JP2020080764A - 発酵産物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一般生菌、大腸菌群、土壌菌及びその他の雑菌等の繁殖を抑制し、人体に対する安全性に優れ、粉砕効率の向上及び製造コストの低減が可能な発酵産物及びその製造方法の提供。【解決手段】原料を100℃〜160℃の範囲で焙煎S1した焙煎原料に含水S3させた後、菌類を接種して発酵S5させ、さらに100℃〜150℃の範囲で再焙煎S7してなるものであり、前記原料が穀類、豆類、ナッツ類又はこれらの混合物であり、前記菌類が麹菌、テンペ菌又は乳酸菌である、発酵産物。【選択図】図1

Description

本発明は、発酵産物及びその製造方法に関し、より詳細には、一般生菌や大腸菌群等による汚染を防止し、粉砕効率の向上及び生産コストの低減に優れた発酵産物及びその製造方法に関するものである。
穀類、豆類及びナッツ類は、栄養価の高い食品である。これらの食品は、麹菌、テンペ菌(リゾープス菌)及び乳酸菌等で発酵させることで、みそ、しょう油及びテンペ(テンペ菌を用いた発酵食品。非特許文献1及び2参照)等の種々の発酵食品に加工される。また、これらの発酵食品は一般食品や健康食品の原料として使用される。
発酵食品は穀類等を真菌類等で発酵させたものであるため、その他の一般生菌、大腸菌群、耐熱性を有する芽胞菌等を含む土壌菌、及びその他の雑菌(以下、「雑菌等」という場合がある。)の殺菌除去に関しては、これまで厳しく要求されてこなかった。しかし近年、発酵食品の安全性に対し関心が高まっており、雑菌等に対するチェックが厳しくなっている。特に、完成品には指定菌以外の菌が混入されてはならない。
ここで、麹菌やテンペ菌を用いた発酵食品としての発酵大豆は、一般的に次の通り製造される。即ち、先ず、生の大豆を水に1時間〜15時間浸漬し、大豆に含水させる。その後、大豆を70℃〜90℃の温度範囲で蒸煮又は煮沸する。その後、大豆を放冷し、麹菌やテンペ菌等の菌株を埴菌して大豆を発酵させる。発酵は、菌種や原材料等に応じて、例えば24時間〜100時間の範囲で行われる。
しかし、発酵の際、大豆表面に僅かでも雑菌等が付着していると、目的の発酵大豆を得ることが困難になるばかりか、雑菌の繁殖に起因して発酵大豆が腐敗することがある。ここで、繁殖した雑菌が土壌菌である場合には、その除去が一層困難になることもある。例えば、土壌菌の一種である芽胞菌は耐熱性菌であり、高温で加熱しないと殺菌が困難である。従って、前述の様な方法で得られる発酵大豆では、一般生菌や大腸菌群の他、土壌菌等も検出される場合があり、人体に対する安全性が問題となっている。
「発酵大豆、テンぺイ(Tempeh)の栄養価に関する研究(総説)」、大阪市立大学家政学部紀要、18、p.19〜33(1971) 「大豆発酵食品Tempeh(テンペイ)について」、Tezukayama College food sciences、7、p.45〜53(1985)
本発明は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、一般生菌、大腸菌群、土壌菌及びその他の雑菌等の繁殖を抑制し、人体に対する安全性に優れ、粉砕効率の向上及び製造コストの低減が可能な発酵産物及びその製造方法を提供することにある。
本発明に係る発酵産物は、前記の課題を解決するために、原料を100℃〜160℃の範囲で焙煎した焙煎原料に含水させた後、菌類を接種して発酵させ、さらに100℃〜150℃の範囲で再焙煎してなるものであり、前記原料が穀類、豆類、ナッツ類又はこれらの混合物であり、前記菌類が麹菌、テンペ菌又は乳酸菌であることを特徴とする。
例えば、焙煎していない生の原料を用いた場合、当該原料には一般生菌、大腸菌群、耐熱性を有する芽胞菌等を含む土壌菌、及びその他の雑菌(以下、「雑菌等」という場合がある。)が付着していることがある。その様な原料を、例えば、高温で蒸煮等しても、耐熱性を有する土壌菌等が残存する結果、得られる発酵産物に雑菌等が繁殖する場合がある。しかし、前記構成の発酵産物は、生の原料を100℃〜160℃の範囲で焙煎した焙煎原料から得られるものであるため、雑菌等は予め滅菌又は殺菌して除去されている。これにより、雑菌等の残存を防止し、麹菌又はテンペ菌からなる菌類を接種して原料を発酵させる際には、雑菌等が麹菌、テンペ菌及び乳酸菌の増殖を阻害するのを抑制する。
尚、焙煎の際の下限温度を100℃以上にすることにより、原料に付着している雑菌を滅菌し又は殺菌することができる。特に、耐熱性を有する土壌菌等を低減又は除去することができる。その一方、焙煎の際の上限温度を160℃以下にすることにより、原料の炭化が防止され、成分の熱分解が抑制される。
