以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態等は、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成要素については同じ符号を付している。
(実施の形態)
以下、実施の形態について、図2から図10Dを用いて説明する。なお、以下では、受け治具が支持する対象物100を基板として説明することが多いが、対象物100は基板に限らず、各種工業生産品等の一般製造工程で使用される工作物等であってもよい。
[受け治具]
まず、受け治具の構成について、図2から図6を用いて説明する。
図2は、実施の形態に係る受け治具80の一例を示す図である。なお、図2には、受け治具80の他に受け治具80に支持される対象物100も示されている。図2に示される対象物100には、6つの部品112が実装されているが、1〜5個の部品112が実装されてもよく、7個以上の部品112が実装されてもよい。
受け治具80は、対象物100を支持するための受け治具であり、3Dプリンタにより製造される。受け治具80は、3Dプリンタにより吐出された樹脂が積層されて造形されるため、多層構造を有する。多層構造の層数は、目的とする造形物の厚みにもよるが、例えば10層以上である。本実施の形態では、対象物100を少なくとも1つの部品112が実装された基板とし、当該基板は、対象物100に実装された部品112を凸形状として有する。したがって、受け治具80は、対象物100を部品112が実装された実装面110において支持する。なお、対象物100は、各種工業生産品等の一般製造工程で使用される工作物であってもよい。
受け治具80は、対象物100を支持する際に凸形状(部品112の凸形状)が嵌る凹部82を有する樹脂からなる。つまり、受け治具80自体が樹脂である。この樹脂については後述する図9及び図10A等で詳細に説明するが、熱可塑性樹脂に導電材料としてカーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体が配合された樹脂を用いて、3Dプリンタによって造形された樹脂である。受け治具80は、熱可塑性樹脂に導電材料としてカーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体が配合された樹脂が積層された多層構造を有する。受け治具80を構成する樹脂(単に、受け治具80とも呼ぶ)は、アスカーC型硬度計による硬度が65度から90度であり、かつ、体積抵抗率が102Ω・cmから107Ω・cmであり、かつ、対象物100との接触によって受け治具80に含まれるカーボンが剥離しないという特性を有する。言い換えると、受け治具80は、高導電性(静電気の除去能力)、柔軟性、及び、カーボンが剥離しないという特性を有する樹脂である。凹部82は、対象物100の凸形状が収まるように3Dプリンタによって形成される。凹部82の形状等は、例えば、±50μm〜1000μmの精度で形成される。これにより、対象物100の実装面110が受け治具80側を向いた状態で対象物100が受け治具80にセットされたときに、受け治具80は、実装面110上の部品112が凹部82に収まった状態で、対象物100を支持する。また、受け治具80の上面と下面の面粗度は水平が好ましいが、用途等によっては水平でなくても構わない。
図3は、実施の形態に係る受け治具80が対象物100を支持している状態を示す図である。
図3に示されるように、受け治具80が実装面110において対象物100を支持することで、実装面110の反対面120へのハンダペーストの印刷、部品112の実装、又は、反対面120での対象物100の検査等をすることができる。また、受け治具80が多面取り基板を支持することで、多面取り基板の分割をすることができる。
図4Aは、実施の形態に係る受け治具80が対象物100を支持している状態の一例を示す断面図である。図4Aには、図3に示されるIV−IV面における断面が示される。
図4Aに示されるように、受け治具80は、凹部82において部品112が凹部82の側面及び底面に接触しないように、対象物100を支持する。対象物100の部品112に無用な力がかからないようにするためである。例えば、凹部82の側面と部品112の側面とに約1.5mmから約2mmの隙間があり、凹部82の底面と部品112の上面とに約1mmから約4mmの隙間がある。また、図4Aに示されるように、凹部82は、凹部82の開口よりも小さい底面を有し、当該開口と当該底面との間から当該底面に向けて傾斜した壁面を有する。これにより、対象物100の凸形状が凹部82に嵌りやすくなる。なお、部品112が凹部82に接触していてもよい。これについて、図4Bを用いて説明する。
図4Bは、実施の形態に係る受け治具80が対象物100を支持している状態の他の一例を示す断面図である。図4Bには、図3に示されるIV−IV面における断面が示される。
