以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係るラベルプリンタの閉鎖状態の外観を示す斜視図、図2は、その開放状態の外観を示す斜視図、図3は、実施形態に係るラベルプリンタの概略を示す図、図4は、実施形態に係るラベルプリンタにおけるラベル検出センサの斜視図、図5は、実施形態に係るラベルプリンタの排出口近傍の分解図である。
図1〜図3に示すように、ラベルプリンタ1は、筐体10を備えている。ラベルプリンタ1は、上部ユニット11と下部ユニット12を備えており、上部ユニット11における筐体上部10Aの一端片(後方下端片)と下部ユニット12における筐体下部10Bの一端片(後方上端片)とが、図示しないヒンジ機構によって接続されている。このため、筐体10の前方において、上部ユニット11が下部ユニット12に対して上下動可能とされ、筐体10は、図1に示す閉鎖状態と図2に示す開放状態となることができる。
下部ユニット12は、図示しないロック機構を備えており、上部ユニット11は、ロック機構にロックされる爪部を備えている。上部ユニット11に設けられた爪部が下部ユニット12ロック機構にロックされることにより、上部ユニット11は、下部ユニット12に拘束されて、ラベルプリンタ1が閉鎖状態となる。また、ロック機構によるロックを外すことにより、上部ユニット11が下部ユニット12から解放されて、ラベルプリンタ1が開放される。
上部ユニット11の上面には、本体キー14及び表示装置15が設けられている。本体キー14には、複数のキー(ボタン)が設けられている。本体キー14の各キーを押下操作することで、ラベルプリンタ1を適宜作動させることができる。例えば、本体キー14の左手前位置には、電源キー14A、操作開始キー14B、スタートキー14C等が設けられている。電源キー14Aが押下操作されることにより、ラベルプリンタ1の電源のON−OFFを切り替えることができる。また、操作開始キー14Bが押下操作されることにより、ラベル印刷(ラベル発行)の設定が開始される。また、スタートキー14Cが押下操作されることにより、ラベル印刷が開始される。操作開始キー14Bやスタートキー14Cに代えてまたは加えて、操作開始キー14Bやスタートキー14Cと同等の機能のキーが表示装置15に表示されてもよい。
表示装置15は、液晶表示器にタッチパネルが積層された構造となっており、同一面で表示と入力とができるようになっている。タッチパネルは、例えば、液晶表示器に表示されたプレビュー画像(印字イメージ)をタッチすることで、プレビュー画像中のタッチした位置に応じた情報を指定可能である。
図2に示すように、下部ユニット12の内側には、ロール収容部16が設けられている。ロール収容部16には、ラベル留め17A及びラベルホルダ17Bが設けられている。ロール収容部16には、図3に示すように、ラベルロールLRが収容されている。ラベルロールLRは、長尺の帯状台紙にラベル用紙(ラベル)が一定間隔をおいて剥離可能に貼着されロール状に巻かれて構成されている。ラベルロールLRは、ラベル印刷時にラベル留め17Aにセットされ、ラベルホルダ17Bによって支持される。ロール状に巻かれたラベルロールLRからは、ラベルシートLSが前方に送り出される。以下の説明において、ラベルシートLSが送り出される前方側を下流側ということがある。
ロール収容部16の下流側には、印刷手段となる印字部18が設けられている。印字部18は、サーマルヘッド(印字ヘッド)18Aとプラテンローラ18Bを備えている。サーマルヘッド18Aは、上部ユニット11に設けられ、プラテンローラ18Bは下部ユニット12に設けられており、サーマルヘッド18Aとプラテンローラ18Bは対向して配置されている。サーマルヘッド18AがラベルシートLSの上側に配置されていることから、ラベルシートLSの上面には、複数のラベル(媒体)が貼り付けられており、複数のラベルに対して、印刷情報に応じた内容の印刷が行われる。プラテンローラ18Bは、ステッピングモータ(駆動モータ)18C(図6参照)の駆動によって回転し、ラベルシートLSを前方に誘導している。ラベルシートLSは、サーマルヘッド18Aとプラテンローラ18Bの間に送り出される。
印字部18の下流側には、ラベル検出センサ19が設けられている。ラベル検出センサ19は、上部ユニット11に設けられている。ラベル検出センサ19は、ラベルシートLSの上面側に配置されており、ラベルシートLSの上面に貼付さられ、印刷されたラベルの印刷結果を読み取る読取手段となる。
図4にも示すように、ラベル検出センサ19は、ラインセンサ19Aを備える。ラインセンサ19Aは、長尺状をなしており、その長手方向がラベルシートLSの搬送方向に直交する方向を向いて配置されている。以下、ラインセンサ19Aの下におけるラベルシートLSの搬送方向を「y方向」、ラベルシートLS上において「y方向」に直交する方向を「x方向」ということがある。ラインセンサ19Aは、例えば、光電変換素子が一列に配列されたイメージセンサを備えるラインセンサからなり、一次元的な画像を得ることができる。
ラインセンサ19Aの左右両端部には、それぞれ左ブラケット19B及び右ブラケット19Cが固定されており、ラインセンサ19Aは、左ブラケット19B及び右ブラケット19Cをそれぞれ介して筐体10の上部ユニット11に取り付けられている。さらに、ラインセンサ19Aの上流側及び下流側には、それぞれ上流側押え軸19D及び下流側押え軸19Eが設けられている。上流側押え軸19D及び下流側押え軸19Eは、いずれも断面円形状の長尺状(円筒形状)をなし、その両端部がそれぞれ左ブラケット19B及び右ブラケット19Cに取り付けられ、ラインセンサ19Aと略平行に配置されている。左ブラケット19B及び右ブラケット19Cは、ラインセンサ19Aと同側面(上側面)に備えられている。
図5にも示すように、左ブラケット19Bは、いずれも下端片の両端部が曲線状とされた板状をなしており、その直線部分が、搬送されるラベルシートLSと略平行となるようにされている。右ブラケット19Cも左ブラケット19Bと同様の形状をなしている。左ブラケット19B及び右ブラケット19Cの下端部は、上流側押え軸19D及び下流側押え軸19Eの下端部よりもわずかに、例えば5mm程度ラベルシートLS側に突出している。ラインセンサ19Aは、これらの左ブラケット19B、右ブラケット19C、上流側押え軸19D及び下流側押え軸19Eによって、四方を囲まれている。
ラベル検出センサ19のさらに下流側には、カッタ20が設けられている。カッタ20は、筐体10における上部に固定されている。ラベルシートLSの先端等を作業者が手で持って、ラベルシートLSの長手方向途中部分をカッタ20に押し付けながら引っ張ることにより、カッタ20によってラベルシートLSRが切断される。
下部ユニット12におけるプラテンローラ18Bの下流側には、ラベル検出センサ19と対向する位置でラベルシートLSに貼付されたラベルが搬送される搬送路である滑走板21が設けられている。筐体10の下部ユニット12における前端部には、ラベルシートLSに貼付されたラベルの移動を案内する案内用突出部22が形成されており、案内用突出部22の上方に滑走板21が配設されている。滑走板21は、摩擦力の小さい金属、例えばステンレスなどの材質で形成されているが、樹脂などの他の材質で形成されたものでもよい。また、滑走板21の形状、どのような形状でもよく、この例では、表面形状が平滑面とされているが、他の形状でもよい。例えば、y方向に沿った複数の溝が略均等幅をもって複数形成された形状であってもよい。
滑走板21と案内用突出部22との間には、スポンジ部材23が設けられている。スポンジ部材23は、滑走板21と案内用突出部22との間で、2枚設けられており、2枚のスポンジ部材23は、x方向に離間して配置されている。また、滑走板21及び案内用突出部22は、ラベル検出センサ19に向かい合って配置されている。スポンジ部材23は、滑走板21と案内用突出部22との間で押し潰された状態で配置されている。スポンジ部材23は膨張可能であり、スポンジ部材23が膨張することにより、滑走板21は、案内用突出部22に反力を取ってラベル検出センサ19側に付勢しながら、滑走板21を変位可能に支持している。
ラベルプリンタ1の上部ユニット11と下部ユニット12を閉鎖状態とすると、ラベル検出センサ19の左ブラケット19B及び右ブラケット19Cの下端部の直線部分は、いずれも滑走板21に接触する。例えば、左ブラケット19Bの下端部の直線部分が滑走板21の左端を押圧して押し下げると、板形状の滑走板21の右端がその押圧力に作用され持ち上げられて右ブラケット19Cに接触し、左ブラケット19B及び右ブラケット19Cが固定手段として機能し、結果として左ブラケット19B及び右ブラケット19Cで滑走板21を固定することとなる。つまり、スポンジ部材23によって滑走板21のラベル接触面が変位可能に支持されていることにより、左ブラケット19Bと滑走板21との接触点を力点、右ブラケット19Cと滑走板21との接触点を作用点とするてこの原理が働き上記の固定を実現している。なお、スポンジ部材23に代えて又は加えてばねやゴムなどの他の弾性体を設けてもよい。
左ブラケット19B及び右ブラケット19Cは、ラインセンサ19Aの長手方向両端部にそれぞれ配置されている。このため、滑走板21上でラベルシートLSを搬送する際、ラベルシートLSは、左ブラケット19Bと右ブラケット19Cとの間を搬送される。このため、左ブラケット19Bと右ブラケット19Cは、ラベルシートLSの搬送の邪魔にならない位置に配置されている。左ブラケット19Bと右ブラケット19Cは、ラベルシートLSの搬送の邪魔にならない位置に配置される場合には、他の位置、例えばラベルシートLSを2列で並べて搬送して、1本のラインセンサ19Aで画像の読取を行う場合に、ブラケットをラインセンサ19Aの長手方向中央に設けるようにしてもよい。
ラベルプリンタ1の上部ユニット11と下部ユニット12を開放状態とすると、左ブラケット19B及び右ブラケット19Cの下端部の直線部分と滑走板21とは離反する。このため、滑走板21は、左ブラケット19B及び右ブラケット19Cの押圧力から解放され、スポンジ部材23の付勢力によってラベル検出センサ19側に移動させられる。また、スポンジ部材23は、圧し潰された状態から膨張した状態となる。
