JP2020056805A - ポジ型平版印刷版原版、及び、平版印刷版の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱分解が生じやすいバインダー樹脂(例えば、ポリウレア樹脂又はポリウレタン樹脂)を用いた平版印刷版において、バーニング処理を行っても耐刷性及び耐薬品性に優れた平版印刷版が得られるポジ型平版印刷版原版及び平版印刷版の作製方法を提供すること。【解決手段】成分Aとして、ウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有し、酸基を有する高分子化合物と、成分Bとして、赤外線吸収剤と、成分Cとして、エポキシ基を2以上有する化合物と、を含む画像記録層を、支持体上に有するポジ型平版印刷版原版、並びに上記ポジ型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法。【選択図】なし
Description
本発明は、ポジ型平版印刷版原版、及び、平版印刷版の作製方法に関する。
従来、種々の感光性組成物が可視画像形成材料や平版印刷版材料として使用されている。特に、平版印刷分野における近年におけるレーザーの発展は目ざましく、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザー又は半導体レーザーは、高出力、かつ、小型の物が容易に入手できるようになっている。平版印刷の分野においては、コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザーは非常に有用である。
赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版は、アルカリ可溶性のバインダー樹脂と、光を吸収し熱を発生する赤外線吸収剤(例えば、赤外吸収染料(IR染料))等とを必須成分とする。このIR染料等が、未露光部(画像部)では、バインダー樹脂との相互作用によりバインダー樹脂の現像液に対する溶解性を実質的に低下させる現像抑制剤として働き、露光部(非画像部)では、発生した熱によりIR染料等とバインダー樹脂との相互作用が弱まり、アルカリ現像液に溶解して平版印刷版を形成する。
従来の平版印刷版原版としては、特許文献1〜4に記載のものが知られている。
赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版は、アルカリ可溶性のバインダー樹脂と、光を吸収し熱を発生する赤外線吸収剤(例えば、赤外吸収染料(IR染料))等とを必須成分とする。このIR染料等が、未露光部(画像部)では、バインダー樹脂との相互作用によりバインダー樹脂の現像液に対する溶解性を実質的に低下させる現像抑制剤として働き、露光部(非画像部)では、発生した熱によりIR染料等とバインダー樹脂との相互作用が弱まり、アルカリ現像液に溶解して平版印刷版を形成する。
従来の平版印刷版原版としては、特許文献1〜4に記載のものが知られている。
ポジ型平版印刷版原版に要求される性能としては、例えば、露光部の現像性の他、得られる平版印刷版の耐刷性、印刷中に使用されるプレートクリーナ等に対する耐薬品性等がある。
このような要求に対して、ポジ型平版印刷版では、露光及び現像後に高温加熱処理(いわゆる、バーニング処理)を行うことにより、高い耐刷性が得られるものがある。
本発明者等は、従来使用されている平版印刷版原版には、下記のような問題点が存在することを見出した。
バインダー樹脂の1つとして、主鎖にウレア結合を有するウレアポリマーや主鎖にウレタン結合を有するウレタンポリマーを使うことにより、耐刷性に優れた印刷版が得られることも知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、ウレアポリマーやウレタンポリマーを用いた印刷版の耐薬品性及び耐刷性を更に高めるために、バーニング処理を行うと、加熱によりポリマーが分解し、かえって耐刷性及び耐薬品性のいずれか又は両方が低下してしまう場合があった。
従来のバーニング処理による耐刷性、耐薬品性向上技術としては、例えば、エポキシ化合物を架橋剤として用いる技術が提案されており(例えば、特許文献2、3参照)、これにより、バーニング処理を行うことによる耐刷性の向上が実現されている。
また、耐熱性が低いバインダー樹脂であるウレアポリマーとウレタンポリマーに対して、ブロックイソシアネート化合物を架橋剤として用いることにより、バーニング処理した場合でも、耐刷性及び耐薬品性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
このような要求に対して、ポジ型平版印刷版では、露光及び現像後に高温加熱処理(いわゆる、バーニング処理)を行うことにより、高い耐刷性が得られるものがある。
本発明者等は、従来使用されている平版印刷版原版には、下記のような問題点が存在することを見出した。
バインダー樹脂の1つとして、主鎖にウレア結合を有するウレアポリマーや主鎖にウレタン結合を有するウレタンポリマーを使うことにより、耐刷性に優れた印刷版が得られることも知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、ウレアポリマーやウレタンポリマーを用いた印刷版の耐薬品性及び耐刷性を更に高めるために、バーニング処理を行うと、加熱によりポリマーが分解し、かえって耐刷性及び耐薬品性のいずれか又は両方が低下してしまう場合があった。
従来のバーニング処理による耐刷性、耐薬品性向上技術としては、例えば、エポキシ化合物を架橋剤として用いる技術が提案されており(例えば、特許文献2、3参照)、これにより、バーニング処理を行うことによる耐刷性の向上が実現されている。
また、耐熱性が低いバインダー樹脂であるウレアポリマーとウレタンポリマーに対して、ブロックイソシアネート化合物を架橋剤として用いることにより、バーニング処理した場合でも、耐刷性及び耐薬品性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、熱分解が生じやすいバインダー樹脂(例えば、ポリウレア樹脂又はポリウレタン樹脂)を用いた平版印刷版において、バーニング処理を行っても耐刷性及び耐薬品性に優れた平版印刷版が得られるポジ型平版印刷版原版及び平版印刷版の作製方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 成分Aとして、ウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有し、酸基を有する高分子化合物と、成分Bとして、赤外線吸収剤と、成分Cとして、エポキシ基を2以上有する化合物と、を含む画像記録層を、支持体上に有するポジ型平版印刷版原版。
<2> 成分Aが、ウレア結合を主鎖に有する、<1>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<3> 成分Aが、ウレタン結合を主鎖に有する、<1>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<4> 成分Cが、高分子化合物である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<5> 成分Cが、芳香環構造を有する、<4>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<6> 成分Cが、脂環式構造を有する、<4>又は<5>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<7> 成分Cの含有量が、成分Aの含有量100質量部に対して、1質量部〜40質量部である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<8> 上記画像記録層が、成分Dとして他のアルカリ可溶性樹脂を更に含む、<1>〜<7>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<9> 成分Dが、フェノール性水酸基、スルホンアミド基及びカルボキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を有する、<8>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<10> 上記画像記録層が、下層と上層とで構成され、成分A、成分B及び成分Cを含む上記画像記録層が、少なくとも上記下層及び上記上層のいずれかである、<1>〜<9>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<11> <1>〜<10>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、露光された上記ポジ型平版印刷版原版をpH8.5〜pH13.5のアルカリ水溶液を用いて現像する現像工程、をこの順で含む平版印刷版の作製方法。
<12> 上記現像工程の後に、加熱処理を行う加熱処理工程を更に含む、<11>に記載の平版印刷版の作製方法。
<1> 成分Aとして、ウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有し、酸基を有する高分子化合物と、成分Bとして、赤外線吸収剤と、成分Cとして、エポキシ基を2以上有する化合物と、を含む画像記録層を、支持体上に有するポジ型平版印刷版原版。
<2> 成分Aが、ウレア結合を主鎖に有する、<1>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<3> 成分Aが、ウレタン結合を主鎖に有する、<1>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<4> 成分Cが、高分子化合物である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<5> 成分Cが、芳香環構造を有する、<4>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<6> 成分Cが、脂環式構造を有する、<4>又は<5>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<7> 成分Cの含有量が、成分Aの含有量100質量部に対して、1質量部〜40質量部である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<8> 上記画像記録層が、成分Dとして他のアルカリ可溶性樹脂を更に含む、<1>〜<7>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<9> 成分Dが、フェノール性水酸基、スルホンアミド基及びカルボキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を有する、<8>に記載のポジ型平版印刷版原版。
<10> 上記画像記録層が、下層と上層とで構成され、成分A、成分B及び成分Cを含む上記画像記録層が、少なくとも上記下層及び上記上層のいずれかである、<1>〜<9>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版。
<11> <1>〜<10>のいずれか1つに記載のポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、露光された上記ポジ型平版印刷版原版をpH8.5〜pH13.5のアルカリ水溶液を用いて現像する現像工程、をこの順で含む平版印刷版の作製方法。
<12> 上記現像工程の後に、加熱処理を行う加熱処理工程を更に含む、<11>に記載の平版印刷版の作製方法。
本発明の実施形態によれば、熱分解が生じやすいバインダー樹脂(例えば、ポリウレア樹脂又はポリウレタン樹脂)を用いた平版印刷版において、バーニング処理を行っても耐刷性及び耐薬品性に優れた平版印刷版が得られるポジ型平版印刷版原版及び平版印刷版の作製方法を提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「ウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有し、酸基を有する高分子化合物」等を、単に「成分A」等とも称する。
また、本明細書において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
なお、本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「ウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有し、酸基を有する高分子化合物」等を、単に「成分A」等とも称する。
また、本明細書において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
なお、本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、特に断りのない限り、ポリマー成分における分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトフラフィ(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
(ポジ型平版印刷版原版)
本開示に係るポジ型平版印刷版原版(以下、単に「平版印刷版原版」ともいう。)は、成分Aとして、ウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有し、酸基を有する高分子化合物と、成分Bとして、赤外線吸収剤と、成分Cとして、エポキシ基を2以上有する化合物と、を含む画像記録層(「感光層」ともいう。)を、支持体上に有する。
本開示において、「主鎖」とは樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは主鎖から枝分かれしている原子団を表す。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版(以下、単に「平版印刷版原版」ともいう。)は、成分Aとして、ウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有し、酸基を有する高分子化合物と、成分Bとして、赤外線吸収剤と、成分Cとして、エポキシ基を2以上有する化合物と、を含む画像記録層(「感光層」ともいう。)を、支持体上に有する。
本開示において、「主鎖」とは樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは主鎖から枝分かれしている原子団を表す。
本発明者等は検討した結果、上記の成分A〜成分Cを含む画像記録層を有することにより、熱分解が生じやすいバインダー樹脂(例えば、ウレアポリマーやウレタンポリマー)を用いた平版印刷版において、バーニング処理を行っても耐刷性及び耐薬品性に優れた平版印刷版が得られることを見出し、本開示に係る平版印刷版原版を完成するに至った。
本開示に係る平版印刷版原版における効果発現のメカニズムは定かではないが、以下のように推測される。
ウレアポリマーやウレタンポリマーは、バーニング処理により分子量又は重量平均分子量が数百〜数千である状態まで分解していると考えられ、そのため、バーニング処理前に比べて耐刷性、耐薬品性等の劣化を招いていると推察される。この際、分解物であるオリゴマー又はモノマーの末端はイソシアネート基又はアミノ基を有していると考えられる。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版においては、バーニング処理時に、上記分解物のイソシアネート基又はアミノ基と、成分Cのエポキシ基とが反応し、再び結合を形成することで耐刷性及び耐薬品性を向上させていると推測される。さらにエポキシ基含有化合のエポキシ基同士が反応することで、より強固な3次元架橋を形成すると考えられる。
また、このとき、成分Cが高分子化合物であると、再結合による架橋形成がより進行し易くなり、発明の効果がより大きくなると推定される。
以下、本開示に係る平版印刷版原版に含まれる各成分の詳細について記載する。
本開示に係る平版印刷版原版における効果発現のメカニズムは定かではないが、以下のように推測される。
ウレアポリマーやウレタンポリマーは、バーニング処理により分子量又は重量平均分子量が数百〜数千である状態まで分解していると考えられ、そのため、バーニング処理前に比べて耐刷性、耐薬品性等の劣化を招いていると推察される。この際、分解物であるオリゴマー又はモノマーの末端はイソシアネート基又はアミノ基を有していると考えられる。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版においては、バーニング処理時に、上記分解物のイソシアネート基又はアミノ基と、成分Cのエポキシ基とが反応し、再び結合を形成することで耐刷性及び耐薬品性を向上させていると推測される。さらにエポキシ基含有化合のエポキシ基同士が反応することで、より強固な3次元架橋を形成すると考えられる。
また、このとき、成分Cが高分子化合物であると、再結合による架橋形成がより進行し易くなり、発明の効果がより大きくなると推定される。
以下、本開示に係る平版印刷版原版に含まれる各成分の詳細について記載する。
<成分A:ウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有し、酸基を有する高分子化合物>
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、上記画像記録層に、成分Aとして、ウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有し、酸基を有する高分子化合物を含む。
本開示において、分子量(分布を有する場合は、重量平均分子量)が1,000以上である化合物を高分子化合物、1,000未満である化合物を低分子化合物という。
本開示において使用される成分Aは、従来公知のものであれば特に制限はないが、例えば以下のウレア樹脂、や、ウレタン樹脂、が好ましく使用される。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、上記画像記録層に、成分Aとして、ウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有し、酸基を有する高分子化合物を含む。
本開示において、分子量(分布を有する場合は、重量平均分子量)が1,000以上である化合物を高分子化合物、1,000未満である化合物を低分子化合物という。
本開示において使用される成分Aは、従来公知のものであれば特に制限はないが、例えば以下のウレア樹脂、や、ウレタン樹脂、が好ましく使用される。
本開示において使用される成分Aは、得られる平版印刷版の耐薬品性の観点から、ウレア結合を主鎖に有することが好ましく、ポリウレア樹脂であることがより好ましい。
また、本開示において使用される成分Aは、成分Aの溶解性に優れ、平版印刷版原版の製造に用いられる塗布液の製造適性に優れるため、現像画質に優れる観点から、ウレタン結合を主鎖に有することが好ましく、ポリウレタン樹脂であることがより好ましい。
また、本開示において使用される成分Aは、成分Aの溶解性に優れ、平版印刷版原版の製造に用いられる塗布液の製造適性に優れるため、現像画質に優れる観点から、ウレタン結合を主鎖に有することが好ましく、ポリウレタン樹脂であることがより好ましい。
〔ウレア結合〕
本開示において、「ウレア結合」は、一般式:−NR1C(=O)NR2−で表される。本開示においては、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)を表し、好ましくは、水素原子又は炭素数5以下のアルキル基である。
また、本開示において、主鎖がウレア結合により形成されている高分子化合物をポリウレア樹脂ともいう。
本開示において、「ウレア結合」は、一般式:−NR1C(=O)NR2−で表される。本開示においては、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)を表し、好ましくは、水素原子又は炭素数5以下のアルキル基である。
また、本開示において、主鎖がウレア結合により形成されている高分子化合物をポリウレア樹脂ともいう。
ウレア結合は、いかなる手段を用いて形成されてもよいが、イソシアネート化合物とアミン化合物との反応で得ることができる。
また、1,3−ビス(2−アミノエチル)ウレア、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ウレア、1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ウレア等のように、末端にヒドロキシ基又はアミノ基を有するアルキル基で置換されたウレア化合物を原料として合成してもよい。
また、1,3−ビス(2−アミノエチル)ウレア、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ウレア、1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ウレア等のように、末端にヒドロキシ基又はアミノ基を有するアルキル基で置換されたウレア化合物を原料として合成してもよい。
原料として使用する上記イソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物であれば特に制限なく使用可能であるが、ジイソシアネート化合物が好ましい。
ポリイソシアネート化合物として、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、9H−フルオレン−2,7−ジイソシアネート、9H−フルオレン−9−オン−2,7−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、トリレン−2,4−ジイソシアナート、トリレン−2,6−ジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジイソシアナトナフタレン等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物として、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、9H−フルオレン−2,7−ジイソシアネート、9H−フルオレン−9−オン−2,7−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、トリレン−2,4−ジイソシアナート、トリレン−2,6−ジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジイソシアナトナフタレン等が挙げられる。
原料として使用する上記アミン化合物としては、分子内にアミノ基を2つ以上有するポリアミン化合物であれば特に制限なく使用可能であるが、ジアミン化合物が好ましい。
ポリアミン化合物として、例えば、2,7−ジアミノ−9H−フルオレン、3,6−ジアミノアクリジン、アクリフラビン、アクリジンイエロー、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4−(フェニルジアゼニル)ベンゼン−1,3−ジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、1,8−ジアミノナフタレン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、m−キシリレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、6−クロロ−2,4−ジアミノピリミジン、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
また、後述する酸基を有するジアミン化合物Aも好適に使用することができる。
これらのポリアミンにホスゲン又はトリホスゲン等を反応させて、ポリイソシアネートを合成し、原料として用いてもよい。
ポリアミン化合物として、例えば、2,7−ジアミノ−9H−フルオレン、3,6−ジアミノアクリジン、アクリフラビン、アクリジンイエロー、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4−(フェニルジアゼニル)ベンゼン−1,3−ジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、1,8−ジアミノナフタレン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、m−キシリレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、6−クロロ−2,4−ジアミノピリミジン、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
