JP2020084149A - 感温度型調光熱用組成物、それを用いた感温度型調光熱材及び感温度型調光熱システム - Google Patents

感温度型調光熱用組成物、それを用いた感温度型調光熱材及び感温度型調光熱システム Download PDF

Info

Publication number
JP2020084149A
JP2020084149A JP2018225463A JP2018225463A JP2020084149A JP 2020084149 A JP2020084149 A JP 2020084149A JP 2018225463 A JP2018225463 A JP 2018225463A JP 2018225463 A JP2018225463 A JP 2018225463A JP 2020084149 A JP2020084149 A JP 2020084149A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
sensitive
heat
dye
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018225463A
Other languages
English (en)
Inventor
聲敏 姜
Sung Min Kang
聲敏 姜
友広 三瓶
Tomohiro Sanpei
友広 三瓶
岡田 誠司
Seiji Okada
誠司 岡田
佐藤 治
Osamu Sato
治 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
LG Japan Lab Inc
Original Assignee
LG Japan Lab Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by LG Japan Lab Inc filed Critical LG Japan Lab Inc
Priority to JP2018225463A priority Critical patent/JP2020084149A/ja
Publication of JP2020084149A publication Critical patent/JP2020084149A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Liquid Crystal Substances (AREA)

Abstract

【課題】透明性(半透明)を可逆的に実現することにより、自動的に調光熱する。【解決手段】液晶成分と、二色性色素とを含んでなり、前記液晶成分が、予め定めた温度又は温度範囲に対して、低温度領域においてはホメオトロピック配向をなし、高温度領域においてはプラナー配向をなす可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)をなすものであり、前記アンカーリングトランジションによる配向変位に伴って、前記二色性色素の配向が変位することにより光の透過を調整する。【選択図】なし

Description

本発明は、感温度型調光熱用組成物、それを用いた感温度型調光熱材(素子)及び感温度型調光熱システムに関する。
近年、省電力、省エネルギー等の要請に伴って、様々な調光システムが提案されており、その中でも、温度変化に対応して、透明基材(例えば、ガラス窓等)の光透過率を調整する感温度型調光材(素子)、及び感温度型調光システムが提案されている。
前記感温度型調光システムには、例えば、環境条件に依存しない一定調光熱を実現するパッシブ方式(ロー・Eガラス)、電極及び配線を必須とするアクティブ方式(電解駆動型)、電極、配線、及び電界等の物理的様式を必要としないセルフアクティブ方式(感温度型)がある。前者のパッシブ方式のロー・Eガラスは、電極など配線を不要とする反面、夏場と冬場の気温に合わせた調光熱能力の制御ができない。一方の後者の電極や配線を必要とするアクティブ方式においては、電極及び配線によるコスト・施工の手間などが問題となっている。もう一方のセルフアクティブ方式(感温度型)にあっては、以下のものが提案されている。
高分子分散型液晶(PDLC)を用いたものとして、例えば、ネマチック−等方相転移点温度超過温度において光散乱状態を呈し、また、ネマチック−等方相転移点温度未満温度において光透過状態を呈する、配向相分離構造及びそれを用いた調光窓が提案されている(特許文献1:特許第6066057号公報;特開2013−152445号公報)。しかしながら、散乱現象により透明体に対して白濁(可視光領域)が生じることがある。
また、サーモクロミック材料を用いたものとして、例えば、:二酸化バナジウムサーモクロミック材料を塗膜し、その最外層に酸化チタンを被膜した自動調光被覆材料が提案されている(特許文献2:特許第3849008号公報;特開2013−094551号公報)。また、二酸化バナジウム系調光材料(サーモクロミック材料)に、空孔形成剤又は透明剤を混合した自動調光熱材料が提案されている(特許文献3:特許第4836071号公報;特開2007−171759号公報)。しかしながら、サーモクロミック材料を用いたものは、色調(特に、黄色味を呈する)の問題があり、かつ、可視光透過率をあげると赤外吸収の効率が低下するトレードオフが問題となる。
