JP2020055170A - 包装材料及び包装製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】バイオマス度が高められた包装材料を提供する。【解決手段】包装材料は、順に積層された表面樹脂層、透明樹脂層、印刷層、紙基材層を少なくとも備える。表面樹脂層は、ポリエチレンを含んでいる。透明樹脂層は、ニトロセルロースと、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物と、を含んでいる。印刷層は、着色剤と、ニトロセルロースと、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物と、を含んでいる。印刷層又は透明樹脂層において、ニトロセルロース、ポリオールまたはイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでいる。【選択図】図1

Description

本発明は、バイオマス由来成分を含む包装材料及び包装材料を備えた包装製品に関する。
従来、飲食品、医薬品、化学品、化粧品、衛生用品、日用品その他等の種々の物品を充填包装する包装製品を構成するための包装材料として、種々の包装材料が開発され、提案されている。包装材料は、基材層と、印刷模様を形成するための印刷層と、を少なくとも備える積層体から構成される。
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、包装材料を構成する積層体の分野においても、エネルギーの分野と同様に化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。バイオマスは、二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であり、それを利用することにより、再度二酸化炭素と水になる、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能エネルギーである。昨今、これらバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックの実用化が急速に進んでおり、各種の樹脂をバイオマス原料から製造する試みも行われている。
バイオマス由来の樹脂としては、乳酸発酵を経由して製造されるポリ乳酸(PLA)が先行して商業生産が始まったが、生分解性であることをはじめ、プラスチックとしての性能が現在の汎用プラスチックとは大きく異なるため、製品用途や製品製造方法に限界があり広く普及するには至っていない。また、PLAに対しては、ライフサイクルアセスメント(LCA)評価が行われており、PLA製造時の消費エネルギーおよび汎用プラスチック代替時の等価性等について議論がなされている。
ここで、汎用プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル等、様々な種類が用いられている。特に、ポリエチレンは、フィルム、シート、ボトル等に成形され、包装材等の種々の用途に供されており、世界中での使用量が多い。そのため、従来の化石燃料由来のポリエチレンを用いることは環境負荷が大きい。そのため、ポリエチレンの製造にバイオマス由来の原料を用いて、化石燃料の使用量を削減することが望まれている。例えば、現在までに、ポリオレフィン樹脂の原料となるエチレンやブチレンを、再生可能な天然原料から製造することが研究されてきた(特許文献1参照)。パウチなどの軟包装の分野においては、このようなバイオマス由来原料を包装材料に適用することが提案されてきた(特許文献2参照)。
特表2011−506628号公報 特開2018−51788号公報
紙基材層を含む紙容器用の包装材料の分野においても、バイオマス由来の原料を用いて、化石燃料の使用量を削減することが望まれる。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、バイオマス度が高められた紙容器用の包装材料を提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも、表面樹脂層、透明樹脂層、印刷層、紙基材層、シーラント層が順に積層された包装材料であって、前記表面樹脂層は、ポリエチレンを含み、
前記透明樹脂層は、ニトロセルロースと、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物と、を含み、前記印刷層は、着色剤と、ニトロセルロースと、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物と、を含み、前記印刷層又は前記透明樹脂層において、前記ニトロセルロース、前記ポリオールまたは前記イソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む、包装材料である。
本発明による包装材料において、前記印刷層の前記ニトロセルロース、前記ポリオールまたは前記イソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。
本発明による包装材料において、前記印刷層の前記ニトロセルロースがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。
本発明による包装材料において、前記印刷層の前記ポリオールまたは前記イソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。
本発明による包装材料において、前記透明樹脂層の前記ニトロセルロース、前記ポリオールまたは前記イソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。
本発明による包装材料において、前記透明樹脂層の前記ニトロセルロースがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。
本発明による包装材料において、前記透明樹脂層の前記ポリオールまたは前記イソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。
本発明による包装材料において、前記表面樹脂層が、バイオマス由来成分を含むポリエチレンを含んでいてもよい。
本発明は、上記記載の包装材料を備える包装製品である。
本発明によれば、紙基材層を含む包装材料のバイオマス度を高めることができる。
本発明の実施の形態による包装材料の一例を示す断面図である。 本発明の実施の形態による包装材料の一例を示す断面図である。 本発明の実施の形態による包装材料の一例を示す断面図である。 本発明の実施の形態による包装材料の一例を示す断面図である。 本発明の実施の形態による包装材料を備える包装容器の一例を示す図である。 実施例1A〜1Kの包装材料の層構成を示す図である。 実施例2A〜2Kの包装材料の層構成を示す図である。 実施例1A、3A〜3Fの包装材料の層構成を示す図である。 実施例1A、4A〜5Cの包装材料の層構成を示す図である。
本発明による包装材料を構成する積層体は、外面側から内面側へ順に積層された表面樹脂層、透明樹脂層、印刷層、紙基材層及びシーラント層を少なくとも備える。内面とは、包装材料から形成される包装製品において、包装製品に収容される内容物の側に位置する面である。また、外面とは、内面の反対側に位置する面である。本願において、「この順に備える」や「順に積層された」などの記載における「順」という用語は、特に断らない限り、外面側から内面側に向かう方向における順序を表している。
本発明においては、包装材料を構成する積層体全体で、下記で説明するバイオマス度が、好ましくは40%以上、より好ましくは80%以上100%未満である。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
図1は、本発明の実施の形態による包装材料20の一例を示す断面図である。包装材料20は、表面樹脂層11と、透明樹脂層12と、印刷層13と、紙基材層14と、シーラント層15とをこの順に備える。表面樹脂層11が包装材料20の外面20yを構成し、シーラント層15が包装材料20の内面20xを構成している。
図2は、本発明の実施の形態による包装材料20のその他の一例を示す断面図である。包装材料20は、表面樹脂層11と、透明樹脂層12と、印刷層13と、紙基材層14と、内側接着層22と、プラスチックフィルム層21と、シーラント層15とをこの順に備える。表面樹脂層11が包装材料20の外面20yを構成し、シーラント層15が包装材料20の内面20xを構成している。
図3は、本発明の実施の形態による包装材料20のその他の一例を示す断面図である。包装材料20は、表面樹脂層11と、透明樹脂層12と、印刷層13と、プライマー層25と、バリア層23と、外側接着層24と、紙基材層14と、シーラント層15とをこの順に備える。表面樹脂層11が包装材料20の外面20yを構成し、シーラント層15が包装材料20の内面20xを構成している。
図4に示す包装材料20は、シーラント層15が複数の層を、例えば第1層151及び第2層152という2つの層を含む点が異なるのみであり、その他の層構成は、図1に示す包装材料20と同様である。シーラント層15の第1層151が包装材料20の内面20xを構成し、第2層152は第1層151の外面20y側の面に積層されている。
なお、上述した図1〜図4に示す包装材料20の複数の層構成を適宜組み合わせることも可能である。例えば、図2又は図3に示す包装材料20のシーラント層15が、図4に示す包装材料20のシーラント層15の場合と同様に複数の層を含んでいてもよい。
