは、同じホログラムページ内に配列されるデータであるとする。すなわちこの場合において、1ホログラムページ内に配列可能なデータ量は、10LDPCブロック分であるものとしている。
ページ内インターリーブとしては、このように1ホログラムページ分に対応するy個のLDPCブロック(#0〜#y-1)から、先ずはそれぞれの先頭に位置するビットD0を#0〜#y-1から抽出して順番に並べる。そして、#0〜#y-1の全てのブロックにおけるD0を並べた後に続けて、D0の次に位置するD1を同様に#0〜#y-1から抽出して順番に並べ、さらにこれに続けて次のD2を同様に#0〜#y-1の順で並べるといったことを、各ブロックの最後のビットであるDx-1まで続ける。これにより、LDPC符号列の各ビットをページ内において分散させることができる。
なお、ここで例示したページ内インターリーブの手法はあくまで一例であり、例えばビットの並び替えの順序をD0〜Dx-1の順以外にするなど、インターリーブの手法自体は他の手法を採ることもできる。
図23に戻り、この場合の記録処理系としては、図23(a)に示すように、記録データがリードソロモン符号化部30→LDPC符号化部14を経て、ページ内インターリーブ部40に入力される。このページ内インターリーブ部40が、上記LDPC符号化部14から出力されるLDPC符号列に対し、上記により説明したページ内インターリーブ処理を施す。図示するようにページ内インターリーブ部40の出力はスパース符号化部15に供給され、スパース符号化が施される。
また、図23(b)において、この場合の再生処理系では、図示するようにLLR計算部20による出力(各ビットのLLR)が、ページ内デインターリーブ部41に入力される。ページ内デインターリーブ部41は、先の図24に示したようなページ内インターリーブのルールに従って、LLR計算部20から入力されるLLRの並び替えを行う。これにより、各ビットのLLRを、インターリーブ前の元のビットの並びに従った適正な順序に並び替えることができる。
ページ内デインターリーブ部41により並び替えられたLLRは、LDPC復号処理部22に入力され、これによりLDPC符号の復号化が行われる。図示するようにLDPC復号処理部22による復号結果に対しては、リードソロモン復号化部31による復号化処理が施され、これにより再生データが得られる。
なお、この図23では一例として、リードソロモン符号化/復号化を併せて行う場合を例示したが、この場合において、リードソロモン符号化/復号化は必須でないことは言うまでもない。
また、インターリーブとしては、ページ内ではなくページ間で行うこともできる。
ページ間のインターリーブ処理は、先のページ内のインターリーブ処理と同様の要領で、データをホログラムページ間に分散させるようにして行うものである。
図25は、ページ間インターリーブ処理を行うとした場合の記録処理系の構成(図25(a))、及び再生処理系の構成(図25(b))を示している。
図25(a)において、この場合はリードソロモン符号化部30により得られるリードソロモン符号列に対し、ページ間インターリーブ部50がページ間インターリーブ処理を施す。そして、このようにページ間インターリーブ処理で並び替えられたリードソロモン符号列に対し、LDPC符号化部14によるLDPC符号化が施される。
また図25(b)において、この場合の再生処理系においては、LDPC復号処理部22による復号結果に対して、ページ間デインターリーブ部51によるページ間デインターリーブ処理(ページ間インターリーブ前の元のデータ配列順への並び替え)が行われる。このようにページ間デインターリーブ処理の施されたデータ列に対し、リードソロモン復号化部31によるリードソロモン復号処理が施され、これにより再生データが得られる。
なお、ここではインターリーブ処理としてページ間インターリーブ処理のみを行う場合を例示したが、勿論、先に説明したページ内インターリーブ処理を併せて行うようにすることもできる。
また、ページ間インターリーブ処理をリードソロモン符号化の前に行い、これに伴いページ間デインターリーブ処理をリードソロモン復号化の後に行うようにすることもできる。
なおこの場合もリードソロモン符号化/復号化処理は必須でないことは言うまでもない。
また、これまでの説明では、本発明がホログラム記録再生システムに適用される場合を例示したが、本発明としては、例えば2次元バーコードの読み取りシステムなど、チャネルデータが2次元配列とされる場合に広く好適に適用することができる。但し、記録変調符号にバランス符号が用いられる場合に限る。
1 レーザダイオード(LD)、2 コリメーションレンズ、3,5 偏光ビームスプリッタ、4 SLM(空間光変調器)、6,7 リレーレンズ、8 ミラー、9 部分回折素子、10 1/4波長板、11 対物レンズ、12 アパーチャー、13 イメージセンサ、14 LDPC符号化部、15 スパース符号化部、16 変調制御部、17 データ再生部、20 LLR計算部、21 スパース符号復号用テーブル、22 LDPC復号処理部、30 リードソロモン符号化部、31 リードソロモン復号化部、40 ページ内インターリーブ部、41 ページ内デインターリーブ部、50 ページ間インターリーブ部、51 ページ間デインターリーブ部