また、滑走板21に左ブラケット19B及び右ブラケット19Cが接触することにより、上流側押え軸19D及び下流側押え軸19Eと滑走板21との間には、小さな幅、ここでは5mm程度の隙間が形成される。このため、上流側押え軸19D及び下流側押え軸19Eは、ラインセンサ19Aの読取面よりも滑走板21側であり、かつ滑走板21の接触面よりもラインセンサ19A側に、滑走板21を搬送されるラベルシートLSの搬送を規制する規制手段となる。
カッタ20のさらに下流側には、排出口24が設けられている。排出口24は、筐体10の最前部に設けられており、筐体10内のラベルシートLSを筐体内部から外部に排出するための開口である。排出口24は、上部ユニット11の前方下端片と下部ユニット12の前方上端片とが切り欠かれて設けられている。ラベル検出センサ19は、印字部18と排出口24との間に配置されている。
図6は、実施形態に係るラベルプリンタの制御装置30の構成例を示すブロック図である。図6に示すように、ラベルプリンタ1の制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)31、フラッシュメモリ32、RAM(Random Access Memory)33、表示・操作部34及びインターフェース回路35を備える。制御装置30には、インターフェース回路35を介して、サーマルヘッド18A、ステッピングモータ18C及びラベル検出センサ19に接続されている。
CPU31は、中央演算装置であり、フラッシュメモリ32に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、ラベルプリンタ1の動作を統括制御する。
フラッシュメモリ32は、CPU31の補助記憶装置であって、プログラムをはじめとしてCPU31が利用する各種の情報を記憶する。
RAM33は、CPU31の主記憶装置である。RAM33は、一時的にデータを呼び出して処理するためのワークエリアであって、その中には、印刷データをドットデータに展開するドット展開エリア、ラベルフォーマットファイルから1つのフォーマットデータを呼び出して記憶する呼出フォーマットエリア、商品データ等を呼び出して記憶する呼出商品エリア等がある。また、RAM33には、ラベル印刷の印字のフォーマットが設定されたラベルフォーマットファイル、ラベル印刷用の各種商品データが設定された商品ファイル(印刷情報)等が記憶されており、電源オフ時も前記ファイルを保持するようにバッテリーでバックアップされている。
CPU31は、後に説明するスキャン画像(ラベル検出センサ19で読み込んだ生データ)、スキャン画像から生成された印刷結果の二値化データ(二値データを数値として記憶した情報)、印刷情報とスキャン情報との比較結果(一致率や滲み率などの情報)、およびこれらの情報に対するログ(印刷日時やプリンタ番号、印刷対象の品名やフォーマット名など)記憶している。
表示・操作部34は、本体キー14及び表示装置15を備えて構成されている。表示・操作部34は、ラベルプリンタ1の操作者(オペレータ)等に向けて種々の情報を表示装置15に表示する。表示・操作部34は、ラベルプリンタ1のオペレータの入力操作等を本体キー14及び表示装置15において受け付ける。
ラベルプリンタ1は、印刷装置40及び検証装置50を備える印刷検証機であり、ラベル印刷と印刷結果の検証を合わせて実行可能である。印刷装置40は、インターフェース回路35を介してCPU31等と接続される印字部18(サーマルヘッド18A、プラテンローラ18B、ステッピングモータ18C)及び制御装置30等を備えて構成される。検証装置50は、ラベル検出センサ19及び制御装置30を備えて構成される。制御装置30は、印刷装置40及び検証装置50の制御を合わせて行っているが、印刷装置40及び検証装置50をそれぞれ制御する制御装置を設けてもよい。
印刷装置40は、制御装置30によって設定された印刷情報に基づく文字(以下「印刷文字」という)をラベル100に印刷する。なお、印刷文字には、文字のほかに、図形や記号なども含まれる。印刷結果の検証を行う際にあたり、印刷情報は、二値化データとしてRAM33に記憶されており、印刷結果との比較を行うための印刷基準及び基準情報となる。
検証装置50は、印刷装置40による印刷を行っている間、ラベル100に印刷された印刷文字をラベル検出センサ19によって読み取り、CPU31において画像処理を施すことによってスキャン画像を生成し、スキャン画像に応じたスキャン情報を生成する。スキャン情報は、例えば検証装置50は、比較手段となるCPU31において、生成したスキャン情報を補正した後に印刷情報と比較して印刷異常の有無を判定する。検証装置50は、CPUによる比較結果として、印刷異常があると判定した場合に、比較結果としてのエラー発生情報及びエラー画像を表示装置15に表示させる。エラー発生情報及びエラー画像を表示する表示装置15は、比較手段による比較結果を出力する出力手段となる。
次に、ラベルプリンタ1における印刷から検証までの流れについて、フローチャートを参照して説明する。ラベルプリンタ1では、印刷作業を行う前段階として、フォーマットデータや商品データに基づいて印刷情報を生成してRAM33に記憶する。RAM33には、複数の印刷情報が記憶されており、個々の印刷情報には、印刷情報を表すタイトルがそれぞれ付されている。印刷情報を生成する際に、ラベルプリンタ1における制御装置30は、設定手段となるCPU31において、印刷結果の検証を行うためのスキャンエリア及び検証エリア(比較範囲)を印刷情報の上に設定可能である。印刷情報に基づく印刷を行う際には、ラベルプリンタ1は、RAM33に記憶された印刷情報の中から1つの印刷情報を選択する。その後、選択された印刷情報に応じた印刷文字等の印刷が行われるが、ラベル印刷とともに印刷結果の検証を行う。
以下の説明では、まず印刷情報の生成から記憶までの手順について図7等を用いて説明し、続いて、ラベル印刷及び印刷結果の検証手順について図16、図17等を用いて説明する。なお、図7に示すフローチャートの処理は、図16及び図17に示す処理を実行する直前に行うようにしてもよいし、図16及び図17に示す処理とは離れた時間の行うようにしてもよい。
図7は、制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。図7に示す処理では、印刷情報の生成を行うとともに、スキャンエリア及び検証エリアの設定を行う。
ステップS101:制御装置30は、印刷情報の生成を行う。制御装置30は、CPU31において、RAM33から商品フォーマットデータを呼び出し、表示・操作部34の操作を受け付けることによって、印刷情報を生成する。
図8は、印刷情報に応じた印刷結果の一例を示す図である。図8に示すように、印刷情報としては、ラベル100に印刷する商品説明等の文字内容に応じた情報が生成される。また、ラベル100には、ラベルプリンタ1による印刷が行われる前に、予め印刷された文字(以下「予印刷文字」という)が印刷されている。なお、予印刷文字には、文字のほかに、図形や記号なども含まれる。
図8には、印刷文字及び予印刷文字が表示されている。図9は、印刷情報に応じた印刷文字の印刷前のラベルの一例を示す図である。予印刷文字は、図9に示すように、ラベル100の左右に表示された「仕出し〇〇××」、電話番号、ラベル100の中央に表示された「原材料」、ラベル100の下部に表示された注意書き等が予めラベル100に印刷された文字である。図8に示す文字のうち、図9に示す予印刷文字以外の文字が印刷文字である。
ステップS102:制御装置30は、スキャンエリアの設定を行う。スキャンエリアは、主に、印刷対象であるラベルに対するラベル検出センサ19の設置状況、例えば印刷情報に基づく印刷結果に対するずれや傾きを確認するためエリアである。印刷結果に対するずれには、例えば、x方向に沿ったずれやy方向に沿ったずれがある。スキャンエリアには、極力多くの文字情報が含まれることが好適である。ただし、ここでの文字情報には、印刷装置40によって印字された文字のみが含まれ、予印刷文字が含まれないようにすることが好適である。このため、スキャンエリアには、多くの印刷文字が含まれ、予印刷文字が含まれないエリアを設定する。
図10は、印刷情報にスキャンエリアを設定した状態の説明図である。図10には、第1スキャンエリアSA1〜第4スキャンエリアSA4までの4個のスキャンエリアが設定された状態を示している。このうち、第1スキャンエリアSA1は、「行楽幕の内弁当」という商品名を含むエリアに設定されている。第2スキャンエリアSA2は、商品の金額、製造年月日、賞味期限、バーコードを含む領域に設定されている。第3スキャンエリアSA3は、原材料が列記されている領域に設定されている。第4スキャンエリアSA4は、リサイクル識別表示マークを含む領域の設定されている。これらの第1スキャンエリアSA1〜第4スキャンエリアSA4には、いずれも予印刷文字が含まれていない。
ステップS103:制御装置30は、検証エリアの設定を行う。検証エリアは、主に、欠けや滲みによって、読むことができなくなっている文字(以下、「不読文字」という)が含まれる範囲を区分けするためのエリアである。検証エリアは、その検証エリアに含まれる文字の重要度やそれらの文字の近接状態などに基づいて設定される。検証エリアには、スキャンエリア同様に、複数の文字等が含まれる。また、検証エリアは、スキャンエリア内で設定される。検証エリアは、スキャンエリアから外れた位置に設定されるようにしてもよい。
図11は、印刷情報に検証エリアを設定した状態の説明図である。図11には、第1検証エリアVA1〜第10検証エリアVA10までの10個の検証エリアが設定された状態を示している。図12は、スキャンエリアと検証エリアの相対位置関係を示す図である。図12に示すように、第1スキャンエリアSA1には、第1検証エリアVA1の1つの検証エリアが含まれている。第2スキャンエリアSA2には、第2検証エリアVA2〜第6検証エリアVA6の5つの検証エリアが含まれている。第3スキャンエリアSA3には、第7検証エリアVA7の1つの検証エリアが含まれている。第4スキャンエリアSA4には、第8検証エリアVA8〜第10検証エリアVA10の4つの検証エリアが含まれている。
スキャンエリア及び検証エリアの設定は、オペレータの操作によって行われる。スキャンエリア及び検証エリアの設定を行うにあたり、制御装置30は、図13に示す画像を表示装置15に表示させる。図13及び図14は、表示装置15の表示の一例を示す図である。図13に示す表示装置15に表示される画像には、枠や図形を画面上に作成する補助を行う各キーが表示されている。オペレータは、これらのキーや本体キー14を操作することによって、スキャンエリア及び検証エリアの設定を行う。図14に示すように、スキャンエリアSA及び検証エリアVAの設定の結果は、表示装置15に表示される。
