JP2020051179A - 軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物 - Google Patents

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Abstract

【課題】躯体側に配置のずれが存在する場合であっても、そのずれを容易に吸収することを可能とする軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物を提供すること。【解決手段】イナズマ型プレートからなり、上辺の中央及びその左右の3箇所に、Y方向に沿って切り欠かれた、中央スリット112、左スリット111L、及び、右スリット111Rが形成されており、左スリット111L及び右スリット111Rの底部から、X方向に沿って、切り欠かれている水平スリット113が底部の左右に延設されていてる、躯体側受け金物1と、コの字型プレートからなり、中央面における、躯体側受け金物1の中央スリット112、左スリット111L、及び、右スリット111Rに対応する位置に、各スリットに挿入可能な継合ボルト211L、212、211Rが形成されている、アングル連結用金物2とを含んでなる、軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物セット。【選択図】図2

Description

本発明は、軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)用の取付け金物、及び、それを用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造に関する。
ALCパネルを用いて壁体を形成する壁構造の一例として、これらの各パネルをその長手方向を水平方向に配置し、ALCパネルの両端を構造躯体である躯体柱に取り付ける横壁構造が知られている。
従来の横壁パネルの取付け構造として、例えば、図9に示す取付け構造が知られている。かかる構造では、1本の躯体柱4に、下地用取付け金物20を突設し、下地用取付け金物20の両側にそれぞれ下地金物として断面L字型のアングル材5を固定し、軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)8の長手方向の両端近傍で、鉛直方向中央に埋設されているアンカー金具9と、ボルト7とにより、隣接する2枚のALCパネル8に固定された断面Z型のイナズマ金物6を、それぞれのアングル材5に固定することで、隣接するALCパネル8を両者間の目地部を中心として構造躯体に取り付けている。
これに対して、例えば、1本の躯体柱に、下地用取付け金物を突設し、躯体柱と平行に、アングル材を下地用取付け金物に取り付け、アングル材に、取付け金物である平プレートを固定し、隣接するALCパネルの端部を両者間の目地部を中心として1枚の平プレートに固定することで、ALCパネルを構造躯体に取り付ける取付け構造も開示されている(特許文献1、2)。
ここで、ALCパネルをイナズマ金物或いは平プレートに固定する際、例えば、水平方向に隣接するALCパネル毎に埋設されたアンカー金具が、水平方向にずれているという施工誤差が存在する場合は、イナズマ金物或いは平プレートのボルト孔を、水平方向に伸長する長孔としておくことによってもこのような誤差を吸収することは可能である。しかしながら、躯体柱の微細な傾き等、躯体側に施工誤差等による配置のずれが存在する場合、このような誤差は、躯体柱の両側に配置されるALCパネルそれぞれに異なる影響を与えるため、パネル毎にずれを吸収して正しい位置に設置する作業は、高い精度の手作業が要求され困難且つ繁雑なものとなる。
特開2000−96747号公報 特開2000−265606号公報
本発明は、躯体柱の微細な傾き等、躯体側に施工誤差等による配置のずれが存在する場合であっても、そのずれを容易に吸収することを可能とする軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物を提供することを目的とする。
