JP2020076131A - 成膜装置、成膜方法、及び高周波加速空洞管の製造方法 - Google Patents

成膜装置、成膜方法、及び高周波加速空洞管の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多連セル構造を持った空洞管の内壁に被膜を均一に形成する。【解決手段】成膜装置は、スパッタリングターゲットと、電力供給源と、ガス供給源と、制御装置とを具備する。上記スパッタリングターゲットは、第1内径を有する第1管部と、上記第1内径よりも大きい第2内径を有する第2管部とが交互に直列状に連結された空洞管の内部に挿入可能であり、上記空洞管の中心軸方向に移動可能になっている。上記電力供給源は、上記スパッタリングターゲットに放電電力を供給することができる。上記ガス供給源は、上記空洞管内に放電ガスを供給することができる。上記制御装置は、上記中心軸方向における上記スパッタリングターゲットの位置を制御し、上記中心軸の方向と直交する方向における上記空洞管と上記スパッタリングターゲットとの間の距離に応じて、上記放電電力または上記放電ガスの圧力を制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、成膜装置、成膜方法、及び高周波加速空洞管の製造方法に関する。
荷電粒子加速器に用いられる高周波加速空洞管として、大径の膨らみ部と小径の括れ部とが交互に連結した多連セル構造の高周波加速空洞管が提供されている。このような高周波加速空洞管は、高周波を印加すると発熱する可能性があることから、その材料として超伝導材が用いられている。超伝導材としては、例えば、ニオブ(Nb)系材料があげられる。近年、高周波加速空洞管を構成する基体の内壁に窒化ニオブ(NbN)を被覆する例が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−260599号公報
上記の多連セル構造を持った高周波加速空洞管では、荷電粒子の加速性能を向上させるために、空洞管の内壁により均一な被膜を形成するかが重要になる。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、多連セル構造を持った空洞管の内壁に被膜を均一に形成することができる成膜装置、成膜方法、及び高周波加速空洞管の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る成膜装置は、スパッタリングターゲットと、電力供給源と、ガス供給源と、制御装置とを具備する。上記スパッタリングターゲットは、第1内径を有する第1管部と、上記第1内径よりも大きい第2内径を有する第2管部とが交互に直列状に連結された空洞管の内部に挿入可能であり、上記空洞管の中心軸方向に移動可能になっている。上記電力供給源は、上記スパッタリングターゲットに放電電力を供給することができる。上記ガス供給源は、上記空洞管内に放電ガスを供給することができる。上記制御装置は、上記中心軸方向における上記スパッタリングターゲットの位置を制御し、上記中心軸の方向と直交する方向における上記空洞管と上記スパッタリングターゲットとの間の距離に応じて、上記放電電力または上記放電ガスの圧力を制御する。
このような成膜装置であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記成膜装置においては、上記中心軸を中心とする、上記空洞管と上記スパッタリングターゲットとの相対回転角が変更可能に構成されてもよい。
このような成膜装置であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、空洞管とスパッタリングターゲットとの相対回転角が変更可能なので、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記成膜装置においては、上記制御装置は、上記距離が長くなるほど、上記放電電力を高く制御してもよい。
このような成膜装置であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、制御装置が上記距離が長くなるほど、放電電力が高く制御されるので、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記成膜装置においては、上記制御装置は、上記距離が短くなるほど、上記放電ガスの圧力を高く制御してもよい。
このような成膜装置であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、制御装置が上記距離が短くなるほど、上記放電ガスの圧力が高く制御されるので、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記成膜装置においては、上記スパッタリングターゲットを上記空洞管とによって挟む磁気回路が配置され、上記中心軸の方向におけるエロージョン領域の長さが上記第2管部の長さよりも短く、上記第2内径よりも短くてもよい。
このような成膜装置であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、スパッタリングターゲットを空洞管とによって挟む磁気回路が配置され、中心軸の方向におけるエロージョン領域の長さが第2管部の長さよりも短く、第2内径よりも短く構成されているので、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記成膜装置においては、上記スパッタリングターゲットは、上記中心軸方向に延在する円筒状ターゲットであってもよい。