以下、包装材料20を構成する各層について説明する。
(紙基材層)
紙基材層14は、紙を含む層である。紙基材層14は、100g/m以上700g/m以下、好ましくは150g/m以上600g/m以下、より好ましくは200g/m以上500g/m以下の坪量を有する。紙基材層14としては、白板紙全般を対象とするが、特に安全性の観点から天然パルプを用いたアイボリー紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙、耐酸カップ原紙等の使用が好ましい。
板紙は、サイズ剤として、中性ロジンやアルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸を使用してもよく、定着剤としてカチオン性のポリアクリルアミドやカチオン性デンプン等を使用してもよい。また、硫酸バンドを使用してpH6以上pH9以下の中性領域で抄紙することも可能である。その他、必要に応じて上記のサイズ剤のほか、定着剤の他、製紙用各種填料、歩留向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、結合剤、分散剤、凝集剤、可塑剤、接着剤を適宜含有していてもよい。
(印刷層)
印刷層13は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、印刷によって形成される層である。印刷層13は、例えば、絵、写真、文字、数字、図形、記号、模様などの所望の任意の絵柄を形成する絵柄層を含む。印刷層は、絵柄層の絵柄を際立たせるよう印刷により形成された地色層を更に含んでいてもよい。
本実施の形態において、印刷層13は、グラビア印刷によって形成される。印刷層13は、着色剤と、バインダー樹脂とを含む。印刷層13を形成するためのインキ組成物は、着色剤及びバインダー樹脂に加えて、グラビア印刷に適した溶剤を含む。
〔着色剤〕
着色剤としては、特に限定されず、従来公知の顔料や染料を用いることができる。
〔バインダー樹脂〕
バインダー樹脂は、ニトロセルロースと、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物と、を含む。本実施の形態においては、印刷層13又は透明樹脂層12の少なくともいずれかが、バイオマス由来成分を含む。印刷層13がバイオマス由来成分を含む場合、印刷層13中のバインダー樹脂がバイオマス由来成分を含む。すなわち、印刷層13中のバインダー樹脂で用いられるニトロセルロース、ポリオールまたはイソシアネート化合物の少なくともいずれかが、バイオマス由来成分を含む。
<ニトロセルロース>
ニトロセルロースは、セルロース骨格の水酸基の一部を硝酸エステル化したニトロ基置換体のセルロース系樹脂である。ニトロセルロースがバイオマス由来成分を含む場合、ニトロセルロース樹脂のセルロース骨格は、バイオマス材料である。ニトロセルロースとしては、一般的なニトロセルロースが支障なく利用できるが、とりわけ、セルロース骨格を構成するグルコース単位1個あたり、平均して1.3〜2.7個のニトロ基で置換されたものを利用することが好ましい。
ニトロセルロースがバイオマス由来成分を含まない場合、ニトロセルロース樹脂のセルロース骨格は、例えば化石燃料由来であってもよい。
ニトロセルロースには、分子量に応じてLタイプとHタイプがある。有機溶剤に対する溶解性の面からは、Lタイプのものを利用することが好ましい。
<ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物>
ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物は、好ましくは、主剤としてのポリオールと硬化剤としてのイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む硬化物を用いて形成されている。ポリオールとしては、多官能アルコールと多官能カルボン酸との反応物であるポリエステルポリオール、多官能アルコールと多官能イソシアネートとの反応物であるポリエーテルポリオール、または、多官能アルコールとカーボネートとの反応物であるポリカーボネートポリオールを用いることができる。
<ポリエステルポリオール>
ポリエステルポリオールがバイオマス由来成分を含む場合、多官能アルコールおよび多官能カルボン酸の少なくともいずれか一方がバイオマス由来成分を含む。バイオマス由来成分を含むポリエステルポリオールとして以下の例を挙げることができる。
・バイオマス由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能カルボン酸との反応物
・化石燃料由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能カルボン酸との反応物
・バイオマス由来の多官能アルコールと化石燃料由来の多官能カルボン酸との反応物
バイオマス由来の多官能アルコールとしては、トウモロコシ、サトウキビ、キャッサバ、およびサゴヤシ等の植物原料から得られる脂肪族多官能アルコールを用いることができる。バイオマス由来の脂肪族多官能アルコールとしては、例えば、下記のような方法によって植物原料から得られる、ポリプロピレングリコール(PPG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、ブチレングリコール(BG)、ヘキサメチレングリコール等があり、いずれも使用し得る。これらは、単独で用いても併用してもよい。
バイオマス由来のポリプロピレングリコールは、植物原料を分解してグルコースが得られる発酵法により、グリセロールから3−ヒドロキシプロピルアルデヒド(HPA)を経て製造される。上記発酵法のようなバイオ法で製造されたポリプロピレングリコールは、EO製造法のポリプロピレングリコールと比較し、安全性面から乳酸等の有用な副生成物が得られ、しかも製造コストも低く抑えることが可能であることも好ましい。
バイオマス由来のブチレングリコールは、植物原料からグリコールを製造し発酵することで得られたコハク酸を得て、これを水添することによって製造することができる。
バイオマス由来のエチレングリコールは、例えば、常法によって得られるバイオエタノールからエチレンを経て製造することができる。
化石燃料由来の多官能アルコールとしては、1分子中に2個以上、好ましくは2〜8個の水酸基を有する化合物を用いることができる。具体的には、化石燃料由来の多官能アルコールとしては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、ブチレングリコール(BG)、ヘキサメチレングリコールの他、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール等を使用することができる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
バイオマス由来の多官能カルボン酸としては、再生産可能な大豆油、亜麻仁油、桐油、ヤシ油、パーム油、ひまし油等の植物由来の油、及びそれらを主体とした廃食用油等をリサイクルした再生油等の植物原料から得られる脂肪族多官能カルボン酸を用いることができる。バイオマス由来の脂肪族多官能カルボン酸としては、例えば、セバシン酸、コハク酸、フタル酸、アジピン酸、グルタル酸、ダイマー酸等が挙げられる。例えば、セバシン酸は、ひまし油から得られるリシノール酸をアルカリ熱分解することにより、ヘプチルアルコールを副生成物として生成される。本発明では、特に、バイオマス由来のコハク酸又はバイオマス由来のセバシン酸を用いることが好ましい。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
化石燃料由来の多官能カルボン酸としては、脂肪族多官能カルボン酸や芳香族多官能カルボン酸を用いることができる。化石燃料由来の脂肪族多官能カルボン酸としては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、アジピン酸、ドデカン二酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、およびダイマー酸、ならびにそれらのエステル化合物等が挙げられる。また、化石燃料由来の芳香族多官能カルボン酸としては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、トリメリット酸、およびピロメリット酸、ならびにそれらのエステル化合物等を用いることができる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
<ポリエーテルポリオール>
ポリエーテルポリオールがバイオマス由来成分を含む場合、多官能アルコールおよび多官能イソシアネートの少なくともいずれか一方がバイオマス由来成分を含む。バイオマス由来成分を含むポリエーテルポリオールとして以下の例を挙げることができる。
・バイオマス由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能イソシアネートとの反応物
・化石燃料由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能イソシアネートとの反応物
・バイオマス由来の多官能アルコールと化石燃料由来の多官能イソシアネートとの反応物
バイオマス由来の多官能アルコール及び化石燃料由来の多官能アルコールとしては、上述のポリエステルポリオールにおいて説明したバイオマス由来の多官能アルコール及び化石燃料由来の多官能アルコールを用いることができる。
