JP2020069644A - インクジェットプリンター - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェットプリンターでの印刷時に発生するインクミスト及び紙粉の飛散を低減し、ノズルプレートへの付着を低減する。【解決手段】ノズルプレート181とカバーヘッド183をGND電位とし、プラテン部材100の帯電部材である短辺部116との間で不平等電界を形成して、効率的にインクミスト及び紙粉をプラテン部材100の吸収体120に吸着させる。【選択図】図10
Description
本発明は、インクジェットプリンターにおけるノズルプレートへのインクミストの付着及び紙粉の付着を回避もしくは抑制できるインクジェットプリンターに関する。
インクジェットプリンターの印刷時で、特に縁なし印刷の際、印刷対象物である用紙の縁よりも外側にもインクを吹き付けるために、用紙に到達しなかったインクの液滴がミストとなって、インクジェットプリンターの機器筐体の内壁及び、内部の回路基板、更には機器筐体の外壁や、機器が置かれた机等の周囲まで汚染してしまう場合がある。こういった対策として、例えば特許文献1で開示されているような、インクを吐出するヘッドのノズルプレートとプラテン部材間に電界を発生させて、インクミストの浮遊を低減する方法が採られていた。
しかしながら、従来の方法においては、下記の課題があった。先ず、ノズルプレートプレートより吐出したインクの液滴の一部がミスト(本来の印刷のためのインクの液滴よりも小さい径の液滴)となり、ノズルプレート側に戻って付着し、それが堆積・凝集してノズル開口に付着し、印刷画質を劣化させる課題があった。
またノズルプレートとプラテン部材との間に形成する電界でインクミストを回収するためには印加する電圧を数百Vから千Vレベルの電圧にする必要がある。そのため、一般商用電源で使用するインクジェットプリンターにおいては、新たに高圧電源を用意する必要があった。特に、高圧回路は電気保安上の安全性を確保する必要があり、該回路の周囲との距離や隔壁を設置する必要がある。また高圧回路用の電子部品は一般的に高価な部品であるため、回路ユニットとしても高価であった。また、電極を対向させて電界を形成する際、より高電界にした方がインクミストの回収能力が高まる傾向にあるが、高電界で且つ電極間の距離が近いと電極間で放電を生じる可能性が高まる。電極間で放電等が生じるとそれを引き金に機器の不具合も発生するため、形成する電界の高さには限界があった。
更に、インクミスト以外の問題として、印刷対象物の用紙への紙粉の付着がある。用紙のエッジ部には用紙を裁断した際に発生する紙粉が付着している場合があり、この紙粉がインクジェットプリンターでの印刷時に、機器による用紙搬送等の振動等により粉塵となって機器内に放出される。放出された紙粉の中にはノズルプレートに付着するものもあり、ノズル開口部に付着した場合はやはり印刷画質を劣化させる課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、インクミストの低減と共に用紙からの紙粉の低減したインクジェットプリンターの提供を目的とする。
[適用例1]
ノズル開口を有するノズルプレートからインクを吐出させ、印刷対象物に画像を形成するインクジェットプリンターであって、画像印刷処理中の前記印刷対象物の裏面側であって、前記ノズルプレートを含む前記インク吐出ヘッドに対向する領域、及び、前記印刷対象物外に、インクが吐出されて、インクの液滴を被る領域に配置されるプラテン部材を有し、前記プラテン部材表面の帯電によって前記ノズルプレートより発生するインクミストを吸着させる、ことを特徴とするインクジェットプリンターである。
ノズル開口を有するノズルプレートからインクを吐出させ、印刷対象物に画像を形成するインクジェットプリンターであって、画像印刷処理中の前記印刷対象物の裏面側であって、前記ノズルプレートを含む前記インク吐出ヘッドに対向する領域、及び、前記印刷対象物外に、インクが吐出されて、インクの液滴を被る領域に配置されるプラテン部材を有し、前記プラテン部材表面の帯電によって前記ノズルプレートより発生するインクミストを吸着させる、ことを特徴とするインクジェットプリンターである。
この形態により、インクミストを効果的にプラテン側に付着させることができ、インクミストによる不具合を低減し、印刷画質の劣化を低減できるインクジェットプリンターを提供できる。
[適用例2]
前記プラテン部材表面の帯電は、前記インクジェットプリンターの印刷対象物の搬送動作により行う、適用例1に記載のインクジェットプリンターである。