このような成膜装置であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、スパッタリングターゲットが中心軸方向に延在する円筒状ターゲットなので、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記成膜装置においては、上記空洞管に連結され、上記空洞管内に導入された上記放電ガスを排気するガス排気機構をさらに具備し、上記ガス排気機構により、上記空洞管内が上記空洞管外よりも減圧となる状態が維持されてもよい。
このような成膜装置であれば、多連セル構造を持った空洞管がガス排気機構により直接的に排気されるので、放電ガス圧の制御の精度が向上し、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る成膜方法では、第1内径を有する第1管部と、上記第1内径よりも大きい第2内径を有する第2管部とが交互に直列状に連結された空洞管が準備される。上記空洞管内にスパッタリングターゲットを挿入して、上記空洞管の中心軸方向における上記スパッタリングターゲットの位置が決定される。上記中心軸方向と直交する方向における上記空洞管と上記スパッタリングターゲットとの間の距離に応じて、上記スパッタリングターゲットに投入する放電電力または上記空洞管内に導入する放電ガスの圧力を調整して、上記空洞管の内壁に膜が形成される。
このような成膜方法であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記成膜方法においては、上記中心軸を中心とする、上記空洞管と上記スパッタリングターゲットとの相対回転角を調整して、上記内壁に上記膜を形成してもよい。
このような成膜方法であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、中心軸を中心とする、空洞管とスパッタリングターゲットとの相対回転角を調整して、内壁に膜が形成されるので、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記成膜方法においては、上記距離が長くなるほど、上記放電電力を高く設定して、上記内壁に上記膜を形成してもよい。
このような成膜方法であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、上記距離が長くなるほど、放電電力を高く設定して、内壁に膜を形成するので、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記成膜方法においては、上記距離が短くなるほど、上記放電ガスの圧力を高く設定して、上記内壁に上記膜を形成してもよい。
このような成膜方法であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、上記距離が短くなるほど、放電ガスの圧力を高く設定して、内壁に膜を形成するので、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記成膜方法においては、上記スパッタリングターゲットを上記中心軸方向に移動させつつ、上記内壁に上記膜を形成してもよい。
このような成膜方法であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、スパッタリングターゲットを中心軸方向に移動させつつ、内壁に膜を形成するので、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記成膜方法においては、上記スパッタリングターゲットを上記空洞管とによって挟む磁気回路を配置し、上記中心軸の方向におけるエロージョン領域の長さが上記第2管部の長さよりも短く、上記第2内径よりも短く形成される上記スパッタリングターゲットを用いて上記内壁に上記膜を形成してもよい。
このような成膜方法であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、スパッタリングターゲットを空洞管とによって挟む磁気回路を配置し、中心軸の方向におけるエロージョン領域の長さが第2管部の長さよりも短く、第2内径よりも短く形成されるスパッタリングターゲットを用いて内壁に膜を形成するので、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記成膜方法においては、上記スパッタリングターゲットとして、上記中心軸方向に延在する円筒状ターゲットを用いてもよい。
このような成膜方法であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、スパッタリングターゲットとして、中心軸方向に延在する円筒状ターゲットを用いるので、その内壁に膜を均一に形成することができる。
上記成膜方法においては、上記空洞管として、ニオブまたは銅で構成された空洞管を用い、スパッタリング法により、上記内壁に、ニオブ、窒化ニオブ、ニオブ錫、及びホウ化マグネシウムの少なくともいずれかを有する膜を形成してもよい。
このような成膜方法であれば、多連セル構造を持った空洞管であっても、空洞管として、ニオブまたは銅で構成された空洞管を用い、スパッタリング法により、内壁に、ニオブ、窒化ニオブ、ニオブ錫、及びホウ化マグネシウムの少なくともいずれかを有する均一な膜が形成される。
上記成膜方法においては、上記空洞管と上記膜との間に、絶縁膜を形成してもよい。
このような成膜方法であれば、多連セル構造を持った空洞管の高周波超伝導特性がより向上する。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る高周波加速空洞管の製造方法では、第1内径を有する第1管部と、上記第1内径よりも大きい第2内径を有する第2管部とが交互に直列状に連結された空洞管であって、ニオブまたは銅で構成された上記空洞管が準備される。上記空洞管内にスパッタリングターゲットを挿入して、上記空洞管の中心軸方向における上記スパッタリングターゲットの位置が決定される。上記中心軸方向と直交する方向における上記空洞管と上記スパッタリングターゲットとの間の距離に応じて、上記スパッタリングターゲットに投入する放電電力または上記空洞管内に導入する放電ガスの圧力を調整して、上記空洞管の内壁に、ニオブ、窒化ニオブ、ニオブ錫、及びホウ化マグネシウムの少なくともいずれかを有する膜が形成される。
