JP2020041814A - 検知システム、検知方法およびサーバ装置 - Google Patents

検知システム、検知方法およびサーバ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被検査物の機能を損なうことなく、簡易な構成で損傷を検知できる検知システム、検知方法およびサーバ装置を提供する。【解決手段】検知システムは、ベース部材と、複数のセンサと、検知部と、を備える。複数のセンサは、複数の被検査物とベース部材とを接続する部材であって、複数の被検査物から発生する弾性波の波長より厚さが小さい1以上の接続部材を介して伝搬される弾性波を検知する。検知部は、検知された弾性波に基づいて複数の被検査物の異常を検知する。【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、検知システム、検知方法およびサーバ装置に関する。
検査の対象となる構造物(被検査物)を破壊することなく、構造物の損傷を検知する、いわゆる非破壊検査技術が知られている。近年の情報技術の発展に伴い、特に、構造物本来の機能を作動させながら損傷を検知する、いわゆるモニタリング技術の需要が高まっている。その1つとして、内部亀裂の発生、または、内部亀裂の進展に伴い発生する弾性波を、高感度センサにより検出するアコースティック・エミッション(AE:Acoustic Emission)方式により、構造物の損傷を検出する技術が知られている。
特許第4874406号公報 特表2008−536756公報
しかしながら、従来技術では、被検査物の機能を損なうことなく、簡易な構成で損傷を検知することができない場合があった。
実施形態の検知システムは、ベース部材と、複数のセンサと、検知部と、を備える。複数のセンサは、複数の被検査物とベース部材とを接続する部材であって、複数の被検査物から発生する弾性波の波長より厚さが小さい1以上の接続部材を介して伝搬される弾性波を検知する。検知部は、検知された弾性波に基づいて複数の被検査物の異常を検知する。
本実施形態の検知システムの概略構成図。 本実施形態の検知システムの機能構成を示すブロック図。 本実施形態の位置特定方法の例を説明するための図。 本実施形態における位置特定方法の例を説明するための図。 本実施形態における位置特定方法の例を説明するための図。 本実施形態における検知処理のシーケンス図。 接続部材の断面形状の例を示す図。 本実施形態の検知システムの概略構成の他の例を示す図。 本実施形態の検知システムの概略構成の他の例を示す図。 本実施形態の検知システムの概略構成の他の例を示す図。 エネルギー分布を示すコンター図。 本実施形態の検知システムの概略構成の他の例を示す図。 本実施形態の信号処理装置のハードウェア構成図。 本実施形態のサーバ装置のハードウェア構成図。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる検知装置の好適な実施形態を詳細に説明する。
アコースティック・エミッションは、材料の疲労亀裂の進展に伴い発生する弾性波である。AE方式では、この弾性波を、圧電素子を利用したAEセンサにより電圧信号(AE信号)として検出する。AE信号は、材料の破断が生じる前の兆候として検出されるため、AE信号の発生頻度および信号強度は材料の健全性を表す指標として有用である。そのためAE方式によって構造物の劣化の予兆を検出する技術の研究が盛んに行われている。特に石油タンクの腐食診断、および、機械装置の製造工程等においては、AE方式の検出技術が幅広く使用され、またAE方式の検出技術の標準化も行われている。
またAE法で用いられる技術の1つとして、複数のセンサを用いて、それぞれのセンサに到達する弾性波の時刻差を検出することで、発生源の位置を特定する技術(位置標定技術)が知られている。
損傷(異常)を検知する対象となる被検査物は、通常、何らかのシステムにおける所定の機能を担う要素の一部として3次元空間上に複数存在している。また、その空間上の位置は一般的にシステムの制約を受けている。複数の被検査物のうち損傷している被検査物の位置を特定するために、複数の被検査物それぞれに直接センサを設置する構成が考えられる。しかしこのような構成では、例えば被検査物が可動部を有する場合、センサを設置することが、可動部の動作に影響を与える可能性がある。さらに、複数の被検査物それぞれに対してセンサを設置するため、構成が複雑になり、コストが増大する。
