JP2020086075A - 学習支援システム、プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】学習者が学習する各単元毎の理解度または習熟度をより精確に評価しそれをエビデンスとして収集する。【解決手段】問題及び解答の情報を記憶する問題情報記憶部101と、ヒントとなる情報を記憶するヒント情報記憶部102と、学習者による解答の入力を取得するとともに学習者がヒントの提示を求める場合にその旨を示す入力を取得する入力受付部103と、問題を出力するとともに入力受付部103でヒントの提示を求める旨の入力を取得したときにヒントを出力する出力制御部104と、入力受付部103で問題に対する解答の入力を取得したときにその解答の正否を判定する正否判定部105と、正否判定部105で判定した問題に対する解答の正否及び学習者が当該問題に解答するにあたりヒントの提示を受けたか否かに関する情報を問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶する過程情報記憶部106とを具備する学習支援システムを構成した。【選択図】図3

Description

本発明は、学習者、特に教育を受け勉学に励む児童や生徒等が苦手とする学習単元を調査し、学習者の躓きを解消するために効果的な手立てを模索することを企図した学習支援システムに関する。
コンピュータ支援教育(Computer−Aided Instruction)またはe−ラーニング(electronic learning)を実現するシステムが周知である(例えば、下記特許文献を参照)。一般に、この種のシステムは、学習者が学習するべき内容に関わる問題を出題し、学習者にその問題に対して解答させ、その解答の正否を判定して結果を出力するという問題演習機能を提供する。
学習者が学習をどの程度まで達成できたか、即ち学習内容の理解度または習熟度を評価するためには、通常、問題に対する解答の正解率を参照する。当然ながら、正解率が高いほど、当該学習者の理解度または習熟度が高いと評価し得る。加えて、学習者が問題に解答するのに要した時間を計測しておき、その所要時間を学習者の理解度または習熟度の評価に加味することもできる。解答の所要時間が長い場合には、たとえ正解率が高くとも、依然として学習者の理解度または習熟度が十分でない可能性がある。
特開2017−062332号公報
学習者が学習するべき教科は多数の単元から成り立っており、しかも各単元が密接に相関していることが多い。従って、学習者がある単元の習得に手こずっているとき、その単元自体の内容の理解に苦しんでいる場合もあれば、実はその単元の準備段階の初等の単元の理解が不十分であるためにその単元の理解が困難となっている場合もあり得る。
例えば、掛け算の九九が理解できなければ割り算を理解できず、掛け算及び割り算の理解が覚束なければ加減乗除が混在した複雑な四則演算を実行できない。四則演算をこなせなければ関数を理解できず、方程式を解くことや因数分解を行うこともできない。面積や体積、速度の算出、行列、微積分等といった発展的な内容の理解も難しくなる。仕事算は、時間及び仕事量の増減について理解していなければ解けない。
それ故、学習者の躓きを解消するためには、学習者がどの単元を不得意としその理解が不十分であるのかを調査して明らかにすることが必要となる。また、多くの学習者が苦にする単元が存在する場合において、その前提となる単元の理解がそもそも十分でないのだという事実が判明すれば、学習者の円滑な学習を促進するのにより効果的な教材や指導法を開発することができるようになるだろう。
既に述べた通り、学習者による学習単元の理解度または習熟度を評価する指標としては、問題に対する解答の正解率が挙げられる。しかしながら、正解率は、学習者の各単元の理解度または習熟度を示すエビデンスとして完全なものではない。即ち、ある単元に属する問題の正解率が高いとき、一見すると学習者がその単元を得意としているように見受けられる。だが、高い正解率は偶然であり、実際にはその学習者は当該単元について生半可な知識しか獲得しておらず、未だ深い理解に至っていないということがある。学習者が、現時点では問題を解くことができても、月日が経過した後の時点では問題を解けなくなっているということも起こる。学習者がかつて苦手としていた単元はその後も苦手なままであることが少なくなく、その単元が苦手であることが見過ごされることでそれが足枷として残り、将来的に学習者が克服できない大きな壁に突き当たる懸念が生じる。
本発明は、以上の点に初めて着目してなされたものであり、学習者が学習する各単元毎の理解度または習熟度をより精確に評価し、それをエビデンスとして収集することを所期の目的としている。
本発明では、学習者が学習するべき内容の一部分をなすひとまとまりの単位である単元の何れかに属する問題を出題し、その問題に対して学習者に解答させるシステムであって、前記問題及びその問題の解答の情報を記憶する問題情報記憶部と、前記問題に解答するためのヒントとなる情報を記憶するヒント情報記憶部と、学習者による前記問題に対する解答の入力を取得するとともに、学習者が前記ヒントの提示を求める場合にその旨を示す入力を取得する入力受付部と、前記問題情報記憶部に記憶している情報を基に前記問題を出力するとともに、前記入力受付部で前記ヒントの提示を求める旨の入力を取得したときに前記ヒント情報記憶部に記憶している情報を基にヒントを出力する出力制御部と、前記入力受付部で前記問題に対する解答の入力を取得したときに前記問題情報記憶部に記憶している情報に基づいてその解答の正否を判定する正否判定部と、前記正否判定部で判定した前記問題に対する解答の正否、及び学習者が当該問題に解答するにあたり前記ヒントの提示を受けたか否かに関する情報を、当該問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶する過程情報記憶部とを具備する学習支援システムを構成した。
なお、ここに言う「単元」は、日本国文部科学省が制定している小学校、中学校または高等学校の学習指導要領に則って設定されてもよいし、そうでなくともよい。個々の単元の内容の範囲は、学習指導要領に基づく各単元の内容に一致することもあるし、それよりも狭いこともあるし、それよりも広いこともある。
学習者が問題を解くにあたり、ヒントを参照して解答した場合と、ヒントを参照することなく解答した場合とでは、同じ正解または不正解であったとしても、当該学習者の当該単元に対する理解度または習熟度は異なり得る。学習者がヒントを参照しながら問題を解いているということは、ヒントのない状況下では問題に解答できない、つまり当該単元を十分に理解し掌握できていない疑いが残る。翻って、学習者がヒントを参照せずに問題を解いていることは、当該単元を十分理解していることを示唆し、仮に解答が不正解であったとしてもそれはケアレスミスや計算誤り等であって、当該単元の理解度または習熟度は既に水準以上に到達している可能性がある。そこで、本発明では、問題に対する解答の正否のみならず、問題に解答する過程の行動をも記録することで、学習者の各単元の理解度または習熟度をより精確に評価することができるようにした。
さらに、前記ヒント情報記憶部が、前記問題に関するヒントとして、内容の異なる複数種類のヒントの情報を記憶しており、前記入力受付部が、学習者が前記複数種類のヒントのうちのどれの提示を求めるかを示す入力を取得し、前記出力制御部が、前記入力受付部で取得した入力に対応した種類のヒントを、前記ヒント情報記憶部に記憶している情報を基に出力し、前記過程情報記憶部が、学習者が前記問題に解答するにあたり前記複数種類のヒントのうちのどれの提示を受けたかに関する情報を、当該問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶するシステムとすれば、簡単なヒントと、より詳細なヒントまたは問題の解法等の解説とを、それぞれ学習者に提示することができる。そして、学習者が問題に解答する過程で前者のヒントを参照したか、後者のヒントを参照したか、あるいはヒントを参照しなかったかに応じて、当該学習者の当該単元の理解度または習熟度を評価することが可能となる。後者のヒントを参照して解答した学習者は、前者のヒントのみを参照して解答した学習者と比較して、当該単元の理解度または習熟度がより低いものと考えられる。
前記問題情報記憶部が、立体についての問題の情報を記憶しており、前記ヒント情報記憶部が、前記問題に関するヒントとして、前記立体の三次元形状の情報を記憶しており、前記入力受付部が、学習者が前記立体の三次元形状の表示を希望する場合にその旨を示す入力を取得し、なおかつ学習者による当該立体を見る方向を操作する入力を取得し、前記出力制御部が、前記入力受付部で前記立体の三次元形状の表示を希望する旨の入力を取得したときに、入力受付部で取得した入力に対応した方向から見た立体の三次元形状を、前記ヒント情報記憶部に記憶している情報を基に出力するならば、立体の形状、構造等に関する学習者の理解力、把握能力を効果的に増進できる。
また、前記過程情報記憶部が、学習者が前記問題に正解するのに要した時間を示す情報を、当該問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶するならば、解答の所要時間を学習者の当該単元の理解度または習熟度の評価に用いることができる。
