JP2020048606A - カテーテル及びカテーテルを用いた治療方法 - Google Patents

カテーテル及びカテーテルを用いた治療方法 Download PDF

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Abstract

【課題】カテーテルの交換作業を容易に行うことができ、ガイドワイヤを効果的に支持することができるカテーテル及びカテーテルを用いた治療方法を提供する。【解決手段】カテーテル10のシャフト12は、先端側ルーメン20を有する先端シャフト部16と、基端側ルーメン24を有し、且つ先端シャフト部16と同軸になるように先端シャフト部16の基端からハブ14まで延在した基端シャフト部18と、を有する。基端シャフト部18には、基端シャフト部18に沿って延在したスリット26が形成され、スリット26の開口幅W1は、基端シャフト部18の非変形状態で、基端側ルーメン24の直径D2よりも小さい。【選択図】図1

Description

本発明は、ガイドワイヤを支持するシャフト部を備えたカテーテル及びカテーテルを用いた治療方法に関する。
この種のカテーテルとして、カテーテルの全長に亘ってガイドワイヤが挿通するルーメンが形成された、いわゆる、オーバーザワイヤタイプのカテーテルが利用されている。このようなカテーテルは、カテーテルの全長に亘ってガイドワイヤとカテーテルとを同軸に配置することができるため、狭窄部又は閉塞部にガイドワイヤを通過させる際のガイドワイヤのプッシャビリティ(押し込み性)が優れている。
しかしながら、オーバーザワイヤタイプのカテーテルにおいて、ガイドワイヤを生体管腔内に留置した状態でカテーテルを交換する場合には、ガイドワイヤをカテーテルの全長以上の長さ分だけ生体外に露出させておく必要がある。つまり、ガイドワイヤの長さがカテーテルの全長の2倍以上になる。また、カテーテルの交換作業が煩雑になり、手術時間が長期化してしまう。
一方、特許文献1には、ガイドワイヤの長さの短縮化とカテーテルの交換作業の容易化とを図ることができる、いわゆる、ラピッドエクスチェンジタイプのカテーテルが開示されている。このカテーテルは、ガイドワイヤが挿通する管状の先端シャフト部と、先端シャフト部の基端部に接続された中実のワイヤからなる基端シャフト部とを有する。
特開2004−275435号公報
上述したカテーテルでは、先端シャフト部にのみガイドワイヤが挿通するルーメンが形成されている。そのため、狭窄部又は閉塞部の位置、大きさ、形状等によっては、ガイドワイヤを通過させる際にルーメンを形成する壁面によってガイドワイヤの軸線方向と直交する方向の撓みを十分に抑える(ガイドワイヤを支持する)ことができないおそれがある。
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、カテーテルの交換作業を容易に行うことができ、ガイドワイヤを効果的に支持することができるカテーテル及びカテーテルを用いた治療方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、前記ガイドワイヤを支持する可撓性を有するシャフトと前記シャフトの基端部に設けられたハブとを備えたカテーテルであって、前記シャフトは、前記ガイドワイヤが挿通する先端側ルーメンを有する先端シャフト部と、前記先端側ルーメンに連通して前記ガイドワイヤが挿通する基端側ルーメンを有し、且つ前記先端シャフト部と同軸になるように前記先端シャフト部の基端から前記ハブまで延在した基端シャフト部と、を有し、前記基端シャフト部には、当該基端シャフト部に沿って延在し、前記ガイドワイヤを前記基端側ルーメンから前記基端シャフト部の外側に導出させるためのスリットが形成され、前記スリットの開口幅は、前記基端シャフト部を弾性変形させていない非変形状態で、前記基端側ルーメンの直径よりも小さい、カテーテルである。
