JP2020051367A - ロータリ圧縮機 - Google Patents

ロータリ圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP2020051367A
JP2020051367A JP2018182769A JP2018182769A JP2020051367A JP 2020051367 A JP2020051367 A JP 2020051367A JP 2018182769 A JP2018182769 A JP 2018182769A JP 2018182769 A JP2018182769 A JP 2018182769A JP 2020051367 A JP2020051367 A JP 2020051367A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
eccentric
shaft
drive shaft
peripheral surface
piston
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018182769A
Other languages
English (en)
Inventor
隆造 外島
Ryuzo Toshima
隆造 外島
公佑 西村
Kosuke Nishimura
公佑 西村
翔太 亀井
Shota Kamei
翔太 亀井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP2018182769A priority Critical patent/JP2020051367A/ja
Publication of JP2020051367A publication Critical patent/JP2020051367A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Abstract

【課題】駆動軸の偏心部の偏心量を増大させたロータリ圧縮機において、駆動軸の撓みを抑制する。【解決手段】ロータリ圧縮機(1)において、駆動軸(70)を、第2偏心部(76)と副軸部(74)とを有し、第2偏心部(76)の半径をR2、第2偏心部(76)の偏心量をe2とし、副軸部(74)の半径をRSとしたときに、R2−e2<RSとなるように構成する。副軸部(74)を、第2偏心部(76)に軸方向に隣接し、外周面が駆動軸(70)の径方向において第2偏心部(76)の外周面よりも外側にはみ出ないように一部分が切り欠かれた円柱部材からなる欠損軸部(77)を有するように構成し、該欠損軸部(77)を、副軸受部(27)に回転自在に支持されるように、外周面の一部分が副軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する被支持面に構成する。【選択図】図2

Description

本開示は、ロータリ圧縮機に関するものである。
従来、ロータリ圧縮機において、駆動軸の偏心部の偏心量を増大させてもローラを偏心部に組み付けられるように、駆動軸の副軸部と偏心部とを連結する円柱状の連結部の反偏心側の外周面を偏心部の反偏心側の外周面に合わせて切り欠いたものがある。該ロータリ圧縮機では、ロータを副軸部側から偏心部に組付ける際に、上記切り欠きによって形成されるスペースを利用してローラを偏心部に組付可能な位置までずらすことにより、ローラの偏心部への組付けを可能にしている。
特開2008−180178号公報
しかしながら、上記ロータリ圧縮機では、切り欠きが形成された連結部は、副軸部よりも軸径が僅かに小さく形成されており、軸受に支持されない。そのため、上記ロータリ圧縮機では、連結部を設けることにより、軸受間距離が長くなり、駆動軸が撓み易くなるという問題があった。
本開示の目的は、駆動軸の偏心部の偏心量を増大させたロータリ圧縮機において、駆動軸の撓みを抑制することにある。
本開示の第1の態様は、シリンダ(35)と、上記シリンダ(35)の内壁面に沿って公転して該シリンダ(35)の内壁面との間に流体を圧縮する第2圧縮室(39)を形成する円筒状のピストン(45)と、回転中心軸(70a)に対して所定の偏心方向に偏心して上記ピストン(45)が嵌まる偏心部(76)と、該偏心部(76)に連結された上記回転中心軸(70a)と同軸の円柱状の軸部(74)とを有し、上記偏心部(76)の半径をRとし、該偏心部(76)の偏心量をeとし、上記軸部(74)の半径をRとしたときに、R−e<Rを満たす駆動軸(70)と、上記軸部(74)を回転自在に支持する軸受部(27)を有し、上記シリンダ(35)の一端面を閉塞する端板(25)とを備えたロータリ圧縮機であって、上記軸部(74)は、上記偏心部(76)に軸方向に隣接し、外周面が上記駆動軸(70)の径方向において上記偏心部(76)の外周面よりも外側にはみ出ないように一部分が切り欠かれた円柱部材からなる欠損軸部(77)を有し、上記欠損軸部(77)は、上記軸受部(27)に回転自在に支持されるように、外周面の一部分が上記軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する被支持面(77b)に構成されているものである。
第1の態様では、ピストン(45)の偏心部(76)への組付性を考慮して一部分が切り欠かれた欠損軸部(77)の外周面の一部分が、軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する被支持面(77b)に構成されている。これにより、欠損軸部(77)は、副軸受部(27)に回転自在に支持される。そのため、第1の態様によれば、駆動軸の副軸部と偏心部との間に軸受に支持されない連結部が設けられた従来のロータリ圧縮機に比べて軸受間距離を短縮することができ、駆動軸(70)の撓みを抑制することができる。
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記欠損軸部(77)の上記切り欠かれた一部分に面する切り欠き面(77a)には、該切り欠き面(77a)と上記軸受部(27)の内周面(27a)との間の空間(79)に潤滑油を供給する給油孔(71a)が形成されているものである。
第2の態様では、欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)に給油孔(71a)が設けられているため、該切り欠き面(77a)と軸受部(27)の内周面(27a)との間の空間(79)に潤滑油が潤沢に供給される。これにより、欠損軸部(77)と軸受部(27)との間に油膜が形成されることとなり、欠損軸部(77)の焼き付きを抑制することができる。
本開示の第3の態様は、上記第1又は第2の態様において、上記軸部(74)は、軸方向において上記欠損軸部(77)の上記偏心部(76)とは逆側に形成され、外周面全周が上記軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する円柱部材からなる円柱軸部(78)を有しているものである。
第3の態様では、軸部(74)の軸方向において欠損軸部(77)の偏心部(76)とは逆側に、外周面全周が軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する円柱軸部(78)が形成されているため、駆動軸(70)が軸受部(27)によってしっかりと支持される。また、外周面全周が軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する円柱軸部(78)を、軸方向において欠損軸部(77)の偏心部(76)とは逆側に設けたため、欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)と軸受部(27)の内周面(27a)との間の空間(79)に供給された潤滑油が、欠損軸部(77)と軸受部(27)との間に止まり易くなり、この間に油膜が形成され易くなる。従って、第3の態様によれば、欠損軸部(77)を設けることとしても、軸部(74)と軸受部(27)との間に油膜が容易に形成されるため、軸部(74)の焼き付きを抑制することができる。
本開示の第4の態様は、第1乃至第3のいずれか1つの態様において、上記欠損軸部(77)は、上記回転中心軸(70a)に直交する面内において該回転中心軸(70a)に対する上記偏心方向の角度を0°とすると、回転中心軸(70a)に対する角度が少なくとも±120°の範囲内の外周面が上記被支持面(77b)となるように構成されているものである。
第4の態様では、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に直交する面内において、回転中心軸(70a)に対する偏心方向の角度を0°としたときに、回転中心軸(70a)に対する角度が少なくとも±120°の範囲内における欠損軸部(77)の外周面が、軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する被支持面(77b)となるように構成した。被支持面(77b)をこのような範囲に形成することにより、駆動軸(70)が、欠損軸部(77)が軸受部(27)に支持されない回転角度にある際には、駆動軸(70)に最大荷重が作用せず、駆動軸(70)に最大荷重が作用する際には、欠損軸部(77)が軸受部(27)に支持されるように構成される。そのため、駆動軸(70)の1回転中、欠損軸部(77)が軸受部(27)に支持されないために軸受間距離の短縮による駆動軸(70)の撓み抑制効果がない回転角度の際に駆動軸(70)が大きく撓むことがなく、駆動軸(70)に最大荷重が作用する際には、欠損軸部(77)が軸受部(27)に支持されるために軸受間距離が短縮され、撓み抑制効果が発揮される。従って、第4の態様によれば、駆動軸(70)が大きく撓むのを抑制することができる。
図1は、ロータリ圧縮機の縦断面図である。 図2は、ロータリ圧縮機の圧縮機構の縦断面図である。 図3は、図2のIII−III断面を示す圧縮機構の横断面図である。 図4は、図2のIV−IV断面を示す圧縮機構の横断面図である。 図5は、ロータリ圧縮機の第2ピストンの下面側を示す斜視図である。 図6は、ロータリ圧縮機の駆動軸の要部の縦断面図である。 図7は、図6のA−A断面を示す駆動軸の横断面図である。 図8は、図6のB−B断面を示す駆動軸の横断面図である。 図9は、図6のC−C断面を示す駆動軸の横断面図である。 図10は、図6のD−D断面を示す駆動軸の横断面図である。 図11は、図6のE−E断面を示す駆動軸の横断面図である。 図12は、図6のF−F断面を示す駆動軸の横断面図である。 図13は、図2のXIII−XIII断面を示す圧縮機構の横断面図である 図14Aは、駆動軸に第2ピストンを取り付ける工程を示す工程図である。 図14Bは、駆動軸に第2ピストンを取り付ける工程を示す工程図である。 図15(a)は、駆動軸の回転角度と副軸受部に作用する荷重の比率との相関を示すグラフであり、図15(b)は、駆動軸の回転角度と切り欠き位置角及び荷重位置角との相関を示すグラフである。 図16は、駆動軸の1回転中における第2ピストンと欠損軸部の切り欠き面との位置関係を示す模式図である。 図17(a)は、変形例1における駆動軸の回転角度と主軸受部に作用する荷重の比率との相関を示すグラフであり、図17(b)は、変形例1における駆動軸の回転角度と切り欠き位置角及び荷重位置角との相関を示すグラフである。 図18は、変形例1における駆動軸の1回転中における第1ピストンと欠損軸部の切り欠き面との位置関係を示す模式図である。 図19(a)は、変形例2における駆動軸の回転角度と副軸受部に作用する荷重の比率との相関を示すグラフであり、図19(b)は、変形例2における駆動軸の回転角度と切り欠き位置角及び荷重位置角との相関を示すグラフである。
