JP2020051535A - 回転伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転伝達装置が高速に空転する際に外輪と係合子間の摩擦発生を防止する。【解決手段】内輪1の内外に内方部材3と外輪2を同軸に配置する。内輪1と一体に回転しかつ中立位置と係合位置間を径方向移動可能な係合子4を配置する。係合子4は、中立位置で外輪2と接触できず、係合位置で外輪2の係合凹部2aと周方向に係合する。内方部材3のカム面が、内輪1との相対回転を係合子4の径方向移動に変換する。弾性部材5で係合子4を中立位置へ付勢する。前述の相対回転によって弾性変形させられる中立ばね6と、内輪1と内方部材3の一方に対して回り止めされたアーマチュア7と、アーマチュア7に軸方向に対向する電磁石8と、外輪2に対して回り止めされかつアーマチュア7に軸方向に対向するように配置された摩擦面部9と、アーマチュア7を摩擦面部9から離反する方向に押圧する離反ばね10とを備える。【選択図】図1

Description

この発明は、動力伝達経路における動力の伝達と遮断の切り替えに用いられる回転伝達装置に関する。
従来、回転伝達装置として、内方部材と、この内方部材の外方に配置された内周部を有する外輪と、それら内方部材と外輪間で回転トルクの伝達と遮断を行うクラッチ機構とを備えるものが知られている。そのクラッチ機構は、外輪の内周部と、内方部材との間に配置された係合子としてのローラと、係合子を保持する保持器とを有する。係合子は、内方部材に対する保持器の相対回転によって円筒面及びカム面に係合する係合位置と、当該係合を解除する中立位置との間を移動可能に配置されている。保持器の相対回転を制御する手段として、中立ばねと、電磁石と、ロータと、アーマチュアとを備えるものがある(例えば、特許文献1)。
特許文献1の回転伝達装置では、中立ばねが、内方部材に対する保持器の相対回転により弾性変形させられ、その復元弾性により、内輪は、係合子を中立位置に移動させるように復帰回転させられる。アーマチュアは、軸方向に移動可能に支持されており、また、保持器に対して回り止めされている。ロータは、外輪に対して回り止めされている。電磁石に対する通電により、アーマチュアがロータに吸着されると、保持器が、アーマチュア、ロータを介して外輪に接続され、その保持器と内方部材の相対回転により、係合子が外輪および内方部材に係合させられ、内方部材と外輪間において回転トルクが伝達される。前述の通電を遮断すると、中立ばねのばね力により保持器が復帰回転させられ、この保持器に周方向に押される係合子が中立位置に移動させられて、前述の係合が解除される。特許文献1のような回転伝達装置では、係合子の係合によって大きなトルク伝達容量を実現することができる。
特開2005−90678号公報
しかしながら、特許文献1のような回転伝達装置では、係合子としてのローラが中立位置にあり、かつ内方部材が外輪に対して高速に空転することがある。このとき、その内方部材のカム面と保持器のポケット面に保持されたローラは、内方部材及び保持器と共に高速に回転する。このため、ローラに作用する遠心力により、ローラが外輪の円筒面に押し付けられることがある。ここで、内方部材と外輪間の相対的な回転速度差が大きい場合、ローラが外輪の円筒面に対して高速回転し、円筒面とローラの摺動部で生じる摩擦が引き摺りトルクとなり、ローラや円筒面の摩耗、ローラのミス係合(ローラが不正に係合位置へ移動させられる)、動力損失の原因になる。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、回転伝達装置が高速に空転する際に外輪と係合子間の摩擦発生を防止することにある。
上記の課題を達成するため、この発明は、内輪と、前記内輪と同軸回りに回転可能かつ当該内輪に対して外方に配置された外輪と、前記内輪と同軸回りに回転可能かつ当該内輪に対して内方に配置された内方部材と、前記内輪と一体に回転するようにかつ当該内輪に対して径方向に移動可能に配置された係合子と、前記内輪に対して前記係合子を付勢する弾性部材と、前記内輪に対する前記内方部材の相対回転によって弾性変形させられる中立ばねと、前記内輪と前記内方部材のいずれか一方の部材に対して回り止めされたアーマチュアと、前記アーマチュアに軸方向に対向する電磁石と、前記電磁石への通電によって吸引される前記アーマチュアを受け止めて当該アーマチュアの回転に抵抗するように配置された摩擦面部と、前記アーマチュアを前記摩擦面部から離反する方向に押圧する離反ばねと、を備え、前記外輪が、前記係合子の外方端部に径方向に対向する係合凹部を有し、前記係合子が、前記外輪に接触不可な中立位置と、前記外輪の前記係合凹部に周方向に係合する係合位置との間を径方向に往復可能に配置されており、前記弾性部材が、前記係合子を前記中立位置に向けて付勢するように前記内輪と当該係合子との間に配置されており、前記内方部材が、前記内輪に対する当該内方部材の相対回転を前記係合子の前記中立位置と前記係合位置間の移動に変換するカム面を有する回転伝達装置に構成した。
