JP2020078912A - 記録物の製造方法 - Google Patents

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哲朗 野口
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Abstract

【課題】液体吸収性を有しない基材の表面上にインク受容層を設けた記録媒体に、耐オゾン性などの耐ガス性、発色性、及び耐湿性に優れた画像が記録された、速乾性に優れた記録物の製造方法を提供する。【解決手段】液体吸収性を有しない基材及び基材の少なくとも一方の面に設けられた無機粒子を含むインク受容層を有する記録媒体に水性インクを付与して画像を記録する記録工程と、液状の画像堅牢性向上剤を記録媒体に塗布する塗布工程と、を有する記録物の製造方法である。25℃における画像堅牢性向上剤の粘度が、120mPa・s以下であり、グリフィン法により算出される画像堅牢性向上剤のHLB値が、0以上5以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、記録物の製造方法に関する。
様々な画像記録方法のなかでもインクジェット記録方法は特に広範に普及しており、今後さらに普及が進むものと期待されている。インクジェット記録方法に対しては、銀塩写真画像と同等水準の高品位な画像を記録可能であることが要求されている。具体的には、フェザリングやブリードを起こさず、耐オゾン性などの耐ガス性、耐湿性、及び耐光性に優れているとともに、光学濃度が高く、光沢感を示す高品位な画像を記録可能であることが求められている。なかでも、銀塩写真画像と同等の品質がガスや湿気によっても劣化せず、長期間維持される画像であることが要求されている。
インクジェット記録方法で記録される画像の堅牢性を向上させるべく、種々の提案がなされている。例えば、退色防止剤を含有する多孔質のインク受理層を有するインクジェット記録用のシートが提案されている(特許文献1)。また、水性インクで記録した印字物を、防水性を有する特定の樹脂などを含有する保護剤によって被覆する印字物の保護方法が提案されている(特許文献2)。
さらに、アルミナ水和物からなる多孔質層を有する記録媒体に画像を記録した後、多孔質層に硬化組成物を含浸させて硬化させる方法が提案されている(特許文献3)。また、多孔質構造のインク受容層に記録した画像に脂肪酸のトリグリセリドを含有する画像堅牢性向上剤を付与して、画像の堅牢性を向上させる方法が提案されている(特許文献4)。
特開平7−314882号公報 特開平9−048180号公報 特開平5−301441号公報 特開2004−034347号公報
画像が退色する要因としては、光の他、オゾンなどの空気中の各種ガス、温度、湿度、及びこれらの組み合わせなど、多種多彩なものがある。このため、記録媒体のインク受理層に退色防止剤を単に含有させるだけでは、画像堅牢性を十分に高めることは困難であった。また、印字物を保護剤で被覆すると、印字物表面の光沢感が不足しやすくなるといった課題があった。さらに、多孔質層に含浸させた硬化組成物を硬化させる場合、硬化組成物の硬化が不均一になりやすく、印字面が不均一に透明化してムラが生ずるといった課題があった。また、これまでに用いられてきた画像堅牢性向上剤は、乾燥速度が遅いといった課題があった。
したがって、本発明の目的は、液体吸収性を有しない基材の表面上にインク受容層を設けた記録媒体に、耐オゾン性などの耐ガス性、発色性、及び耐湿性に優れた画像が記録された、速乾性に優れた記録物の製造方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、液体吸収性を有しない基材及び前記基材の少なくとも一方の面に設けられた無機粒子を含むインク受容層を有する記録媒体に水性インクを付与して画像を記録する記録工程と、液状の画像堅牢性向上剤を前記記録媒体に塗布する塗布工程と、を有する記録物の製造方法であって、25℃における前記画像堅牢性向上剤の粘度が、120mPa・s以下であり、グリフィン法により算出される前記画像堅牢性向上剤のHLB値が、0以上5以下であることを特徴とする記録物の製造方法が提供される。
本発明によれば、液体吸収性を有しない基材の表面にインク受容層を設けた記録媒体に、耐オゾン性などの耐ガス性、発色性、及び耐湿性に優れた画像が記録された、速乾性に優れた記録物の製造方法を提供することができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。これまで用いられてきた画像堅牢性向上剤は、記録媒体に均一に塗布することが困難であるとともに、多孔質構造を有するインク受容層の空隙に浸透する速度が遅いものであったため、塗布面の乾燥に時間が掛かっていた。また、多孔質層に含浸させた硬化組成物を硬化させる場合、硬化組成物の硬化が不均一になりやすく、記録面が不均一に透明化してムラが生じていた。
このような状況下、本発明者らは、液体吸収性を有しない基材の表面にインク受容層を設けた記録媒体に、HLB値が小さく、かつ、常温(15〜30℃)及び常圧で低粘度の液状の画像堅牢性向上剤を用いることを見出した。すなわち、本発明の記録物の製造方法は、液体吸収性を有しない基材及び基材の少なくとも一方の面に設けられた無機粒子を含むインク受容層を有する記録媒体に液状の画像堅牢性向上剤を塗布する塗布工程を有する。そして、25℃における画像堅牢性向上剤の粘度は、120mPa・s以下である。また、グリフィン法により算出される画像堅牢性向上剤のHLB値は、0以上5以下である。所定の物性である液状の画像堅牢性向上剤を用いることで、画像堅牢性向上剤をインク受容層に素早く浸透させ、速乾性を向上させることができる。さらに、インク受容層中に長期間にわたって画像堅牢性向上剤を保持することが可能となり、耐オゾン性などの耐ガス性、発色性、及び耐湿性に優れた画像が記録された記録物を製造することができる。
<記録物の製造方法>
本発明の記録物の製造方法は、記録媒体に水性インクを付与して画像を記録する記録工程と、液状の画像堅牢性向上剤を記録媒体に塗布する塗布工程とを有する。そして、25℃における画像堅牢性向上剤の粘度は、120mPa・s以下である。また、グリフィン法により算出される画像堅牢性向上剤のHLB値は、0以上5以下である。以下、本発明の記録物の製造方法の詳細について説明する。