また、前記構成の発酵産物は、従来行っていた高温での蒸煮や水煮を行うことなく得られるものである。すなわち、前記構成の発酵産物は、焙煎原料を原料とすることで、蒸煮等の処理に代えて、焙煎原料に水を含浸させるだけで、その後の発酵を可能にしたものである。
さらに、前記構成の発酵産物は、麹菌、テンペ菌又は乳酸菌からなる菌類で発酵させた後の原料を、100℃〜150℃の範囲で再焙煎させて得られるものである。これにより、発酵過程で増殖した麹菌、テンペ菌又は乳酸菌からなる菌類や、雑菌等が滅菌又は殺菌して除去された発酵産物が得られる。また再焙煎により、残存する油脂分が熱分解され、さらに水分も取り除かれるので、発酵産物を粉粒体にする場合には、短時間での粉砕が可能な発酵産物が得られる。
すなわち、前記構成であると、菌類による汚染を防止し、人体に対する安全性に優れ、粉砕効率の向上及び製造コストの低減が可能な発酵産物が得られる。
尚、再焙煎の際の下限温度を100℃以上にすることにより、発酵過程で増殖した麹菌、テンペ菌又は乳酸菌からなる菌類や、雑菌等を滅菌し又は殺菌することができる。さらに、油脂分が熱分解により低減又は除去され、水分も取り除かれるので、発酵産物を粉砕して粉粒体にする場合には、短時間で容易に粉砕することが可能になり、簡便に発酵産物の粉粒体を得ることができる。その一方、再焙煎の際の上限温度を150℃以下にすることにより、原料の炭化が防止され、成分の熱分解を抑制することができる。
前記構成の発酵産物に於いては、さらに、前記再焙煎後に粉砕した粉粒体からなるものであってもよい。これにより、本発明に係る発酵産物を健康食品として顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の種々の剤形への適用が可能になる他、パンやケーキなど一般食品の栄養価の高い原材料として用いることができる。
また、前記の構成に於いては、前記焙煎原料に含水させる水の温度が45℃〜70℃の範囲であることが好ましい。焙煎原料に水を含浸させる(含水させる)ことで、菌類を用いた発酵を可能にする。ここで、含浸させる水の温度を45℃以上にすることにより、発酵初期の温度が低下し過ぎるのを防止することができ、さらに焙煎原料による含水の速度(含水速度)を上げることができる。その一方、水の温度を70℃以下にすることにより、焙煎原料及び菌類にとって発酵当初の適正な発酵温度を維持することができる。
本発明に係る発酵産物の製造方法は、前記の課題を解決するために、原料を100℃〜160℃の範囲で焙煎して焙煎原料を製造する焙煎工程と、前記焙煎原料を水に浸漬させる浸漬工程と、前記浸漬工程後の焙煎原料に菌類を接種して発酵させる発酵工程と、前記発酵工程後の焙煎原料を、100℃〜150℃の範囲で再焙煎する再焙煎工程とを少なくとも含み、前記原料として穀類、豆類、ナッツ類又はこれらの混合物を用い、前記菌類として麹菌、テンペ菌又は乳酸菌を用いることを特徴とする。
前記の構成に於いては、先ず、生の原料の焙煎工程を行う。これにより、一般生菌、大腸菌群、耐熱性を有する芽胞菌等を含む土壌菌、及びその他の雑菌が原料に付着し存在していたとしても、これらの雑菌等を滅菌又は殺菌することができる。その結果、麹菌、テンペ菌又は乳酸菌からなる菌類を埴菌して原料を発酵させる際には、雑菌がこれらの菌類の増殖を阻害するのを抑制する。尚、焙煎の温度を100℃以上にすることにより、耐熱性を有する土壌菌等の滅菌又は殺菌を可能にし、当該土壌菌等が残留するのを防止することができる。その一方、焙煎の温度を160℃以下にすることにより、原料の炭化が防止され、成分の熱分解を抑制することができる。
次に、従来行っていた高温での蒸煮や水煮の処理に代えて、焙煎原料に水を含浸させる浸漬工程を行う。前記構成の製造方法であると、焙煎原料を原料に用いることで、蒸煮等の処理に代えて、焙煎原料に水を含浸させるだけで、その後の発酵を可能にする。
続いて、浸漬工程後の焙煎原料に、麹菌、テンペ菌又は乳酸菌からなる菌類を接種して発酵させる(発酵工程)。さらに、発酵工程後の焙煎原料を、100℃〜150℃の範囲で再焙煎する(再焙煎工程)。これにより、浸漬工程や発酵工程の際に付着した雑菌を滅菌又は殺菌して除去することができる。また、発酵工程で用いた麹菌、テンペ菌又は乳酸菌も滅菌又は殺菌して除去することができる。さらに、再焙煎により残存する水分や油脂分も熱分解されるので、発酵産物を粉粒体にしたい場合には、その後の粉砕工程を短時間で容易に行うことができる。尚、再焙煎の温度を100℃以上にすることにより、雑菌等や、発酵工程で増殖した麹菌、テンペ菌又は乳酸菌も滅菌又は殺菌することができる。その一方、再焙煎の温度を150℃以下にすることにより、原料の炭化が防止され、成分の熱分解を抑制することができる。また、原料中に含まれる油脂分の熱分解が可能になる。さらに、水分も除去され、その後の粉砕工程での粉砕を容易に行うことができる。
