しかしながら、刃物ホルダー3には押圧部(押圧ピン)130と回転部(端面カム)60を装着するための軸線方向のスペースが必要で、切断幅が狭い場合は対応できない場合がある。また、押圧部(押圧ピン)130が1個の場合は、上刃(丸刃)2は押圧部(押圧ピン)130によって全体が軸線方向に移動することはなく、押圧部(押圧ピン)130で押された位置を軸線方向の最大高さとして傾斜した状態で移動するので、ホルダーユニット1をスリッタ装置100の第1回転軸(回転軸)101に装着後、押圧部(押圧ピン)130が上刃(丸刃)2の真下の下刃103と圧接する位置からずれた位置にあると、圧接位置(圧接寸法)が異なってしまう。そのため、確実に上刃(丸刃)2の真下に押圧部(押圧ピン)130を移動させる必要があり、この作業を行うのは手間がかかる。隣り合うホルダーユニット1との隙間が狭い場合にはなおさらである。また、隣り合うホルダーユニット1の上刃(丸刃)2の刃先2aが作業を行うホルダーユニットの近くにあるので危険が伴う。
押圧部(押圧ピン)130を円周方向に均等に複数個(3個程)設ければ、上刃(丸刃)2は押圧部(押圧ピン)130によって全体が軸線方向に移動するので、押圧部(押圧ピン)130の位置が上刃(丸刃)2の真下以外のどの位置にあっても、圧接位置(圧接寸法)は同じになり、前述の押圧部(押圧ピン)130を上刃(丸刃)2の真下に移動させる作業はなくなる。しかし、押圧部(押圧ピン)130の部品数が多くなることと、刃物ホルダー3の押圧部(押圧ピン)130を挿入する孔や回転部(端面カム)60の凹部18又は凸部19の数も押圧ピン130の数に合わせて増やす必要があり、刃物ホルダー3及び回転部(端面カム)60の形状が複雑化し加工工数も増加して手間がかかることになる。
また、前述の場合は、上刃(丸刃)2を軸線方向に移動させて適切な上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を設定するためには、図15に示すように押圧部(押し圧ピン)130は上刃(丸刃)2の刃先2a側の側面を押す側に配置し、上刃(丸刃)2を挟んで押圧部(押し圧ピン)130の反対側に皿バネ(付勢手段)5を配置して、上刃(丸刃)2を皿バネ(付勢手段)5で押圧部(押し圧ピン)130側に付勢することが前提となるが、それとは別に、上刃(丸刃)2を軸線方向に移動させずに適切な上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を設定したい場合がある。そのためには、図16(a)に示すように押圧部(押し圧ピン)130を上刃(丸刃)2の刃先2aと反対側に配置し、皿バネ(付勢手段)5を上刃(丸刃)2と押圧部(押し圧ピン)130の間に配置することになる。つまり、押圧部(押し圧ピン)130は皿バネ(付勢手段)5を介して上刃(丸刃)2を押すことになり、上刃(丸刃)2は軸線方向に移動せず、皿バネ(付勢手段)5が弾性変形して上刃(丸刃)2を付勢する。しかし、この場合、押圧部(押し圧ピン)130で皿バネ(付勢手段)5を直接押すと、皿バネ(付勢手段)5は押し圧ピン130が当たった部分及びその近辺のみがへこんで、適正なバネ圧を得ることができないため、例えば図16(b)に示すように、皿バネ(付勢手段)5と押し圧ピン130の間に剛性のある円筒状の押し板20等を追加する必要があり余計な部品が増えることになる。また、隣り合うホルダーユニット1との隙間が狭い場合には、押し板20を取り付けるスペースが取れなくなる場合がある。
以上により、特許文献1に示すスリッタ装置では、まだ改善の余地が残されている。
本発明は、以上の問題を解決するためになされたもので、切断幅が狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、より簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができるスリッタ装置を提供することを目的とする。
本発明のスリッタ装置は、丸刃と、回転軸に取り付けられ該丸刃を嵌装する刃物ホルダーと、前記丸刃を前記刃物ホルダーに保持する保持リングと、前記刃物ホルダーに嵌装され前記丸刃を挟んで前記保持リングの反対側から前記丸刃の側面に円周状に当接して前記丸刃を前記回転軸の軸線方向に付勢する弾性変形可能な付勢手段と、を備えるスリッタ装置であって、
前記保持リングの内周面が嵌装される前記刃物ホルダーの外周面と前記保持リングの内周面のいずれか一方の面には、凸部が形成され、他方の面には、前記凸部が突出し且つ前記凸部が相対的に移動可能な受け部が形成され、前記保持リングを回転させることにより前記凸部と前記受け部との円周方向と前記軸線方向の位置を変化させ、変化に応じて前記付勢手段を弾性変形させて付勢力を変化させ、且つ、前記保持リングと前記丸刃を前記軸線方向に移動または係止させるようにしたスリッタ装置とした。
この構成によれば、保持リングの内周面に凸部が形成され刃物ホルダーの外周面に受け部が形成される場合は、保持リングを回転させることにより保持リングの凸部を刃物ホルダーの受け部に沿って移動させて、凸部を移動させた位置に応じて保持リングが移動し付勢手段を弾性変形させて付勢力を変化させ、且つ、丸刃を保持リングの側面で押して軸線方向に移動または係止させることができる。また、刃物ホルダーの外周面に凸部が形成され、保持リングの内周面に受け部が形成される場合は、保持リングを回転させることにより保持リングの受け部を刃物ホルダーの凸部に沿って移動させて、受け部を移動させた位置に応じて保持リングが移動し付勢手段を弾性変形させて付勢力を変化させ、且つ、丸刃を保持リングの側面で押して軸線方向に移動または係止させることができる。これにより、切断幅が狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。また、円筒状の保持リングは丸刃に円周状に当接し、付勢手段は刃物ホルダーに嵌装され丸刃を挟んで保持リングの反対側から丸刃の側面に円周状に当接して丸刃を回転軸の軸線方向に付勢しているので、付勢手段は部分的にへこむことはなく、適正なバネ圧を得ることができ、上下丸刃の刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整する際は、保持リングが円周方向のどの位置にあっても安定して圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
