JP2020084886A - ロータリ圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベーンの耐衝撃性を向上させること。【解決手段】ロータリ圧縮機の第1ベーン127Sは、母材127SBとダイヤモンド状炭素皮膜127SDと窒化処理膜127SNとを備えている。母材127SBは、窒化物形成元素を含んでいる。ダイヤモンド状炭素皮膜127SDは、ダイヤモンド状炭素から形成され、第1ベーン127Sのうちの第1環状ピストン125Sに当接する先端127SSを被覆している。窒化処理膜127SNは、窒化物形成元素の窒化物を含有し、母材127SBとダイヤモンド状炭素皮膜127SDとの間に形成されている。ダイヤモンド状炭素皮膜127SDに球形アルミナ3μm粒子を用いてマイクロスラリージェットエロージョン試験を施すことにより測定される有効膜厚は、0.20μm以上である。【選択図】図3

Description

本発明は、ロータリ圧縮機に関する。
空気調和機や冷凍機などに用いられるロータリ圧縮機が知られている。ロータリ圧縮機は、シリンダとピストンとベーンとを備えている。シリンダは、ピストンを収納し、ピストンの外周面に対向する内周面が形成されている。ベーンは、シリンダの内周面に形成された溝内に格納され、先端部がピストンの外周部に当接することにより、ピストンとシリンダとに囲まれたシリンダ室を吸入室と圧縮室とに区画する。ロータリ圧縮機は、ピストンを回転させることにより冷媒を圧縮する。ロータリ圧縮機は、冷媒を圧縮するときに、ベーンがシリンダとピストンとに摺動し、これらの摺動部に焼付きや摩耗が発生する可能性がある。ベーンのうちのピストンに当接する先端にダイヤモンド状炭素層(アモルファス炭素層)を含む被覆層が形成されることにより、ベーンの耐摩耗性および耐焼付き性を向上させたロータリ圧縮機が知られている(特許文献1参照)。
特開2017−14990号公報
ベーンは、シリンダ等に摺動する部分の耐摩耗性および耐焼付き性を向上させるために、窒化処理が施されることがある。このとき、ダイヤモンド状炭素層は、耐衝撃性が劣化するという問題がある。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、ベーンの耐衝撃性に優れたロータリ圧縮機を提供することを目的とする。
本願の開示するロータリ圧縮機の一態様は、シリンダと、シリンダの内周面に沿って公転するピストンと、シリンダに設けられたベーン溝からシリンダ室内に突出してシリンダとピストンとの間に形成されるシリンダ室を吸入室と圧縮室とに区画するベーンとを備えている。ベーンは、窒化物形成元素を含む母材と、ダイヤモンド状炭素から形成され、ベーンのうちのピストンに当接する先端を被覆するダイヤモンド状炭素皮膜と、窒化物形成元素の窒化物を含有し、母材とダイヤモンド状炭素皮膜との間に形成される窒化処理膜とを有している。被覆膜に球形アルミナ3μm粒子を用いてマイクロスラリージェットエロージョン試験を施すことにより測定される有効膜厚は、0.20μm以上である。
開示のロータリ圧縮機は、ベーンの耐衝撃性を向上させることができる。
図1は、実施例のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。 図2は、実施例のロータリ圧縮機の第1の圧縮部及び第2の圧縮部を示す横断面図である。 図3は、実施例のロータリ圧縮機の下ピストン及び上ピストンと下ベーン及び上ベーンとの摺動部を示す部分断面図である。 図4は、複数のサンプルにマイクロスラリージェットエロージョン試験を施すことにより測定されたエロージョン深さとエロージョン率とを示すグラフである。
以下に、本発明を実施するための形態(実施例)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、実施例のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。図2は、実施例のロータリ圧縮機の第1の圧縮部及び第2の圧縮部を示す横断面図である。
図1に示すように、ロータリ圧縮機1は、密閉された縦置き円筒状の圧縮機筐体10の下部に配置された圧縮部12と、圧縮機筐体10の上部に配置され、回転軸15を介して圧縮部12を駆動するモータ11と、を備えている。
モータ11のステータ111は、円筒状に形成され、圧縮機筐体10の内周面に焼きばめされて固定されている。モータ11のロータ112は、円筒状のステータ111の内部に配置され、モータ11と圧縮部12とを機械的に接続する回転軸15に焼きばめされて固定されている。
圧縮部12は、第1の圧縮部12Sと第2の圧縮部12Tとを備えており、第2の圧縮部12Tは、第1の圧縮部12Sの上側に配置されている。図2に示すように、第1の圧縮部12Sは、環状の第1シリンダ121Sを備えている。第1シリンダ121Sは、環状の外周から張り出した第1側方張出部122Sを備え、第1側方張出部122Sには、第1吸入孔135Sと第1ベーン溝128Sが放射状に設けられている。また、第2の圧縮部12Tは、環状の第2シリンダ121Tを備えている。第2シリンダ121Tは、環状の外周から張り出した第2側方張出部122Tを備え、第2側方張出部122Tには、第2吸入孔135Tと第2ベーン溝128Tが放射状に設けられている。