本発明者らは、それぞれ特定形状を有する二つの金具、即ち、本発明独自の形状からなる躯体取付け用金物と、アングル連結用金物とが継合一体化されてなる構造を有する取付け構造により、躯体柱の施工誤差を容易に吸収して、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1) 躯体側受け金物と、アングル連結用金物と、を含んでなる、軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物セットであって、前記躯体側受け金物は、外縁が略矩形状であるイナズマプレート状の板材であって、一方の直線状の上辺の中央及びその左右の3箇所に、使用時に鉛直方向となることが想定されている方向に沿って切り欠かれた、左スリット、中央スリット、及び、右スリット、が形成されており、前記左スリット及び前記右スリットの底部から、使用時に水平方向となることが想定されている方向に沿って、切り欠かれている水平スリットが該底部の左右に延設されていて、前記アングル連結用金物は、コの字型プレートからなり、該コの字型プレートの中央面における、前記躯体側受け金物の前記中央スリット、前記左スリット及び前記右スリットに対応する位置に、各スリットに挿入可能な継合ボルトが形成されている、取付け金物セット。
(1)の発明に係る取付け金物セットを用いることにより、ALCパネルを用いた壁体の構成に際して、躯体柱の微細な傾き等、躯体側に施工誤差等による配置のずれが存在する場合であっても、そのずれを実施容易な手順によって吸収して、取付け金物の設置位置を的確に微調整し、建造物における設計上の正しい位置に正確にALCパネルを設置することができる。
(2) 円形又は円周の外縁部に接する辺をもつ正多角形であり、尚且つ、中心から偏心した位置にボルト孔を有するロック用円形金物を、更に含んでなる、(1)に記載の取付け金物セット。
(2)の発明によれば、(1)に記載の発明により形成されたALCパネル壁体において、設置位置が最適に調製されている本発明の取付け金物の位置が、その後の様々な外力によって変動することを防止するために必要な十分な固定強度を、簡易な作業によりALCパネルの取付け構造に保持させることができる。これによりこのALCパネル取付け構造の長期耐久性も向上させることができる。
(3) (1)又は(2)に記載の取付け金物セットと、断面L字型のアングル材と、軽量気泡コンクリートパネルと、を含んで構成されている、軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造であって、前記躯体側受け金物は躯体柱に溶接されていて、前記アングル連結用金物は、前記躯体側受け金物において溶接部から段差を空けて張り出している金物受け部の裏面と前記躯体柱の表面との間の隙間に挿入された態様で固定されていて、前記躯体側受け金物の中央スリットと、右スリット及び左スリットに、前記継合ボルトが挿入されていて、前記アングル連結用金物の両側面に前記アングル材の一端が固定されていて、前記アングル材の他端が前記軽量気泡コンクリートパネルに直接又は更に他の取付け金物を介して接合されている、軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造。
(3)の発明によれば、(1)又は(2)の発明の効果を享受することにより、品質安定性と長期耐久性に優れるALCパネル壁体の製造が可能となる。
(4) (1)又は(2)に記載の取付け金物セットを用いて軽量気泡コンクリートパネルを建物躯体に取り付ける軽量気泡コンクリートパネルの取付け方法であって、前記躯体側受け金物を躯体柱に溶接する躯体側受け金物溶接工程と、前記躯体側受け金物に前記アングル連結用金物を締結固定するアングル連結用金物締結工程と、を含んでなり、前記躯体側受け金物溶接工程は、軽量気泡コンクリートパネルの施工現場外において行い、前記アングル連結用金物締結工程は、軽量気泡コンクリートパネルの施工現場内において行い、該アングル連結用金物締結工程においては、前記躯体側受け金物に前記アングル連結用金物を仮固定した後に、前記水平スリットの幅の範囲で前記躯体柱の施工位置誤差を吸収する該アングル連結用金物の設置位置の最終調整を行い、該最終調整を経た後に、前記アングル連結用金物を前記躯体側受け金物に最終的に固定する、軽量気泡コンクリートパネルの取付け方法。
(4)の発明によれば、(1)又は(2)の発明の効果を享受することにより、品質安定性と長期耐久性に優れるALCパネル壁体の製造が可能となる。
本発明によれば、躯体柱の微細な傾き等、躯体側に施工誤差等による配置のずれが存在する場合であっても、そのずれを容易に吸収することができる。
