JP2020053325A - 電子顕微鏡装置、電子顕微鏡装置の制御方法、電子顕微鏡装置の検査方法 - Google Patents
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そして、一般に、画像の信号量をどの程度とするかは、オペレーターの感覚により判断されている。
低真空モードでは、数十〜数百Paの低真空とすることにより、ガスの分子が増加する。そして、ガスの分子が電子によってイオン化され、プラスのイオンとなって試料に到達し、非導電性の試料の帯電を中和することができる。
また、試料や測定条件によって、帯電を除去することができる最適な圧力値が異なる。
そのため、オペレーターの負担が大きく、経験の少ないオペレーターが最適な条件を決めることは難しい。
また、本発明においては、適切なタイミングで電子顕微鏡装置の保守を行うことを可能にする、電子顕微鏡装置の検査方法を提供するものである。
そして、本発明の電子顕微鏡装置において、処理部は、検出信号の信号量の定量化、及び試料の帯電の状態の定量化を行い、定量化を行って得られた結果に基づいて試料室の内部の最適な圧力値を決定する処理を行う。
そして、所定の圧力の範囲内の各圧力において、検出部が試料から放出される放射線の検出信号を検出し、各圧力において検出部が検出した放射線の検出信号に基づいて、処理部が、検出信号の信号量の定量化、及び、試料の帯電の状態の定量化を行う。
さらに処理部が、定量化を行って得られた結果に基づいて、試料室の内部の最適な圧力値を決定する。
そして、試料室の内部の圧力を、決定した最適な圧力値とした状態で、検出部で放射線を検出し、画像作成部で試料の画像を作成する。
まず、予め、基準試料に対して一定の条件で、放射線の検出と、検出信号の信号量の定量化を行い、検出信号の信号量の基準値を設定する。
そして、検査の際には、基準試料を用いて、放射線の検出と、検出信号の信号量の定量化を実施し、定量化して得られた値が、基準値と比較して所定の正常値の範囲内であるかどうか判定する。
これにより、オペレーターの負担は大きく軽減され、人為誤差を減らして、測定結果の質を向上させることができる。
1.本発明の概要
2.実施の形態
3.実施例
まず、本発明の概要を説明する。
さらに、本発明の電子顕微鏡装置は、処理部で処理した検出信号に基づいて画像を作成する画像作成部と、画像作成部が作成した画像を表示する表示部を備える。
そして、本発明の電子顕微鏡装置は、処理部が、放射線の検出信号に基づいて、検出信号の信号量の定量化、及び試料の帯電の状態の定量化を行い、定量化を行って得られた結果に基づいて試料室の内部の最適な圧力値を決定する処理を行う構成である。
検出部は、試料室内に設けられて、試料から放出される放射線を検出する。
処理部、画像作成部、表示部、制御部の各部は、電子顕微鏡本体と一体化した構成も可能であるが、電子顕微鏡本体とは別に設けることができる。
また、検出部と処理部、処理部と画像作成部及び制御部、画像作成部と表示部は、それぞれ配線等の有線又は無線で接続することができる。これにより、接続した各部間で検出信号やデータ信号等の信号の伝送を行うことができる。
これにより、放射線の検出信号と試料の帯電の状態に対応して、試料室の内部の最適な圧力値が決定される。
従って、電子顕微鏡装置に精通していない者でも最適な圧力値での観察が可能となることから、オペレーターの負担は大きく軽減され、人為誤差を減らして、測定結果の質を向上させることができる。
この構成の場合、『最適測定圧力の自動設定』ボタンを押すことによって、所定の圧力範囲のそれぞれの圧力における電子等の放射線を検出する過程から、制御部が最適な圧力値に制御する過程までの、各過程が自動的に実行されるようにする。
そして、検出部は、検出する放射線に対応して、それぞれ検出器を設ける。
例えば、反射電子と二次電子とX線を検出する場合には、反射電子検出器と二次電子検出器とX線検出器を設ける。
また例えば、反射電子のみを検出する場合には、反射電子検出器のみを設けた構成とすることが可能である。
