JP2020076486A - ボールねじ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸方向の広い範囲でナットが滑らかに移動できるボールねじ装置を提供する。【解決手段】ボールねじ装置31は、外周に第1螺旋溝39が形成されたねじ軸32と、内周に第2螺旋溝41が形成されたナット33を有し、第1螺旋溝39と第2螺旋溝41が互いに径方向に対向して玉溝Aが形成され、玉溝Aに複数の玉35が転動自在に組込まれている。ボールねじ装置31は、玉溝Aに沿って螺旋状に延在し玉溝Aに沿って変位しうる螺旋部材45と、螺旋部材45を複数の玉35に向けて付勢する第1の付勢部材37とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、ボールねじ装置に関する。
ボールねじ装置は、回転運動を直線運動に変換することができ、様々な分野で広く用いられている。例えば、特許文献1では、図10に示すような、ボールねじ装置81が開示されている。ボールねじ装置81は、玉89が循環せず、所定の範囲内で往復移動する、いわゆる非循環型のボールねじ装置であって、自動車のブレーキ装置(図示を省略)などに使用されている。
ブレーキ装置は、内蔵されたモータでボールねじ装置81を作動させて、車輪を制動する装置である。ブレーキ装置が作動するときには、ねじ軸83が回転して、玉89が、玉溝87に沿って移動する。ブレーキ装置を解除するときには、ねじ軸83が逆方向に回転し、玉89は、概ね元の位置(初期位置)に復帰する。
しかしながら、ブレーキ装置を繰り返し使用している間に、玉89の初期位置がずれて、玉溝87の終端部近傍に移動する場合がある。この状態でブレーキ装置が作動しようとすると、玉89がすぐに玉溝87の終端に到達して転動できなくなるので、ねじ軸83が滑らかに回転せず、ブレーキ装置の応答性などの性能が低下する虞がある。
そこで、特許文献1のボールねじ装置81では、ボールねじの作動が終了したときに、各玉89を初期位置に復帰させることを目的として、玉列の両側にコイルばね90,90を設けている。
特表2010−505072号公報
非循環型のボールねじ装置は、その適用範囲を拡げるために、ナット85の可動範囲を拡げたいという要望がある。しかしながら、特許文献1のボールねじ装置81では、ねじ軸83の回転角を大きくすると、玉89の移動量が増大するので、コイルばね90が密着してしまい、ねじ軸83を滑らかに回転させることができなくなる。
そこで、コイルばね90の全長を長くして、コイルばね90が密着するまでの許容撓み量を大きくする方法が考えられるが、コイルばね90の全長を長くすると、コイルばね90の外周と玉溝87の内周とが強くこすれ合うようになり、滑らかに圧縮することができず、ナットが滑らかに動き辛くなると共にコイルばね90の破損に繋がる。このため、実質的に許容撓み量には限界がある。
このように、非循環型のボールねじ装置では、ナット85が軸方向に滑らかに動き得る範囲を大きくすることが困難であった。
上記の状況に鑑み、本発明は、ナットが軸方向に動き得る範囲を大きくするとともに、作動が終了したときに玉列が初期位置に復帰して、軸方向の広い範囲でナットが滑らかに移動できるボールねじ装置を提供することを目的としている。
本発明の一形態は、外周に第1螺旋溝が形成されたねじ軸と、内周に第2螺旋溝が形成されたナットを有し、前記ナットが前記ねじ軸の外周に嵌め合わされ、前記第1螺旋溝と前記第2螺旋溝が互いに径方向に対向して玉溝が形成され、前記玉溝に複数の玉が転動自在に組込まれたボールねじ装置であって、前記玉溝に沿って螺旋状に延在し、前記玉溝に沿って変位しうる螺旋部材と、前記螺旋部材を前記複数の玉に向けて付勢する第1の付勢部材とを備えたことを特徴としている。
本発明によれば、ナットが軸方向に動き得る範囲を大きくするとともに、作動が終了したときに玉列が初期位置に復帰して、軸方向の広い範囲でナットが滑らかに移動できるボールねじ装置を提供することができる。
第1実施形態のボールねじ装置を使用したブレーキ装置の一例を示す断面図である。 第1実施形態のボールねじ装置の軸方向断面図である。 図2において、ねじ軸を取り除いた状態の軸方向断面図である。 ナットに形成されたストッパー部の形態を示す模式図である。 連結部材の形状を示す図であり、図5(a)は、軸方向に見た正面図で、図5(b)は、図5(a)のX−Xの位置で矢印の向きに見た断面図である。 図6(a)は、無負荷状態における螺旋部材等の配置を示す説明図で、図6(b)は、ナットが軸方向一方側に押し出されたときの配置を示す説明図である。 第2実施形態のボールねじ装置を使用したブレーキ装置の一例を示す断面図である。 第2実施形態のボールねじ装置の軸方向断面図である。 第2実施形態のばね端固定部材及び連結部材の形態を説明する模式図である。 第2実施形態のボールねじ装置の動作を示す図6と同様の説明図である。 従来のボールねじ装置の部分断面を示す斜視図である。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態(以下、第1実施形態という)を、図を用いて詳細に説明する。
第1実施形態のボールねじ装置31は、自動車のブレーキ装置10に用いられている。図1はブレーキ装置10の概略の構造を示す軸方向の断面図である。また、図2は、ボールねじ装置31の軸方向断面図である。
ブレーキ装置10は、自動車の車輪(図示を省略)と一体回転するブレーキロータ11にブレーキパッド12を押し付けて、摩擦によって制動力を付与する装置である。以下の説明では、ボールねじ装置31のねじ軸32の中心軸mの長手方向を軸方向といい、中心軸mの方向と直交する向きを径方向、中心軸mの回りを周回する方向を周方向という。また、図1、図2における左側を軸方向一方側、右側を軸方向他方側という場合がある。
