JP2020064238A - 音源収容体 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的には、本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、筐体内に配置された音源で発生した音を、筐体の構成を変えず、且つ、通気性を損なうことなく低減することが可能な音源収容体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記の課題が解決されることを見出した。
fn−Δf/4≦fx≦fn+Δf/4
n次のモードにおける音の波長をλとしたときに、音源の配置位置は、n次のモードと対応する周波数において筐体内で生じる音圧の定在波の節位置からの距離がλ/8以下となる範囲内に配置されていることを特徴とする音源収容体。
[3] 音源がファンである[2]に記載の音源収容体。
[4] ファンは、筐体の延出方向に沿った回転軸を有する[3]に記載の音源収容体。
[5] ファンは、X枚の羽根を有し、且つ、定常状態では1分間あたりにR回回転し、極大周波数fxは、XR/60の整数倍である[3]又は[4]に記載の音源収容体。
[6] 音源は、筐体内を流れる気体による風切り音を発生させる[1]に記載の音源収容体。
[7] 音源は、気体の流れに対する抵抗体である[6]に記載の音源収容体。
[8] 筐体は、2つの空間を隔てる壁を貫通して設けられおり、筐体内には、2つの空間のうちの一方から他方に向かって気体が流れる[6]又は[7]に記載の音源収容体。
[9] 筐体の延出方向において、第一開口部は、筐体の一端に位置し、第二開口部は、筐体の他端に位置している[1]乃至[8]のいずれか一項に記載の音源収容体。
[10] 音源の配置位置は、定在波の節位置と同じ位置である[1]乃至[9]のいずれか一項に記載の音源収容体。
本発明の音源収容体10は、例えば、モータを収容した筐体によって構成される音源収容体、並びに、ファン等の回転体を収容した筐体(具体的には、計算機用のサーバーファンの筐体、ドライヤーの筐体、及び掃除機の筐体等)によって構成される音源収容体などである。その他の音源収容体10の例としては、建物の換気設備(換気ダクト)をなす音源収容体、気体又は液体(流体)を搬送する際の搬送路をなす音源収容体、若しくは機器収容スペース等を設ける目的で利用される音源収容体などが挙げられる。
また、筐体12は、図2に示すように壁Bを貫通して配置されてもよい。図2は、第一変形例に係る音源収容体10Xを示す図である。図2に図示のケースでは、筐体12が、2つの空間を隔てる壁Bを貫通して設けられおり、筐体12内には、2つの空間のうちの一方から他方に向かって流体としての気体、例えば空気Wが流れる。なお、筐体12は、壁B内に完全に埋まった状態で配置されたものであってもよい。
なお、図3は、第二変形例に係る音源収容体10Yの模式断面図であり、同図に図示の構成では、ファン14及び抵抗体20が筐体12内部に収容されている。ただし、これに限定されるものではなく、ファン14がなく抵抗体20のみが筐体12内部に収容されている構成であってもよい。
なお、図4は、音源MSを筐体の外側に配置して行われる音圧測定の説明図である。図5は、各次数のモードにおける音圧の測定結果を示す図であり、図中の横軸が周波数を、縦軸が音圧(SPL)を、それぞれ示している。また、図5中、矢印にて示す箇所は、n次以上の各共鳴モードにおける共鳴周波数での音圧を示している。
なお、図7は、音圧スペクトルに関するシミュレーションの結果を示す図である。図8は、n次のモードと対応する周波数において筐体12内で生じる音圧の定在波を示す図であり、より詳しくは、nが2、3及び4であるときの定在波を示している。
なお、図10は、理想的なホワイトノイズについての音圧レベルのスペクトルを示す図である。図11は、筐体12内における音源MSの配置位置を示す図である。
なお、図12は、図10に図示のホワイトノイズを発生する音源MSの、筐体内部における配置位置を変えたときの、音圧レベルのスペクトルを示す図である。
なお、上述の例では、音源MSからワイトノイズを発生させているが、音源MSから発する音のスペクトルが可聴域で周波数f2付近に極大値を有する場合には、可聴域全体の騒音における、周波数f2の騒音が占める割合(寄与度)が大きくなる。このような場合には、周波数f2における音圧の定在波の節位置付近に音源MSを配置すれば、寄与度が大きな周波数f2での共鳴を弱めることができる。この結果、騒音そのものを大いに低減させることに繋がる。
