<1.医療トレーニングを支援する情報処理装置の概要>
(1)実施形態の情報処理装置は、トレーナーによるトレーニーに対する医療トレーニングを支援する。情報処理装置は、医療トレーニングを支援する処理を実行するプロセッサを備える。実施形態において、前記医療トレーニングを支援する前記処理は、前記医療トレーニング中において、前記トレーナーが使用するトレーナー装置から、前記トレーナー装置の少なくとも一つの第1ログ情報を受信する処理を含む。トレーナー装置は、例えば、トレーナーが使用するコントローラである。実施形態において、前記医療トレーニングを支援する前記処理は、前記医療トレーニング中において、前記トレーニーが使用するトレーニー装置から、前記トレーニー装置の少なくとも一つの第2ログ情報を受信する処理を含む。トレーニー装置は、例えば、模擬聴診モジュールである。
実施形態において、前記医療トレーニングを支援する前記処理は、前記トレーニーを撮影するカメラから、前記医療トレーニング中の前記トレーニーを撮影した動画を受信する処理を含む。
実施形態において、前記医療トレーニングを支援する前記処理は、少なくとも一つの前記第1ログ情報及び少なくとも一つの前記第2ログ情報それぞれを、前記第1ログ情報及び前記第2ログ情報が発生した時点に対応する前記動画の場面に対応付ける処理と、を含む。
トレーナー装置及びトレーニー装置のログが、それらのログが発生した時点に対応する動画の場面に対応付けられるため、ログに関連したトレーナー及びトレーニーの行為と動画の場面を対応付けてデブリーフィングをするのが容易となる。
(2)前記医療トレーニングを支援する前記処理は、少なくとも一つの前記第1ログ情報及び少なくとも一つの前記第2ログ情報それぞれを示すログ表示を、ディスプレイを有する装置に表示させる処理を含むことができる。ディスプレイを有する装置は、トレーナー側にあってもよいし、トレーニー側にあってもよいし、両方にあってもよい。ディスプレイを有する装置は、トレーナー装置又はトレーニー装置を兼ねていてもよい。
前記医療トレーニングを支援する前記処理は、少なくとも一つの前記第1ログ情報及び少なくとも一つの前記第2ログ情報のいずれかのログ情報を選択する操作を受け付ける処理と、選択されたログ情報に対応付けられた場面を前記ディスプレイに表示させる処理と、を含むことができる。この場合、ログ情報に対応付けられた場面を容易に表示させることができ、デブリーフィングをするのが容易となる。
(3)前記ログ表示は、前記動画のシークバー上に表示されるのが好ましい。
(4)前記第2ログ情報を示す前記ログ表示は、前記第2ログ情報によって示される前記トレーニーの処置に対する評価を識別可能な表示を含むのが好ましい。評価を識別可能な表示は、例えば、評価に応じた色分け、又は、評価に応じた形状の区別、である。この場合、ログ表示によって、トレーニーの処理の評価を識別することができる。ここで、評価は、後述の評価処理による機械的な評価であってもよいし、トレーナーその他の人による評価であってもよい。
(5)前記医療トレーニングを支援する前記処理は、前記第2ログ情報に基づいて、前記トレーニーの処置を評価する評価処理を含むことができる。
(6)前記トレーニーの処置の評価は、前記第2ログ情報の時刻に基づく評価を含むことができる。
(7)前記第1ログ情報は、前記トレーニーにより処置が施される対象について、前記トレーナーが前記トレーナー装置を操作することで設定したバイタルデータを含むことができる。処理が施される対象は、例えば、人又は動物の人形モデルである。バイタルデータは、例えば、泣き声状態、心拍数、SpO2である。なお、設定されたバイタルデータは、トレーニー装置において模擬的に再現されてもよいし、トレーナーが音声により、トレーニーに伝えてもよい。
(8) 前記第2ログ情報は、前記トレーニーにより処置が施される対象に対して、前記トレーニーが聴診したことを示す情報を含むことができる。
(9)実施形態において、トレーナーによるトレーニーに対する医療トレーニングを支援する情報処理装置は、医療トレーニングを支援する処理を実行するプロセッサを備え、前記医療トレーニングを支援する前記処理は、前記医療トレーニング中において、前記トレーニーが使用するトレーニー装置から、前記トレーニー装置の少なくとも一つのログ情報を受信する処理と、前記ログ情報に基づいて、前記トレーニーの処置を評価する評価処理と、を含むことができる。
<2.医療トレーニングを支援する情報処理装置の例>
図1は、医療トレーニングシステムの一例として、新生児蘇生トレーニングシステムを示している。新生児蘇生トレーニングシステムは、医療従事者が、新生児蘇生に必要な処置を学ぶため、新生児蘇生のためのシミュレーション環境を提供する。
実施形態において、トレーナー(講師)Aは、地域の拠点病院にいるものとする。トレーニングシステムは、トレーナーAからみて遠隔地にいる1又は複数のトレーニー(講習生)Bに対するトレーニングを支援する。トレーニーは、例えば、地方病院又は海外病院等にいる医療従事者である。
新生児蘇生トレーニングシステムは、トレーナー装置2000,2500を有する。トレーナーAは、新生児蘇生トレーニングのため、1又は複数のトレーナー装置2000,2500を使用する。トレーナー装置は、例えば、トレーニングシステムを制御するコントローラ2000である。コントローラ2000は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、又はパーソナルコンピュータによって構成され、トレーナーAによって操作される。また、トレーナー装置は、例えば、トレーニング中のトレーニーBを撮影した動画を表示する装置2500である。動画の表示は、トレーニング中にリアルタイムで行うこともできるし、トレーニング後に行うこともできる。装置2500は、例えば、ディスプレイを有するパーソナルコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォンによって構成される。
トレーナー装置2000,2500それぞれは、通信機能を有し、拠点病院における図示しない近接無線通信装置又は無線LAN等を介して、インターネット等のネットワーク4100に接続される。トレーナー装置2000,2500それぞれは、ネットワーク4100に接続されたサーバ1000にアクセスすることができる。
