JP2020084247A - 立体成形品への導電膜の製造方法、導電膜付き樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

立体成形品への導電膜の製造方法、導電膜付き樹脂成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】立体形状を有する成形品上に、回路となる任意の部分に簡便に金属皮膜を形成すること。【解決手段】加熱により導電性を発現する導電前駆体層を有する導電膜形成用フィルムを用いて、立体成形品上に導電前駆体層を形成する工程と、立体成形品上に形成された導電前駆体層に対して、加熱処理としてレーザー照射を行い、照射部に導電性の金属皮膜を形成する工程、とを含む立体成形品上への導電膜の製造方法により上記の課題は解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、立体形状を有する成形品の任意の表面に導電膜を形成する方法と、その方法により製造された導電膜付きの立体成形品の製造方法に関する。
立体形状を有する成形品上に導電回路が形成された成形回路部品は、電子機器の小型軽量化や設計自由度向上に寄与することができることから注目されている。
例えば特許文献1には、成形品の表面に化学めっきやスパッタリング、真空蒸着などの方法により、あらかじめ薄膜金属皮膜加工を行い、次いで、導電回路となる部分以外の金属皮膜箇所をレーザーにて除去して、導電回路パターンの金属薄膜状に電気めっきを行って所望の厚さの導電回路を形成する方法が開示されている。
また特許文献2には、成形品表面の回路となる部分を選択的にレーザー照射により表面改質し、次いでイオン触媒に接触させたのち、さらにイオン触媒を金属に還元して、回路となる部分に無電解めっきにより導電回路を形成する方法が開示されている。
特許第2965803号 特許第5731215号
しかしながら、例えば特許文献1では、レーザー照射によって非回路部を除去することになり、比較的大面積にレーザーを照射する必要があるため、時間的にもエネルギー的にも課題があると考えられる。
また特許文献2では、無電解めっきにより金属回路を形成するための触媒を回路部分のみに選択的に吸着させる方法が記載されている。しかしながら、レーザー照射による樹脂基材の表面改質と粗化の後、イオン触媒の吸着と、そのイオン触媒の還元による触媒金属核の形成、ついで無電解めっき処理を行うため、工程に時間がかかり煩雑であることが課題であった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、立体形状を有する成形品上への導電前駆体層の形成とレーザー照射による加熱によって、回路となる任意の部分に簡便に導電性の金属皮膜を形成する方法を提供することを目的とする。
本発明に係る立体成形品上への導電膜の製造方法は、
(1)加熱処理により導電性を発現する導電前駆体層を有する導電膜形成フィルムを用いて、立体成型品に導電前駆体層を形成する工程。
(2)立体成形品に形成された導電前駆体層に、加熱処理としてレーザー照射を行い、照射部に導電膜を形成する工程、を含む導電膜の製造方法に関する。
本発明は、さらに(3)立体成形品上からレーザー非照射部の導電前駆体層を除去する工程、を含む前記の導電膜の製造方法に関する。
本発明は、導電前駆体層を立体成形品に形成する工程において、フィルムインサート成形、オーバーレイ成形、インモールド転写、熱転写、または水圧転写により、立体成形品に導電前駆体層を形成する、前記の導電膜の製造方法に関する。
本発明は、導電前駆体層が、加熱により導電膜を形成する金属化合物を含有する、前記の導電膜の製造方法に関する。
本発明は、金属化合物が、非導電性の銅塩もしくは銅錯体である、前記の導電膜の製造方法に関する。
本発明は、導電前駆体層が、100℃以上の温度での加熱により導電性を発現する、前記の導電膜の製造方法に関する。
本発明は、導電前駆体層が、バインダー樹脂を含有する、前記の導電膜の製造方法に関する。