従って、今尚、セルフアクティブ方式(感温度型)を用いた前記感温度型調光熱システムの更なる開発及び提案が要請されている。
特許第6066057号公報 特許第3849008号公報 特許第4836071号公報
本発明は、従来のセルフアクティブ方式(感温度型)における、散乱減少による白濁、及び色調の問題(黄色味呈色)を解消し、温度変化という環境変化に対して、透明性(半透明性)を可逆的に実現することにより、自動的に調光熱することを実現することができる、感温度型調光熱用組成物、それを用いた感温度型調光熱素子及び感温度型調光熱システムを提案するものである。
本発明によれば、本発明の一の態様として以下のものを提案することができる。
〔1〕 感温度型調光熱用組成物であって、
液晶成分と、二色性色素とを含んでなり、
前記液晶成分が、予め定めた温度又は温度範囲に対して、低温度領域においてはホメオトロピック配向をなし、高温度領域においてはプラナー配向をなす可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)をなすものであり、
前記アンカーリングトランジションによる配向変位に伴って、前記二色性色素の配向が変位することにより光及び/又は熱の透過を調整するものである、感温度型調光熱用組成物。
〔2〕 前記予め定めた温度が−20℃以上60℃以下の温度範囲において定められた可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)温度であり、
前記予め定めた温度範囲が−20℃以上60℃以下の温度範囲において定められた可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)温度範囲である、〔1〕に記載の感温度型調光熱用組成物。
〔3〕 前記液晶成分が、下記構造式(I)で表されるものの一種又は二種以上の混合物である、〔1〕又は〔2〕に記載の感温度型調光熱用組成物。
T1−R1−C−R2−T1 構造式(I)
〔上記構造式(I)中、
R1及びR2は、同一又は異なるものであってよく、以下の環状構造からなる群から選択されてなる一種又は二種以上のものであり(以下に列記する)、
(式中、XはF、Cl、Br及びFからなる群から選択されてなる一種又は二種以上のものである)
Cは、以下の連結基の群から選択されてなる何れか一つであり(以下に列記する)、
T1及びT2は、同一又は異なるものであってよく、以下の基からなる群から選択される一種又は二種以上のものであり(以下に列記する)、
(式中、nは1以上18以下程度である)〕
〔4〕 前記液晶成分の含有量は、前記感温度型調光熱用組成物の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上30質量%以下である、〔1〕〜〔3〕の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
〔5〕 前記二色性色素が、アゾ系色素、アントラキノン系色素、シアニン系色素、アゾ金属錯体、フタロシアニン系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、ナフトキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、及びトリアリルメタン系色素等からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物である、〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
〔6〕 前記二色性色素が、オーダーパラメーター(S値)が0.5以上である正の二色性色素、及び/又は、
前記S値が−1以上0未満である負の二色性色素である、〔1〕〜〔5〕の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
〔7〕 前記正の二色性色素が、アントラキノン系色素、アゾ系色素、アゾ化合物色素、トリスアゾ化合物色素、及びナフトキノン系色素からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物であり、
前記負の二色性色素が、アントラキノン系色素、アゾ系色素からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物である、〔1〕〜〔6〕の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
〔8〕 前記正の二色性色素が、以下の化学式で表される化合物の一又は二以上の混合物である(以下に、列記する)、〔1〕〜〔7〕の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
〔9〕 前記負の二色性色素が、以下の化学式で表される化合物の一又は二以上の混合物である(以下に、列記する)、〔1〕〜〔8〕の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
〔10〕 前記二色性色素の含有量は、前記感温度型調光熱用組成物の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上30質量%以下である、〔1〕〜〔9〕の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
〔11〕 感温度型調光熱材であって、