本発明の他の態様は、下肢血管内の狭窄部又は閉塞部にガイドワイヤを通過させる際に前記ガイドワイヤを支持する可撓性を有するシャフトと前記シャフトの基端部に設けられたハブとを備えたカテーテルを用いた治療方法であって、前記シャフトは、前記ガイドワイヤが挿通する先端側ルーメンを有する先端シャフト部と、前記先端側ルーメンに連通して前記ガイドワイヤが挿通する基端側ルーメンを有し、且つ前記先端シャフト部と同軸になるように前記先端シャフト部の基端から前記ハブまで延在した基端シャフト部と、を有し、前記基端シャフト部には、当該基端シャフト部に沿って延在し、前記ガイドワイヤを前記基端側ルーメンから前記基端シャフト部の外側に導出させるためのスリットが形成され、前記スリットの開口幅は、前記基端シャフト部を弾性変形させていない非変形状態で、前記基端側ルーメンの直径よりも小さく、ガイディングカテーテルを、腕の動脈から導入して、下肢動脈内にガイディングカテーテルの先端部を配置するガイディングカテーテル配置ステップと、前記カテーテルを準備する準備ステップと、前記基端側ルーメンの一部と前記先端側ルーメンの全長とに亘って前記ガイドワイヤを挿通させるとともに前記スリットを介して前記基端シャフト部の外側に導出させた状態で前記カテーテルを前記ガイディングカテーテルの内腔に挿通させる挿通ステップと、前記ガイディングカテーテルの先端から前記カテーテルを突出させた状態で、前記ガイドワイヤを前記狭窄部又は前記閉塞部に通過させるガイドワイヤ通過ステップと、前記ガイドワイヤを前記狭窄部又は前記閉塞部を越えて留置したまま前記カテーテルを体外に抜去する抜去ステップとを、有する、カテーテルを用いた治療方法である。
本発明によれば、基端シャフト部にスリットを形成しているため、スリットよりガイドワイヤを導出することにより、カテーテル内のガイドワイヤが挿通している長さを短縮させることができるため、オーバーザワイヤタイプのカテーテルに比べてガイドワイヤの全長を短くすることができ、ガイドワイヤを生体管腔内に留置した状態でカテーテルの交換作業を容易に行うことができる。また、基端側ルーメンからガイドワイヤを基端シャフトの外側に導出させる位置を調節することにより、ガイドワイヤのうち基端側ルーメンに挿通されている部分の長さを変更することができる。つまり、狭窄部又は閉塞部の位置、大きさ、形状等に応じて、シャフトのうちガイドワイヤと同軸に配置される部分(モノレール部)の長さを調節することができる。これにより、ガイドワイヤを効果的に支持することができる。さらに、モノレールタイプのようなカテーテル構造でありながら、基端シャフト部よりガイドワイヤを挿入することにより、ガイドワイヤをシャフトの全長に渡って挿通させることができる。
本発明の一実施形態に係るカテーテルの概略図である。 シャフトの一部省略縦断面図である。 図3Aは、シャフトの平面図であり、図3Bは、図3AのIIIB−IIIB線に沿った断面図である。 図1のカテーテルを用いた治療方法を説明するフローチャートである。 図5Aは、図1のカテーテルの第1の動作説明図であり、図5Bは、図1のカテーテルの第2の動作説明図である。 図6Aは、第1変形例に係るスリットの平面説明図であり、図6Bは、第2変形例に係るスリットの平面説明図である。
以下、本発明に係るカテーテル及びカテーテルを用いた治療方法について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1に示す本発明の一実施形態に係るカテーテル10は、経皮的血管形成術(PTA:Percutaneous Transluminal Angioplasty)において、血管内に生じた狭窄部又は閉塞部にガイドワイヤGWを通過させる際に、ガイドワイヤGWをサポートするために用いられる医療器具である。そのため、カテーテル10は、下肢の末梢血管等の血管の狭窄部又は閉塞部の改善に使用できる。
ただし、本発明は、経皮的血管形成術に使用されるカテーテル10に限定されない。本発明は、例えば、胆管、食道、尿道等の生体管腔内に生じた狭窄部又は閉塞部にガイドワイヤGWを通過させる際にガイドワイヤGWを支持するカテーテルにも適用可能である。カテーテル10に関する以下の説明では、図1中の矢印X1方向(左側)を「先端」、矢印X2方向(右側)を「基端」という。