バイオマス由来の多官能イソシアネートとしては、植物由来の二価カルボン酸を酸アミド化し、還元することで末端アミノ基に変換し、さらに、ホスゲンと反応させ、該アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られたものを用いることができる。バイオマス由来の多官能イソシアネートは、例えば、バイオマス由来のジイソシアネートである。バイオマス由来のジイソシアネートとしては、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、植物由来のアミノ酸を原料として、そのアミノ基をイソシアネート基に変換することによっても植物由来のジイソシアネートを得ることができる。例えば、リシンジイソシアネート(LDI)は、リシンのカルボキシル基をメチルエステル化した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。また、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートはリシンのカルボキシル基を脱炭酸した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。
1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの他の合成方法としては、ホスゲン化法やカルバメート化法が挙げられる。より具体的には、ホスゲン化方法は、1,5−ペンタメチレンジアミンまたはその塩を直接ホスゲンと反応させる方法や、ペンタメチレンジアミンの塩酸塩を不活性溶媒中に懸濁させてホスゲンと反応させる方法により、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを合成するものである。また、カルバメート化法は、まず、1,5−ペンタメチレンジアミンまたはその塩をカルバメート化し、ペンタメチレンジカルバメート(PDC)を生成させた後、熱分解することにより、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを合成するものである。本発明において、好適に使用されるポリイソシアネートとしては、三井化学株式会社製の1,5−ペンタメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(商品名:スタビオ(登録商標))が挙げられる。
化石燃料由来の多官能イソシアネートとしては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、トルエン−2,4−ジイソシアネート、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−クロル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−ブトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’−メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、ジュリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o−ニトロベンジジンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジベンジルなどの芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。また、メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添MDI、水添XDI等の脂環式ジイソシアネート等も挙げられる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
<ポリカーボネートポリオール>
ポリカーボネートポリオールがバイオマス由来成分を含む場合、ポリカーボネートポリオールとしては、バイオマス由来成分を含む多官能アルコールと、化石燃料由来のカーボネートとの反応物を用いることができる。カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジエチレンカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。これらは単独或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
バイオマス由来の多官能アルコールとしては、上述のポリエステルポリオールにおいて説明したバイオマス由来の多官能アルコールを用いることができる。
<イソシアネート化合物>
バイオマス由来成分を含むイソシアネート化合物としては、ポリエーテルポリオールにおいて説明したバイオマス由来の多官能イソシアネートを用いることができる。
印刷層13は、好ましくは5%以上、より好ましくは5%以上50%以下、さらに好ましくは10%以上50%以下のバイオマス度を有する。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。印刷層13の乾燥後の重量は、好ましくは0.1g/m以上10g/m以下、より好ましくは1g/m以上5g/m以下、さらに好ましくは1g/m以上3g/m以下である。印刷層13は、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下の厚さを有する。なお、このような重量や厚さを有する印刷層13が複数設けられていてもよい。
「バイオマス度」とは、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値で示してもよく、また、バイオマス由来成分の重量比率で示してもよい。
放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値を「バイオマス度」として示す場合、以下のように「バイオマス度」を求めることができる。即ち、大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、ポリエステル中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。印刷層13中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。
bio(%)=PC14/105.5×100
また、バイオマス由来成分の重量比率で「バイオマス度」を表す場合、以下のように「バイオマス度」を求めることができる。例えば、ニトロセルロースの場合には、出発物質であるセルロース骨格を構成するグルコース単位1個(式量=172)当たりに含まれる水酸基の数が3個であるから、この水酸基の1〜3個が硝酸エステル化し(水素がニトロ基(非バイオマス材料、式量=46)に置換され)得る。そうすると、もとのセルロース骨格がバイオマス材料100重量%からなるとして、グルコース単位1個あたりの置換されたニトロ基の数が平均してn個の場合、ニトロセルロース分子全体に占めるバイオマス材料の割合(重量%)は、(172−n)
×100/(172−n+46n)で計算できる。
ニトロセルロース分子全体に占めるバイオマス材料の割合は、セルロース骨格を構成するグルコース単位1個あたり、平均して1個のニトロ基で置換された場合は、約78.8重量%、2個のニトロ基で置換された場合は約64.9重量%、3個のニトロ基に置換された場合は約55.0重量%になる(上記の式での計算値)。
以下、特に断りのない限り、「バイオマス度」とはバイオマス由来成分の重量比率を示したものとする。
(透明樹脂層)
透明樹脂層12は、印刷層13が設けられた紙基材層14をロール状に巻き取る際に、印刷層13に含まれる着色剤などが、印刷層13上に重ねられた紙基材層14又はその他の層に転写されることを防ぐための層である。透明樹脂層12は、印刷層13に接するように設けられている。透明樹脂層12は、固形分及び溶剤を含む塗料を塗布することによって形成される。塗料の固形分としては、印刷層13のバインダー樹脂と同様の材料を用いることができる。このため、透明樹脂層12の構成は、着色剤を含まない点以外は、印刷層13の構成と同様である。例えば、透明樹脂層12中のバインダー樹脂は、ニトロセルロースと、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物と、を含む。
本実施の形態においては、上述のように、印刷層13又は透明樹脂層12の少なくともいずれかが、バイオマス由来成分を含む。透明樹脂層12がバイオマス由来成分を含む場合、透明樹脂層12中のバインダー樹脂がバイオマス由来成分を含む。すなわち、透明樹脂層12中のバインダー樹脂のニトロセルロース、ポリオールまたはイソシアネート化合物の少なくともいずれかが、バイオマス由来成分を含む。
透明樹脂層12中のバインダー樹脂のニトロセルロース、ポリオールまたはイソシアネート化合物は、印刷層13中のバインダー樹脂のニトロセルロース、ポリオールまたはイソシアネート化合物と同様であるので、説明を省略する。
透明樹脂層12は、好ましくは5%以上、より好ましくは5%以上50%以下、さらに好ましくは10%以上50%以下のバイオマス度を有する。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。透明樹脂層12の乾燥後の重量は、好ましくは0.1g/m以上10g/m以下、より好ましくは1g/m以上5g/m以下、さらに好ましくは1g/m以上3g/m以下である。透明樹脂層12は、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下の厚さを有する。
