JP2020079057A - 作業車両 - Google Patents

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Yutaka Kajino
楫野  豊
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Abstract

【課題】PTOクラッチの接続を適切に行うこと。【解決手段】実施形態に係る作業車両1は、エンジンEと、エンジン回転センサと、PTO軸50と、PTOクラッチと、制御部とを備える。エンジンは、機体の駆動源である。エンジン回転センサは、エンジン回転数を検出する。PTO軸は、エンジンからの動力を機体外部へ伝達する。PTOクラッチは、油圧式であり、PTO軸へ伝達される動力の接続および接続解除を切り替える。制御部は、PTOクラッチ接続時においてPTOクラッチを予め設定した標準昇圧カーブに従って昇圧する。また、制御部は、PTOクラッチ接続時において、エンジン回転数の変化を監視するとともに、エンジン回転数が所定の変化率以上の変化率で低下した場合にはPTOクラッチを標準昇圧カーブよりも緩やかな昇圧カーブで昇圧する。【選択図】図1

Description

本発明は、作業車両に関する。
従来、たとえば、農用トラクタのような油圧式のPTOクラッチを接続してエンジンからの動力をPTO軸へ伝達する作業車両においては、PTOクラッチの接続時における油圧の昇圧カーブを変更するダイヤルまたはスイッチを作業の種類に応じて作業者が切り替えることで、クラッチ接続を適切に行えるものがある(たとえば、特許文献1参照)。
特開2005−306107号公報
しかしながら、上記した従来技術では、作業の種類に応じて作業者が手動で昇圧カーブを切り替える必要があり、たとえば、昇圧カーブが適切でない場合にはPTOクラッチの接続を適切に行えないことがあった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、PTOクラッチの接続を適切に行うことができる作業車両を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の作業車両(1)は、機体の駆動源であるエンジン(E)と、前記エンジン(E)の回転数を検出するエンジン回転センサ(80)と、前記エンジン(E)からの動力を前記機体の外部へ伝達するPTO軸(50)と、前記PTO軸(50)へ伝達される動力の接続および接続解除を切り替える油圧式のPTOクラッチ(55)と、前記PTOクラッチ(55)の接続時において該PTOクラッチ(55)を予め設定した標準昇圧カーブに従って昇圧する制御部(100)とを備え、前記制御部(100)は、前記PTOクラッチ(55)の接続時において、前記エンジン回転センサ(80)の検出結果から該エンジン(E)の回転数の変化を監視するとともに、前記エンジン(E)の回転数が所定の変化率以上の変化率で低下した場合には前記PTOクラッチ(55)を前記標準昇圧カーブよりも緩やかな昇圧カーブで昇圧することを特徴とする。
請求項2に記載の作業車両(1)は、請求項1に記載の作業車両(1)において、前記制御部(100)は、前記エンジン(E)の回転数の変化率に上限値を規定し、前記エンジン(E)の回転数の変化率が前記上限値を上回った場合には前記PTOクラッチ(55)の昇圧を停止することを特徴とする。
請求項3に記載の作業車両(1)は、請求項2に記載の作業車両(1)において、前記制御部(100)は、前記エンジン(E)の回転数が低いほど前記上限値を小さく設定することを特徴とする。
請求項4に記載の作業車両(1)は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車両(1)において、前記制御部(100)は、前記PTOクラッチ(55)の油温に応じて、少なくとも前記標準昇圧カーブを変更することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、PTOクラッチの接続時においてエンジンの回転数(以下、「エンジン回転数」という)の変化(低下)に応じてPTOクラッチの昇圧カーブを緩やかなカーブとなるように変更することで、機体に加わる負荷に対応した昇圧カーブとすることができる。