前記プラテン部材表面の帯電は、前記インクジェットプリンターの印刷対象物の搬送動作により行う、適用例1に記載のインクジェットプリンターである。
この形態より、前記プラテン部材表面の帯電を高めると共に帯電を維持することができる。
[適用例3]
前記インクジェットプリンターを構成する電子回路におけるGND電位は、前記インクジェットプリンターを構成する金属筐体と電気的に接続し、前記GND電位は地上(アース)電位に電気的に接続した、適用例1及び2に記載のインクジェットプリンターである。
前記インクジェットプリンターを構成する電子回路におけるGND電位は、前記インクジェットプリンターを構成する金属筐体と電気的に接続し、前記GND電位は地上(アース)電位に電気的に接続した、適用例1及び2に記載のインクジェットプリンターである。
この構成により、より効果的にインクミストをプラテン側に付着させることができる。
[適用例4]
前記プラテン部材表面での帯電部位は誘電体材料であって、前記帯電部位が、前記ノズルプレートを含むインク吐出ヘッドのインク吐出面側と相対向した際、前記ノズルプレートを含むインク吐出ヘッドのインク吐出面側の面積に比べ、前記帯電部位の該対向面側の面積が小なる関係となる、適用例1から3に記載のインクジェットプリンターである。
前記プラテン部材表面での帯電部位は誘電体材料であって、前記帯電部位が、前記ノズルプレートを含むインク吐出ヘッドのインク吐出面側と相対向した際、前記ノズルプレートを含むインク吐出ヘッドのインク吐出面側の面積に比べ、前記帯電部位の該対向面側の面積が小なる関係となる、適用例1から3に記載のインクジェットプリンターである。
この構成により、より効果的にインクミストをプラテン側に付着させることができる。
[適用例5]
前記プラテン部材の帯電部位は、少なくとも1本の長辺部と複数の短辺部を有した形状であり、前記複数の短辺部の間隔は略定型用紙サイズの幅に合わせた、適用例1から4に記載のインクジェットプリンター。
前記プラテン部材の帯電部位は、少なくとも1本の長辺部と複数の短辺部を有した形状であり、前記複数の短辺部の間隔は略定型用紙サイズの幅に合わせた、適用例1から4に記載のインクジェットプリンター。
定型用紙の縁なし印刷時のインクミストの発生を効果的に低減できると共に、用紙からの紙粉の浮遊も低減でき、印刷画質の劣化を低減できるインクジェットプリンターを提供できる。
[適用例6]
前記プラテン部材の帯電部位は、塩化ビニル、或いはフッ素系樹脂(テフロン(登録商標))よりなる、適用例1から5に記載のインクジェットプリンターである。
前記プラテン部材の帯電部位は、塩化ビニル、或いはフッ素系樹脂(テフロン(登録商標))よりなる、適用例1から5に記載のインクジェットプリンターである。
この形態より、前記プラテン部材表面の帯電を高めると共に帯電を維持することができる。
A.第1実施形態:
以下、本発明に係わるインクジェットプリンターIに適用した構成について、図面を参照して説明する。
以下、本発明に係わるインクジェットプリンターIに適用した構成について、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態の液体吐出装置の一例であるインクジェットプリンターIの外観を表す斜視図である。図2は、インクジェットプリンターIの印刷部位の外観を表す斜視図である。図3は、本発明に係わるインクジェットプリンターIのプラテン部材100とその周囲を拡大して示した図である。以下、インクジェットプリンターIを「プリンターI」とも呼ぶ。
図2に示すように、本実施形態のプリンターIには、ヘッドユニット1と、制御装置400とが設けられている。ヘッドユニット1は、液体吐出ヘッドの一例であるインクジェット式吐出ヘッド180を備え、キャリッジ3に搭載される。以下、インクジェット式吐出ヘッド180を、「吐出ヘッド180」とも呼ぶ。制御装置400は、プリンターI全体の動作を制御する。駆動モーター6は、図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に駆動力を伝達する。これにより、ヘッドユニット1を搭載したキャリッジ3は、金属製の装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5の軸方向に沿って往復移動される。
装置本体4には、平板状のプラテン部材100が設けられている。プラテン部材100は、用紙150(被処理物の一種)をその裏面から支持して吐出ヘッド180に対する用紙150の位置を規定する。プラテン部材100の詳細については後述する。