本発明のスリッタ装置は、丸刃と、回転軸に取り付けられ該丸刃を嵌装する刃物ホルダーと、前記丸刃を前記刃物ホルダーに保持する保持リングと、前記刃物ホルダーに嵌装され前記丸刃を挟んで前記保持リング側から前記丸刃の側面に円周状に当接して前記丸刃を前記回転軸の軸線方向に付勢する弾性変形可能な付勢手段と、を備えるスリッタ装置であって、前記保持リングの内周面が嵌装される前記刃物ホルダーの外周面と前記保持リングの内周面のいずれか一方の面には凸部が形成され、他方の面には前記凸部が突出して且つ前記凸部が相対的に移動可能な受け部が形成され、前記保持リングを回転させることにより前記凸部と前記受け部との円周方向と前記軸線方向の位置を変化させ、変化に応じて、前記丸刃を前記軸線方向に移動させずに、前記付勢手段を弾性変形させて付勢力を変化させるようにしたスリッタ装置とした。
この構成によれば、保持リングを付勢手段に直接当接させて適正な付勢力を得ることができ、保持リングの内周面に凸部が形成され刃物ホルダーの外周面に受け部が形成される場合は、保持リングを回転させることにより保持リングの凸部を刃物ホルダーの受け部に沿って移動させて、凸部を移動させた位置に応じて保持リングが移動し丸刃を移動させずに付勢手段を弾性変形させて付勢力を変化させることができる。また、刃物ホルダーの外周面に凸部が形成され保持リングの内周面に受け部が形成される場合は、保持リングを回転させることにより保持リングの受け部を刃物ホルダーの凸部に沿って移動させて、受け部を移動させた位置に応じて保持リングが移動し丸刃を移動させずに付勢手段を弾性変形させて付勢力を変化させることができる。これにより、切断幅が狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。また、円筒状の保持リングは付勢手段に円周状に当接し、付勢手段は刃物ホルダーに嵌装され丸刃を挟んで保持リング側から丸刃の側面に円周状に当接して丸刃を回転軸の軸線方向に付勢しているので、付勢手段は部分的にへこむことはなく、適正なバネ圧を得ることができ、上下丸刃の刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整する際は、保持リングが円周方向のどの位置にあっても安定して圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
本発明のスリッタ装置では、前記凸部が形成される前記一方の面が前記保持リングの内周面の場合、前記刃物ホルダーの外周面に形成される前記受け部は円周方向に対して傾斜し前記刃物ホルダーの外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝で形成され、前記凸部が形成される前記一方の面が前記刃物ホルダーの外周面の場合、前記保持リングの内周面に形成される前記受け部は円周方向に対して傾斜し前記保持リングの外周面に貫通する傾斜貫通長孔で形成されている。
この構成によれば、刃物ホルダーの外周面に受け部が形成される場合は、受け部は刃物ホルダーの外周面の円周方向(回転軸の軸線方向に直角な断面で表される刃物ホルダーの外周の円周方向)に対して傾斜し刃物ホルダーの外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝であり、保持リングを回転させることにより、保持リングの内周面に形成された凸部を傾斜長溝に沿って移動させて、保持リングを傾斜長溝の傾斜角度に応じて軸線方向に移動させることができる。また、保持リングの内周面に受け部が形成される場合は、受け部は保持リングの内周面の円周方向(軸線方向に直角な断面で表される保持リングの内周の円周方向)に対して傾斜し保持リングの外周面に貫通する傾斜貫通長孔であり、保持リングを回転させることにより、保持リングの傾斜貫通長孔を刃物ホルダーの凸部に沿って移動させて、保持リングを傾斜貫通長孔の傾斜角度に応じて回転軸の軸線方向に移動させることができる。
本発明のスリッタ装置では、前記凸部が形成される前記一方の面が前記保持リングの内周面の場合、前記刃物ホルダーの外周面に形成される前記受け部は円周方向に対して傾斜し前記刃物ホルダーの外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝と、円周方向に対して平行で前記刃物ホルダーの外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する平行長溝と、が連通して形成され、前記凸部が形成される前記一方の面が前記刃物ホルダーの外周面の場合、前記保持リングの内周面に形成される前記受け部は円周方向に対して傾斜し前記保持リングの外周面に貫通する傾斜貫通長孔と、円周方向に対して平行で前記保持リングの外周面に貫通する平行貫通長孔と、が連通して形成されている。