ブレーキ装置10は、キャリパー13と、ブレーキロータ11を挟む一対のブレーキパッド12,12と、ブレーキパッド12をブレーキロータ11に向けて付勢するボールねじ装置31と、ボールねじ装置31を作動させるモータ14とを備えている。
キャリパー13は、鞍形の形状で、ブレーキロータ11の外周の一部を覆うように配置されており、図示しないナックル等によって、軸方向に動きうる浮動状態で、かつ、周方向に固定された状態で支持されている。キャリパー13には、有底で円筒形状のシリンダ15が一体に形成されている。シリンダ15の内周は、円筒形状で、ブレーキロータ11に向かって開口している。シリンダ15の底部には、中心軸mと同軸で軸方向に貫通する孔19が形成されており、孔19の内周には、焼結金属や樹脂材料などで形成された滑り軸受18が嵌め合わされている。
ピストン16が、シリンダ15の内部に挿入されている。ピストン16は、その外周が円筒面であって、シリンダ15の内周とわずかなすきまをもって嵌め合わされており、ブレーキロータ11に向かって軸方向に変位することができる。ピストン16のシリンダ15との嵌め合い面には滑りキー17が設けられており、ピストン16は、シリンダ15に対して軸方向に往復移動可能であるが、周方向に回転不能となっている。
ボールねじ装置31は、ピストン16の内周に組付けられている。ボールねじ装置31は、ねじ軸32、ナット33、及び複数の玉35を備えており、ねじ軸32の回転運動を、ナット33の軸方向の運動に変換することができる。
図2に示すように、ナット33は、軸方向で内径及び外径が異なる段付きの略円筒形状である。軸方向他方側の外周面65は、中心軸mと同軸の円筒面となっており、軸方向一方側の外周面66は、中心軸mと直交する向きの断面が多角形状になっている。
図1に示すように、ナット33がピストン16の内周に嵌め合わされている。ピストン16の内周は、ナット33の外周と同様の形状であり、軸方向の一部が多角形状になっている。ナット33の多角形状の外周面66が、ピストン16の多角形状の内周部に嵌め合わされて、ピストン16とナット33が、周方向に相対的に回転不能に組み合わされる。
その後、止め輪34が、ピストン16の内周に装着されて、ナット33の軸方向の抜け出しが防止される。
ねじ軸32は、外周に第1螺旋溝39が形成された略円筒形状の内溝形成部40(図2参照)と、円筒形状のシャフト部38とが、互いに同軸につながって形成されている。シャフト部38は、内溝形成部40より小径である。内溝形成部40とシャフト部38は、中心軸mと直交する向きに形成された段側面29でつながっている。
シャフト部38は、滑り軸受18の内周に挿通されている。滑り軸受18の内周は、シャフト部38の外周とわずかなすきまを有しており、ねじ軸32は滑り軸受18で案内されて、中心軸mと同軸に回転することができる。
段側面29とシリンダ15の底部との間には、スラスト軸受24と軸力計測装置28が、軸方向に直列的に並んで組み込まれている。
スラスト軸受24は、一方側軌道部材25と他方側軌道部材26と複数の円筒ころ27を備えている。一方側軌道部材25は、ねじ軸32に外嵌されるスリーブ部25aと中心軸mと直交する向きに拡がった円板状のフランジ部25bとが一体に形成されている。スリーブ部25aは、シャフト部38の外周に締まりばめの状態で組み付けられており、軸方向一方側の端部が、段側面29と軸方向に当接している。円筒ころ27は、一方側軌道部材25のフランジ部25bと他方側軌道部材26との間に、中心軸mと同軸で周方向に等しい間隔で配置されている。他方側軌道部材26は、軸力計測装置28を介してシリンダ15の底部に固定されている。スラスト軸受24を設けることによって、ねじ軸32が、軸方向に作用する荷重を支持しながら滑らかに回転することができる。
他方側軌道部材26及び軸力計測装置28はいずれも環状で、中心軸mと同軸に配置されており、その内径はねじ軸32のシャフト部38の外径より大径である。
こうして、ねじ軸32は、中心軸mを中心として回転可能でかつ軸方向に移動不能である。
ギア20が、ねじ軸32の軸端に取り付けられており、中間ギア21を介して、モータ14の回転軸に取り付けられたギア22とかみ合っている。モータ14は、シリンダ15の外側に設けられている。モータ14は、制御装置(図示を省略)から発信される信号に基づいて、正回転、逆回転、又は停止する。モータ14が回転することによって、ボールねじ装置31が作動する。
ブレーキ装置10には、一対のブレーキパッド12,12が、ブレーキロータ11を挟んで、互いに軸方向に対向するように設置されている。一方のブレーキパッド12が、ピストン16の端部に設置され、他方のブレーキパッド12が、キャリパー13の内壁に設置されている。モータ14が回転し、ねじ軸32が回転すると、ピストン16が軸方向一方側に押し出されて、一対のブレーキパッド12,12が互いに接近する。こうして、キャリパー13に支持された一対のブレーキパッド12,12は、ブレーキロータ11を軸方向の両側から挟持することができる。こうして、ブレーキロータ11とブレーキパッド12の間に生じるすべり摩擦によって、車輪が制動される。
また、軸力計測装置28によって、車両走行中にねじ軸32に作用する荷重の大きさを計測できるので、ABS等の車両制御装置によってブレーキパッド12の押し付け荷重等を逐次制御して、車両の走行安定性を向上させることができる。
図2及び図3によって、ボールねじ装置31について説明する。図3は、図2において、ねじ軸32を取り除いた状態の軸方向断面図である。
図2に示すように、ボールねじ装置31は、ねじ軸32、ナット33、複数の玉35、螺旋部材45、及び、ねじりコイルばね37(第1の付勢部材)を備えている。
ねじ軸32は、内溝形成部40と、シャフト部38とが、互いに同軸につながって形成されており、内溝形成部40の外周に第1螺旋溝39が形成されている。
