JP2020080274A - 燃料電池システム - Google Patents

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美保 畑▲崎▼
Miho Hatasaki
美保 畑▲崎▼
茂樹 長谷川
Shigeki Hasegawa
茂樹 長谷川
山本 和男
Kazuo Yamamoto
和男 山本
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Abstract

【課題】燃料電池システムにおいて、交流インピーダンス法による水素濃度の検出精度を高める技術を提供する。【解決手段】燃料電池システムは、アノードに燃料ガスを供給し、カソードに酸化ガスを供給するガス供給部と、燃料電池セルの高周波インピーダンス及び低周波インピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、演算部と、を備える。演算部は、燃料電池セルの湿潤状態により個別に変化する高周波インピーダンスおよび低周波インピーダンスの湿度あたりの変化量を正規化する補正係数を記憶する記憶部と、補正係数を用いて高周波インピーダンスおよび低周波インピーダンスを正規化した上で、高周波インピーダンスおよび低周波インピーダンスの差分を演算する差分演算部と、演算した差分を用いて燃料ガスの濃度を求める濃度演算部と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池の高周波インピーダンスと低周波インピーダンスとの測定結果から、燃料電池内部への反応ガスの供給状態を把握する方法が知られている。各インピーダンスの測定結果は、プロトンの移動抵抗や電解質膜の乾湿状態といった燃料電池の各部の影響を受ける。そのため、例えば、特許文献1には、燃料電池の電解質膜の乾湿状態が変化する前後の高周波インピーダンスの変化比率に応じて低周波インピーダンスを比例補正することによって、燃料電池の乾湿状態の影響を低減する方法が記載されている。
特開2013−125604号公報
従来の手法によれば、反応ガスの濃度などを燃料電池の湿潤状態を考慮して検出できるものの、その精度を更に高めたいという要望があった。
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、触媒電極層が電解質膜の各面に形成された膜電極接合体を有する燃料電池セルを備える燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、前記燃料電池セルのアノードに燃料ガスを供給し、前記燃料電池セルのカソードに酸化ガスを供給するガス供給部と、前記燃料電池セルの高周波インピーダンス及び低周波インピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、前記測定した高周波インピーダンス及び低周波インピーダンスを用いて、前記燃料電池セルに供給される前記燃料ガスの濃度を検出する演算部と、を備える。前記演算部は、前記燃料電池セルの湿潤状態により個別に変化する前記高周波インピーダンスおよび低周波インピーダンスの湿度あたりの変化量を正規化する補正係数を記憶する記憶部と、前記補正係数を用いて、前記高周波インピーダンスおよび低周波インピーダンスを正規化した上で、前記高周波インピーダンスおよび低周波インピーダンスの差分を演算する差分演算部と、前記演算した差分を用いて、前記燃料ガスの濃度を求める濃度演算部と、を備える。
この形態の燃料電池システムによれば、燃料電池セルの乾湿状態による影響を除去した補正係数を用いて正規化することによって、燃料電池セルの電解質膜が乾燥するに従って生じる低周波インピーダンスと高周波インピーダンスとの上昇度合いの差を小さくできる。これにより、各インピーダンスに与える電解質膜の乾湿状態の影響を小さくしたうえで燃料ガスの濃度を求めることができる。したがって、交流インピーダンス法による水素濃度の検出精度を高めることができる。
本発明は、燃料電池システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、燃料電池システムの制御方法、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
