JP2020045311A - 紫外線吸収性複合粉体 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた紫外線防御能を有し、使用性、撥水性に優れ、化粧料に好適に用いられる紫外線吸収作用を有する複合粉体、および該複合粉体を含有する化粧料の提供。【解決手段】平均粒子径が0.5〜100μmである有機および無機粉体から選ばれる一次粉体の表面を、式(1)の化合物で被覆してなる、紫外線吸収能を有する複合粉体。【選択図】なし
Description
本発明は、トリアジン型紫外線吸収剤を粉体表面に被覆した複合粉体、および本複合粉体を配合した化粧料に関する。
紫外線は、オゾン層にカットされる200〜280nmのUV−C領域、暴露により皮膚が赤くなる所謂サンバーンを引き起こす280〜320nmのUV−B領域、赤みが引いた後の黒化現象を起こす320〜400nmのUV−A領域に大きく分類することができる。また、UV−A領域はさらに長波長側のUVAI(340〜400nm)と短波長側のUVAII(320〜340nm)に分類される。最近の研究では、UV−A,Bの上述した肌への有害性だけではなく、色素沈着、ドライスキン、肌荒れ、皮膚のたるみにも何らかの影響を及ぼしていると言われている。かかる広く認知されつつある紫外線の有害性に加えて、オゾン層の破壊など環境的要因も加味され、紫外線防御剤の化粧料への需要が高まりつつある。
しかしながら、紫外線を防止する目的で配合させている有機系紫外線吸収剤は、(1)化粧品に汎用される油剤、特にシリコーン類へ溶解性に劣る、(2)使用感がベタツク、(3)光安定性に劣る、(4)経時的に変色や変臭を生じるなどの問題点がある。一方、無機系紫外線散乱剤である微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛は、(1)使用性がギシツク、(2)塗布時白くなる、(3)光触媒作用を有しているなどの問題点を有し、化粧料への配合量が限定されていた。また、化粧品の紫外線防御効果は、汗や水浴時の水により紫外線防御剤が流されることにより、十分な持続性が得られないという課題がある。さらには、単一の紫外線防御剤のみでUV-A,Bの領域を広く防御する紫外線防御剤がほとんどない状況であった。
このような状況下で光安定性に優れ、広範囲な紫外線吸収スペクトルを有したベンゾトリアゾール類を使用した新規の不溶性有機系紫外線吸収剤((2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕))(以後、MBBTと示す)が開発された(特許文献1)。この有機系紫外線吸収剤は、水、化粧品に汎用される油剤に不溶性であり、吸収、散乱、反射により紫外線を防御する。この散乱、反射による紫外線防御効果は、粒子径に依存し、平均粒径が150nm〜200nmで最適な条件となることが知られている。さらに、この有機系紫外線吸収剤は、他の紫外線吸収剤と相乗効果を示し、併用することで著しく防御効果が増大することが知られている。また、本発明者らは、MBBTを利用した、優れた紫外線吸収能を有し、かつ、使用性、透明性に優れた複合粉体を提案した(特許文献2)。
他方、UVAII(320〜340nm)を効果的に吸収し、かつ、広範囲な紫外線吸収スペクトルを有したトリアジン類の不溶性有機系紫外線吸収剤であるトリスビフェニルトリアジン(TBPT)が知られている。トリスビフェニルトリアジンは、その水分散体が、チノソーブ(TINOSORB)(登録商標)A2BとしてBASF社から既に市販されている。チノソーブ(TINOSORB)(登録商標)A2Bは、その微粒子形状のために他の紫外線吸収剤と相乗効果を示すことが知られており、これまでに、トリスビフェニルトリアジンを含む日焼け止め組成物が開示されている(特許文献3、4)。
本発明は、トリスビフェニルトリアジン(TBPT)を利用した、優れた紫外線吸収能を有し、かつ、使用性、撥水性に優れた、複合粉体を提供することを課題とする。さらに、本複合体を配合した高い紫外線防御能を有する化粧料を提供することを課題とする。
即ち本発明は、平均粒子径が0.5〜100μmである有機粉体および無機粉体から選ばれる1種以上の一次粉体の表面を、式(1)の化合物で被覆してなる、紫外線吸収能を有する複合粉体を提供する。
