以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図2には、本実施形態に係るワイパ装置10の主要部が概略構成図にて示されている。ワイパ装置10は、乗用車などの車両に設けられ、ウィンドシールドガラス12の払拭に用いられる。なお、図2では、右ハンドル車のウィンドシールドガラス12が車両前側から見た正面図にて示され、車幅右側(図2の左側)が運転席、車幅左側(図2の右側)が助手席とされている。
図2に示すように、ワイパ装置10は、払拭部としての一対のワイパ14、ワイパモータ16、及びリンク機構18を備えている。一対のワイパ14は、一方が助手席側に配置され、他方が運転席側に配置されている。なお、車両が左ハンドル車の場合には、右ハンドル車の一対のワイパ14が左右反転されて配置される。
一対のワイパ14は、各々ワイパアーム20及びワイパブレード22を備えており、一対のワイパ14は、ワイパアーム20の基端部が下記一対のピボット軸30に各々固定され、各々のワイパアーム20の先端部にワイパブレード22が取り付けられている。
リンク機構18は、クランクアーム24、第1リンクロッド26、一対のピボットレバー28、一対のピボット軸30、及び第2リンクロッド32を備えている。また、ワイパモータ16には、回転可能な出力軸34が設けられており、クランクアーム24は、一端側がワイパモータ16の出力軸34に固定され、他端側が第1リンクロッド26の一端側に動作可能に連結されている。
ピボットレバー28は、各々一端にピボット軸30を有しており、ピボット軸30は、車体に設けられた図示しないピボットホルダによって動作可能に支持されている。ピボットレバー28の各々には、ピボット軸30を介してワイパアーム20が固定されている。また、第1リンクロッド26の他端側(クランクアーム24とは反対側)は、一方のピボットレバー28の長手方向中間部に動作可能に連結されている。また、第2リンクロッド32は、両端側の各々が一対のピボットレバー28のピボット軸30と反対側端に各々動作可能に連結されている。
これにより、ワイパ装置10では、ワイパモータ16の出力軸34が回転されることで、出力軸34の回転力がリンク機構18を介して一対のワイパアーム20に伝達され、ワイパアーム20が往復動作される。ワイパブレード22は、ワイパアーム20の往復動作によってウィンドシールドガラス12上における下反転位置P2と上反転位置P1との間で往復動作(払拭動作)し、下反転位置P2と上反転位置P1との間でウィンドシールドガラス12表面を払拭する。なお、ワイパ装置10は、ワイパアーム20の往復動作が停止される際、ワイパブレード22が下反転位置P2に移動されて停止される。
図3には、本実施形態に係るワイパモータ16の主要部が車両後側から見た平面図にて示され、図4には、ワイパモータ16の主要部が側面図(ヨークハウジング42とは反対側の側面図)にて示されている。
図2及び図3に示すように、ワイパモータ16は、モータ及び動力源としてのモータ本体36、モータ本体36の回転を減速するための減速部としての減速機構38及び減速機構38等が収容されたハウジングとしてのモータハウジング40を備えている。
図3に示すように、モータ本体36は、ハウジングを構成する有底略円筒状のヨークハウジング42を備えている。ヨークハウジング42の内周面には、複数の永久磁石(図示要略)が固定されており、永久磁石は、ヨークハウジング42の周方向に交互に極性が異なるように配置されている。ヨークハウジング42内には、永久磁石の内側において、アーマチャ44が収容されており、アーマチャ44には、略丸棒状の回転軸46が同軸上に設けられている。回転軸46は、軸方向一端部が軸受(図示省略)を介してヨークハウジング42の底部に回転自在に支持され、軸方向他端部がヨークハウジング42から突出されており、回転軸46は、アーマチャ44と一体回転可能にされている。
本実施形態においてワイパモータ16のモータ本体36には、3ブラシのブラシ付き直流モータが用いられており、モータ本体36には、略環状に形成されたブラシホルダ装置48が取り付けられている。ブラシホルダ装置48は、回転軸46と同軸上にされて、回転軸46の軸方向中間部(ヨークハウジング42の開口側部分)において、回転軸46径方向外側に周方向に延在されている。ワイパモータ16には、ブラシホルダ装置48に高速用ブラシ、低速用ブラシ及び共通ブラシ(接地ブラシ)が設けられ(何れも図示省略)、これらのブラシがアーマチャ44の図示しない整流子に摺接されている。