新生児蘇生トレーニングシステムは、トレーニー装置200,3000を有する。トレーニーBは、新生児蘇生トレーニングのため、1又は複数のトレーニー装置200,3000を使用する。トレーニー装置は、例えば、模擬聴診モジュール200である。模擬聴診モジュール200については、後述する。トレーニー装置200は、模擬聴診モジュール200に代えて、特許文献1に記載の模擬聴診器であってもよい。
また、トレーニー装置は、例えば、模擬医療機器3000である。模擬医療機器3000は、心拍数などのバイタルサイン(生体情報)を提示する医療機器を模擬した装置であり、例えば、タブレット端末によって構成される。模擬医療機器3000は、新生児の模擬バイタルサインを、トレーニーに提示する。
実施形態において、模擬医療機器3000は、動脈血酸素飽和度(SpO2)表示3100、心拍数表示3200、心電図表示3300を実行する。模擬医療機器3000によって表示されるSpO2、心拍数、心電図を示すデータは、サーバ1000に格納されている。サーバ1000に格納されているSpO2、心拍数、心電図を示すデータは、トレーナーAによって操作されるコントローラ2000によって設定及び更新される。この点については、後述する。
模擬医療機器3000であるタブレットは、新生児のバイタルサインを提示する装置としても機能する。装置3000によって提示されるバイタルサインは、例えば、新生児の泣き声である。泣き声は、タブレット3000が有するスピーカ3400から出力される。泣き声のデータは、サーバ1000に格納されている。泣き声の種類を示すデータは、トレーナーAによって操作されるコントローラ2000によって設定及び更新される。この点についても、後述する。
トレーニー装置200,3000それぞれは、通信機能を有し、地方病院又は海外病院における図示しない近接無線通信装置又は無線LANを介して、ネットワーク4100に接続される。トレーニー装置200,3000それぞれは、ネットワーク4100に接続されたサーバ1000にアクセスすることができる。
新生児蘇生トレーニングシステムは、医療トレーニーにより処置が施される対象である、新生児の人形モデル2を有する。人形2は、通信機能を有しておらず、センサも有しておらず、バイタルサイン提示機能を有していない、単なる人形で足りる。なお、人形2は、通信機能、センサ、バイタルサイン提示機能の少なくとも一つを有していてもよい。通信機能を有する人形2は、ログ情報をサーバ1000へ送信するトレーニー装置として機能することができる。
新生児蘇生トレーニングシステムは、ビデオカメラ80を有する。ビデオカメラ80は、トレーニング中の1又は複数のトレーニーを撮影する。カメラ80によって撮影された動画は、トレーニング後のデブリーフィングのために再生される。カメラ80は、通信機能を有し、地方病院又は海外病院における図示しない近接無線通信装置又は無線LANを介して、ネットワーク4100に接続される。カメラ80は、撮影した動画を、サーバ1000に送信する。
新生児トレーニングシステムは、サーバ1000を有する。サーバ1000は、新生児蘇生トレーニングを支援する情報処理装置として機能する。サーバ1000は、プロセッサ1100と記憶装置1200とを備えるコンピュータである。サーバ1000は、ネットワーク4100を介して、トレーナー装置2000,2500、トレーニー装置200,3000、及びカメラ80それぞれと通信可能である。
図2に示すように、サーバ1000の記憶装置1200は、新生児蘇生トレーニング支援のために用いられるデータ5100,5200,5300,5400,5500,5600,5700,5800と、コンピュータプログラム5900と、を記憶している。
新生児蘇生トレーニング支援のために用いられるデータは、バイタルデータベース5100を含む。バイタルデータベース5100は、泣き声状態データ5110、心拍数データ5120、SpO2データ5130を含む。バイタルデータベース5100は、トレーニー装置200,3000によって、トレーニーBに提示される模擬バイタルサイン又は、模擬バイタルサインを選択または生成するために用いられる。
泣き声状態データ5110は、トレーニーBに提示される模擬泣き声の大きさを示す。泣き声状態データ5110の値によって、トレーニーB側で再生される模擬泣き声の大きさが決まる。例えば、データ5110が、弱い泣き声を示す値である場合、サーバ1000は、泣き声データベース5300から弱い泣き声の音声データを選択する。サーバ1000は、選択された弱い泣き声の音声データを、タブレット3000へ送信する。タブレット3000は、弱い泣き声の音声データを、新生児の模擬泣き声としてスピーカ3400から出力する。泣き声の出力により、トレーニーBは、模擬的に、新生児の生体状態を把握することができる。
心拍数データ5120は、トレーニーBに提示される模擬心拍数を示す。SpO2データ5130は、トレーニーBに提示される模擬SpO2を示す。心拍数データ5120及びSpO2データは、模擬医療機器であるタブレット3000へ送信される。タブレット3000は、心拍数データ5120が示す模擬心拍数を画面に表示する心拍数表示3200と、SpO2データが示す模擬SpO2を画面に表示するSPO2表示3100とを実行する。
心拍数データ5120の値によって、トレーニーB側で表示される心電図の表示内容が決まる。心電図の表示内容は、心拍数データ5120に基づき、心電図データベース5400が有する複数の心電図波形データから選択される。サーバ1000は、心電図データベース5400の中から、心拍数データ5120の値に応じた心電図波形データを選択する。サーバ1000は、選択された心電図波形データを、タブレット3000へ送信する。タブレット3000は、心電図波形データを用いて、心電図表示3300を実行する。
SpO2表示3100、心拍数表示3200、及び心電図表示3300により、トレーニーBは、模擬的に、新生児の生体状態を把握することができる。
また、心拍数データ5120の値によって、模擬聴診モジュール200において再生される心音データが決まる。心音データは、心拍数データ5120に基づき、心音データベース5200が有する複数の心音データから選択される。サーバ1000は、心音データベース5200の中から、心拍数データ5120の値に応じた心音データを選択する。サーバ1000は、選択された心音データを、模擬聴診モジュール200へ送信する。模擬聴診モジュール200は、心音データを再生する。再生された心音は、聴診器100を通じて、トレーニーBに提示される。
