JP2020051557A - 油圧制御装置および油圧制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】油圧振動を早期に検出すること【解決手段】本発明による油圧制御装置は、油圧回路の油圧を目標油圧に制御する油圧制御装置であって、前記油圧回路の油圧を検出する油圧検出部と、前記油圧検出部で検出された油圧に基づき、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動が所定の期間閾値以上継続すると油圧振動が発生していることを検出する振動検出部と、前記油圧検出部で検出された油圧に基づき前記油圧の振動周波数情報を検出する周波数情報検出部と、前記振動周波数情報に応じて前記所定の期間閾値を変更する変更部とを備える。【選択図】図2
Description
本発明は、油圧回路に発生する油圧振動を検出する油圧制御装置および油圧制御方法に関する。
従来、油圧で制御する装置、例えば無段変速機は、エンジンの動力を入力とするプライマリプーリ、駆動輪に動力を伝達するセカンダリプーリ、および両プーリに巻き掛けられるベルトを備えている。無段変速機は、両プーリに対するベルトの掛かり径を油圧制御により変化させることで変速を実現している。油圧制御は、一般的にリニアソレノイドなどの電磁バルブを用いて油圧回路の油圧を目標油圧になるよう制御することで行われている。リニアソレノイドによる制御圧は、無段変速機のプーリへと繋がり、ベルトを挟む力である挟圧力となっている。
油圧回路には、電磁バルブの他にも、いくつものメカバルブが存在している。これらのバルブが同時に動くことにより、油圧回路内の油圧に振動が発生する場合がある。かかる油圧振動が発生すると、油圧が目標油圧を中心に増圧側と減圧側に周期的に変動する。特に、油圧が目標油圧より減圧側に変動すると、プーリへの油圧が目標油圧より低下、すなわち、ベルト挟圧力が低下することになり、ベルト滑りの要因となる。
このように、油圧振動が発生すると、変速機の制御に影響を与える可能性があるため、油圧振動を早期に検出し抑制することが望まれる。
油圧振動を検出する技術として、特許文献1に記載の技術がある。この技術では、油圧回路において振動する油圧の振幅が所定値以上であり、かつ振動回数が所定回数以上である場合に油圧振動が発生したことを検出する。
しかしながら、特許文献1の技術では、油圧振動を早期に検出するという点で課題がある。具体的に、油圧振動の振動周波数は一定ではなく、運転状況やリニアソレノイドとメカバルブの作動タイミング等、様々な要因により振動周波数が変化する。低周波数の油圧振動が発生した場合、特許文献1の技術では振動回数が所定回数以上になって初めて油圧振動を検出するため、油圧振動の検出が遅れてしまう。
本発明の目的は、油圧振動を早期に検出できる油圧制御装置および油圧制御方法を提供することである。
本発明による油圧制御装置は、油圧回路の油圧を目標油圧に制御する油圧制御装置であって、前記油圧回路の油圧を検出する油圧検出部と、前記油圧検出部で検出された油圧に基づき、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動が所定の期間閾値以上継続すると油圧振動が発生していることを検出する振動検出部と、前記油圧検出部で検出された油圧に基づき前記油圧の振動周波数情報を検出する周波数情報検出部と、前記振動周波数情報に応じて前記所定の期間閾値を変更する変更部とを備える。
本発明は、油圧振動を早期に検出することができる。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
まず、図1を用いて実施形態に係る油圧制御装置1を搭載した車両の要部の構成について説明する。図1は、実施形態に係る油圧制御装置1を搭載した車両の要部の構成を示す図である。
車両は、図示しないエンジンを駆動源として備える。エンジンの出力は、変速機7を介して駆動輪6に伝達される。
変速機7は、例えばベルト式無段変速機構を有している。変速機7は、プライマリプーリ3と、セカンダリプーリ4と、ベルト5と、油圧回路2とを備える。プライマリプーリ3は、図示しないエンジンに接続され、セカンダリプーリ4は、駆動輪6に接続される。
ベルト5は、プライマリプーリ3とセカンダリプーリ4との間に巻き掛けられ、エンジンの出力を駆動輪6に伝達する。
プライマリプーリ3およびセカンダリプーリ4には、それぞれ図示しない被制御対象である油圧シリンダが設けられている。かかる油圧シリンダにオイルサプライ8から供給される作動油の油圧を調整することで、プライマリプーリ3およびセカンダリプーリ4の挟圧力が調整される。それによりプライマリプーリ3およびセカンダリプーリ4と、ベルト5との接触半径、すなわち各プーリに対するベルトの掛かり径がそれぞれ変化する。これにより、変速機7の変速比が無段階に変化する。
油圧回路2は、複数の油路と、各油路に設けられた第1ソレノイドバルブ21a、第2ソレノイドバルブ21b、第1油圧バルブ22aおよび第2油圧バルブ22bを備える。
第1ソレノイドバルブ21aは、オイルサプライ8の第1供給源8aと第1油圧バルブ22aとの間の油路(以下、「第1油路200a」という)に設けられる。第1ソレノイドバルブ21aは、自身のリニアソレノイドによって自身のバルブ開度が調整されることで、第1油路200aの開度を調整する。
具体的に、第1ソレノイドバルブ21aが設けられる第1油路200aには、オイルサプライ8の第1供給源8aから作動油が供給される。第1ソレノイドバルブ21aは、油圧制御装置1から信号線1aを介して供給される指示電流に従って、第1油路200aの開度を調整する。これにより、第1供給源8aから供給される作動油の油圧が調整され、当該作動油が第1油圧バルブ22aに供給され、第1油圧バルブ22aのバルブ開度が調整される。
第1油圧バルブ22aは、メカバルブであり、オイルサプライ8の第2供給源8bとプライマリプーリ3に設けられた油圧シリンダとの間の油路(以下、「第2油路200b」という)に設けられる。第1油圧バルブ22aは、第1ソレノイドバルブ21aによって調整された第1油路200aの油圧によって自身のバルブ開度を調整する。これにより、第1油圧バルブ22aは、第2油路200bの油圧を調整し、プライマリプーリ3に設けられた油圧シリンダに供給される油圧、すなわちプライマリプーリ3の挟圧力を調整する。
具体的に、第1油圧バルブ22aが設けられる第2油路200bには、オイルサプライ8の第2供給源8bから作動油が供給される。第1油圧バルブ22aは、第1ソレノイドバルブ21aから供給される作動油の油圧に応じて、第2油路200bの開度を調整する。これにより、第2供給源8bから供給される作動油の油圧が調整され、当該作動油がプライマリプーリ3に設けられた油圧シリンダに供給される。
第2ソレノイドバルブ21bは、オイルサプライ8の第1供給源8aと第2油圧バルブ22bとの間の油路(以下、「第3油路200c」という)に設けられる。第2ソレノイドバルブ21bは、自身のリニアソレノイドによって自身のバルブ開度が調整されることで、第3油路200cの開度を調整する。
具体的に、第2ソレノイドバルブ21bが設けられる第3油路200cには、オイルサプライ8の第1供給源8aから作動油が供給される。第2ソレノイドバルブ21bは、油圧制御装置1から信号線1bを介して供給される指示電流に従って、第3油路200cの開度を調整する。これにより、第1供給源8aから供給される作動油の油圧が調整され、当該作動油が第2油圧バルブ22bに供給され、第2油圧バルブ22bのバルブ開度が調整される。
第2油圧バルブ22bは、メカバルブであり、オイルサプライ8の第2供給源8bとセカンダリプーリ4に設けられた油圧シリンダとの間の油路(以下、「第4油路200d」という)に設けられる。第2油圧バルブ22bは、第2ソレノイドバルブ21bによって調整された第3油路200cの油圧によって自身のバルブ開度が調整されることで、第4油路200dの油圧を調整し、もってセカンダリプーリ4に設けられた油圧シリンダに供給される油圧、すなわち セカンダリプーリ4の挟圧力を調整する。
具体的に、第2油圧バルブ22bが設けられる第4油路200dには、オイルサプライ8の第2供給源8bから作動油が供給される。第2油圧バルブ22bは、第2ソレノイドバルブ21bから供給される作動油の油圧に応じて、第4油路200dの開度を調整する。これにより、第2供給源8bから供給される作動油の油圧が調整され、当該作動油がセカンダリプーリ4に設けられた油圧シリンダに供給される。