上記構成によれば、外輪が入力側又は出力側となるとき、内輪と内方部材のうち、アーマチュアに対して回り止めされた一方の部材と反対の他方の部材が、外輪に対して出力側又は入力側となるように、回転伝達装置を使用することができる。外輪の係合凹部と係合子の外方端部が径方向に対向する状態で電磁石へ通電すると、アーマチュアが磁気的に吸引されて摩擦面部に受け止められる。その摩擦面部がアーマチュアの回転に抵抗するため、アーマチュアに対して回り止めされた一方の部材が、他方の部材に対して回転させられる。この回転が内方部材のカム面によって係合子の径方向移動に変換され、係合子が弾性部材に抗して中立位置から係合位置に移動させられる。このため、係合子の外方端部は、外輪の係合凹部に周方向に係合することができる。この係合により、外輪と他方の部材との間で係合子を介したトルク伝達が行われる。その通電を遮断すると、離反ばねの弾性復元により、アーマチュアが摩擦面部から離され、中立ばね、弾性部材の弾性復元により、係合子が中立位置へ復帰させられるまで一方の部材が他方の部材に対して回転させられる。電磁石への通電が遮断状態のとき、離反ばねにより、アーマチュアが摩擦面部から離れた状態に保たれ、中立ばねにより、係合子が外輪と接触不可な中立位置にあるように内輪と内方部材の位相が保たれる。このため、他方の部材は、外輪に対して空転することができる。このとき、弾性部材により、係合子が内輪に対して中立位置に向けて付勢されるため、係合子の係合位置への移動が防止される。このため、他方の部材が外輪に対して高速に空転しても、外輪と係合子間の摩擦発生が防止される。
具体的には、前記内方部材が、軸方向にアーマチュア側に向かって開放した内方凹部を有し、前記内輪が、前記係合子を径方向に案内する溝部と、前記内方凹部に径方向に連通する外方凹部とを有し、前記溝部及び前記外方凹部が、軸方向にアーマチュア側に向かって開放した形状であり、前記中立ばねが、前記内方凹部と前記外方凹部とに嵌っており、前記係合子及び前記中立ばねのアーマチュア側への軸方向移動を規制する押え部材をさらに備え、前記押え部材が、前記アーマチュアに周方向に係合する第一回り止め部と、前記一方の部材に周方向に係合する第二回り止め部とを有するとよい。このようにすると、係合子、中立ばねをそれぞれ対応の溝部、内方凹部、外方凹部に対して軸方向に挿入して所定の姿勢に配置し、それら係合子、中立ばねの対応の溝部、内方凹部、外方凹部からアーマチュア側への抜け出しを押え部材で規制し、係合子の径方向移動を溝部で安定させ、前述の通電遮断時に内方部材と内輪を中立ばねで連れ回し、前述の通電時に内方凹部と外方凹部で中立ばねを弾性変形させることができ、また、その押え部材を利用してアーマチュアと一方の部材間の回り止めを行うことができる。
一例として、前記内輪が、前記溝部から内方へ延びるフランジ部と、前記フランジ部から軸方向にアーマチュア側へ延びる第一軸部とを有し、前記一方の部材が前記内方部材であり、前記アーマチュア、前記内方部材及び前記押え部材が、前記第一軸部の外周に嵌合されており、前記内輪に対する前記内方部材の軸方向移動が、前記押え部材と前記フランジ部とによって規制されているとよい。このようにすると、前述の他方の部材である内輪の第一軸部でアーマチュア、内方部材、押え部材を内輪と同軸上で相対回転可能に支持することができる。また、内輪と押え部材を利用して、内方部材と内輪の相対的な軸方向のずれ合いを防止することができる。
ここで、前記内輪のうちの前記係合子と軸方向に対向する部位を軸方向に貫通するようにばね孔が形成されており、前記内輪が、前記フランジ部の前記ばね孔よりも内方の部位から軸方向に反アーマチュア側へ延びる第二軸部を有し、前記第二軸部の外周と前記外輪の内周との間に介在する軸受と、前記軸受と前記フランジ部との間に介在するように前記第二軸部の外周に嵌合された間座と、をさらに備え、前記係合子が、前記ばね孔に挿入された突部を有し、前記弾性部材が、前記ばね孔に挿入されており、前記係合子と前記間座とによって、前記弾性部材が前記突部の外方に保たれているとよい。このようにすると、軸受により、内輪と外輪とを同軸上で相対回転可能に支持することができる。また、ばね孔を深さ管理が不要な貫通孔としつつ、軸受と間座と係合子とを利用して弾性部材を突部上に適切に保ち、係合子を中立位置に向けて付勢することができる。
他の例として、前記内輪が、前記溝部から内方へ延びるフランジ部を有し、前記内方部材が、前記内方凹部から軸方向にアーマチュア側へ延びる第一軸部と、前記フランジ部よりも内方を通って軸方向に反アーマチュア側へ延びる第二軸部とを有し、前記第二軸部の外周と前記外輪の内周との間に介在する軸受と、前記軸受と前記フランジ部との間に介在するように前記第二軸部の外周に嵌合された間座と、をさらに備え、前記一方の部材が前記内輪であり、前記アーマチュア及び前記押え部材が、前記第一軸部の外周に嵌合されており、前記フランジ部が、前記第二軸部の外周に嵌合されており、前記内方部材に対する前記内輪の軸方向移動が、当該内方部材と前記間座とによって規制されているとよい。このようにすると、軸受により、内方部材と外輪とを同軸上で相対回転可能に支持することができる。前述の他方の部材である内方部材の第一軸部、第二軸部でアーマチュア、内輪、押え部材を内方部材と同軸上で相対回転可能に支持することができる。また、軸受と間座と内方部材とを利用して、内方部材と内輪の相対的な軸方向のずれ合いを防止することができる。
ここで、前記内輪のうちの前記係合子と軸方向に対向する部位を軸方向に貫通するようにばね孔が形成されており、前記係合子が、前記ばね孔に挿入された突部を有し、前記弾性部材が、前記ばね孔に挿入されており、前記係合子と前記間座とによって、前記弾性部材が前記突部の外方に保たれているとよい。このようにすると、ばね孔を深さ管理が不要な貫通孔としつつ、軸受と間座と係合子とを利用して弾性部材を突部上に適切に保ち、係合子を中立位置に向けて付勢することができる。
また、前記摩擦面部が、前記外輪に対して回り止めされかつ前記アーマチュアに軸方向に対向するように配置されているとよい。このようにすると、外輪が高速回転する場合に好適なものとなる。
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、回転伝達装置が高速に空転する際に外輪と係合子間の摩擦発生を防止することができる。
この発明の第一実施形態に係る回転伝達装置を示す断面図 図1の回転伝達装置の要部の分解斜視図 図1のIII−III線の切断面を示す断面図 図1のIV−IV線の切断面を示す断面図 図1の回転伝達装置の動作を示す断面図 この発明の第二実施形態に係る回転伝達装置を示す断面図 図6の回転伝達装置の要部の分解斜視図 図6のVIII−VIII線の切断面を示す断面図 図6のIX−IX線の切断面を示す断面図 図6の回転伝達装置の動作を示す断面図
