JP2020045399A - 中空樹脂微粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部多孔質の樹脂微粒子を簡素な方法で製造し、塗料や化粧料などの光反射材や光拡散板などの光拡散材として有用な中空樹脂微粒子の提供を目的とする。【解決手段】中空樹脂微粒子の製造方法は、重合性不飽和炭化水素を有する重合性単量体を、水を主体とした媒体に分散し、重合する樹脂微粒子の製造方法において、少なくとも一般式(1):T1O−(RO)n(EO)m−T2(式(1)中、T1は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数2〜18のアルケニル基であり、T2は水素原子、スルホン酸(塩)基、カルボン酸(塩)基、リン酸(塩)基、アミノ基、またはアンモニウム基であり、ROは炭素数3〜18のオキシアルキレン基であり、nは1〜50の整数であり、EOはオキシエチレン基を示し、mは0〜200の整数である。)で表される界面活性剤を分散剤として用い、粒子内部に複数の空孔を有する中空樹脂微粒子を得る。【選択図】なし

Description

本発明は、中空樹脂微粒子の製造方法に関する。
球状の樹脂微粒子は塗料、化粧料などの光反射材や液晶バックライト用光拡散板などの光拡散材として用いられている。
中でも、粒子内部に空孔を持つ中空樹脂微粒子は内部に空気層を含むことから、粒子内部に空孔を持たない真球状樹脂微粒子に比べ光拡散性に優れる。
また、中空樹脂微粒子の比重も内部に空孔を持たない真球状樹脂微粒子に比べ小さくなるため、塗料等に配合した場合、経時による粒子の沈降が緩和されるという利点がある。
中空樹脂微粒子の作成法としては、特許文献1に示されるように、懸濁重合において油性界面活性剤と水溶性界面活性剤とを併用し、重合前のモノマー液滴内に水を取り込んだまま重合を完結させる方法や、特許文献2に示されるように、特殊な高分子界面活性剤を使用する方法が挙げられる。
特開昭59−193901号公報 特開2007−238792号公報
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂微粒子は油溶性界面活性剤を多量に配合するため、重合後に有機溶剤での洗浄を必要とし、工程が煩雑であった。
また、特許文献2に記載の樹脂微粒子は、そのモノマー組成に制限があり、樹脂設計において自由度が制限されるものであった。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、簡素な工程において、且つ設計に自由度を持った中空樹脂微粒子の製造を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る中空樹脂微粒子の製造方法は、重合性不飽和炭化水素基を有する重合性単量体を、水を主体とした分散媒に分散させ、懸濁化し、重合させる樹脂微粒子の重合において、少なくとも下記一般式(1)で表される界面活性剤を分散剤として用いることで、粒子内部に複数の空孔を持つ微粒子を得る。
O−(RO)n(EO)m−T…(1)
式(1)中、T は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数2〜18のアルケニル基であり、Tは水素原子、スルホン酸基、スルホン酸塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、アミノ基、またはアンモニウム基であり、ROは炭素数3〜18のオキシアルキレン基であり、nは1〜50の整数であり、EOはオキシエチレン基を示し、mは0〜200の整数である。
前記一般式(1)で表される前記界面活性剤のTがアルケニル基であってもよい。
前記樹脂微粒子の平均粒子径が0.5〜500μmであってもよい。
上記態様に係る中空樹脂微粒子の製造方法によれば、樹脂微粒子の重合において上記一般式(1)の界面活性剤を使用することにより、簡素な工程で粒子内部に中空構造を有する樹脂微粒子を製造することができる。
本発明の第一実施形態に係る中空樹脂微粒子の製造方法を模式的に説明するための図である。 本発明の第一実施形態に係る中空樹脂微粒子の製造方法により得られた中空樹脂微粒子の電子顕微鏡写真である。 本発明の第一実施形態に係る中空樹脂微粒子の製造方法により得られた中空樹脂微粒子の断面における電子顕微鏡写真である。 本発明の第二実施形態に係る中空樹脂微粒子の製造方法を模式的に説明するための図である。 本発明の第二実施形態に係る中空樹脂微粒子の製造方法により得られた中空樹脂微粒子の電子顕微鏡写真である(第2の界面活性剤として一般式(1)の構造を有するものを使用した場合)。 本発明の第二実施形態に係る中空樹脂微粒子の製造方法により得られた中空樹脂微粒子の断面における電子顕微鏡写真である(第2の界面活性剤として一般式(1)の構造を有するものを使用した場合)。 本発明の第二実施形態に係る中空樹脂微粒子の製造方法により得られた中空樹脂微粒子の電子顕微鏡写真である(第2の界面活性剤に代えて任意の分散剤を使用した場合)。 本発明の第二実施形態に係る中空樹脂微粒子の製造方法により得られた中空樹脂微粒子の断面における電子顕微鏡写真である(第2の界面活性剤に代えて任意の分散剤を使用した場合)。