これにより、PTOクラッチの接続を適切に行うことができ、エンジンストールや作業機の破損などを抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、エンジン回転数の変化率に上限値を規定してこの上限値を上回った場合にPTOクラッチの昇圧を停止することで、エンジンストールを回避することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加えて、エンジン回転数が低いほどエンジン回転数の変化率の上限値を小さくする、すなわち、感度を敏感にすることで、エンジンストールをより確実に回避することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、PTOクラッチの油温(作動油の温度)が変化した場合であっても、PTOクラッチを違和感なく接続することができる。
図1は、実施形態に係る作業車両の説明図である。 図2は、実施形態に係る作業車両の電気回路図である。 図3は、トランスミッションケースを示す概略左側断面図である。 図4は、PTOクラッチ昇圧カーブ変更制御に関する制御系を示すブロック図である。 図5Aは、PTOクラッチ接続時におけるエンジン回転数およびPTOクラッチ昇圧カーブの関係を示すグラフ(その1)である。 図5Bは、PTOクラッチ接続時におけるエンジン回転数およびPTOクラッチ昇圧カーブの関係を示すグラフ(その2)である。 図6Aは、PTOクラッチ昇圧カーブ変更制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図6Bは、PTOクラッチ昇圧カーブ変更制御の処理手順の他の例を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本願の開示する作業車両の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
<作業車両(トラクタ)1の全体構成>
まず、図1を参照して作業車両1の全体構成について説明する。図1は、実施形態に係る作業車両1の説明図であり、作業車両1の概略左側面図である。なお、以下では、作業車両1としてトラクタを例に説明する。作業車両であるトラクタ1は、自走しながら圃場などで作業を行う農用トラクタである。
また、以下において、前後方向とは、トラクタ1の直進時における進行方向であり、進行方向の前方側を「前」、後方側を「後」と規定する。トラクタ1の進行方向とは、直進時において、後述する操縦席8からステアリングホイール9に向かう方向である(図1参照)。
左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向である。以下では、「前」側へ向けて左右を規定する。すなわち、トラクタ1の操縦者(「作業者」ともいう)が操縦席8に着席して前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。
上下方向とは、鉛直方向である。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交する。なお、各方向は説明の便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、トラクタ1を指して「機体」という場合がある。
図1に示すように、トラクタ1は、機体フレーム2と、エンジンEと、ボンネット3と、前輪4と、後輪5と、トランスミッションケース6とを備える。機体フレーム2は、機体を支持するメインフレームである。エンジンEは、機体の駆動源であり、ディーゼル機関やガソリン機関などの熱機関である。ボンネット3は、機体前部において開閉自在に設けられ、閉じた状態でエンジンEを覆う。
前輪4は、左右一対であり、主に操舵用の車輪、すなわち、操舵輪となる。後輪5は、左右一対であり、主に駆動用の車輪、すなわち、駆動輪となる。トラクタ1は、後輪5が駆動する二輪駆動(2WD)と、前輪4および後輪5が共に駆動する四輪駆動(4WD)とを切り替え可能に構成されてもよい。この場合、駆動輪は、前輪4および後輪5の両方である。
トランスミッションケース6は、動力伝達機構であるトランスミッション(変速機構)を内部に収容し、エンジンEからの動力(回転動力)を、トランスミッションにより適宜減速して駆動輪である後輪5や後述するPTO軸50へ伝達する。
