JP2020041039A - 鮮度保持フィルム、鮮度保持シート及び包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながらこの手段では、揮発性であるがゆえ、樹脂の成形工程でかかる熱などの影響により、抗菌成分が揮散、または、変質してしまい、抗菌作用が低下するという欠点があった。更に、成形後も抗菌成分の揮散は起こりやすく、放出コントロールが難しいという欠点もあった。
樹脂層に揮発性の抗菌成分を担持した担持体粒子が配合されてなる鮮度保持フィルムであって、前記鮮度保持フィルムの表面に凹凸構造を有することを特徴とする鮮度保持フィルムである。
前記鮮度保持フィルムの表面凹凸構造が、突起部の集合からなり、隣接する突起部間の距離d1の算術平均が1μm以上50μm以下であり、突起部の高さh1の算術平均が1μm以上30μm以下である鮮度保持フィルムである。
前記鮮度保持フィルムの表面凹凸構造が、畝部の集合からなり、隣接する畝部間の距離d2の算術平均が1μm以上50μm以下であり、畝部の幅wの算術平均が10μm以上50μm以下であり、畝部の高さh2の算術平均が1μm以上30μm以下である鮮度保持フィルムである。
前記揮発性の抗菌成分が、植物、きのこ、微生物のいずれかに由来する天然成分である、鮮度保持フィルムである。
前記担持体が、シリカ、活性炭、ゼオライト、鉱物、金属、金属酸化物のいずれかである、鮮度保持フィルムである。
前記担持体10重量部に対し、前記揮発性の抗菌成分の添加量が、5重量部〜10重量部である、請求項1〜5のいずれかに記載の鮮度保持フィルムである。
前記揮発性の抗菌成分を担持した担持体粒子の安息角が、20°以上40°以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の鮮度保持フィルムである。
前記樹脂層100重量部に対し、前記担持体粒子の配合量が0.5重量部以上5重量部以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の鮮度保持フィルムである。
前記鮮度保持フィルムからなることを特徴とする鮮度保持シートである。
請求項1〜5のいずれかに記載の鮮度保持フィルムからなることを特徴とする包装体である。
図1は、本発明に係る鮮度保持フィルムの一実施例であって、表面の凹凸構造が突起の集合である鮮度保持フィルム10の基本的な構成を示す図である。
鮮度保持フィルム10は、樹脂層1に、揮発性の抗菌成分を担持した担持体粒子2を含み、樹脂層1の表面に凹凸構造として突起部3を備えている。
鮮度保持フィルム20は、樹脂層1に、揮発性の抗菌成分を担持した担持体粒子2を含み、樹脂層1の表面に凹凸構造として畝部4を備えている。
樹脂層1として使用する樹脂は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂の中から選択される1種類もしくは複数種類の樹脂を含んでもよい。また樹脂層1は、10μm以上100μm以下の膜厚を有していることが好ましい。前述の範囲内の膜厚を有することにより、良好な加工性および取り扱い性を得ることができる。
揮発性の抗菌成分は、植物、きのこ類、微生物といった生物が産生する化合物のうち、揮発性と抗菌性の両方を持つ成分を少なくとも1種含めば良い。より具体的には、ラベンダー抽出物、ローズ抽出物、レモン抽出物、グレープフルーツ抽出物、オレンジ抽出物、ベルガモット抽出物、ハッカ抽出物などに代表されるような精油・香料などの利用がある植物抽出物や、桂皮、ヒノキ、マツ、スギ、クスノキ、ヒバなどの樹木から得られるフィトンチッド類、アレロケミカルズ、ファイトアレキシン、微生物が産生している揮発性成分MVOCなどの中から適宜選べばよい。
揮発性の抗菌成分を担持した担持体粒子2に用いる担持体は、活性炭、シリカ、ゼオライト、鉱物、金属、金属酸化物からなる群の中から選択される少なくとも1種の微粒子であればよい。粒子のサイズは、平均粒径が30μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下であるものを用いる。粒子が30μmより大きくなると、樹脂を成形する際の成形不良の原因となったり、フィルムまたはシートの膜厚を厚くしなければならず、望ましくない。なお、上記平均粒径は、レーザー回折・散乱法による算術平均の測定値である。