fn−Δf/4≦fx≦fn+Δf/4 (1)
ここで、Δfは、前述したように、nと連続する次数(すなわち、n+1又はn−1)のモード及びn次のモードの各々における筐体12の共鳴周波数の間の差分である。
一方、音源が位置P1(2次の共鳴モードにおける定在波の節位置)に配置されていると、図14に示すように、音源が位置P2に配置されている場合に比して、共鳴周波数での音圧が著しく下がる。本発明の音源収容体は、このような現象を利用したものであり、音源の配置位置の調整によって、筐体12から出てくる音の低減を図るものである。
なお、図14は、図13に図示の音のスペクトルとなる音源の、筐体12内部における配置位置を変えたときの、音圧を示す図である。具体的には、図14には、音源を位置P1に配置したときのグラフと、音源を位置P2に配置したときのグラフとが図示されている。
また、筐体12が直線状の筺体である場合には、モードに対応する周波数、並びにその周波数における腹及び節の各々の位置は、筺体の長さに応じて一意に決まるが、筐体12が直線以外の複雑な形状を有する筺体である場合にも、筺体12の内部にてマイクの位置を少しずつ(例えば5mmずつ)ずらしながら音圧を測定することにより、任意の周波数における音圧の腹及び節の位置を特定することができる。
−音源について−
実施例1及び後述する比較例1、2では、音源として、図15に図示の音圧レベルのスペクトルとなるように音を発生する音源を用いた。図15は、実施例1にて用いられる音源で発生する音の音圧レベルのスペクトルを示す図である。なお、図15に図示した音圧レベルのスペクトルは、筐体を設置せず音源のみとし、音源から300mm離れた位置に配置した計測用マイクにて測定した。
上記の音源で発生する音は、図15に示すように、音圧が略一定(具体的には、0dB付近で一定)のホワイトノイズに、周波数1400Hzで音圧が30dBとなるピーク音を合成したものである。すなわち、上記の音源で発生する音の音圧レベルのスペクトルは、1400Hzで極大(ピーク)となっている。
実施例1及び比較例1、2では、円筒状の筐体12を用意した。この筐体12の形状について図16を参照しながら説明すると、直径rが75mmであり、全長L(延出方向における長さ)が195mmである。また、開口端補正値Laを0.6L(=22.5mm)として計算すると、開口端補正後の筐体12の全長L+2Laは、240mmとなる。以上のような形状の筐体を、一辺が50cmであり、且つ、厚みが5cmである吸音ウレタン(不図示)の上に配置した。ちなみに、図16は、音源及び計測用マイクMPの配置位置についての説明図である。
また、上述した音源は、筐体12内に配置されている。また、音源で発生して筐体12から出てくる音の音圧を測定するため、計測用マイクMPを筐体12の外側に配置した。ここで、計測用マイクMPは、図16に示すように、筐体12の延出方向における筐体12の中央部から距離I(具体的には、30cm)だけ離れた位置に配置された。また、計測用マイクMPの、床からの高さは、15cmとした。
なお、以下では、筐体12の延出方向における音源の配置位置及び定在波の節位置のそれぞれを、補正後の開口端(図16では左側の開口端)からの距離にて表すこととする。
fn−Δf/4≦fx≦fn+Δf/4 (n=2)
実施例1では、筐体12内における音源の配置位置X(具体的には、補正後の開口端からの距離)を120mmとした。この位置は、表1から分かるように、2次の共鳴モードに対応する周波数において筐体12内で生じる定在波の節位置と一致する。
また、比較例1では、筐体12内における音源の配置位置Xを180mmとした。この位置は、2次の共鳴モードに対応する周波数の波長をλとしたとき、その定在波の節位置(厳密には、筐体12の開口端に近い方の節位置)から2λ/8だけ離れている。
また、比較例2では、筐体12内における音源の配置位置Xを205mmとした。この位置は、2次の共鳴モードに対応する周波数の波長をλとしたとき、その定在波の節位置(厳密には、筐体12の開口端に近い方の節位置)から1.2λ/8だけ離れている。
実施例1、比較例1及び比較例2のそれぞれにおいて、音源で発生して筐体12を抜けた音の音圧を、図16に図示の計測用マイクMP(アコー社製 TYPE4152N)にて計測した。
実施例1における音圧の測定結果を図17に示し、比較例1における音圧の測定結果を図18に示し、比較例2における音圧の測定結果を図19に示す。なお、図17、図18及び図19の各々には、それぞれの測定結果が図示されており、さらに、筐体12が設けられていない場合に音源で発生した音の音圧レベルのスペクトル(すなわち、図15に図示のスペクトル)を参考例として図示されている。
