以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係るアンテナ装置は、例えば車両用のモノポールアンテナもしくはダイポールアンテナ等である。このアンテナ装置1は、例えばAMラジオ、FMラジオ、DAB(Digital Audio Broadcast)、地上デジタル放送、BAND3、電話等に用いられる電波を送受信する機能を有している。第1実施形態に係るアンテナ装置の共振周波数の一つは、92MHzに設定されている。このアンテナ装置は、車両内もしくは当該車両の外装部品内に設置されるものであり、車両内に取り付けられた電子装置にケーブルを介して接続される。なお、車両内は、例えばボディシェルと室内空間との隙間である。当該隙間は、例えばルーフと天井との間に設けられる空間等である。また、外装部品は、例えばスポイラ、バンパ等である。後述する図3に示されるように、第1実施形態に係るアンテナ装置1は、例えば車両100の後部に装着され、且つ、外装部品であるリアスポイラ120内に設置されている。第1実施形態に係るアンテナ装置の実装状態の具体例については後述する。
まず、図1及び図2(a),(b)を参照しながら第1実施形態に係るアンテナ装置の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係るアンテナ装置の概略平面図である。図2(a),(b)は、第1実施形態に係るアンテナ装置の概略斜視図である。図2(a)は、所定の方向から見たアンテナ装置を示し、図2(b)は、上記所定の方向と反対側の方向から見たアンテナ装置を示している。図1及び図2(a),(b)に示されるアンテナ装置1は、アンテナエレメント2、遮蔽板3、回路基板4、絶縁部材5A,5B、及び、アンテナエレメント2に電気的に接続されるケーブル6を備える。アンテナ装置1は、アンテナエレメント2と、回路基板4と、遮蔽板3とが順に重なることによって構成されている。このため、遮蔽板3は、回路基板4を介してアンテナエレメント2と反対側に設けられる。なお、ケーブル6は、例えば同軸ケーブルであり、アンテナエレメント2と車両内の電子機器とを電気的に接続する。
アンテナエレメント2は、電波を受信する導電部材である。第1実施形態では、アンテナエレメント2は、平面視(Z方向視)にて略長方形状を呈する。以下では、平面視におけるアンテナエレメント2の短辺方向を方向Xとし、アンテナエレメント2の長辺方向を方向Yとし、方向X,Yに直交する方向を方向Zとする。方向Zは、アンテナエレメント2、遮蔽板3、及び回路基板4が互いに重なる積層方向に相当する。方向Xに沿ったアンテナエレメント2の寸法は、例えば5mm以上200mm以下である。方向Yに沿ったアンテナエレメント2の寸法は、例えば50mm以上1000mm以下である。アンテナエレメント2は、可撓性を示してもよい。
アンテナエレメント2は、方向Zに交差する一対の主面11a,11bを有するエレメント部11と、エレメント部11の主面11b(第1主面)から回路基板4に向かって延在する給電部12とを有する。エレメント部11は、例えば金属板又は合金板によって形成される板状の導電部材であり、平面視にて略長方形状を呈する。エレメント部11には、給電部12の一端と、絶縁部材5A,5Bの一端とが固定される。給電部12は、アンテナエレメント2と回路基板4上の配線とを電気的に接続する部分であり、エレメント部11とは異なる導電部材によって形成されている。給電部12が設けられることによって、エレメント部11にて受信した高周波電力を回路基板4に伝送できると共に、ケーブル6を介して回路基板4に入力された高周波電力をエレメント部11に伝送できる。給電部12は、例えば溶接等によってエレメント部11と一体化している。給電部12は、例えば方向Zに沿って延在する棒形状を呈しており、方向Zにおいてエレメント部11と回路基板4との間に位置している。方向Zに沿った給電部12の長さは、例えば10mm以上50mm以下である。給電部12の長さは、方向Zに沿ったアンテナエレメント2と遮蔽板3との間隔に相当してもよい。方向Zに沿ったアンテナエレメント2と遮蔽板3との間隔は、10mm以上50mm以下に限られない。
遮蔽板3は、ノイズのアンテナエレメント2への侵入を抑制する導電部材であり、例えば金属板又は合金板から形成される。遮蔽板3は、可撓性を示してもよい。アンテナ装置1のようなモノポールアンテナの性能は、アンテナエレメントと、当該アンテナエレメント近傍の導電部材との位置関係によって変動する傾向にある。第1実施形態のアンテナ装置1においては、遮蔽板3がアンテナエレメント2近傍の導電部材として機能する。このため、アンテナ装置1が車両に装着される場合、遮蔽板3がアンテナ装置1の性能に対して与える影響は、他の車両の金属部材よりも支配的になる。したがって、アンテナ装置1が車両に装着される場合であっても、アンテナ装置1の性能は、車両の金属部材によって影響を受けにくくなる。なお、車両の金属部材は、例えばボディシェルの全体もしくはその一部(ボディー、フレーム、ルーフ、ドアのアウタパネル等)である。
第1実施形態の遮蔽板3は、特に、車両内のノイズ発生源にて発生するノイズのアンテナエレメント2への侵入を抑制するための部材である。このため、アンテナ装置1が車両内もしくは当該車両の外装部品内に設置される場合、遮蔽板3は、アンテナエレメント2と上記ノイズ発生源との間に位置する。このとき、遮蔽板3は、例えば車両の金属部材に電気的に接続されることによって接地する。遮蔽板3は、車両の金属部材に直接接触してもよいし、ブラケットもしくはアース線等を介して上記金属部材に電気的に接続されてもよい。車両内のノイズ発生源は、例えば各種ランプ、各種ワイパー、バックカメラ、コンプレッサ、インバータ、モータ等の電装部品、並びに、車両内に搭載されるモニタ等の電子機器である。このノイズ発生源は、アンテナ装置1が設置される位置に応じて限定されてもよい。すなわち、車両内の全ての電装部品及び電子機器がノイズ発生源と解釈されず、アンテナ装置1に悪影響を与えるノイズを発生する電装部品及び電子機器のみをノイズ発生源としてもよい。例えば、アンテナ装置1がリアスポイラ内に設置される場合、ノイズ発生源となる電装部品は、リアワイパー、バックカメラ、テールランプ、及びインバータ等であってもよい。
