次に、発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のサイドエアバッグ装置1は、自動車の後部座席に適用されるものであり、シートSと車体の側壁BSとの間に配置されている。さらに説明すると、シートSは、シートクッションS1とシートバックS2を有し、サイドエアバッグ装置1は、シートバックS2と側壁BSの間に配置されている。
シートバックS2は、前に倒すことができるように下端部を軸として前後に回動可能に設けられている。一方、サイドエアバッグ装置1は、車体の側壁BSに固定されており、シートバックS2には固定されていない。このため、シートバックS2を前に倒した場合には、サイドエアバッグ装置1が側壁BSに残った状態で露出する。シートバックS2が図1に示す起立状態のとき、サイドエアバッグ装置1の前面は、シートバックS2の前面と略面一である。このため、サイドエアバッグ装置1は、通常のシートSの使用時においては、外見的にシートバックS2の一部となる。
なお、本実施形態においては、車体の左側(シートSの左側)に配置されるサイドエアバッグ装置1について説明するが、車体の右側にも、左右対称な構成のサイドエアバッグ装置を設けることができる。また、本実施形態においては、特に断りが無い限り、左右方向の内側および外側は、サイドエアバッグ装置1自体ではなく、車体を基準とする。すなわち、車体の左右中心に近い側を内側、車体の左右中心から遠い側を外側とする。また、前後および上下は、特に断りが無い限り、シートSを基準とする。
図2(a)に示すように、車体は、サイドパネル300を有している。サイドパネル300は、金属からなり、側壁BSを構成する側壁部310と、側壁部310から左右内側に膨出するホイールハウス320と、ストライカ設置部330とを有している。
ホイールハウス320は、タイヤTを収容する部位である。ホイールハウス320のタイヤTの上部に対応した位置には、エアバッグ取付ブラケット340が溶接などにより固定されている。エアバッグ取付ブラケット340は、サイドエアバッグ装置1を車体に取り付けるための部材であり、金属板からなる。図5に示すように、エアバッグ取付ブラケット340は、ボルト93Bが挿通される孔341を有している。また、エアバッグ取付ブラケット340は、左右外側の面にナット93Nが溶接されている。
図2(a)に戻り、ストライカ設置部330は、ストライカ350の設置面を確保する部位であり、サイドパネル300の上部に溶接などにより固定されている。図2(b)に示すように、ストライカ350は、サイドパネル300から左右内側に突出するU字形状の部材であり、金属からなる。シートSのシートバックS2は、ストライカ350と係合可能な図示しないラッチ機構を有しており、前に倒した状態から起こされてラッチ機構がストライカ350と係合することで、起立状態にロックされる。
ストライカ350は、ベースブラケット360を介して車体のストライカ設置部330に固定されている。ベースブラケット360は、金属板からなり、ストライカ設置部330に取り付けられるベース部361と、ベース部361の前端から左右内側に延びる接続部362と、接続部362の左右内側の端から前方に延びるエアバッグ固定部363とを有している。エアバッグ固定部363には、ボルト92Bが左右内側に突出するように溶接により固定されている。ストライカ350は、ベース部361に溶接などにより固定されている。ベースブラケット360は、複数のボルト364によってストライカ設置部330に固定されている。
図3および図4に示すように、サイドエアバッグ装置1は、エアバッグモジュール10と、ブラケットとしてのモジュールブラケット100および車体取付ブラケット200と、ワイヤフレーム20と、第1力布31と、第2力布32と、第1取付ワイヤ40と、第2取付ワイヤ50と、固定ワイヤ60と、クッションパッド70と、表皮部材80とを備えている。
図4に示すように、エアバッグモジュール10は、エアバッグ11と、インフレータ12とを有している。
エアバッグ11は、袋状の部材であり、通常時は、折りたたまれた状態でサイドエアバッグ装置1内に収納されている。エアバッグ11は、車両衝突時などに内部にガスが供給されることで膨張し、シートSに座った乗員の左右外側に展開する。
インフレータ12は、エアバッグ11内にガスを供給する部材である。インフレータ12は、円柱状のインフレータ本体12Aと、インフレータ本体12Aから突出して設けられたボルト12Bとを有している。ボルト12Bは、インフレータ本体12Aの軸心に沿って複数、本実施形態では、2つが上下に並んで設けられている(図5参照)。各ボルト12Bは、インフレータ本体12Aの軸心に向くようにインフレータ本体12Aに固定されている。
図5に示すように、モジュールブラケット100は、エアバッグモジュール10が固定されるとともに、車体に固定される部材であり、金属板からなる。モジュールブラケット100は、本体部110と、本体部110から延出する延出部120とを有している。
本体部110は、モジュール固定部111と、第1車体固定部としての下車体固定部112と、第1固定部としての舌部113と、第2固定部114と、ハーネス保持部115とを有している。
モジュール固定部111は、エアバッグモジュール10が固定される部分であり、上下に並ぶ2つの孔111A(図7参照)を有している。エアバッグモジュール10は、インフレータ12のボルト12Bが孔111Aに挿通され、ボルト12Bにナット12Nが締結されることで、モジュール固定部111に固定されている。言い換えると、モジュールブラケット100には、ボルト12Bが貫通した状態でエアバッグモジュール10が固定されている。