図4Bに示されるように、受け治具80は、凹部82において部品112を包み込みながら対象物100を支持してもよい。また、凹部82は、図4Bに示されるように、凹部82の開口よりも小さい底面を有し、開口から底面に向けて傾斜した壁面を有していてもよい。つまり、凹部82は、逆錐台形状を有していてもよい。なお、凹部82は、部品112の形状に応じて、逆角錐台形状であってもよく、逆円錐台形状であってもよい。例えば、凹部82の底面は、凹部82に嵌められる部品112の上面(図4Bでの部品112の下側の面)と同じ大きさであり、凹部82は、底面から開口に向けて広がる形状を有していてもよい。凹部82がこのような形状を有することで、受け治具80は対象物100をしっかりと支持できるようになる。
また、受け治具80の構成について、図2に示されるものに限らない。
図5及び図6は、実施の形態に係る受け治具80の他の一例を示す図である。
図5に示されるように、受け治具80は、対象物100を支持する面に、当該面とは異なる面に繋がる孔83を有していてもよい。孔83は、例えば、受け治具80の底面又は側面に繋がる孔であり、基板等の対象物100が受け治具80に載置された後、孔83を介して真空引きされることで、対象物100を受け治具80に吸いつけることができる。例えば、基板等は反っていることがあり、反った状態で部品実装等が行われると不良が発生するおそれがあるが、孔83によって基板等の対象物100を受け治具80に吸いつけることで、基板等の反りを抑制して実装に係る不良の発生を抑制できる。
また、受け治具80が有する多層構造には、熱可塑性樹脂に導電材料としてカーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体が配合された樹脂の他に、金属、他の樹脂又は空間が含まれていてもよい。例えば、図6に示されるように、予め準備された金属又は他の樹脂からなる部材84の上に、3Dプリンタによって、熱可塑性樹脂に導電材料としてカーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体が配合された樹脂が積層されることで、土台部分が部材84となっている受け治具80が造形されてもよい。また、熱可塑性樹脂に導電材料としてカーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体が配合された樹脂の3Dプリンタでの積層中に、部材84が置かれ、部材84を覆うように当該樹脂がさらに積層されることで、受け治具80の内部に部材84が埋め込まれてもよい。また、受け治具80の内部に空間が設けられてもよい。3Dプリンタによる造形には一般的に時間がかかるが、受け治具80の一部を予め準備された部材84又は空間とすることで、その分造形にかかる時間を短縮できる。また、部材84が金属等である場合、部材84が支柱となって受け治具80の反りを抑制できる。なお、予め準備される部材84が熱可塑性樹脂に導電材料としてカーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体が配合された樹脂であってもよい。
なお、部材84は、棒状であってもよく、また板状であってもよく、形状は特に限定されない。
[製造システム]
次に、受け治具80の製造システムについて、図7を用いて説明する。
図7は、実施の形態に係る製造システム1の構成の一例を示す図である。なお、図7には、形成途中の受け治具80aが示されている。
製造システム1は、対象物100を指示するための受け治具80を製造する3Dプリンタを備える製造システムである。製造システム1が備える3Dプリンタは、樹脂10、ノズル20、ローラ30、樹脂リール40、ガイドチューブ50、スペーサ60、制御部70及びテーブル90を備える。なお、図7では、3Dプリンタの筺体等の図示を省略している。また、3Dプリンタは、ノズル20及びテーブル90を加熱するためのヒーターを備えるが、図示を省略している。例えば、制御部70は、一般的には、筺体内に設置されている。また、図7では、3Dプリンタが備える構成を模式的に示しており、例えば樹脂10(後述する紐形状のフィラメント)の径やノズル20のサイズを拡大して示している。
樹脂10は、熱可塑性樹脂に導電材料としてカーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体が配合された樹脂である。例えば、樹脂10は、紐形状のフィラメントである。例えば、樹脂10は、熱可塑性樹脂と導電材料とが配合されてペレット形状等にされた後、押出機等によって紐形状に連続的に押し出されることで、紐形状のフィラメントとなる。樹脂10(フィラメント)は、径は例えば1mm〜5mmである。なお、紐形状とは、円柱状であってもよく、角柱状であってもよい。また、紐形状とは、板状であってもよい。なお、樹脂10が供給される際の形状は、紐形状のフィラメントに限らず、例えば、ペレット形状(丸型粒子形状又は変形形状)等であってもよく、樹脂10が供給される際の形状については特に限定されない。なお、樹脂10が供給される際の形状がペレット形状等の場合、紐形状の場合と比べて形成が容易であり、コストを低減し得る。