アンテナエレメント2へのノイズの侵入抑制効果を良好に発揮する観点、並びに、アンテナ装置1の受信感度安定化の観点から、アンテナエレメント2の主面11bに対向する遮蔽板3の主面3a(第2主面)は、主面11bよりも広い。このため、主面3aの面積は、主面11bの面積よりも大きい。第1実施形態では、遮蔽板3の中心とアンテナエレメント2の中心とは方向Zにおいて重なっており、且つ、平面視にて、遮蔽板3の縁3bは、アンテナエレメント2の縁2aよりも外側に位置する。例えば平面視にて、方向Xに沿った遮蔽板3の寸法は方向Xに沿ったアンテナエレメント2の寸法以上であって、方向Yに沿った遮蔽板3の寸法は方向Yに沿ったアンテナエレメント2の寸法以上である。方向Xに沿った遮蔽板3の寸法は、例えば5mm以上200mm以下である。方向Yに沿った遮蔽板3の寸法は、例えば50mm以上1000mm以下である。平面視におけるアンテナエレメント2の縁2aと遮蔽板3の縁3bとの最短距離を例えば30mm以上に設定することによって、アンテナ装置1の受信感度を容易に安定化できる傾向にある。
方向Zに沿った遮蔽板3とアンテナエレメント2との間隔が小さいほど、遮蔽板3による遮蔽性能が向上する傾向にある。一方、方向Zに沿った遮蔽板3とアンテナエレメント2との間隔が大きいほど、遮蔽板3による遮蔽性能が低下する傾向にある。このため、方向Zに沿った遮蔽板3とアンテナエレメント2との間隔を狭めるほど、平面視における遮蔽板3の寸法を、平面視におけるアンテナエレメント2の寸法に近づけられる。換言すると、方向Zに沿った遮蔽板3とアンテナエレメント2との間隔を狭めるほど、平面視におけるアンテナエレメント2の縁2aと遮蔽板3の縁3bとの最短距離を0mmに近づけられる。したがって、方向Zに沿った遮蔽板3とアンテナエレメント2との間隔を狭めた場合、平面視におけるアンテナエレメント2の縁2aと遮蔽板3の縁3bとの最短距離が例えば30mm未満であっても、アンテナ装置1の受信感度を良好に安定化できる。
遮蔽板3は、第1板部21、第2板部22、第3板部23、及びブラケット部24を有する。第1板部21は、方向Xにおいて第2板部22と第3板部23との間に位置している。第1板部21と第2板部22とは、方向Yに沿って延在する屈曲部3cを介して互いにつながっており、第1板部21と第3板部23とは、方向Yに沿って延在する屈曲部3dを介して互いにつながっている。第1板部21と第2板部22がなす角度θ1と、第1板部21と第3板部23がなす角度θ2のそれぞれは、例えば225度以下である。なお、角度θ1が180度である場合、遮蔽板3に屈曲部3cが設けられないことを示す。
第1板部21は、アンテナエレメント2のエレメント部11に対して平行に延在する板状部分であり、平面視にて略長方形状を呈する。第1板部21には、回路基板4と、絶縁部材5A,5Bの他端とが固定される。方向Xに沿った第1板部21の寸法は、例えば10mm以上260mm以下である。方向Yに沿った第1板部21の寸法は、例えば100mm以上1000mm以下である。第2板部22及び第3板部23は、第1板部21と同様に略長方形状を呈する。方向Yに沿った第2板部22の寸法は、方向Yに沿った第1板部21の寸法と同一である。一方、方向Yに沿った第3板部23の寸法は、方向Yに沿った第1板部21の寸法よりも短い。第3板部23の一方の短辺23aは第1板部21の一方の短辺21aに連続して延在する一方で、第3板部23の他方の短辺23bは、第1板部21の他方の短辺21bよりも短辺21a側に位置する。
ブラケット部24は、遮蔽板3において車両もしくは当該車両の外装部品に取り付けられる部分である。ブラケット部24は、車両もしくは当該車両の外装部品に直接装着される。もしくは、ブラケット部24には、導電性を示す別のブラケット等が取り付けられる。後者の場合、当該別のブラケットが車両に取り付けられることによって、アンテナ装置1が車両に装着される。ブラケット部24は、第3板部23と同様に、屈曲部3dを介して第1板部21とつながっている。ブラケット部24は、方向Yにおいて第1板部21の短辺21bよりも短辺21a側に位置し、且つ、第3板部23の短辺23bよりも短辺21b側に位置する。このため、ブラケット部24と第3板部23とは互いに離間している。ブラケット部24には、例えば、締結部材等の固定部材が挿入されるための開口24aが設けられる。
回路基板4は、アンテナエレメント2が受信した高周波電力を増幅する部材(アンプ)であり、遮蔽板3の主面3a上に設けられる。回路基板4は、配線パターン及びグラウンドパターン(不図示)が形成される基板部31と、基板部31上に設けられる増幅回路32とを有する。基板部31は、複数の固定部材41を介して遮蔽板3の主面3aに取り付けられており、略四角板形状を呈する。基板部31は、例えば遮蔽板3に対して平行に配置される板状部材である。基板部31は、方向Zにおいてアンテナエレメント2の主面11bに対向する主面31aと、方向Zにおいて遮蔽板3の第1板部21に対向する主面31bとを有する。平面視にて、基板部31の主面31aは、アンテナエレメント2の主面11a,11bよりも小さく、且つ、主面11bの少なくとも一部と重なっている。方向Zにおいて主面31aと主面11bとが互いに重なる箇所には給電部12が設けられており、当該給電部12は基板部31の配線パターンに電気的に接続される。増幅回路32は、集積回路の一種であり、基板部31の主面31b上に設けられる。また図示はしないが、第1実施形態では、増幅回路32以外の全ての集積回路及び容量は主面31b上に設けられる。加えて、主面31b上の配線パターンには、ケーブル6が接続される。アンテナ装置1の電気長を維持しつつ、アンテナ装置1の小型化を実現する観点から、回路基板4は、回路基板4の配線パターンと給電部12とに電気的に接続されるインダクタを備えてもよい。インダクタは、例えば空芯コイル等でもよい。回路基板4がインダクタを備える場合、損失低減の観点から、インダクタは主面31a上に設けられることが好ましい。インダクタがコイルである場合、当該コイルの軸は遮蔽板3に対して平行であってもよいし、遮蔽板3に対して交差もしくは直交してもよい。なお、第1実施形態では、固定部材41は締結部材であるが、これに限られない。
