以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。「近接検知システム」の一例としての紛失物探索システムは、スマートフォン、タブレット、および腕時計型のウェアラブルデバイスなどの持ち歩き可能な情報端末、または据置き型の情報端末にアプリケーション(以下、アプリ)をインストールして使用する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る紛失物探索システムの概念図である。
紛失物探索システム10は、センサ100と、各ユーザが所有する情報端末200と、他のユーザが所有する情報端末400と、サーバ300とを備えている。対象物は、社員証、財布、または鞄などでよい。
センサ100は、所有者が紛失したくないと思う「検知対象」の一例としての対象物毎に取り付けられる小型端末である。センサ100は、例えば、iBeacon(登録商標)のようなBluetooth Low Energy(以下、BLE:登録商標)規格で通信し、電力消費が少なくなるように設定された個別の識別情報を含む信号を所定の近距離の範囲内に無線で発信する。個別の識別情報は、proximity UUID、major、およびminorとの3種類の固有情報でよい。proximity UUIDは、センサ100の所有者によって情報端末200,400毎に異なる番号が予め付与された識別番号である。majorおよびminorには、紛失物探索システム10毎に特有の識別情報が付与されている。
情報端末200,400は、majorおよびminorの値を参照することによって、対象物に取り付けられたセンサ100であるか否かを判定する。
サーバ300は、情報端末200,400との間で、データを送受信する装置である。サーバ300および情報端末200,400間は、WiFi(登録商標)などの無線通信を用いたインターネット接続や、3G、4Gなどの携帯電話用の通信回線を用いて接続される。
このように構成された紛失物探索システム10において、ユーザがこの紛失物探索システム10を用いたサービスを利用するためには、まず情報端末200に専用アプリをインストールする。
ユーザがセンサ100を取り付けた対象物を落とした場合、その対象物から所定距離の範囲内に、同一アプリをインストールした別の情報端末400を携帯した他のユーザが近接すると、情報端末400は、センサ100が発信する識別情報を含む信号を受信する。そして、情報端末400は、センサ100から識別情報を含む信号を受信した時点における位置情報をGPSを用いて取得し、受信したセンサ100の識別情報と、取得した情報端末400の位置情報とを含む信号をサーバ300に送信する。対象物からの所定距離は、例えば、iBeaconの規格で定められている10〜20m程度の範囲内でよい。
サーバ300は、受信したセンサ100の識別情報に基づいて、紛失物の所有者を特定し、特定した所有者の情報端末200内のアプリに対して、紛失物(詳しくは他のユーザが所有する情報端末400)の位置情報を含む信号を送信する。したがって、本実施形態では、紛失物の位置情報は、センサ100の近傍を通りかかった他のユーザの情報端末400によって、他のユーザが認知することなく、取得され、サーバ300に送信される。
図2は、第1実施形態に係る紛失物探索システムの構成図である。
センサ100は、発信部110と、記憶部120とを備えている。発信部110は、センサ100の識別情報であるUUID、major、およびminorの値を含む信号を所定の距離の範囲内に近接した情報端末200,400に対して発信する。記憶部120は、センサ100の識別情報を記憶する領域である。記憶部120には、センサ100の配布者が出荷前に、専用の装置を用いて識別情報が書き込まれる。
情報端末200,400は、情報端末登録部210と、センサ登録部220と、センサ受信部230と、位置情報管理部240と、設定部250と、「検知管理部」の一例としての紛失管理部260と、サーバ受信部270と、送信部280とを備えている。
情報端末登録部210は、情報端末200,400の識別情報を含む信号をサーバ300に送信する。センサ登録部220は、センサ100の識別情報を含む信号をサーバ300に送信する。
センサ受信部230は、センサ100に対応付けられたセンサ100の識別情報を含む信号を受信する。位置情報管理部240は、センサ受信部230がセンサ100の識別情報を含む信号を受信すると、その時点の情報端末200,400の位置情報をGPSを用いて取得する。なお、据置き型の情報端末200,400は、その情報端末200,400の位置を位置情報管理部240に予め登録しておけば、GPS機能を有していなくてもよい。据置き型の情報端末200,400は、駅などの通行人が多い場所や紛失物が届く場所に設置されてよい。