しかして、前記出力制御部が、前記過程情報記憶部に記憶している情報に応じて異なる問題を選択した上で、前記問題情報記憶部に記憶している情報を基に当該問題を出力するものとすれば、学習者の単元の理解度または習熟度の高低に応じた問題を出題したり、(以降学習者が学習するべき新たな単元に属する問題を含む)問題の出題難易度を変更したり、学習者が過去に学習を行ったが未だ理解度または習熟度が十分でないと推測される単元の問題を出題して当該単元の学習を補完したり、既に学習者の理解度または習熟度が十分な水準に達していると判断できる単元に属する問題を割愛したりすることが可能となる。このことは、学習者の学習の最適化に寄与し得る。さらに、例えば、ある級に属する全単元の学習を終えた学習者に対し、当該学習者が次の級に進む前に課す進級テスト等において、一人一人の学習者の学習済み単元の理解度または習熟度の高低に応じて、出題する問題の種別や難易度を変化させることもできるようになる。要するに、各学習者毎に出題される問題が異なるテストを実施するという、これまでの教育界では考えられていなかった斬新なシステムを実現できる。なお、ここに言う出力制御部は、過程情報記憶部に蓄積した情報を学習データとして用いる機械学習を実行してなる人工知能を含む。
本発明に係る学習支援システムを構築するために用いられるプログラムは、コンピュータを、問題及びその問題の解答の情報を記憶する問題情報記憶部、前記問題に解答するためのヒントとなる情報を記憶するヒント情報記憶部、学習者による前記問題に対する解答の入力を取得するとともに、学習者が前記ヒントの提示を求める場合にその旨を示す入力を取得する入力受付部、前記問題情報記憶部に記憶している情報を基に前記問題を出力するとともに、前記入力受付部で前記ヒントの提示を求める旨の入力を取得したときに前記ヒント情報記憶部に記憶している情報を基にヒントを出力する出力制御部、前記入力受付部で前記問題に対する解答の入力を取得したときに前記問題情報記憶部に記憶している情報に基づいてその解答の正否を判定する正否判定部、並びに、前記正否判定部で判定した前記問題に対する解答の正否、及び学習者が当該問題に解答するにあたり前記ヒントの提示を受けたか否かに関する情報を、当該問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶する過程情報記憶部として機能させる。
本発明によれば、学習者が学習する各単元毎の理解度または習熟度をより精確に評価し、それをエビデンスとして収集することができる。
本発明の一実施形態の学習支援システムの全体概要を示す図。 同実施形態において学習者が使用するコンピュータが備えるハードウェア資源を示す図。 同実施形態の学習支援システムの機能ブロック図。 同実施形態において外部のコンピュータが備えるハードウェア資源を示す図。 同実施形態の学習支援システムにおける問題の出力例を示す図。 同実施形態の学習支援システムにおける簡易なヒントの出力例を示す図。 同実施形態の学習支援システムにおける詳細なヒントの出力例を示す図。 同実施形態の学習支援システムにおける学習者の解答の正否の判定結果の出力例を示す図。 同実施形態の学習支援システムにおける立体に関わる問題の出力例を示す図。 同実施形態の学習支援システムによるARモードでのコンピュータの操作方法を示す図。 同実施形態の学習支援システムにおけるARモードでの立体に関わる問題のヒントの出力例を示す図。 同実施形態の学習支援システムにおけるARモードでの立体に関わる問題のヒントの出力例を示す図。 同実施形態の学習支援システムにおけるARモードでの立体に関わる問題のヒントの出力例を示す図。 同実施形態の学習支援システムにおける立体に関わる問題の出力例を示す図。 同実施形態の学習支援システムにおける指モードでの立体に関わる問題のヒントの出力例を示す図。 同実施形態の学習支援システムにおける指モードでの立体に関わる問題のヒントの出力例を示す図。 同実施形態の学習支援システムにおける指モードでの立体に関わる問題のヒントの出力例を示す図。 同実施形態の学習支援システムにおいて問題情報記憶部が格納する問題情報を例示する図。 同実施形態の学習支援システムにおいてヒント情報記憶部が格納するヒント情報を例示する図。 同実施形態の学習支援システムにおいて過程情報記憶部が格納する過程情報を例示する図。 同実施形態の学習支援システムにおいて過程情報を収集するにあたりコンピュータがプログラムに従い実行する処理の手順例を示すフロー図。 同実施形態の学習支援システムにおいて問題を出題するにあたりコンピュータがプログラムに従い決定する問題の出題パターンを示す図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態における学習支援システムは、学習を行う学習者が使用するコンピュータ1と、電気通信回線3を介してコンピュータ1と通信可能に接続する外部のコンピュータ2とを要素として構成される。
学習者の使用するコンピュータ1は、例えば、汎用的な携帯電話端末または情報処理端末、特にスマートフォンやタブレット型コンピュータ、パーソナルコンピュータ、ビデオゲーム機等である。
図2に示すように、コンピュータ1は、プロセッサ(Central Procesing Unit)1a、メインメモリ1b、補助記憶デバイス1c、ビデオコーデック1d、オーディオコーデック1e、通信インタフェース1f、入力デバイス1g、ディスプレイ1h、音声出力デバイス1i、カメラ1j等のハードウェア資源を備え、これらがコントローラ(システムコントローラ、I/Oコントローラ等)1kにより制御されて連携動作するものである。
補助記憶デバイス1cは、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、光学ディスクドライブ、その他である。ビデオコーデック1dは、プロセッサ1aより受けた描画指示をもとに表示させるべき画面を生成しその画面信号をディスプレイ1hに向けて送出するGPU(Graphics Processing Unit)、画面や画像のデータを一時的に格納しておくビデオメモリ等を要素とする。オーディオコーデック1eは、符号化されている音声データを復号化して音声出力デバイス1iであるスピーカ等から音声出力する。ビデオコーデック1d及びオーディオコーデック1eはそれぞれ、ハードウェアでなくソフトウェアとして実装することも可能である。
通信インタフェース1fは、当該コンピュータ1がPAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の電気通信回線3を通じて外部の他の装置またはコンピュータ2との間で情報通信を行うためのデバイスである。通信インタフェース1fは、Bluetooth(登録商標)や無線LAN、携帯電話網、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)網等を介した無線通信を実施するための無線トランシーバ、有線LAN等を介した有線通信を実施するためのNIC(Network Interface Controller)、RFID(Radio Frequency IDentificationカードリーダを含む。
入力デバイス1gは、学習者が手指で操作するタッチパネル(ディスプレイ1hに重ね合わされたものであることがある)やマウス等のポインティングデバイス、押下ボタン、キーボード、または学習者が肉声により指令を入力する音声入力デバイス即ちマイク等である。なお、コンピュータ1が携行可能なものである場合、当該コンピュータ1に加速度センサが実装されていることがあり、この加速度センサを入力デバイス1gに含めることもできる。加速度センサは、例えば、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の三軸のそれぞれの方向に沿った加速度を計測する三軸加速度センサの機能と、X軸回りのθ方向、Y軸回りのφ方向及びZ軸回りのΨ方向のそれぞれの回転方向に沿った角速度を計測する三軸回転角速度センサ(ジャイロセンサ)の機能とを兼ね備えた、いわゆる六軸加速度センサまたは九軸加速度センサである。加速度センサにより、学習者が把持して使用するコンピュータ1の現在の姿勢や、学習者がコンピュータ1をどの方向にどの程度の量またはどの程度の速さで傾けたり回したりしたか等を検出できる。
コンピュータ1にあって、本システムの実現のためにプロセッサ1aにより実行されるべきプログラムは補助記憶デバイス1cに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス1cからメインメモリ1bに読み込まれ、プロセッサ1aによって解読される。コンピュータ1は、プログラムに従って上記ハードウェア資源を作動させる。
外部のコンピュータ2は、例えば汎用的なパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ワークステーション等であるが、クラウドコンピューティングにより構成されることもあり得る。図4に示すように、コンピュータ2は、プロセッサ2a、メインメモリ2b、補助記憶デバイス2c、通信インタフェース2d等のハードウェア資源を備え、これらがコントローラ2eにより制御されて連携動作するものである。
コンピュータ2にあって、本システムの実現のためにプロセッサ2aにより実行されるべきプログラムは補助記憶デバイス2cに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス2cからメインメモリ2bに読み込まれ、プロセッサ2aによって解読される。コンピュータ2は、プログラムに従って上記ハードウェア資源を作動させる。
図3に示すように、本実施形態の学習支援システムは、問題情報記憶部101、ヒント情報記憶部102、入力受付部103、出力制御部104、正否判定部105及び過程情報記憶部106を具備する。これら各部101、102、103、104、105、106の機能は、学習者の使用するコンピュータ1単体で具現してもよいし、外部のコンピュータ2単体で具現してもよいし(その場合、学習者の使用するコンピュータ1がシンクライアントとなる)、両コンピュータ1、2の協働によって具現してもよい。