信号線1aには、第1電流センサ9aが設けられる。第1電流センサ9aは第1ソレノイドバルブ21aに流れる電流を検出し、検出した電流値を油圧制御装置1に出力する。信号線1bには、第2電流センサ9bが設けられる。第2電流センサ9bは第2ソレノイドバルブ21bに流れる電流を検出し、検出した電流値を油圧制御装置1に出力する。
第2油路200bには、第1油圧センサ10aが設けられる。第1油圧センサ10aは、第1油圧バルブ22aの下流側の油圧、すなわちプライマリプーリ3の油圧シリンダにかかる油圧を検出し、検出した油圧値を油圧制御装置1に出力する。
第4油路200dには、第2油圧センサ10bが設けられる。第2油圧センサ10bは、第2油圧バルブ22bの下流側の油圧、すなわちセカンダリプーリ4の油圧シリンダにかかる油圧を検出し、検出した油圧値を油圧制御装置1に出力する。
なお、ここでは、プライマリプーリ3に供給される油圧を調整するバルブをそれぞれ「第1ソレノイドバルブ21a」および「第1油圧バルブ22a」とし、プライマリプーリ3に関するセンサとして「第1電流センサ9a」「第1油圧センサ10a」と記載した。また、セカンダリプーリ4に供給される油圧を調整するバルブをそれぞれ「第2ソレノイドバルブ21b」および「第2油圧バルブ22b」とし、セカンダリプーリ4に関するセンサとして「第2電流センサ9b」「第2油圧センサ10b」と記載したが、これらを特に区別せずに説明する場合には「ソレノイドバルブ21」、「油圧バルブ22」、「電流センサ9」および「油圧センサ10」と記載する。
また、プライマリプーリ3の挟圧力よりもセカンダリプーリ4の挟圧力を厳密に制御するシステムであれば、プライマリプーリ3側の第1油圧センサ10aはなくてもよい。それによりコストダウンが可能となる。この場合、プライマリプーリ3側の油路に発生する油圧振動は、第1ソレノイドバルブ21aに流れる電流値、すなわち電流センサ9aの出力から検出することができる。油圧振動により第1ソレノイドバルブ21aの自身のバルブの位置が変動し、その変動が電流に現れるためである。
油圧制御装置1は、第1電流センサ9a、第1油圧センサ10a、および図示せぬ運転状態を示す各種センサからの出力に基づき、第1ソレノイドバルブ21aを制御する。これにより、油圧制御装置1は、油圧回路2を介してオイルサプライ8の第2供給源8bからプライマリプーリ3に供給される作動油の油圧を制御する。
油圧制御装置1は、第2電流センサ9b、第2油圧センサ10b、および図示せぬ運転状態を示す各種センサからの出力に基づき、第2ソレノイドバルブ21bを制御する。これにより、油圧制御装置1は、油圧回路2を介してオイルサプライ8の第2供給源8bからセカンダリプーリ4に供給される作動油の油圧を制御する。
油圧制御装置1は、第1油圧センサ10aで計測される油圧に基づき、第1油圧バルブ22aの下流側の油路200bに発生する油圧振動を検出する。油圧制御装置1は、また第2油圧センサ10bで計測される油圧に基づき、第2油圧バルブ22bの下流側の油路200dに発生する油圧振動を検出する。油圧制御装置1は、油圧振動を検出すると、油圧振動を抑制、すなわち制振する制御を行う。
<油圧制御装置の構成>
続いて、図2を用いて、実施形態に係る油圧制御装置1の構成について説明する。図2は、実施形態に係る油圧制御装置1の構成を示すブロック図である。なお、図2では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素を機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
続いて、図2を用いて、実施形態に係る油圧制御装置1の構成について説明する。図2は、実施形態に係る油圧制御装置1の構成を示すブロック図である。なお、図2では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素を機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
換言すれば、図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
図2に示すように、油圧制御装置1は、制御部11と記憶部12とを備える。
制御部11は、例えば、プロセッサによって実現される。プロセッサの一例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。
制御部11は、図示せぬROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを実行することで、以下に説明する各部の機能を実現する。
制御部11は、入力部110と、ソレノイド制御部120と、ソレノイド駆動部130と、振動検出部140と、振動検出制御部150と、振動制御部160とを備える。
入力部110は、各種センサ情報を取得するものであり、油圧検出部111と電流検出部112を備える。入力部110で検出されたセンサ情報はソレノイド制御部120、振動検出部140、振動検出制御部150、振動制御部160等に出力される。なお、入力部110は図示せぬAD変換器を備え、所定周期毎(例えば4ms毎)に各種センサの出力をAD変換しセンサ情報として出力する。
油圧検出部111は、第1油圧センサ10aから出力される第1油圧バルブ22aの下流側の油圧を検出する。また、油圧検出部111は、第2油圧センサ10bから出力される第2油圧バルブ22bの下流側の油圧を検出する。
電流検出部112は、第1電流センサ9aから出力される第1ソレノイドバルブ21a
に流れる電流を検出する。また、電流検出部112は、第2電流センサ9bから出力される第2ソレノイドバルブ21bに流れる電流を検出する。
なお、入力部110は、油圧制御に必要なプライマリプーリ3の回転数など他のセンサ情報も検出し、各部に出力するが、図示を省略している。
電流検出部112は、第1電流センサ9aから出力される第1ソレノイドバルブ21a
に流れる電流を検出する。また、電流検出部112は、第2電流センサ9bから出力される第2ソレノイドバルブ21bに流れる電流を検出する。
なお、入力部110は、油圧制御に必要なプライマリプーリ3の回転数など他のセンサ情報も検出し、各部に出力するが、図示を省略している。
ソレノイド制御部120は、ソレノイドバルブ21の目標開度を決定する。ソレノイド制御部120は、ソレノイドバルブ21に設けられたリニアソレノイド(不図示)の目標駆動電流を生成することでソレノイドバルブ21を制御する。ソレノイド制御部120は、目標油圧導出部121と、開度決定部122と、第1信号生成部123と、第2信号生成部124を備える。
目標油圧導出部121は、入力部110で検出したセンサ情報に基づく運転状態から目標とする変速機7の変速比を算出し、変速機7を目標変速比に制御するために必要なプライマリプーリ3とセカンダリプーリ4に対する目標油圧を導出する。
開度決定部122は、各プーリ3、4に対する目標油圧に応じて油圧バルブ22の目標開度を決定し、油圧バルブ22の開度がその目標開度となるように、第1、第2ソレノイドバルブ21a、21bの目標開度を決定する。なお、以下の説明において、「目標開度」とはソレノイドバルブ21の目標開度を指すこととする。かかる目標開度は、目標油圧と目標開度の関係を定めるマップ、あるいは関数により目標油圧を基にして決定される。
第1信号生成部123は、開度決定部122が決定した第1ソレノイドバルブ21aの目標開度に応じてリニアソレノイドの目標制御信号である第1目標駆動電流を生成する。第1信号生成部123は、生成した第1目標駆動電流をソレノイド駆動部130に出力する。
第2信号生成部124は、開度決定部122が決定した第2ソレノイドバルブ21bの目標開度に応じてリニアソレノイドの目標制御信号である第2目標駆動電流を生成する。第2信号生成部124は、生成した第2目標駆動電流をソレノイド駆動部130に出力する。
ソレノイド駆動部130は、ソレノイド制御部120が生成する第1、第2目標駆動電流に基づき、ソレノイドバルブ21のリニアソレノイドをそれぞれ駆動する第1、第2駆動電流を指示電流として生成する。ソレノイド駆動部130は、第1駆動部131と、第2駆動部132とを備える。
第1駆動部131は、第1信号生成部123が生成した第1目標駆動電流に基づき、第1ソレノイドバルブ21aを駆動するための第1駆動電流を第1指示電流として生成する。具体的に、第1駆動部131は、電流検出部112で検出される第1ソレノイドバルブ21aに流れる電流が第1目標駆動電流となるよう電流フィードバック制御を行う。
第2駆動部132は、第1駆動部131と同様にして第2ソレノイドバルブ21bを駆動するための第2駆動電流を第2指示電流として生成する。