本発明の取付け金物セットを用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造の斜視図である。 本発明の取付け金物セットを用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造の上面図である。 本発明の取付け金物セットを用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造の側面図である。 本発明の取付け金物セットを構成する躯体側受け金物の3面図である。 本発明の取付け金物セットを構成するアングル連結用金物の3面図である。 本発明の取付け金物セットを構成するロック用円形金物の3面図である。 本発明の取付け金物セットの使用方法の説明に供する図面である。 本発明の取付け金物セットを用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造において、躯体側の施工誤差を吸収する機能の説明に供する図面である。 従来の軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造の上面図である。
以下、本発明の軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造、軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物セットと、これを構成する各取付け金物の好ましい実施形態、及び、この取付け金物を用いて行うことができる「軽量気泡コンクリートパネルの取付け方法」について説明する。尚、以下においては、主に、複数の長方形のALCパネルを、横積みにして建造物の柱等の躯体柱にパネル両端部を接合することによって建物の帳壁を構成する壁体に本発明を適用する場合の実施形態について説明する。
<軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造>
本発明の軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造10によれば、図1に示すように、ALCパネル8の長手方向を水平に配置して、隣接するALCパネル8の長手方向端部を構造躯体である躯体柱4に取り付ける横壁工法により、複数のALCパネル8が躯体柱4等の構造躯体に取り付けられてなるALC壁体100を建造することができる。
図1〜図3に示す通り、軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造10は、イナズマ金物6及びボルト7等の取付け金具によってALCパネル8と接合される断面L字型のアングル材5が、本発明の取付け金物セットを構成する2つの金物、即ち、アングル連結用金物2と躯体側受け金物1とを介して躯体柱4に固定されている構造である。取付け金物セットを構成する各金物の詳細については後述する。
図2及び図3に示す通り、軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造10においては、躯体柱4に躯体側受け金物1が溶接固定されている。この躯体側受け金物1は、断面Z型のイナズマ型プレートによって形成されていて平面視においては略矩形形状である。そしてアングル連結用金物2が、躯体側受け金物1において溶接部12から張り出している金物受け部11の裏面と躯体柱4の表面との間の隙間に挿入された態様で固定されている。
尚、ALC壁体100を構成するALCパネル8は、種々の製品規格があり特に限定はされないが、幅600mm、長さ1800mm〜5000mm、厚さ100mm〜150mm程度のサイズが標準的である。ALCパネル8の長手方向端部近傍(短辺小口面から70mm以上)で鉛直方向(幅方向)の中央部に、アンカー金具9が埋設されている(図2参照)。上記のアングル材5のALCパネル8への接合は、ボルト7をイナズマ金物6のボルト孔を通して、このアンカー金具9に締着させることにより行われる。
図1に示すような横壁工法により、ALC壁体100を構成するためには、ALCパネル8の長手方向を水平に配置して、隣接するALCパネルの長手方向端部(短辺小口面)を、目地部を介して突き合わせ、両者の長手方向端部を構造躯体である一本の躯体柱4に取り付け、且つ、一枚のALCパネル8の両端が二本の躯体柱4に取り付けられることにより、水平方向に複数のALCパネル8が躯体柱4に連続的に取り付けられる。鉛直方向には、下段のALCパネル8の長辺小口面上に上段のALCパネルを載置するか、或いは、躯体柱4に固定された自重受け金物(図視は省略されている)にALCパネル8を載置することにより、複数段のALCパネルからなるALC壁体100が形成される。
<軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物セット>
本発明の軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物セットは、少なくとも、図4に示す躯体側受け金物1と、図5に示すアングル連結用金物2とを含んで構成される。これら2種の金物を組合せて用いることにより、上述の軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造10を構成することができる。又、この「取付け金物セット」は、更に、図6に示すロック用円形金物3を含んで構成されることがより好ましい。
[躯体側受け金物]
図4に示す通り、「取付け金物セット」を構成する躯体側受け金物1は、平面視上の外縁が略矩形状(図4(b)参照)のイナズマ型プレートにより形成される。イナズマ型プレートは軽量気泡コンクリートパネルの施工現場等で汎用的に用いられている金物の1種でもあるが、側断面がZ型となるようにジグザグ状に折り返し形成されていることにより、2つの主要な部分の表面が段差を有して配置されるように成形されている板材である。躯体側受け金物1においては、金物受け部11と溶接部12との二つの板状部分が同じく板状の連結部13よって連結されていて、これら2つの部分の表面が段差を有して相互に平行に配置されていることとなる形状とされている(図4(c)参照)。尚、この段差の大きさは、アングル連結用金物2との継合時の安定性を高めるためにアングル連結用金物2を構成する板材の厚さ以上で且つ略同一であることが好ましい。
又、躯体側受け金物1は、断面が直線状である一対の対向する辺のうちの一方の辺を上辺とするとき、当該上辺の中央及びその左右の3箇所に、アングル連結用金物2との継合のためのスリット111L、112、111Rが切り欠かれている。これらの計3つのスリットは、上記の上辺の中央部に形成されている中央スリット112と、このスリットを中心にその左右の対称位置に形成されている左スリット111L及び右スリット111Rである。
又、これらの各スリット111L、112、111Rは、いずれも、使用時に鉛直方向となることが想定されている方向であるY方向に沿って切り欠かれている。中央スリット112は底部がU字型に形成されている切り欠きであることが好ましい。そして、左スリット111L及び右スリット111Rについては、それぞれのスリットの底部から、更に水平スリット113が切り欠かれている。この水平スリット113は、使用時に水平方向となることが想定されている方向であるX方向に沿って、左スリット111L及び右スリット111Rの各スリットの底部を起点に左右両方向に延設される態様で形成されている(図4(b)参照)。
又、図4(b)に示す通り、水平スリット111の幅は、ボルト211の直径をAとし、その可動域をaとした場合に、「A+2a」であることが好ましい。又、中央スリット112の幅は、上記可動域aの4倍(「2a+2a=4a」)であることが好ましい。
[アングル連結用金物]
図5に示す通り、「取付け金物セット」を構成するアングル連結用金物2は、その断面がコの字状となるように折り返し成形されているコの字型プレートにより形成される。そして、コの字型の3面のうちの中央面に3本の継合ボルト211L、212、211Rが突設されている。これら3本の継合ボルトは躯体側受け金物1の左スリット111L、中央スリット112、右スリット111Rに、それぞれ対応する位置(図7参照)に配置されている左継合ボルト211L、中央継合ボルト212、右継合ボルト211Rである。
[ロック用円形金物]
図6に示す通り、好ましくは「取付け金物セット」に含まれて、これを構成するロック用円形金物3は、平面視における外縁形状が円形、又は円周の外縁部に接する辺をもつ正多角形の板材であり、尚且つ、その中心から偏心した位置にボルト孔31が形成されている。又、ロック用円形金物3が円形の板材である場合に、その外径は、躯体側受け金物1の中央スリット112に挟まれて後述のロック機能が発揮できるように、同スリットの幅と略同一の大きさであればよい(図7(d)参照)。又、ボルト孔31の内径は、同様に、アングル連結用金物2の中央継合ボルト212のボルトによる締結機能が発揮できるように、同ボルトの軸径と略同一の大きさであればよい。
<軽量気泡コンクリートパネルの取付け方法>