カテーテル10は、可撓性を有するシャフト12と、シャフト12の基端部に設けられたハブ14とを備える。図1及び図2に示すように、シャフト12は、長尺で細径に形成されている。シャフト12の全長は、特に限定されないが、600mm〜2500mmに設定される。特に、カテーテル10を橈骨動脈から導入して下肢動脈に導き、下肢の末梢血管の治療を行う場合、シャフト12の全長は、1500mm〜2500mmが好ましい。
シャフト12の外周面には、親水性材料(親水性ポリマー)がコーティングされていることが好ましい。親水性材料としては、特に限定されないが、例えば、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、ジメチルアクリルアミドとグリシジルメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。これにより、シャフト12を生体管腔内に円滑且つ容易に挿入することができる。
シャフト12は、管状の先端シャフト部16と、先端シャフト部16の基端からハブ14まで延在した管状の基端シャフト部18とを有する。先端シャフト部16の長さは、特限定されないが、400mm〜2300mmに設定され、基端シャフト部18の長さは、特に限定されないが、200mm〜2100mmに設定される。
先端シャフト部16の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂等の高分子材料あるいはこれらの混合物、あるいは上記二種以上の高分子材料が挙げられる。
先端シャフト部16の先端部の外周面には、先端(矢印X1方向)に向かって縮径したテーパ面19(図2参照)が形成されている。先端シャフト部16の壁部内には、図示しない補強体が埋設されていてもよい。補強体としては、特に限定されないが、タングステン、ステンレス鋼等により螺旋コイル状又は棒状に形成したものが好適に用いられる。先端シャフト部16には、X線(放射線)不透過性を有する物質によって構成された図示しない造影マーカが設けられていてもよい。
図2において、先端シャフト部16は、ガイドワイヤGWが挿通する先端側ルーメン20を有する可撓性のチューブである。先端側ルーメン20は、先端シャフト部16の先端から基端まで一定の直径D1で延在している。先端側ルーメン20の直径D1(先端シャフト部16の内径)は、特に限定されないが、0.4mm〜1mmに設定される。ガイドワイヤGWは、先端シャフト部16(カテーテル10)の先端開口部22から先端方向に突出する。
基端シャフト部18は、先端シャフト部16の基端に同軸に一体的に設けられている。基端シャフト部18の構成材料としては、上述した先端シャフト部16の構成材料と同様のものが挙げられる。基端シャフト部18は、先端シャフト部16と同一の材料で構成されるとともに先端シャフト部16の基端に一体的に設けられている。ただし、基端シャフト部18は、先端シャフト部16とは異なる材料で構成されるとともに先端シャフト部16の基端に接続されていてもよい。
例えば、先端シャフト部16が補強体を有する管状体であり、基端シャフト部18は、PEEKのチューブ体であってもよい。
基端シャフト部18は、先端側ルーメン20に連通してガイドワイヤGWが挿通する基端側ルーメン24を有する。基端側ルーメン24は、基端シャフト部18の先端から基端まで一定の直径D2(図3B参照)で延在している。基端側ルーメン24の直径D2(基端シャフト部18の内径)は、先端側ルーメン20の直径D1と同一である(図2及び図3B参照)。ただし、直径D1と直径D2とは互いに異なっていてもよく、ガイドワイヤGWの操作抵抗を低減させる点で好ましい。あるいは、直径D1<直径D2であると、ガイドワイヤGWの交換時の抜去抵抗をより低減させることができる。