また、後述する酸基を有するジアミン化合物Aも好適に使用することができる。
これらのポリアミンにホスゲン又はトリホスゲン等を反応させて、ポリイソシアネートを合成し、原料として用いてもよい。
〔ウレタン結合〕
本開示において、「ウレタン結合」は、一般式:−OC(=O)NR3−で表される。ここで、R3は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)を表し、好ましくは、水素原子又は炭素数5以下のアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子又はメチル基である。
本開示においては、主鎖がウレタン結合により形成されているポリマーをポリウレタン樹脂という。
本開示において、「ウレタン結合」は、一般式:−OC(=O)NR3−で表される。ここで、R3は、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)を表し、好ましくは、水素原子又は炭素数5以下のアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子又はメチル基である。
本開示においては、主鎖がウレタン結合により形成されているポリマーをポリウレタン樹脂という。
ウレタン結合は、如何なる手段を用いて形成されてもよいが、イソシアネート化合物とヒドロキシ基を有する化合物との反応により得ることができる。
原料として用いるイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物が好ましく、ジイソシアネート化合物が更に好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、上記ウレア結合を形成する原料として挙げたポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
原料として用いるヒドロキシ基を有する化合物としては、ポリオール化合物、アミノアルコール化合物、アミノフェノール化合物、アルキルアミノフェノール化合物等を挙げることができるが、好ましくはポリオール化合物又はアミノアルコール化合物である。
ポリオール化合物は、分子内に少なくとも2つ以上のヒドロキシ基を有する化合物であり、好ましくはジオール化合物である。又、分子内にエステル結合又はエーテル結合を有していてもよい。ポリオール化合物として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)等を挙げることができる。
アミノアルコール化合物は、分子内にアミノ基とヒドロキシ基を有する化合物であり、更に分子内にエーテル結合を有していてもよい。アミノアルコールとして、例えば、アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノ−2−プロパノール等を挙げることができる。
また、後述する酸基を有するジオール化合物Aも好適に使用することができる。
原料として用いるイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物が好ましく、ジイソシアネート化合物が更に好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、上記ウレア結合を形成する原料として挙げたポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
原料として用いるヒドロキシ基を有する化合物としては、ポリオール化合物、アミノアルコール化合物、アミノフェノール化合物、アルキルアミノフェノール化合物等を挙げることができるが、好ましくはポリオール化合物又はアミノアルコール化合物である。
ポリオール化合物は、分子内に少なくとも2つ以上のヒドロキシ基を有する化合物であり、好ましくはジオール化合物である。又、分子内にエステル結合又はエーテル結合を有していてもよい。ポリオール化合物として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)等を挙げることができる。
アミノアルコール化合物は、分子内にアミノ基とヒドロキシ基を有する化合物であり、更に分子内にエーテル結合を有していてもよい。アミノアルコールとして、例えば、アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノ−2−プロパノール等を挙げることができる。
また、後述する酸基を有するジオール化合物Aも好適に使用することができる。
本開示において用いられる成分Aは、酸基を更に有する。
上記酸基としては、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、活性イミド基、及びカルボキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1つの基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はスルホンアミド基であることが更に好ましい。
成分Aは、上記酸基を、ポリマーの主鎖、側鎖のどちらに有してもよいが、主鎖に有することが好ましい。
本開示において、フェノール性水酸基を主鎖に有するとは、フェノール性水酸基を有する芳香環を主鎖に有することをいう。
スルホンアミド基を主鎖に有するとは、−SO2−NH−により表される2価の基を主鎖に有することをいう。
カルボキシ基を主鎖に有するとは、カルボキシ基と直接結合した炭素原子、又は、カルボキシ基と直接結合した炭素原子を含む環構造を主鎖に有することをいう。
活性イミド基(置換スルホンアミド基)を主鎖に有するとは、−SO2NHC(=O)−、−SO2NHSO2−、−C(=O)NHSO2−のいずれかにより表される2価の基を主鎖に有することをいう。
成分Aに酸基を導入する方法としては、特に制限はなく、上記ポリイソシアネート化合物に対し、酸基を有するポリアミン化合物や酸基を有するポリオール化合物を反応させて得ることもできるし、また、高分子反応により重縮合後に導入してもよい。
上記酸基としては、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、活性イミド基、及びカルボキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1つの基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はスルホンアミド基であることが更に好ましい。
成分Aは、上記酸基を、ポリマーの主鎖、側鎖のどちらに有してもよいが、主鎖に有することが好ましい。
本開示において、フェノール性水酸基を主鎖に有するとは、フェノール性水酸基を有する芳香環を主鎖に有することをいう。
スルホンアミド基を主鎖に有するとは、−SO2−NH−により表される2価の基を主鎖に有することをいう。
カルボキシ基を主鎖に有するとは、カルボキシ基と直接結合した炭素原子、又は、カルボキシ基と直接結合した炭素原子を含む環構造を主鎖に有することをいう。
活性イミド基(置換スルホンアミド基)を主鎖に有するとは、−SO2NHC(=O)−、−SO2NHSO2−、−C(=O)NHSO2−のいずれかにより表される2価の基を主鎖に有することをいう。
成分Aに酸基を導入する方法としては、特に制限はなく、上記ポリイソシアネート化合物に対し、酸基を有するポリアミン化合物や酸基を有するポリオール化合物を反応させて得ることもできるし、また、高分子反応により重縮合後に導入してもよい。
〔酸基を有する構成単位〕
−フェノール性水酸基を有する構成単位−
成分Aは、フェノール性水酸基を有する構成単位を有することが好ましく、下記式AF−1で表される構成単位を主鎖に有することがより好ましい。
−フェノール性水酸基を有する構成単位−
成分Aは、フェノール性水酸基を有する構成単位を有することが好ましく、下記式AF−1で表される構成単位を主鎖に有することがより好ましい。
式AF−1中、RA1は、単結合又は二価の連結基を表す。
RA1は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基又はスルホニル基であることが好ましく、単結合又は炭素数1〜5のアルキレン基であることがより好ましく、単結合又はメチレン基であることが更に好ましく、単結合であることが特に好ましい。
RA1におけるアルキレン基は直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。また、RA1におけるアルキレン基は置換されていてもよく、置換基としては炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン原子が好ましく例示される。また、上記アリール基は更に置換されていてもよく、好ましい置換基としてはヒドロキシ基が挙げられる。
また、式AF−1におけるフェノール性水酸基は、−NH−が結合した位置のオルト位に結合していることが好ましい。上記態様であると、現像性に優れた平版印刷版原版が得られる。
上記フェノール性水酸基を有する構成単位を形成するジアミン化合物としては、以下のジアミン化合物が好ましく挙げられる。
下記ジアミン化合物を、酸基を有するジアミン化合物Aとしてイソシアネート化合物と反応させることにより、成分Aに酸基を導入することができる。
RA1は単結合、炭素数1〜6のアルキレン基又はスルホニル基であることが好ましく、単結合又は炭素数1〜5のアルキレン基であることがより好ましく、単結合又はメチレン基であることが更に好ましく、単結合であることが特に好ましい。
RA1におけるアルキレン基は直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。また、RA1におけるアルキレン基は置換されていてもよく、置換基としては炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン原子が好ましく例示される。また、上記アリール基は更に置換されていてもよく、好ましい置換基としてはヒドロキシ基が挙げられる。
また、式AF−1におけるフェノール性水酸基は、−NH−が結合した位置のオルト位に結合していることが好ましい。上記態様であると、現像性に優れた平版印刷版原版が得られる。
上記フェノール性水酸基を有する構成単位を形成するジアミン化合物としては、以下のジアミン化合物が好ましく挙げられる。
下記ジアミン化合物を、酸基を有するジアミン化合物Aとしてイソシアネート化合物と反応させることにより、成分Aに酸基を導入することができる。
上記ジアミン化合物の中でも、DADHB、1,3−DAP、DAMDH、PDABP、AHPHFP又はAHPFLが好ましく、DADHBがより好ましい。
−スルホンアミド基を有する構成単位−
成分Aは、スルホンアミド基を有する構成単位として、下記式AF−2により表される構成単位を主鎖に有することが好ましい。
成分Aは、スルホンアミド基を有する構成単位として、下記式AF−2により表される構成単位を主鎖に有することが好ましい。
式AF−2中、RA2、RA3及びRA4はそれぞれ独立に、二価の連結基を表し、Xは−NH−又は−O−により表される二価の基を表し、2つのXは同一の基を表す。
式AF−2におけるRA2及びRA4はそれぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、二価の飽和脂環式炭化水素基、二価の不飽和脂環式炭化水素基、又は、これらの基が複数個連結した二価の基が好ましく、アルキレン基又はアリーレン基がより好ましい。
上記アルキレン基としては炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜15のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜8のアルキレン基が更に好ましい。また、上記アルキレン基は炭素鎖中に酸素原子を含んでもよい。アルキレン基が有してもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記アリーレン基としては、炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、フェニレン基又はナフチレン基がより好ましく、フェニレン基が更に好ましい。上記アリーレン基は環構造中にヘテロ原子を有していてもよく、ヘテロ原子としては酸素原子、窒素原子又は硫黄原子が挙げられる。
上記二価の飽和脂環式炭化水素基としては炭素数4〜10の二価の飽和脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数4〜8の二価の飽和脂環式炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜8の二価の飽和脂環式炭化水素基が更に好ましい。また、上記二価の飽和脂環式炭化水素基が含んでもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記二価の不飽和脂環式炭化水素基としては、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプテニル基等が挙げられる。
これらの基が複数個連結した二価の基としては、アルキレン基とアリーレン基、又は、アルキレン基と二価の飽和脂環式炭化水素基が複数個結合した基が好ましく、アルキレン基−アリーレン基−アルキレン基、又は、アルキレン基−二価の飽和脂環式炭化水素基−アルキレン基という順に結合した基が好ましい。
上記アルキレン基としては炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜15のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜8のアルキレン基が更に好ましい。また、上記アルキレン基は炭素鎖中に酸素原子を含んでもよい。アルキレン基が有してもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記アリーレン基としては、炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、フェニレン基又はナフチレン基がより好ましく、フェニレン基が更に好ましい。上記アリーレン基は環構造中にヘテロ原子を有していてもよく、ヘテロ原子としては酸素原子、窒素原子又は硫黄原子が挙げられる。
上記二価の飽和脂環式炭化水素基としては炭素数4〜10の二価の飽和脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数4〜8の二価の飽和脂環式炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜8の二価の飽和脂環式炭化水素基が更に好ましい。また、上記二価の飽和脂環式炭化水素基が含んでもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記二価の不飽和脂環式炭化水素基としては、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプテニル基等が挙げられる。
これらの基が複数個連結した二価の基としては、アルキレン基とアリーレン基、又は、アルキレン基と二価の飽和脂環式炭化水素基が複数個結合した基が好ましく、アルキレン基−アリーレン基−アルキレン基、又は、アルキレン基−二価の飽和脂環式炭化水素基−アルキレン基という順に結合した基が好ましい。
式AF−2におけるRA3は、耐刷性及び耐薬品性の観点から、フェニレン基又は多環式構造を含む二価の連結基であることが好ましく、フェニレン基又は多環式構造からなる二価の連結基であることがより好ましく、多環式構造からなる二価の連結基であることが更に好ましい。
上記多環式構造としては、ナフタレン誘導体構造、アントラセン誘導体構造、ビフェニル構造、又は、ターフェニル構造であることが好ましく、キサントン構造、アントロン構造、キサンテン構造、ジヒドロアントラセン構造、アントラセン構造、ビフェニル構造、又は、ターフェニル構造であることがより好ましい。耐薬品性、耐刷性、及び、現像性の観点から、キサントン構造、アントロン構造、ビフェニル構造、又は、ナフタレン構造が好ましく、キサントン構造又はアントロン構造がより好ましい。
上記多環式構造としては、ナフタレン誘導体構造、アントラセン誘導体構造、ビフェニル構造、又は、ターフェニル構造であることが好ましく、キサントン構造、アントロン構造、キサンテン構造、ジヒドロアントラセン構造、アントラセン構造、ビフェニル構造、又は、ターフェニル構造であることがより好ましい。耐薬品性、耐刷性、及び、現像性の観点から、キサントン構造、アントロン構造、ビフェニル構造、又は、ナフタレン構造が好ましく、キサントン構造又はアントロン構造がより好ましい。
上記式AF−2により表される構成単位を形成するジアミン化合物又はジオール化合物としては、以下の化合物が好ましく挙げられる。
下記化合物中、Zはヒドロキシ基(−OH)又はアミノ基(−NH2)を表し、2つのZは同一の基を表す。
下記ジアミン化合物又はジオール化合物を、酸基を有するジアミン化合物A又は酸基を有するジオール化合物Aとしてイソシアネート化合物と反応させることにより、成分Aに酸基を導入することができる。
下記化合物中、Zはヒドロキシ基(−OH)又はアミノ基(−NH2)を表し、2つのZは同一の基を表す。
下記ジアミン化合物又はジオール化合物を、酸基を有するジアミン化合物A又は酸基を有するジオール化合物Aとしてイソシアネート化合物と反応させることにより、成分Aに酸基を導入することができる。
−カルボキシ基を有する構成単位−
成分Aは、カルボキシ基を有する構成単位を主鎖に有することが好ましい。
カルボキシ基を有する構成単位としては、特に限定されず、例えば、アルキレン基、アリーレン基又はそれらを組み合わせた基の炭素原子をカルボキシ基により置換した基が挙げられる。
上記アルキレン基としては、炭素数2〜20のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜10のアルキレン基がより好ましい。
上記アリーレン基としては、炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
成分Aは、カルボキシ基を有する構成単位を主鎖に有することが好ましい。
カルボキシ基を有する構成単位としては、特に限定されず、例えば、アルキレン基、アリーレン基又はそれらを組み合わせた基の炭素原子をカルボキシ基により置換した基が挙げられる。
上記アルキレン基としては、炭素数2〜20のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜10のアルキレン基がより好ましい。
上記アリーレン基としては、炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
上記カルボキシ基を有する構成単位を形成するジアミン化合物又はジオール化合物としては、以下の化合物が好ましく挙げられる。
下記化合物中、Zはヒドロキシ基(−OH)又はアミノ基(−NH2)を表し、2つのZは同一の基を表す。
下記ジアミン化合物又はジオール化合物を、上述の酸基を有するジアミン化合物A又は上述の酸基を有するジオール化合物Aとしてイソシアネート化合物と反応させることにより、成分Aに酸基を導入することができる。
下記化合物中、Zはヒドロキシ基(−OH)又はアミノ基(−NH2)を表し、2つのZは同一の基を表す。
下記ジアミン化合物又はジオール化合物を、上述の酸基を有するジアミン化合物A又は上述の酸基を有するジオール化合物Aとしてイソシアネート化合物と反応させることにより、成分Aに酸基を導入することができる。
−活性イミド基を有する構成単位−
成分Aは、活性イミド基を有する構成単位を主鎖に有することが好ましい。
活性イミド基を有する構成単位としては、特に限定されず、例えば、アルキレン基の炭素原子を活性イミド基により置換した基が挙げられる。
上記アルキレン基としては、炭素数2〜20のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜10のアルキレン基がより好ましい。
縮合後に主鎖となる炭素鎖中に活性イミド基を有するジアミン化合物又はジオール化合物を、上述の酸基を有するジアミン化合物A又は上述の酸基を有するジオール化合物Aとしてイソシアネート化合物と反応させることにより、成分Aに酸基を導入することができる。
成分Aは、活性イミド基を有する構成単位を主鎖に有することが好ましい。
活性イミド基を有する構成単位としては、特に限定されず、例えば、アルキレン基の炭素原子を活性イミド基により置換した基が挙げられる。
上記アルキレン基としては、炭素数2〜20のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜10のアルキレン基がより好ましい。
縮合後に主鎖となる炭素鎖中に活性イミド基を有するジアミン化合物又はジオール化合物を、上述の酸基を有するジアミン化合物A又は上述の酸基を有するジオール化合物Aとしてイソシアネート化合物と反応させることにより、成分Aに酸基を導入することができる。
成分Aの重量平均分子量は、平版印刷版原版の現像性及び得られる平版印刷版の耐薬品性の観点から、10,000〜300,000であることが好ましく、15,000〜200,000であることがより好ましく、20,000〜150,000であることが更に好ましい。
成分Aは、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
上記画像記録層中における成分Aの含有量は、画像記録層の全固形分質量に対し、10質量%〜95質量%であることが好ましく、20質量%〜90質量%であることがより好ましく、30質量%〜85質量%であることが更に好ましい。なお、画像記録層の全固形分質量とは、溶剤などの揮発性成分を除いた量を表す。上記範囲であると、現像した際のパターン形成性が良好となり、また、得られる平版印刷版の耐刷性及び耐薬品性により優れる。
上記画像記録層中における成分Aの含有量は、画像記録層の全固形分質量に対し、10質量%〜95質量%であることが好ましく、20質量%〜90質量%であることがより好ましく、30質量%〜85質量%であることが更に好ましい。なお、画像記録層の全固形分質量とは、溶剤などの揮発性成分を除いた量を表す。上記範囲であると、現像した際のパターン形成性が良好となり、また、得られる平版印刷版の耐刷性及び耐薬品性により優れる。
以下に、本開示において使用される、成分Aの具体例を示すが、本開示は、これらに限定されるものではない。なお、下記式中、括弧の右下の数値は構成単位の含有モル比を表す。また、下記式は、炭化水素の炭素原子及び水素原子を省略した形での記載としている。
<成分B:赤外線吸収剤>
本開示に係る画像記録層は、成分Bとして赤外線吸収剤を含有する。
成分Bは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
赤外線吸収剤としては、赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収剤として知られる種々の染料を用いることができる。
本開示において用いることができる赤外線吸収剤としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本開示において、これらの染料のうち、赤外光又は近赤外光を少なくとも吸収するものが、赤外光又は近赤外光を発光するレーザーでの利用に適する点で好ましく、シアニン染料が特に好ましい。
本開示に係る画像記録層は、成分Bとして赤外線吸収剤を含有する。
成分Bは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
赤外線吸収剤としては、赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収剤として知られる種々の染料を用いることができる。
本開示において用いることができる赤外線吸収剤としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本開示において、これらの染料のうち、赤外光又は近赤外光を少なくとも吸収するものが、赤外光又は近赤外光を発光するレーザーでの利用に適する点で好ましく、シアニン染料が特に好ましい。
