JP2020060173A - シリンダーのダクト支持リングで支持する二段一体型排気ダクト - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジン頂部に排気弁を設置した従来の方式では、排気ガス温度の高低により排気ガスを弁別するのは、構造的にも制御的にも難しい。特に、高温の排気ガスに晒され、常時上下運動を繰り返す排気弁をエンジン行程毎に操作するのは、耐久性の問題もある。【解決手段】従来の頂上排気弁方式に代えて、シリンダー上部に給気弁9と、シリンダー1bの下部に高温排気孔8aHと低温排気孔8aLを設けて、高温排気ガスと低温排気ガスを弁別し、高温排気ダクト8Hと低温排気ダクト8Lで回収する。排気ダクト本体は、シリンダー(ライナー)1bの排気孔の上部と下部に設けたいずれかの溝に、ダクト支持リング8bを取り付けて、上部あるいは下部のいずれかで支持できる一体型排気ダクトの構造を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、2ストローク往復動エンジンの排気ガスを、高温排気ガスと低温排気ガスに弁別して、エンジンのシリンダー1bに設けた排気孔8aHと8aLより、シリンダー1bの外部に排出するための排気ダクトの構造に関するものである。
排気ガス温度の高低により、排気ガスを弁別して過給機に供給することは、過給機を小型化したり、過給機の効率やエンジンの総合効率を高めることができるが、その温度の異なる排気ガスを、シリンダーの外部に排出することは、従来のエンジンでは、構造上の問題や、制御機能上の問題などがあり、まだ実用化されていない。
また、従来のエンジンでは、高温排気ガスと低温排気ガスを、全て混合して同一の排気ダクトに排出するため、環境対策の目的で外部EGRを使用する場合は、高温排気ガスも冷却処理することになるので、外部EGR装置の冷却装置が大きくなる。
また、従来のエンジンでは、環境対策上、燃焼により発生したNOxを外部処理することが求められる場合があるが、相対的にNOx濃度が高い高温排気ガスとNOx濃度の低い低温排気ガスを混合しているので、合理的な排気ガス処理が行えない。
WO/2014/054607 A1 特開2017−186999
従来のエンジンのように、エンジン頂部に排気弁を設置し、シリンダー1bの下部に掃気孔を設ける方式(通称ユニフロ方式、以下、頂部排気弁方式という)では、排気弁から排出する燃焼ガスを、エンジンの毎排気行程の都度、排気ガスの温度を弁別して、温度の異なる2種類の排気ガスを、それぞれ異なる排気ダクトに送出することは、構造や制御が複雑になり、その運用性や耐久性などの問題がある。
また、従来の頂上排気弁方式では、例外なしにシリンダー1bの下部には掃気孔が設置されており、シリンダー1bのこの部位に排気孔があるエンジンは現状では存在しないので、この部位から高温の排気ガスを回収する排気ダクトは、現状では市場には存在していない。
本発明は、従来の頂部排気弁方式を改め、シリンダー1bの上部に給気弁9と、シリンダー1bの下部に、高温排気孔8aHと、同じく低温排気孔8aLを設け、異なる2種類の温度の排気ダクトを一体化した排気ダクト(以下、排気ダクト本体という)を提供することで問題を解決する。
本発明の排気ダクト本体を構成する高温排気ダクト部8Hと低温排気ダクト部8Lは、熱による膨張伸縮を行わせる部分以外に、可動部分がないので耐久性がよく、保守管理も容易な排気ダクトの提供が可能となる。
本発明の排気ダクト本体を構成する高温排気ダクト部8Hと低温排気ダクト部8Lは、排気ガスの温度による膨張収縮が自由に行われるよう、固定部分を最少限に抑えている。具体的には、排気ダクト本体とシリンダー1bとの取合は、排気ダクト本体の上部あるいは下部の1箇所のみで、他の部分は固定していない。また、膨張と収縮による可動部分には、グランドパッキン方式の漏洩防止方式を設置して、排気ガスの漏洩を防止している。
本発明の排気ダクト本体は、シリンダー1bの排気孔8aHと8aLの上部あるいは下部の周囲に設けた溝部分に、ダクト支持リング8dをはめ込みして支持するので、従来のシリンダーライナー構造への適用が容易である。このダクト支持リング8dは、排気ダクトの設置状況などに応じて、排気ダクト本体の上部を支持することも、または下部を支持することも可能である。なお、図1および図2では、例示的に、ダクト支持リング8dを排気ダクト本体の下部に設置する場合を記載してある。