上記高周波加速空洞管の製造方法においては、上記空洞管と上記膜との間に、絶縁膜を形成してもよい。
以上述べたように、本発明によれば、多連セル構造を持った空洞管の内壁に被膜を均一に形成することができる成膜装置、成膜方法、及び高周波加速空洞管の製造方法が提供される。
本実施形態の成膜装置を表す模式図である。 スパッタリングターゲット付近を表す模式図である。 本実施形態の成膜方法の概念を表す模式図である。 連続的に放電電力と放電ガス圧とを変える場合のX軸方向の位置と、放電電力及び放電ガス圧との関係の一例を示すグラフ図である。 ターゲットの変形例を表す模式図である。 成膜装置の変形例を表す模式図である。 成膜装置の別の変形例を表す模式図である。 成膜装置の別の変形例を表す模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図面には、XYZ軸座標が導入される場合がある。また、同一の部材または同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その部材を説明した後には適宜説明を省略する場合がある。
まず、本実施形態の成膜装置の構成を説明する。
図1は、本実施形態の成膜装置を表す模式図である。図2(a)、(b)は、図1のスパッタリングターゲット付近を表す模式図である。図1、図2(a)、(b)では、空洞管100の中心軸100c方向をX軸方向、X軸方向に垂直な方向をY軸方向またはZ軸方向としている。Z軸方向は、成膜装置1の上下方向である。Y軸方向は、中心軸方向及び上下方向に直交する方向である。X軸方向を軸心方向、Y軸方向を横方向としてもよい。
成膜装置1は、真空容器10と、スパッタリングターゲット20と、電力供給源30と、ガス供給源40と、駆動機構50と、排気系60と、制御装置70と、圧力計80、81とを具備する。
真空容器10は、排気系60によって、その内部のガスが排気される。真空容器10は、減圧状態を維持する金属製容器である。真空容器10は、例えば、スパッタリングターゲット20と、バッキングチューブ21と、空洞管100とを収容する。成膜装置1における成膜対象は、例えば、スパッタリングターゲット20が対向する空洞管100の内壁115である。以下、スパッタリングターゲット20は、単に、ターゲット20とする。
空洞管100は、大型の超伝導高周波加速器の1ユニットを構成する空洞管の基体である。空洞管100は、多連セル部110と、第1パイプ部121と、第2パイプ部122とを有する。多連セル部110は、さらに、複数の括れ部112(第1管部)と、複数の膨らみ部111(第2管部)とを有する。
多連セル部110においては、括れ部112と、膨らみ部111とがX軸方向に交互に直列状に連結されている。例えば、複数の膨らみ部111のそれぞれは、括れ部112を介してX軸方向に周期的に配列されている。膨らみ部111の内径は、括れ部112の内径よりも大きい。ここで、内径とは、Y−Z軸平面における内径である。
多連セル部110において、膨らみ部111と、括れ部112とは一体的に構成されている。製造方法の一例としては、多連セル部110は、円筒状のニオブ素管または銅素管からネッキング工程、及び液圧成形工程によって形成される。膨らみ部111の外周面は、外側に向かって凸になる曲面となり、括れ部112の外周面は、外側に向かって凹になる曲面になっている。多連セル部110は、筒状のシームレス管である。なお、括れ部112は、X軸方向に短く延在するストレート型のパイプでもよい。多連セル部110は、例えば、X軸方向に並ぶ3個〜9個の膨らみ部111を有する。なお、製造方法については、上記の例に限らず、例えば、膨らみ部111が中央部で分割されたたハーフセルを複数準備し、2つのハーフセル同士を合わせ込んだ後、合わせた部分を電子ビームで溶接して、多連セル部110を形成してもよい。
第1パイプ部121は、多連セル部110の一端に接合され、第2パイプ部122は、その一端とは反対側の多連セル部110の他端に接合される。第1パイプ部121、及び第2パイプ部122は、例えば、電子ビーム溶接等で、多連セル部110の両端に接合される。第1パイプ部121には、フランジが付設されている他、少なくとも1つのポート管121pが付設されている。また、第2パイプ部122には、フランジが付設されている他、少なくとも1つのポート管122pが付設されている。ポート管121p、122pは、例えば、ビーム管等として機能する。
また、成膜装置1では、中心軸100cを中心とする、空洞管100とターゲット20との相対回転角が変更可能に構成されている。例えば、空洞管100の一端は、成膜装置1内で、駆動機構50に固定され、この駆動機構50によって、中心軸100cの周りを回転することができる。なお、空洞管100の両端は、回転可能なように支持されてよい。これにより、空洞管100は、中心軸100cの周りをより安定して回転することができる。また、空洞管100の両端のうち、少なくとも1つの端は、真空容器10に向けて開口されている。これにより、空洞管100の内部は、排気系60によって排気可能になっている。
空洞管100のX軸方向における全長は、500mm以上2000mm以下である。膨らみ部111のピッチは、50mm以上200mm以下である。膨らみ部111の最大内径は、100mm以上300mm以下である。括れ部112の最小内径は、50mm以上200mm以下である。括れ部112の最小内径、第1パイプ部121の内径、及び第2パイプ部122の内径は同じである。空洞管100は、例えば、ニオブ(Nb)、銅(Cu)等で構成されている。