図3及び図4に示すように、モータハウジング40は、各々ハウジングを構成するギアハウジング部50及びカバープレート52を有している。ギアハウジング部50は、アルミニウム(又はアルミニウム合金)によるダイカスト成形等により製作され、全体として回転軸46との直交方向の一側(例えば、車両取り付け状態で上方側)へ開口された略箱形状に形成されている。ギアハウジング部50内には、減速機構38が収容されている。
図3に示すように、ギアハウジング部50の側部には、有底略円筒状のホルダ収容部54が突設されている。モータ本体36は、ヨークハウジング42の開口がホルダ収容部54の開口に対向されて、ヨークハウジング42がギアハウジング部50に固定されている。これにより、モータ本体36は、ホルダ収容部54内にブラシホルダ装置48が挿入配置されると共に、ホルダ収容部54の底部(ギアハウジング部50の側壁)に貫通形成された図示しない挿入孔からギアハウジング部50内に回転軸46が挿通配置されている。
図4に示すように、ギアハウジング部50の底部には、略円筒状の筒部50Aが形成されており、筒部50Aは、軸線方向がモータ本体36の回転軸46の軸線方向と交差する方向とされて、ギアハウジング部50の底部から外方に突設されている。
図3に示すように、モータ本体36の回転軸46には、ギアハウジング部50内においてウォーム(ねじ歯車)46Aが取り付けられている。また、ギアハウジング部50内には、減速機構38を構成するウォームホイール(はす歯歯車)38Aが設けられている。ウォームホイール38Aは、筒部50Aと同軸上に回転自在に配置されて、ウォーム46Aと噛合されている。また、ギアハウジング部50には、ウォームホイール38Aと同軸上に出力軸34が配置されており。出力軸34は、一端部がウォームホイール38Aの軸心部に固定され、他端側が筒部50Aに挿通されて、ギアハウジング部50から外方に突出されている。これにより、ワイパモータ16は、モータ本体36の回転軸46が回転されることで、回転軸46の回転が減速されて出力軸34に伝達され、出力軸34が回転される。
カバープレート52は、絶縁性を有する樹脂材料によって略薄箱形状に形成されており、カバープレート52は、開口がギアハウジング部50の開口(底部と反対側の開口)と対向されて、ギアハウジング部50に取り付けられている。これにより、モータハウジング40は、ギアハウジング部50の開口がカバープレート52によって閉塞されている。なお、ギアハウジング部50とカバープレート52との間には、内部への浸水を防止するシール剤が塗布されて内部が密閉されている。
カバープレート52の内面には、略円板状のカムプレート56が配置されており、カムプレート56は、出力軸34と同軸上にされ、ウォームホイール38Aと一体回転可能とされている。カムプレート56には、所定のパターン(図示省略)をなす下記可動接点56Aが形成されている。
一方、図5(A)には、ギアハウジング部50の開口側から見たモータハウジング40の主要部が平面図にて示され、図5(B)には、下記回路基板58の図5(A)とは異なる面の主要部の平面図にて示されている。なお、ワイパ装置10では、図5(A)側が実装面とされ、図5(B)が図示しない配線パターン(図示は省略)の形成されるはんだ面とされている。
図5(A)に示すように、モータハウジング40のギアハウジング部50内には、回路基板58が収容されている。図5(A)及び図5(B)に示すように、回路基板58は、平面外形がギアハウジング部50(カバープレート52)の内周形状に凡そ合わせられており、回路基板58は、ギアハウジング部50内においてカムプレート56と減速機構38との間に配置されている。
図1には、本実施形態に係る回路基板58における主要部の配線図が示されている。
図1に示すように、回路基板58には、ワイパモータ16(モータ本体36)の駆動を制御するコントローラ(制御回路)60が形成されている。ワイパモータ16のモータ本体36には、Hiブラシ端子62A、Loブラシ端子62B及び接地端子(COM端子)62Cが設けられている。Hiブラシ端子62A、Loブラシ端子62B及び接地端子62Cは、各々ブラシホルダ装置48の高速用ブラシ、低速用ブラシ及び共通ブラシに接続されている(図示省略)。