図2に示すように、第1シリンダ121Sには、モータ11の回転軸15と同心に、円形の第1シリンダ内周面123Sが形成されている。第1シリンダ内周面123S内には、第1シリンダ121Sの内径よりも小さい外径の第1環状ピストン125Sが配置され、第1シリンダ内周面123Sと第1環状ピストン125Sとの間に、冷媒を吸入し圧縮して吐出する第1シリンダ室130Sが形成される。第2シリンダ121Tには、モータ11の回転軸15と同心に、円形の第2シリンダ内周面123Tが形成されている。第2シリンダ内周面123T内には、第2シリンダ121Tの内径よりも小さい外径の第2環状ピストン125Tが配置され、第2シリンダ内周面123Tと第2環状ピストン125Tとの間に、冷媒を吸入し圧縮して吐出する第2シリンダ室130Tが形成される。
第1シリンダ121Sには、第1シリンダ内周面123Sから径方向に、シリンダ高さ全域に亘る第1ベーン溝128Sが形成され、第1ベーン溝128S内に、平板状の第1ベーン127Sが、摺動自在に嵌合されている。第2シリンダ121Tには、第2シリンダ内周面123Tから径方向に、シリンダ高さ全域に亘る第2ベーン溝128Tが形成され、第2ベーン溝128T内に、平板状の第2ベーン127Tが、摺動自在に嵌合されている。
図2に示すように、第1ベーン溝128Sの径方向外側には、第1側方張出部122Sの外周部から第1ベーン溝128Sに連通するように第1スプリング穴124Sが形成されている。第1スプリング穴124Sには、第1ベーン127Sの背面を押圧する図示しない第1ベーンスプリングが挿入されている。第2ベーン溝128Tの径方向外側には、第2側方張出部122Tの外周部から第2ベーン溝128Tに連通するように第2スプリング穴124Tが形成されている。第2スプリング穴124Tには、第2ベーン127Tの背面を押圧する図示しない第2ベーンスプリングが挿入されている。
ロータリ圧縮機1の起動時は、この第1ベーンスプリングの反発力により、第1ベーン127Sが、第1ベーン溝128S内から第1シリンダ室130S内に突出し、その先端が、第1環状ピストン125Sの外周面に当接する。第1ベーン127Sにより、第1シリンダ室130Sが、第1吸入室131Sと、第1圧縮室133Sとに区画される。また、同様に、第2ベーンスプリングの反発力により、第2ベーン127Tが、第2ベーン溝128T内から第2シリンダ室130T内に突出し、その先端が、第2環状ピストン125Tの外周面に当接する。第2ベーン127Tにより、第2シリンダ室130Tが、第2吸入室131Tと、第2圧縮室133Tとに区画される。
第1シリンダ121Sには、第1ベーン溝128Sの径方向外側と圧縮機筐体10内とを開口部R(図1参照)で連通して圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒を導入し、第1ベーン127Sに冷媒の圧力により背圧をかける第1圧力導入路129Sが形成されている。なお、圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒は、第1スプリング穴124Sからも導入される。第2シリンダ121Tには、第2ベーン溝128Tの径方向外側と圧縮機筐体10内とを開口部R(図1参照)で連通して圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒を導入し、第2ベーン127Tに冷媒の圧力により背圧をかける第2圧力導入路129Tが形成されている。なお、圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒は、第2スプリング穴124Tからも導入される。
第1シリンダ121Sの第1側方張出部122Sには、第1吸入室131Sに外部から冷媒を吸入するために、第1吸入室131Sと外部とを連通させる第1吸入孔135Sが設けられている。第2シリンダ121Tの第2側方張出部122Tには、第2吸入室131Tに外部から冷媒を吸入するために、第2吸入室131Tと外部とを連通させる第2吸入孔135Tが設けられている。第1吸入孔135S及び第1吸入孔135Sの断面は円形である。
また、図1に示すように、第1シリンダ121Sと第2シリンダ121Tの間には、中間仕切板140が配置され、第1シリンダ121Sの第1シリンダ室130S(図2参照)と第2シリンダ121Tの第2シリンダ室130T(図2参照)とを仕切っている。中間仕切板140は、第1シリンダ121Sの上端部と第2シリンダ121Tの下端部を閉塞している。