式(1)記載のトリアジン型紫外線吸収剤は、化粧品に汎用される油剤および水に不溶である。本発明の複合粉体は、紫外線吸収能を有し、かつ、使用性、撥水性に優れたものである。
式(1)記載のトリアジン型紫外線吸収剤は、化粧品に汎用される油剤および水に不溶である。本発明の複合粉体は、紫外線吸収能を有し、かつ、使用性、撥水性に優れたものである。
本発明はさらに、本発明の複合粉体を配合した化粧料を提供する。本発明の化粧料は好ましくはさらに酸化チタンを配合する。酸化チタンは、好ましくは微粒子酸化チタンであり、さらにそれらの分散体であってもよい。本発明の複合粉体と酸化チタンとを併用することで、高い紫外線防御作用を発現させることが可能となる。
本発明はさらに、水性媒体中、Al、Mg、Ca、Zn、ZrおよびTiからなる群より選ばれる金属の水溶性塩の存在下で一次粉体、式(1)の化合物を混合し、一次粉体表面上に式(1)の化合物を配向吸着させることを特徴とする、本発明の複合粉体の製造方法を提供する。
本発明の複合粉体は、優れた紫外線防御能を有し、かつ、使用性、撥水性に優れており、化粧料へ配合する上で非常に好ましいものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に使用する式(1)の化合物、即ちトリアジン型紫外線吸収剤は、平均粒径が200nm以下、より好ましくは150〜200nmのものを用いる。かかる粒径のものを用いることにより、高い紫外線防御効果を達成することができる。このようなトリアジン型紫外線吸収剤としては、BASF社から、チノソーブ(TINOSORB)(登録商標)A2Bとして販売されているものが好適に用いられる。チノソーブ(登録商標)A2Bは、式(1)の化合物を平均粒径200nm以下に微細化した微粒子を50%含有する水分散液である。
本発明に使用する式(1)の化合物、即ちトリアジン型紫外線吸収剤は、平均粒径が200nm以下、より好ましくは150〜200nmのものを用いる。かかる粒径のものを用いることにより、高い紫外線防御効果を達成することができる。このようなトリアジン型紫外線吸収剤としては、BASF社から、チノソーブ(TINOSORB)(登録商標)A2Bとして販売されているものが好適に用いられる。チノソーブ(登録商標)A2Bは、式(1)の化合物を平均粒径200nm以下に微細化した微粒子を50%含有する水分散液である。
本発明で使用される平均粒子が0.5〜100μmの粒径を有する有機粉体および無機粉体から選ばれる1種以上の一次粉体とは、一般的に化粧品に使用されている粉体であれば特に制限されない。例えば、タルク、カオリン、セリサイト、白雲母、金雲母、黒雲母、合成雲母、紅雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪ソウ土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、硫酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、窒化ホウ素、セラミクスパウダー等の無機粉末、ナイロンパウダー、シリコンパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリ四弗化エチレンパウダー、ジスチレンベンゼンポリマーパウダー、エポキシパウダー、アクリルパウダー、微結晶性セルロース、ウレタンパウダー等の有機粉体、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛等の白色顔料など適宜選択し使用することができる。好ましくは、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、硫酸バリウムなどの板状形状の粉体を用いると粉体表面に凸凹ができることで、鏡面反射を防止しツヤ感を抑えることができる。また、シリカ、セルロースなどの球状粉体を用いると同じく粉体表面に凹凸ができることで、更に拡散反射効果が強くなり毛穴ぼかし効果などの効果を付与することできる。
