JP2020070200A - 石膏発泡体パック - Google Patents

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JP2020070200A JP2018203178A JP2018203178A JP2020070200A JP 2020070200 A JP2020070200 A JP 2020070200A JP 2018203178 A JP2018203178 A JP 2018203178A JP 2018203178 A JP2018203178 A JP 2018203178A JP 2020070200 A JP2020070200 A JP 2020070200A
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Takahiro Futamura
高博 二村
戸野 正樹
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正樹 戸野
太一 千菅
Taichi Chisuga
太一 千菅
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Abstract

【課題】硬度、取扱い性及び耐水性に優れた石膏発泡体パック及びその製造方法を提供する。【解決手段】石膏発泡体をガスバリアフィルムによって被覆しつつ密封した石膏発泡体パックであって、前記ガスバリアフィルムで覆われた内部の圧力が5000〜50000Paである、石膏発泡体パック。また、前記石膏発泡体パックの製造方法であって、前記石膏発泡体を前記ガスバリアフィルムの内部に投入する工程、前記ガスバリアフィルムで覆われた内部の圧力を5000〜50000Paとなるように前記ガスバリアフィルム内部の気体を吸引して密封する工程を備える製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、石膏発泡体パックに関する。
石膏を含有する水硬性結合材に用途に応じた性能を持たせるために、結合材の添加成分及びその配合量が工夫されている。石膏を含有する水硬性結合材を例えば建築材料に使用する場合には、高い断熱性が要求されることがある。しかしながら、従来は断熱性についてはほとんど取り組まれていない。
建築材料の芯材に石膏を含有する水硬性結合材を適用する場合には、通常、石膏を含有する水硬性結合材中にグラスウール又はウレタンフォームを含ませることによって断熱性を向上させている。特に、ウレタンフォームを含ませていることが多い(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−003502号公報
しかしながら、グラスウール等の繊維材料は透湿抵抗が低く、湿気により脱離しやすいために、断熱性を維持することが困難である。また、ウレタンフォームを使用した場合は防火性に劣るため建材パネルには使用しにくいうえに、透湿防水シートに吹き付けることが多く内部結露発生及び通気層閉塞が生じ得る。
このような状況下、本発明者らは、水硬性結合材に断熱性や軽量性をもたせるために水硬性結合材を発泡させた石膏発泡体を建築材料の芯材として使用する試みを行っている。石膏発泡体は、発泡させているため、水硬性結合材が脆くなり硬度や取扱い性の向上が課題となっている。また、石膏発泡体は吸水性が高く、特に多湿環境下において使用する場合には耐水性の向上も課題となっている。このような課題を解決するため、内部を例えば10-3Torr以下等の高真空としたガスバリアフィルムで密封した場合には、石膏発泡体の形状を維持することができないため本末転倒である。
本発明は、以上のような課題を解決しようとするものであり、硬度、取扱い性及び耐水性に優れた石膏発泡体パックを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、内部を所望の真空度としたガスバリアフィルムで被覆しつつ密封することで上記の課題を解決し、硬度、取扱い性及び耐水性に優れた石膏発泡体パックが得られることを見出した。本発明者らは、このような知見に基づきさらに研究を重ね本発明を完成させた。即ち、本発明は、以下の態様を包含する。
項1.石膏発泡体をガスバリアフィルムによって被覆しつつ密封した石膏発泡体パックであって、
前記ガスバリアフィルムで覆われた内部の圧力が5000〜50000Paである、石膏発泡体パック。
項2.前記ガスバリアフィルムが、プラスチックフィルムである、項1に記載の石膏発泡
体パック。
項3.前記ガスバリアフィルムが、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルメチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、ナイロン6、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、及びアイオノマー樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の合成樹脂から構成される合成樹脂フィルムを含有する、項1又は2に記載の石膏発泡体パック。