下車体固定部112は、車体に固定される部分である。詳しくは、下車体固定部112は、車体に設けられたエアバッグ取付ブラケット340に固定される部分である。下車体固定部112は、延出部120の後述する上車体固定部121よりも下であって、かつ、モジュールブラケット100の後部に配置されている。下車体固定部112は、本体部110の下端部の後部から左右内側に膨出している。下車体固定部112は、ボルト93Bが挿通される孔112Aを有している。
舌部113は、車体取付ブラケット200に固定される部分である。舌部113は、板形状を有し、モジュールブラケット100の周縁部から突出している。詳しくは、舌部113は、下車体固定部112の下端から突出して、第2固定部114から離れる方向、具体的には、下方に向けて延びている。舌部113は、下車体固定部112の下端から下方に突出する基端部113Aと、基端部113Aの下端から左右内側の斜め下方に延びる中間部113Bと、中間部113Bの下端から下方に延びる先端部113Cとを有している。
第2固定部114は、舌部113と同様に、車体取付ブラケット200に固定される部分である。第2固定部114は、車体取付ブラケット200に固定部材としてのボルト91Bによって固定される。本体部110は、モジュール固定部111の上端から左右内側の斜め上方に延びる第1連結部116を有しており、第2固定部114は、第1連結部116の上端から上方に延びている。第2固定部114は、前端部にボルト91Bが挿通される孔114Aを有している。
図6に示すように、舌部113および第2固定部114は、左右方向から見て、エアバッグモジュール10と異なる位置に配置されている。具体的には、舌部113は、エアバッグモジュール10の下部の後ろに配置され、第2固定部114は、エアバッグモジュール10の上に配置されている。また、左右方向から見て、舌部113は、エアバッグモジュール10が固定されるモジュール固定部111の下に配置され、第2固定部114は、モジュール固定部111の上に配置されている。これにより、モジュール固定部111は、舌部113と第2固定部114の間に配置されている。
図5に戻り、ハーネス保持部115は、インフレータ12に接続される図示しないハーネスが留められる部分である。本体部110は、第2固定部114の後端から左右外側に延びる第2連結部117を有しており、ハーネス保持部115は、第2連結部117の左右外側の端から後方に延びている。ハーネス保持部115は、ハーネスを保持する図示しないクリップ部材が係合する孔115Aを有している。
延出部120は、モジュールブラケット100の前部に設けられている。詳しくは、延出部120は、本体部110を構成する第2固定部114の上端の前部から上方に延出している。延出部120は、第2固定部114の上端の前部から上方に延びる上車体固定部121と、上車体固定部121の上端から左右外側に延びるブラケット上端部122とを有している。
上車体固定部121は、下車体固定部112と同様に、車体に固定される部分である。詳しくは、上車体固定部121は、車体に設けられたベースブラケット360に固定される部分である。上車体固定部121は、エアバッグモジュール10よりも上であって、かつ、モジュールブラケット100の前部に配置されている。上車体固定部121は、上下方向の中央部付近に、ボルト92Bが挿通される孔121Aを有している。図6に示すように、左右方向から見て、上車体固定部121は、エアバッグモジュール10の上に配置されている。一方、下車体固定部112は、エアバッグモジュール10の下部の後ろに配置されている。これにより、エアバッグモジュール10は、上車体固定部121と下車体固定部112の間に配置されている。
モジュールブラケット100は、逃げ部としての切欠150を有している。切欠150は、サイドエアバッグ装置1が車体に取り付けられた場合に、車体に設けられたストライカ350が配置される部分である。切欠150は、モジュールブラケット100の上端部の後側に設けられている。詳しくは、切欠150は、本体部110の上縁部と延出部120の後縁部とにより形成されている。エアバッグモジュール10は、切欠150よりも下に配置されている。
図5に示すように、車体取付ブラケット200は、エアバッグモジュール10がモジュールブラケット100を介して固定されるとともに、車体に固定される部材であり、金属板からなる。車体取付ブラケット200は、車体に設けられたエアバッグ取付ブラケット340およびベースブラケット360との間でモジュールブラケット100を挟んだ状態で車体に固定される。車体取付ブラケット200は、カバー部材の一例である。車体取付ブラケット200は、板状部としての本体部210と、延出部としての第1延出部220と、第2延出部230と、第3延出部240とを有している。
本体部210は、モジュールブラケット100のモジュール固定部111に対向して配置されてボルト12Bの先端部を覆う部分である。詳しくは、本体部210は、モジュール固定部111の左右内側に対向して配置される。本体部210は、第2ブラケット固定部211と、表皮固定孔212とを有している。
第2ブラケット固定部211は、モジュールブラケット100が固定される部分である。第2ブラケット固定部211は、本体部210の上部の前端部に設けられ、左右外側に膨出している。第2ブラケット固定部211は、ボルト91Bが挿通される孔211Aを有している。第2ブラケット固定部211は、左右内側の面にナット91Nが溶接されている。表皮固定孔212は、表皮部材80の端部81(図4参照)が固定される上下に長い略矩形の貫通孔であり、本体部210の下部の後寄りの位置に配置されている。