また、トラクタ1は、キャビン7を備える。キャビン7は、機体の操縦空間を形成し、操縦席8と、ステアリングホイール9とを内部に備える。操縦席8は、操縦者の座席である。ステアリングホイール9は、操舵輪である前輪4を操舵する場合に操縦者により操作される。なお、ステアリングホイール9の前方には、各種情報を表示する表示部(メータパネル)が設けられる。
また、キャビン7内には、たとえば、操縦席8の前方に、前後進レバー、アクセルレバーなどが設けられる。また、キャビン7内には、たとえば、操縦席8の右側方に、主変速レバー、副変速レバーなどが設けられる。また、キャビン7内には、たとえば、ステアリングホイール9の下方に、アクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダルなどが設けられる。
また、トラクタ1は、PTO(Power Take-off)軸50を備える。PTO軸50は、トランスミッションケース6から後方に突出している。PTO軸50は、エンジンEから出力された回転動力を、圃場内で作業を行う作業機へ伝達する。なお、作業機としては、たとえば、耕耘作業を行うロータリ耕耘機や、施肥作業を行う施肥機などがある。また、トラクタ1は、PTO軸50の他、作業機を連結するリフトアームなどを後部に備える。
ここで、図2を参照して、PTO軸50(図1参照)の駆動制御に関する各部について説明する。図2は、実施形態に係る作業車両(トラクタ)1の電気回路図である。図2に示すように、トラクタ1は、PTO軸50の駆動制御に関して、PTOスイッチ51と、PTO比例ソレノイド52と、PTO軸回転センサ53とを備える。
PTOスイッチ51は、PTO軸50の駆動を入切する。PTOスイッチ51は、キャビン7(図1参照)内における、たとえば、操縦席8またはステアリングホイール9の近傍に設けられる。PTOスイッチ51は、図中の破線A1で示すように、後述する制御部100(図4参照)のインターフェース100aに電気的に接続される。インターフェース100aの入力端子には、PTOスイッチ51から電流が入力される。
PTO比例ソレノイド52は、後述するPTOクラッチ55(図3参照)の油圧を制御する。PTO比例ソレノイド52は、図中の破線A2で示すように、制御部100のインターフェース100aに電気的に接続される。インターフェース100aの入力/出力端子には、PTO比例ソレノイド52から電流が入力または出力される。
PTO軸回転センサ53は、PTO軸50の回転(回転数)を検出する。PTO軸回転センサ53は、図中の破線A3で示すように、制御部100のインターフェース100aに電気的に接続される。インターフェース100aの入力端子には、PTO軸回転センサ53から電流が入力される。
<トランスミッションケース6の内部構成>
次に、図3を参照してトランスミッションケース6の内部構成について説明する。図3は、トランスミッションケース6を示す概略左側断面図である。図3に示すように、トランスミッションケース6は、フロントケース61と、ミッドケース62と、リヤケース63とを備える。フロントケース61、ミッドケース62およびリヤケース63は、それぞれ中空ケースであり、前後方向に連結される。
トランスミッションは、入力軸である変速装置入力軸70が、メインクラッチ71を介して接続される。トランスミッションは、エンジンE(図1参照)で発生した動力を変速して各部へ出力する変速機構を内部に備える。変速装置入力軸70は、変速機構の入力軸でもある。
変速機構は、前後進切替機構72と、主変速機構73と、Hi−Lo変速機構74と、副変速機構75とを備える。なお、主変速機構73、Hi−Lo変速機構74および副変速機構75は、それぞれ複数の変速段を有する。
前後進切替機構(前後進クラッチ)72は、変速装置入力軸70に入力された動力を、前後進切替機構72の入力軸である主変速入力軸731に対して伝達可能であり、主変速入力軸70に動力が伝達された場合には、前後進レバーの操作に応じて回転方向を切り替えて伝達可能である。
主変速機構(主変速クラッチ)73は、前後進切替機構72によって主変速入力軸70へ伝達された動力を、Hi−Lo変速機構(Hi−Loクラッチ)74の入力軸であるHi−Lo入力軸741に対して伝達可能であり、Hi−Lo入力軸741に動力が伝達された場合には、主変速増減スイッチの操作に応じて変速比を切り替えて伝達可能である。