ターゲット20は、X軸方向に延在する円筒状のターゲットである。ターゲット20は、棒状のバッキングチューブ21に軸支されている。例えば、ターゲット20は、バッキングチューブ21の先端部21tに固定されている。ターゲット20の外径は、空洞管100の最小内径よりも小さい。これにより、ターゲット20は、空洞管100に接触せずに、空洞管100の内部に挿入可能になっている。
また、ターゲット20は、駆動機構50によって、空洞管100内をX軸方向に移動可能になっている。例えば、バッキングチューブ21は、駆動機構50に軸支され、駆動機構50によって、バッキングチューブ21がX軸方向に移動することにより、ターゲット20が駆動機構50から遠ざかったり、近づいたりする。
先端部21tの内部には、磁気回路22が配置されている。ターゲット20は、空洞管100と磁気回路22とにより挟まれている。磁気回路22は、例えば、X軸方向に延出する複数の永久磁石で構成されている。一例として、図2(a)では、磁気回路22として、X軸方向に2つの永久磁石が配置された例が示されている。永久磁石の数は、この例に限らない。例えば、少なくとも1つの永久磁石がX軸方向に列状に配列されてもよい。
また、X軸方向に隣り合う永久磁石では、同極が対向するように配置されている。例えば、1つの永久磁石のS極は、隣り合う永久磁石のS極に対向し、1つの永久磁石のN極は、隣り合う永久磁石のN極に対向する。
磁気回路22から発せられた磁場Bは、ターゲット20の表面付近にまで漏洩する。この漏れた磁場Bにプラズマ中の電子が拘束されることにより、ターゲット表面付近のプラズマ密度が上昇する。つまり、成膜装置1では、マグネトロンスパッタリングが実施される。
X軸方向において、ターゲット20の長さ20Lは、膨らみ部111の長さよりも短い。例えば、長さ20Lは、X軸方向における膨らみ部111の長さの1/2以下である。また、X軸方向においてターゲット20に形成されるエロージョン領域20Eの長さは、膨らみ部111の長さよりも短く、膨らみ部111の内径よりも短い。例えば、エロージョン領域20Eの長さは、膨らみ部111の長さの1/2以下であり、膨らみ部111の内径の1/3以下である。ここで、エロージョン領域とは、プラズマ中のイオンによってターゲット20が優先的に彫られる領域である。
例えば、エロージョン領域20Eの長さが膨らみ部111の長さの1/2よりも大きく、膨らみ部111の内径の1/3よりも大きいと、ターゲット20から飛び出すスパッタリング粒子S1の放射角度が広角になり、内壁115に均一な膜が形成されにくくなり好ましくない。
エロージョン領域20Eに形成される各々のエロージョンは、中心軸100cの周りにおいて繋がり、ターゲット20の表面で環状の溝を形成する。これは、ターゲット20の表面に漏洩する磁場Bがターゲット20の周りで形成されているためである。
中心軸100cの方向におけるエロージョンの数は、X軸方向に配置する永久磁石の数で調整される。例えば、図2(a)の例示では、X軸方向において隣り合う永久磁石において同極が対向しているため、1つの永久磁石内でN極からS極への磁力線のループが形成される。これにより、例えば、ターゲット20表面から磁力線が漏れる位置にエロージョンが形成される。
このようにして、X軸方向におけるエロージョン領域20Eの長さを調整することができる。さらに、個々の永久磁石の長さを調整しても、X軸方向におけるエロージョン領域20Eの長さを調整することができる。また、ターゲット20を中心軸100c周りで局部的に開口するスリット機構を設けてもよい。このようなスリット機構を設けることにより、ターゲット20から飛遊するスパッタリング粒子の放射角度がスリット開口幅と、スリットとターゲット20との間の距離によって制御される。
ターゲット20は、ニオブ(Nb)、窒化ニオブ(NbN)、ニオブ錫(NbSn)、ホウ化マグネシウム(MgB)、及び酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)、マグネシア(MgO)等の絶縁材の少なくともいずれかの材料を有する。なお、これらの化学量論比は、荷電粒子の高周波加速効果が同じであれば、若干のずれが許容される。
バッキングチューブ21内には、ガス供給源40から供給された放電ガスをターゲット20付近にまで導入するガス流路210が設けられている。バッキングチューブ21には、ターゲット20の手前に、バッキングチューブ21から延出された円形状のフランジ部25が設けられている。
フランジ部25には、複数の噴射口250が設けられ、複数の噴射口250のそれぞれがガス流路210に連通している。これにより、放電ガスが噴射口250からターゲット20の表面に向かって噴射される。ターゲット20の表面に噴射されるガス圧の均一性を向上させるために、例えば、4つの噴射口250が中心軸100cの周りに90度おきに配置されている。噴射口250の数は、この例に限らない。噴射口250の数が増加するほど、ターゲット20の表面付近のガス圧は、より均一になる。
バッキングチューブ21の内部には、先端部21tにまで冷媒体を導入し、先端部21tから冷媒体を還流することができる還流路211が設けられている。例えば、バッキングチューブ21の内部には、平行に並ぶ2本の還流路211が設けられている。これにより、ターゲット付近にプラズマが炊かれても、プラズマによるターゲット20の加熱が抑制される。
電力供給源30は、ターゲット20に放電電力を供給する。放電電力は、DC電力、パルスDC電力、AC電力、RF電力、RF重畳のDC電力等である。ガス供給源40は、マスフローコントローラを有し、Ar、He等の希ガス、N、O等のガスをバッキングチューブ21内のガス流路210に供給する。これにより、空洞管100内に所定の圧力の放電ガスが供給される。