一次粉体の粒径は0.5〜100μmが好ましい。より好ましくは1〜50μmである。0.5μm以下では、配向吸着させる不溶性トリアジン型紫外線吸収剤の粒径が200nmであることから、ほとんど紫外線吸収剤が複合化できなくなる。また100μm以上では、複合粉体がざらついた使用感となるため好ましくない。
本発明の複合粉体は、水性媒体中、Al、Mg、Ca、Zn、ZrおよびTiからなる群より選ばれる金属の水溶性塩の存在下で一次粉体、式(1)の化合物を混合し、一次粉体表面上に式(1)の化合物を配向吸着させることによって調製される。本発明の方法において用いられるAl、Mg、Ca、Zn、ZrおよびTiからなる群より選ばれる金属の水溶性塩としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ硫酸チタン、四塩化チタンなどが例示される。入手の容易さや実績より硫酸アルミニウムが好ましい。これらの金属塩は、水溶液として用いられる。
本発明の複合粉体を製造するにあたり、式(1)で示されるトリアジン型紫外線吸収剤の量は、一次粉体及び式(1)で示される化合体からなる複合粉体中1重量%以上35重量%以下が好ましく、更に好ましくは、3重量%以上30重量%以下である。1重量%以下では、紫外線防御作用が劣り、35重量%以上では、トリアジン型紫外線吸収剤自体のぎしついた使用感となり好ましくない。
本発明の複合粉体の製造方法において、式(1)の化合物とAl,Mg,Ca,Zn,Zr,Tiより選ばれる金属塩は、好適には式(1)の化合物の重量に対し、該金属塩が1/4量以上、2倍量以下、より好ましくは1/2量以上、同量以下用いられる。1/4量以下であるとトリアジン型紫外線吸収剤自体がうまく吸着できず、2倍量以上であると金属塩のざらついた使用感となり好ましくない。
本発明の紫外線吸収能を有する複合粉体は、一次粉体の表面上に式(1)の化合物を配合吸着させる。この一次粉体の表面処理方法に関しては、特に制限されず、公知の一般的な方法を用いることができる。一例を挙げれば、まず表面処理の母粉体となる一次粉体を水に分散させる。次に一次粉体と式(1)の化合物の合計量を99〜65重量%とした場合に、1〜35重量%の式(1)で示される不溶性トリアジン化合物を加え、激しく撹拌する。この時点で不溶性トリアジン化合物の一部は、粉体表面に配向吸着する。次いで、Al、Mg、Ca、Zn、Zr、Tiからなる群から選ばれる金属の水可溶性塩の水溶液を、式(1)の化合物の1/4〜2倍量の割合で加える。かかる金属塩の水溶液を加えることで、式(1)の化合物は完全に一次粒子表面に配向吸着する。次いで遠心脱水機などを用い脱水洗浄した後、80〜120℃で乾燥し、目的の紫外線吸収能を有した複合粉体を得ることができる。
このようにして得られた本発明の複合粉体は、粉体表面に均一に式(1)の不溶性トリアジン型紫外線吸収剤が一次粉体に近い状態で存在し、かつ、紫外線吸収剤同士の再凝集がなされない状態となっているため、優れた紫外線吸収能、使用性、撥水性を示し、化粧料への配合成分として好適に使用することができる。
得られた本発明の複合粉体は、そのまま用いても、さらに粒子表面に疎水化処理を施した疎水化処理粉末として用いてもよい。疎水化処理粉末を製造するための疎水化剤としては、シリコーン処理剤、脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル等が挙げられる。シリコーン処理剤としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどの各種のシリコーンオイルや、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどの各種のアルキルシランや、トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランなどの各種のフルオロアルキルシランなどが挙げられる。また、脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ロジン酸、12―ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。また、脂肪酸石鹸としては、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、12―ヒドロキシステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。また、脂肪酸エステルとしては、デキストリン脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの疎水化剤のうち、1種または2種以上を用いて、常法に従い、本複合粉末の疎水化処理を行うことができる。