カバープレート52の内部には、第1固定接点64A、第2固定接点64B及び第3固定接点64Cが設けられている。第1固定接点64Aは、カムプレート56の可動接点56Aに摺接されて電気的に接続されている。また、第2固定接点64B及び第3固定接点64Cは、カムプレート56が回転されることで各々可動接点56Aに摺接可能とされ、摺接することで可動接点56Aに電気的に接続されて、第1固定接点64Aに電気的に接続される。
ワイパ装置10では、ワイパブレード22が下反転位置P2(停止位置)以外にあるときに、第2固定接点64Bがカムプレート56の可動接点56Aに接続される。また、ワイパ装置10では、ワイパブレード22が下反転位置P2にあるときに可動接点56Aが第2固定接点64Bから離れ、第3固定接点64Cに接続される。
図1、図5(A)及び図5(B)に示すように、回路基板58(コントローラ60)には、一次側に電源端子66A、SW(スイッチ)端子66B、LIN端子66C及びGND(接地)端子66Dが設けられている。また、図1に示すように、回路基板58には、二次側にHi端子68A、Lo端子68B、CAM端子68C及びGND端子68Dが設けられている。
ギアハウジング部50内では、第1固定接点64Aが、CAM端子68Cに接続され、モータ本体36の接地端子62C及び第2固定接点64BがGND端子68Dに接続されている。また、モータ本体36のHiブラシ端子62A及びLoブラシ端子62Bは、カバープレート52内において、各々Hi端子68A及びLo端子68Bに接続されている。なお、図5(B)に示すように、GND端子68Dは、回路基板58のはんだ面に配置されており、GND端子68Dは、回路基板58がギアハウジング部50内に装着されることで、ギアハウジング部50内面に接触して接地される。
図1に示すように、車両には、車載用バッテリが用いられた電源70、フューズ70A、リレー70B、ワイパスイッチ72、及び車両のエンジン制御等を司るBCM(Body Control Module)74等が設けられている。ワイパスイッチ72は、例えば、車両のステアリングコラム等に設けられたレバー式等が適用されている。
ワイパ装置10には、ワイパ14(ワイパブレード22)の作動モードとして、払拭速度を所定の速度としての低速で作動させるLoモード(低速作動モード)、及び低速モードより速い払拭速度としての高速(Loモードに比して高速)で動作させるHiモード(高速作動モード)が設定されている。また、ワイパ装置10における作動モードには、所定周期で間欠的にワイパ14を往復動作させるINTモード(間欠作動モード)が設定されており、INTモードは、例えば、ワイパブレード22の払拭速度がLoモードと同様とされている。ワイパ装置10では、ワイパスイッチ72の操作によってオンオフと共に、作動モード(Hiモード、Loモード又はINTモード)が選択される。
フューズ70A、リレー70B及びBCM74等は、車両のインストルメントパネル内など(車室内)に配置されている。図3及び図4に示すように、ギアハウジング部50の側面には、有底略筒状のソケット部50Bが突設されており、ソケット部50Bには、コネクタ60B(図5(A)参照)が装着される(嵌め込まれる)。
ワイパモータ16は車室外(車外)に配置され、車室内と車外のワイパモータ16との間には、ワイヤハーネス60Cが配索される。コネクタ60Bは、ワイヤハーネス60Cの一端側(ワイパモータ16側)に設けられており、コネクタ60Bをソケット部50Bに装着することで、ワイヤハーネス60C内の各配線がコントローラ60に接続される。
コントローラ60は、ワイヤハーネス60Cを介してGND端子66Dに電源70の接地側が接続され、電源端子66Aにフューズ70A及びリレー70Bを介して電源70の+B側が接続されている。また、コントローラ60は、ワイヤハーネス60Cを介してSW端子66Bにワイパスイッチ72の一側が接続され、LIN端子66CにBCM74を介してワイパスイッチ72の他側が接続されている。