絶縁部材5A,5Bのそれぞれは、アンテナエレメント2と遮蔽板3とを一体化するための部材であり、棒形状を呈する。絶縁部材5A,5Bは、互いにアンテナエレメント2(エレメント部11)の主面11bと、遮蔽板3の主面3a(より具体的には、第1板部21)との間に位置しており、且つ、互いに離間している。また、絶縁部材5A,5Bは、回路基板4に対して離間している。絶縁部材5A,5Bのそれぞれは、例えばポリプロピレン(PP)等によって形成される。
方向Zに沿った絶縁部材5A,5Bの寸法は、方向Zに沿った遮蔽板3とアンテナエレメント2との間隔に相当する。換言すると、方向Zに沿った遮蔽板3とアンテナエレメント2との間隔は、方向Zに沿った絶縁部材5A,5Bの寸法によって定められる。方向Zに沿ったアンテナエレメント2と遮蔽板3との間隔のばらつきを抑制する観点から、絶縁部材5Aは、方向Yにおいて第1板部21の中心よりも短辺21a側に位置し、絶縁部材5Bは、方向Yにおいて絶縁部材5Aと回路基板4との間に位置する。絶縁部材5A,5Bのそれぞれは、方向Yに沿ったアンテナエレメント2の中心線に重なることが好ましい。なお、絶縁部材5A,5Bによる損失を低減する観点から、絶縁部材5A,5Bの径は小さい方が好ましい。
次に、第1実施形態に係るアンテナ装置1の作用効果を、図3及び図4(a),(b)に示されるアンテナ装置1の車両への実装状態を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係るアンテナ装置の実装状態を示す図である。図4(a),(b)は、図3においてアンテナ装置を露出させた状態を示す図である。なお、図3及び図4(a),(b)に示されるアンテナ装置1においては、図1及び図2(a),(b)に示される態様と異なり、屈曲部3dが形成されていない。
図3及び図4(a),(b)に示されるように、アンテナ装置1は、車両100の車体101に装着されている。具体的には、アンテナ装置1の遮蔽板3は、略L字板形状を呈する金属又は合金製のブラケット110と、導電性を示す締結部材111,112とを介して車体101のバックドア101aに装着されている。また、アンテナ装置1は、絶縁樹脂製のリアスポイラ120内に設置されている。遮蔽板3は、リアガラス103上であって車体101の近傍に位置している。遮蔽板3と車体101との間隔は、例えば0mm以上20mm以下である。加えて、アンテナエレメント2は、遮蔽板3よりも上方に位置している。このため、遮蔽板3は車両100とアンテナエレメント2との間に位置する。図3に示されるアンテナエレメント2は、ルーフ101bよりも下方に位置しているが、これに限られない。方向Zにおいてアンテナエレメント2がルーフ101bに重ならない場合、アンテナエレメントはルーフ101bよりも上方に位置してもよい。
このように車体101に装着されたアンテナ装置1によれば、アンテナエレメント2と、車両100内のノイズ発生源の一つであるリアランプ102との間には、遮蔽板3が位置している。このため、アンテナエレメント2と、車両100内のノイズ発生源であるリアランプ102との間に車両100の金属部材(例えば、ルーフ101b等)が何ら配置されない場合であっても、当該ノイズ発生源にて発生するノイズのアンテナエレメント2への侵入は、遮蔽板3によって抑制される。また、リアガラス103とアンテナエレメント2との間にも遮蔽板3が位置している。このため、車体101の内部に設けられるノイズ発生源(例えばインバータ、モータ、ルームランプ等)から発生し、リアガラス103を介して車両100外へ放出されるノイズもまた、遮蔽板3の存在によってアンテナエレメント2に侵入し難くなる。このため、アンテナ装置1の形状及び配置が車両100の上記金属部材等の形状に制限されにくくなるので、アンテナ装置1の配置及び設計の自由度を高められる。
加えて、アンテナエレメント2と遮蔽板3とは、回路基板4に対して離間すると共に主面11bおよび主面3aの間に位置する絶縁部材5A,5Bを介して一体化されている。これにより、方向Zに沿ったアンテナエレメント2と遮蔽板3との間隔が絶縁部材5A,5Bによって良好に維持されるので、遮蔽板3をアンテナエレメント2に最も近い導電部材と設定できる。このため、遮蔽板3がアンテナ性能(例えば、共振周波数及び受信感度)に与える影響が支配的になり、車両100への装着前後におけるアンテナエレメント2の容量変化が小さくなる。したがって、アンテナ性能の安定化を容易に図ることができる。さらに、絶縁部材5A,5Bによってアンテナエレメント2と遮蔽板3とが強固に固定されるので、車両の振動に伴う給電部12の破損、並びに当該振動に伴う副共振に起因するノイズ等の悪影響も低減できる。
第1実施形態では、平面視にて、回路基板4は、アンテナエレメント2の主面11a,11bよりも小さくてもよい。この場合、回路基板4によるアンテナ性能への影響が低減される。
第1実施形態では、遮蔽板3は、車両100の金属部材に直接装着されてもよい。この場合、アンテナ装置1を車両100に固定するとき、遮蔽板3が車両100の金属部材にて確実に接地される。したがって、アンテナエレメント2が車両100の金属部材の近傍に位置する場合であっても、アンテナエレメント2が当該金属部材の影響を受けにくくなるので、車両100への装着前後におけるアンテナ装置1の共振周波数の変動を抑制できる。
