JP2020050346A - 包装材及び包装袋 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明者らは、まず、上記の原因が、特許文献1及び2の包装材から形成したパウチは表面側にプラスチックフィルムが露出しており、露出したプラスチックフィルムの表面の平滑性に関連していると仮定した。そして、該仮定に基づき、プラスチックフィルムの表面側にマット層を形成し、表面を凹凸化することを試みた。
しかし、プラスチックフィルムの表面側にマット層を形成しても、依然として、包装袋を開封する際に手が滑る場合があった。特に、手が水で濡れた状態で包装袋を開封した場合に手が滑ることが頻発した。台所、洗面所及び浴室等では、手が濡れた状態で包装袋を開封することが多いため、かかる状態において包装袋の開封時の手の滑りを抑制することは重要な課題である。
そして、本発明者らはさらに検討を重ねた結果、包装袋を開封する際の手の滑りを抑制し得るマット層の形状を特定し、上記課題を解決するに至った。
[1]外層側から、マット層、プラスチックフィルム、接着剤層及びシーラント層をこの順に有してなり、前記プラスチックフィルムの第1方向の引張強度をT1、前記第1方向と直交する方向である第2方向の引張強度をT2とした際に、T2/T1が4.0以上であり、JIS B0601:1994に準拠してカットオフ値0.8mmで測定した前記マット層表面の最大高さRyが3.5〜6.5μmである、包装材。
[2]上記[1]に記載の包装材で形成されてなる包装袋。
本発明の包装材は、外層側から、マット層、プラスチックフィルム、接着剤層及びシーラント層をこの順に有してなり、前記プラスチックフィルムの第1方向の引張強度をT1、前記第1方向と直交する方向である第2方向の引張強度をT2とした際に、T2/T1が4.0以上であり、JIS B0601:1994に準拠してカットオフ値0.8mmで測定した前記マット層表面の最大高さRyが3.5〜6.5μmであるものである。
図1においては、上が外層側(表面側)であり、下が内層側(裏面側)である。本発明の包装材100は、図1に示すように、外層側から、マット層10、プラスチックフィルム20、接着剤層40及びシーラント層60をこの順に有している。
本発明の包装材は、JIS B0601:1994に準拠してカットオフ値0.8mmで測定したマット層表面の最大高さRyが3.5〜6.5μmであることを要する。
Ryが3.5μm未満の場合、マット層の凹凸の引っかかりが弱いため、包装袋を開封する際の手の滑りを抑制することができない。また、Ryが3.5μm未満の場合、水で濡れた手で触れるとマット層表面の凹凸が水で埋まり、手が滑りやすくなってしまう。
また、Ryが6.5μmを超える場合、マット層の表面を擦過した際に、最も標高の高い箇所に負荷が集中しやすくなり、マット層の表面が傷つきやすくなる。
局部山頂間隔Sは、隣り合う局部山頂間の間隔の平均値を示している。Sを18μm以上とすることにより、局部山頂間の凹部に指が触れやすくなるため、マット層と指との接触面積が増加して、手の滑りをより抑制できる。
Raを0.30μm以上とすることにより、包装材の表面反射を抑制し、包装材の風合いを落ち着きのあるものとすることができる。
また、Raを1.00μm以下とすることにより、包装材の表面が白化することによる意匠性の低下を抑制することができる。なお、マット層よりも内層側に絵柄層を有する場合には、Raを1.00μm以下とすることにより、絵柄層の視認性を良好にすることができる。
Ry/Raを上記範囲とすることにより、上記のRaに基づく効果を得つつ、上記のRyに基づく効果を得やすくすることができる。
マット層は、プラスチックフィルムの外層側に形成される。
マット層は、プラスチックフィルム上の一部のみに有していてもよいし、プラスチックフィルムの全面に有していてもよい。なお、包装材は端部から引き裂くことから、プラスチックフィルムの面内の端部の少なくとも一部にマット層を有することが好ましい。
粒子は、有機粒子、無機粒子から選ばれる1種以上を用いることができる。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。
無機粒子としては、シリカ、沈降性バリウム、アルミナ、アンチモン、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられる。
これらの中でも、耐擦過性を良好にしやすい無機粒子が好ましい。無機粒子は、包装材の端部をヒートシールする際の耐熱性に優れる点でも好適である。また、無機粒子の中でも、マット層の白化を抑制しやすいシリカが好ましい。
なお、表面が疎水化処理された無機粒子とは、無機粒子の表面に、無機粒子の表面の官能基と、表面処理剤との反応物を有するものである。無機粒子の表面の官能基としては、例えばシリカ粒子のシラノール基が挙げられる。
本明細書において、粒子の平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値d50として測定したものである。
