以下,本発明にかかる読取装置を具体化した第1の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,読取機能を備える複合機(MFP:Multi Function Peripheral)に本発明を適用したものである。
第1の形態のMFP100は,図1に示すように,画像形成部10と,画像読取部20と,操作パネル40と,を備えている。画像形成部10は,出力手段の一例である。画像読取部20は,読取手段の一例である。操作パネル40は,受付手段および出力手段の一例である。
画像形成部10は,シートに画像を印刷するための構成である。画像形成部10の画像形成方式は,電子写真方式であっても,インクジェット方式であってもよい。第1の形態のMFP100は,カラー画像の形成が可能な装置であっても,モノクロ画像専用の装置であってもよい。また,MFP100は,両面印刷可能な装置であっても,片面印刷のみの装置であってもよい。
MFP100は,給紙トレイ11と,排紙トレイ12と,手差しトレイ13と,を備えている。給紙トレイ11は,印刷用のシートを収容する。排紙トレイ12は,印刷済みのシートを収容する。手差しトレイ13は,手差しによる印刷用のシートの挿入を受け付ける。MFP100は,給紙トレイ11に収容されているシート,または,手差しトレイ13から挿入されたシートに,画像形成部10を用いて印刷し,印刷済みのシートを排紙トレイ12に排紙する。
画像読取部20は,原稿の画像を読み取るための構成である。読取方式は,CCD方式であってもCIS方式であってもよい。第1の形態のMFP100は,カラー読み取りが可能な装置であっても,モノクロ読み取りのみの装置であってもよい。また,MFP100は,両面読み取りが可能な装置であっても,片面読み取りのみの装置であってもよい。
画像読取部20は,読取対象の原稿を搬送する機能を有するADF(自動原稿搬送装置)22を備える。ADF22は,図1に示すように,MFP100の筐体の上部に設けられ,原稿トレイ24と,原稿排紙トレイ25とを備える。画像読取部20は,原稿トレイ24に置かれた原稿の1枚をADF22に搬送させ,搬送中に原稿の画像を読み取り,読み取り済みの原稿を原稿排紙トレイ25に排紙させる。
画像読取部20のADF22は,図1中の左奥側の一辺を中心に回転可能であり,MFP100に対して開閉自在に設けられている。ADF22の下側には読取ガラスが設けられ,MFP100は,読取ガラスに置かれた原稿を読み取ることもできる。例えば,MFP100は,ADF22の原稿トレイ24にシートの無い状態で読み取りの指示を受け付けると,読取ガラス上の原稿を読み取る。
操作パネル40は,図1に示すように,液晶ディスプレイ41と,ボタン群42とを備える。MFP100は,動作状況等の各種の情報やユーザへのメッセージを操作パネル40の液晶ディスプレイ41に表示させる。MFP100は,画像読取部20にて読み取った結果の画像や受信した画像データの画像等を液晶ディスプレイ41に表示させてもよい。また,MFP100の液晶ディスプレイ41は,入力操作も可能なタッチパネルであってもよい。その場合,MFP100は,各種のボタンを液晶ディスプレイ41に表示させ,押下された位置に基づいて各種の指示を受け付ける。
ボタン群42には,電源ボタン,実行ボタン,キャンセルボタン,テンキー等が設けられている。MFP100は,ボタン群42への操作を受け付けた場合に,そのボタンにて発信される信号を受信することにより,各種の指示入力を受け付ける。
続いて,第1の形態のMFP100の電気的構成について説明する。MFP100は,図2に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(不揮発性RAM)34とを含むコントローラ30を備えている。また,MFP100は,画像形成部10と,画像読取部20と,ネットワークIF(インターフェース)37と,USBIF38と,操作パネル40と,を備え,これらがコントローラ30に電気的に接続されている。
ROM32には,MFP100を制御するための各種制御プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは,データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。NVRAM34は,画像データ等のデータや各種設定,ユーザの情報等を記憶する領域として利用される。
CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,MFP100の各構成要素を制御する。CPU31は,制御手段の一例である。なお,コントローラ30が制御手段であってもよい。また,図2中のコントローラ30は,CPU31等,MFP100の制御に利用されるハードウェアを纏めた総称であって,実際にMFP100に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
ネットワークIF37は,ネットワークに接続する外部機器と通信を行うためのハードウェアである。通信方法は,有線であっても無線であってもよい。USBIF38は,USBメモリ等のフラッシュメモリが接続され,接続されたフラッシュメモリと通信を行うためのハードウェアである。
続いて,第1の形態のMFP100にて,写真が含まれる原稿をコピーする制御について説明する。MFP100は,写真が含まれる原稿のコピーを実行するモードとして,例えば,写真コピーモードとIDコピーモードとを備えている。写真コピーモードでは,MFP100は,写真が含まれる原稿を他のモードの場合よりも高い解像度で読み取り,シートに印刷する。一方,IDコピーモードでは,MFP100は,原稿の両面をそれぞれ読み取って,両面の画像データに基づく画像を,1枚のシートに印刷する。IDコピーモードは,一方の面に顔写真が含まれるIDカード等をコピーするモードであり,顔写真が含まれると推定される面を他のモードの場合よりも高い解像度で読み取る。写真コピーモードやIDコピーモードでは,例えば,最高解像度等の設定された解像度よりも高い解像度で読み取る。
第1の形態のMFP100は,読み取った画像データが,写真が含まれる原稿の画像データであると推定される場合に,1つの画像データに基づいて,濃度の異なる複数の画像を作成する。濃度の異なるとは,ブライトネス(平均した明暗の程度)に基づくものであっても,コントラスト(明暗の差の幅)に基づくものであってもよい。MFP100は,濃度の異なる画像として,例えば,元の濃度に対して1〜2割程度の濃度の増減を行った画像を作成する。濃度が異なる複数の画像を作成することで,ユーザは,好みの濃度の画像を選択できる。
MFP100は,写真コピーモードでは,例えば,図3に示すように,原稿を読み取った画像データ51に基づいて,3種類の画像52,53,54を作成する。画像52は,画像データ51に基づいて,濃度を変更せずに印刷したものである。画像53は,画像データ51に基づいて,明度を上げて印刷したものである。画像54は,画像データ51に基づいて,明度を下げて印刷したものである。この例では,3種類の画像52,53,54を,1枚のシート50に印刷している。なお,シートが小さい場合には,別々のシートに印刷してもよい。
また,MFP100は,IDコピーモードでは,例えば,図4に示すように,原稿の両面を順に読み取って,1枚のシート50に両面の画像を印刷する。第1画像データ61は,1回目の読み取りにて取得される画像データである。MFP100は,IDコピーモードが選択された時に,IDカード等のうち,顔写真の付いている面を先に読み取ることを推奨するメッセージを液晶ディスプレイ41に表示する。つまり,1回目の読み取りにて取得される第1画像データ61は,顔写真の画像を含む第1面の画像データであると推定される。
そこで,MFP100は,第1画像データ61に基づいて,複数の画像62,63,64を作成して,図4に示すように,1枚のシート50に印刷する。画像62は,第1画像データ61に基づいて,濃度を変更せずに印刷したものである。画像63は,第1画像データ61に基づいて,明度を上げて印刷したものである。画像64は,第1画像データ61に基づいて,明度を下げて印刷したものである。
また,第2画像データ65は,2回目の読み取りにて取得される画像データである。2回目の読み取りでは,第1面の反対側の写真を含まない面がセットされていると推定される。つまり,2回目の読み取りにて取得される第2画像データ65は,顔写真の画像を含まない第2面の画像データであると推定される。MFP100は,第2画像データ65に基づいて,1つの画像66のみを作成する。顔写真を含んでいない画像では,ユーザの好みによる選択の必要性は小さい。従って,濃度の異なる画像を印刷する必要性は小さい。