《実施形態1》
図1に示すように、本実施形態の圧縮機は、全密閉型のロータリ圧縮機(1)である。ロータリ圧縮機(1)では、圧縮機構(15)と電動機(10)とがケーシング(2)に収容されている。このロータリ圧縮機(1)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路に設けられ、蒸発器で蒸発した冷媒を吸入して圧縮する。
ケーシング(2)は、起立した状態の円筒状の密閉容器である。ケーシング(2)は、円筒状の胴部(3)と、胴部(3)の端部を閉塞する一対の鏡板(4,5)とを備えている。胴部(3)の下部には、吸入管(7,8)が取り付けられる。上側の鏡板(4)には、吐出管(6)が取り付けられる。
電動機(10)は、ケーシング(2)の内部空間の上部に配置されている。電動機(10)は、固定子(11)と回転子(12)とを備えている。固定子(11)は、ケーシング(2)の胴部(3)に固定されている。回転子(12)は、後述する圧縮機構(15)の駆動軸(70)に取り付けられている。
圧縮機構(15)は、所謂揺動ピストン型のロータリ式流体機械である。ケーシング(2)の内部空間において、圧縮機構(15)は、電動機(10)の下方に配置されている。
[圧縮機構]
図2〜図4に示すように、圧縮機構(15)は、二気筒のロータリ式流体機械である。圧縮機構(15)は、フロントヘッド(20)と、リアヘッド(25)と、駆動軸(70)とを、1つずつ備えている。また、圧縮機構(15)は、シリンダ(30,35)と、ピストン(40,45)と、ブレード(41,46)とを2つずつ備えている。各シリンダ(30,35)には、対になった2つのブッシュ(42,47)が、一組ずつ設けられている。また、圧縮機構(15)は、中間プレート(50)を備えている。
圧縮機構(15)では、上方から下方へ向かって順に、フロントヘッド(20)と、第1シリンダ(30)と、中間プレート(50)と、第2シリンダ(シリンダ)(35)と、リアヘッド(25)とが重なり合った状態で配置されている。フロントヘッド(20)と、第1シリンダ(30)と、中間プレート(50)と、第2シリンダ(35)と、リアヘッド(25)とは、図外の複数本のボルトによって互いに締結されている。また、圧縮機構(15)は、フロントヘッド(20)がケーシング(2)の胴部(3)に固定されている。
〈シリンダ〉
図2〜図4に示すように、各シリンダ(30,35)は、厚肉円板状の部材である。各シリンダ(30,35)には、シリンダボア(31,36)と、ブレード収容孔(32,37)と、吸入ポート(33,38)とが形成される。また、第1シリンダ(30)と第2シリンダ(35)は、それぞれの厚さが等しい。なお、図3及び図4では図示を省略するが、各シリンダ(30,35)には、圧縮機構(15)の組み立て用のボルトを挿し通すための貫通孔などの、各シリンダ(30,35)を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔が形成される。
シリンダボア(31,36)は、シリンダ(30,35)を厚さ方向に貫通する円形孔であって、シリンダ(30,35)の中央部に形成される。第1シリンダ(30)のシリンダボア(31)には、第1ピストン(40)が収容される。第2シリンダ(35)のシリンダボア(36)には、第2ピストン(45)が収容される。第1シリンダ(30)のシリンダボア(31)の内径と、第2シリンダ(35)のシリンダボア(36)の内径とは、互いに等しい。
ブレード収容孔(32,37)は、シリンダ(30,35)の内周面(即ち、シリンダボア(31,36)の外縁)からシリンダ(30,35)の径方向の外側へ向かって延びる孔である。このブレード収容孔(32,37)は、シリンダ(30,35)を厚さ方向に貫通する。第1シリンダ(30)のブレード収容孔(32)には、第1ブレード(41)が収容される。第2シリンダ(35)のブレード収容孔(37)には、第2ブレード(46)が収容される。ブレード収容孔(32,37)は、そのブレード収容孔(32,37)を取り囲む壁面(シリンダ(30,35)の一部)が揺動するブレード(41,46)と干渉しないような形状となっている。
吸入ポート(33,38)は、シリンダ(30,35)の内周面(即ち、シリンダボア(31,36)の外縁)からシリンダ(30,35)の径方向の外側へ向かって延びる断面が円形の孔である。この吸入ポート(33,38)は、ブレード収容孔(32,37)の近傍(本実施形態では、図3及び図4におけるブレード収容孔(32,37)の右隣)に配置され、シリンダ(30,35)の外側面に開口している。第1シリンダ(30)の吸入ポート(33)には第1吸入管(7)が挿入され、第2シリンダ(35)の吸入ポート(38)には第2吸入管(8)が挿入される(図1参照)。
〈フロントヘッド〉
図1及び図2に示すように、フロントヘッド(20)は、第1シリンダ(30)の電動機(10)側の端面(図2における上端面)を閉塞する部材である。このフロントヘッド(20)は、本体部(21)と、主軸受部(22)と、外周壁部(23)とを備えている。本体部(21)と、主軸受部(22)と、外周壁部(23)とは一体に成形されている。
本体部(21)は、概ね円形の厚板状に形成されている。この本体部(21)は、第1シリンダ(30)の端面を覆うように配置される。本体部(21)の下面は、第1シリンダ(30)に密着している。主軸受部(22)は、本体部(21)から電動機(10)側(図1における上側)へ延びる円筒状に形成され、本体部(21)の中央部に配置される。この主軸受部(22)は、圧縮機構(15)の駆動軸(70)を支持するジャーナル軸受を構成する。外周壁部(23)は、本体部(21)の外周縁部に連続して形成された肉厚の環状の部分である。
フロントヘッド(20)には、吐出ポート(24)が形成されている(図3参照)。吐出ポート(24)は、フロントヘッド(20)の本体部(21)を、その厚さ方向に貫通する。図3に示すように、フロントヘッド(20)の本体部(21)の下面(第1シリンダ(30)と接する面)において、吐出ポート(24)は、第1シリンダ(30)のブレード収容孔(32)の吸入ポート(33)とは逆側の近傍(本実施形態では、図3におけるブレード収容孔(32)の左隣)に開口する。また、図示しないが、フロントヘッド(20)の本体部(21)には、吐出ポート(24)を開閉するための吐出弁が取り付けられる。
〈リアヘッド〉
リアヘッド(25)は、第2シリンダ(35)の電動機(10)とは逆側の端面(図1における下端面)を閉塞する部材である。リアヘッド(25)は、本体部(26)と、副軸受部(軸受部)(27)と、外周壁部(28)とを備えている。
本体部(26)は、概ね円形の厚板状に形成されている。この本体部(26)は、第2シリンダ(35)の端面を覆うように配置される。本体部(26)の上面は、第2シリンダ(35)に密着している。副軸受部(27)は、本体部(26)から第2シリンダ(35)とは逆側(図2における下側)へ延びる円筒状に形成され、本体部(26)の中央部に配置される。この副軸受部(27)は、圧縮機構(15)の駆動軸(70)を支持するジャーナル軸受を構成する。外周壁部(28)は、本体部(26)の外周縁部から第2シリンダ(35)とは逆側へ延びる円筒状に形成されている。外周壁部(28)の長さ(高さ)は、副軸受部(27)の長さ(高さ)と実質的に等しい。
リアヘッド(25)には、吐出ポート(29)が形成されている(図4参照)。吐出ポート(29)は、リアヘッド(25)の本体部(26)を、その厚さ方向に貫通する。図4に示すように、リアヘッド(25)の本体部(26)の上面(第2シリンダ(35)と接する面)において、吐出ポート(29)は、第2シリンダ(35)のブレード収容孔(37)の吸入ポート(38)とは逆側の近傍(本実施形態では、図4におけるブレード収容孔(37)の左隣)に開口する。また、図示しないが、リアヘッド(25)の本体部(26)には、吐出ポート(29)を開閉するための吐出弁が取り付けられる。
〈中間プレート〉
図2に示すように、中間プレート(50)は、概ね円形の平板状の部材である。中間プレート(50)は、一部分が径方向の外側へ突出している。なお、図示を省略するが、中間プレート(50)には、圧縮機構(15)の組み立て用のボルトを挿し通すための貫通孔等、中間プレート(50)を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔が形成される。
図2に示すように、中間プレート(50)は、第1シリンダ(30)と第2シリンダ(35)との間に配置され、第1シリンダ(30)の端面(図2における下面)と第2シリンダ(35)の端面(図2における上面)とを覆っている。中間プレート(50)の上面は、第1シリンダ(30)に密着し中間プレート(50)の下面は、第2シリンダ(35)に密着している。
中間プレート(50)の中央部には、中間プレート(50)を厚さ方向へ貫通する中央孔(51)が形成されている。中間プレート(50)の中央孔(51)には、駆動軸(70)が挿し通される。なお、本実施形態では、中央孔(51)の直径φDは、第2偏心部(76)の外径φDよりも大きく、第1偏心部(75)の外径φDよりも小さい(φD<φD<φD)。
〈駆動軸〉
図1及び図2に示すように、駆動軸(70)は、主軸部(72)と、第1偏心部(75)と、中間連結部(80)と、第2偏心部(偏心部)(76)と、副軸部(軸部)(74)とを備えている。ここでは、駆動軸(70)の概要を説明する。駆動軸(70)の詳細な構造は後述する。
駆動軸(70)では、主軸部(72)と、第1偏心部(75)と、中間連結部(80)と、第2偏心部(76)と、副軸部(74)とが、上から下へ向かって順に配置されている。駆動軸(70)において、主軸部(72)と、第1偏心部(75)と、中間連結部(80)と、第2偏心部(76)と、副軸部(74)とは、互いに一体に形成されている。
主軸部(72)及び副軸部(74)は、円形断面の柱状あるいは棒状の部分である。主軸部(72)の上部には、電動機(10)の回転子(12)が取り付けられる。主軸部(72)の下部は、フロントヘッド(20)の主軸受部(22)によって支持されるジャーナルを構成し、副軸部(74)は、リアヘッド(25)の副軸受部(27)によって支持されるジャーナルを構成する。副軸部(74)の外径は、主軸部(72)の外径よりも小さい。主軸部(72)の半径をRとし、副軸部(74)の半径をR(R)とすると、駆動軸(70)は、2R<2Rとなるように構成されている。
各偏心部(75,76)は、主軸部(72)よりも大径の円柱状の部分である。各偏心部(75,76)は、それぞれの中心軸(75a,76a)が駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に対して偏心している(図6参照)。第1偏心部(75)は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に対して、該回転中心軸(70a)に直交する第1方向に偏心している。一方、第2偏心部(76)は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に対して、該回転中心軸(70a)に直交する第2方向に偏心している。第1方向と第2方向とは、回転中心軸(70a)に直交する面内において互いに真逆の方向(なす角が180°となる方向)である。つまり、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に対する第1偏心部(75)及び第2偏心部(76)の偏心方向は、180°異なっている。また、図2に示すように、第1偏心部(75)の半径をRとし、第2偏心部(76)の半径をRとすると、駆動軸(70)は、2R<2Rとなるように構成されている。つまり、駆動軸(70)は、第2偏心部(76)の外径φDが、第1偏心部(75)の外径φDよりも小さくなるように構成されている(φD<φD)。
