JP2020071327A - 光学系、それを備えるアクセサリ装置及び撮像装置 - Google Patents

光学系、それを備えるアクセサリ装置及び撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 複数のフィルタにより反射された迷光によるゴーストの発生を抑制することができる光学系、それを備えるアクセサリ装置及び撮像装置を提供すること。【解決手段】 夫々が物体の像を形成する複数のレンズ部LAと、複数のレンズ部LAの光軸上に配置される複数のフィルタFAとを有する第1の光学部よりも物体側に配置され、第1の光学部に対して共通の光学面を有する第2の光学部CLを備える光学系であって、光学面の法線と第2の光学部CLの光軸との成す角度θ1を適切に設定する。【選択図】 図1

Description

本発明は、夫々が物体の像を形成する複数のレンズ部を備える光学系に関し、例えばデジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置に好適なものである。
撮像装置に用いられる光学系として、複数のレンズによって同一の物体(被写体)の複数の像を形成するものが知られている。このような光学系において、複数のレンズの光軸上に互いに異なる透過特性を有する複数のフィルタを設けることで、互いに異なる複数の画像情報を一回の撮像で同時に取得することが可能になる。
特許文献1には、各フィルタよりも像側に配置され、各レンズの有効領域以外に入射する光を遮光する遮光板を有する光学系が記載されている。
特許第5910739号公報
しかしながら、特許文献1に記載の遮光板では、一部のフィルタにより反射され、さらに各フィルタよりも物体側に配置された光学面で反射された迷光を遮光することができない。このような迷光が他のフィルタを介して撮像素子に入射すると、取得される画像情報にゴーストが生じてしまう。
本発明は、複数のフィルタにより反射された迷光によるゴーストの発生を抑制することができる光学系、それを備えるアクセサリ装置及び撮像装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明の一側面としての光学系は、夫々が物体の像を形成する複数のレンズ部と該複数のレンズ部の光軸上に配置される複数のフィルタとを有する第1の光学部よりも物体側に配置され、前記第1の光学部に対して共通の光学面を有する第2の光学部を備える光学系であって、前記複数のフィルタのうちの第1のフィルタにおける第1の点に対して前記第2の光学部の光軸とは反対側から入射する前記物体からの光線と前記光軸との成す角度をω1[deg]、前記第1の点で反射した前記光線が入射する第2の点における前記光学面の法線と前記光軸との成す角度をθ1[deg]、前記第1のフィルタから前記第2の点までの光軸方向における距離をD1[mm]、前記第1の点から前記光軸までの距離をh11[mm]、前記第1のフィルタの前記光軸の側に隣接する第2のフィルタにおける前記第1のフィルタと対向する端部から前記光軸までの距離をh12[mm]、Δh1=h11−h12とするとき、以下の条件式を満足することを特徴とする。
Figure 2020071327
本発明によれば、複数のフィルタにより反射された迷光によるゴーストの発生を抑制することができる光学系、それを備えるアクセサリ装置及び撮像装置を提供することができる。
実施形態に係る撮像システムの要部概略図。 フィルタにより反射された迷光の光路を説明するための図。 実施形態に係る光学系の第1の模式図。 フィルタにおける光線の入射点の位置と迷光の関係を示す図。 実施形態に係る光学系の第2の模式図。 実施形態に係る光学系の第3の模式図。 実施形態に係る光学系の第4の模式図。 実施例1に係る光学系の要部概略図。 実施例2に係る光学系の要部概略図。 実施例3に係る光学系の要部概略図。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面は、便宜的に実際とは異なる縮尺で描かれている場合がある。また、各図面において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る撮像システム100の要部概略図(模式図)である。図1(a)は、後述する複数のレンズ部のうちの一部の光軸を含む断面(YZ断面)を示している。ここでの光軸とは、各レンズ部における各光学面(各レンズ面)の中心(頂点)を通る軸を指す。図1(a)においては、各レンズ部の軸上像高に集光される軸上光束のマージナル光線を示している。また、図1(b)は、後述するフィルタアレイFAを物体側(−Z側)から見たときの正面図である。なお、撮像対象となる不図示の物体は、撮像システム100の物体側に配置されているものとする。
撮像システム100は、像側(+Z側)から順に配置された、撮像装置(カメラユニット)10、光学装置(アレイユニット)20、アダプタ装置(アダプタユニット)30、及びレンズ装置(レンズユニット)40を有する。
撮像装置10は、光学装置20の像面に配置される撮像面(受光面)を含む撮像素子(受光素子)11と、撮像素子11を保持する保持部材(筐体)1を備える。撮像素子11としては、CCDセンサやCMOSセンサなどの光電変換素子を採用することができる。また、撮像素子11は、可視光に限らず赤外光(近赤外光や遠赤外線光)などを光電変換できるように構成されていてもよい。例えば、使用波長帯域に応じて、Si、InGaAs、InAsSbなどの材料を用いた撮像素子を採用してもよい。また、撮像素子11の画素数は、撮像システム100において求められる分解能に基づいて決定することが望ましい。
光学装置20は、光学系と、該光学系を保持する保持部材(鏡筒)2を備える。本実施形態に係る光学系は、夫々が物体の像を形成する複数のレンズ部を有するレンズアレイLAと、各レンズ部の光軸上に配置される複数のフィルタを有するフィルタアレイFAを備える。図1(b)に示すように、フィルタアレイFAにおける複数のフィルタは、アダプタ装置30及びレンズ装置40の光軸(主光軸)AX0に垂直なX方向及びY方向に配列された複数のフィルタを含んでいる。
本実施形態に係る複数のレンズ部の夫々は、1枚以上のレンズで構成されており、夫々が物体を撮像素子11の撮像面に結像する。言い換えると、レンズアレイLAの像面には、複数のレンズ部によって物体の複数の像(像アレイ)が形成される。すなわち、レンズアレイLAによれば、同一の物体の像を複製することができる。なお、複数のレンズ部は、製造や配置を容易にするために一体的に形成されていてもよく、あるいは個別の位置調整(フォーカス調整など)を可能にするために別体で形成されていてもよい。
本実施形態に係る複数のフィルタ(光学フィルタ)は、互いに異なる透過特性を有する複数のフィルタを含んでいる。ここでの透過特性とは、透過させる光の波長帯域(透過波長域)、透過させる偏光の方向や種類(偏光状態)、入射光の強度に対する透過光の強度(透過率)などを含む、入射光の状態を変化させる光学特性のことである。すなわち、フィルタアレイFAは、互いに種類が異なる複数の偏光フィルタや、互いに透過率が異なる複数のフィルタなどを含んでいてもよい。フィルタアレイFAを互いに異なる透過特性を有する複数のフィルタで構成することにより、同一の物体に対して互いに異なる複数の画像情報を同時に取得することが可能になる。
具体的に、互いに透過波長域の中心波長が異なる複数のフィルタ(バンドパスフィルタ)を用いることで、複数の波長帯域に対応する複数の画像情報を同時に取得することができる。このとき、撮像システム100を、一般的なカメラの波長帯域(RGB)よりも多い4種類以上の波長帯域に対応する画像情報を取得することができるマルチスペクトルカメラとして構成することが望ましい。さらに、撮像システム100を、100種類以上の波長帯域に対応する画像情報を取得することができるハイパースペクトルカメラとして構成することがより好ましい。なお、バンドパスフィルタの代わりに、入射光の波長を変換して射出する波長変換フィルタを用いてもよい。
あるいは、互いに種類が異なる複数の偏光フィルタを用いることで、複数の偏光状態に対応する複数の画像情報を同時に取得することができる。例えば、X方向(水平方向)、Y方向(垂直方向)、X方向及びY方向に対して45°の方向、の夫々に平行な方向の直線偏光を透過させる三つの直線偏光フィルタと、円偏光を透過させる円偏光フィルタを用いる場合が考えられる。このように、入射光の偏光状態を変化させる複数の種類の偏光フィルタを用いることで、物体の偏光特性(ストークスパラメータ)や、物体の偏光状態の2次元分布などの偏光情報を取得することができる。