項4.前記石膏発泡体が、石膏、起泡成分及び強度保持成分を含む、項1〜3のいずれか1項に記載の石膏発泡体パック。
項5.前記石膏発泡体の比重が0.30g/cm以下である、項1〜4のいずれか1項に記載の石膏発泡体パック。
項6.前記起泡成分が界面活性剤である、項4又は5に記載の石膏発泡体パック。
項7.前記強度保持成分が樹脂エマルジョンである、項4〜6のいずれか1項に記載の石膏発泡体パック。
項8.項1〜7のいずれか1項に記載の石膏発泡体パックの製造方法であって、
(1)前記石膏発泡体を前記ガスバリアフィルムの内部に投入する工程、及び
(2)前記ガスバリアフィルムで覆われた内部の圧力が5000〜50000Paとなるように前記ガスバリアフィルム内部の気体を吸引して密封する工程
を備える、製造方法。
本発明によれば、硬度、取扱い性及び耐水性に優れた石膏発泡体パックを提供することができる。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲をA〜Bで表記する場合、A以上B以下を示す。
1.石膏発泡体パック
本発明の石膏発泡体パックは、石膏発泡体をガスバリアフィルムによって被覆しつつ密封した石膏発泡体パックであって、前記ガスバリアフィルムで覆われた内部の圧力が5000〜50000Paである。
(1−1)ガスバリアフィルム
ガスバリアフィルムとしては、ガスバリア性を有しており、且つ、石膏発泡体を内部に入れて密封できるものであれば特には限定されず、例えば、プラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムを構成する合成樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルメチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、ナイロン6、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらの合成樹脂フィルムの両面に、接着層を介してオレフィン系エラストマーからなる層がラミネートされた多層フィルム等も使用できる。さらには、例えば、ガスバリア性をより高めるため、上記した合成樹脂フィルムにアルミニウム等の金属がラミネートされたフィルムも使用できるし、ナノコンポジット技術を用いて、ガスバリア性を向上させたガスバリア性フィルムを用いてもよい。
ガスバリアフィルムの厚さは特に限定されず、適宜調整することができる。硬度、取扱い性及び耐水性の観点からは、50〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。
このようなガスバリアフィルムは、公知又は市販品を使用することができる。
(1−2)石膏発泡体
石膏発泡体は、断熱性、耐火性及び軽量性に優れている。しかしながら、石膏発泡体単独では、硬度(強度)は十分ではなく、また、水を吸収して崩落してしまう。本発明では、このような石膏発泡体を上記したガスバリアフィルムで被覆しつつ密封することにより、断熱性、耐火性、軽量性等の特性を維持したまま、硬度(強度)及び耐水性を著しく向上させるとともに吸水性を著しく低減し、水分存在下における崩落を抑制することができる。
[1]石膏発泡体(物理発泡)
石膏発泡体は、特に制限されるわけではないが、石膏、起泡成分及び強度保持成分を含むことが好ましい。これにより、熱伝導率が低く断熱性、耐火性及び軽量性を向上させることができる。このような石膏発泡体は、石膏を含有する水硬性結合材であり、石膏、起泡成分、強度保持成分及び水を含む混和剤組成物の硬化体とすることが好ましい。このような石膏発泡体は、例えば、上記混和剤組成物から水分を除去して硬化させることで得ることができる。
石膏
石膏は硫酸カルシウムとして理解され、石膏としては、無水石膏、半水石膏、二水石膏等が挙げられる。これらの石膏は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。石膏を用いることで、石膏発泡体に優れた断熱性、耐火性及び硬度を付与することが可能である。本発明では、石膏や起泡成分等を配合することにより、発泡石膏体自体の組成中には半水石膏が存在しやすい。この場合、炎があっても半水石膏に存在する水が蒸発することで延焼を防ぎ耐火性を発現することが可能である。
起泡成分
起泡成分は、石膏発泡体を軽量化しつつ、成形性及び断熱性を高めるために添加することが好ましい。また、起泡成分の含有量を調整することにより、得られる石膏発泡体を成形しやすくするとともに、断熱性及び耐火性を向上させることができる。
起泡成分としては、特に制限されないが、界面活性剤が好ましい。界面活性剤としては、例えば、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。イオン性界面活性剤としては、例えば、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。イオン性界面活性剤の中でも、後述の強度保持成分、特には樹脂エマルジョンと同じ電荷であり互いの作用を相殺しにくい点で、陰イオン性界面活性剤が好ましい。