また、ある程度離れた箇所に複数のセンサを設置し、位置標定技術により、損傷している被検査物の位置を特定する構成が考えられる。しかし、このような構成では、被検査物からセンサまでの弾性波の伝搬経路は、システムの構造に依存し、複雑になることが一般的である。さらに、経路中に弾性波の伝搬を妨げる構造が存在する場合、発生源の位置を正しく特定することは極めて困難である。
本実施形態にかかる検知システムは、検知対象とする弾性波の波長よりも厚さが小さい部材(接続部材)、および、複数のセンサが備えられる部材(ベース部材)を介して、接続部材に設置される被検査物から発生する弾性波を検知する。波長より厚さが小さい接続部材を用いることにより、接続部材を伝搬する波はいわゆるガイド波となり、少ない減衰で伝搬する。従って、例えば被検査物の個数よりも少ない個数のセンサであっても、弾性波の発生源の位置(損傷した被検査物が接続された接続部材とベース部材との接続位置)を高精度に特定することができる。また、被検査物に直接センサを設置する必要がないため、被検査物の機能を損なう可能性を低減できる。すなわち、被検査物の機能を損なうことなく、簡易な構成で損傷を検知することが可能となる。
図1は、本実施形態の検知システムの概略構成の一例を示す図である。図1は、空間上に複数の被検査物11a〜11cが存在している様子を表している。この被検査物11a〜11cは、例えば可動部を有するような部品であり、図示しないシステムの要素の一部である。被検査物11a〜11cを区別する必要がない場合は単に被検査物11という場合がある。被検査物11の例としては、シート状の部材を搬送するローラーに付属する軸受などが挙げられる。
被検査物11a〜11cは、それぞれ接続部材12a〜12cによってベース部材10に接続される。ベース部材10は、例えば板状の部材である。ベース部材10は、平面状、および、曲面状の部材などが利用できる。またベース部材10は、独立した板面でなくてもよく、球体およびその他の3次元形状体における、比較的平坦な部分をベース部材10として利用することもできる。
ベース部材10の厚さは、弾性波の波長よりも小さくしてもよい。これにより、接続部材12a〜12cとベース部材10の接点を波の発生源として、少ない減衰で放射状に伝搬するガイド波を励起でき、信号検出の信号雑音比(SN比)を向上させることが可能となる。
ベース部材10上には、ベース部材10上を伝搬する振動(弾性波)を検出するセンサ3a〜3dが設けられる。センサ3a〜3dは、同様の構成を備えるため、区別する必要がない場合は単にセンサ3という場合がある。センサ3の個数は4に限られず、2個、3個または5個以上であってもよい。
センサ3には、例えば10kHz〜1MHzの範囲に感度を有する圧電素子が用いられる。センサ3は、周波数範囲内に共振ピークを有する共振型、および、共振を抑えた広帯域型等があるが、種類はいずれでもよい。またセンサ3はプリアンプを内蔵していてもよい。またセンサ3が弾性波を検知する方法は電圧出力型、抵抗変化型および静電容量型等があるが、いずれの検知方法でもよい。
接続部材12a〜12cは、被検査物11とベース部材10とを接続する部材であり、例えば棒状の部材を用いることができる。接続部材12a〜12cは同様の構成を備えるため、区別する必要がない場合は単に接続部材12という場合がある。
接続部材12としては、対象とする弾性波の波長よりも小さい厚さ(径)を有する中実構造、または、弾性波の波長よりも小さい厚さ(板厚)の外殻部を有する中空構造の部材が利用できる。波長より小さい厚さとすることによって、接続部材12を伝わる波は、いわゆるガイド波となり、少ない減衰で接続部材12の長手方向に伝搬する。長手方向に伝搬したガイド波は、ベース部材10との接触部を新たな波の発生源として、ベース部材10を伝わる波に変換される。
ベース部材10を伝わる波は、複数のセンサ3a〜3dに、距離に応じた時間差をもって到達する。時間差と、弾性波の伝搬速度の情報と、を用いることで、ベース部材10上の発生源の位置を特定することができる。このとき特定しているのは、ベース部材10と接続部材12の接点位置(接触部)である。また、弾性波の発生源の多少や、波形の特徴をもとに、損傷の有無を判定することができる。
接続部材12と被検査物11とは、例えば1対1で対応付けられる。接続部材12の接点位置を特定することで、損傷のある被検査物11を同時に特定することができる。1つの接続部材12に対して複数の被検査物11を対応づけてもよい。例えば、1つの接続部材12に対して同軸上に複数の被検査物11を配置してもよい。その場合は、特定されたベース部材10と接続部材12の接点位置1か所に対して、接続部材12上に配置された複数の被検査物11のいずれか1つが損傷していることを検知できる。