そして,MFP100は,例えば,図4に示すように,第1画像データ61に基づく複数の画像62,63,64のそれぞれを,第2画像データ65に基づく1つの画像66に隣接させて配置し,1枚のシート50に印刷する。具体的に,図4の例では,1画像66の上方に画像62が,画像66の左方に画像63が,画像66の下方に画像64が,それぞれ画像66に隣接して配置されている。
続いて,MFP100にて,コピーを実行する動作を実現するコピー処理の手順について,図5のフローチャートを参照して説明する。コピー処理は,操作パネル40等を介して,コピーの実行指示を受け付けたことを契機に,CPU31にて実行される。
コピー処理では,CPU31は,まず,IDコピーモードが選択されているか否かを判断する(S101)。IDコピーモードが選択されていないと判断した場合には(S101:NO),CPU31は,写真コピーモードが選択されているか否かを判断する(S102)。
そして,写真コピーモードも選択されていないと判断した場合には(S102:NO),CPU31は,画像読取部20に,セットされている原稿を,設定されている解像度で読み取らせる(S105)。CPU31は,読み取りによって取得した1つの画像データに基づいて,1つの印刷データを作成する(S106)。さらに,CPU31は,作成した印刷データを用いて,指定されているシートに画像を印刷する(S107)。S105は,読取処理の一例であり,S106は,単一作成処理の一例である。
さらに,CPU31は,次の原稿が有るか否かを判断する(S109)。次の原稿が有ると判断した場合(S109:YES),CPU31は,S105に戻って,次の原稿の読み取りと印刷を実行する。次の原稿が無いと判断した場合(S109:NO),CPU31は,コピー処理を終了する。
一方,IDコピーモードが選択されていると判断した場合(S101:YES),CPU31は,IDコピー処理を実行する(S111)。IDコピー処理は,前述したIDコピーモードの動作を実現する処理である。
次に,IDコピー処理の手順について,図6のフローチャートを参照して説明する。IDコピー処理では,CPU31は,液晶ディスプレイ41に,IDコピーの手順を説明するためのメッセージを表示させる(S201)。具体的に,メッセージには,IDカードの顔写真の付いている面をセットして実行ボタンを押すことをユーザに促す文言が含まれる。そして,CPU31は,実行ボタンの押下を受け付けたか否かを判断する(S202)。
実行ボタンの押下を受け付けていないと判断した場合(S202:NO),CPU31は,所定のタイムアウト時間が経過したか否かを判断する(S203)。所定のタイムアウト時間が経過していないと判断した場合(S203:NO),CPU31は,S202に戻り,実行ボタンの押下を受け付けるか,または,タイムアウトとなるまで待機する。なお,実行ボタンの押下を受け付ける前に,他のボタンの押下を受け付けた場合,IDコピーモードをキャンセルして,押下を受け付けた他のボタンの処理を実行する。
一方,タイムアウトとなる前に実行ボタンの押下を受け付けたと判断した場合(S202:YES),CPU31は,画像読取部20に,最高解像度での読み取りを実行させる(S205)。S205は,読取処理の一例であり,第1の読み取りの一例である。なお,MFP100がカラー読取可能な装置であれば,S205では,カラー読取を実行する。そして,CPU31は,S205の読み取りにて取得した第1画像データ61(図4参照)を,RAM33に保存する(S206)。
次に,CPU31は,液晶ディスプレイ41に,IDコピーの手順の続きを説明するためのメッセージを表示させる(S208)。具体的に,メッセージには,IDカードの裏面をセットして実行ボタンを押すことをユーザに促す文言が含まれる。なお,S208のメッセージは,S201にて同時に表示してもよい。そして,CPU31は,実行ボタンの押下を受け付けたか否かを判断する(S209)。
実行ボタンの押下を受け付けていないと判断した場合(S209:NO),CPU31は,所定のタイムアウト時間が経過したか否かを判断する(S210)。タイムアウト時間は,S203とS210で,同じ時間であってもよいし,異なってもよい。所定のタイムアウト時間が経過していないと判断した場合(S210:NO),CPU31は,S209に戻り,実行ボタンの押下を受け付けるか,または,タイムアウトとなるまで待機する。