図1〜図3Bに示すように、基端シャフト部18には、基端シャフト部18の全長に亘って延在し、基端側ルーメン24から基端シャフト部18の外側にガイドワイヤGWを導出させるためのスリット26が形成されている。スリット26は、基端シャフト部18の軸線方向に沿って一定の開口幅W1(図3B参照、スリット26のうち基端シャフト部18の内面の開口部の幅)で直線状に延在している。
図3Bにおいて、基端シャフト部18は、略C字状の横断面形状を有する。スリット26の開口幅W1は、基端シャフト部18を弾性変形させていない非変形状態で、基端側ルーメン24の直径D2よりも小さい。
スリット26の開口幅W1は、基端シャフト部18の非変形状態でスリット26が設けられていればよいが、基端側ルーメン24の直径D2の5%以上80%以下が好ましく、より好ましくは10%以上70%以下、さらに好ましくは40%以上70%以下である。基端シャフト部18の非変形状態で開口幅W1が直径D2の5%以上であると、基端シャフト部18を周方向に弾性変形させることによって開口幅W1を直径D2よりも容易に大きくすることができる。つまり、カテーテル10の交換作業を容易に行うことができる。
基端シャフト部18の非変形状態で開口幅W1が直径D2の80%以下であると、ガイドワイヤGWのうち基端側ルーメン24に挿入されている部分を基端シャフト部18の内面によって確実に支持することができる。換言すれば、狭窄部又は閉塞部にガイドワイヤGWを通過させる際に、反力を受けたガイドワイヤGWが基端シャフト部18の軸線方向と直交する方向に撓んでスリット26を介して基端側ルーメン24から外れることを効果的に抑えることができる。
図1に示すように、ハブ14は、樹脂材料により一体的に形成されている。ハブ14は、人手によって把持し易い大きさに形成されている。ハブ14は、シャフト12よりも高い剛性を有している。ハブ14は、板状でもよく、中空状でもよい。また、ハブ14には、基端シャフト部18のスリット26に連通する切欠部が設けられていてもよい。
このようなカテーテル10と一緒に用いられるガイドワイヤGWは、適度な剛性と適度な可撓性とを有する長尺な線状部材であって、先端側ルーメン20の直径D1及び基端側ルーメン24の直径D2よりも若干小さい外径を有する。ガイドワイヤGWの全長は、カテーテル10の全長よりも長いが、カテーテル10のシャフト12の一部にのみ挿通させればよいため、比較的短くてよい。
このように構成されるカテーテル10を用いて下肢の末梢血管等の血管104内に生じた狭窄部100にガイドワイヤGWを通過させる動作について、以下に説明する。
まず、図4のガイディングカテーテル配置ステップ(ステップS1)において、術者は、セルジンガー法によりシースイントロデューサを血管(例えば、橈骨動脈)に穿刺し、図5Aに示すように、ガイドワイヤGWを先行して導入するとともにガイディングカテーテル102を血管105(例えば、下肢動脈、例えば浅大腿度脈(SFA))内の所定の位置に配置する。
また、図4のカテーテル準備ステップ(ステップS2)において、術者は、上述したカテーテル10を準備する。そして、術者は、狭窄部100の手前の位置までガイドワイヤGWを血管104内に挿入する。
その後、挿通ステップ(ステップS3)において、術者は、基端側ルーメン24の一部と先端側ルーメン20の全長とに亘ってガイドワイヤGWを挿通させるとともにスリット26を介して基端シャフト部18の外側に導出させた状態でカテーテル10をガイディングカテーテル102の内腔に挿通させる。
具体的には、術者は、ガイドワイヤGWをカテーテル10の先端開口部22から先端側ルーメン20及び基端側ルーメン24に通し、スリット26から基端シャフト部18の外側に導出させる。これにより、先端側ルーメン20の全長と基端側ルーメン24の一部にのみガイドワイヤGWが挿通された状態となる。つまり、シャフト12における先端からスリット26におけるガイドワイヤGWが挿通された位置までの範囲(シャフト12とガイドワイヤGWとが同軸に配置されたモノレール部36)が、ガイドワイヤGWを狭窄部100に通過させる際にガイドワイヤGWに作用する反力を受ける支持部分となる。あるいはガイドワイヤGWを基端側ルーメン24の基端まで延在させることにより、カテーテル全長(シャフト12の全長)に亘ってガイドワイヤGWを支持することができる。