第1延出部220は、車体取付ブラケット200の前部に設けられている。詳しくは、第1延出部220は、本体部210の上端の前部から上方に延出している。第1延出部220は、本体部210の上端から左右外側の斜め上方に延びる下傾斜部221と、下傾斜部221の上端から上方に延びる上車体固定部222と、上車体固定部222の上端から左右内側の斜め上方に延びる上傾斜部223(図7参照)と、上傾斜部223の上端から上方に延びる上ワイヤ固定部224とを有している。
上車体固定部222は、車体に固定される部分である。詳しくは、上車体固定部222は、車体に設けられたベースブラケット360に固定される部分である。上車体固定部222は、エアバッグモジュール10よりも上であって、かつ、車体取付ブラケット200の前部に配置されている。上車体固定部121は、上下方向の中央部付近に、ボルト92Bが挿通される孔222Aを有している。
第2延出部230は、車体取付ブラケット200の後部に設けられている。詳しくは、第2延出部230は、本体部210の下端の後部から下方に延出している。第2延出部230は、本体部210の下端から左右外側の斜め下方に延びる傾斜部231と、傾斜部231の下端から下方に延びる固定部232とを有している。固定部232は、下車体固定部233と、第1ブラケット固定部234とを有している。
下車体固定部233は、上車体固定部222と同様に、車体に固定される部分である。詳しくは、下車体固定部233は、車体に設けられたエアバッグ取付ブラケット340に固定される部分である。下車体固定部233は、上車体固定部222よりも下であって、かつ、車体取付ブラケット200の後部に配置されている。下車体固定部233は、ボルト93Bが挿通される孔233Aを有している。下車体固定部233および上車体固定部222は、第2車体固定部の一例である。図6に示すように、左右方向から見て、下車体固定部233は、エアバッグモジュール10の下部の後ろに配置されている。一方、上車体固定部222は、エアバッグモジュール10の上に配置されている。これにより、エアバッグモジュール10は、上車体固定部222と下車体固定部233の間に配置されている。
図5に戻り、第1ブラケット固定部234は、モジュールブラケット100の舌部113が固定される部分である。第1ブラケット固定部234は、舌部113が係合する略矩形の係合孔234Aを有している。係合孔234Aの前後の長さは、舌部113の幅(前後の長さ)と略等しくなっている。これにより、第1ブラケット固定部234は、係合孔234Aの周縁部で、係合孔234Aに係合した舌部113の幅方向の移動を規制することができる。
図7に示すように、係合孔234Aに係合した舌部113は、車体取付ブラケット200の第1ブラケット固定部234に引っ掛かった状態で固定される。また、舌部113の先端部113Cは、第1ブラケット固定部234のエアバッグモジュール10とは反対側、具体的には、左右内側に位置しており、第1ブラケット固定部234の係合孔234Aの周りの部分、具体的には、係合孔234Aの下側の部分に係合している。
図6に示すように、第1ブラケット固定部234は、左右方向から見て、上車体固定部222および下車体固定部233と異なる位置に配置されている。具体的には、第1ブラケット固定部234は、上車体固定部222および下車体固定部233よりも下に配置されている。さらに説明すると、第1ブラケット固定部234は、下車体固定部233の下に配置されている。このため、第1ブラケット固定部234は、係合孔234Aが下車体固定部233の下に配置されている。第1ブラケット固定部234および第2ブラケット固定部211は、ブラケット固定部の一例である。
図5に示すように、第3延出部240は、車体取付ブラケット200の前部に設けられている。詳しくは、第3延出部240は、本体部210の下端の前部から下方に延出している。すなわち、第3延出部240は、第2延出部230の前方に設けられている。第3延出部240は、本体部210の下端から下方に延びる延在部241と、延在部241の下端から左右外側に延びるブラケット下端部242とを有している。
図6に戻り、車体取付ブラケット200は、モジュールブラケット100と同様に、逃げ部としての切欠250を有している。切欠250は、サイドエアバッグ装置1が車体に取り付けられた場合に、車体に設けられたストライカ350が配置される部分である。切欠250は、車体取付ブラケット200の上端部の後側に設けられている。詳しくは、切欠250は、本体部210の上縁部と第1延出部220の後縁部とにより形成されている。エアバッグモジュール10は、切欠250よりも下に配置されている。
図7に示すように、モジュールブラケット100と車体取付ブラケット200は、互いに固定されて閉断面形状を形成している。具体的には、前後方向から見て、モジュールブラケット100は、モジュール固定部111が、舌部113が設けられる下車体固定部112、および、第2固定部114に対して左右外側にずれた位置に配置されている。一方、車体取付ブラケット200は、本体部210が、第1ブラケット固定部234および第2ブラケット固定部211に対して左右内側にずれた位置に配置されている。そして、舌部113が係合孔234Aに係合して第1ブラケット固定部234に固定され、第2固定部114が第2ブラケット固定部211にボルト91Bとナット91Nの締結により固定されることで、モジュール固定部111と本体部210の間に空間が形成される。本体部210は、インフレータ12(図4参照)のボルト12Bの先端部と左右に間隔をあけて配置されている。