新生児蘇生トレーニング支援のために用いられるデータは、動画5500、ログデータベース5600、ログ−再生開始時間データベース5700、及び評価基準データ5800を含む。動画5500は、カメラ80によって撮影された動画であり、カメラ80からサーバ1000へ送信され、サーバ1000にて保存される。ログデータベース5600は、トレーナー装置2000及びトレーニー装置200,3000から送信されるログ情報が格納される。ログ−再生開始時間データベース5700は、ログ情報それぞれを、ログ情報が発生した時点に対応する動画5500の場面に対応付ける処理6550によって生成され、動画5500の再生時に用いられる。評価基準データ5800は、トレーニーの処置の評価に用いられる。ログデータベース5600、ログ−再生開始時間データベース5700、及び評価基準データ5800については、後述する。
コンピュータプログラム5900は、新生児蘇生トレーニングを支援する情報処理装置としてサーバ1000を機能させるためにプロセッサ1100によって実行される。コンピュータプログラム5900は、新生児蘇生トレーニングを支援する処理をプロセッサ1100に実行させるためのコードを有する。新生児蘇生トレーニングを支援する処理は、図2に示す様々な処理6100,6200,6300,6400,6500,6550,6600を含む。
新生児蘇生トレーニングを支援する処理は、ログ受信処理6100を含む。ログ受信処理6100は、ネットワーク4100を介して、トレーナー装置2000及びトレーニー装置200からログ情報を受信する処理である。受信したログ情報は、ログデータベース5600に格納される。トレーナー装置2000からのログ情報(第1ログ情報)は、後述のバイタルデータベース更新処理6200、対応付処理6550に用いられる。トレーナー装置2000からのログ情報(第2ログ情報)は、後述の評価処理6500及び対応付処理6550に用いられる。
新生児蘇生トレーニングを支援する処理は、バイタルデータベース更新処理6200を含む。前述のように、バイタルデータベース5100における各データ5110,5120,5130は、トレーナーAが、コントローラ2000を操作することにより、設定又は更新される。コントローラ2000において、泣き声状態、心拍数、又はSpO2の値が、設定又は更新されると、その値は、ログ情報(第1ログ情報)として、コントローラ(トレーナー装置)200から、サーバ1000へ送信される。更新処理6200は、ログ情報として受信した値を、バイタルデータベース5100において反映させる。
新生児蘇生トレーニングを支援する処理は、バイタルサイン出力処理6300を含む。バイタルデータベース5100の各データ5110,5120,5130の値が設定又は更新されると、出力処理6300が実行される。出力処理6300は、バイタルデータベース5100の各データ5110,5120,5130の値の設定又は更新に対応して、泣き声データ、心拍数、SpO2の値、心電図波形データ、心音データのいずれかを、トレーニー装置200,3000へ送信する。
新生児蘇生トレーニングを支援する処理は、動画受信処理6400を含む。動画受信処理6400は、ネットワーク4100を介して、カメラ80から動画を受信し、記憶装置1200に保存する。記憶装置1200に保存された動画5500は、後述の対応付処理6550及び動画表示処理6600に用いられる。
新生児蘇生トレーニングを支援する処理は、評価処理6500を含む。評価処理6500については、後述する。
新生児蘇生トレーニングを支援する処理は、対応付処理6650を含む。対応付処理6650トレーナー装置からのログ情報(第1ログ情報)及びトレーニー装置からのログ情報(第2ログ情報)それぞれを、それらのログ情報が発生した時点に対応する動画5500の場面に対応付ける。対応付処理6650については、後述する。
新生児蘇生トレーニングを支援する処理は、動画表示処理6600を含む。動画表示処理6600については、後述する。
図3Aは、聴診器100の構成を説明するための外観図である。一般的な聴診器は大きく分けて採音部10、Y字状のチューブ(たとえば、ゴムを素材とした場合は、ゴム管とも呼ばれる。以下、「管部」と呼ぶ)30および耳管30a,30bからなる。なお、採音部は、チェストピースとも呼ばれる。聴診器100は、実際の医療現場において医師や看護師が聴診の際に利用する。聴診器100の構成において、採音部であるチェストピース10を、後述するように、模擬聴診モジュール200に装着する。
したがって、図3に示すように、聴診器100は、人形モデル2の体表に対して当接される聴診面を有する模擬聴診モジュール200に装着される採音部10と、採音部10に着脱可能に接続され二つに分岐した軟素材製のY字管部30と、Y字管部30の分岐したY字部のそれぞれの端部に取着され、トレーニーの耳孔部に挿着可能な耳管30a,30bを備える。
図3Bは、模擬聴診モジュール200およびチェストピース10の外観を示す外観図である。模擬聴診モジュール200の上面には、チェストピース10を収容して固定することが可能な形状を有する収容部210を有し、収容部210内の上面側には、スピーカ16が設けられている。さらに、模擬聴診モジュール200の底面には、後述するような接触センサ18が設けられている。
図4は、模擬聴診モジュール200の構成を説明するための機能ブロック図である。模擬聴診モジュール200は、チェストピース10を収容して固定するための形状を有する収容部210を備える。模擬聴診モジュール200の収容部210とは反対側の表面(底面)の中心付近には、接触センサ18が設けられる。接触センサ18としては、特許文献1に記載の模擬聴診器における照度センサと同様のものを採用できる。
接触センサ18としては、人形モデル2への接触の有無で光量が変化するセンサを用いることができる。模擬聴診モジュール200が、光の非透過性の材質で構成されているため、人形モデル2の体表に当該表面が密着すると、接触センサ18の発光素子から射出された光で接触センサ18の受光センサに入射する光量が所定値以下に減少する。したがって、接触センサ18により検知される値により、模擬聴診モジュール200の密着の程度を判断することができる。なお、模擬聴診モジュール200の密着の程度を検出するためのセンサとしては、このような接触センサに限定されることなく、他の圧力センサなどを利用してもよい。
