JP2020041210A - 高耐久性銀めっきフープ材 - Google Patents

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裕之 永安
Hiroyuki Nagayasu
裕之 永安
木内 寛
Hiroshi Kiuchi
寛 木内
都丸 幸一
Koichi Tomaru
幸一 都丸
輝美 大久保
Terumi Okubo
輝美 大久保
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Abstract

【課題】電子デバイス等におけるスイッチやコネクタには母材に銅及び銅合金を使用した銀めっき接点材が使用されているが、該銀めっき膜の耐摩耗性や耐久性に不足など多くの課題があった。【解決手段】少なくとも片側の面に銀めっきを施した銅合金材を圧延処理することによってごく表層銀膜を形成して、耐摩耗性および耐久性に優れた銅合金銀層複合材を得ることができた。【選択図】図8

Description

本発明は、表面の摺動強度に優れた銀による層を有する銅合金銀層複合材、並びに当該銅合金銀層複合材の製造方法に関するものであり、例えば、スイッチやコネクタのような電気的に良好な導電性、および摺動性や耐久性に優れた特性を求められる用途に適した銅合金銀層複合材に関する。
近年において、多くの輸送機器は電子制御化が急速に進展しており、極めて多くの電子回路による部品や信号伝達用のケーブル類や電源ケーブルなどが活用されている。また、将来的にはハイブリッド車やEV車などのような、さらに多くの電気機器や信号伝達ケーブルを必須とする技術的展開が想定される。このような電子機器類では多くのコネクタ類やスイッチ類には銅合金を使用した銅合金銀層複合材が使用される。
これらのコネクタ類やスイッチ類に使用される銀めっきに求められる特性は、コネクタ類の接触部分に対する摺動特性や、スイッチの入り/切り操作による耐久性など、銀めっき膜の摩耗や削れなどに対する優れた特性が求められる。
従来からの銅合金銀層複合材として銀めっきを施した銅合金銀層複合材が製品化されているが、表面に凹凸があるため局所的な電気伝導性がばらついたり、耐摩耗性が劣るなどが課題となっていた。
特開2006−155899号公報
本発明は上記近年の要望に鑑み、課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果なされたものであり、摩耗に対して優れた高耐摩耗性を有し、また擦れに対して優れた摺動性を示す銅合金銀層複合材並びにその製造方法を提供するものである。
本発明の基本的な考え方は、次のとおりである。即ち、銅合金材に導電性に優れた銀めっき膜を設け、該銀めっき膜のごく表面に摩耗に対して優れた高耐摩耗性を有し、また擦れに対して優れた摺動性を示すごく表層銀膜を有する銅合金銀層複合材を提供すること、および、該ごく表層銀膜を有する銅合金銀層複合材を製造する方法を提供することである。
本特許願いの請求項1の発明は、銅合金材の少なくとも片側に導電性に優れた銀めっき膜を設け、該銀めっき膜のごく表面に摩耗に対して優れた高耐摩耗性を有し、また擦れに対して優れた摺動性を示すごく表層銀膜を形成したことを特徴とする銅合金銀層複合材を提供することである。
本特許願いの請求項2の発明は、銅合金材の少なくとも片側に導電性に優れた銀めっき膜を設け、該銀めっき膜のごく表面に摩耗に対して優れた高耐摩耗性を有し、また擦れに対して優れた摺動性を示すごく表層銀膜を形成したことを特徴とする銅合金銀層複合材であり,該ごく表層銀膜の厚さが好ましくは0.3マイクロメーロル以下であること特徴とする銅合金銀層複合材を提供することである。
本特許願いの請求項3は、銅合金材の少なくとも片側に導電性に優れた銀めっき膜を設け、該銀めっき膜のごく表面に摩耗に対して優れた高耐摩耗性を示し、また擦れに対して優れた摺動性を示すごく表層銀膜を形成した銅合金銀層複合材を製造する方法を提供することである。
本発明の作用は、銅合金材の少なくとも片側に設けられた導電性に優れるが比較的柔らかく、また摺動性や耐朽性に劣る銀めっき膜について、そのごく表面に摩耗に対して優れた高耐摩耗性を示し、また擦れに対して優れた摺動性を示すごく表層銀膜を形成し、銀めっき膜に優れた摺動性や優れた耐朽性を付与する作用である。
本発明の作用は、銅合金材の少なくとも片側に設けられた導電性に優れるが比較的柔らかく、また摺動性や耐朽性に劣る銀めっき膜について、圧延処理を実施することにより、該銀めっき膜のごく表面に摩耗に対して優れた高耐摩耗性を示し、また擦れに対して優れた摺動性を示すごく表層銀膜を形成し、銀めっき膜に優れた摺動性や優れた耐朽性を有する銅合金銀層複合材を製造する作用である。
銅合金材の少なくとも片側に導電性に優れた銀めっき膜を設け、該銀めっき膜のごく表面に摩耗に対して優れた高耐摩耗性を有し、また擦れに対して優れた摺動性を示すごく表層銀膜を有する銅合金銀層複合材であり、また、該銅合金銀層複合材を製造することができる。
圧延処理を施した銅合金銀層複合材の表面を観察した電子顕微鏡像 銅合金銀層複合材の表面を観察した電子顕微鏡像 圧延処理を施した銅合金銀層複合材の断面を観察したSIM像 圧延処理を施した銅合金銀層複合材の断面を観察したSIM像(拡大像) 銅合金銀層複合材の断面を観察したSIM像 銅合金銀層複合材の断面を観察したSIM像(拡大像) 銅合金銀層複合材および圧延処理を施した銅合金銀層複合材の摩擦抵抗測定結果 実施例1および比較例1の耐久性評価結果