リレー70Bは、車両の図示しないイグニッションスイッチがオンされることで、接点が閉じられる。コントローラ60には、車両のイグニッションスイッチがオンされることで、電源70から所定電圧(+B)の電力が供給される。また、コントローラ60には、ワイパスイッチ72が操作されることで、ワイパ装置10のオンオフ信号及び作動モードに応じた信号が入力される。
一方、図5(A)及び図5(B)に示すように、回路基板58には、駆動部としての制御用のIC(Integrated Circuit)76、第2切替え部としてのメインリレー78及び第1切替え部としての切替えリレー80が取り付けられている。また、回路基板58には、逆流制限素子(保護素子)としてのダイオード82が取り付けられている。
図1に示すように、コントローラ60では、ダイオード82のアノード(A)が電源端子66Aに接続され、ダイオード82のカソード(K)がIC76に接続されている。また、コントローラ60(回路基板58)では、接地線60Aが設けられており、接地線60Aは、一次側のGND端子66Dと二次側のGND端子68Dとを接続している。IC76は、接地線60Aに接続されていると共に、SW端子66B及びLIN端子66Cの各々に接続されている。
これにより、コントローラ60では、イグニッションスイッチがオンされることでIC76に電力が供給されてIC76が動作する。また、IC76は、ワイパスイッチ72が操作されることでオンオフ信号が入力されると共に、ワイパスイッチ72において選択された作動モードに応じた信号が入力される。
メインリレー78のコイル78A及び切替えリレー80のコイル80Aの各々は、一側がダイオード82のカソードに接続され、他側がIC76に接続されている。メインリレー78は、一次側とされるNO接点(a接点)78Bが電源端子66Aに接続され、NC接点(b接点)78Cが接地線60Aに接続され、二次側とされるCOM接点78Dが、切替えリレー80において一次側とされるCOM接点80Dに接続されている。また、切替えリレー80には、各々が二次側とされるNO接点(a接点)80B及びNC接点(b接点)80Cが設けられ、NO接点80BがHi端子68Aに接続され、NC接点80CがLo端子68Bに接続されている。
コントローラ60のIC76は、SW端子66Bから入力される信号に応じてコイル78A、80Aに通電し、メインリレー78及び切替えリレー80の各々を動作させる。この際、IC76は、ワイパスイッチ72がオンされることで、メインリレー78のコイル78Aに通電し、ワイパスイッチ72によりLoモード又はINTモードが選択されることで、切替えリレー80のコイル80Aに通電する。
これにより、ワイパスイッチ72がオンされて、Hiモードが選択されることで、Hi端子68Aから電源電圧が出力され、モータ本体36がHiモードで動作可能になる。また、ワイパスイッチ72においてLoモード又はINTモードが選択されることで、Lo端子68Bから電源電圧が出力され、モータ本体36がLoモード又はINTモードで動作可能になる。なお、IC76は、INTモードが選択されていると、例えば、所定の時間間隔で切替えリレー80のコイル80Aに通電・通電停止することで、モータ本体36を間欠的に動作させる。
一方、図5(B)に示すように、回路基板58には、雑音制限素子及び静電容量素子としてのコンデンサ84が設けられている。また、回路基板58には、サージ吸収素子及び整流素子としてのダイオード86が設けられている。コンデンサ84及びダイオード86は、例えば、回路基板58のはんだ面に装着されている。
図1に示すように、コンデンサ84は、コンデンサ84A、84Bが直列接続されて構成されている。コントローラ60では、コンデンサ84の一側(コンデンサ84B側)が接地線60Aに接続され、コンデンサ84の他側(コンデンサ84A側)がメインリレー78のCOM接点78Dと切替えリレー80のCOM接点80Dとの間に接続されている。また、コントローラ60では、ダイオード86のアノード(A)が接地線60Aに接続され、ダイオード86のカソード(K)がメインリレー78のCOM接点78Dと切替えリレー80のCOM接点80Dとの間に接続されている。
このため、コントローラ60では、接地線60Aと切替えリレー80のCOM接点80Dとの間において、コンデンサ(コンデンサ84A、84Bが直列接続されたコンデンサ)84とダイオード86とが並列接続されている。これにより、Hiブラシ端子62A(高速用ブラシ)及びLoブラシ端子62B(低速用ブラシ)の各々と接地線60Aとの間が、コンデンサ84及びダイオード86の各々により接続される。