図2は、本実施形態の検知システムの機能構成の例を示す図である。本実施形態の検知システムは、センサ3a〜3d、信号処理装置100、および、サーバ装置200を備える。信号処理装置100は、生成部101および通信制御部102を備える。サーバ装置200は、通信制御部201、検知部202、出力制御部203、および、記憶部221を備える。
センサ3a〜3dは、被検査物から発生した弾性波を検知する。センサ3は、弾性波を検知すると、当該弾性波を電圧信号等の検知信号に変換する。センサ3は、検知信号を信号処理装置100に入力する。
信号処理装置100は、センサ3から受け付けた検知信号を増幅する機能を備えてもよい。センサ3に増幅器が内蔵されている場合は、信号処理装置100による増幅処理は省略されてもよい。
生成部101は、センサ3から受け付けた検知信号から、サーバ装置200の検知部202による損傷検知処理で用いられる情報を生成する。生成部101は、検知信号のデータ形式をアナログ形式からデジタル形式に変換する。生成部101は、デジタル形式に変換された検知信号が検知閾値以上である場合、当該検知信号が検知された時刻を示す時刻情報と、当該検知信号の特徴を示す特徴量情報とを生成する。
特徴量情報は、例えば検知信号の波形の振幅[mV]、検知信号の波形の持続時間[usec]、検知信号のゼロクロスカウント数[times]、検知信号の波形のエネルギー[arb.]、および、検知信号の周波数[Hz]等である。
通信制御部102は、サーバ装置200などの外部装置との間の通信を制御する。例えば通信制御部102は、生成部101から特徴量情報と時刻情報とを受け付けると、特徴量情報と時刻情報とをサーバ装置200に送信する。
サーバ装置200の通信制御部201は、信号処理装置100などの外部装置との間の通信を制御する。例えば通信制御部201は、信号処理装置100から、特徴量情報と時刻情報とを受信する(受信部)。通信制御部201は、受信した特徴量情報と時刻情報とを例えば記憶部221に記憶する。
検知部202は、記憶部221から特徴量情報と時刻情報とを読み出し、当該特徴量情報と時刻情報を使用して、損傷した被検査物が接続された接続部材とベース部材との接続位置を検知する。検知部202は、例えば特徴量情報を用いて損傷箇所の損傷度合いを診断してもよい。
記憶部221は、サーバ装置200による各処理で用いられる各種情報を記憶する。例えば記憶部221は、信号処理装置100から受信した特徴量情報および時刻情報を記憶する。記憶部221は、フラッシュメモリ、メモリカード、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、および、光ディスクなどの一般的に利用されているあらゆる記憶媒体により構成することができる。
出力制御部203は、サーバ装置200による各処理による処理結果などの出力を制御する。例えば出力制御部203は、検知部202による検知結果を、図示しない表示装置などに出力(表示)する。出力制御部203による出力方法はこれに限られず、どのような出力方法であってもよい。例えば出力制御部203は、指定された出力先の装置(管理者が利用する装置など)にネットワーク(インターネットなど)を介して検知結果を送信してもよい。
なお図2に示す検知システムの構成は一例であり、適宜変更してもよい。例えばサーバ装置200の機能(検知部202等)は、信号処理装置100内に備えられていてもよい。
次に、弾性波の波長について説明する。一般に、機構部品に用いられる材料は、内部損傷の進展に伴い弾性波を発生することが知られている。被検査物において、損傷が進展することで、弾性波が発生する。
ここで、材料中を伝わる弾性波の伝搬速度vは、その材料(材質)の体積弾性率をκ(Pa)、密度をρ(kg/m)とすると、下記式(1)のように表すことができる。
また、3次元体の場合は、せん断弾性率をGとすると、下記式(2)のように表される。
すなわち、材料中を伝わる弾性波の伝搬速度vは、材料固有の物性値により決定される。また、損傷に伴い発生する弾性波(AE波)は、金属材料であれば100kHz〜1MHz程度、コンクリートであれば10kHz〜50kHz程度の周波数成分を持つ。すなわち、対象とする部材の材料によって、概ね対象とする弾性波の波長が決定される。
従って、接続部材12およびベース部材10の厚さは、被検査物の材料によって決定される弾性波の波長に応じて決定することができる。
次に、センサ3の検知した弾性波を用いた位置特定方法について説明する。図3は、本実施形態の位置特定方法の例を説明するための図(1次元の場合)である。この場合、少なくとも2つのセンサ3a、3bが備えられていればよい。