この構成によれば、刃物ホルダーの外周面に受け部が形成される場合は、受け部は刃物ホルダーの外周面の円周方向に対して傾斜し刃物ホルダーの外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝と刃物ホルダーの外周面の円周方向に対して平行で刃物ホルダーの外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する平行長溝とが連通して形成されており、保持リングを回転させることにより、保持リングの内周面に形成された凸部を刃物ホルダーの傾斜長溝に沿って移動させて、保持リングを傾斜長溝の傾斜角度に応じて回転軸の軸線方向に移動させた後に、平行長溝に凸部を移動させることで保持リングを刃物ホルダーに係止させて保持することができる。また、保持リングの内周面に受け部が形成される場合は、受け部は保持リングの内周面の円周方向に対して傾斜し保持リングの外周面に貫通する傾斜貫通長孔と保持リングの内周面の円周方向に対して平行で保持リングの外周面に貫通する平行貫通長孔が連通して形成されており、保持リングを回転させることにより、保持リングの傾斜貫通長孔を刃物ホルダーの凸部に沿って移動させて、保持リングを傾斜貫通長孔の傾斜角度に応じて回転軸の軸線方向に移動させた後に、凸部に平行貫通長孔を移動させることで保持リングを刃物ホルダーに係止させて保持することができる。
本発明のスリッタ装置では、前記凸部が形成される前記一方の面が前記保持リングの内周面の場合、前記刃物ホルダーの外周面に形成される前記受け部は円周方向に対して傾斜し前記刃物ホルダーの外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝と、円周方向に対して平行で前記刃物ホルダーの外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する平行長溝と、が連通して交互に複数形成され、前記凸部が形成される前記一方の面が前記刃物ホルダーの外周面の場合、前記保持リングの内周面に形成される前記受け部は円周方向に対して傾斜し前記保持リングの外周面に貫通する傾斜貫通長孔と、円周方向に対して平行で前記保持リングの外周面に貫通する平行貫通長孔と、が連通して交互に複数形成されている。
この構成によれば、刃物ホルダーの外周面に受け部が形成される場合は、受け部は刃物ホルダーの外周面の円周方向に対して傾斜し前記刃物ホルダーの外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝と刃物ホルダーの外周面の円周方向に対して平行で前記刃物ホルダーの外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する平行長溝とが連通して交互に複数形成されており、保持リングを回転させることにより、保持リングの内周面に形成された凸部を刃物ホルダーの複数の傾斜長溝に沿って移動させて、保持リングを傾斜長溝の傾斜角度に応じて回転軸の軸線方向に移動させた後に、複数の平行長溝のいずれかに凸部を移動させることで保持リングを異なった位置で刃物ホルダーに係止させて保持することができるので異なった付勢状態を設定するができる。また、保持リングの内周面に受け部が形成される場合は、受け部は保持リングの内周面の円周方向に対して傾斜し保持リングの外周面に貫通する傾斜貫通長と保持リングの内周面の円周方向に対して平行で保持リングの外周面に貫通する平行貫通長孔が連通して交互に複数形成されており、保持リングを回転させることにより、保持リングの複数の傾斜貫通長孔を刃物ホルダーの凸部に沿って移動させて、保持リングを傾斜貫通長孔の傾斜角度に応じて回転軸の軸線方向に移動させた後に、凸部に異なった平行貫通長孔を移動させることで保持リングを異なった位置で刃物ホルダーに係止させて保持することができるので異なった付勢状態を設定することができる。
本発明のスリッタ装置では、前記凸部が形成される前記一方の面が前記保持リングの内周面の場合は、前記凸部は前記保持リングの外周面から内周面に貫通して形成された雌ネジ孔に螺入された押しネジ若しくはボールプランジャーであり、前記凸部が形成される前記一方の面が前記刃物ホルダーの外周面の場合は、前記凸部は前記刃物ホルダーの外周面に形成された雌ネジ孔に前記保持リングの前記受け部を通して螺入された頭部を有する雄ネジ若しくは頭部を有するボルトである。
この構成によれば、凸部が保持リングに形成された雌ネジ孔に螺入された押しネジ若しくはボールプランジャーの場合は、保持リングを回転させることにより、押しネジ若しくはボールプランジャーを受け部に沿って移動させて、受け部の任意の位置で押しネジ若しくはボールプランジャーを締め付けて保持リングを刃物ホルダーに係止させ刃物ホルダーに保持することが可能になり、凸部が刃物ホルダーに形成された雌ネジ孔に螺入された頭部を有する雄ネジ若しくは頭部を有するボルトの場合は、保持リングを回転させることにより、頭部を有する雄ネジ若しくは頭部を有するボルトに沿って受け部を移動させて、受け部の任意の位置で頭部を有する雄ネジ若しくは頭部を有するボルトを締め付けて保持リングを刃物ホルダーに係止させ刃物ホルダーに保持することが可能になる。
本発明のスリッタ装置は、保持リングを回転軸の周方向に回転させるハンドルを備える。
この構成によれば、ハンドルによって操作者がハンドルによって保持リングに回転力を与えることで、保持リングを回転軸の周方向に容易に回転させることができる。
本発明のスリッタ装置は、前記付勢手段は皿バネである。
この構成によれば、皿バネ(付勢手段)は軸線方向に弾性変形し、丸刃の側面に円周状に当接して丸刃を回転軸の軸線方向に付勢しているので、皿バネ(付勢手段)は部分的にへこむことはなく、適正なバネ圧を得ることができ、上下丸刃の刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整する際は、保持リングが円周方向のどの位置にあっても安定して圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