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」は、メタクリル酸およびアクリル酸の総称であり、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートおよびアクリレートの総称である。
[中空樹脂微粒子の製造方法(第一〜第二実施形態)]
本発明の一実施形態に係る中空樹脂微粒子の製造方法は、重合性不飽和炭化水素基を有する重合性単量体を、水を主体とした分散媒に分散させ、懸濁化し、重合させる樹脂微粒子の重合において、少なくとも下記一般式(1)で表される界面活性剤を分散剤として用いることで、粒子内部に複数の空孔を持つ微粒子を得る。
O−(RO)n(EO)m−T…(1)
式(1)中、T は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数2〜18のアルケニル基であり、Tは水素原子、スルホン酸基、スルホン酸塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、アミノ基、またはアンモニウム基であり、ROは炭素数3〜18のオキシアルキレン基であり、nは1〜50の整数であり、EOはオキシエチレン基を示し、mは0〜200の整数である。
なお、本実施形態および以下に示す実施形態において、「中空樹脂微粒子」とは、粒子内部に複数の空孔を有する樹脂微粒子と定義される。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸((メタ)アクリレート)」は、アクリル酸(アクリレート)およびメタクリル酸(メタクリレート)の総称である。
なお、「水を主体とした分散媒」とは、本発明の目的および効果を阻害しない範囲においては、特に限定されないが、分散媒中の水が50%以上であってよく、70%以上であってよく、90%以上であってもよく、分散媒が水のみであってもよい。
[中空樹脂微粒子の製造方法(第一実施形態)]
本発明の第一実施形態に係る中空樹脂微粒子の製造方法によれば、粒子内部に複数の空孔を有し、粒子表面が凹凸構造を有する、中空樹脂微粒子を得ることができる。
以下に本実施形態に係る中空樹脂微粒子の製造方法に用いる構成成分と、製造方法と、得られる中空樹脂微粒子について、詳細に説明する。
[構成成分]
<界面活性剤A>
O−(RO)n(EO)m−T… (1)
式(1)中、T は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数2〜18のアルケニル基であり、Tは水素原子、スルホン酸基、スルホン酸塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、アミノ基、またはアンモニウム基であり、ROは炭素数3〜18のオキシアルキレン基であり、nは1〜50の整数であり、EOはオキシエチレン基を示し、mは0〜200の整数である。
なお、上記一般式(1)により表される界面活性剤Aは、例えば、市販品のアニオン性の界面活性剤としては、第一工業製薬のアクアロンKHシリーズ、ハイテノーXJ−630Sもしくは花王製のラテムルPD−104、ラテムルPD−105等が挙げられる。
また、ノニオン製の界面活性剤としては、第一工業製薬のノイゲンXLシリーズ、花王のラテムル−420、430、450、エマルゲンL S シリーズ、エマルゲンM S シリーズ、エマルゲンP P シリーズおよび青木油脂工業社製ファインサーフN D B シリーズ、I D E P シリーズ、ワンダーサーフN D R シリーズ、I D シリーズ、S シリーズ等がある。
本実施形態および以下に示す実施形態における界面活性剤Aの使用量は、例えば、後述する重合性単量体100質量部(質量%)に対して0.05〜5.0質量部(質量%)であることが好ましい.
上記範囲(0.05〜5.0質量部)で界面活性剤Aを用いた場合、安定的に中空樹脂微粒子が形成されやすい。
界面活性剤Aの使用量が、0.05質量部未満であると中空構造が不完全となり、5.0質量部より大きいと粒子を構成する樹脂の特性を損なう恐れがある。
また、樹脂微粒子中に界面活性剤が残存した場合に、ブリードを抑制できるという点で、Tはアルケニル基であることがより好ましい。
なお、本明細書において、界面活性剤Aを「一般式(1)で表された界面活性剤(第1の界面活性剤)」と示すこともあり、「第2の界面活性剤」と示すこともある。
界面活性剤Aを「第1の界面活性剤」、「第2の界面活性剤」と示すことがあるのは、以下に詳述する製造工程において、複数回界面活性剤Aを別途用いて中空樹脂微粒子を調製する場合があるためである。
すなわち、中空樹脂微粒子の調製において、例えば、2回の工程に分けて、界面活性剤Aを添加する際に、2回の工程で界面活性剤Aを区別して示す場合に、理解を容易にするために、「第1の界面活性剤」、「第2の界面活性剤」のように呼ぶことがある。
なお、「第2の界面活性剤」としては、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述の界面活性剤Aとは異なる界面活性剤を用いてもよい。
なお、「第2の界面活性剤」に代えて、本発明の効果を阻害しない範囲で、後述する「任意の分散剤」を用いてもよい。
「第2の界面活性剤」および「任意の分散剤」は任意の1種類のものを単独で用いてもよく、任意の複数のものを組み合わせて用いてもよい。
<重合性単量体>
重合性単量体は、重合性不飽和炭化水素基を有する重合性単量体であり、例えば、(メタ)アクリル単量体、および、芳香族ビニルモノマーが挙げられる。