副変速機構(副変速シンクロメッシュ)75は、Hi−Lo出力軸742に設けられた副変速機構入力部751により、Hi−Lo変速機構74から動力を伝達可能である。副変速機構75は、Hi−Lo変速機構74から伝達された動力を、副変速レバーの操作に応じて変速比を切り替えて、副変速機構75の出力軸である副変速出力軸752によって出力可能である。
また、トランスミッションは、PTO出力機構54と、PTOクラッチ55と、PTO変速装置56とを備える。PTO出力機構54は、エンジンEで発生した動力をPTO軸50へ伝達する。PTO出力機構54は、変速装置入力軸70から動力を受けることが可能である。
PTOクラッチ55は、PTO軸50へ向けた動力の接続および接続解除を切り替える。PTOクラッチ55は、油圧によって作動する多板の摩擦クラッチ、すなわち、油圧式クラッチである。PTO変速装置56は、PTOクラッチ55が接続されることで、PTO軸50へ伝達される動力を変速する。
また、トランスミッションは、前輪側動力伝達機構76を備える。前輪側動力伝達機構76は、エンジンEで発生した動力を前輪4(図1参照)へ向けて伝達する。前輪側動力伝達機構76は、副変速機構75から動力を受けることが可能である。前輪側動力伝達機構76は、前輪増速切替機構761を備える。
前輪増速切替機構(4WDクラッチ)761は、副変速機構75からの動力を前輪4へ伝達する場合に、回転(動力)速度を切り替える。また、前輪増速切替機構761は、副変速機構75からの動力を前輪4へ伝達する場合に増速するか否かを切り替えることができ、前輪4へ動力を伝達しない状態に切り替えることにより、四輪駆動(4WD)および二輪駆動(2WD)の切り替えが可能である。
また、トラクタ1は、PTOクラッチ55の接続時における油圧(作動油)の昇圧カーブを変更(調節)する感度調節ダイヤルまたはスイッチを備える。感度調節ダイヤルまたはスイッチを作業の種類に応じて作業者が手動で切り替えることで、PTOクラッチ55の接続を、フィーリング(クラッチ接続の感度)が良好となるなど、適切に行うことができる。
ところで、農用トラクタなどの作業車両には、昇圧カーブを複数パターン有し、たとえば、作業者が、耕耘作業機の場合に好適な昇圧カーブ、牧草系の作業機の場合に好適な昇圧カーブなど、作業の種類に応じた(作業機に応じた)昇圧カーブに変更可能なものがある。このように、作業者が作業に応じて昇圧カーブを変更する場合、変更した昇圧カーブが適切でないと、PTOクラッチ55の接続を適切に行うことができないことがある。また、昇圧カーブが油温やエンジン回転数に関わらず一定である場合には、条件によってはエンジンストールを起こすことがある。実施形態に係る作業車両(トラクタ)1においては、PTOクラッチ55の接続を適切に行うことができるよう、作業負荷に応じてPTOクラッチ55の昇圧カーブを変更可能に構成される。
<PTOクラッチ55の昇圧カーブ変更制御に関する制御系>
次に、図4を参照してPTOクラッチ55の昇圧カーブ変更制御に関する、制御部100を中心とする制御系について説明する。図4は、PTOクラッチ昇圧カーブ変更制御に関する制御系を示すブロック図である。
図4に示すように、トラクタ1は、制御部100を備える。制御部100は、たとえば、エンジンECU(Electronic Control Unit)101と、走行系ECU102と、作業機ECU103とを備える。エンジンECU101は、エンジンEを制御する。走行系ECU102は、駆動輪(後輪5)の回転を制御して機体の走行速度を制御する。作業機ECU103は、機体に連結された作業機の昇降などを制御する。
また、トラクタ1は、エンジン回転センサ80を備える。エンジン回転センサ80は、たとえば、エンジンE(図1参照)の出力軸の回転からエンジンEの回転数を検出する。制御部100は、エンジン回転センサ80からの検出結果が入力されることで、エンジン回転数の変化を監視する。
制御部100は、PTOクラッチ55(図3参照)の油圧を昇圧する標準昇圧カーブを予め設定する。標準昇圧カーブは、エンジン回転数などに応じて昇圧する基準となる曲線(カーブ)である。制御部100は、標準昇圧カーブに基づいてPTOクラッチ55を昇圧することで、PTOクラッチ55の接続を適切に行う。なお、標準昇圧カーブは、作業者によって設定されてもよい。
また、制御部100は、PTOクラッチ55の接続時において、PTO比例ソレノイド52へ指令信号を出力する。制御部100は、PTO比例ソレノイド52を制御することで、PTOクラッチ55の昇圧を制御する。