少なくとも二枚の透明基基材と、少なくとも二枚の配向膜と、前記二枚の配向膜の間に存在する感温度型調光熱組成物とを備えてなり、
前記感温度型調光熱組成物が、〔1〕〜〔10〕の何れか一項に記載されたものである、感温度型調光熱材。
〔12〕 感温度型調光熱システムであって、
〔11〕に記載された感温度型調光熱材を使用し、
前記感温度型調光熱組成物が温度変化を感応し、
前記感温度型調光熱組成物において、予め定めた温度又は温度範囲に対して、低温度領域においては前記液晶成分がホメオトロピック配向をなし、高温度領域においては前記液晶成分がプラナー配向をなすアンカーリングトランジションの配向変位を形成し、
前記アンカーリングトランジションによる配向変位に伴って、前記二色性色素の配向変位により光及び/又は熱の透過を調整することを含んでなる、感温度型調光熱システム。
本発明によれば、周辺環境(温度変化)に応じて迅速に調光熱機能を発揮することが可能となり、夏場(高温度)、冬場(低温度)に応じて、高効率の省エネ効果を実現することが可能となる。また、調光熱に際して、透明(半透明)を可逆的に実現し、白濁及び黄変といった変色を有意に解決し、更には、可視光透過率の実現と(遠)赤外線の調整(吸収)を高い次元で実現することができる。
〔定義〕
「調光熱」とは、「調光」及び/又は「調熱」(好ましくは両者)を意味する。「調光」は光の透過を調整(例えば、遮蔽又は通過)することであり、「調熱」は熱(線)の透過を調整(例えば、遮断、通過、伝達又は吸収)することを夫々主として意味する。「調光熱」を実現する技術的事項は以下に詳細に説明する。
「光」は、可視光線、紫外線、赤外線、熱線等を全て包含する意味する。
「熱」には、物体間のエネルギー移動以外に、光で定義した、赤外線、熱線等(熱(エネルギー)を発生させる線)をも包含する概念である。本発明にあっては、「光」及び「熱」の概念の何れにも該当するものも、両者又は何れか一方に包含されてよい。
〔感温度型調光熱用組成物〕
(液晶成分)
本発明による感温度型調光熱用組成物は液晶成分を備えてなる。
前記液晶成分は、予め設定した温度(範囲)に対して、低温度領域においてはホメオトロピック配向をなし、高温度領域においてはプラナー配向をなし、温度変化に応答して、可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)をなすものである。従って、その逆の形態、即ち、低温度領域においてプラナー配向をなし、高温度領域においてホメオトロピック配向をなし、温度変化に応答して、可逆的配向変位をなすものでもある。
前記ホメオトロピック配向及びプラナー配向は、それぞれが基板に垂直方向又は平行方向を基準にして、最小0°以上、最高45°以下のプレチルト角を有することができる。本発明にあっては、太陽光の入射角をも考慮するものであり、例えば、使用態様により、太陽光が直角に入射しない場合を考慮して、プレチルト角を適宜定めることが可能である。本発明にあっては、前記プラナー配向とは、ホモジニアス配向、コレステリック構造をも含む概念である。
本発明にあっては、可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)をなす液晶成分を採用することにより、温度変化に応答して可逆的に配向変位を成して、必須成分として包含する前記二色性色素の配向変位によって、光の透過を調整するものである。
〈可逆的配向変位:アンカーリングトランジション〉
アンカーリングトランジションは、近距離双極子相互作用、長距離静電気相互作用、等法的ファンデルワールス力、ステリック相互作用等の競合の結果として生じる配向変位現象であり、その物理的・化学的論証は、他の専門家に委ねるものであるが、本発明は単に技術的事項として、「可逆的配向変位:アンカーリングトランジション」を採用してなるものである。本発明における液晶成分は、この可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)を示すものである。
本発明にあっては、所望の温度又は温度範囲(領域)において、調光熱を提供するものである。従って、上記の通り、可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)という特異性を利用する際に、所望の温度又は温度範囲(領域)は、設定環境、施工者の希望に応じて適宜定めることができ、それに対応した、液晶成分、二色性色素を選択し、又は、必要に応じて、後記する、配向膜、偏光板、光学機能材などを用いて、感温度型調光熱用組成物を調整し、感温度型調光熱材(素子)、これらを用いた感温度型調光熱システムを提供するものである。
本発明にあっては、様々な使用態様の環境温度によって、感温度型調光熱用組成物及びそれを用いた発明を提案するものであるが、本発明は、好ましくは、動植物の生活、育成等の環境という場合には、通常は、−20℃以上60℃以下程度であり(一気圧:以下同じ)、−15℃以上50℃以下であり、−10℃以上40℃以下といった実際の生活環境の温度範囲において設計し、提案するものである。また、仮に、極地近辺、航空機、ロケット、宇宙基地等(ステーション、衛星等)であれば、外気温度ではなく、動植物が存在する内部の温度を想定することも理解されるであろう。従って、このような温度範囲を想定する場合には、−20℃以上60℃以下の範囲において、所望の可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)を生じる温度(一又は複数)を設定し、又は、所望の可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)を段階的に行う温度範囲(領域)を設定することが可能である。