なお、本明細書において、「重合性不飽和炭化水素基を有する重合性単量体」を、単に「重合性単量体」と呼ぶことがある。
(メタ)アクリル単量体は、例えば、単官能(メタ)アクリレート、および、二官能以上の重合性官能基を有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキシド(EO)が1〜9の(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、炭素数4〜9のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル基を少なくとも2つ以上有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン系モノマー、ジビニルベンゼンが挙げられ、スチレン系モノマーが好ましい。
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る重合性単量体においては、上記(メタ)アクリル単量体において、上記単官能(メタ)アクリレートと、上記多官能(メタ)アクリレートと、を組み合わせて用いてもよく、(メタ)アクリル単量体と、芳香族ビニルモノマーと、を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る中空樹脂微粒子を製造する際の重合性単量体における、上記単官能(メタ)アクリレート、上記多官能(メタ)アクリレート、および芳香族ビニルモノマーの比率は特に限定されないが、例えば、単官能(メタ)アクリレートが20〜95質量部であってもよく、多官能(メタ)アクリレートが1〜15質量部であってもよく、芳香族ビニルモノマーが10〜50質量部であってもよい。
他のモノマーとしては、本発明の効果を阻害せずに、アクリルモノマーと共重合可能であれば特に制限されないが、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、アクリロニトリルなどを用いてよい。
また、必要に応じて連鎖移動剤等の添加剤を用いてもよい。
<油溶性重合開始剤>
油溶性重合開始剤は、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルのような過酸化物系開始剤、及び、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)のような油溶性アゾ系重合開始剤等が挙げられる。
油溶性重合開始剤の使用量は、例えば、重合性単量体100質量部に対して、0.05〜3.0質量部であってもよく、0.1〜2.0質量部が好ましく、0.2〜1.5質量部がより好ましい。
油溶性重合開始剤の使用量が0.05質量部以上であれば、重合性単量体の未反応のモノマーの割合を減らすことができる。
一方、油溶性重合開始剤の使用量が3.0質量部以下であれば、油溶性重合開始剤が分解した分解物が不純物として残るのを抑制できる。
<任意の界面活性剤>
本発明の効果を阻害しない範囲で、上記の界面活性剤A以外の界面活性剤として、以下に示す任意の界面活性剤(上記一般式(1)で示される界面活性剤Aとは異なる界面活性剤)を用いてもよい。
換言すれば、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記界面活性剤Aに加えて、適宜界面活性剤を加えてもよい。
任意の界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤またはカチオン系界面活性剤が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、具体的には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ジナトリウム等のアルキル(もしくはアリール)スルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム等のアルキル(もしくはアルケニル)硫酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキル(もしくはアルケニル)エーテル硫酸塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジ−2−エチルへキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸エステル塩、またはこれらの誘導体類などが挙げられる。これらアニオン系界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン系界面活性剤としては、具体的には、ドデシルベンジルメチルアンモニウムクロライド等のアルキルベンジルメチルアンモニウム塩;ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルンモニウムクロライド等のジアルキルジメチルアンモニウム塩;ドデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライト等のアルキルベンジルジメチルアンモニウム塩;などの四級アンモニウム塩が挙げられる。これらカチオン系界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<任意の分散剤>