中間連結部(80)は、第1偏心部(75)と第2偏心部(76)の間に配置され、第1偏心部(75)と第2偏心部(76)を連結する。中間連結部(80)は、本体部(81)と強化部(82)とを有している。
駆動軸(70)には、給油通路(71)が形成されている(図2参照)。ケーシング(2)の底部に溜まった潤滑油は、給油通路(71)を通って駆動軸(70)と各軸受部(22,27)との摺動部分や圧縮機構(15)の摺動部分へ供給される。なお、詳細については後述するが、給油通路(71)は、副軸部(74)の欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)に開口する給油孔(71a)を有している。
〈ピストン〉
図3及び図4に示すように、各ピストン(40,45)は、やや厚肉の円筒状の部材である。図2に示すように、第1ピストン(40)の高さHは、第2ピストン(45)の高さHと等しい(H=H)。また、第1ピストン(40)の外径と第2ピストン(45)の外径とは、互いに等しい。一方、第2ピストン(45)の内径は、第1ピストン(40)の内径よりも小さい。従って、第2ピストン(45)の径方向の厚さは、第1ピストン(40)の径方向の厚さよりも厚い。
図2及び図3に示すように、第1ピストン(40)には、駆動軸(70)の第1偏心部(75)が回転自在に嵌り込む。第1ピストン(40)は、外周面が第1シリンダ(30)の内周面と摺動し、一方の端面がフロントヘッド(20)の本体部(21)の下面と摺動し、他方の端面が中間プレート(50)の上面と摺動する。圧縮機構(15)では、第1ピストン(40)の外周面と第1シリンダ(30)の内周面との間に第1圧縮室(34)が形成される。
図2及び図4に示すように、第2ピストン(45)には、駆動軸(70)の第2偏心部(76)が回転自在に嵌り込む。第2ピストン(45)は、外周面が第2シリンダ(35)の内周面と摺動し、一方の端面がリアヘッド(25)の本体部(21)の上面と摺動し、他方の端面が中間プレート(50)の下面と摺動する。圧縮機構(15)では、第2ピストン(45)の外周面と第2シリンダ(35)の内周面との間に第2圧縮室(39)が形成される。
図2,図4及び図5に示すように、第2ピストン(45)の内周面には、内周溝(48)が形成されている。内周溝(48)は、第2ピストン(45)の内周面に、その周方向の一部に亘って形成された細長い窪みである。内周溝(48)は、第2ピストン(45)の内周側の下端部(副軸部(74)側の端部)を切り欠くことによって形成され、第2ピストン(45)の下端に開口している。第2ピストン(45)の内周溝(48)は、深さ(第2ピストン(45)の径方向の長さ)の最大値(最大深さ)が“D”であり、高さ(第2ピストン(45)の中心軸方向の長さ)が“H”である(図2,図5,図14A参照)。なお、内周溝(48)の詳細な構造については、後述する。
〈ブレード〉
図3及び図4に示すように、各ブレード(41,46)は、矩形平板状の部材である。第1ブレード(41)は第1ピストン(40)と一体に形成され、第2ブレード(46)は第2ピストン(45)と一体に形成される。各ブレード(41,46)は、対応するピストン(40,45)の外側面から、ピストン(40,45)の径方向の外側へ向かって突出している。各ブレード(41,46)の幅(ピストン(40,45)の軸方向の長さ)は、対応するピストン(40,45)の高さ(H, H)と等しい。また、各ブレード(41,46)は、それぞれの全長(ピストン(40,45)の径方向の長さ)が互いに等しい。
第1ピストン(40)と一体の第1ブレード(41)は、第1シリンダ(30)のブレード収容孔(32)に嵌まる。第1ブレード(41)は、第1シリンダ(30)内に形成された第1圧縮室(34)を、吸入ポート(33)側の低圧室と、吐出ポート(24)側の高圧室に仕切る。
第2ピストン(45)と一体の第2ブレード(46)は、第2シリンダ(35)のブレード収容孔(37)に嵌まる。第2ブレード(46)は、第2シリンダ(35)内に形成された第2圧縮室(39)を、吸入ポート(38)側の低圧室と、吐出ポート(29)側の高圧室に仕切る。
〈ブッシュ〉
第1シリンダ(30)と第2シリンダ(35)のそれぞれには、一対のブッシュ(42,47)が設けられる。各ブッシュ(42,47)は、互いに向かい合う前面が平坦面となり、背面が円弧面となった小さい板状の部材である。
第1シリンダ(30)に設けられた一対のブッシュ(42)は、第1シリンダ(30)のブレード収容孔(32)に嵌まった第1ブレード(41)を、両側から挟み込むように配置される。第1ピストン(40)と一体の第1ブレード(41)は、このブッシュ(42)を介して第1シリンダ(30)に揺動自在で且つ進退自在に支持される。本実施形態では、このような一対のブッシュ(42)と第1ブレード(41)とにより、第1ピストン(40)は、駆動軸(70)の回転に伴って第1シリンダ(30)の内壁面に沿って公転しながら、第1偏心部(75)の中心軸(75a)に対して揺動する揺動型ピストンに構成されている。
第2シリンダ(35)に設けられた一対のブッシュ(47)は、第2シリンダ(35)のブレード収容孔(37)に嵌まった第2ブレード(46)を、両側から挟み込むように配置される。第2ピストン(45)と一体の第2ブレード(46)は、このブッシュ(47)を介して第2シリンダ(35)に揺動自在で且つ進退自在に支持される。本実施形態では、このような一対のブッシュ(47)と第2ブレード(46)とにより、第2ピストン(45)は、駆動軸(70)の回転に伴って第2シリンダ(35)の内壁面に沿って公転しながら、第2偏心部(76)の中心軸(76a)に対して揺動する揺動型ピストンに構成されている。
[駆動軸の詳細な構造]
上述したように、駆動軸(70)は、主軸部(72)と、第1偏心部(75)と、中間連結部(80)と、第2偏心部(76)と、副軸部(74)とを備えている。ここでは、駆動軸(70)の詳細な構造について、図6〜図12を参照しながら説明する。なお、この説明における「左」と「右」は、それぞれ図6〜図12における「左」と「右」を意味する。また、図6〜図12において、「左方」は、第1偏心部(75)の偏心方向である第1方向であり、「右方」は、第2偏心部(76)の偏心方向である第2方向である。なお、第1方向は、第2偏心部(76)の反偏心方向であり、第2方向は、第1偏心部(75)の反偏心方向である。
〈主軸部〉
図6及び図7に示すように、主軸部(72)は、円形断面の柱状あるいは棒状の部分である。主軸部(72)の中心軸は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)と一致する。主軸部(72)の外径(2R)は、主軸部(72)の全長に亘って実質的に一定である。主軸部(72)の内部には、上記給油通路(71)の一部分が形成されている。また、主軸部(72)の外周には、第1偏心部(75)に接続する端部(図6における下端部)がやや括れることにより、上側給油溝(73)が形成されている。上側給油溝(73)には、給油通路(71)から潤滑油が供給される。
〈第1偏心部〉
図6及び図8に示すように、第1偏心部(75)は、主軸部(72)よりも大径の円柱状の部分である。第1偏心部(75)は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に対して第1方向(図6の左側)に偏心量e分だけ偏心している。なお、第1偏心部(75)の偏心量eは、第1偏心部(75)の中心軸(75a)と駆動軸(70)の回転中心軸(70a)との距離である。また、第1偏心部(75)は、高さが第1ピストン(40)の高さHよりも僅かに低くなるように形成されている。
図6において、rは駆動軸(70)の回転中心軸(70a)から第1偏心部(75)の外周面までの距離の最小値であり(r=R−e)、rはその距離の最大値である(r=R+e)。本実施形態の駆動軸(70)において、距離rは、主軸部(72)の半径Rと実質的に等しい。なお、第1ピストン(40)を主軸部(72)側から取り付ける観点からは、距離rは、主軸部(72)の半径R以上(r=R−e≧R)であればよく、必ずしも主軸部(72)の半径Rと等しくなくてもよい。
〈中間連結部〉
図6に示すように、中間連結部(80)は、第1偏心部(75)と第2偏心部(76)の間に配置された部分である。図6及び図9に示すように、中間連結部(80)は、本体部(81)と強化部(82)とを有している。本体部(81)と強化部(82)とは一体に形成されている。
図6及び図9に示すように、本体部(81)は、第1偏心部(75)と第2偏心部(76)の間において、第1偏心部(75)及び第2偏心部(76)を互いに延長させたときに2つの延長部が重なる柱状部分である。具体的には、本体部(81)は、第1偏心部(75)と第2偏心部(76)の間において、中心軸が第1偏心部(75)の中心軸(75a)と一致し且つ半径が第1偏心部(75)の半径Rと等しい円柱面の一部(円弧面)からなる第1面(81a)と、中心軸が第2偏心部(76)の中心軸(76a)と一致し、且つ半径が第2偏心部(76)の半径Rの円柱面の一部(円弧面)からなる第2面(81b)とで囲まれた柱状部分である。
強化部(82)は、第2偏心部(76)に隣接するように設けられ、本体部(81)の外周部から第2方向側へ膨出した部分(図9においてドットを付した部分)である。具体的には、強化部(82)は、外周面(82a)が、中心軸が駆動軸(70)の回転中心軸(70a)と一致する半径rの円柱面の一部(円弧面)で構成されている。この円弧面の半径rは、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)から第1偏心部(75)の外周面までの距離の最小値rよりも大きく、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)から第2偏心部(76)の外周面までの距離の最大値rよりも小さい(r<r<r)。
このような構成により、強化部(82)は、第2方向側の領域に形成され、外周面(82a)が駆動軸(70)の径方向において第2偏心部(76)の外周面よりも内側で且つ第1偏心部(75)の外周面よりも外側に位置するように形成されている。
中間連結部(80)の高さ(即ち、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)方向の長さ)は、図6における第2偏心部(76)の上端から第1偏心部(75)の下端までの距離と実質的に等しい。そして、強化部(82)の高さは、中間連結部(80)の半分の高さよりも高い。
〈第2偏心部〉