模擬聴診モジュール200は、近接無線通信装置等と無線通信するための無線通信部12と、無線通信部12により受信された心音データを格納して、接触センサ18により接触状態であることが検知されている期間について、音声信号に変換して再生するための音声再生部14と、音声再生部14の出力を音として出力するための小型スピーカ16と、を備える。また、模擬聴診モジュール200は、接触センサ18からの信号を、無線通信部12を介してサーバ1000に送信するログ情報のデータ形式に変換するためのセンスデータ送信部21を備える。ログ情報は、無線通信部12を介して、サーバ1000へ送信される。さらに、模擬聴診モジュール200は、電力を各部に供給するためのバッテリ部20を含む。小型スピーカ16は、収容部210に収容されたチェストピース10の採音側に対して、心音データの再生音を出力する。
図5は、模擬聴診モジュール200における心音再生処理の手順を示している。なお、サーバ1000は、心拍数データ5120の値が設定又は更新される度に、心音データを模擬聴診モジュール200に送信するため、模擬聴診モジュール200には、最新の心音データが格納されている。
模擬聴診モジュール200では、音声再生部14におけるプロセッサが、接触センサ18からの信号に基づいて、人形2への接触判定を行う(S52)。接触状態であると判断されると(S2においてYES)、無線通信部12は、聴診が有ったことを示すログ情報(第2ログ情報)をサーバ1000へ送信する(S4)。さらに、音声再生部14は、格納された心音データを再生する(S6)。接触状態が継続している間(S8においてYES)は、心音データの再生が継続される。接触状態が解消されると(S8においてNO)、処理は接触判定を行うS2に復帰する。
このように、トレーニーBが人形2に対して聴診という処置を行うと、模擬聴診モジュール200では、トレーニーBへの心音の提示と、聴診が有ったことを示すログ情報(第2情報)の送信とが行われる。なお、ログ情報は、接触状態が解消された時点(S8においてNOになった時点)においても、送信されてもよく、この場合のログ情報は、聴診終了を示すログ情報となる。S4の聴診開始のログ情報と、聴診終了のログ情報と、があることで、聴診をしている時間が長さを、サーバ1000において把握することができる。
図6は、新生児蘇生トレーニング中におけるログ情報等の発生例を示すタイムチャートである。図6に示すタイムチャートは、図7に示す新生児蘇生トレーニングのためのNCPR(Neonatal Cardio-Pulmonary Resuscitation)アルゴリズム(出典:「JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版」一般社団法人 日本蘇生協議会)に従ったトレーニングシナリオにて、トレーニングを実施した場合のログ情報等の発生の一例を示している。
理解の補助のため、図6の説明に先立ち、図7に示すNCPRアルゴリズムの概略について説明する。まず、この「NCPRアルゴリズム」の対象となるのは、分娩室,新生児室と新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit:NICU)入院中の(修正月齢1か月未満)児の蘇生である。病院前救護や小児科病棟ならびに小児集中治療部門をはじめ、病棟や外来における救急蘇生において、28日未満の乳児(新生児)の心停止には、乳児に対する心肺蘇生法を適応しても良い。
出生直後の新生児において蘇生が必要かどうかの判断は、早産児、弱い呼吸・弱い啼泣、筋緊張の低下、の3項目で行う(S100)。それらすべてを認めない児に対しては母のそばでルーチンケアを行う(S110)。ルーチンケアでは、保温、気道開通、皮膚の乾燥を行い、その後、さらに児の評価を行う。
一方、S100において、3項目のうち1つでも当てはまる場合は、蘇生のステップに入る。ステップS120において、蘇生の初期処置が行われる。初期処置では、皮膚の羊水を拭き取り、保温し,気道確保の体位をとらせ、必要であれば気道を吸引して、呼吸を誘発するように皮膚刺激をする。
続いて、ステップS130において、自発呼吸の有無と心拍数を確認する。心拍数の確認は、聴診によるのが確実である。
ステップS130において、自発呼吸なし、あるいは心拍100/分未満と判断された場合、ステップS132において、人工呼吸、SpO2モニタ装着、ECGモニタ装着を検討する。出生からステップS132までは、60秒以内であることが望まれる。
ステップS134において、再び、心拍数の確認をし、心拍数が60/分未満であれば、ステップS136において、1分間の人工呼吸と胸骨圧迫をする。人工呼吸は、1分間に30回とし、胸骨圧迫は、1分間に90回とする。その後、ステップS138において、再び、心拍数の確認をし、心拍数が60/分以上であれば、ステップS132に戻る。ステップS138において、心拍数が60/分未満であれば、人工呼吸と胸骨圧迫に加えて、アドレナリン、生理食塩水、原因探索の実施を検討する(ステップS140)。
ステップS130において、自発呼吸あり、かつ心拍100/分以上と判断された場合、ステップS150において、努力呼吸・チアノーゼを確認する(ステップS150)。努力呼吸と中心性チアノーゼを認める場合はSpO2モニタを装着した上で、空気を用いた持続的気道陽圧(Continuous Positive Airway Pressure:CPAP)か、フリーフロー酸素投与を開始する(ステップS152)。そして、再び努力呼吸・チアノーゼを確認し(ステップS154)、努力呼吸と中心性チアノーゼを認める場合、人工呼吸を開始すする(ステップS156)。ステップS150及びステップS154において、努力呼吸・チアノーゼがなければ、蘇生後のケアをする(ステップS158)。
図7に示すように、新生児蘇生においては、心拍数確認のステップS130,S134,S138が、次に行うべき処置を決定することが多いため、心拍数確認が適切に行わるのが望ましい。心拍数の確認は、聴診によるのが確実であるため、聴診が適切に行われたか否かが、事後的に容易に確認できると効果的なデブリーフィングを行える。