図3に示すように、ワイヤフレーム20は、車体取付ブラケット200とともにサイドエアバッグ装置1のフレームを構成する部材であり、金属からなる。ワイヤフレーム20には、車体取付ブラケット200が固定されている。また、ワイヤフレーム20には、モジュールブラケット100が車体取付ブラケット200を介して固定されている。ワイヤフレーム20は、第1ワイヤ21、第2ワイヤ22および第3ワイヤ23を溶接などにより接合することで構成されている。なお、参照する図面では、溶接部分にドットのハッチングを付している。また、本実施形態では、3本のワイヤ21〜23によりワイヤフレーム20を構成しているが、これに限定されず、ワイヤフレーム20を構成するワイヤの数は、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
第1ワイヤ21は、サイドエアバッグ装置1の前部の左右外側、上部の左右外側と後側、および、後部の左右内側の輪郭に沿って形成されたフレーム部21Aと、フレーム部21Aの一端(上側の端)から前方に延びる対向部21Bと、対向部21Bの前端から下方に延びる連結部21Cとを有している。連結部21Cの下端部は、屈曲して後方に延びており、車体取付ブラケット200の本体部210(第2ブラケット固定部211の上方)に溶接により固定されている。第2ワイヤ22は、サイドエアバッグ装置1の前部および上部の左右内側の輪郭に沿って形成されている。第2ワイヤ22は、上端部が第1ワイヤ21に溶接により固定され、下端部が本体部210(第3延出部240の上方)に溶接により固定されている。第3ワイヤ23は、サイドエアバッグ装置1の上部の前側の輪郭に沿って形成されており、左右の端部が第1ワイヤ21または第2ワイヤ22に溶接により固定されて第1ワイヤ21と第2ワイヤ22の上部同士を接続している。
第1ワイヤ21の対向部21Bは、前端部が第1延出部220の上ワイヤ固定部224に溶接により固定されている。これにより、対向部21Bは、上ワイヤ固定部224に固定される前端部よりも後ろの部分が、第1延出部220から後方に延出するように配置されている。また、対向部21Bは、本体部210に対し、第1延出部220が延びる方向、具体的には、上下に対向するように配置されている。これにより、サイドエアバッグ装置1が車体に取り付けられた場合、図6に示すように、対向部21Bと本体部210との間にストライカ350が配置される。なお、対向部21Bは、モジュールブラケット100の延出部120から後方に延出するようにも配置されている。また、対向部21Bは、モジュールブラケット100の本体部110に対し上下(延出部120が延びる方向)に対向するようにも配置されている。このため、サイドエアバッグ装置1が車体に取り付けられた場合、対向部21Bと本体部110の間にストライカ350が配置される。
図4に示すように、第1力布31および第2力布32は、エアバッグ11が展開するときに、エアバッグ11の展開方向を規制する部材である。第1力布31は、エアバッグモジュール10の前側を通って前端部が表皮部材80に結合されている。一方、第2力布32は、左右方向においてエアバッグモジュール10の第1力布31とは反対側に配置されている。具体的には、第2力布32は、エアバッグモジュール10の後側と左右外側を通って前端部が表皮部材80に結合されている。第1力布31および第2力布32は、前端部が表皮部材80に結合されていることで、エアバッグ11が展開するときに、クッションパッド70の前部の裂開を補助するようにも機能する。第1力布31および第2力布32は、それぞれ、後端部に上下に開口するリング部31A,32Aを有している。
図8に示すように、第1取付ワイヤ40は、第1力布31が取り付けられる部材であり、第2取付ワイヤ50は、第2力布32が取り付けられる部材である。また、固定ワイヤ60は、第1取付ワイヤ40と第2取付ワイヤ50が取り付けられる部材である。第1取付ワイヤ40、第2取付ワイヤ50および固定ワイヤ60は、金属からなる。
固定ワイヤ60は、上下に延びるワイヤ取付部61と、ワイヤ取付部61の上下の端から前方に延びる一対の接続部62と、各接続部62の各前端から互いに近づくように上下に延びる一対の被固定部63とを有している。
ワイヤ取付部61は、取付ワイヤ40,50の後述する湾曲部44,54が係合する部分が前方に向けて凸となるように屈曲した上下2つのワイヤ係合部61Aを有している。
図5に示すように、一対の被固定部63は、モジュールブラケット100のモジュール固定部111の左右内側の面の後端部に溶接により固定されている。これにより、固定ワイヤ60の一部である一対の被固定部63は、モジュール固定部111と、車体取付ブラケット200の本体部210との間に配置されている。
図8に戻り、第1取付ワイヤ40は、上下に延びる第1力布取付部41と、第1力布取付部41の上端から後方に延びた部分である第1上延出部42と、第1力布取付部41の下端から後方に延びた部分である第1下延出部43とを有している。
第1力布取付部41は、第1力布31が取り付けられる部分である。第1力布31は、リング部31Aを第1上延出部42または第1下延出部43の先端から差し込んで通し、第1力布取付部41に配置することで、第1取付ワイヤ40に取り付けられる。
第1上延出部42および第1下延出部43の後端部には、それぞれ、第1湾曲部44が設けられている。第1湾曲部44は、固定ワイヤ60のワイヤ取付部61(ワイヤ係合部61A)に係合する部分であり、後方に凸となるように湾曲している。各第1湾曲部44の各端部44Aは、屈曲して互いに近づくように上下に延びている。なお、本実施形態において、第1上延出部42の第1湾曲部44よりも前側の部分は、第1力布取付部41の上端から後方にまっすぐ延びているが、第1下延出部43の第1湾曲部44よりも前側の部分は、第1力布取付部41の下端から後斜め上方に延びた後、屈曲して後方に延びている。これにより、固定ワイヤ60に取り付けられる部分をコンパクトな構成としつつ、第1力布取付部41の上下の長さを確保できるので、第1力布31の上下の長さを確保することができ、第1力布31によってエアバッグ11の展開方向を良好に規制することができる。