(記録工程)
記録工程では、記録媒体に水性インクを付与して画像を記録する。用いる記録媒体は、基材と、この基材の少なくとも一方の面に設けられたインク受容層とを有する。
[記録媒体]
記録媒体は、液体吸収性を有しない基材と、この基材の少なくとも一方の面に設けられた無機粒子を含むインク受容層とを有する。記録媒体としては、インクジェット方式で水性インクを吐出して画像を記録する、インクジェット用の記録媒体を用いることが好ましい。また、JIS P 8149:2000で規定される記録媒体の不透明度は、97%以上であることが好ましい。
[1]基材
液体吸収性を有しない基材としては、樹脂のみから構成される基材(プラスチックフィルム);樹脂及び着色顔料から構成される基材;基紙及び樹脂層を有する基材などを挙げることができる。基紙及び樹脂層を有する基材としては、基紙が樹脂で被覆されている、いわゆる樹脂被覆基材などがある。樹脂層は、基紙の片面のみに設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。基材は、40μLの画像堅牢性向上剤を、液体動的吸収性試験機(Bristow式)を使用し、以下の条件で自重のみで吸収させた際の移転面積が、1,500mm以上であることが好ましく、2,500mm以上であることがさらに好ましい。
スリット幅:0.17mm×15mm
周速:0.25mm/s
基材の厚さは、50μm以上400μm以下であることが好ましく、70μm以上300μm以下であることがさらに好ましい。基材の厚さは以下の方法で算出する。まず、マイクロトームで切り出した記録媒体の断面を走査型電子顕微鏡で観察する。そして、基材の任意の100点以上の厚さを測定し、その平均値を基材の厚さとする。その他の層や膜の厚さも同様の方法で算出する。
基紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレンなどの合成パルプや、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パルプとしては広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹溶解パルプ(LDP)、針葉樹溶解パルプ(NDP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)などを挙げることができる。木材パルプのなかでも、短繊維成分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPを用いることが好ましい。パルプとしては、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましい。
基紙には、サイズ剤、白色顔料、紙力増強剤、蛍光増白剤、水分保持剤、分散剤、柔軟化剤などが適宜添加されていてもよい。基紙の厚さは、50μm以上130μm以下であることが好ましく、90μm以上120μm以下であることがさらに好ましい。また、JIS P 8118:2014で規定される基紙の紙密度は、0.6g/cm以上1.2g/cm以下であることが好ましく、0.7g/cm以上1.2g/cm以下であることがさらに好ましい。
プラスチックフィルムは、透明基材及び不透明基材のいずれであってもよい。透明基材を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリスルホン、ポリエチレンやポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミドなどを挙げることができる。なかでも、ポリオレフィン、ポリエステルが好ましく、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートがさらに好ましい。透明基材の厚さは、取り扱いやすい点で、50μm以上200μm以下であることが好ましい。
不透明基材としては、白色顔料を含有する発泡ポリエステルフィルム、炭酸カルシウムや酸化チタン粒子などを含有させたポリオレフィンを延伸し、隠ぺい性を付与した白色フィルムなどを挙げることができる。不透明基材の厚さは、取り扱いやすい点で、50μm以上300μm以下であることが好ましい。
樹脂被覆基材を構成する樹脂層は、基紙の表面の少なくとも一部を被覆するように設けられている。樹脂層の被覆率(樹脂層で被覆された基紙の表面積/基紙の全表面積)は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、100%であること、すなわち、基紙の全表面が樹脂層で被覆されていることが特に好ましい。
樹脂層の厚さは、20μm以上60μm以下であることが好ましく、35μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、両面の樹脂層の厚さが、それぞれ上記の範囲内であることが好ましい。
樹脂層を構成する樹脂として、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリオレフィン、スチレン−ブタジエン共重合体などを挙げることができる。なかでも、ポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどの単重合体や共重合体を挙げることができる。なかでも、ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)を挙げることができる。
不透明度、白色度、及び色相などを調整すべく、白色顔料、蛍光増白剤、及び群青などを樹脂層に含有させてもよい。なかでも、不透明度を向上させることができるため、白色顔料を樹脂層に含有させることが好ましい。白色顔料としては、ルチル型及びアナターゼ型の酸化チタンを挙げることができる。樹脂層中の白色顔料の含有量は、3g/m以上30g/m以下であることが好ましい。樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、2つの樹脂層中の白色顔料の合計の含有量が、上記の範囲内であることが好ましい。樹脂層中の白色顔料の含有量は、樹脂の含有量に対する質量比率で、0.25倍以下であることが好ましい。白色顔料の量が多すぎると、白色顔料の分散安定性が低下することがある。