図6及び図10に示すように、第2偏心部(76)は、主軸部(72)よりも大径の円柱状の部分である。第2偏心部(76)は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に対して第2方向(図6の右側)に偏心量e分だけ偏心している。ここで、第2方向は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に直交する面内において、第1偏心部(75)の偏心方向である第1方向の真逆の方向である。つまり、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に対する第2偏心部(76)の偏心方向は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に対する第1偏心部(75)の偏心方向と180°異なっている。なお、第2偏心部(76)の偏心量eは、第2偏心部(76)の中心軸(76a)と駆動軸(70)の回転中心軸(70a)との距離である。
第2偏心部(76)の外径φD(=2R)は、第1偏心部(75)の外径φD(=2R)よりも小さい(φD<φD)。第2偏心部(76)は、高さが第2ピストン(45)の高さHよりも僅かに低くなるように形成されている。なお、第2偏心部(76)の高さは、第1偏心部(75)の高さ(即ち、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)方向の長さ)と実質的に等しい。また、図6に示すように、第2偏心部(76)の偏心量e(e)は、第1偏心部(75)の偏心量eに等しい(e=e)。
図6及び図10において、第2偏心部(76)の半径をR(偏心部の半径R)とすると、rは、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)から第2偏心部(76)の外周面までの距離の最大値(r=R+e)であり、rはその距離の最小値(r=R−e)である。本実施形態の駆動軸(70)において、距離rは、副軸部(74)の半径Rよりも小さい(r=R−e<R)。
〈副軸部〉
図6、図11及び図12に示すように、副軸部(74)は、円形断面の柱状あるいは棒状の部分である。副軸部(74)の中心軸は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)と一致する。副軸部(74)の外径(2R)は、副軸部(74)の全長に亘って実質的に一定である。図6に示すように、副軸部(74)の外径(2R)は、主軸部(72)の外径(2R)よりも若干小さい(2R<2R)。副軸部(74)の内部には、上記給油通路(71)の一部分が形成されている。
副軸部(74)は、一部分が切り欠かれた円柱部材からなる欠損軸部(77)と、切り欠き部分のない円柱部材からなる円柱軸部(78)とを有している。
図6に示すように、欠損軸部(77)は、第2偏心部(76)に軸方向に隣接する部分である。図6及び図11に示すように、欠損軸部(77)は、駆動軸(70)の径方向において、第2偏心部(76)の外周面から外側にはみ出さないように一部分が切り欠かれた駆動軸(70)の回転中心軸(70a)と同軸で且つ半径がRの円柱部材によって構成されている。
欠損軸部(77)は、第2偏心部(76)の偏心方向である第2方向の逆側(反偏心側)、即ち第1方向側の一部分が切り欠かれている。具体的には、欠損軸部(77)は、第1方向側の一部分が、中心軸が第2偏心部(76)の中心軸(76a)と一致し且つ半径が第2偏心部(76)の半径Rと等しい円柱面の一部(円弧面)で切り欠かれている(図11参照)。言い換えると、欠損軸部(77)の第1方向側の切り欠かれた一部分に面する切り欠き面(77a)は、中心軸が第2偏心部(76)の中心軸(76a)と一致し且つ半径が第2偏心部(76)の半径Rと等しい円柱面の一部(円弧面)で構成されている。
一方、欠損軸部(77)の第2方向側の外周面は、図13に示すように、副軸部(74)を回転自在に支持する副軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する被支持面(77b)となるように構成されている。被支持面(77b)は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)と同軸で、半径がRで且つ中心角αの円弧面で構成されている。欠損軸部(77)は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に直交する面内において該回転中心軸(70a)に対する第2偏心部(76)の偏心方向(第2方向)の角度を0°とすると、回転中心軸(70a)に対する角度が少なくとも±120°の範囲内の外周面が被支持面(77b)となるように構成されている。つまり、欠損軸部(77)は、被支持面(77b)の中心角αが240°以上、切り欠き面(77a)の中心角βが120°未満になるように形成されている。なお、本実施形態では、図13に示すように、欠損軸部(77)は、被支持面(77b)の中心角αが270°程度になるように形成されている。
なお、欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)と被支持面(77b)との間は、角部とならないように面取り加工が施されている。
また、欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)には、上記給油通路(71)に繋がる給油孔(71a)が形成されている。この給油孔(71a)を介して、欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)と副軸受部(27)の内周面(27a)との間の空間(79)には、給油通路(71)から潤滑油が供給される。なお、副軸部(74)の回転により、欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)と副軸受部(27)の内周面(27a)との間の空間(79)は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)周りに回転移動する。
円柱軸部(78)は、軸方向において欠損軸部(77)の第2偏心部(76)とは逆側に形成される部分である。図6及び図12に示すように、円柱軸部(78)は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)と同軸で且つ半径がRの円柱部材によって構成されている。円柱軸部(78)は、欠損軸部(77)と異なり、切り欠き部分がなく、外周面が駆動軸(70)の回転中心軸(70a)と同軸で且つ半径がRの円柱面で構成され、外周面全周が副軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する被支持面となるように構成されている。
このような構成により、駆動軸(70)の第2偏心部(76)と副軸部(74)の円柱軸部(78)との間に、外周面が駆動軸(70)の径方向において第2偏心部(76)の外周面から外側にはみ出ないように形成された欠損軸部(77)が形成される。このような欠損軸部(77)を設けることにより、ロータリ圧縮機(1)では、後述する圧縮機構(15)の組み立て工程において、第2ピストン(45)を副軸部(74)側から駆動軸(70)の軸方向に移動させて第2偏心部(76)に外嵌させる際に、第2ピストン(45)を欠損軸部(77)の外周において駆動軸(70)の径方向に移動させて第2偏心部(76)に外嵌可能な位置(駆動軸(70)の径方向において第2ピストン(45)の内周面が第2偏心部(76)の外周面の外側に位置する位置)までずらすことができる(図14A参照)。詳細な工程については、後述する。
なお、図6に示すHは、欠損軸部(77)の高さ(即ち、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)方向の長さ)であり、欠損軸部(77)の高さHは、図6における副軸部(74)の円柱軸部(78)の上端(切り欠き面(77a)の下端)から第2偏心部(76)の下端までの距離と実質的に等しい。
また、欠損軸部(77)は、高さHが、第2ピストン(45)の高さHよりも低くなるように形成されている(H<H)。
ところで、上述のように、第2ピストン(45)を副軸部(74)側から第2偏心部(76)に外嵌させる際に、第2ピストン(45)を欠損軸部(77)の外周において第2偏心部(76)に外嵌可能な位置までずらすためには、欠損軸部(77)の高さHは、第2ピストン(45)の高さHよりも高くする必要がある。
しかしながら、本実施形態では、上述のように、第2ピストン(45)に、高さHが“第2ピストン(45)の高さHと欠損軸部(77)の高さHの差”よりも大きく(H>H−H)、最大深さDが“副軸部(74)の半径Rと第2偏心部(76)に関する距離r(=R−e)との差”よりも大きな(D>R−(R−e))内周溝(48)を形成している。このような構成により、欠損軸部(77)の高さHを、第2ピストン(45)の高さHよりも低く形成しても、第2ピストン(45)を副軸部(74)側から第2偏心部(76)に外嵌させる際に、第2ピストン(45)を欠損軸部(77)の外周において第2偏心部(76)に外嵌可能な位置までずらせるようにしている。
−内周溝の詳細な構成−
図4及び図5に示すように、内周溝(48)は、第2ピストン(45)の内周面において、周方向の一部に形成されている。具体的には、内周溝(48)は、第2ピストン(45)の内周面において、第2ブレード(46)が設けられる位置から吸入側(吸入ポート(38)側)の半周の範囲内に形成されている。本実施形態では、内周溝(48)は、第2ピストン(45)の周方向において、第2偏心部(76)の中心軸(76a)に直交する面内において、該中心軸(76a)に対する第2ブレード(46)の延伸方向に延びる中心線Lの角度を0°としたときに、この角度(0°)から駆動軸(70)の回転方向へ30°だけ進んだ角度Aが始点となり、角度(0°)から駆動軸(70)の回転方向へ180°だけ進んだ角度Bが終点となるように形成されている。つまり、内周溝(48)は、第2ピストン(45)の内周面において、30°の角度Aから180°の角度Bに亘って形成されている。
内周溝(48)は、深さ(第2ピストン(45)の径方向の長さ)の最大値(最大深さ)Dが、副軸部(74)の半径Rと第2偏心部(76)に関する距離rとの差よりも大きく(D>R−(R−e))、高さ(第2ピストン(45)の中心軸方向の長さ)Hが、第2ピストン(45)の高さHと欠損軸部(77)の高さHの差(H−H)よりも大きくなるように形成されている。そして、内周溝(48)は、駆動軸(70)の軸方向から視て副軸部(74)の第2偏心部(76)の外周面からはみ出た部分を内包可能な断面形状に形成されている。
上記ロータリ圧縮機(1)では、第2ピストン(45)の内周面に内周溝(48)を設けることにより、第2偏心部(76)の外周面と第2ピストン(45)の内周面との摺動面における潤滑油の粘性せん断損失を低減して機械損失を低減している。また、このような内周溝(48)を、運転中に圧縮流体によって作用する荷重が比較的小さい第2ピストン(45)の内周面の吸入側の位置に形成することにより、焼き付きや摩耗が生じるおそれもない。
ところで、潤滑油の粘性せん断損失を低減するために内周溝(48)を形成するのであれば、その形成位置は、必ずしも第2ピストン(45)の内周面の下端部である必要はない。
しかしながら、本実施形態では、内周溝(48)を、第2ピストン(45)を駆動軸(70)に取り付ける際における第2ピストン(45)のひっかかり回避にも利用できるように、内周溝(48)の設置位置を第2ピストン(45)の内周面の下端部にし、さらに、最大深さD及び高さHが上述の大きさで且つ上述のような断面形状になるように形成している。