本発明は、バインダー樹脂が、水酸基、アミノ基、およびカルボキシル基の群から選ばれる少なくとも1種を有する、前記の導電膜の製造方法に関する。
本発明は、バインダー樹脂が、水酸基を有するポリ酢酸ビニルのけん化物を含む、前記の導電膜の製造方法に関する。
本発明は、水酸基を有するポリ酢酸ビニルのけん化物が、けん化度95mol%以下である、前記の導電膜の製造方法に関する。
本発明は、前記の導電膜の製造方法を含む、導電膜付き立体成形品の製造方法に関する。
本発明によれば、立体形状を有する成形品上への導電前駆体層の形成とレーザー照射による加熱によって、立体成形品の任意の部分に、回路となる金属皮膜を簡便に形成する製造方法および、導電金属回路を有する立体形状の成形品を提供することができる。
本実施の立体成形品への導電膜形成方法の一例を示す説明図である。
以下、本発明を図面にしたがって詳細に説明する。
図1は本発明の立体成形品への導電膜形成方法の工程の一例を示した説明図である。
図1(A)は本発明にて使用される導電前駆体層を有する導電膜形成用フィルムの一例である。図1(B)は、導電膜形成用フィルムを用いて、立体成形品上へ導電前駆体層を形成した一例である。図1(C)は図1(B)で形成された立体成形品上の導電前駆体層に、加熱処理としてレーザー照射を行い、照射部に導電性の金属皮膜を形成した一例である。図1(D)は、レーザー照射後にレーザーの非照射部の導電前駆体層を除去した一例を示す図である。
[導電膜形成用フィルム]
図1(A)に示すように、導電膜形成用フィルムは、ベースフィルム上に加熱により導電性を発現する導電前駆体層を少なくとも有していればよく、導電前駆体層は後の工程にて立体成形品上でレーザー照射による加熱により導電膜を形成するものである。
導電膜形成用フィルムは、ベースフィルム上に導電前駆体層を塗工および乾燥することにより作製することができる。
導電前駆体層の上にさらに保護フィルムを重ねることも可能である。レーザー照射工程等での酸化反応による導電性劣化を抑制することや、導電前駆体層を保護することが目的である。
または、後述する立体成形品上に導電前駆体層を形成する方法として、例えばインモールド転写により導電前駆体層をベースフィルムから剥離しながら立体成形品上に転写する場合では、その転写を容易にするために、導電膜形成用フィルムの導電前駆体層の上にさらに接着層を設けることができ、さらにはベースフィルムと導電前駆体層との間に離形層を有していても良い。
[導電前駆体層]
導電前駆体層には、金属化合物、さらにバインダー樹脂を含むことができる。
金属化合物としては、レーザー照射による加熱によって良好な導電性が得られる銅塩もしくは銅錯体が好ましい。
銅塩としては、カルボン酸銅塩、硫酸銅塩、亜硫酸銅塩、硝酸銅塩、亜硝酸銅塩、リン酸銅塩、亜リン酸銅塩、銅塩化物、銅臭化物、銅ヨウ化物、銅フッ化物、並びにこれらの水和物が挙げられる。特に良好な銅膜を形成できるため、カルボン酸銅塩およびその水和物が好ましい。
カルボン酸銅塩およびその水和物としては、例えばギ酸銅(II)、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、ヒドロキシ酢酸銅(II)、グリオキシル酸銅(I)、リンゴ酸銅(II)、クエン酸銅(II)、シュウ酸銅(II)、およびこれらの水和物を挙げることができる。レーザー加熱により低抵抗の銅被膜を形成できることから、特にギ酸銅(II)およびギ酸銅(II)四水和物が好ましい。
また、上記銅塩を水酸基、カルボキシル基、アミノ基などを含有する化合物と反応させた銅錯体として利用することができる。銅塩を銅に容易に還元するために、これら化合物をバインダー成分や塗工液の溶剤成分として混合することが好ましい。
バインダー成分としては、上述したように金属化合物の還元を容易にするため、および導電前駆体層とベースフィルムとの密着性を向上させるために含有される。