この発明に係る一例としての第一実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、第一実施形態の回転伝達装置を、例えば、自動車用トランスミッションの隔壁の一部である静止部材Wに取り付けた状態を示している。
この回転伝達装置は、内輪1と、内輪1と同軸回りに回転可能かつ内輪1に対して外方に配置された外輪2と、内輪1と同軸回りに回転可能かつ内輪1に対して内方に配置された内方部材3と、内方部材3と外輪2との間に配置された複数の係合子4と、内輪1に対して係合子4を付勢する弾性部材5と、内輪1に対して内方部材3を付勢する中立ばね6と、内輪1と内方部材3のいずれか一方の部材としての内方部材3に対して回り止めされたアーマチュア7と、アーマチュア7に軸方向に対向する電磁石8と、電磁石8への通電によって吸引されるアーマチュア7を受け止めて当該アーマチュア7の回転に抵抗するように配置された摩擦面部9と、アーマチュア7を付勢する離反ばね10と、内方部材3と外輪2との間に配置された軸受11と、軸受11と内輪1との間に配置された間座12と、係合子4等に対してアーマチュア7側に配置された押え部材13とを備える。
以下、内輪と外輪と内方部材の同軸の軸線(回転中心線)に沿った方向を「軸方向」という。また、その軸方向に直交する方向を「径方向」という。また、その軸線回りに一周する円周方向を「周方向」という。
内輪1は、係合子4と弾性部材5を案内、支持するためのものであって、この例では、回転伝達経路を構成する回転軸(図示省略)に連結される伝達軸を兼ねている。一方、外輪2は、その回転伝達経路を構成する他の回転軸(図示省略)に連結される。内輪1と外輪2の一方が他方側へ回転トルクを伝達する入力軸となり、他方が一方側から伝達されたトルクで回転する出力軸となる。内輪1と外輪2のどちらが入力軸となるかは限定されない。
図1、図2に示すように、内輪1は、係合子4を径方向に案内する複数の溝部1aと、溝部1aから内方へ延びるフランジ部1bと、フランジ部1bから軸方向にアーマチュア7側(図1において左方向)へ延びる第一軸部1cと、フランジ部1bから軸方向に反アーマチュア7側(図1において右方向)へ延びる第二軸部1dとを有する。なお、図2では、第一軸部1cのアーマチュア7側、外輪2のアーマチュア7側をそれぞれ切欠き、軸受11、間座12の図示を省略している。
外輪2は、係合子4の外方端部4aに径方向に対向する二箇所以上の係合凹部2aと、これら係合凹部2aに対してアーマチュア7側に位置する筒部2bと、それら係合凹部2aに対して反アーマチュア7側に位置する軸受座部2cと、軸受座部2cから軸方向に延びる軸部2dとを有する。軸部2dは、前述の回転軸との連結に使用される。筒部2bに摩擦面部9が連結されている。
摩擦面部9は、外輪2に対して回り止めされかつアーマチュア7に軸方向に対向するように配置されている。摩擦面部9は、内方円筒部と、この内方円筒部の外方に位置する外方円筒部と、これら内方円筒部と外方円筒部間を径方向に繋ぐ側端部とを有するロータからなる。摩擦面部9は、その外方円筒部を外輪2の筒部2bに圧入することによって外輪2に固定されている。その固定により、摩擦面部9は、電磁石8に吸引されるアーマチュア7を摩擦面部9の側端部において軸方向に受け止めることができ、かつ摩擦面部9の外方円筒部において外輪2と同軸上で一体に回転することができるように連結されている。なお、摩擦面部9は、ロータガイドを介して外輪に固定してもよい。
内輪1の溝部1aは、溝幅を二等分する径方向の仮想溝中心線に沿った方向に延びる平行溝状になっている。溝部1aの数は、係合子4と同数である。内輪1のうち、周方向に隣り合う溝部1a同士の間は、周方向に連続する円弧状部になっている。それら複数の溝部1a及び円弧状部と第一軸部1cとの間は、円環状の空間になっている。溝部1aは、その円環状の空間から内輪1の外周まで径方向に貫通している。
フランジ部1bは、複数の溝部1a及び円弧状部から第一軸部1cまで延びる円盤状になっている。フランジ部1bの両側面は、それぞれ径方向に沿っている。そのフランジ部1bのアーマチュア7側の側面は、内方部材3と軸方向に接触する。そのフランジ部1bの反アーマチュア側の側面は、間座12と軸方向に接触する。フランジ部1bは、回転トルクに対する内輪1の剛性向上に寄与する。
内輪1のうち、係合子4と軸方向に対向する部位には、弾性部材5を収容するばね孔1eが形成されている。ばね孔1eは、溝部1aの溝底の一部とフランジ部1bの一部を軸方向に貫通している。内輪1のうち、ばね孔1eを形成する孔内面は、弾性部材5を前述の仮想溝中心線に沿った方向に伸縮可能な姿勢に支持する形状になっている。その孔内面は、前述の仮想溝中心線を含む長手側孔軸線に沿った長手面部と、その長手側孔軸線に直角な短手側孔軸線に沿った短手面部と、これら長手面部と短手面部とを繋ぐ各隅面部とからなる。
第二軸部1dは、フランジ部1bのばね孔1eよりも内方の部位から軸方向に反アーマチュア7側へ延びている。フランジ部1bと第一軸部1cと第二軸部1dは、同軸に設けられている。第二軸部1dの外径は、第一軸部1cの外径よりも大きく設定されている。第一軸部1cは、前述の回転軸との連結に使用される。
軸受11は、内輪1の第二軸部1dの外周に嵌合された内方軌道輪11aと、外輪2の軸受座部2cの内周に嵌合された外方軌道輪11bとを有する転がり軸受からなる。軸受11は、内輪1と外輪2とを同軸上で相対回転可能に支持する。軸受11の反アーマチュア7側への軸方向移動は、外方軌道輪11bと軸受座部2cとの突き合いによって規制されている。軸受11のアーマチュア7側への軸方向移動は、外輪2の内周に取り付けられた止め輪14によって規制されている。なお、軸受11として、内方軌道輪11aの軌道と、外方軌道輪11bの軌道間に介在する複数の転動体によって内外の軌道輪11a,11bを容易に分離できない非分離型の玉軸受を例示したが、これに限定されるものではない。