そのような赤外光又は近赤外光を少なくとも吸収する染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等の各公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の各公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等の各公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクアリリウム色素、英国特許434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、染料として米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等が特に好ましく用いられる。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式I、IIとして記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノール染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。更に、下記式(a)で示されるシアニン色素は、本開示に係る平版印刷版原版における上層に使用した場合に、高い重合活性を与え、かつ、安定性、経済性に優れるため最も好ましい。
また、染料として米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等が特に好ましく用いられる。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式I、IIとして記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノール染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。更に、下記式(a)で示されるシアニン色素は、本開示に係る平版印刷版原版における上層に使用した場合に、高い重合活性を与え、かつ、安定性、経済性に優れるため最も好ましい。
式a中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、ジアリールアミノ基(−NPh2)、X2−
L2−又は下記式(b)により表される基を表す。X2は、酸素原子又は硫黄原子を示す。L2は、炭素数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、又はヘテロ原子を含む炭素数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。
L2−又は下記式(b)により表される基を表す。X2は、酸素原子又は硫黄原子を示す。L2は、炭素数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、又はヘテロ原子を含む炭素数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。
上記式(b)中、Xa−は後述するZa−と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基及びハロゲン原子よりなる群から選択される置換基を表す。
R21及びR22は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の炭化水素基を示す。画像記録層形成用の塗布液の保存安定性から、R21及びR22は、炭素数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R21とR22とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素数1〜12個の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜12個のアルコキシ基が挙げられる。
Y11、Y12は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素数1〜12個のジアルキルメチレン基を示す。R23及びR24は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20個の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素数1〜12個のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。
R25、R26、R27及びR28は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za−は、対アニオンを示す。但し、式aで示されるシアニン色素がその構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合は、Za−は必要ない。好ましいZa−は、画像記録層形成用の塗布液の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
好適に用いることのできる式aで示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落0017〜0019、特開2002−40638号公報の段落0012〜0038、特開2002−23360号公報の段落0012〜0023に記載されたものを挙げることができる。
赤外線吸収剤として特に好ましくは、以下に示すシアニン染料Aである。
R21及びR22は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の炭化水素基を示す。画像記録層形成用の塗布液の保存安定性から、R21及びR22は、炭素数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R21とR22とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素数1〜12個の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜12個のアルコキシ基が挙げられる。
Y11、Y12は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素数1〜12個のジアルキルメチレン基を示す。R23及びR24は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20個の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素数1〜12個のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。
R25、R26、R27及びR28は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za−は、対アニオンを示す。但し、式aで示されるシアニン色素がその構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合は、Za−は必要ない。好ましいZa−は、画像記録層形成用の塗布液の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
好適に用いることのできる式aで示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落0017〜0019、特開2002−40638号公報の段落0012〜0038、特開2002−23360号公報の段落0012〜0023に記載されたものを挙げることができる。
赤外線吸収剤として特に好ましくは、以下に示すシアニン染料Aである。
本開示における画像記録層に赤外線吸収剤を添加する際の含有量としては、画像記録層の全固形分質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜30質量%であることが特に好ましい。含有量が0.01質量%以上であると、高感度となり、また、50質量%以下であると、層の均一性が良好であり、層の耐久性に優れる。
<成分C:エポキシ基を2以上有する化合物>
本開示に係る画像記録層は、成分Cとして、エポキシ基を2以上有する化合物(単に「成分C」ともいう。)を含む。
成分Cは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明者らは、成分Cを含有することにより、バーニング処理を行わない場合であっても、耐刷性及び耐薬品性が向上することを見出した。
これは、成分Cを含有することにより、エポキシ基部分の酸素原子がバインダー及び添加剤と相互作用するため、非画像部においてより強固な膜が形成されるためであると推測している。
また、本発明者らは、成分Cを含有することにより、現像ラチチュード(現像液のpH及び温度並びに現像時間に対する許容性)が広い平版印刷版原版が得られることを見出した。
これは、エポキシ基部分の酸素原子がバインダー及び添加剤と相互作用するため、高液感側においても膜減りしにくくなったためであると推測している。
高液感側とは、現像液の組成、現像液の補充状態や温度条件等の現像処理条件によって、特に現像液感度が高い状態のことをいう。
本開示において、エポキシ基とは、下記式C−iにより表される構造を意味する。また式中のRcは水素原子又は有機基を表し、波線部は他の構造との結合部位を表す。
本開示に係る画像記録層は、成分Cとして、エポキシ基を2以上有する化合物(単に「成分C」ともいう。)を含む。
成分Cは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明者らは、成分Cを含有することにより、バーニング処理を行わない場合であっても、耐刷性及び耐薬品性が向上することを見出した。
これは、成分Cを含有することにより、エポキシ基部分の酸素原子がバインダー及び添加剤と相互作用するため、非画像部においてより強固な膜が形成されるためであると推測している。
また、本発明者らは、成分Cを含有することにより、現像ラチチュード(現像液のpH及び温度並びに現像時間に対する許容性)が広い平版印刷版原版が得られることを見出した。
これは、エポキシ基部分の酸素原子がバインダー及び添加剤と相互作用するため、高液感側においても膜減りしにくくなったためであると推測している。
高液感側とは、現像液の組成、現像液の補充状態や温度条件等の現像処理条件によって、特に現像液感度が高い状態のことをいう。
本開示において、エポキシ基とは、下記式C−iにより表される構造を意味する。また式中のRcは水素原子又は有機基を表し、波線部は他の構造との結合部位を表す。
上記式C−i中、Rca、Rcb及びRccはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
上記式中、Rca、Rcb及びRccはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
は
は
本開示における成分Cが、2つ以上のエポキシ基を有している場合、反応点が増えて架橋がより進行するため、バーニング時の耐刷向上効果が高いと考えられる。
成分Cに含まれるエポキシ基の数は、1分子あたり2個〜80個が好ましく、2個〜6個がより好ましい。
成分Cは、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよいが、塗布液の製造適性に優れ、現像画質に優れる観点からは、高分子化合物であることが好ましい。
本開示における成分Cの含有量は、成分Aの含有量100質量部に対して、1質量部〜40質量部であることが好ましく、1質量部〜30質量部であることがより好ましく、10質量部を超え30質量部以下であることが更に好ましい。
〔低分子化合物〕
成分Cが低分子化合物である場合、成分Cは、下記式C−iiにより表される化合物であることが好ましい。
成分Cが低分子化合物である場合、成分Cは、下記式C−iiにより表される化合物であることが好ましい。
式C−iiにおけるRc1は、単結合、酸素原子、アルキレン基、−OC(=O)−、−O−、アリーレン基、又は、これらが結合して形成される基であり、Rc2、Rc3、Rc4、Rc5はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、Rc2とRc3若しくはRc1に含まれる炭素原子、又は、Rc4とRc5若しくはRc1に含まれる炭素原子は連結して脂環式構造を形成してもよい。
上記Rc1におけるアルキレン基としては、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基がより好ましい。また、上記アルキレン基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。
上記Rc1におけるアリーレン基としては、炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
例えば、Rc1はビフェニル構造又はビスフェノール構造を表す。
上記Rc1におけるアルキレン基としては、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基がより好ましい。また、上記アルキレン基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。
上記Rc1におけるアリーレン基としては、炭素数6〜12のアリーレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
例えば、Rc1はビフェニル構造又はビスフェノール構造を表す。
以下に成分Cの低分子化合物の具体例を示すが、本開示はこれに限定されるものではない。
〔高分子化合物〕
成分Cが高分子化合物である場合、成分Cの重量平均分子量は、平版印刷版原版の現像性及び得られる平版印刷版の耐薬品性の観点から、10,000〜70,000であることが好ましく、40,000〜70,000であることがより好ましい。
成分Cが高分子化合物である場合、成分Cの重量平均分子量は、平版印刷版原版の現像性及び得られる平版印刷版の耐薬品性の観点から、10,000〜70,000であることが好ましく、40,000〜70,000であることがより好ましい。
成分Cが高分子化合物である場合、現像性の観点から、上記高分子化合物は、芳香環構造を含むことが好ましい。上記芳香環構造としては、例えば、ベンゼン環構造が挙げられる。
成分Cが芳香環構造を有することにより、成分C同士のπスタック構造が形成されるため、非画像部がより強固な構造となるためであると推測している。
また、成分Cが高分子化合物である場合、耐刷性及び耐薬品性の向上の観点から、上記高分子化合物は、脂環式構造を有することが好ましい。上記脂環式構造としては、例えば、シクロヘキサン環構造、ジシクロペンタニル環構造等が挙げられる。
成分Cが脂環式構造を有することにより、脂環式構造による立体障害により分子の配置における自由度が下がり、より緻密な架橋構造が形成されやすいため、耐刷性及び耐薬品性がより向上しやすいと推測している。
成分Cが芳香環構造を有することにより、成分C同士のπスタック構造が形成されるため、非画像部がより強固な構造となるためであると推測している。
また、成分Cが高分子化合物である場合、耐刷性及び耐薬品性の向上の観点から、上記高分子化合物は、脂環式構造を有することが好ましい。上記脂環式構造としては、例えば、シクロヘキサン環構造、ジシクロペンタニル環構造等が挙げられる。
成分Cが脂環式構造を有することにより、脂環式構造による立体障害により分子の配置における自由度が下がり、より緻密な架橋構造が形成されやすいため、耐刷性及び耐薬品性がより向上しやすいと推測している。
成分Cが高分子化合物である場合、上記高分子化合物は、例えば、下記式PC−1〜式PC−3のいずれかにより表される構成単位を含むことが好ましい。
上記式PC−1において、Rpはメチル基又は水素原子を表す。Xpは単結合又は二価の連結基であり、アルキレン基、エステル基、又は、これらが結合した基を表す。Zpは水素原子又はアルキル基を表す。
上記式PC−2において、Rp1、Rp2、Rp3及びRp4はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、nは1以上の整数を表す。
Rp1、Rp2、Rp3及びRp4におけるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
上記式PC−3において、Rp5、Rp6、Rp7及びRp8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、トリフルオロメチル基、又は、アリール基を表し、nは1以上の整数を表し、n1〜n4はそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
Rp5、Rp6、Rp7及びRp8におけるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
Rp5、Rp6、Rp7及びRp8におけるアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
n1〜n4はそれぞれ独立に、0〜4の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
上記式PC−2において、Rp1、Rp2、Rp3及びRp4はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、nは1以上の整数を表す。
Rp1、Rp2、Rp3及びRp4におけるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
上記式PC−3において、Rp5、Rp6、Rp7及びRp8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、トリフルオロメチル基、又は、アリール基を表し、nは1以上の整数を表し、n1〜n4はそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
Rp5、Rp6、Rp7及びRp8におけるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
Rp5、Rp6、Rp7及びRp8におけるアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
n1〜n4はそれぞれ独立に、0〜4の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
以下に成分Cの高分子化合物の具体例を示すが、本開示はこれに限定されるものではない。なお、下記式中、括弧の右下の数値、a及びbは構成単位の含有モル比を表し、括弧の右下のnは繰り返し数を表す。また、下記式は、炭化水素の炭素原子及び水素原子を省略した形での記載としている。
また、高分子化合物である成分Cとしては、市販品を使用することも可能である。
市販品としては、例えば、エポリードPB3600、((株)ダイセル製)、jER1256、jER4275、jER157S70、jERYX4000(以上、三菱化学(株)製)等が挙げられる。
市販品としては、例えば、エポリードPB3600、((株)ダイセル製)、jER1256、jER4275、jER157S70、jERYX4000(以上、三菱化学(株)製)等が挙げられる。
<成分D:他のアルカリ可溶性樹脂>
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、上記画像記録層に、成分Dとして、他のアルカリ可溶性樹脂を更に含んでいてもよい。
また、成分Dはフェノール性水酸基、スルホンアミド基及びカルボキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を有することが好ましい。
本開示において使用される他のアルカリ可溶性樹脂は、従来公知のものであれば特に制限はないが、例えば以下のフェノール樹脂、又は、側鎖に酸基を含有する樹脂、が好ましく使用される。
成分Dには、成分A及び成分Cに該当する成分は含まれないものとする。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、上記画像記録層に、成分Dとして、他のアルカリ可溶性樹脂を更に含んでいてもよい。
また、成分Dはフェノール性水酸基、スルホンアミド基及びカルボキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を有することが好ましい。
本開示において使用される他のアルカリ可溶性樹脂は、従来公知のものであれば特に制限はないが、例えば以下のフェノール樹脂、又は、側鎖に酸基を含有する樹脂、が好ましく使用される。
成分Dには、成分A及び成分Cに該当する成分は含まれないものとする。
〔フェノール樹脂〕
本開示において用いられる成分Dは、重量平均分子量が2,000を超えるフェノール樹脂であることが好ましい。重量平均分子量が2,000を超えるフェノール樹脂は、構造単位としてフェノール、あるいは置換フェノール類を含むフェノール樹脂であり、好ましくはノボラック樹脂である。ノボラック樹脂は、未露光部において強い水素結合性を生起し、露光部において一部の水素結合が容易に解除されるといった点から、本開示における画像記録層に好ましく用いられるアルカリ可溶性樹脂である。
このノボラック樹脂は、分子内に構造単位としてフェノール類を含むものであれば特に制限はない。
本開示におけるノボラック樹脂は、フェノール、以下に示される置換フェノール類と、アルデヒド類との縮合反応により得られる樹脂であり、フェノール類としては、具体的には、フェノール、イソプロピルフェノール、t−ブチルフェノール、t−アミルフェノール、ヘキシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、3−メチル−4−クロロ−6−t−ブチルフェノール、イソプロピルクレゾール、t−ブチルクレゾール、t−アミルクレゾールが挙げられる。好ましくは、t−ブチルフェノール、t−ブチルクレゾールである。また、アルデヒド類の例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド等の脂肪族及び芳香族アルデヒドが挙げられる。好ましくは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドである。
より具体的には、本開示におけるノボラック樹脂しては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体(フェノールホルムアルデヒド樹脂)、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、フェノールとクレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体(フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂)等が挙げられる。
また、ノボラック樹脂としては、更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。
これらノボラック樹脂の中でも、特に好ましいものとして、フェノールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール混合ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。
本開示において用いられる成分Dは、重量平均分子量が2,000を超えるフェノール樹脂であることが好ましい。重量平均分子量が2,000を超えるフェノール樹脂は、構造単位としてフェノール、あるいは置換フェノール類を含むフェノール樹脂であり、好ましくはノボラック樹脂である。ノボラック樹脂は、未露光部において強い水素結合性を生起し、露光部において一部の水素結合が容易に解除されるといった点から、本開示における画像記録層に好ましく用いられるアルカリ可溶性樹脂である。
このノボラック樹脂は、分子内に構造単位としてフェノール類を含むものであれば特に制限はない。
本開示におけるノボラック樹脂は、フェノール、以下に示される置換フェノール類と、アルデヒド類との縮合反応により得られる樹脂であり、フェノール類としては、具体的には、フェノール、イソプロピルフェノール、t−ブチルフェノール、t−アミルフェノール、ヘキシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、3−メチル−4−クロロ−6−t−ブチルフェノール、イソプロピルクレゾール、t−ブチルクレゾール、t−アミルクレゾールが挙げられる。好ましくは、t−ブチルフェノール、t−ブチルクレゾールである。また、アルデヒド類の例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド等の脂肪族及び芳香族アルデヒドが挙げられる。好ましくは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドである。