また、透過特性の種類が異なる複数のフィルタでフィルタアレイFAを構成することで、波長情報、偏光情報、輝度情報、視差情報などの異なる種類の情報を同時に取得できるようになる。このとき、互いに異なる種類の複数のフィルタの夫々を、互いに異なるレンズ部の光軸上に配置した構成に限らず、同一の光軸上に配置した構成を採ってもよい。後者の場合、取得した画像情報を不図示の画像処理部によってフィルタリングすることで、異なる種類の画像情報に分離することができる。
また、一般的に可視波長帯域で使用されるシリコン材料で構成される撮像素子11は、短波長帯域(450nm以下)及び長波長帯域(750nm以上)よりも中心波長帯域(550nm近傍)に対する感度の方が高いという感度特性を有している。よって、これらの各波長帯域に対応する複数のバンドパスフィルタを用いる場合、中心波長帯域に対応するバンドパスフィルタが配置されている光軸上に減光フィルタを配置することが好ましい。このとき、偏光フィルタを減光フィルタとして用いることで、各画像情報の輝度のバランスを補正することだけでなく、波長情報及び偏光情報を同時に取得することが可能になる。
なお、フィルタアレイFAは、少なくとも透過波長域の中心波長が互いに異なる二つのフィルタを含んでいればよい。言い換えると、フィルタアレイFAは、透過特性が互いに同一である複数のフィルタを含んでいてもよい。例えば、撮像システム100を測距装置(ステレオカメラ)として用いる場合、視差が互いに異なる二つの画像情報を用いて物体の距離情報を取得するため、各画像情報に対応する二つのフィルタの透過特性を略同等とすることが望ましい。ただし、互いに異なる複数の画像情報を一回の撮像でより多く取得するためには、複数フィルタの全ての透過特性を互いに異ならせることが望ましい。
本実施形態に係るフィルタアレイFAは、図1(b)に示したように、X方向及びY方向に配列された9個のフィルタF11〜F33を備えている。また、レンズアレイLAは、9個のフィルタに対応する9個のレンズ部を備えている。すなわち、同一の光軸上に配置されたレンズ部及びフィルタをまとめて一つの結像部であるとすると、光学装置20は9個の結像部を備えていることになる。複数の結像部をまとめて結像部アレイ(第1の光学部)とも呼ぶ。
なお、結像部の数はこれに限られるものではなく、光学装置20は少なくとも第1の方向に配列された三つの結像部を備えていればよい。ただし、一回の撮像でより多くの透過特性に対応する画像情報を取得するためには、結像部を四つ以上設けることが望ましく、本実施形態のように結像部を九つ以上設けることがより好ましい。物体からの光は、レンズアレイLA及びフィルタアレイFAを順に介して撮像素子11の撮像面に到達する。このとき、撮像面には、各結像部に応じた9個の像(複製像)が形成される。
なお、撮像装置10の小型化のためには、本実施形態に係る撮像素子11のように、各レンズ部に対して共通の(単一の)撮像素子を設けることが望ましい。また、各レンズ部に対して共通の撮像素子を用いることで、光学装置20の交換によってレンズ部の数や配置が変化した場合にも、良好な画像情報を取得することができる。このとき、撮像素子11の利用効率を向上させるためには、撮像素子11を構成する複数の画素(フォトダイオード)をできるだけ隙間なく均一に配置することが望ましい。
ただし、必要に応じて、各レンズ部に対して個別に撮像素子を設けてもよい。この場合、装置全体の小型化のためには、各撮像素子をできるだけ隙間なく均一に配置することが望ましい。また、光学装置20の小型化のためには、撮像素子11の撮像面の形状に合わせて各レンズ部を配置することが望ましい。具体的には、XY断面において各レンズ部を正方配置することが望ましい。なお、撮像素子11の撮像面が正方形でない場合は、各レンズ部の配置のアスペクト比などを変更してもよい。
レンズアレイLA及びフィルタアレイFAの光軸方向における配置の順番は、図1(a)に示したものに限られない。例えば、干渉型のバンドパスフィルタを用いる場合は、その角度特性(角度依存性)を鑑みて、各フィルタに対する光の入射角が小さくなるように、フィルタアレイFAをレンズアレイLAよりも物体側に配置することが好ましい。ただし、レンズアレイLAにおける各レンズ部が十分なテレセントリック性を有している場合は、フィルタアレイFAがレンズアレイLAよりも像側(+Z側)に配置されていたとしても、各フィルタに対する光の入射角を小さくすることができる。
また、フィルタアレイFAがレンズアレイLAよりも物体側に配置されている場合、レンズアレイLAに入射する軸外光線の欠け(ヴィネッティング)が発生してしまう可能性がある。よって、例えば吸収型のバンドパスフィルタなどの角度依存性が小さいフィルタを用いる場合や、フィルタの角度依存性よりも光利用効率を優先する場合には、フィルタアレイFAをレンズアレイLAよりも像側に配置することが好ましい。
本実施形態においては、レンズアレイLA及びフィルタアレイFAを保持部材2によって一体的に保持することで、夫々の相対位置のずれを抑制している。また、保持部材2は、撮像装置10と結合するための第1のマウント部21を有している。これにより、光学装置20をアクセサリ装置として、第1のマウント部21を介して撮像装置10に着脱可能とすることができる。すなわち、撮像装置10に対して、レンズアレイLA及びフィルタアレイFAを一体的に保持しつつ同時に交換することが可能になる。
この構成によれば、レンズアレイLA及びフィルタアレイFAの相対位置のずれを抑制しつつ、取得する画像情報の種類や解像度を変更することができる。具体的には、フィルタアレイFAを透過特性が異なるものに交換する際に、同時にレンズアレイLAを各フィルタアレイに対応する(最適化された)ものに交換することができる。これにより、各レンズの収差やピントの変化を抑制することができる。また、レンズアレイLAをレンズ部の数が異なるものに交換することで、撮像システム100の解像度を変更することができる。この場合にも、同時にフィルタアレイFAを各レンズアレイに対応するものに交換することができる。
このように、本実施形態に係る撮像システム100によれば、取得したい画像情報に応じて光学装置20を交換することができる。特に、レンズアレイLAが交換可能であるため、レンズ部の数を増減させることで、画像情報の種類(バンド数など)や解像度を増減させることができる。そして、レンズアレイLA及びフィルタアレイFAを一体的に交換可能であるため、交換時の光学性能の変化を抑制することができる。これにより、光学装置20の構成によらず、共通の撮像装置10によって複数の良好な画像情報を同時に取得することが可能になる。
第1のマウント部21の形状は、撮像装置10に設けられたマウント部13に対応する形状とすればよい。例えば、光軸方向(Z方向)から見たときに撮像面を囲む円周上に設けられた結合部(凸部や凹部、磁石など)を第1のマウント部21として採用することができる。図1(a)においては、第1のマウント部21を凹部として示し、撮像装置10のマウント部13を凸部として示しているが、各マウント部の形状はこれに限られるものではない。また、第1のマウント部21に、撮像装置10と電気的に接続するための電気接点(端子)を設けることが好ましい。これにより、光学装置20は電気接点を介して撮像装置10と通信を行ったり撮像装置10から電力を受給したりすることが可能になる。
なお、図1(a)に示すように、保持部材2は、像側に設けられる第1のマウント部21だけでなく、物体側に設けられる第2のマウント部22を有していてもよい。これにより、光学装置20に対してレンズ装置40やアダプタ装置30などのアクセサリ装置を着脱可能とすることができる。図1(a)においては、第2のマウント部22を凸部として示しているが、第2のマウント部22の形状はこれに限られず、装着されるアクセサリ装置におけるマウント部の形状に応じて設定すればよい。なお、第2のマウント部22についても、アクセサリ装置に対して通信や電力の受供給を行うための電気接点を設けることが好ましい。
なお、光学装置20を撮像装置10に装着する際に、夫々のマウント部の製造の精度によっては取り付け誤差が生じ、レンズアレイLA及びフィルタアレイFAと撮像素子11との位置関係に誤差が生じる可能性がある。このような誤差が生じた場合、撮像素子11の撮像面に対するレンズアレイLAのピントずれ(デフォーカス)が生じてしまう。そこで、レンズアレイLAを光軸方向に移動するための移動機構を設け、レンズアレイLAのピントを調整できるように構成することが望ましい。
あるいは、レンズアレイLAの代わりに撮像素子11を光軸方向に移動するための移動機構を設け、撮像素子11の移動によるピント調整(センサフォーカス)ができるように構成してもよい。なお、光学装置20の取り付け誤差によりレンズアレイLAの像面が撮像面に対して傾き、像面湾曲やレンズ部ごとに異なるピントずれが生じてしまう可能性がある。よって、撮像素子11の光軸に対する傾き(チルト角)を変更することができるように構成することが好ましい。さらに、撮像素子11を光軸に垂直な方向の成分を含む方向に移動させることで、像ブレ補正(手振れ補正)を行うことができるようにしてもよい。