また、二次電子検出器で検出した、二次電子の検出信号を用いて、処理部において、信号量の定量化と、試料の帯電の状態の定量化を、それぞれ行うことができる。
また、X線検出器で検出した、X線の検出信号を用いて、処理部において、試料の帯電の状態の定量化を行うことができる。
例えば、反射電子の検出信号と二次電子の検出信号を利用して、それぞれの電子の信号量の定量化を行い、反射電子の検出信号或いはX線の検出信号を利用して試料の帯電の状態の定量化を行うことが可能である。
次に、低真空モードでの最適な圧力値の設定について、さらに詳しく説明する。
低真空モードは、試料や測定条件によって、帯電を除去することができる最適な圧力値が異なる。
さらに、反射電子検出器と低真空モード用の二次電子検出器では、それぞれの検出器で信号量が多く得られる圧力値が異なる。
帯電について考えると、圧力が高いほど、電子線によりイオン化され正の電荷をもった窒素分子の量が増えて、帯電した試料表面を電気的に中和してくれるため、帯電を除去する効果が強くなる。
一次電子線について考えると、圧力が低いほど、散乱が減るため、像の鮮明さやEDS(エネルギー分散型X線分光器)による分析時の精度が向上する。
反射電子検出器について考えると、圧力が低いほど、信号が検出器に到達しやすくなり信号量が増す。
低真空モード用の二次電子検出器について考えると、試料から出た二次電子を試料室内の窒素分子を利用した電子雪崩現象により増幅しているため、圧力が低すぎると信号の増幅が十分行われず、逆に圧力が高すぎると検出器へと信号が到達しづらくなり信号量が減ってしまう。よって、最適な圧力値がその中間に存在する。
最適な圧力値としては、試料の帯電が抑えられ、かつ、信号量が多く得られる圧力を選定する。
そして、処理部において、検出信号の信号量の定量化と、試料の帯電の状態の定量化を行って、その定量化を行って得られた結果に基づいて、低真空モードでの最適な圧力値を決定する処理を行う。
これらの画像のうち、どちらか一方の画像のみを取得する場合には、試料の帯電が抑えられる圧力の範囲のうちで、その画像の信号量が最も多くなる圧力を、最適な圧力値として選定する。
反射電子像と二次電子像の両方の画像を取得する場合には、それぞれの画像に対して独立して最適な圧力値を選定する方法と、同じ圧力を最適な圧力値に選定する方法と、いずれの方法も可能である。
同じ圧力を最適な圧力値に選定する方法を採用すると、その圧力において、反射電子像と二次電子像の両方の画像を同時に取得することが可能になるが、独立して最適な圧力値を選定する方法よりも信号量が低くなることがある。
なお、同じ圧力を最適な圧力値に選定する方法では、いずれかの画像の最適な圧力値を優先させて選定することも、両方の画像の最適な圧力値の中間の圧力値を選定することも、いずれも可能である。このとき、オペレーターが、どの圧力値を最適な圧力値に選定するかを、事前に決めておくことができる。
検出信号の信号量の定量化は、例えば、以下の方法により、行うことができる。
(手順1)測定条件とコントラストを設定する。
(手順2)明るさ(輝度)の調整を行い、白黒の階調のヒストグラムのピークを、中央付近にする。例えば、横軸が256階調で縦軸がピクセル数のヒストグラムであれば、ヒストグラムのピークを128階調付近にする。なお、ヒストグラムの階調は、256階調に限定されず、その他の階調も可能である。
(手順3)調整した明るさ(輝度)の条件において、試料から放出された電子を検出して、その検出信号に基づく画像を作成する。
(手順4)作成した画像から、白黒の階調のヒストグラムを得る。
(手順5)得られたヒストグラムより、標準偏差の値を求める。
なお、(手順3)及び(手順4)では、検出信号に基づく画像を作成して、作成した画像から白黒の階調のヒストグラムを得たが、画像を作成せずに、検出信号から直接白黒の階調のヒストグラムを得ることも可能である。画像を作成して画像からヒストグラムを得た場合も、検出信号から直接ヒストグラムを得た場合も、いずれも検出信号に関するヒストグラムを得ている。