第1実施形態の燃料電池システムの概略構成を表す説明図。 燃料電池システムの要部構成図。 セルの等価回路図。 セルの湿潤状態とインピーダンスとの関係を表すデータ。 セルの乾湿状態に対するインピーダンスの差分の値の変化を表すグラフ。 セルの水素濃度とアノード拡散抵抗との相関関係を表すグラフ。 燃料電池の水素濃度の算出処理を示すフローチャート。 ガス制御部が実行する水素濃度の調整制御を表すフローチャート。 水素濃度の調整制御による水素濃度の変化を模式的に表すグラフ。 ガス制御部が実行するアノードオフガスの排出制御を表すフローチャート。
A.第1実施形態:
図1および図2を用いて、本実施形態の燃料電池システム90の構成について説明する。図1は、第1実施形態の燃料電池システム90の概略構成を表す説明図である。燃料電池システム90は、電気自動車の一例である燃料電池車両に搭載され、図示しない車両走行用のモータ等の負荷に電力を供給する駆動用電源システムとして用いられる。燃料電池システム90は、定置型電源システムとして用いられてもよい。
図1に示すように、本実施例の燃料電池システム90は、燃料電池15と、燃料ガス供給部20と、酸化ガス供給部30と、水素濃度検出器50と、制御部60と、を備える。燃料電池15には、DC/DCコンバータ70が接続されている。燃料ガス供給部20および酸化ガス供給部30は、ガス供給部と総称することがある。
燃料電池15は、水素を含有する燃料ガスと、酸素を含有する酸化ガスとの供給を受けて発電する固体高分子形燃料電池である。燃料電池15は、発電体である燃料電池セル10(以下、単に「セル10」とも呼ぶ)を複数積層したスタック構造を有する。燃料ガスおよび酸化ガスは、電気化学反応に用いるガスであり、反応ガスとも呼ぶ。燃料電池15は、DC/DCコンバータ70を介して図示しない負荷に接続されている。燃料電池15から負荷へと電力を供給する場合、DC/DCコンバータ70が、燃料電池15の出力電圧を、負荷で利用可能な電圧に昇圧する。
燃料電池15には、燃料ガス供給部20、酸化ガス供給部30が接続されている。燃料ガス供給部20は、燃料ガスタンク21と、燃料ガス供給管22と、燃料ガス排気管23と、燃料ガス還流管24と、制御弁42と、水素ポンプ44と、気液分離器45と、パージ弁46と、燃料ガス排出管25とによって構成される。燃料ガスタンク21は、燃料ガス(具体的には、水素ガス)が貯蔵される貯蔵装置であり、燃料ガス供給管22を介して燃料電池15のアノード側流路に接続されている。燃料ガス供給管22には制御弁42が設けられている。制御弁42は、開弁と閉弁とを切り換えることによって、燃料ガスタンク21から燃料電池15へ供給される水素量を調整する。制御弁42は、燃料電池15へ供給される水素供給量を段階的に調整できる流量調整弁を採用してよい。
燃料ガス排気管23は、燃料電池15から排出されるアノードオフガスが流れる流路である。燃料ガス還流管24は、燃料ガス排気管23と、燃料ガス供給管22における制御弁42よりも下流側の部位とに接続されている。燃料電池15から燃料ガス排気管23に排出されたアノードオフガスは、燃料ガス還流管24を経由して、再び燃料ガス供給管22に導かれる。そのため、燃料電池システム90において、燃料ガスは、発電により水素が消費されつつ、燃料ガス排気管23、燃料ガス還流管24、燃料ガス供給管22の一部、および、燃料電池15内に形成される燃料ガスの流路を循環する。燃料ガス還流管24には、水素ポンプ44が備えられる。水素ポンプ44は、流路内で燃料ガスを循環させるための駆動力を発生させて燃料ガスの循環量を調節する。
燃料ガス排気管23と燃料ガス還流管24との接続部には、気液分離器45が設けられている。アノードオフガスには、発電で消費されなかった水素と共に、窒素や水蒸気等の不純物ガスが含まれる。気液分離器45は、アノードオフガス中の水と、ガス(水素および窒素等)とを分離する。本実施形態では、気液分離器45を介して、上記した流路内を循環する燃料ガスから不純物が除去される。気液分離器45には、燃料ガス排出管25が接続されており、燃料ガス排出管25にはパージ弁46が設けられている。パージ弁46が開弁されることにより、気液分離器45から燃料ガス排出管25を介して、水と、水素ガスが使い果たされたアノードオフガスとが排出される。