内輪1の第一軸部1cと摩擦面部9の内方円筒部との間に他の軸受15が介在している。他の軸受15は、内輪1と摩擦面部9とを同軸上で相対回転可能に支持する。
間座12は、内輪1に対する軸受11の軸方向位置を一定に定める環状のものである。間座12は、第二軸部1dの外周に嵌合されている。間座12の外径は、内輪1のフランジ部1bの外径と同等に設定されている。間座12のアーマチュア7側の側面は、全てのばね孔1eを覆うようになっている。
なお、内輪1、外輪2の全体を一体に形成する必要なく、別体の軸部を内輪本体、外輪本体に連結するようにしてもよい。その連結手段は特に限定されず、例えば、セレーション嵌合、スプライン嵌合、キーによる連結等が挙げられる。また、軸部を中実状にする必要はなく、中空軸状にしてもよい。また、内輪及び外輪を収容するハウジングを備え、そのハウジングに電磁石を取り付け、外輪の外周とハウジングの内周間に軸受を配置して外輪をハウジングに対して回転自在に支持し、そのハウジングを壁部等の他の静止部位に固定するようにしてもよい。
図2、図3に示すように、内方部材3は、内輪1に対して同軸回りに回転自在に配置されている。内方部材3は、第一軸部1cの外周に嵌合された内周部3aと、内方部材3の外周に形成された複数のカム面3bとを有する。
内方部材3の内周部3aは、円筒面状になっている。内周部3aと第一軸部1cとの嵌め合いは、内方部材3の外周と内輪1の円弧状壁との間の径方向すきまよりも小さく設定されている。内方部材3が回転する際、内方部材3は、第一軸部1cによって径方向に案内される。
カム面3bは、周方向両側に向かって外方へ拡径する形状になっている。複数のカム面3bの周方向のピッチ角度と、複数の溝部1aの周方向のピッチ角度とは、同じに設定されている。カム面3bは、カム面3bの軸方向幅の管理を不要にするため、内方部材3を軸方向に貫通する溝状になっている。内方部材3の外周のうち、周方向に隣り合うカム面3b間は、円弧状になっている。
係合子4は、溝部1aに対して径方向にスライド可能な平行キー状になっている。係合子4の外方端部4aは、外輪2の係合凹部2aの溝底面に径方向に対向する先端面と、係合凹部2aの平行溝内面に周方向に係合可能な対向面とを有する。係合子4の内方端部4bは、常にカム面3bとの接触を維持可能な曲面状になっている。内輪1に対する係合子4の周方向移動は、溝部1aによって規制されている。つまり、係合子4は、内輪1と一体に回転するようにかつ当該内輪1に対して径方向に移動可能に配置されている。係合子4の外方端部4aは、外輪2と径方向に対向する先端面を有する。
係合子4は、図1、図4に示すように、内輪1のばね孔1eに挿入された突部4cを有する。弾性部材5は、係合子4を内輪1の溝部1aと、内方部材3のカム面3bで支持する状態でばね孔1eに対して反アーマチュア7側から係合子4の突部4cの外方に挿入される。間座12が内輪1の第二軸部1dの外周に対する嵌合によって取り付けられると、係合子4と間座12とによって、ばね1eに挿入された弾性部材5が、突部4cの外方に保たれている。なお、図では弾性部材5として圧縮コイルばねを例示したが、これに限定されるものではない。
ここで、図1、図3、図4は、カム面3bの周方向中央と溝部1aの周方向中央とが径方向に正対する内輪1と内方部材3の中立時位相を示している。その中立時位相のとき、係合子4の外方端部4aが外輪2と接触不可な中立位置にあり、係合子4の内方端部4bがカム面3bの周方向両側に接触している。その中立時位相から内方部材3が内輪1に対して回転すると、図5に示すように、内輪1の溝部1aによって周方向移動が規制された係合子4に対しても内方部材3が回転することになる。この回転中、内方部材3のカム面3bは、弾性部材5に抗して係合子4の内方端部4bに係合子4を外方へ押し出す径方向分力を与えつつ、当該内方端部4bに対して周方向に変位するように当該内方端部4bに摺接する。その摺接は、カム面3bによる前述の押し出しによって溝部1aから外方へ突出する係合子4の外方端部4aが外輪2の係合凹部2aに周方向に係合する係合位置になるまで可能となっている。その回転後、内方部材3が内輪1に対して逆回転し、図3に示す中立時位相に復帰するとき、弾性部材5の弾性復元により、係合子4が内方へ押されて中立位置へ復帰させられる。
このように、係合子4は、外輪2に接触不可な中立位置と、外輪2の係合凹部2aに周方向に係合する係合位置との間を径方向に往復可能に配置され、カム面3bは、内輪1に対する内方部材3の相対回転を係合子4の中立位置と係合位置間の移動に変換するように設けられている。
なお、図2に示すように、外輪2の係合凹部2aの総数は、係合子4を係合凹部2aに突入させることが可能な位相を増やすため、係合子4の総数の3倍とされている。この倍率は任意に変更すればよい。
図1〜図3に示すように、内方部材3は、中立ばね6の大部分を嵌め込み可能な内方凹部3cを有する。内輪1は、中立ばね6の残部を嵌め込み可能な外方凹部1fを有する。内方凹部3cおよび外方凹部1fは、軸方向にアーマチュア7側に向かって開放している。
中立ばね6は、内輪1に対する内方部材3の相対回転により弾性変形させられ、その復元弾性によって当該内輪1と内方部材3を相対的に復帰回転させる弾性部材からなる。中立ばね6は、内輪1と内方部材3を前述の中立時位相となるように弾性的に保持する。
中立ばね6は、C形のリング部6aと、リング部6aの両端から内輪1側に向けて形成された一対の係合片部6bとを有する金属ばねからなる。中立ばね6のうち、リング部6aの外径側と、一対の係合片部6bのリング部6a側とが、内方部材3の内方凹部3cに嵌っている。中立ばね6のうち、一対の係合片部6bの突端側が、内輪1の外方凹部1fに嵌っている。