本発明は更に、本発明の複合粉体を配合してなる化粧料を提供する。本発明の化粧料は複合粉体以外に、必要に応じて通常化粧料に配合される成分を適宜配合することが出来る。本発明の複合粉体と共に配合される成分としては例えば、ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、高級脂肪酸、高級アルコールなどの固形・半固形油分,スクワラン、流動パラフィン、エステル油、ジグリセライド、トリグリセライド、シリコーン油、オリーブ油、アボガド油、ミンク油、などの流動油分,パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン、などのフッ素系油剤,水溶性および油溶性ポリマー,界面活性剤、無機及び有機顔料、シリコーン、金属石けん、レシチン、アミノ酸、コラーゲン、ポリマー、フッ素化合物などで表面処理された無機および有機顔料、タール色素、天然色素など色剤、エタノール、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、PH調整剤、香料、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、水などが例示される。これらは本発明の効果を損なわない質的量的範囲内で配合可能である。
本発明の化粧料は、紫外線吸収剤としてメトキシケイヒ酸オクチルを配合してもよい。
本発明で使用されるメトキシケイヒ酸オクチルは、淡黄色の透明な液体でわずかに特異臭があり化粧品に使用される汎用的な紫外線B波の吸収剤である。具体例としては、商標パルソールMCX(DSMニュートリション社製)、商標ユビナールMC−80(BASF社製)、商標ノムコートTAB(日清オイリオグループ社製)商標エスカロール557(ISP社製)の名称で市販されているものを使用することが出来る。
本発明の化粧料は、特に好適には、紫外線散乱剤として酸化チタンを配合する。本発明の複合粉体と酸化チタンとを併用することにより、より高い紫外線防止効果が期待できる。
本発明で使用される酸化チタンは、白色の粉体で、化粧品に使用される、カバー力に優れた紫外線散乱剤である。白浮きを抑えた微粒子酸化チタンや、これらの分散体も汎用される。具体例としては、商標コスメサーブ WP−40TK(大日本化成社製)の名称で市販されているものを使用することが出来る。
本発明の化粧料は、剤形や製品形態には特に限定されず、パウダーファンデーション、クリーム状ファンデーション、油性ファンデーション、両用ファンデーション、スティックファンデーション、おしろい、アイシャドー、頬紅、口紅などのメイクアップ化粧料、化粧水、乳液、クリームなどの基礎化粧品、ボディーパウダー、ベビーパウダーなどのボディ化粧料などに適応することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、これらはあくまで例示であり、本発明の技術的範囲がこれらにより、限定的に解釈されるものではない。すなわち、本発明が適用される化粧料の種類、その構成成分については、以下の実施例に記載されたものに限定されるものではなく、また、通常化粧料に配合・使用される成分は、すべてなんらの制限なく含有することができる。
実施例1
1L容ビーカーに精製水500gを加え、ディスパーミキサーにて撹拌しながら、タルク(平均粒径7〜11μm)[TALC JA−46R:浅田製粉社製]200gを加えた。これに、TBPT水分散体(有効成分50重量%)[チノソーブ(TINOSORB)(登録商標)A2B:BASF社]を40g加え十分撹拌した。次に20%硫酸アルミニウム水溶液を70g加え、さらに撹拌した。その後、水酸化ナトリウム水溶液にて、PHを中性にしたのを確認後、さらに撹拌した。その後、シリコンエマルション(シリコンKF−96A−50cs(シリコン:信越化学製):60重量%、レオドール TWL−120:4%、水:36%)16.5gを加え、さらに攪拌を続けた。