また、制御部100は、昇圧カーブの曲率(「勾配」ともいう)を変更可能である。制御部100は、PTOクラッチ55の接続時において、機体に加わる負荷の大小などにより、予め設定した標準昇圧カーブが適切でないと判断した場合には、PTO比例ソレノイド52を制御して昇圧カーブの曲率を変更する。制御部100は、PTOクラッチ55の接続時において、エンジン回転センサ80の検出結果によりエンジン回転数が所定の変化率(規定値)以上で変化した場合には、標準昇圧カーブよりも緩やかな曲率の昇圧カーブで昇圧する。
図4に示すように、トラクタ1は、警告部81をさらに備える。警告部81は、制御部100に電気的に接続され、たとえば、ランプ811およびブザー812の少なくともいずれか1つを備えて構成される。制御部100は、エンジン回転数の変化率が後述する上限値(上限規定値)を上回った場合に、警告部81に指令信号を出力する。
ここで、図5Aおよび図5Bを参照してPTOクラッチ55の昇圧カーブ変更について説明する。図5Aおよび図5Bは、PTOクラッチ接続時におけるエンジン回転数およびPTOクラッチ昇圧カーブの関係を示すグラフである。なお、図5Aには、エンジン回転数と、昇圧カーブ(標準昇圧カーブ)とを示し、図5Bには、エンジン回転数と、変更前の昇圧カーブ(標準昇圧カーブ)および変更後の昇圧カーブとを示している。
また、図5Aおよび図5Bにおいて、グラフの縦軸は、エンジン回転数[rpm]および圧力[N/m]を示し、グラフの横軸は、時間[sec]を示している。
制御部100(図4参照)は、PTOクラッチ55(図3参照)の接続時において、図5Aに示すように、エンジン回転数に応じてPTOクラッチ55の接続を適切に行うことができるよう、標準昇圧カーブを設定する。また、制御部100は、PTOクラッチ55の接続時において、図5B中の一点破線Pで示すように、エンジン回転数が所定の変化率以上の変化率で低下した場合に、図5Bに示すように、標準昇圧カーブよりも緩やかな曲率の昇圧カーブに変更する。
このように、PTOクラッチ55の接続時においてエンジン回転数の変化(低下)に応じてPTOクラッチ55の昇圧カーブを緩やかなカーブとなるように変更することで、機体に加わる負荷に対応した昇圧カーブとすることができる。これにより、PTOクラッチ55の接続を適切に行うことができ、エンジンストールや作業機の破損などを抑制することができる。
また、PTOクラッチ55の昇圧カーブを変更する場合の負荷の検出をエンジン回転数の変化率によって判断することで、エンジン回転数を検出する既存のエンジン回転センサ80を用いることができ、コストアップの必要なく負荷検出を実現することができる。
なお、制御部100は、エンジン回転数の変化率が所定変化率以内である場合は、標準昇圧カーブのままPTOクラッチ55を昇圧する。これにより、PTOクラッチ55の接続時において変更の必要がない状況では普段どおりの安定した昇圧が可能となる。
また、制御部100は、エンジン回転数の変化率に上限値(以下、「上限規定値」という)を設定する。制御部100は、エンジン回転数の変化率が上限規定値を上回った場合、すなわち、エンジン回転数が激しく落ち込んだ場合には、PTOクラッチ55の昇圧を停止する。
このように、エンジン回転数の変化率に上限規定値を設定するとともに上限規定値を上回った場合にPTOクラッチ55の昇圧を停止することで、エンジンストールに対して素早く対応することができ、エンジンストールを回避することができる。
また、制御部100は、エンジン回転数が低いほど上限規定値を小さく設定する。このように、エンジン回転数が低いほどエンジン回転数の変化率の上限規定値を小さくする、すなわち、感度を敏感にすることで、エンジンストールに対してさらに素早く対応することができ、エンジンストールをより確実に回避することができる。
また、制御部100は、PTOクラッチ55の油温を測定する温度センサの測定値に基づいて各種パラメータを変更する。制御部100は、PTOクラッチ55の油温に応じて、少なくとも標準昇圧カーブを油温に適したカーブとなるように変更する。制御部100は、変更された標準昇圧カーブにあわせて昇圧カーブや上限規定値などを変更する。これにより、PTOクラッチ55の油温が変化した場合であっても、PTOクラッチ55を違和感なく接続することができる。