以降、本学習支援システムの各部の機能を詳述する。問題情報記憶部101は、コンピュータ1及び/またはコンピュータ2のメインメモリ1b、2b若しくは補助記憶デバイス1c、2cの所要の記憶領域を利用し、学習者に対して出題する問題及びその問題の解答の情報を記憶する。図5、図9及び図14に例示するように、本実施形態では、問題の内容を学習者の視覚に向けて提示するべくコンピュータ1のディスプレイ1hの画面に表示し、及び/または、問題の内容を学習者の聴覚に伝える音声を音声出力デバイス1iを介して音声出力する。問題が、アニメーションや実写映像等であることもある。従って、問題情報記憶部101が記憶する問題の情報は、画面に表示するためのテキストデータ、静止画像データ、動画像データ、三次元オブジェクトデータ、または音声出力するための音声データ等を含む。図18に示すように、問題情報記憶部101は、各問題毎に、その問題の内容を表示及び/または音声出力するのに用いられるデータを、当該問題を識別する識別子、当該問題が属する単元を識別する識別子、当該問題の難易度を示す値、そして当該問題の正解の解答を示す情報と組にして記憶保持する。
なお、学習者に対して出題する問題及びその解答を、画面表示または音声出力する直前の時期に、プログラムまたはスクリプトにより自動生成することもあり得る。例を挙げると、「半径rの球の体積を求めなさい」という問題文中の値rが未定であり、問題を画面表示または音声出力する段階で値rを決定するような態様である。その場合には、問題情報記憶部101に、「半径rの球の体積を求めなさい」という問題の枠組みとなるデータを、当該問題が属する単元を識別する識別子や当該問題の難易度を示す値等と組にして予め記憶しておく。それとともに、問題を画面表示または音声出力する段階で、問題の枠組みの中にある随意の値(これが決定されることで問題の具体的内容が確定する値)rを決定し、問題情報記憶部101に、そのrを含む問題及び/または当該正解の解答の情報を、当該問題を識別する識別子、当該問題が属する単元を識別する識別子、当該問題の難易度を示す値、そして当該問題の正解の解答を示す情報と組にして記憶する。
ヒント情報記憶部102は、コンピュータ1及び/またはコンピュータ2のメインメモリ1b、2b若しくは補助記憶デバイス1c、2cの所要の記憶領域を利用し、学習者に対して出題した問題に解答するためのヒントとなる情報を記憶する。図6、図7及び図11ないし図13に例示するように、本実施形態では、ヒントの内容を学習者の視覚に向けて提示するべくコンピュータ1のディスプレイ1hの画面に表示し、及び/または、ヒントの内容を学習者の聴覚に伝える音声を音声出力デバイス1iを介して音声出力する。ヒントが、アニメーションや実写映像等であることもある。従って、ヒント情報記憶部102が記憶する問題の情報は、画面に表示するためのテキストデータ、静止画像データ、動画像データ、三次元オブジェクトデータ、または音声出力するための音声データ等を含む。図19に示すように、ヒント情報記憶部102は、各問題毎に、または各問題が属する単元毎に、その問題に関連するヒントの内容を表示及び/または音声出力するのに用いられるデータを、当該問題を識別する識別子及び/または当該問題が属する単元を識別する識別子と組にして記憶保持する。
本実施形態では、問題に解答するためのヒントとして、内容の異なる複数のヒントを学習者に与えることができる。例えば、図6に示しているように、比較的簡易な、問題に解答するために直接的ではない、または問題の具体的解法から比較的距離を置いているヒントを表示及び/または音声出力することができ、並びに、図7に示しているように、比較的詳細な、問題に解答するためにより直接的な、または問題の具体的解法に近い詳説的なヒントを表示及び/または音声出力することもできる。それらヒントのうち何れの提示を求めるかは、学習者の手に委ねられる。ヒント情報記憶部102は、各問題毎に、または各問題が属する単元毎に、内容の異なる複数のヒントの情報を、当該問題を識別する識別子及び/または当該問題が属する単元を識別する識別子、並びに各ヒントの種別を識別する識別子と組にして記憶する。
また、本実施形態では、図9に示すように、学習者に対して、立体についての問題、換言すれば立体を用いた問題を出題することがある。立体の問題に関するヒントは、図11ないし図13に示すように、コンピュータ1のディスプレイ1hの画面に当該問題に含まれる立体の三次元形状を表示し、かつ学習者がその立体を任意の方向から視認できるように表示することで学習者に提示することがある。このような問題に対するヒントの情報は、当該問題に含まれる立体の三次元形状を表示するための三次元オブジェクトデータ、または複数の方向から見た当該立体を表示するための複数の画像データを必然的に含むことになる。
図14に示すものは、立体を用いた問題の別の例である。そして、図15ないし図17に示すものは、図14に示した立体の問題に関するヒントであり、コンピュータ1のディスプレイ1hの画面に当該問題に含まれる立体の三次元形状を表示し、かつ学習者がその立体を任意の方向から視認できるように表示することで学習者に提示する。このような問題に対するヒントの情報は、当該問題に含まれる立体の三次元形状を表示するための三次元オブジェクトデータ、または複数の方向から見た当該立体を表示するための複数の画像データを含む。
入力受付部103は、学習者がコンピュータ1に実装されている入力デバイス1gを介して行う、種々の入力の情報を取得する。学習者による入力とは、例えば、学習者が手指やペン等によりタッチパネルに触れて、またはマウス等を操作してディスプレイ1hの画面内の所定位置を指し示したり文字や記号を描いたりする入力、学習者が手指により押下ボタンまたはキーボード等を押下操作して行う入力、学習者が発声しその声をマイクで集音する音声入力、学習者がコンピュータ1を把持してその向きや姿勢を変化させたときに加速度センサが計測する変位量または速度、等々である。入力受付部103が取得する入力の具体的内容については、後述する。
出力制御部104は、学習者に対して出題するべき問題や、学習者に提示する問題に解答するためのヒント、学習者がした解答が正解であるか不正解であるかの正否判定結果等の情報を出力する。それら問題、ヒント、正否判定結果等は、コンピュータ1に実装されているビデオコーデック1d、オーディオコーデック1e、ディスプレイ1h及び/または音声出力デバイス1iを用いて、学習者の視覚及び/または聴覚に訴えかける態様で表示及び/または音声出力される。
出力制御部104は、例えば、図5、図9及び図14に示すように、ディスプレイ1hの画面内の所定の領域に、学習者に対して出題する問題の内容と、当該問題の解答の選択肢とを、文字や記号、静止画像、動画像、若しくは仮想的な三次元立体オブジェクト45、またはそれらの組み合わせとして表示させる。これとともに、またはこれに代えて、問題の内容や解答の選択肢を音声出力デバイス1iを介して音声出力させても構わない。出力制御部104が出力する問題を構成する情報、即ちテキストデータ、静止画像データ、動画像データ、三次元オブジェクトデータ、または音声データ等は、問題情報記憶部101から読み出す。
加えて、出力制御部104は、ディスプレイ1hの画面内に、「ヒント」ボタン41、「かいせつ」ボタン42、「AR」ボタン43、「指」ボタン47を表示させる。これらのボタン41、42、43、47は、学習者が出題された問題に関するヒントの提示を受けることを希望する場合に操作する。「ヒント」、「かいせつ」、「AR」及び「指」はそれぞれ、ヒントの種別を表している。即ち、学習者が「ヒント」、「かいせつ」、「AR」、「指」の何れを選択したかによって、学習者に提示するヒントの内容が異なる。ヒントの提示を受けようとする学習者は、タッチパネルにおける所望のボタン41、42、43、47の箇所をタップしたり、マウスを操作してクリックしたりする。あるいは、タッチパネルの表面上に「ヒント」、「かいせつ」、「AR」または「指」のうちの何れかを示す文字や記号を手書き入力したり、押下ボタンまたはキーボード等を操作してその何れかの選択を入力したりする。学習者が発声して「ヒント」、「かいせつ」、「AR」または「指」のうちの何れかを選択する音声入力を行うこともあり得る。入力受付部103は、入力デバイス1gを介して学習者が行った、ヒントの提示を求める旨の入力の情報、さらには当該学習者が提示を受けたいヒントの種別を選択した入力の情報を取得する。
そして、出力制御部104は、入力受付部103で上記の入力を取得したときに、その入力によって示される学習者の意思に応じて、学習者が選択した種別のヒントを出力する。例えば、学習者が「ヒント」ボタン41をタップまたはクリックする等して「ヒント」を選択した場合には、図6に示すように、問題に解答するための比較的簡易なヒントの情報を出力してディスプレイ1hの画面に表示させ、及び/または、音声出力デバイス1iを介して音声出力させる。一方、学習者が「かいせつ」ボタン42をタップまたはクリックする等して「かいせつ」を選択した場合には、図7に示すように、問題に解答するための比較的詳細な解法、解説等の詳しいヒントの情報を出力してディスプレイ1hの画面に表示させ、及び/または、音声出力デバイス1iを介して音声出力させる。