以上により、前記構成であると、雑菌等による汚染を防止し、発酵後の麹菌、テンペ菌又は乳酸菌を排除して人体に対する安全性に優れた発酵産物を、粉砕効率を向上させると共に、製造コストを低減させて製造することが可能な発酵産物の製造方法を提供することができる。
前記の構成に於いては、前記再焙煎工程後の焙煎原料を粉砕し、粉粒体を製造する粉砕工程をさらに含むことが好ましい。これにより、粉末化した発酵産物を製造することが可能になる。その結果、健康食品として、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の種々の剤形への適用が可能になる他、パンやケーキ等の材料として、さらに一般食品に添加するなど栄養価の高い原材料として用いることができ、用途の自由度が向上する。
前記の構成に於いては、前記浸漬工程に於ける前記水の温度が45℃〜70℃の範囲内であることが好ましい。焙煎原料に含浸させる水の温度を45℃以上にすることにより、発酵初期の温度が低下し過ぎるのを防止することができ、さらに焙煎原料による含水の速度(含水速度)を上げることができる。その一方、水の温度を70℃以下にすることにより、焙煎原料及び菌類にとって発酵当初の適正な発酵温度を維持することができる。
本発明は、発酵産物に用いる原料として生の原料ではなく、当該生の原料を100℃〜160℃の範囲で焙煎した焙煎原料を用いる。これにより、生の原料に付着している一般生菌、大腸菌群、耐熱性を有する芽胞菌等を含む土壌菌、その他の雑菌を滅菌又は殺菌することができる。また従来は、原料に対し高温で蒸煮又は水煮を行っていたが、本発明ではこれらの処理に代えて、焙煎原料に水を含浸させるだけで、麹菌又はテンペ菌からなる菌類を用いた発酵が可能になる。さらに、本発明では、菌類で発酵させた後の原料に対し、100℃〜150℃の範囲で再焙煎を行う。これにより、本発明では、含水や発酵後に付着した雑菌等の滅菌又は殺菌も可能になる。また、再焙煎を行うことにより、発酵後の焙煎原料に含まれる水分や油脂分を熱分解することができる。その結果、例えば、発酵産物を粉粒体にしたい場合には、発酵産物の粉砕が容易となり、短時間での粉砕を可能にする。これにより、健康食品等の顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の種々の剤形への適用が可能になる他、一般食品に添加するなど栄養価の高い原材料として用いることができ、用途の自由度を向上させることができる。すなわち、本発明であると、雑菌等や、発酵に用いた麹菌、テンペ菌又は乳酸菌が滅菌又は殺菌されており、長期の保存にも耐えることができる。さらに、人体に対する安全性に優れ、粉砕効率の向上及び製造コストの低減が可能な発酵産物及びその製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係る発酵産物の製造方法を説明する為のフローチャート図である。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る発酵産物及びその製造方法について、図1に基づき以下に説明する。図1は、本実施の形態1に係る発酵産物の製造方法を説明する為のフローチャート図である。
本実施の形態に係る発酵産物は、菌類で原料を発酵させてなるものである。その製造方法は、図1に示すように、焙煎工程S1、洗浄工程S2、浸漬工程S3、水滴除去工程S4、発酵工程S5、乾燥工程S6、再焙煎工程S7及び粉砕工程S8を少なくとも含む。
前記原料は、穀類、豆類、ナッツ類又はこれらの混合物からなる。原料は、その種皮が剥がれ易く、鮮度の高いものが好ましい。
前記豆類としては特に限定されず、例えば、大豆、黒豆、ピーナッツ等のタンパク質及び脂肪を主成分とするものや、小豆、そら豆、えんどう豆、うずら豆等の澱粉及びタンパク質を主成分とするもの等が挙げられる。
前記穀類としては特に限定されず、例えば、米(玄米)、鳩麦、大麦、ライ麦、とうもろこし、あわ、ひえ等の他、そば等が挙げられる。
前記ナッツ類としては特に限定されず、例えば、栗、くるみ、銀杏、椎、アーモンド、カカオ、ココナッツ、マカデミアナッツ等が挙げられる。