本実施形態によるインクジェットプリンターIは、さらに、吐出ヘッド180により印刷処理が行われる用紙150をヘッド走査方向に対して直交する送り方向に間欠的に搬送する送り機構を備えている。
図3に示したように、送り機構は、用紙150を挟み込んで搬送方向(送り方向)Fに沿って、プラテン部材100上へ送るために、互いに対向配置された給紙ローラー14a、14bと、印刷された用紙150を排出するために互いに対向配置された排紙ローラー13a,13bと、を備えている。なお、給紙ローラー14a及び排紙ローラー13aは従動ローラーであり、給紙ローラー14b及び排紙ローラー13bは駆動ローラーである。
本実施形態では、用紙150の搬送方向Fとは逆の向きを第1の方向Xと称し、キャリッジ3の移動方向に沿った方向を第2の方向Yと称する。本実施形態では、各方向(X、Y、Z)の関係は直交するものとしているが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるものではない。また、第3の方向Zは、本実施形態では、用紙150側からヘッドユニット1側に向かう方向であり、ヘッドユニット1のノズルがインクを吐出する方向とは逆方向である。
図2に示すように、ヘッドユニット1には、液体であるインクが貯留されたインクタンク等の液体貯留手段を有する液体供給手段2がインクを供給可能に接続されている。液体供給手段2は、装置本体4に固定されており、液体供給手段2からのインクはフレキシブルチューブ等の供給管2aを介してヘッドユニット1に供給される。なお、液体供給手段2は、装置本体4に固定されたものに限定されず、例えば、インクカートリッジ等の液体供給手段をヘッドユニット1上に保持させて、液体供給手段をヘッドユニット1と共にキャリッジ3で移動させるようにしてもよい。
プリンターIの非印刷領域には、ヘッドユニット1のノズルから流路内のインクや気泡等を吸引する吸引装置9が設けられている。吸引装置9は、ヘッドユニット1のノズルを覆うキャップ部材9aと、キャップ部材9aに吸引管9bを介して接続されたポンプ9cと、を備える。
吸引装置9は、キャップ部材9aを待機状態のヘッドユニット1のノズル面に当接させ、ポンプ9cの吸引動作によって、ヘッドユニット1の流路内のインクを気泡と共にノズルから吸引する。プリンターIの非印刷時には、キャップ部材9aによってノズルを封止することによりノズルの乾燥を抑制するようにしてもよい。なお、キャップ部材9aは、所望のタイミングでノズル面に当接してノズルを覆うため、方向Zに沿って移動自在に設けられている。このキャップ部材9aの方向Zへの移動は、例えば、図示しない駆動モーターや電磁石等の移動手段によって行われる。
次に、図4および図5を用いて、プラテン部材100の詳細について説明する。図4は、本発明に係わるプリンターIのプラテン部材100の構成を説明した分解斜視図である。図5は、プラテン部材100の長手方向の断面を図4のA−A’矢視として示すプラテン部材100の断面図である。プラテン部材100は基本的に、本体130、吸収体120、帯電部材110の3個の部位からなる。帯電部材110は誘電体であって、塩化ビニル、或いはフッ素系樹脂(テフロン)等の樹脂材料を用いることが好ましい。帯電部材110は、2本の長辺部111、112を持ち、複数の短辺部115、116、117、118、119を挟んだ梯子状の形態としている。
図7は本発明に係わるプリンターIの吐出ヘッド180のインクの液滴の吐出面側を示した図である。インクの吐出部となるノズルプレート181には複数のノズル開口182が形成されている。ノズルプレート181の周囲にはカバーヘッド183が設けられている。カバーヘッド183は金属からなり、電気的には本発明に係わるプリンターIの回路におけるGND電位に接続されており、且つプリンターIを構成する金属筐体とも電気的に接続し、同電位となっている。より好ましくは、前記GND電位は地上(アース)と同電位(接地)とする。ノズルプレート181についても前記GND電位と接続していることが好ましいが、GND電位でなくともよい。
ノズルプレート181を含んだカバーヘッド183のインク吐出面側の面積をSとすると、印刷動作時に吐出ヘッド180の移動により、帯電部材110の各長辺部111、112、各短辺部115〜119と相対向した時に、前記面積Sに覆われる、各長辺部111、112、各短辺部115〜119のそれぞれの該対向する面積は、前記面積Sに比べて十分小さいことが好ましい。