1L容ビーカーに精製水500gを加え、ディスパーミキサーにて撹拌しながら、タルク(平均粒径7〜11μm)[TALC JA−46R:浅田製粉社製]200gを加えた。これに、TBPT水分散体(有効成分50重量%)[チノソーブ(TINOSORB)(登録商標)A2B:BASF社]を40g加え十分撹拌した。次に20%硫酸アルミニウム水溶液を70g加え、さらに撹拌した。その後、水酸化ナトリウム水溶液にて、PHを中性にしたのを確認後、さらに撹拌した。その後、シリコンエマルション(シリコンKF−96A−50cs(シリコン:信越化学製):60重量%、レオドール TWL−120:4%、水:36%)16.5gを加え、さらに攪拌を続けた。
次いで、遠心脱水機にて脱水し、エタノールにてチノソーブA2Bに含まれる不溶性紫外線吸収剤以外の水溶性成分を洗浄した。この作業を2回繰り返し、100℃にて5時間乾燥し、目的のTBPTを約10重量%吸着した複合粉体225gを得た。尚、複合粉体、チノソーブA2Bの構成を表1に示す。チノソーブA2Bは、紫外線吸収剤を50%含有した水分散体で、紫外線吸収剤以外の成分は複合化処理の洗浄工程で除去される。
比較例1
1L容ビーカーに精製水500gを加え、ディスパーミキサーにて撹拌しながら、タルク(平均粒径7〜11μm)[TALC JA−46R:浅田製粉社製]200gを加えた。これに、MBBT水分散体(有効成分50重量%)[チノソーブ(TINOSORB)(登録商標)M:BASF社]を40g加え十分撹拌した。次に20%硫酸アルミニウム水溶液を70g加え、さらに撹拌した。その後、水酸化ナトリウム水溶液にて、PHを中性にしたのを確認後、さらに撹拌した。その後、シリコンエマルション(シリコンKF−96A−50cs(シリコン:信越化学製):60重量%、レオドール TWL−120(POE(20)ソルビタンモノラウレート:花王ケミカル社):4%、水:36%)16.5gを加え、さらに攪拌を続けた。
1L容ビーカーに精製水500gを加え、ディスパーミキサーにて撹拌しながら、タルク(平均粒径7〜11μm)[TALC JA−46R:浅田製粉社製]200gを加えた。これに、MBBT水分散体(有効成分50重量%)[チノソーブ(TINOSORB)(登録商標)M:BASF社]を40g加え十分撹拌した。次に20%硫酸アルミニウム水溶液を70g加え、さらに撹拌した。その後、水酸化ナトリウム水溶液にて、PHを中性にしたのを確認後、さらに撹拌した。その後、シリコンエマルション(シリコンKF−96A−50cs(シリコン:信越化学製):60重量%、レオドール TWL−120(POE(20)ソルビタンモノラウレート:花王ケミカル社):4%、水:36%)16.5gを加え、さらに攪拌を続けた。
以下、実施例1と同様の方法で、目的のMBBTを約10重量%吸着した複合粉体を得た。尚、複合粉体、チノソーブMの構成を表1に示す。チノソーブMは、紫外線吸収剤を50%含有した水分散体で、紫外線吸収剤以外の成分は複合化処理の洗浄工程で除去される。
試験例1 紫外線防御効果No.1
実施例1および比較例1で得られた複合粉体を複合粉体:トリイソステアリン酸ジグリセリル(コスモール(登録商標) 43V:日清オイリオグループ社)が重量比で2:8になるよう秤量し、ディスパーミキサーで3000rpm、10分間撹拌混合した。次いで、各分散液の吸光度を、分光光度計(U−3010;日立製作所)を用いて250〜700nmの波長を測定した。
図1は、試験例1における測定結果を示している。
実施例1および比較例1で得られた複合粉体を複合粉体:トリイソステアリン酸ジグリセリル(コスモール(登録商標) 43V:日清オイリオグループ社)が重量比で2:8になるよう秤量し、ディスパーミキサーで3000rpm、10分間撹拌混合した。次いで、各分散液の吸光度を、分光光度計(U−3010;日立製作所)を用いて250〜700nmの波長を測定した。
図1は、試験例1における測定結果を示している。