「AR」は、立体の形状や構造等についての問題を解くためのヒントである。学習者が「AR」ボタン43をタップまたはクリックする等して「AR」を選択した場合には、図11ないし図13に示すように、当該問題中に現れる立体の三次元形状45をディスプレイ1hの画面に表示する。特に、このときのコンピュータ1は、拡張現実(Augmented Reality)を具現するような形で、学習者に立体の三次元形状45を提示することができる。出力制御部104は、コンピュータ1に、空間内における、コンピュータ1を使用する学習者の眼前のある一定の場所に立体が存在すると仮定した状況の下で、当該立体を捉える仮想的なカメラの光軸の向きを決定し、当該立体の三次元オブジェクト45をその光軸に沿って見たときの形状を描画させる。同時に、出力制御部104は、コンピュータ1に実装された、コンピュータ1本体及びディスプレイ1hの背後を撮影するカメラ(特に、スマートフォンやタブレット型コンピュータにおける背面側のアウトカメラ)1jで現在撮影している画像を当該立体の三次元オブジェクト45の背景46として合成したものを、ディスプレイ1hの画面に表示させる。
「AR」モードにおいて、学習者は、コンピュータ1を把持し、図10に示すように、空間内に静置されている当該立体45を中心としてその周囲を巡るようにコンピュータ1を回転(公転)させながら、コンピュータ1を立体45に向けるようにその姿勢や角度を徐変(自転)させる操作を行う。このとき、コンピュータ1に実装された入力デバイス1gの一つである加速度センサが、当該学習者の操作によるコンピュータ1の位置、姿勢や角度の変化量を検出する。そして、入力受付部103が、そのコンピュータ1の位置、姿勢や角度の変化量の情報を取得する。その上で、出力制御部104は、入力受付部103で取得したコンピュータ1の位置、姿勢や角度の変化量に合致するように、立体45を捉える仮想的なカメラの光軸の向きを変化させ、その光軸に沿って見た立体の三次元オブジェクト45の形状をコンピュータ1に再描画させる。これにより、例えば、学習者がコンピュータ1を立体45の直上に位置付け、かつコンピュータ1を下を向く姿勢とすれば、図11に示すように、立体の三次元オブジェクト45を上から見た状態がディスプレイ1hの画面に表示される。また、学習者がコンピュータ1を立体45の側方に位置付け、かつコンピュータ1を内側を向く姿勢とすれば、図12に示すように、立体の三次元オブジェクト45を横から見た状態がディスプレイ1hの画面に表示される。並びに、学習者がコンピュータ1を立体45の正面に位置付け、かつコンピュータ1を後ろを向く姿勢とすれば、図13に示すように、立体の三次元オブジェクト45を前から見た状態がディスプレイ1hの画面に表示される。
「指」もまた、立体の形状や構造等についての問題を解くためのヒントである。学習者が「指」ボタン47をタップまたはクリックする等して「指」を選択した場合には、図15ないし図17に示すように、当該問題中に現れる立体の三次元形状40をディスプレイ1hの画面に表示する。図14に例示している問題は、立体の正しい展開図がどれであるかを学習者に問うている。このような問題に対するヒントは、展開する前の元の立体と、完全に展開された後の(展開図の状態となった)立体との中間の状態を提示するものとなる。出力制御部104は、コンピュータ1に、立体の展開を開始してから終了するまでの間の複数の時点の何れかにおける立体の三次元形状40を描画させる。即ち、学習者がどの時点を選択したかによって、ディスプレイ1hに表示して学習者に提示する立体の三次元形状40が変化する。
「指」モードにおいて、出力制御部104は、ディスプレイ1hの画面内に、シークバー49を表示させる。シークバー49は、学習者が、立体を展開する過程での何れかの時点を選択するために操作する。ヒントの提示を受けようとする学習者は、タッチパネルにおけるシークバー49内の所望の時点に対応する箇所をタップし、若しくはシークバー49のスライダ491を所望の時点に対応する箇所までスワイプする。または、マウスを操作してシークバー49内の所望の時点に対応する箇所をクリックし、若しくはスライダ491を所望の時点に対応する箇所までドラッグする。あるいは、タッチパネルの表面上に所望の時点を示す文字や記号を手書き入力したり、押下ボタンまたはキーボード等を操作して所望の時点を入力したりする。学習者が発声して所望の時点を選択する音声入力を行うこともあり得る。入力受付部103は、入力デバイス1gを介して学習者が行った、所望の時点の選択の情報を取得する。その上で、出力制御部104は、入力受付部103で取得した時点における、展開されつつある立体の形状40をコンピュータ1に再描画させる。図15では、展開を開始した直後の時点での立体の三次元形状40を表示しており、図16では、それよりも後の時点での立体の三次元形状40を表示している。
また、「指」モードにおいて、出力制御部104は、ディスプレイ1hの画面内に、複数の「角度」ボタン48を表示させる。これらのボタン48は、学習者が、ヒントである展開過程の立体の形状40をどの方向から見るのかを選択するために操作する。学習者は、タッチパネルにおける所望の角度のボタン48の箇所をタップし、またはマウスを操作して所望の角度のボタン48をクリックする。あるいは、タッチパネルの表面上に所望の角度を示す文字や記号を手書き入力したり、押下ボタンまたはキーボード等を操作して所望の角度を入力したりする。学習者が発声して所望の角度を選択する音声入力を行うこともあり得る。入力受付部103は、入力デバイス1gを介して学習者が行った、所望の角度の選択の情報を取得する。その上で、出力制御部104は、入力受付部103で取得した情報に基づき、学習者が選択した角度から見た立体の形状40をコンピュータ1に再描画させる。図17では、図15及び図16とは異なる角度から見た立体の三次元形状40を表示している。
問題に解答しようとする学習者は、これら複数種類のヒント(「ヒント」、「かいせつ」、「AR」、「指」)のうちの一つだけを参照してもよいし、複数を参照してもよい。例えば、「ヒント」ボタン41をタップまたはクリックして簡易なヒントを参照した後、それでも問題の正解が分からないのであれば、「かいせつ」ボタン42をタップまたはクリックして詳細なヒントを参照することができる。同種のヒントを二度以上、繰り返して閲覧することもできる。無論、学習者に自信があるのであれば、何れのヒントも参照することなしに問題に解答することも当然にあり得る。
出力制御部104が、「ヒント」ボタン41、「かいせつ」ボタン42、「AR」ボタン43及び「指」ボタン47の全てを常にディスプレイ1hの画面に表示させるとは限らない。換言すれば、一つの問題に対して、全ての種類のヒントが存在しているとは限らない。例えば、問題が純粋な計算問題のようなものである場合、ヒントとして立体の三次元形状45、40を提示する機会がない。従って、「AR」ボタン43及び「指」ボタン47を表示させず、学習者が当該ボタン43、47をタップまたはクリックできないようにする。
総じて言えば、出力制御部104は、ディスプレイ1hの画面内に、学習者に対して提示するヒントの内容を、文字や記号、静止画像、動画像、若しくは仮想的な三次元立体オブジェクト45、またはそれらの組み合わせとして表示させる。これとともに、またはこれに代えて、ヒントの内容を音声出力デバイス1iを介して音声出力させても構わない。出力制御部104が出力するヒントを構成する情報、即ちテキストデータ、静止画像データ、動画像データ、三次元オブジェクトデータ、または音声データ等は、ヒント情報記憶部102から読み出す。より詳しくは、現在出力して出題している問題または当該問題が属する単元に対応したヒントの情報(即ち、当該問題を識別する識別子または当該問題の属する単元を識別する識別子と組となって格納されている、当該問題または当該単元に紐付けされているヒントの情報)であって、学習者が所望する種別のヒントの情報(即ち、学習者の選択したヒントの種別を識別する識別子と組となって格納されている、当該種別に紐付けされているヒントの情報)を、ヒント情報記憶部102に記憶保持している多数のヒントの情報の中から検索して読み出す。
学習者は、出題された問題に解答するための入力行為を行う。例えば、ディスプレイ1hの画面内に表示されている解答の選択肢の何れかを選択するべく、タッチパネルにおける所望の選択肢の箇所をタップしたり、マウスを操作してクリックしたりする。あるいは、タッチパネルの表面上に解答またはその選択肢を示す文字や記号を手書き入力したり、押下ボタンまたはキーボード等を操作して解答または選択肢の選択を入力したりする。学習者が発声して解答または選択肢の選択を音声入力することもあり得る。入力受付部103は、入力デバイス1gを介して学習者が行った解答の入力の情報を取得する。
正否判定部105は、入力受付部103で学習者による解答の入力を取得したときに、その解答が正解であるか不正解であるかを判定する。問題に対する正解を示す情報は、問題情報記憶部101に記憶している。正否判定部105は、現在出力して出題している問題に対応した正解の情報(即ち、当該問題を識別する識別子と組となって格納されている、当該問題に紐付けされている正解の情報)を、問題情報記憶部101に記憶保持している多数の問題及びその正解の情報の中から検索して読み出す。そして、その正解の情報と、学習者が入力した解答とを比較して、両者が合致していれば正解、合致していなければ不正解であると判定する。
正否判定部105が解答の成否を判定した後、出力制御部104がその判定結果の情報を出力し、学習者に提示する。例えば、図8に示すようにディスプレイ1hの画面内に解答が不正解である旨を、あるいはディスプレイ1hの画面内に解答が正解である旨を、文字や記号、静止画像、動画像、若しくは仮想的な三次元立体オブジェクト、またはそれらの組み合わせとして表示させる。これとともに、またはこれに代えて、学習者が入力した解答が正解であるか不正解かであるかを、音声出力デバイス1iを介して音声出力させても構わない。出力制御部104が出力する解答の正否の判定結果を構成する情報、即ちテキストデータ、静止画像データ、動画像データ、三次元オブジェクトデータ、または音声データ等は、予めメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cに記憶しており、それを読み出す。