第1シリンダ121Sの下端部には、下端板160Sが配置され、第1シリンダ121Sの第1シリンダ室130Sを閉塞している。また、第2シリンダ121Tの上端部には、上端板160Tが配置され、第2シリンダ121Tの第2シリンダ室130Tを閉塞している。下端板160Sは、第1シリンダ121Sの下端部を閉塞し、上端板160Tは、第2シリンダ121Tの上端部を閉塞している。
下端板160Sには、副軸受部161Sが形成され、副軸受部161Sに、回転軸15の副軸部151が回転自在に支持されている。上端板160Tには、主軸受部161Tが形成され、主軸受部161Tに、回転軸15の主軸部153が回転自在に支持されている。
回転軸15は、互いに180°位相をずらして偏心させた第1偏心部152Sと第2偏心部152Tとを備えている。第1偏心部152Sは、第1の圧縮部12Sの第1環状ピストン125Sに回転自在に嵌合している。第2偏心部152Tは、第2の圧縮部12Tの第2環状ピストン125Tに回転自在に嵌合している。
回転軸15が回転すると、第1環状ピストン125Sが、第1シリンダ内周面123Sに沿って第1シリンダ121S内を図2の時計回りに公転し、これに追随して第1ベーン127Sが往復運動する。この第1環状ピストン125S及び第1ベーン127Sの運動により、第1吸入室131S及び第1圧縮室133Sの容積が連続的に変化し、圧縮部12は、連続的に冷媒を吸入し圧縮して吐出する。また、回転軸15が回転すると、第2環状ピストン125Tが、第2シリンダ内周面123Tに沿って第2シリンダ121T内を図2の時計回りに公転し、これに追随して第2ベーン127Tが往復運動する。この第2環状ピストン125T及び第2ベーン127Tの運動により、第2吸入室131T及び第2圧縮室133Tの容積が連続的に変化し、圧縮部12は、連続的に冷媒を吸入し圧縮して吐出する。
図1に示すように、下端板160Sの下側には、下端板カバー170Sが配置され、下端板160Sとの間に下マフラー室180Sを形成している。そして、第1の圧縮部12Sは、下マフラー室180Sに開口している。すなわち、下端板160Sの第1ベーン127S近傍には、第1シリンダ121Sの第1圧縮室133Sと下マフラー室180Sとを連通する第1吐出孔190S(図2参照)が設けられている。第1吐出孔190Sには、圧縮された冷媒の逆流を防止するリード弁型の第1吐出弁200Sが配置されている。
下マフラー室180Sは、環状に形成された1つの室であり、第1の圧縮部12Sの吐出側を、冷媒通路136(図2参照)を通して上マフラー室180T内に連通させる連通路の一部である。冷媒通路136は、下端板160S、第1シリンダ121S、中間仕切板140、第2シリンダ121T及び上端板160Tを貫通している。下マフラー室180Sは、吐出冷媒の圧力脈動を低減させる。また、第1吐出弁200Sに重ねて、第1吐出弁200Sの撓み開弁量を制限するための第1吐出弁押え201Sが、第1吐出弁200Sとともにリベットにより固定されている。第1吐出孔190S、第1吐出弁200S及び第1吐出弁押え201Sは、下端板160Sの第1吐出弁部を構成している。
図1に示すように、上端板160Tの上側には、上端板カバー170Tが配置され、上端板160Tとの間に上マフラー室180Tを形成している。上端板160Tの第2ベーン127T近傍には、第2シリンダ121Tの第2圧縮室133Tと上マフラー室180Tとを連通する第2吐出孔190T(図2参照)が設けられている。第2吐出孔190Tには、圧縮された冷媒の逆流を防止するリード弁型の第2吐出弁200Tが配置されている。また、第2吐出弁200Tに重ねて、第2吐出弁200Tの撓み開弁量を制限するための第2吐出弁押え201Tが、第2吐出弁200Tとともにリベットにより固定されている。上マフラー室180Tは、吐出冷媒の圧力脈動を低減させる。第2吐出孔190T、第2吐出弁200T及び第2吐出弁押え201Tは、上端板160Tの第2吐出弁部を構成している。
下端板カバー170S、下端板160S、第1シリンダ121S及び中間仕切板140は、下側から挿通されて第2シリンダ121Tに設けられたメネジにネジ込まれた複数の通しボルト175により第2シリンダ121Tに締結される。上端板カバー170T及び上端板160Tは、上側から挿通されて第2シリンダ121Tに設けられた前記メネジにネジ込まれた通しボルト(図示せず)により第2シリンダ121Tに締結される。複数の通しボルト175等により一体に締結された下端板カバー170S、下端板160S、第1シリンダ121S、中間仕切板140、第2シリンダ121T、上端板160T及び上端板カバー170Tは、圧縮部12を構成している。圧縮部12のうち、上端板160Tの外周部が、圧縮機筐体10にスポット溶接により固着され、圧縮部12を圧縮機筐体10に固定している。
円筒状の圧縮機筐体10の外周壁には、軸方向に離間して下部から順に、第1貫通孔101及び第2貫通孔102が、夫々第1吸入管104及び第2吸入管105を通すために設けられている。また、圧縮機筐体10の外側部には、独立した円筒状の密閉容器からなるアキュムレータ25が、アキュムホルダー252及びアキュムバンド253により保持されている。