次に本実施形態の作用を説明する。
ワイパ装置10では、イグニッションスイッチがオンされてリレー70Bの接点が閉じられることで、コントローラ60に電源70から電力(電源電圧)が供給される。これにより、ワイパ装置10では、コントローラ60のIC76が駆動されると共に、メインリレー78及び切替えリレー80が動作可能になって、ワイパ14が作動可能になる。また、ワイパ装置10では、ワイパスイッチ72がオン操作される共に、作動モードが選択されると、コントローラ60のIC76にオン信号及び選択された作動モードに応じた信号が入力される。
IC76は、ワイパスイッチ72がオン操作されると、メインリレー78のコイル78Aに通電する。これにより、コントローラ60では、メインリレー78から切替えリレー80のCOM接点80Dに電源電圧が印加される。また、IC76は、ワイパスイッチ72においてLoモード(INTモードでもよい)が選択されていると、切替えリレー80のコイル80Aに通電する。これにより、切替えリレー80のNC接点80CからLo端子68Bに電源電圧が印加されて、ワイパモータ16のモータ本体36が低速で駆動され、ワイパブレード22が低速でウィンドシールドガラス12の払拭動作を行なう。
また、IC76は、ワイパスイッチ72においてHiモードが選択されていると、切替えリレー80のコイル80Aへの通電を停止状態とする。これにより、切替えリレー80のNO接点80BからHi端子68Aに電源電圧が印加されて、ワイパモータ16のモータ本体36が高速で駆動され、ワイパブレード22が高速でウィンドシールドガラス12の払拭動作を行なう。
一方、ワイパモータ16では、モータ本体36が駆動されて、ワイパブレード22が停止位置とされている下反転位置P2から離れると、カムプレート56の可動接点56Aによって第1固定接点64Aと第2固定接点64Bとが接続され、CAM端子68CがGNDされる(Lレベルとなる)。また、ワイパブレード22が下反転位置P2に達すると、カムプレート56の可動接点56Aによって第1固定接点64Aと第3固定接点64Cとが接続され、CAM端子68CがGNDから離れる(Hレベルとなる)。
ここで、ワイパスイッチ72がオフ操作されと、コントローラ60のIC76は、CAM端子68CがGNDから離れた(Hレベル)タイミングで、メインリレー78のコイル78Aへの通電を停止する。これにより、ワイパ装置10は、ワイパブレード22が下反転位置P2で停止されて、払拭動作を停止する。このようなコントローラ60の基本動作は、図7のコントローラ116の動作として適用できる。
ところで、ワイパ装置10では、モータハウジング40(ギアハウジング部50)の内部に回路基板58が収容されており、この回路基板58には、IC76及び切替えリレー80が設けられてコントローラ60が形成されている。コントローラ60は、車室内からワイヤハーネス60Cによって供給される電源電圧を、モータ本体36の高速用ブラシ及び低速用ブラシに供給する。このため、ワイパ装置10では、車室内とワイパモータ16(モータハウジング40)との間の電源電圧の供給系統を1系統にできて、車室内とワイパモータ16との間の配線の配索が容易になっている。これにより、ワイパ装置10では、車両への組み付け(取り付け)コストを抑制できて、低コスト化できる。
また、回路基板58には、メインリレー78が設けられており、コントローラ60は、ワイパスイッチ72がオン操作されることで、メインリレー78のコイル78Aに通電して、ワイパモータ16の動作が可能となるようにする。このために、ワイパスイッチ72の操作にかかわらずコントローラ60に電源電圧を供給した状態にできて、ワイパスイッチ72のオンオフ操作によってコントローラ60への電源電圧の供給停止がなされるのを防止できる。
また、回路基板58には、ダイオード82が設けられており、ダイオード82がIC76、メインリレー78のコイル78A及び切替えリレー80のコイル80Aへの電力の逆流を制限している。