Claims (13)

  1. データ列が少なくともLDPC符号化後にバランス符号化され、該バランス符号化されたデータが記録された記録媒体に対し、上記データを再生するための光を照射する光照射部と、
    撮像素子を備え、上記光照射部による光照射に応じて上記記録媒体から得られる再生光を受光する再生光受光部と、
    上記再生光受光部により得られる上記再生光についての受光信号に基づき、LDPC符号の各ビットごとの対数尤度比を求め、該対数尤度比を用いてLDPC復号アルゴリズムに従った復号処理を行うことで上記データ列を再生するデータ再生部と
    を備える共に、
    上記データ再生部は、
    上記再生光受光部により得られるバランス符号ブロック単位の上記受光信号について、振幅値が大きい順に各ピクセルを順位付けし、上位l個のピクセルのビット値を「1」、それ以外のピクセルのビット値を「0」とするデータ識別を行ってバランス符号の復号化を行う初回バランス符号復号処理を行った上で、
    予め定められた規則に従って所要のピクセルの順位を入れ替え、該入れ替え後の上位l個のピクセルのビット値を「1」、それ以外のピクセルのビット値を「0」とするデータ識別を行ってバランス符号の復号化を行う並び替え後バランス符号復号処理と、
    上記初回バランス符号復号処理の開始以降で初回に得られた初回バランス符号復号結果と、最新の上記並び替え後バランス符号復号処理によって得られた最新並び替え後バランス符号復号結果とで、ビット値が反転したビットを特定する反転ビット特定処理と、
    上記反転ビット特定処理の結果ビット値が反転していないことが判明したビットについては、その対数尤度比の候補値を、予め定められた所要のピクセル間の振幅差に基づく値に更新する候補値更新処理と、
    上記反転ビット特定処理によってビット値が反転したと特定されたビットについて、その対数尤度比を、最新の上記候補値更新処理で更新された対数尤度比の候補値に基づき確定する対数尤度比確定処理と、
    を所定回数だけ繰り返して行う順位並び替え・対数尤度比繰り返し更新/確定処理を行って、上記LDPC符号の各ビットごとの対数尤度比を求めるにあたって、
    上記初回バランス符号復号処理におけるバランス符号の復号化が復号エラーとなったか否かを判別する判別処理と、
    上記判別処理の結果、上記初回バランス符号復号処理が復号エラーとなったとされた場合に、上記候補値更新処理が更新する上記対数尤度比の候補値の値を小さくするための尤度比調整係数を設定する尤度比調整係数設定処理とを実行すると共に、
    上記候補値更新処理は、上記対数尤度比の候補値を、上記尤度比調整係数に基づいて調整された値に更新する
    再生装置。
  2. 上記判別処理は、
    上記初回バランス符号復号処理の後の並び替え後バランス符号復号処理についても、バランス符号の復号化が復号エラーとなったか否かを判別し、
    上記尤度比調整係数設定処理は、
    上記判別処理の結果、上記初回バランス符号復号処理の以降も引き続き復号エラーが発生したとされた場合は、復号エラーの発生ごとに、上記対数尤度比の候補値をより小とするための上記尤度比調整係数を再設定する
    請求項1に記載の再生装置。
  3. 上記尤度比調整係数設定処理は、
    上記初回バランス符号復号処理の以降も引き続き復号エラーが発生したとされた場合は、復号エラーの発生ごとに、上記尤度比調整係数の値をインクリメントし、
    上記候補値更新処理は、上記尤度比調整係数の逆数を乗じる演算を行うことで、上記対数尤度比の候補値を上記尤度比調整係数に基づいて調整された値に更新する
    請求項2に記載の再生装置。
  4. 上記並び替え後バランス符号復号処理によって順次行われる順位の入れ替えは、順位の入れ替え後の上位l個のピクセルの初回順位付け時の順位の和の値がより小となるピクセルの並び順ほど優先して初期の並び順として採用されるようにして行われる
    請求項1に記載の再生装置。
  5. 上記順位の入れ替えは、
    上記順位の入れ替え後の上位l個のピクセルの初回順位付け時の順位の和の値が同値となる複数のピクセル並び順が存在する場合においては、初回順位付け時の順位がより上位のピクセルが並び替え対象のピクセルとなっている並び順をより初期の並び順として採用するようにして行われる
    請求項4に記載の再生装置。
  6. 上記順位の入れ替えは、
    上記順位の入れ替え後の上位l個のピクセルの初回順位付け時の順位の和の値が同値となる複数のピクセル並び順が存在する場合においては、初回順位付け時の順位がより下位のピクセルが並び替え対象のピクセルとなっている並び順をより初期の並び順として採用するようにして行われる
    請求項4に記載の再生装置。
  7. 上記候補値更新処理は、