アキュムレータ25の天部中心には、冷媒回路の蒸発器に接続するシステム接続管255が接続されている。アキュムレータ25の底部に設けられた底部貫通孔257には、第1低圧連絡管31S及び第2低圧連絡管31Tが固着されている。第1低圧連絡管31S及び第2低圧連絡管31Tは、一端がアキュムレータ25の内部上方まで延設され、他端が、夫々第1吸入管104及び第2吸入管105の他端に接続されている。
冷媒回路の低圧冷媒をアキュムレータ25を介して第1の圧縮部12Sに導く第1低圧連絡管31Sは、吸入部としての第1吸入管104を介して第1シリンダ121Sの第1吸入孔135S(図2参照)に接続されている。また、冷媒回路の低圧冷媒をアキュムレータ25を介して第2の圧縮部12Tに導く第2低圧連絡管31Tは、吸入部としての第2吸入管105を介して第2シリンダ121Tの第2吸入孔135T(図2参照)に接続されている。すなわち、第1吸入孔135S及び第2吸入孔135Tは、冷媒回路の蒸発器に並列に接続されている。
圧縮機筐体10の天部には、冷媒回路と接続し高圧冷媒を冷媒回路の凝縮器側に吐出する吐出部としての吐出管107が接続されている。すなわち、第1吐出孔190S及び第2吐出孔190Tは、冷媒回路の凝縮器に接続されている。
圧縮機筐体10内には、およそ第2シリンダ121Tの高さまで潤滑油が封入されている。また、潤滑油は、回転軸15の下部に挿入される図示しないポンプ羽根により、回転軸15の下端部に取付けられた給油パイプ16から吸上げられ、圧縮部12を循環する。潤滑油は、圧縮部12を循環することにより、摺動部品(第1環状ピストン125S及び第2環状ピストン125T)の潤滑を行なうとともに、圧縮部12の微小隙間のシールをする。
図3は、実施例のロータリ圧縮機の第1環状ピストン125S及び第2環状ピストン125Tと第1ベーン127S及び第2ベーン127Tとの摺動部を示す部分断面図である。第1ベーン127Sは、母材127SBと窒化処理膜127SNとダイヤモンド状炭素皮膜127SDとを備えている。母材127SBは、高炭素クロム軸受鋼SUJ2から形成され、第1ベーン127Sの形状を形成している。母材127SBは、高炭素クロム軸受鋼SUJ2から形成されていることにより、表面硬度がHRC55以上である。なお、母材127SBは、高炭素クロム軸受鋼SUJ2と異なる他の材料から形成されてもよい。その材料は、クロムCrを含有する金属材料であり、高速度工具鋼SHK51、SUS440Cが例示される。
窒化処理膜127SNは、母材127SBを被覆している。窒化処理膜127SNは、母材127SBが窒化処理されることにより生成される材料から形成され、クロムCrの窒化物を含有し、クロムCrの窒化物が分散して析出している。窒化処理膜127SNは、このため、母材127SBに比較して、硬く、耐摩耗性に優れている。
ダイヤモンド状炭素皮膜127SDは、ダイヤモンド状炭素皮膜127SDと母材127SBとの間に窒化処理膜127SNが形成されるように、第1ベーン127Sのうちの先端127SSを被覆している。先端127SSは、第1ベーン127Sの表面のうちの第1環状ピストン125Sと摺動する領域である。ダイヤモンド状炭素皮膜127SDは、ダイヤモンド状炭素皮膜127SD3と中間皮膜127SD2と金属皮膜127SD1とが積層されることにより形成されている。ダイヤモンド状炭素皮膜127SDは、母材127SBの側から金属皮膜127SD1、中間皮膜127SD2、ダイヤモンド状炭素皮膜127SD3の順で積層されている。
すなわち、ダイヤモンド状炭素皮膜127SD3は、ダイヤモンド状炭素皮膜127SDのうちの母材127SBの側の反対側に配置され、外側に露出している。ダイヤモンド状炭素皮膜127SD3は、ダイヤモンド状炭素(アモルファス炭素)から形成されている。金属皮膜127SD1は、ダイヤモンド状炭素皮膜127SDのうちの母材127SBの側に配置され、窒化処理膜127SNに直接に密着されている。金属皮膜127SD1は、クロムCrから形成されている。中間皮膜127SD2は、ダイヤモンド状炭素皮膜127SD3と金属皮膜127SD1との間に配置されている。中間皮膜127SD2は、クロムCrの濃度と炭素Cの濃度とが中間皮膜127SD2の厚さの方向において濃度傾斜を有している。すなわち、中間皮膜127SD2のうちの金属皮膜127SD1に近い部分は、クロムCrの濃度が炭素Cの濃度より高い。中間皮膜127SD2のうちのダイヤモンド状炭素皮膜127SD3に近い部分は、炭素Cの濃度がクロムCrの濃度より高い。
第2ベーン127Tは、第1ベーン127Sと同様にして、形成されている。すなわち、第2ベーン127Tは、母材127TBと窒化処理膜127TNとダイヤモンド状炭素皮膜127TDとを備えている。第2ベーン127Tは、母材127TBの全体が窒化処理膜127SNに被覆され、先端127SSがダイヤモンド状炭素皮膜127TDにさらに被覆されている。ダイヤモンド状炭素皮膜127TDは、ダイヤモンド状炭素皮膜127TD3と中間皮膜127TD2と金属皮膜127TD1とが積層されることにより形成されている。