前記焙煎工程S1は、生の原料の中心部分まで十分に加熱される様に焙煎する。これにより、浸漬工程S3で得られる含水後の焙煎原料は、従来の蒸煮を行ったときと同様の状態にすることができる(浸漬工程S3の詳細については、後述する。)。原料に付着している一般生菌、大腸菌群、耐熱性を有する芽胞菌等を含む土壌菌、及びその他の雑菌(以下、「雑菌等」という場合がある。)の滅菌及び/又は殺菌を目的として行われる。これにより、発酵工程S5に於いて、目的の菌類の増殖を向上させることができる。
また、焙煎工程S1は、原料に含まれる油脂分を熱分解する。これにより、粉砕工程S8での粉砕時間の短縮が図れる。
焙煎温度は、原料の種類や焙煎時間等の諸条件に応じて100℃〜160℃の範囲内で設定され、好ましくは120℃〜150℃、より好ましくは140℃〜150℃である。焙煎温度を100℃以上にすることにより、原料に付着している雑菌等を低減し又は除去することができる。その一方、焙煎温度を160℃以下にすることにより、原料の炭化を防ぎ、原料に含まれる栄養素等の成分の熱分解を抑制することができる。
焙煎時間は、焙煎装置、原料の種類、焙煎装置への原料の投入量、及び焙煎温度等の諸条件に応じて適宜設定される。焙煎時間は、具体的には、30分〜1時間30分の範囲内が好ましい。焙煎時間を30分以上にすることにより、原料に付着している雑菌の滅菌又は殺菌を良好に行うことができる。その一方、焙煎時間を1時間30分以下にすることにより、原料の炭化を防ぎ、原料に含まれる栄養素の熱分解を抑制することができる。
焙煎方法としては特に限定されず、例えば、直火焙煎、熱風焙煎、遠赤外線焙煎、マイクロ波焙煎、過熱水蒸気焙煎、砂焙煎等が挙げられる。また、これらの焙煎方法を組み合わせた、半直火焙煎(熱風焙煎と直火焙煎)、炭火焙煎(熱風焙煎と遠赤外線焙煎)、セラミック焙煎(直火焙煎と遠赤外線焙煎)等が挙げられる。また、前記焙煎装置としても特に限定されず、例えば、棚式乾燥機、コンベア式乾燥機、ロータリーシェフ等の回転ドラム型乾燥機、回転V型乾燥機等が挙げられる。
前記洗浄工程S2は、焙煎工程S1後の焙煎原料を洗浄するための工程である。例えば、焙煎工程での焙煎方法をセラミック焙煎で行った場合には、焙煎原料にセラミックの粉末が付着していることがある。また、焙煎原料の一部が焦げていることもある。洗浄工程S2では、これらを除去することで、不純物等の含有を抑制した焙煎原料を得ることができる。
洗浄方法としては特に限定されないが、常温の水道水を用いて、極力短時間で漬け洗いをするか、又は流水で洗い流す程度であることが好ましい。
前記浸漬工程S3は、洗浄工程S2後の焙煎原料に水を含浸させる工程である。これにより、後述の発酵工程S5での発酵を可能にする。焙煎原料への水分量は、発酵工程S5に於いて、焙煎原料の発酵が十分に進行するよう原料の種類や用いる菌類の種類に応じて設定され得る。
含浸させる水の温度は45℃〜70℃の範囲の温水であることが好ましく、50℃〜65℃であることがより好ましい。水の温度を45℃以上にすることにより、発酵工程S5での発酵当初の発酵温度が低下し過ぎるのを防止することができ、さらに焙煎原料による含水の速度(含水速度)上げることができる。その一方、水の温度を70℃以下にすることにより、焙煎原料及び菌類にとって発酵当初の適正な発酵温度を維持することができる。
浸漬時間は、原料の種類や焙煎原料に含水させたい水分量に応じて適宜設定することができる。原料が大豆の場合、浸漬時間は10分〜50分の範囲内であることが好ましい。本実施の形態の製造方法は、短時間の浸漬で、発酵工程S5の実施を可能にする。この点、従来の大豆を用いた発酵産物の製造では、原料の発酵前に当該原料をアルファ化(糊化)するため、高温で長時間の水煮又は蒸煮を行っていた。従って、本実施の形態の製造方法であると、製造時間の短縮化が図られ、製造効率を向上させることができる。また、原料の有効成分の溶出を防止して発酵産物を製造することが可能になる。
浸漬工程S3では、雑菌の増殖の抑制を目的として、pH調整を行ってもよい。pH調整は、pH調整液を添加して処理液を酸性化することで行う。pH調整後の水のpH値は3〜5の範囲内が好ましく、4.8〜5の範囲内がより好ましい。
浸漬工程S3は、焙煎原料の水分量が発酵に適した量に達したときに終了するのが好ましい。水分量は、原料の種類や用いる菌類の種類に応じて設定され得る。
水滴除去工程S4は、浸漬工程S3後に、含水後の焙煎原料の水切りを目的として行う工程である。水滴除去工程S4は、発酵工程S5での発酵の進行を促進させるため、焙煎原料表面の水分を取り除く。水切りの方法としては特に限定されず、例えば、ざるきり、遠心分離等が挙げられる。また、水滴除去工程S4に於いては、含水後の焙煎原料の温度が、適正温度より下がらない様に行うのが好ましい。