よって、本発明の一態様によれば、予め設定された温度(例えば、環境温度として30℃、1気圧)において、設定温度より低い低温度領域へと温度が降下すると、液晶成分はホメオトロピック配向を示し、入射光に対して液晶成分が平行に配列して、光(好ましくは、可視光から近赤外光)をそのまま透過する。他方、予め設定された温度(例えば、環境温度として30℃、1気圧)において、設定温度よりも高温度領域へと温度が上昇すると、液晶成分はプラナー配向を示し、入射光に対して液晶成分が垂直に配列する。
また、本発明の一態様によれば、予め設定された温度範囲(例えば、建物内温度範囲:18℃以上28℃以下、1気圧)において、設定温度範囲より低い低温度領域(18℃未満)にあっては、液晶成分はホメオトロピック配向を示し、入射光に対して液晶成分が平行に配列して、光(好ましくは、可視光から近赤外光)をそのまま透過する。また、予め設定された温度範囲内である場合には、液晶成分はホメオトロピック配向からプラナー配向へと配向を変位し、場合によっては両者混在した形で存在することがある。他方、予め設定された温度(例えば、28℃、1気圧)において、設定温度範囲よりも高い高温度領域(28℃超過)へと温度が上昇すると、プラナー配向を示し、入射光に対して液晶成分が垂直に配列して、光(好ましくは、可視光から近赤外光)の透過を制限する。本発明における液晶成分は、この可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)を示すものである。
勿論、液晶成分は、特定の温度(範囲)において可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)するものを適宜選択することにより、所望の温度又は温度範囲において、調光熱を実現することはいうまでもない。
〈液晶成分諸例〉
本発明にあっては、アンカーリングトランジションを示す液晶成分が使用され、例えば、下記構造式で表されるものの一種又は二種以上の混合物が例示される。
T1−R1−C−R2−T1 構造式(I)
〔上記構造式(I)中、
R1及びR2は、同一又は異なるものであってよく、以下の環状構造からなる群から選択される一種又は二種以上のものであり、
(式中、XはF、Cl、Br、及びFからなる群から選択される一種又は二種以上のものである)
Cは、以下の連結基の群から選択されてなる何れか一つであり、
T1及びT2は、同一又は異なるものであってよく、以下の基からなる群から選択されてなる一種又は二種以上のものであり、
(式中、nは、適宜定めてよく、1以上18以下程度であり、好ましくは2以上12以下程度である)〕
上記構造式(I)で表される液晶成分としては、例えば、下記化学式で表されるものが例示される。
液晶成分は、感温度型調光熱用組成物の全質量(100質量%)に対して、50質量%以上99.9質量%以下であり、好ましくは70質量%以上99.8質量%以下でありより好ましくは90質量%以上、99.5質量%以下である。当該含有量により所望の可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)を簡易に実現し、二色性色素と相俟って、調光熱をより実現することが可能となる。
(二色性色素)
本発明による感温度型調光熱用組成物は二色性色素を備えてなる。
本発明にあって、「二色性色素」は、ある方向からは特定の波長の吸収が最大になり、もう一方の方向からは特定の波長の吸収が最小になる色素である。例えば、正の二色性色素の場合、分子の短軸方向の偏光成分に対して最小の吸収を示し、分子の長軸方向の偏光成分に対して最大の吸収を示す。本発明にあっては、二色性色素は、前記液晶成分と混合して使用することから、ゲスト・ホスト液晶表示機構を成して調光熱を担うものである。ここで、ゲストが二色性色素であり、ホストが前記液晶成分である。二色性色素は、可視光線、赤外線、及び紫外線の調光をなし、また、(遠)赤外線の遮蔽又は吸収により調熱を主として担うものである。
本発明にあっては、前記液晶成分が、温度変化(上昇・降下)に応じて、ホメオトロピック配向とプラナー配向とを可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)をなすことにより、一緒に含有されている二色性色素もまた配向が変位することにより、二色性色素の性質を発揮させて、光及び熱の透過を調整(調光熱)するものである。
二色性色素は、光の所望の利用に併せて、可視光から近赤外光に関する色素を選択し、かつ、組合せて使用することにより、所望の調光熱を実現することが可能となる。
本発明にあっては、二色性色素としては、アゾ系色素、アントラキノン系色素、シアニン系色素、アゾ金属錯体、フタロシアニン系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、ナフトキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、及びトリアリルメタン系色素等からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物を使用することができる。