このような位置及び大きさの内周溝(48)を形成することにより、欠損軸部(77)の高さHが第2ピストン(45)の高さHよりも低くても、第2ピストン(45)の組付け時に、円柱軸部(78)の第2方向側の上端角部が内周溝(48)内に収まることにより、円柱軸部(78)のの上端角部が第2ピストン(45)の内周面にひっかかることなく、第2ピストン(45)を第2偏心部(76)に外嵌可能な位置までずらして組み付けることができる。なお、詳細な第2ピストンの取り付け工程については後述する。
−運転動作−
ロータリ圧縮機(1)の運転動作について、図1〜4を参照しながら説明する。
電動機(10)が駆動軸(70)を駆動すると、圧縮機構(15)の各ピストン(40,45)が駆動軸(70)によって駆動され、各シリンダ(30,35)内でピストン(40,45)が変位する。各シリンダ(30,35)では、ピストン(40,45)の変位に伴って、圧縮室(34,39)の高圧室と低圧室の容積が変化する。そして、各シリンダ(30,35)では、吸入ポート(33,38)から圧縮室(34,39)へ冷媒を吸入する吸入行程と、圧縮室(34,39)へ吸入した冷媒を圧縮する圧縮行程と、圧縮した冷媒を吐出ポート(24,29)から圧縮室(34,39)の外部へ吐出する吐出工程とが行われる。
第1シリンダ(30)の第1圧縮室(34)において圧縮された冷媒は、フロントヘッド(20)の吐出ポート(24)を通ってフロントヘッド(20)の上方の空間へ吐出される。第2シリンダ(35)の第2圧縮室(39)において圧縮された冷媒は、リアヘッド(25)の吐出ポート(29)を通って第2圧縮室(39)から吐出され、圧縮機構(15)に形成された通路(図示省略)を通ってフロントヘッド(20)の上方の空間へ流入する。圧縮機構(15)からケーシング(2)の内部空間へ吐出された冷媒は、吐出管(6)を通ってケーシング(2)の外部へ流出してゆく。
ケーシング(2)の底部には、潤滑油が貯留されている。この潤滑油は、駆動軸(70)の回転に伴い、該駆動軸(70)に形成された給油通路(71)を通って圧縮機構(15)へ供給され、圧縮機構(15)の摺動箇所へ供給される。具体的に、潤滑油は、主軸受部(22)及び副軸受部(27)と駆動軸(70)の間、偏心部(75,76)の外周面とピストン(40,45)の内周面の間等へ供給される。また、潤滑油の一部は、圧縮室(34,39)へ流入し、圧縮室(34,39)の気密性を高めるために利用される。
特に、副軸部(74)の欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)には、給油通路(71)に繋がる給油孔(71a)が形成されている。そのため、副軸部(74)の欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)と副軸受部(27)の内周面(27a)との間には空間(隙間)(78)が形成されるが、給油孔(71a)を介してこの空間(79)に給油通路(71)の潤滑油が潤沢に供給されることにより、副軸部(74)の外周面と副軸受部(27)の内周面(27a)との間に油膜が形成され、摺動面の焼き付きが抑制される。
ケーシング(2)の内部空間の圧力は、圧縮機構(15)から吐出された高圧冷媒の圧力と実質的に等しい。このため、ケーシング(2)内に貯留された潤滑油の圧力も、圧縮機構(15)から吐出された高圧冷媒の圧力と実質的に等しい。従って、圧縮機構(15)には、高圧の潤滑油が供給される。
−圧縮機構の組み立て工程−
圧縮機構(15)を組み立てる工程について説明する。圧縮機構(15)を組み立てる際は、まず、中間プレート(50)を順に駆動軸(70)の副軸部(74)側の端部から上方へ移動させ、中間連結部(80)に取り付ける。その後、第2ピストン(45)を同様に駆動軸(70)の副軸部(74)側の端部から上方へ移動させ、第2偏心部(76)に取り付ける。続いて、第2シリンダ(35)を中間プレート(50)の下方に配置し、リアヘッド(25)を第2シリンダ(35)の下方に配置する。次に、第1ピストン(40)を駆動軸(70)の主軸部(72)側の端部から下方へ移動させ、第1偏心部(75)に取り付ける。続いて、第1シリンダ(30)を中間プレート(50)の上方に配置し、フロントヘッド(20)を第1シリンダ(30)の上方に配置する。そして、積み重ねられた状態のフロントヘッド(20)、第1シリンダ(30)、中間プレート(50)、第2シリンダ(35)、及びリアヘッド(25)を、図外の複数本のボルトによって締結する。
〈第2ピストンの取り付け工程〉
第2ピストン(45)を駆動軸(70)に取り付ける工程について、図14A〜図14B参照しながら説明する。第2ピストン(45)を駆動軸(70)に取り付ける際には、第2ピストン(45)を駆動軸(70)の副軸部(74)の端部から第2偏心部(76)へ向かって駆動軸(70)の軸方向に移動させてゆく。
まず、第2ピストン(45)に駆動軸(70)の副軸部(74)を挿し通し(図14A(a)参照)、第2ピストン(45)を第2偏心部(76)に当たる位置(欠損軸部(77)の外周)まで移動させる(図14A(b)参照)。この状態で、第2ピストン(45)は、図14Aにおける内周溝(48)の上端が副軸部(74)の上端よりも上方に位置する。
続いて、第2ピストン(45)を欠損軸部(77)の外周において第2偏心部(76)の偏心方向である第2方向側(図14Aにおける右側)へ移動させる(図14A(c)参照)。具体的には、欠損軸部(77)の外周において、第2ピストン(45)を、第2偏心部(76)に外嵌可能な位置(駆動軸(70)の径方向において第2ピストン(45)の内周面が第2偏心部(76)の外周面の外側に位置する位置)まで移動させる。
このとき、第2ピストン(45)の内周面に形成された内周溝(48)が、第2偏心部(76)の反偏心方向である第1方向側(図14Aにおける左側)に位置するように、第2ピストン(45)を回転させておく。この状態で、第2ピストン(45)を、第2偏心部(76)の偏心方向である第2方向側(図14Aにおける右側)へ移動させる。このようにすることにより、副軸部(74)の第1方向側において欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)よりも外側へ出っ張った円柱軸部(78)の上端角部が、第2ピストン(45)の内周溝(48)内に入るため、第2ピストン(45)の内周面に円柱軸部(78)の第1方向側の上端角部がひっかかることなく、第2ピストン(45)を第2偏心部(76)に外嵌可能な位置まで移動させることができる。
そして、第2ピストン(45)を第2偏心部(76)側へ駆動軸(70)の軸方向に移動させ、第2偏心部(76)に第2ピストン(45)を外嵌する(図14B(d)及び(e)参照)。第2ピストン(45)を図14B(e)に示す位置にまで移動させると、駆動軸(70)への第2ピストン(45)の取り付けが完了する。
−欠損軸部による駆動軸の撓み抑制効果について−
上述のように、本実施形態では、副軸部(74)の第2偏心部(76)に軸方向に隣接する部分を、外周面が駆動軸(70)の径方向において第2偏心部(76)の外周面よりも外側にはみ出ないように一部分が切り欠かれた円柱部材からなる欠損軸部(77)に構成することにより、第2偏心部(76)の径を増大させることなく偏心量eのみを増大させても、第2ピストン(45)を第2偏心部(76)に組付けることができるようにしている。
一方、本実施形態では、このような欠損軸部(77)を設けることによって軸受間距離が長くなって駆動軸(70)が撓み易くなるのを抑制するため、欠損軸部(77)の外周面の一部分が副軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する被支持面(77b)となるように欠損軸部(77)を構成している。これにより、欠損軸部(77)は、副軸受部(27)に回転自在に支持される。よって、欠損軸部(77)に被支持面(77b)がない場合に比べて軸受間距離が短縮され、駆動軸(70)の撓みが抑制される。
ところで、欠損軸部(77)の切り欠き部分(切り欠き面(77a))は副軸受部(27)の内周面(27a)と摺動しないため、切り欠き面(77a)が駆動軸(70)に作用する荷重の方向(副軸受部(27)に作用する荷重の方向)と一致する回転角度にある際には、欠損軸部(77)は副軸受部(27)に支持されない。そのため、駆動軸(70)がこのような回転角度にある際には、軸受間距離を短くすることができず、上述のような駆動軸(70)の撓み抑制効果が生じない。
そこで、本実施形態1では、欠損軸部(77)を、被支持面(77b)の中心角αが240°以上、切り欠き面(77a)の中心角βが120°未満になるように形成している。被支持面(77b)と切り欠き面(77a)をこのように形成することにより、駆動軸(70)が、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されない回転角度にあるとき、即ち、軸受間距離が短縮されず、撓み抑制効果がないときに、駆動軸(70)に作用する荷重が最大にならないようにする一方、駆動軸(70)に最大荷重が作用する際には、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されて撓み抑制効果が生じるようにしている。以下、この点について図15及び図16を用いて詳述する。
なお、図15(a)に示すグラフは、駆動軸(70)の1回転中における副軸受部(27)に作用する荷重の比率の変化を、最大荷重を1として示すものである。図15(b)に示すグラフは、副軸受部(27)に作用する荷重の角度位置(荷重位置角)と、切り欠き面(77a)の角度位置(切り欠き位置角)とを、それぞれ太実線、細実線で示すものである。
また、図15の各グラフにおいて横軸に示す「クランク角」は、駆動軸(70)の回転角度であり、図16に示すように、第2ピストン(45)が下死点にあるときを0°とする。また、図15(a)及び図15(b)のグラフにおいて縦軸に示す「位置角」は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に直交する面内における回転中心軸(70a)に対する角度であり、図16に示すように、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に直交する面内において回転中心軸(70a)とブッシュ(47)の揺動中心軸(47a)とを結ぶ直線を縦軸、この縦軸と回転中心軸(70a)とに直交する直線を横軸としたときに、横軸に沿った吸入側(低圧室側)の方向を0°、横軸に沿った吐出側(高圧室側)の方向を±180°、縦軸に沿ったブッシュ(47)側の方向を+90°、縦軸に沿ったブッシュ(47)と逆側の方向を−90°とする。なお、図15及び図16は、切り欠き面(77a)の中心角βが120°の場合を示している。
図15(a)のグラフに示すように、駆動軸(70)の1回転中に、圧縮流体によって副軸受部(27)に作用する荷重は大きく変動し、第2シリンダ(35)において吐出行程が開始される直前(クランク角が35°付近)において最大となる。
図15(b)のグラフにおいて太実線で示すように、駆動軸(70)の1回転中に、荷重位置角(副軸受部(27)に作用する荷重の角度位置)は、0°を含む所定の範囲で変動する。また、同グラフにおいて細実線で示すように、駆動軸(70)の1回転中に、切り欠き位置角(切り欠き面(77a)の角度位置)も1回転する。図16に示すように、切り欠き中心位置角(切り欠き面(77a)の周方向の中心の位置角)は、クランク角が0°のときには+90°、クランク角が90°のときには0°、クランク角が180°のときには−90°、クランク角が270°のときには±180°となる。切り欠き位置角は、切り欠き面(77a)の中心角βが120°の場合、切り欠き中心位置角の両側60°の範囲となる。