酸化ガス供給部30は、エアコンプレッサ31と、酸化ガス供給管32と、酸化ガス排出管33と背圧弁39と、を備える。酸化ガス供給管32は、エアコンプレッサ31と燃料電池15とを接続する。エアコンプレッサ31は、酸化ガス(具体的には、空気)を圧縮し、酸化ガス供給管32を介して、燃料電池15のカソード側流路に空気を供給する。燃料電池15から排出されるカソードオフガスは、酸化ガス排出管33を介して、燃料電池システム90の外部に排出される。酸化ガス排出管33には、背圧弁39が設けられており、背圧弁39の開度を調節することによって、燃料電池15内における酸化ガスの圧力を調節している。なお、燃料電池15の内部には、燃料電池15を冷却するための冷媒が流れる冷媒流路が形成されているが、このような冷媒流路、および、冷媒流路内に冷媒を循環させるための冷媒系についての図示および説明は省略する。
制御部60は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成される。より具体的には、制御部60は、予め設定された制御プログラムに従って演算などを実行するCPUと、CPUで各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROMと、同じくCPUで各種演算処理をするのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAMと、各種信号を入出力する入出力ポート等を備える。
水素濃度検出器50は、各セル10のうち、診断対象となるセル10(以下、対象セル10とも呼ぶ)の局所部位に接続されている。水素濃度検出器50は、交流インピーダンス法を利用して、対象セル10内の水素ガスの濃度を検出する制御装置であり、各種入力信号に基づいて制御処理や演算処理を実行する。
次に、図2を用いて、セル10の構造、水素濃度検出器50および制御部60の構成について説明する。図2は、セル10と、水素濃度検出器50と、制御部60とを含む燃料電池システム90の要部構成図である。
セル10の構造について説明する。セル10は、固体高分子からなる電解質膜100aの両面に触媒電極層であるアノード電極100bおよびカソード電極100cを配置する膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)100と、膜電極接合体100を挟持する一対のセパレータ101、102とを備える。MEA100を構成する電解質膜100aは、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電子伝導性を示す。アノード電極100bおよびカソード電極100cは、電気化学反応を進行する触媒金属(例えば白金)を担持するカーボン粒子と、プロトン伝導性を有する高分子電解質と、を備えている。セパレータ101、102は、ガスを透過しない導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボン等のカーボン製部材や、プレス成形したステンレス鋼などの金属製部材により形成される。
一対のセパレータ101、102のうち、アノード電極100bに対向するセパレータ101には、燃料ガスである水素を導入する水素入口部101aと、アノード電極100bに水素を供給する水素流路101cと、水素流路101cから水素を導出する水素出口部101bとが形成されている。一対のセパレータ101、102のうち、カソード電極100cに対向するセパレータ102には、空気を導入する空気入口部102aと、カソード電極100cに酸素を供給する空気流路102cと、空気流路102cから空気を導出する空気出口部102bとが形成されている。各セパレータ101、102では、水素流路101c内の水素の流通方向と、空気流路102c内の空気の流通方向とが互いに対向流となるように、各入口部101a、102a、および各出口部101b、102bが形成される。
次に、水素濃度検出器50の構成について説明する。水素濃度検出器50は、電流センサ82と、電圧センサ84と、信号印加部52と、インピーダンス測定部53と、記憶部57と、CPU58とを備える。電流センサ82は、対象セル10の水素の流通方向下流側の電流を検出する。本実施形態では、電流センサ82は、酸化剤ガスのガス濃度が高く、かつ燃料ガスのガス濃度が低くなり易い箇所として、水素出口部101bおよび空気入口部102a付近に接続されている。電流センサ82は、シャント抵抗やホール素子等を利用した周知の電流センサを用いることができる。電圧センサ84は、対象セル10の電圧を検出する。電流センサ82および電圧センサ84の検出結果は、出力信号として水素濃度検出器50に入力される。