バインダー成分として構造は特に限定されないが、金属化合物を容易に還元するため、水酸基、アミノ基、カルボキシル基の少なくとも一つを有する樹脂が好ましい。
一方で、これら還元性置換基をバインダー樹脂中に多量に含有する場合、導電前駆体層の還元が容易になりすぎてしまい、すなわち、より低温で導電前駆体層が還元されてしまうため、導電前駆体層を立体成形品上に形成する工程の加熱過程で、導電前駆体層が導電性の金属皮膜に還元されてしまう。
したがって、導電前駆体層を立体成形品上に形成する工程での加熱温度を考慮して、その工程では、導電前駆体層が還元されないように、樹脂中の還元性置換基量を調整する必要がある。
このような、レーザー加熱による金属化合物の還元性の促進と、導電前駆体層の立体成形品上への形成工程での非導電性の保持のバランスが良好なものとして、バインダー成分としては、水酸基を有するポリ酢酸ビニルのけん化物が好ましい。特に、けん化度が95mol%以下のものがより好ましく、さらには、85mol%以下がより好適である。
導電前駆体層は、塗工液の形態でベースフィルムに塗工し、乾燥することで導電膜形成用フィルムを作製することが好ましい。
塗工液とするには、導電前駆体層に含まれる金属化合物およびバインダー樹脂を溶剤に溶解または分散して用いればよい。溶剤としては、特に限定されず、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が例示できる。
<任意成分>
導電前駆体層には、必要に応じてさらに他の成分を含有してもよい。このような他の成分としては、分散剤、耐摩擦向上剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、酸化防止剤、有機顔料、無機顔料、消泡剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、保湿剤等が挙げられる。
導電前駆体層の膜厚は、求められる導電性等に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、1.0μm以上50μm以下とすることが好ましい。
[ベースフィルム]
本実施においてベースフィルムは、立体成形品に導電前駆体層を形成する工程での温度条件下で成形品の表面形状に追従可能な程度の柔軟性および延伸性を有するものの中から適宜選択することができ、成形品の用途や、成形品の製造方法などに応じて選択することが好ましい。
ベースフィルムとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂)、AES(アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合樹脂)、カイダック(アクリル変性塩ビ樹脂)、変性ポリフェニレンエーテル、及びこれら樹脂の2種以上からなるポリマーアロイ等のフィルムや、これらの積層フィルムであってもよい。中でも、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレートより選択されるフィルム、又はこれらの積層フィルムであることが好ましい。
また、必要に応じ、導電前駆体層の印刷性を向上させるなどの目的で、ベースフィルムにアンカーコート層を設け、当該アンカーコート層上に導電前駆体層を印刷してもよい。アンカーコート層は、ベースフィルムとの密着性、更には導電前駆体層との密着性が良好で成形時にフィルムに追従するものであれば、特に限定されず、また樹脂ビーズ等の有機フィラーや金属酸化物等の無機フィラーも必要に応じて添加してもよい。アンカーコート層を設ける方法は特に限定されず、従来公知の塗工方法にて塗布、乾燥、硬化して得ることができる。
ベースフィルムの厚みは特に限定されないが、例えば、10μm以上500μm以下とすることができ、20μm以上450μm以下が好ましい。
[立体成形体への導電膜形成方法]
次に、前記導電膜形成用フィルムを用いた、立体形状の成形品への導電膜形成方法について説明する。
第一の工程は、(1)導電膜形成用フィルムを用いて、立体成形品に導電前駆体層を形成する工程である。