重合の安定性を向上させるため、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意の分散剤を用いてもよい。任意の分散剤としては、例えば以下のものが挙げられる。
有機系分散剤としては、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
無機系分散剤としては、第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
これらの分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<分散媒>
分散媒はイオン交換水等の公知の水を単独で用いてもよく、適宜、アルコール等の水と混和する公知の溶媒を併用してもよい。
なお、本実施形態における「水を主体とした分散媒」とは、本発明の目的および効果を阻害しない範囲においては、水とアルコール等の水と混和する公知の溶媒を併用してよく、特に限定されないが、分散媒中の水が50%以上であってよく、70%以上であってよく、90%以上であってもよく、分散媒が水のみであってもよい。
なお、界面活性剤と同様に、本明細書において、分散媒、溶媒として用いる水を「第1の水」、「第2の水」と呼ぶことがある。
例えば、2回の工程に分けて、水を添加する際に、2回の工程で水を区別して示す場合に、理解を容易にするために、「第1の水」、「第2の水」のように呼ぶことがある。
[中空樹脂微粒子の製造方法(第一実施形態)]
本実施形態に係る樹脂微粒子の重合方法の模式図、概略図を図1に示す。
連続相を水6、分散層を重合性単量体4(例えば、アクリルモノマー)とした懸濁液3を、ホモミキサー等の撹拌機100を用いた撹拌によって製造し、その後重合する。
詳細には、以下の通りである。
(工程1) 水中に上記一般式(1)で表される界面活性剤Aを混合した界面活性剤A−水混合液(第1混合液)1を、例えば、ホモミキサー等の撹拌機100を備え付けた容器に入れる。
界面活性剤A−水混合液1を、撹拌機100を用いて攪拌し、攪拌された界面活性剤A−水混合液1に、油溶性重合開始剤と重合性単量体4との混合液(第2混合液)2を添加する。
これにより、界面活性剤A−水混合液1中に、油溶性重合開始剤と重合性単量体4との混合液2を分散させてO/W(oil in water)型の懸濁液3(連続相が水6となり、分散層が重合性単量体4となるように調製された懸濁液3、水6中に重合性単量体4が分散した分散液)を製造する。
換言すれば、本実施形態においては、前記懸濁液3を調製する際に、前記界面活性剤Aおよび前記水6を含む第1混合液1と、前記重合性単量体および前記油溶性重合開始剤を含む第2混合液2を準備し、前記第1混合液1に、前記第2混合液2を加えて、水中に重合性単量体4を分散させることにより、前記懸濁液3を調製することができる。
(工程2) その後、当該懸濁液3を重合することによって内部に複数の空孔を有し、表面に凹凸のある微粒子5を製造できる。
[中空樹脂微粒子(第一実施形態)]
本実施形態によって得られる中空樹脂微粒子は、内部に複数の空孔を有し、表面に凹凸構造を有する樹脂微粒子である。
本実施形態によって得られる中空樹脂微粒子の一例として、走査型電子顕微鏡(SEM)にて、撮影した中空樹脂微粒子の表面観察像である電子顕微鏡写真を図2に示す。
本実施形態によって得られる中空樹脂微粒子は、図2に示すように、表面に凹凸構造が観察される。
また、本実施形態によって得られる中空樹脂微粒子の一例として、走査型電子顕微鏡(SEM)にて、撮影した中空樹脂微粒子の断面観察像である電子顕微鏡写真を図3に示す。
本実施形態によって得られる中空樹脂微粒子は、断面が多孔質構造となっていることが観察される。
なお、後述する実施例でも示すが、粒子表面の凹凸構造を有し、かつ、内部に多孔質構造を有する本実施形態の中空樹脂微粒子は、例えば、塗料用途に用いた際に、艶消し効果が優れている。また、アンカー効果により塗膜からの微粒子の脱離抑制の効果も期待できる。
本実施形態に係る中空微粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、0.5〜500μmであってよく、0.5〜100μmであってもよく、1〜50μmであることが特に好ましい。
本実施形態に係る中空微粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定される値である。
本実施形態に係る中空樹脂微粒子は、内部に複数の空孔を有し、粒子内部の一部が中空構造を有していると判断される。
本実施形態に係る中空樹脂微粒子は、表面に凹凸構造を有し、かつ、内部に多孔質構造を有するため、同一組成の一般的な球状樹脂微粒子(例えば、表面が平滑で、内部に多孔質構造や中空構造を持たずに密に形成された粒子)と比較して、例えば、比重が小さく、表面積が大きく、かさ密度が小さい。
[第二実施形態]
本発明の第二実施形態に係る中空樹脂微粒子の製造方法によれば、粒子内部に複数の空孔を有し、粒子表面に凹凸構造がない(表面が平滑な)粒子を得ることができる。
すなわち、本実施形態によれば、粒子表面が平滑で、かつ、粒子内部が多孔質型の中空微粒子を得ることができる。
なお、本実施形態で用いる各構成成分(例えば、界面活性剤A、重合性単量体、油溶性重合開始剤、任意の界面活性剤、任意の分散剤)は、上記第一実施形態と同様である。
そのため、上記第一実施形態と説明が重複する構成成分の説明は、以下省略する。