本発明は、保持リングを回転させることにより刃物ホルダーの外周面と保持リングの内周面のいずれか一方の面に形成された凸部と他方の面に形成された受け部との位置を変化させ、凸部と受け部との位置の変化に応じて、保持リングと丸刃を軸線方向に移動または係止させるので、刃物ホルダーは軸線方向のスペースを抑えることができて切断幅がより狭い場合でも対応が可能であり、切断幅がより狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、より簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態のスリッタ装置について、図1乃至図5及び図13、図14を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態のスリッタ装置に用いられるホルダーユニット1の一例を示した分解斜視図、図2は図1に示す刃物ホルダー3の3通りの受け部8の形状を説明するための図、図3は図2(a)に示す刃物ホルダー3を用いた場合の動作を説明するための図、図4は図2(b)に示す刃物ホルダー3を用いた場合の動作を説明するための図、図5は図2(c)に示す刃物ホルダー3を用いた場合の動作を説明するための図である。ホルダーユニット1は、単体で予め組み立てられ、図13に示すスリッタ装置100の第1回転軸(回転軸)101に取り付けられる。上刃(丸刃)2と第2回転軸102に取り付けられる下刃103とは図14に示すようにオーバーラップ量Yでオーバーラップさせ、上刃(丸刃)2を軸線方向に移動させて上下刃先を圧接させ、第1回転軸(回転軸)101及び第2回転軸102が回転させることにより、帯状の被切断部材を周方向に沿って(多数条に)切断する。ホルダーユニット1は、第1回転軸(回転軸)101に複数個装着される。
図1に示すように、ホルダーユニット1は、上刃(丸刃)2、刃物ホルダー3、保持リング4、皿バネ(付勢手段)5を備える。刃物ホルダー3は、フランジ部6、小径段部7、小径段部7の外周面に形成された受け部8、フランジ部6に形成された貫通雌ネジ孔9及び貫通雌ネジ孔9に螺入し第1回転軸(回転軸)101にホルダーユニット1を固定するための押しネジ10を備える。保持リング4は、貫通雌ネジ孔11、貫通雌ネジ孔11に螺入するボールプランジャー(凸部)12及び保持リング回転用冶具(ハンドル)16を備える。尚、凸部12はボールプランジャーとしたが、押しネジであってもよい。
刃物ホルダー3の小径段部7は、フランジ部6よりも外径が小さくなっており、皿バネ(付勢手段)5、上刃(丸刃)2及び保持リング4の内径と一致し、皿バネ(付勢手段)5、上刃(丸刃)2、保持リング4の順に小径段部7に挿入される。上刃(丸刃)2の刃先は皿バネ(付勢手段)5が装着される側と反対側の保持リング4側とする。皿バネ(付勢手段)5は、皿の小径部(底)が刃物ホルダー3のフランジ部6側面に当接し、皿の大径部が上刃(丸刃)2と円周状に当接する。
刃物ホルダー3の小径段部7の外周面に形成された受け部8は図2に示すように、以下の3通りがある。(a)円周方向に対して傾斜し刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝8a、(b)円周方向に対して傾斜し刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝8aと円周方向に対して平行で刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する平行長溝8bとが連通して形成、(c)円周方向に対して傾斜し刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝8a(n)と円周方向に対して平行で刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する平行長溝8b(n)が連通して交互に複数形成(nは2以上の複数を表す。)。ここで、この場合の円周方向とは軸線方向に直角な断面で表される小径段部7の外周の円周方向を言う。また、上記3通りのいずれの場合も図2に示すように、受け部8の最終端は刃物ホルダー3の側面に貫通することなく、行き止まりとしている。そして、保持リング4の貫通雌ネジ孔11に螺入するボールプランジャー(凸部)12が受け部8に移動可能に突出する。これにより、保持リング4は刃物ホルダー3から外れることなく第1回転軸(回転軸)101の軸線方向に移動可能に保持され、上刃(丸刃)2及び皿バネ(付勢手段)5は保持リング4により刃物ホルダー3に保持される。
保持リング4は、第1回転軸(回転軸)101の周方向に回転可能であり、保持リング4を回転させることにより、ボールプランジャー(凸部)12は受け部8との円周方向及び軸線方向の位置を変化させ、変化に応じて、皿バネ(付勢手段)5を弾性変形させて付勢力を変化させ、且つ、保持リング4と丸刃2を第1回転軸(回転軸)101の軸線方向に移動または係止させる。
保持リング回転用冶具(ハンドル)16は、操作者が回転力を与えることにより、保持リング6を第1回転軸(回転軸)101の周方向に回転させる。
以上のように、ホルダーユニット1が単体として組み立てられる。組み立てられたホルダーユニット1は、第1回転軸(回転軸)101に複数個装着される。ホルダーユニット1の位置が決まったら、押しネジ10を締めて、ホルダーユニット1を第1回転軸(回転軸)101に固定する。