立体成形品に導電前駆体層を形成する方法は限定されないが、あらかじめ立体形状の成形体を作製した後に、例えばTOM成形機によりフィルムと成型品を一体化するオーバーレイ成形法や、あらかじめ導電膜形成用フィルムを金型により所定の形状に成形しておき、基材の成形時に導電膜形成用フィルムとの一体化を同時に行うフィルムインサート成形、または、基材の成形時に導電膜形成用フィルムを供給し、そのベースフィルムから導電前駆体層を剥離して成形体に転写するインモールド転写、さらには熱転写や水圧転写など、フィルム加飾として一般的に用いられる方法などが利用できる。
なお、この工程では加熱加工を伴うものが多いが、導電前駆体層は、第一の本工程において非導電性を維持していることが好ましい。
図1(B)は、導電膜形成用フィルムを用いてベースフィルムを残した方法でのフィルム加飾方法により、立体成形品に導電前駆体層を形成した例である。立体成形体には、導電膜形成用フィルムのベースフィルムが直接面していても良いし、導電前駆体層が直接面していても良いが、後述するレーザー加熱時の酸化による導電性の劣化を抑制する上では、導電前駆体層が立体成形体に面する向きが好ましい。
なお、ベースフィルムから導電前駆体層を剥離して成形品に転写するインモールド転写の場合は、図1(B)の最表層のベースフィルムがない状態で、導電前駆体層が立体成形品に形成される。
第2の工程は、(2)立体成形品に形成された導電前駆体層に対して、加熱処理としてレーザー照射を行い、照射部に導電性の金属皮膜を形成する工程である。
図1(C)は、その説明図である。
本工程は、大気下または非酸化性雰囲気下で行うことができる。非酸化性雰囲気とは、例えば窒素雰囲気、ヘリウム雰囲気、アルゴン雰囲気などが挙げられる。
本工程では、導電前駆体層に含まれる金属化合物が、照射されるレーザーを吸収して発熱することで、その金属イオンが還元されて、金属膜を形成することができる。塗膜中に含まれている樹脂が金属イオンの還元を促進するような、例えば水酸基やアミノ基、カルボキシル基を有する樹脂であれば、より効率的に金属膜を形成することができる。
導電前駆体層が加熱により導電性を発現する温度は特に限定されるものではないが、100℃以上が好ましく、150℃以上がさらに好ましい。加熱による導電性の発現温度がこれより低いと、導電膜形成フィルム作製時の乾燥工程や、立体成形品への導電前駆体層の転写工程にて、導電前駆体層が導電性を発現してしまい、任意箇所への回路形成の点で好ましくない。
レーザーとしては、特に限定されるものではないが、通常、波長が0.2〜10μmの、例えばCO2レーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなどが挙げられる。
本発明では、導電膜形成用のベースフィルムや保護フィルムを透過する必要性や、微細加工を有利にするため、YAGレーザー(基本波長1064nm、第二高調波532nm、第三高調波355nm)が好ましい。
レーザー照射による導電前駆体層の発熱温度は限定されるものではないが、前述の第一の工程での立体成形品に導電前駆体層を形成する温度よりも高温まで導電前駆体層が発熱することで、第一の工程で非導電性を維持していた導電前駆体層を、第二の本工程で、任意の箇所のみに導電性金属膜を形成することが可能となる。
レーザー光の吸収を促進するため、必要に応じて、導電前駆体層にレーザー吸収剤を含有することもできる。
なお本工程のレーザー照射による加熱によって、立体成形品の表層も加熱されるため、形成した導電性金属膜と立体成形品との密着性が向上するものと考えられる。このことは、後述するレーザー非照射部の除去をより容易にするものと考える。
本発明では、工程2の後にさらに、レーザー非照射部の導電前駆体層を除去する工程を行うことができる。図1(D)がその説明図である。