陰イオン性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が、起泡性が特に高く、且つ特に安価である点で好ましい。これらの陰イオン性界面活性剤は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
陽イオン性界面活性剤の例としては、例えば、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの陽イオン性界面活性剤は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
両性界面活性剤の例としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。これらの両性界面活性剤は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
非イオン性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル等が挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
起泡成分は、通常、固形成分に加えて液体成分(水等)を含んでいることが多い。この場合の起泡成分の固形分含有率は、15〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
石膏発泡体中の起泡成分の含有量は特に限定されないが、固形成分の含有量は、石膏100質量部に対して0.04〜1.2質量部であることが好ましく、0.1〜1質量部であることがより好ましい。この範囲とすることにより、コストを過度に高くすることなく、より十分に起泡させて成形性、断熱性及び耐火性をより向上させるとともに、より軽量化させることができる。なお、上記の含有量は、石膏発泡体中の起泡成分の含有量(固形成分含有量)であるが、その原料である混和剤組成物中の起泡成分の含有量(固形成分含有量)も同様とすることが好ましい。
強度保持成分
強度保持成分は、石膏組成物の硬度(強度)を保持しつつ流動性、成形性及び断熱性を高めるために添加することが好ましい。
強度保持成分としては、特に制限されないが、樹脂エマルジョンが好ましい。樹脂エマルジョンは、水又は水性溶媒中に樹脂を分散させたものであり、公知の方法、例えば乳化剤による乳化重合法又は超音波乳化法等で合成したものを用いることもでき、市販品を使用することもできる。このような樹脂エマルジョンとしては、消泡剤が包含されているものも存在するが、十分に発泡させて流動性及び断熱性をより高める観点からは、消泡剤が包含されていないものが好ましい。ただし、少量であれば、消泡剤が包含されている樹脂エマルジョンを使用することも可能である。
このような樹脂エマルジョンとしては、イオン性樹脂エマルジョン及び非イオン性樹脂エマルジョンのいずれも採用でき、イオン性樹脂エマルジョン及び非イオン性樹脂エマルジョンを組合せて使用することもできる。イオン性樹脂エマルジョンとしては、陰イオン性樹脂エマルジョン及び陽イオン性樹脂エマルジョンのいずれも採用でき、陰イオン性樹脂エマルジョン及び陽イオン性界面活性剤を組合せて使用することもできる。イオン性樹脂エマルジョンの中でも、起泡成分と同じ電荷であり互いの作用を相殺しにくい点で、陰イオン性樹脂エマルジョンが好ましい。
陰イオン性樹脂エマルジョンの例としては、例えば、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、
エチレン−酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、塩化ビニル−アクリル系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン等が挙げられる。なお、「〜系樹脂エマルジョン」とは、「〜系」の前の樹脂を含有するエマルジョンを意味する。アクリル系樹脂エマルジョンは、起泡を阻害しにくく断熱性が特に高い点で好ましい。これらの陰イオン性樹脂エマルジョンは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
陽イオン性樹脂エマルジョンの例としては、例えば、アクリル系樹脂エマルジョン、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの陽イオン性樹脂エマルジョンは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
非イオン性樹脂エマルジョンの例としては、例えば、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、エポキシ系樹脂エマルジョン、塩化ビニル系樹脂エマルジョン等が挙げられる。これらの非イオン性樹脂エマルジョンは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
強度保持成分は、通常、固形成分に加えて液体成分(水等)を含んでいることが多い。この場合の強度保持成分の固形分含有率は、20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。