各短辺部115〜119の間隔は定型用紙の長手方向又は幅方向の長さに準じて設定されており、例えば短辺部115、116の間隔は、はがき用紙(A6用紙)の幅、短辺部115、117の間隔は、B5用紙の幅、短辺部115、118の間隔は、A4用紙の幅、短辺部115、119の間隔は、B4用紙の幅、等となっている。これにより、各用紙の印刷の際、用紙の幅方向のエッヂ付近に必ず短辺部115と短辺部116〜119の何れかが存在する形態にすることができる。尚、用紙への印刷の際で、用紙の長手方向のエッヂに対しては、長辺部111、又は長辺部112付近に用紙の長手方向のエッヂが置かれるタイミングをプリンターIの紙送り機構の制御により作ることができる。
図4に示したように、帯電部材110は吸収体120に形成された溝状の凹部121に収納されて、プラテン部材100の上面部の表面となり、印刷される用紙の裏面側となる。吸収体120はインクの液滴等を受けるためのスポンジ状等の材料であって、電気的には絶縁性である。吸収体120は本体130に形成された凹部131に収納される。また、本体130も電気的に絶縁性の樹脂等の材料からなる。
次に、図6を用いて第2実施形態のプラテン部材200について説明する。図6は、第2実施形態のプラテン部材200の構成を説明した分解斜視図である。第1実施形態のプラテン部材100の帯電部材110及びそれに対応した吸収体120の形状については、図6に示すように、帯電部材210及びそれに対応した吸収体220とすることも可能である。詳細に説明すると、吸収体220は、1本の長辺部211を持ち、複数の短辺部215、216、217、218、219を有する形態としている。
ノズルプレート181を含んだカバーヘッド183のインク吐出面側の面積をSとすると、印刷動作時に吐出ヘッド180の移動により、帯電部材210の長辺部211、各短辺部215〜219と相対向した時に、前記面積Sに覆われる、長辺部211、各短辺部215〜219のそれぞれの該対向する面積は、前記面積Sに比べて十分小さいことが好ましい。
各短辺部215〜219の間隔は定型用紙の長手方向又は幅方向の長さに準じて設定されており、例えば短辺部215、216の間隔は、はがき用紙(A6用紙)の幅、短辺部215、217の間隔は、B5用紙の幅、短辺部215、218の間隔は、A4用紙の幅、短辺部215、219の間隔は、B4用紙の幅、等となっている。これにより、各用紙の印刷際、用紙の幅方向のエッヂ付近に必ず短辺部215と短辺部216〜219の何れかがある形態にすることができる。尚、用紙への印刷の際で、用紙の長手方向のエッヂに対しては、長辺部211付近に用紙の長手方向のエッヂが置かれるタイミングをプリンターIの紙送り機構の制御により作ることができる。
帯電部材210は吸収体220に形成された溝状の凹部221に収納されて、プラテン部材200の上面部の表面となり、印刷される用紙の裏面側となる。尚、吸収体220はインクの液滴等を受けるためのスポンジ状等の材料であって、電気的には絶縁性である。吸収体220は本体130に形成された凹部131に収納される。
次に、図8Aおよび図8Bを用いて、ミスト付着の原理について説明する。図8Aは、2つの電極E1,E2間の不平等電界を表す説明図である。図8Bは、不平等電界下の空間でのパーティクルPcの挙動を表す説明図である。先ず、2つの電極E1,E2を対向させ、この2つの電極E1,E2間に電源PMを用いて電圧をかけることにより、電極間の空間に電界を形成することができるが、この2つの電極E1,E2の対向する面積が同一である場合、形成される電界は電極が対向した空間において略均一な電界密度となり、この状態を平等電界という。しかし、一方の電極が他方の電極に対して形状が異なる場合、例えば図8Aに示す電極E1と電極E2のように電極形状が異なる場合は、電極が大きい側から電極が小さい側に向かって電界密度は高まっていく形の電界が形成される。この状態を不平等電界という。
不平等電界下の空間でのパーティクルPcの挙動については、図8Bで示すように、パーティクルPcは電界密度が高い電極E2側に引き寄せられる。これは図に示すようにパーティクルPcの表面に、外界の電界により誘電分極が生じ、電界の電気力線を打ち消す極性の電荷が生じる。この時、その電荷の生じ方が電気力線の偏り(不均一性)に沿った形態となるためである。樹脂材料はそれと異なる材料と摩擦することにより、負の極性に帯電する傾向がある。こういった摩擦により帯電した材料の表面の電位は地上(アース)の電位(0V)に対する値として帯電計等で測定することができる。即ち、帯電した材料の表面と地上の間の空間には電界が生じていることになる。