ノズル20は、後述する制御部70によって制御され、樹脂10を溶融し、溶融した樹脂10を吐出することで、受け治具80を造形する。具体的には、ノズル20は、目的とする受け治具80の形状に合わせて移動しながら溶融した樹脂10を吐出することで、受け治具80を造形する。ノズル20に供給された樹脂10は加熱されて溶融した状態で吐出される。ノズル20は、図7に示されるように、筒状若しくは漏斗状、又は、筒状若しくは漏斗状に基づく形状を有する。なお、筒状若しくは漏斗状に基づく形状とは、筒状若しくは漏斗状に変形を加えたような形状である。このような形状により、ノズル20からの熱輻射を抑制できる。また、ノズル20の形状及び溶融した樹脂10が吐出される開口は、樹脂10の特徴に合わせて適宜設定される。例えば、ノズル20は、スペーサ60を備えており、スペーサ60は、ノズル20において発生した高熱が、ノズル20に供給される前の樹脂10へ伝熱しないように設けられる。これにより、樹脂10は、ノズル20に供給される前に溶けてしまうことが抑制される。なお、図示していないが、3Dプリンタは、ノズル20の熱が樹脂リール40側へ伝わって、ノズル20外で樹脂10が溶融しないように風を発生するファンを備えていてもよい。ノズル20において樹脂10を加熱する際の温度(ノズル20の温度とも呼ぶ)は、例えば、60度から450度であり、好ましくは150度から270度であり、より好ましくは240度から270度である。例えば、ノズル20の温度は、245度又は260度である。なお、ノズル20の温度が、例えば、240度から270度であることが好ましい理由については後述する。
ローラ30は、2つのローラによって樹脂10(フィラメント)を挟み、樹脂10をノズル20へ送り出すように構成されている。例えば、ローラ30の表面には、摩擦抵抗を高めるための溝が掘られている。なお、ローラ30の表面には、溝が掘られる加工に限らず、樹脂10をスムーズに送り出すことができるような加工がされていればよい。
樹脂リール40は、製造システム1(後述する製造方法)に用いられる樹脂リールであって、樹脂10とリールを備える。樹脂10は、上述したように例えば紐形状のフィラメントである。当該リールには、紐形状のフィラメントである樹脂10が巻かれており、樹脂リール40が回転することで、樹脂10をノズル20へスムーズに供給することができる。なお、図示しないが、製造システム1は、樹脂10(フィラメント)をノズル20に供給する際に、フィラメントの弛みを抑制するためのテンションアームを備えていてもよい。これにより、フィラメントの弛みが抑制されて、フィラメントをよりスムーズにノズル20に供給できる。
ガイドチューブ50は、樹脂10をガイドするためのチューブである。ガイドチューブ50の形状は、例えば円形であるが、当該形状は樹脂10の形状に合わせて適宜選択される。なお、本実施の形態では、3Dプリンタは、ガイドチューブ50を備えているが、ガイドチューブ50を備えていなくてもよい。
制御部70は、ノズル20の位置、配向、樹脂10の加熱温度(ノズル20の温度)、溶融した樹脂10の吐出量、樹脂10の充填割合及びテーブル90の温度等の指令を出力する。なお、3Dプリンタでは、一般的に、造形物の内部を全て樹脂で埋めないことが多く、例えばハニカム状又は格子状等のパターンで充填していく。このときの充填密度のことを充填割合と呼んでいる。充填割合は、例えば、30%から90%であり、好ましくは30%から60%であり、より好ましくは40%から50%である。例えば、充填割合は、40%又は50%である。なお、充填割合が、例えば、30%から60%であることが好ましい理由については後述する。
例えば、製造システム1には、入出力装置(キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル又はディスプレイ等)が設けられており、これらの情報が入力される。例えば、制御部70は、これらの情報及び受け治具80の三次元形状に関するデータに基づいて、ノズル20に樹脂10を溶融させ、また、吐出させ、受け治具80を造形する。
テーブル90は、吐出された樹脂10を受けるテーブルであり、テーブル90上で受け治具80が造形される。受け治具80の造形中に、テーブル90上に積層された樹脂10がテーブル90から剥がれないように、また、受け治具80に反りが生じないように、テーブル90の温度が調整される。テーブル90の温度は、例えば、60度から110度であり、好ましくは70度から110度である。例えば、テーブル90の温度は、80度、90度又は100度である。なお、テーブル90の温度が、例えば、70度から110度であることが好ましい理由については後述する。
以上説明したような製造システム1によって、アスカーC型硬度計による硬度が65度から90度であり、かつ、体積抵抗率が102Ω・cmから107Ω・cmであり、かつ、対象物100との接触によって受け治具80に含まれるカーボンが剥離しない受け治具80は製造される。なお、受け治具80は、ルータ等により削ることができ、3Dプリンタでの受け治具80の製造後に、容易に凹部82の形状の修正が行える。
[製造方法]
次に、実施の形態に係る、対象物100を支持するための受け治具80を製造する製造方法について、図8を用いて説明する。