以下、センサ3aおよびセンサ3bの間で被検査物の亀裂が生じ、この亀裂による弾性波をセンサ3aおよびセンサ3bが検出する場合について説明する。センサ3aおよびセンサ3bとの距離をlとする。またセンサ3aおよびセンサ3bとの中間点から亀裂までの距離をΔxとする。センサ3bがT秒後に弾性波を検出し、センサ3aがT+Δt秒後に弾性波を検出した場合、時間差情報Δtは下記式(3)により表すことができる。
時間差情報Δtは、例えば、各センサ3からの検知信号に対応する特徴量情報および時刻情報から算出できる。例えば、類似する特徴量情報に対応する時刻情報の差分により、時間差情報Δtを算出することができる。従って、センサ3aとセンサ3bとの距離l、および、弾性波の伝搬速度vが既知であれば、算出された時間差情報Δtと式(3)から、センサ3aおよびセンサ3bとの中間点から亀裂までの距離Δxを算出することができる。すなわち検知部202は、時間差情報Δtから亀裂(弾性波の発生源)の位置情報を特定することができる
次に2次元の場合について簡単に説明する。図4および図5は、本実施形態における位置特定方法の例を説明するための図(2次元の場合)である。図4は、被検査物に亀裂が生じ、この亀裂による弾性波が伝搬速度v[m/s]でセンサ3a〜3dのそれぞれに到達する場合の例を示す。このときセンサ3a〜3dのそれぞれに弾性波が到達する時刻は、センサ3a〜3dのそれぞれで異なる。弾性波の受信時刻の時間差がわかると、図5に示されるように、センサ3a〜3dのそれぞれを中心とした円周ARC_a(半径Ta)、円周ARC_b(半径Tb)、円周ARC_c(半径Tc)、および、円周ARC_d(半径Td)上に弾性波の発生源があると推定できる。すなわち検知部202は、円周ARC_a〜ARC_dの交点を、弾性波の発生源の位置情報として特定することができる。
一般に、次元数+1個のセンサ3を用いることにより、弾性波の発生源の位置を特定することができる。従って3次元の場合、少なくとも4個のセンサ3を用いることにより、弾性波の発生源の位置を特定することができる。またセンサ3の数が多い程、位置情報の特定精度を向上させることができる。
次に、本実施形態にかかる検知システムによる損傷検知処理について説明する。図6は、本実施形態における検知処理の一例を示すシーケンス図である。
センサ3は、弾性波を検知すると、AE信号を信号処理装置100に送信する(ステップS101)。信号処理装置100(生成部101)は、AE信号から特徴量情報および時刻情報を生成する(ステップS102)。信号処理装置100(通信制御部102)は、生成された特徴量情報および時刻情報を、サーバ装置200に送信する(ステップS103)。サーバ装置200(検知部202)は、送信された特徴量情報および時刻情報を用いて、異常(損傷)が発生した被検査物に対応する接続部材12とベース部材10との接触部の位置を検知する(ステップS104)。その後、出力制御部203が、検知結果を表示装置などに出力してもよい。
次に、接続部材12の形状について説明する。図7は、接続部材12の断面形状の例を示す図である。断面701〜705は、接続部材12が中実構造の場合の断面の例を示す。断面701〜705は、それぞれ接続部材12の断面形状が、円、正三角形、正四角形、正五角形、および、正六角形である例を示す。例えば円の直径、三角形の高さ、および、多角形の対角線の長さのうち最大値を厚さとし、この厚さが弾性波の波長よりも小さくなるような接続部材12を用いることができる。
断面711〜715は、接続部材12が中空構造の場合の断面の例を示す。断面711〜715は、それぞれ接続部材12の中空部および中空部を囲む外殻部の断面形状が、円、正三角形、正四角形、正五角形、および、正六角形である例を示す。外殻部の厚さが弾性波の波長よりも小さくなるような接続部材12を用いることができる。
断面721、722は、鉄道のレールに用いられる部材などを接続部材12とする場合の断面の例を示す。
接続部材12の形状は図7に示す例に限られず、弾性波の波長より厚さが小さくなるような部材であれば、どのような形状であってもよい。例えば、楕円、および、図7以外の三角形、四角形、五角形、六角形を含む多角形の断面形状となる接続部材12を用いてもよい。また、接続部材12は、少なくとも一部が曲がった形状であってもよいし、棒状でない部材であってもよい。
次に、図1以外の適用例について説明する。図8、図9−1、図9−2および図11は、本実施形態の検知システムの概略構成の他の例を示す図である。