例えば、スキャンエリアSAの設定を行うにあたり、「発行条件・・・」のキーを押下すると、図15に示すように、「発行条件設定」の表示が展開される。図15は、表示装置15の表示の一例を示す図である。図15に示す例では、「発行条件設定」の全体について図示しているが、表示装置15には、実際には、その一部が表示される。この例では、6個のスキャンエリアの設定が可能である。例えば、発行条件設定の表示における「スキャンエリア1左上X座標(左下起点)」「スキャンエリア1左上Y座標(左下起点)」「スキャンエリア1右下X座標(左下起点)」「スキャンエリア1右下Y座標(左下起点)」の各項目の数値を選択することにより、図14に示すスキャンエリアSAが表示される。
検証エリアVAの設定についても同様に、発行条件設定の表示において、検証エリアを設定するための各座標値が選択可能となり、これらの座標値を選択することによって、検証エリアVAの設定ができる。なお、この例では、表示装置15に表示されるキーの操作によってスキャンエリアや検証エリアの設定を行うことができるが、他の方法によって設定できるようにしてもよい。例えば、印刷情報に基づく印刷文字を表示装置15に表示し、これらの印刷文字を基準に、表示装置15上にマウス等で線画(仕切り線)を描くことによってスキャンエリアや検証エリアの設定ができるようにしてもよいし、本体キー14の操作によってスキャンエリアや検証エリアの設定ができるようにしてもよい。
ステップS104:制御装置30は、ステップS102においてスキャンエリアの設定を行い、ステップS103において検証エリアの設定を行った後、ステップS101で生成した印刷情報をスキャンエリア及び検証エリアに応じた情報とともに記憶する(ステップS104)。こうして、制御装置30は、図7に示すフローチャートの処理を終了する。
続いて、ラベル印刷及び印刷結果の検証手順について説明する。図16は、制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。図16において、ラベル100への印刷情報の印刷が開始される前の各種設定を行う段階についての処理を示す。
ステップS201:制御装置30は、オペレータによる本体キー14における操作開始キー14Bの操作によって、ラベル印刷の設定を開始する。
ステップS202:制御装置30は、オペレータによる表示・操作部34(本体キー14及び表示装置15)に基づいて、印刷情報の選択を行う。例えば、印刷情報の選択を行う際、制御装置30は、印刷情報に付加されているタイトルを表す複数のタイトルキーを表示装置15に表示する。オペレータが表示装置15に表示された複数のタイトルキーの一つを押下操作することにより、制御装置30は、押下されたタイトルキーに応じた印刷情報を選択する。
ステップS203:制御装置30は、オペレータによる表示・操作部34(本体キー14及び表示装置15)に基づいて、印刷枚数を設定する。例えば、印刷枚数の設定を行う際、制御装置30は、印刷枚数を示す枚数設定キーを表示装置15に表示する。オペレータが表示装置15に表示された複数の枚数設定キーを押下操作することにより、制御装置30は、押下操作された枚数に応じた印刷枚数を設定する。印刷情報の選択や印刷枚数の設定は、本体キー14を操作することで行うようにしてもよい。
ステップS204:制御装置30は、印刷情報を選択し印刷枚数を設定した後、選択した印刷情報をRAM33から読み出す。
ステップS205:制御装置30は、異常判定基準値を設定するか否かを判定する。異常判定基準値を設定すると判定した場合(ステップS205:YES)、制御装置30は、ステップS206に進み、異常判定基準値を設定しないと判定した場合(ステップS205:NO)、制御装置30は、ステップS208に進む。
異常判定基準値とは、検証装置50が印刷異常と判定する基準(印刷基準)となる割合である。印刷異常の判定を行うにあたり、制御装置30は、印刷情報とスキャン情報とを比較し、検証エリアVA内における一致率を算出する。この一致率が異常判定基準値未満となる検証エリアがあったときに、スキャン画像として撮像された印刷結果には印刷異常があったと判定する。
異常判定基準値は、印刷情報の内容等によって異なることがある。例えば、食品の製造年月日、賞味期限、原材料などの重要度の高い記載については、高い精度で印刷異常の発生を抑制することが求められる。また、商品の名称やリサイクル識別表示マークなど尾の重要度の低い記載については、印刷異常の判定にあたってあまり高い精度が求められることはない。このため、制御装置30は、異常判定基準値を設定する。
異常判定基準値は、検証エリアごとに設定され、検証エリアごとに異なる異常判定基準値とすることもできる。例えば、図10に示すように、食品の製造年月日、賞味期限、原材料が記載される第3検証エリアVA3、第4検証エリアVA4、第7検証エリアVA7においては高い一致率を設定し、商品名、リサイクル識別表示マークが記載される第1検証エリアVA1、第8検証エリアVA8においては比較的低い一致率を設定できる。重要度の低い検証エリアについての一致率を低く設定することにより、重要な検証エリアについての検証の精度を落とすことなく、制御装置30における処理量を軽減するとともに、処理速度の向上に寄与することができる。なお、異常判定基準値は、印刷異常を判定する際の印刷情報とスキャン情報の一致率についての基準値であるが、RAM33は、異常判定基準値のほかに、滲み異常判定値を記憶している。滲み異常判定値は、印刷異常を判定する際の印刷情報とスキャン情報の滲み率についての基準値であり、予め定められた値である。なお、滲み異常判定値についても、制御装置30において設定できるようにしてもよい。また、異常判定基準値が、予め定められた値としてRAM33に記憶されていてもよい。
ステップS206:異常判定基準値を設定する場合(ステップS205:YES)、制御装置30は、図18に示すように、表示装置15に参考画像となるエラー指標サンプル画像SGを表示して提示する。制御装置30は、エラー指標サンプル画像SGとして、イメージ画像を表示する。制御装置30は、エラー指標サンプル画像SGに代えてまたは加えて、イメージ画像以外の情報を表示してもよい。例えば、設定対象とされたドットに囲まれた検証エリア内の印刷情報の表示を変化の対象としてもよい。
表示装置15は、参考画像を提示可能な提示手段となる。また、制御装置30は、表示装置15にエラー指標サンプル画像SGとともに、異常判定基準値設定画面BSを表示する。異常判定基準値設定画面BSにおいては、「印字検証」のタイトルが表示され、「印字検証する」の文字が記載されるとともに、その左側にチェックボックスが表示されている。また、「レベル1〜100」の文字が表示され、その右側に数値選択欄が表示されている。
表示装置15は、異常判定基準値の設定を行っている検証エリアを表示している。異常判定基準値の設定を行っている検証エリアについては、その四隅にドットを示すとともに、他の表示と背景色を変えて表示している。図18に示す例では、「原材料名」とある欄の右側における原材料名が列記されている検証エリアの異常判定基準値を設定している状態を示している。
表示装置15は、異常判定基準値に応じたエラー指標サンプル画像SGを表示する。異常判定基準値設定画面BSの操作に応じて異常判定基準値を調整することにより、エラー指標サンプル画像SGが変化する。エラー指標サンプル画像SGとしては、異常判定基準値が低いほど、欠けが大きい画像が表示される。表示装置15は、異常判定基準値の設定を行っている検証エリアを避けた位置にエラー指標サンプル画像SGを表示する。
なお、表示装置15は、異なる異常判定基準値に応じた複数のエラー指標サンプル画像SGをまとめて表示可能である。異なる異常判定基準値に応じたエラー指標サンプル画像SGを表示する場合には、異常判定基準値設定画面BSにおける異常判定基準値の設定に代えてまたは加えて、エラー指標サンプル画像SGを押下操作することによって異常判定基準値を選択して設定できるようにしてもよい。この場合、表示装置15は、提示した複数の参考画像の中から1つの参考画像を選択する選択手段となる。
制御装置30は、オペレータがチェックボックスにチェックを入れる操作を行ったときに、印刷結果の検証を行う。なお、ステップS205で異常判定基準値の設定を行わない場合(ステップS205:NO)には、制御装置30は、既定の異常判定基準値またはデフォルト設定された異常判定基準値を設定する。
ステップS207:制御装置30は、異常判定基準値の設定を行う。制御装置30は、オペレータの操作に応じて、異常判定基準値として、レベル1〜100のいずれかの数値を選択して設定する。ここで設定されたレベルが異常判定基準値となる。例えば、レベル90が設定された場合には、一致率が90%未満であるときに印刷異常と判定する。
ステップS208:制御装置30は、印刷異常停止枚数を決定する。印刷異常停止枚数とは、印刷を停止する際の基準となる数であり、検証装置50が印刷異常を検出したラベルの枚数である。例えば、印刷異常停止枚数を5枚と設定した場合、検証装置50が印刷異常を検出したラベルの枚数が5枚となったときに、印刷装置40による印刷を停止する。制御装置30は、印刷異常停止枚数を示す異常停止枚数設定キーを表示装置15に表示する。オペレータが表示装置15に表示された異常停止枚数設定キーを押下操作することにより、制御装置30は、押下操作された枚数に応じた印刷異常停止枚数を設定する。
印刷異常停止枚数の設定は、例えば、図19に示す表示装置15に表示される画面を操作することで行うことができる。図19に示す画面における「まとめて通知時の上限エラー回数」の数値を入力する等して設定することにより、印刷異常停止枚数の設定することができる。印刷異常停止枚数の設定は、本体キー14を用いた入力によって行うことができるようにしてもよい。
図16に示すフローチャートから図17に示すフローチャートへと進む。図17では、ラベル100への印刷情報の印刷及び印刷結果の検証を行う段階についての処理を示す。
ステップS211:制御装置30は、オペレータによる本体キー14におけるスタートキー14Cの操作によって、ラベル印刷を開始する。
ステップS212:制御装置30は、ラベル印刷を開始すると、ステッピングモータ18Cを作動させて、ラベルシートLSを前方に押し出させる。
