JP2020076417A - シール機構 - Google Patents
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Abstract
Description
水素充填装置100の制御装置53は、流量計44、圧力センサ48A、48B、48C、温度センサ49、その他のセンサから出力される計測信号に基づき、流量調整弁45、遮断弁50、52に制御信号を発信し、水素ガス管路43、脱圧用配管51における水素ガスの流れを制御している。
水素ガス管路43の遮断弁50、脱圧用配管51の遮断弁52は、各種トラブルの発生時或いは作業者の判断により手動で遮断される。なお、図6における符号54、55はそれぞれ冷媒冷却部、表示装置を示す。
一方、摺動部におけるシール材をO−リング等で構成し、シール性を向上させた事例も存在する。しかし、O−リング等ではシール性は良好であるが、摺動性能は低く耐久性に問題がある。
そのため、軸の往復動(摺動)を妨げない程度の良好な摺動性を有し、シール性に優れ、耐久性が良好なシール機構が望まれているが、未だに提案されていない。
しかし、係る従来技術は、上述した問題点を解決するものではない。
軸シール(4)の下流側(カップシール4から漏れた水素ガスが流れる側:例えば遮断弁30の外部側)に貯蔵空間(6:例えば、漏洩した水素ガス用サージタンク)に連通する流路(7)が形成されていることを特徴としている。
ここで、当該流路(7)或いは貯蔵空間(6)には、漏洩した水素ガスを検出する検出装置(8:圧力センサ、水素センサ等)が設けられているのが好ましい。
また本発明において、前記別のシール部材(5)は、弾性材料製のO−リング(5A)、或いはテーパー面同士が当接するタイプの開閉弁(5B)で構成されているのが好ましい。
そして本発明において、軸シール(4)の下流側には貯蔵空間(6:例えば、漏洩した水素ガス用タンク)に連通する流路(7)を形成しており、種々の部材が組み合わされている軸シール(4)の下流側に比較して、当該流路(7)の流体抵抗は小さい。そのため、軸シール(4)から漏洩した流体(例えば水素)は抵抗の少ない側、すなわち貯蔵空間(6)に連通する流路(7)側に流入し、シール機構の外部に漏洩することなく、貯蔵空間(6)内に流入する。従って、軸シール(4)から漏洩した流体が、シール機構の外部(例えば遮断弁30或いは水素充填装置の系外)に漏れ出てしまうことが防止され、シール性が良好となる。
ここで、当該流路(7)或いは貯蔵空間(6)に漏洩した流体(例えば水素ガス)を検出する検出装置(8:圧力センサ、水素センサ等)を設ければ、軸シール(4)が劣化し流体が漏洩したことを早期に検知することが出来る。
ここで、軸シール(4)から漏洩した流体は、抵抗の少ない側、すなわち前記流路(7)を流れて貯蔵空間(6)内に流入するので、軸シール(4)が劣化したとしても前記別のシール(5)側に到達する流体の量は少ない。そのため、前記別のシール(5)は高いシール性能を具備している必要はなく、前記別のシール(5)における気体漏洩防止手段としての負担は小さい。
最初に図1を参照して、第1実施形態を説明する。
図1において、ハウジング11の中心軸(図示せず)に沿って、ロッド収容部11Aが上下方向に延在しており、ロッド収容部11Aにおける上端近傍には、拡大部11Bが形成されている。ロッド収容部11Aにはロッド1(例えば、下端に弁体を備えたロッド)が収容され、ロッド1は軸方向に往復動する。図1における符号1Aは、ロッド1の上端に設けられた操作部である。
カップシール4は、O−リングと比較すると、摺動性では良好であるがシール性が弱い。そして上述した様に、カップシール4はシール性能に方向性があり、カップシール4の断面が拡がった側(図1、図3、図5では下側)を高圧側(水素ガス等の上流側、弁体側)に向けてカップシール4を配置した場合に、シール性能を発揮する。
また、カップシール4の下流側で、O−リング5A(別のシール部材)よりもカップシール4側の領域において、ロッド収容部11Aから水素流路7が分岐している。
水素流路7はサージタンク6(貯蔵空間)に連通しており、サージタンク6において漏洩した水素ガスを貯属することが出来る。さらに、サージタンク6には、漏洩した水素ガスを検出する検出装置として圧力センサ8が設置されている。ここで圧力センサ8は、サージタンク6ではなく水素流路7に設けることも出来る。また、水素ガスを検出する検出装置として、圧力センサ8に代えて水素センサを設けても良い。
図1の第1実施形態では、ロッド収容部11A(摺動部分)に配置されたカップシール4(軸シール)、カップシール4の下流側に形成された水素流路7、水素流路7が連通するサージタンク6(貯蔵空間)、サージタンク6(或いは流路7)に設けられた圧力センサ8(或いは水素センサ)、水素流路7の下流側に配置されたO−リング5A(別のシール部材)により、シール機構20が構成されている。