図8は、ベルト状のシート53を搬送するローラーの軸受51a〜51cを被検査物とした例を示す。図8は、例えば空間上に複数の被検査物である軸受51a〜51cが存在する様子を表している。軸受51a〜51cは、図示しないベルト搬送システムの要素の一部である。軸受51a〜51cのそれぞれと、ベース部材50とは、接続部材52a〜52cによって接続される。接続部材52a〜52cは、例えばφ20mmの中実構造の丸棒である。
軸受51a〜51cを区別する必要がない場合は、単に軸受51という場合がある。接続部材52a〜52cを区別する必要がない場合は、単に接続部材52という場合がある。図1と同様に、1つの接続部材52に対して同軸上に複数の軸受51が配置されていてもよい。
接続部材52とベース部材50とは、例えばネジ締結により接続される。接続方法はネジ締結に限られず、溶接または接着であってもよい。また接続部材52とベース部材50との間には、弾性波の伝搬を促すためのカップリング部材が存在していてもよい。
軸受51の損傷より弾性波が発生すると、接続部材52を介して弾性波が伝搬する。接続部材52として、対象とする弾性波の波長よりも小さい径を有する中実構造の部材を用いることによって、接続部材52を伝わる波はいわゆるガイド波となり、少ない減衰で接続部材52の長手方向に伝搬する。長手方向に伝搬したガイド波はベース部材50との接触部を新たな波の発生源として、ベース部材50を伝わる波に変換される。
図8のように構成することで、被検査物である軸受51が本来有するベルト搬送の機能に影響を与えることなく、軸受51を含むベルト搬送システムを稼働させながら、損傷した軸受51を検知することが可能となる。
図9−1および図9−2は、軸受を被検査物とする他の例を示す。図9−1は、検知システムを側面から観察した図を示す。図9−2は、検知システムを上面から観察した図を示す。図9−1および図9−2の例では、4つの軸受51a〜51dが被検査物である。以下では、軸受51dが損傷していると仮定する。
接続部材52a〜52dは、それぞれ軸受51a〜51dが取り付けられた、例えばΦ20mmの中実構造の丸棒であり、ベース部材50に対してネジ締結されている。
センサ3a〜3dは、ベース部材50の四隅に配置されている。
軸受51a〜51dが回転すると、損傷した軸受51dから弾性波が発生する。弾性波は、接続部材52dを介してベース部材50へ伝搬し、各センサ3a〜3dへ到達する。例えば検知部202は、各センサ3a〜3dに弾性波が到達する時刻の差から、ベース部材50上の発生源の位置を算出することができる。
また検知部202は、センサ3a〜3dで検出した信号のエネルギーを元に、ベース部材50上のエネルギー分布を求めることができる。図10は、エネルギー分布を示すコンター図の例である。図10では、右下の白を多く含む領域が、他の領域よりエネルギーが大きいことが示されている。このように、ベース部材50上のエネルギーが大きい位置と、損傷した被検査物の位置はよく一致している。これは、損傷した被検査物が検出できていることを示している。
図11は、配管を接続する部材である配管ジョイント61a〜61cを被検査物とした例を示す。図11は、空間上に複数の被検査物である配管ジョイント61a〜61cが存在している様子を表している。配管ジョイント61a〜61cは、図示しない配管システムの要素の一部である。配管ジョイント61a〜61cそれぞれと、ベース部材60とは、接続部材62a〜62cによって接続される。接続部材62a〜62cは、例えばφ20mmの中空の配管である。
配管ジョイント61a〜61cを区別する必要がない場合は、単に。配管ジョイント61という場合がある。接続部材62a〜62cを区別する必要がない場合は、単に接続部材62という場合がある。図1と同様に、1つの接続部材62に対して複数の配管ジョイント61が配置されていてもよい。
接続部材62とベース部材60とは、例えばフランジを介したネジ締結により接続される。接続方法はネジ締結に限られず、溶接または接着であってもよい。また接続部材62とベース部材60との間には、弾性波の伝搬を促すためのカップリング部材が存在していてもよい。
配管ジョイント61の損傷より弾性波が発生すると、接続部材62を介して弾性波が伝搬する。接続部材62として、対象とする弾性波の波長よりも小さい厚さを有する中空構造の部材を用いることによって、接続部材62を伝わる波はいわゆるガイド波となり、少ない減衰で接続部材62の長手方向に伝搬する。長手方向に伝搬したガイド波はベース部材60との接触部を新たな波の発生源として、ベース部材60を伝わる波に変換される。
図11のように構成することで、被検査物である配管ジョイント61が本来有する機能に影響を与えることなく、配管ジョイント61を含む配管システムを稼働させながら、損傷した配管ジョイント61を検知することが可能となる。配管ジョイント61を被検査物として説明したが、配管である接続部材62自体を被検査物としてもよい。