ステップS213:制御装置30は、印刷装置40の印字部18に対して、サーマルヘッド18Aとプラテンローラ18Bの間に到達したラベルシートLSの上面に設けられたラベルに対して、読み出した印刷情報に応じた内容の印刷を行わせる。
ステップS214:制御装置30は、検証装置50のラベル検出センサ19にラベルに印刷された印刷情報の印刷結果のスキャン(読み取り)を行わせる。ラベル検出センサ19は、スキャンして得られたスキャン画像を制御装置30に送信する。
ステップS215:制御装置30は、CPU31によって、送信されたスキャン画像をRAM33に記憶する。CPU31は、スキャン画像を二値化データに変換してスキャン情報を生成してRAM33に記憶させる。
ステップS216:制御装置30は、エラー判定を行う。エラー判定は、ラベル印刷を行いながら行い、全体の印刷が行われたラベルについてエラー判定が行われる。印刷異常が見られた検証エリアがあった場合には、制御装置30は、その検証エリアに対する異常印刷情報をRAM33に記憶させる。エラー判定は、スキャン画像を二値化データとして変換したスキャン情報(スキャン情報を補正して得られる補正情報)と印刷情報を比較して行う。スキャン情報と印刷情報の比較は、スキャン画像を読み取ってスキャン情報(二値化データ)として記憶するごとに実行する。エラー判定の手順については、後に詳しく説明する。
ステップS217:エラー判定の結果、異常印刷情報の有無に基づいて、異常があったか否かを判定する。具体的には、印刷異常が見られた検証エリアがあったか否かを判定する。印刷異常が見られた検証エリアがなかった場合(ステップS217:NO)、制御装置30は、ステップS218に進み、印刷異常が見られた検証エリアがあった場合(ステップS217:YES)、制御装置30は、ステップS219に進む。
ステップS218:制御装置30は、ラベルの印刷枚数がステップS203で設定した印刷枚数に到達したか否かを判定する。ラベルの印刷枚数が設定した印刷枚数に到達していないと判定した場合(ステップS218:NO)、制御装置30は、ステップS213に戻り、ラベルの印刷枚数が設定した印刷枚数に到達したと判定した場合(ステップS218:YES)、制御装置30は、ステップS221に進む。
ステップS219:ステップS217において、印刷異常があったと判定したので、制御装置30は、ステップS215で得られたスキャン情報にエラー情報を付加して記憶させる。エラー情報が付加されたスキャン情報に対応するスキャン画像がエラー画像となる。
ステップS220:制御装置30は、印刷異常があったラベルの数を計数し、印刷異常があったラベルの数がステップS208で設定した印刷異常停止枚数に到達したか否かを判定する。制御装置30は、印刷異常があったラベルの数が印刷異常停止枚数に到達したと判定した場合(ステップS220:NO)、ステップS221に進み、印刷異常があったラベルの数が印刷異常停止枚数に到達していないと判定した場合(ステップS220:NO)、ステップS220に進む。
ステップS221:ラベルの印刷枚数が設定した印刷枚数に到達したか、印刷異常があったラベルが印刷異常停止枚数に到達したので、制御装置30は、予定した枚数のラベル印刷が行われたか、印刷異常となったラベルの数が規定数となったことで、ラベル印刷を終了する。ラベル印刷に終了により、ステッピングモータ18Cの作動を停止させる。
ステップS222:RAM33に記憶された複数のスキャン情報の中にエラー情報が付されたスキャン情報が含まれているか否かを判定する。制御装置30は、エラー情報が付されたスキャン情報が含まれていると判定した場合(ステップS221:YES)、ステップS223に進み、エラー情報が付されたスキャン情報が含まれていないと判定した場合(ステップS221:NO)、図17に示すフローチャートの処理を終了する。
ステップS223:制御装置30は、エラー情報が付されたスキャン情報に対応するエラー画像を表示装置15に表示させる。なお、制御装置30は、エラー情報が付されたスキャン画像をエラー画像としてRAM33に記憶させている。エラー画像が複数ある場合には、表示装置15に表示される図示しない切替ボタンをオペレータが操作することにより、エラー画像を順次切り替えて表示する。エラー判定によって印刷異常であったとしても、目視によって印刷異常はあるものの不読文字が存在しないと認められることもある。このような場合を考慮して、制御装置30は、エラー画像を表示装置15に表示する。また、多数のラベル、例えば100枚のラベルを印刷した場合に、印刷異常が生じたラベルがあったとしても、100枚のラベルの中から印刷異常があったラベルを探し出すのには手間が掛るが、エラー画像を表示することにより、エラー画像による文字の印刷度合い(欠け具合)等を容易に確認することができる。
図20は、表示装置15の表示の一例を示す図である。図20には、ステップS221において、ラベル印刷を終了した後に表示装置15に表示する画面を示している。ラベル印刷が終了した後は、表示装置15にプリンタキューを表示する。プリンタキューには、「キュー」のタブと「エラー通知」のタブが設けられており、「エラー通知」のタブを押下操作すると、図20に示すエラー通知が表示される。エラー通知では、エラーの内容及び対処法が表示される。
図20に示す例では、エラー通知の内容として「印字検証エラー」が表示されている。このため、ラベル印刷が終了したときに、いずれかのラベルにおいて印刷異常が発生したことを示している。また、対処法として「2枚前のラベルで印字検証エラーが発生しました。印字状況を確認してください。印字検証エラー回数:1回」という表示がなされる。印字検証エラー回数には、印刷異常が発生したラベルの枚数が表示される。
このように、対処法として、印刷異常が発生したラベルについての情報が通知される。このため、印刷異常が発生したラベルを容易に特定することができる。特に、多数、例えば10000枚程度のラベルを印刷した場合には印刷異常が発生したラベルを目視で特定することは困難であるが、対処法が表示されることにより、印刷異常が発生したラベルを容易かつ迅速に特定することができる。また、印字検証エラー回数として、印刷異常が発生したラベルの枚数が通知される。このため、印刷異常が発生したラベルを見逃しにくくすることができる。
また、従来は、エラーが発生する都度、印刷を中断しなければそのエラーの判断や対処ができないため、印刷作業中、オペレータは印刷装置から離れることができなかった。この点、エラー画像をRAM33に記憶させておくことにより、設定枚数のすべての印刷が終了した後に、その中のスキャン画像の中からエラー画像のみを確認することができる。例えば、印字異常があった場合でも印字異常の程度が低く、許容できる範囲であることもあるので、オペレータが目視でそのエラー画像を確認することにより、程度の低い印字異常である場合には、そのまま印刷異常がないとして対処することもできるので、設定枚数のすべての印刷が完了した後に、最終的にまとめて印刷の適否をオペレータの目視を通じて行うことができる。したがって、オペレータは、印刷中にラベルプリンタ1に張り付いている必要がなく、従来以上に印刷効率を向上させることができる。
さらに、エラー画像の位置、具体的には何番目のスキャン画像がエラー画像であるかを特定することができる。このため、発行済のラベルシートLSを使ってラベル貼付作業等の他の作業を行う際に、検証作業を行う必要をなくすことができる。また、表示装置15にエラー回数やエラー位置を表示する以外に、当該エラー内容を印刷指示分の印刷後の最後尾にエラー情報ラベルとして印刷してもよい。運用の一つとして印刷されたラベルをそのまま別の巻き取装置(不図示)で巻き取り直すことで印字済みラベルロールを作成することができる。当該印刷済みラベルロールの先頭にエラー情報がラベルとして印刷されていると、当該ラベルロールの状態を一目で確認でき管理がしやすくなる。
詳細には、エラー情報として当該印字済みラベルロールの先頭には、エラー情報として、商品情報や印刷日時、印刷枚数、エラー数、エラー位置が表示される態様となる。また、当該エラー情報ラベルに文字で印刷した情報をバーコード等の識別情報でも印刷し、人が目視するだけでなく、ハンディスキャナ等を備えたラベル貼付装置で読み取らせエラー情報を取得させることもできる。
さらに、ラベル印刷を終了した後の表示装置には、画像確認ボタンBT10が表示される。画像確認ボタンBT10は、印刷異常が発生したラベルがある場合には、アクティブ表示され、オペレータが押下操作することで、図21に示すエラー画像が表示される。また、印刷異常が発生したラベルがない場合には、画像確認ボタンBT10は表示されるもののアクティブ表示とはされず、オペレータが画像確認ボタンBT10を押下操作しても表示装置15に表示される画像に変化はない。
図21は、表示装置15の表示の一例を示す図である。図21には、図20に示す表示装置15の画面において、オペレータが画像確認ボタンBT10を押下操作した後に表示装置15に表示されるエラー画面である。図21に示すように、エラー画面には、印刷異常が発生したラベルのスキャン画像が表示される。図21に示す例では、「原材料名」とある欄の右側における原材料名が列記されている検証エリアにおいて、一致率が低く、印刷異常(欠け)が発生した例を示している。この例では、原材料名における「小麦粉」の表示のうちの「麦」の文字の一部が欠落して読みにくくなっている。このために、当該欄における一致率が異常判定基準値よりも低くなって印刷異常と判定されたものである。このように、エラー画面を表示することにより、オペレータは、目視によって印刷異常を確認することができる。
なお、「対処法」の表示はさらに詳しい表示としてもよい。例えば、一致率が異常判定基準値よりも低くなる検証エリアが共通する場合には、印字部18にごみなどの異物が付着している可能性がある。この場合には、「サーマルヘッドやプラテンローラにゴミが付着している可能性があります。取り除いてください。」など、対処法を具体的な助言によって行うようにしてもよい。
ステップS224:制御装置30は、エラー情報対応調整を実行する。エラー情報対応調整とは、エラー情報に応じて印刷装置40の設定を調整する処理である。制御装置30は、例えば、滲み率が高いために発生した印刷異常が多くある場合には、印字濃度を薄くする調整を行ったり、文字の欠けが多いために発生した印刷異常が多くある場合には、印字濃度を濃くする調整を行ったりする。