制御装置70は、例えば、真空容器10内の圧力、電力供給源30を通じてターゲット20に投入される電力、ガス供給源40を通じて真空容器10内に導入されるガス圧(または、ガス流量)、駆動機構50を通じてターゲット20のX軸方向に位置、及び中心軸100cの周りの回転角、及び排気系60のそれぞれを制御する。例えば、制御装置70は、X軸方向と直交する方向における、空洞管100の内壁115とターゲット20との間の距離に応じて、放電電力または放電ガスの圧力を制御する。
真空容器10外で空洞管100が準備されると、空洞管100の一端が成膜装置1の駆動機構50に固定される。この後、排気系60によって、真空容器10が真空引された後、制御装置70によって空洞管100内におけるターゲット20の位置が決定されて、内壁115への成膜が自動的に行われる。空洞管100内の圧力は、真空容器10に付設された圧力計80で計測される。真空容器10内の圧力は、ターゲット20近傍のバッキングチューブ21に付設された圧力計81で計測される。圧力計81は、駆動機構50に取り付けてもよい。なお、圧力計80においては、その計測目的と周囲環境、及び設置寸法(コンダクタンス上昇を回避)等の問題を解決するため、MEMS技術を用いた隔膜真空計を用いることが好適である。
例えば、空洞管100内の圧力が真空容器10を介して所定の圧力になるまで排気された後、X軸方向におけるターゲット20の位置が調整されて、内壁115に対する成膜が開始される。例えば、ターゲット20は、予め、第1パイプ部121内に設定される。次に、ターゲット20は、第1パイプ部121に隣接する膨らみ部111、この膨らみ部111に隣接する括れ部112、この括れ部112に隣接する膨らみ部111、・・・・第2パイプ部122と次々に移動して、内壁115への成膜がなされる。
成膜装置1によって、空洞管100の内壁にNbN等が形成された高周波加速空洞管が荷電粒子加速器に適用された場合、高周波加速空洞管は、真空容器に格納され、液体ヘリウム等を用いて極低温に冷却される。また、高周波加速空洞管の外周は、磁気シールドによって取り囲まれる。また、ポート管121p、122pには、高周波電力を空洞に供給する入力結合器、周波数調整器等が接続される。
以下の例では、Nbで構成された空洞管100を用いて、内壁115にNbN膜をスパッタリング成膜する例を説明する。この場合、NbNで構成されたターゲット20を用いて、Arスパッタリングにより、空洞管100上にNbN膜を形成してもよく、Nbで構成されたターゲット20を用いて、窒素プラズマを利用した反応性スパッタリングにより、空洞管100上にNbN膜を形成してもよい。
次に、本実施形態の成膜方法の概念について説明する。図3(a)、(b)は、本実施形態の成膜方法の概念を表す模式図である。
本実施形態では、Z−Y軸平面におけるターゲット20と空洞管100の内壁115との間の距離(以下、T/S距離)が長くなるほど、放電電力が高く設定されて、内壁115に膜が形成される。または、T/S距離が短くなるほど、放電ガスの圧力が高く設定されて、内壁115に膜が形成される。
例えば、図3(a)に示すように、X軸方向において、ターゲット20が括れ部112の中心に位置しているときは(位置A)、位置AにおけるT/S距離が空洞管100内で最も短くなる。このような場合、ターゲット20には、比較的に低い放電電力PWlowが投入される。一方、図3(b)に示すように、X軸方向において、ターゲット20が膨らみ部111の中心に位置しているときは(位置B)、位置BにおけるT/S距離が空洞管100内で最も長くなっている。このような場合、ターゲット20には、PWlowよりも高い放電電力PWhighが投入される。ここで、PWlowは、最小放電電力、PWhighは、最大放電電力としてもよい。
このような成膜方法によれば、位置Bでターゲット20から放出されるスパッタリング粒子S1の量は、位置Aでターゲット20から放出されるスパッタリング粒子S1の量よりも大きくなる。また、位置Bでターゲット20から放出されるスパッタリング粒子S1の初期速度は、位置Aでターゲット20から放出されるスパッタリング粒子S1の初期速度よりも大きくなる。
但し、位置BにおけるT/S距離は、位置AにおけるT/S距離よりも長い。このため、位置A及び位置Bにおける、それぞれの成膜時間が同じであれば、位置Bの内壁115に付着するスパッタリング粒子S1の量と、位置Aの内壁115に付着するスパッタリング粒子S1の量とが均衡する。さらに、位置Bの内壁115に入射するスパッタリング粒子S1の運動エネルギーと、位置Aの内壁115に入射するスパッタリング粒子S1の運動エネルギーとが均衡する。
さらに、本実施形態の成膜方法では、放電電力以外にも、放電ガス圧を調整して内壁115に対し成膜がなされる。例えば、放電ガスの圧力が高くなるほど、成膜速度が降下するプロセス条件領域が選択されている場合には、以下のような制御が行われる。
例えば、ターゲット20が位置Aに位置しているときは、空洞管100内に導入される放電ガスの圧力が比較的に高く調整される。このときの圧力をPhighとする。一方、ターゲット20が位置Bに位置しているときは、放電ガスの圧力がPhighよりも低く調整される。このときの圧力をPlowとする。ここで、Plowは、最小圧力、Phighは、最大圧力としてもよい。但し、位置A、Bにおける放電電力は同じ電力に設定される。
位置A、Bにおける放電電力は同じなので、位置Bでターゲット20から放出されるスパッタリング粒子S1の初期速度は、位置Aでターゲット20から放出されるスパッタリング粒子S1の初期速度と実質的に同じになる。但し、位置Bでターゲット20から放出されるスパッタリング粒子S1においては、位置Aでターゲット20から放出されるスパッタリング粒子S1に比べて、内壁115に到達するまでの粒子に衝突する頻度が低くなる。これは、位置Bでターゲット20から放出されるスパッタリング粒子S1の平均自由行程が位置Aでターゲット20から放出されるスパッタリング粒子S1の平均自由行程に比べて、短くなるからである。