以下、本発明の「軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物セット」を用いて、軽量気泡コンクリートパネルの建物躯体への取付けを行う、「軽量気泡コンクリートパネルの取付け方法」について説明する。この方法は、少なくとも、鋼材生産工場内等において、躯体側受け金物1を、躯体柱として用いる鋼材等に溶接する躯体側受け金物溶接工程と、躯体柱に溶接固定されている躯体側受け金物1に、アングル連結用金物2を締結固定するアングル連結用金物締結工程とを含んでなるプロセスである。
[躯体側受け金物溶接工程]
本発明の軽量気泡コンクリートパネルの取付け方法においては、上記2つの必須の工程のうち、取付け金物セットの1部品である躯体側受け金物1を用いる「躯体側受け金物溶接工程」については、軽量気泡コンクリートパネルの施工現場外の工場(一例として躯体柱4として用いるH型鋼を加工する鉄骨工場)において行うことが好ましい。
この躯体側受け金物溶接工程においては、躯体柱4とする鋼材のALCパネルの施工現場への搬入に先行して、躯体柱4の設置時に躯体側受け金物1の3つのスリット111L、112、111Rが形成されている上辺が、鉛直上側に配置されることを想定して、躯体柱4とする鋼材(H型鋼等)適切な位置に躯体側受け金物1を溶接固定する。このようにして、躯体側受け金物1は、上記鋼材への溶接を済ませた状態で軽量気泡コンクリートパネルの施工現場に搬入される。
[アングル連結用金物締結工程]
本発明の軽量気泡コンクリートパネルの取付け方法においては、上記2つの必須の工程のうち、取付け金物セットの他の1部品であるアングル連結用金物2を用いる「アングル連結用金物締結工程」については、軽量気泡コンクリートパネルの施工現場内において行う。
この工程においては、先ずは、躯体柱4が所定位置に設置される(図7(a))。そして、設置された躯体柱4の所定の位置に予め溶接固定されている躯体側受け金物1のスリット111L、112、111Rに、アングル連結用金物2の継合ボルト211L、212、211Rを合せて各スリットの上部開口から挿入する(図7(b))。そして、各スリットの底部において各継合ボルト121L、122、121Rを、手作業による押圧によって左右への摺動が可能な程度の強度で締結することにより、躯体側受け金物1に対して適切な位置にアングル連結用金物2を仮固定する(図7(c))。
アングル連結用金物2の上記仮固定後、躯体柱4の施工位置誤差に応じて躯体側の下地金物となるアングル連結用金物2の配置位置について最終的な微調整を行う。この微調整は具体的には、躯体側受け金物1のスリットへのアングル連結用金物2の仮固定後、躯体柱4の施工位置誤差(鉛直方向からの微少な倒れ等)に応じて、アングル連結用金物2の継合ボルト211L、212、211Rを、水平スリット113の水平方向の総長さの範囲内で横方向にスライドさせることにより行う。
この調整は、具体的には、例えば、図8に示すように、躯体柱4が図中の左方向に向かってmだけ設計上の所定位置からずれて設置されている場合であれば、水平スリット113の上記長さ(a)の範囲内で、アングル連結用金物2を右方向に−mだけ移動させることで、アングル連結用金物2を、設計上の本来のあるべき位置に移動させることができる。この状態において、アングル連結用金物2を最終的に固定する。
尚、上記のアングル連結用金物2の最終固定位置の調整は、左右片側毎に7.5mmずつ、両側合計で15mm行えるように、水平スリット幅を設定しておくことが好ましい。これは(社)日本建築学会「鉄骨精度測定指針」により、柱の最大倒れの限界許容差が15mmと規定されていることによるところである。
上記の調整後、挿入部分の金物の両側のボルトをナットにて締め付け、躯体取付け部分の金物と緊結することによりアングル連結用金物2の最終固定を行う。
そして、上記の最終工程は、左右の継合ボルト211の緊結後、地震等による水平荷重により挿入部分の金物がスライドしないよう、中央の継合ボルトにロック用円形金物3を挿入し、ナットにより緊結することが更に好ましい。
この場合、挿入された継合ボルトの外縁部からロック用円形金物3の外縁部までの最短距離が上述の位置調整幅m1の絶対値と同一となる、円の中心から偏心した位置にボルト孔を有するロック用円形金物3を用いることにより任意の調製幅に対応して、アングル連結用金物2の固定強度を十分に好ましい強度に維持する強固なロック機能をALCパネル取付け構造に保持させることができる。
[パネル取付け工程]