図3は図2(a)に示すように、刃物ホルダー3の小径段部7に形成される受け部8が、円周方向に対して傾斜し刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝8aである場合のホルダーユニット1の一部断面を有する側面図である。図4は図2(b)に示すように、刃物ホルダー3の小径段部7に形成される受け部8が、円周方向に対して傾斜し刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝8aと円周方向に対して平行で刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する平行長溝8bとで連通して形成されている場合のホルダーユニット1の一部断面を有する側面図である。図5は図2(c)に示すように、刃物ホルダー3の小径段部7に形成される受け部8が、円周方向に対して傾斜し刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝8a(n)と円周方向に対して平行で刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する平行長溝8b(n)とで連通して交互に複数形成されている場合のホルダーユニット1の一部断面を有する側面図である。
図3(a)に示すように、保持リング4が上刃(丸刃)2を付勢しない非付勢状態では、保持リング4は皿バネ(付勢手段)5によって軽く押され、ボールプランジャー(凸部)12は傾斜長溝8aの左端で係止するので、保持リング4は刃物ホルダー3から外れることなく保持され、上刃(丸刃)2と皿バネ(付勢手段)5とは僅かな付勢状態か、非付勢状態かで接している。
図3(b)に示すように、保持リング4が上刃(丸刃)2を付勢する付勢状態は、保持リング4を回転させることにより、ボールプランジャー(凸部)12を傾斜長溝8aに沿って移動させて、保持リング4を第1回転軸(回転軸)101の軸線方向に変化させ、変化に応じて、上刃(丸刃)2を軸線方向に移動させ、皿バネ(付勢手段)5を弾性変形させて付勢力を非付勢状態から付勢状態に変化させ、ボールプランジャー(凸部)12を傾斜長溝8aの任意の圧接位置(圧接寸法)である寸法Sで止めて締め付けた状態である。
以上のことから、保持リング4を回転させることにより、上刃(丸刃)2は非付勢状態から付勢状態に切り替わりるので、被切断部材が切断面の品質を保って最適に切断されるように、前もって傾斜長溝8aの任意の圧接位置(圧接寸法)である寸法Sに印を付ける等して位置を決めておけば、容易に適切な上下刃先の圧接位置(圧接寸法)に設定することが可能になる。また、皿バネ(付勢手段)5は上刃(丸刃)2を挟んで保持リング4の反対側から上刃(丸刃)2の側面に円周状に当接しているので、保持リング4が円周方向のどの位置にあっても、容易に安定して圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
また、図4に示すように、刃物ホルダー3の小径段部7に形成される受け部8が、円周方向に対して傾斜し刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝8aと円周方向に対して平行で刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する平行長溝8bとで連通して形成されていることでもよい。この場合、保持リング4を回転させて、ボールプランジャー(凸部)12を図4(a)に示す傾斜長溝8aの左端の位置から図4(b)に示す平行長溝8bの圧接位置(圧接寸法)の寸法Sまで保持リング4を移動させることにより、皿バネ(付勢手段)5を弾性変形させて付勢力を変化させ、ボールプランジャー(凸部)12を締め付けることなく非付勢状態から付勢状態に切り替えて係止させることができる。このことから、被切断部材が切断面の品質を保って最適に切断されるように、前もって傾斜長溝8aと平行長溝8bとを寸法Sになるように加工しておくことで、容易に適切な上下刃先の圧接位置(圧接寸法)に設定することが可能になる。
また、図4では受け部8が傾斜長溝8aと平行長溝8bが1つずつで形成されているが、図5に示すように、傾斜長溝8a(n)と平行長溝8b(n)とが連通して交互に複数形成されていることでもよい。この場合、保持リング4を回転させて、ボールプランジャー(凸部)12を図5(a)に示す傾斜長溝8a(2)の左端の位置から図5(b)に示すように平行長溝8b(2)の圧接位置(圧接寸法)の寸法S1まで移動させる第1付勢状態の場合と、図5(c)に示すように傾斜長溝8a(1)を通って平行長溝8b(1)の圧接位置(圧接寸法)の寸法S2まで移動させる第2付勢状態とした場合のように、複数の異なった付勢状態を設定することができるようにしておくことで、容易に被切断部材の材質や厚み等の条件の違いに対応できるような適切な上下刃先の圧接位置(圧接寸法)に設定することが可能になる。
以上のように、第1の実施の形態によれば、保持リング4を回転させることにより保持リング4の内周面に形成された凸部と刃物ホルダー3の外周面に形成された受け部8との位置を変化させ、変化に応じて、皿バネ(付勢手段)5を弾性変形させて付勢力を変化させ、且つ、保持リング4と上刃(丸刃)2が軸線方向に移動または係止するので、予め受け部と凸部の位置を被切断部材を切断するための最適な圧接寸法として加工しておけば、第1回転軸(回転軸)101に組込む前の上刃(丸刃)2と保持リング4と皿バネ(付勢手段)5を刃物ホルダー3に装着したホルダーユニット1単体の状態で、保持リング4を回転させて上刃(丸刃)2を軸線方向に移動させて付勢状態にすることで、前もって上刃(丸刃)2を上下刃先の圧接位置(圧接寸法)にしておくことができる。この付勢状態で、ホルダーユニット1をスリッタ装置100の第1回転軸(回転軸)101に装着して、上刃(丸刃)2の刃先を下刃103の刃先に軽く接触させた位置で刃物ホルダー3を押しネジ10で第1回転軸(回転軸)101に固定し、その後保持リング4を回転させて非付勢状態にしてやれば、上刃(丸刃)2を所定の圧接位置(圧接寸法)で圧接させることができる。