レンズアレイLAにおける各レンズ部の全てに、同一形状のレンズ面を含ませることが望ましい。これにより、各レンズ部の製造が容易になり、レンズアレイLAのコストを削減することができる。このとき、各レンズ部の形状を互いに同一にすることがより好ましいが、必要に応じて各レンズ部の形状を互いに異ならせてもよい。また、各レンズ部を光軸上に配置された複数のレンズで構成することで、色収差をより良好に補正することができるようにしてもよい。なお、各フィルタの透過波長域の差(撮像システム100の使用波長帯域)が大きく、色収差の補正が難しい場合は、各レンズを個別に移動させることで夫々の結像位置(軸上色収差)を調整してもよい。
本実施形態に係るレンズ装置40は、光学装置20の各結像部に対して共通である1枚以上のレンズを有する光学系OLと、光学系OLを保持する保持部材(鏡筒)4を備えている。レンズ装置40は、撮像システム100の画角(撮像画角)を変換する役割を果たしている。すなわち、レンズ装置40を光学系OLの構成が異なるものに交換することで、様々な画角に対応する画像情報を取得することができる。なお、レンズ装置40を用いずに、レンズアレイLAにおける各レンズ部を複数のレンズ群で構成し、隣接するレンズ群の間隔を変更可能とすることで、撮像システム100の画角を変更することも可能である。しかし、その場合はレンズアレイLAの製造及び制御の難易度が高くなり、かつ光学装置20の構成が複雑化及び大型化してしまう。
よって、光学装置20の簡素化及び小型化のためには、本実施形態のようにレンズ装置40の交換によって撮像システム100の画角を変更できるように構成すること望ましい。なお、レンズ装置40における光学系OLを構成する少なくとも1枚のレンズを移動可能とすることで、ピント調整(フォーカシング)を行うようにしてもよい。また、光学系OLを複数のレンズ群で構成して隣接するレンズ群の間隔を変更し、撮像システム100の焦点距離を変更することで、画角や結像倍率を調整できるようにしてもよい。
本実施形態に係るアダプタ装置30は、光を拡散させる拡散素子DFと、光学装置20の各結像部(第1の光学部)に対して共通である1枚以上のレンズを有する光学系(第2の光学部)CLと、拡散素子DF及び光学系CLを保持する保持部材3を備えている。拡散素子DFは、レンズ装置40により形成される中間像面(一次結像面)の位置に配置されており、スクリーンとしての役割を果たしている。拡散素子DFとしては、拡散面(粗面)を有する拡散部材(拡散板)や、複数の微細なレンズで構成されるマイクロレンズアレイなどを採用することができる。光学系CLは、拡散素子DFからの光を平行光に変換して光学装置20に導光するコリメータ光学系としての機能を有する。ただし、ここでの平行光とは、厳密な平行光に限らず、略平行光(弱発散光や弱収束光)を含むものとする。
上述したように、干渉型のバンドパスフィルタの透過波長には角度依存性が存在しており、一般的には長波長側に行くほど透過波長域の中心波長の変動が大きくなる。また、バンドパスフィルタが主光軸AX0から離れた位置に配置されている場合、そのバンドパスフィルタに入射する光の角度が大きくなりやすいため、透過波長域の中心波長の変動角度が大きくなる可能性がある。そこで、アダプタ装置30によってフィルタアレイFAに入射する光を平行光とすることで、各フィルタに対する光の入射角が位置によらず略等しくなるため、各フィルタの配置による角度依存性の変化を抑制することができる。
レンズ装置40における保持部材4及びアダプタ装置30における保持部材3は、互いに結合するためのマウント部41及びマウント部31を有している。これにより、アダプタ装置30を介してレンズ装置40を光学装置20に着脱可能とすることができる。また、アダプタ装置30における保持部材3は、光学装置20の第2のマウント部22と結合するためのマウント部33を有している。これにより、各マウント部を介してアダプタ装置30を光学装置20に着脱可能とすることができる。このとき、レンズ装置40が撮像装置10及び光学装置20に直接着脱することができない場合であっても、アダプタ装置30を介することで間接的に着脱することが可能になる。
ただし、光学装置20の第1のマウント部21とレンズ装置40のマウント部41とを同じ形状とし、撮像装置10のマウント部13とアダプタ装置30のマウント部31とを同じ形状とすることが望ましい。言い換えると、撮像装置10に対して着脱可能なレンズ装置40が、アダプタ装置30にも着脱可能である構成とすることが望ましい。これにより、一般的なカメラとしての撮像装置10及び一般的な交換レンズとしてのレンズ装置40を用いて、複数の画像情報を一回の撮像で同時に取得できる撮像システムを構成することが可能になる。
また、本実施形態に係る撮像システム100は、アダプタ装置30を用いることで光学装置20に平行光が入射する構成を採っている。これにより、本実施形態に係る光学装置20を物体の中間像を形成しないレンズ装置に対しても適用することが可能になる。よって、光学装置20、アダプタ装置30、及びレンズ装置40の夫々の互換性を確保するために、各装置のマウント部の形状は、夫々の光学系の構成にかかわらず同一の形状とすることが望ましい。
なお、本実施形態のレンズ装置40のように物体の中間像を形成するレンズ装置を用いる場合は、その中間像面の位置に視野絞りを配置することが望ましい。これにより、撮像素子11の撮像面に形成される各像の境界の形状やサイズを適切に設定することができる。例えば、各結像部からの光が撮像面において互いに干渉する場合は、視野絞りに設けられる開口のサイズ(開口径)を小さくすればよい。このとき、撮像素子11の利用効率を向上させるためには、視野絞りの開口の形状を、撮像面を等分割することができる矩形などの形状とすることが望ましい。
また、撮像面における各像の境界は、視野絞りを中間像面の位置に近づける程明確になるため、本実施形態のように中間像面の位置に拡散素子DFを配置する場合は、視野絞りを拡散素子DFに密着するように配置することが好ましい。このとき、拡散素子DFが厚みを持つ場合は、拡散素子DFの内部での散乱の影響を低減するために、視野絞りを拡散素子DFの像側に配置することがより好ましい。本実施形態においては、拡散素子DFの中央部(矩形部)以外に遮光部材(遮光塗料)を設けることで、拡散素子DFに視野絞りとしての機能を持たせることができる。あるいは、視野絞りを構成する遮光部材に設けられる開口部に拡散素子DFを配置することで、視野絞りと拡散素子DFとを一体的に構成してもよい。
中間像面の位置に拡散素子DFを配置した場合、レンズ装置40からの光は拡散素子DFによって拡散されるため、レンズ装置40からの光の入射角に関する情報が失われ、各像における視差の発生を抑制することができる。ただし、本実施形態に係る撮像システム100を測距装置として用いる場合、各像の視差を用いて物体までの距離に関する情報を取得するため、レンズ装置40からの光の入射角に関する情報を残しておく必要がある。その場合は、視野絞りの直前に拡散素子DFの代わりにフィールドレンズとしての正レンズを配置することで、入射角に関する情報を残しつつ本実施形態と同様の機能を実現することができる。
なお、本実施形態に係る撮像システム100においては、各装置(各光学系)及び撮像装置10を互いに着脱可能としているが、夫々を一体化することで互いの取り付け誤差の発生を抑制してもよい。例えば、光学装置20とレンズ装置40とを一体的に構成することで、撮像装置10に対して着脱可能な一つのレンズ装置(アクセサリ装置)としてもよい。あるいは、光学装置20とアダプタ装置30とを一体的に構成することで、撮像装置10及びレンズ装置40に対して着脱可能な一つのアダプタ装置(アクセサリ装置)としてもよい。
次に、撮像システム100における処理系について説明する。上述したように、撮像素子11から出力される画像情報の特性は、撮像装置10に装着される光学装置20の構成によって変化する。よって、撮像装置10にどのような光学装置20が装着されたとしても、画像情報を適切に処理するためのシステムを実現することが望ましい。具体的に、光学装置20は、撮像装置10に対して情報を送受信するための通信部や、撮像装置10との接続を認識するための認識部を備えていることが好ましい。