この際、術者は、狭窄部100の位置、大きさ、形状等に応じて、スリット26におけるガイドワイヤGWを通す位置を設定する。すなわち、術者は、ガイドワイヤGWの血管内への導入位置から狭窄部100までの距離が長く、狭窄度が高いほど、押し込み力が必要となるため、モノレール部36が比較的長くなるようにガイドワイヤGWを通すスリット26の位置を基端寄りに設定する。一方、術者は、ガイドワイヤGWの血管内への導入位置から狭窄部100までの距離が短く、狭窄度が低いほど、モノレール部36が比較的短くなるようにガイドワイヤGWを通すスリット26の位置を先端寄りに設定する。
続いて、術者は、カテーテル10をガイディングカテーテル102の内腔を介して前進させ、その先端をガイドワイヤGWの先端よりも若干基端側に位置させる。そして、ガイドワイヤ通過ステップ(ステップS4)において、術者は、ガイディングカテーテル102の先端からカテーテル10を突出させた状態で、ガイドワイヤGWの基端側を保持して先端方向に押し込むことにより、ガイドワイヤGWの先端部を狭窄部100に通過させる(図5B参照)。
この際、ガイドワイヤGWには狭窄部100からの反力が作用するが、シャフト12のモノレール部36がガイドワイヤGWに接触して支持しているため、ガイドワイヤGWがその軸線と直交する方向に撓むことを抑えることができる。これにより、術者の押し込み力をガイドワイヤGWの先端部に効率的に伝達することができる。従って、狭窄部100にガイドワイヤGWを容易に通過させることができる。
次に、抜去ステップ(ステップS5)において、術者は、ガイドワイヤGWを狭窄部100を越えて留置したままカテーテル10を体外に抜去する。この際、ガイドワイヤGWがシャフト12の一部(先端側ルーメン20の全長と基端側ルーメン24の一部)にのみ挿通しているため、カテーテル10をガイドワイヤGWから容易に取り外すことができる。
その後、ガイドワイヤGWに沿って各種治療用カテーテル、例えば、アテレクトミーカテーテル、バルーンカテーテル、ステントデリバリーカテーテル、薬剤コーテッドバルーンカテーテル、薬剤コーティングステントデリバリーカテーテル等を挿入して狭窄部100の石灰化病変の除去、拡張、薬剤塗布、ステント留置等を行う。治療用カテーテルは2以上用いてもよい。治療の完了後、術者は、治療用カテーテル及びガイディングカテーテル102を体外に抜去する。
ガイドワイヤGW及びカテーテル10は、狭窄部又は閉塞部の硬さ、治療用カテーテルのガイドワイヤルーメンのサイズあるいは病変部までの血管の蛇行等の必要に応じて硬さや太さの異なるものとかえてもよい。その場合、カテーテル10を血管内に留置したままガイドワイヤGWを抜去し、次に使用する別のガイドワイヤをカテーテル10の基端シャフト部18より挿入することで、血管内に当該別のガイドワイヤを導入することができる。
この場合、本実施形態に係るカテーテル10は、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、基端シャフト部18にスリット26を形成しているため、スリット26よりガイドワイヤGWを導出することにより、カテーテル10内のガイドワイヤGWが挿通している長さを短縮させることができるため、オーバーザワイヤタイプのカテーテルに比べてガイドワイヤGWの全長を短くすることができ、ガイドワイヤGWを生体管腔内に留置した状態でカテーテル10の交換作業を容易に行うことができる。また、基端側ルーメン24からガイドワイヤGWを基端シャフト部18の外側に導出させる位置を調節することにより、ガイドワイヤGWのうち基端側ルーメン24に挿通されている部分の長さを変更することができる。つまり、狭窄部又は閉塞部の位置、大きさ、形状等に応じて、シャフト12のうちガイドワイヤGWと同軸に配置される部分(モノレール部36)の長さを調節することができる。これにより、狭窄部又は閉塞部にガイドワイヤGWを通過させる際にガイドワイヤGWを効果的に支持することができる。さらに、モノレールタイプのようなカテーテル構造でありながら、基端シャフト部18よりガイドワイヤGWを挿入することにより、ガイドワイヤGWをシャフト12の全長に渡って挿通させることができる。