以下、本発明の銅合金銀層複合材についてより詳細に説明する。本発明の銅合金銀層複合材銅合金の少なくとも片側に銀めっきを施す。この銀めっきの方法としては特に限定されないが、アルカリ性シアン化銀めっき浴、アルカリ性非シアン銀めっき浴を利用できる。また、密着不良の改善のために、銀ストライクめっきを施すこともできる。さらに、より密着性が良くなるニッケル浴で下地めっきを施すこともできる。
本発明請求項1に示すように、この銅合金銀層複合材の銀めっき層のごく表面に、摩耗に対して優れた高耐摩耗性を示し、また擦れに対して優れた摺動性を示すごく表層銀膜によって、銀めっき膜に優れた摺動性や優れた耐朽性を付与することができる。
本発明請求項2に示すように、この銅合金銀層複合材の銀めっき層のごく表面に、摩耗に対して優れた高耐摩耗性を示し、また擦れに対して優れた摺動性を示す厚さ0.3マイクロメートル以下のごく表層銀膜によって、銀めっき膜に優れた摺動性や優れた耐朽性を付与することができる。
本発明の請求項3に示すように、この銅合金銀層複合材に対して圧延処理を行うことによって、銀めっき層のごく表面に摩耗に対して優れた高耐摩耗性を示し、また擦れに対して優れた摺動性を示すごく表層銀膜を形成することができ、銀めっき膜に優れた摺動性や優れた耐朽性を有する銅合金銀層複合材を製造する方法を提供することができる。
なお、本発明は既述の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更することができる。
以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は、本明細書に示した実施例に限定されるものではない。
本明細書に示すように銅合金板を用いて銀めっき膜を構成した。用いた銅合金は厚さ0.3mmのリン青銅(C5111,組成:錫3.5〜4.5%、リン0.03〜0.35%、残りが銅)であり、本銅合金の片側に0.001mmの銀めっき膜(シアン浴銀めっき)を形成した。作製した銅合金銀層複合材を比較例1とする。
上記のように作製した銅合金銀層複合材を用いて圧延処理を施した。ステンレス製圧延ロール(30mmφ)の間隔を0.285mm(圧延率5%)に調整して毎分10mの速度で圧延処理した。なお、ロールの回転速度は1%の差動に調整した。
図1に実施例1、すなわち圧延処理を行なった銅合金銀層複合材の表面電子顕微鏡像を示す。また、図2に比較例1、すなわち銀めっき膜を形成した銅合金銀層複合材の表面電子顕微鏡像を示す。図1および図2から圧延処理によって銀めっき膜が圧縮されて良好な表面が形成されていることが確認される。
図3に比較例1の断面を走査イオン顕微鏡で観察した像を示す。また、図4にはさらに拡大した走査イオン顕微鏡像を示す。図3および図4から銀めっき膜の表面が凹凸状態になっていることが確認される。
図5に実施例1の断面を走査イオン顕微鏡で観察した像を示す。また、図6にはさらに拡大した走査イオン顕微鏡像を示す。図5および図6から銀めっき膜の表面が平滑な状態になっていることが確認される。また、図6から銀めっき膜の極表層部に厚さ約0.2マイクロイメートルのごく表層銀膜が形成されていることが確認される。
図7に実施例1および比較例1の摩擦抵抗値を測定した結果を示す。図7に示すように比較例1の摩擦抵抗値は大きくばらついていることがわかる。実施例1では、摩擦抵抗値は概ね一定値になっていることがわかる。このような差は、図1および図2の電子顕微鏡像に示されたように銅合金銀層複合材の銀めっき膜表面状態の差と一致している。
図8に実施例1および比較例1の耐久性試験結果を示す。耐久性は鋼球を圧子として用いて100gの荷重を設定し、摺動試験を行なった(摺動式摩擦試験装置 HHS―2000(新東科学株式会社))。図8より実施例1すなわち本明細書に示すように圧延処理を行い、その成果としてごく表層銀膜が形成されている成果として、10万回を超える耐久性を示していることが確認された。本実施例に対する比較例1すなわち圧延処理を行っていない銀めっき膜では、約2.6万回で銀めっき膜が破損したことを確認した。
発明の効果
本発明によれば、銅合金銀層複合材の銀めっき層のごく表面に、圧延処理によって、摩耗に対して優れた高耐摩耗性を示し、また擦れに対して優れた摺動性を示すごく表層銀膜を形成することが示された。銀めっき層のごく表面にごく表層銀膜を形成することにより優れた高耐摩耗性と優れた耐久性を示す銅合金銀層複合材を提供することが可能となり、多くの電子デバイスにおける接点部材として活用可能である。

Claims (3)

  1. 銅合金板の少なくとも片方の面に銀の層を設けたことを特徴とする銅合金銀層複合材であり、該銀の層の表面に平滑層を有することを特徴とする銅合金銀層複合材。
  2. 銅合金板の少なくとも片方の面に銀の層を設けたことを特徴とする銅合金銀層複合材であり、該銀の層の表面に厚さ0.3マイクロイメートル以下の平滑層を有することを特徴とする請求項1示された銅合金銀層複合材。
  3. 銅合金銀層複合材の製造方法であって、銅合金板の少なくとも片方の面にめっきにより銀の層を設ける銀めっき工程と、この銀めっき工程により作成した銅合金銀層複合材を圧延する圧延工程を行い、該圧延工程によって銀めっき層の表面に平滑層を形成することを特徴とする銅合金銀層複合材の製造方法。
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