信号印加部52は、燃料電池15のセル10に対して、異なる周波数領域の信号を合成した交流信号を印加する。本実施形態では、信号印加部52は、物質拡散現象を捉える目的で使用できる0.1Hz〜数十Hzの範囲での所定の周波数(以下、「低周波数領域」とも呼ぶ)の信号と、イオン移動現象を捉える目的で使用できる200Hz〜1kHzの範囲での所定の周波数帯(以下、「高周波数領域」とも呼ぶ)の信号とを合成した交流信号を印加する。信号印加部52にて印加する交流信号は、燃料電池15の発電状態に影響しないように燃料電池15の出力電流の10%以内とすることが望ましい。
インピーダンス測定部53は、信号印加部52による交流信号を燃料電池15のセル10に印加した際の電流センサ82および電圧センサ84の検出値を用いて、対象セル10の局所部位におけるインピーダンスZを測定する。本実施形態のインピーダンス測定部53は、高速フーリエ変換処理によって、高周波数領域の信号に対応する交流成分と、低周波数領域の信号に対応する交流成分とを個別に抽出し、高周波数領域の交流信号に対応する高周波インピーダンスZH、および低周波数領域の交流信号に対応する低周波インピーダンスZLを検出する。インピーダンス測定部53は、高速フーリエ変換処理のほか、バンドパスフィルターによって、高周波領域と低周波領域とに分離して各インピーダンスZH,ZLを検出してもよく、高周波・低周波の電圧信号を印加するタイミングをずらすことによって、各インピーダンスZH,ZLとを別々のタイミングで個々に検出してもよい。
記憶部57は、ROMやRAMを含む一般的な記憶装置である。CPU58は、演算部54を備える中央処理装置である。水素濃度検出器50は、記憶部57のRAMに一時的に記憶されているプログラムを、CPU58が実行することにより各部の機能を実現する。記憶部57には、そのほか、後述する補正係数aが予め記憶されている。
演算部54は、インピーダンス測定部53によって測定された高周波インピーダンスZH及び低周波インピーダンスZLを用いて、セル10に供給される水素ガスの濃度を検出する。本実施形態において、演算部54は、更に、制御部60に出力信号を送信して水素ガスの供給量を調節する。演算部54は、差分演算部55と、濃度演算部56とを備える。差分演算部55は、記憶部57に記憶された補正係数aを用いて、高周波インピーダンスZHと低周波インピーダンスZLとの差分値を演算する。濃度演算部56は、差分演算部55によって演算された各インピーダンスZH,ZLの差分値を用いて、水素ガスの濃度を求める。補正係数aは、インピーダンスZを用いた水素濃度検出において、セル10の湿潤状態による誤差を除去するために予め算出された値であり、記憶部57に記憶されている。
水素濃度検出器50の出力側には制御部60が接続される。制御部60は、ガス制御部62を備える。ガス制御部62は、エアコンプレッサ31、背圧弁39、制御弁42、水素ポンプ44、パージ弁46に駆動信号を出力してセル10への水素ガス供給量および水素ガス濃度を調節する。
次に、図3から図6を用いて、水素濃度検出器50の演算部54が実行するセル10の水素濃度の算出処理について説明する。図3は、セル10の等価回路図である。図3に示すように、一般的なセル10の等価回路は、電解質膜100aの膜抵抗Rpem、各セパレータ101、102の抵抗Ran、Rca、各電極100b、100cの反応抵抗Zan、Zca、各電極100b、100cの電気二重層の容量(コンデンサ成分)Can、Ccaで表現することができる。高周波数領域から低周波数領域までの交流信号を印加した際のインピーダンスZは、例えば、セル10の等価回路を用いたコールコールプロットの測定によって求めることができる。
図4は、セル10の湿潤状態と、高周波インピーダンスZHおよび低周波インピーダンスZLとの関係を表すデータである。すなわち、セル10の湿度あたりの各インピーダンスZH,ZLの変化量を表している。図4に示すデータは、セル10内に水素と酸素が十分に存在する状態で測定したデータを表している。図4の横軸は、セル10(具体的には、セル10の電解質膜100a)の湿潤状態を表しており、横軸の左端側から右端側に向かうに従い、セル10は湿潤状態から乾燥状態へと変化する。図4の縦軸は、インピーダンスZの値を表している。