より具体的には、本開示におけるノボラック樹脂しては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体(フェノールホルムアルデヒド樹脂)、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体(m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂)、フェノールとクレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体(フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂)等が挙げられる。
また、ノボラック樹脂としては、更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。
これらノボラック樹脂の中でも、特に好ましいものとして、フェノールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール混合ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。
上記フェノール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは2,000を超え50,000以下であり、2,500〜20,000であることが更に好ましく、3,000〜10,000であることが特に好ましい。また、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であることが好ましい。
上記数平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
このようなフェノール樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本開示における画像記録層中の成分Dであるフェノール樹脂の含有量は、バーニング適性、画像形成性の観点から、成分Aの全質量に対し、1質量%〜90質量%が好ましく、5質量%〜50質量%であることがより好ましく、10質量%〜30質量%であることが特に好ましい。
上記数平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
このようなフェノール樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本開示における画像記録層中の成分Dであるフェノール樹脂の含有量は、バーニング適性、画像形成性の観点から、成分Aの全質量に対し、1質量%〜90質量%が好ましく、5質量%〜50質量%であることがより好ましく、10質量%〜30質量%であることが特に好ましい。
〔側鎖に酸基を含有する樹脂〕
成分Dにおける他のアルカリ可溶性樹脂としては、上述したフェノール樹脂以外にも、下記(1)〜(6)に挙げる酸基を高分子の側鎖中に有する樹脂についても好適に用いることができる。
成分Dにおける他のアルカリ可溶性樹脂としては、上述したフェノール樹脂以外にも、下記(1)〜(6)に挙げる酸基を高分子の側鎖中に有する樹脂についても好適に用いることができる。
(1)フェノール性水酸基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO3H2)
上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO3H2)
上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂の中でも、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基および(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に、(1)フェノール性水酸基または(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が、アルカリ性現像液に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十分に確保する点から最も好ましい。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基を有する重合性モノマーに由来する構成単位を有する重合体が好ましい。フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとしては、フェノール性水酸基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはヒドロキシスチレン等の重合体が挙げられる。
(1)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基を有する重合性モノマーに由来する構成単位を有する重合体が好ましい。フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとしては、フェノール性水酸基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはヒドロキシスチレン等の重合体が挙げられる。
また、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、下記式EV−1及び下記式EV−2により表される構成単位を含む高分子化合物が挙げられる。
式EV−1又は式EV−2中、Lは二価の連結基を表し、xは0又は1であり、R1は少なくとも一つのヒドロキシ基を有する芳香環又はヘテロ芳香環を表し、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい線状又は分岐状、あるいは環状のアルキル基、置換基を有してもよい線状又は分岐状、あるいは環状のアルケニル基、又は、置換基を有してもよい芳香環、若しくは、置換基を有してもよいヘテロ芳香環を表す。
式EV−1中、R1は少なくとも一つのヒドロキシ基を有する芳香環又はヘテロ芳香環を表し、ヒドロキシ基はLとの結合部位に対し、オルト、メタ、パラ位のいずれに有していてもよい。
芳香環の好ましい例としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−、m−、p−キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、及び、フェナントレニル基が挙げられる。
ヘテロ芳香環の好ましい例としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、及び、チオフェニル基が挙げられる。
これらの芳香環又はヘテロ芳香環は、水酸基以外の置換基を有していてもよく、置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、アリールオキシ基、チオアルキル基、チオアリール基、−SH、アゾアルキル基やアゾフェニル基等のアゾ基、チオアルキル基、アミノ基、エテニル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は、複素脂環式基が挙げられる。
R1はヒドロキシ基を有するヒドロキシフェニル基又はヒドロキシナフチル基であることが好ましく、ヒドロキシフェニル基であることがより好ましい。
ヒドロキシフェニル基としては、2−、3−、又は、4−ヒドロキシフェニル基が挙げられる。
ヒドロキシナフチル基としては、2,3−、2,4−、又は、2,5−ジヒドロキシナフチル基、1,2,3−トリヒドロキシナフチル基、及び、ヒドロキシナフチル基が挙げられる。
ヒドロキシフェニル基又はヒドロキシナフチル基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。
芳香環の好ましい例としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−、m−、p−キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、及び、フェナントレニル基が挙げられる。
ヘテロ芳香環の好ましい例としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、及び、チオフェニル基が挙げられる。
これらの芳香環又はヘテロ芳香環は、水酸基以外の置換基を有していてもよく、置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、アリールオキシ基、チオアルキル基、チオアリール基、−SH、アゾアルキル基やアゾフェニル基等のアゾ基、チオアルキル基、アミノ基、エテニル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又は、複素脂環式基が挙げられる。
R1はヒドロキシ基を有するヒドロキシフェニル基又はヒドロキシナフチル基であることが好ましく、ヒドロキシフェニル基であることがより好ましい。
ヒドロキシフェニル基としては、2−、3−、又は、4−ヒドロキシフェニル基が挙げられる。
ヒドロキシナフチル基としては、2,3−、2,4−、又は、2,5−ジヒドロキシナフチル基、1,2,3−トリヒドロキシナフチル基、及び、ヒドロキシナフチル基が挙げられる。
ヒドロキシフェニル基又はヒドロキシナフチル基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。
式EV−1中、Lは二価の連結基を表し、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−、−NH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−NH−、−NH−C(=S)−NH−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−CH=N−、−NH−NH−、又は、これらの結合により表される基を表すことが好ましい。
上記アルキレン基、アリーレン基、又は、ヘテロアリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、及び、ホスホン酸基又はその塩が挙げられる。
Lは、アルキレン基、アリーレン基、又は、ヘテロアリーレン基であることがより好ましく、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−、又は、フェニレン基であることが更に好ましい。
上記アルキレン基、アリーレン基、又は、ヘテロアリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、及び、ホスホン酸基又はその塩が挙げられる。
Lは、アルキレン基、アリーレン基、又は、ヘテロアリーレン基であることがより好ましく、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−、又は、フェニレン基であることが更に好ましい。
式EV−2中、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい線状又は分岐状、あるいは環状のアルキル基、置換基を有してもよい線状又は分岐状、あるいは環状のアルケニル基、又は、置換基を有してもよい芳香環、若しくは、置換基を有してもよいヘテロ芳香環を表す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メトキシブチル基、イソヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、メチルシクロヘキシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、エテニル基、n−プロペニル基、n−ブテニル基、n−ペンテニル基、n−ヘキセニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、ネオペンテニル基、1−メチルブテニル基、イソヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、及び、メチルシクロヘキセニル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子が挙げられる。
芳香環としては、好ましくは、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−、m−、p−キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、及び、フェナントレニル基等のアリール基が挙げられる。
ヘテロ芳香環としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、及び、チオフェニル基等が挙げられる。
R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、塩素原子又はメチル基を表すことが好ましく、水素原子を表すことがより好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メトキシブチル基、イソヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、メチルシクロヘキシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、エテニル基、n−プロペニル基、n−ブテニル基、n−ペンテニル基、n−ヘキセニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、ネオペンテニル基、1−メチルブテニル基、イソヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、及び、メチルシクロヘキセニル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子が挙げられる。
芳香環としては、好ましくは、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−、m−、p−キシリル基、ナフチル基、アントラセニル基、及び、フェナントレニル基等のアリール基が挙げられる。
ヘテロ芳香環としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、及び、チオフェニル基等が挙げられる。
R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、塩素原子又はメチル基を表すことが好ましく、水素原子を表すことがより好ましい。
上記アルキル基、アルケニル基、芳香環又はヘテロ芳香環における置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、チオアルキル基、及び、−SHが挙げられる。
芳香環又はヘテロ芳香環は、置換基として、アリーロキシ基、チオアリール基、アゾアルキル基及びアゾアリール基等のアゾ基、又は、アミノ基、を有していてもよい。
芳香環又はヘテロ芳香環は、置換基として、アリーロキシ基、チオアリール基、アゾアルキル基及びアゾアリール基等のアゾ基、又は、アミノ基、を有していてもよい。
式EV−1により表される構成単位の含有量(ただし、モノマー単位として換算する。)は、高分子化合物におけるモノマー単位の全量に対し、10モル%以上が好ましく、10モル%〜55モル%がより好ましく、15モル%〜45モル%が更に好ましく、20モル%〜35モル%が特に好ましい。
式EV−2により表される構成単位の含有量(ただし、モノマー単位として換算する。)は、高分子化合物におけるモノマー単位の全量に対し、15モル%以上が好ましく、15モル%〜60モル%がより好ましく、20モル%〜50モル%が更に好ましく、25モル%〜45モル%が特に好ましい。
式EV−2により表される構成単位の含有量(ただし、モノマー単位として換算する。)は、高分子化合物におけるモノマー単位の全量に対し、15モル%以上が好ましく、15モル%〜60モル%がより好ましく、20モル%〜50モル%が更に好ましく、25モル%〜45モル%が特に好ましい。
また、式EV−1により表される構成単位、及び、式EV−2により表される構成単位の合計含有量(ただし、モノマー単位として換算する。)は、高分子化合物におけるモノマー単位の全量に対し、50モル%〜90モル%が好ましく、60モル%〜80モル%がより好ましく、65モル%〜75モル%が更に好ましい。
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、スルホンアミド基を有する重合性モノマーに由来する構成単位を有する重合体を挙げることができる。スルホンアミド基を有する重合性モノマーとしては、窒素原子に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げられる。中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基または置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(i)〜(v)中、X1及びX2は、それぞれ独立に、−O−又は−NR7−を表す。R1及びR4は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R2、R5、R9、R12、及び、R16は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R3、R7、及び、R13は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、R6及びR17は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R8、R10及びR14は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R11及びR15は、それぞれ独立に単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1及びY2は、それぞれ独立に単結合又は−C(=O)−を表す。
一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物のうち、本開示に用いうるアルカリ可溶性樹脂としては、特に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、活性イミド基を有する重合性モノマーに由来する構成単位を有する重合体を挙げることができる。活性イミド基を有する重合性モノマーとしては、下記構造式で表される活性イミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物を挙げることができる。
具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(4)カルボン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
(5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げることができる。
(6)リン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
(5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げることができる。
(6)リン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以上、または異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以上共重合させたものを用いることもできる。
上記共重合体は、共重合させる(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させることができない傾向がある。
上記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーと共重合させるモノマー成分としては、例えば、下記(m1)〜(m12)に挙げるモノマーを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
本開示におけるアルカリ可溶性樹脂としては、上記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、又は、活性イミド基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体が好ましく、特にm−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等の、スルホンアミド基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体のものが好ましい。また重量平均分子量は2,000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。また、本開示においてアルカリ可溶性樹脂がフェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールアルデヒド樹脂等の樹脂である場合には、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
本開示における画像記録層には、所望により他の成分を含有してもよい。
以下、本開示における画像記録層の任意成分である、酸発生剤、酸増殖剤、及び、その他の添加剤について説明する。
以下、本開示における画像記録層の任意成分である、酸発生剤、酸増殖剤、及び、その他の添加剤について説明する。
<酸発生剤>
本開示に係る画像記録層は、感度向上の観点から、酸発生剤を含有することが好ましい。
本開示において酸発生剤とは、光又は熱により酸を発生する化合物であり、赤外線の照射や、100℃以上の加熱によって分解し酸を発生する化合物を指す。発生する酸としては、スルホン酸、塩酸等のpKaが2以下の強酸であることが好ましい。この酸発生剤から発生した酸によって、露光部画像記録層への現像液の浸透性が高くなり、画像記録層のアルカリ水溶液に対する溶解性がより向上するものである。
本開示に係る画像記録層において好適に用いられる酸発生剤としては、国際公開第2016/047392号の段落0116から段落0130に記載の酸発生剤が挙げられる。
中でも、感度と安定性の観点から、酸発生剤としてオニウム塩化合物を用いることが好ましい。以下、オニウム塩化合物について説明する。
本開示において好適に用い得るオニウム塩化合物としては、赤外線露光、及び、露光により赤外線吸収剤から発生する熱エネルギーにより分解して酸を発生する化合物として知られる化合物を挙げることができる。本開示に好適なオニウム塩化合物としては、感度の観点から、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する、以下に述べるオニウム塩構造を有するものを挙げることができる。
本開示において好適に用いられるオニウム塩としては、公知のジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、アジニウム塩等が挙げられ、中でも、トリアリールスルホニウム、又は、ジアリールヨードニウムのスルホン酸塩、カルボン酸塩、BF4 −、PF6 −、ClO4 −などが好ましい。
本開示において酸発生剤として用い得るオニウム塩としては、下記式III〜Vで表されるオニウム塩が挙げられる。
本開示に係る画像記録層は、感度向上の観点から、酸発生剤を含有することが好ましい。
本開示において酸発生剤とは、光又は熱により酸を発生する化合物であり、赤外線の照射や、100℃以上の加熱によって分解し酸を発生する化合物を指す。発生する酸としては、スルホン酸、塩酸等のpKaが2以下の強酸であることが好ましい。この酸発生剤から発生した酸によって、露光部画像記録層への現像液の浸透性が高くなり、画像記録層のアルカリ水溶液に対する溶解性がより向上するものである。
本開示に係る画像記録層において好適に用いられる酸発生剤としては、国際公開第2016/047392号の段落0116から段落0130に記載の酸発生剤が挙げられる。
中でも、感度と安定性の観点から、酸発生剤としてオニウム塩化合物を用いることが好ましい。以下、オニウム塩化合物について説明する。
本開示において好適に用い得るオニウム塩化合物としては、赤外線露光、及び、露光により赤外線吸収剤から発生する熱エネルギーにより分解して酸を発生する化合物として知られる化合物を挙げることができる。本開示に好適なオニウム塩化合物としては、感度の観点から、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する、以下に述べるオニウム塩構造を有するものを挙げることができる。