浸漬工程S3及び水滴除去工程S4後の焙煎原料に於ける水分量は、全質量に対し40質量%〜57質量%の範囲内が好ましく、43質量%〜55質量%の範囲内がより好ましく、45質量%〜53質量%の範囲内が特に好ましい。前記水分量を40質量%以上にすることにより、発酵工程S5に於ける発酵の適性水分量にすることができる。その一方、前記水分量を57質量%以下にすることにより、雑菌の増殖を抑制することができる。
前記発酵工程S5は、水滴除去工程S4後の焙煎原料に菌類(種菌)を埴菌した後、当該菌類で焙煎原料を発酵させる工程である。
前記菌類としては、麹菌、テンペ菌又は乳酸菌が用いられる。ここで、テンペ菌としては、Rhizopus oligosporus、Rhizopus oryzae、Rhizopus arrhizus等のRhizopus属菌が挙げられる。
菌類の接種方法は特に限定されず、例えば、水滴除去工程S4後の原料の表面に菌類の純粋培養胞子を適量散布し、原料中に均一に分散するよう十分に攪拌して行う。菌類の散布量(添加量)は、菌類の種類等に応じて適宜設定すればよい。
菌類の接種後、一定の発酵条件下で菌類による原料の発酵を行う。発酵条件は、用いる菌類に最適な条件下で行うのが好ましい。
例えば、発酵室内等の発酵の際の周囲の温度(発酵温度)は、原料の種類や菌種、外気温度等の諸条件に応じて適宜設定することができる。通常は、27℃〜35℃の範囲内であり、好ましくは28℃〜34℃の範囲内、より好ましくは28℃〜33℃の範囲内である。発酵温度を27℃以上にすることにより、テンペ菌等の増殖が阻害されるのを防止することができる。その一方、発酵温度を35℃以下にすることにより、目的菌以外の増殖を防止することができる。
発酵時間は、原料の種類や菌種等に応じて適宜設定することができる。従来の発酵時間は、通常、大豆を用いた麹菌による発酵の場合、48時間〜72時間の範囲内であり、大豆を用いたテンペ菌による発酵の場合は、20時間〜25時間の範囲内である。しかし、本実施の形態は焙煎原料を用いた発酵であるため、一定時間以上かけて、焙煎原料の内部まで発酵及び熟成を行う必要がある。例えば、大豆の焙煎原料を用いた麹菌による発酵の場合、発酵時間は好ましくは42時間〜96時間の範囲内であり、より好ましくは48時間〜90時間の範囲内である。また、大豆の焙煎原料を用いたテンペ菌による発酵の場合は、発酵時間は好ましくは18時間〜72時間の範囲内であり、より好ましくは24時間〜66時間の範囲内である。
また、テンペ菌としてRhizopus属菌を用いる場合、Rhizopus属菌は通気性菌であるため、その成長には適度な酸素を必要とする。例えば、密閉された環境下で発酵させない等、酸素を過度に制限しないことで、テンペ菌の菌糸の伸びが抑制されるのを防止することができる。
前記乾燥工程S6は、発酵工程S5後の焙煎原料(以下、「発酵原料」という。)を乾燥する工程である。乾燥方法としては特に限定されず、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥等が可能である。本実施の形態に於いては、焙煎工程S1により原料を焙煎した焙煎原料を用いている。そして、発酵工程S5では、菌類の増殖が十分に可能な水分及び湿度が、発酵工程S5の終了まで要求される。そのため、浸漬工程S3では、焙煎原料に一定程度の水を十分に含浸させる必要がある。よって、乾燥工程S6における乾燥時間及び乾燥温度等の乾燥条件は、焙煎原料に含浸させた水が、発酵原料の全質量に対し、例えば、8質量%以下程度となる様に設定されていれば、特に限定されない。
前記再焙煎工程S7は、乾燥工程S6後の発酵原料(以下、「乾燥原料」という。)を再焙煎することにより、発酵工程S5で増殖した菌類(培養目的菌)、及び雑菌等の滅菌及び/又は殺菌を目的として行われる。この再焙煎工程S7を行うことにより、一層安全性に優れた発酵産物を得ることができる。
また、再焙煎工程S7は乾燥原料の完全乾燥を図るものであり、乾燥工程S6後の乾燥原料の水分量をさらに低減させることができる。さらに、乾燥原料に含まれる油脂分の熱分解も行う。これにより、乾燥原料を脆く壊れやすい状態にし、粉砕工程S8での粉砕を一層容易にする。その結果、粉砕時間の更なる短縮を可能にする。再焙煎後の乾燥原料(以下、「再焙煎原料」という。)の水分量は、再焙煎原料の全質量に対し3質量%〜8質量%の範囲内であり、好ましくは3質量%〜5質量%である。再焙煎原料の水分量を3質量%以上にすることにより、粉砕効率を向上させることができる。また、前記水分量を8質量%以下にすることにより、粉砕工程S8での粉砕が容易となり、粉砕時間を短縮することができ、発酵産物の粉粒体を容易に得ることができる。