タイムアウトとなる前に実行ボタンの押下を受け付けたと判断した場合(S209:YES),CPU31は,画像読取部20に,設定されている読取解像度であって,最高解像度より低い解像度での読み取りを実行させる(S212)。裏面には写真が含まれていないので,最高解像度で読み取る必要性は低い。S212は,読取処理の一例であり,第2の読み取りの一例である。
そして,CPU31は,S212の読み取りにて取得した第2画像データ65(図4参照)を,RAM33に保存する(S213)。さらに,CPU31は,印刷データ作成処理を実行する(S215)。印刷データ作成処理は,読み取った画像データに基づいて,印刷用のデータを作成する処理である。
次に,印刷データ作成処理の手順について,図7のフローチャートを参照して説明する。印刷データ作成処理では,CPU31は,まず,IDコピー処理のS206にて保存した第1画像データ61を読み出す(S301)。
CPU31は,読み出した第1画像データ61の階調を低下させ,低階調の画像データを作成する(S302)。さらに,CPU31は,作成した低階調の画像データに基づいて顔認識を行う顔認識処理を実行する(S303)。顔認識処理は,画像データ中に含まれる顔画像の領域を推定する処理である。S303は,顔認識処理の一例である。なお,顔認識のアルゴリズムは,公知技術であり,説明を省略する。
MFP100は,顔認識処理を,ハードウエアで実行してもよいし,ソフトウエアで実行してもよい。つまり,MFP100は,顔認識処理用の専用基板(ハードウエア)を備えて,ハードウエアによる顔認識処理を行ってもよい。また,MFP100は,顔認識処理のプログラム(ソフトウエア)を,ROM32またはNVRAM34に記憶して備え,ソフトウエアによる顔認識処理を行ってもよい。
なお,顔認識処理において,顔と認識される許可レベルは,例えば,ユーザの目視での顔認識の許可レベルよりも低い可能性がある。つまり,ユーザには顔画像と認識し難い画像でも,顔認識処理では顔画像と判断される可能性がある。MFP100では,階調を低下させた画像データを用いて顔認識処理を実行するので,顔認識処理の精度が低下する。これにより,顔認識処理の結果が,ユーザの目視での顔認識の許可レベルと合致し易い。
そして,CPU31は,S303の顔認識処理による顔認識に成功したか否かを判断する(S305)。顔認識に成功したとは,顔画像の領域を特定したことを意味する。つまり,顔認識に成功した場合には,対象の画像データ中に顔画像と判断できる画像領域が含まれており,比較的明瞭な顔写真であったと推定できる。一方,顔認識に成功しなかった場合には,顔画像と判別できなかったことを意味し,仮に顔写真が含まれていたとしても,例えば,全体に暗く顔写真の部分が不明瞭な画像となってしまっている可能性が高い。
顔認識に成功したと判断した場合(S305:YES),CPU31は,S301にて読み出した第1画像データ61を,印刷用の画像データに変換する(S307)。例えば,モノクロ印刷が指定されていて,カラーでの読み取りを実行した場合,CPU31は,カラー画像データをモノクロ画像データに変換する。さらに,CPU31は,IDコピー処理のS213にて保存した,第2画像データ65を読み出す(S308)。
そして,CPU31は,第1画像データ61に基づく画像と第2画像データ65に基づく画像とを隣接させた画像を含む印刷用データを作成し(S309),IDコピー処理に戻る。第1画像データ61に基づく画像は,S307にて変換後の画像データの画像であり,第2画像データ65に基づく画像は,S308にて読み出した画像データの画像である。つまり,顔認識に成功した場合,CPU31は,第1画像データ61に基づく画像と第2画像データ65に基づく画像とを,それぞれ1つずつ,1枚のシートに印刷する。顔認識に成功した場合には,ユーザが不満に思うような印刷結果とはならない可能性が高い。そのため,顔認識に成功した場合には,複数の画像を作成しない方が,無駄が少ない。
一方,顔認識に成功しなかったと判断した場合(S305:NO),CPU31は,S301にて読み出した第1画像データ61を,印刷用の画像データに変換する(S311)。S311は,S307と同様の処理である。