従って、位置A及び位置Bにおける、それぞれの成膜時間が同じであれば、位置Bの内壁115に付着するスパッタリング粒子S1の量と、位置Aの内壁115に付着するスパッタリング粒子S1の量とが均衡する。さらに、位置Bの内壁115に入射するスパッタリング粒子S1の運動エネルギーと、位置Aの内壁115に入射するスパッタリング粒子S1の運動エネルギーとが均衡する。
一方、放電ガスの圧力が高くなるほど、成膜速度が上昇するプロセス条件領域が選択された場合には、ターゲット20が位置Bに位置しているときは、空洞管100内に導入される放電ガスの圧力がPhighに調整され、ターゲット20が位置Aに位置しているときは、放電ガスの圧力がPhighよりも低く調整される。
また、成膜速度が放電電力に主に依存し、膜質が放電ガスの圧力に主に依存する場合には、放電電力及び放電ガスのどちらか一方を固定して他方を制御するのではなく、放電電力及び放電ガスの圧力のそれぞれを制御してもよい。
このような成膜方法によれば、内径が異なる位置A及び位置Bにおいて膜厚が実質的に同じになり、結晶性、結晶配向性、密度、抵抗率、表面粗さ等の膜質、膜組成も実質的に同じになる。すなわち、位置A及び位置BにおけるT/S距離が異なっても、位置A及び位置Bにおいて、実質的に同じ膜が形成される。
次に、位置Aから位置Bにかけての内壁115に連続的な膜を成膜する場合には、ターゲット20を位置Aから位置Bにかけて段階的に移動させ、移動毎にターゲット20に投入する放電電力をPWlowからPWhighまで段階的に上昇させたり、あるいは、移動毎に放電ガス圧をPhighからPlowまで段階的に下降させたりする。例えば、ターゲット20を位置Aから位置Bにまで移動させる距離をN回(例えば、2回以上10回以下)に分けて、移動毎に放電電力または放電ガス圧を変更する。
ここで、各段階における成膜時間は、適宜変更してもよい。これにより、位置Aから位置Bにかけての膜厚がより均一に制御される。これは、成膜時間が長くなるほど、内壁115に付着する膜の厚みが増加するからである。
このような成膜方法によれば、位置Aから位置Bにかけての内壁115に均一な膜が形成される。ここで、均一な膜とは、内壁115の面内方向における膜の厚み、結晶性、結晶配向性、密度、抵抗率、表面粗さ等の膜質、膜組成が同じであることを意味する。
また、段階的にターゲット20を移動するのではなく、Nを無限大、すなわち、ターゲット20を位置Aから位置Bにかけて連続的に移動してもよい。すなわち、ターゲット20をX軸方向に移動させつつ、位置Aから位置Bにかけての内壁115に膜を形成してもよい。
例えば、位置Aから位置Bにかけて連続的に放電電力をPWlowからPWhighまで連続的に上昇させたり、位置Aから位置Bにかけて連続的に放電ガス圧をPhighからPlowまで連続的に下降させたりして、成膜を実行する。このような成膜方法によれば、位置Aから位置Bにかけての内壁115により均一な膜が形成される。
なお、連続成膜では、ターゲット20の移動速度を変動してもよい。これにより、位置Aから位置Bにかけての膜厚がさらに均一になる。これは、ターゲット20の移動速度が遅くなるほど、内壁115に付着する膜の厚みが増加するからである。
次に、位置Bにまで移動したターゲット20をさらに移動させて、次の位置Aにまで移動させる場合は、ターゲット20を位置Bから位置Aにかけて段階的に移動させ、移動毎に放電電力をPWhighからPWlowまで段階的に下降させたり、放電ガス圧をPlowからPhighまで段階的に上昇させたりする。ここで、各段階における成膜時間を変更してもよい。
または、位置Bから位置Aにかけて連続的に移動させて、位置Bから位置Aにかけて連続的に放電電力をPWhighからPWlowまで連続的に下降させたり、放電ガス圧をPlowからPhighまで連続的に上昇させたりする。ここで、ターゲット20の移動速度を一定にせず、変動させてもよい。
連続的に放電電力と放電ガス圧とを変える場合のX軸方向の位置と、放電電力及び放電ガス圧との関係の一例を図4に示す。横軸は、X軸方向の位置であり、縦軸は、放電電力または放電ガス圧の規格値(N.U.)である。
このような成膜方法を空洞管100の内壁115の全域に実行、すなわち、空洞管100の第1パイプ部121、第1パイプ部121に隣接する膨らみ部111、この膨らみ部111に隣接する括れ部112、この括れ部112に隣接する膨らみ部111、・・・・第2パイプ部122に対して実行することにより、空洞管100の内壁115の全域に、均一な膜が形成される。
なお、成膜は、ターゲット20を空洞管100内を1回のパスのみで行うことに限らず、空洞管100内を少なくとも1回、往復させてもよい。これにより、さらにより均一な膜が形成される。
また、空洞管100とターゲット20との間の相対回転角は、固定せず、中心軸100cを中心とする、空洞管100とターゲット20との相対回転角を適宜調整して、内壁115に膜を形成してもよい。例えば、バッキングチューブ21及びターゲット20を固定して、空洞管100を中心軸100cを中心に回転させながら成膜を行う。これにより、さらにより均一な膜が形成される。これは、空洞管100とターゲット20との間に存在する空間において、ガスの圧力分布が空洞管100の径方向に存在したり、ターゲット表面における磁場強度を径方向の全周囲おいて同一となっていなかったりする課題を解決する手法にもなっている。
成膜条件の一例を説明する。成膜装置1においては、成膜条件の各パラメータと、内壁115に形成される膜の厚み、膜質、及び膜組成との関係は、実験、シミュレーション等により、データベース化されている。
放電ガス:ArまたはN/Ar
空洞管内ガス圧:0.2Pa以上1.0Pa以下
ターゲット投入電力:0.5W/cm以上5W/cm以下
ターゲット移動速度(連続成膜時):0.5mm/秒以上5mm/秒以下
T/S距離:10mm以上50mm以下/位置A、30mm以上100mm以下/位置B
空洞管回転速度:5rpm以上30rpm以下