石膏発泡体中の強度保持成分の含有量は特に限定されないが、固形成分の含有量は、石膏100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、3〜20質量部であることがより好ましい。この範囲とすることにより、コストを過度に高くすることなく、より十分に起泡させて成形性、断熱性及び耐火性をより向上させるとともに、より軽量化させることができる。なお、上記の含有量は、石膏発泡体中の強度保持成分の含有量(固形成分含有量)であるが、その原料である混和剤組成物中の強度保持成分の含有量(固形成分含有量)も同様とすることが好ましい。

混和剤組成物中の水の含有量(起泡成分及び強度保持成分中の水も含めた含有量)は特に限定されないが、石膏100質量部に対して50〜300質量部であることが好ましく、100〜250質量部であることがより好ましい。この範囲とすることにより、石膏と混和しやすくダマになりにくく、石膏が沈殿しにくく、得られる石膏発泡体の強度がより向上し水硬性を発現しやすいとともに成形性もより向上させることができる。
混和剤組成物
上記した石膏発泡体の原料である混和剤組成物は、好ましい一実施形態では、石膏100質量部に対して、起泡成分を固形分で0.04〜1.2質量部、強度保持成分を固形分で1〜30質量部、水を起泡成分及び強度保持成分中の水も含めて50〜300質量部含有することが好ましい。さらに好ましい一実施形態では、混和剤組成物は、石膏100質量部に対して、起泡成分を固形分で0.1〜1質量部、強度保持成分を固形分で3〜20質量部、水を起泡成分及び強度保持成分中の水も含めて100〜250質量部含有することが好ましい。
以上のような構成の混和剤組成物を用いて石膏発泡体を製造した場合には、より軽量で特に高い断熱性と特に高い硬度(強度)と特に高い耐火性とを兼ね備えた石膏発泡体を得ることができる。
混和剤組成物には、上記以外の成分をさらに含んでいてもよく、そのような成分として、セメント、骨材、繊維等が挙げられる。骨材としては砂、砕砂、砂利、砕石等が挙げられる。セメント及び骨材を添加することにより、石膏発泡体の強度をより高めることができる。
また、そのような成分として無機充填剤、分散剤、水溶性高分子、AE剤、遅延剤、早強剤、促進剤、発泡剤、消泡剤、防水剤、防錆剤、着色剤、防黴剤、ひびわれ低減剤、膨張剤、繊維類、染料、顔料等の添加剤が挙げられる。これらは単独で使用することもでき、2種以上を組合せて使用することもできる。
このような混和剤組成物は、石膏発泡体の作製キットとして使用することができる。この場合、石膏、起泡成分、強度保持成分及び水は、別々に包装して提供することもできるし、起泡成分及び強度保持成分を水に溶解させて提供することもできる。
石膏発泡体
上記した混和剤組成物を形成する場合、各成分の添加順序は特に制限されず、同時に添加することもでき、逐次的に添加することもできる。なかでも、各原料を添加中に反応が進行しにくくする(石膏は水等と触れた瞬間から反応が進行する)ため、水、起泡成分、強度保持成分及び石膏の順に添加することが好ましい。また、石膏の自重を考慮しても石膏を沈殿しにくくするため、途中段階では混合せず、全ての成分を添加した後に、ミキサー等の公知の混合装置により混合することが好ましい。混合は、石膏粉を飛散しにくくするため、低い強度で予備混合した後に、高い強度で本撹拌することが好ましい。添加及び混合の好ましい圧力は大気圧であり、好ましい温度は15〜60℃である。また、混合時間は、混和剤組成物の質量によって適宜設定することが好ましい。
このようにして得た混合物(混和剤組成物)から水分を除去して硬化させることにより、石膏発泡体を得ることができる。硬化条件は特に制限されず、例えば、15〜100℃、特に20〜80℃で1〜48時間、特に2〜36時間とすることができる。このようにして得られる石膏発泡体は、軽量で、且つ、優れた断熱性、硬度(強度)、不燃性及び耐火性を有することができる。また、このようにして得られた石膏発泡体の比重は0.30g/cm未満である。比重は、断熱性の観点からは好ましくは0.25g/cm以下、より好ましくは0.20g/cm以下とすることができる。なお、石膏発泡体の比重の下限値は特に制限はないが、通常0.01g/cm程度である。一方、硬度(強度)の観点からは、好ましくは0.10〜0.29g/cm、より好ましくは0.15〜0.28g/cmとすることもできる。この範囲とすることにより、断熱性、不燃性及び耐火性をさらに向上させることができる。また、石膏発泡体の熱伝導率は特に限定されないが、好ましくは0.2W/mK未満、より好ましくは0.1W/mK未満である。
[2]石膏発泡体(化学発泡)
石膏組成物は、石膏、水、強度保持成分、発泡剤及び無機酸を含有する構成とすることもできる。これにより、熱伝導率が低く断熱性、耐火性及び軽量性を向上させることができる。このような石膏発泡体は、石膏を含有する水硬性結合材であり、石膏、水、強度保持成分、発泡剤及び無機酸を含む混和剤組成物の硬化体とすることが好ましい。このような石膏発泡体は、例えば、上記混和剤組成物から水分を除去して硬化させることで得ることができる。
石膏、水及び強度保持成分としては、上記したものを採用できる。好ましい具体例及び含有量も同様である。なお、水の含有量は、強度保持成分、無機酸及び起泡成分中の水も含めた含有量として上記範囲内になるように調整することが好ましい。