図9は、一方の電極を地上接地した電極と帯電した樹脂材料との不平等電界を表す説明図である。図9に示すように地上接地(アース)した電極Mと、帯電した樹脂材料Nを用意すれば、その間の空間に電界を形成することができる。この時、電極Mの形状に対して、帯電した樹脂材料Nの形状を十分小さくすることにより、その間の空間に形成する電界は、樹脂材料Nの側で電界密度を高くした不平等電界を形成することができる。
樹脂材料の摩擦による帯電の傾向を示したものとして帯電列表が知られているが、フッ素系樹脂、或いは塩化ビニル等は帯電表で極めて強く負の極性に帯電する傾向にある。例えば、フッ素系樹脂(テフロン)と紙を擦り合わせると、フッ素系樹脂表面には1KV以上の電位を発生させることができる。よって、吸収体120、220についてはフッ素系樹脂或いは塩化ビニルとするのが好ましく、地上電位(アース)を本発明のプリンターIの回路GND電位及び金属筐体の電位とすることで、吐出ヘッド180のノズルプレート181及びカバーヘッド183とプラテン部材100又は200の帯電部材110又は210との間に、帯電部材110又は210側で電界密度が高い不平等電界の形態で生じさせることができる。
本発明に係わるプリンターIでは、吐出ヘッド180のプラテン部材100と対向する面(インク吐出面側)とプラテン部材100の間に、不平等電界をプラテン部材100側で電界密度が高まるように形成している。これにより、インクミストのプラテン部材100側への回収を促進させ、ノズルプレート181への付着を回避できる。更に、用紙エッジ部に付着し、振動等で飛散する紙粉についても同様にプラテン部材100側に吸着でき、ノズルプレート181への付着を回避できる。
ノズルプレート181の電位についてはカバーヘッド183と同電位のGNDであることが好ましいが、ノズルプレート181をGND電位にできない場合であっても、その周囲となるカバーヘッド183がGND電位であれば、ノズルプレート181のインク吐出側の空間にもカバーヘッド183とプラテン部材100と不平等電界の電気力線が入り込むと共に、吐出ヘッド180自体も移動するため、プラテン部材100側へのミスト吸着の効果を発揮することができる。
帯電部材110又は210はGNDに対して負極側となる傾向をもつ。また電位としては1KV以上のレベルとなる。それに対し、GNDレベル(0V)のインク吐出側のノズルプレート181やカバーヘッド183と帯電部材110又は210の間の距離は5mm以下程度となるが、帯電部材110又は210は樹脂材料(絶縁体)であるので、自由電子を持たないため、高電界下における放電は生じない。また、樹脂材料の表面の電位が高いといってもユーザーの接触による感電等も起こらない。
帯電部材110又は210の帯電については、本発明に係わるプリンターIによる紙送りの動作によって帯電レベルの上昇及び帯電レベルの維持を行うことができる。即ち、状況に応じて、紙送りを数回繰り返す動作により、紙と帯電部材110又は210との間での摩擦に近い動作を印刷時の最初に行うことで、帯電部材110又は210の帯電レベルの上昇及び帯電レベルの維持を行うことが可能である。更に、本発明に係わるプリンターIで、印刷作業を終えて電源をOFF状態にしても、帯電部材110又は210の帯電は継続している。この性質により、プリンターIでの印刷作業後に電源をOFF状態にした場合であっても浮遊し続けるインクミストや紙粉に対してプラテン部材100又は200への吸着作用は継続し続けることができる。
次に、図10を用いて、ミスト吸着及び紙粉吸着の原理について説明する。図10は本発明に係わるプリンターIにおけるインクミスト及び紙粉のプラテンへの吸着の状況を説明した図である。インクミストは縁なし印刷の際に多量発生する傾向がある。用紙のエッジの外側で吐出されたインクの液滴の大部分は吸収体120又は220により吸収されるが、同時にミストの発生も増大する傾向にある。