このように、本実施形態では、X軸方向と直交する方向における空洞管100とターゲット20との間の距離に応じて、ターゲットに投入する放電電力または空洞管100内に導入する放電ガスの圧力を調整して、空洞管100の内壁115に、窒化ニオブ膜を形成する。
内壁115に形成する膜は、窒化ニオブ膜に限らず、ニオブ、窒化ニオブ、ニオブ錫、及びホウ化マグネシウムの少なくともいずれかを有する膜を形成してもよい。例えば、空洞管100を基体とした場合の積層体の組み合わせとして、以下のものがあげられる。
例えば、積層構造は、空洞管100を基体とした場合に、Nb基体/NbN膜、Nb基体/NbSn膜、Nb基体/MgB膜、Cu基体/Nb膜、Cu基体/NbN膜、Cu基体/MgB膜などがあげられる。また、基体に成膜される膜は、単層に限らず、複数の層を基体上に積層してもよい。特に、Nb基体にNbN膜、NbSn膜、及びMgB膜のいずれかを形成した空洞管100は、Nb単体の空洞管100に比べて、その高周波超伝導特性がさらに向上する。
また、基体と金属膜との間には、超伝導特性をさらに向上させるために、絶縁膜を形成してもよい。ここで、絶縁膜は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)、マグネシア(MgO)等の絶縁材の少なくともいずれかの材料を有する。これら積層構造における各分子式における化学量論比は、荷電粒子の高周波加速効果が同じであれば、若干のずれが許容される。
また、空洞管100が駆動機構50によって中心軸100cの周りを回転する構成に限らず、空洞管100、ターゲット20、及び磁気回路22の少なくともいずれかが中心軸100cの周りを回転する構成であってもよい。このような構成であれば、磁気回路22から内壁115に向かって拡がる磁力線が中心軸100cに対して点対象にならなくても、空洞管100、ターゲット20、及び磁気回路22の少なくともいずれを回転させることにより内壁115には均一な厚みまたは膜質の膜が形成され得る。
(変形例1)
図5(a)、(b)は、ターゲットの変形例を表す模式図である。
図5(a)、(b)に示すように、ターゲット20は、筒状に限らず、プレーナ型であってもよい。この場合、先端部21tは、プレーナ型のターゲット20を支持するために、Y−Z軸平面における形状が矩形になっている。また、磁気回路22のターゲット20とは反対側にヨーク部材23が配置されている。これにより、磁気回路22のターゲット20とは反対側への磁場の漏洩が抑制されて、バッキングチューブ21の不要なスパッタリングが抑制される。
このようなターゲット20を用い、ターゲット20をX軸方向に移動し、空洞管100を中心軸100cを中心に回転しながら成膜を行う。このような構成でも、空洞管100の内壁115には、均一が膜が形成される。
(変形例2)
図6は、成膜装置の変形例を表す模式図である。
図6に示すように、成膜装置1には、ターゲット20と、空洞管100との間にバイアス電圧を印加するバイアス電源31が設けられてもよい。例えば、バイアス電源31は、バッキングチューブ21を通じてターゲット20にVtの電位を印加し、空洞管100にはVtよりも低いVcの電位を印加する。例えば、Vc電位を負電位、Vt電位を正電位とする。
このような構成であれば、プラズマ中の金属陽イオンがターゲット20から空洞管100の内壁115に向かって加速されるとともに、金属陽イオンの内壁115に対する入射角が垂直に近づく。従って、内壁115に形成される膜の密度、結晶性、結晶配向性等の均一性がより向上する。
(変形例3)
図7は、成膜装置の別の変形例を表す模式図である。
図7に示すように、成膜装置1には、ターゲット20と空洞管100との間で発光するプラズマ光を集光する光ファイバユニット27が設けられてもよい。光ファイバユニット27は、例えば、バッキングチューブ21に支持される。光ファイバユニット27によって集光されたプラズマの発光スペクトルは、制御装置70に取り込まれる。
本構成では、例えば、プラズマ中に存在する、放電ガスまたは金属の特定のイオン、特定のラジカルに帰属する波長光の発光強度に応じて、放電電力または放電ガス圧が調整される。このような構成によれば、空洞管100内のプラズマがin-situ観察されるので、発光強度によって臨機応変に放電電力または放電ガス圧の制御が可能になる。
(変形例4)
図8は、成膜装置の別の変形例を表す模式図である。
図8に示す成膜装置2では、空洞管100の一端が駆動機構50に固定され、さらに、封止されている。また、空洞管100の他端がガス排気機構60に連結されている。成膜装置2では、空洞管100内に導入された放電ガスがガス排気機構60によって直接的に排気される。このガス排気機構60により、空洞管100内が空洞管100外よりも減圧となる状態が維持される。
このような構成によれば、装置構成が成膜装置1に比べて小型化になる。さらに、空洞管100内の放電ガスがガス排気機構60によって直接的に排気されるので、空洞管100内の放電ガス圧をさらに精度よく制御することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。各実施形態は、独立の形態とは限らず、技術的に可能な限り複合することができる。
1、2…成膜装置
10…真空容器
20…ターゲット、スパッタリングターゲット
20E…エロージョン領域
21…バッキングチューブ
21t…先端部
22…磁気回路
23…ヨーク部材
25…フランジ部
27…光ファイバユニット
30…電力供給源
31…バイアス電源
40…ガス供給源
50…駆動機構
60…排気系
70…制御装置
80、81…圧力計
100…空洞管
100c…中心軸
110…多連セル部
111…膨らみ部
112…括れ部
115…内壁
121…第1パイプ部
121p、122p…ポート管
122…第2パイプ部
210…ガス流路
211…還流路
250…噴射口

Claims (18)