第1螺旋溝39は、軸方向断面が、玉35の外径の曲率半径よりわずかに大きい曲率半径の円弧形状であり、内溝形成部40の軸方向の全領域にわたって螺旋状に形成されている。螺旋の巻方向は右であり、図2の矢印Jの向きに見たときに、内溝形成部40の外周を時計回りの方向に周回すると軸方向一方側に進む向きに形成されている。
ナット33は、全体として略円筒形状である。その内周は、軸方向で内径の大きさが異なる、段付きの略円筒面となっており、軸方向一方向側に内径が小さい外溝形成部44が形成され、軸方向他方側に内径が大きいばね収容部53が形成されている。
外溝形成部44の内周には、第2螺旋溝41が、軸方向の全領域にわたって螺旋状に形成されている。第2螺旋溝41は、軸方向断面が、玉35の外周の曲率半径よりわずかに大きい曲率半径の円弧形状である。螺旋の向きは、第1螺旋溝39と同様である。
ねじ軸32の内溝形成部40は、ナット33の外溝形成部44より軸方向長さが長く、第1螺旋溝39は、第2螺旋溝41より軸方向の広い範囲に形成されている。ナット33は、ねじ軸32の外周に嵌め合わされており、第1螺旋溝39と第2螺旋溝41とが互いに径方向に向き合って、螺旋状の玉溝Aが形成されている。
図3を参照する。複数の玉35が、玉溝Aに沿って一列に組込まれている。玉溝Aに組み込まれた玉35は、第1螺旋溝39及び第2螺旋溝41と接触して、ナット33に作用する軸方向の外力Fを支持することができる。また、ねじ軸32が回転すると玉35が玉溝Aに沿って転動するので、軸方向に大きな外力Fが負荷された状態であっても、ねじ軸32が滑らかに回転し、ナット33を軸方向に容易に移動させることができる。
第1実施形態では、自由長の短いコイルばねである仕切ばね42が、一列に並んだ複数の玉35の複数個所に所定の間隔で組み込まれている。仕切ばね42は、玉溝Aを転動する玉35が進み遅れを生じたときであっても、玉35と玉35とが強く接触するのを防止して、玉35の摩耗やボールねじ装置31の伝達効率の低下などを防止している。
このように、玉溝Aに沿って一列に配置された複数の仕切ばね42及び複数の玉35を、玉列Pという。
図2、図3では図示を省略したが、ストッパー部47(図4参照)が、ナット33の軸方向一方側の端部(第2螺旋溝41の軸方向一方側の終端部と一致する)に、形成されている。図4は、ナット33を、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて見たときのストッパー部47の形態を、模式的に示している。図4では、ストッパー部47の下方が、第2螺旋溝41の軸方向一方側端部に向かう方向であり、上方が、第2螺旋溝41の軸方向他方側端部に向かう方向である。
ストッパー部47は、ナット33の内周から径方向外方に向けて窪んだ凹部48と、ストッパボール49とで形成される。凹部48は、第2螺旋溝41に沿って、軸方向一方側に向かうにしたがって(図4の上から下に向かう方向である)、径方向の深さが増大している。ストッパボール49は、玉列Pを構成する玉35に比べて大径である。ストッパボール49は、壁面51と当接しており、軸方向一方側に変位不能である。
玉列Pとストッパボール49との間には、一方側コイルばね36(第2の付勢部材)が組み込まれており、玉列Pとストッパボール49とが直接当接しないようになっている。
ストッパー部47は、玉溝Aに組み込まれた玉35及び各コイルばね42,36が外部に抜け出るのを防止している。
次に、螺旋部材45とねじりコイルばね37について説明する。
螺旋部材45は、ばね用線材などの鋼材や、繊維強化プラスチック(FRP)等で製造されており、玉溝Aと同一の螺旋形状に成形されている。同一の螺旋形状とは、軸方向に見たときのコイル平均径、及び、螺旋のピッチ(軸方向断面において,互いに隣り合うコイルの中心間の軸方向寸法をいう)が、互いに同一であることをいう。
螺旋部材45は、玉列Pの軸方向他方側で玉溝Aに沿って組み込まれている。螺旋部材45の線径(太さ)は、玉溝Aの内径寸法より小さい。このため、螺旋部材45の外周と玉溝Aの内周との間にすきまを有しているので、螺旋部材45は、中心軸mの周りを回転するように動くことによって、玉溝Aに沿って自在に移動することができる。
ねじりコイルばね37は、ばね収容部53の内側に収容されている。ねじりコイルばね37は、ピアノ線などのばね用線材を螺旋状に巻いて製造されている。コイルの巻方向は右で、軸方向に所定の間隔をあけて巻かれている。このため、ねじりコイルばね37は、軸方向に弾性を持って圧縮することができる。ねじりコイルばね37の端部の形状は、軸方向両側ともにオープンエンドであり、終端が、隣のコイルとすき間を有している。
また、ねじりコイルばね37の内径は、ねじ軸32の外径よりわずかに大きい。これにより、ねじりコイルばね37は、ねじ軸32の外周との間では、径方向に小さいすきまをもって嵌め合わされており、ばね収容部53の内周との間では、径方向に大きいすきまを有している。
ねじりコイルばね37の軸方向一方側の端部(一の端部)は、連結部材55を介して螺旋部材45と接触している。図5は、連結部材55の形状を示しており、図5(a)は、軸方向に見た正面図で、図5(b)は、図5(a)をX−Xの位置で矢印の向きに見た断面図である。
連結部材55は、略円板形状で、炭素鋼や合成樹脂等で製造されている。連結部材55は、軸方向一方側に、螺旋部材45と軸方向に当接する座面56を有し、軸方向他方側に、ねじりコイルばね37と軸方向に当接する第1ばね座57を有している。座面56には、螺旋部材45の軸方向他方側の終端と周方向に当接する凸部58が設けられている。同様に、第1ばね座57には、ねじりコイルばね37の軸方向一方側の終端と周方向に当接する凸部59が設けられている。
連結部材55の外周面61は円筒面であり、連結部材55の外周面61とばね収容部53の内周は、すきまをもって嵌め合わされている。これにより、連結部材55は、軸方向に変位自在であり、また、中心軸mの周りで回転自在である。