(表面樹脂層)
表面樹脂層11は、従来公知の熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。表面樹脂層11は、包装材料20の外側に位置している。包装材料20が、表面樹脂層11を備えることで、耐水性、ヒートシール性及びその他の物性を包装材料20に持たせることができる。
表面樹脂層11に用いられる材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンなどのポリエチレンを挙げることができ、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンが特に好ましい。
表面樹脂層11は、バイオマス由来の材料を含んでいてもよいし、化石燃料由来の材料を含んでいてもよい。表面樹脂層がバイオマス由来の材料を含む場合、バイオマス由来の成分を含む重合体であって、エチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリオレフィンを含んでいてもよい。例えば、表面樹脂層11は、バイオマス由来成分を含むポリエチレンを含んでもよい。表面樹脂層11がバイオマス由来の材料を含む場合、表面樹脂層11は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上95%以下のバイオマス度を有する。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
表面樹脂層11は、好ましくは10μm以上30μm以下、より好ましくは20μm以上25μm以下の厚さを有する。
(シーラント層)
シーラント層15は、従来公知の熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。例えば、シーラント層15は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンなどのポリエチレンを含む。シーラント層15は、包装材料20の内側に位置している。
シーラント層15は、バイオマス由来成分を含んでいてもよく、バイオマス由来成分を含んでいなくてもよい。バイオマス由来成分を含む材料によりシーラント層15を形成する場合、シーラント層15は、下記のバイオマスポリオレフィンを用いて形成することができる。また、バイオマス由来成分を含まない材料によりシーラント層15を形成する場合、シーラント層15は、従来公知の化石燃料由来の熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。
バイオマスポリオレフィンは、バイオマス由来のエチレン等のオレフィンを含むモノマーの重合体である。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のオレフィンを用いているため、重合されてなるポリオレフィンはバイオマス由来となる。なお、ポリオレフィンの原料モノマーは、バイオマス由来のオレフィンを100質量%含むものでなくてもよい。
例えば、バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、及びマニオクを挙げることができる。
バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物又はその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、及び抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、又は膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。
バイオマスポリオレフィンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のエチレンのモノマー及び/又は化石燃料由来のα−オレフィンのモノマーをさらに含んでもよいし、バイオマス由来のα−オレフィンのモノマーをさらに含んでもよい。
上記のα−オレフィンは、炭素数は特に限定されないが、通常、炭素数3〜20のものを用いることができ、ブチレン、ヘキセン、又はオクテンであることが好ましい。ブチレン、ヘキセン、又はオクテンであれば、バイオマス由来の原料であるエチレンの重合により製造することが可能となるからである。また、このようなα−オレフィンを含むことで、重合されてなるポリオレフィンはアルキル基を分岐構造として有するため、単純な直鎖状のものよりも柔軟性に富むものとすることができる。
バイオマスポリオレフィンとしては、ポリエチレンや、エチレンとα−オレフィンの共重合体を単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。特に、バイオマスポリオレフィンはポリエチレンであることが好ましい。バイオマス由来の原料であるエチレンを用いることで、理論上100%バイオマス由来成分により製造することが可能となるからである。
バイオマスポリオレフィンは、異なるバイオマス度のバイオマスポリオレフィンを2種以上含むものであってもよく、ポリオレフィン樹脂層全体として、バイオマス度が、後述する範囲内であればよい。
バイオマスポリオレフィンは、好ましくは0.91g/cm以上0.93g/cm以下、より好ましくは0.912g/cm以上0.928g/cm以下、さらに好ましくは0.915g/cm以上0.925g/cm以下の密度を有するものである。バイオマスポリオレフィンの密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。バイオマスポリオレフィンの密度が0.91g/cm以上あれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の剛性を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。また、バイオマスポリオレフィンの密度が0.93g/cm以下であれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の透明性や機械的強度を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。
バイオマスポリオレフィンは、0.1g/10分以上10g/10分以下、好ましくは0.2g/10分以上9g/10分以下、より好ましくは1g/10分以上8.5g/10分以下のメルトフローレート(MFR)を有するものである。メルトフローレートとは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。バイオマスポリオレフィンのMFRが0.1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、バイオマスポリオレフィンのMFRが10g/10分以下であれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の機械的強度を高めることができる。
好適に使用されるバイオマスポリオレフィンとしては、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度95%)、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SPB681、密度:0.922g/cm、MFR:3.8g/10分、バイオマス度95%)、Braskem社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLL118、密度:0.916g/cm、MFR:1.0g/10分、バイオマス度87%)等が挙げられる。
上記の化石燃料由来の熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体又はアイオノマー等が挙げられる。
シーラント層15は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上95%以下のバイオマス度を有するものである。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
シーラント層15は、単層であってもよく、上述の図4に示すように多層であってもよい。シーラント層15が多層である場合、一部の層を、バイオマスポリオレフィンからなる層として構成し、その他の層を、化石燃料由来のポリオレフィンからなる層として構成してもよい。例えば、図4の第1層151がバイオマスポリオレフィンを含む層であり、第2層152が化石燃料由来のポリオレフィンからなる層であってもよい。若しくは、図4の第1層151が化石燃料由来のポリオレフィンからなる層であり、第2層152がバイオマスポリオレフィンを含む層であってもよい。
シーラント層15は、好ましくは10μm以上300μm以下、より好ましくは20μm以上200μm以下、さらに好ましくは30μm以上150μm以下の厚さを有する。
(プラスチックフィルム層)
プラスチックフィルム層21は、延伸されたプラスチックフィルムを含む層である。例えば、プラスチックフィルム層21は、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロン6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルム又はポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等のいずれか、又はこれらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムを含む。