ステップS225:制御装置30は、エラー情報対応調整を行った場合に、ラベルプリンタ1の設置状況に関する調整情報をエラー画像とともに表示する。調整情報の表示としては、制御装置30が行った調整の内容を表示し、例えば、滲み率が高く印字濃度を薄くした場合には「印字濃度が濃いので、薄くしました」といった情報を表示する。ラベルプリンタ1の設置状況としては、印刷装置40の設置状況及び検証装置50の設置状況が含まれる。また、設置状況には、印字濃度のほか、ラベルシートLSに貼付されたラベルに対する印字部18(サーマルヘッド18Aやプラテンローラ18B)の距離や傾き、ラベルシートLSに貼付されたラベルに対するラベル検出センサ19、特にラインセンサ19Aの距離や傾きなどが含まれる。その後、図17に示すフローチャートの処理を終了する。
なお、ラベルプリンタ1は、エラー情報対応調整を実行することなくエラー情報対応調整に応じたラベルプリンタ1の設置状況の調整指示を表示装置15に表示したり、図示しないスピーカから音声出力したりして出力するようにしてもよい。この場合、調整指示を受けたオペレータが、ラベルプリンタ1の調整を行うことができる。
続いて、ステップS216において実行されるエラー判定の処理について説明する。図22は、制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。図22には、エラー判定を行う手順が示されている。
ステップS301:制御装置30は、ステップS102において設定したスキャンエリア内に含まれる範囲において、印刷情報とスキャン情報とを比較する。印刷情報とスキャン情報とを比較する際には、スキャンエリアをメッシュに分割し、分割された領域内における印刷の有無を比較してもよいし、スキャンエリア内において印刷情報とスキャン情報同士自体を直接比較してもよい。スキャン画像に複数のスキャンエリアが設定されている場合には、複数のスキャンエリアを一括してスキャンエリアにおける印刷情報とスキャン情報を比較する。なお、個々のスキャンエリアごとに印刷情報とスキャン情報とを比較してもよい。
ステップS302:制御装置30は、スキャンエリア内における印刷情報とスキャン情報との比較結果から、スキャン情報を補正して補正情報を生成する。制御装置30は、基準情報である印刷情報と、ラベル検出センサ19で印刷内容を読み込んで得られたスキャン画像に基づくスキャン情報を比較して、印刷情報に応じた印刷結果と、ラベル検出センサ19で読み込んだ実際の印刷結果に基づくスキャン画像とのずれ及び傾斜を算出する。制御装置30は、ラベル全体のスキャン画像を読み込む前の段階から、スキャン画像の一部に基づくスキャン情報とそのスキャン情報に応じた印刷情報に基づいて、印刷情報に基づく画像とスキャン画像から得られる印刷結果とのずれ及び傾きを求めて、補正情報を生成する。このとき、生成途中の補正情報がある場合には、補正情報を更新する。
例えば、ラベルシートLSの搬送方向と印字部18(主にサーマルヘッド18A)の位置関係が規定の位置関係となっているときには、印刷情報から得られる画像とスキャン画像の間にずれや傾きなどは生じないが、例えば、ラベルシートLSの搬送位置がx方向やy方向にずれていたり、ラベルシートLSの搬送速度が設定された速度と異なっていたりする場合などには、スキャン画像にずれが生じてしまう。また、ラベルが向く面に直交する軸回りにサーマルヘッド18Aが傾いてしまうと、スキャン画像に傾きが生じてしまう。また、サーマルヘッド18AがラベルシートLSの搬送方向回りにサーマルヘッド18Aが傾いてしまうと、印刷結果には、ラベルシートLSの搬送方向の左右位置において印刷の濃度に差が出てしまい、この印刷の濃度差による印刷情報から得られる画像とスキャン画像の相違なども考えられる。制御装置30は、ステップS301における印刷情報とスキャン情報との比較によって、スキャン情報のずれ及び傾斜を補正する。スキャンエリアには多くの文字が含まれるが、スキャンエリアには、ラベルシートLSに貼付されたラベルに予め印刷されている予印刷文字は含まないエリアが設定されている。サーマルヘッド18Aにずれや傾きが生じていても、予印刷文字はそのずれや傾きに影響されないので、スキャン画像のずれや傾きを検出する際には、予印刷文字がノイズとなる可能性が高い。この点、スキャンエリアには予印刷文字が含まれていないので、スキャン画像のずれ及び傾きを検出する際のノイズを小さくあるいは無くすことができる。
ステップS304:制御装置30は、1枚のラベル全範囲についてのスキャンが終了したか否かを判定する。1枚のラベル全範囲についてのスキャンが終了していないと判定した場合(ステップS304:NO)、制御装置30は、ステップS301に戻り、補正情報の生成(更新)を行う。1枚のラベル全範囲についてのスキャンが終了したと判定した場合(ステップS304:YES)、制御装置30はステップS304に進む。
ステップS304:制御装置30は、補正情報を生成した後、1つの検証エリア内における印刷情報と補正情報を比較する。印刷情報と補正情報を比較する際には、例えば、検証エリアをメッシュに分割し、分割された領域内における印刷の有無に基づいて、印刷情報と補正情報を比較してもよいし、検証エリア内において印刷情報とスキャン情報同士自体を直接比較してもよい。あるいは、パターンマッチングを用いて印刷情報と補正情報を比較してもよい。
制御装置30は、印刷情報と補正情報を比較して、印刷情報と補正情報の一致率を算出する。印刷情報と補正情報の一致率は、印刷情報として印刷するものとして設定された領域のうち、実際に印刷された領域が占める割合であり、実際に印刷された領域をスキャン画像に基づくスキャン情報を補正して得られた補正情報として求められる。制御装置30は、例えば、検証エリアをメッシュに分割して一致率を算出する場合、分割された各領域のうち、印刷情報として印刷される予定の領域に対して、実際に印刷された領域の数に基づいて一致率を算出する。
例えば、印刷情報において、数千の領域に分割された検証エリア内に、印刷が施される予定の領域が1258個あり、印刷が施される予定の領域のうち、補正情報に基づいて得られた、実際に印刷された領域が1229個であった場合には、その検証エリアにおける印刷情報と補正情報の一致率は、下記(1)式によって97.7%と算出される。
(1229/1258)×100=97.7(%) ・・・(1)
また、制御装置30は、印刷情報と補正情報を比較して、補正情報の滲み率を算出する。補正情報の滲み率は、印刷情報として印刷するものとして設定された領域に対して、実際に印刷された印刷結果として増えている範囲の割合を百分率で示した割合である。制御装置30は、例えば、検証エリアをメッシュに分割して滲み率を算出する場合、分割された各領域のうち、印刷情報として印刷される予定の領域の数と、補正情報に基づいて得られた、実際に印刷された領域の数に基づいて滲み率を算出する。
例えば、印刷情報において、数千の領域に分割された検証エリア内に、印刷が施される予定の領域が1263個あり、実際に印刷された領域の数が1301個であった場合には、下記(2)式により、補正情報の滲み率は3.8%と算出される。
{(1301−1263)/1263}×100=3.8(%) ・・・(2)
ステップS305:制御装置30は、ステップS303における比較の結果、印刷情報と補正情報の一致率が、ステップS205等において設定された異常判定基準値より小さいか否かを判定する。制御装置30は、印刷情報と補正情報の一致率が異常判定基準値より小さいと判定した場合(ステップS305:YES)、ステップS306に進み、印刷情報と補正情報の一致率が異常判定基準値より小さくないと判定した場合(ステップS305:NO)、ステップS307に進む。
ステップS306:制御装置30は、印刷情報と補正情報の一致率が異常判定基準値より小さいと判定した検証エリアについては、印刷結果に含まれる文字に欠けが発生し、印刷結果に含まれる文字を正確に読み取れない可能性があるエリアと判定する。制御装置30は、印刷情報と補正情報の一致率が異常判定基準値より小さいと判定した検証エリアを、印刷異常が見られた検証エリアとして、異常印刷情報をRAM33に記憶させる。なお、印刷情報と補正情報の一致率が異常判定基準値より小さくないと判定した検証エリアについては、異常印刷情報を記憶しない。
ステップS307:制御装置30は、ステップS303における比較の結果、補正情報の滲み率が、滲み異常判定値より大きいか否かを判定する。制御装置30は、補正情報の滲み率が滲み異常判定値より大きいと判定した場合(ステップS307:YES)、ステップS307に進み、補正情報の滲み率が滲み異常判定値より小さくないと判定した場合(ステップS307:NO)、ステップS308に進む。
ステップS308:制御装置30は、補正情報の滲み率が滲み異常判定値より大きいと判定した検証エリアについて、印刷結果に含まれる文字に滲みが発生し、印刷結果に含まれる文字を正確に読み取れない可能性があるエリアと判定する。制御装置30は、補正情報の滲み率が滲み異常判定値より大きいと判定した検証エリアを、印刷異常が見られた検証エリアとして、異常印刷情報をRAM33に記憶させる。なお、補正情報の滲み率が滲み異常判定値より大きくないと判定した検証エリアについては、異常印刷情報を記憶しない。
ステップS309:制御装置30は、印刷情報と補正情報の比較が行われていない未比較検証エリアがあるか否かを判定する。未比較検証エリアがあると判定した場合(ステップS309:YES)、制御装置30は、ステップS303に戻り、未比較検証エリアにおける印刷情報を補正情報の比較を行う。未比較検証エリアがないと判定した場合(ステップS309:NO)、制御装置30は、印刷情報におけるすべての検証エリアにおいて印刷情報と補正情報の比較を行ったとして図22に示すフローチャートの処理を終了する。
また、ラベルプリンタ1では、セルフチェック及び位置合わせ作業を行ってから、印刷作業を行うことができる。セルフチェック及び位置合わせ作業は、印刷情報の生成などの作業よりもさらに前段階で実行され、例えば、ラベルプリンタ1の導入、点検等を行ったときに実行することができる。以下、セルフチェック及び位置合わせ作業について説明する。