受け部と凸部の位置はワンタッチで切り替えるだけでよい。これにより、切断幅が狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、より簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態のスリッタ装置について、図6乃至図10及び図13を用いて説明する。特に言及しない場合は、他の構成は、第1の実施の形態のスリッタ装置と同様である。図6は、本発明の実施の形態のスリッタ装置に用いられるホルダーユニット1の一例を示した分解斜視図、図7は図6に示す保持リング4の3通りの受け部13の形状を説明するための図、図8は図7(a)に示す保持リング4を用いた場合の動作を説明するための図、図9は図7(b)に示す保持リング4を用いた場合の動作を説明するための図、図10は図7(c)に示す保持リング4を用いた場合の動作を説明するための図である。図6に示すように、ホルダーユニット1は、上刃(丸刃)2、刃物ホルダー3、保持リング4、皿バネ(付勢手段)5を備える。刃物ホルダー3は、フランジ部6、小径段部7、小径段部7に形成された雌ネジ孔14、フランジ部6に形成された貫通雌ネジ孔9及び貫通雌ネジ孔9に螺入し第1回転軸(回転軸)101にホルダーユニット1を固定するための押しネジ10を備える。保持リング4は受け部13及び保持リング回転用冶具(ハンドル)16を備える。この場合の受け部13は保持リング4の内周面から外周面に貫通する貫通長孔で形成されている。そして、刃物ホルダー3の雌ネジ孔14には、保持リング4の受け部(貫通長孔)13を通して頭部を有する固定ボルト(凸部)15が螺入される。尚、凸部15は頭部を有する雄ネジであってもよい。
第2の実施の形態が第1の実施形態と異なる点は、保持リング4側に受け部があり、刃物ホルダー3側に凸部がある点であり、皿バネ(付勢手段)5、上刃(丸刃)2、保持リング4の配置は同じである。上刃(丸刃)2の刃先も保持リング4側として同じである。
保持リング4の受け部13は内周面から外周面に貫通する貫通長孔で形成され、図7に示すように、以下の3通である。(a)円周方向に対して傾斜する傾斜貫通長孔13a、(b)円周方向に対して傾斜する傾斜貫通長孔13aと円周方向に対して平行な平行貫通長孔13bとが連通して形成、(c)円周方向に対して傾斜する傾斜貫通長孔13a(n)と円周方向に対して平行な平行貫通長孔13b(n)が連通して交互に複数形成(nは2以上の複数を表す)。ここで、この場合の円周方向とは軸線方向に直角な断面で表される保持リング4の外周の円周方向を言う。また、上記3通りのいずれの場合も図7に示すように、受け部13の最終端は保持リング4の側面に貫通することなく行き止まりとしている。そして、刃物ホルダー3の雌ネジ孔14に、保持リング4の受け部13を通して固定ボルト(凸部)15が螺入されているので、保持リング4は刃物ホルダー3から外れることなく第1回転軸(回転軸)101の軸線方向に移動可能に保持され、上刃(丸刃)2及び皿バネ(付勢手段)5は保持リング4により刃物ホルダー3に保持される。
保持リング4は、第1回転軸(回転軸)101の周方向に回転可能であり、保持リング4を回転させることにより、受け部13は固定ボルト(凸部)15との円周方向及び軸線方向の位置を変化させ、変化に応じて、皿バネ(付勢手段)5を弾性変形させて付勢力を変化させ、且つ、保持リング4と丸刃2を第1回転軸(回転軸)101の軸線方向に移動または係止させる
以上のように、ホルダーユニット1が単体として組み立てられる。組み立てられたホルダーユニット1は、第1回転軸(回転軸)101に複数個装着される。ホルダーユニット1の位置が決まったら、押しネジ10を締めて、ホルダーユニット1を第1回転軸(回転軸)101に固定する。
図8は図7(a)に示すように、保持リング4の内周面に形成される受け部13が、円周方向に対して傾斜し保持リング4の外周面に貫通する傾斜貫通長孔13aである場合のホルダーユニット1の側面図である。図9は図7(b)に示すように、保持リング4の内周面に形成される受け部13が、円周方向に対して傾斜し保持リング4の外周面に貫通する傾斜貫通長孔13aと円周方向に対して平行で保持リング4の外周面に貫通する平行貫通長孔13bとで連通して形成されている場合のホルダーユニット1の側面図である。図10は図7(c)に示すように、保持リング4の内周面に形成される受け部13が、円周方向に対して傾斜し保持リング4の外周面に貫通する傾斜貫通長孔13a(n)と円周方向に対して平行で保持リング4の外周面に貫通する平行貫通長孔13b(n)とで連通して交互に複数形成されている場合のホルダーユニット1の側面図である。尚、図8乃至図10に示した固定ボルト(凸部)15は頭部を有するが、その部分を省略して記載している。
図8(a)に示すように、保持リング4が上刃(丸刃)2を付勢しない非付勢状態では、保持リング4は皿バネ(付勢手段)5によって軽く押され、傾斜貫通長孔13aの右端が固定ボルト(凸部)15で係止するので、保持リング4は刃物ホルダー3から外れることなく保持され、上刃(丸刃)2と皿バネ(付勢手段)5とは僅かな付勢状態か、非付勢状態かで接している。
図8(b)に示すように、保持リング4が上刃(丸刃)2を付勢する付勢状態は、保持リング4を回転させることにより、傾斜貫通長孔13aを固定ネジ(凸部)15に沿って移動させて、保持リング4を第1回転軸(回転軸)101の軸線方向に変化させ、変化に応じて、上刃(丸刃)2を軸線方向に移動させ、皿バネ(付勢手段)5を弾性変形させて付勢力を非付勢状態から付勢状態に変化させ、傾斜貫通長孔8aの位置を固定ボルト(凸部)15に対して任意の圧接位置(圧接寸法)である寸法Sで止めて固定ボルト(凸部)15を締め付けた状態である。