本発明の排気ダクトは、上段の高温排気ダクト部8Hと、下段の低温排気ダクト部8Lを一体として製作できるので、製作が容易である。また、シリンダー(ライナー)1bを抜出・挿入する時は、この排気ダクトを左右に分割しなくても作業が可能な構造としている。
排気ダクト本体(8Hと8L)の、排気管8pに対するフランジ取出し方向が同方向の場合を示す。 排気ダクト本体(8Hと8L)の、排気管8pに対するフランジ取出し方向が異方向(相対角度180度)の場合を示す。
本発明の排気ダクトは、従来の頂部排気弁方式における排気弁を給気弁9に変更し、燃料の燃焼のための空気と燃焼ガスの掃気のための空気(以下、これらを総称して給気という)を、シリンダー1bの上部から下部の方向に流し、排気ガスは高温排気孔8aHと低温排気孔8aLから、シリンダー1bの外部に排出するエンジンの構造を前提にしている。
本発明は、高温排気ダクト8Hと低温排気ダクト8Lを、一体構造として製作し、シリンダーライナー1bに設けられている高温排気孔8aHと低温排気孔8aLの周囲を取り囲むように取り付けされる。この排気ダクト本体は、シリンダー1bに対して左右に分割することなく、シリンダー(ライナー)1bを上部より挿入できる。
本発明の排気ダクト本体は、その下部あるいは上部を、シリンダー(ライナー)1bの排気孔8aHと8aLの上部と下部の周囲に設けたいずれかの溝部分に取り付けるダクト支持リング8bに、固定される。この固定部分以外には、この排気ダクト本体とシリンダー(ライナー)1bには固定部分はないので、排気ダクト本体は膨張と収縮は自由に行える構造になっている。
高温排気ダクト部8Hと、低温排気ダクト部8Lの、排気導管8pとの取合フランジの方向は、エンジンの構造等に合わせて同方向でも、異方向でもよい。高温排気ダクト部8Hと低温排気ダクト部8Lを同方向にした構造を、図1に示す。また、この両排気ダクト部を異方向(相対方向180度)にした構造を、図2に示す。
本発明の排気ダクト本体は、排気導管8pと、伸縮継手8eを経て、排気集合管8mHあるいは低温排気集合管8mLに接続される。高温排気集合管8mHと、低温排気集合管8mLは、それぞれの自重を保持し、また、熱による膨張と収縮を吸収できる支持台を設置する。
図1および図2では、説明の便宜上、排気ダクト本体(8Hと8L)、排気導管8pの内部に剛性を高めるために設置する内部支持片8dを、例示的に記入してあるが、実際には必要な箇所に必要な数だけ設置できる。
1b シリンダー(ライナー)
6 エンジン架台
7 給気ダクト
7m 給気管
8H 高温排気ダクト
8L 低温排気ダクト
8aH 高温排気孔
8aL 低温排気孔
8b ダクト支持リング
8d 内部支持片
8e 伸縮継手
8mH 高温排気集合管
8mL 低温排気集合管
8p 排気導管
9 給気弁
14b 拡散燃料噴射弁
15b 予混合燃料供給弁
40g ガスケット
40p パッキン
40r グランド押さえ

Claims (3)

  1. エンジンのシリンダー1bの下部に設けた高温排気孔8aHと、低温排気孔8aLから、それぞれ排気ガスを排出するエンジンにおいて、上段に位置する高温排気ダクト8Hと、下段に位置する低温排気ダクト8Lを、上下一体の構造(以下、排気ダクト本体という)とし、シリンダー1bの排気孔8aHと8aLの上下の周囲に設けた溝のいずれかに取り付けたダクト支持リング8bにより排気ダクトを支持する構造を特徴とする排気ダクト。
  2. 前記の排気ダクト本体において、排気ダクト本体の温度変化による膨張と収縮を、前記のシリンダー1bの溝に挿入したダクト支持リング8bを起点に、この排気ダクト本体が吸収することを特徴とする請求項1に記載の排気ダクト。
  3. 前記の排気ダクト本体において、排気ダクト本体とシリンダー1bとの可動部分から、排気ガスが外部に漏洩しないように、グランドパッキン方式による排気ガス漏洩防止装置を備えることを特徴とする請求項1および請求項2に記載の排気ダクト。
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