セルフチェック及び位置合わせ作業を行う際には、ずれや傾斜の補正に特化した所定の印字パターンを印字部18によってラベルに印刷し、印刷した画像をラベル検出センサ19によって読み取り、得られた画像によってセルフチェック及び位置合わせ作業を行う。ここでの印字パターンは、例えば、6個の黒塗りの互いに同一形状の長方形を横一列並べる。その両端の長方形の後ろにそれぞれ同一形状の黒塗りの長方形を並べ、内側に行くほど、後方に大きくずれた位置に同一形状の黒塗りの長方形を並べる。こうして、複数の長方形をいわば外形的に半月状に配置して印字パターンを形成する。形成された印字パターンは、図23の印刷結果として示すようになる。
セルフチェックの主な確認項目は、は、サーマルヘッド18Aが正しく印刷できているかという点及びラインセンサ19Aが正しく読み込みを行えているかという点である。セルフチェックでは、印字部18で印刷した印字パターンをラベル検出センサ19によって検出し、各長方形の領域における印字割合を検出する。ここで、検出割合が所定割合以上、例えば95%以上であるときには、セルフチェックではエラーは発生せず、95%を超えるときにはセルフチェックでエラーの発生を検出する。セルフチェックでエラーが検出された場合には、印字パターンの画像とともにエラーが発生した旨を実行日時や印字検証IDとともに表示装置15に表示する。印字パターンは、印字部18とラベル検出センサ19の位置関係の基準となる位置基準画像である。
位置合わせ検出では、セルフチェックを行う際に実行した印字パターンの読み取って得られたスキャン画像をラベルシートLSの搬送方向(y方向)に沿った方向に複数等分、例えば6等分して、第1エリア〜第6エリアを設定する。これらの第1エリア〜第6エリアの各エリアにおいて、印字パターンのx方向、y方向へのずれ、傾斜、一致率及び滲み率を求める。そして、印字パターンのx方向及びy方向へのずれ並びに傾斜角度が予め設定された許容範囲内であり、一致率及び滲み率がそれぞれ異常判定基準値及び滲み異常判定値未満であるときに、位置合わせが完了する。図23は、表示装置15の表示の一例を示す図である。位置合わせの結果は、図23に示すように、スキャン画像とともに表示装置15に表示される。
例えば、当該検証の結果、第1エリアの一致率が100%であり、第2エリアから第3エリアへと進むにつれて、エリアごとに98、96、94、92、90のようにリニアに一致率が落ちている場合、第1エリア側は正しい位置に取り付けられ、第6エリア側の取り付け正しくないと判定できる。このような場合には、例えば表示装置15に「サーマルッドもしくはラインセンサの右端の取り付けがずれている可能性があります。」と警告内容を表示したり、図示しないスピーカから発生したりして判定結果に基づいて想定される異常の内容を報知することができる。あるいは、または、サーマルヘッド18Aとプラテンローラ18Bとの関係(ヘッド圧と呼びます)が正しくないことによるラベル搬送蛇行の可能性も有るので、「ヘッド圧が正しくありません」という警告内容を報知するようにしてもよい。
また、サーマルッド18Aとラインセンサ19Aの相対的な平行だけでなく、ラインセンサと搬送面(滑走板)との相対的な平行関係を計ることもできる。例えば、当該検証の結果、第1エリアの一致率が100%であり、第2エリアから第3エリアへと進むにつれて、エリアごとに98、96、94、92、90のようにリニアに一致率が落ちている場合、ラインセンサ19Aと滑走板21Aとが平行に接していないことが予測されます。このようの場合には、「ラインセンサは斜めにとりつけられていませんか?」や「ラインセンサと滑走板との間に異物はありませんか?」などの警告内容を報知するようにしてもよい。以上のように、セルフチェック・位置合わせチェックの結果から各機構の取り付け状態を検出することができるので、製造、導入、部品交換、点検等の各工程において作業者の作業時間を削減することができる。
表示装置15は、位置合わせの結果として、スキャン画像のほか、第1エリア(エリア1)〜第6エリア(エリア6)における一致率及び滲み率を表示する。図23に示すスキャン画像には、第1エリア(エリア1)〜第6エリア(エリア6)を仕切る仕切線を仮想線として示しておく。また、位置合わせ結果としては「印字画像」「2値化画像」「スキャン画像」の3通りのボタン画像が表示されており、各ボタン画像を押下操作することにより、「印字画像」「2値化画像」「スキャン画像」が表示装置15に表示される。
また、一致率や滲み率が異常判定基準値や滲み異常判定値未満となるときには、エラーが発生したとして、エラーの内容やその対処法を示すメッセージを表示したり、エラーが発生したエリアの一致率や滲み率の表示色を変えたりする。これらの表示により、印字部18とラベル検出センサ19の相対的位置関係、特に、印字部(サーマルヘッド18A及びプラテンローラ18B)とラベル検出センサ19(ラインセンサ19A)の平行を計ることができる。印字パターンは、印字部18とラベル検出センサ19の相対的位置関係を計るために印刷される。
このように、セルフチェック及び位置合わせを実行することにより、ラベルプリンタ1におけるおおよその設定を行うことができる。したがって、その後に実行される印刷情報の生成から記憶、ラベルの印刷結果の検証等を精度よくしかも容易に実行することができる。
以上の説明のように、上記のラベルプリンタ1の例では、印字部18でラベルシートLSに貼付されたラベルに印刷情報に応じた内容を印刷するとともに、ラベル検出センサ19によってラベルに印刷された印刷結果をスキャン画像として読み込む。ラベルプリンタ1は、スキャン画像をスキャン情報に変換した後、スキャン情報に補正を施して補正情報を生成し、補正情報と印刷情報を比較して両者の一致率及び滲み率を求め一致率及び滲み率に基づいて印刷異常を検出している。このため、印刷装置40による印刷を行うとともに検証装置50による検証が行われるので、印刷異常が生じた場合などに、その後のラベルの印刷が進行する前に対策を取ることができる。したがって、柔軟な設定に基づく印刷異常の検証を行うことができる。
また、ラベル検出センサ19は、ラインセンサ19Aによって印刷結果を読み込んでいる。このため、ラベル検出センサ19では、印字濃度の濃淡のみならず、印字の欠けやにじみを検出することができる。印字濃度の濃淡は、多くの場合、複数の印刷結果において同様の傾向をもって印刷異常が発生するため、ラインセンサ19Aの検出によって、印字濃度の濃淡を検出できる。また、特定のラベルにおいて、異物の介在などによって印刷結果の一部が欠けてしまう印刷異常が生じた場合には、他のラベルとは異なる傾向をもって印刷異常が発生する。したがって、特定のラベルにおいて発生する印刷異常などについても検出できる。
具体的には、同等面積の検証エリアが5か所に設定された印刷情報において、ラベルにおいて、各検証エリアにおける一致率がいずれも85%から90%程度であって、印刷異常が検出された場合には、印刷濃度が低いと想定できる。この場合には、「印字濃度設定が低い」と判定して、印字濃度を濃くする調整を行ってフィードバックをかけて濃度設定を高くしたり、印字濃度が低い旨の報知を行ったりして印刷異常の解消を図ることができる。
また、4つの検証エリアでは99〜100%の一致率であるのに対して、残りの1つのエリアでは一致率が70%である場合には、印字の欠けの場合には、濃度設定の問題ではなく、一致率の低い検証エリアでのみイレギュラーが発生したと考えられる。印字欠けの発生原因の多くは、濃度設定等ではなく外乱の要素が大きく、例えば、サーマルヘッド18AとラベルシートLSとの間にごみが挟まりヘッド熱がラベルシートLSに貼付されたラベルに伝わらない場合などに印字の欠けが発生する。よって、印字濃度の異常を検出した場合とは異なり、例えば、「サーマルヘッドやプラテンローラにごみが付着している可能性があります。取り除いてください。」等の報知を行う。こうして、オペレータに対処を促すことにより、印刷異常の解消を図ることができる。
また、複数の検証エリアを設定した場合であっても、印刷異常と判定する判定値、例えば一致率に関する異常判定基準値や滲み率に関する滲み異常判定値について各検証エリアで共通である場合、判定値を高く設定すると、検証かかる時間や負荷が大きくなる。その一方で判定値を低くすると、重要な検証部分についての検証が不十分となりかねない。そこで、上記の例では、複数の検証エリアについて、個々に異なる判定値を設定できるようにしている。このため、重要度に応じた判定値の設定を行うことができ、印刷結果について重要度の高い部位には高い判定値を設定し、印刷結果について重要度の低い部位には低い判定値を調整して設定することにより、重要部分の検証を十分に行うことができるとともに、検証に要する時間や負荷の軽減を図ることができる。
また、各検証エリアについて、判定値を調整できるとしても、実際の判定値(異常判定基準値や滲み異常判定値)がどの程度であれば、十分な検証ができるかをオペレータが認識しにくい場合がある。ここで、一旦判定値を設定してみて実際のテスト印字を行うことが考えられるが、この場合には、時間とラベルを無駄にする問題がある。
そこで、上記の例では、判定値の調整及び設定の際に、図18に示すエラー指標サンプル画像SGを表示装置15に表示するようにしている。このため、オペレータは、具体的な画像を見ながら判定値の調整及び設定を行うことができるので、判定値を変えながらテスト印字を繰り返す必要が無く時間とラベルの無駄を抑制しながら、判定値を調整して設定することができる。
また、エラー指標サンプル画像SGとしては、判定値を決定する際の検証エリアの印字イメージ(例えば「プラマーク」など)に加工処理を加え、一致率が〇〇%であるときの印刷画像のイメージを一致率ごとに選択可能に表示してもよい。この場合、複数のエラー指標サンプル画像SGの中からエラー指標サンプル画像SGを選択することで判定値を決定させてもよい。この場合、濃度による一致率低下の例や、印字欠けによる一致率の低下の例について、シミュレーションを行ってサンプル画像化し、エラー指標サンプル画像SGとして提示してもよい。さらに、リアルタイムでシミュレーションを提示する例として、対象の印字イメージと共にスクロールバーを表示し、このバーをスクロールさせることで、イメージ画像を可変させながら、オペレータの求める判定値を探させてもよい。加工処理を加えない場合は、事前に例画像(代表的なロゴマークやラベル全体のイメージなど)を記憶しておき、これを提示させてもよい。