ここで、ヒストグラムの標準偏差の値と信号量に相関があることを確かめるため、照射電流(P. C.: Probe Current)を変化させて、標準偏差の値の変化を調べた。
測定条件は、以下の通りとした。
検出器:反射電子検出器BED−C、加速電圧:5kV、倍率:10,000倍、照射電流(P. C.: Probe Current):0〜40(相対値)、作動距離:10mm、圧力値: 10−2Pa程度(高真空モード)、絞り:20μm、ロードカレント(L.C.):100μA、画素数:2560×1920、スキャン方式:スロースキャン(CF無し)、1フレームのスキャンタイム:80秒
そして、得られた画像の信号量を定量化した。具体的には、画像の256階調のヒストグラムの分布から、標準偏差を求めた。
なお、上記の条件では、コントラストが最大でも信号量が少ないため、像が飽和(白とび)することはなく、正規分布に近い形状を示す。
照射電流の増大に伴い増加する信号量に対応して、図3に示すように、ヒストグラムの標準偏差も照射電流の増大に伴い増加しており、信号量の違いがヒストグラムの標準偏差によって定量化できていることがわかる。
また、図3より、視野が変わっても、大きな変化がないことがわかる。
試料の帯電の状態の定量化は、例えば、以下の方法により、行うことができる。
(手順1)測定条件とコントラストを設定する。
(手順2)明るさ(輝度)の調整を行い、白黒の階調のヒストグラムのピークを、中央付近にする。例えば、横軸が256階調で縦軸がピクセル数のヒストグラムであれば、ヒストグラムのピークを128階調付近にする。なお、ヒストグラムの階調は、256階調に限定されず、その他の階調も可能である。
(手順3)調整した明るさ(輝度)の条件において、試料から放出された電子を検出して、その検出信号に基づく画像を作成する。
(手順4)作成した画像から、白黒の階調のヒストグラムを得る。
(手順5)得られたヒストグラムより、最も明るいコントラストのピクセル数の値を求める。例えば、256階調のヒストグラムであれば、最も明るい256階調目のピクセル数を求める。
なお、(手順3)及び(手順4)では、検出信号に基づく画像を作成して、作成した画像から白黒の階調のヒストグラムを得たが、画像を作成せずに、検出信号から直接白黒の階調のヒストグラムを得ることも可能である。画像を作成して画像からヒストグラムを得た場合も、検出信号から直接ヒストグラムを得た場合も、いずれも検出信号に関するヒストグラムを得ている。
上述した方法では、電子を検出して得られる画像を利用して、試料の帯電の状態の定量化を行っていた。
これに対して、試料の帯電の状態の定量化の他の方法として、X線を検出して得られる検出結果を利用することもできる。
(手順1)測定条件を設定する。
(手順2)試料から放出されたX線を検出して、その検出信号に基づくエネルギー分布を得る。
(手順3)得られたエネルギー分布から連続X線の末端の値(最大エネルギーの値)を求める。
このようにして求めた、連続X線の末端の値(最大エネルギーの値)は、試料の帯電の状態と相関があるため、連続X線の末端の値(最大エネルギーの値)から、試料の帯電の状態を定量化することができる。
ここで、上述した試料の帯電の状態の定量化のそれぞれの方法による、試料の帯電の状態の定量化が可能であることを確かめた。
測定条件は、以下の通りとした。
検出器:反射電子検出器BED−C、加速電圧:10kV、倍率:100倍、照射電流:150pA、作動距離:10mm、圧力:10〜150Pa、画素数:2560×1920、スキャン方式:スロースキャン(CF無し)、1フレームのスキャンタイム:40秒
そして、得られた画像から、試料の帯電の状態を定量化した。具体的には、画像のヒストグラムの最も明るい256階調目のピクセル数を求めた。
また、圧力と256階調目のピクセル数との関係を、図5に示す。
図4Aの圧力10Paでは、反射電子像に輝度の高い箇所がいくつかあり、帯電していることがわかる。これに対して、図4Bの圧力40Paでは、反射電子像に図4Aで見られた輝度の高い箇所がほとんどなく、帯電が抑えられていると考えられる。