第1環状ピストン125Sは、回転軸15が回転することにより、第1シリンダ121Sの第1シリンダ内周面123Sに沿って公転運動する。第1環状ピストン125Sは、公転運動することにより、外周面41が第1シリンダ121Sの第1シリンダ内周面123Sと摺動し、上端面42が中間仕切板140と摺動し、下端面43が下端板160Sと摺動することがある。第1環状ピストン125Sは、公転運動することにより、さらに、外周面41が第1ベーン127Sの先端127SSと摺動する。
以下に、回転軸15の回転による冷媒の流れを説明する。第2シリンダ室130T内において、回転軸15の回転によって、回転軸15の第2偏心部152Tに嵌合された第2環状ピストン125Tが、第2シリンダ121Tの第2シリンダ内周面123Tに沿って公転する。このことにより、第2吸入室131Tが容積を拡大しながら第2吸入管105から冷媒を吸入し、第2圧縮室133Tが容積を縮小しながら冷媒を圧縮する。圧縮した冷媒の圧力が第2吐出弁200Tの外側の上マフラー室180Tの圧力より高くなると、第2吐出弁200Tが開いて第2圧縮室133Tから上マフラー室180Tへ冷媒が吐出される。上マフラー室180Tに吐出された冷媒は、上端板カバー170Tに設けられた上端板カバー吐出孔172T(図1参照)から圧縮機筐体10内に吐出される。
また、第1シリンダ室130S内において、回転軸15の回転によって、回転軸15の第1偏心部152Sに嵌合された第1環状ピストン125Sが、第1シリンダ121Sの第1シリンダ内周面123Sに沿って公転する。このことにより、第1吸入室131Sが容積を拡大しながら第1吸入管104から冷媒を吸入し、第1圧縮室133Sが容積を縮小しながら冷媒を圧縮する。圧縮した冷媒の圧力が第1吐出弁200Sの外側の下マフラー室180Sの圧力より高くなると、第1吐出弁200Sが開いて第1圧縮室133Sから下マフラー室180Sへ冷媒が吐出される。下マフラー室180Sに吐出された冷媒は、冷媒通路136及び上マフラー室180Tを通って上端板カバー170Tに設けられた上端板カバー吐出孔172T(図1参照)から圧縮機筐体10内部に吐出される。
圧縮機筐体10内に吐出された冷媒は、モータ11により形成される通路を通って、モータ11の上方に導かれ、圧縮機筐体10上部の吐出管107から吐出される。モータ11により形成される通路としては、ステータ111外周に設けられた上下を連通する切欠き(図示せず)、又はステータ111の巻線部の隙間(図示せず)、又はステータ111とロータ112との隙間115(図1参照)が含まれる。
潤滑油は、回転軸15に形成される給油孔を通って、複数の摺動面に供給され、それぞれの摺動面を潤滑する。複数の摺動面としては、副軸受部161Sと副軸部151との摺動面、主軸受部161Tと主軸部153との摺動面、第1偏心部152Sと第1環状ピストン125Sとの摺動面、第2偏心部152Tと第2環状ピストン125Tとの摺動面が含まれる。
[ベーンの製造工程]
第1ベーン127Sを作製する製造工程では、まず、第1中間作製物が作製される。第1中間作製物は、母材127SBを形成する材料から形成され、第1ベーン127Sと同じ形状に形成されている。第1中間作製物は、窒化処理されることにより、第2中間作製物に形成される。第2中間作製物は、母材127SBと窒化処理膜127SNとから形成され、母材127SBが窒化処理膜127SNにより被覆されている。第2中間作製物は、DLC(Diamond−Like Carbon)製膜が施されることにより、第2中間作製物のうちの先端127SSに対応する部分にダイヤモンド状炭素皮膜127SDが製膜される。このDLC製膜は、公知であり、たとえば、「摺動部品向けDLC膜の機械特性および摺動特性評価」KOBE STEEL ENGINEERING REPORTS/Vol.66No.2(Mar.2017)に開示されている。このDLC製膜は、さらに、「2.スパッタリング法によるDLC薄膜の作製」J.Plasma Fusion Res.Vol.92,No.6(2016)PP.454‐459に開示されている。このDLC製膜では、第2中間作製物のうちの母材127SBに対応する部分に50V以上のバイアス電圧が印加される状態で、ダイヤモンド状炭素皮膜127SDが成膜される。第2中間作製物は、ダイヤモンド状炭素皮膜127SDが製膜されることにより、第1ベーン127Sに形成される。第2ベーン127Tに関しても、第1ベーン127Sと同様に、作製される。