本開示において好適に用いられるオニウム塩としては、公知のジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、アジニウム塩等が挙げられ、中でも、トリアリールスルホニウム、又は、ジアリールヨードニウムのスルホン酸塩、カルボン酸塩、BF4 −、PF6 −、ClO4 −などが好ましい。
本開示において酸発生剤として用い得るオニウム塩としては、下記式III〜Vで表されるオニウム塩が挙げられる。
上記式III中、Ar11とAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数12個以下のアルキル基、炭素数12個以下のアルコキシ基、又は炭素数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11−はハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、スルホン酸イオン、及び、ペルフルオロアルキルスルホン酸イオン等フッ素原子を有するスルホン酸イオンよりなる群から選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、アリールスルホン酸イオン、及びペルフルオロアルキルスルホン酸である。
上記式IV中、Ar21は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基、炭素数6〜12のアリールアミノ基又は、ジアリールアミノ基(2つのアリール基の炭素数が、それぞれ独立に、6〜12)が挙げられる。Z21−はZ11−と同義の対イオンを表す。
上記式V中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、又は炭素数1〜12のアリールオキシ基が挙げられる。Z31−はZ11−と同義の対イオンを表す。
上記式IV中、Ar21は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基、炭素数6〜12のアリールアミノ基又は、ジアリールアミノ基(2つのアリール基の炭素数が、それぞれ独立に、6〜12)が挙げられる。Z21−はZ11−と同義の対イオンを表す。
上記式V中、R31、R32及びR33は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、又は炭素数1〜12のアリールオキシ基が挙げられる。Z31−はZ11−と同義の対イオンを表す。
本開示に係る画像記録層において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例は、国際公開第2016/047392号の段落0121〜段落0124に記載された化合物と同様である。
また、上記式III〜式Vで表される化合物の別の例としては、特開2008−195018号公報の段落0036〜0045において、ラジカル重合開始剤の例として記載の化合物を、本開示に係る酸発生剤として好適に用いることができる。
本開示に用いうる酸発生剤のより好ましい例として、下記化合物(PAG−1)〜(PAG−5)が挙げられる。
これらの酸発生剤を本開示における画像記録層中に含有させる場合、これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
酸発生剤の含有量は、画像記録層の全固形分質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜40質量%がより好ましく、0.5質量%〜30質量%が更に好ましい。含有量が上記範囲において、酸発生剤添加の効果である感度の向上が見られると共に、非画像部における残膜の発生が抑制される。
酸発生剤の含有量は、画像記録層の全固形分質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜40質量%がより好ましく、0.5質量%〜30質量%が更に好ましい。含有量が上記範囲において、酸発生剤添加の効果である感度の向上が見られると共に、非画像部における残膜の発生が抑制される。
<酸増殖剤>
本開示における画像記録層は、酸増殖剤を含有してもよい。本開示における酸増殖剤とは、比較的に強い酸の残基で置換された化合物であって、酸触媒の存在下で容易に脱離して新たに酸を発生する化合物である。すなわち、酸触媒反応によって分解し、再び酸を発生する。1反応で1つ以上の酸が増えており、反応の進行に伴って加速的に酸濃度が増加することにより、飛躍的に感度が向上する。この発生する酸の強度は、酸解離定数(pKa)として3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。酸解離定数として3以下であれば、酸触媒による脱離反応を引き起こしやすい。
このような酸触媒に使用される酸としては、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェニルスルホン酸等が挙げられる。
本開示における画像記録層は、酸増殖剤を含有してもよい。本開示における酸増殖剤とは、比較的に強い酸の残基で置換された化合物であって、酸触媒の存在下で容易に脱離して新たに酸を発生する化合物である。すなわち、酸触媒反応によって分解し、再び酸を発生する。1反応で1つ以上の酸が増えており、反応の進行に伴って加速的に酸濃度が増加することにより、飛躍的に感度が向上する。この発生する酸の強度は、酸解離定数(pKa)として3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。酸解離定数として3以下であれば、酸触媒による脱離反応を引き起こしやすい。
このような酸触媒に使用される酸としては、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェニルスルホン酸等が挙げられる。
使用可能な酸増殖剤は、国際公開第2016/047392号の段落0133から段落0135に記載されたものと同様である。
これらの酸増殖剤を画像記録層中に添加する場合の含有量としては、画像記録層の全固形分質量に対し、0.01質量%〜20質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%がより好ましく、0.1質量%〜5質量%が更に好ましい。酸増殖剤の含有量が上記範囲において、酸増殖剤を添加する効果が充分に得られ、感度向上が達成されるともに、画像部の膜強度低下が抑制される。
<その他の添加剤>
本開示における画像記録層は、その他の添加剤として、現像促進剤、界面活性剤、焼き出し剤、着色剤、可塑剤、ワックス剤等を含んでもよい。
本開示における画像記録層は、その他の添加剤として、現像促進剤、界面活性剤、焼き出し剤、着色剤、可塑剤、ワックス剤等を含んでもよい。
<現像促進剤>
本開示における画像記録層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
酸無水物類としては環状酸無水物が好ましく、具体的に環状酸無水物としては、米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシテトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。非環状の酸無水物としては、無水酢酸などが挙げられる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、2,2’−ビスヒドロキシスルホン、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
有機酸類としては、特開昭60−88942号公報、特開平2−96755号公報などに記載されており、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記の酸無水物、フェノール類及び有機酸類の画像記録層の全固形分質量に占める割合は、0.05質量%〜20質量%が好ましく、0.1質量%〜15質量%がより好ましく、0.1質量%〜10質量%が特に好ましい。
本開示における画像記録層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
酸無水物類としては環状酸無水物が好ましく、具体的に環状酸無水物としては、米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシテトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。非環状の酸無水物としては、無水酢酸などが挙げられる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、2,2’−ビスヒドロキシスルホン、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
有機酸類としては、特開昭60−88942号公報、特開平2−96755号公報などに記載されており、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記の酸無水物、フェノール類及び有機酸類の画像記録層の全固形分質量に占める割合は、0.05質量%〜20質量%が好ましく、0.1質量%〜15質量%がより好ましく、0.1質量%〜10質量%が特に好ましい。
<界面活性剤>
本開示における画像記録層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特開2003−57820号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
界面活性剤の画像記録層の全固形分質量に占める割合は、0.01質量%〜15質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましく、0.05質量%〜2.0質量%が更に好ましい。
本開示における画像記録層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特開2003−57820号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
界面活性剤の画像記録層の全固形分質量に占める割合は、0.01質量%〜15質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましく、0.05質量%〜2.0質量%が更に好ましい。
<各成分の組成比>
本開示における画像記録層の全固形分質量に対して、成分Aの含有量は10質量%〜95質量%であることが好ましく、成分Bの含有量は0.01質量%〜50質量%であることが好ましい。また、成分Cの含有量は、成分Aの全質量に対し、1質量%〜40質量%が好ましく、成分Dの含有量は、成分Aの全質量に対し、1質量%〜90質量%が好ましい。
本開示における画像記録層の全固形分質量に対して、成分Aの含有量は10質量%〜95質量%であることが好ましく、成分Bの含有量は0.01質量%〜50質量%であることが好ましい。また、成分Cの含有量は、成分Aの全質量に対し、1質量%〜40質量%が好ましく、成分Dの含有量は、成分Aの全質量に対し、1質量%〜90質量%が好ましい。
<溶剤>
本開示に用いられる画像記録層は、上記の画像記録層の各成分を溶剤に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより形成することができる。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、1,3−ジメチルー2−イミダゾリジノン等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。
本開示に用いられる画像記録層は、上記の画像記録層の各成分を溶剤に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより形成することができる。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、1,3−ジメチルー2−イミダゾリジノン等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。
<下層及び上層の形成>
本開示に係るポジ型平版印刷版原版において、上記画像記録層は、支持体上に下層及び上層をこの順に配設した画像記録層(以下、「2層構造の平版印刷版原版」ともいう。)であることが好ましい。
より詳細には、本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、上記画像記録層が、下層と上層とで構成され、成分A〜成分Cを含む上記画像記録層が、少なくとも上記下層及び上記上層のいずれかであることが好ましく、成分A〜成分Cを含む上記画像記録層が、少なくとも上記下層であることがより好ましく、上記下層が成分A〜成分Cを含む上記画像記録層であり、かつ上記上層が成分A〜成分Cのうち少なくとも1種を含まないその他の画像記録層であることが更に好ましい。
下層及び上層は、原則的に2つの層を分離して形成することが好ましい。
2つの層を分離して形成する方法としては、例えば、特開2011−209343号公報の段落0068〜0069に記載されているように、下層に含まれる成分と、上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法、又は、上層を塗布した後、急速に溶剤を乾燥、除去さる方法等が挙げられる。後者の方法を併用することにより、層間の分離が一層良好に行われることになるため好ましい。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版において、上記画像記録層は、支持体上に下層及び上層をこの順に配設した画像記録層(以下、「2層構造の平版印刷版原版」ともいう。)であることが好ましい。
より詳細には、本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、上記画像記録層が、下層と上層とで構成され、成分A〜成分Cを含む上記画像記録層が、少なくとも上記下層及び上記上層のいずれかであることが好ましく、成分A〜成分Cを含む上記画像記録層が、少なくとも上記下層であることがより好ましく、上記下層が成分A〜成分Cを含む上記画像記録層であり、かつ上記上層が成分A〜成分Cのうち少なくとも1種を含まないその他の画像記録層であることが更に好ましい。
下層及び上層は、原則的に2つの層を分離して形成することが好ましい。
2つの層を分離して形成する方法としては、例えば、特開2011−209343号公報の段落0068〜0069に記載されているように、下層に含まれる成分と、上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法、又は、上層を塗布した後、急速に溶剤を乾燥、除去さる方法等が挙げられる。後者の方法を併用することにより、層間の分離が一層良好に行われることになるため好ましい。
上層又は下層に含まれる成分Aの含有量は、成分Aが含まれる上層又は下層の全質量に対して、10質量%〜100質量%であることが好ましく、50質量%〜98質量%であることがより好ましく、60質量%〜95質量%であることが更に好ましい。含有量がこの範囲であると、現像した際のパターン形成性が良好となる。
本開示に係る上層又は下層に含まれる上記成分Cの含有量は、同一の層に含有される成分Aの全質量に対して1質量%〜40質量%が好ましく、10質量%〜30質量%であることがより好ましい。
上記含有量が2質量%以上であれば、バーニング処理時の耐刷性向上効果が十分に得られ、バーニングを行わない場合のUVインキ刷耐性及びクリーナー耐性向上効果も十分である。
上記含有量が50質量%以下であれば、現像液が高活性の場合、必要な耐現像性が得られ、最小網点が飛びにくくなり、また、印刷時の耐刷性が向上する傾向がある。
上記含有量が2質量%以上であれば、バーニング処理時の耐刷性向上効果が十分に得られ、バーニングを行わない場合のUVインキ刷耐性及びクリーナー耐性向上効果も十分である。
上記含有量が50質量%以下であれば、現像液が高活性の場合、必要な耐現像性が得られ、最小網点が飛びにくくなり、また、印刷時の耐刷性が向上する傾向がある。
本開示に係る上層又は下層に含まれる成分Bの含有量は、上層又は下層の全固形分質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜30質量%であることが特に好ましい。含有量が0.01質量%以上であると、高感度となり、また、50質量%以下であると、層の均一性が良好であり、層の耐久性に優れる。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版の支持体上に塗布される下層成分の乾燥後の塗布量は、0.5g/m2〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.6g/m2〜2.5g/m2の範囲にあることがより好ましい。0.5g/m2以上であると、耐刷性に優れ、4.0g/m2以下であると、画像再現性及び感度に優れる。
また、上層成分の乾燥後の塗布量は、0.05g/m2〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.08g/m2〜0.7g/m2の範囲であることがより好ましい。0.05g/m2以上であると、現像ラチチュード、及び、耐傷性に優れ、1.0g/m2以下であると、感度に優れる。
下層及び上層を合わせた乾燥後の塗布量としては、0.6g/m2〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.7g/m2〜2.5g/m2の範囲にあることがより好ましい。0.6g/m2以上であると、耐刷性に優れ、4.0g/m2以下であると、画像再現性及び感度に優れる。
また、上層成分の乾燥後の塗布量は、0.05g/m2〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.08g/m2〜0.7g/m2の範囲であることがより好ましい。0.05g/m2以上であると、現像ラチチュード、及び、耐傷性に優れ、1.0g/m2以下であると、感度に優れる。
下層及び上層を合わせた乾燥後の塗布量としては、0.6g/m2〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.7g/m2〜2.5g/m2の範囲にあることがより好ましい。0.6g/m2以上であると、耐刷性に優れ、4.0g/m2以下であると、画像再現性及び感度に優れる。
<上層>
本開示に係る2層構造の平版印刷版原版の上層は、成分A〜成分Cを含む上記画像形成層であってもよいし、成分A〜成分Cのうち少なくとも1種を含まないその他の画像記録層であってもよいが、成分A〜成分Cのうち少なくとも1種を含まないその他の画像記録層であることが好ましい。
本開示に係る2層構造のポジ型平版印刷版原版の上層は、熱によりアルカリ水溶液への溶解性が向上する赤外線感応性のポジ型記録層であることが好ましい。
上層における熱によりアルカリ水溶液への溶解性が向上する機構には特に制限はなく、バインダー樹脂を含み、加熱された領域の溶解性が向上するものであれば、いずれも用いることができる。画像形成に利用される熱としては、赤外線吸収剤を含む下層が露光された場合に発生する熱が挙げられる。
熱によりアルカリ水溶液への溶解性が向上する上層としては、例えば、ノボラック樹脂、ウレタン樹脂等の水素結合能を有するアルカリ可溶性樹脂を含む層、水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂と溶解抑制作用のある化合物とを含む層、アブレーション可能な化合物を含む層、などが好ましく挙げられる。
本開示に係る2層構造の平版印刷版原版の上層は、成分A〜成分Cを含む上記画像形成層であってもよいし、成分A〜成分Cのうち少なくとも1種を含まないその他の画像記録層であってもよいが、成分A〜成分Cのうち少なくとも1種を含まないその他の画像記録層であることが好ましい。
本開示に係る2層構造のポジ型平版印刷版原版の上層は、熱によりアルカリ水溶液への溶解性が向上する赤外線感応性のポジ型記録層であることが好ましい。
上層における熱によりアルカリ水溶液への溶解性が向上する機構には特に制限はなく、バインダー樹脂を含み、加熱された領域の溶解性が向上するものであれば、いずれも用いることができる。画像形成に利用される熱としては、赤外線吸収剤を含む下層が露光された場合に発生する熱が挙げられる。
熱によりアルカリ水溶液への溶解性が向上する上層としては、例えば、ノボラック樹脂、ウレタン樹脂等の水素結合能を有するアルカリ可溶性樹脂を含む層、水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂と溶解抑制作用のある化合物とを含む層、アブレーション可能な化合物を含む層、などが好ましく挙げられる。
また、上層に、更に赤外線吸収剤を添加することにより、上層で発生する熱も画像形成に利用することができる。赤外線吸収剤を含む上層の構成としては、例えば、赤外線吸収剤と水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂と溶解抑制作用のある化合物とを含む層、赤外線吸収剤と水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂と酸発生剤とを含む層などが好ましく挙げられる。
〔水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂〕
本開示に係る上層は、水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂を含有することにより、赤外線吸収剤と水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂が有する極性基との間に相互作用が形成され、ポジ型の感光性を有する層が形成される。
一般的な水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂については以下に詳述するが、中でも、例えば、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂等を好ましく挙げることができる。
本開示に用いることができる水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものであれば特に制限はないが、高分子中の主鎖及び側鎖の一方又は両方に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、又は、これらの混合物であることが好ましい。
このような酸性基を有する水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、スルホンアミド基、活性イミド基等の官能基を有することが好ましい。したがって、このような樹脂は、上記官能基を有するエチレン性不飽和モノマーを1つ以上含むモノマー混合物を共重合することによって好適に生成することができる。上記官能基を有するエチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸の他に、下式で表される化合物及びその混合物が好ましく例示できる。なお、下式中、R40は水素原子又はメチル基を表す。
本開示に係る上層は、水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂を含有することにより、赤外線吸収剤と水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂が有する極性基との間に相互作用が形成され、ポジ型の感光性を有する層が形成される。
一般的な水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂については以下に詳述するが、中でも、例えば、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂等を好ましく挙げることができる。
本開示に用いることができる水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものであれば特に制限はないが、高分子中の主鎖及び側鎖の一方又は両方に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、又は、これらの混合物であることが好ましい。
このような酸性基を有する水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、スルホンアミド基、活性イミド基等の官能基を有することが好ましい。したがって、このような樹脂は、上記官能基を有するエチレン性不飽和モノマーを1つ以上含むモノマー混合物を共重合することによって好適に生成することができる。上記官能基を有するエチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸の他に、下式で表される化合物及びその混合物が好ましく例示できる。なお、下式中、R40は水素原子又はメチル基を表す。