振動検出部140は、油圧回路2に油圧振動が発生したことを検出し、判定結果を振動制御部160に出力する。具体的に、振動検出部140は、油圧センサ10の出力を基に油圧検出部111で検出された油圧バルブ22の下流側の油圧に振動が発生したか否かを判定する。すなわち、振動検出部140は、プライマリプーリ3およびセカンダリプーリ4の少なくとも一方の油圧シリンダに与える油圧に振動が発生したか否かを判定する。振動検出部140は、振幅検出部141、期間計測部142、振動判定部143を備える。
振幅検出部141は、油圧検出部111で検出された油圧(以下、「検出油圧」という。)に基づき、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動が発生したか否かを検出する。具体的に、振幅検出部141は、振動している油圧(以下、「振動油圧」という。)の1周期毎に振動油圧の振幅を計測し、所定の振幅閾値Bと比較する。より具体的には、振幅検出部141は、振動油圧の1周期毎に検出油圧の最大値と最小値を計測する。振幅検出部141は、最大値から目標油圧を減算した値を増圧側振幅SUとし、目標油圧から最小値を減算した値を減圧側振幅SDとする。振幅検出部141は、増圧側振幅SUと減圧側振幅SDをそれぞれ所定の振幅閾値Bと比較する。振幅検出部141は、増圧側振幅SUと減圧側振幅SDが共に振幅閾値B以上であるという条件が成立したとき、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動が発生したことを検出する。
なお、振動油圧の振幅の計測手法は上記に限らない。例えば、振動油圧の1周期における検出油圧の最大値から最小値を減算した値を2で割った値を振幅としてもよい。この場合、振幅と振幅閾値Bとの比較は1回で済む。
期間計測部142は、振幅検出部141で検出された所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動が継続している期間を計測する。具体的に、期間計測部142は、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動の振動回数を計測する。より具体的に、期間計測部142は、期間計測カウンタCを持ち、振幅検出部141が所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動を検出するたびに1だけカウントアップする。
期間計測部142は、振動油圧の1周期において、振幅検出部141が所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動を検出しないときは、期間計測カウンタCをリセットする。したがって、期間計測カウンタCの値は、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動が連続して発生している回数を示す。これにより、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動が継続して発生していることを正確に検出できる。
なお、振動油圧の1周期において、前記条件が成立しないときは、期間計測カウンタCを直ちにリセットするのではなく、例えば2回連続して前記条件が成立しないときにリセットするようにしてもよい。これにより、ノイズ等の外乱の影響でたまたま条件が成立しなくなって期間計測カウンタCがリセットされ、油圧振動の検出が遅れることを防止できる。
振動判定部143は、期間計測部142の出力に基づき油圧振動が発生したことを判定する。具体的に、振動判定部143は、期間計測部142の期間計測カウンタCの値を所定の期間閾値C1と比較し、期間計測カウンタCの値が期間閾値C1以上になると油圧振動が発生したと判定する。期間閾値C1は例えば10である。すなわち、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動が10回連続して継続すると油圧振動が発生したと判定する。振動判定部143は、油圧振動が発生したと判定すると、その判定結果を振動制御部160に通知する。
振動検出制御部150は、振動検出部140の検出動作を制御する。振動検出制御部150は、周波数情報検出部151と、変更部152と、急変検出部153と、停止部154を備える。
周波数情報検出部151は、検出油圧に基づき、油圧の振動周波数情報を検出する。具体的に、周波数情報検出部151は、検出油圧に基づき、油圧の振動周波数を検出する。より具体的に、周波数情報検出部151は、油圧の位相を検出すると共に、振動周期を検出することで油圧の振動周波数を検出する。他の例では、周波数情報検出部151は、目標油圧近傍における油圧の変化量から油圧の振動周波数を検出することができる。油圧の振動周波数が高いときは、目標油圧近傍における油圧の変化量は大きく、振動周波数が低いときは、目標油圧近傍における油圧の変化量は小さいため、かかる変化量を検出することで油圧の振動周波数の高低を判定できる。
変更部152は、周波数情報検出部151で検出された油圧の振動周波数情報に応じて前記期間閾値C1を変更する。具体的に、変更部152は、油圧の振動周波数が所定周波数以下の低周波数である場合に、前記期間閾値をC1より小さな値であるC2、例えば6に低下させる。これにより、低周波数の油圧振動が発生した場合でも、速やかに油圧振動を検出できる。
急変検出部153は、目標油圧に関連する目標油圧関連情報の単位時間当たりの変化率が所定以上である急変状態を検出する。目標油圧関連情報とは、目標油圧と相関の高い情報である。具体的に、目標油圧関連情報は、目標油圧導出部121で導出される目標油圧、第1信号生成部123および第2信号生成部124で生成される目標駆動電流、電流検出部112で検出されるソレノイドバルブ21に流れる電流のいずれかである。本実施形態では、以下、目標油圧関連情報として目標油圧を例にとり説明する。
具体的に、急変検出部153は、目標油圧導出部121で導出される目標油圧が所定値以上変化した場合に目標油圧が急変したことを検出する。より具体的に、目標油圧導出部121が前回と今回の算出タイミングでそれぞれ導出した目標油圧の差が所定値以上であるとき、急変検出部153は目標油圧が急変したことを検出する。かかる所定値は、油圧振動が発生する可能性のある目標油圧の変動幅であり、予め実験や適合により求められる。
停止部154は、急変検出部153が目標油圧の急変を検出すると、振動検出部140による油圧振動の検出を所定期間停止させる。具体的に、停止部154は、目標油圧の急変が検出されると、振動検出部140全体の動作を停止させる。なお、停止部154は、目標油圧の急変が検出されると、振幅検出部141、期間計測部142、および振動判定部143の内、少なくとも1つ以上の動作を停止させてもよい。目標油圧が急変すると、その影響で油圧が振動しながら目標油圧に収束することがある。この場合の油圧振動は、制振すべき油圧振動ではない。したがって、目標油圧の急変を検出すると油圧振動の検出を所定期間停止させることで、目標油圧の急変に伴い発生する油圧振動を振動検出部140が誤って油圧振動と判定することを防止できる。
振動制御部160は、振動検出部140より油圧振動が発生したことの通知を受けて、油圧振動を抑制、すなわち制振する制振制御を行う。振動制御部160の詳細については後述する。
記憶部12は、フラッシュROMやRAM(Random Access Memory)で構成され、前記の各種閾値や所定値を閾値情報13としてフラッシュROMに記憶している。制御部11は、適宜閾値情報13を読み出し、各部の制御に使用すると共に、各種データをRAMに一時記憶しながら演算を行う。
<油圧振動の検出動作>
続いて、実施形態に係る油圧制御装置が行う油圧振動の検出動作について具体的に説明する。
続いて、実施形態に係る油圧制御装置が行う油圧振動の検出動作について具体的に説明する。
図3は、油圧の振動周波数が所定周波数以上である比較的高周波数の油圧振動(以下、「高周波油圧振動」という)を検出する動作を示す図である。図4は油圧の振動周波数が所定周波数以下である低周波数の油圧振動(以下、「低周波油圧振動」という)を検出する動作を示す図である。図3、図4において、(a)はセカンダリプーリ4の目標油圧と第2油圧バルブ22bの下流側の実際の油圧の状態を示す図である。(b)は、油圧の振動周波数の判定状態を示す図である。(c)は、油圧の振動の継続期間を計測するための期間計測カウンタCの状態を示す図である。(d)は、油圧振動の検出状態を示す判定フラグの状態を示す図である。
まず、図3を用いて高周波油圧振動が発生した場合について説明する。
図3(a)は、目標油圧が時刻t0でYO1からYO2に変化し、それに伴い時刻t0以降に油圧振動が発生したことを示している。