因みに、出力制御部104は、コンピュータ1のディスプレイ1hの画面内に、「もう一度考える」ボタン44を表示させる。このボタン44は、学習者がヒントを参照した場合や、学習者が入力した解答が不正解であった場合等において、学習者が同じ問題に今一度挑戦し再び解答することを希望する場合に操作する。同じ問題に再挑戦しようとする学習者は、タッチパネルにおける当該ボタン44の箇所をタップしたり、マウスを操作してクリックしたりする。あるいは、タッチパネルの表面上に同じ問題に再挑戦する意思を表す文字や記号を手書き入力したり、押下ボタンまたはキーボード等を操作してその旨を示す入力をしたりする。学習者が発声してその旨を示す音声入力を行うこともあり得る。入力受付部103は、入力デバイス1gを介して学習者が行った、同じ問題に再挑戦する意思を表す入力の情報を取得する。入力受付部103でその入力を取得したとき、出力制御部104は、ヒントまたは先の解答の正否の判定結果等の、問題以外の表示を消去させ、その上で再度、同じ問題や同じ問題の解答の選択肢を、学習者の視覚及び/または聴覚に訴えかける態様で表示及び/または音声出力させる。
過程情報記憶部106は、コンピュータ1及び/またはコンピュータ2のメインメモリ1b、2b若しくは補助記憶デバイス1c、2cの所要の記憶領域を利用し、学習者が出題された問題に正解するまでの間にとった一連の行動に関する情報を記憶する。図20に例示するように、本実施形態にあって、過程情報記憶部106は、学習者を識別する識別子、同学習者に対して出題(または、出力)した問題を識別する識別子及び/または当該問題が属する単元を識別する識別子、当該問題の難易度を示す値、同学習者が当該問題に対して入力した解答の正否、当該問題が出題された時点から同学習者が解答を入力した時点までの間の所要時間を示す情報(問題の出題時点を起点として解答の入力までに経過した時間、または出題時点及び解答入力時点の各日時を示すタイムスタンプ)、同学習者が当該問題を解くにあたり参照したヒントの種別、当該問題が出題された時点から同学習者がヒントを参照(または、ヒントの提示を求める旨を示す入力を)した時点までの所要時間を示す情報(問題の出題時点を起点としてヒントの提示を求める旨を示す入力までに経過した時間、または出題時点及びヒント参照時点の各日時を示すタイムスタンプ)、同学習者がヒントを参照していた時間の長さを示す情報(ヒントを提示してから学習者が同じ問題に再挑戦する旨を示す入力までに経過した時間、またはヒントの提示時点及びヒントの提示終了時点の各日時を示すタイムスタンプ)、等を組にして記憶保持する。
学習者が出題された問題に正解するまでに複数回解答の入力を行った場合には、その各回の解答について、解答の正否、及び問題が出題された時点から学習者が解答を入力した時点までの間の所要時間を示す情報を記録する。並びに、学習者が出題された問題に正解するまでに複数回ヒントを参照した場合には、その各回のヒントの参照について、ヒントの種別、問題が出題された時点から学習者がヒントを参照した時点までの間の所要時間、学習者がヒントを参照していた時間を示す情報を記録する。つまるところ、過程情報記憶部106は、出題した問題に対して解答するために学習者がどの種別のヒントを何回参照したが、問題に正解するまでに学習者が何回解答したか、問題に正解するまでにどれくらいの時間を要したかを記録する。もしも、学習者が問題に解答するためにヒントを一度も参照しなかったならば、当該問題を識別する識別子及び/または当該問題が属する単元を識別する識別子と組となった情報の中に、ヒントの種別、問題が出題された時点から学習者がヒントを参照した時点までの間の所要時間、学習者がヒントを参照していた時間を示す情報が含まれない。逆に言えば、そのような情報が含まれていないことが、学習者が当該問題に解答するにあたりヒントを参照しなかったことを意味する。そして、学習者が問題を解いた回数分だけ、上述した過程情報が過程情報記憶部106に蓄積されることとなる。
既に述べた通り、図3に示している本学習支援システムの各部101、102、103、104、105、106の機能はそれぞれ、学習者の使用するコンピュータ1により具現されることもあれば、外部のコンピュータ2により具現されることもあり得る。問題情報記憶部101の機能をコンピュータ2が担う場合、コンピュータ2のメインメモリ2b若しくは補助記憶デバイス2cの所要の記憶領域に、問題及びその問題の正解の情報を格納する。そして、学習者に対して出題するべき問題の情報が、当該コンピュータ2から学習者の使用するコンピュータ1へと送信され、コンピュータ1において学習者の視覚または聴覚に訴えかける態様で出力される。出力制御部104の機能のうちの、次に学習者に対して出題する問題を選択する機能は、コンピュータ1が担ってもよく、コンピュータ2が担ってもよい。コンピュータ1が次に学習者に対して出題する問題を選択するのであれば、その次に出題するべき問題を識別する識別子または次に出題するべき問題の属する単元を識別する識別子を含んだ要求情報がコンピュータ1からコンピュータ2へと送信され、これを受信したコンピュータ2が当該識別子に紐付けられている問題の情報を読み出してコンピュータ1に返信する。
ヒント情報記憶部102の機能をコンピュータ2が担う場合、コンピュータ2のメインメモリ2b若しくは補助記憶デバイス2cの所要の記憶領域に、ヒントの情報を格納する。その上で、コンピュータ1を使用する学習者がヒントの提示を求める旨の入力を行ったとき、その旨を示す情報がコンピュータ1からコンピュータ2へと送信される。この情報には、学習者が提示を求めるヒントの種別を識別する識別子や、学習者が現在解こうとしている問題を識別する識別子または当該問題の属する単元を識別する識別子が含まれており、コンピュータ2は、それら識別子に紐付けられているヒントの情報(即ち、学習者が解こうとしている問題または当該問題の属する単元と関連したヒントであって、学習者が提示を求めている種別のヒントの情報)をコンピュータ1に返信する。そして、これを受信したコンピュータ1において、当該ヒントが学習者の視覚または聴覚に訴えかける態様で出力される。
正否判定部105の機能をコンピュータ2が担う場合、学習者に対して出題した問題の解答の情報を、コンピュータ2のメインメモリ2b若しくは補助記憶デバイス2cに記憶しておく。その上で、コンピュータ1を使用する学習者が解答を入力したとき、その入力した解答の情報がコンピュータ1からコンピュータ2へと送信され、コンピュータ2において正解と比較される。解答の正否を判定したコンピュータ2は、その正否を示す情報をコンピュータ1に返信する。そして、これを受信したコンピュータ1において、解答が正解であるか不正解であるかが学習者の視覚または聴覚に訴えかける態様で出力される。
過程情報記憶部106の機能をコンピュータ2が担う場合、コンピュータ2のメインメモリ2b若しくは補助記憶デバイス2cの所要の記憶領域に、過程情報を格納する。過程情報は、学習者がコンピュータ1に対して解答の入力やヒントの提示を求める旨の入力を行う度に生成されるが、その都度生成された過程情報をコンピュータ1からコンピュータ2に送信してもよいし、適宜の時機にバッチ処理する形である程度以上の量の過程情報をまとめてコンピュータ1からコンピュータ2に送信してもよい。
図21に、本学習支援システムにおいて、一つの問題を出題してから学習者が正解するまでの一連の流れを示している。プログラムに従い、コンピュータ1またはコンピュータ2は、問題情報記憶部101に記憶している問題の情報のうちの一つを選択して読み出す。そして、コンピュータ1において、その問題を学習者の視覚及び/または聴覚に訴えかける態様で出力する(ステップS1)ことで問題を出題し、学習者による入力を待ち受ける。
コンピュータ1において、学習者が解答を入力したとき(ステップS2)には、コンピュータ1またはコンピュータ2が、出題した問題の解答の情報を問題情報記憶部101から読み出し、その情報が示す正解と学習者の入力した解答とを比較して正否を判定する(ステップS3)。学習者による解答が正解であったならば、コンピュータ1において、正解である旨を学習者の視覚及び/または聴覚に訴えかける態様で出力する(ステップS4)。学習者による解答が不正解であったならば、コンピュータ1において、不正解である旨を学習者の視覚及び/または聴覚に訴えかける態様で出力する(ステップS6)。何れの場合にも、コンピュータ1またはコンピュータ2は、学習者の入力した解答の正否、及び問題の出題時点から学習者によるその解答の入力時点までの間の所要時間を示す情報を、学習者を識別する識別子、当該問題を識別する識別子及び/または当該問題が属する単元を識別する識別子、当該問題の難易度を示す値等と関連づけて過程情報記憶部106に記憶する(ステップS5、S7)。
学習者がヒントの提示を求める旨を入力したとき(ステップS8)には、コンピュータ1またはコンピュータ2が、学習者が提示を求めるヒントの種別に応じ、かつ出題した問題または当該問題の属する単元に対応するヒントの情報をヒント情報記憶部102から読み出す。そして、コンピュータ1において、そのヒントを学習者の視覚及び/または聴覚に訴えかける態様で出力する(ステップS9)。コンピュータ1またはコンピュータ2は、学習者が提示を求めたヒントの種別、問題の出題時点から学習者によるヒントの提示を求める旨の入力時点までの間の所要時間を示す情報、及び同学習者がヒントを参照していた時間の長さを示す情報を、学習者を識別する識別子、当該問題を識別する識別子及び/または当該問題が属する単元を識別する識別子、当該問題の難易度を示す値等と関連づけて過程情報記憶部106に記憶する(ステップS10)。