本開示に用いることができる水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂としては、上記重合性モノマーの他に、他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物であることが好ましい。この場合の共重合比としては、フェノール性水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、スルホンアミド基、活性イミド基等の官能基を有するモノマーのようなアルカリ可溶性を付与するモノマーを10モル%以上含むことが好ましく、20モル%以上含むものがより好ましい。アルカリ可溶性を付与するモノマーの共重合成分が10モル%以上であると、アルカリ可溶性が十分得られ、また、現像性に優れる。
使用可能な他の重合性モノマーとしては、下記に挙げる化合物を例示することができる。
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、等のアルキルアクリレートやアルキルメタクリレート。2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のその他の窒素原子含有モノマー。N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2,6−ジエチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、等のマレイミド類。
これらの他のエチレン性不飽和モノマーのうち、好適に使用されるのは、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリルである。
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、等のアルキルアクリレートやアルキルメタクリレート。2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のその他の窒素原子含有モノマー。N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2,6−ジエチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、等のマレイミド類。
これらの他のエチレン性不飽和モノマーのうち、好適に使用されるのは、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリルである。
また、アルカリ可溶性樹脂としては、成分Dとして挙げたノボラック樹脂も好ましく挙げられる。
また、上記の水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂を1層型の上記画像記録層に用いることも可能である。
また、上記の水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂を1層型の上記画像記録層に用いることも可能である。
更に、本開示における上層中には、他の樹脂を併用することができる。上層自体は、特に非画像部領域において、アルカリ可溶性を発現することを要するため、この特性に適した樹脂を選択することが好ましい。この観点から、併用可能な樹脂としては、水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。一般的な水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂については以下に詳述するが、中でも、例えば、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂等を好ましく挙げることができる。
また、混合する量としては、上記水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂に対して50質量%以下であることが好ましい。
また、混合する量としては、上記水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂に対して50質量%以下であることが好ましい。
上記水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂は、重量平均分子量が2,000以上、かつ数平均分子量が500以上のものが好ましく、重量平均分子量が5,000〜300,000で、かつ数平均分子量が800〜250,000であることがより好ましい。また、上記アルカリ可溶性樹脂の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であることが好ましい。
上記水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本開示に係る上層の全固形分質量中に対するアルカリ可溶性樹脂の含有量は、全固形分質量中、2.0質量%〜99.5質量%であることが好ましく、10.0質量%〜99.0質量%であることがより好ましく、20.0質量%〜90.0質量%であることが更に好ましい。アルカリ可溶性樹脂の含有量が2.0質量%以上であると画像記録層(感光層)の耐久性に優れ、また、99.5質量%以下であると、感度、及び、耐久性の両方に優れる。
上記水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本開示に係る上層の全固形分質量中に対するアルカリ可溶性樹脂の含有量は、全固形分質量中、2.0質量%〜99.5質量%であることが好ましく、10.0質量%〜99.0質量%であることがより好ましく、20.0質量%〜90.0質量%であることが更に好ましい。アルカリ可溶性樹脂の含有量が2.0質量%以上であると画像記録層(感光層)の耐久性に優れ、また、99.5質量%以下であると、感度、及び、耐久性の両方に優れる。
〔赤外線吸収剤〕
上記上層は、赤外線吸収剤を含んでもよい。
赤外線吸収剤としては、赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、前述した、本開示に係るポジ型平版印刷版原版において用いられる赤外線吸収剤を同様に用いることができる。
特に好ましい染料は、上記式aで表されるシアニン染料である。
上記上層は、赤外線吸収剤を含んでもよい。
赤外線吸収剤としては、赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、前述した、本開示に係るポジ型平版印刷版原版において用いられる赤外線吸収剤を同様に用いることができる。
特に好ましい染料は、上記式aで表されるシアニン染料である。
上層に赤外線吸収剤を含有することにより、画像形成性に優れたポジ平版印刷版原版が得られる。
上層における赤外線吸収剤の含有量としては、上層全固形分質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜10質量%であることが特に好ましい。含有量が0.01質量%以上であることで感度が改良され、また、50質量%以下であると、層の均一性が良好であり、層の耐久性に優れる。
上層における赤外線吸収剤の含有量としては、上層全固形分質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜10質量%であることが特に好ましい。含有量が0.01質量%以上であることで感度が改良され、また、50質量%以下であると、層の均一性が良好であり、層の耐久性に優れる。
〔その他の成分〕
その他、2層構造のポジ型平版印刷版原版における上層は、酸発生剤、酸増殖剤、現像促進剤、界面活性剤、焼き出し剤、着色剤、可塑剤、ワックス剤等を含んでもよい。
これらの成分は、前述した、本開示に係るポジ型平版印刷版原版において用いられるそれぞれの成分を同様に用いることができ、好ましい態様も同様である。
その他、2層構造のポジ型平版印刷版原版における上層は、酸発生剤、酸増殖剤、現像促進剤、界面活性剤、焼き出し剤、着色剤、可塑剤、ワックス剤等を含んでもよい。
これらの成分は、前述した、本開示に係るポジ型平版印刷版原版において用いられるそれぞれの成分を同様に用いることができ、好ましい態様も同様である。
<下層>
本開示に係る2層構造の平版印刷版原版の下層は、成分A〜成分Cを含む上記画像記録層であることが好ましい。
成分A〜成分Cを下層に含むことにより、画像形成性や耐刷性に優れた印刷版を得ることができる。
また、成分A〜成分Cを下層に含むことにより、特に低品質のインキ、紙等の資材を用いた場合に耐刷性が向上する。
上記のような効果が得られる詳細な機構は不明であるが、印刷における耐刷性は下層に用いられる樹脂の膜強度が重要であると推測されることから、バインダー間の相互作用が強いため膜強度の高くなると推定される成分A〜成分Cを含む上記画像記録層を下層に用いることにより、耐刷性が向上すると推定している。
本開示に係る2層構造の平版印刷版原版の下層は、成分A〜成分Cを含む上記画像記録層であることが好ましい。
成分A〜成分Cを下層に含むことにより、画像形成性や耐刷性に優れた印刷版を得ることができる。
また、成分A〜成分Cを下層に含むことにより、特に低品質のインキ、紙等の資材を用いた場合に耐刷性が向上する。
上記のような効果が得られる詳細な機構は不明であるが、印刷における耐刷性は下層に用いられる樹脂の膜強度が重要であると推測されることから、バインダー間の相互作用が強いため膜強度の高くなると推定される成分A〜成分Cを含む上記画像記録層を下層に用いることにより、耐刷性が向上すると推定している。
上層が成分A〜成分Cを含む上記画像記録層である場合、下層も成分A〜成分Cを含む上記画像記録層であることが好ましいが、下層を成分A〜成分Cのうち少なくとも1種を含まないその他の画像記録層としてもよい。その場合の下層の好ましい態様は、上記で説明した上層の好ましい態様と同様である。
<支持体>
本開示に係るポジ型平版印刷版原版に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙、又は、プラスチックフィルム等が挙げられる。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙、又は、プラスチックフィルム等が挙げられる。
なお、本開示に用いられる支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸度安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート又は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下であることが好ましい。
本開示において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本開示において用いられるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本開示で用いられるアルミニウム板の厚みは、0.1mm〜0.6mmであることが好ましく、0.15mm〜0.4mmであることがより好ましく、0.2mm〜0.3mmであることが特に好ましい。
このように本開示において用いられるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本開示で用いられるアルミニウム板の厚みは、0.1mm〜0.6mmであることが好ましく、0.15mm〜0.4mmであることがより好ましく、0.2mm〜0.3mmであることが特に好ましい。
このようなアルミニウム板には、必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理などの表面処理を行ってもよい。アルミニウム支持体の表面処理については、例えば、特開2009−175195号公報の段落0167〜0169に詳細に記載されるような、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理、表面の粗面化処理、陽極酸化処理などが適宜、施される。
陽極酸化処理を施されたアルミニウム表面は、必要により親水化処理が施される。
親水化処理としては、特開2009−175195号公報の段落0169に開示されているような、アルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法、フッ化ジルコン酸カリウムあるいは、ポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
また、特開2011−245844号公報に記載された支持体も好ましく用いられる。
国際公開第2016/047392号の段落0166から段落0169の記載と同様の支持体を使用できる。
上記記載の中でも、特に、アルミニウム支持体であることが好ましく、親水化処理が施されたアルミニウム支持体が好ましい。
陽極酸化処理を施されたアルミニウム表面は、必要により親水化処理が施される。
親水化処理としては、特開2009−175195号公報の段落0169に開示されているような、アルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法、フッ化ジルコン酸カリウムあるいは、ポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
また、特開2011−245844号公報に記載された支持体も好ましく用いられる。
国際公開第2016/047392号の段落0166から段落0169の記載と同様の支持体を使用できる。
上記記載の中でも、特に、アルミニウム支持体であることが好ましく、親水化処理が施されたアルミニウム支持体が好ましい。
<下塗層>
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、必要に応じて支持体と画像記録層(2層構造のポジ型平版印刷版原版である場合には、下層)との間に下塗層を有していてもよい。
下塗層成分としては、種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン等のアミノ基を有するホスホン酸類、有機ホスホン酸、有機リン酸、有機ホスフィン酸、アミノ酸類、並びに、ヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等が好ましく挙げられる。また、これら下塗層成分は、1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。下塗層に使用される化合物の詳細、下塗層の形成方法は、特開2009−175195号公報の段落0171〜0172に記載され、これらの記載は本開示においても適用される。
有機下塗層の被覆量は、2mg/m2〜200mg/m2であることが好ましく、5mg/m2〜100mg/m2であることがより好ましい。被覆量が上記範囲であると、十分な耐刷性能が得られる。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版は、必要に応じて支持体と画像記録層(2層構造のポジ型平版印刷版原版である場合には、下層)との間に下塗層を有していてもよい。
下塗層成分としては、種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン等のアミノ基を有するホスホン酸類、有機ホスホン酸、有機リン酸、有機ホスフィン酸、アミノ酸類、並びに、ヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等が好ましく挙げられる。また、これら下塗層成分は、1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。下塗層に使用される化合物の詳細、下塗層の形成方法は、特開2009−175195号公報の段落0171〜0172に記載され、これらの記載は本開示においても適用される。
有機下塗層の被覆量は、2mg/m2〜200mg/m2であることが好ましく、5mg/m2〜100mg/m2であることがより好ましい。被覆量が上記範囲であると、十分な耐刷性能が得られる。
<バックコート層>
本開示に係るポジ型平版印刷版原版の支持体裏面には、必要に応じてバックコート層が設けられる。かかるバックコート層としては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4などのケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版の支持体裏面には、必要に応じてバックコート層が設けられる。かかるバックコート層としては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4などのケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
(平版印刷版の作製方法)
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係るポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、露光された上記ポジ型平版印刷版原版をpHが8.5〜pH13.5のアルカリ性水溶液を用いて現像する現像工程、をこの順で含む。
本開示に係る平版印刷版の作製方法によれば、耐刷性、耐薬品性が良好となり、特にバーニング処理後の耐刷性、耐薬品性が良好となる。
以下、本開示に係る平版印刷版の作製方法の各工程について詳細に説明する。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係るポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、露光された上記ポジ型平版印刷版原版をpHが8.5〜pH13.5のアルカリ性水溶液を用いて現像する現像工程、をこの順で含む。
本開示に係る平版印刷版の作製方法によれば、耐刷性、耐薬品性が良好となり、特にバーニング処理後の耐刷性、耐薬品性が良好となる。
以下、本開示に係る平版印刷版の作製方法の各工程について詳細に説明する。
<露光工程>
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係るポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程を含む。
詳細は国際公開第2016/047392号の段落0173から段落0175の記載と同様である。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版の画像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザー、半導体レーザーがより好ましい。中でも、本開示においては、波長750nm〜1,400nmの赤外線を放射する固体レーザー又は半導体レーザーにより画像露光されることが特に好ましい。
レーザーの出力は、100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版に照射されるエネルギーは、10mJ/cm2〜300mJ/cm2であることが好ましい。上記範囲であると、レーザーアブレーションを抑制し、画像が損傷を防ぐことができる。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係るポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程を含む。
詳細は国際公開第2016/047392号の段落0173から段落0175の記載と同様である。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版の画像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザー、半導体レーザーがより好ましい。中でも、本開示においては、波長750nm〜1,400nmの赤外線を放射する固体レーザー又は半導体レーザーにより画像露光されることが特に好ましい。
レーザーの出力は、100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。
本開示に係るポジ型平版印刷版原版に照射されるエネルギーは、10mJ/cm2〜300mJ/cm2であることが好ましい。上記範囲であると、レーザーアブレーションを抑制し、画像が損傷を防ぐことができる。
本開示における露光は、光源の光ビームをオーバーラップさせて露光することができる。オーバーラップとは、副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表したとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本開示ではこのオーバーラップ係数が、0.1以上であることが好ましい。
本開示において使用することができる露光装置の光源の走査方式は、特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。
<現像工程>
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、露光された上記印刷版原版をpH8.5〜pH13.5のアルカリ水溶液(以下、「現像液」ともいう。)を用いて現像する現像工程を含む。
現像工程に使用される現像液は、pH12.5〜pH13.5であることが好ましい。
また、上記現像液は、界面活性剤を含むことが好ましく、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤を少なくとも含むことがより好ましい。界面活性剤は処理性の向上に寄与する。
上記現像液に用いられる界面活性剤は、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、及び、両性の界面活性剤のいずれも用いることができるが、既述のように、アニオン性、又は、ノニオン性の界面活性剤が好ましい。
本開示における現像液に用いられるアニオン性、ノニオン性、カチオン性、及び、両性界面活性剤としては、特開2013−134341号公報の段落0128〜0131に記載のものを使用することができる。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、露光された上記印刷版原版をpH8.5〜pH13.5のアルカリ水溶液(以下、「現像液」ともいう。)を用いて現像する現像工程を含む。
現像工程に使用される現像液は、pH12.5〜pH13.5であることが好ましい。
また、上記現像液は、界面活性剤を含むことが好ましく、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤を少なくとも含むことがより好ましい。界面活性剤は処理性の向上に寄与する。
上記現像液に用いられる界面活性剤は、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、及び、両性の界面活性剤のいずれも用いることができるが、既述のように、アニオン性、又は、ノニオン性の界面活性剤が好ましい。
本開示における現像液に用いられるアニオン性、ノニオン性、カチオン性、及び、両性界面活性剤としては、特開2013−134341号公報の段落0128〜0131に記載のものを使用することができる。
また、水に対する安定な溶解性あるいは混濁性の観点から、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値が、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。
上記現像液に用いられる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤が好ましく、スルホン酸又はスルホン酸塩を含有するアニオン性界面活性剤及び、芳香環とエチレンオキサイド鎖を有するノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
界面活性剤は、単独又は組み合わせて使用することができる。
界面活性剤の現像液中における含有量は、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましい。
上記現像液に用いられる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤が好ましく、スルホン酸又はスルホン酸塩を含有するアニオン性界面活性剤及び、芳香環とエチレンオキサイド鎖を有するノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
界面活性剤は、単独又は組み合わせて使用することができる。