図8は、実施の形態に係る製造方法の一例を示すフローチャートである。当該製造方法は、3Dプリンタを用いて受け治具80を製造するステップを含み、図8には、当該製造するステップに含まれる溶融するステップ及び造形するステップが示される。
まず、3Dプリンタが備えるノズル20は、熱可塑性樹脂に導電材料としてカーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体が配合された樹脂10を溶融する(ステップS11:溶融するステップ)。溶融するステップにおいて溶融される樹脂10については、後述する図9、図10A及び図10Bで説明する。
次に、ノズル20は、溶融した樹脂10を吐出することで、アスカーC型硬度計による硬度が65度から90度であり、かつ、体積抵抗率が102Ω・cmから107Ω・cmであり、かつ、対象物100との接触によって受け治具80に含まれるカーボンが剥離しない受け治具80を造形する(ステップS12:造形するステップ)。造形するステップにおいて受け治具80を造形する際の条件については、後述する図10Cで説明する。また、造形するステップで造形された受け治具80の物性については、後述する図10Dで説明する。
例えば、制御部70によってノズル20等が制御されることで、上記各ステップが行われる。
なお、造形するステップでは、金属若しくは樹脂(上記樹脂10であってもよく、その他の樹脂であってもよい)の部材84の上に、又は、部材84が受け治具80の内部に埋め込まれるように受け治具80を造形してもよい。
例えば、予め土台としてテーブル90の上に部材84を準備しておき、造形するステップでは、部材84の上に溶融した樹脂10が吐出されて、土台部分が部材84である受け治具80が造形されてもよい。また、例えば、造形するステップでは、溶融した樹脂10が吐出されて積層中の樹脂10上に部材84が置かれ、部材84を覆うように樹脂10がさらに積層されることで、部材84が受け治具80の内部に埋め込まれてもよい。
また、例えば、造形するステップでは、溶融した樹脂10の吐出時にワイヤー状の金属等の部材84を同時に供給することでワイヤー状の部材84に溶融した樹脂10を絡みつかせ、ワイヤー状の部材84と部材84に絡みついた樹脂10とで受け治具80を造形することで、部材84が受け治具80の内部に埋め込まれてもよい。
また、例えば、溶融するステップでは、ワイヤー状の部材84に巻きつけられた樹脂10を溶融し、造形するステップでは、溶融した樹脂10と部材84とを吐出して受け治具80を造形することで、部材84が受け治具80の内部に埋め込まれてもよい。
また、造形するステップでは、受け治具80の内部に空間ができるように受け治具80を造形してもよい。つまり、受け治具80の一部が中空となっていてもよい。
[樹脂]
次に、受け治具80を構成する樹脂について図9を用いて説明する。
図9は、実施の形態に係る製造方法における配合例の一例を示す図である。
溶融するステップで溶融する樹脂10は、熱可塑性樹脂に導電材料が配合(均一分散配合:以下、均一配合とも言う)された樹脂である。なお、均一とは、完全に均一はもとより、実質的に均一であることも含む意図である。なお、熱可塑性樹脂に導電材料を均一分散して樹脂10を配合することは、受け治具80が、アスカーC型硬度計による硬度が65度から90度であり、かつ、体積抵抗率が102Ω・cmから107Ω・cmであり、かつ、対象物100との接触によって受け治具80に含まれるカーボンが剥離しない特性を有するための1つの条件となり得る。
図9に示されるように、熱可塑性樹脂に対して、導電材料の重量部は、0.01重量部から20重量部である。なお、これは、受け治具80が、体積抵抗率が102Ω・cm〜107Ω・cmとなるための1つの条件となり得る。例えば、導電材料が、多層カーボンナノチューブの場合、熱可塑性樹脂に対して、導電材料の重量部は、0.3重量部から20重量部であり、単層カーボンナノチューブの場合、0.01重量部から5重量部である。
熱可塑性樹脂は、例えば、低分子量ポリエチレン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、又は、ポリアミド系熱可塑性エラストマーである。熱可塑性樹脂は、好ましくはスチレン系熱可塑性エラストマーである。また、熱可塑性樹脂は、好ましくはアスカーA型硬度計による硬度が30度から70度である。なお、熱可塑性樹脂が、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーであること、また、アスカーA型硬度計による硬度が30度から70度であることが好ましい理由については後述する。
また、導電材料は、カーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体である。
なお、樹脂10に流動性を持たせるために、流動性向上剤が配合されてもよい。例えば、流動性向上剤の重量部は、熱可塑性樹脂に対して、0.1重量部から20重量部である。流動性向上剤は、例えば、ポリエチレンワックス、エステルワックス、又は、脂肪酸ワックスである。なお、流動性向上剤は、界面活性剤であってもよい。