設定部250は、センサ100を取り付けた対象物を紛失した場合、そのセンサ100の所有者が情報端末200のボタンを押下するなどして手動で紛失設定される。さらに、設定部250は、センサ100を取り付けた対象物を発見した場合、そのセンサ100の所有者が情報端末200のボタンを押下するなどして手動で紛失設定が解除される。紛失管理部260は、探索が必要なセンサ100が識別情報毎に登録される「検知リスト」の一例としての紛失リスト261を有しており、紛失物に取り付けたセンサ100の識別情報に基づいて監視処理を実行する。サーバ受信部270は、サーバ300から紛失物の探索通知を含む信号を受信する。送信部280は、設定部250が紛失設定されると、サーバ300に紛失通知を送信する。さらに、送信部280は、紛失物に取り付けたセンサ100の識別情報を含む信号を受信すると、センサ100の識別情報、発見した日時、発見した位置情報を付与した発見通知をサーバ300に送信する。さらに、送信部280は、設定部250が紛失設定を解除されると、サーバ300に探索の終了を通知する探索終了通知を送信する。
サーバ300は、受信部310と、端末管理部320と、探索情報管理部330と、送信部340とを備えている。
受信部310は、情報端末200,400の送信部280から送信された紛失通知、発見通知および探索終了通知を受信する。端末管理部320には、情報端末登録部210から情報端末200,400の識別情報を含む信号が送信され、センサ登録部220からセンサ100の識別情報を含む信号が送信される。端末管理部320は、これら情報端末200,400の識別情報およびセンサ100の識別情報に基づいて、情報端末200とセンサ100との対応関係を後述する端末管理テーブル321に登録する。さらに、端末管理部320は、センサ100の紛失状態のステータスを管理しており、受信部310が紛失通知を受信した場合、そのセンサ100が紛失状態であると設定し、受信部310が探索終了通知を受信した場合、そのセンサ100が紛失していない状態であると設定する。
探索情報管理部330は、識別情報を受信したセンサ100の位置情報を管理する。探索情報管理部330は、受信部310が発見通知を受信した場合、その発見通知に基づいて、識別情報を含む信号を受信したセンサ100の位置情報を後述する探索情報管理テーブル331に登録する。送信部340は、端末管理部320が紛失物に取り付けたセンサ100を紛失状態であると設定した場合、他のユーザが所有する情報端末400に対して、センサ100の識別情報を付与した探索通知を送信する。さらに、送信部340は、受信部310が発見通知を受信した場合、センサ100の所有者の情報端末200に対して位置情報通知を送信する。さらに、送信部340は、探索を終了する場合、他のユーザが所有する情報端末400に対して、探索終了通知を送信する。
図3は、第1実施形態に係る端末管理テーブルの構成図である。
端末管理テーブル321は、端末管理部320に記録される。端末管理テーブル321は、項目値(またはカラム値。以下同じ)として、端末識別ID3211、センサID3212、およびステータス3213を含んでよい。
端末識別ID3211は、情報端末200,400を特定する識別子である。センサID3212は、センサ100を特定する識別子である。ステータス3213は、センサ100の紛失状態を管理するフラグである。ステータス3213は、「0」が紛失していない状態、「1」が自動で紛失を通知する場合に紛失の可能性がある状態、「2」が手動で紛失を通知する場合に紛失した状態を示す。端末管理テーブル321の使用タイミングは、図8および図9において説明する。
図4は、第1実施形態に係る捜索情報管理テーブルの構成図である。
探索情報管理テーブル331は、探索情報管理部330に記録される。探索情報管理テーブル331は、項目値として、センサID3311、日時3312、およびGPS情報3313を含んでよい。
センサID3311は、センサ100を特定する識別子である。日時3312は、端末管理テーブル321に登録されたセンサ100を発見した時の日時である。GPS情報3313は、端末管理テーブル321に登録されたセンサ100を発見した時の位置情報である。探索情報管理テーブル331の使用タイミングは、図9において説明する。
図5は、第1実施形態に係る紛失リストの構成図である。
紛失リスト261は、紛失管理部260に記録される。紛失リスト261は、項目値として、センサID2611を含んでよい。