平均粒子径の異なる2種の粒子を含むことにより、平均粒子径の小さい粒子により適切なRaを付与しつつ、平均粒子径の大きい粒子により適切なRyを付与しやすくすることができ、マット層の表面形状(特に、Ry、Ry/Ra)を上記範囲にしやすくできる。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲で、3種以上の粒子を含んでもよい。
また、平均粒子径の異なる2種の粒子は、少なくとも一方が表面が疎水化処理された無機粒子であることが好ましく、何れも表面が疎水化処理された無機粒子であることがより好ましい。
D1/Tを2.0以上5.0以下とすることにより、Ry及びRy/Raを上記範囲にしやすくできる。また、D1/Tを5.0以下とすることにより、粒子径の大きい粒子の脱落を抑制しやすくでき、また、包装材の端部をヒートシールする際の加熱ムラを抑制できる。
D1/Tは、2.2以上4.0以下であることがより好ましく、2.5以上3.5以下であることがさらに好ましい。
D2/Tを0.9以上2.0以下とすることにより、Ra及びRy/Raを上記範囲にしやすくできる。D2/Tは、1.0以上1.8以下であることがより好ましく、1.3以上1.7以下であることがさらに好ましい。
なお、D1/T及びD2/Tを上記範囲とすることにより、Sを上記範囲にしやすくできる。
粒子の含有量を1質量部以上とすることにより、マット感に基づいて意匠性を良好にしやすくできる。また、粒子の含有量を100質量部以下とすることにより、マット層中における粒子の結着性を良好にしやすくできる。また、粒子の含有量を上記範囲とすることにより、Sを上記範囲にしやすくできる。
平均粒子径の異なる2種の粒子を上記の質量比で用いることにより、Ry、Ra、Ry/Ra及びSを上記範囲にしやすくできる。
マット層の平均厚みTを1.0μm以上とすることにより、粒子の結着性を良好にして、耐擦過性を良好にしやすくできる。また、マット層の平均厚みTを10.0μm以下とすることにより、絵柄層の視認性が低下することを抑制できる。
本明細書において、各層の厚み(平均厚み)は、例えば、包装材を垂直方向に切断した断面の写真を撮像し、この断面写真に基づいて測定した20箇所の厚みの平均値として算出できる。なお、マット層の平均厚みTは、マット剤が存在しない20箇所の厚みの平均値として算出することが好ましい。
マット層のバインダー樹脂としては、汎用の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂を用いることができ、耐擦過性及びヒートシール時の耐熱性の観点から硬化性樹脂が好ましい。硬化性樹脂としては電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。電離放射線硬化性樹脂は、マット層を硬くでき、耐擦過性を良好にし得るが、マット層を硬くしすぎた場合、加工時や流通時にマット層にひび割れが生じやすくなるため、熱硬化性樹脂が好ましい。特に、軟包装材の場合、マット層が硬過ぎると包装材に皺が生じた際にマット層にひび割れが生じやすいため、バインダー樹脂として熱硬化性樹脂を用いることが好適である。
プラスチックフィルムは、第1方向の引張強度をT1、前記第1方向と直交する方向である第2方向の引張強度をT2とした際に、T2/T1が4.0以上であることを要する。
T2/T1が4.0以上であることにより、プラスチックフィルムを分子の配向性の高い第2方向に直線的に容易に引き裂くことができ、ひいては、包装材を同方向に容易に引き裂くことができる。一方、T2/T1が4.0未満の場合、引き裂き時に方向が斜めにずれやすく、綺麗に引き裂くことができない。
T2/T1は、4.5以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましい。
全光線透過率及び/又はヘイズを上記範囲とすることにより、プラスチックフィルムよりも内層側に絵柄層を形成した際に、該絵柄層の視認性を良好にすることができる。
プラスチックフィルムは、上記のうちの2種以上の樹脂のフィルムが積層された複合フィルムであってもよい。
包装材が後述する中間基材をさらに有する場合、プラスチックフィルム、シーラント層及び中間基材が同系統の樹脂を主成分として含むことが好ましい。その際、同系統の樹脂はポリプロピレンであることが好ましい。
なお、主成分とは、各層を構成する全樹脂の50質量%以上であることを意味し、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上である。
接着剤層は、プラスチックフィルムとシーラント層との間に位置し、プラスチックフィルムとシーラント層との間の接着力が弱い界面(図1の場合、絵柄層とガスバリア層との界面)の接着性を高めることによって、プラスチックフィルムの引き裂きがシーラント層まで伝播しやすくして、包装材全体としての第2方向への引き裂き性を良好にする役割を有する。プラスチックフィルムとシーラント層との間に接着剤層が存在しない場合、プラスチックフィルムの引き裂きがシーラント層まで伝播しにくくなり、包装材全体としての引き裂き性を良好にすることができない。