また、図5より、圧力が大きくなるにつれて、画像の256階調目のピクセル数が減少していき、帯電が抑えられていくことがわかる。そして、40Pa程度の圧力において、画像の256階調目のピクセル数が十分に小さくなり、ほぼ帯電が抑えられていることがわかる。
ただし、上述した画像の取得と同じ試料及び同じ測定条件で測定を行ったところ、毎秒500カウント程度のX線しか取得できず、カウント数が少なかった。
そこで、時間を500秒に延長して、試料及びその他の測定条件は上述した画像の取得と同じ測定条件として、測定を行った。そして、測定で得られた連続X線について、末端の値(最大エネルギーの値)を調べた。
即ち、図5に示した256階調目のピクセル数によって、試料の帯電の状態を定量化できることが確かめられ、また、EDSを用いて測定した連続X線の末端の値でも、試料の帯電の状態を定量化できることが確かめられた。
本発明に係る電子顕微鏡装置が、検出器で取得した検出信号に基づいて信号量を定量化できることを利用して、電子顕微鏡装置の検査を行うことができる。
(手順1)まず、予め、基準試料に対して測定条件で、放射線の検出と、検出信号の信号量の定量化を行い、検出信号の信号量の基準値を設定する。
この基準値を設定するための測定は、電子顕微鏡装置の納入時等、電子顕微鏡装置の状態が良く、状態が安定しているときに行うことが望ましい。そして、例えば、納入時の場合には、納入の作業者が対応することができる。
(手順2)検査の際には、(手順1)で用いた基準試料を用いて、(手順1)と同じ測定条件で、放射線の検出と、検出信号の信号量の定量化を実施する。そして、処理部は、定量化して得られた値が、(手順1)で設定した基準値と比較して、所定の正常値の範囲内であるかどうかを、判定する。
得られた値が所定の正常値の範囲内である場合には、通常通り装置を使用する。
得られた値が所定の正常値の範囲外である場合には、装置の保守を行う。この場合、表示部に保守を推奨する通知を表示するように構成してもよい。
次に、本発明の具体的な実施の形態を説明する。
本発明の電子顕微鏡装置の一実施の形態の概略構成図を、図1に示す。
このうち、鏡筒2と試料室3によって、電子顕微鏡装置本体が構成される。
鏡筒2の上部には、電子銃11が設けられており、鏡筒2と電子銃11によって、試料に電子ビームを照射する電子ビーム照射部が構成される。
試料室3には、試料から放出される放射線のうちの電子を検出する検出器として、反射電子検出器13と二次電子検出器14が設けられている。そして、測定する対象の試料12を、試料室3の内部に配置する。
加えて、試料室3には、排気ポンプ4とガス導入部5が設けられ、試料室3の内部の吸気と排気を制御する。なお、ガス導入部5は、単に大気を試料室3の内部に導入するガス導入バルブでもよい。
さらに、電子顕微鏡装置1は、処理部21と、制御部22と、画像作成部23と、表示部24を備えている。
そして、処理部21で決定した最適な圧力値に基づき、試料室3の内部の圧力を図示しない圧力センサ等で検知しながら、制御部22が排気ポンプ4とガス導入部5の動作を制御することにより、試料室3の内部の圧力を、最適な圧力値に自動的に制御することができる。
表示部24は、画像作成部23で作成した画像を表示する。
表示部24に表示された画像を観察することにより、試料の状態を観察することができる。
そして、処理部21と制御部22は、鏡筒2及び試料室3から成る装置本体と配線等の有線又は無線で接続されている構成とする。
また、表示部24は、画像作成部23と有線又は無線で接続されている構成とする。
最適な圧力値を決定する方法の一形態のフローチャートを、図2に示す。
なお、最適な圧力値の決定を、常に同じ圧力範囲と圧力間隔で実施するように設定している場合には、このステップS12は省略される。
なお、画像作成部23において作成した画像は、いったん図示しない記憶部(メモリ等)に保存しておく。
圧力が最大圧力ではない場合には、ステップS17に進む。
圧力が最大圧力である場合には、ステップS18に進む。
そして、一段階上げた圧力で、再びステップS14のブライトネスの調整を行う。