[2]インク受容層
インク受容層は、基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。インク受容層は、基材の両面に設けられていることが好ましい。基材の片面におけるインク受容層の厚さは、15μm以上60μm以下であることが好ましく、30μm以上45μm以下であることがさらに好ましい。インク受容層は、単層であってもよく、2層以上の複層であってもよい。
インク受容層は、無機粒子を含有する。無機粒子の平均一次粒子径は、50nm以下であることが好ましく、1nm以上30nm以下であることがさらに好ましく、3nm以上10nm以下であることが特に好ましい。無機粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡で観察した無機粒子の一次粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径の数平均粒子径(100点以上の平均値)である。
インク受容層は、例えば、インク受容層用の塗工液を基材に塗布及び乾燥することなどによって形成される。塗工液中の無機粒子は、分散剤によって分散されていることが好ましい。分散状態での無機粒子の平均二次粒子径は、0.1nm以上500nm以下であることが好ましく、1nm以上300nm以下であることがさらに好ましく、10nm以上250nm以下であることが特に好ましい。分散状態での無機粒子の平均二次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
無機粒子としては、アルミナ水和物、アルミナ、シリカ、コロイダルシリカ、二酸化チタン、ゼオライト、カオリン、タルク、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウムなどを挙げることができる。なかでも、インクの吸収性が高い多孔質構造を有するインク受容層を形成しうる、アルミナ水和物、アルミナ、シリカが好ましい。
アルミナ水和物は、下記一般式(X)で表されるものが好ましい。
Al3−n(OH)2n・mHO ・・・(X)
一般式(X)中、nは0〜3の整数であり、mは0〜10、好ましくは0〜5である。但し、mとnが同時に0となる場合はない。mHOは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表す。このため、mは整数でなくてもよい。アルミナ水和物を加熱すると、mが0となる場合がある。
アルミナ水和物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、非晶質、ギブサイト型、及びベーマイト型などがある。アルミナ水和物の結晶構造は、X線回折法により分析することができる。アルミナ水和物としては、ベーマイト型のアルミナ水和物、又は非晶質のアルミナ水和物が好ましい。アルミナ水和物の具体例としては、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、及び特開平9−76628号公報などに記載されたアルミナ水和物を挙げることができる。市販品のアルミナ水和物としては、以下商品名で、Disperal HP14、HP18(以上、サソール製)などを挙げることができる。
BET法で求められるアルミナ水和物の比表面積は、100m/g以上200m/g以下であることが好ましく、125m/g以上175m/g以下であることがさらに好ましい。BET法は、その大きさが既知の分子やイオンを試料表面に吸着させ、その吸着量から試料の比表面積を測定する方法である。試料表面に吸着させる分子としては、例えば窒素ガスを用いる。
アルミナとしては、気相法アルミナが好ましい。気相法アルミナとしては、γ−アルミナ、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナなどを挙げることができる。なかでも、画像の光学濃度やインク吸収性の観点から、γ−アルミナが好ましい。市販品の気相法アルミナとしては、以下商品名で、AEROXIDE;Alu C、Alu130、Alu65(以上、EVONIK製)などを挙げることができる。
BET法で求められる気相法アルミナの比表面積がは、50m/g以上150m/g以下であることが好ましく、80m/g以上120m/g以下であることがさらに好ましい。
気相法アルミナの平均一次粒子径は、5nm以上30nm以下であることが好ましく、11nm以上15nm以下であることがさらに好ましい。
アルミナ水和物及びアルミナは、分散剤で分散された水分散液の状態でインク受容層用の塗工液に混合されることが好ましく、分散剤として酸を用いることが好ましい。酸としては、下記一般式(Y)で表されるスルホン酸を用いることが、画像の滲みを抑制する効果が得られるため好ましい。
R−SOH ・・・(Y)
一般式(Y)中、Rは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、又は炭素数1以上4以下のアルケニル基を表す。Rは、オキソ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、及びアシル基で置換されていてもよい。酸の含有量は、アルミナ水和物及びアルミナの合計の含有量に対して、1.0質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、1.3質量%以上1.6質量%以下であることがさらに好ましい。
シリカは、その製法により湿式法と乾式法(気相法)に大別される。湿式法としては、ケイ酸塩の酸分解により生成した活性シリカを適度に重合させて凝集沈降させる方法が知られている。一方、乾式法(気相法)としては、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)や、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)が知られている。シリカとしては、乾式法(気相法)によって得られる気相法シリカが好ましい。気相法シリカは比表面積が特に大きいので、インクの吸収性が特に高い。また、気相法シリカは屈折率が低いので、インク受容層に透明性を付与でき、良好な発色性を得ることができる。市販品の気相法シリカとしては、以下商品名で、アエロジル(日本アエロジル製);レオロシールQSタイプ(トクヤマ製)などを挙げることができる。