プラスチックフィルム層21は、バイオマス由来成分を含んでいてもよく、バイオマス由来成分を含んでいなくてもよい。プラスチックフィルム層21がバイオマス由来成分を含む場合、プラスチックフィルム層21中のバイオマス度は、5%以上であり、好ましくは10%以上30%以下であり、より好ましくは15%以上25%以下である。
プラスチックフィルム層21がバイオマス由来成分を含む場合、プラスチックフィルム層21は、下記のバイオマスポリエステル又はバイオマスポリエチレンから形成され得る。
バイオマスポリエステルは、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするものである。基材は、バイオマスポリエステルに加えて、化石燃料由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とする化石燃料由来のポリエステルをさらに含んでもよい。
バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
バイオマスポリエステルのジカルボン酸単位は、化石燃料由来のジカルボン酸を使用する。ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体を制限なく使用することができる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸及びイソフタル酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、ジメチルテレフタレートが好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸等の、通常炭素数が2以上40以下の鎖状或いは脂環式ジカルボン酸が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸の誘導体として、上記脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等の低級アルキルエステルや例えば無水コハク酸等の上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物が挙げられる。これらのなかでも、アジピン酸、コハク酸、ダイマー酸又はこれらの混合物が好ましく、コハク酸を主成分とするものが特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、アジピン酸及びコハク酸のメチルエステル、又はこれらの混合物がより好ましい。これらのジカルボン酸は単独でも2種以上混合して使用することもできる。
バイオマスポリエステルは、上記のジオール成分とジカルボン酸成分に加えて、第3成分として共重合成分を加えた共重合ポリエステルであっても良い。共重合成分の具体的な例としては、2官能のオキシカルボン酸や、架橋構造を形成するために3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸及び/又はその無水物並びに3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物が挙げられる。これらの共重合成分の中では、高重合度の共重合ポリエステルが容易に製造できる傾向があるため、特に2官能及び/又は3官能以上のオキシカルボン酸が好適に使用される。その中でも、3官能以上のオキシカルボン酸の使用は、後述する鎖延長剤を使用することなく、極少量で容易に高重合度のポリエステルを製造できるので最も好ましい。
バイオマスポリエステルは、上記したジオール単位とジカルボン酸単位とを重縮合させる従来公知の方法により得ることができる。具体的には、上記のジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によって製造することができる。バイオマスポリエステルを製造する際に用いるジオールの使用量は、ジカルボン酸又はその誘導体100モルに対し、実質的に等モルであるが、一般には、エステル化及び/又はエステル交換反応及び/又は縮重合反応中の留出があることから、0.1モル%以上20モル%以下の量を過剰に用いることが好ましい。
バイオマスポリエステルの樹脂組成物、又は、バイオマスポリエステルと化石燃料由来のポリエステルを含む樹脂組成物を用いて、例えば、Tダイ法によってフィルム化することにより基材を形成することができる。具体的には、上記した樹脂組成物を乾燥させた後、樹脂組成物の融点Tm以上の温度〜Tm+70℃の温度に加熱された溶融押出機に供給して、樹脂組成物を溶融し、例えばTダイなどのダイよりシート状に押出し、押出されたシート状物を回転している冷却ドラムなどで急冷固化することにより基材を成形することができる。溶融押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用することができる。
バイオマスポリエチレンとは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマー重合体である。バイオマス由来のエチレンとしては、シーラント層15において説明したバイオマス由来のエチレンを用いることができる。
プラスチックフィルム層21は、好ましくは9μm以上25μm以下、より好ましくは12μm以上16μm以下の厚さを有する。
(バリア層)
バリア層23は、酸素ガス及び水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光及び紫外線等の透過を阻止する遮光性を包装材料20に持たせるための層である。バリア層23としては、金属箔又は蒸着フィルムを用いることができる。
〔金属箔〕
金属箔は、金属を圧延することによって得られた部材である。金属箔としては、従来公知の金属箔を用いることができる。酸素ガス及び水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光及び紫外線等の透過を阻止する遮光性の点からは、アルミニウム箔が好ましい。
〔蒸着フィルム〕
蒸着フィルムは、基材と、基材に蒸着された蒸着膜と、を備える。蒸着膜は、基材よりも外面側に位置する。
蒸着フィルムの基材としては、プラスチックフィルム層21で挙げたプラスチックフィルムを用いることができる。基材は、バイオマス由来成分を含んでいてもよく、バイオマス由来成分を含んでいなくてもよい。
蒸着膜としては、例えば、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)等の金属の蒸着膜を使用することができる。
(接着層)
内側接着層22、外側接着層24などの接着層は、任意の2層を接着する場合に設けられる層である。内側接着層22は、紙基材層14と、紙基材層14よりも内側に位置するフィルム又は層とを接着する。外側接着層24は、紙基材層14と、紙基材層14よりも外側に位置するフィルム又は層とを接着する。
内側接着層22、外側接着層24などの接着層は、接着剤層であってもよく、接着樹脂層であってもよい。以下、接着剤層及び接着樹脂層についてそれぞれ説明する。
接着剤層は、従来公知の方法、例えばドライラミネート法により形成することができる。ドライラミネート法により2層を接着する場合、接着剤層は、積層される側の層の表面に、接着剤を塗布して乾燥させることにより形成される。塗布される接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などの接着剤を用いることができる。2液硬化型の接着剤としては、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を用いることができる。上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。乾燥後の接着剤層は、例えば1μm以上10μm以下、好ましくは2μm以上5μm以下の厚さを有する。
接着剤層は、バイオマス由来成分を含んでいてもよい。例えば、接着剤層がポリ
オールとイソシアネート化合物との硬化物を含む場合、ポリオールまたはイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。これにより、包装材料20のバイオマス度をさらに向上させることができる。
接着樹脂層は、熱可塑性樹脂を含む。接着樹脂層は、従来公知の方法、例えば溶融押出しラミネート法やサンドラミネート法により形成することができる。接着樹脂層に使用できる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または環状ポリオレフィン系樹脂、またはこれら樹脂を主成分とする共重合樹脂、変性樹脂、または、混合体(アロイでを含む)を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン・マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂、また、層間の密着性を向上させるために、上記したポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などを用いることができる。また、ポリオレフィン樹脂に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂などを用いることができる。これらの材料は、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィンなどを用いることができる。これらの樹脂は、単独または複数を組み合せて使用できる。接着樹脂層は、例えば5μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上30μm以下の厚さを有する。