再び図3を参照する。ねじりコイルばね37の軸方向他方側の端部(他の端部)は、ばね端固定部材62に係止されている。
ばね端固定部材62は、略円板形状で、炭素鋼や合成樹脂等で製造されている。ばね端固定部材62の外周は円筒面であり、ばね収容部53の軸方向他方側端部の内周に、締まりばめの状態で嵌め合わされている。ばね端固定部材62は、軸方向一方側に面して、ねじりコイルばね37と軸方向に当接する第2ばね座63を有している。第2ばね座63には、ねじりコイルばね37の軸方向他方側の終端と周方向に当接する凸部60が設けられている。凸部60の形態は、第1ばね座57に形成された凸部59と同様の形態である。
次に、図3によって、ボールねじ装置31が作動する前の、無負荷状態における、玉列Pの組込状態について詳細に説明する。無負荷状態とは、ボールねじ装置31に外力Fが作用していない状態を意味する。無負荷状態では、玉35と第1螺旋溝39及び第2螺旋溝41との間に接触荷重が強く作用しないので、玉35は、玉溝Aに沿って変位することができる。
玉溝Aには、軸方向一方側に一方側コイルばね36(図4参照)が組み込まれており、一方側コイルばね36の軸方向他方側に玉列Pが組み込まれている。
また、螺旋部材45が、玉列Pの軸方向他方側に配置されており、玉列Pの最も軸方向他方側の玉35と螺旋部材45の軸方向一方側の端部とが互いに接している。螺旋部材45の軸方向他方側の端部は、ナット33の外溝形成部44の軸方向他方側の端面33aより軸方向他方側に突出しており、連結部材55の座面56と軸方向に当接すると同時に、凸部58と周方向に当接している。
連結部材55の軸方向他方側には、ねじりコイルばね37が配置されている。ねじりコイルばね37の軸方向一方側の端部が、連結部材55の第1ばね座57と軸方向に当接すると同時に、凸部59と周方向に当接している。また、ねじりコイルばね37の軸方向他方側の端部が、ばね端固定部材62の第2ばね座63と軸方向に当接すると同時に、凸部60と周方向に当接している。
このとき、ねじりコイルばね37の軸方向一方側の端部の位置は、ねじりコイルばね37の自由状態における位置より、矢印Gで示す向きに、弾性をもってわずかに変位するように組み込まれている。これにより、ねじりコイルばね37には、弾性をもって自由状態の形状に復元する力が生じるので、螺旋部材45を中心軸mの回りで時計回りの方向、すなわち玉列Pに向けて付勢することができる。このとき、一方側コイルばね36が玉列Pを軸方向に付勢する力と、ねじりコイルばね37が玉列Pを軸方向一方側に付勢する力と、仕切ばね42がその両側の玉35,35を玉溝Aに沿って付勢する力とがほぼ釣り合っている。
こうして、無負荷状態では、玉列P及び一方側コイルばね36が、互いに密接して軸方向一方側に寄った状態で配置されている。このように、外力Fが作用していないときの、無負荷状態における玉列Pの位置を、初期位置という。
次に、図6によって、ボールねじ装置31が作動するときの各部の動作及び作用効果について説明する。図6(a)は、ボールねじ装置31が作動する前の無負荷状態における、ねじ軸32に対する螺旋部材45及びねじりコイルばね37等の配置を示している。図6(b)は、ねじ軸32が回転し、ナット33が軸方向一方側に押し出されたときの配置を示している。
図6(a)、(b)は、ボールねじ装置31を、図1と同じ向きで記載しており、ピストン16やブレーキパッド12等を省略して図示している。以下の説明では、ねじ軸32及び玉列Pが、中心軸mの周りを周回するときの向きは、図6の矢印Jから見たときの向きで記載する。
図6(a)に示すように、ボールねじ装置31が作動する前においては、連結部材55は、ナット33の外溝形成部44と軸方向に近接した位置に配置されている。
次に、図6(b)に示すように、ボールねじ装置31が作動する。先に述べたように、第1実施形態では、第1螺旋溝39の巻方向が右であり、ねじ軸32が反時計回りの方向に回転すると、ナット33が軸方向一方側に変位し、図示を省略したピストン16が、ブレーキロータ11に向けて押し出される。
ブレーキパッド12が、ブレーキロータ11に押し付けられると、その反力が外力Fとしてナット33に軸方向に作用して、各玉35は、第1螺旋溝39と第2螺旋溝41に強く押し付けられる。こうして、各玉35は、ねじ軸32の回転とともに、第1螺旋溝39及び第2螺旋溝41を転動する。ねじ軸32が、反時計回りの方向に回転しているので、玉35は、反時計回りの方向に転動して、第2螺旋溝41を軸方向他方側に向けて移動する。
このとき、螺旋部材45が、玉35に押されて、玉溝Aに沿って移動する。螺旋部材45は、中心軸mの周りを反時計回りの方向に玉溝Aに沿って回転し、軸方向他方側に向かって変位する。
ボールねじ装置31では、玉溝Aの平均径に比べて玉35の直径が小さく、ねじ軸32が回転したときに、玉列Pが、第2螺旋溝41に沿って移動する移動量Sは、第1螺旋溝39上の点が第1螺旋溝39に沿って移動する移動量の概ね2分の1である。すなわち、ねじ軸32が、中心軸mの周りで反時計回りの方向に角度φだけ回転したときには、玉列Pは、中心軸mの周りで反時計回りの方向に角度φ/2だけ回転した位置に変位する。螺旋部材45は、玉列Pと接しながら玉溝A内を移動するので、螺旋部材45の中心軸mの周りの回転角は、玉列Pの中心軸mの周りの回転角(φ/2)と同等である。
ナット33及び玉列Pの軸方向の移動量は、いずれも中心軸mの周りの回転角に比例する。すなわち、ねじ軸32が角度φだけ回転したときの、ナット33の軸方向一方側への移動量をDとすると、玉列Pのナット33の位置を基準とする軸方向の移動量dは、ナット33の移動する向きとは逆に軸方向他方側に向けて、ナット33の移動量Dの1/2となる。同様に、螺旋部材45の軸方向他方側への移動量は、ナット33の移動量Dの1/2となる。