図4は、複数のサンプルにマイクロスラリージェットエロージョン試験を施すことにより測定されたエロージョン深さとエロージョン率とを示すグラフである。マイクロスラリージェットエロージョン試験は、材料表面の精密な機械的特性を計測する技術として公知であり、たとえば、「進化する表面改質の度合を精密に評価するMSE試験」潤滑経済2017年12月号(No.632)PP.36-42に記載されている。このマイクロスラリージェットエロージョン試験では、球形アルミナ3μm粒子が用いられている。あるエロージョン深さに対応するエロージョン率は、サンプルを構成する材料の表面からそのエロージョン深さだけ離れた部位の耐摩耗性の程度を示している。エロージョン率は、エロージョン率の値が小さいほど耐摩耗性が大きいことを示している。そのマイクロスラリージェットエロージョン試験では、その測定されたエロージョン深さとエロージョン率との関係に基づいて有効膜厚が測定される。有効膜厚は、有効膜厚の値が大きいほど耐衝撃性が大きいことを示している。
複数のサンプルは、サンプルNo.1とサンプルNo.2とサンプルNo.3とを含んでいる。サンプルNo.1は、比較例1のロータリ圧縮機の下ベーンの先端である。比較例1のロータリ圧縮機の下ベーンは、第1ベーン127Sの製造工程と異なる他の製造工程により作製されている。その製造工程は、第1ベーン127Sの製造工程から窒化処理の工程が省略され、かつ、DLC製膜で第2中間作製物に印加されるバイアス電圧が0Vであり、他の部分は第1ベーン127Sの製造工程と同じである。サンプルNo.2は、比較例2のロータリ圧縮機の下ベーンの先端である。比較例2のロータリ圧縮機の下ベーンは、第1ベーン127Sの製造工程と異なるさらに他の製造工程により作製されている。その製造工程は、DLC製膜で第2中間作製物に印加されるバイアス電圧が0Vであり、他の部分は第1ベーン127Sの製造工程と同じである。サンプルNo.3は、実施例のロータリ圧縮機の第1ベーン127Sの先端127SSである。
図4のグラフの曲線301は、サンプルNo.1におけるエロージョン深さとエロージョン率との関係を示している。曲線301は、サンプルNo.1の有効膜厚が約0.50μmであることを示し、サンプルNo.1の有効膜厚の範囲が、エロージョン深さが0μmから約0.50μmまでの範囲であることを示している。曲線301は、さらに、サンプルNo.1の有効膜厚の範囲内のエロージョン率が約0.014μm/gであることを示している。曲線302は、サンプルNo.2におけるエロージョン深さとエロージョン率との関係を示している。曲線302は、サンプルNo.2の有効膜厚が約0.13μmであることを示し、サンプルNo.1の有効膜厚の範囲が、エロージョン深さが0μmから約0.13μmまでの範囲であることを示している。曲線302は、さらに、サンプルNo.2の有効膜厚の範囲内のエロージョン率が約0.035μm/gであることを示している。曲線303は、サンプルNo.3におけるエロージョン深さとエロージョン率との関係を示している。曲線303は、サンプルNo.3の有効膜厚が約1.17μmであることを示し、サンプルNo.3の有効膜厚の範囲が、エロージョン深さが0μmから1.08μmまでの範囲であることを示している。曲線303は、さらに、サンプルNo.3の有効膜厚の範囲内のエロージョン率が約0.010μm/gであることを示している。
表1には、複数のサンプルに対応する複数のベーン仕様と複数の有効膜厚と複数のエロージョン率が示されている。
Figure 2020084886
複数のエロージョン率は、サンプルNo.2に形成される被覆膜のエロージョン率がサンプルNo.1に形成される被覆膜のエロージョン率より大きいことを示している。すなわち、複数のエロージョン率は、サンプルNo.2に形成される被覆膜の耐摩耗性がサンプルNo.1に形成される被覆膜の耐摩耗性より劣っていることを示している。複数のエロージョン率は、さらに、窒化処理膜を介して母材を被覆する被覆膜の耐摩耗性が、母材を直接被覆する被覆膜の耐摩耗性より劣っていることを示している。
複数のエロージョン率は、サンプルNo.3に形成される被覆膜のエロージョン率が、サンプルNo.2に形成される被覆膜のエロージョン率より小さいことを示している。すなわち、複数のエロージョン率は、サンプルNo.3に形成される被覆膜の耐摩耗性が、サンプルNo.2に形成される被覆膜の耐摩耗性より優れていることを示している。複数のエロージョン率は、さらに、被覆膜製膜時のバイアス電圧が50V以上である被覆膜が被覆膜製膜時のバイアス電圧が0Vである被覆膜より優れていることを示している。
複数のエロージョン率は、サンプルNo.3に形成される被覆膜のエロージョン率が、サンプルNo.1に形成される被覆膜のエロージョン率に概ね等しいことを示している。すなわち、複数のエロージョン率は、サンプルNo.3に形成される被覆膜の耐摩耗性が、サンプルNo.1に形成される被覆膜の耐摩耗性と概ね同等であることを示している。複数のエロージョン率は、さらに、被覆膜製膜時のバイアス電圧が50V以上であるときに、窒化処理膜を介して母材を被覆する被覆膜の耐摩耗性の劣化を防止することを示している。
複数の有効膜厚は、サンプルNo.1の有効膜厚がサンプルNo.2の有効膜厚より大きいことを示している。すなわち、複数の有効膜厚は、サンプルNo.1の耐衝撃性がサンプルNo.2の耐衝撃性より優れていることを示している。複数の有効膜厚は、さらに、窒化処理膜を介して母材を被覆する被覆膜の耐衝撃性が、母材を直接被覆する被覆膜の耐衝撃性より劣っていることを示している。