試験例2 紫外線防御効果No.2(in-vitro SPF値およびUVAPF値測定)
実施例1および比較例1で得られた複合粉体を用いて、以下の表2に示した処方に従いクリームを調製した。次いで、HELIOPLATE HD6 (Helio Screen labs.社製)に2mg/cm2になるよう均一に塗布し、SPF Analyzer UV-2000S(Labsphere社製)にてin-vitro SPF値およびUVAPF値の測定を行った。結果を表2に示す。
実施例1および比較例1で得られた複合粉体を用いて、以下の表2に示した処方に従いクリームを調製した。次いで、HELIOPLATE HD6 (Helio Screen labs.社製)に2mg/cm2になるよう均一に塗布し、SPF Analyzer UV-2000S(Labsphere社製)にてin-vitro SPF値およびUVAPF値の測定を行った。結果を表2に示す。
試験例2のクリームの配合量および紫外線防御効果測定結果
(製法)
加熱溶解した油相部(1)〜(8)、(12)に(9)を加え、さらに(10)または(11)を加え、撹拌機にて均一に分散した。別の容器に加熱溶解した水相部(13)〜(17)を油相部に加え乳化後、室温まで冷却し、目的のクリームを得た。
(製法)
加熱溶解した油相部(1)〜(8)、(12)に(9)を加え、さらに(10)または(11)を加え、撹拌機にて均一に分散した。別の容器に加熱溶解した水相部(13)〜(17)を油相部に加え乳化後、室温まで冷却し、目的のクリームを得た。
試験例3 撥水性
実施例1で得られた複合粉体を、精製水に浮かべ、120分後に撥水性を評価した。図2に試験例3における結果を示している。
実施例1で得られた複合粉体を、精製水に浮かべ、120分後に撥水性を評価した。図2に試験例3における結果を示している。
試験例1の結果である図1より、実施例1の複合粉体は比較例1の複合粉体より、紫外線、特にUVAII領域の吸光度が高くなっていることが確認できた。また、試験例2においても、本発明の実施例1の複合粉体を15重量%配合したクリーム(実施例2)は、比較例1の複合粉体を同量配合したクリーム(比較例2)と比較して、高いin vitro SPF値、および、高いUVA・PF値を示した(表2)。実施例2と比較例2のクリームの使用性は両者同等で良好であった。
試験例3の結果である図2より、実施例1の複合粉体は優れた撥水性を有する粉体であることが確認できた。
試験例1〜3から明らかなように、本発明の実施例1の複合粉体は、高い紫外線防御能を示し、また、優れた撥水性を有した。
処方例1 2ウェイケーキファンデーション
(製法)粉体成分(1)〜(8)をヘンシェルミキサー等で混合粉砕した。これに、別の容器にて混合した油剤(9)〜(13)を加え均一になるよう撹拌混合し、その後アトマイザーにて粉砕した。これをアルミ皿にプレス成型して製品を得た。
得られた2ウェイケーキファンデーションは紫外線防御能、使用感触に優れた2ウェイファンデーションであった。
得られた2ウェイケーキファンデーションは紫外線防御能、使用感触に優れた2ウェイファンデーションであった。
処方例2 プレストパウダー
*マツモトマイクロスフェア(商標)M-100(松本油脂製薬社製)
**サンラブリー(登録商標)C(AGCエスアイテック社製)
**サンラブリー(登録商標)C(AGCエスアイテック社製)
(製法)
粉体部(1)〜(7)を混合粉砕して、これをヘンシェルミキサーに移し、油相部(8)〜(11)を加えて均一になるよう撹拌混合し、その後アトマイザーにて粉砕した。これをアルミ皿にプレス成型して製品を得た。
得られたプレストパウダーは、使用感触に優れたプレストパウダーであった。
粉体部(1)〜(7)を混合粉砕して、これをヘンシェルミキサーに移し、油相部(8)〜(11)を加えて均一になるよう撹拌混合し、その後アトマイザーにて粉砕した。これをアルミ皿にプレス成型して製品を得た。
得られたプレストパウダーは、使用感触に優れたプレストパウダーであった。
処方例3 油性ケーキファンデーション
(製法)
粉体部(1)〜(7)をヘンシェルミキサーにて混合し、均一に粉砕する。次ぎに油相部(8)〜(17)を加熱溶解し、粉体部を加え均一に撹拌した。脱泡後トレイにバルクを流し込み、室温まで徐冷し、目的の油性ケーキファンデーションを得た。