例えば、前述したように、ヒストグラムの標準偏差を求めることにより、信号量を定量化する。それぞれの圧力で取得した各画像に対して、信号量を定量化することにより、圧力と信号量の関係が得られる。
例えば、前述したように、ヒストグラムの最も明るいコントラストのピクセル数の値が十分に小さい値やゼロに近い値である範囲を、帯電が抑えられる圧力範囲とする。
そして、この圧力を最適な圧力値として、処理部21から制御部22に指示することにより、制御部22が試料室3の内部の圧力を制御する。こうして試料室3が最適な圧力値に制御された状態で、試料12の観察や測定を行うことができる。
これにより、試料室3の内部の圧力が、自動的に最適な圧力に制御されるので、オペレーターの経験による個人差を無くして、経験の少ないオペレーターでも良好な測定を行うことが可能になる。
図2に示したフローチャートでは、圧力を圧力範囲の最小値から最大値まで上げていく場合を説明したが、圧力を圧力範囲の最大値から最小値まで下げていくことも可能である。その場合、図2のステップS13の代わりに圧力を最大圧力にするステップが入り、ステップS16の代わりに圧力が最小圧力か判断するステップが入り、ステップS17の代わりに圧力を一段階下げるステップが入る。
例えば、各圧力での画像の取得と、各圧力で取得した画像からの定量化を、並行して独立に行うようにすることも可能である。
また例えば、1つの圧力で画像の取得と取得した画像からの定量化を行ってから、次の圧力に変えて画像の取得と取得した画像からの定量化を行うことも可能である。この場合のフローチャートは、例えば、図2のステップS18及びステップS19が、ステップS15とステップS16との間に移動した内容となる。
このように検出信号に基づいて画像を作成した画像から定量化する場合には、画像の作成過程を共用化するために、最適な圧力値で試料を観察・測定して作成する画像と同様の範囲で、画像を作成することが望ましい。
次に、本発明に係る実施例として、信号量の定量化と試料の帯電の状態の定量化を行い、最適な圧力値を求めた。
前述した実験2の測定において、反射電子検出器13(BED)と同時に、二次電子検出器14でも画像の取得を行っており、本実施例では、この二次電子検出器14で取得した画像も定量化を行った。
なお、反射電子検出器13で取得した画像から帯電の状態を定量化した結果は、図5に示した通りである。図5に示したように、帯電が抑えられる圧力範囲は、40Pa以上の圧力範囲である。
また、図5に示した256階調目のピクセル数を求めた同じヒストグラムから、ヒストグラムの標準偏差を求めて、反射電子検出器13の信号量を定量化した。
さらに、二次電子検出器14で取得した画像から、ヒストグラムの標準偏差を求めて、二次電子検出器14の信号量を定量化した。
図6より、圧力が低いほど、標準偏差が大きく、信号量も大きいことがわかる。
そして、帯電が抑えられる40Pa以上の圧力範囲では、その圧力範囲内で最も低い圧力40Paにおいて標準偏差が最も大きくなっており、信号量も最も大きくなっていると推測される。
従って、反射電子像では、最適な圧力が40Paであることがわかる。
図7より、40〜80Paまでは標準偏差の値が大きくなっていき、標準偏差の値と相関する信号量も増大することが推測される。また、さらに圧力を上げると、標準偏差の値が小さくなっていき、標準偏差の値と相関する、信号量も減少することが推測される。
そして、図7の結果より、帯電が抑えられる40Pa以上の圧力範囲では、圧力80Paにおいて標準偏差が最も大きくなっており、信号量も最も大きくなっていると推測される。
従って、二次電子像では、最適な圧力が80Paであることがわかる。
実施例1で採用した反射電子検出器13で取得した画像の代わりに、EDSを用いて検出した連続X線を採用し、連続X線の末端の値によって、試料の帯電の状態を定量化した。
本実施例では、実験2と同じ試料を用いて、実験2と同じ測定条件とした。
表1の結果から、40Paで帯電が抑えられていることがわかる。