こうして、ねじ軸32が角度φだけ回転したときに、螺旋部材45は、初期位置より反時計回りの方向に角度φ/2だけ回転した位置に変位するとともに、ナット33の軸方向他方側端面33aからの突出量が、初期位置より更にD/2だけ増加する。螺旋部材45の軸方向他方側の端部は、連結部材55の凸部58に係止している。このため、連結部材55は、ばね収容部53の内側で、反時計回りの向きに回転するとともに、ナット33に対して軸方向他方側に向かって変位する。
図6(a)に示すように、初期位置におけるナット33の外溝形成部44の軸方向他方側端面33aと連結部材55の座面56との軸方向の寸法をLとすると、ねじ軸32が回転してナット33が軸方向一方側にDだけ移動した場合には、図6(b)に示すように、ナット33の軸方向他方側の端面33aと連結部材55の座面56との寸法は、L+D/2となる。
ねじりコイルばね37は、軸方向一方側の端部が連結部材55の凸部59と係合している。また、軸方向他方側の端部が、ばね端固定部材62の凸部60と係合しており、周方向に固定されている。
第1実施形態では、ねじりコイルばね37の巻方向は右である。このため、連結部材55が中心軸mの回りで反時計回りに回転するときは、ねじりコイルばね37の軸方向一方側の端部が、コイルがほどける側に回転する。したがって、ねじりコイルばね37は、弾性をもって変形し、コイルの平均径が増大する。
第1実施形態では、ねじりコイルばね37は、ばね収容部53の内周との間で、径方向に大きいすきまをもって嵌め合わされている。このため、ねじ軸32の回転角を大きく設定しても、ねじりコイルばね37の外周が、ばね収容部53の内周に接触することがなく、ねじりコイルばね37は弾性範囲内で滑らかに変形することができる。したがって、螺旋部材45の滑らかな動きを阻害しない。
また、ねじりコイルばね37は、軸方向に所定の間隔をあけて巻かれている。このため、ねじりコイルばね37は、連結部材55が軸方向他方側に突出することによって軸方向に圧縮されるが、密着することがないので、ねじりコイルばね37は弾性範囲内で滑らかに変形することができる。したがって、螺旋部材45の滑らかな動きを阻害しない。
その後、ねじ軸32が時計回りの方向に回転して、ブレーキパッド12が、ブレーキロータ11から離れる向きに変位する。ボールねじ装置31は、図6(a)の状態に復帰して、車輪の制動が解除される。
このとき、ねじ軸32の回転にともなって、玉列Pが、玉溝Aに沿って時計回りの方向に移動する。同時に、ねじりコイルばね37が、弾性により元の形状に復元するので、螺旋部材45は、玉列Pとともに時計回りの方向に移動する。
こうして、第1実施形態のボールねじ装置31では、ねじ軸32が回転するときに、螺旋部材45が滑らかに動くことができるので、玉列Pの滑らかな移動を阻害しない。このため、ナット33が、軸方向の広い範囲で滑らかに移動できる。
なお、玉35と各螺旋溝39,41との間ですべりが生じない場合には、ねじ軸32が元の位置(角度φ=0の位置である)に復帰したときには、玉列Pは初期位置に戻る。しかしながら、各螺旋溝との接触状態の変化などによって、玉35と各螺旋溝39,41との間にすべりが生じる場合がある。この場合には、各玉35の移動量に進み遅れが生じるが、第1実施形態では、螺旋部材45が、ねじりコイルばね37によって軸方向一方側に向けて付勢されている。このため、外力Fが作用しなくなったときには、すべての玉35が、軸方向一方側に向けて変位させることができるので、玉列Pは、初期位置に復帰する。こうして、第1実施形態のボールねじ装置31は、玉列Pの初期位置のずれを防止できるので、再びボールねじ装置31を作動させるときに、玉35が確実に転動することができる。
以上説明したように、ボールねじ装置31は、ナット33が軸方向に動き得る範囲を大きくするとともに、作動が終了したときに玉列Pを初期位置に復帰させることができる。このため、玉列Pの移動が阻害されることがなく、ナット33が軸方向の広い範囲で滑らかに移動できる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図7は、第2実施形態のボールねじ装置71が組み込まれたブレーキ装置10の概略の構造を示す軸方向の断面図である。図8は、図7におけるボールねじ装置71の部分を拡大した要部拡大図である。
ボールねじ装置71は、第1実施形態と同様にピストン16の内部に組み込まれており、第1実施形態のボールねじ装置31に対し、螺旋部材及びねじりコイルばねの形態及び配置が異なっている。これによって、ボールねじ装置71は、第1実施形態のボールねじ装置31に比べて、軸方向の長さを短縮することができる。
以下の説明では、第1実施形態と異なる構成について詳細に説明し、共通する構成については、第1実施形態と同一の番号を付して簡単に説明し、もしくは説明を省略する。
図8を参照する。ボールねじ装置71は、ねじ軸72、ナット73、複数の玉35、螺旋部材74、及び、ねじりコイルばね75(第1の付勢部材)を備えている。
ねじ軸72は、第1実施形態のねじ軸32と同様の形態であり、外周には、第1実施形態と同様の第1螺旋溝39が形成されている。また、ねじ軸72は、第1実施形態と同様に、中心軸mと直交する向きに形成された段側面29を有しており、段側面29に当接するスラスト軸受24と軸力計測装置28とを介して、シリンダ15に対して軸方向に固定されている(図7参照)。
ナット73は、第1実施形態のナット33と異なり、ばね収容部を有していない。すなわち、ナット73の軸方向の寸法は、第1実施形態の外溝形成部44の軸方向長さと同様であり、軸方向他方側の端面77は、第1実施形態の端面33aと同一の軸方向位置で中心軸mと直交する向きに形成されている。