図1(a)では、撮像装置10が処理部12を有し、光学装置20が処理部23を有する場合を示している。処理部12は、少なくとも通信部及び認識部としての機能を備えている。処理部23は、少なくとも通信部(記憶部)としての機能を備えている。処理部12及び処理部23は、撮像装置10に光学装置20が装着された際に互いに電気的に接続され、相互に情報(信号)を送受信することができる。処理部12及び処理部23は、撮像装置10及び光学装置20の夫々のマウント部に設けられた電気接点を介して情報を送受信することができる。ただし、各マウント部に電気接点が設けられていない場合などは、例えば光通信などの無線通信を行ってもよい。
処理部23は光学装置20に関する固有情報を記憶しており、処理部12はその固有情報を受信することによって光学装置20が撮像装置10に装着されたことを認識する。光学装置20の固有情報は、例えばレンズアレイLA及びフィルタアレイFAの夫々に関する識別番号などの識別子(ID)又はレンズアレイLA及びフィルタアレイFAの組み合わせに関する識別子である。処理部23は、受信した固有情報に基づいて、光学装置20の種別や個体を認識することができる。
本実施形態に係る撮像システム100においては、撮像装置10が電源を有しており、光学装置20は電源を有していないため、撮像装置10における処理部12によって光学装置20の装着を認識することが望ましい。この場合、処理部23は、固有情報を記憶する記憶部(通信部)としての機能だけを有することになる。ただし、処理部12及び処理部23が無線通信を行う場合は、撮像装置10及び光学装置20の夫々に電源を設け、夫々が個別に認識を行う構成を採ってもよい。
処理部12は、画像処理部(プロセッサ)としての機能も備えており、受信した固有情報に応じて、撮像素子11から出力される画像情報を処理する。このとき、予め光学装置20におけるレンズアレイLAの情報(レンズ部の数や配置など)やフィルタアレイFAの情報(フィルタの透過特性や配置など)と固有情報を紐づけて、データテーブルとして処理部12又は外部装置に記録しておくことが望ましい。これにより、処理部12は、受信した固有情報をデータテーブルに照らし合わせることで、どのような構成(特性)の光学装置20が装着されたのかを認識することができる。
なお、必要に応じて、上述したようなレンズアレイLAやフィルタアレイFAの情報そのものを固有情報として処理部23に記録しておき、処理部12が処理部23からその情報を取得するように構成してもよい。ただし、光学装置20の簡素化及び小型化のためには、処理部23に記録しておく情報は、上述したように光学装置20の種別や個体を弁別するための識別番号などの最小限のものとすることが望ましい。
例えば、フィルタアレイFAがバンドパスフィルタで構成されている場合、処理部12はレンズアレイLA及びフィルタアレイFAの情報に基づいて、撮像素子11から出力される一つの画像情報を適切に分割及び再配列する。これにより、バンドパスフィルタに対応する波長帯域ごとの複数の画像情報(マルチスペクトル画像)を生成することができる。このとき、必要に応じて、複数の画像情報を重ね合わせる(再合成する)ことで、1枚のマルチスペクトル画像を生成してもよい。
なお、撮像素子11から出力される画像情報を外部装置に送信することで、処理部12ではなく外部装置によって上述したような画像処理を行うように構成してもよい。この場合、光学装置20の情報と画像情報との対応関係をわかりやすくするために、処理部23が記憶している情報を画像情報に付加してから外部装置に送信することが好ましい。あるいは、処理部23を外部装置として撮像装置10の外部に設けてもよい。
また、レンズ装置40は、光学装置20における処理部23と同様の処理部42を備えていることが望ましい。処理部42は、レンズ装置40に関する固有情報を記憶しており、その固有情報を光学装置20における処理部23を介して、又は直接撮像装置10における処理部12に送信することができる。処理部12は、レンズ装置40の固有情報に基づいて、レンズ装置40の種別や個体を認識することができる。処理部12は、レンズ装置40の固有情報及び光学装置20の少なくとも一方の固有情報に応じて、撮像素子11から出力される画像情報を処理することができる。
また、アダプタ装置30は、光学装置20における処理部23と同様の処理部34を備えていることが望ましい。処理部34は、アダプタ装置30に関する固有情報を記憶しており、その固有情報を光学装置20における処理部23を介して、又は直接撮像装置10における処理部12に送信することができる。処理部12は、アダプタ装置30の固有情報に基づいて、レンズ装置40の種別や個体を認識することができる。また、処理部12は、レンズ装置40、アダプタ装置30、及び光学装置20の少なくとも一つの固有情報に応じて、撮像素子11から出力される画像情報を処理することができる。このとき、レンズ装置40の固有情報を用いて、レンズ装置40で生じる収差による画像情報への影響を補正してもよい。
次に、フィルタアレイFAにより反射された迷光について説明する。図2は、不図示のレンズ装置の像面IP1(中間像面IM1)からの光線が光学系CL、フィルタアレイFA、及びレンズアレイLAを介して最終結像面である像面IP2に入射する様子を示す模式図である。なお、光学系CLよりも物体側にレンズ装置が配置されない場合、中間像面IM1の位置に被写体が配置され、像面IP1は物体面になる。以下では、中間像面IM1から出射する光線のうち光線ILに着目する。
中間像面IM1から出射した光線ILは、光学系CLを介してフィルタアレイFAのうちのフィルタF1における点P11に入射する。このとき、光線ILの一部は、点P11で反射して光学系CLの光学面における点P12に戻ってしまう。特に、フィルタF1が干渉型のバンドパスフィルタである場合、フィルタF1の透過波長域以外の光線(像IA1の結像に寄与しない光線)の略全ては、フィルタF1で反射してしまう。図2では、光線ILのうち結像に寄与する有効光線(結像光線)を実線で示し、点P11で反射した迷光を破線で示している。
点P12に入射した迷光のうち、多くは光学系CLを介して物体側へ向かうが、一部は点P12で再度反射してフィルタアレイFAに再入射してしまう。図2では、点P12で反射した迷光がフィルタF1に隣接するフィルタF2に入射する場合を示している。フィルタF2に入射する迷光のうちフィルタF2の透過波長域の光線は、像面IP2に到達し、有効光線により形成される像IA2に重畳してしまう。この場合、取得される画像情報において、迷光が像IA2の上に重なったゴーストとして現れしまい、画像情報の画質の劣化を引き起こす可能性が生じる。あるいは、画像情報を用いて分光情報を取得する場合、像IA2に不要な輝度が加算されてしまい、良好な分光情報が得られなくなる(分光精度が低下する)。
そこで、本実施形態においては、光学系CL及びフィルタアレイFAを適切に配置することにより、フィルタアレイFAにより反射された迷光によるゴーストの発生を抑制している。以下、本実施形態に係る光学系CL及びフィルタアレイFAの具体的な配置について詳細に説明する。
図3は、光学系CLにおける光学面CLR2及びフィルタアレイFAの一部を拡大して示した模式図である。図3では、物体側からの光線のうち、フィルタF1(第1のフィルタ)における点P11(第1の点)に対して主光軸AX0とは反対側(上側)から入射する光線IL1の光路を示している。フィルタF1〜F4と同一の平面内において、隣接するフィルタの間には、光を遮光する遮光壁(第1の遮光部材)ABが配置されている。
点P11に入射した光線IL1のうちフィルタF1の透過波長域以外の光線は、点P11で反射して光学面CLR2における点P12(第2の点)に入射する。ここで、点P11に入射する光線IL1と主光軸AX0との成す角度(フィルタF1に対する光線IL1の入射角)をω1[deg]とするとき、反射の法則よりフィルタF1に対する光線IL1の反射角もω1[deg]となる。
点P12に入射した光線IL1の一部は、反射してフィルタアレイFAにおける点P13に入射する。点P12における光線IL1の反射角は、点P12における光学面CLR2の法線と主光軸AX0との成す角度(点P12の法線角)θ1[deg]によって決まる。例えば、法線角θ1が0[deg]である場合、点P12における光学面CLR2の法線と主光軸AX0(フィルタアレイFAの面法線)とは平行になるので、点P12における光線IL1の反射角はω1[deg]である。
一方、法線角θ1が0[deg]よりも大きい場合、すなわち点P12における光学面CLR2の法線が主光軸AX0に対して傾いた場合は、反射の法則より、点P12における光線IL1の反射角がω1に対して法線角θ1の2倍の角度だけ変化する。よって、点P12で反射した光線IL1と主光軸AX0との成す角度はω1−2×θ1となる。