本学習支援システムの出力制御部104は、問題情報記憶部101に情報を記憶している問題の中から出力する(つまりは、学習者に対して出題する)問題を選択するに際して、過程情報記憶部106に記憶している情報を基に、つまりは学習者が過去に出題された問題に解答した履歴、及び/または、過去に出題された問題に解答するときにとった行動の履歴を基に、出力する問題を選択することができる。
問題の選択の態様は、複数考えられる。具体的に列挙すると、
・ある単元に属する問題に対する学習者の正解率が閾値よりも低いか不正解の回数が閾値よりも高い、またはある単元に属する問題を解くときの学習者のヒント(「ヒント」、「かいせつ」、「AR」または「指」)を参照する頻度が閾値よりも高いとき、その単元と相関のある、以前に学習したまたは当該単元の基礎となる初等の単元に属する問題を選択して出題し、復習をさせる
・ある単元に属する問題に対する学習者の正解率が閾値よりも低いか不正解の回数が閾値よりも高い、またはある単元に属する問題を解くときの学習者のヒント(「ヒント」、「かいせつ」、「AR」または「指」)を参照する頻度が閾値よりも高いとき、同じ単元に属しているより難易度の低い問題を選択して出題する
・学習者がある単元に属する問題をヒント(「ヒント」、「かいせつ」、「AR」または「指」)を参照することなく解答して、その正解率が閾値よりも高いか不正解の回数が閾値よりも低くなったとき、同じ単元に属しているより難易度の高い問題を選択して出題する
・学習者がある単元に属しかつあるレベル以上の難易度の問題をヒント(「ヒント」、「かいせつ」、「AR」または「指」)を参照することなく解答して、その正解率が閾値よりも高いか不正解の回数が閾値よりも低くなったとき、新たに学ぶべき単元の問題を選択して出題し、学習をその次の単元に進める
・ある単元に属する問題を解くときの学習者のヒント(「ヒント」、「かいせつ」、「AR」または「指」)を参照する頻度が閾値よりも高いとき、同じ単元に属している問題を選択して出題するが、この場合に入力受付部103が学習者によるヒントの提示を求める旨の入力を受け付けないようにし(例えば、コンピュータ1のディスプレイ1hの画面内に「ヒント」ボタン41、「かいせつ」ボタン42、「AR」ボタン43、「指」ボタン47のうちの少なくとも一つまたは全てを表示させず、学習者が当該ボタン41、42、43、47をタップまたはクリックできないようにし)、出力制御部104がヒントの情報を出力せず、即ち学習者に対してヒントを提示せず、学習者がヒントを参照することなしに問題に解答する状況を具現する
等があり得る。
図22に、ある単元に属する複数の問題を順次学習者に対して出題するパターンの例を示している。標準問題は、学習者が必要ならばヒントを参照できる状態で出題し学習者に解答させる問題を意味し、チャレンジ問題は、学習者がヒントを参照できない状態で出題し学習者に解答させる問題を意味する。チャレンジ問題は、標準問題よりも難易度が高いことがある。出力制御部104は、同じ単元に属する標準問題を複数回、学習者に対して出力する。そして、パターン1のように、学習者がヒントを参照することなく所定数の標準問題に正解したときには、出力制御部104が、同じ単元に属するチャレンジ問題を一回または複数回、学習者に対して出力する。学習者が所定数のチャレンジ問題に正解したならば、現在の単元を修了したものと見なして、次の単元へと移行する。次の単元でも、これに属する標準問題を複数回、学習者に対して出力し、その後に当該単元に属するチャレンジ問題を一回または複数回、学習者に対して出力することになる。
パターン2ないし6のように、学習者がヒントを参照した上で所定数の標準問題に正解した、またはヒントの参照の有無にかかわらず標準問題に不正解があったときにも、出力制御部104が、同じ単元に属するチャレンジ問題を複数回、学習者に対して出力する。但し、現在の単元を修了したと見なして次の単元へと移行するためには、上記パターン1よりも多い数のチャレンジ問題に正解することを必要とする。図示例にあって、パターン1ではチャレンジ問題を一問正解すれば次の単元に進むのに対し、パターン2ないし6ではチャレンジ問題を三問中二問正解しなければ次の単元に進まない。
パターン3ないし6のように、学習者がチャレンジ問題を所定数正解できなかった場合、出力制御部104は、今一度同じ単元に属する標準問題を複数回、学習者に対して出力する。その際の標準問題の出題回数は、同じ単元の当初の標準問題の出題回数よりは少なくする。しかる後、出力制御部104は、今一度同じ単元に属するチャレンジ問題を複数回、学習者に対して出力する。パターン3のように、学習者が所定数のチャレンジ問題に正解したならば、現在の単元を修了したものと見なして、次の単元へと移行する。
パターン4ないし6のように、学習者が再度のチャレンジ問題においても所定数の正解を得られなかったならば、出力制御部104は、現在の単元と相関のある過去の単元、換言すれば、現在の単元の準備段階にある初等の単元の標準問題を複数回、学習者に対して出力し、学習者による復習を促す。さらに、出力制御部104は、当該単元に属するチャレンジ問題を複数回、学習者に対して出力する。パターン4のように、学習者が所定数のチャレンジ問題に正解したならば、過去の単元の復習を終えたものとして、現在の単元へと復帰する。
パターン5または6のように、学習者が過去の単元のチャレンジ問題を所定数正解できなかった場合、出力制御部104は、今一度同じ単元に属する標準問題を複数回、学習者に対して出力する。しかる後、出力制御部104は、今一度同じ単元に属するチャレンジ問題を複数回、学習者に対して出力する。パターン5のように、学習者が所定数のチャレンジ問題に正解したならば、過去の単元の復習を終えたものとして、現在の単元へと復帰する。
パターン6のように、学習者が再度の過去の単元のチャレンジ問題においても所定数の正解を得られなかったならば、コンピュータ1またはコンピュータ2が、学習者が現在の単元及び/または過去の単元の学習に躓いている旨を示す情報を、当該学習者を識別する識別子、現在の単元及び/または過去の単元を識別する識別子、現時点の日時のタイムスタンプ等と関連づけて、過程情報記憶部106に記憶する。また、コンピュータ1において、学習者が現在の単元及び/または過去の単元の学習に躓いている旨を、ディスプレイ1hの画面に表示したり、及び音声出力デバイス1iにより音声出力したりして、学習者を教導する教師または保護者等に通知する。学習者が学習に躓いている旨の情報を、教師または保護者等の使用するコンピュータ1に向けて電気通信回線3を介して送信することもあり得る。
総じて言えば、ある単元の学習において、標準問題やチャレンジ問題に解答した回数の少ない学習者ほど、当該単元を早く理解できた、または当該単元の理解度が高いと言える、逆に、標準問題やチャレンジ問題に解答した回数の多い学習者ほど、当該単元を理解するのが遅かった、または当該単元の理解度が低いと言える。つまり、複数の学習者について、当該単元に属する問題の正答率または正解数が同等であるとしても、その単元を真に理解できている学習者と、未だ理解度が低い学習者とを切り分けることが可能である。図20及び図21に示している通り、各学習者に対する出題の履歴、及び各学習者の解答の履歴の情報は、おしなべて過程情報記憶部106に蓄積することは言うまでもない。
過程情報記憶部106に記憶保持している、各学習者毎の、各単元に属する各問題の正答または誤答の履歴は、特定の機会に学習者の実力を測り、または学習者に総体的な復習を行わせるためのテストにおいて学習者に出題するべき問題の選定のために参照することができる。テストに際して、コンピュータ1またはコンピュータ2は、テストを受検する学習者を識別する識別子に関連づけて過程情報記憶部106に格納している、当該学習者に過去に出題した各単元の問題及びその問題に対する学習者の正解数、正解率、不正解数または不正回数等を読み出す。そして、それに基づいて、出力制御部104が当該学習者に対して出力する問題の単元、難易度、出題数等を選択することが可能である。例えば、正解率が低い(不正解数が多い、不正解率が高い)単元に属する問題をより多く出題したり、正解率が高い(不正解数が少ない、不正解率が低い)単元に属する問題をより少なく出題したり、正解率が高い単元についてはより難易度の高い問題を出題したりする、といったことが考えられる。これにより、テストにおいて出題する問題の種類、数または難易度等が、学習者毎に変化することとなる。
本実施形態では、学習者が学習するべき内容の一部分をなすひとまとまりの単位である単元の何れかに属する問題を出題し、その問題に対して学習者に解答させるシステムであって、前記問題及びその問題の解答の情報を記憶する問題情報記憶部101と、前記問題に解答するためのヒントとなる情報を記憶するヒント情報記憶部102と、学習者による前記問題に対する解答の入力を取得するとともに、学習者が前記ヒントの提示を求める場合にその旨を示す入力を取得する入力受付部103と、前記問題情報記憶部101に記憶している情報を基に前記問題を学習者の視覚または聴覚に訴えかける態様で出力するとともに、前記入力受付部103で前記ヒントの提示を求める旨の入力を取得したときに前記ヒント情報記憶部102に記憶している情報を基にヒントを学習者の視覚または聴覚に訴えかける態様で出力する出力制御部104と、前記入力受付部103で前記問題に対する解答の入力を取得したときに前記問題情報記憶部101に記憶している情報に基づいてその解答の正否を判定する正否判定部105と、前記正否判定部105で判定した前記問題に対する解答の正否、及び学習者が当該問題に解答するにあたり前記ヒントの提示を受けたか否かに関する情報を、当該問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶する過程情報記憶部106とを具備する学習支援システムを構成した。