ナット73の外周部は段付きの略円筒形状で、軸方向他方側の外周面65は、中心軸mと同軸の円筒面であり、軸方向一方側の外周面66は、中心軸mと直交する向きの断面が多角形状(例えば、正六角形や正八角形等である)になっている。
ナット73の内周には、第1実施形態のナット33と同様の第2螺旋溝41が、軸方向の全領域にわたって螺旋状に形成されている。ナット73は、ねじ軸72の外周に嵌め合わされており、第1螺旋溝39と第2螺旋溝41とが互いに径方向に向き合って、螺旋状の玉溝Aが形成されている。
玉溝Aには、第1実施形態と同様に、複数の玉35が組込まれるとともに、玉35と玉35との間に所定の間隔で仕切ばね42が組込まれている(図3参照)。また、玉列Pの軸方向一方側にストッパー部47が設けられるとともに一方側コイルばね36(第2の付勢部材)が組込まれている(図4参照)。
次に、螺旋部材74とねじりコイルばね75について説明する。
螺旋部材74は、ばね用線材などの鋼材や、繊維強化プラスチック(FRP)等で製造されており、玉溝Aと同様の螺旋形状に成形されている。螺旋部材74は、玉列Pの軸方向他方側で玉溝Aに沿って組み込まれている。螺旋部材74の線径(太さ)は、玉溝Aの内径寸法より小さい。このため、螺旋部材74と玉溝Aとの間にすきまを有しているので、螺旋部材74は、中心軸mの周りを回転するように動くことによって、玉溝Aに沿って自在に移動することができる。螺旋部材74は、以下に述べるように軸方向他方側の端部がねじりコイルばね75の軸方向他方側の端部と連結されている。このため、螺旋部材74は、第1実施形態の螺旋部材45よりコイルの巻数が増加している。
ねじりコイルばね75は、螺旋部材74の径方向外方で、螺旋部材74と同軸に配置されている。ねじりコイルばね75は、ピアノ線などのばね用線材を螺旋状に巻いて製造されている。コイルの巻方向は第1実施形態と異なり左である。また、外力が作用しない自由状態では、各コイルが軸方向に密着した、いわゆる「密着巻」の状態となっている。
ねじりコイルばね75の内径(コイル部の内周の直径)は、螺旋部材74の外径(コイル部の外周の直径)より大きい。ねじりコイルばね75は、螺旋部材74の外周と径方向に小さいすきまをもって組み付けられており、ピストン16の内周と径方向に大きいすきまを持って組み付けられている。
ねじりコイルばね75の軸方向一方側の端部(他の端部)は、ばね端固定部材78によって、ナット73に対して固定されている。また、ねじりコイルばね75の軸方向他方側の端部(一の端部)が、連結部材79によって螺旋部材74の軸方向他方側の端部と連結されている。
図9は、ばね端固定部材78及び連結部材79の形態の一例を説明する斜視図である。図9(a)は、ねじりコイルばね75の軸方向一方側の端部が固定されている状態を示す模式図であり、図9(b)は、ねじりコイルばね75の軸方向他方側の端部と螺旋部材74の軸方向他方側の端部とが連結部材79によって連結されている状態を示す模式図である。
図9(a)に示すように、ねじりコイルばね75の軸方向一方側の端部がコイル部分から径方向外方に向けて略直角に折り曲げられて、ばね係止部75aが形成されている。
ばね端固定部材78は環状であり、図9(a)では、ばね端固定部材78の周方向の一部であって、ねじりコイルばね75のばね端を保持する部分を拡大して示している。ばね端固定部材78は、ポリアミド樹脂などの合成樹脂又は炭素鋼などの金属で製造されている。ばね端固定部材78の外周面78aは、中心軸mと同軸の円筒面である。外周面78aの直径寸法は、ピストン16の内周面(ばね端固定部材78が嵌め合わされる面)の内径寸法よりわずかに大径である。ばね端固定部材78の内周面は、ねじりコイルばね75の外径より大径である。ばね端固定部材78の軸方向一方側の側面78cには、ばね係止部75aを収容するばね端収容部78bが形成されている。ばね端収容部78bは、軸方向に所定の深さを有し、内周面から径方向外方に延在している。
ばね係止部75aを収容した状態で、ばね端固定部材78をピストン16の内周に圧入し、側面78cをナット73の端面77に当接させることによって、ねじりコイルばね75の軸方向一方向側の端部がナット73に対して、周方向及び軸方向に変位不能に固定される。
図9(b)に示すように、ねじりコイルばね75の軸方向他方側の端部は、連結部材79によって螺旋部材74の軸方向他方側の端部とつながっている。
連結部材79は略直方体形状であって、合成樹脂や炭素鋼等で製造されている。連結部材79には、ボールねじ装置71に組み込んだときに互に周方向に対向する一組の面79a,79bに、それぞれねじりコイルばね75の軸方向他方側の端部及び螺旋部材74の軸方向他方側の端部が挿入される孔が形成されている。ねじりコイルばね75及び螺旋部材74の各端部は、それぞれのコイル部の接線方向に直線状に延在しており、それぞれ各孔に固定的に挿入される。こうして、ねじりコイルばね75の軸方向他方側の端部と螺旋部材74の軸方向他方側の端部とが、互いに連結されている。
次に、図10によって、ボールねじ装置71が作動するときの各部の動作及び作用効果について説明する。図10(a)は、ボールねじ装置71が作動する前の無負荷状態における、ねじ軸72に対する螺旋部材74及びねじりコイルばね75等の配置を示している。図10(b)は、ねじ軸72が回転し、ナット73が軸方向一方側に押し出されたときの配置を示している。
図10(a)(b)は、ボールねじ装置71を、図7と同じ向きで記載しており、ピストン16やブレーキパッド12等を省略して図示している。以下の説明では、ねじ軸72及び玉列Pが、中心軸mの周りを周回するときの向きは、図10の矢印Jから見たときの向きで記載する。
図10(a)に示すように、ボールねじ装置71が作動する前においては、ねじりコイルばね75のコイル部は、軸方向に互に密着した状態で組み込まれている。