そして,CPU31は,S311にて変換後の画像データに基づいて,元の第1画像データ61とは濃度の異なる画像データを作成する(S312)。S312では,CPU31は,1以上の画像データを作成する。これにより,第1画像データ61と合わせて,複数の画像データが作成される。S312は,複数作成処理の一例である。S312では,CPU31は,例えば,図4に示したように,第1画像データ61の画像より全体の明度を上げた画像63の画像データと,第1画像データ61の画像より全体の明度を下げた画像64の画像データとの2種類の画像データを作成する。
さらに,CPU31は,IDコピー処理のS213にて保存した,第2画像データ65を読み出す(S313)。そして,CPU31は,第1画像データ61に基づく複数の画像のそれぞれを第2画像データ65に基づく1つの画像に隣接させた画像を含む印刷用データを作成し(S315),IDコピー処理に戻る。第1画像データ61に基づく複数の画像は,S311にて変換後の画像データの画像と,S312にて作成された1以上の画像データの画像である。第2画像データ65に基づく1つの画像は,S313にて読み出した画像データの画像である。
つまり,顔認識に失敗した場合,CPU31は,第1画像データ61に基づいて複数の画像を作成し,例えば,図4に示したように,複数の画像のそれぞれを第2画像データ65に基づく画像に隣接させて,1枚のシートに印刷する。顔認識に失敗した場合には,ユーザが不満に思うような印刷結果となる可能性がある。そのため,顔認識に失敗した場合には,複数の画像を作成することで,ユーザに好みの画像を選択させることができる。
IDコピー処理では,CPU31は,S215の印刷データ作成処理の後,作成した印刷用データに基づいて,画像形成部10に印刷を実行させる(S217)。S217は,出力処理の一例である。CPU31は,印刷データ作成処理において,第1画像データに基づく画像と,第2画像データに基づく画像とが,1枚のシートに含まれる印刷用データを作成している。印刷データ作成処理のS309にて作成した印刷用データに基づいて印刷を実行すると,1枚のシートにIDカードの表裏の画像が1つずつ印刷される。また,印刷データ作成処理のS315にて作成した印刷用データに基づいて印刷を実行すると,例えば,図4に示したように,写真付きの面の複数の画像が,裏面の画像の周囲に並んで印刷されたシート50が出力される。
なお,図4の例では,第1画像データに基づく画像62,63,64のそれぞれは,第2画像データに基づく画像66に隣接して配置されている。そこで,ユーザは,図4に破線L1,L2,L3で示すように,画像62,63,64のいずれでも好みの画像を,画像66と連結した1枚として切り取ることができる。出力画像のレイアウトとして,第2画像データに基づく画像66に,第1画像データに基づく濃度が異なる複数の画像62,63,64をそれぞれ隣接させて,1枚のシート50に印刷することで,シートの無駄が少なく,印刷物の使い勝手が良い。
S217の後,または,タイムアウトとなったと判断した場合(S203:YES,または,S210:YES),CPU31は,IDコピー処理を終了して,図5のコピー処理に戻る。そして,CPU31は,コピー処理を終了する。なお,IDコピー処理の終了後,モードが変更されることなく,再び実行ボタンが押下された場合には,再度IDコピー処理を実行するとしてもよい。
一方,コピー処理のS102にて,写真コピーモードが選択されていると判断した場合(S102:YES),CPU31は,写真コピー処理を実行する(S112)。写真コピー処理は,前述した写真コピーモードの動作を実現する処理である。
次に,写真コピー処理の手順について,図8のフローチャートを参照して説明する。写真コピー処理は,IDコピー処理のうち,第1面に関する処理だけを残し,第2面の処理を削除した処理である。IDコピー処理と同じ手順については,同じ符号を付し,説明を省略する。
写真コピー処理では,CPU31は,まず,実行ボタンの押下を受け付けたか否かを判断する(S202)。実行ボタンの押下を受け付けていないと判断した場合(S202:NO),CPU31は,所定のタイムアウト時間が経過したか否かを判断する(S203)。所定のタイムアウト時間が経過していないと判断した場合(S203:NO),CPU31は,実行ボタンの押下またはタイムアウトを待機する。