ここで、以下に説明する第1比較例を参照しつつ、第1実施形態のアンテナ装置1の共振周波数が車両100の金属部材の影響によって変動しにくい理由を詳細に説明する。第1比較例のアンテナ装置は、アンテナ装置1と異なり、遮蔽板3及び絶縁部材5A,5Bを備えないモノポールアンテナである。このため、第1比較例のアンテナ装置を車両に実装した場合、例えば車体がアンテナエレメントに最も近い導電部材になる。このような第1比較例のアンテナ装置を、上記実装状態と同様にブラケットを介して車両に装着する。第1比較例においては、ブラケットの一端は車両に装着され、ブラケットの他端は回路基板に装着される。なお、第1比較例のアンテナ装置にて設定された共振周波数は、第1実施形態と同様に92MHzである。
以下に示す表1は、第1実施形態に係るアンテナ装置1と車両との距離に対する共振周波数の関係、並びに、第1比較例に係るアンテナ装置と車両との距離に対する共振周波数の関係を示す。下記表1において、アンテナ装置と車両との距離が0mmであるとは、アンテナ装置の少なくとも一部と車両とが接触していることを意味する。また、アンテナ装置と車両との距離が10mmであるとは、アンテナ装置と車両との最短距離が10mmであることを意味する。
上記表1に示されるように、第1比較例においては、アンテナ装置と車両との距離が40mm未満である場合、アンテナ装置の共振周波数は設定値である92MHzから外れている。一方、第1実施形態においては、アンテナ装置1と車両との距離にかかわらず、アンテナ装置1の共振周波数は設定値である92MHzを示している。この表1から、アンテナ装置1が上記第1比較例と異なり遮蔽板3及び絶縁部材5A,5Bを備えることによって、遮蔽板3がアンテナ性能に与える影響が支配的になり、アンテナエレメント2が車両100の金属部材の近傍に位置する場合であってもアンテナ性能(特に共振周波数)の安定化を容易に図ることができることがわかる。
第1実施形態では、アンテナエレメント2と、遮蔽板3との少なくとも一方は、可撓性を示してもよい。この場合、例えばアンテナエレメント2と遮蔽板3との少なくとも一方を、リアスポイラ120の内面に沿った形状に容易に変形できる。これにより、アンテナ装置1を車両100内等に容易に収容できる。
第1実施形態に係るアンテナ装置1は、車両100の外装部品内に設置される。車両100の外装部品と、車両100内のノイズ発生源との間には、ノイズを遮蔽可能な金属部材が配置されない場合がある。このような場合であっても、当該ノイズのアンテナエレメント2への侵入は、遮蔽板3によって好適に遮蔽できる。したがって、アンテナ装置1を車両100の外装部品内に設置した場合であっても、アンテナ装置1のアンテナ性能を好適に発揮できる。
第1実施形態では、平面視にて、方向Xに沿った遮蔽板3の寸法は方向Xに沿ったアンテナエレメント2の寸法以上であって、方向Yに沿った遮蔽板3の寸法は方向Yに沿ったアンテナエレメント2の寸法以上である。この場合、アンテナ装置1の受信感度を良好に安定化できる。ここで、平面視におけるアンテナエレメント2の縁2aと遮蔽板3の縁3bとの最短距離(以下、単に「最短距離」とする)が例えば30mm以上である場合、アンテナ装置1の受信感度をより良好に安定化する傾向にある。
ここで、図5及び図6を参照しながら、アンテナエレメント及び遮蔽板の寸法に伴うアンテナ装置の受信感度の変動率について考察する。図5は、アンテナ装置の模式平面図である。図5には、簡略化のため長方板状のアンテナエレメント2及び遮蔽板3が示されている。図5に示されるアンテナエレメント2の方向Xに沿った寸法は50mmであり、方向Yに沿った寸法は130mmである。また、方向Zに沿った遮蔽板3とアンテナエレメント2との間隔は上述した範囲内である。矢印Dは、平面視におけるアンテナエレメント2の縁2aと遮蔽板3の縁3bとの最短距離を示す。図6は、最短距離に対する受信感度の変動率を示す図である。図6において、縦軸はアンテナ装置の受信感度を示し、横軸は最短距離を示す。最短距離が負の値である場合、平面視にて縁3bが縁2aよりも内側に位置することを示す。図6において、グラフ51は垂直偏波の測定結果を示し、グラフ52は水平偏波の測定結果を示す。
図6に示されるグラフ51によれば、最短距離が30mm未満である場合、最短距離の変化に伴って受信感度も変動している。一方、最短距離が30mm以上である場合、最短距離が変化しても受信感度はほぼ変動しない。また、図6に示されるグラフ52によれば、最短距離が30mm以上である場合の受信感度の変動率は、最短距離が30mm未満である場合の受信感度の変動率よりも小さくなっている。これらの結果より、最短距離が30mm以上であることによって、アンテナ装置の受信感度が安定化することがわかる。また、最短距離が30mm以上であることによって、遮蔽板3側からアンテナエレメント2へ向かうノイズが遮蔽板3によって良好に遮蔽されることは容易に推定できる。
(第2実施形態)
以下では、第2実施形態に係るアンテナ装置について説明する。第2実施形態の説明において第1実施形態と重複する記載は省略し、第1実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第2実施形態に第1実施形態の記載を適宜用いてもよい。
図7は、第2実施形態に係るアンテナ装置の平面図を示す。図7に示されるアンテナ装置1Aは、第1実施形態に係るアンテナ装置1の構成に加えて、遮蔽板3に電気的に接続されるアース線7を備える。アース線7の一端は、遮蔽板3のブラケット部24に固定される。アンテナ装置1Aが車両100に装着されるとき、アース線7の他端は、例えば車体101のいずれかに電気的に接続される。第2実施形態に係るアンテナ装置の共振周波数は、第1実施形態と同様に、92MHzに設定されている。