学習者が問題を解くにあたり、ヒントを参照して解答した場合と、ヒントを参照することなく解答した場合とでは、同じ正解または不正解であったとしても、当該学習者の当該単元に対する理解度または習熟度は異なり得る。学習者がヒントを参照しながら問題を解いているということは、ヒントのない状況下では問題に解答できない、つまり当該単元を十分に理解し掌握できていない疑いが残る。翻って、学習者がヒントを参照せずに問題を解いていることは、当該単元を十分理解していることを示唆し、仮に解答が不正解であったとしてもそれはケアレスミスや計算誤り等であって、当該単元の理解度または習熟度は既に水準以上に到達している可能性がある。そこで、本実施形態の学習支援システムでは、問題に対する解答の正否のみならず、問題に解答する過程の行動をも記録することで、学習者の各単元の理解度または習熟度をより精確に評価できるようにしたのである。
さらに、前記ヒント情報記憶部102が、前記問題に関するヒントとして、内容の異なる複数種類のヒントの情報を記憶しており、前記入力受付部103が、学習者が前記複数種類のヒントのうちのどれの提示を求めるかを示す入力を取得し、前記出力制御部104が、前記入力受付部103で取得した入力に対応した種類のヒントを、前記ヒント情報記憶部102に記憶している情報を基に学習者の視覚または聴覚に訴えかける態様で出力し、前記過程情報記憶部106が、学習者が前記問題に解答するにあたり前記複数種類のヒントのうちのどれの提示を受けたかに関する情報を、当該問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶するシステムとしたため、簡単なヒント(「ヒント」)と、より詳細なヒントまたは問題の解法等の解説(「かいせつ」)とを、それぞれ学習者に提示することができる。そして、学習者が問題に解答する過程で前者のヒントを参照したか、後者のヒントを参照したか、あるいはヒントを参照しなかったかに応じて、当該学習者の当該単元の理解度または習熟度を評価することが可能となる。後者のヒントを参照して解答した学習者は、前者のヒントのみを参照して解答した学習者と比較して、当該単元の理解度または習熟度がより低いものと考えられる。
前記問題情報記憶部101が、立体45、40についての問題の情報を記憶しており、前記ヒント情報記憶部102が、前記問題に関するヒント(「AR」または「指」)として、前記立体45、40の三次元形状の情報を記憶しており、前記入力受付部103が、学習者が前記立体45、40の三次元形状の表示を希望する場合にその旨を示す入力を取得し、なおかつ学習者による当該立体45、40を見る方向を操作する入力を取得し、前記出力制御部104が、前記入力受付部103で前記立体45、40の三次元形状の表示を希望する旨の入力を取得したときに、入力受付部103で取得した入力に対応した方向から見た立体45、40の三次元形状を、前記ヒント情報記憶部102に記憶している情報を基に学習者の視覚に訴えかける態様で出力するならば、立体45、40の形状、構造等に関する学習者の理解力、把握能力を効果的に増進できる。特に、ARでは、学習者が様々な方向から三次元形状の図形45、40を見ることで、学習者のイメージング力を養う。同時に、学習者がコンピュータ1の操作を通じて身体を動かすことで、筆記やタップ等の指先の動き以外の刺激を学習者の脳に与えることができる。
また、前記過程情報記憶部106が、学習者が前記問題に正解するのに要した時間を示す情報を、当該問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶するならば、解答の所要時間を学習者の当該単元の理解度または習熟度の評価に用いることができる。
本実施形態の学習支援システムによれば、従来のCAIまたはe−ラーニングシステムのような、単なる解答の正否の判定に留まらない、学習者が問題を解こうとする過程、正解に至る過程における行動をデータ化して記録し、その学習者が各単元の内容についてどの程度理解できているのか、または理解できていないのかをより精確に評価することができる。問題の正解率が比較的低かった単元、問題に正解するまでに要した時間が比較的長かった単元、問題に正解するまでに解答を入力した回数が比較的多かった単元は、おそらくは、学習者の理解度または習熟度の比較的低い単元、または学習者が苦手とする単元であろう。だが、それだけでなく、問題に解答する過程でヒントを参照した頻度が比較的多かった単元もまた、学習者の理解度または習熟度の比較的低い単元、学習者が苦手とする単元である疑いがある。要するに、正解率からだけでは、学習者の理解度や能力を正しく把握することができない。正解率によれば一見理解しているように見えて実は十分な理解に至っていない学習者を、より発展的な内容の学習の段階に前進させた結果、その学習者が発展的な内容に全くついて行けず落ちこぼれてしまうことがある。ある時には問題に正解できていても、その後時間をおいてから再び同じ単元の問題を解こうとしたら解けなくなっていることがあるのは、真の理解に到達していないからである。本システムを用いることで、問題に対する解答の正解率に加え、ヒントを参照した頻度を総合して、各単元毎の学習者の理解の度合いをより適切に見積もることが可能となり、学習者が理解しているようで十分に理解できていない単元を知ることができる。
そして、学習者が学習するべき教科を構成する多数の単元同士の相関を調査することも可能となる。学習者がある単元の習得に手こずっている場合において、その学習者が過去に学習した単元のうち同学習者の理解度または習熟度が低いと考えられる単元が存在するならば、過去に学習したはずのその単元の習得が不十分であることに起因して、現在学ぼうとしている単元の学習が困難となっている可能性がある。そのような単元間の相関が、エビデンス即ち収集した過程情報から明らかとなったならば、過去の単元の復習を行うことで、これと相関している単元の学習がより円滑になることが期待できる。つまり、ある単元ができない人はどの単元ができていないのか、ある単元ができている人はどの単元ができているのか、その相関を見つけ出し、できていない人に適用するのである。このようにして、エビデンスベースドの効果的な教育、学習または教材システムを実現することができるようになるだろう。
過程情報記憶部106に蓄積した情報は、各学習者が学習を進めるにあたり、どの単元のどの問題をどの順序で、またどれくらいの量出題することが学習効果を高めることになるかを暗示するビッグデータとなり得る。即ち、複数の学習者が使用する複数のコンピュータ1からコンピュータ2に向けて過程情報を電気通信回線3を介して送信し、コンピュータ2がその過程情報を受信してメインメモリ2b若しくは補助記憶デバイス2cの所要の記憶領域に格納することにより、複数の学習者による問題に対する解答の過程をビッグデータとして集積することが可能である。
このビッグデータを、コンピュータ2がプログラムに従い統計的に分析したり、機械学習(特に、ニューラルネットワークやその他の人工知能を作成するための深層学習、強化学習、深層強化学習等)に使用したりすれば、ある単元を苦手とする学習者が同じく苦手としている単元を見出すことができ、また、ある単元を得意とする学習者が同じく得意としている単元を見出すこともできる。また、ある単元を苦手にしていた学習者が後に苦手を克服してその単元が得意になった場合に、他の単元のうちの何れの学習または復習を行ったのか、あるいは他の単元のうちの何れの苦手を克服したのかを知得することもできる。即ち、ビッグデータから単元同士の相関が明らかとなり、学習者が各単元を学習するためにより効果的な、出力制御部104による問題の出題順、換言すれば各単元の学習順等の決定に寄与し得る。
多くの学習者が複数の単元に亘る複数の問題に解答した履歴により、一定期間中に正解数または正解率が大きく伸びた学習者とそうでない学習者との違い、特定の時点(典型的には、学期末や学年末等)におけるテストの正解数または正解率が高い学習者とそうでない学習者との違い、等が明らかになるであろう。ある学習者に対して出力するべき問題を選択する出力制御部104を人工知能により構築する場合、その人工知能は、例えば、当該学習者がこれまでに解答した問題の単元、種類や難易度、それら問題を解く際のヒントの参照の有無や参照したヒントの種類、並びにそれら問題の正答/誤答、正解数、正解率、不正解数または不正解率等を入力として受け取り、当該学習者に対して今後出題するべき問題の単元、種類や難易度、出題数等を出力するものとなり、これをビッグデータを用いた機械学習により鍛え上げる。人工知能が強化学習型であるならば、学習者の一定期間中の少なくとも一の単元の問題の正解数または正解率の増加量または増加率、あるいは学習者の特定の時点におけるテストの正解数または正解率等を将来価値(または、利益)として算出し、その将来価値がより大きくなる状態に遷移するように、学習者に対して今後出題するべき問題の単元、種類や難易度、出題数等を選択し出力する人工知能を構築するべく、ビッグデータを用いた強化学習または深層強化学習を実行する。
人工知能である出力制御部104が学習者に対して問題を出力し、学習者がその問題に解答(正答/誤答)したり、問題に解答する際にヒントを参照したりした履歴は、過程情報記憶部106に記憶され、ビッグデータの新たな一部となる。出力制御部104は、その新たなデータを用いて機械学習を行い、機能を増強する。この学習者が苦手を克服できた場合には、当該学習者に問題を出題した順番や単元を復習した順番が適正であったということになり、以後出力制御部104が同様の出題順や単元順で他の学習者に対して問題を出力することになるだろう。この学習者が苦手を克服できない場合には、当該学習者に問題を出題した順番や単元を復習した順番が不適正であったということになり、以後出力制御部104が異なる出題順や単元順で他の学習者に対して問題を出力することになるだろう。