実行ボタンの押下を受け付けたと判断した場合(S202:YES),CPU31は,最高解像度での読み取りを実行する(S205)。そして,CPU31は,取得した画像データを,RAM33に保存する(S206)。さらに,CPU31は,印刷データ作成処理を実行する(S215)。
印刷データ作成処理は,図7に示した処理と同様の処理である。なお,印刷データ作成処理が写真コピー処理中で実行される場合,第2画像データを読み出すステップ(S308とS313)は,スキップする。つまり,CPU31は,読み取った写真の画像データに対して顔認識処理を実行し,顔認識処理に成功した場合には1つ,顔認識処理に失敗した場合には複数の画像データを作成する。さらに,CPU31は,複数の画像データを作成した場合には,それらを1枚のシートに印刷するための印刷用データを作成する。
そして,図8の写真コピー処理に戻り,S215の印刷データ作成処理の後,CPU31は,作成した印刷用データに基づいて,画像形成部10に印刷を実行させる(S217)。S217の後,または,タイムアウトとなったと判断した場合(S203:YES),CPU31は,写真コピー処理を終了して,図5のコピー処理に戻り,コピー処理を終了する。
以上,詳細に説明したように,第1の形態のMFP100によれば,写真が含まれる画像をコピーするモードが設定された状態で原稿の読み取りを行った場合,読み取りによって取得される1つの画像データに基づいて,濃度の異なる複数の画像を作成する。さらに,作成した複数の画像を,1枚のシートに印刷する。読み取った原稿の画像について,濃度が異なる複数の画像を作成して出力することで,ユーザはそれらの複数の画像の中から好みの濃度の画像を選択できる。従って,読み取りを指示したユーザが好む濃度の画像が出力される可能性が高まる。
続いて,本発明にかかる読取装置を具体化した第2の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。第2の形態は,第1の形態のMFP100と同様の装置において,複数の画像データを作成した後の処理が異なるものである。第1の形態のMFP100と同じ構成や手順については,同じ符号を付し,説明を省略する。
第2の形態のMFP100は,作成した複数の画像データを1枚のシートに印刷する代わりに,図9に示すように,液晶ディスプレイ41に表示してユーザの選択を受け付ける。そして,MFP100は,選択された画像を印刷する。IDコピーモードでは,MFP100は,選択された画像と裏面の画像とを1枚のシートに印刷する。写真コピーモードでは,MFP100は,選択された画像のみを1枚のシートに印刷する。このようにしても,ユーザは,好みの濃度の画像の印刷物を入手できる。
第2の形態のMFP100では,第1の形態のコピー処理において実行される印刷データ作成処理(図7)に代えて,印刷データ選択処理を実行する。印刷データ選択処理の手順について,図10のフローチャートを参照して説明する。印刷データ選択処理は,図7の印刷データ作成処理に,いくつかのステップを追加したものであり,印刷データ作成処理と同じ手順については,同じ符号を付して説明を省略する。
第2の形態の印刷データ選択処理では,CPU31は,まず,第1画像データ61を読み出す(S301)。そして,CPU31は,読み出した第1画像データ61の階調を低下させ(S302),顔認識処理を実行する(S303)。さらに,CPU31は,顔認識に成功したか否かを判断する(S305)。
そして,顔認識処理にて顔認識に成功したと判断した場合(S305:YES),CPU31は,第1画像データ61を印刷用の画像データに変換する(S307)。さらに,第2画像データ65を読み出し(S308),第1画像データ61に基づく画像と第2画像データ65に基づく画像とを隣接させた画像を含む印刷用データを作成し(S309),IDコピー処理または写真コピー処理に戻る。
一方,顔認識処理にて顔認識に成功しなかったと判断した場合(S305:NO),CPU31は,第1画像データ61を印刷用の画像データに変換する(S311)。そして,CPU31は,変換後の画像データに基づいて,元の第1画像データ61とは濃度の異なる画像データを作成する(S312)。