セル10では、上述したように、アノード電極100bの触媒表面で水素の酸化反応が進行する。酸化反応により水素の量が少なくなると、触媒表面へ拡散する水素の拡散速度が遅くなり、アノード拡散抵抗は増加する。他方、カソード電極100cの触媒表面では、酸素の還元反応が進行し、生成物である液水が増加する。生成水の量が多くなると、酸素ガスの移動が生成水によって阻害され、カソード拡散抵抗は増加する。また、セル10が乾燥すると、生成水の減少に伴ってプロトン移動抵抗は増加する。
ここで、低周波インピーダンスZLは、プロトン移動抵抗のほか、アノード拡散抵抗とカソード拡散抵抗との影響を受けるが、セル10内に水素と酸素が十分に存在する場合、水素不足や酸素不足で生じる影響を考慮する必要はない。そのため、図4に示すデータのように、セル10に水素と酸素が十分に存在する状態であれば、セル10の乾湿状態を変化させた場合に発生する低周波インピーダンスZLと高周波インピーダンスZHとの変化は、セル10の乾湿状態の変化による影響のみを切り分けた変化として考えることができる。
図4に示すように、低周波インピーダンスZLおよび高周波インピーダンスZHは、セル10が乾燥するに従って上昇する。しかし、各インピーダンスZL,ZHの値の上昇度合いには差がある。より具体的には、高周波インピーダンスZHよりも低周波インピーダンスZLの方がセル10の乾燥に伴う増加量が大きい。そこで、図4に示すように、セル10の湿潤状態での高周波インピーダンスZHの値は、湿潤状態での低周波インピーダンスZLの値Z0に一致するように補正されている。ただし、低周波インピーダンスZLの値を補正して、湿潤状態での高周波インピーダンスZH側に一致するように補正してもよく、一方のインピーダンスを他方のインピーダンスに一致するような種々の方法によって補正してもよい。
図5は、図4に示したセル10の乾湿状態に対する各インピーダンスZL,ZHの差分の値Dfの変化を表すグラフである。上述したように、各インピーダンスZL,ZHの値の上昇度合いにはセル10の乾湿状態による差があり、高周波インピーダンスZHよりも低周波インピーダンスZLの方がセル10の乾燥に伴う増加量が大きい。したがって、各インピーダンスZL,ZHの差分の値Dfは、セル10が乾燥するに伴って大きくなる。より具体的には、各インピーダンスZH,ZLの差分の値Dfは、セル10の乾燥に伴って、傾きaをもった比例関係をもって大きくなる。そこで、このグラフの傾きaを補正係数aとして予め算出しておき、水素濃度の算出時に高周波インピーダンスZHに掛け合わせて、高周波インピーダンスZHを低周波インピーダンスZLに正規化させる。これにより、水素濃度の算出にあたり、各インピーダンスZL,ZHの値から、更にセル10の乾燥状態の影響を小さくした状態にすることができる。
図6は、セル10の水素濃度と補正後のアノード拡散抵抗との相関関係を表すグラフである。より具体的には、水素濃度は、上述した補正係数aを用いて正規化した高周波インピーダンスZHの値を用いた以下の式(1)により、セル10の乾湿状態の影響を小さくした状態の差分値Zαを用いて算出することができる。
Zα=ZL−a×ZH …(1)
このように、セル10の乾湿状態の変化に伴う影響の違いを切り分けることによって、検出した各インピーダンスZH,ZLをより的確に水素濃度と相関付けることができる。
図7は、水素濃度検出器50の各部が実行する燃料電池15の水素濃度の算出処理を示すフローチャートである。図7に示す水素濃度の算出処理は、本実施形態の燃料電池システム90を備える車両のイグニションキーをONにし、燃料電池15を発電状態とすることによって開始する。
燃料電池15が発電状態となると、水素濃度検出器50は対象セル10の局所部位のインピーダンスZを測定する(ステップS10)。より具体的には、はじめに、信号印加部52が、燃料電池15のセル10に対して、高周波数領域の信号と低周波数領域の信号とを合成した交流信号を印加する。インピーダンス測定部53は、電流センサ82および電圧センサ84からの出力信号による検出値に基づいてインピーダンスZの値を検出する。このとき、インピーダンス測定部53は、高周波インピーダンスZHと、低周波インピーダンスZLとのそれぞれを検出する。
本実施形態の燃料電池システム90が実行する処理では、水素濃度検出器50の差分演算部55が、予め記憶部57に記憶された補正係数aを読み出す(ステップS20)。差分演算部55は、ステップS10でインピーダンス測定部53が取得した高周波インピーダンスZHおよび低周波インピーダンスZLと、補正係数aとを用いて、式(1)から差分値Zαを算出する(ステップS30)。濃度演算部56は、差分値Zαからセル10の水素濃度を算出して(ステップS40)、本ルーチンを完了させる。