また、制御部100は、農作業用の通信規格であるISOBUSやAG−PORTなどで接続された作業機を検出し、作業機の種類や型式などに応じて、標準昇圧カーブ、昇圧カーブおよび上限規定値などを変更するように構成してもよい。これにより、作業機に応じて最適なPTOクラッチ55の接続が可能となる。
なお、トラクタ1は、上限規定値を作業者が任意に設定可能なボリュームやスイッチをさらに備えてもよい。また、トラクタ1は、エンジン回転数の変化率の規定値を作業者が任意に設定可能なボリュームやスイッチをさらに備えてもよい。これらにより、作業者の感覚に応じてクラッチ接続感度を変更することができる。
<PTOクラッチ55の昇圧カーブ変更制御の処理手順>
次に、図6Aおよび図6Bを参照してPTOクラッチ55の昇圧カーブ変更制御の処理手順について説明する。図6Aは、PTOクラッチ昇圧カーブ変更制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。
PTOクラッチ55の昇圧カーブ変更制御の処理において、制御部100は、図6Aに示すように、各センサ、スイッチ類の読み込み処理を行う(ステップS101)。すなわち、制御部100は、ステップS101の処理において、PTOスイッチ51、PTO軸回転センサ53、エンジン回転センサ80などからPTOクラッチ55の接続に関する情報を取得する。
次いで、制御部100は、PTOクラッチ55が昇圧中か否かを判定する(ステップS102)。制御部100は、ステップS102の処理において、PTOクラッチ55が昇圧中であると判定した場合(ステップS102:Yes)、機体に加わる負荷が所定値よりも大きいか否かを判定する。具体的には、制御部100は、エンジン回転数の変化率が所定の変化率以内(規定値よりも小さい)か否かを判定する(ステップS103)。
制御部100は、ステップS103の処理において、エンジン回転数の変化率が所定の変化率以内(規定値よりも小さい)と判定した場合(ステップS103:Yes)、PTOクラッチ55の昇圧カーブの曲率を小さくして(ステップS104)、昇圧カーブ変更制御の処理を終了する。なお、ステップS104の処理において、PTOクラッチ55の昇圧カーブは、標準昇圧カーブよりも緩やかなカーブとなる。
また、制御部100は、ステップS102の処理において、PTOクラッチ55が昇圧中でないと判定した場合(ステップS102:No)、昇圧カーブ変更制御の処理を終了する。また、制御部100は、ステップS103の処理において、エンジン回転数の変化率が所定の変化率以内(規定値以上)と判定した場合(ステップS103:No)、昇圧カーブ変更制御の処理を終了する。
図6Bは、PTOクラッチ昇圧カーブ変更制御の処理手順の他の例を示すフローチャートである。昇圧カーブ変更制御の処理の他の例において、制御部100は、図6Bに示すように、各センサ、スイッチ類の読み込み処理を行う(ステップS201)。すなわち、制御部100は、ステップS201の処理において、PTOスイッチ51、PTO軸回転センサ53、エンジン回転センサ80などからPTOクラッチ55の接続に関する情報を取得する。
次いで、制御部100は、PTOクラッチ55が昇圧中か否かを判定する(ステップS202)。制御部100は、ステップS202の処理において、PTOクラッチ55が昇圧中であると判定した場合(ステップS202:Yes)、エンジン回転数の変化率が所定の変化率以内(第1規定値よりも小さい)か否かを判定する(ステップS203)。
制御部100は、ステップS203の処理において、エンジン回転数の変化率が所定の変化率以内(第1規定値よりも小さい)と判定した場合(ステップS203:Yes)、
エンジン回転数の変化率が上限規定値(第2規定値)よりも小さいか否かを判定する(ステップS204)。
制御部100は、ステップS204の処理において、エンジン回転数の変化率が第2規定値よりも小さいと判定した場合(ステップS204:No)、PTOクラッチ55の昇圧カーブの曲率を小さくして(ステップS205)、昇圧カーブ変更制御の処理を終了する。なお、ステップS205の処理において、PTOクラッチ55の昇圧カーブは、標準昇圧カーブよりも緩やかなカーブとなる。
制御部100は、ステップS204の処理において、エンジン回転数の変化率が第2規定値を上回った場合(ステップS204:Yes)、PTOクラッチ55の昇圧を停止するとともに、警告部81においてランプ811を点灯あるいは点滅させたり、ブザー812を鳴らしたりして警告表示を行う(ステップS206)。