図6に戻り、新生児蘇生トレーニング中におけるログ情報等について説明する。なお、図6において、ログ情報は、(ログ情報を送信した機器,IDログ情報の送信時間,ログ情報を送信した機器におけるイベント情報)の形式で表される。ここで、コントローラの機器IDは、“A1”とし、模擬聴診モジュール200の機器IDは、“B1”とする。
コントローラ2000の操作により、トレーニングが開始されると、カメラ80によるトレーニーBの撮影が開始され、トレーニング中の様子を示す動画がサーバ1000へ送信される。サーバ1000は、動画受信処理6400により、動画を受信し、動画記憶領域5500に保存する。カメラ80によって撮影された動画は、サーバ1000を経由して、トレーナーA側のディスプレイ装置2500においてリアルタイムで表示される。これにより、トレーナーAは、遠隔地にいるトレーニーの処置をトレーニング中に確認することができる。なお、トレーニング開始(録画開始)の時刻を0:00とする。また、トレーナーAは、トレーニング開始に先立ち、コントローラ2000を操作し、泣き声状態を「弱い泣き声」に設定する。
トレーニング開始の時点において、(ID=A1,0:00,弱い泣き声の設定)のログ情報(S11)が、コントローラ2000からサーバ1000へ送信される。サーバ1000は、受信処理6100により、ログ情報(第1ログ情報)S11を受信する。図8Aに示すように、ログ情報S11は、ログデータベース5600において、ログID=1のログ情報として記憶される。
サーバ1000は、コントローラ2000からの第1ログ情報S11を受信すると、更新処理6200を実行し、バイタルデータベース5100を更新する。第1ログ情報S11は、泣き声状態5110を、「弱い泣き声」に設定するためのものであるため、更新処理6200において、泣き声状態データ5110は、「弱い泣き声」を示す値に設定される。
泣き声状態データ5110が、「弱い泣き声」を示す値に設定されると、サーバ1000は、出力処理6300を実行する。出力処理6300では、泣き声データベース5300の中から、「弱い泣き声」の泣き声データが選択され、選択された泣き声データが、タブレット3000へ送信される(S12)。タブレット3000は、受信した泣き声データを、スピーカ3400から出力する。弱い泣き声をトレーニーBに提示することで、図6のS100における「弱い啼泣」が認められ、ステップS120の処置を行うべき状況となる。
さらに、トレーナーAは、コントローラ2000を操作し、心拍数を80に設定する。この心拍数の設定により、(ID=A1,0:05,心拍数:80)のログ情報(S13)が、コントローラ2000からサーバ1000へ送信される。サーバ1000は、受信処理6100により、第1ログ情報S13を受信する。図8Aに示すように、ログ情報S13は、ログデータベース5600において、ログID=2のログ情報として記憶される。
サーバ1000は、コントローラ2000からの第1ログ情報S13を受信すると、更新処理6200を実行し、バイタルデータベース5100を更新する。第1ログ情報S13は、心拍数5120を、80に設定するためのものであるため、更新処理6200において、心拍数5120は、80に設定される。
心拍数5120が、80に設定されると、サーバ1000は、出力処理6300を実行する。出力処理6300では、心音データベース5200の中から、心拍数が80の心音データが選択され、選択された心音データが、模擬聴診モジュール200へ送信される(S14)。また、出力処理6300では、心拍数5120と心拍が80である心電波形データとがタブレット3000へ送信される(S15)。心拍が80である心電波形データは、心拍数データ5120に基づき、心電図データベース5400の中から選択される。タブレット3000は、心拍数を数値表示するとともに、心電波形を表示する。
トレーニーBが、図7のS130に対応する処置として、時刻0:30において、心拍数の確認のため聴診を行うと、(ID=B1,0:30,聴診有)のログ情報(第2ログ情報)S16が、模擬聴診モジュール200からサーバ1000へ送信される。ログ情報S16は、時刻0:30において聴診が有ったことを示す。サーバ1000は、受信処理6100により、第2ログ情報S16を受信する。図8Aに示すように、ログ情報S16は、ログID=3のログ情報として記憶される。
サーバ1000は、トレーニー装置からの第2ログ情報に基づき、評価処理6500を実行する。評価処理6500は、トレーニーの処置を評価する処理である。評価は、例えば、処置のタイミングが適切であったか、又は、処置の内容が適切であったかという観点で行われる。聴診が有ったことを示す第2ログ情報S16の場合、評価は、例えば、聴診のタイミングが制限時間内に行われたかという観点で行われる。
図9は、評価処理6500の処理手順の例を示している。図9の評価処理6500は、図8Bに示す評価基準データ5800を用いて行われる。図8Bに示す評価基準データ5800は、トレーニング中に行われる複数の聴診それぞれについて、聴診が行われるべき制限時間を示している。なお、制限時間は、トレーニング開始時刻(0:00)からの時間である。なお、図8Bに示す評価基準データ5800は、図7のNCPRアルゴリズムにおいて、S100,S120,S130,S132,S134,S136,S138,S140の処置が行われる場合のシナリオに沿ったものである。他のシナリオについての評価基準データは、図示しないが、記憶装置1200に記憶されている。評価基準データは、コントローラ2000にて設定されたバイタルデータに基づき、NRPRアルゴリズムに適合するように選択される。
図8Bに示す評価基準データにおいて、聴診制限時間は、0:45、1:15,2:50に設定されている。0:45の聴診制限時間は、S130の心拍確認に対応したものである。1:15の聴診制限時間は、S134の心拍確認に対応したものである。2:50の聴診制限時間は、S138の心拍確認に対応したものである。