本発明に係わるプリンターIの帯電部材110又は210の短辺部116は、用紙150のエッジ151の下側付近に来るために、短辺部116(又は図示していないが短辺部216)と吐出ヘッド180のノズルプレート181及びカバーヘッド183との間で図のような不平等電界を発生させることができるので、発生したインクミストはプラテン部材100側に引き寄せられ、吸収体120又は220に吸着する。更に、用紙150のエッジ151に紙粉があった場合、プリンターIの用紙搬送等の振動により紙粉が飛散する可能性がある。その紙粉が浮遊している中に吐出ヘッド180が接近すると、紙粉が吐出ヘッド180のノズルプレート181に付着してしまう場合がある。本発明のプリンターIでは、短辺部116が、用紙150のエッジ151の下側付近に配置されており、短辺部116と吐出ヘッド180のノズルプレート181及びカバーヘッド183との間で図のような不平等電界を発生させることができるので、発生した紙粉は、プラテン部材100側に引き寄せられ、吸収体120又は220に吸着する。また、用紙150の長手方向のエッジについては、プラテン部材100又は200のそれぞれの長辺部111、112又は長辺部211の位置付近に用紙150の長手方向のエッジが来るように、プリンターIの用紙搬送を制御して、この位置で縁なし印刷を行えば、用紙150の幅方向のエッジに縁なし印刷する際と同様に、インクミスト及び紙粉をプラテン部材100又は200の吸収体120又は220に吸着させることができる。
B.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、ノズル開口を有するノズルプレートからインクを吐出させ、印刷対象物に画像を形成するインクジェットプリンターが提供される。このインクジェットプリンターは、ノズル開口を有するノズルプレートからインクを吐出させ、印刷対象物に画像を形成するインクジェットプリンターであって、画像印刷処理中の前記印刷対象物の裏面側であって、前記ノズルプレートを含む前記インク吐出ヘッドに対向する領域、及び、前記印刷対象物外に、インクが吐出されて、インクの液滴を被る領域に配置されるプラテン部材を有し、前記プラテン部材表面の帯電によって前記ノズルプレートより発生するインクミストを吸着させる。
この形態のインクジェットプリンターによれば、インクミストを効果的にプラテン側に付着させることができ、インクミストによる不具合を低減し、印刷画質の劣化を低減できるインクジェットプリンターを提供できる。
この形態のインクジェットプリンターによれば、インクミストを効果的にプラテン側に付着させることができ、インクミストによる不具合を低減し、印刷画質の劣化を低減できるインクジェットプリンターを提供できる。
(2)上記形態のインクジェットプリンターにおいて、前記プラテン部材表面の帯電は、前記インクジェットプリンターの印刷対象物の搬送動作により行ってもよい。
この形態のインクジェットプリンターによれば、前記プラテン部材表面の帯電を高めると共に帯電を維持することができる。
この形態のインクジェットプリンターによれば、前記プラテン部材表面の帯電を高めると共に帯電を維持することができる。
(3)上記形態のインクジェットプリンターにおいて、前記インクジェットプリンターを構成する電子回路におけるGND電位は前記インクジェットプリンターを構成する金属筐体と電気的に接続し、前記GND電位は地上(アース)電位に電気的に接続してもよい。
この形態のインクジェットプリンターによれば、より効果的にインクミストをプラテン側に付着させることができる。
この形態のインクジェットプリンターによれば、より効果的にインクミストをプラテン側に付着させることができる。
(4)上記形態のインクジェットプリンターにおいて、前記プラテン部材表面での帯電部位は誘電体材料であって、前記帯電部位が、前記ノズルプレートを含むインク吐出ヘッドのインク吐出面側と相対向した際、前記ノズルプレートを含むインク吐出ヘッドのインク吐出面側の面積に比べ、前記帯電部位の該対向面側の面積が小なる関係となってよい。
この形態のインクジェットプリンターによれば、より効果的にインクミストをプラテン側に付着させることができる。
この形態のインクジェットプリンターによれば、より効果的にインクミストをプラテン側に付着させることができる。
(5)上記形態のインクジェットプリンターにおいて、前記プラテン部材の帯電部位は、少なくとも1本の長辺部と複数の短辺部を有した形状であり、前記複数の短辺部の間隔は略定型用紙サイズの幅に合わせてよい。
この形態のインクジェットプリンターによれば、定型用紙の縁なし印刷時のインクミストの発生を効果的に低減できると共に、用紙からの紙粉の浮遊も低減でき、印刷画質の劣化を低減できるインクジェットプリンターを提供できる。
この形態のインクジェットプリンターによれば、定型用紙の縁なし印刷時のインクミストの発生を効果的に低減できると共に、用紙からの紙粉の浮遊も低減でき、印刷画質の劣化を低減できるインクジェットプリンターを提供できる。
(6)上記形態のインクジェットプリンターにおいて、前記プラテン部材の帯電部位は、塩化ビニル、或いはフッ素系樹脂(テフロン)よりなってよい。