気相法シリカのBET法による比表面積は、50m/g以上400m/g以下であることが好ましく、200m/g以上350m/g以下であることがさらに好ましい。
気相法シリカは、分散剤で分散された状態でインク受容層用の塗工液に混合されることが好ましい。気相法シリカの分散状態での粒子径は、50nm以上300nm以下であることがより好ましい。気相法シリカの分散状態での粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
発色性の観点から、アルミナ水和物、アルミナなどのアルミナ化合物とシリカは、混合せずに単独で用いることが好ましいが、アルミナ化合物、及びシリカを混合して用いてもよい。アルミナ化合物とシリカを併用する場合、発色性の観点から、シリカの使用量は、無機粒子の使用量に対する質量比率で、0.8倍以上であることが好ましい。具体的には、アルミナ水和物、アルミナ、及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種を粉体状態で混合及び分散させた分散液の状態で用いることが好ましい。アルミナ水和物とアルミナを併用する場合、アルミナ水和物の使用量は、アルミナの使用量に対する質量比率で、0.7倍以上4.0倍以下であることが好ましい。
インク受容層の透明性、インク吸収性、画像堅牢性向上剤を塗布した記録物のハンドリング性、及び画像堅牢性向上剤のインク受容層中の保持性などを考慮すると、インク受容層は特定の細孔径分布を持った多孔質構造を有することが好ましい。インク受容層の細孔径が小さすぎると、インク吸収性が低下しやすいとともに、塗布された画像堅牢性向上剤が浸透しにくくなる場合がある。一方、インク受容層の細孔径が大きすぎると、光学濃度が低下しやすいとともに、塗布された画像堅牢性向上剤がインク受容層中に保持されにくくなる。このため、液体吸収性を有しない基材を有する記録媒体を用いる場合に、記録物の表面が画像堅牢性向上剤で濡れた状態になりやすく、ハンドリング性が低下することがある。以上の点を考慮すると、インク受容層は、平均細孔半径が4nm以上30nm以下であるとともに、細孔半径4nm以下の細孔容積が0.1mL/g以上であることが好ましい。
インク受容層は、バインダを含有することが好ましい。バインダは、無機粒子同士を相互に結着し、かつ、被膜を形成しうる材料である。インク吸収性の観点から、インク受容層中のバインダの含有量は、無機粒子の含有量に対して、50.0質量%以下であることが好ましく、30.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、インク受容層の結着性の観点から、インク受容層中のバインダの含有量は、無機粒子の含有量に対して、5.0質量%以上であることが好ましく、8.0質量%以上であることがさらに好ましい。
バインダとしては、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール、及びこれらの誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体などのアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス;上記の重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;カチオン基を用いて上記の重合体をカチオン化したもの;カチオン性界面活性剤を用いて上記の重合体の表面をカチオン化したもの;カチオン性ポリビニルアルコールの存在下で上記の重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にポリビニルアルコールを分布させたもの;カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で上記の重合体を構成するモノマーを重合し、重合体の表面にカチオン性コロイド粒子を分布させたもの;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性バインダ;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体及び共重合体;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂を挙げることができる。
なかでも、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体をバインダとして用いることが好ましい。ポリビニルアルコール誘導体としては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどを挙げることができる。カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1乃至3級アミノ基又は第4級アンモニウム基を主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化して合成することができる。ポリビニルアルコールのけん化度は、80mol%以上100mol%以下であることが好ましく、85mol%以上98mol%以下であることがさらに好ましい。ポリビニルアルコールのけん化度は、JIS K 6726:1994に準拠した方法により測定した値を用いる。
ポリビニルアルコールの平均重合度は、2,000以上であることが好ましく、2,000以上5,000以下であることがさらに好ましい。ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K 6726:1994に準拠した方法により求めた粘度平均重合度を用いる。