そして,CPU31は,液晶ディスプレイ41に,元の第1画像データ61に基づく画像とS312にて作成した画像データに基づく画像とを表示させる(S501)。CPU31は,液晶ディスプレイ41に,例えば,図9に示したように,複数の画像データと,そのうちの1つを選択する選択入力を受け付ける画面とを表示させる。第2の形態では,S501が出力処理の一例であり,液晶ディスプレイ41は,出力手段の一例である。
そして,CPU31は,ユーザによる選択入力を受け付けたか否かを判断する(S502)。ユーザによる選択入力を受け付けていないと判断した場合(S502:NO),CPU31は,所定のタイムアウト時間が経過したか否かを判断する(S503)。所定のタイムアウト時間が経過していないと判断した場合(S503:NO),CPU31は,S502に戻り,選択入力を受け付けるか,または,タイムアウトとなるまで待機する。
タイムアウトとなる前に選択入力を受け付けたと判断した場合(S502:YES),CPU31は,選択された画像データを第1画像データ61に基づく印刷用のデータに決定する(S505)。S505は,選択処理の一例である。一方,選択入力を受け付けることなくタイムアウトとなったと判断した場合(S503:YES),CPU31は,濃度の変更を行っていない元の画像データを第1画像データ61に基づく印刷用のデータに決定する(S506)。
さらに,CPU31は,第2画像データ65を読み出す(S313)。そして,CPU31は,S505またはS506にて決定した第1画像データ61に基づく印刷用のデータの画像と,S313にて読み出した第2画像データ65に基づく画像とを隣接させた画像を含む,印刷用データを作成し(S315),IDコピー処理または写真コピー処理に戻る。
なお,第2の形態では,必ずしも印刷しなくてもよい。つまり,IDコピー処理または写真コピー処理のS217に代えて,画像データの外部装置への送信を行ってもよい。例えば,S505またはS506にて決定した第1画像データと,S313にて読み出した第2画像データとを含む画像データを作成し,ユーザに指定された送信先の装置に送信してもよい。
以上,詳細に説明したように,第2の形態のMFP100によっても,写真が含まれる画像をコピーするモードが設定された状態で原稿の読み取りを行った場合,読み取りによって取得される1つの画像データに基づいて,濃度の異なる複数の画像を作成する。さらに,作成した複数の画像を,液晶ディスプレイ41に表示し,ユーザによる選択を受け付ける。読み取った原稿の画像について,濃度が異なる複数の画像を作成して表示することで,ユーザはそれら複数の画像の中から好みの濃度の画像を選択できる。従って,第2の形態のMFP100によっても,読み取りを指示したユーザが好む濃度の画像が出力される可能性が高まる。さらに,第2の形態では,プレビュー表示によって印刷対象の画像をユーザに選択させるので,不要な画像が印刷されず,着色剤の無駄が少ない。
なお,各実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,読取装置は,MFP100に限らず,複写機,スキャナ,FAX装置など,画像読取機能を備える装置であれば適用可能である。
また,例えば,写真が含まれる原稿の読取結果に基づいて,複数の画像データを作成すれば良く,作成する数は,3に限らない。2でもよいし,4以上でもよい。さらに,変更する濃度は,ブライトネスとコントラストとのいずれかに限らず,両方でもよい。また,カラーコピーの場合には,さらに色調も変更してもよい。
また,1枚のシートに複数の画像を印刷する場合における各画像の配置は,図3や図4に示した例に限らない。例えば,縦並びや横並びとしてもよい。また,例えば,IDコピーにおいて,第2画像データ65に基づく画像も複数印刷してもよい。例えば,第1画像データ61に基づく複数の画像62,63,64を縦に並べ,それぞれの横に隣接して,第2画像データ65に基づく画像を配置させてもよい。その場合には,第2画像データ65に基づく画像についても,濃度の異なる画像データを作成してもよい。また,1枚のシートに各画像を印刷する代わりに,複数の画像をそれぞれ別のシートに印刷してもよい。
また,複数の画像を作成する際に,全体の濃度を変更する方法に限らず,部分的に濃度を変更してもよい。例えば,文字領域を除く部分の濃度を変更してもよい。例えば,図4に示した第1画像データ61に基づいて,図中で左側の半面のみの濃度を変更してもよい。このようにすれば,文字領域の濃度をも変更する場合と比較して,文字が読み難くならない。ただし,画像全体の濃度を変更すれば,部分的に濃度を変更する場合と比較して,制御がシンプルであり,濃度差の境界の無い自然な画像を作成できる。