再焙煎工程S7での焙煎温度は、原料の種類や再焙煎時間等の諸条件に応じて100℃〜150℃の範囲内で設定され、好ましくは110℃〜140℃、より好ましくは120℃〜135℃の範囲内である。再焙煎温度を100℃以上にすることにより、乾燥原料の中心部分まで十分に乾燥することができる。また、菌類や雑菌等を良好に滅菌又は殺菌することができる。さらに、乾燥原料に含まれる水分量を一層減少させ、油脂分も熱分解により減少させることができる。その一方、再焙煎温度を150℃以下にすることにより、乾燥原料の炭化を抑制することができる。
再焙煎時間は、焙煎装置、原料の種類、焙煎装置への乾燥原料の投入量、及び再焙煎温度等の諸条件に応じて適宜設定される。再焙煎時間は、具体的には、5分〜30分の範囲内が好ましく、5分〜20分の範囲内がより好ましい。再焙煎時間を5分以上にすることにより、再焙煎原料の水分量を3質量%以上にすることができる。その一方、再焙煎時間を30分以下にすることにより、再焙煎原料の炭化が防止され、成分の熱分解を抑制することができる。
再焙煎方法及び焙煎装置としては、前記焙煎工程S1で述べたのと同様のものが挙げられる。従って、その詳細について説明を省略する。
前記粉砕工程S8は、再焙煎工程S7後の再焙煎原料を粉砕して粉粒体(穀物粉体)にする工程である。これにより、本実施の形態に係る発酵産物を顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の種々の剤形に適用可能にする。また、一般食品の原材料にも適用することができ、広範囲の需要が望める可能にする。
前記乾燥工程S7では、乾燥原料の完全乾燥により水分の完全な除去が図られており、また油脂分についても熱分解により低減が図られている。そのため、粉砕工程S8に於いては、再焙煎原料の粉砕が極めて容易であり、粉砕時間の短縮化を可能にし、粉砕効率の向上が図られる。
粉砕方法としては特に限定されず、機械式粉砕、気流式粉砕が挙げられる。機械式粉砕としては、例えば、石臼、ロールミル、ハンマーミル及びピンミル等を用いた回転衝撃式粉砕、ボールミル及び振動ミル等を用いたタンブラー式粉砕等が挙げられる。気流式粉砕は、高圧高容量の圧縮空気を粉砕室に噴射し、音速域の高速気流によって乾燥原料同士及び乾燥原料と装置内壁等とを衝突させて粉砕する方式である。気流式粉砕では、粉砕による発熱の影響を抑制しながら微粉砕できる利点がある。各粉砕方法に於いては、粉砕機の構造と運転条件によって粉砕状態が異なり、粉砕物の物性、性状に大きな相違が生じることが通常である。本実施の形態の場合、再焙煎原料の成分の劣化や変質を抑制することが必要となる。所望の平均粒径を有する粉粒体を得ることが機械式粉砕機だけでは困難な場合には、気流式粉砕機を併用することで微粉砕化が可能になる。
粉粒体の平均粒径や最大粒径については特に限定されず、用途等に応じて適宜設定することができる。
以上により、本実施の形態に係る粉粒体の発酵産物を得ることができる。本実施の形態の発酵産物は、一般生菌、大腸菌群、土壌菌、及びその他の雑菌はもとより、発酵に用いた菌類も除外し又は消失し、微生物による腐敗などの危険を排除し保存性を高めたものである。人体に対する安全性に優れた発酵食品として提供することができる。より具体的には、例えば、菌類としてテンペ菌を用い、原料として大豆を用いた場合には、人体に対する安全性に優れたテンペを提供することができる。また、菌類として麹菌を用い、原料として大豆を用いた場合には、人体に対する安全性に優れた豆麹を提供することができる。尚、本実施の形態の発酵産物は粉粒体であるので、例えば、健康食品等の顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の種々の剤形への適用が可能になる。また、パンやケーキ等と混合するなどして一般食品の原材料に適用することも可能であり、用途の自由度が高い。
尚、本実施の形態に於いては、粉粒体からなる発酵産物の場合を例にして説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。本発明の発酵産物は、前記再焙煎工程S7後に得られる再焙煎原料からなるものをも含む。
また、各工程で説明したそれぞれの実施条件は、原料の品質等を考慮して、予めサンプルテスト等を行った上で設定するのが好ましい。原料の品質は、原料に付着している雑菌の種類や付着量、原料の種類、産地、生産者及び収穫時期などの要因により差が生じるためである。
(実施例1)