学習者の使用するコンピュータ1に出力制御部104の機能を担わせるためには、コンピュータ2で決定した、出力制御部104が出力する問題の出題順(特に、単元の順)のルール(プログラム、スクリプト、機械学習によってなる人工知能の関数式または行列式)は、適宜の時機にコンピュータ2からコンピュータ1へと送信する。コンピュータ1は、そのルールを受信してメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に格納し、これを出力制御部104による出題するべき問題の選択に用いる。
各学習者が使用するコンピュータ1からコンピュータ2に送信する過程情報には、当該学習者を識別する識別子を含めることができる。一方で、コンピュータ2のメインメモリ2b若しくは補助記憶デバイスには、各学習者を識別する識別子と、その識別子により識別される学習者の属性情報、例えば氏名(特に、カタカナまたはひらがなでの表記)、住所または居住している地域(特に、当該地域を示す郵便番号。学習者の住居所の番地や建物名、号室等までの詳細な情報は必ずしも保持しない)、性別、生年月または年齢、血液型、通学している学校等とを、組として格納しておくことができる。さすれば、各学習者の過程情報と当該学習者の属性とを突合することができ、属性に応じた学習の傾向、得意または不得意とする単元等を分析することが可能となる。
学習者が使用するコンピュータ1に実装された、コンピュータ1本体のディスプレイ1hが設けられている側の正面を撮影するカメラ(特に、スマートフォンやタブレット型コンピュータにおける正面側のインカメラ)1jで、問題を解こうとしている学習者の顔や目を撮影するとともに、その撮影した動画像を解析することにより、問題またはヒントを閲覧したり解答を入力したりしている最中の学習者の表情や視点の情報を得、これを過程情報の一部として、そのときに学習者が解いていた問題を識別する識別子及び/または当該問題が属する単元を識別する識別子と組にして、過程情報記憶部106に記憶してもよい。学習者の表情や視点は、学習者の学習に対する集中の度合いや、学習者がディスプレイ1hの画面上(の問題、ヒントまたは解答の選択肢)のどの部分に着目しているのか等を示唆する。そして、問題に対する正解率が高い、正解に辿り着くまでの所要時間が短い学習者と、そうでない学習者との間の差を見出し、正解率の向上や集中力の改善のためにどのような方策をとればよいかを探求するために有用な情報となり得る。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。各部の具体的な構成や処理の手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…学習者の使用するコンピュータ
2…外部のコンピュータ
3…電気通信回線
101…問題情報記憶部
102…ヒント情報記憶部
103…入力受付部
104…出力制御部
105…正否判定部
106…過程情報記憶部

Claims (10)

  1. 学習者が学習するべき内容の一部分をなすひとまとまりの単位である単元の何れかに属する問題を出題し、その問題に対して学習者に解答させるシステムであって、
    前記問題及びその問題の解答の情報を記憶する問題情報記憶部と、
    前記問題に解答するためのヒントとなる情報を記憶するヒント情報記憶部と、
    学習者による前記問題に対する解答の入力を取得するとともに、学習者が前記ヒントの提示を求める場合にその旨を示す入力を取得する入力受付部と、
    前記問題情報記憶部に記憶している情報を基に前記問題を出力するとともに、前記入力受付部で前記ヒントの提示を求める旨の入力を取得したときに前記ヒント情報記憶部に記憶している情報を基にヒントを出力する出力制御部と、
    前記入力受付部で前記問題に対する解答の入力を取得したときに前記問題情報記憶部に記憶している情報に基づいてその解答の正否を判定する正否判定部と、
    前記正否判定部で判定した前記問題に対する解答の正否、及び学習者が当該問題に解答するにあたり前記ヒントの提示を受けたか否かに関する情報を、当該問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶する過程情報記憶部と
    を具備する学習支援システム。
  2. 前記ヒント情報記憶部が、前記問題に関するヒントとして、内容の異なる複数種類のヒントの情報を記憶しており、
    前記入力受付部が、学習者が前記複数種類のヒントのうちのどれの提示を求めるかを示す入力を取得し、
    前記出力制御部が、前記入力受付部で取得した入力に対応した種類のヒントを、前記ヒント情報記憶部に記憶している情報を基に出力し、
    前記過程情報記憶部が、学習者が前記問題に解答するにあたり前記複数種類のヒントのうちのどれの提示を受けたかに関する情報を、当該問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶する請求項1記載の学習支援システム。
  3. 前記問題情報記憶部が、立体についての問題の情報を記憶しており、
    前記ヒント情報記憶部が、前記問題に関するヒントとして、前記立体の三次元形状の情報を記憶しており、
    前記入力受付部が、学習者が前記立体の三次元形状の表示を希望する場合にその旨を示す入力を取得し、なおかつ学習者による当該立体を見る方向を操作する入力を取得し、
    前記出力制御部が、前記入力受付部で前記立体の三次元形状の表示を希望する旨の入力を取得したときに、入力受付部で取得した入力に対応した方向から見た立体の三次元形状を、前記ヒント情報記憶部に記憶している情報を基に出力する請求項1または2記載の学習支援システム。
  4. 前記過程情報記憶部が、学習者が前記問題に正解するのに要した時間を示す情報を、当該問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶する請求項1、2または3記載の学習支援システム。
  5. 前記出力制御部が、前記過程情報記憶部に記憶している情報に応じて異なる問題を選択した上で、前記問題情報記憶部に記憶している情報を基に当該問題を出力する請求項1、2、3または4記載の学習支援システム。
  6. 請求項1、2、3、4または5記載の学習支援システムを構築するために用いられるものであって、コンピュータを、
    問題及びその問題の解答の情報を記憶する問題情報記憶部、
    前記問題に解答するためのヒントとなる情報を記憶するヒント情報記憶部、
    学習者による前記問題に対する解答の入力を取得するとともに、学習者が前記ヒントの提示を求める場合にその旨を示す入力を取得する入力受付部、
    前記問題情報記憶部に記憶している情報を基に前記問題を出力するとともに、前記入力受付部で前記ヒントの提示を求める旨の入力を取得したときに前記ヒント情報記憶部に記憶している情報を基にヒントを出力する出力制御部、
    前記入力受付部で前記問題に対する解答の入力を取得したときに前記問題情報記憶部に記憶している情報に基づいてその解答の正否を判定する正否判定部、並びに、
    前記正否判定部で判定した前記問題に対する解答の正否、及び学習者が当該問題に解答するにあたり前記ヒントの提示を受けたか否かに関する情報を、当該問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶する過程情報記憶部
    として機能させるプログラム。
  7. 前記ヒント情報記憶部が、前記問題に関するヒントとして、内容の異なる複数種類のヒントの情報を記憶しており、
    前記入力受付部が、学習者が前記複数種類のヒントのうちのどれの提示を求めるかを示す入力を取得し、
    前記出力制御部が、前記入力受付部で取得した入力に対応した種類のヒントを、前記ヒント情報記憶部に記憶している情報を基に出力し、
    前記過程情報記憶部が、学習者が前記問題に解答するにあたり前記複数種類のヒントのうちのどれの提示を受けたかに関する情報を、当該問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶する請求項6記載のプログラム。
  8. 前記問題情報記憶部が、立体についての問題の情報を記憶しており、
    前記ヒント情報記憶部が、前記問題に関するヒントとして、前記立体の三次元形状の情報を記憶しており、
    前記入力受付部が、学習者が前記立体の三次元形状の表示を希望する場合にその旨を示す入力を取得し、なおかつ学習者による当該立体を見る方向を操作する入力を取得し、
    前記出力制御部が、前記入力受付部で前記立体の三次元形状の表示を希望する旨の入力を取得したときに、入力受付部で取得した入力に対応した方向から見た立体の三次元形状を、前記ヒント情報記憶部に記憶している情報を基に出力する請求項6または7記載のプログラム。
  9. 前記過程情報記憶部が、学習者が前記問題に正解するのに要した時間を示す情報を、当該問題が属する単元を識別できる識別子に関連づけて記憶する請求項6、7または8記載のプログラム。
  10. 前記出力制御部が、前記過程情報記憶部に記憶している情報に応じて異なる問題を選択し、前記問題情報記憶部に記憶している情報を基に当該問題を出力する請求項6、7、8または9記載のプログラム。
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