また、上記した発泡剤及び酸により化学発泡させることができるが、さらに、起泡成分を、石膏組成物の軽量化及び断熱性をさらに高めるために添加してもよい。この起泡成分としては、上記したものを採用できる。好ましい具体例及び含有量も同様である。
発泡剤
発泡剤としては、特に制限はなく種々様々な発泡剤を使用することができ、例えば、アゾ化合物、無機炭酸塩等が挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、ジニトロペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。これらのアゾ化合物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
無機炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属炭酸塩等が挙げられる。これらの無機炭酸塩は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
これらのなかでも、アゾ化合物は、発泡時において主として窒素ガスを発生する発泡剤である。このようなアゾ化合物を使用することにより、石膏発泡体における発泡セルが均一で極めて微細且つ緻密となるため発泡による硬度低下を特に抑制することができる。また、その他、発泡剤としてアゾ化合物を使用した場合には、発泡倍率をより高め比重をより低くしてさらに軽量化するとともに、熱伝導率もさらに低くして断熱性をより高めることも可能である。なお、石膏発泡体の発泡倍率、比重及び熱伝導率については、発泡剤の含有量を調整することにより、得られる石膏発泡体の比重を所望の範囲に設定することもできる。
発泡剤の含有量は特に限定されないが、石膏100質量部に対して0.5〜3質量部が好ましく、1〜2.5質量部がより好ましい。発泡剤の含有量をこの範囲とすることにより、より十分に発泡させて成形性、比重及び発泡倍率をより向上させるとともに、熱伝導率をより小さくして断熱性をさらに向上させ、発泡セルをより均一でより微細且つ緻密として硬度の低下をより抑制することができる。なお、上記の含有量は、混和剤組成物中の発泡剤の含有量であるが、混和剤組成物を用いた石膏発泡体中の発泡剤の含有量も同様とすることが好ましい。
無機酸
無機酸を含有することにより、発泡倍率及び比重を高めより軽量化するとともに、熱伝導率をより小さくして断熱性をより向上させることができるとともに硬度の低下も抑制できる。また、無機酸の含有量を調整することにより、得られる石膏発泡体の比重、発泡倍率及び熱伝導率を所望の範囲に設定することもできる。
無機酸としては、特に制限はなく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸等が挙げられる。これらの無機酸は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、無機酸としては、乾燥後に残りにくく混和剤組成物を中性領域とすることができ、発泡倍率及び比重をより高めより軽量化するとともに、熱伝導率もより小さくして断熱性をより向上させることができる観点から、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸等が好ましく、塩酸がより好ましい。
無機酸の含有量は特に限定されないが、石膏100質量部に対して0.3〜5質量部が好ましく、0.5〜2質量部がより好ましい。無機酸の含有量をこの範囲とすることにより、より十分に発泡させて成形性、比重及び発泡倍率をより向上させてより軽量化しつつ
、熱伝導率もより小さくして断熱性をより向上させるとともに、発泡セルをより均一でより微細且つ緻密として硬度の低下をより抑制することができる。なお、無機酸として水溶液を使用する場合は、当該水溶液中の固形分の含有量を意味する。また、上記の含有量は、混和剤組成物中の無機酸の含有量であるが、石膏発泡体中の無機酸の含有量も同様とすることが好ましい。
混和剤組成物
好ましい一実施形態において、混和剤組成物は、石膏100質量部に対して、水50〜300質量部、強度保持成分(固形分)1〜30質量部、発泡剤0.5〜3質量部、無機酸(固形分)0.3〜5質量部、起泡成分(固形分)0〜1.2質量部(特に0.04〜1.2質量部)を含有する。さらに好ましい一実施形態において、混和剤組成物は、石膏100質量部に対して、水100〜250質量部、強度保持成分(固形分)3〜20質量部、発泡剤1〜2.5質量部、無機酸(固形分)0.5〜2質量部、起泡成分0〜1質量部(特に0.1〜1質量部)を含有する。
以上のような構成を採用することにより、より軽量で特に高い断熱性と必要に応じて特に高い硬度(強度)とを兼ね備えた石膏発泡体を得ることができる。
混和剤組成物には、上記以外の成分をさらに含んでいてもよく、そのような成分として、セメント、骨材、繊維等が挙げられる。骨材としては砂、砕砂、砂利、砕石等が挙げられる。セメント及び骨材を添加することにより、石膏発泡体の強度をより高めることができる。