インク受容層用の塗工液を調製する際は、ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体を水溶液の状態で用いることが好ましい。水溶液中のポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体の固形分の含有量は、3.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。
インク受容層は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、及びホウ酸塩などを挙げることができる。ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体をバインダとして用いる場合には、ホウ酸やホウ酸塩を架橋剤として用いることが好ましい。
ホウ酸としては、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、ジホウ酸などを挙げることができる。ホウ酸塩としては、ホウ酸の水溶性塩が好ましい。ホウ酸の水溶性塩としては、ホウ酸のナトリウム塩やカリウム塩などのホウ酸のアルカリ金属塩;ホウ酸のマグネシウム塩やカルシウム塩などのホウ酸のアルカリ土類金属塩;ホウ酸のアンモニウム塩などを挙げることができる。なかでも、オルトホウ酸を用いることが、塗工液の経時安定性が向上するとともに、クラックの発生が抑制される点から好ましい。
架橋剤の量は、製造条件などに応じて適宜調整することができる。インク受容層中の架橋剤の含有量は、バインダの含有量に対して、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。
バインダがポリビニルアルコールであり、かつ架橋剤がホウ酸及びホウ酸塩の少なくとも一方である場合、インク受容層中のホウ酸とホウ酸塩の合計含有量は、ポリビニルアルコールの含有量に対して5.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。
インク受容層には、上述の各種成分以外のその他の添加剤を含有させてもよい。その他の添加剤としては、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などを挙げることができる。
[3]下塗り層
基材とインク受容層との密着性を高めるべく、基材とインク受容層の間に下塗り層を設けることが好ましい。下塗り層は、水溶性ポリエステル樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコールなどを含有することが好ましい。下塗り層の厚さは、0.01μm以上5μm以下であることが好ましい。
[4]バックコート層
基材のインク受容層が設けられる面と反対側の面に、ハンドリング性、搬送適性、多数枚積載での連続印字時の耐搬送擦過性を向上すべく、バックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は、白色顔料やバインダなどを含有することが好ましい。バックコート層の厚さは、乾燥塗工量が1g/m以上25g/m以下となる厚さであることが好ましい。
[記録媒体の製造方法]
記録媒体は、例えば、以下の各工程を有する製造方法により製造することができる。すなわち、記録媒体の製造方法は、インク受容層形成用の塗工液を調製する工程(塗工液調製工程)と、塗工液を基材の少なくとも一方の面に塗工した後、塗工した塗工液を乾燥する工程(インク受容層形成工程)と、を有する。以下、記録媒体の製造方法について説明する。
[1]塗工液調製工程
塗工液調製工程では、無機粒子を含有する塗工液を調製する。無機粒子は、分散剤によって液媒体中に分散された、いわゆる分散液の状態で塗工液に用いられることが好ましい。液媒体中に無機粒子を分散させる際には、ホモミキサー、アジテーター、ボールミル、超音波分散機などを使用することができる。
アルミナ水和物、及びアルミナを容易かつ均一に分散させるには、解膠酸を添加することが好ましい。解膠酸としては、蟻酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピメリン酸、スベリン酸、メタンスルホン酸などの有機酸;塩酸、硝酸、燐酸などの無機酸などを挙げることができる。なかでも、蟻酸、酢酸、グリコール酸、メタンスルホン酸などの有機酸;塩酸、硝酸などの無機酸が好ましい。
上記のように調製した無機粒子分散液と、バインダなどのその他の成分とを混合することで、インク受容層用の塗工液を得ることができる。塗工液の固形分の含有量は、塗工液全質量を基準として、10.0質量%以上30.0質量%以下とすることができる。また、塗工液には、必要に応じて、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤、硬化剤、耐候材料などを含有させることができる。
[2]インク受容層形成工程
インク受容層形成工程では、調製した塗工液を基材の少なくとも一方の面に塗工した後、塗工した塗工液を乾燥する。これにより、無機粒子を含有するインク受容層が形成され、目的とする記録媒体を得ることができる。
基材に塗布する無機粒子の塗布量は、8g/m以上45g/m以下とすることが好ましい。無機粒子の塗布量を上記の範囲内とすることで、好ましい厚さのインク受容層を形成することができる。
基材の表面に塗工液を塗工するには、公知の塗工方式を用いることができる。公知の塗工方式としては、スロットダイ方式、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式などを挙げることができる。
基材の表面に塗工した塗工液を乾燥すれば、インク受容層を形成することができる。塗工液の乾燥には、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機を使用することができる。また、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機などを使用することもできる。これらの乾燥機を適宜選択して用いることができる。