基端シャフト部18は、略C字状の横断面形状を有する。これにより、基端シャフト部18の形状を簡素化することができる。
スリット26は、基端シャフト部18の軸線方向に沿って直線状に延在している。これにより、基端シャフト部18の形状を一層簡素化することができる。また、スリット26を介して基端側ルーメン24から基端シャフト部18の外側にガイドワイヤGWを容易に導出させることができる。
図6Aに示すように、基端シャフト部18には、上述したスリット26に代えて第1変形例に係るスリット26aが形成されていてもよい。このスリット26aは、基端シャフト部18の軸線方向に沿って一定の開口幅W2で波状に延在している。開口幅W2の大きさは、上述した開口幅W1の大きさと同様に設定される。
このような構成によれば、ガイドワイヤGWのうち基端側ルーメン24内に挿入されている部分がスリット26aを介して基端シャフト部18の外側に外れることを効果的に抑えることができる。
図6Bに示すように、基端シャフト部18には、上述したスリット26に代えて第2変形例に係るスリット26bが形成されていてもよい。スリット26bは、基端シャフト部18の軸線方向に沿って幅広部40と幅狭部42とが交互に位置するように形成されている。幅広部40の開口幅W3は、幅狭部42の開口幅W4よりも大きい。開口幅W3及び開口幅W4のそれぞれは、基端シャフト部18の非変形状態で基端側ルーメン24の直径D2の50%以上100%未満の大きさで設定されるのが好ましい。
このような構成によれば、ガイドワイヤGWのうち基端側ルーメン24内に挿入されている部分がスリット26bを介して基端シャフト部18の外側に外れることを幅狭部42によって効率的に抑えることができる。
カテーテル10は、生体管腔内に生じた狭窄部又は閉塞部にガイドワイヤGWを通過させる際に使用されるガイドワイヤGWを支持する。この場合、生体管腔内の狭窄部又は閉塞部にガイドワイヤGWを効果的に通過させることができる。
カテーテル10を用いた治療方法では、ガイディングカテーテル102を腕の動脈から導入して、下肢動脈内にガイディングカテーテル102の先端部を配置するガイディングカテーテル配置ステップと、カテーテル10を準備する準備ステップと、基端側ルーメン24の一部と先端側ルーメン20の全長とに亘ってガイドワイヤGWを挿通させるとともにスリット26を介して基端シャフト部18の外側に導出させた状態でカテーテル10をガイディングカテーテル102の内腔に挿通させる挿通ステップと、ガイディングカテーテル102の先端からカテーテル10を突出させた状態で、ガイドワイヤGWを狭窄部又は閉塞部に通過させるガイドワイヤ通過ステップと、ガイドワイヤGWを狭窄部又は閉塞部を越えて留置したままカテーテル10を体外に抜去する抜去ステップと、を有する。
このような方法によれば、狭窄部又は閉塞部の狭窄度に応じてシャフト12とガイドワイヤGWとが同軸に配置されたモノレール部36の長さを調節することができるため、狭窄部又は閉塞部にガイドワイヤGWを通過させる際にガイドワイヤGWを効果的に支持することができる。
本発明は上述した構成に限定されない。スリット26、26a、26bは、基端シャフト部18に沿って延在していれば、基端シャフト部18の全長未満の長さであってもよい。
本発明に係るカテーテル及びカテーテルを用いた治療方法は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…カテーテル 12…シャフト