センサID2611は、センサ100を特定する識別子である。紛失リスト261の使用タイミングは、後述する図8および図9において説明する。
図6は、第1実施形態に係る位置情報管理テーブルの構成図である。
位置情報管理テーブル241は、位置情報管理部240に記録される。位置情報管理テーブル241は、項目値として、センサID2411、日時2412、およびGPS情報2413を含んでよい。
センサID2411は、センサ100を特定する識別子である。日時2412は、端末管理テーブル321に登録済みで情報端末200と対応関係にあるセンサ100からの識別情報を受信した日時である。GPS情報2413は、端末管理テーブル321に登録済みで情報端末200と対応関係にあるセンサ100からの識別情報を含む信号を受信した時点における情報端末200の位置情報である。位置情報管理テーブル241の使用タイミングは、後述する図8において説明する。さらに、過去の位置情報は、図7で説明する行動履歴情報管理テーブル242で管理する。
図7は、第1実施形態に係る行動履歴情報管理テーブルの構成図である。
行動履歴情報管理テーブル242は、図6の位置情報管理テーブル241と同様に位置情報管理部240に記録される。行動履歴情報管理テーブル242は、項目値として、センサID2421、日時2422、GPS情報2423、および滞在2424を含んでよい。
センサID2421は、センサ100を特定する識別子である。日時2422は、端末管理テーブル321に登録済みで情報端末200と対応関係にあるセンサ100からの識別情報を含む信号を受信した日時である。GPS情報2423は、端末管理テーブル321に登録済みで情報端末200と対応関係にあるセンサ100からの識別情報を含む信号を受信した時点における情報端末200の位置情報である。滞在2424は、GPS情報2423が示す位置に滞在した時間である。行動履歴情報管理テーブル242は、図6で説明した位置情報管理テーブル241の過去の位置情報を管理する。
例えば、位置情報管理テーブル241のセンサID2411に「11e…001」、日時2412に「2018/05/20_10:03:00」、GPS情報2413に「3552.9565…」が登録されている。この状態で、新しくセンサID2411に「11e…001」、日時2412に「2018/05/20_10:03:15」、GPS情報2413に「3552.9565…」を登録する。この場合、行動履歴情報管理テーブル242のセンサID2421には「11e…001」、日時2422には「2018/05/20_10:03:00」、GPS情報2423には「3552.9565…」が登録される。さらに、滞在2424には「2018/05/20_10:03:15」から「2018/05/20_10:03:00」を引くことによって滞在時間を示す「15」が登録される。なお、行動履歴情報管理テーブル242の使用タイミングは、後述する図8において説明する。
図8は、第1実施形態に係る情報端末の登録処理および識別情報受信処理のシーケンス図である。
以下、図8の各ステップについて説明する。まず、ユーザは、紛失物探索システム10を利用するため、サーバ300に情報端末200を登録する(S801)。この時、図3に例示する端末管理テーブル321には、情報端末200を識別する端末識別ID3211が追加される。
ユーザは、情報端末200の登録が終わると、次に紛失したくないと思う対象物にセンサ100を取り付け稼動させる。対象物に取り付けられたセンサ100は、識別情報を含む信号を所定距離の範囲内に無線で発信する(S802)。情報端末200は、センサ100の識別情報を含む信号を受信すると、情報端末200とセンサ100とを紐付けるため、サーバ300にセンサ100を登録する(S803)。即ち、図3に例示するように、情報端末200は、センサ100を識別するセンサID3212をサーバ300の端末管理テーブル321に登録する。
情報端末200は、端末管理テーブル321に登録済みで情報端末200と対応関係にあるセンサ100の識別情報を受信した場合(S804)、位置情報管理テーブル241を更新する(S805)。即ち、図6に例示するように、情報端末200は、位置情報管理テーブル241において、端末管理テーブル321に登録済みで情報端末200と対応関係にあるセンサ100の日時および位置情報を最新に更新する。この時、前回までの位置情報(GPS情報2413)は、行動履歴情報管理テーブル242に移動させる。図7に例示するように、情報端末200は、行動履歴として過去の位置情報(GPS情報2423)を行動履歴情報管理テーブル242に蓄積する。