インク受容層中の無機粒子の含有量(質量%)は、インク受容層全体を基準として、50質量%以上98質量%以下とすることが好ましく、70質量%以上96質量%以下とすることがさらに好ましい。
(塗布工程)
塗布工程では、液状の画像堅牢性向上剤を記録媒体に塗布する。画像堅牢性向上剤を記録媒体に塗布し、より好ましくは記録媒体のインク受容層に画像堅牢性向上剤を含浸させることで、優れた耐オゾン性などの耐ガス性、発色性、及び耐湿性に優れた画像を記録することができる。さらに、銀塩写真画像と同等水準の高品位で光沢感を有する画像が記録された記録物を得ることができる。
[画像堅牢性向上剤]
画像堅牢性向上剤は、常温(15〜30℃)及び常圧で液状の物質である。また、画像堅牢性向上剤は、揮発性が低く、HLB値が小さく、低粘度で疎水性の物質である。画像堅牢性向上剤のHLB値は、グリフィン法によって算出される値である。HLB値は下記式(1)により算出することができる。
HLB値=20×(親水性部の式量の総和/分子量) ・・・(1)
HLB値が大きいと、親水性が高いことを意味する。HLB値が大きすぎる画像堅牢性向上剤を用いると、水性インクで記録した画像を溶解してしまうため、画像の耐水性及び耐湿性が顕著に低下する。このため、本発明の記録物の製造方法では、HLB値が0以上5以下の画像堅牢性向上剤を用いる。
25℃における画像堅牢性向上剤の粘度は、120mPa・s以下である。多孔質構造を有するインク受容層に低粘度の画像堅牢性向上剤を塗布すると、小さい細孔内にも容易に浸透するので、常温及び高温高湿環境における耐オゾン性などの画像の耐ガス性が顕著に向上する。
画像堅牢性向上剤としては、多塩基酸と1価飽和脂肪族アルコールとのエステル、飽和脂肪酸のトリグリセリド、及びジアルキルポリシロキサンを挙げることができる。多塩基酸とは、酸の1分子中に含まれる水素原子のうち、金属原子又は陽性基で置換されうる水素原子の数(すなわち塩基度)が2以上である酸を意味する。1価飽和脂肪酸としては、炭素数5乃至18の1価飽和脂肪酸が好ましい。多塩基酸と1価飽和脂肪族アルコールとのエステルは、フルエステル化合物であることが好ましい。フルエステル化合物とは、多塩基酸のすべてのカルボン酸基がエステル化されている化合物を意味する。
多塩基酸と1価飽和脂肪族アルコールとのエステル及びジアルキルポリシロキサンは揮発性が低いため、画像堅牢性向上剤として用いると、多孔質構造を有するインク受容層に含浸した後に蒸発しにくく、多孔質のインク受容層に空隙が生じにくい。
多塩基酸と1価飽和脂肪族アルコールとのエステルとしては、フタル酸ジデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソデシルなどを挙げることができる。
飽和脂肪酸のトリグリセリドとしては、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、カプリン酸トリグリセリド、トリイソステアリン酸グリセリドなどを挙げることができる。
ジアルキルポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンの末端基又は側鎖の一部がメチル基以外の官能基や元素で置換されている変性ジメチルポリシロキサンなどを挙げることができる。ジメチルポリシロキサンの末端基又は側鎖の一部を置換する官能基や元素としては、水素、アルキル基、アラルキル基、フェニル基、ポリオキシエチレン基、カルビノール基、フロロアルキル基などを挙げることができる。
画像堅牢性向上剤としては、前述の多塩基酸と1価飽和脂肪族アルコールとのエステル等の化合物そのものを用いてもよく、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、これらの化合物を主として含む液状の混合物を用いてもよい。「主として含む」とは、液状の混合物に含まれる成分中で最も含有量が多いことを意味し、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上含有することを意味する。
インク受容層中の無機粒子が、気相法シリカを含み、気相法シリカの含有量が、無機粒子の含有量に対する質量比率で、0.5倍以上である場合、画像堅牢性向上剤は、ジアルキルポリシロキサンであることが好ましい。また、インク受容層中の無機粒子が、アルミナ水和物、及びアルミナの少なくとも一方のアルミナ化合物を含み、アルミナ化合物の含有量が、無機粒子の含有量に対する質量比率で、0.5倍より大きい場合は、以下の通りである。画像堅牢性向上剤は、多塩基酸と1価飽和脂肪族アルコールとのエステル、及び飽和脂肪酸のトリグリセリドの少なくとも一方であることが好ましい。無機粒子と画像堅牢性向上剤を上記のような組み合わせとすることで乾燥時間を速めることができ、画像の速乾性が向上する。多塩基酸と1価飽和脂肪族アルコールとのエステル、及び飽和脂肪酸のトリグリセリドと比べて、ポリジアルキルシロキサンは、気相法シリカに対する濡れ性が高い。ポリジアルキルシロキサンと比べて、多塩基酸と1価飽和脂肪族アルコールとのエステル、及び飽和脂肪酸のトリグリセリドは、アルミナ化合物に対する濡れ性が高い。これにより、画像の速乾性が向上すると推測される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは、特に断らない限り質量基準である。
<基材の作製>
濾水度450mLCSF(Canadian Standard Freeness)の広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と、濾水度480mLCSFの針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を用意した。LBKP80.0部、NBKP20.0部、カチオン化澱粉0.6部、重質炭酸カルシウム10.0部、軽質炭酸カルシウム15.0部、アルキルケテンダイマー0.1部、及びカチオン性ポリアクリルアミド0.03部を混合した。次いで、固形分の含有量が3.0%となるように水を添加して紙料を得た。得られた紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。サイズプレス装置を使用し、塗工量が1.0g/mとなるように酸化澱粉水溶液を含浸させた後、乾燥した。次いで、マシンカレンダー仕上げをして、坪量170g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mN、及び膜厚100μmの基紙を得た。低密度ポリエチレン70.0部、高密度ポリエチレン20.0部、及び酸化チタン10.0部からなる樹脂組成物を、得られた基紙の一方の面に、乾燥塗工量が25g/mとなるように塗工した。さらに、基紙のもう一方の面に低密度ポリエチレンを塗工して基材を得た。なお、樹脂組成物を塗工して形成した面を基材の表面とする。