振幅検出部141は、第2油圧センサ10bをもとに検出した検出油圧の振動周期の1周期毎(図3(a)にTで示す)に、検出油圧の最大値と最小値を計測し、目標油圧YO2との減算により増圧側振幅SUと減圧側振幅SDを算出する。振幅検出部141は、時刻t1からt2の1周期の期間において、増圧側振幅SUと減圧側振幅SDがともに振幅閾値B以上になったことを検出する。すなわち、振幅検出部141は、振幅閾値Bを超える振幅を有する油圧の振動が発生したことを検出する。これにより、図3(c)に示すように、期間計測部142は、振動周期の1周期が終了する時点である時刻t2で期間計測カウンタCを1カウントアップする。すなわち、期間計測部142は、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動が1回発生したことを計測する。
振幅検出部141は、時刻t2以降の各振動周期の期間Tにおいて、同様に増圧側振幅SUと減圧側振幅SDがともに振幅閾値B以上になったことを検出する。したがって、期間計測部142は、各振動周期の終了時点である時刻t3、t4・・・T11で期間計測カウンタCの値を1ずつカウントアップする。なお、振幅検出部141が、振動周期の1周期において増圧側振幅SUまたは減圧側振幅SDの少なくともどちらか一方が振幅閾値B以上でないことを検出すると、期間計測部142は、その周期の終了時点で期間計測カウンタCをリセットする。
一方で、周波数情報検出部151は、検出油圧が目標油圧YO2を最初に横切った時刻t1から始まる振動油圧の1周期、すなわちt2−t1より振動周波数を検出する。図3に示す例の場合、振動周期が所定周期以下、すなわち所定周波数以上であるため、周波数情報検出部151は、時刻t2で振動周波数が高いと判定する。これにより、変更部152は、油圧振動の判定閾値である期間閾値を初期値であるC1(例えば10)に設定する。
振動判定部143は、定期的に期間計測カウンタCの値を期間閾値であるC1と比較する。やがて時刻t11で期間計測カウンタCの値がC1に達すると、振動判定部143は、油圧振動が発生したと判定し、判定フラグを立てる。振動判定部143は、判定フラグの情報を振動制御部160に定期的に通知しており、時刻t11で振動制御部160に油圧振動が発生したことを通知する。
続いて、図4を用いて低周波油圧振動が発生した場合について説明する。
振幅検出部141が、増圧側振幅SUと減圧側振幅SDを振幅閾値Bと比較する動作(図4(a))や、期間計測部142が期間計測カウンタCをカウントアップする動作(図4(c))は図3と同じであるため、ここでの説明は省略する。
周波数情報検出部151は、検出油圧が目標油圧YO2を最初に横切った時刻t21から始まる振動油圧の1周期、すなわちt22−t21より振動周波数を検出する。図4に示す例の場合、振動周期が所定周期以上、すなわち周波数が所定周波数以下であるため、周波数情報検出部151は、時刻t22で周波数が低いと判定する。これにより、変更部152は、油圧振動の判定閾値である期間閾値を初期値であるC1より小さな値であるC2(例えば6)に設定する。
やがて時刻t27で期間計測カウンタCの値がC2に達すると、振動判定部143は、油圧振動が発生したと判定し、判定フラグを立てる。振動判定部143は、時刻t27で振動制御部160に油圧振動が発生したことを通知する。
もし、低周波油圧振動が発生したにもかかわらず、期間閾値がC1(10)のままであれば、油圧振動が発生してから10Tの時間後に油圧振動が検出されることになる。したがって、その間、油圧振動によりセカンダリプーリ4の挟圧力が減少する恐れが増大するなどセカンダリプーリ4への影響が大きくなる。これに対し、実施形態に係る油圧制御装置によれば、低周波油圧振動が発生した場合は、期間閾値がC1からC2に低下するため、油圧振動が発生してから6Tの時間後に油圧振動が検出される。したがって、セカンダリプーリ4への影響を小さくすることができる。
<振動周波数の他の検出例>
本実施形態では、周波数情報検出部151は、振動油圧の周期から振動周波数を検出した。振動周波数の他の検出例として、検出油圧の変化量から振動周波数を検出することができる。以下、振動周波数の他の検出例について説明する。
本実施形態では、周波数情報検出部151は、振動油圧の周期から振動周波数を検出した。振動周波数の他の検出例として、検出油圧の変化量から振動周波数を検出することができる。以下、振動周波数の他の検出例について説明する。
油圧振動が発生している場合、目標油圧を中心に正弦波状に油圧が変動する。したがって、油圧の振動中における検出油圧の変化量は、油圧が目標油圧を通過するときが最も大きくなる。またその変化量は振動周波数が高いほど大きくなる。換言すれば、油圧の振動周波数は油圧の変化量と1対1に対応する。
かかる事実に基づき、周波数情報検出部151は、油圧の変化量が最も大きくなる目標油圧近傍の油圧の変化量を検出し、その変化量から油圧の振動周波数を検出する。図3を用いて説明すると、周波数情報検出部151は、検出油圧が目標油圧YO2を横切る時刻t2において、検出油圧の変化量を算出する。具体的に、周波数情報検出部151は、検出油圧が目標油圧YO2以上となる時刻t2において、時刻t2で検出された検出油圧とその直前にAD変換により検出された検出油圧とから油圧の変化量を算出する。周波数情報検出部151は、算出した油圧の変化量から記憶部12に予め記憶されている図示せぬマップに基づき振動周波数を検出する。図3(a)に示す例では、時刻t2における検出油圧の変化量は高周波に対応する所定値以上であるため、周波数情報検出部151は、時刻t2において振動周波数が高いと判定する。一方、図4(a)に示す例では、時刻t22における検出油圧の変化量は高周波に対応する所定値以下であるため、周波数情報検出部151は、時刻t22において振動周波数が低いと判定する。
なお、油圧の変化量に基づく油圧の振動周波数を検出する具体例は上記に限らない。例えば、検出油圧が目標油圧YO2以上となる時刻における油圧と、その所定時間後の油圧から変化量を求めてもよい。この場合、所定時間は、想定される最も高い油圧の振動周波数に対して、油圧がピークに到達するより前の時間である。
周波数情報検出部151が、検出油圧の変化量を算出するタイミングは、時刻t2や時刻t22に限らない。周波数情報検出部151は、期間閾値がC1(10)からC2(6)に切り替わるタイミング、すなわち振動油圧の6周期が終了するまでに算出すればよい。図4の例では、周波数情報検出部151は、時刻t22〜t26のいずれかの時刻で検出油圧の変化量を算出し、周波数を検出すればよい。
以上、油圧振動の検出動作について、セカンダリプーリ4に接続される第4油路200dに油圧振動が発生した場合について説明したが、プライマリプーリ3に接続される第2油路200bに油圧振動が発生した場合も同様に油圧振動が検出される。
<急変検出部153および停止部154の動作>
次に、図2に示す急変検出部153および停止部154が行う動作について、具体的に説明する。
次に、図2に示す急変検出部153および停止部154が行う動作について、具体的に説明する。
図5は、目標油圧が急変したときの油圧振動を検出する動作を示す図である。
図5(a)は、セカンダリプーリ4への油圧を制御するため、第1駆動部131から第2ソレノイドバルブ21bに出力される指示電流を示す。図5(b)は、目標油圧と第2油圧バルブ22bの下流側の実際の油圧の状態を示す図である。図5(c)は、油圧振動の継続期間を計測するための期間計測カウンタCの状態を示す図である。
図5(b)に示すように、目標油圧が時刻t30からt31にかけてYO1からYO2まで急激な変化を繰り返すものとする。これにより、第2駆動部132から出力される指示電流も図5(a)に示すように時刻t30から時刻t31にかけて急減に変化する。実際の油圧は、指示電流に応じて図5(b)に示すように時刻t30から時刻t31にかけて急増と急減を繰り返しながら目標油圧YO2に収束する。図5(b)は時刻t31以降に油圧が目標油圧YO2で安定しかけた後に油圧振動が発生した状態を示している。
急変検出部153は、時刻t30で目標油圧が急変したことを検出し、停止部154に目標油圧が急変したことを通知する。停止部154は、その通知を受けてその時点から一定時間T1の間、振動検出部140の油圧振動の検出動作を停止させる。