また、そのような成分として無機充填剤、分散剤、水溶性高分子、AE剤、遅延剤、早強剤、促進剤、発泡剤、消泡剤、防水剤、防錆剤、着色剤、防黴剤、ひびわれ低減剤、膨張剤、繊維類、染料、顔料等の添加剤が挙げられる。これらは単独で使用することもでき、2種以上を組合せて使用することもできる。
このような混和剤組成物は、石膏発泡体の作製キットとして使用することができる。この場合、石膏、水、強度保持成分、発泡剤、無機酸及び必要に応じて起泡成分は、別々に包装して提供することもできるし、強度保持成分、発泡剤、無機酸及び必要に応じて起泡成分を水に溶解させて提供することもできる。
石膏発泡体
石膏発泡体を形成する場合、各種成分は、同時に添加してもよいし、逐次的に添加してもよい。なかでも、水、強度保持成分、無機酸、必要に応じて起泡成分及び任意選択の他の成分の溶液に、石膏及び発泡剤を添加することが好ましい。
混和剤組成物のために準備した水、強度保持成分、発泡剤、無機酸及び必要に応じて起泡成分と、任意選択の他の成分とを、所望の温度及び圧力下で石膏に添加し、例えば室温で攪拌することで化学的に発泡させることができる。この後、加熱してより十分に発泡させるとともに成形することも可能である。なお、機械攪拌は必ずしも必要ではないが、混和剤組成物を均一に混合するために、化学発泡の前に、ミキサー等の公知の混合装置により短時間(例えば1〜5分程度)混合してもよい。添加、加熱及び混合の好ましい圧力は大気圧である。
混合物は樹脂、金属等の型に流し入れ、板状等の所望の形状とし、混和剤組成物を得ることができ、さらに攪拌により発泡させ、必要に応じて乾燥及び加熱させて石膏発泡体を得ることができる。得られた石膏発泡体は、軽量で優れた断熱性と強度を有する。
発泡の際の攪拌は特に制限されず、例えば室温で常法にしたがって行うことができる。
発泡の際の加熱条件は特に制限はなく、より十分に発泡させて成形性、比重及び発泡倍率をより向上させてより軽量化しつつ、熱伝導率もより小さくして断熱性をより向上させるとともに、発泡セルをより均一でより微細且つ緻密として硬度の低下をより抑制することができる観点から、40〜80℃が好ましく、45〜75℃がより好ましい。なお、加熱温度とは、加熱する際の最高到達温度を意味する。また、加熱時間(最高到達温度における維持時間)も特に制限はなく、より十分に発泡させて成形性、比重及び発泡倍率をより向上させてより軽量化しつつ、熱伝導率もより小さくして断熱性をより向上させるとともに、発泡セルをより均一でより微細且つ緻密として硬度の低下をより抑制することができる観点から、1〜72時間が好ましく、2〜48時間がより好ましい。
このようにして得られる石膏発泡体の比重は、0.35g/cm以下が好ましく、0.1〜0.32g/cmがより好ましく、0.15〜0.3g/cmがさらに好ましい。また、石膏発泡体の発泡倍率は2倍より大きいことが好ましく、2.1〜10倍がより好ましく、2.2〜7倍がさらに好ましい。このような比重及び発泡倍率とすることにより、軽量性に特に優れ、熱伝導率を特に低くして断熱性を特に向上させるとともに、硬度の低下も特に抑制することができる。
(1−3)石膏発泡体パック
本発明の石膏発泡体パックは、上記下石膏発泡体を上記したガスバリアフィルムによって被覆しつつ密封している。この際、従来の真空断熱材においては、ガスバリアフィルム内の圧力を極端に低くして真空状態にすることが通常であるが、本発明では内部を高真空とすると石膏発泡体の形状を維持できず崩壊してしまう。また、内部の圧力が高すぎると密封できないために硬度、取扱い性及び耐水性に劣り、吸湿性も増大してしまう。このような観点から、本発明の石膏発泡体パックにおいては、ガスバリアフィルムで覆われた内部の圧力は5000〜50000Paが好ましく、15000〜35000Paがより好ましい。
また、本発明の石膏発泡体パックにおいて、ガスバリアフィルム内部に充填される気体は、通常空気であるが、その全部又は一部を断熱性ガスで代替する、つまり、断熱性ガスのみを充填したり、断熱性ガス及び空気の混合ガスを充填したりすることも可能である。これにより、本発明の石膏発泡体パックの断熱性をさらに飛躍的に向上させることも可能である。この場合、本発明の石膏発泡体パックではガスバリアフィルムで密封されているため、断熱性ガスが希釈されることにより断熱性が低下することも抑制することができる。このような断熱性ガスとしては、例えば、希ガス(アルゴン、クリプトン、キセノン等)や二酸化炭素等が挙げられる。このような断熱性ガスを単独で充填することもできるし、2種以上を組合せて充填することもできる。
本発明の石膏発泡体パックは、石膏発泡体が有する断熱性、耐火性、軽量性等の特性を維持したまま、硬度(強度)及び耐水性を著しく向上させるとともに吸水性を著しく低減し、水分存在下における崩落を抑制することができるため、このような性能を必要とする建築材料、耐火性材料等として広く使用することができる。
例えば、本発明の石膏発泡体パックは、建材パネルに使用することができる。より具体的には、本発明の石膏発泡体パックは、建材パネルの芯材として使用することができる。
この場合、例えば、裏打ち材の上に、上記した本発明の石膏発泡体パックを、裏打ち材及び表皮材で挟むことで、本発明の建材パネルを得ることができる。本発明の建材パネルは用途及び求められる断熱性能によって厚みは自由に調整可能できる。