得られた油性ケーキファンデーションは、使用感触に優れた油性ケーキファンデーションであった。
粉体部(1)〜(7)をヘンシェルミキサーにて混合し、均一に粉砕する。次ぎに油相部(8)〜(17)を加熱溶解し、粉体部を加え均一に撹拌した。脱泡後トレイにバルクを流し込み、室温まで徐冷し、目的の油性ケーキファンデーションを得た。
得られた油性ケーキファンデーションは、使用感触に優れた油性ケーキファンデーションであった。
処方例4 スティックファンデーション
(製法)
粉体部(12)〜(17)を予めヘンシェルミキサーにて混合する。全量が仕込める容器に油相部(1)〜(11)を秤量し、加熱溶解する。別の容器に水相部(18)〜(22)秤量し加熱溶解する。油相部に粉体部を加え均一に分散させ、水相部を加え乳化後、脱泡後モールドにバルクを流し込み、室温まで徐冷し、目的のスティックファンデーションを得た。
得られたスティックファンデーションは、使用感触に優れたスティックファンデーションであった。
粉体部(12)〜(17)を予めヘンシェルミキサーにて混合する。全量が仕込める容器に油相部(1)〜(11)を秤量し、加熱溶解する。別の容器に水相部(18)〜(22)秤量し加熱溶解する。油相部に粉体部を加え均一に分散させ、水相部を加え乳化後、脱泡後モールドにバルクを流し込み、室温まで徐冷し、目的のスティックファンデーションを得た。
得られたスティックファンデーションは、使用感触に優れたスティックファンデーションであった。
処方例5 W/O乳化型ファンデーション
*レオパール(商標)ISK2(千葉製粉社製)
(製法)
油相部(1)〜(11)に予めヘンシェルミキサーにて撹拌混合した粉体部(12)〜(15)を加え、撹拌機にて均一に分散した。別の容器に水相部(16)〜(20)を加熱溶解する。粉体部を分散させた油相部に水相部を加え乳化後、室温まで冷却し、目的のW/O乳化型ファンデーションを得た。
得られたW/O乳化型ファンデーションは、使用感触に優れたW/O乳化型ファンデーションであった。
油相部(1)〜(11)に予めヘンシェルミキサーにて撹拌混合した粉体部(12)〜(15)を加え、撹拌機にて均一に分散した。別の容器に水相部(16)〜(20)を加熱溶解する。粉体部を分散させた油相部に水相部を加え乳化後、室温まで冷却し、目的のW/O乳化型ファンデーションを得た。
得られたW/O乳化型ファンデーションは、使用感触に優れたW/O乳化型ファンデーションであった。
処方例6 ほほ紅
(製 法)
粉体部(1)〜(5)をヘンシェルミキサーで混合し、これに加熱溶解した油相部(6)〜(9)を混合した、アトマイザーにて粉砕し、中皿に成型しほほ紅を得た。
得られた頬紅は、使用感触に優れたほほ紅であった。
粉体部(1)〜(5)をヘンシェルミキサーで混合し、これに加熱溶解した油相部(6)〜(9)を混合した、アトマイザーにて粉砕し、中皿に成型しほほ紅を得た。
得られた頬紅は、使用感触に優れたほほ紅であった。
処方例7 サンスクリーンクリーム
*: レオパール(商標)KL2(千葉製粉社製)
**:コスメサーブ(商標)WP-60SP(大日本化成社製)
**:コスメサーブ(商標)WP-60SP(大日本化成社製)
(製 法)
加熱溶解した油相部(1)〜(8)に(9)、(10)を加え、撹拌機にて均一に分散した。別の容器に加熱溶解した水相部(11)〜(14)を(1)〜(8)および(9)、(10)に加え乳化後、室温まで冷却し、目的のサンスクリーンクリームを得た。得られたサンスクリーンクリームは、使用感触、透明性に優れたものであった。
加熱溶解した油相部(1)〜(8)に(9)、(10)を加え、撹拌機にて均一に分散した。別の容器に加熱溶解した水相部(11)〜(14)を(1)〜(8)および(9)、(10)に加え乳化後、室温まで冷却し、目的のサンスクリーンクリームを得た。得られたサンスクリーンクリームは、使用感触、透明性に優れたものであった。
処方例8 口紅
(製法)
(1)〜(13)を均一に溶解し、(14)〜(16)を加え、均一に分散させた。脱泡後、モールドに流し込み、冷却後、適当な容器に装着し、目的の口紅を得た。
得られた口紅は、使用感触に優れた口紅であった。