急変検出部153は、時刻t30から時刻t31の期間に目標油圧の急変を検出するたびに停止部154に目標油圧が急変したことを通知する。停止部154は、その通知を受けるたびに図5(b)に示すように一定時間T1の間、振動検出部140の油圧振動の検出動作を停止させる。したがって、振動検出部140は、最初に目標油圧の急変が検出された時刻t30から、最後に目標油圧の急変が検出され一定時間T1が経過する時刻t32まで油圧振動の検出を停止し、時刻t32より検出動作を再開する。これにより、図5(c)に示すように、期間計測部142は時刻t33で1回目の所定の振幅値以上の振幅を有する油圧振動を検出する。
以上のように、急変検出部153と停止部154により、振動判定部143が、目標油圧の急変に伴い発生する油圧の振動、すなわち図5(a)に示す時刻t30から時刻t32までに発生する振動を誤って油圧振動と判定して振動制御部160に通知することを防止できる。
<油圧振動の検出処理>
次に、図6を用いて、実施形態に係る油圧制御装置1が実行する油圧振動の検出処理の処理手順について説明する。図6は、実施形態に係る油圧制御装置1が実行する油圧振動の検出処理の処理手順を示すフローチャートである。油圧制御装置1は、図示せぬイグニッションスイッチの投入により電源が供給された場合に図6に示す制御処理を繰り返し実行する。
次に、図6を用いて、実施形態に係る油圧制御装置1が実行する油圧振動の検出処理の処理手順について説明する。図6は、実施形態に係る油圧制御装置1が実行する油圧振動の検出処理の処理手順を示すフローチャートである。油圧制御装置1は、図示せぬイグニッションスイッチの投入により電源が供給された場合に図6に示す制御処理を繰り返し実行する。
まず、油圧検出部111が油圧センサ10に基づき油圧バルブ22の下流側の油圧を検出する(ステップS1)。次いで、急変検出部153は、目標油圧導出部121で導出される目標油圧を検出する(ステップS2)。急変検出部153は、前回検出した目標油圧と今回検出した目標油圧との差から目標油圧が急変状態になったか否かを判断する(ステップS3)。
目標油圧が急変状態でない場合(ステップS3 NO)、ステップS5に進む。目標油圧が急変状態になった場合(ステップS3 YES)、停止部154は、振動検出部140による油圧振動の検出を一定時間停止させるべく、図示せぬ停止時間タイマーをT1に設定し(ステップS4)、ステップS5に進む。なお、停止時間タイマーは図示せぬサブルーチンにより減算され、タイマーの値が0になると0を保持する。
次に、停止部154は、油圧振動の検出動作が停止中であるか判断する(ステップS5)。すなわち、停止部154は、停止時間タイマーが0より大きいか否かを判断する。油圧振動の検出動作が停止中である場合、すなわち停止時間タイマーが0より大きい場合(ステップS5 YES)、停止部154は処理を終了させる。これにより、停止部154は、振動検出部140によるステップS6以降の油圧振動を検出する処理を停止させる。
一方、油圧振動の検出動作が停止中でない場合、すなわち停止時間タイマーが0の場合(ステップS5 NO)、振動検出部140はステップS6以下の油圧振動を検出する処理を実行する。
振幅検出部141は油圧振動の振幅を計測する(ステップS6)。すなわち、振動油圧の1周期における検出油圧の最大値、最小値、および目標油圧に基づき増圧側振幅SUと減圧側振幅SDを計測する。
周波数情報検出部151は、振動周波数を検出する(ステップS7)。具体的に、周波数情報検出部151は、振動油圧の周期または目標油圧近傍における振動油圧の変化量を検出する。
振幅検出部141は、振動油圧の1周期の終了時に、ステップS6で計測した増圧側振幅SUと減圧側振幅SDがともに振幅閾値B以上であるか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8の判定が否定であれば(ステップS8 NO)、期間計測部142は、期間計測カウンタCをクリアする。振動判定部143は、油圧振動が発生していないと判断し処理を終える。
増圧側振幅SUと減圧側振幅SDがともに振幅閾値B以上であれば(ステップS8 YES)、期間計測部142は、期間計測カウンタCを1カウントアップする(ステップS10)。変更部152は、ステップS7で検出された振動周波数が所定周波数より低い低周波数であるか否かを判定する(ステップS11)。具体的に、変更部152は、ステップS7で検出された振動油圧の周期が所定周期以上であれば、低周波数であると判定する。また、変更部152は、目標油圧近傍における振動油圧の変化量が所定値以下である場合、低周波数であると判定する。
振動周波数が低周波数でない場合(ステップS11 NO)、変更部152は期間閾値をC1、例えば10に設定する(ステップS12)。振動周波数が低周波数である場合(ステップS11 YES)、変更部152は期間閾値をC2、例えば6に設定する(ステップS13)。
振動判定部143は、期間計測カウンタCの値をステップS12またはステップS13で設定された期間閾値と比較し、期間計測カウンタCの値が期間閾値以上か否かを判定する(ステップS14)。ステップS14の判定が否定であれば(ステップS14 NO)、振動判定部143は油圧振動が発生していないと判定し処理を終える。期間計測カウンタCの値が期間閾値以上であれば(ステップS14 YES)、振動判定部143は、油圧振動が発生したと判定し(ステップS15)、判定結果を振動制御部160に通知する(ステップS16)。
以上、詳細に説明したように、実施形態に係る油圧制御装置1は、油圧回路2の油圧を目標油圧に制御する。油圧制御装置1は、油圧回路2の油圧を検出する油圧検出部111と、油圧検出部111で検出された油圧に基づき、所定の振幅値B以上の振幅を有する油圧の振動が所定の期間閾値以上継続すると油圧振動が発生していることを検出する振動検出部140と、油圧検出部111で検出された油圧に基づき油圧の振動周波数情報を検出する周波数情報検出部151と、振動周波数情報に応じて所定の期間閾値を変更する変更部152とを備える。
これにより、油圧振動の周波数が低周波数であっても、油圧振動を早期に検出することができる。
また、実施形態に係る油圧制御装置1では、周波数情報検出部151は、振動周波数情報として油圧の振動周波数を検出し、変更部152は、振動周波数が所定周波数以下のとき所定の期間閾値を低下させる。
これにより、油圧振動の周波数が低周波数であっても、油圧振動を早期に検出することができる。
また、実施形態に係る油圧制御装置1では、周波数情報検出部151は、振動周波数情報として油圧の振動周期を検出し、変更部152は、振動周期が所定周期以上のとき、所定の期間閾値を低下させる。
これにより、油圧振動の周波数を容易に検出できるとともに、油圧振動の周波数が低周波数であっても、油圧振動を早期に検出することができる。
また、実施形態に係る油圧制御装置1では、周波数情報検出部151は、振動周波数情報として目標油圧近傍における油圧の変化量を検出し、変更部152は、油圧の変化量が所定値以下のとき、所定の期間閾値を低下させる。
これにより、油圧振動の周波数を異なる手法で検出できるとともに、油圧振動の周波数が低周波数であっても、油圧振動を早期に検出することができる。
また、実施形態に係る油圧制御装置1は、目標油圧に関連する目標油圧関連情報の変化率が所定以上である急変状態を検出する急変検出部153と、急変状態が検出されると、油圧振動の検出を所定期間停止させる停止部とを更に備える。
これにより、目標油圧の急変に伴い発生する油圧の振動を誤って油圧振動と判定することを防止できる。
また、実施形態に係る油圧制御装置1は、振動検出部140が油圧振動の発生を検出したとき、油圧振動を制振させる制御を行う振動制御部160を更に備える。
これにより、油圧振動が発生しても油圧振動を抑制することができる。
<変形例1>
上記の実施形態では、振幅検出部141は、振動油圧の増圧側振幅SUと減圧側振幅SDが共に振幅閾値B以上である場合に、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動であると判定し、期間計測部142が期間計測カウンタCをカウントアップした。変形例1では、振幅検出部141は、振動油圧の1周期において増圧側振幅SUと減圧側振幅SDのどちらか一方が振幅閾値B以上のときに、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動であると判定し、期間計測部142が期間計測カウンタCをカウントアップしてもよい。
上記の実施形態では、振幅検出部141は、振動油圧の増圧側振幅SUと減圧側振幅SDが共に振幅閾値B以上である場合に、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動であると判定し、期間計測部142が期間計測カウンタCをカウントアップした。変形例1では、振幅検出部141は、振動油圧の1周期において増圧側振幅SUと減圧側振幅SDのどちらか一方が振幅閾値B以上のときに、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動であると判定し、期間計測部142が期間計測カウンタCをカウントアップしてもよい。