内方凹部3cは、リング部6aを径方向に支持すると共に、一対の係合片部6bに周方向両側から当接し、かつ中立ばね6を軸方向にアーマチュア7側に向かって支持可能な凹形状になっている。
外方凹部1fは、内方凹部3cに径方向に連通し、かつ一対の係合片部6bに周方向両側から当接する溝状になっている。外方凹部1fは、周方向に隣り合う溝部1a間に連なる一箇所の円弧状壁に形成されている。外方凹部1fは、前述の円弧状壁の周方向中程の外周から前述の円環状の空間まで貫通している。
一対の係合片部6bは、内方凹部3c、外方凹部1fを周方向の相反する方向に向かって押圧する。その押圧によって、内輪1と内方部材3は、前述の中立時位相に弾性的に保持される。図5に例示するように、内輪1と内方部材3間の相対回転が起こると、その回転方向に応じた側の係合片部6bが内方凹部3cから周方向に押されて、一対の係合片部6b間が狭くなり、その内方凹部3cから押されなくなると、一対の係合片部6bが図3の状態に弾性復元する。
図1、図2に示すように、押え部材13は、内輪1の第一軸部1cの外周に嵌合された内周部13aと、アーマチュア7に周方向に係合する第一回り止め部13bと、内方部材3(一方の部材)に周方向に係合する第二回り止め部13cとを有する。
押え部材13の内周部13aは、第一軸部1cと同軸上で相対回転可能な円筒面状になっている。
押え部材13のアーマチュア7側への軸方向移動は、第一軸部1cに取り付けられた止め輪16によって規制されている。押え部材13は、全ての係合子4及び中立ばね6のアーマチュア7側への軸方向移動を規制する。その規制により、溝部1aからアーマチュア7側への係合子4の脱出が防止され、内方凹部3c及び外方凹部1fからアーマチュア7側への中立ばね6の脱出が防止されている。
また、内輪1に対する内方部材3のアーマチュア7側への軸方向移動は、押え部材13によって規制されている。内輪1に対する内方部材3の反アーマチュア7側への軸方向移動は、フランジ部1bによって規制されている。これら規制により、内輪1の溝部1aと、内方部材3のカム面3bとが、係合子4と実質的に同じ軸方向位置に維持される。
押え部材13の第二回り止め部13cは、図1、図3に示すように、内方部材3のスリット部3dに挿入された突片部からなる。スリット部3dは、軸方向にアーマチュア7側に向かって開放し、かつ径方向に延びる平行溝状になっている。スリット部3dは、第二回り止め部13cと周方向に係合する。
図1に示すように、アーマチュア7は、内輪1の第一軸部1cの外周に嵌合されている。アーマチュア7は、摩擦面部9と止め輪16との間で、第一軸部1cに対して軸方向にスライド可能かつ第一軸部1cに対して相対回転可能に配置されている。
押え部材13の第一回り止め部13bは、アーマチュア7の係合口7aに挿入された突片部からなる。係合口7aは、アーマチュア7のスライドストロークの全域で第一回り止め部13bと周方向に係合する。
押え部材13の第一回り止め部13bとアーマチュア7の係合口7a間の周方向係合により、押え部材13がアーマチュア7に対して回り止めされている。押え部材13の第二回り止め部13cと内方部材3のスリット部3d間の周方向係合により、押え部材13が内方部材3に対して回り止めされている。すなわち、アーマチュア7は、押え部材13を介して内方部材3(一方の部材)に対して回り止めされている。
なお、図2では、一対の第一回り止め部13b、一対の第二回り止め部13cを周方向の複数箇所に分散配置で形成し、対応のスリット部3d、係合口7aも同様に配置したが、それらの数、配置、形態は、中立ばねや係合子との干渉の懸念がない範囲で適宜に定めればよい。
電磁石8は、フィールドコア8aと、フィールドコア8aに支持された電磁コイル8bとからなる。フィールドコア8aは、ヨークとして機能する強磁性材製のものである。フィールドコア8aは、摩擦面部9の内方円筒部と外方円筒部との間の空間に配置されている。電磁コイル8bは、フィールコア8a内の環状空間に配置されており、当該環状空間への樹脂充填、接着、フィールドコアへの巻き付け等の適宜の手段でフィールドコア8aに固定されている。電磁石8は、そのフィールドコア8aにおいて静止部材Wに固定されている。
離反ばね10は、アーマチュア7を摩擦面部9から離反する方向に押圧する。離反ばね10は、アーマチュア7とロータ31の対向面間に介在している。離反ばね10は、アーマチュア7を摩擦面部9から離反する方向に押圧する。離反ばね10は、例えば、ウェーブワッシャ状又はコイル状の金属ばねである。離反ばね10のばね力によってアーマチュア7が摩擦面部9から離反させられる際、止め輪16に軸方向に当接することにより、摩擦面部9から離反する方向へのアーマチュア7の移動が停止させられる。
この回転伝達装置の動作について説明する(図1を適宜参照)。先ず、電磁石8の電磁コイル8bへの通電が遮断されている状態では、係合子4が中立位置にあり(図3参照)、内方部材3(一方の部材)と内輪1(他方の部材)は、中立ばね6のばね力により、カム面3bに対して係合子4を中立位置に保つ中立時位相に保持され、係合子4は、弾性部材5のばね力により中立位置に向けて付勢されている。このため、内輪1、外輪2が図3における左回り又は右回りのいずれに回転するとしても、その回転トルクは、係合子4を介して内輪1と外輪2間で伝達されず、内輪1と外輪2が相対的に空転(フリー回転)する状態にある。つまり、回転伝達装置は、内輪1と外輪2間での回転トルクの伝達を遮断する係合解除状態にある。