以上のことから、保持リング4を回転させることにより、上刃(丸刃)2は非付勢状態から付勢状態に切り替わりるので、被切断部材が切断面の品質を保って最適に切断されるように、前もって傾斜貫通長孔13aの任意の圧接位置(圧接寸法)である寸法Sに印を付ける等して位置を決めておけば、容易に適切な上下刃先の圧接位置(圧接寸法)に設定することが可能になる。また、皿バネ(付勢手段)5は上刃(丸刃)2を挟んで保持リング4の反対側から上刃(丸刃)2の側面に円周状に当接しているので、保持リング4が円周方向のどの位置にあっても、容易に安定して圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
また、図9に示すように、保持リング4の内周面に形成される受け部13が、円周方向に対して傾斜し保持リング4の外周面に貫通する傾斜貫通長孔13aと円周方向に対して平行で保持リング4の外周面に貫通する平行貫通長孔13bとで連通して形成されていることでもよい。この場合、保持リング4を回転させて、図9(a)に示す傾斜貫通長孔13aの右端の位置から固定ボルト(凸部)15に沿って移動させて、皿バネ(付勢手段)5を弾性変形させて付勢力を変化させ、図9(a)に示す傾斜貫通長孔13aの右端の位置から図9(b)に示す平行貫通長孔13bの圧接位置(圧接寸法)の寸法Sまで移動させることにより、固定ボルト(凸部)15を締め付けることなく非付勢状態から付勢状態に切り替えて係止させることができる。このことから、被切断部材が切断面の品質を保って最適に切断されるように、前もって傾斜貫通長孔13aと平行貫通長孔13bとを寸法Sになるように加工しておくことで、容易に適切な上下刃先の圧接位置(圧接寸法)に設定することが可能になる。
また、図9では受け部13が傾斜貫通長孔13aと平行貫通長孔13bが1つずつで形成されているが、図10に示すように、傾斜貫通長孔13(n)と平行貫通長孔13(n)とが連通して交互に複数形成されていることでもよい。この場合、保持リング4を回転させて、貫通長孔(受け部)13を固定ボルト(凸部)15に沿って移動させて、図10(a)に示す傾斜貫通長孔13a(2)の右端の位置から図10(b)に示すように平行貫通長孔13b(2)の圧接位置(圧接寸法)の寸法S1まで移動させる第1付勢状態の場合と、図10(c)に示すように傾斜貫通長孔13a(1)を通って平行貫通長孔13b(1)の圧接位置(圧接寸法)の寸法S2まで移動させる第2付勢状態とした場合のように、複数の異なった付勢状態を設定することができるようにしておくことで、容易に被切断部材の材質や厚み等の条件の違いに対応できるような適切な上下刃先の圧接位置(圧接寸法)に設定することが可能になる。
以上のように、第2の実施の形態によれば、保持リング4を回転させることにより刃物ホルダー4の外周面に形成された凸部と保持リング4の内周面に形成された受け部13との位置を変化させ、変化に応じて、皿バネ(付勢手段)5を弾性変形させて付勢力を変化させ、且つ、保持リング4と上刃(丸刃)2が軸線方向に移動または係止するので、予め受け部と凸部の位置を被切断部材を切断するための最適な圧接寸法として加工しておけば、第1回転軸(回転軸)101に組込む前の上刃(丸刃)2と保持リング4と皿バネ(付勢手段)5とを刃物ホルダー3に装着したホルダーユニット1単体の状態で、保持リング4を回転させて上刃(丸刃)2を軸線方向に移動させて付勢状態にすることで、前もって上刃(丸刃)2を上下刃先の圧接位置(圧接寸法)にしておくことができる。この付勢状態で、ホルダーユニット1をスリッタ装置100の第1回転軸(回転軸)101に装着して、上刃(丸刃)2の刃先を下刃103の刃先に軽く接触させた位置で刃物ホルダー3を押しネジ10で第1回転軸(回転軸)101に固定し、その後保持リング4を回転させて非付勢状態にしてやれば、上刃(丸刃)2を所定の圧接位置(圧接寸法)で圧接させることができる。
受け部と凸部の位置はワンタッチで切り替えるだけでよい。これにより、切断幅が狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、より簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態のスリッタ装置のホルダーユニットについて、図11を用いて説明する。構成する部品は、第1の実施の形態と同じである。第1の実施の形態と異なる点は、刃物ホルダー3の小径段部7に上刃(丸刃)2、皿バネ(付勢手段)5、保持リング4の順に挿入される点である。尚、上刃(丸刃)2の刃先が皿バネ(付勢手段)5と反対側に配置される点は同じである。つまり、保持リング4は皿バネ(付勢手段)5を介して上刃(丸刃)2を押すことになり、上刃(丸刃)2は刃物ホルダー3のフランジ部6の側面6aに当接していて軸線方向に移動せず、皿バネ(付勢手段)5が弾性変形して上刃(丸刃)2を付勢する。本実施形態は、例えば上刃(丸刃)2を軸線方向に移動させずに適切な上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を設定したい場合である。
本実施形態の場合も、刃物ホルダー3の小径段部7に形成された受け部8は図2に示すように、3通りの受け部8がある。図11はそのうちの図2(b)の円周方向に対して傾斜し刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝8aと円周方向に対して平行で刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する平行長溝8bとが連通して形成したものを代表例としてあげたものである。