図9に示す評価処理6500では、ステップS51において、トレーニーの処置(聴診)があったかどうかを監視する。トレーニーの処置(聴診)があったかどうかは、トレーニー装置から、処置があったことを示す第2ログ情報を受信したか否かによって判断される。処置があった場合(S51においてYES)、処置が、評価基準データ5800に示される制限時間内に行われたか否かが判断される(S53)。処置が制限時間内であった場合(S53においてYES)、その処置は、良好であると評価される(S54)。処置が制限時間から遅れた場合(S53においてNO)、その処置は、悪であると評価される(S55)。評価は、図8Aに示すように、評価に用いられたログ情報に対応付けて、ログデータベース5600に記憶される。
例えば、前述の第2ログ情報S16の場合、評価処理6500では、ステップS51において、聴診有の情報を含む第2ログ情報S16を受信したことで、トレーニーBの処置(聴診)があったことが認識される。サーバ1000は、第2ログ情報S16に含まれる時刻情報(0:30)と、評価基準データ5800の最初の聴診制限時間(0:45)と、を比較し、トレーニーBがした聴診が、聴診制限時間内であったと判断し、その聴診の評価を、良好とする。その評価は、ログID=3のログ情報の評価領域に保存される。
また、時刻0:30に聴診が行われ、その評価が良好であること(処置の内容と評価処理6500による評価結果)は、サーバ1000から、コントローラ2000へ送信され(S17)、コントローラ2000に表示される。これにより、トレーナーAは、トレーニーBの処置の適切さをトレーニング中に容易に把握することができる。
図9のステップS51において、第2ログ情報の受信が確認できない間は、ステップS51の監視が継続されるが、監視継続時間が経過しても、第2ログ情報の受信が確認できない場合には、サーバ1000にて、行われるべき処置(例えば、聴診)について、悪の評価をする。この場合、サーバ1000は、行われるべき処置がなかったことのログ情報を自ら生成し、悪の評価とともに、そのログ情報を、ログデータベース5600に記録する。監視継続時間は、例えば、評価基準データ5800が規定する制限時間の数秒から数十秒後までの時間として設定される。例えば、制限時間が0:45であれば、20秒後の1:05までが監視継続時間として設定される。
さらに、トレーナーAは、時刻1:15において、コントローラ2000を操作し、心拍数を20に設定する。この心拍数の設定により、(ID=A1,1:15,心拍数:20)のログ情報(S18)が、コントローラ2000からサーバ1000へ送信される。サーバ1000は、受信処理6100により、第1ログ情報S18を受信する。図8Aに示すように、ログ情報S18は、ログデータベース5600において、ログID=4のログ情報として記憶される。
サーバ1000は、コントローラ2000からの第1ログ情報S18を受信すると、更新処理6200を実行し、心拍数5120を20に設定する。
心拍数5120が、20に設定されると、サーバ1000は、出力処理6300を実行する。出力処理6300では、心拍数が20である心音データが、模擬聴診モジュール200へ送信される(S19)。また、出力処理6300では、心拍数5120と心電波形データとがタブレット3000へ送信される(S20)。
トレーニーBが、図7のS134に対応する処置として、時刻1:30において、心拍数の確認のため聴診を行うと、(ID=B1,1:30,聴診有)のログ情報(第2ログ情報)S21が、模擬聴診モジュール200からサーバ1000へ送信される。ログ情報S21は、時刻1:30において聴診が有ったことを示す。サーバ1000は、受信処理6100により、第2ログ情報S21を受信する。図8Aに示すように、ログ情報S21は、ログID=5のログ情報として記憶される。
サーバ1000は、トレーニー装置からの第2ログ情報S21に基づき、評価処理6500を実行する。評価処理6500では、第2ログ情報S21に含まれる時刻情報(1:30)と、評価基準データ5800の2つ目の聴診制限時間(1:45)と、を比較し、トレーニーBがした聴診が、聴診制限時間内であったと判断し、その聴診の評価を、良好とする。その評価は、ログID=5のログ情報の評価領域に保存される。
また、時刻1:30に聴診が行われ、その評価が良好であること(処置の内容と評価処理6500による評価結果)は、サーバ1000から、コントローラ2000へ送信され(S22)、コントローラ2000に表示される。
さらに、トレーナーAは、時刻1:50において、コントローラ2000を操作し、心拍数を60に設定する。この心拍数の設定により、(ID=A1,1:50,心拍数:60)のログ情報(S23)が、コントローラ2000からサーバ1000へ送信される。サーバ1000は、受信処理6100により、第1ログ情報S23を受信する。図8Aに示すように、ログ情報S23は、ログデータベース5600において、ログID=6のログ情報として記憶される。
サーバ1000は、コントローラ2000からの第1ログ情報S23を受信すると、更新処理6200を実行し、心拍数5120を60に設定する。
心拍数5120が、60に設定されると、サーバ1000は、出力処理6300を実行する。出力処理6300では、心拍数が60である心音データが、模擬聴診モジュール200へ送信される(S24)。また、出力処理6300では、心拍数5120と心電波形データとがタブレット3000へ送信される(S25)。
トレーニーBが、図7のS138に対応する処置として、時刻3:00において、心拍数の確認のため聴診を行うと、(ID=B1,3:00,聴診有)のログ情報(第2ログ情報)S26が、模擬聴診モジュール200からサーバ1000へ送信される。ログ情報S26は、時刻3:00において聴診が有ったことを示す。サーバ1000は、受信処理6100により、第2ログ情報S26を受信する。図8Aに示すように、ログ情報S23は、ログID=7のログ情報として記憶される。
サーバ1000は、トレーニー装置からの第2ログ情報S26に基づき、評価処理6500を実行する。評価処理6500では、第2ログ情報S26に含まれる時刻情報(3:30)と、評価基準データ5800の3つ目の聴診制限時間(2:50)と、を比較し、トレーニーBがした聴診が、聴診制限時間から遅れたであったと判断し、その聴診の評価を、悪とする。その評価は、ログID=7のログ情報の評価領域に保存される。
また、時刻3:00に聴診が行われ、その評価が悪であること(処置の内容と評価処理6500による評価結果)は、サーバ1000から、コントローラ2000へ送信され(S27)、コントローラ2000に表示される。