<無機粒子分散液の調製>
(無機粒子分散液1)
イオン交換水231.8部に、分散剤(アミノシランカップリング剤、商品名「Dynasylan hydrosil 2929」、EVONIK製)9.8部(気相法シリカ100.0部に対して、固形分換算で8.0部となる量)を添加した。ミキサー(商品名「T.K.ホモミキサーMARKII2.5型」、特殊機化工業製)を使用して5,000rpmの回転条件で撹拌しながら、気相法シリカ(商品名「AEROSIL300」、EVONIK製)57.9部を少量ずつ添加した。ミキサー(商品名「CLEARMIX」、エム・テクニック製)を使用して10,000rpmの回転条件で30分間処理して、固形分含有量が20.0%である、気相法シリカを含有する無機粒子分散液1を得た。得られた無機粒子分散液1中の気相法シリカの平均二次粒子径は、140nmであった。
(無機粒子分散液2)
イオン交換水160.0部に、アルミナ水和物(商品名「DISPERAL HP14」、サソール製)40.0部、及びメタンスルホン酸0.6部を添加した。ミキサーで30分間撹拌して、固形分含有量が20.0%である、アルミナ水和物を含有する無機粒子分散液2を得た。得られた無機粒子分散液2中のアルミナ水和物の平均二次粒子径は、130nmであった。
(無機粒子分散液3)
イオン交換水160.0部に、気相法アルミナ(商品名「AEROXIDE AluC」、サソール製)40.0部、及びメタンスルホン酸0.6部を添加した。ミキサーで30分間撹拌して、固形分含有量が20.0%である、気相法アルミナを含有する無機粒子分散液3を得た。得られた無機粒子分散液3中の気相法アルミナの平均二次粒子径は、150nmであった。
<バインダ溶液の調製>
ポリビニルアルコール(商品名「PVA235」、クラレ製)を固形分の含有量が9%となるように水に溶解させ、バインダ溶液を得た。
<インク受容層用の塗工液の調製>
(塗工液1)
無機粒子分散液1と、バインダ溶液とを、気相法シリカの固形分が100.0部及びバインダ溶液中の固形分が23.0部となる量比で混合して混合溶液を得た。得られた混合溶液中の気相法シリカの固形分100.0部に対して、固形分換算で3.0部となる量の架橋剤(オルトホウ酸水溶液、固形分含有量5.0%)を添加した。イオン交換水をさらに添加して、全固形分の含有量が15.0%であるインク受容層用の塗工液1を得た。
(塗工液2)
無機粒子分散液2と、バインダ溶液とを、アルミナ水和物の固形分が100.0部及びバインダ溶液中の固形分が10.0部となる量比で混合して混合溶液を得た。得られた混合溶液中のアルミナ水和物の固形分100.0部に対して、固形分換算で1.2部となる量の架橋剤(オルトホウ酸水溶液、固形分含有量5.0%)を添加した。イオン交換水をさらに添加して、全固形分の含有量が15.0%であるインク受容層用の塗工液2を得た。
(塗工液3)
無機粒子分散液1、無機粒子分散液2、及びバインダ溶液を、気相法シリカの固形分が50.0部、アルミナ水和物の固形分が50.0部、及びバインダ溶液中の固形分が16.5部となる量比で混合して混合溶液を得た。得られた混合溶液中の無機粒子の固形分100.0部に対して、固形分換算で2.1部となる量の架橋剤(オルトホウ酸水溶液、固形分含有量5.0%)を添加した。イオン交換水をさらに添加して、全固形分の含有量が15.0%であるインク受容層用の塗工液3を得た。
(塗工液4)
無機粒子分散液2、無機粒子分散液3、及びバインダ溶液を、アルミナ水和物の固形分が50.0部、気相法アルミナの固形分が50.0部、及びバインダ溶液中の固形分が10.0部となる量比で混合して混合溶液を得た。得られた混合溶液中の無機粒子の固形分100.0部に対して、固形分換算で1.2部となる量の架橋剤(オルトホウ酸水溶液、固形分含有量5.0%)を添加した。イオン交換水をさらに添加して、全固形分の含有量が15.0%であるインク受容層用の塗工液4を得た。
<記録媒体の製造>
(記録媒体1)
塗工液1を乾燥固形分塗工量が26g/mとなるように基材の表面に塗工した。次いで、塗工した塗工液を100℃の熱風で乾燥し、基材の表面にインク受容層が形成された記録媒体1を得た。
(記録媒体2)
塗工液2を乾燥固形分塗工量が40g/mとなるように基材の表面に塗工した。次いで、塗工した塗工液を100℃の熱風で乾燥し、基材の表面にインク受容層が形成された記録媒体2を得た。
(記録媒体3)
塗工液3を乾燥固形分塗工量が33g/mとなるように基材の表面に塗工した。次いで、塗工した塗工液を100℃の熱風で乾燥し、基材の表面にインク受容層が形成された記録媒体3を得た。
(記録媒体4)
塗工液4を乾燥固形分塗工量が40g/mとなるように基材の表面に塗工した。次いで、塗工した塗工液を100℃の熱風で乾燥し、基材の表面にインク受容層が形成された記録媒体4を得た。
<インク受容層の平均細孔半径の測定>
サンプル(記録媒体)を5.0cm×10cmのサイズに断裁した後、平均細孔半径測定用のセルに入る大きさに切り分けた。断裁したサンプルをセルに投入し、試験前処理として、室温下で一昼夜脱気乾燥した。脱気乾燥したサンプルについて、水銀圧入法自動細孔分布測定装置(商品名「オートポアIV9520」、micromeritics製)を用いて、水銀圧入法により1.8nmから100000nmの範囲の細孔分布を測定した。得られた細孔分布より、インク受容層中の無機粒子の細孔半径および細孔容積を算出した。
<インク受容層の細孔半径4nm以下の細孔容積の測定>
平均細孔半径の測定で用いる装置と同じ装置を用いて、水銀圧入法により1.8nmから4nmの範囲の細孔半径を有する細孔容積の合計値を算出し、その結果を表1に示す。