ドライラミネート用接着剤としては、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂及びメラミン樹脂等のアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤(例えば、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物)、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム及びスチレン−ブタジエンゴム等のゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート及び低融点ガラス等の無機系接着剤等が挙げられる。
溶融押し出し法用の接着剤は、溶融押し出し可能であり、かつ、接着性を付与できる樹脂であれば特に制限されることなく使用でき、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体は、蒸着膜との接着性に優れる点で好ましい。
このため、接着剤層の厚みは、1〜15μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましく、3〜7μmであることがさらに好ましい。
図1に示すように、包装材の内層側にはシーラント層60が積層されている。
シーラント層は、包装材の最内層に形成され、内層側の面が被包装物と接触し、被包装物を保護するものである。被包装物が液状の場合には、シーラント層は液状物に対する耐浸透性を有していることが好ましい。
また、シーラント層は、包装材を包装袋の形態にしやすくするために、内層側がヒートシール性を有していることが好ましい。
包装材で包装袋が形成される場合、シーラント層の厚みは、より好ましくは15〜150μm、さらに好ましくは20〜100μmである。
シーラント層は、ヒートシールの際の収縮を抑制するために、前述した樹脂からなる無延伸のフィルムであることが好ましい。例えば、シーラント層は、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)であることが好ましい。
包装材は、包装材の意匠性を高めることを目的として、さらに絵柄層を有していてもよい。
絵柄層の厚み方向の位置は、例えば、マット層よりも外層側、マット層とプラスチックフィルムとの間、プラスチックフィルムと接着剤層との間が挙げられる。これらの中でも、絵柄層の保護の観点から、図1に示すように、プラスチックフィルムと接着剤層に絵柄層を配置することが好ましい。
絵柄層は、例えば印刷により形成することができる。絵柄層は、図1のように単層であってもよいし、2以上の層から形成されるものであってもよい。
バインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄層を塗布する手段としては、グラビア印刷、オフセット印刷及びフレキソ印刷等が挙げられる。
包装材は、ガスバリア層を有していてもよい。
ガスバリア層は、プラスチックフィルムとシーラント層との間に形成することが好ましく、接着剤層とシーラント層との間に形成することがより好ましい。
なお、蒸着膜や塗布膜の密着性向上の観点から、プラスチックフィルム又はシーラント層には、予め表面処理を施しておいてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスや窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、酸化剤処理、アンカーコート剤の塗布等が挙げられる。
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着(PVD)法、プラズマ化学気相成長や熱化学気相成長、光化学気相成長等の化学蒸着(CVD)法等が挙げられる。
蒸着膜の膜厚は、成膜材料や要求されるガスバリア性能等によって異なるが、通常、5〜200nm程度であることが好ましく、より好ましくは5〜150nm、さらに好ましくは10〜100nmである。ケイ素酸化物やアルミニウム酸化物等の無機酸化物の場合は、5〜100nm程度であることが好ましく、より好ましくは5〜50nm、さらに好ましくは10〜30nmである。
塗布方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコート、アプリケータ等の塗布手段により行うことができる。1回又は複数回の塗布で、塗布膜の乾燥膜厚が0.01〜30μm程度となることが好ましく、より好ましくは0.05〜20μm、さらに好ましくは0.1〜10μmである。
包装材は、マット層上の一部にクリア層を有していてもよい。かかる構成とすることにより、クリア層を有する箇所と、クリア層を有さない箇所とで光沢の差が生じ、意匠性をより良好にできる点で好ましい。