さらに、トレーナーAは、時刻3:30において、コントローラ2000を操作し、(ID=A1,0:00,強い泣き声の設定)のログ情報(S28)が、コントローラ2000からサーバ1000へ送信される。サーバ1000は、受信処理6100により、ログ情報(第1ログ情報)S28を受信する。図8Aに示すように、ログ情報S28は、ログデータベース5600において、ログID=8のログ情報として記憶される。
サーバ1000は、コントローラ2000からの第1ログ情報S28を受信すると、更新処理6200を実行し、泣き声状態5110を、「強い泣き声」に更新する。泣き声状態データ5110が、「強い泣き声」を示す値に設定されると、出力処理6300では、強い泣き声データが、タブレット3000へ送信される(S29)。タブレット3000は、強い泣き声データを、スピーカ3400から出力する。強い泣き声は、新生児蘇生が適切に完了したことを示す。以上によりトレーニングが終了する。トレーニング終了により、動画の録画も終了する。
ログデータベース5600に保存された各ログ情報は、対応付処理6550により、動画5500において、各ログ情報が発生した時点に対応する動画5500の場面に対応付けられる。例えば、(ID=B1,0:30,聴診有)のログ情報S16であれば、動画における時刻0:30の場面(トレーニーが聴診をした場面)に対応付けられる。実施形態においては、ログ情報の時刻及び動画の時刻は、トレーニング開始時刻(0:00)を基準として同期しているため、対応付けにおいては、ログ情報が有する時刻そのものを動画における時刻として対応付ければ足りる。なお、ログ情報の発生タイミングよりも少し前の動画に対応つけるため、(ID=B1,0:30,聴診有)のログ情報S16であれば、動画における時刻0:25の場面(トレーニーが聴診をする直前の場面)に対応付けられてもよい。動画において、ログ情報と対応つけられた時刻は、動画の再生開始時間となる。再生開始時間は、チャプターマークのように、動画の任意の時刻に付与されるタグである。
対応付処理6550の結果は、ログ−再生開始時間データベース5700に登録される。ログ−再生開始時間データベース5700は、図8Aのログデータベースに登録されているログIDに対応するログIDと、各ログIDが示すログ情報に対応付けられた動画の再生開始時間と、が登録されている。ログ−再生開始時間データベース5700は、動画5500を、登録された再生開始時間から再生するために用いられる。
図11Aは、ディスプレイを有するトレーナー装置2500とトレーニー装置3000の両方またはいずれかにおいて、動画5500を表示するための画面300を示している。画面300に表示される動画5500は、動画表示処理600により、サーバ1000から与えられる。動画5500は、例えば、デブリーフィングのために、トレーニング後に表示される。画面300は、動画5500が表示される動画表示領域310と、シークバー320と、を備える。シークバー320は、動画の再生箇所を示す。また、画面300は、再生開始ボタン330、再生時刻340、シークバー320のログ表示の凡例350を備える。
ログ表示処理6610により、シークバー320には、ログデータベース5600に登録された各ログ情報それぞれを示すログ表示410,420,430,440,460,470,480が表示される。実施形態において、ログ表示410,420,430,440,460,470,480は、シークバー320上に表示された丸印である。ログ表示は、シークバー320上において、ログ情報が発生した時点に対応する位置に表示される。ログ表示410,420,430,440,460,470,480の表示位置は、ログ−再生時間開始データベース5700に示される再生開始時間に従う。
実施形態において、ログ表示410,420,430,440,460,470,480が、第1ログ情報であるか第2ログ情報であるかを識別可能なように、第1ログ情報と第2ログ情報とで、丸印の色が異なっている。また、第2ログ情報が示すトレーニーの処置の評価の良否を示すため、評価=良好の第2ログ情報と、評価=悪の第2ログ情報とで、丸印の色が異なっている。どの色が、どのようなログ情報であるかを示す凡例350が、画面300内に表示される。なお、ログ表示を識別する手段としては、色分けのほか、ログ表示の形状を異ならせるのでもよい。
図11Aに示すように、マウスポインタ500を、ログ表示410上に合わせるマウスオーバーをすると、そのログ表示410が示すログ情報の詳細411が表示される。例えば、ログ表示410にマウスオーバーすると、そのログ表示410は、時刻0:00において、トレーナーが、弱い泣き声設定をしたログ情報であることが表示される。
シークバー320上に表示された丸印である。
図11Bは、仮想的に、シークバー320上のすべてのログ表示410,420,430,440,450,460,470,480それぞれにマウスオーバーされた場合に表示されるログ表示詳細411,421,431,441,451,461,471,481を示している。これらログ表示詳細の内容は、ログデータベース5600に基づいて生成される。
マウスオーバーにより、動画のどの時刻において、どのような行為がトレーナー又はトレーニーにおいてなされたかを把握することができ、効果的なデブリーフィングに役立つ。しかも、第1ログ情報及び第2ログ情報の双方に対応したログ表示が表示されることで、トレーニーの行為が、トレーナーの設定したバイタルサインとNCPRアルゴリズムに照らして適切であったかという確認が容易となる。
また、サーバ1000は、ログ選択受付処理6620においてログ表示の選択受付をする。ログ表示410,420,430,440,450,460,470,480は、マウス等の選択デバイスによる選択操作(クリック等)によって、ログ表示が表示されている位置(時点)から、動画を再生するための再生開始位置表示でもある。例えば、ログ表示430が選択されると、選択場面表示処理6630により、動画5500の0:30の場面(聴診の場面)から、動画5500が再生開始される。これにより、トレーナー又はトレーニーが トレーニング中に行った行為を、動画5500において確認するのが容易となり、効果的なデブリーフィングに役立つ。
<3.変形例>