これにより、増圧側振幅SUと減圧側振幅SDの一方が振幅閾値Bを超えており、他方が振幅閾値Bをぎりぎり超えないような油圧振動が発生した場合でも期間計測カウンタCをカウントアップでき、油圧振動を早期に検出することができる。
<変形例2>
変形例2では、増圧側振幅用の期間計測カウンタCUと減圧側振幅用の期間計測カウンタCDを設け、期間計測部142が個別にカウンタをカウントアップする。具体的に、振幅検出部141は振動油圧の1周期における増圧側振幅SUを振幅閾値Bと比較する。期間計測部142は、増圧側振幅SUが振幅閾値B以上であれば増圧側振幅用の期間計測カウンタCUをカウントアップし、以下であればカウンタCUをクリアする。また振幅検出部141は振動油圧の1周期における減圧側振幅SDを振幅閾値Bと比較する。期間計測部142は、減圧側振幅SDが振幅閾値B以上であれば減圧側振幅用の期間計測カウンタCDをカウントアップし、以下であればカウンタCDをクリアする。振動判定部143は、期間計測カウンタCUと期間計測カウンタCDのどちらか一方が期間閾値C1またはC2以上になると油圧振動が発生したと判定する。
変形例2では、増圧側振幅用の期間計測カウンタCUと減圧側振幅用の期間計測カウンタCDを設け、期間計測部142が個別にカウンタをカウントアップする。具体的に、振幅検出部141は振動油圧の1周期における増圧側振幅SUを振幅閾値Bと比較する。期間計測部142は、増圧側振幅SUが振幅閾値B以上であれば増圧側振幅用の期間計測カウンタCUをカウントアップし、以下であればカウンタCUをクリアする。また振幅検出部141は振動油圧の1周期における減圧側振幅SDを振幅閾値Bと比較する。期間計測部142は、減圧側振幅SDが振幅閾値B以上であれば減圧側振幅用の期間計測カウンタCDをカウントアップし、以下であればカウンタCDをクリアする。振動判定部143は、期間計測カウンタCUと期間計測カウンタCDのどちらか一方が期間閾値C1またはC2以上になると油圧振動が発生したと判定する。
これによると、振動判定部143は、増圧側振幅SUまたは減圧側振幅SDの少なくともどちらか一方が期間閾値C1またはC2以上連続した場合に油圧振動が発生したと判定するため、確実に油圧振動の発生を検出できる。
<振動制御部の構成>
続いて、図2に示す振動制御部160の構成について説明する。
続いて、図2に示す振動制御部160の構成について説明する。
図7は、実施形態に係る振動制御部160の構成を示すブロック図である。振動制御部160は、振動検出部140から油圧振動の発生の通知を受けると、油圧振動を抑制する油圧を与える制振信号を生成し出力する。すなわち振動制御部160は、油圧振動を制振する制振制御を行う。振動制御部160は、逆位相信号生成部161と、信号カット部162と、終了判定部163と、制振信号出力部164を備える。
逆位相信号生成部161は、検出された油圧振動の振動特性情報に基づき油圧振動の位相と逆位相となる油圧を与える逆位相信号を制振信号として生成する。具体的に、逆位相信号生成部161は、油圧振動の振動特性情報として、振幅検出部141から油圧振動の振幅情報を入手し、周波数情報検出部151から振動周波数、および振動位相情報を入手する。逆位相信号生成部161は、かかる油圧振動の振動特性情報に基づき、油圧振動と逆位相となる油圧を与える逆位相信号を生成する。より具体的に、逆位相信号生成部161は、振動検出部140から油圧振動の発生の通知を受けると、その直前の油圧振動周期における振幅、周波数、および位相から、油圧振動の位相と逆位相となる油圧を与える正弦波信号を生成する。なお、油圧振動の振幅が大きいほど、大きく減圧する必要があることから、正弦波信号の振幅は、油圧振動の振幅が大きいほど大きくなるよう決定される。
信号カット部162は、逆位相信号生成部161で生成された制振信号の内、油圧を減圧する方向に働く信号成分を低下させる。具体的に、信号カット部162は、逆位相信号の内、油圧を減圧側に制御する部分をカットする。なお、信号カット部162は、油圧を減圧側に制御する部分を完全にカットするのではなく、逆位相信号生成部161で生成された正弦波状の逆位相信号に対し、油圧を減圧側に制御する信号成分の振幅を小さくすればよい。
終了判定部163は、制振制御を開始した後、制振制御の終了時期を判定し、制振制御を終了させる。具体的に、終了判定部163は、制振制御を開始した後、振幅検出部141から入手する油圧振動の振幅情報に基づき、制振制御の終了条件が成立したか否か、すなわち油圧振動が収まったか否かを判定する。制振制御の終了条件は、油圧振動の増圧側振幅SUと減圧側振幅SDが、共に油圧振動が収まったことを示す閾値B1以下になったことである。あるいは、制振制御の終了条件は、増圧側振幅SUと減圧側振幅SDのどちらか一方が閾値B1以下になったこととしてもよい。終了判定部163は、油圧振動の振幅を閾値B1と比較し、終了条件が成立したと判定すると制振制御を終了する。
制振信号出力部164は、制振制御が開始されると、信号カット部162でカットされた逆位相信号をソレノイド駆動部130(図2)に出力し、ソレノイド制御部120から出力される目標駆動電流に重畳させる。制振信号出力部164は、かかるカットされた逆位相信号を終了判定部163で制振制御の終了を判定されるまで連続して出力する。
<制振動作>
続いて、振動制御部160が行う制振制御の動作について説明する。まず、図8を用いて、振動制御部160が信号カット部162を備えない場合について説明する。図8は、比較例として油圧振動を制振する制御動作を示す図である。
続いて、振動制御部160が行う制振制御の動作について説明する。まず、図8を用いて、振動制御部160が信号カット部162を備えない場合について説明する。図8は、比較例として油圧振動を制振する制御動作を示す図である。
振動制御部160は、図8(b)に示すように、時刻t40で振動検出部140から油圧振動を検出した旨の通知を受けると、制振制御を開始する。逆位相信号生成部161は、その通知を受ける直前の振動周期T10の振幅、周波数、位相に基づき、それと逆位相となる油圧を与える逆位相信号を生成する。制振信号出力部164は時刻t40以降、逆位相信号をソレノイド駆動部130に繰り返し出力する。ソレノイド駆動部130は、ソレノイド制御部120から出力される目標駆動電流に逆位相信号を重畳し、図8(a)に示すように指示電流としてソレノイドバルブ21に出力する。図8の例では、油圧振動が検出される直前の振動周期T10は、前半の半周期が増圧、後半の半周期が減圧となっている。そのため、逆位相信号は前半の半周期が減圧、後半の半周期が増圧となる信号になる。かかる指示電流が時刻t40にソレノイドバルブ21に出力されることで、図8(b)に示すように、指示電流の減圧側の半周期T11の期間で油圧の増圧が抑えられて油圧振動の振幅が減少する。それに続く指示電流の増圧側の半周期T12の期間で油圧の減圧が抑えられて油圧振動の振幅が更に減少する。このように、振動制御部160が逆位相信号を目標駆動電流に印可して指示電流とすることで油圧振動が抑制される。
しかしながら、図8(b)の半周期T13に示すように、減圧側の指示電流によって、振動が収まりかけていた油圧が再び減圧される場合が生じる。この場合、プーリのベルト挟圧力が減少するためベルト滑りの問題が生じてしまう恐れがある。
実施形態の油圧制御装置は、この課題を解決するために信号カット部162を備えている。以下、図9を用いて実施形態にかかる制振制御の動作について説明する。図9は、実施形態にかかる油圧振動を制振する制御動作を示す図である。
振動制御部160が時刻t50で振動検出部140から油圧振動を検出した旨の通知を受けると、逆位相信号生成部161は上記したように、直前の振動周期の振幅、周波数、位相に基づき、逆位相信号を生成する。信号カット部162は逆位相信号の内、減圧側の信号成分をカットして制振信号出力部164に出力する。
ソレノイド駆動部130(図2)は、ソレノイド制御部120から出力される目標駆動電流に減圧側の信号成分がカットされた逆位相信号を重畳し指示電流としてソレノイドバルブ21に出力する。これにより、図9(a)に破線で示すように、逆位相信号が重畳された指示電流の内、減圧側に作用する信号成分がソレノイドバルブ21に出力されなくなる。換言すれば、増圧側に作用する逆位相信号のみが目標駆動電流に重畳されて指示電流としてソレノイドバルブ21に出力される。したがって、図9(b)の半周期期間T21、T22、T23で示すように、油圧振動が徐々に抑制されていき、急に油圧が減少することを防止でき、もって、ベルト挟圧力の減少を抑えることができる。