クリア層の厚みは、0.5〜15μm程度であることが好ましく、より好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは2〜7μmである。
水性ニスとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン共重合体等の樹脂成分を、水と少量の揮発性有機溶剤に溶解又は分散させたものを用いることができる。揮発性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類やアセトン、メチルエチルケトン、エチルアセテート等が挙げられる。
油性ニスとしては、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂等の樹脂成分を、揮発性有機溶剤に溶解又は分散させたものを用いることができる。揮発性溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
水性ニス及び油性ニスには、さらに、必要に応じて、潤滑剤や界面活性剤等の添加剤を添加することができる。水性ニス及び油性ニス中の樹脂成分は、40〜85質量%であることが好ましい。
中間基材は、例えば、プラスチックフィルムとシーラント層との間に設けることができる。
中間基材は、包装材の強度の向上や加工適性の向上、他の層(ガスバリア層等)を形成するための基材として、必要に応じて設けられる。
中間基材は、プラスチックフィルムが挙げられる。中間基材としてのプラスチックフィルムの構成材料としては、上述したプラスチックフィルムと同様の材料を用いることができる。
本発明の包装袋は、上述した本発明の包装材で形成されてなるものである。
より具体的には、本発明の包装袋は、上述した本発明の包装材の少なくとも一部をシールして形成されてなるものである。シール部はシーラント層のヒートシール性を利用することが好ましい。
ピロー袋200は、例えば、1枚の長方形のシート状の包装材100の内層側(例えばシーラント層)をシールすることにより製袋される。シール部は、背シール部101、下シール部102及び上シール部103がある。
なお、ピロー袋(合掌袋)200は図示しないノッチ部等の切れ込みを有していても良い。
実施例及び比較例で得られた包装材について、以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。なお、測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度40〜65%とした。また、測定開始前に、前記雰囲気にサンプルを30分以上晒した。
実施例及び比較例で得られた包装材のマット層の外層側(表面)について、JIS B0601:1994に準じて、表面粗さを下記条件にて測定し、カットオフ値0.8mmでの算術平均粗さRa、最大高さRy及び局部山頂平均間隔Sを測定した。測定は、流れ方向(MD)で25箇所、及びMD方向の直角方向(TD)で25箇所の合計50箇所で測定し、50箇所の平均値を、各実施例及び比較例のRa、Ry及びSとした。
<測定条件>
・測定機器:表面粗さ測定機、株式会社東京精密製「サーフコム130A」
・基準長さ:粗さ曲線のカットオフ値λc=0.8mm
・測定速度:0.15mm/s
・測定レンジ:400μm
実施例及び比較例で用いたプラスチックフィルムを、縦15mm×横15cmの大きさに切断したサンプルA、及び縦15cm×横15mmの大きさに切断したサンプルBを作製した。JIS K7127:1999に準じて、チャック間距離50mm、引張速度を300mm/分の条件で、サンプルAの23℃の引張強度(TD方向の引張強度)、サンプルBの23℃の引張強度(MD方向の引張強度)を測定した。サンプルA及びサンプルBのうち、引張強度の小さいものをT1、引張強度が大きいものをT2とした。
手を濡らした状態で、実施例及び比較例で得られた包装袋(ピロー袋)をノッチ部から開封する作業を行った。20歳代、30歳代、40歳代、50歳代の4つの年代から、男女5名ずつ合計40名が前記作業を行い、開封時の手の滑りやすさを評価した。
手が滑りにくいと感じるものを3点、どちらとも言えないものを2点、手が滑ると感じるものを1点として、上記40人の評価の平均点を算出した。
<評価基準>
A:平均点が2.5以上
B:平均点が2.0以上2.5未満
C:平均点が2.0未満
実施例及び比較例で得られた包装袋(ピロー袋)をノッチ部から開封する作業を行った。ノッチ部の延伸方向に沿って直線的に容易に引き裂けたものを「A」、引き裂きの方向が斜めにずれて引き裂き難かったものを「C」とした。
実施例及び比較例で得られた包装材のマット層の外層側(表面)を爪で軽く擦った際に、擦過の痕跡が目立つか否かを下記基準にて目視で評価した。
A:擦過の痕跡が目立たたず、意匠性が維持された。
C:マット層に擦過痕が生じ、そのため、擦過した箇所と、擦過していない箇所との見え方が異なり、意匠性が低下した。
実施例及び比較例で得られた包装材を蛍光灯の照明下において目視で観察し、絵柄層の絵柄が明りょうに視認できるか否かを評価した。その結果、絵柄が明りょうに視認できるものを「A」、絵柄が明りょうに視認できないものを「C」とした。