画像情報におけるゴーストの発生を抑制するためには、フィルタF1の点P11で反射した光線IL1(迷光)が他のフィルタに入射しないようにすればよい。すなわち、点P12で反射した光線IL1が入射する点P13が、フィルタF1以外のフィルタの有効領域外に位置していればよい。ただし、ここでの有効領域とは、各フィルタにおける物体の結像に寄与する有効光線が通過する領域(フィルタアレイFAの開口部)のことである。本実施形態においては、特に断りがない限り、「フィルタ」は「フィルタの有効領域」を指すものとする。
そこで、本実施形態では、点P13がフィルタF1の主光軸AX0の側(下側)に隣接するフィルタF2(第2のフィルタ)よりも主光軸AX0とは反対側(上側)に位置するように、光学系CL及びフィルタアレイFAを配置している。図3に示すように、フィルタF1とフィルタF2との間には遮光壁ABが配置されているため、点P12で反射した光線IL1が像面IP2に到達することを抑制することができる。なお、遮光壁ABの代わりに、フィルタアレイFAよりも物体側又は像側に遮光部材を配置してもよい。ただし、フィルタアレイFAに隣接するレンズアレイLAでの迷光の反射を抑制するため、及び各フィルタ及び遮光壁ABとの相対位置を良好に保つためには、遮光壁ABを各フィルタの間に配置することが望ましい。
次に、点P13がフィルタF2よりも主光軸AX0とは反対側に位置するための条件について説明する。ここで、フィルタF1から点P12までの光軸方向における距離をD1[mm]、点P11から主光軸AX0までの距離をh11[mm]、フィルタF2におけるフィルタF1と対向する端部から主光軸AX0までの距離をh12[mm]とする。このとき、幾何条件より、以下の条件式(A1)を満足すればよい。
h11−D1×{tanω1+tan(ω1−2×θ1)}>h12 ・・・(A1)
条件式(A1)の左辺が、主光軸AX0に対する点P13の高さを表している。条件式(A1)を変形すると、以下の条件式(A2)が得られる。
h11−h12>D1×{tanω1+tan(ω1−2×θ1)} ・・・(A2)
さらに、Δh1=h11−h12とし、条件式(A2)を法線角θ1について解くと、以下の条件式(1)が導かれる。
Figure 2020071327
本実施形態では、上記条件式(1)を満足するように光学面CLR2の点P12における法線角θ1を設定することで、フィルタF1からの迷光が他のフィルタに入射することを抑制している。
なお、光学面CLR2の形状(サイズや曲率半径)は任意であり、光学面CLR2を球面としても非球面(自由曲面)としてもよい。ただし、光学面CLR2が著しく小さい曲率半径を有する球面である場合、光学面CLR2の主光軸AX0から離れた位置を通過する光線の光路は近軸的な光路からずれるため、高次の収差が生じ易くなってしまう。光学面CLR2の曲率半径が小さいということは、法線角θ1が大きいということを意味する。また、光学面CLR2が非球面である場合にも、点P12における曲率半径(局所曲率半径)が小さ過ぎると同様の問題が生じる。
したがって、収差補正を容易にするためには、法線角θ1をある程度小さくすることが望ましい。具体的には、以下の条件式(1a)を満足することが望ましい。
Figure 2020071327
さらに、以下の条件式(1b)〜(1d)を順に満たすことがより好ましい。
Figure 2020071327
Figure 2020071327
Figure 2020071327
なお、上述した点P11はフィルタF1における任意の点を示している。このとき、フィルタF1における全ての点について上記条件式(1)を満足することがより好ましい。ただし、画像情報の用途によっては、ある程度ゴーストの発生を許容できる場合がある。よって、フィルタF1における少なくとも一つの点について上記条件式(1)を満足すれば、本実施形態の効果を得ることができる。
次に、図4を用いて、点P11の位置と迷光の幅(光束幅)との関係について説明する。図4は、上記条件式(1)に基づいて、フィルタF2におけるフィルタF1と対向する端部(主光軸AX0からの高さがh12の位置)に点P13が位置するように、法線角θ1を設定した場合の模式図である。言い換えると、図4は、点P11で反射した光線がフィルタF2に入射するかしないかの境界に入射する場合を示している。なお、図4では、フィルタF1に対する各光線の入射角が互いに等しい場合を示している。
図4(a)は、フィルタF1における主光軸AX0から最も離れた位置(主光軸AX0とは反対側の端部)に点P11が位置する場合を示している。図4(a)において、フィルタF1の主光軸AX0の側の端部における点P1bで反射した光線は、光学面CLR2における点P2bで反射して、フィルタF2よりも下側(遮光壁AB)の点P3bに入射している。このように、図4(a)の構成では、フィルタF1における全面(点P11から点P1b)で反射する迷光FLの大部分がフィルタF2に入射してしまう。
この場合、迷光の画像情報への影響を低減するためには、フィルタF2の面積よりも遮光壁ABの面積を十分に大きくすることが望ましい。なお、各フィルタの面積は、各フィルタの有効径(主光軸AX0に垂直な方向)と言い換えることができる。また、迷光FLの幅はフィルタF1の面積によって決まるので、フィルタF2の有効径をフィルタF1の有効径よりも小さくすることが望ましい。例えば、フィルタF1の有効径に対するフィルタF2の有効径の比率を75%とすれば、迷光FLのうちの25%はフィルタF2に入射せずに遮光壁ABによって遮光されることになる。
図4(b)は、主光軸AX0に垂直な方向におけるフィルタF1の中央に点P11が位置する場合を示している。すなわち、図4(b)で示すフィルタF1における点P11よりも上側に入射する光線は、フィルタF2に入射しないためゴーストを生じさせる迷光にはならない。図4(b)において、フィルタF1における点P1bに入射した光線は、フィルタF2の中程に位置する点P3bに入射している。
このとき、フィルタF1の全面に入射する光線(入射光線)に対する迷光FLの比率は、フィルタF1の有効径に対する点P11から点P1bまでの距離の比率で表すことができる。よって、入射光線に対してどのくらい迷光FLを減らしたいのかに応じて、点P11の位置を設定すればよい。図4(b)の構成の場合、フィルタF1の中央に点P11が位置するため、フィルタF1の有効径に対する点P11から点P1bまでの距離の比率は50%であるため、入射光線に対して迷光FLを半減させることができる。よって、フィルタF1における主光軸AX0から最も遠い入射点(点P11)は、フィルタF1における中央から主光軸AX0の側の端部(点P1b)までの範囲内に位置することが望ましい。
なお、一般的な硝材の空気との界面における反射率は数%程度であるため、フィルタF1で反射した迷光FLの強度は光学面CLR2によって減衰する。例えば、光学面CLR2の反射率が1%、入射光線に対する迷光FLの比率が10%である場合、フィルタF2に入射する際の迷光FLの強度は、光学面CLR2で反射する前の強度の1/1000(0.01×0.1)まで低減される。よって、入射光線に対する迷光FLの比率が10%以下であれば、迷光FLの画像情報への影響は十分に小さいと言える。したがって、フィルタF1の有効径に対する点P11から点P1bまでの距離の比率は、10%以下であることがより好ましい。
図4(c)は、フィルタF1の主光軸AX0の側の端部に点P11が位置する場合、すなわち点P11と点P1bが一致する場合を示している。この構成において、上記条件式(1)を満足する場合、フィルタF1で反射する迷光FLの全てがフィルタF2に入射せずに、不図示の遮光壁ABによって遮光されることになる。よって、本実施形態の効果をより多く得るためには、図4(c)のように点P11と点P1bを一致させることが好ましい。
上述したように、フィルタF1で反射する迷光FLのうちフィルタF2に入射しない光線は、遮光壁ABによって遮光することが望ましい。遮光壁ABとしては、その表面に吸光特性を有する吸光材料や吸光構造が設けられたものを用いることができる。例えば、迷光FLが赤外光を含む場合は、一般的な黒色の顔料では十分に迷光FLを吸収することができない可能性があるため、微細凹凸構造などを採用してもよい。このとき、遮光壁ABは、少なくともフィルタF1で反射された迷光FLを吸収できるように構成すればよい。
図5は、図3と同様に光学面CLR2及びフィルタアレイFAの一部を拡大して示した模式図である。
図5(a)は、図3とは異なり、法線角θ1がある程度大きく、点P13がフィルタF1の上に位置する場合を示している。点P12で反射した光線の波長は点P11で反射された光線の波長と略同じであるため、点P12からの光線の略全てが点P13で再度反射するとみなすことができる。なお、光学部材の透過波長には角度依存性が存在するため、厳密には全ての光線が反射するわけではない。