アンテナ装置1Aにおける共振周波数の安定化の観点、並びに、遮蔽板3によるノイズの遮蔽性能の観点から、アース線7の長さは短いほどよい。前者の観点からは、アース線7の長さは例えば15cm以下であればよい。後者の観点からは、アース線7の長さは例えば10cm以下であればよい。アース線7の長さは、アンテナ装置1Aが受信する電波の周波数帯に対してショートスタブとなる長さ(例えば、当該周波数帯内の周波数に対してλ/4になる長さ)であれば、15cmを超えてもよい。第2実施形態では、アンテナ装置1Aが少なくともFM波帯を受信する観点から、アース線7の長さは70cm以上100cm以下である。FM波帯は、例えば76MHz以上108MHz以下の範囲に相当する。
以上に説明した第2実施形態に係るアンテナ装置1Aもまた、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、アンテナ装置1Aは、遮蔽板3に電気的に接続されるアース線7を備える。このため、アンテナ装置1Aの遮蔽板3が車両の金属部材に直接接地できない場合であっても、アース線7を介して遮蔽板3を接地できる。加えて、アース線7の長さを調節することによって、アース線7によるアンテナ装置1の共振周波数の変動を抑制できる。第2実施形態では、アース線7の長さは70cm以上100cm以下であるので、アース線7によるアンテナ装置1の共振周波数の変動、並びに、アース線7による遮蔽板3のノイズ遮蔽性能の影響がFM波帯において特に抑制される。さらには、アンテナ装置1Aが配置される位置は、車両に対するアース線7が取り付けられる位置によって制限されにくくなる。したがって、アンテナ装置1Aの配置の自由度をより高められる。
ここで以下に説明する第2比較例を参照しつつ、第2実施形態のアンテナ装置1Aによって奏される作用効果について詳細に説明する。第2比較例のアンテナ装置は、第1比較例と同様に、遮蔽板3及び絶縁部材5A,5Bを備えないモノポールアンテナであり、且つ、回路基板に接続されるアース線を備える。第2比較例のアンテナ装置にて設定された共振周波数は、第2実施形態と同様に92MHzである。
以下に示す表2は、第2実施形態及び第2比較例のそれぞれにおいて、アース線の長さと、測定されたアンテナ装置の共振周波数及びピーク感度との関係を示す。下記表2において、アース線長さが0cmとは、アンテナ装置がアース線を備えない状態を示す。
上記表2に示されるように、第2比較例においては、アース線の長さが変化することによって共振周波数が大きく変動する傾向にある。第2比較例では、設定された共振周波数(92MHz)を示すアース線の長さは、130cmのみである。一方、第2実施形態においては、アース線の長さが変化したとしても共振周波数が変動しにくい傾向にある。第2実施形態では、92MHzもしくはその近傍である91MHzを示すアース線の長さは、0cm〜15cm、40cm〜140cmである。また、第2実施形態におけるピーク感度は、第2比較例よりもばらつきにくい傾向にある。以上の表2から、遮蔽板3を有するアンテナ装置1Aにアース線7が取り付けられた場合、遮蔽板3を有さない場合よりも共振周波数及びピーク感度がばらつきにくい傾向にあることがわかる。
また、以下に示す表3は、第2実施形態におけるアース線7の長さと、遮蔽板3のノイズ遮蔽性能との関係を示す。下記表3において、アース線長さが0cmとは、アンテナ装置がアース線を備えない状態を示す。下記表3に示されるシールド量は、図7に示される方向Zに沿って、アンテナエレメント2側からノイズが放射されたときのアンテナ装置1Aのピーク感度と、遮蔽板3側からノイズが放射されたときのアンテナ装置1Aのピーク感度との差を示す。下記表3に示されるシールド量が大きいほど、遮蔽板3のノイズ遮断性能が高いことを示す。
上記表3に示されるように、アース線7の長さが10cm以下である場合、シールド量が10dBを超えている。また、アース線7の長さが15cmである場合よりもアース線7の長さが10cmである場合の方が、シールド量が大きい。この結果より、アース線7の長さが短いほど遮蔽板3のノイズ遮断性能が高いことがわかる。加えて、アース線7の長さが70cm以上100cm以下である場合、シールド量が10dBを超えている。この結果より、アース線7の長さが70cm以上100cm以下である場合、設定された共振周波数(92MHz)を含むFM波帯においてアース線7による遮蔽板3のノイズ遮蔽性能の影響が特に抑制されることがわかる。
本発明によるアンテナ装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。上記第1及び第2実施形態では、アンテナエレメント2は平面視にて略長方形状を呈するが、これに限られない。例えば、アンテナエレメント2は、平面視にて円形状を呈してもよいし、多角形状を呈してもよい。また、アンテナエレメント2は、板状構造に限られず、メアンダ構造もしくは網状構造等を有してもよい。車両の金属部材への接地を構造状容易にする観点から、アンテナエレメント2のエレメント部11は、例えば基板に設けられてもよいし、フィルム状であってもよい。前者の場合、エレメント部11とアンプとを一体形成可能である。後者の場合、エレメント部11の形状を容易に変更できる。加えて後者の場合、エレメント部11が保護フィルムに覆われてもよい。この場合、エレメント部11への水分の付着を防止できる。アンテナエレメント2の給電部12は、エレメント部11と同一の導電部材によって形成されてもよい。すなわち、給電部12は、エレメント部11と同じ金属板もしくは合金板から形成されてもよい。なお、アンテナエレメント2の共振周波数は92MHzもしくはFM波帯に限られない。