図5に示すように、第1取付ワイヤ40の一部は、モジュールブラケット100のモジュール固定部111と、車体取付ブラケット200の本体部210との間に配置されている。詳しくは、第1取付ワイヤ40は、第1上延出部42および第1下延出部43がモジュール固定部111と本体部210との間に配置されている。また、図6に示すように、第1取付ワイヤ40は、左右方向から見て、インフレータ12のボルト12Bの先端部と異なる位置に配置されている。詳しくは、第1力布取付部41は、ボルト12Bよりも前、さらに言えば、モジュール固定部111よりも前に配置されている。また、第1上延出部42は、ボルト12Bの上方に配置されており、第1下延出部43は、上下のボルト12Bの間に配置されている。
第1力布31は、モジュール固定部111よりも前に配置された第1力布取付部41に取り付けられている。このため、第1力布31は、左右方向から見て、ボルト12Bの先端部と異なる位置に配置されている。詳しくは、第1力布31は、ボルト12Bよりも前、さらに言えば、モジュール固定部111よりも前に配置されている。
図8に示すように、第2取付ワイヤ50は、上下に延びる第2力布取付部51と、第2力布取付部51の上端から左右内側に延びた部分である第2上延出部52と、第2力布取付部51の下端から左右内側に延びた部分である第2下延出部53とを有している。
第2力布取付部51は、第2力布32が取り付けられる部分である。第2力布32は、リング部32Aを第2上延出部52または第2下延出部53の先端から差し込んで通し、第2力布取付部51に配置することで、第2取付ワイヤ50に取り付けられる。
第2上延出部52および第2下延出部53の左右内側の端部には、それぞれ、第2湾曲部54が設けられている。第2湾曲部54は、固定ワイヤ60のワイヤ取付部61(ワイヤ係合部61A)に係合する部分であり、左右内側に凸となるように湾曲している。第2湾曲部54の端部54Aは、屈曲して前方に延びている。なお、本実施形態において、第2上延出部52および第2下延出部53の第2湾曲部54よりも左右外側の部分は、第2力布取付部51の端から第2力布取付部51の上下方向における内側(下または上)に湾曲して上下に延びた後、第2湾曲部54につながっている。これにより、固定ワイヤ60に取り付けられる部分をコンパクトな構成としつつ、第2力布取付部51の上下の長さを確保できるので、第2力布32の上下の長さを確保することができ、第2力布32によってエアバッグ11の展開方向を良好に規制することができる。
第1取付ワイヤ40の第1湾曲部44と、第2取付ワイヤ50の第2湾曲部54は、固定ワイヤ60のワイヤ取付部61に係合した状態で、端部44A,54A同士が互いに引っ掛かっている。詳しくは、図4に示すように、端部44Aと端部54Aは、端部44Aが左右内側に位置し、端部54Aが左右外側に位置した状態で互いに接触している。
クッションパッド70は、ウレタンフォームなどからなり、サイドエアバッグ装置1のフレームを構成する車体取付ブラケット200とワイヤフレーム20を覆うようにこれらと一体に成形されている。クッションパッド70は、パッド前部71と、パッド前部71の上端から後方に延びるパッド上部72(図3参照)と、左右内側に設けられるパッド側部73とを有している。パッド前部71には、エアバッグ11を前方に展開させるための上下に長いスリット71Aが形成されている。
図3に示すように、パッド側部73は、凹部1Aおよび切欠部1Bを有している。
凹部1Aは、車体取付ブラケット200の上車体固定部222を露出させるための開口部分であり、上車体固定部222に対応した位置に形成されている。凹部1Aは、左右および後方に開口している。サイドエアバッグ装置1が車体に取り付けられた場合、この凹部1Aにストライカ350(図2参照)が配置される。
切欠部1Bは、車体取付ブラケット200の下車体固定部233を露出させるための開口部分であり、下車体固定部233に対応した位置に形成されている。
図4に示すように、表皮部材80は、サイドエアバッグ装置1の外表面を構成する部材であり、布地や皮革などからなる。表皮部材80は、車体取付ブラケット200、ワイヤフレーム20およびクッションパッド70を、前側、上側および左右内側から覆う形状を有している。表皮部材80は、クッションパッド70の左右内側を覆う部分の端部81にフック部材82が取り付けられており、このフック部材82を左右外側から車体取付ブラケット200の表皮固定孔212に係合することで、端部81が車体取付ブラケット200に固定されている。また、表皮部材80は、クッションパッド70のスリット71Aに対応した位置に、エアバッグ11を前方に向けて展開させるための脆弱部83が形成されている。脆弱部83は、例えば、表皮部材80に設けたスリットを縫い合わせることで形成することができる。
次に、サイドエアバッグ装置1の製造方法とサイドエアバッグ装置1の車体への取付方法の一例について説明する。
図5に示すように、まず、車体取付ブラケット200とワイヤフレーム20を溶接により固定する。次に、車体取付ブラケット200とワイヤフレーム20を図示しない金型内に配置して、図4に示すように、クッションパッド70を車体取付ブラケット200およびワイヤフレーム20と一体成形する。
次に、表皮部材80に第1力布31および第2力布32の前端部を結合する。そして、車体取付ブラケット200、ワイヤフレーム20およびクッションパッド70に表皮部材80を被せ、表皮部材80を車体取付ブラケット200に固定する。具体的には、表皮部材80の端部81に取り付けられたフック部材82を車体取付ブラケット200の表皮固定孔212に引っ掛ける。