なお、上記したポリエチレン系樹脂としては、シーラント層15において説明したバイオマス由来のエチレンをモノマー単位として用いたものを使用してもよい。これにより、包装材料20のバイオマス度をさらに向上させることができる。
(プライマー層)
プライマー層25は、印刷層13が設けられるフィルムや層の表面に、印刷層13に先行して設けられる層である。図3に示す例においては、バリア層23の表面にプライマー層25を形成した後、プライマー層25上にバリア層23を形成する。これによって、バリア層23に対するプライマー層25の接着性を高めることができる。プライマー層25の厚みは、例えば0.5μm以上5μm以下、好ましくは1μm以上3μm以下である。プライマー層25を構成する材料の例としては、塩化酢酸ビニル系とポリエステル系の混合物などを挙げることができる。
(包装材料の製造方法)
次に、包装材料20を構成する積層体の製造方法の一例について説明する。ここでは、図1に示す包装材料20の製造方法の一例について説明する。
まず、上述の紙基材層14を準備する。続いて、上述のインキ組成物をグラビア印刷により紙基材層14上に印刷して、紙基材層14上に印刷層13を形成する。続いて、固形分及び溶剤を含む上述の塗料を印刷層13上に塗布して、印刷層13上に透明樹脂層12を形成する。その後、印刷層13及び透明樹脂層12が設けられた紙基材層14をロール状に巻き取る。
次に、ロール状の紙基材層14を巻き出す。続いて、溶融押出しラミネート法により、透明樹脂層12上に溶融状態の樹脂を押し出して、透明樹脂層12上に表面樹脂層11を形成する。続いて、溶融押出しラミネート法により、紙基材層14の印刷層13が形成された面と反対の面上に溶融状態の樹脂を押し出して、シーラント層15を形成する。このようにして、表面樹脂層11、透明樹脂層12、印刷層13、紙基材層14及びシーラント層15を備える包装材料20を得ることができる。
なお、上述の各工程の順序は任意である。例えば、紙基材層14上にシーラント層15を形成した後、透明樹脂層12上に表面樹脂層11を形成してもよい。
本実施の形態においては、印刷層13上に透明樹脂層12が形成される。これにより、印刷層13が設けられた紙基材層14をロール状に巻き取る際に、印刷層13に含まれる着色剤などが、印刷層13上に重ねられた紙基材層14又はその他の層に転写されることを防ぐことができる。
また、本実施の形態においては、印刷層13又は透明樹脂層12の少なくともいずれかが、バイオマス由来成分を含んでいる。これにより、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができる。このため、環境負荷を減らすことができる。
<包装製品>
包装材料20を用いることによって形成される包装製品の例について説明する。図5は、紙カップ55の一部を切除した斜視図である。紙カップ55は、胴部57及びフランジ部58を有する本体部56と、底部59と、を備える。この本体部56が、上述の包装材料20を用いることによって形成される包装製品20Aの一例である。紙カップ55に収容される内容物の例としては、ヨーグルト、アイスクリーム、納豆などを挙げることができる。
印刷層13又は透明樹脂層12の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む包装材料20を用いて包装製品20Aを構成することにより、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができる。これにより、環境負荷を減らすことができる。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1A]
紙基材層14として、270g/mの坪量を有する耐酸カップ原紙を準備した。続いて、紙基材層14上に印刷層13を形成した。印刷層13を形成する工程においては、まず、着色剤と、バインダー樹脂と、溶剤とを含むインキ組成物を準備した。バインダー樹脂としては、バイオマス由来のニトロセルロースと、化石燃料由来のポリエステルポリオールと化石燃料由来のイソシアネート化合物との硬化物と、を含むものを用いた。続いて、紙基材層14上にグラビア印刷によって所定のパターンでインキ組成物を塗布して、印刷層13を形成した。印刷層13の厚みは2μmであった。
続いて、印刷層13上に透明樹脂層12を形成した。透明樹脂層12を形成する工程においては、まず、バインダー樹脂と、溶剤とを含む塗料を準備した。バインダー樹脂としては、化石燃料由来のニトロセルロースと、化石燃料由来のポリエステルポリオールと化石燃料由来のイソシアネート化合物との硬化物と、を含むものを用いた。続いて、印刷層13の全域にグラビア方式によって塗料を塗布して、透明樹脂層12を形成した。透明樹脂層12の厚みは2μmであった。
続いて、溶融押出しラミネート法により、透明樹脂層12上に溶融状態の樹脂を押し出して、表面樹脂層11を形成した。表面樹脂層11としては、化石燃料由来のポリエチレンを用いた。表面樹脂層11の厚みは20μmであった。
続いて、溶融押出しラミネート法により紙基材層14上にシーラント層15を形成した。シーラント層15としては、化石燃料由来のポリエチレンを用いた。シーラント層15の厚みは40μmであった。このようにして、図1に示す層構成を有する包装材料20を作製した。
本実施例の包装材料20の層構成は、以下のように表現される。
表/透明/バイオ印/紙/PE40
「/」は層と層の境界を表している。左端の層が、包装材料の外面を構成する層であり、右端の層が、包装材料の内面を構成する層である。
「表」は、溶融押出しラミネート法により形成された、化石燃料由来の表面樹脂層を意味する。「透明」は、グラビア方式によって塗料を塗布することによって形成された、化石燃料由来の透明樹脂層を意味する。「バイオ印」は、バイオマス由来成分を含む印刷層を意味する。「紙」は、紙基材層を意味する。「PE」は、シーラント層15を構成する化石燃料由来のポリエチレンを意味する。数字は、層の厚み(単位はμm)を意味する。
続いて、包装材料20を用いて、図5に示す紙カップ55の本体部56を作製した。紙カップ55には、例えば、ヨーグルト、アイスクリーム、納豆等を収容することができる。
[実施例1B]
印刷層13のバインダー樹脂のポリオールとして化石燃料由来のポリエーテルポリオールを用いたこと以外は、実施例1Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。
[実施例1C]
印刷層13のバインダー樹脂のポリオールとして化石燃料由来のポリカーボネートポリオールを用いたこと以外は、実施例1Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。
実施例1A〜1Cの包装材料20の層構成などをまとめて図6に示す。
図6の「印刷層中のバイオマス由来成分」の欄において、「ニトロセルロース」という記載は、印刷層13中のニトロセルロースがバイオマス由来成分を含むことを意味する。
図6の「ポリオールのタイプ」の欄において、「エステル系」という記載は、印刷層13において用いられたポリオールがポリエステルポリオールであることを意味する。また、「エーテル系」という記載は、印刷層13において用いられたポリオールがポリエーテルポリオールであることを意味する。また、「カーボネート系」という記載は、印刷層13において用いられたポリオールがポリカーボネートポリオールであることを意味する。
図6の「ポリオール中のバイオマス由来成分」の欄において、「−」という記載は、印刷層13において用いられたポリオールがバイオマス由来成分を含まないことを意味する。
[実施例1D]
印刷層13のバインダー樹脂として、化石燃料由来のニトロセルロースと、バイオマス由来成分を含むポリエステルポリオールと化石燃料由来のイソシアネート化合物との硬化物と、を含むものを用いたこと以外は、実施例1Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。バイオマス由来成分を含むポリエステルポリオールとして、具体的には、バイオマス由来成分を含む多官能アルコールと化石燃料由来の多官能カルボン酸との反応物を用いた。
[実施例1E]
印刷層13のバインダー樹脂のポリエステルポリオールとして、化石燃料由来の多官能アルコールとバイオマス由来成分を含む多官能カルボン酸との反応物を用いたこと以外は、実施例1Dの場合と同様にして、包装材料20を作製した。
[実施例1F]
印刷層13のバインダー樹脂として、化石燃料由来のニトロセルロースと、バイオマス由来成分を含むポリエーテルポリオールと化石燃料由来のイソシアネート化合物との硬化物と、を含むものを用いたこと以外は、実施例1Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。バイオマス由来成分を含むポリエーテルポリオールとして、具体的には、バイオマス由来成分を含む多官能アルコールと化石燃料由来の多官能イソシアネートとの反応物を用いた。
[実施例1G]
印刷層13のバインダー樹脂のポリエーテルポリオールとして、化石燃料由来の多官能アルコールとバイオマス由来成分を含む多官能イソシアネートとの反応物を用いたこと以外は、実施例1Fの場合と同様にして、包装材料20を作製した。
[実施例1H]