これにより、コントローラ60では、IC76、メインリレー78及び切替えリレー80を電源配線の配線間違いに対して保護できる。また、コントローラ60では、電源配線に配線間違いが生じた際に、IC76の動作が停止されるので、配線間違いに対してモータ本体36を保護できる。しかも、ダイオード82は、IC76、メインリレー78及び切替えリレー80が接続される回路に配置することで、モータ本体36を保護するので、モータ本体36が接続される回路に設けられる場合に比して、許容電流を低くできて、低コスト化及び小型化が図られる。
一方、ワイパモータ16のモータ本体36には、ブラシ付き直流モータ(ブラシ付きモータ)が用いられている。このため、ワイパ装置10では、モータ本体36が駆動されることで、ラジオノイズが発生し、このラジオノイズを発生する電流(高調波電流)が、ワイヤハーネス60Cに流れることで、ワイヤハーネス60Cに併設されて配索される配線にノイズ成分が誘起されてしまう。
ここで、モータハウジング40に収容された回路基板58には、雑音制限素子としてのコンデンサ84(84A、84B)が設けられ、コンデンサ84が、切替えリレー80のCOM接点80Dと接地線60Aとの間に接続されている。これにより、ワイパ装置10では、モータ本体36がLoモード及びHiモードの何れで動作された場合でも、一つ(一組)のコンデンサ84によってラジオノイズの発生を防止できる。
すなわち、切替えリレー80が取り付けられた回路基板58がモータハウジング40内に設けられずに車室内側に設けられた場合、ハウジング(モータハウジング)内に高速用ブラシ及び低速用ブラシの各々に雑音制限素子としてのコンデンサ(静電容量素子)を設ける必要がある(図7参照)。
これに対して、本実施形態では、切替えリレー80が設けられた回路基板58をモータハウジング40内に収容することで、一つのコンデンサ84によって高速動作時及び低速動作時の各々におけるラジオノイズの発生を防止できる。これにより、ワイパ装置10では、ラジオノイズの抑制のために部品数を削減できる。
また、モータハウジング40内に回路基板を設けていない場合、ラジアルリード形のコンデンサを用いる必要があり、コンデンサを設けるために比較的大きい配置スペースを確保する必要がある。これに対して、モータハウジング40内に収容する回路基板58にコンデンサ84を設けることで、コンデンサ84の小型化も可能となる。
さらに、コンデンサ84は、コンデンサ84A、84Bが直列接続されている。コンデンサ84A、84Bとしては、回路基板58に面実装される積層セラミックコンデンサ等を用いることができる。一般的にコンデンサは、ショート等の故障が生じると過熱する恐れがある。ここで、コンデンサ84をコンデンサ84A、84Bを直列接続して用いることで、コンデンサ84A、84Bの一方に故障が生じた場合でも、コンデンサ84A、84Bの他方により過熱が生じるのを防止できる。
また、モータ本体36のアーマチャ44には、インダクタンス成分が含まれており、モータ本体36がオフされる際に、逆起電力が生じ、Hiブラシ端子62AやLoブラシ端子62Bに負のサージ電圧が発生する。
モータハウジング40内に収容される回路基板58には、サージ吸収素子としてのダイオード86が設けられており、ダイオード86が切替えリレー80のCOM接点80Dと接地線60Aとの間に接続されている。このため、モータ本体36がHiモードで作動されている場合、接地線60Aからダイオード86及び切替えリレー80を通ってHiブラシ端子62Aに負のサージ電流が流れ、モータ本体36がLoモードで作動されている場合、接地線60Aからダイオード86及び切替えリレー80を通ってLoブラシ端子62Bに負のサージ電流が流れる。これにより、一つのダイオード86によって、Hiモード及びLoモードの何れにおいても、サージ電圧の発生を防止できて、サージ吸収のための部品数の増加を抑制できて、低コスト化を図ることができる。
また、ラジオノイズの発生を防止するコンデンサ84やサージ吸収のためのダイオード86等は、回路基板58に取り付けることで、小型化や配置スペースの縮小が可能となる。このため、図7に示す構成が適用されたモータハウジングからコンデンサ118A、118B、ダイオード120A、120B及びツェナーダイオード122等を取り外すことで形成されるスペースに回路基板58を収容可能になる。これにより、回路基板58をモータハウジング40に収容することによるコスト上昇を抑制できる。