このようにして配合された樹脂10は、上述した製造システム1における3Dプリンタでの受け治具80の造形のために用いられる。
[配合例及び造形例]
以下、本発明者らが、アスカーC型硬度計による硬度が65度から90度であり、かつ、体積抵抗率が102Ω・cmから107Ω・cmであり、かつ、対象物100との接触によって受け治具80に含まれるカーボンが剥離しない受け治具80を製造するために試行錯誤した配合例及び造形例について、図10Aから図10Dを用いて説明する。
図10Aは、配合例1〜3を示す図である。図10Bは、配合例1〜3について、配合された樹脂の物性を示す図である。図10Cは、配合例1〜3で配合された樹脂を用いたときの造形例1〜6を示す図である。図10Cに示されるプリンタ機種について、A〜Dはそれぞれ互いに異なる機種であることを示している。図10Dは、造形例1〜6について、造形された受け治具(受け治具を構成する樹脂)の物性を示す図である。図10Dに示される総合評価が合格のものは、目的とする特性を有する受け治具80を作成できたことを意味する。
まず、図10Aの配合例1に示されるように、熱可塑性樹脂としてアスカーA型硬度計による硬度が75度のビニル系エラストマーと、導電材料として多層カーボンナノチューブとが92:8となるように配合された。配合例1に係る樹脂の物性は、図10Bの配合例1に示されるように、アスカーC型硬度計による硬度が90度、アスカーA型硬度計による硬度が85度、JIS K7210で規定されたMFR(Melt Flow Rate)が0.31g/10min、体積抵抗率が50×104Ω・cmとなった。なお、受け治具の最終的な硬度及び体積抵抗率は、3Dプリンタでの造形時の条件によって変わるが、図10Bでは、3Dプリンタによって受け治具の形状に造形される前の状態の樹脂の硬度及び体積抵抗率を参考までに記載している。そして、配合例1に係る樹脂が紐形状のフィラメントに加工され、図10Cに示される造形例1に係る条件の3Dプリンタを用いて受け治具が造形された。図10Dに示されるように、配合例1に係る樹脂を用いて造形例1に係る条件で受け治具を造形した場合、アスカーC型硬度計による硬度については90度となり合格であるが、表面抵抗率については5.1×1012Ω/Sqとなり、総合評価は不合格となった。なお、表面抵抗率は5.1×1012Ω/Sqと高くなっており、体積抵抗率が107Ω・cmよりも高いことが明らかであるため、体積抵抗率についての測定を省略している。また、配合例1では、MFRが0.31g/10minと低くなっており、流動性が悪くそもそも造形しにくいという問題があった。
そこで、まずは流動性の問題を改善すべく、図10Aの配合例2に示されるように、熱可塑性樹脂としてMFRの高いスチレン系エラストマーと、導電材料として多層カーボンナノチューブと、流動性向上剤としてポリエチレンワックスとが90:8:2となるように配合された。配合例2におけるスチレン系エラストマーは、アスカーA型硬度計による硬度が65度であり、これをスチレン系エラストマーAとしている。配合例2に係る樹脂の物性は、図10Bの配合例2に示されるように、アスカーC型硬度計による硬度が93度、アスカーA型硬度計による硬度が87度、MFRが15.87g/10min、体積抵抗率が5.0×105Ω・cmとなり、流動性の問題については改善した。そして、配合例2に係る樹脂が紐形状のフィラメントに加工され、図10Cに示される造形例2に係る条件の3Dプリンタを用いて受け治具が造形された。図10Dに示されるように、配合例2に係る樹脂を用いて造形例2に係る条件で受け治具を造形した場合、アスカーC型硬度計による硬度については90度となり合格であるが、表面抵抗率については2.5×1011Ω/Sq、体積抵抗率については4.9×109Ω・cmとなり総合評価は不合格となった。なお、以降、造形された受け治具について、アスカーA型硬度計による硬度も測定している。造形例2で造形された受け治具のアスカーA型硬度計による硬度は75度であった。
次に、図示していないが、体積抵抗率を改善するために、配合例2における多層カーボンナノチューブの配合量を10%に増やして、造形例2に係る条件で受け治具を造形したが、硬度が高く、また、MFRが小さくなったため、スチレン系エラストマーAを用いた受け治具の造形を断念した。
次に、図10Aの配合例3に示されるように、熱可塑性樹脂として、スチレン系エラストマーAよりも硬度が低いスチレン系エラストマーB(アスカーA型硬度計による硬度が45度)と、導電材料として多層カーボンナノチューブと、流動性向上剤としてポリエチレンワックスとが88:10:2となるように配合された。配合例3に係る樹脂の物性は、図10Bの配合例3に示されるように、アスカーC型硬度計による硬度が92度、アスカーA型硬度計による硬度が85度、MFRが3.94g/10min、体積抵抗率が38Ω・cmとなり、流動性の問題はなかった。そして、配合例3に係る樹脂が紐形状のフィラメントに加工され、図10Cに示される造形例3に係る条件の3Dプリンタを用いて受け治具が造形された。図10Dに示されるように、配合例3に係る樹脂を用いて造形例3に係る条件で受け治具を造形した場合、表面抵抗率については1.7×106Ω/Sq、体積抵抗率については8.1×105Ω・cmとなり合格であるが、アスカーC型硬度計による硬度については92度(アスカーA型硬度計による硬度は80度)と硬すぎる硬度となり総合評価は不合格となった。