る。しかし、担持体の吸液量を超えて抗菌成分を添加してしまうと、担持体の外に抗菌成分が染み出し、べたつきの原因となるだけでなく、担持体同士の凝集を引き起こし、担持体粒子2の流動性、および、分散性を著しく低下させるため、好ましくない。
ただし、担持体の種類によって担持可能な吸液量の上限が異なるため、得られた担持体粒子2の流動性を確認する必要がある。そこで、抗菌成分の添加量については、抗菌成分を担持した担持体粒子2の安息角が20°以上40°以下の範囲に収まる量とする。安息角の測定は、安息角測定法に基づき、動的安息角を測定する。安息角が20°未満では抗菌成分の添加量が不足して充分な抗菌効果を発揮できないおそれがあり、40°を超えると抗菌成分が過剰になり染み出してしまうおそれがある。
本発明の鮮度保持フィルムは、例えばTダイ成形法など各種製膜方法により製造することができる。樹脂に揮発性の抗菌成分を担持した担持体粒子2を加え、200℃以下で成形することが好ましい。200℃より高温で成形すると、揮発性の抗菌成分が変質したり、揮散量が極めて大きくなってしまい、抗菌性低下の原因となる。
樹脂層表面の凹凸構造の形状としては、突起形状や畝形状でもよい。突起形状としては、半球状、半楕円球状、三角錐状、四角錐状、円柱状、多角柱状の1種類もしくは複数種類の組み合わせでもよい。
また、畝形状とは断面が板付き蒲鉾の切り口のように、半月形に盛り上がった形状のことである。例えば、畝形状は、逆U字形状、凸形状、アーチ形状等に対応する。逆U字形状とは、「U」の文字を上下反転させた形状「∩」のことである。あるいは、半円形状、半楕円形状、正方形または長方形と半円形状の組み合わせ、正方形または長方形と半楕円形状の組み合わせのいずれかでもよい。
畝部4については、隣接する畝間の距離d2の算術平均が1μm〜50μmであり、かつ畝の幅wの平均が10μm〜50μmであれば好ましく、畝の高さh2の平均が1μm〜30μmとなるよう成形することが好ましい。
なお上記平均値は、算術平均である。
凹凸構造が細かいほど表面積の増大効果は大きくなるが、前述の範囲より細かい凹凸構造を形成しようとすると、樹脂層に添加した担持体粒子2が成形時の障害物となり、成形不良を引き起こすため、好ましくない。また、凹凸構造が粗いと表面積の増加が少ないため、抗菌成分を効率的に放出させることができず、好ましくない。
まず、担持体としてシリカ(商品名:アエロジル200FDA、日本アエロジル株式会社製)10重量部に、揮発性の抗菌成分としてベルガモット抽出物30重量部を担持させ、安息角35°の担持体粒子を得た。
○:良好(鮮度が維持されている)
△:一部劣化(一部にしおれや溶出液の染み出しがある)
×:著しく劣化(しおれや溶出液の染み出しが半分以上で起きている)
担持体粒子は、実施例1と同様のものを用いた。
続いて、樹脂および製膜方法も実施例1と同様に実施し、凹凸構造を形成する突起部の距離d1の平均が1μm、突起部の高さh1の平均が1μmになるようエンボス加工を施し、鮮度保持フィルムを得た。
他は実施例1と同様に実施した。
担持体粒子は、実施例1と同様のものを用いた。
続いて、樹脂および製膜方法も実施例1と同様に実施し、凹凸構造を形成する畝部の距離d2の平均が50μm、畝部の幅wの平均が50μm、畝部の高さh2の平均が30μmになるようエンボス加工を施し、鮮度保持フィルムを得た。
他は実施例1と同様に実施した。
担持体粒子は、実施例1と同様のものを用いた。
続いて、樹脂および製膜方法も実施例1と同様に実施し、凹凸構造を形成する畝部の距離d2の平均が1μm、畝部の幅wの平均が10μm、畝部の高さh2の平均が1μmになるようエンボス加工を施し、鮮度保持フィルムを得た。
他は実施例1と同様に実施した。
担持体粒子は、実施例1と同様のものを用いた。
続いて、樹脂および製膜方法も実施例1と同様に実施したが、最後の凹凸構造の形成を実施せず、平坦な鮮度保持フィルムを得た。
他は実施例1と同様に実施した。
担持体粒子は、実施例1と同様のものを用いた。
続いて、樹脂および製膜方法も実施例1と同様に実施し、凹凸構造を形成する突起部の距離d1の平均が70μm、突起部の高さh1の平均が30μmになるようエンボス加工を施し、鮮度保持フィルムを得た。
他は実施例1と同様に実施した。
担持体粒子は、実施例1と同様のものを用いた。