図11(a)に示すように、刃物ホルダー3の小径段部7に形成される受け部8が、円周方向に対して傾斜し刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する傾斜長溝8aと円周方向に対して平行で刃物ホルダー3の外周面と同心円上又は略同心円上の深さで伸延する平行長溝8bとで連通して形成されている。この場合、保持リング4を回転させてボールプランジャー(凸部)12を図11(a)に示す傾斜長溝8aの左端の位置から図11(b)に示す平行長溝8bの圧接位置(圧接寸法)の寸法Sまで保持リング4を移動させることにより、皿バネ(付勢手段)5を弾性変形させて付勢力を変化させ、ボールプランジャー(凸部)12を締め付けることなく非付勢状態から付勢状態に切り替えて保持リング4を係止させることができる。このことから、被切断部材が切断面の品質を保って最適に切断されるように、前もって傾斜長溝8aと平行長溝8bとを寸法Sになるように加工しておくことで、容易に適切な上下刃先の圧接位置(圧接寸法)に設定することが可能になる。
この場合は、第1の実施の形態の場合の動作とは逆になり、ホルダーユニット1を非付勢状態にして第1回転軸(回転軸)101に装着後は、上刃(丸刃)2を下刃103に軽く接触させて、刃物ホルダー3を押しネジ10で第1回転軸(回転軸)101に固定した後、保持リング4を回転させて付勢状態にすることにより、上刃(丸刃)2と下刃103が所定の圧接力で圧接することになる。
(第4の実施の形態)
以下、本発明の第4の実施の形態のスリッタ装置のホルダーユニットについて、図12を用いて説明する。構成する部品は、第2の実施の形態と同様である。第2の実施の形態と異なる点は、刃物ホルダー3の小径段部7に上刃(丸刃)2、皿バネ(付勢手段)5、保持リング4の順に挿入される点で、上刃(丸刃)2の刃先は皿バネ(付勢手段)5と反対側に配置される。つまり、保持リング4は皿バネ(付勢手段)5を介して上刃(丸刃)2を押すことになり、上刃(丸刃)2は刃物ホルダー3のフランジ部6の側面6aに当接していて軸線方向に移動せず、皿バネ(付勢手段)5が弾性変形して上刃(丸刃)2を付勢する。本実施形態は、例えば上刃(丸刃)2を軸線方向に移動させずに適切な上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を設定したい場合である。
本実施形態の場合も、刃保持リング4に形成された受け部13は図7に示すように、3通りの受け部13がある。図12はそのうちの図7(b)の円周方向に対して傾斜する傾斜貫通長孔13aと円周方向に対して平行な平行貫通長孔13bとが連通して形成したものを代表例としてあげたものである。
図12(a)に示すように、保持リング4に形成される受け部13が、円周方向に対して傾斜する傾斜貫通長孔13aと円周方向に対して平行な平行貫通長孔13bとで連通して形成されている。この場合、図12(a)に示すように受け部を傾斜貫通長孔13aの右端で固定ネジ(凸部)15により係止される位置から保持リング4を回転させて図12(b)に示すように平行貫通長孔13bの圧接位置(圧接寸法)の寸法Sまで固定ネジ(凸部)15に沿って移動させることにより、皿バネ(付勢手段)5を弾性変形させて付勢力を変化させ、固定ネジ(凸部)15を締め付けることなく非付勢状態から付勢状態に切り替えることができる。このことから、被切断部材が切断面の品質を保って最適に切断されるように、前もって傾斜貫通長孔13aと平行貫通長孔13bとを寸法Sになるように加工しておくことで、容易に適切な上下刃先の圧接位置(圧接寸法)に設定することが可能になる。尚、図12に示した固定ボルト(凸部)15は頭部を有するが、その部分を省略して記載している。
この場合も、第2の実施の形態の場合の動作とは逆になり、ホルダーユニット1を非付勢状態にして第1回転軸(回転軸)101に装着し、上刃(丸刃)2を下刃103に軽く接触させて刃物ホルダー3を押しネジ10で第1回転軸(回転軸)101に固定した後、保持リング4を回転させて付勢状態にすることにより、上刃(丸刃)2と下刃103が所定の圧接力で圧接することになる。
以上のように、第3及び第4の実施の形態によれば、保持リング4を回転させることにより刃物ホルダーの外周面と保持リングの内周面のいずれか一方の面に形成された凸部と他方の面に形成された受け部との位置を変化させ、変化に応じて、丸刃2を移動させずに、皿バネ(付勢手段)5を弾性変形させて付勢力を変化させ、且つ、保持リング4を軸線方向に移動または係止させるので、予め受け部と凸部の位置とを被切断部材を切断するための最適な圧接寸法として加工しておけば、第1回転軸(回転軸)101に装着する前の刃物ホルダー3に皿バネ(付勢手段)5と上刃(丸刃)2と保持リング4とを装着したホルダーユニット1単体の状態で、保持リング4を回転させ軸線方向に移動させて付勢状態にすることで、前もって上刃(丸刃)2を上下刃先の圧接位置(圧接寸法)にしておくことができる。ホルダーユニット1を第1回転軸(回転軸)101に非付勢状態で装着して、上刃(丸刃)2の刃先を下刃103の刃先に軽く接触させた位置で刃物ホルダー3を押しネジ10で第1回転軸(回転軸)101に固定し、その後保持リング4を回転させて付勢状態にしてやれば、上刃(丸刃)2を所定の圧接位置(圧接寸法)で圧接させることができる。
受け部と凸部の位置はワンタッチで切り替えるだけでよい。これにより、切断幅が狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、より簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
以上、本発明にかかる実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において変更・変形することが可能である。