点P13で反射した光線は再び光学面CLR2に向かうが、その殆どは主光軸AX0に対して点P12よりも上側に入射する。図5(a)では、点P13で反射した光線のうち光学面CLR2における点P14に入射する光線を示している。点P14における光学面CLR2の法線角は、通常は点P12における光学面CLR2の法線角θ1よりも大きくなるため、点P14で反射した光線は主光軸AX0に対してフィルタアレイFAよりも上側に向かうことになる。
よって、各光学系を保持する保持部材の内壁に、光学面CLR2で反射した光線を遮光するための遮光面(第2の遮光部材)BSを設けることが望ましい。上述したように、迷光の波長によっては一般的な保持部材(鏡筒)では遮光できない可能性がある。そのため、遮光面BSの材料は、上述した遮光壁ABの材料と同様に、生じ得る迷光の波長に応じて選択することが望ましい。
図5(b)は、図5(a)よりも法線角θ1が大きく、点P13がフィルタアレイFAよりも上側に位置する場合を示している。この場合、点P12で反射した光線は、図5(a)における点P14で反射した光線と同様に、フィルタアレイFAよりも上側に向かうことになる。よって、図5(a)と同様に、点P12で反射した光線を遮光するための遮光面BSを設けることが望ましい。
図6は、点P12における光学面CLR2の法線角θ1が、フィルタF1に対する光線IL1の入射角ω1と一致する場合を示している。このとき、法線角θ1は、点P11から点P12に向かう光線の入射角ω1とも一致するため、点P12で反射した光線も同じ経路を遡って点P11に到達する。すなわち、図6では点P11と点P13とが一致している。点P13で反射した光線は光学面CLR2の点P14に入射し、そこで反射して遮光面BSにより遮光される。
ここで、点P12における光学面CLR2の曲率半径(局所曲率半径)をR[mm]、点P12を含む曲率半径Rの仮想球面(光学面CLR2を球面で近似したもの)からフィルタアレイFAまでの距離をd1[mm]とする。このとき、上記条件式(A1)は以下の条件式(A3)のように簡略化される。
h11>(R+d1)×tanω1 ・・・(A3)
この条件式(A3)を変形すると、以下の条件式(A4)が導出される。
R<h11/tanω1−d1 ・・・(A4)
条件式(A4)は上述した条件式(1)に内包されるものであり、条件式(A4)を満足するように光学面CLR2の曲率半径Rを設定することで、本実施形態の効果を得ることができる。なお、上記条件式(A4)は以下の条件式(2)のように変形することができる。
R/h11<1/tanω1−d1/h11 ・・・(2)
上述したように、収差補正を容易にするためには、曲率半径Rをある程度大きくすることが望ましい。よって、以下の条件式(2a)を満足することが望ましい。
0.5≦R/h11<1/tanω1−d1/h11 ・・・(2a)
さらに、以下の条件式(2b)〜(2d)を順に満たすことがより好ましい。
1.0≦R/h11<1/tanω1−d1/h11 ・・・(2b)
2.0≦R/h11<1/tanω1−d1/h11 ・・・(2c)
2.5≦R/h11<1/tanω1−d1/h11 ・・・(2d)
また、迷光をより良好に遮光するためには、フィルタF1に対する光線IL1の入射角ω1が以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
0<ω1≦45 ・・・(3)
ただし、フィルタF1の透過波長が角度依存性を有する場合、より良好な画像情報を得るためには、入射角ω1がある程度小さいことが好ましい。以下の条件式(3a)〜(3c)を順に満たすことがより好ましい。
0<ω1≦30 ・・・(3a)
0<ω1≦20 ・・・(3b)
0<ω1≦10 ・・・(3c)
なお、迷光の強度は、各光学面における反射回数が増えるに従って指数関数的に減衰する。上述したように、一般的な硝材の反射率は十分に低いため、迷光が光学面CLR2とフィルタアレイFAとの間で十分な回数の反射を繰り返した場合は、迷光の強度は画像情報への影響が無視できるほど十分に低下することになる。ここで、迷光の強度が十分に低下する場合の反射回数を最大反射回数(最大往復回数)と呼ぶことにする。
光学面CLR2又はフィルタアレイFAの反射率が低ければ低いほど最大反射回数は少なくなる。一方、高い分光精度が要求される場合など、撮像素子の検知限界近くまで迷光を減衰させる必要がある場合は、最大反射回数が多くなる。上述したように、一般的な硝材の空気との界面における反射率は数%程度であるため、通常は最大反射回数が3〜4回程度になる。
ただし、光線IL1が入射するフィルタに多くのフィルタが隣接している場合、反射を繰り返した迷光が何れかのフィルタを透過してしまう可能性が大きくなるため、できるだけ最大反射回数を少なくすることが望ましい。そのため、光学面CLR2の反射率をできるだけ小さくするために、光学面CLR2に反射防止構造を設けることが望ましい。反射防止構造としては、例えば多層膜から成る反射防止膜、微細粒子を含む材料で構成される微細粒子膜、モスアイなどと呼ばれる微細凹凸構造などを採用することができる。
あるいは、迷光が隣接するフィルタに入射する可能性を低減するためには、上述した各条件式を満足するフィルタF1を、フィルタアレイFAにおいて主光軸AX0から最も遠い位置に配置することが望ましい。言い換えると、フィルタF1における点P11に入射する光線IL1は、撮像画角のうち主光軸AX0から最も離れた(最も外側の)光線(最軸外光線)であることが望ましい。
上述したように、フィルタアレイFAは透過波長域の中心波長が互いに異なる複数のフィルタを含んでいてもよい。このとき、フィルタの透過波長域の中心波長が短くなるほどそれに対応するレンズ部の収差(色収差)の補正が難しくなる。そのため、短波長域に対応するフィルタを主光軸AX0から離れた位置に配置した場合、透過波長に起因する収差に偏心収差が合わさってしまい、短波長域に対応する良好な画像情報を得ることが困難になってしまう。よって、短波長域に対応するフィルタを長波長域に対応するフィルタよりも主光軸AX0に近い位置に配置することが望ましい。
例えば、フィルタF1とフィルタF2の透過波長域の中心波長が互いに異なる場合は、主光軸AX0からより遠い位置に配置されるフィルタF1の透過波長域の中心波長を、フィルタF2の透過波長域の中心波長よりも長くすることが望ましい。また、像面に配置される一般的な撮像素子の感度は、長波長域よりも短波長域の方で高くなることが知られている。よって、上述したようにフィルタF1とフィルタF2を設定した場合、撮像素子のフィルタF2の透過波長域の中心波長に対する感度は、フィルタF1の透過波長域の中心波長に対する感度よりも高くなる。
なお、フィルタアレイFAが透過波長域の中心波長が互いに異なる複数のフィルタを含む場合、一部のフィルタについてのみ上述した各条件式を満足するだけでも本実施形態の効果を得ることができる。ただし、各フィルタの組み合わせや配置によらず効果を得るためには、全てのフィルタについて上述した各条件式を満足することが望ましい。
また、上述したように、吸収型のバンドパスフィルタよりも干渉型のバンドパスフィルタの方が、より大きな角度依存性を有し、かつ反射による迷光を生じさせ易い。よって、フィルタアレイFAが干渉型のバンドパスフィルタを有する場合、それについて上述した各条件式を満足することが望ましい。すなわち、図2に示したように、フィルタアレイFAがレンズアレイLAよりも物体側に配置されている場合に、より大きな効果を得ることができる。
また、本実施形態においては、光学面CLR2がフィルタアレイFAよりも物体側において(光学系CLにおいて)最もフィルタアレイFAに近い位置に配置されている場合について説明したが、この構成に限られるものではない。例えば、必要に応じて、光学面CLR2とフィルタアレイFAとの間にカバーガラス(平板ガラス)などの光学素子を配置してもよい。ただし、本実施形態の効果をより多く得るためには、光学面CLR2は、フィルタアレイFA(第1の光学部)よりも物体側に配置されたパワーを有する光学面のうち、フィルタアレイFAに最も近い位置に配置される光学面であることが望ましい。
以上の説明においては、物体からの光線がフィルタF1に対して主光軸AX0とは反対側から入射する場合について考えていたが、物体からの光線がフィルタF2に対して主光軸AX0と同じ側から入射する場合についても同様に考えることができる。このことについて以下で詳細に説明する。
図7は、図3と同様に光学面CLR2及びフィルタアレイFAの一部を拡大して示した模式図である。図7では、図3とは異なり、物体側からの光線のうち、フィルタF2における点P21(第3の点)に対して主光軸AX0と同じ側(下側)から入射する光線IL2の光路を示している。