上記第1及び第2実施形態では、遮蔽板3に1又は複数の屈曲部が設けられるが、これに限られない。図8は、第1変形例に係るアンテナ装置の概略平面図である。図8に示されるアンテナ装置1Bは、第1板部21から延在する第4板部61と、第2板部22から延在する第5板部62をさらに備える。第4板部61及び第5板部62のそれぞれは、回路基板4の近傍に設けられる。第4板部61は第1板部21を屈曲することによって設けられ、第5板部62は第2板部22を屈曲することによって設けられる。本第1変形例では、第4板部61及び第5板部62のそれぞれの先端がアンテナエレメント2に近づくように、第4板部61及び第5板部62は屈曲されている。第4板部61と第5板部62とは互いに離間しているが、互いに一体化してもよい。このような第4板部61と第5板部62とが設けられることによって、遮蔽板3のノイズ遮蔽性能を向上できる。上記第1及び第2実施形態には、上記第1変形例の態様を適宜組み合わせてもよい。また、上記第1及び第2実施形態、並びに上記第1変形例には、第4板部61及び第5板部62以外の構成が追加されてもよい。例えば、遮蔽板は、第3板部23から延在する別の板部を備えてもよい。もしくは、遮蔽板3には屈曲部が設けられなくてもよい。また、遮蔽板3に第3板部23とブラケット部24とが設けられる場合、これらは互いに一体化してもよい。この場合、第3板部23とブラケット部24との隙間が埋まるため、アンテナエレメント2に到達するノイズ量を低減できる。なお、遮蔽板3は、金属板又は合金板から形成されなくてもよい。遮蔽板3は、例えば網状の導電部材から形成されてもよいし、導電材料が被覆された部材から形成されてもよい。導電材料が被覆された部材は、例えば、樹脂性の板状部材に対して導電材料を塗布する、導電材料を蒸着する、もしくは導電材料をメッキすることによって形成される。
上記第1及び第2実施形態では、回路基板4は、遮蔽板3の第1板部21に固定され、且つ、アンテナエレメント2と遮蔽板3との間に位置しているが、これに限られない。例えば、回路基板は、アンテナエレメント2及び遮蔽板3に対して離間してもよい。この場合、回路基板は、アンテナ装置の一部でもよいし、アンテナ装置とは別の装置でもよい。図9(a)は、第2変形例に係るアンテナ装置が車両に実装された状態を示す図である。図9(a)に示されるように、回路基板4Aは、車両100の内部に収容される。回路基板4Aは、例えばケーブル8等を介して、アンテナエレメント2及び遮蔽板3の少なくとも一方に電気的に接続される。ケーブル8の一部は、車両100に設けられる開口101cを介して車両100内部に収容される。開口101cは、車両100において外装部品によって隠される部分に設けられる。このような第2変形例では、回路基板4Aを平面視にてアンテナエレメント2に重ならない位置に配置できるので、方向Zに沿った遮蔽板3とアンテナエレメント2との間隔を容易に狭められる。これにより、回路基板4Aに起因するアンテナ装置1Cの性能劣化を抑制できるので、アンテナ装置1Cの受信感度を良好に安定化できる。加えて、より狭小な空間にアンテナ装置を格納でき、且つ、回路基板4Aを水分等から容易に保護できるので、アンテナ装置1Cの配置の自由度をより向上できる。なお、上記第1及び第2実施形態、並びに上記第1変形例には、上記第2変形例の態様を適宜組み合わせてもよい。
また、回路基板は、例えば遮蔽板3ではなくアンテナエレメント2に取り付けられてもよい。図9(b)は、第3変形例に係るアンテナ装置の要部概略図である。図9(b)において、第3変形例に係るアンテナ装置1Dの遮蔽板は、省略されている。省略された遮蔽板は、少なくともアンテナエレメント2Aと車両内のノイズ発生源との間に位置する。第3変形例に係るアンテナエレメント2Aは、金属板又は合金板の加工物であるが、これに限定されない。アンテナエレメント2Aの端部には、カバー9が装着される。カバー9は、例えば絶縁性を示す樹脂成形品であり、アンテナエレメント2Aに電気的に接続される回路基板を収容している。カバー9内の回路基板は、ブラケット110A及びケーブル6Aにそれぞれ接続される。このような第3変形例においても、上記第2変形例と同様の作用効果が奏される。なお、上記第1及び第2実施形態、並びに上記第1変形例には、上記第3変形例の態様を適宜組み合わせてもよい。
上記第1及び第2実施形態及び上記第1〜第3変形例では、回路基板は、アンプとして用いられているが、これに限られない。例えば、回路基板は、チューナー(同調回路)として用いられてもよい。もしくは、回路基板は、少なくともアンプの機能とチューナーの機能との両方を備えてもよい。また、回路基板のグラウンドパターンは、遮蔽板3に接続されなくてもよい。例えば、当該グラウンドパターンは、ケーブルを介して接地されてもよい。
上記第1実施形態では、平面視におけるアンテナエレメント2の縁2aと遮蔽板3の縁3bとの最短距離は、例えば30mm以上であるが、これに限られない。例えば、アンテナエレメント及び遮蔽板の方向X,Yに沿った寸法が上記範囲を超える場合、上記最短距離は30mm未満でもよい。また、上記第1実施形態のケーブル6は、アンテナエレメント2に電気的に接続される芯線と、当該芯線の周囲に設けられると共に遮蔽板3に電気的に接続される編組線とを有してもよい。この場合、ケーブル6は、遮蔽板3に対するアース線としても機能し得る。上記第2実施形態に記載されるようにケーブル6の長さを例えば15cm以下、もしくは70cm以上100cmに設定することによって、上記第2実施形態と同様の作用効果が奏される。ケーブル6の長さは、アンテナエレメント2が受信する電波の周波数に応じて適宜変更してもよい。
上記第1及び第2実施形態において、回路基板4の基板部31は、遮蔽板3に対して平行に配置されているが、これに限られない。基板部31は、遮蔽板3に対して交差もしくは直交するように設けられてもよい。また、回路基板4の増幅回路32は遮蔽板3と基板部31との間に位置するが、これに限られない。増幅回路32は、アンテナエレメント2と基板部31との間に位置してもよい。すなわち、増幅回路32は主面31a上に設けられてもよい。この場合、回路基板4の設計の自由度向上と、アンテナ装置の薄型化とを実現できる。また、増幅回路32以外の全ての集積回路、容量、及びインダクタもまた、主面31a上に設けられてもよい。これにより、アンテナ装置のさらなる薄型化を実現できる。また、主面31a,31bの両方に上記容量等が設けられてもよい。