図15(b)のグラフに示すように、切り欠き面(77a)の中心角βが120°の場合、切り欠き位置角(2本の細実線間の範囲)と荷重位置角(太実線)とは、クランク角が角度範囲γ内にある際に一致する。つまり、クランク角が角度範囲γ内にある際には、駆動軸(70)に作用する荷重方向において、欠損軸部(77)の外周面(切り欠き面(77a))と副軸受部(27)の内周面(27a)とが摺動しない。よって、欠損軸部(77)は、副軸受部(27)に支持されず、副軸部(74)において円柱軸部(78)のみが副軸受部(27)に支持される。そのため、クランク角が角度範囲γ内にある際には、軸受間距離を短くすることができず、駆動軸(70)の撓み抑制効果が生じない。
しかしながら、図15(a)のグラフに示すように、切り欠き面(77a)の中心角βが120°の場合、副軸受部(27)に作用する荷重が最大になるクランク角(35°付近)は、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されないクランク角の角度範囲γに含まれない。そして、切り欠き面(77a)の中心角βを120°よりも小さくすると、切り欠き中心位置角(図15(b)のグラフにおける2本の細実線間の範囲)の幅が狭くなり、クランク角の角度範囲γも狭くなる。これにより、副軸受部(27)に作用する荷重比率が比較的高いクランク角範囲が、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されないクランク角の角度範囲γに含まれなくなる。つまり、切り欠き面(77a)の中心角βを120°未満にすると、駆動軸(70)が、切り欠き位置角と荷重位置角とが一致して欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されず、軸受間距離の短縮による駆動軸(70)の撓み抑制効果がないクランク角が角度範囲γ内にある際に、副軸受部(27)に作用する荷重が比較的低いものとなる。
そこで、本実施形態1では、被支持面(77b)の中心角αが240°以上、切り欠き面(77a)の中心角βが120°未満になるように欠損軸部(77)を形成することとしている。そのため、このような構成により、軸受間距離の短縮による駆動軸(70)の撓み抑制効果がないクランク角が角度範囲γ内にある際には、副軸受部(27)に作用する荷重が比較的低いものとなり、駆動軸(70)の撓みが比較的小さくなる。一方、副軸受部(27)に比較的高い荷重が作用して駆動軸(70)の撓みが比較的大きくなる際には、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されるため、駆動軸(70)の撓みが抑制される。
−実施形態1の効果−
本実施形態1のロータリ圧縮機(1)は、第2シリンダ(シリンダ)(35)と、上記第2シリンダ(35)の内壁面に沿って公転して該第2シリンダ(35)の内壁面との間に流体を圧縮する第2圧縮室(圧縮室)(39)を形成する円筒状の第2ピストン(ピストン)(45)と、回転中心軸(70a)に対して所定の偏心方向に偏心して上記第2ピストン(45)が嵌まる第2偏心部(偏心部)(76)と、該第2偏心部(76)に連結された上記回転中心軸(70a)と同軸の円柱状の副軸部(軸部)(74)とを有し、上記第2偏心部(76)の半径をR(R)とし、該第2偏心部(76)の偏心量をe(e)とし、上記軸部(74)の半径をR(R)としたときに、R−e<R(R−e<R)を満たす駆動軸(70)と、上記副軸部(74)を回転自在に支持する副軸受部(軸受部)(27)を有し、上記第2シリンダ(35)の一端面を閉塞するリアヘッド(端板)(25)とを備えている。上記副軸部(74)は、上記第2偏心部(76)に軸方向に隣接し、外周面が上記駆動軸(70)の径方向において上記第2偏心部(76)の外周面よりも外側にはみ出ないように一部分が切り欠かれた円柱部材からなる欠損軸部(77)を有し、上記欠損軸部(77)は、上記副軸受部(27)に回転自在に支持されるように、外周面の一部分が上記副軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する被支持面(77b)に構成されている。
本実施形態1のロータリ圧縮機(1)は、第2偏心部(76)の半径Rから第2偏心部(76)の偏心量eを減じた長さ、即ち、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)から第2偏心部(76)の反偏心側の外周面までの長さ(駆動軸(70)の回転中心軸(70a)から第2偏心部(76)の外周面までの長さの最小値r)が、副軸部(74)の半径Rよりも小さくなるように構成されている。つまり、上記ロータリ圧縮機(1)では、第2偏心部(76)を、反偏心側の外周面が副軸部(74)の反偏心側の外周面に対して偏心側に凹むように構成することで、第2偏心部(76)の直径φDと第2シリンダ(35)の高さを増大させることなく偏心量eのみを増大させたため、第2シリンダ(35)と第2ピストン(45)の摺動損失を増大させずに容量の増大を図ることができる。
ところで、上述のように駆動軸(70)の外周面が第2偏心部(76)で偏心側へ凹んだ状態では、第2ピストン(45)を副軸部(74)側から駆動軸(70)の軸方向に移動させながら第2偏心部(76)に組付ける際に、第2ピストン(45)が第2偏心部(76)の軸方向端面に当接してそれ以上軸方向に移動させられず、第2ピストン(45)を第2偏心部(76)に取り付けることができない。
そこで、本実施形態1では、副軸部(74)の第2偏心部(76)に軸方向に隣接する部分を、外周面が駆動軸(70)の径方向において第2偏心部(76)の外周面よりも外側にはみ出ないように一部分が切り欠かれた円柱部材からなる欠損軸部(77)に構成している。つまり、駆動軸(70)の外周面が、副軸部(74)の第2偏心部(76)に軸方向に隣接する部分においても、第2偏心部(76)と同様に、該第2偏心部(76)の偏心側へ凹むように形成されている。このような欠損軸部(77)を設けることにより、第2ピストン(45)を第2偏心部(76)に組付ける際に第2ピストン(45)を第2偏心部(76)に外嵌可能な位置までずらすためのスペースを確保している。つまり、上記ロータリ圧縮機(1)では、第2ピストン(45)を副軸部(74)側から駆動軸(70)の軸方向に移動させて第2偏心部(76)に外嵌させる際に、第2ピストン(45)を欠損軸部(77)の外周において駆動軸(70)の径方向に移動させて第2偏心部(76)に外嵌可能な位置(駆動軸(70)の径方向において第2ピストン(45)の内周面が第2偏心部(76)の外周面の外側に位置する位置)までずらすことができる。このようにして欠損軸部(77)の外周において第2ピストン(45)をずらした後、再び、第2ピストン(45)を駆動軸(70)の軸方向に移動させることで第2ピストン(45)を第2偏心部(76)に取り付けることができる。このように、本実施形態1によれば、第2偏心部(76)の径を増大させることなく偏心量eのみを増大させても、第2ピストン(45)を第2偏心部(76)に組付けることができる。
また、本実施形態1では、欠損軸部(77)の外周面の一部分が副軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する被支持面(77b)となるように欠損軸部(77)を構成している。これにより、欠損軸部(77)は、副軸受部(27)に回転自在に支持される。よって、駆動軸の副軸部と偏心部との間に軸受に支持されない連結部が設けられた従来のロータリ圧縮機に比べて軸受間距離が短くなる。よって、駆動軸(70)の撓みを抑制することができる。
また、本実施形態1のロータリ圧縮機(1)において、上記欠損軸部(77)の上記切り欠かれた一部分に面する切り欠き面(77a)には、該切り欠き面(77a)と上記副軸受部(27)の内周面(27a)との間の空間(79)に潤滑油を供給する給油孔(71a)が形成されている。
ところで、このように一部分が切り欠かれた欠損軸部(77)では、副軸受部(27)との間に潤滑油を供給しても、副軸受部(27)との間に油膜が形成され難い。
本実施形態1では、欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)に給油孔(71a)が設けられているため、該切り欠き面(77a)と副軸受部(27)の内周面(27a)との間の空間(79)に潤滑油が潤沢に供給されることとなる。これにより、欠損軸部(77)と副軸受部(27)との間に油膜が形成されることとなり、欠損軸部(77)の焼き付きを抑制することができる。
また、本実施形態1のロータリ圧縮機(1)において、上記副軸部(74)は、軸方向において上記欠損軸部(77)の上記第2偏心部(76)とは逆側に形成され、外周面全周が上記副軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する円柱部材からなる円柱軸部(78)を有している。このような構成により、駆動軸(70)が副軸受部(27)によってしっかりと支持されることとなる。また、外周面全周が副軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する円柱軸部(78)では、欠損軸部(77)に比べて副軸受部(27)との間に潤滑油が止まり易く、この間に油膜が形成され易い。そのため、このような円柱軸部(78)が軸方向において欠損軸部(77)の第2偏心部(76)とは逆側に設けられることにより、欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)と副軸受部(27)の内周面(27a)との間の空間(79)に供給された潤滑油が、欠損軸部(77)と副軸受部(27)との間に止まり易くなり、この間に油膜が形成され易くなる。従って、本実施形態1によれば、欠損軸部(77)を設けることとしても、副軸部(74)と副軸受部(27)との間に油膜が容易に形成されるため、副軸部(74)の焼き付きを抑制することができる。
また、本実施形態1のロータリ圧縮機(1)において、上記欠損軸部(77)は、上記回転中心軸(70a)に直交する面内において該回転中心軸(70a)に対する上記第2偏心部(76)の偏心方向(第2方向)の角度を0°とすると、回転中心軸(70a)に対する角度が少なくとも±120°の範囲内の外周面が上記被支持面(77b)となるように構成されている。つまり、本実施形態1では、欠損軸部(77)を、被支持面(77b)の中心角αが240°以上になるように形成している。被支持面(77b)をこのような範囲に形成することにより、駆動軸(70)が、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されない回転角度にある際には、駆動軸(70)に最大荷重が作用せず、駆動軸(70)に最大荷重が作用する際には、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されるように構成される。そのため、駆動軸(70)の1回転中、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されないために軸受間距離の短縮による駆動軸(70)の撓み抑制効果がない回転角度の際に駆動軸(70)が大きく撓むことがなく、駆動軸(70)に作用する荷重が比較的低いために駆動軸(70)が撓み難くなり、駆動軸(70)に最大荷重が作用する際には、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されるために軸受間距離が短縮され、撓み抑制効果が発揮される。従って、本実施形態1のロータリ圧縮機(1)によれば、駆動軸(70)が大きく撓むのを抑制することができる。