以上説明したとおり、本実施形態によれば、被検査物の機能を損なうことなく、簡易な構成で損傷を検知することが可能となる。
次に、本実施形態の各装置(信号処理装置100、サーバ装置200)のハードウェア構成の例について説明する。
図12は、本実施形態の信号処理装置100のハードウェア構成の例を示す図である。本実施形態の信号処理装置100は、制御装置501、主記憶装置502、補助記憶装置503および通信I/F(インタフェース)504を備える。制御装置501、主記憶装置502、補助記憶装置503および通信I/F504は、バス505を介して接続されている。
制御装置501は、補助記憶装置503から主記憶装置502に読み出されたプログラムを実行する、CPU(Central Processing Unit)などの装置である。主記憶装置502は、ROM(Read Only Memory)およびRAM等のメモリである。補助記憶装置503は、メモリカード等である。
通信I/F504は、サーバ装置200等と通信するためのインタフェースである。
本実施形態の信号処理装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、メモリカード、CD−RおよびDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されてコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供される。
また本実施形態の信号処理装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また本実施形態の信号処理装置100で実行されるプログラムをダウンロードさせずにインターネット等のネットワーク経由で提供するように構成してもよい。
また本実施形態の信号処理装置100のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
本実施形態の信号処理装置100で実行されるプログラムは、上述した図2の信号処理装置100の機能ブロックのうち、プログラムによっても実現可能な機能ブロックを含むモジュール構成となっている。当該各機能ブロックは、実際のハードウェアとしては、制御装置501が記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、上記各機能ブロックが主記憶装置502上にロードされる。すなわち上記各機能ブロックは主記憶装置502上に生成される。
なお上述した各機能ブロックの一部または全部をソフトウェアにより実現せずに、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよい。
また複数のプロセッサを用いて各機能を実現する場合、各プロセッサは、各機能のうち1つを実現してもよいし、各機能のうち2以上を実現してもよい。
図13は、本実施形態のサーバ装置200のハードウェア構成の例を示す図である。本実施形態のサーバ装置200は、制御装置601、主記憶装置602、補助記憶装置603、表示装置604、入力装置605および通信I/F606を備える。制御装置601、主記憶装置602、補助記憶装置603、表示装置604、入力装置605および通信I/F606は、バス607を介して接続されている。
制御装置601は、補助記憶装置603から主記憶装置602に読み出されたプログラムを実行する、CPUなどの装置である。主記憶装置502は、ROMおよびRAM等のメモリである。補助記憶装置603は、HDDおよびメモリカード等である。図2の記憶部221は、例えば主記憶装置602および補助記憶装置603に対応する。
表示装置604は、サーバ装置200の状態等を表示する。表示装置604は、例えば液晶ディスプレイ等である。入力装置605は、サーバ装置200を操作するためのインタフェースである。入力装置605は、例えばキーボードやマウス等である。サーバ装置200がスマートフォンおよびタブレット型端末等のスマートデバイスの場合、表示装置604および入力装置605は、例えばタッチパネルである。通信I/F606は、信号処理装置100等と通信するためのインタフェースである。
本実施形態のサーバ装置200で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、メモリカード、CD−RおよびDVD等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されてコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供される。