二色性色素はその性能を示すオーダーパラメーター(S)〔=1/2(3cosθ―1)〕値(S値)によって、S値が正である色素を正の二色性色素といい、S値が負である色素を負の二色性色素といい、本発明にあってはいずれも使用することが可能である。本発明にあっては、S値のみならず、鮮明性、大きいモル吸光係数、高溶解性、高耐久性等を示すものを用いる。また、二色性色素は、好ましくは、可視光は透過し、紫外線は遮蔽し、(遠)赤外線は低温度領域においては透過させ、高温度領域においては遮蔽するという機能を有したものが好ましい。
〈正の二色性色素〉
正の二色性色素は、S値が0超過1以下であり、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.6以上であり、特に好ましくは0.7以上(より好ましくは0.8以上)のものが用いられる。正の二色性色素の具体例としては、アントラキノン系色素(β位に二色性基を導入したものが好ましい)、アゾ系色素〔好ましくは、分子中央に、直線的なビスベンゾオキサゾール系ジアミンを導入;分子末端に二色性基(ベンゾチアゾール基、ビフェニル基;ジトラン基)を導入〕、アゾ化合物色素、トリスアゾ化合物色素、及びナフトキノン系色素からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物が挙げられる。
前記正の二色性色素の具体例としては、以下の化学式で表される化合物の一又は二以上の混合物が挙げられ、使用される。
〈負の二色性色素〉
負の二色性色素は、S値が−1以上0未満であり、好ましくは−0.6以上−0.2以下、好ましくは−0.5程度のものが用いられる。正の二色性色素の具体例としては、アントラキノン系色素(α位に二色性基を導入したものが好ましい)、アゾ系色素が挙げられる。
前記負の二色性色素の具体例としては、以下の化学式で表される化合物の一又は二以上の混合物が挙げられ、使用される。
前記正の二色性色素又は負の二色性色素として上記した化合物及びその調製については、「液晶表示用二色性色素の合成と特性」(有機合成化学 第49巻第5号(1991)第403頁乃至第411頁;詫摩 啓輔 入里 義広 共著)に発表された内容を参考にしたものであり、この論文の内容は、本明細書において引用する。
二色性色素は、感温度型調光熱用組成物の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上30質量%以下であり、好ましくは0.2質量%以上10質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下である。当該含有量により、所望の可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)に伴って、二色性色素の配向変位により調光熱をより効果的に実現することができる。
(溶媒)
本発明にあっては、感温度型調光熱用組成物として任意の溶媒を添加してよい。溶媒は有機無機を問わず使用することができ、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒等が挙げられ、好ましくは、これらの群から選択される一種又は二種以上の混合物を使用することができる。
溶媒の添加量は、感温度型調光熱用組成物の全質量(100質量%)に対して、0.01質量%以上1.0質量%以下程度であってよい。
(添加剤)
本発明にあっては、必要に応じて、任意の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、配向膜又は空気界面のチルト角制御剤、カイラル剤、界面活性剤、触媒、増感剤、安定剤、連鎖移動剤、禁止剤、促進剤、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水剤、ハジキ防止剤、接着剤、流動改良材、脱泡剤、脱気剤、希釈剤、反応性希釈剤、補助剤、糖類、防黴剤、抗菌剤、殺菌剤、着色剤、又は顔料等の一種又は二種以上のものを含有してよい。
添加剤の添加量は、感温度型調光熱用組成物の全質量(100質量%)に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下程度であってよい。
(調光熱波長域)
本発明にあっては、ゲスト成分となる二色性色素を使用し、所望の光の波長帯域を調光熱するものである。調光熱する光の波長域は、適宜定めることが可能であるが、環境生活等を鑑みれば、380nm以上2,000nm以下程度の範囲である。
(調製・用途)
感温度型調光熱用組成物は、液晶成分、二色性色素を必須成分として、任意の添加剤、溶媒を用いて混合して、液晶配向する組成物として調製される。感温度型調光熱用組成物は、後記する感温度型調光熱材(素子)及び感温度型調光熱システムに使用される。
〔感温度型調光熱材(素子)〕
本発明による感温度型調光熱材(素子)は、少なくとも二枚の透明基板と、少なくとも二枚の配向膜と、前記二枚の配向材の間に存在する感温度型調光熱組成物とを備えてなるものである。
(感温度型調光熱組成物)
感温度型調光熱組成物は、上記に説明したのと同様であってよい。
(透明基材)
透明基材は、有機物、無機物を問わず、可視光、(遠)赤外光の波長における透過率が80%以上である透明基材を用いる。透明基材としては、ガラス基材、プラスチック基材が例示される。ガラス基材としては、例えば、アルカリガラス、無アルカリガラス等からなる基板を用いることができる。