(1)〜(13)を均一に溶解し、(14)〜(16)を加え、均一に分散させた。脱泡後、モールドに流し込み、冷却後、適当な容器に装着し、目的の口紅を得た。
得られた口紅は、使用感触に優れた口紅であった。
処方例9 毛穴隠し化粧下地
*:レオパール(商標)KL2(千葉製粉社製)
**:サンスフェア(登録商標)L-51(AGCエスアイテック社製)
**:サンスフェア(登録商標)L-51(AGCエスアイテック社製)
(製法)
(1)〜(7)を均一に溶解し、(8)〜(9)を加え、均一に分散させる。脱法後、適当な容器に流し込み、室温まで徐冷し、目的の毛穴隠し化粧下地を得た。
得られた毛穴隠し化粧下地は、使用感触に優れたものであった。
(1)〜(7)を均一に溶解し、(8)〜(9)を加え、均一に分散させる。脱法後、適当な容器に流し込み、室温まで徐冷し、目的の毛穴隠し化粧下地を得た。
得られた毛穴隠し化粧下地は、使用感触に優れたものであった。
処方例10 ルースパウダー
*マツモトマイクロスフェア(商標)S-100(松本油脂製薬社製)
(製法)
粉体部(1)〜(7)を混合粉砕して、これをヘンシェルミキサーに移し、油相部(8)〜(11)を加えて均一になるよう撹拌混合し、その後アトマイザーにて粉砕した。これをアルミ皿にプレス成型して製品を得た。
得られたフェイスパウダーは、使用感触に優れたプレストパウダーであった。
粉体部(1)〜(7)を混合粉砕して、これをヘンシェルミキサーに移し、油相部(8)〜(11)を加えて均一になるよう撹拌混合し、その後アトマイザーにて粉砕した。これをアルミ皿にプレス成型して製品を得た。
得られたフェイスパウダーは、使用感触に優れたプレストパウダーであった。
Claims (6)
- 平均粒子径が0.5〜100μmの粒径を有する有機粉体および無機粉体から選ばれる1種以上の粉体表面を、複合粉体中1〜35重量%の量の式(1)で示される化合物で被覆した紫外線吸収能を有する複合粉体。
- 式(1)で示される複素環式化合物の平均粒子径が200nm以下である請求項1記載の複合粉体。
- Al、Mg、Ca、Zn、ZrおよびTiからなる群より選ばれる金属の水溶性塩の存在下で、化合物(1)を粉体表面に配向吸着させることを特徴とする請求項1記載の複合粉体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の複合粉体を含む化粧料。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の複合粉体とメトキシケイヒ酸オクチルとを含む化粧料。
- さらに酸化チタンを含有する、請求項5記載の化粧料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018175264A JP2020045311A (ja) | 2018-09-19 | 2018-09-19 | 紫外線吸収性複合粉体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018175264A JP2020045311A (ja) | 2018-09-19 | 2018-09-19 | 紫外線吸収性複合粉体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020045311A true JP2020045311A (ja) | 2020-03-26 |
Family
ID=69900738
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018175264A Pending JP2020045311A (ja) | 2018-09-19 | 2018-09-19 | 紫外線吸収性複合粉体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020045311A (ja) |
-
2018
- 2018-09-19 JP JP2018175264A patent/JP2020045311A/ja active Pending
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