一方、情報端末200は、対応関係にないセンサ100の識別情報を含む信号を受信した場合、何も処理をしない(S806)。なお、センサ探索処理については、図9で説明する。
図9は、第1実施形態に係るセンサ探索処理のシーケンス図である。
ユーザは、センサ100を含む対象物の紛失に気付いたら、情報端末200から手動でサーバ300に対して対象物の紛失通知を送信する(S901)。なお、自動の紛失通知処理については、図11で説明する。
ユーザは、ユーザ自身でもセンサ100を含む紛失物を探索するため、情報端末200から探索対象のセンサ100を紛失リスト261に登録し、情報端末200に紛失リスト261に登録したセンサ100の監視を開始させる(S902)。即ち、図5に例示するように、情報端末200は、紛失物に取り付けたセンサ100を識別するセンサID2511を紛失リスト261に追加する。
サーバ300は、紛失通知を受信すると、図3に例示するように、端末管理テーブル321のステータス3213を変更する。即ち、サーバ300は、他のユーザが所有する情報端末400に対して、紛失物の探索を依頼する探索通知を送信する(S903)。
探索通知を受信した情報端末400は、紛失物を探索するため、探索対象のセンサ100を紛失リスト261に登録し、紛失リスト261に登録したセンサ100の監視を開始する(S904)。
情報端末400は、紛失物に取り付けたセンサ100の識別情報を含む信号を受信すると(S905)、サーバ300に対して発見通知を送信する(S906)。なお、発見通知処理については、図12で説明する。
発見通知を受信したサーバ300は、ユーザが所有する情報端末200に対して情報端末400の位置情報通知を送信する(S907)。位置情報通知の詳細については、図13で説明する。
ユーザは、紛失物を見つけた場合、他のユーザに探索の終了を連絡するため、情報端末200からサーバ300に対して探索終了通知を送信する(S908)。さらに、情報端末200は、紛失リスト261から探索対象のセンサID2611を削除する(S909)。
サーバ300は、探索終了通知を受信すると、端末管理テーブル321のステータス3213を変更し、他のユーザが所有する情報端末400に対して、探索終了通知を送信する(S910)。
情報端末400は、探索終了通知を受信すると、紛失リスト261から探索対象のセンサID2611を削除する(S911)。
図10は、第1実施形態に係る登録済みセンサの識別情報受信処理を示す流れ図である。
以下、図10の各ステップについて説明する。センサ受信部230が端末管理テーブル321に登録済みで情報端末200と対応関係にあるセンサ100の識別情報を受信すると、位置情報管理部240は、図6に示す位置情報管理テーブル241を更新する(S1001)。
さらに、位置情報管理部240は、センサ100から電池残量を含む信号を受信し、電池残量が少なくなっているか否かを判定する(S1002)。電池残量が11%以上の場合(S1002:NO)、処理を終了する。電池残量が10%以下の場合(S1002:YES)、ステップS1003へ進む。電池残量は、例えば、BLE規格の標準プロファイルのBattery Serviceを使用する。情報端末200は、対応するセンサ100のBattery Serviceに対して電池残量の取得要求を送信し、取得する。
情報端末200は、センサ100の電池残量が少なくなっていることをユーザに通知する(S1003)。
図11は、第1実施形態に係る自動の紛失通知処理を示す流れ図である。自動の紛失通知処理は、ステップS901における紛失通知を自動で送信する手順である。
以下、図11の各ステップについて説明する。情報端末200は、センサ受信部230で、端末管理テーブル321に登録済みで情報端末200と対向関係にあるセンサ100の識別情報を含む信号を受信しなくなってから所定時間が経過したか否かを判定する(S1101)。所定時間は、例えば30秒としてよい。所定時間に満たない場合(S1101:NO)、ステップS1101へ進み受信間隔時間を監視する。所定時間が経過した場合(S1101:YES)、ステップS1102へ進む。
情報端末200の位置情報管理部240は、位置情報管理テーブル241および行動履歴情報管理テーブル242に基づいて、紛失通知が不要なエリアであるか否かを判断する(S1102)。紛失通知が不要なエリアとは、端末管理テーブル321に登録済みで情報端末200と対向関係にある登録済みのセンサ100の識別情報を含む信号を受信しなくなっても、紛失通知をサーバ300に送信させないエリアである。紛失通知が不要なエリアか否かの判定は、位置情報管理テーブル241のGPS情報2413が、行動履歴情報管理テーブル242のGPS情報2423に一定件数(例えば5件など)以上存在する場合でよい。この場合、GPS情報2413,2423は、1m程度の誤差を許容してもよい。さらに、そのヒットした行の内、滞在2424が所定時間(例えば1時間など)以上を示す行が一つでも存在する場合でよい。不要なエリアは、例えば、会社や自宅などでよい。なお、GPS情報2413,2423は、1週間乃至1か月程度分が位置情報管理部240に記録され、上書きされてよい。