−変形例1−
変形例1は、実施形態1のロータリ圧縮機(1)において、副軸部(74)が欠損軸部(77)を有していた駆動軸(70)を、主軸部(72)が欠損軸部(77)を有するように構成するものである。
変形例1のロータリ圧縮機(1)では、第1シリンダ(30)が「シリンダ」、第1ピストン(40)が「ピストン」、第1偏心部(75)が「偏心部」、主軸部(72)が「軸部」となる。そして、駆動軸(70)が、第1偏心部(75)の半径R(偏心部の半径R)から第1偏心部(75)の偏心量e(偏心部の偏心量e)を減じた長さが、主軸部(72)の半径R(軸部の半径R)よりも小さくなるように、即ち、R−e<R(R−e<R)を満たすように構成される。
そして、変形例1では、主軸部(72)の第1偏心部(75)に軸方向に隣接する部分が、第1偏心部(75)の偏心方向である第1方向の逆側(反偏心側)、即ち第2方向側の一部分が切り欠かれた円柱部材からなる欠損軸部(77)に構成される。具体的には、欠損軸部(77)は、第2方向側の一部分が、中心軸が第1偏心部(75)の中心軸(75a)と一致し且つ半径が第1偏心部(75)の半径Rと等しい円柱面の一部(円弧面)で切り欠かれている。言い換えると、欠損軸部(77)の第2方向側の切り欠かれた一部分に面する切り欠き面(77a)は、中心軸が第1偏心部(75)の中心軸(75a)と一致し且つ半径が第1偏心部(75)の半径Rと等しい円柱面の一部(円弧面)で構成される。
また、変形例1では、欠損軸部(77)の第1方向側の外周面は、主軸部(72)を回転自在に支持する主軸受部(22)の内周面と摺動する被支持面(77b)となるように構成されている。被支持面(77b)は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)と同軸で、半径がR(R)で且つ中心角αの円弧面で構成されている。欠損軸部(77)は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に直交する面内において該回転中心軸(70a)に対する第1偏心部(75)の偏心方向(第1方向)の角度を0°とすると、回転中心軸(70a)に対する角度が少なくとも±120°の範囲内の外周面が被支持面(77b)となるように構成されている。つまり、欠損軸部(77)は、被支持面(77b)の中心角αが240°以上、切り欠き面(77a)の中心角βが120°未満になるように形成されている。
また、実施形態1と同様に、欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)には、上記給油通路(71)に繋がる給油孔(71a)が形成される。この給油孔(71a)を介して、欠損軸部(77)の切り欠き面(77a)と主軸受部(22)の内周面との間の空間に、給油通路(71)から潤滑油が供給される。
このように、変形例1では、主軸部(72)の第1偏心部(75)に軸方向に隣接する部分を、外周面が駆動軸(70)の径方向において第1偏心部(75)の外周面よりも外側にはみ出ないように一部分が切り欠かれた円柱部材からなる欠損軸部(77)に構成することにより、第1偏心部(75)の径を増大させることなく偏心量eのみを増大させても、第1ピストン(40)を第1偏心部(75)に組付けることができる。
また、変形例1においても、欠損軸部(77)を、被支持面(77b)の中心角αが240°以上、切り欠き面(77a)の中心角βが120°未満になるように形成することにより、駆動軸(70)が、欠損軸部(77)が主軸受部(22)に支持されない回転角度にあるとき、即ち、軸受間距離が短縮されず、撓み抑制効果がないときに、駆動軸(70)に作用する荷重が最大にならないようにする一方、駆動軸(70)に最大荷重が作用する際には、欠損軸部(77)が主軸受部(22)に支持されて撓み抑制効果が生じるようにしている。以下、この点について図17及び図18を用いて詳述する。
なお、図17(a)に示すグラフは、駆動軸(70)の1回転中における主軸受部(22)に作用する荷重の比率の変化を、最大荷重を1として示すものである。図17(b)に示すグラフは、主軸受部(22)に作用する荷重の角度位置(荷重位置角)と、切り欠き面(77a)の角度位置(切り欠き位置角)とを、それぞれ太実線、細実線で示すものである。
また、図17の各グラフにおいて横軸に示す「クランク角」は、駆動軸(70)の回転角度であり、図18に示すように、第1ピストン(40)が上死点にあるときを0°とする。また、図17(a)及び図17(b)のグラフにおいて縦軸に示す「位置角」は、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に直交する面内における回転中心軸(70a)に対する角度であり、図18に示すように、駆動軸(70)の回転中心軸(70a)に直交する面内において回転中心軸(70a)とブッシュ(42)の揺動中心軸(42a)とを結ぶ直線を縦軸、この縦軸と回転中心軸(70a)とに直交する直線を横軸としたときに、横軸に沿った吸入側(低圧室側)の方向を0°、横軸に沿った吐出側(高圧室側)の方向を±180°、縦軸に沿ったブッシュ(42)側の方向を+90°、縦軸に沿ったブッシュ(42)と逆側の方向を−90°とする。なお、図17及び図18は、切り欠き面(77a)の中心角βが120°の場合を示している。
図17(a)のグラフに示すように、駆動軸(70)の1回転中に、圧縮流体によって主軸受部(22)に作用する荷重は大きく変動し、第1シリンダ(30)において吐出行程が開始される直前(クランク角が215°付近)において最大となる。
図17(b)のグラフにおいて太実線で示すように、駆動軸(70)の1回転中に、荷重位置角(主軸受部(22)に作用する荷重の角度位置)は、0°を含む所定の範囲で変動する。また、同グラフにおいて細実線で示すように、駆動軸(70)の1回転中に、切り欠き位置角(切り欠き面(77a)の角度位置)も1回転する。図18に示すように、切り欠き中心位置角(切り欠き面(77a)の周方向の中心の位置角)は、クランク角が0°のときには−90°、クランク角が90°のときには±180°、クランク角が180°のときには+90°、クランク角が270°のときには0°となる。切り欠き位置角は、切り欠き面(77a)の中心角βが120°の場合、切り欠き中心位置角の両側60°の範囲となる。
図17(b)のグラフに示すように、切り欠き面(77a)の中心角βが120°の場合、切り欠き位置角(2本の細実線間の範囲)と荷重位置角(太実線)とは、クランク角が角度範囲γ内にある際に一致する。つまり、クランク角が角度範囲γ内にある際には、駆動軸(70)に作用する荷重方向において、欠損軸部(77)の外周面(切り欠き面(77a))と主軸受部(22)の内周面とが摺動せず、欠損軸部(77)は、主軸受部(22)に支持されない。そのため、クランク角が角度範囲γ内にある際には、軸受間距離を短くすることができず、駆動軸(70)の撓み抑制効果が生じない。
しかしながら、図17(a)のグラフに示すように、切り欠き面(77a)の中心角βが120°の場合、主軸受部(22)に作用する荷重が最大になるクランク角(215°付近)は、欠損軸部(77)が主軸受部(22)に支持されないクランク角の角度範囲γに含まれない。そして、切り欠き面(77a)の中心角βを120°よりも小さくすると、切り欠き中心位置角(図17(b)のグラフにおける2本の細実線間の範囲)の幅が狭くなり、クランク角の角度範囲γも狭くなる。これにより、主軸受部(22)に作用する荷重比率の比較的高いクランク角範囲が、欠損軸部(77)が主軸受部(22)に支持されないクランク角の角度範囲γに含まれなくなる。つまり、切り欠き面(77a)の中心角βを120°未満にすると、軸受間距離の短縮による駆動軸(70)の撓み抑制効果がないクランク角が角度範囲γ内にある際に、主軸受部(22)に作用する荷重が比較的低いものとなる。
そこで、変形例1においても、被支持面(77b)の中心角αが240°以上、切り欠き面(77a)の中心角βが120°未満になるように欠損軸部(77)を形成することとしている。このような構成により、軸受間距離の短縮による駆動軸(70)の撓み抑制効果がないクランク角が角度範囲γ内にある際には、主軸受部(22)に作用する荷重が比較的低いものとなり、駆動軸(70)の撓みが比較的小さくなる。一方、主軸受部(22)に比較的高い荷重が作用して駆動軸(70)の撓みが比較的大きくなる際には、欠損軸部(77)が主軸受部(22)に支持されるため、駆動軸(70)の撓みが抑制される。
以上のように、変形例1によっても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
−変形例2−
変形例2は、実施形態1のロータリ圧縮機(1)において、第1シリンダ(30)と第2シリンダ(35)とを有する所謂2気筒の圧縮機構で構成されていた圧縮機構(15)を、第2シリンダ(35)のみを備えた1気筒の圧縮機構で構成したものである。
具体的には、変形例2では、圧縮機構(15)は、実施形態1と同様に、フロントヘッド(20)と、リアヘッド(25)と、駆動軸(70)とを、1つずつ備えている。また、変形例2では、圧縮機構(15)は、シリンダ(第2シリンダ(35))と、ピストン(第2ピストン(45))と、ブレード(第2ブレード(46))とを1つずつ備えている。また、変形例2では、圧縮機構(15)は、中間プレート(50)を備えていない。その他の構成は、実施形態1と同様である。
変形例2においても、副軸部(74)の第2偏心部(76)に軸方向に隣接する部分を、外周面が駆動軸(70)の径方向において第2偏心部(76)の外周面よりも外側にはみ出ないように一部分が切り欠かれた円柱部材からなる欠損軸部(77)に構成することにより、第2偏心部(76)の径を増大させることなく偏心量eのみを増大させても、第2ピストン(45)を第2偏心部(76)に組付けることができる。
また、変形例2においても、欠損軸部(77)を、被支持面(77b)の中心角αが240°以上、切り欠き面(77a)の中心角βが120°未満になるように形成している。被支持面(77b)と切り欠き面(77a)をこのように形成することにより、駆動軸(70)が、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されない回転角度にあるとき、即ち、軸受間距離が短縮されず、撓み抑制効果がないときに、駆動軸(70)に作用する荷重が最大にならないようにする一方、駆動軸(70)に最大荷重が作用する際には、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されて撓み抑制効果が生じるようにしている。以下、この点について図19を用いて詳述する。
なお、図19(a)に示すグラフは、駆動軸(70)の1回転中における副軸受部(27)に作用する荷重の比率の変化を、最大荷重を1として示すものである。図19(b)に示すグラフは、副軸受部(27)に作用する荷重の角度位置(荷重位置角)と、切り欠き面(77a)の角度位置(切り欠き位置角)とを、それぞれ太実線、細実線で示すものである。