<重合方法(第二実施形態)>
本実施形態に係る懸濁重合方法の模式図、概略図を図4に示す。
(工程1) 油溶性重合開始剤と重合性単量体4と上記一般式(1)で表された界面活性剤Aの混合液(油溶性重合開始剤−重合性単量体−界面活性剤A混合液、第3混合液)21を調製し、油溶性重合開始剤−重合性単量体−界面活性剤A混合液21をホモミキサー等の撹拌機100を用いて攪拌する。
攪拌された油溶性重合開始剤−重合性単量体−界面活性剤A混合液21中に水(第1の水)6を分散させて、連続相を重合性単量体4、分散層を水6とした分散液13(W/O型(water in oil型)の分散液)を調製する。
すなわち、油溶性重合開始剤−重合性単量体−界面活性剤A混合液21中に水6が分散した分散液13を得る。
(工程2) 工程1の後、第2の界面活性剤または任意の分散剤と水(第2の水)との混合液(第4混合液)7を、撹拌機100で撹拌中の上記分散液13に加えることにより、連続相が水6、分散層が重合性単量体4となるよう相転換(分散相転換)をした懸濁液33(W/O/W型(water in oil in water型)の懸濁液)を製造する。
すなわち、連続相が水6となり、分散層が重合性単量体4となるように調製された(水に重合性単量体が分散した)懸濁液33を得る。
換言すれば、本実施形態においては、前記懸濁液33を調製する際に、(工程1)として、前記界面活性剤と前記重合性単量体と前記油溶性重合開始剤とを含む第3混合液21と、前記水6と、を準備し、前記第3混合液21に水6を加え、(工程2)としてさらに第2の界面活性剤または任意の分散剤と水とを含む第4混合液7を前記第3混合液21に添加することにより前記懸濁液33を調製することができる。
(工程3) さらに、(工程2)の後、当該懸濁液33を重合することによって、内部に複数の空孔を有し、かつ、粒子表面が滑らかな微粒子35(表面が平滑で、内部が多孔質型の中空樹脂微粒子)を製造できる。
[中空樹脂微粒子(第二実施形態)]
本実施形態によって得られる中空樹脂微粒子は、内部に複数の空孔を有し、表面が平滑な構造を有する樹脂微粒子である。
本実施形態によって得られる中空樹脂微粒子の一例として、走査型電子顕微鏡(SEM)にて、撮影した中空樹脂微粒子の表面観察像である電子顕微鏡写真を図5に示す。
本実施形態によって得られる中空樹脂微粒子は、図5に示すように、表面が平滑な構造を有していることが観察される。
また、本実施形態によって得られる中空樹脂微粒子の一例として、走査型電子顕微鏡(SEM)にて、撮影した中空樹脂微粒子の断面観察像である電子顕微鏡写真を図6に示す。
本実施形態によって得られる中空樹脂微粒子は、断面が多孔質構造を有することが観察され、粒子内部に多孔質型の中空構造を有していることがわかる。
なお、後述する実施例でも示すが、内部に多孔質構造を有する本実施形態の中空樹脂微粒子は、例えば、光拡散剤として使用した際、優れた光拡散効果を発揮する。
本実施形態に係る中空微粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、0.5~500μmであってよく、0.5〜100μmであってもよく、1〜50μmであることが特に好ましい。
本実施形態に係る中空微粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定される値である。
本実施形態に係る中空樹脂微粒子は、内部に複数の空孔を有し、粒子内部の一部が中空構造を有していると判断される。
本実施形態に係る中空樹脂微粒子は、同一組成の一般的な球状粒子(例えば、内部に多孔質構造や中空構造を持たずに密に形成された粒子)と比較して、例えば、比重が小さい。
<用途>
上記第一〜第二実施形態に係る製造方法により得られた中空樹脂微粒子の用途は特に限定されないが、塗料、化粧料などの光反射材や液晶バックライト用光拡散板などの光拡散材として用いることができる。
<作用効果>
上記実施形態に係る中空樹脂微粒子の製造方法によって得られた中空樹脂微粒子は、例えば、塗料等に艶消し剤として用いた際に、優れた艶消し効果を示す。また、液晶バックライト用光拡散板などの光拡散材として用いた際、優れた光拡散効果を示す。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例および比較例で製造した粒子について以下に示す。
<実施例1>
(中空樹脂微粒子の調製)
以下に示す手順にて、表1に示す組成にて、実施例1に係る中空樹脂微粒子を調製した。
連続相を水、分散層を重合性単量体(例えば、アクリルモノマー)とした懸濁液を、ホモミキサー等を用いた撹拌によって製造し、その後重合する。
詳細には、以下の通りである。
後に添加する重合性単量体100質量部に対して、界面活性剤である花王製ラテムルPD−104が1.0質量部となり、水が300質量部となるように、ラテムルPD−104と水とを混合した液(第1混合液)を、ホモミキサーを備え付けた容器に投入し、攪拌した。
また、重合性単量体であるアクリルモノマーとして、メタクリル酸メチル90質量部および、二官能(メタ)アクリレートであるエチレングリコールジメタクリレートを10質量部、油溶性開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を、重合性単量体100質量部に対して、1.0質量部となるように混合した液(第2混合液)を調製した。