そのため、カップシール4から漏洩した水素ガスがハウジング11(例えば遮断弁等を構成しているハウジング)の外部に漏れ出てしまうことが防止される。ここで、例えば水素充填装置の遮断弁に第1実施形態に係るシール機構20を用いた場合、カップシール4から水素ガスが漏洩するのは充填時と脱圧時であり(充填時間或いは脱圧時間は例えば5分程度)、水素の漏洩量は大量ではないと想定される。
また、上述した通りカップシール4の摺動性は良好であるため、摺動部11Aにおけるシールの際に、摩擦による劣化が生じ難いので、O−リングに比較してカップシール4の交換頻度は少なくて済むので、軸シールのカップシール4の交換に係る労力及びコストが節減される。
また、サージタンク6(或いは水素流路7)には、漏洩した水素ガスを検出する検出装置として圧力センサ8(或いは水素センサ)を設けているので、水素ガスがカップシール4から漏洩した場合に、圧力センサ8(或いは水素センサ)により、直ちに検知することが出来る。センサの種類によっては定量的に検出することも可能である。
方向性のあるシール材であるカップシール4においては、断面の尖った側(低圧側)から圧力が掛かるとカップシールの断面が狭まり、シール性が劣悪となるが、断面の拡がった側(高圧側)から圧力が掛かると、カップシールの断面が拡がり、シール性が向上するからである。
カップシール4に代えて、O−リングを軸シールとして用いた場合、当該軸シールの上流側(図1の下方)の圧力が低下してもO−リングのシール性能は変化しないので、水素流路7或いはサージタンク6内を降圧することが出来ず、水素流路7或いはサージタンク6内の圧力は昇圧し続けることになってしまう。図示の実施形態において、O−リングその他のシール性能に方向性が無いシールを軸シールとして用いる場合には、前記水素流路7或いはサージタンク6内を降圧する機構を別途設ける必要がある。
図1の第1実施形態では、別のシール部材であるO−リング5Aは上部ハウジング10のロッド収容部11Aに設けられているが、それに限定される訳ではない。図2の変形例で示す様に、上部ハウジング11の端面11SにO−リング5Aを設けることも可能である。図2において、O−リング5Aを上部ハウジング11の端面11Sに配置することにより、ロッド1が摺動してもO−リング5Aとの間に摩擦は無く、O−リング5Aは軸シールとして作用することはない。そして、ロッド1の端部1Aが上部ハウジング11の端面11Sと当接することにより、O−リング5Aは別のシール材5として作用し、カップリング4の劣化により漏洩した水素をシールする。
図3において、全体を符号30で示す遮断弁は、円柱状形状の本体ハウジング10、本体ハウジング10の上部に固定される上部ハウジング11を有しており、本体ハウジング10の底部には下方蓋部14が着脱可能に取り付けられている。
本体ハウジング10の側面において、流入口10Aに連続して水素流路10Bが形成されている。流入口10Aには、図示しない水素供給源(水素ボンベ等)側から供給される水素ガスが流入する。水素流路10Bは、スプリング収容部10Fに連通している。明示されていないが、流入口10Aは配管コネクタ(図示せず)と接続されている。
流出口10Cの流入口10A側(上流側)は水素流路10Dと連通しており、水素流路10Dは、本体ハウジング10のロッド収容部10Hに連通している。そして流出口10Cは配管コネクタ(図示せず)と接続されている。
図3において、遮断弁30の開放時(図4参照)では、水素供給源から供給される水素ガスは、流入口10Aから遮断弁30に流入し、水素流路10B、スプリング収容部10F、弁体収容部10E、本体ハウジング側ロッド収容部10H、水素流路10Dを経由して、流出口10Cから噴射ノズル側に流出する。
図4において、開放時の遮断弁30周辺における水素ガスの流れは、実線の矢印Fで示されている。なお、図3は遮断弁30の遮断時を示しており、弁体収容部10E、ロッド収容部10Hの境界部分において、弁体2が弁座12に座着して、水素流路を遮断している。
また図3において、本体ハウジング10の上端部の半径方向における中心近傍の領域には、上部ハウジング接合部10Gが形成され、上部ハウジング接合部10Gには上部ハウジング11の下端に形成された本体ハウジング接合部11Cが収容され、以て、本体ハウジング10と上部ハウジング11は結合されている。
スプリング収容部10Fにはスプリング3が収容されており、スプリング3は、弁体台座13を介して弁体2に当接し、弁体2を閉方向(図1で上方)に常時付勢している。そのため、弁体2はスプリング3の弾性反撥力により弁座12に常時押圧され、弁体収容部10Eにおける水素流路を閉鎖している。