  1. 第1内径を有する第1管部と、前記第1内径よりも大きい第2内径を有する第2管部とが交互に直列状に連結された空洞管の内部に挿入可能であり、前記空洞管の中心軸方向に移動可能なスパッタリングターゲットと、
    前記スパッタリングターゲットに放電電力を供給することが可能な電力供給源と、
    前記空洞管内に放電ガスを供給することが可能なガス供給源と、
    前記中心軸方向における前記スパッタリングターゲットの位置を制御し、前記中心軸の方向と直交する方向における前記空洞管と前記スパッタリングターゲットとの間の距離に応じて、前記放電電力または前記放電ガスの圧力を制御する制御装置と
    を具備する成膜装置。
  2. 請求項1に記載の成膜装置であって、
    前記中心軸を中心とする、前記空洞管と前記スパッタリングターゲットとの相対回転角が変更可能に構成された
    成膜装置。
  3. 請求項1または2に記載の成膜装置であって、
    前記制御装置は、前記距離が長くなるほど、前記放電電力を高く制御する
    成膜装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の成膜装置であって、
    前記制御装置は、前記距離が短くなるほど、前記放電ガスの圧力を高く制御する
    成膜装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の成膜装置であって、
    前記スパッタリングターゲットを前記空洞管とによって挟む磁気回路が配置され、
    前記中心軸の方向におけるエロージョン領域の長さが前記第2管部の長さよりも短く、前記第2内径よりも短い
    成膜装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の成膜装置であって、
    前記スパッタリングターゲットは、前記中心軸方向に延在する円筒状ターゲットである
    成膜装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の成膜装置であって、
    前記空洞管に連結され、前記空洞管内に導入された前記放電ガスを排気するガス排気機構をさらに具備し、
    前記ガス排気機構により、前記空洞管内が前記空洞管外よりも減圧となる状態が維持される
    成膜装置。
  8. 第1内径を有する第1管部と、前記第1内径よりも大きい第2内径を有する第2管部とが交互に直列状に連結された空洞管を準備し、
    前記空洞管内にスパッタリングターゲットを挿入して、前記空洞管の中心軸方向における前記スパッタリングターゲットの位置を決定し、
    前記中心軸方向と直交する方向における前記空洞管と前記スパッタリングターゲットとの間の距離に応じて、前記スパッタリングターゲットに投入する放電電力または前記空洞管内に導入する放電ガスの圧力を調整して、前記空洞管の内壁に膜を形成する
    成膜方法。
  9. 請求項8に記載の成膜方法であって、
    前記中心軸を中心とする、前記空洞管と前記スパッタリングターゲットとの相対回転角を調整して、前記内壁に前記膜を形成する
    成膜方法。
  10. 請求項8または9に記載の成膜方法であって、
    前記距離が長くなるほど、前記放電電力を高く設定して、前記内壁に前記膜を形成する
    成膜方法。
  11. 請求項8〜10のいずれか1つに記載の成膜方法であって、
    前記距離が短くなるほど、前記放電ガスの圧力を高く設定して、前記内壁に前記膜を形成する
    成膜方法。
  12. 請求項8〜11のいずれか1つに記載の成膜方法であって、
    前記スパッタリングターゲットを前記中心軸方向に移動させつつ、前記内壁に前記膜を形成する
    成膜方法。
  13. 請求項8〜12のいずれか1つに記載の成膜方法であって、
    前記スパッタリングターゲットを前記空洞管とによって挟む磁気回路を配置し、
    前記中心軸の方向におけるエロージョン領域の長さが前記第2管部の長さよりも短く、前記第2内径よりも短く形成される前記スパッタリングターゲットを用いて前記内壁に前記膜を形成する
    成膜方法。
  14. 請求項8〜13のいずれか1つに記載の成膜方法であって、
    前記スパッタリングターゲットとして、前記中心軸方向に延在する円筒状ターゲットを用いる
    成膜方法。
  15. 請求項8〜14のいずれか1つに記載の成膜方法であって、
    前記空洞管として、ニオブまたは銅で構成された空洞管を用い、
    スパッタリング法により、前記内壁に、ニオブ、窒化ニオブ、ニオブ錫、及びホウ化マグネシウムの少なくともいずれかを有する膜を形成する
    成膜方法。
  16. 請求項15に記載の成膜方法であって、
    前記空洞管と前記膜との間に、絶縁膜を形成する
    成膜方法。
  17. 第1内径を有する第1管部と、前記第1内径よりも大きい第2内径を有する第2管部とが交互に直列状に連結された空洞管であって、ニオブまたは銅で構成された前記空洞管を準備し、
    前記空洞管内にスパッタリングターゲットを挿入して、前記空洞管の中心軸方向における前記スパッタリングターゲットの位置を決定し、
    前記中心軸方向と直交する方向における前記空洞管と前記スパッタリングターゲットとの間の距離に応じて、前記スパッタリングターゲットに投入する放電電力または前記空洞管内に導入する放電ガスの圧力を調整して、前記空洞管の内壁に、ニオブ、窒化ニオブ、ニオブ錫、及びホウ化マグネシウムの少なくともいずれかを有する膜を形成する
    高周波加速空洞管の製造方法。
  18. 請求項17に記載の高周波加速空洞管の製造方法であって、
    前記空洞管と前記膜との間に、絶縁膜を形成する
    高周波加速空洞管の製造方法。
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