図12は、第2ログ情報を送信する複数のトレーニー装置2,200,7000,8000,9000を示している。図12では、第2ログ情報を送信するトレーニー装置として、模擬聴診モジュール200のほか、人形モデル2、人工呼吸器7000、SpO2モニタ8000、ECGモニタ9000が存在する。
人形モデル2は、人形モデル2に対する皮膚刺激(図7のS120参照)がなされたことを検出する触覚センサ2aを備える。触覚センサ2aには、機器ID=B3が付与されるものとする。また、人形モデル2は、人形モデル2に対する胸骨圧迫(図7のS138参照)がなされたことを検出する圧力センサ2bを備える。圧力センサには、機器ID=B4が付与されるものとする。
人工呼吸器7000は、人形モデル2に人工呼吸器7000(図7のS132、S136参照)が装着されたことを検出する接触センサ7100を備える。接触センサ7100には、機器ID=B5が付与されるものとする。また、人工呼吸器7000は、人工呼吸の圧力と回数の両方又はいずれかを検出する圧力センサ7200を備える。圧力センサ7200には、機器ID=B5が付与されるものとする。
SpO2モニタ8000は、人形モデル2にSpO2モニタ(図7のS132、S152参照)が装着されたことを検出する接触センサ8100を備える。接触センサ8100には、機器ID=B7が付与されるものとする。
ECGモニタ9000は、人形モデル2にECGモニタ(図7のS132参照)が装着されたことを検出する接触センサ9100を備える。接触センサ9100には、機器ID=B8が付与されるものとする。
各センサ18,2a,2b,7100,7200,8100,9100によって、所定の検出がなされると、第2ログ情報が生成され、通信部12,2c,7300,8300,9300からサーバ1000へ送信される。これらの第2ログ情報は、ログデータベース5600に登録され、評価処理6500の対象となる。また、動画表示処理6600において第1ログ情報とともにログ表示される。
図12のように、第2ログ情報を送信できるトレーニー装置が多いと、サーバ1000は、トレーニーBの処置に関する記録をより多く取得できるため、効果的なデブリーフィングが行える。
図13は、新生児蘇生トレーニング中におけるログ情報等の例を示している。図13のログ情報の例は、図12を前提としたものである。なお、図13における「他のトレーニー装置」は、図12の人形モデル2、人工呼吸器7000、SpO2モニタ8000を指す。
図13では、時刻0:00において、弱い泣き声が設定される。また、時刻0:05において、心拍数:80、呼吸なしに設定される。これらは、第1ログ情報としてサーバ1000へ送信される。
時刻0:30において、人形モデル2に対する皮膚刺激(S120)がなされると、(ID=B3,0:30,皮膚刺激有)の第2ログ情報がサーバ1000へ送信される。皮膚刺激は、皮膚刺激制限時間(0:30)内に行われたため、この皮膚刺激の評価は、良好となる。
さらに、時刻0:30において、聴診(S130)がなされると、(ID=B1,0:30,聴診有)の第2ログ情報がサーバ1000へ送信される。聴診は、聴診制限時間(0:45)内に行われたため、この聴診の評価は、良好となる。
時刻1:00において、人工呼吸(S132)がなされると、(ID=B5,1:00,人工呼吸)の第2ログ情報がサーバ1000へ送信される。さらに、時刻1:00において、SpO2モニタ装着(S132)がなされると、(ID=B7,1:00,SpO2モニタ装着)の第2ログ情報がサーバ1000へ送信される。人工呼吸及びSpO2モニタ装着は、制限時間(1:10)内に行われたため、人工呼吸及びSpO2装着の評価は、良好となる。なお、人工呼吸器7000は、人工呼吸の圧力・回数を示す第2ログ情報を送信してもよく、その場合、圧力・回数に基づいても、人工呼吸が評価される。
時刻1:15において、コントローラ2000によって、心拍数:20に変更される。この変更は、第1ログ情報としてサーバ1000へ送信される。
時刻1:30において、聴診(S134)がなされると、(ID=B1,1:30,聴診有)の第2ログ情報がサーバ1000へ送信される。聴診は、聴診制限時間(1:40)内に行われたため、この聴診の評価は、良好となる。
時刻1:36において、人工呼吸(S136)がなされると、(ID=B5,1:36、人工呼吸)の第2ログ情報がサーバ1000へ送信される。さらに、時刻1:36において、胸骨圧迫(S136)がなされると、(ID=B4,1:36,胸骨圧迫)の第2ログ情報がサーバ1000へ送信される。人工呼吸及び胸骨圧迫は、制限時間(1:50)内に行われたため、人工呼吸及び胸骨圧迫の評価は、良好となる。なお、人工呼吸器7000は、人工呼吸の圧力・回数を示す第2ログ情報を送信してもよく、その場合、圧力・回数に基づいても、人工呼吸が評価される。また、人形モデルの圧力センサ2bは、胸骨圧迫の圧力・回数を示す第2ログ情報を送信してもよく、その場合、圧力・回数に基づいても、胸骨圧迫が評価される。
時刻2:00において、コントローラ2000によって、心拍数:60に変更される。この変更は、第1ログ情報としてサーバ1000へ送信される。
時刻2:36において、聴診(S138)がなされると、(ID=B1,2:36,聴診有)の第2ログ情報がサーバ1000へ送信される。聴診は、聴診制限時間(2:50)内に行われたため、この聴診の評価は、良好となる。
時刻3:04において、人工呼吸(S140)がなされると、(ID=B5,3:04、人工呼吸)の第2ログ情報がサーバ1000へ送信される。さらに、時刻3:04において、胸骨圧迫(S140)がなされると、(ID=B4,3:04,胸骨圧迫)の第2ログ情報がサーバ1000へ送信される。人工呼吸及び胸骨圧迫は、制限時間(3:20)内に行われたため、人工呼吸及び胸骨圧迫の評価は、良好となる。
時刻3:30において、コントローラ2000によって、強い泣き声が設定され、第1ログ情報としてサーバ1000へ送信される。強い泣き声は、新生児蘇生が適切に完了したことを示すため、トレーニングが終了する。
図13に示すように多くの第2ログ情報が生成されると、動画の表示画面300において、シークバー上に表示されるログ表示が多くなり、トレーニングの振り返りがより容易になる。
<4.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。