前記第1混合液に、第2混合液を添加して混合し、さらに攪拌することにより、水中に重合性単量体−開始剤溶液を分散・懸濁させ、O/W(oil in water)型の懸濁液を調製した。
得られた懸濁液を攪拌機、コンデンサ、温度計、窒素導入管を付した4口フラスコに投入し、窒素封入下で75℃まで昇温度し、75℃で4時間反応させた。その度、得られた中空樹脂微粒子−水分散液をろ過し、500質量部の水で洗浄後、60℃で12時間乾燥して中空樹脂微粒子を得た。
(粒子表面および粒子断面の観察)
中空樹脂微粒子を回収し、走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子社製)による粒子表面(図2参照)と粒子断面(図3参照)との観察を行った。
図2に示すように、粒子表面に凹凸構造が観察された。
また、図3に示すように、粒子断面に多孔質構造(多孔質型の一部が中空となった構造)が観察された。
(平均粒子径評価)
また、「レーザー回折式粒度分布測定装置」(島津製作所社製、レーザー回折式粒度分布測定装置)を用いて、中空樹脂微粒子の平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は15μmであった。
(光拡散性の確認試験)
得られた中空樹脂微粒子2.0gとポリメタクリル酸メチル樹脂の40質量%トルエン溶液45gをガラス瓶に投入し、振とう機で30分間混合することで、樹脂トルエン溶液−中空樹脂微粒子分散体を得た。前記分散体を厚さ1mmのガラス板にギャップ150μmのアプリケーターで塗工し、100℃で10分間乾燥し、試験片を得た。得られた試験片の全光線透過率とヘーズとをヘーズメーター(村上色彩技術研究所製)にて測定し、光拡散性を評価した。
表1および表2において、光拡散性試験の結果が良好であった場合を「A」と示し、光拡散性試験の結果が良好でなかった場合を「B」と示した。
光拡散性試験の結果が良好(A評価)とは、試験結果が全光線透過率70%以下かつヘーズ値が40%以上の場合であり、光拡散性の結果が良好でない(B評価)とは、試験結果が前記範囲外の場合(「全光線透過率70%以下かつヘーズ値が40%以上」を満たさない場合)と定義した。
以下の実施例および比較例においても、同様である。
<実施例2>
(中空樹脂微粒子の調製)
重合性単量体を、メタクリル酸メチルを70質量部、アクリル酸ブチルを25部および、二官能(メタ)アクリレートであるエチレングリコールジメタクリレートを5質量部となるように変更した他は、実施例1と同様に、中空樹脂微粒子を調製した。
(粒子表面および粒子断面の観察)
実施例1と同様に、中空樹脂微粒子を回収し、走査型電子顕微鏡による粒子表面と粒子断面との観察を行った。
その結果、実施例1(図2、図3)と同様に、粒子表面に凹凸が観察され、粒子断面に多孔質構造が観察された。
(平均粒子径評価)
実施例1と同様に、中空微樹脂粒子の平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は20μmであった。
(光拡散性の確認試験)
実施例1と同様に、光拡散性の評価を行った。
<実施例3>
(中空樹脂微粒子の調製)
重合性単量体を、メタクリル酸メチルを60質量部、芳香族ビニルモノマーであるスチレンを30質量部、および、二官能(メタ)アクリレートであるエチレングリコールジメタクリレートを10質量部となるように変更した他は、実施例1と同様に、中空樹脂微粒子を調製した。
(粒子表面および粒子断面の観察)
実施例1と同様に、中空樹脂微粒子を回収し、走査型電子顕微鏡による粒子表面と粒子断面との観察を行った。
その結果、実施例1(図2、図3)と同様に、粒子表面に凹凸が観察され、粒子断面に多孔質構造が観察された。
(平均粒子径評価)
実施例1と同様に、中空樹脂微粒子の平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は12μmであった。
(光拡散性の確認試験)
実施例1と同様に、光拡散性の評価を行った。
<実施例4>
(中空樹脂微粒子の調製)
以下に示す手順にて、表1に示す組成にて、実施例4に係る中空樹脂微粒子を調製した。
重合性単量体であるメタクリル酸メチル90質量部および、二官能(メタ)アクリレートであるエチレングリコールジメタクリレートを10質量部に、重合性単量体100質量部に対して、界面活性剤である花王製ラテムルPD−104を0.2質量部となるように、かつ、油溶性開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を1.0質量部となるように添加し、混合液を調製する(第3混合液)。
第3混合液をホモミキサーに入れて、攪拌し、攪拌された第3混合液に、重合性単量体100質量部に対して、水(第1の水)が30質量部となるように水を添加した。これにより、連続相を重合性単量体、分散層を水とした分散液13(W/O型(water in oil型)の分散液)を得た。
次に、重合性単量体100質量部に対して、270質量部となる水(第2の水)、および、1.0質量部となるラテムルPD−104の混合液(第4混合液)を調製した。
次に、第4混合液を、先に調整した上記分散液13に加えて攪拌し、連続相が水、分散層が重合性単量体となるよう相転換をした懸濁液33(W/O/W型(water in oil in water型)の懸濁液)を調製した。