本実施形態の燃料電池システム90は、上述した水素濃度の算出処理によって得られた水素濃度を用いて、更に、以下に示す水素濃度の調整制御と、アノードオフガスの排出制御とを実行する。図8および図9を用いて、燃料電池システム90が実行する水素濃度の調整制御について説明する。図8は、水素濃度検出器50のガス制御部62が実行する水素濃度の調整制御を表すフローチャートである。図8に示す水素濃度の調整制御は、図4に示した水素濃度の算出処理に続いて、例えばステップS40の後に実行される。
ガス制御部62は、濃度演算部56によって算出された水素濃度を検出する(ステップS50)。このとき、ガス制御部62は、検出した水素濃度と、予め定められた各閾値との比較を実行する。各閾値は、セル10内の水素濃度の適正状態を管理するための上限値TLと、下限値BLで設定されるが、任意に設定されてよい。ガス制御部62は、検出した水素濃度が下限値BL以下となった場合には、制御部60に出力信号を送信して制御弁42を開弁させ、セル10への水素の供給量を増加させる(ステップS52)。他方、ガス制御部62は、検出した水素濃度が上限値TL以上となった場合には、制御弁42を閉弁させてセル10への水素の供給量を減少させる(ステップS54)。水素濃度が上限値TLと下限値BLとの間である場合、すなわちセル10内の水素濃度が適正である場合には、ガス制御部62による処理は「リターン」に抜けて、水素濃度の検出を継続する。ステップS52およびステップS54の水素の供給量の増減は、制御弁42に代えた流量調整弁を用いることにより、セル10が所望の水素濃度となるように段階的に調整されてもよい。
図9は、ガス制御部62が実行する水素濃度の調整制御によって実現される水素濃度の変化を模式的に表すグラフである。上述した水素濃度の調整制御によれば、例えば、時間t1では、予め定められた水素濃度の下限値BLに達することにより水素ガスの供給量を大きくし、時間t2では、上限値TLに達することにより水素ガスの供給量を小さくする制御を行う。このように、本実施形態の燃料電池システム90は、水素濃度検出器50が水素濃度を検出した後、更に、制御部60のガス制御部62が水素濃度の調整制御を実行する事によって、セル10への水素ガスの供給量が必要最低限となるように制御される。
次に、図10を用いて、燃料電池システム90が実行するアノードオフガスの排出制御について説明する。本実施形態の燃料電池システム90は、上述した水素濃度の調整制御とともに本制御を実行する。本制御は、上述した水素濃度の調整制御に代えて実行してもよい。図10は、水素濃度検出器50のガス制御部62が実行するアノードオフガスの排出制御を表すフローチャートである。図10に示す水素濃度の調整制御は、図4に示した水素濃度の算出処理に続いて、例えばステップS40の後に実行される。
ガス制御部62は、濃度演算部56によって算出された水素濃度を検出する(ステップS62)。次に、ガス制御部62は、検出した水素濃度と、予め定められた閾値との比較を実行する(ステップS64)。本制御において、閾値は、セル10内の水素濃度の管理値の下限値BLのみを設定される。下限値BLは、上述した水素濃度の調整制御で設定された下限値BLと同じ値で設定されるが、異なる値で設定されてよい。ガス制御部62は、検出した水素濃度が下限値BL以下である場合には(S64:YES)、パージ弁46を開弁して、燃料ガス排出管25からアノードオフガスを排出する(ステップS66)。他方、ガス制御部62は、検出した水素濃度が下限値BL以下でない場合(S64:NO)、処理を「リターン」に抜けて水素濃度の検出を継続する。ガス制御部62は、パージ弁46が開弁された状態で、取得した各インピーダンスZH,ZLから差分値Zαを算出する(ステップS68)。パージ弁46の開弁により、アノードオフガスが排出されて、セル10内の水素濃度は上昇する。ガス制御部62は、差分値Zαの上昇が、制御部60内のメモリに記憶された予め定められた値分上昇したか否かを判定する(ステップS70)。ガス制御部62は、差分値Zαが予め定められた値分の上昇を検出するまで水素濃度の検出を継続する(S70:NO)。他方、ガス制御部62が予め定められた値分の差分値Zαの上昇を検出すると(S70:YES)、ガス制御部62は、パージ弁46を閉弁してアノードオフガスの排出を停止し(ステップS72)、処理を「リターン」に抜けて本ルーチンを完了する。