点P21に入射した光線IL2のうちフィルタF2の透過波長域以外の光線は、点P21で反射して光学面CLR2における点P22(第4の点)に入射する。ここで、点P21に入射する光線IL2と主光軸AX0との成す角度(フィルタF2に対する光線IL2の入射角)をω2[deg]とするとき、反射の法則よりフィルタF2に対する光線IL2の反射角もω2[deg]となる。点P22に入射した光線IL2の一部は、反射してフィルタアレイFAにおける点P23に入射する。
点P22における光学面CLR2の法線と主光軸AX0との成す角度(点P22の法線角)をθ2[deg]とするとき、反射の法則より、点P22で反射した光線IL2と主光軸AX0との成す角度はω2+2×θ2となる。フィルタF2から点P22までの光軸方向における距離をD2[mm]、フィルタF1におけるフィルタF2と対向する端部から主光軸AX0までの距離をh21[mm]、点P21から主光軸AX0までの距離をh22[mm]とする。このとき、フィルタF2からの迷光が他のフィルタに入射することを抑制するためには、以下の条件式(B1)を満足すればよい。
h22+D2×{tanω2+tan(ω2+2×θ2)}<h21 ・・・(B1)
条件式(B1)の左辺が、主光軸AX0に対する点P23の高さを表している。条件式(B1)を変形すると、以下の条件式(B2)が得られる。
D2×{tanω2+tan(ω2+2×θ2)}<h21−h22 ・・・(B2)
さらに、Δh2=h21−h22とし、条件式(B2)を法線角θ2について解くと、以下の条件式(4)が導かれる。
Figure 2020071327
したがって、条件式(4)を満足するように光学面CLR2の点P22における法線角θ2を設定することが望ましい。点P21の望ましい位置や、各フィルタの望ましい有効径などについては、図4乃至図6での説明と同様に考えることができる。上述した条件式(1)及び条件式(4)の少なくとも一方を満足すれば本実施形態の効果を得ることができるが、両方の条件式を満足することがより好ましい。なお、条件式(1)のみに着目する場合、ω1、θ1、D1、h11、h12、及びΔh1の夫々を、ω、θ、D、h1、h2、及びΔhに置き換えてもよい。また、条件式(4)のみに着目する場合、点P21を第1の点、点P22を第2の点とし、ω2、θ2、D2、h21、h22、及びΔh2の夫々を、ω、θ、D、h1、h2、及びΔhに置き換えてもよい。
図7に示したように、隣接する二つのフィルタのうち主光軸AX0に近い方(フィルタF2)で反射する迷光に着目する場合、光学面CLR2をフィルタアレイFAに可能な限り近接させることが望ましい。このように構成することで、主光軸AX0(フィルタアレイFAの中心)に近いフィルタで反射した迷光については、それよりも主光軸AX0から遠いフィルタで反射した迷光と比較して、反射回数が大幅に多くなる。光学面CLR2とフィルタアレイFAとの間での迷光の反射回数が増えることで、上述した最大反射回数を超えて迷光の強度が十分に低下するか、略全ての迷光が遮光壁ABにより遮光される。
具体的には、主光軸AX0上における光学面CLR2からフィルタアレイFAまでの距離をd2[mm]とするとき、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。なお、光学面CLR2が球面である場合は、上述したd1とd2とは一致する。
1.00×10−3<d2/h21<2.00 ・・・(5)
条件式(5)の上限値を上回ると、光学面CLR2がフィルタアレイFAから離れ過ぎてしまい、主光軸AX0に近い方の(内側の)フィルタで反射した迷光が、それよりも主光軸AX0から遠い(外側の)フィルタに入射する可能性が高くなってしまう。また、光学面CLR2の有効径に対して全系の長さが長くなってしまい、装置全体の小型化が難しくなる。条件式(5)の下限値を下回ると、光学面CLR2がフィルタアレイFAに近づき過ぎてしまい、各部材が干渉してしまう可能性が生じる。特に、フィルタアレイFAを交換可能とする場合、フィルタアレイFAを挿抜する際に、各部材が接触し易くなってしまう。
さらに、以下の条件式(5a)〜(5d)を順に満たすことがより好ましい。
1.00×10−3<d2/h21<1.73 ・・・(5a)
5.00×10−3<d2/h21<1.70 ・・・(5b)
1.00×10−2<d2/h21<1.68 ・・・(5c)
0.15<d2/h21<1.00 ・・・(5d)
[実施例]
以下、実施例に係る撮像システムについて説明するが、上述した実施形態と同等の構成については説明を省略する。図8乃至図10の夫々は、実施例1乃至3に係る撮像システムの主光軸を含む断面における要部概略図である。図8乃至図10では、上述した光学系CL、レンズアレイLA、及び撮像素子が互いに同一の保持部材により保持されており、その保持部材に対してフィルタアレイFAが着脱可能である構成を示している。ただし、上述したように、各部材は互いに着脱可能であってもよいし、互いに一体的に保持されていてもよい。
各実施例において、光学系CLの構成及び配置は互いに異なるが、フィルタアレイFA及びレンズアレイLAは互いに同一の構成を採っている。実施例1に係る光学系CLは、物体側から順に配置された両凹レンズ及び両凸レンズで構成されている。実施例2に係る光学系CLは、物体側から順に配置された、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズ、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズ、及び両凸レンズで構成されている。実施例3に係る光学系CLは、物体側から順に配置された、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ及び像側に凸面を向けた正メニスカスレンズで構成されている。このように、光学系CLに正レンズ及び負レンズを設けることで、色収差をより良好に補正することができる。
実施例3では、光学系CLにおける最も像側のレンズ(最終レンズ)の物体側及び像側の両方の光学面を、ともに像側に向かって凸形状としている。すなわち、この各光学面は、フィルタアレイFAで反射された迷光に対して負のパワーを有する反射面であるとみなすことができる。この構成によれば、光学系CLにおける最終レンズの各光学面によって迷光を拡散させることができるため、フィルタアレイFAに再入射する迷光の強度を低下させることが可能になる。
以下、上述した実施例1乃至3に対応する数値実施例1乃至3を示す。各数値実施例において、面番号は中間像面IM1から数えたときの各光学面の順番である。r[mm]は第i番目の光学面の曲率半径を示し、d[mm]は第i番目の光学面と第(i+1)番目の光学面の間隔を示す。また、nd及びνdは、第i番目の光学面と第(i+1)番目の光学面の間の媒質(材料)の波長587.6nmの光(d線)に対する屈折率及びアッベ数を示す。なお、各数値実施例においては、光学系CLのデータのみを示しており、フィルタアレイFAから像面IP2に至るデータについては省略している。
(数値実施例1)
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd
0(IM1) ∞ 58.50
1 -75.496 1.50 1.74000 28.3
2 18.691 8.41
3 99.592 6.59 1.58913 61.1
4 -18.579 5.00
5(FA) ∞
(数値実施例2)
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd
0(IM1) ∞ 58.50
1 -13.802 5.12 1.70585 30.2
2 -358.240 2.47
3 -37.751 8.00 1.64100 56.9
4 -18.529 0.25
5 52.898 2.00 1.62041 60.3
6 -205.000 0.50
5(FA) ∞
(数値実施例3)
単位 mm
面データ
面番号 r d nd vd
0(IM1) ∞ 58.50
1 123.334 1.50 1.75520 27.5
2 23.018 15.72
3 -100.000 4.08 1.62041 60.3
4 -20.865 5.00
5(FA) ∞
表1に、各実施例(各数値実施例)における各条件式に関する数値を示す。表1では、ω1=ω2であり、点P11がフィルタF1のフィルタF2の側の端部(下端)に位置し(h11=h21)、点P21がフィルタF2のフィルタF1の側の端部(上端)に位置する(h12=h22)場合を示している。上述したように、この場合において条件式(1)及び(4)を満たすことにより、点P11及び点P21の位置によらず条件式(1)及び(4)を満たすことになる。