紛失通知が不要なエリアの場合(S1102:YES)、処理を終了する。紛失通知が必要なエリアの場合(S1102:NO)、ステップS1103へ進む。
情報端末200は、ユーザに対して紛失していないことの確認を促す手元確認通知を行う(S1103)。
情報端末200は、サーバ300に対して紛失通知を送信する(S1104)。
図12は、第1実施形態に係る発見通知処理を示す流れ図である。発見通知処理は、ステップS906において、情報端末400がサーバ300に対して発見通知を送信する手順である。
以下、図12の各ステップについて説明する。情報端末200は、センサ受信部230で受信したセンサ100の識別情報が、紛失リスト261に登録済みの探索対象のセンサ100の識別情報であるか否かを判定する(S1201)。探索対象ではない場合(S1201:NO)、処理を終了する。探索対象である場合(S1201:YES)、ステップS1202へ進む。
情報端末200は、サーバ300に対して発見通知を送信する(S1202)。そして、受信部310が発見通知を受信した場合、サーバ300は、図4に例示するように、識別情報を受信したセンサ100のセンサID3311、日時3312、およびGPS情報3313を探索情報管理テーブル331に登録する。
図13は、第1実施形態に係る位置情報通知処理を示す流れ図である。位置情報通知処理は、ステップS907において、サーバ300が情報端末200に対して情報端末400の位置情報通知を送信する手順である。
以下、図13の各ステップについて説明する。サーバ300は、情報端末400から発見通知を受信し、且つ情報端末200からの手動による紛失通知を受信しているか否かを判定する(S1301)。S1301の判定結果が真の場合(S1301:YES)、ステップS1302へ進む。S1301の判定結果が偽の場合(S1301:NO)、ステップS1301へ戻り、サーバ300は、発見通知を監視する。
サーバ300は、探索情報管理部330に記録された探索情報管理テーブル331に基づいて、探索対象のセンサ100から送信される識別情報を含む信号が途絶えた日時以降の探索対象のセンサID3311を検索する。サーバ300は、検索した探索対象のセンサID3311、日時3312、およびGPS情報3313を取得する(S1302)。なお、サーバ300は、取得した複数のGPS情報3313が相互に異なる場合、それらの中間の位置情報を探索対象のセンサ100の位置情報としてよい。さらに、サーバ300は、センサ100が発信する識別情報を含む信号の受信可能範囲内の複数のGPS情報3313に基づいて、探索対象のセンサ100の位置を予測してよい。例えば、サーバ300は、複数のGPS情報3313を通る仮想円上の中心を探索対象のセンサ100の位置を予測してよい。さらに、サーバ300は、異なる時刻に取得した探索対象のセンサ100の位置情報が同一である場合、探索対象のセンサ100が移動していないと予測してよい。さらに、サーバ300は、位置情報と、地図情報とに基づいて、探索対象のセンサ100の移動方法を予測してよい。位置情報が地図情報の線路上の場合は、移動方法が電車であり、位置情報が地図情報の道路上の場合は、移動方法がバスやクルマであると予測してよい。
サーバ300は、ステップS1302で取得したセンサID3311、日時3312、およびGPS情報3313を含む信号を、情報端末200に送信する(S1303)。
図14は、第1実施形態に係る接近通知処理を示す流れ図である。接近通知処理は、情報端末200の識別情報受信し、S901以降、所有者が紛失した対象物を発見できるように、情報端末200と探索対象のセンサ100とが接近した場合、その旨を所有者に通知することによって紛失物の発見を補助する機能である。
以下、図14の各ステップについて説明する。情報端末200は、手動で紛失通知を送信したか否かを判定する(S1401)。S1401の判定結果が偽の場合(S1401:NO)、ステップS1404へ進む。S1401の判定結果が真の場合(S1401:YES)、ステップS1402へ進む。