このように、流動性及び体積抵抗率については合格したため、次に、硬度の問題を改善するために、造形時の条件について検討した。
配合例3に係るフィラメントについて、図10Cに示される造形例4に係る条件の3Dプリンタを用いて受け治具が造形された。造形例4は、造形例3に対して充填割合が100%から50%に減少している。図10Dに示されるように、配合例3に係る樹脂を用いて造形例4に係る条件で受け治具を造形した場合、アスカーC型硬度計による硬度は75度(アスカーA型硬度計による硬度は66度)となり合格となった。また、表面抵抗率は2.6×106Ω/Sq、体積抵抗率は3.5×106Ω・cmとなり総合評価は合格となった。なお、受け治具に反りがないことが好ましく、例えば、平坦度は±0.1以下であることが好ましい。例えば、テーブル90の温度が低いと反りが大きくなり得るが、造形例4に係るテーブル90の温度が80度では平坦度は±0.1以下となっており、反りという観点でも合格している。
また、総合評価が合格となるような他の造形例に係る条件についても、検討した。
配合例3に係るフィラメントについて、図10Cに示される造形例5に係る条件の3Dプリンタを用いて受け治具が造形された。造形例5は、充填割合が50%、ノズル20の温度が245度、テーブル90の温度が100度である。造形例5について造形例4と比べて、ノズル20の温度が260度から245度に減少し、テーブル90の温度が80度から100度に増加している。図10Dに示されるように、配合例3に係る樹脂を用いて造形例5に係る条件で受け治具を造形した場合、表面抵抗率は4.8×106Ω/Sq、体積抵抗率は3.3×106Ω・cm、アスカーC型硬度計による硬度は82度(アスカーA型硬度計による硬度は72度)となり総合評価は合格となった。また、造形例5に係るテーブル90の温度が100度では平坦度は±0.1以下となっており、反りという観点でも合格している。
配合例3に係るフィラメントについて、図10Cに示される造形例6に係る条件の3Dプリンタを用いて受け治具が造形された。造形例6は、充填割合が40%、ノズル20の温度が260度、テーブル90の温度が90度である。造形例6について造形例4と比べて、充填割合が50%から40%に減少し、テーブル90の温度が80度から90度に増加している。図10Dに示されるように、配合例3に係る樹脂を用いて造形例6に係る条件で受け治具を造形した場合、表面抵抗率は8.0×105Ω/Sq、体積抵抗率は1.3×105Ω・cm、アスカーC型硬度計による硬度は80度(アスカーA型硬度計による硬度は70度)となり総合評価は合格となった。また、造形例6に係るテーブル90の温度が90度では平坦度は±0.1以下となっており、反りという観点でも合格している。
なお、図10Dにおいて、総合評価が合格となっている受け治具は、対象物との接触によってカーボンが剥離しないという特性も有していた。
また、総合評価が合格となった配合例及び造形例について、多層カーボンナノチューブの配合量6%としても、全て総合評価が合格となった。
以上の結果をまとめると、以下の(1)から(4)の条件のいずれかを満たすことで、受け治具80が、アスカーC型硬度計による硬度が65度から90度であり、かつ、体積抵抗率が102Ω・cmから107Ω・cmであり、かつ、対象物100との接触によって受け治具80に含まれるカーボンが剥離しない特性を有しやすくなると考えられる。
(1)熱可塑性樹脂は、スチレン系熱可塑性エラストマーである。
(2)熱可塑性樹脂は、アスカーA型硬度計による硬度が30度から70度である。
(3)造形するステップでは、受け治具80を構成する樹脂の充填割合が30%から60%となるように、受け治具80を造形する。
(4)溶融するステップでは、240度から270度の温度(ノズル20の温度)で樹脂を溶融する。
また、造形するステップでは、70度から110度のテーブル90上で受け治具80を造形することで、受け治具80の反りを抑制できる。
なお、各配合例では、導電材料として多層カーボンナノチューブが用いられたが、単層カーボンナノチューブまたはグラフェンが用いられてもよい。また、各配合例では、流動性向上剤としてポリエチレンワックスが用いられたが、エステルワックス、又は、脂肪酸ワックス等が用いられてもよい。
[効果等]
本実施の形態に係る製造方法は、対象物100を支持するための受け治具80を製造する製造方法であって、3Dプリンタを用いて受け治具80を製造するステップを含む。製造するステップでは、3Dプリンタが備えるノズル20が、熱可塑性樹脂に導電材料としてカーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体が配合された樹脂10を溶融するステップ(図8のステップS11)と、ノズル20が溶融した樹脂10を吐出することで、アスカーC型硬度計による硬度が65度から90度であり、かつ、体積抵抗率が102Ω・cmから107Ω・cmであり、かつ、対象物100との接触によって受け治具80に含まれるカーボンが剥離しない受け治具80を造形するステップ(図8のステップS12)と、を含む。