なお、裏打ち材や表皮材と芯材との密着性の観点から、裏打ち材や表皮材と芯材との間に両面テープや接着剤等の他層を介在させることも可能である。また、本発明の建材パネルは、上記方法のみに限定されず、様々な方法で得ることができる。
上記裏打ち材としては、建材パネルに通常使用されるものを使用することができ、例えば、アルミニウム紙、アルミニウムライナー紙、アルミニウムラミネート、アルミニウム箔、55%アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板(登録商標))等が挙げ
られる。これらの裏打ち材の厚みは、建材パネルに通常採用される程度とすることができ、例えば、0.1mm〜2.0mmが好ましい。
上記表皮材としては、建材パネルに通常使用されるものを使用することができ、例えば、55%アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板(登録商標))、カラーア
ルミニウム板等が挙げられる。これらの表皮材の厚みは、建材パネルに通常採用される程度とすることができ、例えば、0.1mm〜2.0mmが好ましい。
その他、必要に応じて、建材パネルに通常使用される層を形成することも可能であり、例えば、金属サイディングパネルに適用する場合は、表皮材として、ポリエステル樹脂塗装鋼板、インクジェット加飾印刷層及び防汚クリアー塗膜層を常法で形成することも可能である。
このようにして得られる本発明の建材パネルは、軽量でありつつ、硬度(強度)、断熱性及び耐火性に優れるものである。
2.石膏発泡体パックの製造方法
上記した本発明の石膏発泡体パックは、例えば、
(1)前記石膏発泡体を前記ガスバリアフィルムの内部に投入する工程、及び
(2)前記ガスバリアフィルムで覆われた内部の圧力が5000〜50000Paとなるように前記ガスバリアフィルム内部の気体を吸引して密封する工程
を備える方法により得ることができる。
石膏発泡体及びガスバリアフィルムとしては、上記したものを採用できる。
本発明の製造方法によれば、工程(1)において石膏発泡体をガスバリアフィルムの内部に投入し、次いで、工程(2)において適切な内圧となるようにガスバリアフィルム内部の気体を吸引して密封することにより、本発明の石膏発泡体パックを得ることができる。なお、ガスバリアフィルム内部の気体を吸引及び密封する方法は特に制限されず、常法にしたがうことができる。
本発明において、上記のように断熱性ガスが充填された石膏発泡体パックを得ようとする場合は、工程(1)において、石膏発泡体をガスバリアフィルムの内部に投入した後に、ガスバリアフィルム内に断熱性ガスを充填することが好ましい。ガスバリアフィルム内に断熱性ガスを充填する方法は特に制限されず、常法にしたがうことができる。
なお、石膏発泡体をガスバリアフィルムの内部に投入した後に、ガスバリアフィルム内に断熱性ガスを充填する場合は、その後速やかに(通常、1〜5秒後)工程(2)のガスバリアフィルム内部の気体を吸引して密封する工程を行うことが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されな
い。
配合例1:石膏発泡体1の製造
大気圧下、室温で、純水82.5質量部、起泡成分としての界面活性剤3.1質量部、強度保持成分としての樹脂エマルジョン25質量部、及び石膏100質量部をこの順に添加し、ミキサーを用いて、回転数500rpm(Lv.3)の条件で10秒間本撹拌し、混和剤組成物1を得た。なお、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(花王(株)製のエマールD−3−D;固形分26質量%)を用いた。樹脂エマルジョンとしては、酢酸ビニル樹脂エマルジョン(積水フーラー(株)製のエスダイン♯5381;固形分40質量%)を用いた。石膏としては、吉野石膏(株)製のサクラ印焼石膏A級を用いた。ミキサーとしては、ラッセルホブス社製の18960JPを用いた。このようにして得られた混和剤組成物1を、大気圧、23℃及び1時間の条件にて硬化させ、60℃オーブン中、24時間で乾燥させ、所定のサイズ(85mm×85mm×35mm)の石膏発泡体1を得た。
配合例2:石膏発泡体2の製造
大気圧下、室温で、純水82.5質量部、起泡成分としての界面活性剤3.1質量部、強度保持成分としての樹脂エマルジョン25質量部、及び石膏100質量部をこの順に添加し、ミキサーを用いて、回転数500rpm(Lv.3)の条件で40秒間本撹拌し、混和剤組成物2を得た。なお、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(花王(株)製のエマールD−3−D;固形分26質量%)を用いた。樹脂エマルジョンとしては、酢酸ビニル樹脂エマルジョン(積水フーラー(株)製のエスダイン♯5381;固形分40質量%)を用いた。石膏としては、吉野石膏(株)製のサクラ印焼石膏A級を用いた。ミキサーとしては、ラッセルホブス社製の18960JPを用いた。このようにして得られた混和剤組成物2を、大気圧、23℃及び1時間の条件にて硬化させ、60℃オーブン中、24時間で乾燥させ、所定のサイズ(85mm×85mm×35mm)の石膏発泡体2を得た。
実施例1