図5に戻り、次に、モジュールブラケット100に固定ワイヤ60を固定する。具体的には、一対の被固定部63をモジュール固定部111の左右内側の面の後端部に溶接により固定する。次に、モジュールブラケット100にエアバッグモジュール10を固定する。具体的には、インフレータ12のボルト12Bをモジュール固定部111の孔111A(図7参照)に左右外側から挿通し、ボルト12Bにモジュール固定部111の左右内側からナット12Nを締結する。
次に、モジュールブラケット100を車体取付ブラケット200に固定する。具体的には、図9に示すように、まず、舌部113を先端部113Cからの係合孔234Aに差し込む。次に、係合孔234A付近を中心として、モジュールブラケット100を左右内側に回しながら、モジュールブラケット100の第2固定部114に設けられた孔114Aと、車体取付ブラケット200の第2ブラケット固定部211に設けられた孔211Aの位置を合わせる。そして、図7に示すように、ボルト91Bを孔114A,211Aに左右外側から挿通し、第2ブラケット固定部211の左右内側の面に固定されたナット91Nに締結する。
次に、図8に示すように、第1取付ワイヤ40を、表皮部材80に結合された第1力布31に取り付けるとともに、固定ワイヤ60に取り付ける。具体的には、第1上延出部42または第1下延出部43を先端からリング部31Aに差し込み、第1力布取付部41をリング部31Aに通した状態に配置する。そして、各第1湾曲部44をワイヤ取付部61の各ワイヤ係合部61Aに係合する。
次に、第2取付ワイヤ50を、表皮部材80に結合された第2力布32に取り付けるとともに、固定ワイヤ60に取り付ける。具体的には、第2上延出部52または第2下延出部53を先端からリング部32Aに差し込み、第2力布取付部51をリング部32Aに通した状態に配置する。そして、各第2湾曲部54をワイヤ取付部61の各ワイヤ係合部61Aに係合するとともに、各第2湾曲部54の各端部54Aを、第1取付ワイヤ40の、対応する第1湾曲部44の端部44Aに係合する。
以上の工程により、サイドエアバッグ装置1を製造することができる。なお、以上の工程は、適宜順番を入れ替えて行ってもよい。
サイドエアバッグ装置1を車体に取り付ける場合には、図2に示すように、まず、エアバッグ取付ブラケット340と、ストライカ350が固定されたベースブラケット360をサイドパネル300に固定しておく。そして、図5に示すように、モジュールブラケット100の上車体固定部121に設けられた孔121Aと、車体取付ブラケット200の上車体固定部222に設けられた孔222Aを、ベースブラケット360に固定されたボルト92Bに左右内側から差し込む。
また、車体取付ブラケット200の下車体固定部233に設けられた孔233Aと、モジュールブラケット100の下車体固定部112に設けられた孔112Aの位置を、エアバッグ取付ブラケット340の孔341に合わせる。そして、ベースブラケット360のボルト92Bにナット92Nを締結するとともに、ボルト93Bを孔233A,112A,341に左右内側から挿通し、エアバッグ取付ブラケット340の左右外側の面に固定されたナット93Nに締結する。
以上の工程により、サイドエアバッグ装置1を車体に取り付けることができる。
以上説明した本実施形態によれば、第1固定部としての舌部113については車体取付ブラケット200に引っ掛けることでモジュールブラケット100を車体取付ブラケット200に固定することができる。これにより、サイドエアバッグ装置1の組立作業を容易に行うことができる。
また、舌部113と第2固定部114が左右方向から見てエアバッグモジュール10と異なる位置に配置されているので、舌部113については引っ掛かり具合を容易に確認することができる。また、第2固定部114については固定作業、すなわち、ボルト91Bとナット91Nの締結を容易に行うことができる。これにより、サイドエアバッグ装置1の組立作業を容易に行うことができる。
また、第1固定部として板形状の舌部113を採用したので、舌部113を車体取付ブラケット200に引っ掛けやすい。これにより、サイドエアバッグ装置1の組立作業を容易に行うことができる。
また、舌部113が下方に向けて延びているので、舌部113を車体取付ブラケット200に引っ掛けたときに舌部113が車体取付ブラケット200から外れにくくなる。これにより、舌部113と車体取付ブラケット200との係合を、第2固定部114を車体取付ブラケット200に固定するまでの仮止めとして機能させることができるため、サイドエアバッグ装置1の組立作業を容易に行うことができる。
また、係合孔234Aの周縁部で舌部113の幅方向の移動を規制することができるので、モジュールブラケット100がボルト91Bを中心として車体取付ブラケット200に対して回転しようとするのを抑制することができる。これにより、エアバッグモジュール10の姿勢を安定させることができる。
また、舌部113が下車体固定部112から突出しているので、舌部113を下車体固定部112の近くに配置することができる。これにより、モジュールブラケット100を車体と車体取付ブラケット200の両方にしっかりと固定することができる。その結果、エアバッグモジュール10を車体にしっかりと固定することができるので、エアバッグモジュール10の姿勢を安定させることができる。
また、舌部113の先端部113Cが車体取付ブラケット200のエアバッグモジュール10とは反対側に位置し、係合孔234Aの周りの部分に係合しているので、舌部113を車体取付ブラケット200に引っ掛けたときにモジュールブラケット100が外れにくくなる。これにより、エアバッグモジュール10を車体にしっかりと固定することができるので、エアバッグモジュール10の姿勢を安定させることができる。