次に、図10(b)に示すように、ボールねじ装置71が作動する。第2実施形態では、第1螺旋溝39の巻方向が右であり、ねじ軸72が反時計回りの方向に回転すると、ナット73が軸方向一方側に変位し、ピストン16が、ブレーキロータ11に向けて押し出される。
ブレーキパッド12が、ブレーキロータ11に押し付けられると、その反力が外力Fとしてナット73に軸方向に作用して、各玉35は、第1螺旋溝39と第2螺旋溝41に強く押し付けられる。各玉35は、ねじ軸72の回転とともに、第1螺旋溝39及び第2螺旋溝41を転動する。ねじ軸72が、反時計回りの方向に回転しているので、玉35は、反時計回りの方向に転動して、第2螺旋溝41を軸方向他方側に向けて移動する。
このとき、螺旋部材74が、玉35に押されて、玉溝Aに沿って移動する。螺旋部材74は、中心軸mの周りを反時計回りの方向に玉溝Aに沿って回転し、ナット73に対して軸方向他方側に向かって変位する。
ボールねじ装置71では、中心軸mを中心とする玉溝Aの平均径に比べて玉35の直径が小さいので、ねじ軸72が回転したときに、玉列Pが、第2螺旋溝41に沿って移動する移動量Sは、第1螺旋溝39上の点が中心軸mの周りで第1螺旋溝39に沿って移動する移動量の概ね2分の1である。すなわち、ねじ軸72が、中心軸mの周りで反時計回りの方向に角度φだけ回転したときには、玉列Pは、中心軸mの周りで反時計回りの方向に角度φ/2だけ回転した位置に変位する。螺旋部材74は、玉列Pと接しながら玉溝A内を移動するので、螺旋部材74の中心軸mの周りの回転角は、玉列Pの中心軸mの周りの回転角(φ/2)と同等である。
ナット73及び玉列Pの軸方向の移動量は、いずれも中心軸mの周りの回転角に比例する。すなわち、ねじ軸72が中心軸mの周りで反時計回りの方向に角度φだけ回転したときのナット73の軸方向一方側への移動量をDとすると、玉列Pのナット73に対する軸方向の移動量dは、ナット73の移動する向きとは逆に軸方向他方側に向けて、ナット73の移動量Dの1/2となる。同様に、ナット73に対する螺旋部材74の軸方向他方側への移動量は、ナット73の移動量Dの1/2となる。
したがって、ボールねじ装置71が作動してピストン16をブレーキロータ11に向けて押し出すときに、ねじ軸72が反時計回りの方向に角度φだけ回転すると、ナット73が軸方向一方側にDだけ移動し、螺旋部材74は、初期位置より反時計回りの方向に角度φ/2だけ回転した位置に変位するとともに、ナット73の軸方向他方側端面77からの突出量が、初期位置より更にD/2だけ増加する。
具体的に説明すると、例えば、図10(a)に示すように、初期位置におけるナット73の軸方向他方側端面77と連結部材79の軸方向他方側の面との軸方向の寸法をLとすると、ねじ軸72が回転してナット73が軸方向一方側にDだけ移動した場合には、図10(b)に示すように、ナット73の軸方向他方側の端面77と連結部材79の軸方向他方側の面との寸法は、L+D/2となる。
螺旋部材74の軸方向他方側の端部は、連結部材79によってねじりコイルばね75の軸方向他方側の端部と連結されている。このため、ねじ軸72が反時計回りの方向に角度φだけ回転したときには、ねじりコイルばね75の軸方向他方側の端部は、反時計回りの向きに角度φ/2だけ回転するとともに、ナット73に対して軸方向他方側に向かってD/2だけ変位する。
ねじりコイルばね75は、ばね端固定部材78によって、軸方向一方側の端部が、ナット73に対して周方向及び軸方向に変位不能に固定されている。このため、ねじ軸72が回転したときには、ねじりコイルばね75の軸方向一方側の端部と軸方向他方側の端部とが互いに離れる向きに変位して、ねじりコイルばね75のコイルが、軸方向にすきまを持つようになる。
また、第2実施形態では、ねじりコイルばね75の巻方向は左である。このため、ねじりコイルばね75の軸方向他方側の端部が中心軸mの回りで反時計回りに回転すると、ねじりコイルばね75のコイルがほどける向きに変位するので、ねじりコイルばね75の平均径が増大する。
第2実施形態では、ねじりコイルばね75は、ピストン16の内周との間で、径方向に大きいすきまをもって組み込まれている。このため、ねじ軸72の回転角を大きくすることによってねじりコイルばね75の外径が拡大しても、ねじりコイルばね75の外周が、ピストン16の内周に接触することがない。
こうして、ねじ軸72が回転するときに、ねじりコイルばね75は弾性範囲内で滑らかに変形することができる。したがって、ボールねじ装置71が作動してピストン16がブレーキロータ11に向けて押し出されるときに、常に螺旋部材74が玉列Pに向けて押し付けられた状態となっている。
その後、車輪の制動を解除するときには、ねじ軸72が時計回りの方向に回転して、ブレーキパッド12が、ブレーキロータ11から離れる向きに変位する。
このとき、ねじ軸72の回転にともなって、玉列Pが、玉溝Aに沿ってナット73に対して時計回りの方向に移動する。螺旋部材74は、ねじりコイルばね75によって玉列Pに向けて付勢されているので、玉列Pとともに移動し、軸方向他方側の端部が中心軸mの周りで時計回りの方向に回転する。これにより、ねじりコイルばね75の弾性変形量が次第に減少する。同時に、ナット73の軸方向他方側端面77からの螺旋部材74の突出量が次第に減少し、ねじりコイルばね75のコイルが、軸方向で再び密着するようになる。こうして、ボールねじ装置71は、図10(a)の状態に復帰して、車輪の制動が解除される。
こうして、第2実施形態のボールねじ装置71においても、ねじ軸72が回転するときに、ねじりコイルばね75が滑らかに弾性変形するので、螺旋部材74が滑らかに動くことができる。これにより、玉列Pが滑らかに移動して、ナット73が、軸方向の広い範囲で滑らかに移動できる。更に、第2実施形態では、ボールねじ装置71が作動するときにねじりコイルばね75が軸方向に引張られる。このため、初期状態ではねじりコイルばね75のコイルを密着した状態にすることができる。これにより、ねじりコイルばね75の軸方向長さを小さくできるので、ボールねじ装置71の軸方向長さを短縮することができる。