終了判定部163は、制振制御を開始した後、振幅検出部141から振動油圧の振幅情報を入手し、制振制御の終了条件が成立したか否かを判定している。図9(b)では、T24で示す振動周期における油圧振動の振幅が、減圧側振幅SDおよび増圧側振幅SUとも終了条件である閾値B1以下となっているため、終了判定部163は、振動周期T24において終了条件が成立したと判定し、振動周期T24の終了時点である時刻t51で制振制御を終了させる。これにより、制振信号出力部164は制振信号の出力を停止する。
<油圧制御処理>
次に、図10を用いて、実施形態に係る油圧制御装置1が実行する油圧制御の処理手順について説明する。図10は、実施形態に係る油圧制御装置1が実行する油圧制御の処理手順を示すフローチャートである。油圧制御装置1は、図示せぬイグニッションスイッチの投入により電源が供給された場合に図10に示す制御処理を繰り返し実行する。
次に、図10を用いて、実施形態に係る油圧制御装置1が実行する油圧制御の処理手順について説明する。図10は、実施形態に係る油圧制御装置1が実行する油圧制御の処理手順を示すフローチャートである。油圧制御装置1は、図示せぬイグニッションスイッチの投入により電源が供給された場合に図10に示す制御処理を繰り返し実行する。
まず、目標油圧導出部121(図2)は、入力部110から入力された各種センサ情報に基づきプライマリプーリ3およびセカンダリプーリ4に対する目標油圧を算出する(ステップS21)。開度決定部122は、各プーリ3、4に対する目標油圧に基づきソレノイドバルブ21の目標開度を算出する(ステップS22)。第1信号生成部123および第2信号生成部124は、ソレノイドバルブ21の目標開度に基づき目標駆動電流を生成しソレノイド駆動部130に出力する(ステップS23)。
振動制御部160は、振動検出部140から油圧振動を検出した旨の通知を受けたか判定する(ステップS24)。振動制御部160は、かかる通知を受けていない場合(ステップS24 NO)、制振制御を行うことなくステップS33に移る。この場合、ソレノイド駆動部130は、ステップS23で生成された目標駆動電流を指示電流としてソレノイドバルブ21に出力する(ステップS33)。
振動制御部160は、振動検出部140から油圧振動を検出した旨の通知を受けた場合(ステップS24 YES)、ステップS25以下の制振制御を実行する。
まず、逆位相信号生成部161は、かかる通知の直前の油圧振動周期における振幅を振幅検出部141から入手する(ステップS25)。逆位相信号生成部161は、かかる通知の直前の油圧振動周期における振動周波数および位相を周波数情報検出部151から入手する(ステップS26、S27)。
逆位相信号生成部161は、ステップS25〜S27で入手した油圧振動の振幅、周期、位相に基づき、油圧振動の位相と逆位相となる油圧を与える逆位相信号、すなわち逆位相の正弦波を生成する(ステップS28)。信号カット部162は、逆位相信号の内、油圧を減圧する側の信号成分をカットし、制振信号出力部164は、カットされた逆位相信号をソレノイド駆動部に出力する(ステップS29)。
ソレノイド駆動部130は、減圧側がカットされた逆位相信号をステップS23で生成された目標駆動電流と合成する(ステップS30)。
終了判定部163は、ステップS25で入手した最新の油圧振動の振幅に基づき、制振制御の終了条件が成立したか否かを判定する。すなわち、終了判定部163は、最新の油圧振動の振幅を閾値B1と比較し、振幅が閾値B1以上である場合、油圧振動が継続していると判定し、ステップS33に移る。この場合、ソレノイド駆動部130は、ステップS30で合成された目標駆動電流を指示電流としてソレノイドバルブ21に出力する(ステップS33)。
終了判定部163は、ステップS31で、振幅が閾値B1より小さいと判定した場合(ステップS31 YES)、制振制御の終了条件が成立したため、制振制御を終了させる(ステップS32)。具体的に、ステップS32の処理では、振動検出部140から出力された油圧振動発生の通知をクリアする。これにより、次回のルーチン以降、振動制御部160は、ステップS24の判定をNOと判定する。
このように、実施形態の油圧制御装置によれば、油圧振動が発生したとき、振動制御部160は制振信号として油圧振動の位相と逆位相となる油圧を与える逆位相信号を生成すると共に、油圧を減圧する方向に働く信号成分を低下させる。これにより、油圧振動の抑制過程において、急に油圧が減少することを防止でき、もって、ベルト挟圧力の減少を抑えることができる。
<振動制御部の第2実施形態>
図7に示す振動制御部160は、油圧振動発生の通知を受けた後、次の振動周期から油圧を減圧する方向に働く信号成分を低下させた。この場合、油圧振動が検出された直後の振動周期は振動の振幅が大きいにもかかわらず減圧ができないため、油圧振動の抑制に時間がかかる恐れがある。
図7に示す振動制御部160は、油圧振動発生の通知を受けた後、次の振動周期から油圧を減圧する方向に働く信号成分を低下させた。この場合、油圧振動が検出された直後の振動周期は振動の振幅が大きいにもかかわらず減圧ができないため、油圧振動の抑制に時間がかかる恐れがある。
第2実施形態にかかる振動制御部160’はこの点を改善する。図11は第2実施形態にかかる振動制御部160’の構成を示すブロック図である。
振動制御部160’は、図7に示す振動制御部160に対し、信号カット制御部165が追加されている点、および信号カット部162’の制御内容が信号カット部162と異なる点で相違する。図11の説明において、図7に示す振動制御部160の構成と同じ部分については構成の説明は省略する。
信号カット制御部165は、油圧振動の発生が振動検出部140から通知されて制振制御を開始した後、油圧振動が制振制御により減衰したことを検出し、信号カット部162’を制御する。具体的に、振幅検出部141は、油圧振動を検出した以降も振動油圧の振幅を検出している。信号カット制御部165は、制振制御を開始した以降において、振幅検出部141から油圧振動の振幅情報を受け取り、油圧振動の振幅が所定の閾値B2以下に低下したか否かを判定する。閾値B2は、制振制御を終了する条件である閾値B1(図9参照)より大きく、油圧振動を検出するための振幅閾値B(図3参照)より小さい。例えば、B2は閾値BとB1の中間値(B2=(B+B1)/2)とすることができる。閾値B2は、油圧振動が制振制御により減衰したことを検出する閾値である。換言すれば、閾値B2は、油圧振動の初期の振幅すなわち油圧振動が検知される直前の周期における振幅から所定量減衰したことを検出する閾値である。
信号カット制御部165は、油圧振動の振幅が閾値B2以下に減衰したことを検出すると、信号カット部162’の信号低下制御を実行させる。具体的に、信号カット制御部165は、油圧振動の増圧側振幅SUおよび減圧側振幅SDのどちらか一方が閾値B2以下に減衰したことを検出すると信号カット部162’の信号低下制御を実行させる。これにより、早期に信号低下制御に移ることができる。なお、信号カット制御部165は、油圧振動の1周期における増圧側振幅SUと減圧側振幅SDが共に閾値B2以下に減衰したことを検出すると、信号カット部162’の信号低下制御を実行させてもよい。これにより、誤検出なく信号低下制御に移ることができる。
信号カット部162’は、油圧振動の振幅が閾値B2以下に減衰したことを受けて、信号低下制御を実行する。すなわち、信号カット部162’は、逆位相信号生成部161で生成された逆位相信号の内、前述した油圧を減圧する方向に働く信号成分を低下させる。
続いて、図12を用いて第2実施形態にかかる制振制御の動作について説明する。図12は、第2実施形態にかかる油圧振動を制振する制御動作を示す図である。
振動制御部160’が時刻t60で振動検出部140から油圧振動を検出した旨の通知を受けると、逆位相信号生成部161は上記したように、直前の振動周期の振幅、周波数、位相に基づき、正弦波状の逆位相信号を生成する。信号カット部162’は逆位相信号の内、減圧側の信号成分をカットして制振信号出力部164に出力するが、時刻t60の時点では動作しない。したがって、逆位相信号はそのまま加工されずに制振信号出力部164に出力される。