また、上記の例において、検証装置50は、筐体10の内側に設けられている。このため、検証装置50による検証結果(スキャン情報と印刷情報の比較結果)を、ラベルシートLSに貼付されたラベルへの印刷を行っている最中に実行できる。このため、印刷異常が検出された場合にも早期に対応を取ることができるので、柔軟な設定を行うことができる。その結果、柔軟な設定に基づく印刷異常の検証を行うことができる。また、検証装置50のラベル検出センサ19は、印字部18と排出口24の間に設けられている。このため、印字部18で印刷を行った直後のラベルについての印刷結果の検証を行うことができるので、印刷異常が検出された場合の対応をより素早く行うことができる。
また、上記の例では、スキャン情報にずれや傾斜の補正を施すにあたり、印字部18とラベル検出センサ19の間に位置関係のずれや角度の相違などがあると、印刷情報として印刷しようとする印刷内容と実際にラベルに印刷された印刷内容の間にずれや傾きが生じる。このため、印刷情報とスキャン情報を比較しても、精度のよい比較結果を得ることが難しい。この点、上記の例では、基準情報である印刷情報と、印刷内容を読み込んだスキャン画像に基づくスキャン情報を比較して、印刷情報に基づく印刷結果と、ラベル検出センサ19で読み込んだ実際の印刷結果に基づくスキャン画像とのずれや傾斜を算出する。そして、このずれや傾斜に応じて補正を行うので、印刷情報として印刷しようとする印刷内容と実際にラベルに印刷された印刷内容の間のずれや傾きを調整できる。したがって、補正を行って印刷情報として印刷しようとする印刷内容と実際にラベルに印刷された印刷内容の間の位置関係のずれや角度の相違などを解消することにより、印字部18とラベル検出センサ19の位置関係に基づく印刷のずれを調整しやすくできる。
また、印刷情報として印刷しようとする印刷内容と実際にラベルに印刷された印刷内容の間のずれや傾き等が小さい場合には、補正等の演算処理によってずれや傾き等を解消できるが、このずれや傾き等が大きいと、演算によってずれや傾き等を解消することは難しく、印字部18とラベル検出センサ19の位置関係を調整することが好適となることがある。そこで、上記の例では、ラベルプリンタ1、特にラベル検出センサ19の設置状況の調整指示を表示装置15に表示させることにより、オペレータ等に印字部18とラベル検出センサ19の位置関係を調整させることができる。したがって、補正を行って印刷情報として印刷しようとする印刷内容と実際にラベルに印刷された印刷内容の間の位置関係のずれや角度の相違などを解消することにより、印字部18とラベル検出センサ19の位置関係に基づく印刷のずれを調整しやすくできる。
また、印刷異常の検証を行う際には、ラベル検出センサ19によってスキャン画像を読み込むごとに、印刷情報及びスキャン情報に基づいて補正を行っているが、ラベルプリンタ1の導入、点検等を行った後の位置合わせ作業においては、補正に特化した印字パターンを用いている。
印字部18(サーマルヘッド18A)とラベル検出センサ19(ラインセンサ19A)は完全なる平行(0°の関係)であることが理想的である。仮に0°の関係が崩れてしまうと、正しく印刷できたものであっても斜めに検出されてしまうため、印刷異常と判断される可能性が高くなってしまう。このような取り付け(組み立て)誤差を吸収するための機能として、プリンタの製造・導入時(初めて組み立てた際)や部品交換等の点検時(印字部18(サーマルヘッド18A)またはラベル検出センサ19(ラインセンサ19A)の交換時)に、印字部18(サーマルヘッド18A)とラベル検出センサ19(ラインセンサ19A)の関係を確認するためのテストを行います。
テストの内容は、制御装置30に予め設定され、記憶されている印字パターン(テストパターン)をラベルに印刷し、印刷した印字パターンをラベル検出センサ19によって読み込むことによって行う。例えば、同サイズのバーを6本等間隔で配置した印字パターンをラベルに印字部18で印刷し、同時にラベル検出センサ19で読み込む。ラベルを読み込んだ方向(ラインセンサ19Aが延在する方向が搬送方向(y方向)に対して90°ちょうどでなければ、サーマルヘッド18Aまたはラインセンサ19Aのどちらかが傾いている可能性がある。このため、検出された傾斜角度に基づいて、スキャン情報に対して傾斜補正を行う。具体的には、印刷情報及びスキャン情報の比較の結果、右に1°傾斜していることが検出できた場合には、以後の検出結果に左に1°傾斜する補正を行う。これにより、プリンタ製造時や部品交換時の人出は調整が難しい取り付けを制御で吸収することができる。
また、上記の例では、ラベル検出センサ19と対向する位置でラベルシートLSに貼付されたラベルが搬送される搬送路である滑走板21が設けられている。滑走板21は、スポンジ部材23によってラベル検出センサ19側に付勢され、スポンジ部材23は、滑走板21の接触面が変位可能となるように滑走板を支持している。仮にスポンジ部材23のような付勢手段がないと、ラベル検出センサ19の上流側と下流側で、ラベルシートLSとラベル検出センサ19との間の距離が異なる可能性がある。この点、スポンジ部材23によって変位可能に支持された滑走板21の接触面を左ブラケット19B及び右ブラケット19Cとで固定されていることにより、滑走板21上を搬送されるラベルシートLSとラベル検出センサ19との距離(平行状態)を一定に保つことができる。したがって、ラベル検出センサ19による検出の結果に基づいて、精度のよい検証を行うことができる。
また、ラベル検出センサ19におけるラインセンサ19Aの左右両端部は、左ブラケット19B及び右ブラケット19Cにそれぞれ固定されており、ラインセンサ19Aと左ブラケット19B及び右ブラケット19Cとの位置関係は一定となっている。また、ラベルプリンタ1が開放状態にあるときには、スポンジ部材23は膨張した状態となっているため、滑走板21はラベルプリンタ1が閉鎖状態にあるときよりも上方(ラベル検出センサ19方向)に位置している。ラベルプリンタ1が開放状態にあるときに、上部ユニット11を押し下げてラベルプリンタ1を閉鎖状態とすると、左ブラケット19B及び右ブラケット19Cは、滑走板21に対して押し下げる力(押圧力)を付与する。スポンジ部材23は、左ブラケット19Bまたは右ブラケット19Cの押圧力によって圧し潰され、滑走板21の一端をてこの原理で押し上げる際の視点として機能する。このため、押し上げられた滑走板21の他端は、は左ブラケット19Bまたは右ブラケット19Cにより変位可能に指示されていた滑走板21を両端で押圧して固定することができる。したがって、左ブラケット19Bまたは右ブラケット19Cのどちらか一方のみが滑走板21と接触するような不均衡な状態を抑制し、ラベルシートLSに貼付されたラベルとラベル検出センサ19との距離を一定に保つことができる。
また、ラベル検出センサ19は、ラインセンサ19Aの上流側及び下流側にそれぞれ設けられた上流側押え軸19D及び下流側押え軸19Eを備えている。また、左ブラケット19B及び右ブラケット19Cの下端部は、上流側押え軸19D及び下流側押え軸19Eの下端部よりもわずかに、例えば5mm程度ラベルシートLS側に突出している。このため、ラベルプリンタ1が閉鎖状態となり、左ブラケット19B及び右ブラケット19Cが滑走板21を押圧及び固定すると、上流側押え軸19D及び下流側押え軸19Eと滑走板21との間にわずかな隙間が形成される。滑走板21で搬送させるラベルシートLSは、上流側押え軸19D及び下流側押え軸19Eと滑走板21との間を通過する。このとき、上流側押え軸19D及び下流側押え軸19Eは、ラベルシートLSの搬送を規制し、上下方向へのバタつきを抑制している。このため、ラインセンサ19AとラベルシートLSとの間の距離を一定に保つことができるので、ラベル検出センサ19による検出の結果に基づいて、精度のよい検証を行うことができる。
また、左ブラケット19B、右ブラケット19C、上流側押え軸19D及び下流側押え軸19Eは、ラベル検出センサ19におけるラインセンサ19Aの四方を囲んでおり、いわば読取部屋を形成している。このため、ラインセンサ19Aに対する外部からの光を遮断して、ラインセンサに対する光の入射を抑制することができ、読取環境を一定に保つことができる。したがって、例えばラインセンサ19Aが光学的に印刷内容を読み取る際に、外部からの光による誤読を抑制できる。また、読取部屋を形成することにより、ラインセンサ19Aが発光して印刷内容を読み取る際に、ラインセンサ19Aからの光の漏れを抑制できる。ラベルプリンタ1内には、ラベル検出センサ19以外にも光の受光を利用したセンサが数多く含まれているので、ラインセンサ19Aからの光の漏れを抑制することにより、これらのセンサに対する影響を少なくまたは無くすことができる。また、読取部屋は、上部ユニット11を閉じてラベルプリンタ1を閉鎖状態にするだけで形成できるので、ラインセンサ19Aの読取環境を容易に安定した状態とすることができる。
[スキャナと印刷装置が一体になっていることの利点]
上記のラベルプリンタ1の利点として、印字部(印刷装置40)と読取部(検証装置50)とを一体かつ近傍に設けたことにより、従来の検証システム(検証装置と印刷装置が別体という意味)には無かった以下の利点を挙げることができる。印刷装置40はプラテンローラ18BでラベルシートLSを搬送しながらサーマルヘッド18Aにより印字を行っている。この搬送をそのまま利用して印字結果をラベル検出センサ19(ラインセンサ19A)によって逐次スキャンすることが出来るため、印刷装置40の外に検証装置50を設ける別体式の場合に必要となるコンベヤ等の別搬送機を設ける必要がない。
また、印字部18と読取部(ラベル検出センサ19)とが近い距離にあるため、その間の無駄印刷を抑えることができる。具体的には、印字部18と読取部(ラベル検出センサ19)との間が10ラベル分離れている場合、11枚目のラベルから異常印字が連続している場合であってもその異常を検出できるのは、11枚目が読取部に到達したときであり、その際には21枚目のラベルが印刷されてしまい、11枚目から21枚目の異常ラベルを無駄に印刷してしまうことになる。さらに、印字部18で印字を行った後、読取部(ラベル検出センサ19)までの搬送中にほこり等のごみが付着することにより、印刷に問題の無いラベルについても以上と判断される恐れがある。この点、同一媒体(ラベル)に対し上流側で印刷、下流側でその印刷内容を読取れる位置関係にあるため、上記問題を低減することができる。
また、読取環境が印刷装置40外である場合、外乱(施設内の蛍光灯、太陽光、人の影)等の影響に晒されやすくなり読取品質が低下する。この点、ラベルプリンタ1では、印刷装置40内に読取環境(読取部屋)を設けたことでこれら外乱の要素を排除することができる。