この形態のインクジェットプリンターによれば、前記プラテン部材表面の帯電を高めると共に帯電を維持することができる。
この形態のインクジェットプリンターによれば、前記プラテン部材表面の帯電を高めると共に帯電を維持することができる。
本開示は、インクジェットプリンター以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、インクジェットプリンターの製造方法やインクジェットプリンターの制御方法、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
1…ヘッドユニット、2…液体供給手段、2a…供給管、3…キャリッジ、4…装置本体、5…キャリッジ軸、6…駆動モーター、7…タイミングベルト、9…吸引装置、9a…キャップ部材、9b…吸引管、9c…ポンプ、13a…排紙ローラー、13b…排紙ローラー、14a…給紙ローラー、100…プラテン部材、110…帯電部材、111…長辺部、115…短辺部、116…短辺部、120…吸収体、121…凹部、130…本体、131…凹部、150…用紙、151…エッジ、180…インクジェット式吐出ヘッド、181…ノズルプレート、182…ノズル開口、183…カバーヘッド、200…プラテン部材、210…帯電部材、211…長辺部、215…短辺部、216…短辺部、220…吸収体、221…凹部、400…制御装置
Claims (6)
- ノズル開口を有するノズルプレートからインクを吐出させ、印刷対象物に画像を形成するインクジェットプリンターであって、
画像印刷処理中の前記印刷対象物の裏面側であって、前記ノズルプレートを含む前記インク吐出ヘッドに対向する領域、及び、前記印刷対象物外に、インクが吐出されて、インクの液滴を被る領域に配置されるプラテン部材を有し、
前記プラテン部材表面の帯電によって前記ノズルプレートより発生するインクミストを吸着させる、
ことを特徴とするインクジェットプリンター。 - 前記プラテン部材表面の帯電は、前記インクジェットプリンターの印刷対象物の搬送動作により行う、
請求項1に記載のインクジェットプリンター。 - 前記インクジェットプリンターを構成する電子回路におけるGND電位は、前記インクジェットプリンターを構成する金属筐体と電気的に接続し、
前記GND電位は、地上(アース)電位に電気的に接続した、
請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンター。 - 前記プラテン部材表面での帯電部位は誘電体材料であって、
前記帯電部位が、前記ノズルプレートを含むインク吐出ヘッドのインク吐出面側と相対向した際、前記ノズルプレートを含むインク吐出ヘッドのインク吐出面側の面積に比べ、前記帯電部位の該対向面側の面積が小なる関係となる、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンター。 - 前記プラテン部材の帯電部位は、少なくとも1本の長辺部と複数の短辺部を有した形状であり、前記複数の短辺部の間隔は、略定型用紙サイズの幅に合わせた、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンター。 - 前記プラテン部材の帯電部位は、塩化ビニル、或いはフッ素系樹脂(テフロン)よりなる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンター。
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JP2018202592A JP2020069644A (ja) | 2018-10-29 | 2018-10-29 | インクジェットプリンター |
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JP2018202592A Pending JP2020069644A (ja) | 2018-10-29 | 2018-10-29 | インクジェットプリンター |
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JP (1) | JP2020069644A (ja) |
-
2018
- 2018-10-29 JP JP2018202592A patent/JP2020069644A/ja active Pending
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