この係合解除状態において、内輪1が回転する場合、その回転は、中立ばね6を介して内方部材3に伝達され、内輪1及び溝部1aに連れ回される係合子4と共に回転する。また、アーマチュア7は、押え部材13を介して内方部材3に対して回り止めされているため、アーマチュア7、押え部材13も共に回転する。この場合、係合子4には、内輪1の回転速度に応じた遠心力が作用するが、係合子4の突部4cに作用する弾性部材5のばね力により、係合子4の外方への移動、すなわち係合子4と外輪2の接触が防止される(図3、図4参照)。
係合子4の外方端部4aを外輪2の係合凹部2aに突入させることが可能な位相で内輪1と外輪2が同期回転している状態において、電磁石8の電磁コイル8bに通電すると、アーマチュア7が、離反ばね10のばね力に抗して摩擦面部9に磁気的に吸着させられ、摩擦面部9とアーマチュア7の吸着面に作用する摩擦抵抗が内方部材3の回転抵抗となる。その摩擦抵抗は、中立ばね6のばね力よりも予め大きな値に設定されている。このため、中立ばね6が弾性変形を生じて、内方部材3が内輪1に対して相対回転する(図5参照)。その相対回転により、係合子4の内方端部4bが内方部材3のカム面3bによって外方へ押される。このとき、係合子4の内方端部4bに与えられる径方向外向きの推力は、弾性部材5のばね力よりも大きくなる。このため、弾性部材5が係合子4によって外方へ圧縮され、係合子4が内輪1の溝部1aから外方へ突出させられ、係合子4の外方端部4aが外輪2の係合凹部2aに突入させられ、当該係合凹部2aに周方向に係合する係合位置まで移動させられる。内輪1又は外輪2の入力側からの回転トルクは、係合凹部2aに対して当該回転トルクに対応の周方向に係合する係合子4を介して、出力側に伝達される。つまり、回転伝達装置は、係合子4を介して内輪1と外輪2間で回転トルクを伝達する係合状態になる。
この係合状態において、電磁石8の電磁コイル8bに対する通電を遮断すると、弾性復元する離反ばね10がアーマチュア7を押圧することにより、アーマチュア7が摩擦面部9から離反させられる。このアーマチュア7の軸方向移動は、止め輪16によって規制される。また、アーマチュア7が摩擦面部9から離反すると、中立ばね6、弾性部材5のばね力により、内輪1と内方部材3が係合時の逆方向に相対回転させられ、係合子4が中立位置に戻される。このため、回転伝達装置は、係合解除状態になる。
上述のように、この回転伝達装置は、外輪2が入力側又は出力側となるとき、内輪1と内方部材3のうち、アーマチュア7に対して回り止めされた内方部材3(一方の部材)と反対の内輪1(他方の部材)が、外輪2に対して出力側又は入力側となるように使用することが可能であり、その電磁石8への通電が遮断状態のとき、弾性部材5により、係合子4が内輪1に対して外輪2に接触不可な中立位置に向けて付勢されるため、回転伝達装置が高速に空転する際(内輪1が外輪2に対して高速に空転する際)に外輪2と係合子4間の摩擦発生を防止することができる。
また、この回転伝達装置は、内方部材3が軸方向にアーマチュア7側に向かって開放した内方凹部3cを有し、内輪1が係合子4を径方向に案内する溝部1aと、内方凹部3cに径方向に連通する外方凹部1fとを有し、溝部1a及び外方凹部1fが軸方向にアーマチュア7側に向かって開放した形状であり、中立ばね6が内方凹部3cと外方凹部1fとに嵌っており、係合子4及び中立ばね6のアーマチュア7側への軸方向移動を規制する押え部材13をさらに備えるので、係合子4、中立ばね6をそれぞれ対応の溝部1a、内方凹部3c、外方凹部1fに対して軸方向に挿入して所定の姿勢に配置し、それら係合子4、中立ばね6の対応の溝部1a、内方凹部3c、外方凹部1fからアーマチュア7側への抜け出しを押え部材13で規制し、係合子4の径方向移動を溝部1aで安定させ、前述の通電遮断時に内方部材3と内輪1を内方凹部3cと外方凹部1fに嵌る中立ばね6で連れ回し、前述の通電時に内方凹部3cと外方凹部1fで中立ばね6を弾性変形させることができる。
また、この回転伝達装置は、その押え部材13がアーマチュア7に周方向に係合する第一回り止め部13bと、内方部材3(一方の部材)に周方向に係合する第二回り止め部13cとを有するので、押え部材13を利用してアーマチュア7と内方部材3(一方の部材)間の回り止めを行うことができる。
また、この回転伝達装置は、内輪1が溝部1aから内方へ延びるフランジ部1bと、フランジ部1bから軸方向にアーマチュア7側へ延びる第一軸部1cとを有し、アーマチュア7、アーマチュア7に対して回り止めされた内方部材3(一方の部材)及び押え部材13が第一軸部1cの外周に嵌合されており、内輪1に対する内方部材3の軸方向移動が押え部材13とフランジ部1bとによって規制されているので、内輪1(他方の部材)の第一軸部1cでアーマチュア7、内方部材3、押え部材13を内輪1と同軸上で相対回転可能に支持することができ、また、内輪1と押え部材13を利用して、内方部材3と内輪1の相対的な軸方向のずれ合いを防止することができる。
また、この回転伝達装置は、内輪1がフランジ部1bのばね孔1eよりも内方の部位から軸方向に反アーマチュア7側へ延びる第二軸部1dを有し、第二軸部1dの外周と外輪2の内周との間に介在する軸受11をさらに備えるので、軸受11により、内輪1と外輪2とを同軸上で相対回転可能に支持することができる。
また、この回転伝達装置は、内輪1のうちの係合子4と軸方向に対向する部位を軸方向に貫通するようにばね孔1eが形成されており、軸受11とフランジ部1bとの間に介在するように第二軸部1dの外周に嵌合された間座12をさらに備え、係合子4がばね孔1eに挿入された突部4cを有し、弾性部材5がばね孔1eに挿入されており、係合子4と間座12とによって弾性部材5が突部4cの外方に保たれているので、ばね孔1eを深さ管理が不要な貫通孔としつつ、軸受11と間座12と係合子4とを利用して弾性部材5を突部4c上に適切に保ち、係合子4を中立位置に向けて付勢することができる。