プラスチック基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーアクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、オレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、アミド系ポリマー、ポリイミド等のイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アクリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー等のポリマーやこれらの混合物からなる基板を用いることができる。
透明基材の厚さは、特に限定されないが、ガラス基材の場合、0.1mm以上3mm以下程度であり、プラスチック基材の場合、通常10μm以上300μm以下程度であってよい。
(配向膜)
配向膜は、透明基材の内側(感温度型調光熱組成物を挟持する側)に形成されてなるものである。配向膜となる材料としては、ポリビニルアルコール、ポリイミド、シランカップリング剤、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメタアクリレートなどの化合物が用いられる。配向膜の形成方法としては、塗布、スピンコートー、無機化合物の蒸着、有機化合物のラングミュア・ブロジェット法形成、ボトムアップ型グラフト重合法、グラフトオン方式などが用いられ、ポリマーブラシ型の膜形成も可能である。
前記配向膜には必要に応じてラビング処理を行うことが可能である。透明基材上に、前記配向膜となる材料を常法により製膜し、ラビング配向処理したものが挙げられる。前記ラビング処理によれば、所望の配向及びプレチルトを容易に得ることができる。
また、本発明にあっては、透明基材上に、光配向材料を塗布し、所定の照射処理を施して、光配向膜を形成してもよい。光配向材料としては、光配向性単位を有するマレイミド及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物、光架橋性シラン誘導体、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、またはエステル、光二量化可能な化合物(特にシンナメート化合物、カルコン化合物、クマリン化合物)が好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、エステル、シンナメート化合物、カルコン化合物が挙げられる。
配向膜の厚さは、適宜定めることが可能であるが、0.01μm以上10μm以下程度であってよい。
(任意の層)
本発明にあっては、所望に応じて、その他の任意の層(材)を備えてもよい。
〈偏光板〉
本発明にあっては、偏光板を一枚以上使用することによって、通常の透過率をさらに低下させることが可能である。偏光板は、ポリビニールアルコール等、様々な物又は様式が用いられる。また、偏光板を使用する際の偏光板の透過軸は、上記二色性色素が有する吸収軸と一致させることが望ましい。その手法として、上記、ラビング手法を用いて、上記液晶組成物がプラナー配向をなす際は一方向への配向、即ち、ホモジニアス配向を有するように処理してなることが望ましい。
〈UV遮蔽剤(材)〉
本発明にあっては、好ましくは、紫外線(UV)遮蔽剤(材)を使用することが好ましく、例えば、紫外線吸収剤(フィルム)又は紫外線反射材等を使用することが可能である。例えば、ZnO、TiO、CeOなどの機能性粒子を含有した膜(フィルム)、誘電体多層膜等を透明基材に別途設置することにより達成することが可能である。また、前記機能性粒子を添加剤として、感温度型調光熱組成物前記液晶組成物の添加剤として添加することが可能である。
〔感温度型調光熱システム〕
本発明にあっては、感温度型調光熱材(素子)を用いて透明基材の調光熱をするシステムを提案することができる。
本発明による感温度型調光熱システムは、一又は複数の感温度型調光熱材を使用します。そして、前記感温度型調光熱組成物が温度変化を感応して、前記感温度型調光熱組成物において、予め設定した温度に対して、前記設定温度より低い温度領域においては前記液晶成分がホメオトロピック配向をなし、前記設定温度より高い温度領域においては前記液晶成分がプラナー配向をなすアンカーリングトランジションの配向変位を形成し、そして、前記アンカーリングトランジションによる配向変位に伴って、前記二色性色素の配向変位により光の透過を調整するものである。
本発明は、外部電極、配線、電界等の物理的手法を全く使用しないため、既存の調光熱技術であるエレクトロクロミック技術(アクティブ方式:電界駆動式)と比較して、システムを単純化でき、その結果、施工容易性、低コスト化等を図ることができ、早期実用化が期待される。また、大きな開口部を透明基材により施工する際、また乗り物等の開口部(窓、シールド材)においても、環境変化に対応した調光熱を可能とする。特に、内燃機関を有さず、外部電力を使用することが困難な乗り物にあっては、外部環境に迅速に応答して調光熱できるものであれば、外部エネルギーの有効活用及び内部エネルギーの省エネとなる。

Claims (12)

  1. 感温度型調光熱用組成物であって、
    液晶成分と、二色性色素とを含んでなり、