また、第1ブラケット固定部234が左右方向から見て上車体固定部222および下車体固定部233と異なる位置に配置されているので、第1ブラケット固定部が上車体固定部222や下車体固定部233と重なる位置に配置される場合と比較して、例えば、第1ブラケット固定部234と下車体固定部233とを同一面状に設けることができ、サイドエアバッグ装置1を構成する部品である車体取付ブラケット200を簡単な構成とすることができる。また、車体取付ブラケット200の大型化を抑制することができるので、サイドエアバッグ装置1を左右方向に小型化することができる。
また、モジュール固定部111が左右方向から見て舌部113と第2固定部114の間に配置されているので、モジュールブラケット100を介してエアバッグモジュール10を車体取付ブラケット200にしっかりと固定することができる。これにより、エアバッグモジュール10を車体にしっかりと固定することができるので、エアバッグモジュール10の姿勢を安定させることができる。
また、車体取付ブラケット200がインフレータ12のボルト12Bの先端部を覆う板状の本体部210を有するので、本体部210によってボルト12Bの先端部を保護することができる。これにより、エアバッグモジュール10の固定箇所に不必要な力がかかるのを抑制することができるので、エアバッグモジュール10の姿勢を安定させることができる。
また、本体部210がボルト12Bの先端部と間隔をあけて配置されているので、本体部210とボルト12Bの先端部とが接触しない。これにより、エアバッグモジュール10の固定箇所に車体取付ブラケット200から力がかかるのを抑制することができるので、エアバッグモジュール10の姿勢を安定させることができる。
また、モジュールブラケット100と車体取付ブラケット200が互いに固定されて閉断面形状を形成しているので、モジュールブラケット100の剛性を向上させることができる。これにより、エアバッグモジュール10の取付剛性を向上させることができるので、エアバッグモジュール10の姿勢を安定させることができる。
また、第1取付ワイヤ40の一部である第1上延出部42および第1下延出部43がモジュール固定部111と本体部210の間に配置されているので、モジュール固定部111と本体部210との間のスペースを有効に利用しつつ、第1取付ワイヤ40をコンパクトに配置することができる。これにより、サイドエアバッグ装置1の大型化を抑制することができる。
また、第1取付ワイヤ40が左右方向から見てボルト12Bの先端部と異なる位置に配置されているので、第1取付ワイヤ40とボルト12Bの先端部を左右方向において同じ位置に配置することができる。これにより、第1取付ワイヤ40をコンパクトに配置することができるので、サイドエアバッグ装置1の大型化を抑制することができる。
また、第1力布31が左右方向から見てボルト12Bの先端部と異なる位置に配置されているので、第1力布31がエアバッグモジュール10の固定箇所であるボルト12Bの先端部に接触するのを抑制することができる。
また、固定ワイヤ60のワイヤ取付部61がモジュール固定部111と本体部210の間に配置されているので、モジュール固定部111と本体部210との間のスペースを有効に利用しつつ、固定ワイヤ60をコンパクトに配置することができる。これにより、サイドエアバッグ装置1の大型化を抑制することができる。
また、第1湾曲部44と第2湾曲部54は、端部44A,54A同士が互いに引っ掛かっているので、取付ワイヤ40,50の回動を規制することができる。詳しくは、図4に示すように、第1湾曲部44の端部44Aが第2湾曲部54の端部54Aに引っ掛かることで、第1取付ワイヤ40の図示反時計回りの回動を抑制することができる。また、第2湾曲部54の端部54Aが第1湾曲部44の端部44Aに引っ掛かることで、第2取付ワイヤ50の図示時計回りの回動を抑制することができる。これにより、第1力布31および第2力布32が不必要にたるむのを抑制することができるので、エアバッグ11が展開するときに、エアバッグ11の展開を安定させることができる。
また、本体部210に表皮部材80の端部81が固定されるので、表皮部材80が固定される部分を本体部210と別に設ける場合と比較して、車体取付ブラケット200などのサイドエアバッグ装置1を構成する部品を簡単な構成とすることができる。また、車体取付ブラケット200の大型化を抑制することができるので、サイドエアバッグ装置1の大型化を抑制することができる。
また、ボルト12Bの先端部を覆う部材が車体に固定されるとともに、モジュールブラケット100が固定される車体取付ブラケット200なので、モジュールブラケット100および車体取付ブラケット200を介してエアバッグモジュール10を車体にしっかりと固定することができる。これにより、エアバッグモジュール10の姿勢を安定させることができる。
また、車体取付ブラケット200が車体との間でモジュールブラケット100を挟んだ状態で車体に固定されるので、モジュールブラケット100を車体にしっかりと固定することができる。これにより、モジュールブラケット100を介してエアバッグモジュール10を車体にしっかりと固定することができ、エアバッグモジュール10の姿勢を安定させることができる。
また、モジュールブラケット100および車体取付ブラケット200がストライカ350が配置される逃げ部としての切欠150,250を有するので、ストライカ350が設けられた車体に対してサイドエアバッグ装置1をコンパクトに配置することができる。
また、モジュールブラケット100および車体取付ブラケット200に切欠150,250を設けるという簡単な構成でサイドエアバッグ装置1をコンパクトに配置することができる。