上記第1及び第2実施形態において、アンテナ装置は2つの絶縁部材5A,5Bを備えているが、これに限られない。アンテナ装置は、1つの絶縁部材を備えてもよいし、3つ以上の絶縁部材を備えてもよい。また、絶縁部材の形状は柱状に限定されず、任意の形状を呈していてもよい。例えば、図10(c)には、略H字状の断面形状を有する絶縁部材5Eが図示されている。この絶縁部材5Eは、エレメント部11を支持する第1の部分50aと、遮蔽板3上に固定される第2の部分50bと、第1の部分50aと第2の部分50bとを連結する第3の部分50cとを有している。このようにエレメント部11を面で支持する構造にすることで、より安定した構造体となる。また、図10(a)には、略コ字状の断面形状を有する絶縁部材5Cが図示されている。図10(b)には、断面視において略矩形の外形を有し、且つ、内部空間を有する絶縁部材5Dが図示されている。このように、絶縁部材5C又は絶縁部材5Dによって、エレメント部11及び遮蔽板3が外側から保持されてもよい。絶縁部材5C及び絶縁部材5Dは、例えばねじ又は熱溶着によってエレメント部11に対して固定されるが、固定方法はこれらに限定されない。このような構造にすることでアンテナ装置を一体的に保持することができるため、車両への取り付けや、運搬が容易になる。
上記第1実施形態及び上記第2実施形態では、1つのアンテナエレメントが設けられているが、これに限られない。例えば、アンテナ装置は、複数のアンテナエレメントを有してもよい。この場合、遮蔽板は、全てのアンテナエレメントに対するノイズの侵入を抑制してもよいし、一部のアンテナエレメントに対するノイズの侵入を抑制してもよい。例えば、遮蔽板は、複数のアンテナエレメントのうち、最も低い周波数の電波を受信するアンテナエレメントに対するノイズの侵入を抑制してもよい。もしくは、遮蔽板は、複数のアンテナエレメントのうち、最も高い周波数の電波を受信するアンテナエレメントに対するノイズの侵入を抑制しなくてもよい。アンテナ装置は、受信する電波の周波数が低いほど、車両内にて発生するノイズの影響を受けやすいからである。例えば、低周波数の電波を受信するアンテナエレメントとして、AMラジオ用のアンテナエレメント、FMラジオ用のアンテナエレメント等が挙げられる。また、低周波数の電波を受信するアンテナエレメントは、DAB用のアンテナエレメント、及びBAND3用のアンテナエレメントを含んでもよい。
以下、図11を参照して、具体的な変形例について説明する。以下では、上述したアンテナ装置1との相違点について主に説明し、重複する説明は省略する。図11は、第4変形例に係るアンテナ装置1Eを概略的に示す平面図である。
変形例に係るアンテナ装置1Eは、第1のアンテナエレメント70及び第2のアンテナエレメント72を備えている。第1のアンテナエレメント70はAM信号を受信するための素子であり、第2のアンテナエレメント72はFM信号を受信するための素子である。第1のアンテナエレメント70は、第1実施形態のアンテナエレメント2と略同一の構成を有している。すなわち、第1のアンテナエレメント70は、略長方形の平面形状を有する板体であり、遮蔽板3に対して離間して配置されている。第1のアンテナエレメント70と遮蔽板3とは、絶縁部材5A,5Bによって互いに連結されている。第1のアンテナエレメント70は、Z方向から見て、遮蔽板3に対して重なるように配置されており、当該遮蔽板3によって、第1のアンテナエレメント70がノイズ発生源からのノイズに対して遮蔽されている。また、第1のアンテナエレメント70には、接続部材71が連結されている。接続部材71は、第1のアンテナエレメント70と一体的に形成されており、第1のアンテナエレメント70からY方向に向けて突出している。接続部材71は、略L字形状をなしている。また、本変形例では接続部材71が、第1のアンテナエレメント70と一体的に形成されているが、第1のアンテナエレメント70及び接続部材71は、別々の部材として形成されていてもよい。
第2のアンテナエレメント72は、第1のアンテナエレメント70に対してY方向にずれた位置に設けられており、Z方向から見て遮蔽板3に重ならない位置に配置されている。第2のアンテナエレメント72は、金属又は合金から構成されており、Z方向からの平面視において略L字形状をなしている。図13は、Y方向から見た第2のアンテナエレメント72の側面図である。図13に示すように、第2のアンテナエレメント72は、第1の板部72a、第2の板部72b及び第3の板部72cを含んでいる。
第2のアンテナエレメント72の第1の板部72aは、第1のアンテナエレメント70と同一平面上に配置されている。第2の板部72bは、Z方向において第1の板部72aに対面するように設けられている。第1の板部72a及び第2の板部72bは、第3の板部72cを介して互いに接続されている。すなわち、第2のアンテナエレメント72は、板材が二回折り曲げられることで、Y方向から見て略コの字状に形成されている。この第2のアンテナエレメント72は、図12に示すように、絶縁板76a及び連結部材76bを介して遮蔽板3に固定されている。しかしながら、第2のアンテナエレメント72と遮蔽板3の固定方法はこれに限らず、互い絶縁された状態であれば、絶縁板76a及び連結部材76bを介さず直接車両に固定されてもよい。
また、第2の板部72bには、接続部材77が連結されている。接続部材77は、第2のアンテナエレメント72と一体的に形成されており、第2の板部72bからY方向に向けて突出している。この接続部材77は、略L字形状をなしている。また、本変形例では接続部材77が、第2のアンテナエレメント72と一体的に形成されているが、第2のアンテナエレメント72及び接続部材77は、別々の部材として形成されていてもよい。