情報端末200は、探索対象のセンサ100と情報端末200との距離が近いか否かを判定する(S1402)。S1301の判定結果が偽の場合(S1402:NO)、ステップS1404へ進む。S1401の判定結果が真の場合(S1401:YES)、ステップS1403へ進む。距離の判定は、例えばiBeaconの領域観測サービスを使用する。
情報端末200は、探索対象のセンサ100との距離が近いことを知らせる接近通知を所有者に報知する(1403)。なお、接近通知は、センサ100からの信号の強弱に応じて、音、光、情報端末200の画面上の画像などを変化させて、推測したセンサ100までの距離を報知してもよい。
情報端末200は、現在の位置情報を取得し、位置情報管理部240に記録された位置情報管理テーブル241を更新する(S1404)。
本実施形態によれば、紛失物探索システム10は、対象物に取り付けられて識別情報を含む信号を発信するセンサ100と、センサ100の所定距離の範囲内に近接したときにセンサ100から識別情報を含む信号を受信する情報端末200,400と、情報端末200,400と通信可能なサーバ300とを備える。情報端末200は、センサ100から識別情報を含む信号を受信した時点における情報端末200の位置情報を取得する位置情報管理部240と、検知が必要なセンサ100が登録される紛失リスト261を有する紛失管理部260と、を備える。紛失管理部260は、紛失リスト261に登録されたセンサ100から識別情報を含む信号を受信した場合、識別情報および位置情報をサーバ300に送信させる。サーバ300は、識別情報および位置情報を含む信号を受信した場合、識別情報に対応する情報端末200に位置情報を送信する。
この構成により、紛失管理部260は、紛失リスト261に登録されていないセンサ100の識別情報と、その識別情報を含む信号を受信した時点における情報端末200,400の位置情報とをサーバ300に送信させない。したがって、情報端末200からサーバ300への通信回数を削減して、情報端末200の省電力化を図ることができるようにする。
さらに、情報端末200は、端末管理テーブル321に登録済みで情報端末200と対向関係にあるセンサ100から識別情報を含む信号を受信しなくなってから所定時間が経過した場合、そのセンサ100を紛失リスト261に登録する設定部250を更に備える。これにより、対象物が紛失したことをユーザが認識していない場合でも、紛失物の探索を開始することができる。
さらに、紛失管理部260には、端末管理テーブル321に登録済みで情報端末200と対向関係にある登録済みのセンサ100の識別情報を含む信号を受信しなくなっても、紛失通知をサーバ300に送信させないエリアが登録されるので、対象物が紛失していない場合に対象物を探索するような誤認を減少させることができる。
さらに、情報端末200は、センサ100からそのセンサ100の電池残量を取得するので、センサ100が稼動しなくなるリスクを抑制させることができる。
さらに、位置情報管理部240は、異なる時刻に取得した複数の情報端末200,400の位置情報に基づいて、センサ100の位置を算出するので、センサ100の位置情報の精度を高めることができる。
さらに、位置情報管理部240は、複数の情報端末200,400の位置情報および地図情報に基づいて、センサ100の移動方法を予測するので、センサ100が移動している場合に、センサ100の現在地および移動先を予測することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る紛失物探索システム20について説明する。尚、実施形態2に係る紛失物探索システム20は、実施形態1に係る紛失物探索システム10とは、情報端末の構成が異なるだけであり、その他の構成は、実施形態1に係る紛失物探索システム10と同様である。したがって、実施形態1との相違点を中心に述べる。
図15は、第2実施形態に係る管理者によるセンサ捜索処理を示すシーケンス図である。
紛失物探索システム20では、センサ100と情報端末200とを同時に紛失した(自動および手動で紛失通知を送信できない)場合に、管理者がセンサ捜索処理を実行する。
紛失物探索システム20は、センサ100と、各ユーザが所有する情報端末200と、サーバ300と、管理者が所有する管理端末600と、を備えている。情報端末200は、予めセンサ100、情報端末200および管理端末600をサーバ300に登録して、センサ100、情報端末200および管理端末600を紐付ける。
以下、図15の各ステップについて説明する。情報端末200は、情報端末200の位置情報が所定時間変化しない場合、センサ100と情報端末200とを同時に紛失しているケースを想定し、サーバ300に対して紛失警告を自動で送信する(S1501)。所定時間は、例えば12時間でよい。