複数の有効膜厚は、サンプルNo.3に形成される被覆膜の有効膜厚が、サンプルNo.2に形成される被覆膜の有効膜厚より大きいことを示している。すなわち、複数の有効膜厚は、サンプルNo.3に形成される被覆膜の耐衝撃性が、サンプルNo.2に形成される被覆膜の耐衝撃性より優れていることを示している。複数の有効膜厚は、さらに、被覆膜製膜時のバイアス電圧が50V以上である被覆膜の耐衝撃性が被覆膜製膜時のバイアス電圧が0Vである被覆膜の耐衝撃性より優れていることを示している。
複数の有効膜厚は、サンプルNo.3に形成される被覆膜の有効膜厚が、サンプルNo.1に形成される被覆膜の有効膜厚より大きいことを示している。すなわち、複数の有効膜厚は、サンプルNo.3に形成される被覆膜の耐衝撃性が、サンプルNo.1に形成される被覆膜の耐衝撃性より優れていることを示している。複数の有効膜厚は、さらに、被覆膜製膜時のバイアス電圧が50V以上であるときに、窒化処理膜を介して母材を被覆する被覆膜の耐衝撃性を向上させることを示している。
また、第1ベーン127Sは、先端127SS以外の部分が窒化処理膜127SNに被覆されていることにより、比較例1のロータリ圧縮機の下ベーンに比較して、先端127SS以外の部分の耐摩耗性が優れている。このため、実施例のロータリ圧縮機は、第1ベーン127Sのうちの第1シリンダ121Sと中間仕切板140と下端板160Sとに接触する部分の耐摩耗性に優れている。また、第2ベーン127Tも、第1ベーン127Sと同様に、先端127TS以外の部分が窒化処理膜127TNに被覆されていることにより、先端127TS以外の部分の耐摩耗性が優れている。このため、実施例のロータリ圧縮機は、第2ベーン127Tのうちの第2シリンダ121Tと中間仕切板140と上端板160Tとに接触する部分の耐摩耗性に優れている。
[実施例のロータリ圧縮機の効果]
実施例のロータリ圧縮機は、第1シリンダ121Sと第1環状ピストン125Sと第1ベーン127Sとを備えている。第1環状ピストン125Sは、第1シリンダ121Sの内周面に沿って公転する。第1ベーン127Sは、第1シリンダ121Sに設けられた第1ベーン溝128Sから突出し、第1シリンダ121Sと第1環状ピストン125Sとの間に形成される第1シリンダ室130Sを第1吸入室131Sと第1圧縮室133Sとに区画する。第1ベーン127Sは、母材127SBとダイヤモンド状炭素皮膜127SDと窒化処理膜127SNとを備えている。母材127SBは、窒化物形成元素を含んでいる。ダイヤモンド状炭素皮膜127SDは、ダイヤモンド状炭素から形成され、第1ベーン127Sのうちの第1環状ピストン125Sに当接する先端127SSを被覆している。窒化処理膜127SNは、窒化物形成元素の窒化物を含有し、母材127SBとダイヤモンド状炭素皮膜127SDとの間に形成されている。ダイヤモンド状炭素皮膜127SDに球形アルミナ3μm粒子を用いてマイクロスラリージェットエロージョン試験を施すことにより測定される有効膜厚は、0.20μm以上である。このようなロータリ圧縮機1の第1ベーン127Sは、先端127SS以外の部分に窒化処理膜127SNが被覆されている場合でも、先端127SSの耐衝撃性が優れている。
実施例のロータリ圧縮機の第1ベーン127Sのダイヤモンド状炭素皮膜127SDは、有効膜厚が0.20μm以上になるように形成されているが、有効膜厚が0.50μm以上になるように形成されてもよい。このとき、ダイヤモンド状炭素皮膜127SDは、さらに耐衝撃性が優れている。実施例のロータリ圧縮機の第1ベーン127Sのダイヤモンド状炭素皮膜127SDは、さらに、有効膜厚が1.00μm以上になるように形成されてもよい。このとき、ダイヤモンド状炭素皮膜127SDは、さらに耐衝撃性が優れている。
実施例のロータリ圧縮機の第1ベーン127Sのダイヤモンド状炭素皮膜127SDは、さらに、図4に示されているように、有効膜厚が1.08μm以下になるように形成されてもよい。第1ベーン127Sは、ダイヤモンド状炭素皮膜127SDの有効膜厚が1.08μm以下であっても、所定の耐衝撃性を有している。
実施例のロータリ圧縮機は、第2ベーン127Tのダイヤモンド状炭素皮膜127TDも第1ベーン127Sのダイヤモンド状炭素皮膜127SDと同様に形成されているが、一方のみが、有効膜厚が0.20μm以上になるように形成されていてもよい。なお、実施例のロータリ圧縮機1では、複シリンダ式ロータリ圧縮機に形成されているが、単シリンダ式ロータリ圧縮機に形成されてもよい。このようなロータリ圧縮機も、ベーンの先端以外の部分に窒化処理膜が被覆されているときでも、ベーンの先端の耐衝撃性の劣化を防止し、ベーンの先端の耐衝撃性を向上させることができる。
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
1 ロータリ圧縮機
12 圧縮部
12S 第1の圧縮部(圧縮部)
12T 第2の圧縮部(圧縮部)
121S 第1シリンダ(シリンダ)