レーザー非照射部の導電前駆体層の除去の方法として、ベースフィルムが本工程まで導電前駆体もしくは導電性金属膜上に残っている場合は、そのベースフィルムと共に、導電前駆体層をはがすことができる。導電性金属膜は、立体成形品との密着性が強いため、引き剥がされずに立体成形品の上に残すことが出来る。
ベースフィルムが本除去工程前にすでに無い場合などは、導電性金属皮膜を侵さないような水や有機溶媒で洗浄することが可能である。
この余分な導電前駆体層の除去工程の後に、導電性金属皮膜上にさらにめっき処理などにより金属皮膜を重ねても良い。もしくは、形成した導電性金属皮膜を絶縁性フィルムなどで保護することが出来る。
以下に、実施例により本発明をより詳細に説明するが、以下の実施例は本発明を何ら制限するものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
[導電性の測定方法]
導電膜の導電性は、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、ロレスタGP MCP−T610型抵抗率計、JIS−K7194準拠、4端子4探針法定電流印加方式)(0.5cm間隔の4端子プローブ)を用いて体積固有抵抗(Ω・cm)を測定した。
[導電膜形成用フィルムの製造例1]
ギ酸銅(II)四水和物1部、ゴーセノールNK−05R 0.2g(日本合成化学社製 部分ケン化型PVA樹脂、けん化度73mol%)、精製水8.8gを混合し、導電前駆体塗工液を作製した。
次いで、この塗工液をアプリケーター(12mil)を用いて、ポリカーボネートフィルム(帝人社製パンライト2151、厚み300μm)上に印刷した。その後、熱風乾燥オーブンで95℃30分乾燥することで、導電膜形成用フィルム1を製造した。なお、導電膜形成用フィルム1の導電前駆体層はギ酸銅の青色を呈しており、全く銅化していないことを確認した。
[導電膜形成用フィルムの製造例2]
導電膜形成用フィルムの製造例1のゴーセノールNK−05RをゴーセノールNL−05(日本合成化学社製 完全ケン化型PVA樹脂、けん化度99.1mol%)に変えて導電膜形成用フィルム2を製造した。導電膜形成用フィルム1同様に、導電前駆体層は青色を呈しており、全く銅化していないことを確認した。
[導電膜形成用フィルムの製造例3]
導電膜形成用フィルムの製造例1のゴーセノールNK−05RをピッツコールK−30(第一工業製薬社製 ポリビニルピロリドン樹脂)に変え、基材とするフィルムにアクリル樹脂フィルム(住友化学社製 テクノロイS001G、厚み250μm)を用いて、導電膜形成用フィルム3を製造した。導電前駆体層は青色を呈しており、全く銅化していないことを確認した。
[実施例1]
導電膜成形用フィルム1の導電前駆体層の面と向かい合うように半径3cmのお椀状のABS樹脂成形物を合わせ、TOM成形機(布施真空社製)を用いて設定温度160℃でオーバーレイ成形を行うことで、お椀形状に成形された導電膜形成用フィルムとABS樹脂成形物とが一体化した成形体を得た。目視にて、導電前駆体層はギ酸銅の青色を呈しており、加熱によって銅に変化していないことを確認した。
ついで、一体化成形品の導電前駆体層にレーザーを照射し、10mm×20mmの銅膜を樹脂成型品上に形成した。レーザー照射は、メガオプト社製DPSSパルスグリーンレーザーHR−G6を使用し、レーザーパワー60%、周波数140kHz、マーク速度200mm/s、パルス幅7.10μsの条件にて行った。
さらに、一体化成形品の最表層にあるポリカーボネートフィルムを成形品から剥離した。レーザー照射部の銅膜は成型品上に残り、レーザー非照射部の導電前駆体層はポリカーボネートフィルムと共に、樹脂成形品から剥離した。
樹脂成形品上の銅膜の導電性を測定したところ、2.4×10−3Ω・cmであった。
[実施例2]
導電膜成形用フィルム2の導電前駆体層の面と向かい合うように半径3cmのお椀状のABS樹脂成形物を合わせ、TOM成形機(布施真空社製)を用いて設定温度160℃でオーバーレイ成形を行うことで、お椀形状に成形された導電膜形成用フィルムとABS樹脂成形物とが一体化した成形体を得た。目視では、ごく一部に導電前駆体層が加熱によって銅色に変化している箇所が見受けられた。