また、この回転伝達装置は、摩擦面部9が外輪2に対して回り止めされかつアーマチュア7に軸方向に対向するように配置されているので、外輪2が高速回転する場合に好適なものとなる。すなわち、外輪2が高速回転する場合、係合子4が係合位置にあるとき、外輪2、摩擦面部9及びアーマチュア7が一体的に高速回転することになるので、摩擦面部9とアーマチュア7間の摩擦接触部の摩耗を防止することができる。
なお、外輪2が静止又は微動回転しかしない場合、この回転伝達装置は、内輪1(一方の部材)の回転を制動する装置として使用することができる。この場合、係合子4が係合位置にあるとき、静止する電磁石8に対して外輪2が回転しない又は微動回転しかしないため、ロータを省いて電磁石8のフィールドコアの一部を摩擦面部とすることも可能である。
第一実施形態では、内輪1を他の回転軸に連結するようにしたが、内方部材を他の回転軸に連結するように構成してもよい。その一例としての第二実施形態を図6〜図10に基いて説明する。なお、以下では、第一実施形態との相違点を述べるに留める。
図6、図7に示すように、この回転伝達装置に係る内輪21は、フランジ部21aから突出する第一軸部及び第二軸部をもたない環状のものとされている。内輪21の内径は、フランジ部21aの内周縁で規定されている。
内方部材22は、図6〜図8に示すように、内方凹部3cから軸方向にアーマチュア7側へ延びる第一軸部22aと、図6、図9に示すように、フランジ部21aよりも内方を通って軸方向に反アーマチュア7側へ延びる第二軸部22bとを有する。第一軸部22aは、前述の他の回転軸に連結される。
図6に示すように、アーマチュア7及び押え部材23は、第一軸部22aの外周に嵌合されている。押え部材23は、内輪21に周方向に係合する第二回り止め部23aを有する。内輪21(一方の部材)は、第二回り止め部23aに周方向に係合するスリット部21bを有する。すなわち、押え部材23を利用して内輪21とアーマチュア7間の回り止めが行われている。
内輪21のフランジ部21aは、図6、図9に示すように、第二軸部22bの外周に嵌合されている。フランジ部21aの内周縁は、円筒面状になっている。フランジ部21aの内周縁と第二軸部22bとの嵌め合いは、内方部材22の外周と内輪21の円弧状壁との間の径方向すきまよりも小さく設定されている。内輪21が回転する際、内輪21は、第二軸部22bによって径方向に案内される。
図10に例示するように、内輪21と内方部材22間の相対回転が起こると、その回転方向に応じた側の係合片部6bが外方凹部1fから周方向に押されて、一対の係合片部6b間が狭くなり、その外方凹部1fから押されなくなると、一対の係合片部6bが図8の状態に弾性復元する。
図6に示すように、軸受11の内方軌道輪11a、間座12は、それぞれ第二軸部22bの外周に嵌合されている。内方部材22に対する内輪21のアーマチュア7側への軸方向移動は、フランジ部21aに軸方向に対向する内方部材22の側面部によって規制されている。内方部材22に対する内輪21の反アーマチュア7側への軸方向移動は、フランジ部21aに軸方向に対向する間座12によって規制されている。これら規制により、内輪21の溝部1aと、内方部材22のカム面3bとが、係合子4と実質的に同じ軸方向位置に維持される。
この回転伝達装置では、外輪2が入力側又は出力側となるとき、内輪21と内方部材22のうち、アーマチュア7に対して回り止めされた内輪21(一方の部材)と反対の内方部材22(他方の部材)が、外輪2に対して出力側又は入力側となる(以下、図6を適宜参照)。電磁石8への通電が遮断状態のとき、離反ばね10により、アーマチュア7が摩擦面部9から離れた状態に保たれ、中立ばね6により、係合子4が外輪2と接触不可な中立位置にあるように内輪21と内方部材22の位相が保たれる(図8参照)。このため、内方部材22は、外輪2に対して空転することができる。このとき、弾性部材5により、係合子4が内輪21に対して中立位置に向けて付勢されるため、係合子4の係合位置への移動が防止される。このため、回転伝達装置が高速に空転する際(内方部材22が外輪2に対して高速に空転する際)、外輪2と係合子4間の摩擦発生が防止される。外輪2と内方部材22が同期回転する状態で電磁石8へ通電すると、アーマチュア7が摩擦面部9に磁気的に吸着させられ、アーマチュア7に対して回り止めされた内輪21が、アーマチュア7と摩擦面部9間の摩擦により、図10に示すように、内方部材22に対して回転させられる。この回転が内方部材22のカム面3bによって係合子4の径方向移動に変換され、係合子4が弾性部材5に抗して中立位置から係合位置に移動させられる。このため、係合子4の外方端部4aは、外輪2の係合凹部2aに周方向に係合することができる。この係合により、外輪2と内方部材22との間で係合子4を介したトルク伝達が行われる。電磁石8の通電を遮断すると、離反ばね10の弾性復元により、アーマチュア7が摩擦面部9から離され、中立ばね6、弾性部材5の弾性復元により、係合子4が中立位置へ復帰させられるまで内輪21が内方部材22に対して回転させられる。
また、この回転伝達装置は、内方部材22が内方凹部3cから軸方向にアーマチュア7側へ延びる第一軸部22aと、フランジ部21aよりも内方を通って軸方向に反アーマチュア7側へ延びる第二軸部22bとを有し、第二軸部22bの外周と外輪2の内周との間に介在する軸受11と、軸受11とフランジ部21aとの間に介在するように第二軸部22bの外周に嵌合された間座12と、をさらに備え、内輪21がアーマチュア7に対して回り止めされており、アーマチュア7及び押え部材23が第一軸部22aの外周に嵌合されており、フランジ部21aが第二軸部22bの外周に嵌合されており、内方部材22に対する内輪21の軸方向移動が間座12と内方部材22とによって規制されているので、軸受11により、内方部材22と外輪2とを同軸上で相対回転可能に支持することができ、内方部材22の第一軸部22a、第二軸部22bでアーマチュア7、内輪21、押え部材23を内方部材22と同軸上で相対回転可能に支持することができ、また、軸受11と間座12と内方部材22とを利用して、内方部材22と内輪21の相対的な軸方向のずれ合いを防止することができる。