なお、上記の例では、滑走板21を変位可能に支持する例として、スポンジ部材23を使いてこの原理が働く例を説明したが、支持の方法はこれに限定されない。先のスポンジ部材23を押圧する方法であっても、左ブラケット19Bと右ブラケット19Cとが同時に滑走板21に接触する場合にはてこの原理は発生せず、単にスポンジ部材23を下に沈み込ませる変位が発生するのみとなる。またカバー閉時に滑走板21をラベル検出センサ19側へ持ち上げ左ブラケット19B及び右ブラケット19Cへ接触させる構造であってもよい。またモータやソレノイドの電気制御によってラベル検出センサ19側へ持ち上げてもよい。
また、上記の例では、固定手段が滑走板21を押圧することで、結果として滑走板21を固定しているが、これに限定されず、例えば左ブラケット19B及び右ブラケット19Cがマグネットで構成され、滑走板21がこのマグネットの磁力で吸引される材質であれば、変位可能に支持されていた滑走板21の接触面を当該マグネットの磁力により固定するようにしてもよい。変位可能に支持された滑走板が何らかの機構や電気、磁気等の力により一定距離で固定されればどのような方式を採用してもよい。
また、上記の例では、予印刷文字をスキャンエリアから排除して設定する例を記載したが、これに限定されず予印刷文字も補正情報を算出する際の判断基準の一つとし、印刷状況を特定することができるようにしてもよい。
また、上記の例では、ラベルプリンタ1の印刷対象を台紙付きラベルとしているが、他の印刷対象としてもよい。例えば、印刷対象は、レシートや台紙レスラベル、枚葉状の普通紙などであってもよい。また、また印刷方式として、媒体が発色する感熱方式を用いているが、他の方式でもよく、例えば、インクリボンを使った熱転写方式やインクを塗布するインクジェット方式、レーザープリンター方式などの方式を用いてもよい。これらの印刷方式であっても同様の検証を実現することができる。
上記の例では、オペレータが表示・操作部34を操作して印刷を指示する方法を用いているが、他の方法でもよく、例えば、ネットワークを介して印刷装置へ印刷指示や印刷予約を行う方法でもよい。また、印刷する商品種別、フォーマット種別、印刷枚数、印刷時間等を他の装置から受信した印刷装置はその内容に基づいて印刷を実行することが可能である。この場合はオペレータが近傍にいない場合が多いため、異常停止枚数を無視する制御が実行されてもよい。
また、各種印刷結果や履歴を印刷装置内やネットワークを通じて他の装置で管理してもよい。この場合、流通段階で印刷内容に関する問題があった場合であってもこれら結果を使って印刷後に印刷自体に問題があったのか、印刷後の流通段階で発生した問題なのかを切り分ける情報として利用することができる。また、ネットワークに接続された上位装置やクラウド上で同様の情報を管理してもよい。
また、上記の例では、サンプル画像としてイメージ画像を用いているが、他のサンプルを用いてもよい。例えば、ある特定の文字列をフォントサイズ別で並べて表示し、オペレータが許容できるフォントサイズや異常判定基準値を決定(選択)できるようにしてもよい。
また、印刷の欠けや滲みを検出した場合は、バックフィードし当該異常ラベルに印刷異常を示す情報を追加印刷できるようにしてもよい。例えば、ラベル全体にバツ印を印刷したり、分かる位置に「不良」の文字を追加印刷したりするようにしてもよい。これにより、操作者は事後確認する際に容易に異常ラベルを特定することができる。
また、印刷の欠けを検出した場合は、バックフィードを行い、当該欠けの部分を補足するための追加印刷を行うようにしてもよい。また、欠けの部分ではなく全体情報を追加印刷するようにしてもよい。これにより異常ラベルの数量を減らすことができる。また、追加印刷を施したラベルに対する読取を再度行い、異常の有無を判断するようにしてもよい。このように補足印刷のリトライ回数を事前に設定しておくこともできるようにしてもよい。
また、予印刷媒体を利用する場合、当該予印刷文字を回避する必要がある。そこで、新規でこのような予印刷文字が施された予印刷媒体を利用する場合には、印刷装置へ当該媒体をセットし、ラインセンサ19Aにより当該媒体の予印刷文字をスキャンする。読み取られた予印刷文字を当該ラベルフォーマットを表示する際に表示させることで操作者は当該ラベルのラベルフォーマットを作成する際に、予印字文字を回避しながら各種印字項目を配置できるようにしてもよい。
同様にスキャンエリアや検証エリアについても予印刷文字を回避した設定ができるようにしてもよい。また、予印字文字のある部分を禁止エリアとして自動設定し、先の印字項目の配置やスキャンエリアや検証エリアの設定時が当該禁止エリアに掛かる場合にはエラーを報知するようにしてもよい。この場合にエラーの報知を行うことにより、印字項目の配置等が禁止エリアに掛かる事態等の回避を促すことができる。これにより、予印字文字と印字項目が重なってしまうヒューマンエラーを防止することが出来る。
なお、以上に説明したラベルプリンタ1の機能(全部又は一部)を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
以上の説明に関し、以下の付記を開示する。
(付記A1)
上述した課題を解決するために、本発明の一態様である検証装置は、印刷された媒体の印刷結果を読み取る読取手段と、前記読取手段が読み取った印刷結果と、前記印刷結果と比較するための印刷基準と、を比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果を出力する出力手段と、前記比較手段による比較範囲を前記印刷基準の上に設定する設定手段と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、柔軟な設定に基づく印刷異常の検証を行うことができる。
(付記A2)
上記検証装置において、前記設定手段は、前記印刷基準の上に複数の比較範囲を設定可能であり、複数の前記比較範囲のそれぞれについて、異なる印刷基準を設定可能であるようにしてもよい。
上記構成によれば、柔軟な設定に基づく印刷異常の検証を行うことができる。
(付記A3)
上記検証装置において、前記印刷基準に応じた参考画像を提示する提示手段をさらに備えるようにしてもよい。
上記構成によれば、柔軟な設定に基づく印刷異常の検証を行うことができる。
(付記A4)
上記検証装置において、前記提示手段は、異なる印刷基準に応じた参考画像を提示可能であり、提示した複数の参考画像の中から1つの参考画像を選択する選択手段を備えるようにしてもよい。
上記構成によれば、印刷基準を選択しやすくできる。
(付記A5)
上述した課題を解決するために、本発明の一態様である印刷装置は、上記の検証装置と、体に印刷する印刷手段と、前記印刷された媒体を排出する排出口と、を備え、前記読取手段が、前記印刷手段と前記排出口との間に配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、柔軟な設定に基づく印刷異常の検証を行うことができる。
(付記B1)
上述した課題を解決するために、本発明の一態様である検証装置は、印刷された媒体の印刷結果を読み取る読取手段と、前記読取手段が読み取った印刷結果と、前記印刷結果と比較するための基準情報と、を比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、印刷部と検証部の位置関係を調整しやすくできる。
(付記B2)
上記検証装置において、前記設定手段は、前記出力手段は、当該検証装置の設置状況の調整指示を出力するようにしてもよい。
上記構成によれば、印刷部と検証部の位置関係を調整しやすくできる。
(付記B3)
上述した課題を解決するために、本発明の一態様である印刷装置は、上記の検証装置と、体に印刷する印刷手段と、前記印刷された媒体を排出する排出口と、を備え、前記読取手段が、前記印刷手段と前記排出口との間に配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、印刷部と検証部の位置関係を調整しやすくできる。
(付記B4)
上記印刷装置において前記印刷手段と前記読取手段の位置関係の基準となる位置基準画像を印刷するようにしてもよい。
上記構成によれば、印刷部と検証部の位置関係を調整しやすくできる。
(付記C1)
上述した課題を解決するために、本発明の一態様である印刷装置は、媒体に印刷する印刷手段と、印刷された媒体の印刷結果を読み取る読取手段と、前記読取手段と対向する位置で前記媒体が搬送される搬送路と、前記搬送路の接触面を変位可能に支持する支持手段と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、精度のよい検証を行うことができる。
(付記C2)
上記構成において、前記読取手段と同側面に備えられ、前記搬送路に接触し、前記接触面を変位不能に固定する固定手段を備えるようにしてもよい。
上記構成によれば、精度のよい検証を行うことができる。
(付記C3)
上記構成において、前記読取手段の読取面よりも前記搬送路側かつ前記搬送路の接触面よりも前記読取手段側に、前記媒体の搬送を規制する規制手段を備えるようにしてもよい。
上記構成によれば、精度のよい検証を行うことができる。
(付記C4)
上記構成において、前記読取手段は、四方を前記固定手段及び前記規制手段によって囲まれているようにしてもよい。
上記構成によれば、読取手段に対する光の入射や読取手段からの光の漏れを抑制できる。
(付記C5)
上記構成において、前記読取手段が読み取った印刷結果と、前記印刷結果と比較するための印刷基準と、を比較する比較手段と、を備え、前記読取手段は、前記印刷手段による印刷中の媒体の印刷結果を読み取るようにしてもよい。
上記構成によれば、柔軟な設定に基づく印刷異常の検証を行うことができる。
(付記C6)
上記構成において、前記比較手段による比較結果を出力する出力手段を備え、前記出力手段は、前記比較結果が基準を満たさない結果である場合に、比較結果が基準を満たさない印刷結果を出力するようにしてもよい。
上記構成によれば、印刷異常の内容を分かりやすくできる。
(付記C7)
上記印刷装置において、前記比較手段による比較結果が基準を満たさない結果である場合に、印刷を停止する停止設定と、印刷を継続し、比較結果が基準を満たさない結果となった媒体の情報を記憶する記憶設定と、を切り替える設定切替手段を備えるようにしてもよい。
上記構成によれば、柔軟な設定に基づく印刷異常の検証を行うことができる。