    前記液晶成分が、予め定めた温度又は温度範囲に対して、低温度領域においてはホメオトロピック配向をなし、高温度領域においてはプラナー配向をなす可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)をなすものであり、
    前記アンカーリングトランジションによる配向変位に伴って、前記二色性色素の配向が変位することにより光及び/又は熱の透過を調整するものである、感温度型調光熱用組成物。
  2. 前記予め定めた温度が−20℃以上60℃以下の温度範囲において定められた可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)温度であり、
    前記予め定めた温度範囲が−20℃以上60℃以下の温度範囲において定められた可逆的配向変位(アンカーリングトランジション)温度範囲である、請求項1に記載の感温度型調光熱用組成物。
  3. 前記液晶成分が、下記構造式(I)で表されるものの一種又は二種以上の混合物である、請求項1又は2に記載の感温度型調光熱用組成物。
    T1−R1−C−R2−T1 構造式(I)
    〔上記構造式(I)中、
    R1及びR2は、同一又は異なるものであってよく、以下の環状構造からなる群から選択されてなる一種又は二種以上のものであり、
    (式中、XはF、Cl、Br及びFからなる群から選択されてなる一種又は二種以上のものである)
    Cは、以下の連結基の群から選択されてなる何れか一つであり、
    T1及びT2は、同一又は異なるものであってよく、以下の基からなる群から選択される一種又は二種以上のものであり、
    (式中、nは1以上18以下程度である)〕
  4. 前記液晶成分の含有量は、前記感温度型調光熱用組成物の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上30質量%以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
  5. 前記二色性色素が、アゾ系色素、アントラキノン系色素、シアニン系色素、アゾ金属錯体、フタロシアニン系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、ナフトキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、及びトリアリルメタン系色素等からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物である、請求項1〜4の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
  6. 前記二色性色素が、オーダーパラメーター(S値)が0.5以上である正の二色性色素、及び/又は、
    前記S値が−1以上0未満である負の二色性色素である、請求項1〜5の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
  7. 前記正の二色性色素が、アントラキノン系色素、アゾ系色素、アゾ化合物色素、トリスアゾ化合物色素、及びナフトキノン系色素からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物であり、
    前記負の二色性色素が、アントラキノン系色素、アゾ系色素からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物である、請求項1〜6の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
  8. 前記正の二色性色素が、以下の化学式で表される化合物の一又は二以上の混合物である、請求項1〜7の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
  9. 前記負の二色性色素が、以下の化学式で表される化合物の一又は二以上の混合物である、請求項1〜8の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
  10. 前記二色性色素の含有量は、前記感温度型調光熱用組成物の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上30質量%以下である、請求項1〜9の何れか一項に記載の感温度型調光熱用組成物。
  11. 感温度型調光熱材であって、
    少なくとも二枚の透明基基材と、少なくとも二枚の配向膜と、前記二枚の配向膜の間に存在する感温度型調光熱組成物とを備えてなり、
    前記感温度型調光熱組成物が、請求項1〜10の何れか一項に記載されたものである、感温度型調光熱材。
  12. 感温度型調光熱システムであって、
    請求項11に記載された感温度型調光熱材を使用し、
    前記感温度型調光熱組成物が温度変化を感応し、
    前記感温度型調光熱組成物において、予め定めた温度又は温度範囲に対して、低温度領域においては前記液晶成分がホメオトロピック配向をなし、高温度領域においては前記液晶成分がプラナー配向をなすアンカーリングトランジションの配向変位を形成し、
    前記アンカーリングトランジションによる配向変位に伴って、前記二色性色素の配向変位により光及び/又は熱の透過を調整することを含んでなる、感温度型調光熱システム。