表1に示すように、何れの実施例についても、条件式(1)及び(4)の少なくとも一方を満足している。また、実施例1,3については、条件式(1)及び(4)以外の全ての条件式を満足している。なお、実施例2については、条件式(A4)及び(2)を満足していないが、他の条件式を満足することでゴーストの発生を良好に抑制できている。
Figure 2020071327
[変形例]
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
上述した実施形態では、レンズ部が開口絞りの役割を兼ねている場合、すなわちレンズ部の有効径がレンズ部自身によって定まる場合について説明したが、開口絞りを別部材として設けてもよい。また、一つの結像部において、レンズ部が複数のレンズを含む場合や、フィルタが複数のフィルタ素子を含む場合は、レンズ及びフィルタ素子を光軸方向において交互に配置してもよい。
さらに、レンズ部の瞳をXY断面において分割するように配置される複数のフィルタを備える結像部を採用してもよい。このとき、撮像面におけるその結像部に対応する領域に微小なレンズアレイを設けることで、撮像システムをプレノプティックカメラとして用いることができる。この構成によれば、一つのレンズ部の瞳を通過する光が分離されて、撮像面における互いに異なる画素に入射するため、より多くの画像情報を取得することが可能になる。なお、光学系CLがミラー(反射素子)を有する構成を採ってもよい。
LA 複数のレンズ部(第1の光学部)
FA 複数のフィルタ(第1の光学部)
CL 第2の光学部

Claims (20)

  1. 夫々が物体の像を形成する複数のレンズ部と該複数のレンズ部の光軸上に配置される複数のフィルタとを有する第1の光学部よりも物体側に配置され、前記第1の光学部に対して共通の光学面を有する第2の光学部を備える光学系であって、
    前記複数のフィルタのうちの第1のフィルタにおける第1の点に対して前記第2の光学部の光軸とは反対側から入射する前記物体からの光線と前記光軸との成す角度をω1[deg]、前記第1の点で反射した前記光線が入射する第2の点における前記光学面の法線と前記光軸との成す角度をθ1[deg]、前記第1のフィルタから前記第2の点までの光軸方向における距離をD1[mm]、前記第1の点から前記光軸までの距離をh11[mm]、前記第1のフィルタの前記光軸の側に隣接する第2のフィルタにおける前記第1のフィルタと対向する端部から前記光軸までの距離をh12[mm]、Δh1=h11−h12とするとき、
    Figure 2020071327

    なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
  2. 前記第1及び第2のフィルタと同一の平面内における前記第1及び第2のフィルタの間に配置され、前記第2の点で反射した前記光線を遮光する第1の遮光部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
  3. 前記複数のフィルタよりも前記光軸から遠い位置に配置され、前記第2の点で反射した前記光線を遮光する第2の遮光部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
  4. 前記光軸に垂直な方向において、前記物体からの光線の前記第1のフィルタにおける前記光軸から最も遠い入射点は、前記第1のフィルタにおける中央から前記光軸の側の端部までの範囲内に位置することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学系。
  5. 前記第2の点における前記光学面の曲率半径をR[mm]、前記第2の点を含む曲率半径Rの仮想球面から前記第1のフィルタまでの距離をd1[mm]とするとき、
    R<h11/tanω1−d1
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の光学系。
  6. 前記第1の点に入射する前記光線は、最軸外光線であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の光学系。
  7. 前記第2のフィルタの有効径は、前記第1のフィルタの有効径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光学系。
  8. 前記第1のフィルタの透過波長域の中心波長は、前記第2のフィルタの透過波長域の中心波長よりも長いことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の光学系。
  9. 前記第1のフィルタは、前記複数のフィルタのうち前記光軸から最も遠い位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の光学系。
  10. 前記光学面は、前記複数のフィルタよりも物体側に配置されたパワーを有する光学面のうち、前記複数のフィルタに最も近い位置に配置される光学面であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の光学系。
  11. 前記光学面は、反射防止構造を含むことを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の光学系。
  12. 前記第2のフィルタにおける第3の点に対して前記光軸と同じ側から入射する前記物体からの光線と前記光軸との成す角度をω2[deg]、前記第3の点で反射した前記光線が入射する第4の点における前記光学面の法線と前記光軸との成す角度をθ2[deg]、前記第2のフィルタから前記第4の点までの光軸方向における距離をD2[mm]、前記第1のフィルタにおける前記第2のフィルタと対向する端部から前記光軸までの距離をh21[mm]、前記第3の点から前記光軸までの距離をh22[mm]、Δh2=h21−h22とするとき、
    Figure 2020071327

    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の光学系。
  13. 前記光軸上における前記光学面から前記第2のフィルタまでの距離をd2[mm]とするとき、
    1.0×10−3<d2/h21<2.0
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項12に記載の光学系。
  14. 前記光学面の物体側に隣接する光学面は、像側に向かって凸形状であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の光学系。
  15. 前記第2の光学部は、前記物体からの光を平行光に変換することを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載の光学系。
  16. 夫々が物体の像を形成する複数のレンズ部と該複数のレンズ部の光軸上に配置される複数のフィルタとを有する第1の光学部よりも物体側に配置され、前記第1の光学部に対して共通の光学面を有する第2の光学部を備える光学系であって、
    前記複数のフィルタのうちの第1のフィルタにおける第1の点に対して前記第2の光学部の光軸と同じ側から入射する前記物体からの光線と前記光軸との成す角度をω[deg]、前記第1の点で反射した前記光線が入射する第2の点における前記光学面の法線と前記光軸との成す角度をθ[deg]、前記第1のフィルタから前記第2の点までの光軸方向における距離をD[mm]、前記第1のフィルタの前記光軸とは反対側に隣接する第2のフィルタにおける前記第1のフィルタと対向する端部から前記光軸までの距離をh1[mm]、前記第1の点から前記光軸までの距離をh2[mm]、Δh=h1−h2とするとき、
    Figure 2020071327

    なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
  17. 請求項1乃至16の何れか一項に記載の光学系を備え、撮像装置に対して着脱可能であることを特徴とするアクセサリ装置。
  18. 請求項1乃至16の何れか一項に記載の光学系と、該光学系からの光を受光する撮像素子とを備えることを特徴とする撮像装置。
  19. 前記撮像素子は、前記第1の光学部に対して共通であることを特徴とする請求項18に記載の撮像装置。
  20. 前記撮像素子について、前記第2のフィルタの透過波長域の中心波長に対する感度は、前記第1のフィルタの透過波長域の中心波長に対する感度よりも高いことを特徴とする請求項18又は19に記載の撮像装置。
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