印刷層13のバインダー樹脂として、化石燃料由来のニトロセルロースと、バイオマス由来成分を含むポリカーボネートポリオールと化石燃料由来のイソシアネート化合物との硬化物と、を含むものを用いたこと以外は、実施例1Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。バイオマス由来成分を含むポリカーボネートポリオールとして、具体的には、バイオマス由来成分を含む多官能アルコールと化石燃料由来のカーボネートとの反応物を用いた。
実施例1D〜1Hの包装材料20の層構成などをまとめて図6に示す。
図6の「印刷層中のバイオマス由来成分」の欄において、「ポリオール」という記載は、印刷層13において用いられたポリオールがバイオマス由来成分を含むことを意味する。
図6の「ポリオール中のバイオマス由来成分」の欄において、「多官能アルコール」という記載は、印刷層13において用いられたポリオールの構成要素のうち少なくとも多官能アルコールがバイオマス由来であることを意味する。同様に、「多官能カルボン酸」という記載は、印刷層13において用いられたポリオールの構成要素のうち少なくとも多官能カルボン酸がバイオマス由来であることを意味する。同様に、「多官能イソシアネート」という記載は、印刷層13において用いられたポリオールの構成要素のうち少なくとも多官能イソシアネートがバイオマス由来であることを意味する。
なお、実施例1D〜1Hにおいては、ポリオールに用いられた複数の構成要素のうちの1つが、バイオマス由来成分である例を示したが、これに限られることはない。例えば、複数の構成要素がバイオマス由来成分を含んでいてもよい。
[実施例1I]
印刷層13のバインダー樹脂として、化石燃料由来のニトロセルロースと、化石燃料由来のポリエステルポリオールとバイオマス由来成分を含むイソシアネート化合物との硬化物と、を含むものを用いたこと以外は、実施例1Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。
[実施例1J]
印刷層13のバインダー樹脂のポリオールとして化石燃料由来のポリエーテルポリオールを用いたこと以外は、実施例1Iの場合と同様にして、包装材料20を作製した。
[実施例1K]
印刷層13のバインダー樹脂のポリオールとして化石燃料由来のポリカーボネートポリオールを用いたこと以外は、実施例1Iの場合と同様にして、包装材料20を作製した。
実施例1I〜1Kの包装材料20の層構成などをまとめて図6に示す。
図6の「印刷層中のバイオマス由来成分」の欄において、「イソシアネート化合物」という記載は、印刷層13において用いられたイソシアネート化合物がバイオマス由来成分を含むことを意味する。
なお、実施例1A〜1Kにおいては、印刷層13で用いられるニトロセルロース、ポリオール又はイソシアネート化合物のうちの1つがバイオマス由来成分を含む例を示したが、これに限られることはない。例えば、ニトロセルロース、ポリオール又はイソシアネート化合物のうちの2つ又は3つがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。
[実施例2A〜2K]
実施例1A〜1Kにおいては、印刷層13のバインダー樹脂で用いられるニトロセルロース、ポリオール又はイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む例を示した。実施例2A〜2Kにおいては、透明樹脂層12のバインダー樹脂で用いられるニトロセルロース、ポリオール又はイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含み、印刷層13のバインダー樹脂が化石燃料由来のものである例を示す。図7は、実施例2A〜2Kの包装材料20の層構成などをまとめて示す図である。
図7の「層構成」の欄において、「バイオ透明」は、グラビア方式によって塗料を塗布することによって形成された、バイオマス由来成分を含む透明樹脂層を意味する。「印」は、化石燃料由来の印刷層を意味する。
図7の「透明樹脂層中のバイオマス由来成分」の欄において、「ニトロセルロース」という記載は、透明樹脂層12中のニトロセルロースがバイオマス由来成分を含むことを意味する。「ポリオール」という記載は、透明樹脂層12において用いられたポリオールがバイオマス由来成分を含むことを意味する。「イソシアネート化合物」という記載は、透明樹脂層12において用いられたイソシアネート化合物がバイオマス由来成分を含むことを意味する。
実施例2A〜2Kは、バイオマス由来成分を含む層として印刷層13ではなく透明樹脂層12を採用した点を除いて、実施例1A〜1Kと同様であるので、詳細な説明を省略する。
[実施例3A]
透明樹脂層12としてバイオマス由来成分を含むものを用いたこと以外は、実施例1Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。具体的には、透明樹脂層12のバインダー樹脂として、実施例2Aの場合と同様に、バイオマス由来のニトロセルロースと、化石燃料由来のポリエステルポリオールと化石燃料由来のイソシアネート化合物との硬化物と、を含むものを用いた。
本実施例の包装材料20の層構成は、以下のように表現される。
表/バイオ透明/バイオ印/紙/PE40
[実施例3B]
表面樹脂層11としてバイオマス由来成分を含むものを用いたこと以外は、実施例1Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。具体的には、バイオマス由来成分を含むポリエチレンを溶融押出しラミネート法により透明樹脂層12上に押し出して、表面樹脂層11を形成した。
本実施例の包装材料20の層構成は、以下のように表現される。
バイオ表/透明/バイオ印/紙/PE40
「バイオ表」は、溶融押出しラミネート法により形成されたバイオマス由来の表面樹脂層を意味する。
[実施例3C]
シーラント層15としてバイオマス由来成分を含むものを用いたこと以外は、実施例1Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。具体的には、バイオマス由来成分を含むポリエチレンを溶融押出しラミネート法により紙基材層14上に20μmの厚みで押し出して、シーラント層15を形成した。
本実施例の包装材料20の層構成は、以下のように表現される。
表/透明/バイオ印/紙/バイオPE40
「バイオPE」は、シーラント層15を構成する、バイオマス由来成分を含むポリエチレンを意味する。
[実施例3D]
図4に示す第1層151及び第2層152を含む2層構成のシーラント層15を共押し出しによって形成したこと以外は、実施例1Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。第1層151としては、バイオマス由来成分を含む厚み20μmのポリエチレンの層を用いた。第2層152としては、化石燃料由来の厚み20μmのポリエチレンの層を用いた。
本実施例の包装材料20の層構成は、以下のように表現される。
表/透明/バイオ印/紙/PE20/バイオPE20
[実施例3E]
第1層151として、化石燃料由来の厚み20μmのポリエチレンの層を用い、第2層152として、バイオマス由来成分を含む厚み20μmのポリエチレンの層を用いたこと以外は、実施例3Dの場合と同様にして、包装材料20を作製した。
本実施例の包装材料20の層構成は、以下のように表現される。
表/透明/バイオ印/紙/バイオPE20/PE20
[実施例3F]
表面樹脂層11として、実施例3Bで説明したバイオマス由来成分を含むものを用い、シーラント層15として、実施例3Cで説明したバイオマス由来成分を含むものを用いたこと以外は、実施例3Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。
本実施例の包装材料20の層構成は、以下のように表現される。
バイオ表/バイオ透明/バイオ印/紙/バイオPE40
図8に、実施例1A、3A〜3Fの包装材料20の層構成をまとめて示す。なお、上述の実施例3A〜3Fにおいても、実施例1B〜1K及び実施例2B〜2Kの場合と同様のバリエーションを採用し得る。例えば、バイオマス由来成分を含む印刷層13として、実施例1Aに示す印刷層13以外にも、実施例1B〜1Kに示す印刷層13を用いてもよい。また、バイオマス由来成分を含む透明樹脂層12として、実施例2Aに示す透明樹脂層12以外にも、実施例2B〜2Kに示す透明樹脂層12を用いてもよい。
[実施例4A]
紙基材層14として、270g/mの坪量を有する耐酸カップ原紙を準備した。続いて、紙基材層14上に印刷層13を形成した。印刷層13を形成する工程においては、まず、着色剤と、バインダー樹脂と、溶剤とを含むインキ組成物を準備した。バインダー樹脂としては、バイオマス由来のニトロセルロースと、化石燃料由来のポリエステルポリオールと化石燃料由来のイソシアネート化合物との硬化物と、を含むものを用いた。続いて、紙基材層14上にグラビア印刷によって所定のパターンでインキ組成物を塗布して、印刷層13を形成した。印刷層13の厚みは2μmであった。
続いて、印刷層13上に透明樹脂層12を形成した。透明樹脂層12を形成する工程においては、まず、バインダー樹脂と、溶剤とを含む塗料を準備した。バインダー樹脂としては、化石燃料由来のニトロセルロースと、化石燃料由来のポリエステルポリオールと化石燃料由来のイソシアネート化合物との硬化物と、を含むものを用いた。続いて、印刷層13の全域にグラビア方式によって塗料を塗布して、透明樹脂層12を形成した。透明樹脂層12の厚みは2μmであった。
続いて、溶融押出しラミネート法により、透明樹脂層12上に溶融状態の樹脂を押し出して、表面樹脂層11を形成した。表面樹脂層11としては、化石燃料由来のポリエチレンを用いた。表面樹脂層11の厚みは20μmであった。