サーバ300は、紛失警告を受信したら、管理者の情報端末600に紛失警告を送信する(S1502)。
管理者は、センサ100と情報端末200との紛失状態を確認し、紛失した状態であれば、情報端末600からサーバ300に対して紛失通知を送信する(S1503)。
紛失警告を受信した情報端末600は、紛失物を探索するため、探索対象のセンサ100を紛失リスト261に登録し、紛失リスト261に登録したセンサ100の監視を開始する(S1504)。
サーバ300は、紛失通知を受信すると、情報端末200に対して、探索通知を送信する(S1505)。
情報端末200は、探索対象のセンサ100を紛失リスト261に登録し、紛失リスト261に登録したセンサ100の監視を開始する(S1506)。即ち、図5に例示するように、情報端末200は、紛失物に取り付けたセンサ100を識別するセンサID2511を紛失リスト261に追加する。ステップS1507〜S1509については、ステップS905〜S907と同様の処理を実行する。
この構成によれば、センサ100と情報端末200とを同時に紛失した場合でも、探索対象のセンサ100を紛失リスト261に登録でき、紛失物を探索することが可能となる。この場合、センサ100と情報端末200とが接近しているので、紛失物を容易に探索することができる。
なお、第2実施形態では、情報端末200は、情報端末200の位置情報が所定時間変化しない場合、サーバ300に対して紛失通知を自動で送信してもよい。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る「接近検知システム」の一例としての登下校見守りシステム30について説明する。尚、実施形態3に係る登下校見守りシステム30は、実施形態1に係る紛失物探索システム10とは、情報端末の構成が異なるだけであり、その他の構成は、実施形態1に係る紛失物探索システム10と同様である。したがって、実施形態1との相違点を中心に述べる。
図16は、第3実施形態に係る登下校見守りシステムの概念図である。
登下校見守りシステム30は、「検知対象」の一例としての子が所有するセンサ16100と、親が所有する情報端末16200と、サーバ16300と、学校の入口に設置される情報端末16400と、自宅の玄関に設置される16500と、を備えている。対象物は、子の衣類や、ランドセルなどの鞄などでよい。情報端末16400は、学習塾などに設置されてよい。
図17は、第3実施形態に係る登校時の登下校見守り処理を示すシーケンス図である。
以下、図17の各ステップについて説明する。まず、ステップS801〜S803と同様の処理を実行する。この時、センサ16100と、情報端末16200とは、サーバ16300に予め関連付けられる。センサ16100を所持した子が学校に向けて自宅を出発後、親は、情報端末16200から手動でサーバ16300に対して登校通知を送信する(S1701)。
サーバ16300は、登校通知を受信すると、情報端末16400に対して見守り通知を送信する(S1702)。見守り通知を受信した情報端末16400は、子を見守るため、「検知リスト」の一例としての見守りリストに見守り対象のセンサ16100を登録し、見守りリストに登録したセンサ16100の監視を開始する(S1703)。サーバ16300および情報端末16500も、ステップS1702,S1703と同様の処理を実行する(S1704,S1705)。
子が学校に到着すると、情報端末16400は、センサ16100の識別情報を含む信号を受信し(S1706)、サーバ16300に対して到着通知を送信する(S1707)。到着通知を受信したサーバ16300は、情報端末16200に対して情報端末16400の位置情報通知を送信する(S1708)。この結果、親は、子が学校に到着したことを知ることができる。
図18は、第3実施形態に係る下校時の登下校見守り処理を示すシーケンス図である。
以下、図18の各ステップについて説明する。まず、子が下校する時、情報端末16400は、センサ16100から識別情報を含む信号を受信し(S1801)、サーバ16300に対して到着通知を送信する(S1802)。到着通知を受信したサーバ16300は、情報端末16200に対して情報端末16400の位置情報通知を送信する(S1803)。この結果、親は、子が学校を出発したことを知ることができる。