ついで、実施例1と同様のレーザー照射条件にて、導電前駆体層にレーザーを照射し、銅膜を立体成形品上に形成した。
さらに、一体成型品の最表層にあるポリカーボネートフィルムを成形品から剥離し、さらに水で成形品表層を洗浄し、立体成形品上に銅膜のみが形成された一体成型品を得た。
樹脂成型品上の銅膜の導電性を測定したところ、1.5×10−3Ω・cmであった。
[実施例3]
導電膜成形用フィルム3の導電前駆体層の面と向かい合うように半径3cmのお椀状のABS樹脂成形物を合わせ、TOM成形機(布施真空社製)を用いて設定温度160℃でオーバーレイ成形を行うことで、お椀形状に成形された導電膜形成用フィルムとABS樹脂成形物とが一体化した成形体を得た。目視では、ごく一部に導電前駆体層が加熱によって銅色に変化している箇所が見受けられた。
ついで、実施例1と同様のレーザー照射条件にて、導電前駆体層にレーザーを照射し、銅膜を立体成形品上に形成した。
さらに、一体成型品の最表層にあるポリカーボネートフィルムを成形品から剥離し、さらに水で成形品表層を洗浄し、立体成形品上に銅膜のみが形成された一体成型品を得た。
樹脂成型品上の銅膜の導電性を測定したところ、7.2×10−3Ω・cmであった。
このように、本発明の導電膜の製造方法を用いることで、回路となる金属皮膜を簡便に形成することができる。
本実施の導電膜を一体化した立体成形品は、家電製品、自動車用部品、ロボット、ドローンなどのプラスチック筐体および立体形状部品へ直接、デザイン自由度を損なうことなく軽量かつ省スペースな回路の作り込みや、タッチセンサー・アンテナ・面状発熱体・電磁波シールド・インダクタ(コイル)・抵抗体の作り込みや、各種電子部品の実装を行うことを可能にする。また、電子機器の軽薄短小化および設計自由度の向上、多機能化に極めて有用である。
1 導電前駆体層
2 ベースフィルム
3 立体成型品
4 レーザー光
5 導電膜

Claims (11)

  1. 下記の工程を含むことを特徴とする立体成形品への導電膜の製造方法。
    (1)加熱処理により導電性を発現する導電前駆体層を有する導電膜形成フィルムを用いて、立体成型品に導電前駆体層を形成する工程。
    (2)立体成形品に形成された導電前駆体層に、加熱処理としてレーザー照射を行い、照射部に導電膜を形成する工程。
  2. さらに(3)立体成形品から、レーザー非照射部の導電前駆体層を除去する工程、を含む請求項1記載の導電膜の製造方法。
  3. 工程(1)において、フィルムインサート成形、オーバーレイ成形、インモールド転写、熱転写、または水圧転写により、立体成形品に導電前駆体層を形成する請求項1、または2に記載の導電膜の製造方法。
  4. 導電前駆体層が、加熱により導電膜を形成する金属化合物を含有する、請求項1〜3いずれか記載の導電膜の製造方法。
  5. 金属化合物が、非導電性の銅塩もしくは銅錯体である、請求項4記載の導電膜の製造方法。
  6. 導電前駆体層が、100℃以上の温度に加熱することにより導電性を発現する、請求項1〜5いずれか記載の導電膜の製造方法。
  7. 導電前駆体層が、バインダー樹脂を含有する、請求項1〜6いずれか記載の導電膜の製造方法。
  8. バインダー樹脂が、水酸基、アミノ基、およびカルボキシル基の群から選ばれる少なくとも1種を有する、請求項7記載の導電膜の製造方法。
  9. バインダー樹脂が、水酸基を有するポリ酢酸ビニルのけん化物を含む、請求項8記載の導電膜の製造方法。
  10. 水酸基を有するポリ酢酸ビニルのけん化物が、けん化度95mol%以下である、請求項9記載の導電膜の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか記載の導電膜の製造方法を含む、導電膜付き立体成形品の製造方法。
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