第1のアンテナエレメント70と遮蔽板3との間には、回路基板4が設けられている。図12に示すように、回路基板4の主面31a上には端子74a、端子74b及びコイル74cが設けられている。端子74aは回路基板4のパターンを介して、また端子74bはコイル74及び回路基板4のパターンを介して、それぞれ図示しない増幅回路に電気的に接続されている。また、端子74a及び端子74bには、接続部材71の先端部及び接続部材77の先端部がそれぞれ嵌入されている。端子74aは、第1のアンテナエレメント70と回路基板4とを電気的に接続するAM信号用の給電点として機能し、端子74bは、第2のアンテナエレメント72とコイル74cとを電気的に接続するFM信号用の接続部として機能する。したがって、第1のアンテナエレメント70において受信されたAM信号は、接続部材71及び端子74aを介して回路基板4へ送られる。また、第2のアンテナエレメント72において受信されたFM信号は、接続部材77、端子74b及びコイル74cを介して回路基板4に送られる。このコイル74cは、第2のアンテナエレメント72をFM信号の周波数に共振させる機能を有している。
上記のように、アンテナ装置1Eでは、第1のアンテナエレメント70及び第2のアンテナエレメント72のうち第1のアンテナエレメント70のみが遮蔽板3によって遮蔽されている。AM信号用のアンテナエレメントは周囲の導電体の影響を受けにくいので、遮蔽板3によって第1のアンテナエレメント70を遮蔽することで、AM信号の受信感度を確保しながら、第1のアンテナエレメント70へ向かうノイズを遮蔽板3によって抑制することができる。一方、FM信号用のアンテナエレメントは周囲に導電体が存在するとFM信号の受信感度が低下する恐れがある。アンテナ装置1Eでは、Z方向から見て第2のアンテナエレメント72が遮蔽板3に対して重ならない位置に配置されているので、FM信号の受信感度の低下を抑制することができる。
また、アンテナ装置1Eでは、AM信号用の第1のアンテナエレメント70のみが遮蔽板3によって遮蔽されているので、第1のアンテナエレメント70と遮蔽板3との離間距離を小さくすることができ、その結果、アンテナ装置1Eの小型化を図ることが可能となる。さらに、第2のアンテナエレメント72は、略コ字状(U字状)に折り畳まれた形状を有しているので、FM信号の受信感度を確保しながらアンテナ装置1Eを小型化することが可能となる。
遮蔽板が一部のアンテナエレメントに対するノイズの侵入を抑制する別の態様として、以下の態様例に係るアンテナ装置が挙げられる。当該アンテナ装置は、AMラジオを受信するアンテナエレメント(AM用アンテナエレメント)と、地上デジタル放送用の信号を受信するアンテナエレメント(DTV用アンテナエレメント)とを有する。AM用アンテナエレメントはモノポールアンテナであり、DTV用アンテナエレメントはダイポールアンテナである。AM用アンテナエレメントは、DTV用アンテナエレメントの一部を構成する。DTV用アンテナエレメントに接続される回路のグラウンドは、車両に接地しなくてもよい。すなわち、DTV用アンテナエレメントに接続される回路のグラウンドと、AM用アンテナエレメントに接続される回路のグラウンドとは、互いに電気的に絶縁してもよい。このような態様例のアンテナ装置が備える遮蔽板は、例えばAM用アンテナエレメントに対するノイズの侵入を抑制するように設けられる一方で、DTV用アンテナエレメントに対するノイズの侵入を抑制しないように設けられる。これは、AMラジオ用の周波数は、DTV用の電波の周波数よりも低いからである。
なお、上記態様例では、モノポールアンテナとダイポールアンテナとが挙げられているが、これに限られない。例えば、複数のアンテナエレメントは全てモノポールアンテナでもよいし、全てダイポールアンテナでもよい。また、上記態様例では、AM用アンテナエレメントとDTV用アンテナエレメントとが挙げられているが、これに限られない。例えば、複数のアンテナエレメントとして、AM用アンテナエレメントと、FMラジオを受信するアンテナエレメント(FM用アンテナエレメント)とが含まれてもよい。この場合、遮蔽板は、例えばAM用アンテナエレメントに対するノイズの侵入を抑制するように設けられる一方で、FM用アンテナエレメントに対するノイズの侵入を抑制しないように設けられてもよい。
なお、第1のアンテナエレメント70は、端子74aに代えて、ネジ、はんだ等の任意の接続手段を用いて回路基板4に接続されてもよい。同様に、第2のアンテナエレメント72は、端子74bに代えて、ネジ、はんだ等の任意の接続手段を用いて回路基板4に接続されてもよい。また、第1のアンテナエレメント70及び第2のアンテナエレメント72は、別々の端子に接続されてもよいし、同一の端子に接続されてもよい。
また、アンテナ装置1Eの第2のアンテナエレメント72は、コの字状に折り曲げられた形状を有しているが、設置スペースに余裕がある場合には折り曲げられていなくてもよい。
また、アンテナ装置1Eの第1のアンテナエレメント70及び第2のアンテナエレメント72の形状は、上述した実施形態に限られるものではない。例えば、第1のアンテナエレメント70及び第2のアンテナエレメント72は、平面視において円形状を呈してもよいし、多角形状を呈してもよい。また、第1のアンテナエレメント70及び第2のアンテナエレメント72は、板状構造に限られず、メアンダ構造もしくは網状構造等を有してもよい。車両の金属部材への接地を構造状容易にする観点から、第1のアンテナエレメント70及び第2のアンテナエレメント72は、例えば基板に設けられてもよいし、フィルム状であってもよい。第1のアンテナエレメント70及び第2のアンテナエレメント72が、フィルム状をなす場合には、第1のアンテナエレメント70及び第2のアンテナエレメント72が保護フィルムに覆われてもよい。