[実施例1]
プラスチックフィルム(一軸延伸ポリプロピレンフィルム、厚み20μm)の内層側(裏面)の一部に、下記処方の絵柄層用インキをグラビア印刷で裏刷りし、厚み1.0μmの絵柄層を形成した。
次いで、プラスチックフィルムの外層側(表面)の全面に、下記処方のマット層用インキをグラビア印刷し、厚み2.0μmのマット層を形成した。
次いで、シーラント層(CPP、エチレン−プロピレンブロック共重合体の単層フィルム、厚み25μm)上に厚み300〜700Åのアルミ蒸着膜が形成されてなる積層体1を準備し、該積層体のアルミ蒸着膜上に、ポリオール及びイソシアネート化合物を含む接着剤層形成用塗布液を塗布、乾燥して、厚み3μmのポリウレタン系接着剤層を形成し、接着剤層、アルミ蒸着膜(金属層)及びシーラント層をこの順に有する積層体2を得た。
次いで、プラスチックフィルムの絵柄層を形成した側の面に、積層体2の接着剤層側の面をドライラミネートして、実施例1の包装材を得た。
実施例1の包装材は、マット層、プラスチックフィルム、絵柄層、接着剤層、アルミ蒸着膜(金属層)及びシーラント層をこの順に有するものであった。
次いで、実施例1の包装材を用い、シーラント層をヒートシールして、図2の形態のピロー袋を作製した。その際、第2方向が図2の上下方向になるようにした。さらに、上シール部に縦方向(第2方向と平行な方向)に線状のノッチ部を形成し、実施例1の包装袋(ピロー袋)を得た。
<絵柄層用インキ>
・有機系赤色顔料:3質量部
・沈降防止剤(微粒子シリカ):2質量部
・バインダー樹脂(ポリウレタン系樹脂):20質量部
・溶剤1(ミネラルスピリット):7質量部
・溶剤2(プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル、イソプロパノールの混合溶剤):70質量部
・疎水化処理シリカ粒子(平均粒径3.0μm):6質量部
・疎水化処理シリカ粒子(平均粒径6.0μm):6質量部
・バインダー樹脂(ポリオールとイソシアネートとの2液硬化型ポリウレタン樹脂):100質量部
・溶剤(酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル):適量
マット層用インキのシリカ粒子の平均粒子径、マット層中のシリカ粒子の含有量、並びに、マット層の厚みを表1の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜5及び比較例1〜4の包装材及び包装袋を得た。
プラスチックフィルムを、厚み、T1及びT2が表1の値の一軸延伸ポリプロピレンフィルムに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6及び比較例3〜4の包装材及び包装袋を得た。
20:プラスチックフィルム
30:絵柄層
40:接着剤層
50:ガスバリア層
60:シーラント層
100:包装材
101:背シール部
102:下シール部
103:上シール部
200:包装袋
Claims (10)
- 外層側から、マット層、プラスチックフィルム、接着剤層及びシーラント層をこの順に有してなり、前記プラスチックフィルムの第1方向の引張強度をT1、前記第1方向と直交する方向である第2方向の引張強度をT2とした際に、T2/T1が4.0以上であり、JIS B0601:1994に準拠してカットオフ値0.8mmで測定した前記マット層表面の最大高さRyが3.5〜6.5μmである、包装材。
- JIS B0601:1994に準拠してカットオフ値0.8mmで測定した前記マット層表面の局部山頂間隔Sが18μm以上である、請求項1に記載の包装材。
- JIS B0601:1994に準拠してカットオフ値0.8mmで測定した前記マット層表面の算術平均粗さRaが0.30〜1.00μmである、請求項1に記載の包装材。
- 前記プラスチックフィルム及び前記シーラント層が、それぞれ主成分としてポリプロピレンを含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の包装材。
- 前記マット層中に、バインダー樹脂と、平均粒子径の異なる2種の粒子とを含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の包装材。
- 前記平均粒子径の異なる2種の粒子のうち、平均粒子径の大きい粒子が無機粒子である、請求項5に記載の包装材。
- 前記無機粒子がシリカである、請求項6に記載の包装材。
- 前記平均粒子径の異なる2種の粒子のうち、平均粒子径の大きい粒子の平均粒子径をD1、前記マット層の平均厚みをTとした際に、2.0≦D1/T≦5.0の関係を満たす、請求項5〜7の何れか1項に記載の包装材。
- さらに、絵柄層を有する、請求項1〜8の何れか1項に記載の包装材。
- 請求項1〜9の何れか1項に記載の包装材で形成されてなる包装袋。
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