JP2018225463A 2018-11-30 2018-11-30 感温度型調光熱用組成物、それを用いた感温度型調光熱材及び感温度型調光熱システム Pending JP2020084149A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018225463A JP2020084149A (ja) 2018-11-30 2018-11-30 感温度型調光熱用組成物、それを用いた感温度型調光熱材及び感温度型調光熱システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018225463A JP2020084149A (ja) 2018-11-30 2018-11-30 感温度型調光熱用組成物、それを用いた感温度型調光熱材及び感温度型調光熱システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020084149A true JP2020084149A (ja) 2020-06-04

Family

ID=70906634

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018225463A Pending JP2020084149A (ja) 2018-11-30 2018-11-30 感温度型調光熱用組成物、それを用いた感温度型調光熱材及び感温度型調光熱システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020084149A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023063408A1 (ja) * 2021-10-14 2023-04-20 日本化薬株式会社 アントラキノン化合物、該化合物を含む液晶組成物及び調光素子

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023063408A1 (ja) * 2021-10-14 2023-04-20 日本化薬株式会社 アントラキノン化合物、該化合物を含む液晶組成物及び調光素子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Guo et al. Preparation of a thermally light-transmittance-controllable film from a coexistent system of polymer-dispersed and polymer-stabilized liquid crystals
JP6673471B2 (ja) 液晶ウィンドウ及びこれを含む光学素子
JP3315476B2 (ja) 光学補償シート及びその製造方法、並びにそれを用いた液晶表示素子
JP6557940B2 (ja) 光学素子
US5827449A (en) Liquid-crystal mixtures, process for their preparation and their use
Oh et al. A cholesteric liquid crystal smart window with a low operating voltage
US20170336663A1 (en) Bistable liquid crystal dispersion devices comprising metal-organic mesogens and applications thereof
WO2003083523A2 (en) Switchable electro-optical laminates
Ranjkesh et al. Fabrication of a single-substrate flexible thermoresponsive cholesteric liquid-crystal film with wavelength tunability
JP2000258772A (ja) 液晶表示装置
KR950014737B1 (ko) 액정조성물, 액정소자 및 액정소자의 제조방법
JP4869755B2 (ja) 調光材料及び調光方法
JP2020084149A (ja) 感温度型調光熱用組成物、それを用いた感温度型調光熱材及び感温度型調光熱システム
CN111694197A (zh) 一种彩色双稳态调光器件
JP6938867B2 (ja) 温調装置及び調光シート
KR102590959B1 (ko) 광학 디바이스
KR102522184B1 (ko) 광변조 디바이스
JP7187758B2 (ja) 光学素子
JP2007197487A (ja) 液晶組成物、液晶素子、液晶表示素子、調光材料、及び表示方法
KR102590932B1 (ko) 광학 디바이스
JP2010144041A (ja) 液晶組成物及び調光材料
Guo et al. Hybrid-Aligned Liquid Crystal Polymers Adhered to the Polarizing Film or Doped with Dichroic Dye for Display Privacy Protection
JP2842172B2 (ja) 反射型表示素子
JP2018154704A (ja) 二色性化合物、液晶組成物および液晶素子
JPH05341288A (ja) 強誘電性液晶デバイス