アングル連結用金物締結工程の終了後、アングル連結用金物2の両側面に、アングル材5を溶接又はボルト締結により固定し、更に、このアングル材5を、上述したように、イナズマ金物6等を用いてALCパネルと接合することにより、ALCパネルを躯体柱4に取り付ける。以上の工程を経ることにより、複数段のALCパネルからなるALC壁体100を、高い品質安定性を従来よりも容易に保持しながら建造することができる。
1 躯体側受け金物
11 金物受け部
111L 左スリット
112 中央スリット
111R 右スリット
113 水平スリット
12 溶接部
13 連結部
2 アングル連結用金物
211L 左継合ボルト
212 中央継合ボルト
211R 右継合ボルト
3 ロック用円形金物
31 ボルト孔
4 躯体柱
5 アングル材
6 イナズマ金物
7 ボルト
8 軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)
9 アンカー金具
10 軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)の取付け構造
100 軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)壁体

Claims (4)

  1. 躯体側受け金物と、アングル連結用金物と、を含んでなる、軽量気泡コンクリートパネル用の取付け金物セットであって、
    前記躯体側受け金物は、外縁が略矩形状であるイナズマプレート状の板材であって、一方の直線状の上辺の中央及びその左右の3箇所に、使用時に鉛直方向となることが想定されている方向に沿って切り欠かれた、左スリット、中央スリット、及び、右スリットが形成されており、前記左スリット及び前記右スリットの底部から、使用時に水平方向となることが想定されている方向に沿って、切り欠かれている水平スリットが該底部の左右に延設されていて、
    前記アングル連結用金物は、コの字型プレートからなり、該コの字型プレートの中央面における、前記躯体側受け金物の前記中央スリット、前記左スリット及び前記右スリットに対応する位置に、各スリットに挿入可能な継合ボルトが形成されている、取付け金物セット。
  2. 円形又は円周の外縁部に接する辺をもつ正多角形であり、尚且つ、中心から偏心した位置にボルト孔を有するロック用円形金物を、更に含んでなる、請求項1に記載の取付け金物セット。
  3. 請求項1又は2に記載の取付け金物セットと、断面L字型のアングル材と、軽量気泡コンクリートパネルと、を含んで構成されている、軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造であって、
    前記躯体側受け金物は躯体柱に溶接されていて、
    前記アングル連結用金物は、前記躯体側受け金物において溶接部から段差を空けて張り出している金物受け部の裏面と前記躯体柱の表面との間の隙間に挿入された態様で固定されていて、前記躯体側受け金物の中央スリットと、右スリット及び左スリットに、前記継合ボルトが挿入されていて、
    前記アングル連結用金物の両側面に前記アングル材の一端が固定されていて、
    前記アングル材の他端が前記軽量気泡コンクリートパネルに直接又は更に他の取付け金物を介して接合されている、軽量気泡コンクリートパネルの取付け構造。
  4. 請求項1又は2に記載の取付け金物セットを用いて軽量気泡コンクリートパネルを建物躯体に取り付ける軽量気泡コンクリートパネルの取付け方法であって、
    前記躯体側受け金物を躯体柱に溶接する躯体側受け金物溶接工程と、
    前記躯体側受け金物に前記アングル連結用金物を締結固定するアングル連結用金物締結工程と、を含んでなり、
    前記躯体側受け金物溶接工程は、軽量気泡コンクリートパネルの施工現場外において行い、
    前記アングル連結用金物締結工程は、軽量気泡コンクリートパネルの施工現場内において行い、
    該アングル連結用金物締結工程においては、前記躯体側受け金物に前記アングル連結用金物を仮固定した後に、前記水平スリットの幅の範囲で前記躯体柱の施工位置誤差を吸収する該アングル連結用金物の設置位置の最終調整を行い、該最終調整を経た後に、前記アングル連結用金物を前記躯体側受け金物に最終的に固定する、
    軽量気泡コンクリートパネルの取付け方法。
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