続いて、紙基材層14と、プラスチックフィルム層21を構成するフィルムとを、内側接着層22を介してサンドラミネートによって貼り合わせた。プラスチックフィルム層21としては、化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートを含むPETフィルム(厚さ12μm)を用いた。内側接着層22としては、化石燃料由来のポリエチレンを含む接着樹脂層を用いた。内側接着層22の厚みは15μmであった。
続いて、溶融押出しラミネート法によりプラスチックフィルム層21上にシーラント層15を形成した。シーラント層15としては、化石燃料由来のポリエチレンを用いた。シーラント層15の厚みは40μmであった。このようにして、図2に示す層構成を有する包装材料20を作製した。
本実施例の包装材料20の層構成は、以下のように表現される。
表/透明/バイオ印/紙/接/PET12/PE40
「PET」は、化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートを含むPETフィルムを意味する。「接」は、化石燃料由来の接着層を意味する。
続いて、包装材料20を用いて、図5に示す紙カップ55の本体部56を作製した。紙カップ55には、例えばヨーグルトを収容することができる。
[実施例4B]
透明樹脂層12として、実施例2Aで説明したバイオマス由来成分を含むものを用い、印刷層13として、化石燃料由来のものを用いたこと以外は、実施例4Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。
本実施例の包装材料20の層構成は、以下のように表現される。
表/バイオ透明/印/紙/接/PET12/PE40
[実施例4C]
表面樹脂層11として、実施例3Bで説明したバイオマス由来成分を含むものを用い、透明樹脂層12として、実施例2Aで説明したバイオマス由来成分を含むものを用い、シーラント層15として、実施例3Cで説明したバイオマス由来成分を含むものを用い、内側接着層22として、バイオマス由来のポリエチレンを含む接着樹脂層を用い、プラスチックフィルム層21として、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートを含むPETフィルムを用いたこと以外は、実施例4Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。
本実施例の包装材料20の層構成は、以下のように表現される。
バイオ表/バイオ透明/バイオ印/紙/バイオ接/バイオPET12/バイオPE40
「バイオ接」は、バイオマス由来成分を含む接着層を意味する。「バイオPET」は、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートを含むPETフィルムを意味する。
[実施例5A]
紙基材層14として、260g/mの坪量を有するミルクカートン原紙を準備した。続いて、紙基材層14と、バリア層23を構成するフィルムとを、外側接着層24を介してサンドラミネートによって貼り合わせた。バリア層23としては、アルミニウム箔(厚さ7μm)を用いた。外側接着層24としては、化石燃料由来のポリエチレンを含む接着樹脂層を用いた。外側接着層24の厚みは20μmであった。
続いて、バリア層23上にプライマー層25を塗布した後、プライマー層25上に印刷層13を形成した。印刷層13を形成する工程においては、まず、着色剤と、バインダー樹脂と、溶剤とを含むインキ組成物を準備した。バインダー樹脂としては、バイオマス由来のニトロセルロースと、化石燃料由来のポリエステルポリオールと化石燃料由来のイソシアネート化合物との硬化物と、を含むものを用いた。続いて、紙基材層14上にグラビア印刷によって所定のパターンでインキ組成物を塗布して、印刷層13を形成した。印刷層13の厚みは2μmであった。
続いて、印刷層13上に透明樹脂層12を形成した。透明樹脂層12を形成する工程においては、まず、バインダー樹脂と、溶剤とを含む塗料を準備した。バインダー樹脂としては、化石燃料由来のニトロセルロースと、化石燃料由来のポリエステルポリオールと化石燃料由来のイソシアネート化合物との硬化物と、を含むものを用いた。続いて、印刷層13の全域にグラビア方式によって塗料を塗布して、透明樹脂層12を形成した。透明樹脂層12の厚みは2μmであった。
続いて、溶融押出しラミネート法により、透明樹脂層12上に溶融状態の樹脂を押し出して、表面樹脂層11を形成した。表面樹脂層11としては、化石燃料由来のポリエチレンを用いた。表面樹脂層11の厚みは20μmであった。
続いて、溶融押出しラミネート法により紙基材層14上にシーラント層15を形成した。シーラント層15としては、化石燃料由来のポリエチレンを用いた。シーラント層15の厚みは60μmであった。このようにして、図3に示す層構成を有する包装材料20を作製した。
本実施例の包装材料20の層構成は、以下のように表現される。
表/透明/バイオ印/プライマー/Al箔7/接/紙/PE60
「Al箔」は、アルミニウム箔を意味する。「プライマー」は、プライマー層を意味する。
続いて、包装材料20を用いて、図5に示す紙カップ55の本体部56を作製した。紙カップ55には、例えば乳飲料、ジュースやお茶などの清涼飲料などの液体を収容することができる。
[実施例5B]
透明樹脂層12として、実施例2Aで説明したバイオマス由来成分を含むものを用い、印刷層13として、化石燃料由来のものを用いたこと以外は、実施例5Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。
本実施例の包装材料20の層構成は、以下のように表現される。
表/バイオ透明/印/プライマー/Al箔7/接/紙/PE60
[実施例5C]
表面樹脂層11として、実施例3Bで説明したバイオマス由来成分を含むものを用い、透明樹脂層12として、実施例2Aで説明したバイオマス由来成分を含むものを用い、シーラント層15として、実施例3Cで説明したバイオマス由来成分を含むものを用い、外側接着層24として、バイオマス由来のポリエチレンを含む接着樹脂層を用いたこと以外は、実施例5Aの場合と同様にして、包装材料20を作製した。
本実施例の包装材料20の層構成は、以下のように表現される。
バイオ表/バイオ透明/バイオ印/プライマー/Al箔7/バイオ接/紙/バイオPE60
図9に、実施例1A、4A〜5Cの包装材料20の層構成をまとめて示す。なお、上述の実施例4A〜5Cにおいても、実施例1B〜1K及び実施例2B〜2Kの場合と同様のバリエーションを採用し得る。例えば、バイオマス由来成分を含む印刷層13として、実施例1Aに示す印刷層13以外にも、実施例1B〜1Kに示す印刷層13を用いてもよい。また、バイオマス由来成分を含む透明樹脂層12として、実施例2Aに示す透明樹脂層12以外にも、実施例2B〜2Kに示す透明樹脂層12を用いてもよい。
11 表面樹脂層
12 透明樹脂層
13 印刷層
14 紙基材層
15 シーラント層
151 第1層
152 第2層
20 包装材料
21 プラスチックフィルム層
22 内側接着層
23 バリア層
24 外側接着層
25 プライマー層

Claims (9)

  1. 少なくとも、表面樹脂層、透明樹脂層、印刷層、紙基材層、シーラント層が順に積層された包装材料であって、
    前記表面樹脂層は、ポリエチレンを含み、
    前記透明樹脂層は、ニトロセルロースと、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物と、を含み、
    前記印刷層は、着色剤と、ニトロセルロースと、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物と、を含み、
    前記印刷層又は前記透明樹脂層において、前記ニトロセルロース、前記ポリオールまたは前記イソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む、包装材料。
  2. 前記印刷層の前記ニトロセルロース、前記ポリオールまたは前記イソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む、請求項1に記載の包装材料。
  3. 前記印刷層の前記ニトロセルロースがバイオマス由来成分を含む、請求項2に記載の包装材料。
  4. 前記印刷層の前記ポリオールまたは前記イソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む、請求項2又は3に記載の包装材料。
  5. 前記透明樹脂層の前記ニトロセルロース、前記ポリオールまたは前記イソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装材料。
  6. 前記透明樹脂層の前記ニトロセルロースがバイオマス由来成分を含む、請求項5に記載の包装材料。
  7. 前記透明樹脂層の前記ポリオールまたは前記イソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む、請求項5又は6に記載の包装材料。
  8. 前記表面樹脂層が、バイオマス由来成分を含むポリエチレンを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の包装材料。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の包装材料を備える、包装製品。
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