界面活性剤の現像液中における含有量は、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましい。
上記現像液をpH8.5〜pH13.5に保つためには、緩衝剤として炭酸イオン、炭酸水素イオンが存在することで、現像液を長期間使用してもpHの変動を抑制でき、pHの変動による現像性低下、現像カスの発生等を抑制できる。炭酸イオン、炭酸水素イオンを現像液中に存在させるには、炭酸塩と炭酸水素塩を現像液に加えてもよいし、炭酸塩又は炭酸水素塩を加えた後にpHを調整することで、炭酸イオンと炭酸水素イオンを発生させてもよい。炭酸塩及び炭酸水素塩は、特に限定されないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。これらは単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭酸塩及び炭酸水素塩の総量は、現像液の全質量に対して、0.3質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%がより好ましく、1質量%〜5質量%が特に好ましい。総量が0.3質量%以上であると現像性、処理能力が低下せず、20質量%以下であると沈殿や結晶を生成し難くなり、更に現像液の廃液処理時、中和の際にゲル化し難くなり、廃液処理に支障をきたさない。
また、アルカリ濃度の微少な調整、非画像部画像記録層の溶解を補助する目的で、補足的に他のアルカリ剤、例えば有機アルカリ剤を併用してもよい。有機アルカリ剤としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。これらの他のアルカリ剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記現像液には上記の他に、湿潤剤、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、有機溶剤、無機酸、無機塩などを含有することができる。ただし、水溶性高分子化合物を添加すると、特に現像液が疲労した際に版面がベトツキやすくなるため、添加しないことが好ましい。
上記現像液には上記の他に、湿潤剤、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、有機溶剤、無機酸、無機塩などを含有することができる。ただし、水溶性高分子化合物を添加すると、特に現像液が疲労した際に版面がベトツキやすくなるため、添加しないことが好ましい。
湿潤剤としては、特開2013−134341号公報の段落0141に記載の湿潤剤を好適に用いることができる。湿潤剤は単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。湿潤剤は、現像剤の全質量に対し、0.1質量%〜5質量%の量で使用されることが好ましい。
防腐剤としては、特開2013−134341号公報の段落0142に記載の防腐剤を好適に用いることができる。種々のカビ、殺菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。防腐剤の含有量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、現像液の全質量に対して、0.01質量%〜4質量%の範囲が好ましい。
キレート化合物としては、特開2013−134341号公報の段落0143に記載のキレート化合物を好適に用いることができる。キレート剤は現像液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。含有量は、現像液の全質量に対して、0.001質量%〜1.0質量%が好適である。
消泡剤としては、特開2013−134341号公報の段落0144に記載の消泡剤を好適に用いることができる。消泡剤の含有量は、現像液の全重量に対して、0.001質量%〜1.0質量%の範囲が好適である。
有機酸としては、特開2013−134341号公報の段落0145に記載の消泡剤を好適に用いることができる。有機酸の含有量は、現像液の全質量に対して、0.01質量%〜0.5質量%が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、“アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)、ガソリン、若しくは、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、又は、ハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール等)、ケトン類(メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、乳酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、その他(トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能である。現像液が有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40質量%未満が好ましい。
無機酸及び無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。無機塩の含有量は、現像液の全質量に対し、0.01質量%〜0.5質量%が好ましい。
現像の温度は、現像可能であれば特に制限はないが、60℃以下であることが好ましく、15℃〜40℃であることがより好ましい。自動現像機を用いる現像処理においては、処理量に応じて現像液が疲労してくることがあるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。また、特開平9−96910号公報に記載されているような自動現像装置を用いて、現像補充液を補充するタイミングを決定する基準電導度を処理疲労と炭酸ガス疲労との比を配慮して適性な値に、自動的に設定することにより、現像液の活性度を長期に渡って良好な状態に維持してもよい。
現像及び現像後の処理の一例としては、アルカリ現像を行い、後水洗工程でアルカリを除去し、ガム引き工程でガム処理を行い、乾燥工程で乾燥する方法が例示できる。また、他の例としては、炭酸イオン、炭酸水素イオン及び界面活性剤を含有する水溶液を用いることにより、前水洗、現像及びガム引きを同時に行う方法が好ましく例示できる。よって、前水洗工程は特に行わなくともよく、一液を用いるだけで、更には一浴で前水洗、現像及びガム引きを行ったのち、乾燥工程を行うことが好ましい。現像の後は、スクイズローラ等を用いて余剰の現像液を除去してから乾燥を行うことが好ましい。得られた平版印刷版に不必要な画像部がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このような消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行なう方法が好ましいが、特開平5−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
現像及び現像後の処理の一例としては、アルカリ現像を行い、後水洗工程でアルカリを除去し、ガム引き工程でガム処理を行い、乾燥工程で乾燥する方法が例示できる。また、他の例としては、炭酸イオン、炭酸水素イオン及び界面活性剤を含有する水溶液を用いることにより、前水洗、現像及びガム引きを同時に行う方法が好ましく例示できる。よって、前水洗工程は特に行わなくともよく、一液を用いるだけで、更には一浴で前水洗、現像及びガム引きを行ったのち、乾燥工程を行うことが好ましい。現像の後は、スクイズローラ等を用いて余剰の現像液を除去してから乾燥を行うことが好ましい。得られた平版印刷版に不必要な画像部がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このような消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行なう方法が好ましいが、特開平5−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
現像工程は、擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。自動処理機としては、例えば、画像露光後のポジ型平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開平2−220061号公報、特開昭60−59351号公報に記載の自動処理機や、シリンダー上にセットされた画像露光後のポジ型平版印刷版原版を、シリンダーを回転させながら擦り処理を行う、米国特許5148746号、同5568768号、英国特許2297719号の各明細書に記載の自動処理機等が挙げられる。中でも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。
本開示に使用する回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、更には、ポジ型平版印刷版原版の支持体における腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチック又は金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報、特開平3−100554号公報に記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属又はプラスチックの溝型材を芯となるプラスチック又は金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。
ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は20μm〜400μm、毛の長さは5mm〜30mmのものが好適に使用できる。
回転ブラシロールの外径は30mm〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は0.1m/sec〜5m/secが好ましい。回転ブラシロールは、複数本用いることが好ましい。
ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は20μm〜400μm、毛の長さは5mm〜30mmのものが好適に使用できる。
回転ブラシロールの外径は30mm〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は0.1m/sec〜5m/secが好ましい。回転ブラシロールは、複数本用いることが好ましい。
回転ブラシロールの回転方向は、ポジ型平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の画像記録層の除去が更に確実となる。更に、回転ブラシロールをブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
現像工程の後、連続的又は不連続的に乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥は熱風、赤外線、遠赤外線等によって行う。
本開示に係る平版印刷版の作製方法においては、ポジ型平版印刷版原版に対して、現像槽で、現像とガム引きとが行なわれ、その後、乾燥部で乾燥されて平版印刷版が得られる自動処理機を用いてもよい。
本開示に係る平版印刷版の作製方法においては、ポジ型平版印刷版原版に対して、現像槽で、現像とガム引きとが行なわれ、その後、乾燥部で乾燥されて平版印刷版が得られる自動処理機を用いてもよい。
<加熱処理(バーニング処理)工程>
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、現像工程の後に、加熱処理を行う加熱処理工程を更に含むことが好ましい。
上記加熱処理を、バーニング処理ともいい、上記加熱処理工程を、バーニング処理工程ともいう。また、本開示においては、現像工程後の平版印刷版に必要により不感脂化ガムを塗布した後、加熱処理(バーニング処理)が施されることが好ましい。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、現像工程の後に、加熱処理を行う加熱処理工程を更に含むことが好ましい。
上記加熱処理を、バーニング処理ともいい、上記加熱処理工程を、バーニング処理工程ともいう。また、本開示においては、現像工程後の平版印刷版に必要により不感脂化ガムを塗布した後、加熱処理(バーニング処理)が施されることが好ましい。
バーニング処理は、バーニングプロセッサー(例えば、富士フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などを用いて、150℃以上350℃以下の範囲に加熱することにより行われることが好ましい。
加熱温度は、150℃以上350℃以下の範囲であり、160℃以上300℃以下がより好ましく、180℃以上270℃以下が更に好ましい。また、加熱時間は、1分以上20分以下の範囲が好ましく、1分以上15分以下がより好ましく、1分以上10分以下が更に好ましい。
加熱温度及び加熱時間については、画像を形成している成分の種類を考慮して、最適な条件が選択される。
加熱温度は、150℃以上350℃以下の範囲であり、160℃以上300℃以下がより好ましく、180℃以上270℃以下が更に好ましい。また、加熱時間は、1分以上20分以下の範囲が好ましく、1分以上15分以下がより好ましく、1分以上10分以下が更に好ましい。
加熱温度及び加熱時間については、画像を形成している成分の種類を考慮して、最適な条件が選択される。
バーニング処理に際しては、バーニング処理前に、特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。その方法としては、整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、整面液を平版印刷版上に塗布する方法、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法、自動コーターにより塗布する方法などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は0.03g/m2〜0.8g/m2(乾燥質量)が好ましい。
整面液の塗布量は0.03g/m2〜0.8g/m2(乾燥質量)が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合には、ガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例において、「部」、「%」とは、特に断りのない限り、「質量部」、「質量%」を意味する。
以下、実施例におけるポリウレア樹脂PU−1〜PU−3、ポリウレタン樹脂PT−1〜PT−3は、それぞれ上記具体例に記載したポリウレア樹脂PU−1〜PU−3、ポリウレタン樹脂PT−1〜PT−3と同様の化合物を示すものとする。
以下、実施例におけるポリウレア樹脂PU−1〜PU−3、ポリウレタン樹脂PT−1〜PT−3は、それぞれ上記具体例に記載したポリウレア樹脂PU−1〜PU−3、ポリウレタン樹脂PT−1〜PT−3と同様の化合物を示すものとする。
(化合物の合成)
<成分A:PU−1〜PU−3及びPT−1〜PT−3の合成>
PU−1〜PU−3及びPT−1〜PT−3は、国際公開第2016/133072号に記載の方法を参考に合成した。
<成分A:PU−1〜PU−3及びPT−1〜PT−3の合成>
PU−1〜PU−3及びPT−1〜PT−3は、国際公開第2016/133072号に記載の方法を参考に合成した。
<成分C:エポキシ基を2以上有する高分子化合物の合成>
〔C−3の合成〕
C−3は、下記構造の化合物であり、公知の方法により合成した。
〔C−3の合成〕
C−3は、下記構造の化合物であり、公知の方法により合成した。
<成分D:他のアルカリ可溶性樹脂の合成>
〔D−1の合成〕
D−1〜D−3は、下記構造の化合物であり、公知の方法により合成した。
〔D−1の合成〕
D−1〜D−3は、下記構造の化合物であり、公知の方法により合成した。
(実施例1〜22、比較例1〜6)
<支持体の作製>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム合金板に対し、下記(a)〜(k)の処理を施し、平版印刷版用の支持体を製造した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラーで液切りを行った。
<支持体の作製>
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム合金板に対し、下記(a)〜(k)の処理を施し、平版印刷版用の支持体を製造した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施し、水洗処理の後にはニップローラーで液切りを行った。
<処理>
(a)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
パミスの懸濁液(比重1.1g/cm3)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転する束植ブラシにより機械的粗面化処理を行った。
研磨材のメジアン径(μm)を30μm、ブラシ本数を4本、ブラシの回転数(rpm)を250rpmとした。束植ブラシの材質は6・10ナイロンで、ブラシ毛の直径0.3mm、毛長50mmであった。ブラシは、φ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。束植ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。束植ブラシはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、束植ブラシをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して10kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
(a)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
パミスの懸濁液(比重1.1g/cm3)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転する束植ブラシにより機械的粗面化処理を行った。
研磨材のメジアン径(μm)を30μm、ブラシ本数を4本、ブラシの回転数(rpm)を250rpmとした。束植ブラシの材質は6・10ナイロンで、ブラシ毛の直径0.3mm、毛長50mmであった。ブラシは、φ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。束植ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。束植ブラシはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、束植ブラシをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して10kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、10g/m2であった。
上記で得られたアルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、10g/m2であった。
(c)酸性水溶液中でのデスマット処理
次に、硝酸水溶液中でデスマット処理を行った。デスマット処理に用いる硝酸水溶液は、次工程の電気化学的な粗面化に用いた硝酸の廃液を用いた。その液温は35℃であった。デスマット液はスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
次に、硝酸水溶液中でデスマット処理を行った。デスマット処理に用いる硝酸水溶液は、次工程の電気化学的な粗面化に用いた硝酸の廃液を用いた。その液温は35℃であった。デスマット液はスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
(d)電気化学的粗面化処理
硝酸電解60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、温度35℃、硝酸10.4g/Lの水溶液に硝酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した電解液を用いた。交流電源波形としては、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。電気量(C/dm2)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で185C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
硝酸電解60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、温度35℃、硝酸10.4g/Lの水溶液に硝酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した電解液を用いた。交流電源波形としては、電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。電気量(C/dm2)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で185C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、0.5g/m2であった。
上記で得られたアルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、0.5g/m2であった。
(f)酸性水溶液中でのデスマット処理
次に、硫酸水溶液中でデスマット処理を行った。デスマット処理に用いる硫酸水溶液は、硫酸濃度170g/L、アルミニウムイオン濃度5g/Lの液を用いた。その液温は、30℃であった。デスマット液はスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
次に、硫酸水溶液中でデスマット処理を行った。デスマット処理に用いる硫酸水溶液は、硫酸濃度170g/L、アルミニウムイオン濃度5g/Lの液を用いた。その液温は、30℃であった。デスマット液はスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
(g)電気化学的粗面化処理
塩酸電解60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は、液温35℃、塩酸6.2g/Lの水溶液に塩化アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した電解液を用いた。電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2であり、塩酸電解における電気量(C/dm2)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で63C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
塩酸電解60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は、液温35℃、塩酸6.2g/Lの水溶液に塩化アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lに調整した電解液を用いた。電流値がゼロからピークに達するまでの時間tpが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2であり、塩酸電解における電気量(C/dm2)はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で63C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、0.1g/m2であった。
上記で得られたアルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度50℃でスプレー管により吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。アルミニウム溶解量は、0.1g/m2であった。
(i)酸性水溶液中でのデスマット処理