合成例1で得られた石膏発泡体1をナイロンフィルム(福助工業(株)製のナイロンポリ新Lタイプ規格袋No.14)で覆い、真空ポンプで脱気し、ナイロンフィルムを断熱材に密着させた後、ヒートシーラーで密封することにより、内圧が35000Paとなるように密封し、実施例1の石膏発泡体パックを得た。
実施例2
合成例2で得られた石膏発泡体2を用いたこと以外は実施例1と同様に、実施例2の石膏発泡体パックを得た。
比較例1
合成例1で得られた石膏発泡体1をそのまま使用した。
比較例2
合成例2で得られた石膏発泡体2をそのまま使用した。
試験例1:硬度の測定及び評価
実施例1〜2の石膏発泡体パック及び比較例1〜2の石膏発泡体の硬度を、デュロメータ硬度計 タイプE(TECLOCK社製・「GS−721N」)を用いて5箇所測定し、平均値を算出した。
試験例2:断熱性(熱伝導率)の測定及び評価
実施例1〜2の石膏発泡体パック及び比較例1〜2の石膏発泡体の熱伝導率を、京都電子工業(株)製迅速熱伝導率計QTM−710により測定した。
試験例3:取扱い性の評価
実施例1〜2の石膏発泡体パック及び比較例1〜2の石膏発泡体を手で持ち上げ、以下のように評価した。
○:取扱いが容易であり、崩壊しないし粉もこぼれない。
△:手で扱うことが可能であり、崩壊しないが粉がこぼれる。
×:丁寧に扱う必要があり取扱いが難しく崩壊する。
試験例4:耐水性の測定及び評価
実施例1〜2の石膏発泡体パック及び比較例1〜2の石膏発泡体を水中に1分間沈めた。その後、サンプルを取り出し、上記と同様に硬度を測定し、以下のように評価した。
○:目視でサンプルにダメージは見当たらず、試験例1の結果に対する硬度の減少は10以下である。
×:試験例1の結果に対する硬度の減少が10より大きい、あるいは、取り出す際に崩壊して硬度測定ができない(硬度は0である)。
以上の結果、石膏発泡体パックを作製した実施例1及び2では、石膏発泡体そのものである比較例1及び2と比較し、硬度が上昇し、断熱性(熱伝導率)は維持されており、また、取扱い性及び耐水性が向上していた。結果を表1に示す。なお、表1において、界面活性剤及び樹脂エマルジョンの含有量は、固形分及び水の双方を含む含有量を意味する。
Figure 2020070200
以上、本発明の実施形態及び実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態及び実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料、数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料、数値等を用いることができる。
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料、数値等は、本発明の主旨を逸
脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。

Claims (8)

  1. 石膏発泡体をガスバリアフィルムによって被覆しつつ密封した石膏発泡体パックであって、
    前記ガスバリアフィルムで覆われた内部の圧力が5000〜50000Paである、石膏発泡体パック。
  2. 前記ガスバリアフィルムが、プラスチックフィルムである、請求項1に記載の石膏発泡体パック。
  3. 前記ガスバリアフィルムが、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリルメチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、ナイロン6、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、及びアイオノマー樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の合成樹脂から構成される合成樹脂フィルムを含有する、請求項1又は2に記載の石膏発泡体パック。
  4. 前記石膏発泡体が、石膏、起泡成分及び強度保持成分を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の石膏発泡体パック。
  5. 前記石膏発泡体の比重が0.30g/cm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の石膏発泡体パック。
  6. 前記起泡成分が界面活性剤である、請求項4又は5に記載の石膏発泡体パック。
  7. 前記強度保持成分が樹脂エマルジョンである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の石膏発泡体パック。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の石膏発泡体パックの製造方法であって、
    (1)前記石膏発泡体を前記ガスバリアフィルムの内部に投入する工程、及び
    (2)前記ガスバリアフィルムで覆われた内部の圧力が5000〜50000Paとなるように前記ガスバリアフィルム内部の気体を吸引して密封する工程
    を備える、製造方法。
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