また、図19の各グラフにおいて横軸に示す「クランク角」は、駆動軸(70)の回転角度であり、第2ピストン(45)が上死点にあるときを0°とする。また、図19(a)及び図19(b)のグラフにおいて縦軸に示す「位置角」は、実施形態1と同様のものである。
図19(a)のグラフに示すように、駆動軸(70)の1回転中に、圧縮流体によって副軸受部(27)に作用する荷重は大きく変動し、第2シリンダ(35)において吐出行程が開始される直前(クランク角が215°付近)において最大となる。
図19(b)のグラフにおいて太実線で示すように、駆動軸(70)の1回転中に、荷重位置角(副軸受部(27)に作用する荷重の角度位置)は、0°を含む所定の範囲で変動する。また、同グラフにおいて細実線で示すように、駆動軸(70)の1回転中に、切り欠き位置角(切り欠き面(77a)の角度位置)も1回転する。図19(b)のグラフにおいて破線で示すように、切り欠き中心位置角(切り欠き面(77a)の周方向の中心の位置角)は、クランク角が0°のときには−90°、クランク角が90°のときには±180°、クランク角が180°のときには90°、クランク角が270°のときには0°となる。切り欠き位置角は、切り欠き面(77a)の中心角βが120°の場合、切り欠き中心位置角の両側60°の範囲となる。
図19(b)のグラフに示すように、切り欠き面(77a)の中心角βが120°の場合、切り欠き位置角(2本の細実線間の範囲)と荷重位置角(太実線)とは、クランク角が角度範囲γ内にある際に一致する。つまり、クランク角が角度範囲γ内にある際には、駆動軸(70)に作用する荷重方向において、欠損軸部(77)の外周面(切り欠き面(77a))と副軸受部(27)の内周面(27a)とが摺動せず、欠損軸部(77)は、副軸受部(27)に支持されない。そのため、クランク角が角度範囲γ内にある際には、軸受間距離を短くすることができず、駆動軸(70)の撓み抑制効果が生じない。
しかしながら、図19(a)のグラフに示すように、切り欠き面(77a)の中心角βが120°の場合、副軸受部(27)に作用する荷重が最大になるクランク角(215°付近)は、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されないクランク角の角度範囲γに含まれない。そして、切り欠き面(77a)の中心角βを120°よりも小さくすると、切り欠き中心位置角(図19(b)のグラフにおける2本の細実線間の範囲)の幅が狭くなり、クランク角の角度範囲γも狭くなる。これにより、副軸受部(27)に作用する荷重比率の比較的高いクランク角範囲が、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されないクランク角の角度範囲γに含まれなくなる。つまり、切り欠き面(77a)の中心角βを120°未満にすると、軸受間距離の短縮による駆動軸(70)の撓み抑制効果がないクランク角が角度範囲γ内にある際に、副軸受部(27)に作用する荷重が比較的低いものとなる。
そこで、変形例2においても、被支持面(77b)の中心角αが240°以上、切り欠き面(77a)の中心角βが120°未満になるように欠損軸部(77)を形成することとしている。このような構成により、軸受間距離の短縮による駆動軸(70)の撓み抑制効果がないクランク角が角度範囲γ内にある際には、副軸受部(27)に作用する荷重が比較的低いものとなり、駆動軸(70)の撓みが比較的小さくなる。一方、副軸受部(27)に比較的高い荷重が作用して駆動軸(70)の撓みが比較的大きくなる際には、欠損軸部(77)が副軸受部(27)に支持されるため、駆動軸(70)の撓みが抑制される。
以上のように、変形例2によっても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態1では、駆動軸(70)は、副軸部(74)が欠損軸部(77)を有し、R−e<Rを満たすように構成されていたが、駆動軸(70)は、主軸部(72)及び副軸部(74)の両方が欠損軸部(77)を有し、駆動軸(70)を、R−e<R、及びR−e<Rを満たすように構成されていてもよい。
また、上記実施形態1及び変形例1,2では、副軸部(74)は、主軸部(72)よりも小径(2R<2R)に形成されていたが、副軸部(74)は、主軸部(72)と略同径(2R=2R)に形成されていてもよい。
また、上記実施形態1及び変形例1,2では、ロータリ圧縮機(1)は、所謂揺動ピストン型のロータリ圧縮機に構成されていた。本発明に係るロータリ圧縮機(1)は、ロータリ圧縮機であればよく、揺動ピストン型のロータリ圧縮機でなくてもよい。例えば、ローリングピストン型のロータリ圧縮機であってもよい。
さらに、上記実施形態1及び変形例1,2では、ロータリ圧縮機(1)は、ブレード(41,46)がピストン(40,45)とが一体に形成されていたが、別体に形成された揺動ピストン型のロータリ圧縮機であってもよい。具体的には、一対のブッシュ(42,47)を有さず、ピストン(40,45)と別体のブレード(41,46)がシリンダ(30,35)に形成されたブレード溝に進退自在に支持され、ピストン(40,45)が、外周面にブレード(41,46)の先端部が嵌まる凹部を有し、駆動軸(70)の回転に伴い、凹部に嵌まるブレード(41,46)の円柱面からなる先端部に摺接して揺動するように構成された揺動ピストン型のロータリ圧縮機であってもよい。
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
以上説明したように、本開示は、ロータリ圧縮機について有用である。
1 ロータリ圧縮機
25 リアヘッド(端板)
27 副軸受部(軸受部)
27a 内周面
35 第2シリンダ(シリンダ)
39 第2圧縮室(圧縮室)
45 第2ピストン(ピストン)
70 駆動軸
70a 回転中心軸
71a 給油孔
74 副軸部(軸部)
76 第2偏心部(偏心部)
77 欠損軸部
77a 切り欠き面
77b 被支持面
78 円柱軸部
79 空間

Claims (4)

  1. シリンダ(35)と、
    上記シリンダ(35)の内壁面に沿って公転して該シリンダ(35)の内壁面との間に流体を圧縮する圧縮室(39)を形成する円筒状のピストン(45)と、
    回転中心軸(70a)に対して所定の偏心方向に偏心して上記ピストン(45)が嵌まる偏心部(76)と、該偏心部(76)に連結された上記回転中心軸(70a)と同軸の円柱状の軸部(74)とを有し、上記偏心部(76)の半径をRとし、該偏心部(76)の偏心量をeとし、上記軸部(74)の半径をRとしたときに、R−e<Rを満たす駆動軸(70)と、
    上記軸部(74)を回転自在に支持する軸受部(27)を有し、上記シリンダ(35)の一端面を閉塞する端板(25)とを備えたロータリ圧縮機であって、
    上記軸部(74)は、上記偏心部(76)に軸方向に隣接し、外周面が上記駆動軸(70)の径方向において上記偏心部(76)の外周面よりも外側にはみ出ないように一部分が切り欠かれた円柱部材からなる欠損軸部(77)を有し、
    上記欠損軸部(77)は、上記軸受部(27)に回転自在に支持されるように、外周面の一部分が上記軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する被支持面(77b)に構成されている
    ことを特徴とするロータリ圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記欠損軸部(77)の上記切り欠かれた一部分に面する切り欠き面(77a)には、該切り欠き面(77a)と上記軸受部(27)の内周面(27a)との間の空間(79)に潤滑油を供給する給油孔(71a)が形成されている
    ことを特徴とするロータリ圧縮機。
  3. 請求項1又は2において、
    上記軸部(74)は、軸方向において上記欠損軸部(77)の上記偏心部(76)とは逆側に形成され、外周面全周が上記軸受部(27)の内周面(27a)と摺動する円柱部材からなる円柱軸部(78)を有している
    ことを特徴とするロータリ圧縮機。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
    上記欠損軸部(77)は、上記回転中心軸(70a)に直交する面内において該回転中心軸(70a)に対する上記偏心方向の角度を0°とすると、回転中心軸(70a)に対する角度が少なくとも±120°の範囲内の外周面が上記被支持面(77b)となるように構成されている
    ことを特徴とするロータリ圧縮機。
JP2018182769A 2018-09-27 2018-09-27 ロータリ圧縮機 Pending JP2020051367A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018182769A JP2020051367A (ja) 2018-09-27 2018-09-27 ロータリ圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018182769A JP2020051367A (ja) 2018-09-27 2018-09-27 ロータリ圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020051367A true JP2020051367A (ja) 2020-04-02

Family

ID=69996292

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018182769A Pending JP2020051367A (ja) 2018-09-27 2018-09-27 ロータリ圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020051367A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016017473A (ja) 回転式圧縮機
WO2016021155A1 (ja) 回転式圧縮機
JP2020051367A (ja) ロータリ圧縮機
CN111033048B (zh) 旋转式压缩机
CN110998095B (zh) 旋转式压缩机
JP2013142351A (ja) ベーン型圧縮機
JP5703752B2 (ja) 圧縮機
JP5494139B2 (ja) 回転式圧縮機
JP3972149B2 (ja) 回転式圧縮機
JP3742849B2 (ja) ロータリー圧縮機
JP2016017481A (ja) 回転式圧縮機
JP2019039418A (ja) ロータリ圧縮機
JP7502638B2 (ja) ロータリ圧縮機
JP5423538B2 (ja) 回転式圧縮機
JP5499841B2 (ja) 回転式圧縮機
JP2017008826A (ja) 回転式圧縮機
JP2018059434A (ja) 圧縮機
JP2019031949A (ja) ロータリ圧縮機
JP2018204458A (ja) 圧縮機
JP6464583B2 (ja) 回転式圧縮機
JP2019085928A (ja) 圧縮機
JP2019060254A (ja) 圧縮機
JP2010084662A (ja) 回転式圧縮機
JP2019011748A (ja) 回転式圧縮機
JP2008082269A (ja) 圧縮機