以上、説明したように、本実施形態の燃料電池システム90によれば、燃料電池セル10の乾湿状態による影響を除去した補正係数aを用いて正規化することによって、燃料電池セル10の電解質膜100aが乾燥するに従って生じる低周波インピーダンスZLと高周波インピーダンスZHとの上昇度合いの差分を小さくしている。これにより、各インピーダンスZに与える電解質膜100aの乾湿状態の影響を小さくしたうえで水素ガスの濃度を求めることができる。したがって、交流インピーダンス法による水素濃度の検出精度を高めることができる。
本実施形態の燃料電池システム90は、水素濃度を検出した後、更に、水素濃度の調整制御を実行することによって、セル10への水素ガスの供給量を制御する。セル10の水素供給状態を精度よく把握できることによって、例えば、水素濃度の管理値を、セル10が劣化しない範囲に低下させる事ができる。また、これに伴い、水素入口部101aの分圧を下げることができ、カソード電極100cへの水素ガスのクロスオーバー量を減らし、本実施形態の燃料電池システム90を搭載した車両の燃費を向上させることができる。
本実施形態の燃料電池システム90は、水素濃度を検出した後、更に、アノードオフガスの排出制御を実行することによって、セル10の劣化を低減しつつ、アノードオフガスとともに排出されていた水素の排出量を低減できる。
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態において、アノードオフガスの排出制御では、ステップS68およびステップS70において、インピーダンス値を用いた差分値Zαの上昇検出を行っている。これに対して、ステップS66でパージ弁46を閉弁した後、水素濃度の検出を実行することなく、予め定められた期間の経過によって、パージ弁46を閉弁する処理(ステップS72)を実行する処理であってもよい。この形態のアノードオフガスの排出制御であっても、セル10の劣化を低減しつつ、アノードオフガスとともに排出されていた水素の排気量を低減できる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…燃料電池セル、15…燃料電池、20…燃料ガス供給部、21…燃料ガスタンク、22…燃料ガス供給管、23…燃料ガス排気管、24…燃料ガス還流管、25…燃料ガス排出管、30…酸化ガス供給部、31…エアコンプレッサ、32…酸化ガス供給管、33…酸化ガス排出管、39…背圧弁、42…制御弁、44…水素ポンプ、45…気液分離器、46…パージ弁、50…水素濃度検出器、52…信号印加部、53…インピーダンス測定部、54…演算部、55…差分演算部、56…濃度演算部、57…記憶部、58…CPU、60…制御部、62…ガス制御部、70…DC/DCコンバータ、82…電流センサ、84…電圧センサ、90…燃料電池システム、100…膜電極接合体、101…セパレータ、102…セパレータ

Claims (1)

  1. 触媒電極層が電解質膜の各面に形成された膜電極接合体を有する燃料電池セルを備える燃料電池システムであって、
    前記燃料電池セルのアノードに燃料ガスを供給し、前記燃料電池セルのカソードに酸化ガスを供給するガス供給部と、
    前記燃料電池セルの高周波インピーダンス及び低周波インピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
    前記測定した高周波インピーダンス及び低周波インピーダンスを用いて、前記燃料電池セルに供給される前記燃料ガスの濃度を検出する演算部と、を備え、
    前記演算部は、
    前記燃料電池セルの湿潤状態により個別に変化する前記高周波インピーダンスおよび低周波インピーダンスの湿度あたりの変化量を正規化する補正係数を記憶する記憶部と、
    前記補正係数を用いて、前記高周波インピーダンスおよび低周波インピーダンスを正規化した上で、前記高周波インピーダンスおよび低周波インピーダンスの差分を演算する差分演算部と、
    前記演算した差分を用いて、前記燃料ガスの濃度を求める濃度演算部と、を備える、燃料電池システム。
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