Figure 2020078912
<記録物の製造>
インクカートリッジ(商品名「BCI−371」、キヤノン製)を装着したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS MG7730」、キヤノン製)を用意した。用意したインクジェット記録装置を使用して、「写真用紙 光沢ゴールド 色補正なし」モードにて、2.5cm×2.5cmのブラックのベタ画像(記録デューティ100%)を各記録媒体に記録した。記録条件は、温度23℃、相対湿度50%とした。画像を記録した記録媒体に、バーコーター(#10)を使用して表3に示す画像堅牢性向上剤を塗布した後、1分間放置して、画像堅牢性向上剤をインク受容層中の空隙に浸潤させた。次いで、バーコーター(#0)を使用して余剰の画像堅牢性向上剤を掻き取って、記録媒体のインク受容層に画像が記録された記録物を得た。使用した画像堅牢性向上剤の種類を表2に示す。
Figure 2020078912
Figure 2020078912
<評価>
以下に示す各項目の評価基準において、「A」及び「B」を好ましいレベルとし、「C」及び「D」を許容できないレベルとした。
(画像の発色性)
光学反射濃度計(商品名「530分光濃度計」、X−Rite製)を使用して記録した画像の光学濃度を測定し、以下に示す評価基準にしたがって画像の発色性を評価した。結果を表4に示す。
A:光学濃度が2.60以上であった。
B:光学濃度が2.30以上2.60未満であった。
C:光学濃度が2.10以上2.30未満であった。
D:光学濃度が2.10未満であった。
(画像の耐湿性)
上記のインクジェット記録装置を使用し、「写真用紙 光沢ゴールド 色補正なし」モードにてISOマイグレーション評価パッチを形成した。表3に示す画像堅牢性向上剤を塗布した後、1分間放置して、画像堅牢性向上剤をインク受容層中の空隙に浸潤させた。次いで、バーコーター(#0)を使用して余剰の画像堅牢性向上剤を掻き取って、記録媒体のインク受容層に画像が記録された記録物を得た。得られた記録物を25℃、相対湿度85%の環境で1週間保管した。その後、黒色、マゼンタ、イエローのパッチの熱湿滲みの状態を目視で観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐湿性を評価した。結果を表4に示す。
A:滲みがほぼ視認できない。
B:滲みは視認できるが、僅かである。
C:滲みが視認でき、若干目立つ。
D:大きい滲みが視認できる。
(画像の耐オゾン性)
オゾン試験装置(商品名「オゾンウエザオメーター」、スガ試験機製)を使用し、以下に示す暴露条件で耐オゾン性の暴露試験を行った。
[暴露条件]
暴露ガス組成:オゾン5ppm
時間:6時間
温度:45℃
相対湿度:55%
分光光度計(商品名「FD−7」、コニカミノルタ製)を使用して暴露試験前後の画像の色度(Lab)を測定した。なお、画像の境界から1cm以上内側の領域の5点の色度の平均値を採用した。測定した色度から色差ΔEを算出し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐オゾン性を評価した。結果を表4に示す。
A:ΔEが2.0未満であった。
B:ΔEが2.0以上3.0未満であった。
C:ΔEが3.0以上5.0未満であった。
D:ΔEが5.0以上であった。
(画像の速乾性)
塗布した画像堅牢性向上剤の乾燥状態を目視にて確認し、以下に示す評価基準にしたがって速乾性を評価した。結果を表4に示す。
A:塗布してから12時間経過前に触れても、画像堅牢性向上剤が付着しなかった。
B:塗布してから12時間経過後24時間経過前に触れても、画像堅牢性向上剤が付着しなかった。
C:塗布してから24時間経過後36時間経過前に触れても、画像堅牢性向上剤が付着しなかった。
D:塗布してから36時間経過後に触れると、画像堅牢性向上剤が付着した。
Figure 2020078912
比較例5及び6については画像堅牢性向上剤を塗布した際に記録した画像のインクが溶解してしまったため、画像性能の評価を実施することができなかった。

Claims (5)

  1. 液体吸収性を有しない基材及び前記基材の少なくとも一方の面に設けられた無機粒子を含むインク受容層を有する記録媒体に水性インクを付与して画像を記録する記録工程と、液状の画像堅牢性向上剤を前記記録媒体に塗布する塗布工程と、を有する記録物の製造方法であって、
    25℃における前記画像堅牢性向上剤の粘度が、120mPa・s以下であり、
    グリフィン法により算出される前記画像堅牢性向上剤のHLB値が、0以上5以下であることを特徴とする記録物の製造方法。
  2. 前記画像堅牢性向上剤が、多塩基酸と1価飽和脂肪族アルコールとのエステル、飽和脂肪酸のトリグリセリド、及びジアルキルポリシロキサンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の記録物の製造方法。
  3. 前記無機粒子が、気相法シリカを含み、
    前記インク受容層に含まれる前記気相法シリカの含有量が、前記無機粒子の含有量に対する質量比率で、0.5倍以上であり、
    前記画像堅牢性向上剤が、ジアルキルポリシロキサンである請求項1に記載の記録物の製造方法。
  4. 前記無機粒子が、アルミナ水和物、及びアルミナの少なくとも一方のアルミナ化合物を含み、
    前記インク受容層に含まれる前記アルミナ化合物の含有量が、前記無機粒子の含有量に対する質量比率で、0.5倍より大きく、
    前記画像堅牢性向上剤が、多塩基酸と1価飽和脂肪族アルコールとのエステル、及び飽和脂肪酸のトリグリセリドの少なくとも一方である請求項1に記載の記録物の製造方法。
  5. 前記インク受容層が多孔質構造を有し、
    水銀圧入法により測定される前記インク受容層の平均細孔半径が、4nm以上30nm以下であるとともに、細孔半径4nm以下の細孔容積が、0.1mL/g以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録物の製造方法。
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