得られた懸濁液を攪拌機、コンデンサ、温度計、窒素導入管を付した4口フラスコに投入し、窒素封入下で75℃まで昇温度し、75℃で4時間反応させた。その度、得られた中空樹脂微粒子−水分散液をろ過し、500質量部の水で洗浄後、60℃で12時間乾燥して中空樹脂微粒子を得た。
(粒子表面および粒子断面の観察)
実施例1と同様に、中空樹脂微粒子を回収し、走査型電子顕微鏡による粒子表面と粒子断面との観察を行った。
その結果、実施例4においては、粒子表面が平滑であり(図5参照)、粒子断面に多孔質構造(図6参照)が観察された。
(平均粒子径評価)
実施例1と同様に、中空樹脂微粒子の平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は18μmであった。
(光拡散性の確認試験)
実施例1と同様に、光拡散性の評価を行った。
<実施例5>
(中空樹脂微粒子の調製)
重合性単量体を、メタクリル酸メチルを70質量部、アクリル酸ブチルを25質量部、および、二官能(メタ)アクリレートであるエチレングリコールジメタクリレートを5質量部となるように変更した他は、実施例4と同様に、中空樹脂微粒子を調製した。
(粒子表面および粒子断面の観察)
実施例1と同様に、中空樹脂微粒子を回収し、走査型電子顕微鏡による粒子表面と粒子断面との観察を行った。
その結果、実施例5においては、実施例4(図5、図6)と同様に、粒子表面が平滑であり、粒子断面に多孔質構造が観察された。
(平均粒子径評価)
実施例1と同様に、中空樹脂微粒子の平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は15μmであった。
(光拡散性の確認試験)
実施例1と同様に、光拡散性の評価を行った。
<実施例6>
(中空樹脂微粒子の調製)
重合性単量体を、メタクリル酸メチルを60質量部、スチレンを30質量部、および、二官能(メタ)アクリレートであるエチレングリコールジメタクリレートを10質量部となるように変更した他は、実施例4と同様に、中空樹脂微粒子を調製した。
(粒子表面および粒子断面の観察)
実施例1と同様に、中空樹脂微粒子を回収し、走査型電子顕微鏡による粒子表面と粒子断面との観察を行った。
その結果、実施例6においては、実施例4(図5、図6)と同様に、粒子表面が平滑であり、粒子断面に多孔質構造が観察された。
(平均粒子径評価)
実施例1と同様に、中空樹脂微粒子の平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は9μmであった。
(光拡散性の確認試験)
実施例1と同様に、光拡散性の評価を行った。
<実施例7>
(中空樹脂微粒子の調製)
以下に示す手順にて、表1に示す組成にて、実施例4に係る中空樹脂微粒子を調製した。
重合性単量体であるメタクリル酸メチル90質量部および、二官能(メタ)アクリレートであるエチレングリコールジメタクリレートを10質量部に対して、界面活性剤である花王製ラテムルPD−104を0.2質量部、油溶性開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を1.0質量部添加し、混合液を調製する(第3混合液)。
ホモミキサーを備え付けた容器に前記第3混合液を入れ、攪拌し、攪拌された第3混合液に対して、水(第1の水)を30質量部添加する。これにより、連続相を重合性単量体、分散層を水とした分散液13(W/O型(water in oil型)の分散液)を得た。
次に、水(第2の水)270質量部、およびポリビニルアルコール1.0質量部からなる混合液(第4混合液)を調製した。
次に、第4混合液を、先に調整した上記分散液13に加え、攪拌することにより、連続相が水、分散層が重合性単量体となるよう相転換をした懸濁液33(W/O/W型(water in oil in water型)の懸濁液)を調製した。
得られた懸濁液を攪拌機、コンデンサ、温度計、窒素導入管を付した4口フラスコに投入し、窒素封入下で75℃まで昇温度し、75℃で4時間反応させた。その度、得られた中微粒子−水分散液をろ過し、500質量部の水で洗浄後、60℃で12時間乾燥して中空微粒子を得た。
(粒子表面および粒子断面の観察)
実施例1と同様に、中空樹脂微粒子を回収し、走査型電子顕微鏡による粒子表面と粒子断面との観察を行った。
その結果、実施例7においては、実施例4と同様に、粒子表面が平滑であり(図7参照)、粒子断面に粒子断面に多孔質構造(図8参照)が観察された。
(平均粒子径評価)
実施例1と同様に、中空樹脂微粒子の平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は13μmであった。
(光拡散性の確認試験)
実施例1と同様に、光拡散性の評価を行った。
<比較例1>
(樹脂微粒子の調製)
界面活性剤Aを花王製ラテムルPD−104からADEKA製アデカリアソープSR−10 1.0質量部になるように変更した他は、実施例1と同様に、樹脂微粒子を調製した。
(粒子表面および粒子断面の観察)
実施例1と同様に、樹脂微粒子を回収し、走査型電子顕微鏡による粒子表面と粒子断面との観察を行った。
その結果、比較例1に係る樹脂微粒子は、球状の単純微粒子であった。すなわち、比較例1に係る微粒子は、粒子表面の凹凸構造および断面の多孔質構造も観察されず、中空樹脂微粒子は得られなかった。
(平均粒子径評価)
実施例1と同様に、微粒子の平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は12μmであった。