続いて、樹脂および製膜方法も実施例1と同様に実施し、凹凸構造を形成する突起部の距離d1の平均が0.5μm、突起部の高さh1の平均が0.5μmになるようエンボス加工を施し、鮮度保持フィルムを得た。
他は実施例1と同様に実施した。
担持体粒子は、実施例1と同様のものを用いた。
続いて、樹脂および製膜方法も実施例1と同様に実施し、凹凸構造を形成する畝部の距離d2の平均が70μm、畝部の幅wの平均が70μm、畝部の高さh2の平均が30μm
になるようエンボス加工を施し、鮮度保持フィルムを得た。
他は実施例1と同様に実施した。
担持体粒子は、実施例1と同様のものを用いた。
続いて、樹脂および製膜方法も実施例1と同様に実施し、凹凸構造を形成する畝部の距離d2の平均が0.5μm、畝部の幅wの平均が5μm、畝部の高さh2の平均が0.5μmになるようエンボス加工を施し、鮮度保持フィルムを得た。
他は実施例1と同様に実施した。
以上の実施例1〜4、および比較例1〜5の結果は、表1に示した。
実施例1と比較例2より、表面に突起の集合としての凹凸構造を有していても、比較例2のようにその突起間の距離が開きすぎると、充分な鮮度保持性能および抗菌作用を得られないことが分かった。比較例1の平坦なフィルムと比べると、比較例2のフィルムの方が僅かに鮮度保持性能が高いことから、凹凸構造の存在によって表面積が増え、抗菌成分の放出量も増えたと考えられる。しかし、充分な効果を発揮するには至っていない。これはフィルム表面の突起の数が少なく、表面積の増大効果が僅かしか得られなかったためと考えられる。
また、比較例3では、突起の距離と高さを小さくすることで、より高い表面積の増大効果を期待したが、エンボス加工過程で膜割れやシワが発生してしまい、製膜不良となった。膜割れやシワは、担持体粒子を基点として発生した。
これらの結果から、本発明により、青果物の鮮度保持が可能なフィルムを得ることができることがわかった。
2…担持体粒子
3…突起部
4…畝部
10…鮮度保持フィルム
20…鮮度保持フィルム
Claims (10)
- 樹脂層に揮発性の抗菌成分を担持した担持体粒子が配合されてなる鮮度保持フィルムであって、前記鮮度保持フィルムの表面に凹凸構造を有することを特徴とする鮮度保持フィルム。
- 前記鮮度保持フィルムの表面凹凸構造が、突起部の集合からなり、隣接する突起部間の距離d1の算術平均が1μm以上50μm以下であり、突起部の高さh1の算術平均が1μm以上30μm以下である、請求項1に記載の鮮度保持フィルム。
- 前記鮮度保持フィルムの表面凹凸構造が、畝部の集合からなり、隣接する畝部間の距離d2の算術平均が1μm以上50μm以下であり、畝部の幅wの算術平均が10μm以上50μm以下であり、畝部の高さh2の算術平均が1μm以上30μm以下である、請求項1に記載の鮮度保持フィルム。
- 前記揮発性の抗菌成分が、植物、きのこ、微生物のいずれかに由来する天然成分である、請求項1〜3のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。
- 前記担持体が、シリカ、活性炭、ゼオライトのいずれかである、請求項1〜4のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。
- 前記担持体10重量部に対し、前記揮発性の抗菌成分の添加量が、5重量部〜10重量部である、請求項1〜5のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。
- 前記揮発性の抗菌成分を担持した担持体粒子の安息角が、20°以上40°以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。
- 前記樹脂層100重量部に対し、前記担持体粒子の配合量が0.5重量部以上5重量部以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の鮮度保持フィルム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の鮮度保持フィルムからなることを特徴とする鮮度保持シート。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の鮮度保持フィルムからなることを特徴とする包装体。
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