また図3において、下方蓋部14の上方に連続して下方ロッド15が設けられ、下方ロッド15はスプリング3の内部空間に延在しており、下方ロッド15の上端と弁体2(弁体台座13)は離隔している。下方ロッド15は、遮断弁が開放された際に弁体2(弁体台座13)が開放側(図1では下方)に過度に移動するのを制限するストッパとして機能する。
上部ハウジング11には、図1を参照してシール機構20が設けられている。シール機構20については、上述したのと同様な構成を有する。
図1で説明したのと重複するが、図3の遮断弁30において、カップシール4の劣化等に起因して、本体ハウジング側ロッド収容部10H側から流出した水素ガス(矢印L0)が、カップシール4から漏洩してカップシール4の下流側(図3で上方)に流れると(一点鎖線の矢印L1)、漏洩した水素ガス(L1)は流路抵抗の大きいO−リング5A(別のシール部材)側には流れず、流路抵抗の小さい水素流路7側を流れて(一点鎖線の矢印L2)、サージタンク6(貯蔵空間)内に流入する(一点鎖線の矢印L3)。そのため、カップシール4(軸シール)から漏洩した水素ガスが遮断弁30の系外に漏れ出てしまうことが防止される。
遮断弁30が開放されると、図3において、流入口10A、水素流路10B、スプリング収容部10F、弁体収容部10E、本体ハウジング側ロッド収容部10H、水素流路10D、流出口10Cから成る水素流路(矢印F)が連通する。
図3、図4で示す遮断弁30においても、O−リング5A(別のシール部材)は、図1で示す様にロッド収容部11Aに設けても良いし、図2で示す様に上部ハウジング11の端面11Sに設けても良い。
図5において、ロッド1上端の操作部1Aにはテーパー部1C(弁体)が形成されている。そして、上部ハウジング11のロッド収容部11A(拡大部11B)の上端に、ロッド1のテーパー部1Cと相補形状のテーパー部11D(弁座)が形成されている。
ロッド1のテーパー部1C(弁体)と上部ハウジング11のテーパー部11D(弁座)によりテーパー開閉弁5B(テーパー面同士が当接するタイプの開閉弁)が構成され、テーパー開閉弁5Bが別のシール部材を構成する。そして、テーパー部1Cとテーパー部11Dを当接することによりテーパー開閉弁5Bは閉鎖され、テーパー部1Cとテーパー部11Dを離隔させることによりテーパー開閉弁5Bは開放される。
なお、図5は遮断弁が遮断(閉鎖)されている状態を示す。
水素流路7はサージタンク6(貯蔵空間)に連通しており、サージタンク6に漏洩した水素ガスを貯属することが出来る。さらに、サージタンク6には、漏洩した水素ガスを検出する検出装置として圧力センサ8を設けている。ただし、圧力センサ8は、サージタンク6ではなく水素流路7に設けることも出来る。また、水素ガスを検出する検出装置として、圧力センサ8に代えて水素センサを設けても良い。
ロッド収容部11Aに配置されたカップシール4、カップシール4の下流側(図5の上方)に形成された水素流路7、水素流路7が連通するサージタンク6、サージタンク6(或いは流路7)に設けられた圧力センサ8(或いは水素センサ)、水素流路7の下流側のテーパー開閉弁5Bにより、第2実施形態に係るシール機構20−1が構成されている。
そして、シール構造20−1では別のシール部材としてテーパー開閉弁5Bを設けており、弾性体製のO−リングを有していないので、弾性体シール部材を用いた場合に比較して、長期間に亘ってシール性能が劣化しない。
図5の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1の実施形態と同様である。
例えば、図示の実施形態では軸シール4としてカップシールを選択しているが、摺動性が良好であればカップシール以外のシール部材を選択することが可能である。また、別のシール部材としてO−リング5Aとテーパー開閉弁5Bを選択しているが、シール性が良好であれば、その他のシール部材を使用することも可能である。
また、図示の実施形態として、シールされるべき流体としては水素ガスを例示したが、その他の流体(気体、液体、粉体)のシールについても、本発明は適用可能である。
2・・・弁体
4・・・カップシール(軸シール)
5A・・・O−リング(別のシール部材)
5B・・・テーパー開閉弁(別のシール部材)
6・・・サージタンク(貯蔵空間)
7・・・水素流路
8・・・検出装置(圧力センサ、水素センサ)
11A・・・摺動部分(ロッド収容部)
20、20−1・・・シール機構
30・・・遮断弁
Claims (3)
- 摺動部分に摺動性は良好であるがシール性が弱い軸シールを配置し、
軸シールの下流側に貯蔵空間に連通する流路が形成されていることを特徴とするシール機構。 - 前記流路或いは貯蔵空間には、漏洩した水素ガスを検出する検出装置が設けられている請求項1に記載のシール機構。
- 前記流路の下流側に別のシール部材を設けた請求項1又は請求項2に記載のシール機構。
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