また,例えば,顔認識に成功した場合には,複数の画像を作成する際に,顔と認識された領域のみの濃度を変更してもよい。このようにすれば,全体の濃度を変更する場合と比較して,元の原稿の画像をそのまま出力する箇所が多く,元の自然な画像(濃度変更が無い画像)をより多く残せる。
また,各実施の形態では,顔認識に成功した場合には,複数の画像の作成を行わないとしたが,顔認識の結果にかかわらず,IDコピーモードではいつも複数の画像を作成するとしてもよい。その場合には,顔認識処理を実行しなくてもよい。具体的に,印刷データ作成処理または印刷データ選択処理のS302〜S309を削除し,S301の後,S311へ進むとしてもよい。ただし,顔認識が成功した場合には,ユーザが不満に思うような印刷結果とならない可能性が高い。そのため,顔認識処理を実行し,顔認識に失敗した場合のみ複数の画像を作成する方が,無駄が少ない。
また,各実施の形態では,印刷データ作成処理または印刷データ選択処理のS305にて,顔認識に失敗したことを複数の画像を作成する条件としたが,S305に適用する条件は,顔認識の失敗に限らない。例えば,読み取った画像の全体の濃度が所定の閾値より大きいことを条件として,複数の画像を作成するとしてもよい。画像の濃度(平均濃度)が大きい場合には,全体的に暗い画像となり,ユーザが不満に思うような印刷結果となる可能性がある。そのため,画像の濃度が大きい場合に複数の画像を作成する方が,無駄が少ない。
また,例えば,顔認識に成功した場合には,顔と認識された領域の平均の濃度を取得し,取得した平均の濃度が所定の閾値より大きいことを複数の画像を作成する条件としてもよい。顔領域の濃度が大きい場合には,顔領域が暗い画像となり,ユーザが不満に思うような印刷結果となる可能性がある。そのため,顔領域の濃度が大きい場合に複数の画像を作成する方が,無駄が少ない。
また,複数の画像を作成する条件は,装置ごとにいずれか1つの条件を備えていてもよいし,各装置が複数の条件を備えていてもよい。複数の条件を備える場合には,各装置にて使用する条件を予め選択するとしてもよいし,そのうちの1以上の条件を満たすことを条件としてもよい。
また,例えば,IDコピーモードにおける両面読み取りの読み取り順序は,逆順であってもよい。つまり,写真を含まない面である裏面を先に読み取るようにしてもよい。例えば,IDコピー処理のS201〜S206とS208〜S213との実行順を入れ替えてもよい。なお,読み取り順序は,予め決める代わりに,ユーザ指定でもよいし,顔認識の結果によって判断してもよい。ユーザ指定では,読み取り順序の指定を受け付けてから読み取ってもよいし,片面または両面の読み取り後に写真が含まれる面の指定を受け付けてもよい。また,顔認識では,読み取った画像に対して顔認識を実行し,顔写真が含まれると判断された面を写真が含まれる面であると判断すればよい。
また,顔認識処理の前に画像データの階調を低下させるとしたが,低下させなくてもよい。また,例えば,使用する顔認識処理の特徴に応じて,階調を低下させる程度を決定すればよい。
また,写真が含まれる原稿を読み取る際の読み取りの解像度は,最高解像度に限らない。写真の読み取りに好適な所定の解像度であればよい。また,カラー読取可能な装置であっても,モノクロ印刷が指定されている場合には,カラーでの読み取りを行わなくてもよい。また,設定された解像度が最高解像度であれば,裏面の読み取りも最高解像度で行うとよい。
また,作成した複数の画像の出力方法は,画像形成部10による印刷(第1の形態),液晶ディスプレイ41による表示(第2の形態)に限らず,外部装置への送信としてもよい。例えば,MFP100は,作成した複数の画像をPC等に送信し,PC等から選択指示を受け付けて,選択された画像を印刷するとしてもよい。
また,各実施の形態に開示されている処理は,単一のCPU,複数のCPU,ASICなどのハードウェア,またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また,各実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。