    順位入れ替えの対象となったピクセル数が2つの場合には、それら順位の入れ替わったピクセル間の振幅差を計算し、その計算値に基づき上記対数尤度比の候補値を更新し、順位入れ替えの対象となったピクセル数が4つの場合には、それら入れ替えた4つのピクセルのうち、入れ替え後の順位が上位側となる2つのピクセルの振幅の和と、入れ替え後の順位が下位側となる2つのピクセルの振幅の和との差を計算し、その計算値に基づき上記対数尤度比の候補値を更新する
    請求項1に記載の再生装置。
  8. 上記データ再生部は、
    上記初回バランス符号復号処理によるバランス符号の復号化が成功した場合において、上記対数尤度比の候補値を予め定められた最小値に更新する候補値初回更新処理をさらに実行する
    請求項7に記載の再生装置。
  9. 上記候補値更新処理は、
    順位入れ替えの対象となった各ピクセルのうち、順位の入れ替えにより最も上位側に位置したピクセルとその1つ上位のピクセルとの振幅差と、最も下位側に位置したピクセルとその1つ下位のピクセルとの振幅差のうち、小さいの方の振幅差を計算し、その計算値に基づき上記対数尤度比の候補値を更新する
    請求項1に記載の再生装置。
  10. 上記候補値更新処理は、
    順位の入れ替えが初回順位付け時の最上位のピクセルを対象として行われた場合には、当該初回順位付け時の最上位のピクセルと、順位入れ替え後において上記初回順位付け時の最上位のピクセルの1つ下位となったピクセルとの振幅差を計算し、その計算値に基づき上記対数尤度比の候補値を更新する
    請求項9に記載の再生装置。
  11. 上記データ再生部は、
    上記初回バランス符号復号処理によるバランス符号の復号化が成功した場合において、上記対数尤度比の候補値を、初回の順位付け時の順位がl位のピクセルとl+1位のピクセルとの振幅差の値で更新する候補値初回更新処理をさらに実行する
    請求項9に記載の再生装置。
  12. 上記記録媒体に対しては、
    上記バランス符号化されたデータに基づく空間光変調が施されて生成された信号光と、当該信号光とは別途に生成された参照光とが照射され、これら信号光と参照光との干渉縞によって上記データがホログラムにより記録されており、
    上記光照射部は、
    上記データを再生するための光として上記参照光を生成・照射する
    請求項1に記載の再生装置。
  13. データ列が少なくともLDPC符号化後にバランス符号化され、該バランス符号化されたデータが記録された記録媒体に対し、上記データを再生するための光を照射し、該光照射に応じて上記記録媒体から得られる再生光を受光して、その受光信号に基づき、LDPC符号の各ビットごとの対数尤度比を求め、該対数尤度比を用いてLDPC復号アルゴリズムに従った復号処理を行うことで上記データ列を再生する再生方法であって、
    バランス符号ブロック単位の上記受光信号について、振幅値が大きい順に各ピクセルを順位付けし、上位l個のピクセルのビット値を「1」、それ以外のピクセルのビット値を「0」とするデータ識別を行ってバランス符号の復号化を行う初回バランス符号復号ステップを行った上で、
    予め定められた規則に従って所要のピクセルの順位を入れ替え、該入れ替え後の上位l個のピクセルのビット値を「1」、それ以外のピクセルのビット値を「0」とするデータ識別を行ってバランス符号の復号化を行う並び替え後バランス符号復号ステップと、
    上記初回バランス符号復号ステップの開始以降で初回に得られた初回バランス符号復号結果と、最新の上記並び替え後バランス符号復号ステップによって得られた最新並び替え後バランス符号復号結果とで、ビット値が反転したビットを特定する反転ビット特定ステップと、
    上記反転ビット特定ステップによる特定の結果ビット値が反転していないことが判明したビットについては、その対数尤度比の候補値を、予め定められた所要のピクセル間の振幅差に基づく値に更新する候補値更新ステップと、
    上記反転ビット特定ステップによってビット値が反転したと特定されたビットについて、その対数尤度比を、最新の上記候補値更新ステップで更新された対数尤度比の候補値に基づき確定する対数尤度比確定ステップと、
    を所定回数だけ繰り返して行う順位並び替え・対数尤度比繰り返し更新/確定ステップを行って、上記LDPC符号の各ビットごとの対数尤度比を求めるにあたって、
    上記初回バランス符号復号ステップによるバランス符号の復号化が復号エラーとなったか否かを判別する判別ステップと、
    上記判別ステップによる判別の結果、上記初回バランス符号復号ステップによる復号化が復号エラーとなったとされた場合に、上記候補値更新ステップで更新する上記対数尤度比の候補値の値を小さくするための尤度比調整係数を設定する尤度比調整係数設定ステップとを行うと共に、
    上記候補値更新ステップでは、上記対数尤度比の候補値を、上記尤度比調整係数に基づいて調整された値に更新する
    再生方法。
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