先に説明した実施例1、比較例1及び比較例2と同様の条件にて、音源で発生して筐体12から出てくる音圧を、図20に図示のモデルを用いたシミュレーションによって求めた。図20は、実施例1、比較例1及び比較例2の条件で音圧をシミュレーションするためのモデルを示す図である。
また、比較例1に相当する条件では、音源MSの配置位置Zが60mmである。この位置は、2次の共鳴モードに対応する周波数において筐体12内で生じる定在波の波長をλとしたとき、その定在波の節位置(厳密には、筐体12の中央に近い方の節位置)から2λ/8だけ離れている。
また、比較例2に相当する条件では、音源MSの配置位置Zが85mmである。この位置は、2次の共鳴モードに対応する周波数において筐体12内で生じる定在波の波長をλとしたとき、その定在波の節位置(厳密には、筐体12の中央に近い方の節位置)から1.2λ/8だけ離れている。
シミュレーション2では、前述したシミュレーション1と同様の手法及びシミュレーションモデルを用いて、音源MSの配置位置Zを変えながら、筐体12から出てくるピーク音(具体的には、1400Hzの音)の音圧をシミュレーションした。図22は、音源MSの配置位置Zを変えて求めたピーク音の音圧のシミュレーション結果を示している。図22に示すように、音源MSの配置位置Zがλ/8以下の範囲(図22中、記号Aが付された矢印が示す範囲)にある場合、音源MSの配置位置Zがλ/8を超える場合と比較して、ピーク音の音圧が小さくなることが分かった。このことから、音の極大周波数fxが筐体12の共鳴周波数fn付近にある場合において、音源MSを定在波の節位置からλ/8以下の範囲内に配置することで、極大周波数fxでの音圧を効果的に低減できることが明らかとなった。
10X 第一変形例に係る音源収容体
10Y 第二変形例に係る音源収容体
12 筐体
12a 第一開口部
12b 第二開口部
14 ファン
16 羽根
18 回転軸
20 抵抗体
MS 音源
MP 計測用マイク
W 空気の流れ
Claims (10)
- 音源と、前記音源を内部に収容する筐体と、を有する音源収容体であって、
前記筐体は、直線状に延出した筒状体であり、第一開口部及び第二開口部を有し、
前記筐体は、音波に対して複数の共鳴モードを有し、
前記音源は、前記筐体の内部において前記第一開口部及び前記第二開口部の間に配置されており、
2以上の自然数をnとし、n次のモードにおける前記筐体の可聴域の共鳴周波数をfnとし、nと連続する次数のモード及びn次のモードの各々における前記筐体の共鳴周波数の間の差分をΔfとし、前記音源で発生する音の可聴域での強度が極大となる極大周波数fxとしたときに、下記の関係式が成立するようなfn及びfxが存在し、
fn−Δf/4≦fx≦fn+Δf/4
n次のモードの周波数における音の波長をλとしたときに、前記音源の配置位置は、n次のモードと対応する周波数において前記筐体内で生じる音圧の定在波の節位置からの距離がλ/8以下となる範囲内に配置されていることを特徴とする音源収容体。 - 前記音源が回転体である請求項1に記載の音源収容体。
- 前記音源がファンである請求項2に記載の音源収容体。
- 前記ファンは、前記筐体の延出方向に沿った回転軸を有する請求項3に記載の音源収容体。
- 前記ファンは、X枚の羽根を有し、且つ、定常状態では1分間あたりにR回回転し、
前記極大周波数fxは、XR/60の整数倍である請求項3又は4に記載の音源収容体。 - 前記音源は、前記筐体内を流れる気体による風切り音を発生させる請求項1に記載の音源収容体。
- 前記音源は、前記気体の流れに対する抵抗体である請求項6に記載の音源収容体。
- 前記筐体は、2つの空間を隔てる壁を貫通して設けられおり、
前記筐体内には、前記2つの空間のうちの一方から他方に向かって前記気体が流れる請求項6又は7に記載の音源収容体。 - 前記筐体の延出方向において、前記第一開口部は、前記筐体の一端に位置し、前記第二開口部は、前記筐体の他端に位置している請求項1乃至8のいずれか一項に記載の音源収容体。
- 前記音源の配置位置は、前記定在波の節位置と同じ位置である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の音源収容体。
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