本実施例においては、原料として生大豆(品種名:フクユタカ)を用いた。
先ず、生大豆1kgを回転式炒め機(ロータリークッカー、タニコー(株)製)に投入し、釜を回転させながら150℃まで上昇させ、その後10分間焙煎を行った(焙煎工程S1)。焙煎後、焙煎大豆を放冷し、皮や焦げ等の不純物を取り除いた。不純物等の除去した焙煎大豆の内、200gを浸漬工程S3後の水分量の測定のために網袋に封入した。
網袋に入れた測定用サンプルの焙煎大豆200gと、残りの焙煎大豆をステンレスボールに入れ、常温の水道水を散水しながらこれらを洗浄した(洗浄工程S2)。
続いて、測定用サンプルの焙煎大豆200gを入れた網袋と、残りの焙煎大豆とを、60℃の温水に浸漬させた(浸漬工程S3)。温水の温度調整には、投込みヒータを利用した。浸漬は、浸漬後の焙煎原料の質量が420g(水分量:52.38質量%)になるまで、温水の温度を60℃に維持した状態で33分間行った。
さらに、浸漬工程S3後の網袋を温水から取り出し、残りの焙煎原料も網袋と一緒に金属製のザルに取り出し、ザル内で焙煎大豆表面の水分が除去されるよう撹拌した。撹拌は、焙煎大豆が約33℃になるまで行った。
次に、焙煎大豆1000gに対し、テンペ菌が(PT.ANEKA FERMENTASI INDUSTRI)10g、コーンスターチが50gの配合割合となるように両者を混合した。その混合物を焙煎大豆上に散布し、テンペ菌を接種した。さらに、混合物が焙煎大豆中に均一に分散するよう十分に攪拌した。さらに、テンペ菌接種後の焙煎大豆を5等分した後、これらを袋(130mm×200mm×30mm)に入れた。袋には、表部分及び裏部分にそれぞれ直径が約2mmの貫通孔を2cmの離間間隔で設けたものを用いた。続いて、テンペ菌接種後の焙煎原料を入れた容器をインキュベーター((株)サンプラテック製)内で、温度32℃の環境下、42時間放置し、テンペ菌を用いた焙煎大豆の発酵を行った(発酵工程S5)。これにより、発酵大豆を得た。発酵大豆は、表面及び内部が、クモノスカビと呼ばれるテンペ菌の菌糸で蜘蛛の巣の様に絡み合って覆われていた。
続いて、発酵大豆の乾燥を行った(乾燥工程S6)。乾燥工程S6では、先ず、均一に乾燥するために発酵大豆を十分もみほぐして粒子状に解砕した。さらに、解砕後の発酵大豆を金網状のトレーに移し、熱風乾燥機内で乾燥させた。乾燥条件は、乾燥温度70℃、乾燥時間5時間とし、その後、熱風乾燥機内に15時間放冷した。
次に、乾燥工程S6後の乾燥大豆の再焙煎を行った。すなわち、前述の回転式炒め機に乾燥大豆を投入し、釜を回転させながら130℃まで上昇させ、その後15分間焙煎を行った(再焙煎工程S7)。再焙煎後、再焙煎大豆を放冷した。
続いて、再焙煎工程S7後の再焙煎大豆を粉砕機(サイレントミルサー(1FM−S30G)、岩谷産業(株)製)にて粉砕し、目開きが0.6mmの篩いにて整粒を行った(粉砕工程S8)。これにより、本実施例1に係る粉粒体状の発酵産物を得た。
(実施例2)
本実施例においては、菌類として、テンペ菌に代えて麹菌(アスペルギリスオリーゼ属、商品名:BF3号菌、(株)樋口松之助商店製)を用いた。また、焙煎工程S1〜水滴除去工程S4、再焙煎工程S7及び粉砕工程S8は、実施例1と同様にして行った。但し、発酵工程S5及び乾燥工程S6については、下記の通りに行った。
すなわち、焙煎大豆1000gに対し、麹菌が200mg、大豆粉が10gの配合割合となるように両者を混合した。その混合物を焙煎大豆上に散布し、麹菌を接種した。さらに、混合物が焙煎大豆中に均一に分散するよう十分に攪拌した。さらに、麹菌接種後の焙煎大豆を5等分した後、これらを網目プラスチックトレーに入れた。網目プラスチックトレーには、その底部にガーゼを敷き、当該網目プラスチックトレーの周囲もガーゼで囲った。そして、網目プラスチックトレーに入れた焙煎大豆もガーゼで覆い、さらにガーゼの上から水をスプレーで噴霧して湿らせた。続いて、麹菌接種後の焙煎大豆を入れた網目プラスチックトレーをインキュベーター((株)サンプラテック製)内で、温度32℃の環境下、16時間放置した。その後、麹菌の菌糸が確認され、品温も37℃まで上昇した後、網目プラスチックトレー内のガーゼで包まれた焙煎大豆を、上下で反転させた。さらに、ガーゼ内の焙煎大豆を撹拌し、通風状態が良好となるようにした。8時間後、同様の操作を繰り返して、ガーゼで包まれた焙煎大豆を上下で反転させ撹拌した。麹菌の埴菌から66時間後、発酵大豆を取り出し、発酵工程S5を終了した。発酵大豆は、麹菌の菌糸が絡み合い、大豆同士が結合した塊状となっていた。