(光拡散性の確認試験)
実施例1と同様に、光拡散性の評価を行った。
<比較例2>
(樹脂微粒子の調製)
重合性単量体を、メタクリル酸メチルを70質量部、アクリル酸ブチル25質量部、および、二官能(メタ)アクリレートであるエチレングリコールジメタクリレートを5質量部となるように変更した他は、比較例1と同様に、樹脂微粒子を調製した。
(粒子表面および粒子断面の観察)
実施例1と同様に、樹脂微粒子を回収し、走査型電子顕微鏡による粒子表面と粒子断面との観察を行った。
その結果、比較例2に係る樹脂微粒子は、球状の単純微粒子であった。すなわち、比較例2に係る樹脂微粒子は、粒子表面の凹凸構造および断面の多孔質構造も観察されず、中空樹脂微粒子は得られなかった。
(平均粒子径評価)
実施例1と同様に、微粒子の平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は14μmであった。
(光拡散性の確認試験)
実施例1と同様に、光拡散性の評価を行った。
<比較例3>
(樹脂微粒子の調製)
重合性単量体を、メタクリル酸メチルを60質量部、スチレンを30質量部、および、二官能(メタ)アクリレートであるエチレングリコールジメタクリレートを10質量部となるように変更した他は、比較例1と同様に、樹脂微粒子を調製した。
(粒子表面および粒子断面の観察)
実施例1と同様に、樹脂微粒子を回収し、走査型電子顕微鏡による粒子表面と粒子断面との観察を行った。
その結果、比較例3に係る樹脂微粒子は、球状の単純微粒子であった。すなわち、比較例3に係る樹脂微粒子は、粒子表面の凹凸構造および断面の多孔質構造も観察されず、中空樹脂微粒子は得られなかった。
(平均粒子径評価)
実施例1と同様に、樹脂微粒子の平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は8μmであった。
(光拡散性の確認試験)
実施例1と同様に、光拡散性の評価を行った。
表1、表2中の略号は下記化合物を示す。
「MMA」:メタクリル酸メチル(メチルメタクリレート)
「EGDMA」:エチレングリコールジメタクリレート
「油溶性開始剤」:油溶性重合開始剤
なお、表1、表2中で、各成分における空欄の部分は、無添加(その成分を使用していない)ことを意味する。
以上に示すように、実施例1〜7に係る製造方法により得られた中空樹脂微粒子は、界面活性剤として(1)構造を有さないものを使用した比較例1〜3に係る製造方法によって得られた中空構造を持たない球状樹脂微粒子に比べ優れた光拡散効果を示した。
実施例1〜7の結果によれば、上記一般式(1)で表される界面活性剤を樹脂微粒子の重合に用いることで中空樹脂微粒子を得ることが出来た。
また、実施例1〜7に係る製造方法により得られた中空樹脂微粒子によれば、同一樹脂組成で、中空構造を持たない球状樹脂微粒子に比べ光拡散性に優れるため、光拡散板などの光拡散材として用いた際に、優れた効果が得られると考えられる。
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されない。
本発明の中空樹脂微粒子の製造方法は、簡素な工程において、且つ樹脂設計に自由度を持った中空樹脂微粒子の製造を提供するものである。
1・・・界面活性剤A−水混合液(第1混合液)
2・・・油溶性重合開始剤と重合性単量体との混合液(第2混合液)
3・・・O/W(oil in water)型の懸濁液
4・・・重合性単量体
5・・・中空樹脂微粒子(内部が多孔質、表面に凹凸を有する微粒子)
6・・・水
7・・・第2の界面活性剤または任意の分散剤を含む水(第4混合液)
13・・W/O型(water in oil型)の分散液
21・・油溶性重合開始剤−重合性単量体−界面活性剤A混合液(第3混合液)
23・・W/O型(water in oil型)の分散液
33・・W/O/W型(water in oil in water型)の懸濁液
35・・表面が平滑で、内部が多孔質型の中空樹脂微粒子
100・・・撹拌機

Claims (3)

  1. 中空樹脂微粒子の製造方法であって、
    重合性不飽和炭化水素基を有する重合性単量体を、水を主体とした分散媒に分散させ、懸濁化し、重合させる樹脂微粒子の重合において、少なくとも下記一般式(1)で表される界面活性剤を分散剤として用いることで、粒子内部に複数の空孔を持つ微粒子を得る、
    中空樹脂微粒子の製造方法。
    O−(RO)n(EO)m−T…(1)
    式(1)中、T は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数2〜18のアルケニル基であり、Tは水素原子、スルホン酸基、スルホン酸塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基、アミノ基、またはアンモニウム基であり、ROは炭素数3〜18のオキシアルキレン基であり、nは1〜50の整数であり、EOはオキシエチレン基を示し、mは0〜200の整数である。
  2. 前記一般式(1)で表される前記界面活性剤のTがアルケニル基である、請求項1に記載の中空樹脂微粒子の製造方法。
  3. 前記樹脂微粒子の平均粒子径が0.5〜500μmである、請求項1または2に記載の中空樹脂微粒子の製造方法。
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