121T 第2シリンダ(シリンダ)
123S 第1シリンダ内周面(内周面)
123T 第2シリンダ内周面(内周面)
125S 第1環状ピストン(ピストン)
125T 第2環状ピストン(ストン)
127S 第1ベーン(ベーン)
127SB 母材
127SD ダイヤモンド状炭素皮膜
127SD1 金属皮膜
127SD2 中間皮膜
127SD3 ダイヤモンド状炭素皮膜
127SN 窒化処理膜
127SS 先端
127T 第2ベーン(ベーン)
127TB 母材
127TD ダイヤモンド状炭素皮膜
127TD1 金属皮膜
127TD2 中間皮膜
127TD3 ダイヤモンド状炭素皮膜
127TN 窒化処理膜
128S 第1ベーン溝(ベーン溝)
128T 第2ベーン溝(ベーン溝)
130S 第1シリンダ室(シリンダ室)
130T 第2シリンダ室(シリンダ室)
131S 第1吸入室(吸入室)
131T 第2吸入室(吸入室)
133S 第1圧縮室(圧縮室)
133T 第2圧縮室(圧縮室)
本願の開示するロータリ圧縮機の一態様は、シリンダと、シリンダの内周面に沿って公転するピストンと、シリンダに設けられたベーン溝からシリンダ室内に突出してシリンダとピストンとの間に形成されるシリンダ室を吸入室と圧縮室とに区画するベーンとを備えている。ベーンは、窒化物形成元素を含む母材と、ダイヤモンド状炭素から形成され、ベーンのうちのピストンに当接する先端を被覆するダイヤモンド状炭素皮膜と、窒化物形成元素の窒化物を含有し、母材とダイヤモンド状炭素皮膜との間に形成される窒化処理膜とを有している。被覆膜に球形アルミナ3μm粒子を用いてマイクロスラリージェットエロージョン試験を施すことにより測定される複数のエロージョン深さと複数のエロージョン率との関係を示す曲線に基づいて算出された有効膜厚は、0.20μm以上である。有効膜厚は、曲線のうちのエロージョン深さの予め定められた増加量に対するエロージョン率の増加量の比率が、予め定められた閾値より大きいときのエロージョン深さの値を示している。

Claims (6)

  1. シリンダと、
    前記シリンダの内周面に沿って公転するピストンと、
    前記シリンダに設けられたベーン溝から突出して前記シリンダと前記ピストンとの間に形成されるシリンダ室内を吸入室と圧縮室とに区画するベーンとを備え、
    前記ベーンは、
    窒化物形成元素を含む母材と、
    ダイヤモンド状炭素から形成され、前記ベーンのうちの前記ピストンに当接する先端を被覆するダイヤモンド状炭素皮膜と、
    前記窒化物形成元素の窒化物を含有し、前記母材と前記ダイヤモンド状炭素皮膜との間に形成される窒化処理膜とを有し、
    前記ダイヤモンド状炭素皮膜に球形アルミナ3μm粒子を用いてマイクロスラリージェットエロージョン試験を施すことにより測定される有効膜厚は、0.20μm以上である
    ロータリ圧縮機。
  2. 前記有効膜厚は、0.50μm以上である
    請求項1に記載のロータリ圧縮機。
  3. 前記有効膜厚は、1.00μm以上である
    請求項2に記載のロータリ圧縮機。
  4. 前記有効膜厚は、1.08μm以下である
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のロータリ圧縮機。
  5. シリンダと、
    前記シリンダの内周面に沿って公転するピストンと、
    前記シリンダに設けられたベーン溝から突出して前記シリンダと前記ピストンとの間に形成されるシリンダ室内を吸入室と圧縮室とに区画するベーンとを備え、
    前記ベーンは、
    窒化物形成元素を含む母材と、
    ダイヤモンド状炭素から形成され、前記ベーンのうちの前記ピストンに当接する先端を被覆するダイヤモンド状炭素皮膜と、
    前記窒化物形成元素の窒化物を含有し、前記母材と前記ダイヤモンド状炭素皮膜との間に形成される窒化処理膜とを有し、
    前記ダイヤモンド状炭素皮膜に球形アルミナ3μm粒子を用いてマイクロスラリージェットエロージョン試験を施すことにより測定されるエロージョン率は、0.014μm/g以下である
    ロータリ圧縮機。
  6. シリンダと、
    前記シリンダの内周面に沿って公転するピストンと、
    前記シリンダに設けられたベーン溝から突出して前記シリンダと前記ピストンとの間に形成されるシリンダ室内を吸入室と圧縮室とに区画するベーンとを備え、
    前記ベーンは、
    窒化物形成元素を含む母材と、
    ダイヤモンド状炭素から形成され、前記ベーンのうちの前記ピストンに当接する先端を被覆するダイヤモンド状炭素皮膜と、
    前記窒化物形成元素の窒化物を含有し、前記母材と前記ダイヤモンド状炭素皮膜との間に形成される窒化処理膜とを有し、
    前記ダイヤモンド状炭素皮膜は、50V以上のバイアス電圧が前記母材に印加される状態で成膜される
    ロータリ圧縮機。
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