次に、硫酸水溶液中でデスマット処理を行った。具体的には、陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫酸170g/L水溶液中にアルミニウムイオン5g/Lを溶解)を用い、液温35℃で4秒間デスマット処理を行った。デスマット液はスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
次に、硫酸水溶液中でデスマット処理を行った。具体的には、陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫酸170g/L水溶液中にアルミニウムイオン5g/Lを溶解)を用い、液温35℃で4秒間デスマット処理を行った。デスマット液はスプレーにて吹き付けて3秒間デスマット処理を行った。
(j)陽極酸化処理
二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電極部長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電極部長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
(k)シリケート処理
非画像部の親水性を確保するため、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて50℃で7秒間ディップしてシリケート処理を施した。Siの付着量は10mg/m2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
非画像部の親水性を確保するため、2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて50℃で7秒間ディップしてシリケート処理を施した。Siの付着量は10mg/m2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
<下塗層の形成>
作製された支持体上に、以下に示す下塗層塗布液1を塗布した後、80℃で15秒間乾燥し、下塗層を設けた支持体Aを作製した。乾燥後の被覆量は、15mg/m2であった。
作製された支持体上に、以下に示す下塗層塗布液1を塗布した後、80℃で15秒間乾燥し、下塗層を設けた支持体Aを作製した。乾燥後の被覆量は、15mg/m2であった。
〔下塗層塗布液1〕
・重量平均分子量2.8万の下記共重合体:0.3質量部
・メタノール:100質量部
・水:1質量部
・重量平均分子量2.8万の下記共重合体:0.3質量部
・メタノール:100質量部
・水:1質量部
(実施例1〜21、比較例1〜7)
<重層画像記録層の形成>
上記のように得られた下塗層を設けた支持体Aに、下記組成の下層形成用塗布液組成物(I)を、ワイヤーバーで塗布したのち、150℃の乾燥オーブンで40秒間乾燥して表1に記載の塗布量となるようにし、下層を設けた。下層を設けた後、下記組成の上層形成用塗布液組成物(II)をワイヤーバーを用いて塗布し、150℃、40秒間の乾燥を行い、0.2g/m2の塗布量となるようにし、上層を設けることにより、ポジ型平版印刷版原版を得た。
<重層画像記録層の形成>
上記のように得られた下塗層を設けた支持体Aに、下記組成の下層形成用塗布液組成物(I)を、ワイヤーバーで塗布したのち、150℃の乾燥オーブンで40秒間乾燥して表1に記載の塗布量となるようにし、下層を設けた。下層を設けた後、下記組成の上層形成用塗布液組成物(II)をワイヤーバーを用いて塗布し、150℃、40秒間の乾燥を行い、0.2g/m2の塗布量となるようにし、上層を設けることにより、ポジ型平版印刷版原版を得た。
〔下層形成用塗布液組成物(I)〕
・表1に記載のウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有するポリマー:3.5部
・表1に記載の赤外線吸収剤:0.2部
・表1に記載のエポキシ基を2以上有する化合物:表1に記載の添加量
・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量6,000):0.7部
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン:0.3部
・テトラヒドロフタル酸:0.4部
・p−トルエンスルホン酸:0.02部
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート:0.06部
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの:0.15部
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−780、DIC(株)製):0.07部
・メチルエチルケトン:30部
・1−メトキシ−2−プロパノール:15部
・N,N−ジメチルアセトアミド:15部
・表1に記載のウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有するポリマー:3.5部
・表1に記載の赤外線吸収剤:0.2部
・表1に記載のエポキシ基を2以上有する化合物:表1に記載の添加量
・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量6,000):0.7部
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン:0.3部
・テトラヒドロフタル酸:0.4部
・p−トルエンスルホン酸:0.02部
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート:0.06部
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの:0.15部
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−780、DIC(株)製):0.07部
・メチルエチルケトン:30部
・1−メトキシ−2−プロパノール:15部
・N,N−ジメチルアセトアミド:15部
〔上層形成用塗布液組成物(II)〕
・ノボラック樹脂(m−クレゾール/p−クレゾール/フェノール=3/2/5、Mw8,000):0.68部
・赤外線吸収剤、後述の化合物B−1:0.045部
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−780、DIC(株)製):0.03部
・メチルエチルケトン:15.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール:30.0部
・1−(4−メチルベンジル)−1−フェニルピペリジニウムの5−ベンゾイル−4ヒドロキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸塩:0.01部
・ノボラック樹脂(m−クレゾール/p−クレゾール/フェノール=3/2/5、Mw8,000):0.68部
・赤外線吸収剤、後述の化合物B−1:0.045部
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−780、DIC(株)製):0.03部
・メチルエチルケトン:15.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール:30.0部
・1−(4−メチルベンジル)−1−フェニルピペリジニウムの5−ベンゾイル−4ヒドロキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸塩:0.01部
(実施例22)
<単層画像記録層の形成>
上記のように得られた下塗層を設けた支持体Aに、下記組成の下層形成用塗布液組成物(III)を、ワイヤーバーで塗布したのち、150℃の乾燥オーブンで40秒間乾燥して表1に記載の塗布量となるようにし、単層の画像記録層を設けることにより、ポジ型平版印刷版原版を得た。
<単層画像記録層の形成>
上記のように得られた下塗層を設けた支持体Aに、下記組成の下層形成用塗布液組成物(III)を、ワイヤーバーで塗布したのち、150℃の乾燥オーブンで40秒間乾燥して表1に記載の塗布量となるようにし、単層の画像記録層を設けることにより、ポジ型平版印刷版原版を得た。
〔下層形成用塗布液組成物(III)〕
・表1に記載のウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有するポリマー:3.5部
・赤外線吸収剤、後述の化合物B−1:0.2部
・表1に記載のエポキシ基を2以上有する化合物:表1に記載の添加量
・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量6,000):0.7部
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン:0.3部
・テトラヒドロフタル酸:0.4部
・p−トルエンスルホン酸:0.02部
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート:0.06部
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの:0.15部
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−780、DIC(株)製):0.07部
・メチルエチルケトン:30部
・1−メトキシ−2−プロパノール:15部
・N,N−ジメチルアセトアミド:15部
・表1に記載のウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有するポリマー:3.5部
・赤外線吸収剤、後述の化合物B−1:0.2部
・表1に記載のエポキシ基を2以上有する化合物:表1に記載の添加量
・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量6,000):0.7部
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン:0.3部
・テトラヒドロフタル酸:0.4部
・p−トルエンスルホン酸:0.02部
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート:0.06部
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシナフタレンスルホン酸に変えたもの:0.15部
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−780、DIC(株)製):0.07部
・メチルエチルケトン:30部
・1−メトキシ−2−プロパノール:15部
・N,N−ジメチルアセトアミド:15部
(評価)
<画像形成性の評価>
作製した上記各ポジ型平版印刷版原版を、富士フイルム(株)製現像液XP−D(希釈して、電導度を43mS/cmとしたもの、pH13.1、28℃、30℃又は32℃)を入れた容器に2秒ごとに時間を変えて浸漬し、その後水洗し、画像記録層が完全に溶解するのに要した最低時間を求めた。画像記録層が完全に溶解したことは、グレタグ−マクベス社製反射濃度計を用いて、現像液に浸漬後残存した露光部の濃度を測定し、支持体のみの濃度と一致することにより確認した。
次いで、Creo社製Trendsetterにてビーム強度15W、ドラム回転速度150rpmで全面露光し、上記と同様にして画像記録層の溶解に要する時間を求めた。未露光での溶解時間をaとし、露光後の溶解時間をbとしたとき、a/bの値を求め、画像形成性評価の基準とした。得られた値が大きいほど、露光時の溶解促進効果が大きく、溶解ディスクリミネーションに優れ、画像形成性にも優れると評価する。
結果を表1に示す。
<画像形成性の評価>
作製した上記各ポジ型平版印刷版原版を、富士フイルム(株)製現像液XP−D(希釈して、電導度を43mS/cmとしたもの、pH13.1、28℃、30℃又は32℃)を入れた容器に2秒ごとに時間を変えて浸漬し、その後水洗し、画像記録層が完全に溶解するのに要した最低時間を求めた。画像記録層が完全に溶解したことは、グレタグ−マクベス社製反射濃度計を用いて、現像液に浸漬後残存した露光部の濃度を測定し、支持体のみの濃度と一致することにより確認した。
次いで、Creo社製Trendsetterにてビーム強度15W、ドラム回転速度150rpmで全面露光し、上記と同様にして画像記録層の溶解に要する時間を求めた。未露光での溶解時間をaとし、露光後の溶解時間をbとしたとき、a/bの値を求め、画像形成性評価の基準とした。得られた値が大きいほど、露光時の溶解促進効果が大きく、溶解ディスクリミネーションに優れ、画像形成性にも優れると評価する。
結果を表1に示す。
<耐刷性の評価>
〔露光及び現像〕
上記のようにして得られた各ポジ型平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetterにて、ビーム強度9W、ドラム回転速度150rpmで、テストパターンを画像状に描き込みを行った。その後、富士フイルム(株)製現像液XP−D(希釈して、電導度43mS/cmとしたもの、pH13.1)を仕込んだ富士フイルム(株)製PSプロセッサーLP940Hを用い、現像温度30℃、で現像を行った。
現像時間は、(上記露光後の溶解時間b)+5秒とした。
〔露光及び現像〕
上記のようにして得られた各ポジ型平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetterにて、ビーム強度9W、ドラム回転速度150rpmで、テストパターンを画像状に描き込みを行った。その後、富士フイルム(株)製現像液XP−D(希釈して、電導度43mS/cmとしたもの、pH13.1)を仕込んだ富士フイルム(株)製PSプロセッサーLP940Hを用い、現像温度30℃、で現像を行った。
現像時間は、(上記露光後の溶解時間b)+5秒とした。
〔加熱処理(バーニング処理)〕
各実施例及び比較例において、現像後の平版印刷版の一部に対して、以下のベーキングガム溶液を用いて、加熱処理を235℃で5分間行った。
各実施例及び比較例において、現像後の平版印刷版の一部に対して、以下のベーキングガム溶液を用いて、加熱処理を235℃で5分間行った。
〔ベーキングガム溶液〕
ベーキングガム溶液としては、富士フイルム(株)製バ−ニング整面液BC−7を使用した。
以上のようにして、各実施例及び比較例における平版印刷版について、加熱処理を行った平版印刷版と、行っていない平版印刷版をそれぞれ得た。各評価項目において、いずれの平版印刷版を用いて評価したかは、表1に記載した。表中に「ノンバーニング」と記載した項目については、加熱処理を行わなかった平版印刷版を用いて評価し、「バーニング」と記載した項目については、加熱処理を行った平版印刷版を用いて評価した。
ベーキングガム溶液としては、富士フイルム(株)製バ−ニング整面液BC−7を使用した。
以上のようにして、各実施例及び比較例における平版印刷版について、加熱処理を行った平版印刷版と、行っていない平版印刷版をそれぞれ得た。各評価項目において、いずれの平版印刷版を用いて評価したかは、表1に記載した。表中に「ノンバーニング」と記載した項目については、加熱処理を行わなかった平版印刷版を用いて評価し、「バーニング」と記載した項目については、加熱処理を行った平版印刷版を用いて評価した。
〔印刷〕
得られた平版印刷版(バーニング前後)を、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて連続して印刷した。インキとしては、低品位資材のモデルとして、炭酸カルシウムを含有させた東洋特練墨インキを使用した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて測定し、耐刷性を評価した。充分なインキ濃度を保って印刷できる枚数を、耐刷枚数ともいう。耐刷枚数が多いほど耐刷性に優れるものと評価する。結果を表1に示す。
また、PSプロセッサーLP940Hの代わりにPSプロセッサーXP−940Rを用い、電導度を管理しながら現像を行った以外は、上記と同じ条件で耐刷性を評価したところ、全ての実施例及び比較例において、PSプロセッサーLP940Hを使用した場合と結果は変わらなかった。
得られた平版印刷版(バーニング前後)を、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて連続して印刷した。インキとしては、低品位資材のモデルとして、炭酸カルシウムを含有させた東洋特練墨インキを使用した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて測定し、耐刷性を評価した。充分なインキ濃度を保って印刷できる枚数を、耐刷枚数ともいう。耐刷枚数が多いほど耐刷性に優れるものと評価する。結果を表1に示す。
また、PSプロセッサーLP940Hの代わりにPSプロセッサーXP−940Rを用い、電導度を管理しながら現像を行った以外は、上記と同じ条件で耐刷性を評価したところ、全ての実施例及び比較例において、PSプロセッサーLP940Hを使用した場合と結果は変わらなかった。
<耐薬品性の評価>
上記耐刷性の評価と同様にして印刷を行った。この際、5,000枚印刷する毎に、クリーナー(富士フイルム(株)製、MC−E)を含ませたPSスポンジで版面を5往復拭く工程を加え、耐薬品性を評価した。
上記耐刷性の評価と同様の方法により測定した、充分なインキ濃度を保って印刷できる枚数が、前述の耐刷性評価における耐刷枚数の95%以上100%以下であるものを5、80%以上95%未満であるものを4、70%以上80%未満であるものを3、60以上70%未満であるものを2、60%未満を1とした。クリーナーで版面を拭く工程を加えた場合であっても、耐刷性に変化が小さいほど耐薬品性に優れるものと評価する。結果を以下の表1に示す。
上記耐刷性の評価と同様にして印刷を行った。この際、5,000枚印刷する毎に、クリーナー(富士フイルム(株)製、MC−E)を含ませたPSスポンジで版面を5往復拭く工程を加え、耐薬品性を評価した。
上記耐刷性の評価と同様の方法により測定した、充分なインキ濃度を保って印刷できる枚数が、前述の耐刷性評価における耐刷枚数の95%以上100%以下であるものを5、80%以上95%未満であるものを4、70%以上80%未満であるものを3、60以上70%未満であるものを2、60%未満を1とした。クリーナーで版面を拭く工程を加えた場合であっても、耐刷性に変化が小さいほど耐薬品性に優れるものと評価する。結果を以下の表1に示す。
上記表1中、成分C又は成分Dの添加量の記載は、成分Aの含有量を100質量部とした場合の成分C又は成分Dの添加量(質量部)を示している。また、構造及び添加量の欄の「−」の記載は、該当する成分を含有していないことを示している。
実施例において使用した化合物の詳細は、下記の通りである。
<成分A:ウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有し、酸基を有する高分子化合物>
PU−1〜PU−3、PT−1〜PT−3:上述の合成品
<成分B:赤外線吸収剤>
<成分A:ウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有し、酸基を有する高分子化合物>
PU−1〜PU−3、PT−1〜PT−3:上述の合成品
<成分B:赤外線吸収剤>
B−1:下記化合物B−1
B−2:下記化合物B−2
B−2:下記化合物B−2
<成分C:エポキシ基を2以上有する化合物>
C−1:セロキサイド2021P(2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物、(株)ダイセル製)
C−2:エポリードPB3600(2つ以上のエポキシ基を含有するポリマー、(株)ダイセル製)
C−3:上述の合成品
C−4:jER1256(2つのエポキシ基を含有するビスフェノールA型ポリマー、三菱化学(株)製)
C−5:jER4275(2つのエポキシ基を含有するビスフェノールA・ビスフェノールF混合型ポリマー、三菱化学(株)製)
C−6:jER157S70(2つのエポキシ基を含有する特殊ノボラック型ポリマー、三菱化学(株)製)
C−7:jERYX4000(2つのエポキシ基を含有するビフェニル型ポリマー、三菱化学(株)製)
C−1:セロキサイド2021P(2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物、(株)ダイセル製)
C−2:エポリードPB3600(2つ以上のエポキシ基を含有するポリマー、(株)ダイセル製)
C−3:上述の合成品
C−4:jER1256(2つのエポキシ基を含有するビスフェノールA型ポリマー、三菱化学(株)製)
C−5:jER4275(2つのエポキシ基を含有するビスフェノールA・ビスフェノールF混合型ポリマー、三菱化学(株)製)
C−6:jER157S70(2つのエポキシ基を含有する特殊ノボラック型ポリマー、三菱化学(株)製)
C−7:jERYX4000(2つのエポキシ基を含有するビフェニル型ポリマー、三菱化学(株)製)
<成分D:他のアルカリ可溶性樹脂>
D−1〜D−3:上述の合成品
D−1〜D−3:上述の合成品
表1の結果から明らかなように、本開示に係るポジ型平版印刷版原版によれば、熱分解が生じやすいバインダー樹脂(例えば、ポリウレア樹脂又はポリウレタン樹脂)を用いた平版印刷版において、バーニング処理を行っても耐刷性及び耐薬品性に優れた平版印刷版が得られることがわかる。
また、本開示に係るポジ型平版印刷版原版によれば、バーニング処理を行わない場合であっても、耐刷性及び耐薬品性に優れた平版印刷版が得られることがわかる。
更に、成分Cを、成分A100質量部に対し、10質量部を超える量で含有することにより、画像形成性に優れた平版印刷版原版が得られていることがわかる。
加えて、成分Dを更に含有することにより、耐刷性、耐薬品性及び画像形成性により優れた平版印刷版原版が得られていることがわかる。
また、本開示に係るポジ型平版印刷版原版によれば、バーニング処理を行わない場合であっても、耐刷性及び耐薬品性に優れた平版印刷版が得られることがわかる。
更に、成分Cを、成分A100質量部に対し、10質量部を超える量で含有することにより、画像形成性に優れた平版印刷版原版が得られていることがわかる。
加えて、成分Dを更に含有することにより、耐刷性、耐薬品性及び画像形成性により優れた平版印刷版原版が得られていることがわかる。
Claims (12)
- 成分Aとして、ウレア結合及びウレタン結合のいずれか又は両方を主鎖に有し、酸基を有する高分子化合物と、
成分Bとして、赤外線吸収剤と、
成分Cとして、エポキシ基を2以上有する化合物と、を含む画像記録層を、支持体上に有する
ポジ型平版印刷版原版。 - 成分Aが、ウレア結合を主鎖に有する、請求項1に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 成分Aが、ウレタン結合を主鎖に有する、請求項1に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 成分Cが、高分子化合物である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 成分Cが、芳香環構造を有する、請求項4に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 成分Cが、脂環式構造を有する、請求項4又は請求項5に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 成分Cの含有量が、成分Aの含有量100質量部に対して、1質量部〜40質量部である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 前記画像記録層が、成分Dとして他のアルカリ可溶性樹脂を更に含む、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 成分Dが、フェノール性水酸基、スルホンアミド基及びカルボキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基を有する、請求項8に記載のポジ型平版印刷版原版。
- 前記画像記録層が、下層と上層とで構成され、
成分A、成分B及び成分Cを含む前記画像記録層が、少なくとも前記下層及び前記上層のいずれかである、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版。 - 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、
露光された前記ポジ型平版印刷版原版をpH8.5〜pH13.5のアルカリ水溶液を用いて現像する現像工程、をこの順で含む
平版印刷版の作製方法。 - 前記現像工程の後に、加熱処理を行う加熱処理工程を更に含む、請求項11に記載の平版印刷版の作製方法。
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