即ち、連続X線の末端の値で判断することにより、実施例1の場合と同様に、帯電が抑えられる圧力範囲を求めることができる。
Claims (7)
- 試料に電子ビームを照射する電子ビーム照射部と、
前記試料が配置される試料室と、
前記電子ビームが照射されることによって前記試料から放出される、放射線を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記放射線の検出信号の処理を行う処理部と、
前記処理部で処理した前記検出信号に基づいて画像を作成する画像作成部と、
前記画像作成部が作成した画像を表示する表示部を備え、
前記処理部は、前記検出信号の信号量の定量化、及び前記試料の帯電の状態の定量化を行い、定量化を行って得られた結果に基づいて前記試料室の内部の最適な圧力値を決定する処理を行う
電子顕微鏡装置。 - さらに、前記試料室の内部の圧力を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記試料室の内部を前記処理部が決定した前記最適な圧力値に制御する請求項1に記載の電子顕微鏡装置。
- 前記検出部が電子を検出し、前記処理部は、前記検出部で検出した前記電子の検出信号に関する、階調を用いたヒストグラムを作成し、前記ヒストグラムから標準偏差の値を算出することにより、前記信号量の定量化を行う請求項1に記載の電子顕微鏡装置。
- 前記検出部が電子を検出し、前記処理部は、前記検出部で検出した前記電子の検出信号に関する、階調を用いたヒストグラムを作成し、前記ヒストグラムから最も明るい階調のピクセル数の値を算出することにより、前記試料の帯電の状態の定量化を行う請求項1に記載の電子顕微鏡装置。
- 前記検出部がX線を検出し、前記処理部は、前記検出部で検出した前記X線の検出信号に基づいて、連続X線の最大エネルギーを求めることにより、前記試料の帯電の状態の定量化を行う請求項1に記載の電子顕微鏡装置。
- 試料に電子ビームを照射する電子ビーム照射部と、
前記試料が配置される試料室と、
前記電子ビームが照射されることによって前記試料から放出される、放射線を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記放射線の検出信号の処理を行う処理部と、
前記処理部で処理した前記検出信号に基づいて画像を作成する画像作成部と、
前記画像作成部が作成した画像を表示する表示部を備えた電子顕微鏡装置において、
所定の圧力の範囲内の各圧力において、前記検出部が前記試料から放出される前記放射線の検出信号を検出し、
各圧力において前記検出部が検出した前記放射線の検出信号に基づいて、前記処理部が、前記検出信号の信号量の定量化、及び、前記試料の帯電の状態の定量化を行い、
さらに前記処理部が、定量化を行って得られた結果に基づいて、前記試料室の内部の最適な圧力値を決定し、
前記試料室の内部の圧力を、決定した前記最適な圧力値とした状態で、前記検出部で前記放射線を検出し、前記画像作成部で試料の画像を作成する
電子顕微鏡装置の制御方法。 - 試料に電子ビームを照射する電子ビーム照射部と、
前記試料が配置される試料室と、
前記電子ビームが照射されることによって前記試料から放出される、放射線を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記放射線の検出信号の処理を行う処理部と、
前記処理部で処理した前記検出信号に基づいて画像を作成する画像作成部と、
前記画像作成部が作成した画像を表示する表示部を備えた電子顕微鏡装置に対して検査を行う方法であって、
予め、基準試料に対して一定の条件で、前記放射線の検出と、前記検出信号の信号量の定量化を行い、前記検出信号の信号量の基準値を設定し、
検査の際には、前記基準試料を用いて、前記放射線の検出と、前記検出信号の信号量の定量化を実施し、定量化して得られた値が、前記基準値と比較して所定の正常値の範囲内であるかどうか判定する
電子顕微鏡装置の検査方法。
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