続いて、発酵大豆の乾燥を行った(乾燥工程S6)。乾燥は、先ず、発酵大豆を十分もみほぐして粒子状に解砕した。さらに、解砕後の発酵大豆を金網状のトレーに移し、熱風乾燥機内で乾燥させた。乾燥条件は、乾燥温度70℃、乾燥時間5時間とし、その後、熱風乾燥機内に15時間放冷した。
以上により、本実施例2に係る粉粒体状の発酵産物を得た。
(実施例3)
本実施例においては、再焙煎工程S7を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例に係る粉粒体状の発酵産物を得た。
(比較例1)
本比較例においては、原料として生大豆(品種名:フクユタカ)を用いた。
先ず、生大豆1000gをステンレスボールに入れ、常温の水道水を散水しながらこれらを洗浄した。続いて、洗浄後の生大豆を、当該生大豆の4倍量の水に15時間浸漬させた。さらに、浸漬後の生大豆の皮剥きを行った。
次に、皮剥き後の生大豆の蒸煮を60分間行った。その後、35℃になるまで放冷し、水分を蒸発させた。さらに、実施例1の発酵工程S5の場合と同様にして、テンペ菌の発酵を行い、発酵大豆を得た。
続いて、発酵大豆の乾燥を行った。乾燥条件は、乾燥温度70℃、乾燥時間5時間とし、その後、熱風乾燥機内に15時間放冷した。これにより、本比較例に係る粉粒体状の発酵産物を得た。
(微生物検査)
実施例1、3及び比較例1で得られた各発酵産物に関し、一般細菌数、大腸菌群及びカビ数に関する微生物検査を行った。
<一般細菌数>
先ず、各発酵産物を10g計量し、その9倍量の希釈水を加え、検体を作製した。また、検体のpHは6〜8の範囲内となる様に調整した。
次に、2枚以上のシャーレにそれぞれ検体をメスピペットにより1mlずつ採り、これに標準寒天培地を約15mlずつ加えて十分に混合し、培地が固まるまで静置した。標準寒天培地としては、予め43℃〜50℃の範囲で加温溶解したものを用いた。
続いて、シャーレを倒置し、インキュベーター内に、温度35℃、48時間放置して培養を行った。培養後、検出されたコロニーをコロニーカウンターにて測定し、検体1g当たりの一般細菌数を算出した。結果を表1に示す。
<大腸菌群>
一般細菌数の検査の場合と同様にして、検体を作製した。
次に、2枚以上のシャーレにそれぞれ検体をメスピペットにより1mlずつ採り、これにデソキシコレート寒天培地を約15mlずつ加えて十分に混合し、培地が固まるまで静置した。デソキシコレート寒天培地としては、予め43℃〜50℃の範囲で加温溶解したものを用いた。
続いて、シャーレを倒置し、インキュベーター内に、温度35℃、48時間放置して培養を行った。培養後、検出されたコロニーをコロニーカウンターにて測定し、検体1g当たりの大腸菌群の菌数を算出した。結果を表1に示す。
<カビ数>
一般細菌数の検査の場合と同様にして、検体を作製した。
次に、クロラムフェニコールからなる抗生物質を添加したポテトデキストロース寒天平板培地に、検体を均一に塗抹した。さらに、温度23〜25℃で6日間放置し培養を行った。培養後、発生した集落数をカウントし、希釈倍率を乗じて、試料中のカビ数を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2020080764

Claims (6)

  1. 原料を100℃〜160℃の範囲で焙煎した焙煎原料に含水させた後、菌類を接種して発酵させ、さらに100℃〜150℃の範囲で再焙煎してなるものであり、
    前記原料が穀類、豆類、ナッツ類又はこれらの混合物であり、
    前記菌類が麹菌、テンペ菌又は乳酸菌である発酵産物。
  2. さらに、前記再焙煎後に粉砕した粉粒体からなる請求項1に記載の発酵産物。
  3. 前記焙煎原料に含水させる水の温度が45℃〜70℃の範囲である請求項1又は2に記載の発酵産物。
  4. 原料を100℃〜160℃の範囲で焙煎して焙煎原料を製造する焙煎工程と、
    前記焙煎原料を水に浸漬させる浸漬工程と、
    前記浸漬工程後の焙煎原料に菌類を接種して発酵させる発酵工程と、
    前記発酵工程後の焙煎原料を、100℃〜150℃の範囲で再焙煎する再焙煎工程とを少なくとも含み、
    前記原料として穀類、豆類、ナッツ類又はこれらの混合物を用い、
    前記菌類として麹菌、テンペ菌又は乳酸菌を用いる発酵産物の製造方法。
  5. 前記再焙煎工程後の焙煎原料を粉砕し、粉粒体を製造する粉砕工程をさらに含む請求項4に記載の発酵産物の製造方法。
  6. 前記浸漬工程に於ける前記水の温度が45℃〜70℃の範囲内である請求項4又は5に記載の発酵産物の製造方法。
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