14…ハブ 16…先端シャフト部
18…基端シャフト部 20…先端側ルーメン
24…基端側ルーメン 26、26a、26b…スリット
GW…ガイドワイヤ

Claims (7)

  1. ガイドワイヤを支持する可撓性を有するシャフトと前記シャフトの基端部に設けられたハブとを備えたカテーテルであって、
    前記シャフトは、
    前記ガイドワイヤが挿通する先端側ルーメンを有する先端シャフト部と、
    前記先端側ルーメンに連通して前記ガイドワイヤが挿通する基端側ルーメンを有し、且つ前記先端シャフト部と同軸になるように前記先端シャフト部の基端から前記ハブまで延在した基端シャフト部と、を有し、
    前記基端シャフト部には、当該基端シャフト部に沿って延在し、前記ガイドワイヤを前記基端側ルーメンから前記基端シャフト部の外側に導出させるためのスリットが形成され、
    前記スリットの開口幅は、前記基端シャフト部を弾性変形させていない非変形状態で、前記基端側ルーメンの直径よりも小さい、カテーテル。
  2. 請求項1記載のカテーテルであって、
    前記基端シャフト部は、略C字状の横断面形状を有する、カテーテル。
  3. 請求項1又は2に記載のカテーテルであって、
    前記スリットは、前記基端シャフト部の軸線方向に沿って直線状に延在している、カテーテル。
  4. 請求項1又は2に記載のカテーテルであって、
    前記スリットは、前記基端シャフト部の軸線方向に沿って一定の開口幅で波状に延在している、カテーテル。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のカテーテルであって、
    前記スリットは、前記基端シャフト部の軸線方向に沿って幅広部と幅狭部とが交互に位置するように形成されている、カテーテル。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のカテーテルであって、
    生体管腔内に生じた狭窄部又は閉塞部にガイドワイヤを通過させる際に使用されるガイドワイヤを支持する、カテーテル。
  7. 下肢血管内の狭窄部又は閉塞部にガイドワイヤを通過させる際に前記ガイドワイヤを支持する可撓性を有するシャフトと前記シャフトの基端部に設けられたハブとを備えたカテーテルを用いた治療方法であって、
    前記シャフトは、
    前記ガイドワイヤが挿通する先端側ルーメンを有する先端シャフト部と、
    前記先端側ルーメンに連通して前記ガイドワイヤが挿通する基端側ルーメンを有し、且つ前記先端シャフト部と同軸になるように前記先端シャフト部の基端から前記ハブまで延在した基端シャフト部と、を有し、
    前記基端シャフト部には、当該基端シャフト部に沿って延在し、前記ガイドワイヤを前記基端側ルーメンから前記基端シャフト部の外側に導出させるためのスリットが形成され、
    前記スリットの開口幅は、前記基端シャフト部を弾性変形させていない非変形状態で、前記基端側ルーメンの直径よりも小さく、
    ガイディングカテーテルを、腕の動脈から導入して、下肢動脈内にガイディングカテーテルの先端部を配置するガイディングカテーテル配置ステップと、
    前記カテーテルを準備する準備ステップと、
    前記基端側ルーメンの一部と前記先端側ルーメンの全長とに亘って前記ガイドワイヤを挿通させるとともに前記スリットを介して前記基端シャフト部の外側に導出させた状態で前記カテーテルを前記ガイディングカテーテルの内腔に挿通させる挿通ステップと、
    前記ガイディングカテーテルの先端から前記カテーテルを突出させた状態で、前記ガイドワイヤを前記狭窄部又は前記閉塞部に通過させるガイドワイヤ通過ステップと、
    前記ガイドワイヤを前記狭窄部又は前記閉塞部を越えて留置したまま前記カテーテルを体外に抜去する抜去ステップとを、有する、カテーテルを用いた治療方法。
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