また、制御部100は、ステップS202の処理において、PTOクラッチ55が昇圧中でないと判定した場合(ステップS202:No)、昇圧カーブ変更制御の処理を終了する。また、制御部100は、ステップS203の処理において、エンジン回転数の変化率が所定の変化率以内(第1規定値以上)と判定した場合(ステップS203:No)、昇圧カーブ変更制御の処理を終了する。
なお、上記した実施形態では、PTOクラッチ55の接続時において、エンジン回転数に応じて標準昇圧カーブ、昇圧カーブおよび上限規定値などを変更する構成としているが、たとえば、トルクを検出して、検出したトルクに応じて標準昇圧カーブ、昇圧カーブおよび上限規定値などを変更する構成としてもよい。このような場合、たとえば、トルクが低いときに昇圧カーブを緩やかなカーブに変更することで、エンジンストールを回避することができ、作業性の低下を抑えることができるうえ、作業者の負担も軽減することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 作業車両(トラクタ)
2 機体フレーム
3 ボンネット
4 前輪
5 後輪
6 トランスミッションケース
61 フロントケース
62 ミッドケース
63 リヤケース
7 キャビン
8 操縦席
9 ステアリングホイール
50 PTO軸
51 PTOスイッチ
52 PTO比例ソレノイド
53 PTO軸回転センサ
54 PTO出力機構
55 PTOクラッチ
56 PTO変速装置
70 変速装置入力軸
71 メインクラッチ
72 前後進切替機構
73 主変速機構
731 主変速入力軸
74 Hi−Lo変速機構
741 Hi−Lo入力軸
742 Hi−Lo出力軸
75 副変速機構
751 副変速機構入力部
76 前輪側動力伝達機構
761 前輪増速切替機構
80 エンジン回転センサ
81 警告部
811 ランプ
812 ブザー
100 制御部
100a インターフェース
101 エンジンECU
102 走行系ECU
103 作業機ECU
E エンジン

Claims (4)

  1. 機体の駆動源であるエンジンと、
    前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転センサと、
    前記エンジンからの動力を前記機体の外部へ伝達するPTO軸と、
    前記PTO軸へ伝達される動力の接続および接続解除を切り替える油圧式のPTOクラッチと、
    前記PTOクラッチの接続時において該PTOクラッチを予め設定した標準昇圧カーブに従って昇圧する制御部と
    を備え、
    前記制御部は、
    前記PTOクラッチの接続時において、前記エンジン回転センサの検出結果から該エンジンの回転数の変化を監視するとともに、前記エンジンの回転数が所定の変化率以上の変化率で低下した場合には前記PTOクラッチを前記標準昇圧カーブよりも緩やかな昇圧カーブで昇圧すること
    を特徴とする作業車両。
  2. 前記制御部は、
    前記エンジンの回転数の変化率に上限値を規定し、前記エンジンの回転数の変化率が前記上限値を上回った場合には前記PTOクラッチの昇圧を停止すること
    を特徴とする請求項1に記載の作業車両。
  3. 前記制御部は、
    前記エンジンの回転数が低いほど前記上限値を小さく設定すること
    を特徴とする請求項2に記載の作業車両。
  4. 前記制御部は、
    前記PTOクラッチの油温に応じて、少なくとも前記標準昇圧カーブを変更すること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車両。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111791870A (zh) * 2020-06-17 2020-10-20 陕西法士特齿轮有限责任公司 一种amt后副箱取力控制系统及其控制方法
CN113561768A (zh) * 2021-08-19 2021-10-29 长沙中联重科环境产业有限公司 底盘取力器驱动大负载的控制系统及方法、环卫作业车辆

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