これにより、受け治具80は、サポートピン又は切削による受け治具を作成する場合と比べて、3Dプリンタによって容易に作成される。また、受け治具80は、アスカーC型硬度計による硬度が65度から90度である柔軟性のある樹脂からなるため、受け治具80が支持している対象物100へ傷又はストレス等を与えない。さらに、受け治具80は、体積抵抗率が102Ω・cm〜107Ω・cmである樹脂からなるため、対象物が部品112の実装された対象物100等の場合でも、静電気による静電破壊を抑制できる。さらに、導電材料がカーボンナノチューブ又はグラフェン等の炭素同素体であるため、受け治具80を構成する樹脂がカーボン配合樹脂の場合と比べて、カーボンの剥離に対する強度が高くなる。したがって、カーボンの剥離によるゴミが発生せず、対象物100が基板等の場合に、ゴミによる基板上の不要な短絡等の市場不良の発生を抑制できる。このように、静電気の除去能力を有し、かつ、柔軟性を有し、かつ、カーボンの剥離によるゴミが発生しない受け治具を3Dプリンタによって製造できる。
また、カーボンナノチューブ又はグラフェンが配合された樹脂10を用いて造形された受け治具80は、カーボンナノチューブ又はグラフェンが配合されていない樹脂によって造形された受け治具と比べて、放熱性が約2.5倍改善し、また、収縮しにくい。
放熱性が改善することで、3Dプリンタでの造形中の受け治具が波打った形状となったり、反ったりしにくくなる。言い換えると、カーボンナノチューブ又はグラフェンが配合されていない樹脂によって造形された受け治具は、造形時の受け治具の波打った形状又は反りにより、受け治具として使用しにくい。つまり、波打ち又は反りが低減されることで、対象物100(基板等)の電子部品の実装面の平坦度を確保することができ、電子部品の実装時の実装不良を低減できる。
また、受け治具80が収縮しにくいことで、受け治具80の寸法精度を高めることができる。例えば、受け治具80の収縮によって凹部82に対象物100の凸形状等が嵌りにくいといった不具合を低減できる。
また、溶融するステップで溶融する樹脂10は、熱可塑性樹脂に導電材料が均一分散配合された樹脂であってもよい。また、熱可塑性樹脂は、スチレン系熱可塑性エラストマーであってもよい。また、熱可塑性樹脂は、アスカーA型硬度計による硬度が30度から70度であってもよい。また、造形するステップでは、受け治具80を構成する樹脂の充填割合が30%から60%となるように、受け治具80を造形してもよい。また、溶融するステップでは、240度から270度の温度で樹脂を溶融してもよい。
これらにより、また、これらを組み合わせることにより、受け治具80が、アスカーC型硬度計による硬度が65度から90度であり、かつ、体積抵抗率が102Ω・cmから107Ω・cmであり、かつ、対象物100との接触によって受け治具80に含まれるカーボンが剥離しない特性を有しやすくなる。
また、造形するステップでは、70度から110度のテーブル90上で受け治具80を造形してもよい。
これによれば、受け治具80の反りを抑制できる。
また、造形するステップでは、金属若しくは樹脂の部材84の上に、又は、部材84が受け治具80の内部に埋め込まれるように受け治具80を造形してもよい。
3Dプリンタによる造形には一般的に時間がかかるが、受け治具80の一部を例えば予め準備された部材84とすることで、その分受け治具80の造形にかかる時間を短縮できる。また、部材84が金属等である場合、部材84が支柱となって受け治具80の反りを抑制できる。
また、造形するステップでは、受け治具80の内部に空間ができるように受け治具80を造形してもよい。
これによれば、受け治具80の一部を空間とすることで、その分受け治具80の造形にかかる時間を短縮できる。
また、熱可塑性樹脂に対して、導電材料の重量部は、0.01重量部から20重量部であってもよい。
これにより、受け治具80を構成する樹脂の体積抵抗率を102Ω・cm〜107Ω・cmにし得る。
また、導電材料は、多層または単層カーボンナノチューブであってもよい。
また、樹脂10は、さらに、熱可塑性樹脂に流動性向上剤が配合された樹脂であってもよい。流動性向上剤は、ポリエチレンワックス、エステルワックス、又は、脂肪酸ワックスであってもよい。
これにより、樹脂10に流動性を持たせることができる。
また、本実施の形態に係る製造システム1は、対象物100を支持するための受け治具80を製造する3Dプリンタを備えるシステムである。3Dプリンタは、熱可塑性樹脂に導電材料としてカーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体が配合された樹脂10と、樹脂10を溶融し、溶融した樹脂10を吐出することで、アスカーC型硬度計による硬度が65度から90度であり、かつ、体積抵抗率が102Ω・cmから107Ω・cmであり、かつ、対象物100との接触によって受け治具80に含まれるカーボンが剥離しない受け治具80を造形するノズル20と、を備える。