なお、本実施形態では、メインリレー78のCOM接点78D及び切替えリレー80のCOM接点80Dと接地線60Aとの間にコンデンサ84(84A、84B)及びダイオード86を接続した。しかしながら、雑音制限素子及びサージ吸収素子は、ワイパモータ16(モータ本体36)の電源側の各々と接地側との間に配置されればよい。
例えば、図6(A)に示すように、メインリレー78のNO接点78Bは、ダイオード82を介して電源端子66Aに接続されていることから、雑音防止素子としてのコンデンサ88(直列接続したコンデンサ88A、88B)をメインリレー78のNO接点78Bと接地線60Aとの間に設けてもよい。
メインリレー78は、ワイパスイッチ72がオン操作されることで、NO接点78BがCOM接点78Dと接続され、モータ本体36に電源電圧が供給される(駆動電流が流れる)。このため、メインリレー78のオン時にノイズが発生することがある。ここで、メインリレー78のNO接点78Bと接地線60Aとの間にコンデンサ88を設けることで、モータ本体36が駆動されることによるラジオノイズの発生を防止できると共に、メインリレー78がオンした際のノイズの発生を防止できる。
また、図6(B)に示すように、雑音防止素子は、複数位置に併設されてもよい。例えば、メインリレー78のCOM接点78D及び切替えリレー80のCOM接点80Dと接地線60Aとの間に、コンデンサ84(コンデンサ84、84Bの直列接続)を設けると共に、メインリレー78のNO接点78Bと接地線60Aとの間にコンデンサ88(コンデンサ88A、88Bの直列接続)を設けてもよい。
ここで、コンデンサ84とコンデンサ88を設けることで、メインリレー78がオン(NO接点78BがCOM接点78Dと接続)すると、コンデンサ84、88が並列接続されて合成容量が変化する。ここで、メインリレー78のオン時のノイズの周波数に応じてコンデンサ88の静電容量を設定し、コンデンサ84、88の合成容量がモータ本体36の駆動中のラジオノイズの周波数に応じた静電容量となるようにコンデンサ84の静電容量を設定する。これにより、図6(B)の変形例では、変形例メインリレー78のオン時のノイズ及びモータ本体36の駆動中のラジオノイズの周波数が相違しても、メインリレー78のオン時のノイズ及びモータ本体36の駆動中のラジオノイズを防止できる。
なお、以上説明した本実施形態(変形例を含む)では、電源端子66AとIC76との間に逆流制限素子としてのダイオード82を設けた。しかしながら、逆流制限素子は、電源端子66Aとモータに接続される第1切替え部との間に設けてもよい。
また、本実施形態(変形例を含む)では、INTモードにおけるワイパの動作間隔が予め設定された間隔とした。しかしながら、INTモードにおけるワイパの動作間隔は、予め設定された間隔に限らず、例えば、ワイパスイッチと共に設けられたダイアル等によってINTモードにおける動作間隔が調節可能であってもよい。この場合、車両の制御(エンジン制御)等を司るBCMがワイパスイッチのダイアル操作を検出し、検出したダイアル操作に応じた時間間隔の信号を駆動部(IC)に入力することで、駆動部が第1切替え部を操作すれなどの構成を適用できる。
さらに。本実施形態(変形例を含む)では、ワイパ装置10がHiモード、Loモード及びINTモードで動作可能とされ、ワイパスイッチ72によってHiモード、Loモード又はINTモードが選択されるように説明した。しかしながら、ワイパ装置は、Hiモード、Loモード及びINTモードに加え、AUTOモードを備え、ワイパスイッチによりHiモード、Loモード、INTモード又はAUTOモードが選択されるようにしてもよい。
この場合、AUTOオードでは、車両の制御(エンジン制御)等を司るBCMがレインセンサによってウィンドシールドガラスに付着する雨滴を検出し、検出した雨滴に応じてHiモード、Loモード又はINTモードを選択し、選択した払拭モードに応じた信号をSW端子とLIN端子を介して駆動部(IC)に入力される構成とすればよい。
また、AUTOモードでは、BCMが車速を検出し、検出した車速に応じて作動モードを選択してもよく、車速及びレインセンサによって検出された雨量に応じて作動モードやINTモードが選択された際の間欠動作時間が設定されてもよい。