ソレノイド駆動部130(図2)は、ソレノイド制御部120から出力される目標駆動電流に正弦波である逆位相信号を重畳し、図12(a)に示すように、時刻t60以降に指示電流としてソレノイドバルブ21に出力する。指示電流は、逆位相信号の第1周期T3における前半の半周期T30が減圧側の正弦波となり、後半の半周期T31が増圧側の正弦波となる。これにより、図12(b)に示すように、油圧振動の振幅が徐々に減衰していく。図12(b)は、後半の半周期T31で油圧振動の振幅が閾値B2以下に低下したこと示している。
信号カット制御部165は、油圧振動の振動周期T3において、油圧振動の振幅が閾値B2より低下したことを検出する。具体的に、信号カット制御部165は、振動周期T3における後半の半周期T31で油圧振動の減圧側振幅SDが閾値B2以下になったことを検出する。これにより、信号カット制御部165は、時刻t61で信号カット部162’の信号低下制御の実行を許可する。
信号カット部162’は、この許可を受けて動作を開始し、t61以降に出力される逆位相信号の内、減圧側に作用する信号成分をカットして、制振信号出力部164に出力する。
ソレノイド駆動部130(図2)は、制振信号出力部164から出力される信号に基づき、図12(a)に示すように、時刻t61以降、ソレノイド制御部120から出力される目標駆動電流に減圧側の信号成分がカットされた逆位相信号を重畳し指示電流としてソレノイドバルブ21に出力する。
やがて、更に油圧振動が減衰し、油圧振動の振幅が制振制御の終了判定用の閾値B1(図12では図示略)を下回ると、終了判定部163は、制振制御を終了させる。
<第2実施形態の油圧制御処理>
次に、図13を用いて、第2実施形態に係る油圧制御装置1が実行する油圧制御の処理手順について説明する。図13は、第2実施形態に係る油圧制御装置1が実行する油圧制御の処理手順を示すフローチャートである。図13は、図10に示したフローチャートに対して、ステップS34とステップS35を追加したものである。図13において、図10と重複するステップの説明は省略する。
次に、図13を用いて、第2実施形態に係る油圧制御装置1が実行する油圧制御の処理手順について説明する。図13は、第2実施形態に係る油圧制御装置1が実行する油圧制御の処理手順を示すフローチャートである。図13は、図10に示したフローチャートに対して、ステップS34とステップS35を追加したものである。図13において、図10と重複するステップの説明は省略する。
振動制御部160’は、振動検出部140から油圧振動を検出した旨の通知を受けた場合(ステップS24 YES)、ステップS25以下の制振制御を開始する。制振制御が開始されると、逆位相信号生成部161は、ステップS25〜S27で入手した油圧振動の振幅、周期、位相に基づき、油圧振動の位相と逆位相となる油圧を与える逆位相信号、すなわち逆位相の正弦波を生成する(ステップS28)。
信号カット制御部165は、テップS25で入手した最新の油圧振動の振幅を閾値B2と比較する(ステップS34)。振幅が閾値B2より大きい場合(ステップS34 NO)、信号カット制御部165は、油圧振動の減衰が十分でないと判断し、ステップS35に移る。
信号カット部162’は、信号カット制御部165より信号低下制御の許可がおりていないため、ステップS28で生成された逆位相信号をそのまま出力する。
一方、信号カット制御部165は、振幅が閾値B2以下に低下したと判断した場合(ステップS34 YES)、信号カット制御部165は、油圧振動の減衰が十分行われていると判断し、ステップ29による信号カット部162’の信号低下制御を許可する。
信号カット部162’は、かかる許可を受けて、逆位相信号の内、油圧を減圧する側の信号成分をカットして出力する(ステップS29)。
このように、第2実施形態の油圧制御装置によれば、油圧振動が発生したとき、振動制御部160’は制振信号として油圧振動の位相と逆位相となる油圧を与える逆位相信号を生成する。また、振動制御部160’は、油圧振動が減衰したことを検出した以降に、油圧を減圧する方向に働く信号成分を低下させる。
これにより、油圧振動をより早く抑制しつつ、油圧振動の抑制過程において、急に油圧が減少し、ベルト挟圧力が低下することを防止できる。
以上、詳細に説明したように、実施形態に係る油圧制御装置1は、油圧回路2に発生した油圧振動を抑制する。油圧制御装置1は、油圧回路2に発生する油圧振動を検出する振動検出部140と、振動検出部140で油圧振動が検出されると、油圧振動を抑制する油圧を与える制振信号を出力する振動制御部160とを備える。振動制御部160は、制振信号の内、油圧を減圧する方向に働く信号成分を低下させる。これにより、油圧振動の抑制過程において、急に油圧が減少し、ベルト挟圧力が低下することを防止できる。
また、実施形態に係る油圧制御装置1では、振動制御部160は、油圧振動が減衰したことを検出した以降に、油圧を減圧する方向に働く信号成分を低下させる。これにより、油圧振動をより早く抑制しつつ、油圧振動の抑制過程において、急に油圧が減少しベルト挟圧力が低下することを防止できる。
また、実施形態に係る油圧制御装置1では、振動制御部160は、油圧振動の振幅が所定の閾値以下になったときに、油圧を減圧する方向に働く信号成分を低下させる。これにより、油圧振動が減衰したことを的確に検出できる。
また、実施形態に係る油圧制御装置1では、制振信号は、油圧振動の振動特性情報に基づき油圧振動の位相と逆位相となる油圧を与える逆位相信号である。これにより、油圧振動を確実に制振することができる。
また、実施形態に係る油圧制御装置1では、振動特性情報は、油圧振動の周波数、位相、および振幅である。これにより、油圧振動を確実に制振することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
1 油圧制御装置
2 油圧回路
7 変速機
11 制御部
110 入力部
120 ソレノイド制御部
130 ソレノイド駆動部
140 振動検出部
150 振動検出制御部
160 振動制御部
2 油圧回路
7 変速機
11 制御部
110 入力部
120 ソレノイド制御部
130 ソレノイド駆動部
140 振動検出部
150 振動検出制御部
160 振動制御部
Claims (7)
- 油圧回路の油圧を目標油圧に制御する油圧制御装置であって、
前記油圧回路の油圧を検出する油圧検出部と、
前記油圧検出部で検出された油圧に基づき、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動が所定の期間閾値以上継続すると油圧振動が発生していることを検出する振動検出部と、
前記油圧検出部で検出された油圧に基づき前記油圧の振動周波数情報を検出する周波数情報検出部と、
前記振動周波数情報に応じて前記所定の期間閾値を変更する変更部と、
を備える油圧制御装置。 - 前記周波数情報検出部は、前記振動周波数情報として前記油圧の振動周波数を検出し、
前記変更部は、前記振動周波数が所定周波数以下のとき前記所定の期間閾値を低下させる請求項1に記載の油圧制御装置。 - 前記周波数情報検出部は、前記振動周波数情報として前記油圧の振動周期を検出し、
前記変更部は、前記振動周期が所定周期以上のとき、前記所定の期間閾値を低下させる請求項1に記載の油圧制御装置。 - 前記周波数情報検出部は、前記振動周波数情報として前記目標油圧近傍における前記油圧の変化量を検出し、
前記変更部は、前記油圧の変化量が所定値以下のとき、前記所定の期間閾値を低下させる請求項1に記載の油圧制御装置。 - 前記目標油圧に関連する目標油圧関連情報の変化率が所定以上である急変状態を検出する急変検出部と、
前記急変状態が検出されると、前記油圧振動の検出を所定期間停止させる停止部と、
を更に備える請求項1乃至4のいずれかに記載の油圧制御装置。 - 前記振動検出部が油圧振動の発生を検出したとき、前記油圧振動を制振させる制御を行う振動制御部、
を更に備える請求項1乃至5のいずれかに記載の油圧制御装置。 - 油圧回路の油圧を目標油圧に制御する油圧制御方法であって、
前記油圧回路の油圧を検出する油圧検出工程と、
前記油圧検出工程で検出された油圧に基づき、所定の振幅値以上の振幅を有する油圧の振動が所定の期間閾値以上継続すると油圧振動が発生していることを検出する振動検出工程と、
前記油圧検出工程で検出された油圧に基づき前記油圧の振動周波数情報を検出する周波数情報検出工程と、
前記振動周波数情報に応じて前記所定の期間閾値を変更する変更工程と、
を備える油圧制御方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2018182836A JP2020051557A (ja) | 2018-09-27 | 2018-09-27 | 油圧制御装置および油圧制御方法 |
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