子が自宅に到着すると、情報端末16500は、センサ16100から識別情報を含む信号を受信し(S1804)、サーバ16300に対して到着通知を送信する(S1805)。この結果、親は、子が自宅に到着したことを知ることができる。親は、自宅に子が居ることを確認後、情報端末16200からサーバ16300に対して見守り終了通知を送信する(S1807)。サーバ300は、見守り終了通知を受信すると、情報端末16400に対して見守り終了通知を送信する(S1808)。情報端末16400は、見守り終了通知を受信すると、見守りリストから見守り対象のセンサID162611を削除する(S1809)。サーバ300および情報端末16400は、情報端末16500に対してステップS1808,S1809と同様の処理を実行する(S1810,S1811)。
この構成によれば、親の情報端末16200と、学校および自宅に設置される情報端末16400,19600からサーバ16300への通信回数を削減して、情報端末16200,16500,16500の省電力化を図ることができるようにする。さらに、登下校見守りシステム30は、親が子の登下校の異変を察知することができる。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る「接近検知システム」の一例としての迷子探索システム40について説明する。尚、実施形態4に係る迷子探索システム40は、実施形態1に係る紛失物探索システム10とは、情報端末の構成が異なるだけであり、その他の構成は、実施形態1に係る紛失物探索システム10と同様である。したがって、実施形態1との相違点を中心に述べる。
図19は、第4実施形態に係る迷子探索システムの概念図である。
迷子探索システム40は、「検知対象」の一例としての子が所有するセンサ19100と、親が所有する情報端末19200と、サーバ19300と、大型店舗の店舗内などで利用可能なショッピングカートに取り付けられる情報端末19400,19500と、を備えている。センサ19100と、情報端末19200とは、サーバ19300に予め関連付けられる。なお、大型店舗内には、据置き型の情報センサが更に設定されてよい。
サーバ19300は、「検知リスト」の一例としての探索リストに登録したセンサ19100の識別情報を含む信号を情報端末19200,19400,19500から受信した場合、子のセンサ19100の位置を親の情報端末19200に送信する。
この構成によれば、親の情報端末19200およびショッピングカートに取り付けられた情報端末19400,19500からサーバ19300への通信回数を削減して、情報端末19200,19500,19500の省電力化を図ることができる。さらに、迷子探索システム40は、大型店舗内で逸れた子を探索することができる。
<第5実施形態>
第5実施形態に係る「接近検知システム」の一例としての危険接近検知システム50について説明する。尚、実施形態5に係る危険接近検知システム50は、実施形態1に係る紛失物探索システム10とは、情報端末の構成が異なるだけであり、その他の構成は、実施形態1に係る紛失物探索システム10と同様である。したがって、実施形態1との相違点を中心に述べる。
図20は、第5実施形態に係る危険接近検知システムの概念図である。
危険接近検知システム50は、「検知対象」の一例としての危険体に取り付けられるセンサ20100と、ユーザが所有する情報端末20200と、サーバ20300と、を備えている。センサ20100と、情報端末20200とは、サーバ20300に予め関連付けられる。危険体は、動物園で飼育されている猛獣でよい。
サーバ20300は、「検知リスト」の一例としての危険体リストに登録したセンサ20100の識別情報を含む信号を情報端末20200から受信した場合、危険体に取り付けられたセンサ20100の位置をユーザが所有する情報端末20200に送信する。
この構成によれば、ユーザが所有する情報端末20200からサーバ20300への通信回数を削減して、情報端末20200の省電力化を図ることができる。さらに、危険接近検知システム50は、近隣住民に危険体の接近を知らせることができ、危険を回避することができる。
図21は、第5実施形態の変形例に係る危険接近検知システムの概念図である。
危険接近検知システム60のセンサ21100は、「検知対象」の一例としての危険区域の境界線上に設置されてよい。危険区域の周囲の境界線上には、複数のセンサ21100が設置されてよい。危険区域は、大雨などで土砂崩れの可能性がある区域でよい。危険接近検知システム60は、近隣住民や周辺道路の利用者に危険区域の異変を知らせることができ、危険を回避することができる。
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
センサ100の通信手段は、BLE規格以外でも、電力消費が少ない規格であればよい。