また本実施形態のサーバ装置200で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また本実施形態のサーバ装置200で実行されるプログラムをダウンロードさせずにインターネット等のネットワーク経由で提供するように構成してもよい。
また本実施形態のサーバ装置200のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
本実施形態のサーバ装置200で実行されるプログラムは、上述した図2のサーバ装置200の機能ブロックのうち、プログラムによっても実現可能な機能ブロックを含むモジュール構成となっている。当該各機能ブロックは、実際のハードウェアとしては、制御装置601が記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、上記各機能ブロックが主記憶装置602上にロードされる。すなわち上記各機能ブロックは主記憶装置602上に生成される。
なお上述した図2の各機能ブロックの一部または全部をソフトウェアにより実現せずに、IC等のハードウェアにより実現してもよい。
また複数のプロセッサを用いて各機能を実現する場合、各プロセッサは、各機能のうち1つを実現してもよいし、各機能のうち2以上を実現してもよい。
また本実施形態のサーバ装置200の動作形態は任意でよい。本実施形態のサーバ装置200を、例えばネットワーク上のクラウドシステムとして動作させてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
3a〜3d センサ
10、50、60 ベース部材
11a〜11c 被検査物
12a〜12c、52a〜52d、62a〜62c 接続部材
51a〜51d 軸受
61a〜61c 配管ジョイント
100 信号処理装置
101 生成部
102 通信制御部
200 サーバ装置
201 通信制御部
202 検知部
203 出力制御部
221 記憶部

Claims (10)

  1. ベース部材と、
    複数の被検査物と前記ベース部材とを接続する部材であって、複数の前記被検査物から発生する弾性波の波長より厚さが小さい複数の接続部材を介して伝搬される前記弾性波を検知する、前記ベース部材に備えられる複数のセンサと、
    検知された前記弾性波に基づいて複数の前記被検査物の異常を検知する検知部と、
    を備える検知システム。
  2. 前記接続部材は、厚さが前記波長より小さい中実構造、または、外殻部の厚さが前記波長より小さい中空構造である、
    請求項1に記載の検知システム。
  3. 前記ベース部材の厚さは、前記波長よりも小さい、
    請求項1に記載の検知システム。
  4. 複数の前記接続部材それぞれは、複数の前記被検査物のうちいずれか1つを前記ベース部材に接続する、
    請求項1に記載の検知システム。
  5. 複数の前記接続部材のうち少なくとも1つは、複数の前記被検査物のうち2以上を前記ベース部材に接続する、
    請求項1に記載の検知システム。
  6. 複数の前記被検査物は、前記接続部材に設置される軸受である、
    請求項1に記載の検知システム。
  7. 前記接続部材は、配管であり、
    複数の被検査物は、前記配管を他の部材と接続する部材である、
    請求項1に記載の検知システム。
  8. 前記検知部は、複数の前記センサに前記弾性波が到達した時刻の差に基づいて、異常が生じた前記被検査物が接続された前記接続部材と前記ベース部材との接続位置を特定する、
    請求項1に記載の検知システム。
  9. 複数の被検査物とベース部材とを接続する部材であって、複数の前記被検査物から発生する弾性波の波長より小さい厚さである1以上の接続部材を介して伝搬される前記弾性波を、前記ベース部材に備えられる複数のセンサにより検知するステップと、
    検知された前記弾性波に基づいて複数の前記被検査物の異常を検知するステップと、
    を含む検知方法。
  10. 複数の被検査物とベース部材とを接続する部材であって、複数の前記被検査物から発生する弾性波の波長より小さい厚さである1以上の接続部材を介して伝搬される前記弾性波を検知する、前記ベース部材に備えられる複数のセンサから前記弾性波の検知情報を受信する受信部と、
    検知された前記弾性波に基づいて複数の前記被検査物の異常を検知する検知部と、
    を備えるサーバ装置。
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