また、螺旋部材74が、ねじりコイルばね75によって常に軸方向一方側に向けて付勢されているので、各玉35の移動量に進み遅れが生じた場合であっても、外力Fが作用しなくなったときには、すべての玉35を初期位置に向けて変位させることができる。
これにより、玉列Pは、ボールねじ装置71の軸方向の荷重が除荷されたときに初期位置に復帰する。このとき、玉列Pでは、一方側コイルばね36が玉列Pを軸方向に付勢する力と、ねじりコイルばね37が玉列Pを軸方向一方側に付勢する力と、仕切ばね42がその両側の玉35,35を玉溝Aに沿って付勢する力とがほぼ釣り合っている。
こうして、第2実施形態のボールねじ装置71は、玉列Pの初期位置のずれを防止して、再びボールねじ装置71を作動させるときに、玉35が確実に転動することができる。
以上説明したように、本発明を用いたボールねじ装置は、ナット73が軸方向に動き得る範囲を大きくするとともに、作動が終了したときに玉列Pを初期位置に復帰させることができる。このため、玉列Pの玉溝Aに沿った移動が阻害されることがなく、ナット73が軸方向の広い範囲で滑らかに移動できる。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
例えば、第1実施形態では、ねじりコイルばね75の巻方向が右であるが、左に巻いた形態でもよい。この場合には、連結部材79が中心軸mの回りで反時計回りに回転するときに、コイルの平均径が縮小する。このため、ねじりコイルばね75の外径は、ばね収容部53の内周よりわずかに小径にすればよい。これにより、ねじりコイルばね75の内周とねじ軸72の外周との間で、径方向に大きいすきまを有するので、ねじ軸72の回転角を大きく設定しても、ねじりコイルばね75の内周が、ねじ軸72の外周に接触することがなく、ねじりコイルばね75は弾性範囲内で滑らかに変形することができる。
同様に、第2実施形態で、ねじりコイルばね75の巻方向を右としてもよい。このときには、ねじりコイルばね75の外径をピストン16の内径よりわずかに小さくし、螺旋部材74の外周との径方向のすきまを大きくすればよい。
また、第1実施形態では、ナット33がばね収容部53を有しており、ばね端固定部材78がばね収容部53の内周に圧入により固定されている。しかしながら、第2実施形態と同様にして、ばね収容部53を設けず、ばね端固定部材78をピストン16の内周に圧入固定してもよい。また、第2実施形態において、ばね端固定部がナット73に直接固定されてもよい。
また、各実施形態では、第1螺旋溝39のねじれ方向を右としたが、左であってもよい。この場合には、ねじ軸72を反時計回りに回転させたときにブレーキパッド12がブレーキロータ11に押し付けられる。したがって、各螺旋部材45,74の巻方向も、左である。各部の動きについては、上記で説明した各実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
また、各実施形態における連結部材55,79の形態は例示であり、種々の形態を採用できる。連結部材55,79は、螺旋部材45,74の動きをねじりコイルばね37,75に伝達することができればよく、また、螺旋部材45,74とねじりコイルばね37,75は、連結部材を介さず、直接係合してもよい。
また、各実施形態では、ボールねじ装置が、ブレーキ装置に用いられる場合を説明したが、その他の機器にも適用可能である。
(第1実施形態)10:ブレーキ装置、11:ブレーキロータ、12:ブレーキパッド、13:キャリパー、14:モータ、15:シリンダ、16:ピストン、18:転がり軸受、31:ボールねじ装置、32:ねじ軸、33:ナット、35:玉、36:一方側コイルばね、37:ねじりコイルばね、38:シャフト部、39:第1螺旋溝、41:第2螺旋溝、42:仕切ばね、45:螺旋部材、47:ストッパー部、53:ばね収容部、55:連結部材、62:ばね端固定部材、
(第2実施形態)71:ボールねじ装置、72:ねじ軸、73:ナット、74:螺旋部材、75:ねじりコイルばね、78:ばね端固定部材、79:連結部材、
(従来技術)81:ボールねじ装置、83:ねじ軸、85:ナット、87:玉溝、89:玉、90:コイルばね

Claims (3)

  1. 外周に第1螺旋溝が形成されたねじ軸と、
    内周に第2螺旋溝が形成されたナットを有し、
    前記ナットが前記ねじ軸の外周に嵌め合わされ、前記第1螺旋溝と前記第2螺旋溝が互いに径方向に対向して玉溝が形成され、前記玉溝に複数の玉が転動自在に組込まれたボールねじ装置であって、
    前記玉溝に沿って螺旋状に延在し、前記玉溝に沿って変位しうる螺旋部材と、
    前記螺旋部材を前記複数の玉に向けて付勢する第1の付勢部材とを備えたことを特徴とするボールねじ装置。
  2. 前記複数の玉に対して前記螺旋部材と反対の側に配置され、前記複数の玉を前記螺旋部材に向けて付勢する第2の付勢部材を備えたことを特徴とする請求項1のボールねじ装置。
  3. 前記ねじ軸の軸の方向を軸方向とし、前記軸の周りを周回する方向を周方向として、
    前記ねじ軸が、前記軸を中心として周方向に回転して、前記ナットが、外力に抗して軸方向一方側に変位するとき、
    前記螺旋部材は、前記複数の玉より軸方向他方側に組み込まれており、
    前記第1の付勢部材は、一の端部が前記螺旋部材の軸方向他方側の端部に直接又は間接に係止されるとともに、他の端部が前記ナットに対して固定されたねじりコイルばねであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載するボールねじ装置。
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