なお、この回転伝達装置においても、内方部材22の第二軸部22bの外周と外輪2の内周との間に介在する軸受11と、間座12と、係合子4とを利用して、貫通孔であるばね孔1eに挿入された弾性部材5を突部4c上に適切に保ち、係合子4を中立位置に向けて付勢することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,21 内輪
1a 溝部
1b,21a フランジ部
1c,22a 第一軸部
1d,22b 第二軸部
1e ばね孔
1f 外方凹部
2 外輪
2a 係合凹部
3,22 内方部材
3b カム面
3c 内方凹部
4 係合子
4a 外方端部
4b 内方端部
4c 突部
5 弾性部材
6 中立ばね
7 アーマチュア
8 電磁石
9 摩擦面部
10 離反ばね
11 軸受
12 間座
13,23 押え部材
13b 第一回り止め部
13c,23a 第二回り止め部

Claims (7)

  1. 内輪と、
    前記内輪と同軸回りに回転可能かつ当該内輪に対して外方に配置された外輪と、
    前記内輪と同軸回りに回転可能かつ当該内輪に対して内方に配置された内方部材と、
    前記内輪と一体に回転するようにかつ当該内輪に対して径方向に移動可能に配置された係合子と、
    前記内輪に対して前記係合子を付勢する弾性部材と、
    前記内輪に対する前記内方部材の相対回転によって弾性変形させられる中立ばねと、
    前記内輪と前記内方部材のいずれか一方の部材に対して回り止めされたアーマチュアと、
    前記アーマチュアに軸方向に対向する電磁石と、
    前記電磁石への通電によって吸引される前記アーマチュアを受け止めて当該アーマチュアの回転に抵抗するように配置された摩擦面部と、
    前記アーマチュアを前記摩擦面部から離反する方向に押圧する離反ばねと、
    を備え、
    前記外輪が、前記係合子の外方端部に径方向に対向する係合凹部を有し、
    前記係合子が、前記外輪に接触不可な中立位置と、前記外輪の前記係合凹部に周方向に係合する係合位置との間を径方向に往復可能に配置されており、
    前記弾性部材が、前記係合子を前記中立位置に向けて付勢するように前記内輪と当該係合子との間に配置されており、
    前記内方部材が、前記内輪に対する当該内方部材の相対回転を前記係合子の前記中立位置と前記係合位置間の移動に変換するカム面を有する回転伝達装置。
  2. 前記内方部材が、軸方向にアーマチュア側に向かって開放した内方凹部を有し、
    前記内輪が、前記係合子を径方向に案内する溝部と、前記内方凹部に径方向に連通する外方凹部とを有し、前記溝部及び前記外方凹部が、軸方向にアーマチュア側に向かって開放した形状であり、
    前記中立ばねが、前記内方凹部と前記外方凹部とに嵌っており、
    前記係合子及び前記中立ばねのアーマチュア側への軸方向移動を規制する押え部材をさらに備え、前記押え部材が、前記アーマチュアに周方向に係合する第一回り止め部と、前記一方の部材に周方向に係合する第二回り止め部とを有する請求項1に記載の回転伝達装置。
  3. 前記内輪が、前記溝部から内方へ延びるフランジ部と、前記フランジ部から軸方向にアーマチュア側へ延びる第一軸部とを有し、
    前記一方の部材が前記内方部材であり、前記アーマチュア、前記内方部材及び前記押え部材が、前記第一軸部の外周に嵌合されており、前記内輪に対する前記内方部材の軸方向移動が、前記押え部材と前記フランジ部とによって規制されている請求項2に記載の回転伝達装置。
  4. 前記内輪のうちの前記係合子と軸方向に対向する部位を軸方向に貫通するようにばね孔が形成されており、前記内輪が、前記フランジ部の前記ばね孔よりも内方の部位から軸方向に反アーマチュア側へ延びる第二軸部を有し、
    前記第二軸部の外周と前記外輪の内周との間に介在する軸受と、前記軸受と前記フランジ部との間に介在するように前記第二軸部の外周に嵌合された間座と、をさらに備え、
    前記係合子が、前記ばね孔に挿入された突部を有し、前記弾性部材が、前記ばね孔に挿入されており、前記係合子と前記間座とによって、前記弾性部材が前記突部の外方に保たれている請求項3に記載の回転伝達装置。
  5. 前記内輪が、前記溝部から内方へ延びるフランジ部を有し、
    前記内方部材が、前記内方凹部から軸方向にアーマチュア側へ延びる第一軸部と、前記フランジ部よりも内方を通って軸方向に反アーマチュア側へ延びる第二軸部とを有し、
    前記第二軸部の外周と前記外輪の内周との間に介在する軸受と、前記内方軌道輪と前記フランジ部との間に介在するように前記第二軸部の外周に嵌合された間座と、をさらに備え、
    前記一方の部材が前記内輪であり、前記押え部材が、前記第一軸部の外周に嵌合されており、前記フランジ部が、前記第二軸部の外周に嵌合されており、前記内方部材に対する前記内輪の軸方向移動が、当該内方部材と前記間座とによって規制されている請求項2に記載の回転伝達装置。
  6. 前記内輪のうちの前記係合子と軸方向に対向する部位を軸方向に貫通するようにばね孔が形成されており、
    前記係合子が、前記ばね孔に挿入された突部を有し、前記弾性部材が、前記ばね孔に挿入されており、前記係合子と前記間座とによって、前記弾性部材が前記突部の外方に保たれている請求項5に記載の回転伝達装置。
  7. 前記摩擦面部が、前記外輪に対して回り止めされかつ前記アーマチュアに軸方向に対向するように配置されている請求項1から6のいずれか1項に記載の回転伝達装置。
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