また、モジュールブラケット100の切欠150が本体部110と延出部120により形成され、車体取付ブラケット200の切欠250が本体部210と第1延出部220により形成されているので、切欠を形成する部分と車体の固定される部分を別に設ける場合と比較して、サイドエアバッグ装置1を構成する部品であるブラケットを簡単な構成とすることができる。また、モジュールブラケット100や車体取付ブラケット200の大型化を抑制することができるので、サイドエアバッグ装置1の大型化を抑制することができる。
また、ワイヤフレーム20の対向部21Bと本体部110,210の間にストライカ350が配置されるので、ストライカ350が設けられた車体に対してサイドエアバッグ装置1をコンパクトに配置することができる。
また、延出部120が本体部110の上端から上方に延び、第1延出部220が本体部210の上端から上方に延びているので、延出部が前後に延出している場合と比較して、サイドエアバッグ装置1の前後方向への大型化を抑制することができる。
また、モジュールブラケット100および車体取付ブラケット200がストライカ350とともにベースブラケット360に固定されるので、モジュールブラケット100および車体取付ブラケット200をストライカ350の近くに固定することができる。これにより、ストライカ350が設けられた車体に対してサイドエアバッグ装置1をコンパクトに配置することができる。
また、エアバッグモジュール10が切欠150,250よりも下に配置されているので、エアバッグモジュール10が切欠150,250の前後に配置される場合と比較して、サイドエアバッグ装置1の前後方向への大型化を抑制することができる。
また、エアバッグモジュール10が左右方向から見て上車体固定部121,222と下車体固定部112,233の間に配置されているので、エアバッグモジュール10を車体にしっかりと固定することができる。これにより、エアバッグモジュール10の姿勢を安定させることができる。
また、サイドエアバッグ装置1が、ストライカ350が配置される凹部1Aを有するので、ストライカ350が設けられた車体に対してサイドエアバッグ装置1をコンパクトに配置することができる。
以上に発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、適宜変形して実施することが可能である。
例えば、前記実施形態では、固定ワイヤ60の被固定部63がモジュールブラケット100に固定されていたが、被固定部は、カバー部材としての車体取付ブラケットに固定されていてもよい。
また、前記実施形態では、舌部113が下方に向けて延びていたが、例えば、舌部は、前方や後方、上方などに向けて延びる構成であってもよい。また、前記実施形態では、舌部113がモジュールブラケット100の周縁部から突出していたが、例えば、舌部は、モジュールブラケットの一部を切り起こして設けてもよい。また、前記実施形態では、舌部113が下車体固定部112(第1車体固定部)の近くに配置されていたが、舌部と第1車体固定部はある程度離れて配置されていてもよい。また、前記実施形態では、舌部113が係合孔234Aに係合する構成であったが、例えば、舌部は、車体取付ブラケットの周縁部に引っ掛かる構成であってもよい。また、前記実施形態では、第1固定部が板形状の舌部113であったが、第1固定部は、板形状でなくても構わない。
また、前記実施形態で説明した第1車体固定部および第2車体固定部は一例であり、これらは前記実施形態の構成に限定されない。例えば、第1車体固定部や第2車体固定部は、配置や数などを変更してもよい。ブラケット固定部についても同様である。
また、前記実施形態では、第2固定部114が車体取付ブラケット200にボルト91Bによって固定される構成であったが、例えば、第2固定部に爪部などを設け、この爪部が車体取付ブラケットに係合することで、第2固定部が車体取付ブラケットに固定される構成であってもよい。また、前記実施形態では、固定部材としてボルト91Bを例示したが、例えば、固定部材は、ピン状のクリップなどであってもよい。
また、前記実施形態では、ストライカ350がベースブラケット360を介して車体に固定され、モジュールブラケット100および車体取付ブラケット200がベースブラケット360に固定されていたが、ベースブラケットを介さない構成であってもよい。すなわち、例えば、モジュールブラケット100および車体取付ブラケット200は、ストライカ設置部330を含むサイドパネル300に直接固定される構成であってもよい。
また、前記実施形態では、ストライカ350が配置される逃げ部が切欠150,250であったが、例えば、逃げ部は、凹状の切欠であってもよいし、貫設された孔であってもよい。また、前記実施形態では、サイドエアバッグ装置1に、ストライカ350が配置される部分として左右および後方に開口した凹部1Aが設けられていたが、例えば、サイドエアバッグ装置のストライカが配置される部分は、左右のみが開口した貫通孔などであってもよい。
また、前記実施形態では、ブラケットとしてモジュールブラケット100と車体取付ブラケット200の2つを例示したが、ブラケットは、1つであってもよい場合がある。また、前記実施形態では、カバー部材として車体取付ブラケット200を例示したが、カバー部材は、モジュール固定部に対向して配置されてインフレータのボルトの先端部を覆う板状部を有する部材であれば、車体取付ブラケット以外の部材であってもよい。また、カバー部材は、車体に直接固定される部材でなくても構わない。
また、前記実施形態では、サイドエアバッグ装置を自動車の後部座席に適用した例を説明したが、例えば、自動車の前の座席や3列席の中央席などに適用してもよい。
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。