これによれば、静電気の除去能力を有し、かつ、柔軟性を有し、かつ、カーボンの剥離によるゴミが発生しない受け治具を3Dプリンタによって製造できる。
また、本実施の形態に係る受け治具80は、対象物100を支持するための受け治具80であって、熱可塑性樹脂に導電材料としてカーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体が配合された樹脂10が積層された多層構造を有し、アスカーC型硬度計による硬度が65度から90度であり、かつ、体積抵抗率が102Ω・cmから107Ω・cmであり、かつ、対象物100との接触によって受け治具80に含まれるカーボンが剥離しない。
これによれば、静電気の除去能力を有し、かつ、柔軟性を有し、かつ、カーボンの剥離によるゴミが発生しない受け治具を提供できる。
また、多層構造には、樹脂10の他に、金属、他の樹脂又は空間が含まれていてもよい。
これによれば、受け治具80の一部を例えば予め準備された部材84又は空間とすることで、その分受け治具80の造形にかかる時間を短縮できる。また、部材84が金属等である場合、部材84によって受け治具80の反りを抑制できる。
また、受け治具80は、対象物100を支持する面に、当該面とは異なる面に繋がる孔83を有していてもよい。
これによれば、孔83によって基板等の対象物100を受け治具80に吸いつけることができ、対象物100の反りを解消して電子部品の実装面の平坦度を確保することができ、電子部品の実装時の実装不良を低減できる。
また、対象物100は、凸形状を有し、受け治具80は、対象物100を支持する際に凸形状が嵌る凹部82を有し、凹部82は、凹部82の開口よりも小さい底面を有し、当該開口と当該底面との間から当該底面に向けて傾斜した壁面を有していてもよい。
これによれば、対象物100の凸形状が凹部82に嵌りやすくなる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る製造方法及び製造システム1について説明したが、本発明は、上記実施の形態等に限定されるものではない。
例えば、本発明は、上記製造方法に用いられる樹脂リール40によって実現されてもよい。樹脂リール40は、熱可塑性樹脂に導電材料(カーボンナノチューブ又はグラフェン)が配合された樹脂10であって、紐形状のフィラメントと、リールと、を備え、リールには当該フィラメントが巻かれている。
例えば、上記実施の形態では、製造システム1は、樹脂10、ノズル20、ローラ30、樹脂リール40、ガイドチューブ50、スペーサ60、制御部70及びテーブル90を備えたが、これに限らない。例えば、製造システム1は、少なくとも樹脂10及びノズル20を備えていればよい。
また、例えば、樹脂10は、熱可塑性樹脂に導電材料としてカーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体が配合された樹脂であるが、当該導電材料に当該熱可塑性樹脂が巻きつけられたものであってもよい。そして、溶融するステップにおける溶融によって当該熱可塑性樹脂と当該導電材料とが配合されてもよい。
また、例えば、樹脂10は、熱可塑性樹脂であるが、将来的に熱硬化性樹脂による3Dプリンタが実現された際には、熱硬化性樹脂であってもよい。
また、例えば、樹脂10は、アスカーC型硬度計による硬度が65度から90度であるが、好ましくは、70度から90度、75度から90度、80度から90度、または、85度から90度であってもよい。
さらに、製造方法は、熱可塑性樹脂に導電材料としてカーボンナノチューブ又はグラフェンを含む炭素同素体を配合するステップ、配合された樹脂10を紐形状のフィラメントに加工するステップ、紐形状のフィラメントである樹脂10をリールに巻くステップ、及び、樹脂リール40に巻かれた樹脂10を3Dプリンタが備えるローラ30によってノズル20へ送り出すステップの少なくとも1つを含んでいてもよい。
また、例えば、それらのステップは、コンピュータ(コンピュータシステム)によって実行されてもよい。そして、本発明は、それらの方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本発明は、そのプログラムを記録したCD−ROM等である非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
例えば、本発明が、プログラム(ソフトウェア)で実現される場合には、コンピュータのCPU、メモリおよび入出力回路等のハードウェア資源を利用してプログラムが実行されることによって、各ステップが実行される。つまり、CPUがデータをメモリまたは入出力回路等から取得して演算したり、演算結果をメモリまたは入出力回路等に出力したりすることによって、各ステップが実行される。
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。